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特許7307286少なくとも1種のバイオベースのモノマーを含むモノマーの同時製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】少なくとも1種のバイオベースのモノマーを含むモノマーの同時製造
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/68 20060101AFI20230704BHJP
   C07D 307/46 20060101ALI20230704BHJP
   C07C 51/16 20060101ALI20230704BHJP
   C07C 55/02 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
C07D307/68
C07D307/46
C07C51/16
C07C55/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022568705
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 US2021031969
(87)【国際公開番号】W WO2021231556
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】63/025,345
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20196216.4
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507303309
【氏名又は名称】アーチャー-ダニエルズ-ミッドランド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】イングラム,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ハグバーグ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】マ,チ-チェン
(72)【発明者】
【氏名】マックラーグ,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ステンスラッド,ケネス
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-507684(JP,A)
【文献】国際公開第2016/168233(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/101331(WO,A1)
【文献】特開2011-084540(JP,A)
【文献】特表2011-503187(JP,A)
【文献】国際公開第2014/065657(WO,A1)
【文献】ACS Sustainable Chemistry & Engineering,2020年05月04日,8(21),8011-8023,DOI 10.1021/acssuschemeng.0c02574
【文献】Liquid Phase Aerobic Oxidation Catalysis,2016年,311-329,DOI 10.1002/9783527690121.ch19
【文献】ACS Symposium Series,2015年,1192,453-469,DOI 10.1021/bk-2015-1192.ch027
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07C
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,5-フランジカルボン酸(FDCA)とテレフタル酸(TPA)とを含む混合モノマー組成物の製造方法であって、
酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と接触させて、前記混合モノマー組成物を得ることを含み、
前記酸化供給流が(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物と、(ii)パラキシレンと、を含む方法。
【請求項2】
パラキシレンが、(i)と(ii)の合計量の少なくとも1重量%を占める、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭水化物がフルクトースである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記脱水生成物が、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)及び/又はそのエステル若しくはエーテル誘導体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
2,5-フランジカルボン酸(FDCA)とテレフタル酸(TPA)とを含む混合モノマー組成物の製造方法であって、
(i)FDCA形成フラン類及び(ii)パラキシレンを、酸化触媒と反応物である酸素とが入っている酸化反応器に共供給して、前記混合モノマー組成物を提供すること、
を含む方法。
【請求項6】
前記混合モノマー組成物が、着色副生成物として、FDCAのアルデヒド誘導体とTPAのアルデヒド誘導体とを含む、請求項5に記載の方法であって、
前記FDCAのアルデヒド誘導体と前記TPAのアルデヒド誘導体のうちの一方又は両方を選択的に水素化することを更に含む、方法。
【請求項7】
前記FDCAのアルデヒド誘導体と前記TPAのアルデヒド誘導体のうちの一方又は両方を前記選択的に水素化することが、前記混合モノマー組成物をFDCA濃縮フラクションとTPA濃縮フラクションとに分離することに続いて行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記混合モノマー組成物が、着色副生成物として、FDCAのアルデヒド誘導体とTPAのアルデヒド誘導体とを含む、請求項5に記載の方法であって、
前記FDCAと前記TPAのうちの一方又は両方をエステル化するステップにおいて、更なる着色副生成物として、FDCAのエステル誘導体のアルデヒド誘導体とTPAのエステル誘導体のアルデヒド誘導体のうちの一方又は両方を生成することを更に含み、
FDCAの前記エステル誘導体の前記アルデヒド誘導体とTPAの前記エステル誘導体の前記アルデヒド誘導体のうちの一方又は両方を選択的に水素化することを更に含む、方法。
【請求項9】
前記混合モノマー組成物をエステル化剤と反応させることによって前記混合モノマー組成物をエステル化するステップにおいて、FDCAとTPAの両方をエステル化し、FDCAの前記エステル誘導体の前記アルデヒド誘導体とTPAの前記エステル誘導体の前記アルデヒド誘導体の両方を含むエステル化された混合モノマー組成物を提供、することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記FDCAとTPAのうちの一方又は両方の前記エステル化が、前記混合モノマー組成物をFDCA濃縮フラクションとTPA濃縮フラクションとに分離することの下流の、前記FDCA濃縮フラクションと前記TPA濃縮フラクションのうちの一方又は両方をエステル化剤との反応によってエステル化するステップにおいて行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記共供給が、前記FDCA形成フラン類と前記パラキシレンとを別個の供給流として前記酸化反応器に供給することを含む、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記共供給が、前記FDCA形成フラン類と前記パラキシレンとを合わせて混合供給流にすることと、前記混合供給流を前記酸化反応器に供給することを含む、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記共供給の前に、低級カルボン酸又は低級アルコールを含む溶液中で1種以上の炭水化物を脱水して、粗製脱水生成物混合物中で前記FDCA形成フラン類を得ること、及び前記酸化反応器に前記FDCA形成フラン類を直接供給し、前記パラキシレンを別の供給流又は組み合わされた供給流で供給することを更に含む、請求項5~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記溶液がパラキシレンを更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、1つの観点からは、テレフタル酸(TPA)の製造方法、及びそれから製造することができるポリマーに関する。別の観点からは、本発明は、TPAのバイオベースの類似体である2,5-フランジカルボン酸(FDCA)の製造方法、及びそれから製造することができるポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
化石燃料の枯渇は、商業的に重要な製品のビルディングブロックとして機能することができるいわゆる「プラットフォーム」分子を合成するために石油ベースの炭素に代わる供給源を探索する大きなインセンティブを形成した。バイオマスは、現在、多くのそのような高価値の化学物質を生み出すことができる有望な代替品であると考えられているものの、再生可能資源からそのような化学物質を製造するための持続可能な技術の開発は、依然として大きな課題である。
【0003】
バイオベースのモノマーである2,5-フランジカルボン酸(FDCA)及びそのジメチルエステル誘導体である2,5-フランジカルボン酸ジメチルエステル(FDME)は、ポリ(アルキレンフランジカルボキシレート)ポリマーの製造における重要な出発物質として認識されている。ポリ(アルキレンフランジカルボキシレート)ポリマーは、公知の大量生産されている石油由来の類似品、すなわちポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマーの代替品となることができる。ポリ(アルキレンフランジカルボキシレート)ポリマーの有名な例は、FDCA又はFDMEとエチレングリコールとの反応によって得られるポリ(エチレンフランジカルボキシレート)、すなわちPEFである。バイオベースポリマー(バイオプラスチック)であるPEFは、特にパッケージングの分野で、石油由来の類似品であるPETと比較して、多くの点で優れた特性を示す。例えば、PEFとPETとのブレンドは、二酸化炭素と酸素に対するバリア特性を改善することができ、純粋なPETで得られる期間よりも保存可能期間を延長し、酸化によって劣化しやすいビールなどの製品に適した容器を提供する。PEFの他のパッケージング用途としては、高い機械的強度とリサイクル性とを備えたパウチ、包装、及び熱収縮材料の製造に使用されるフィルムが挙げられる。
【0004】
一般的に、FDCAとFDMEは、共にプラスチック、繊維、コーティング、接着剤、パーソナルケア製品、及び潤滑剤などの多様な用途を有するポリアミド、ポリウレタン、及びポリエステルの製造における有用なプラットフォーム分子である。これらの分子の商業的重要性は、例えば米国エネルギー省による2004年の調査で証明されており、FDCAは将来の「グリーン」ケミカル産業を確立するための12の優先化学物質のうちの1つとして特定されている。テレフタル酸(TPA)との構造的類似性のため、ポリエステルを合成するための代替モノマーとしてのFDCAの可能性は、少なくとも1946年には、例えば英国特許出願公開第621971号などで認識されており、FDCAを製造するための商業的に実行可能なプロセスを実現するために、多くの関係者が長年にわたり多大な努力を払ってきた。バイオベースの出発物質からのFDCA合成に関しては、米国特許第10,538,499号に進歩が記載されており、これによれば、六炭糖単位(例えばフルクトース)を含む供給流に対して統合された処理ステップが行われ、その第1のステップは、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)又はそのエステル若しくはエーテル誘導体などの特定の誘導体を得るための脱水ステップである。その後、コバルト、マンガン、及び臭素成分を含む均一系の触媒系を使用する、p-キシレンを酸化してTPAを製造するために使用されるものと同様のMid-Century型酸化に従って、脱水生成物が目的のFDCAに酸化される。これらの多大な努力にもかかわらず、FDCAの商業生産はまだ実現されておらず、商業規模での経済的実行可能性を確立するために、FDCA及びその誘導体のバイオベースの合成経路の改善が継続的に求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本発明の特定の態様は、少なくとも特定の種のフミン質の存在に関連する有害な影響を軽減する、更には除去する方法の発見に関する。フミン質は、FDCA及びその誘導体のバイオベースの合成の際に炭水化物を出発物質として利用するプロセスにおいて、炭水化物の脱水により生じる高度に着色された通常は非水溶性の副生成物である。
【0006】
例えば、六炭糖単位を有する炭水化物(例えばヘキソース糖及びそれらのオリゴマー及びポリマー)の酸触媒による脱水で生成する少なくとも特定の種のフミン質は、均一系のMid-Century酸化触媒を消費するか、又はその有用な能力を制限する傾向がある。これらの触媒は、上流の脱水で形成される5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)及び/又はその誘導体(例えばエステル及び/又はエーテル誘導体)を酸化するために最も一般的に提案されている。
【0007】
より一般的には、前の脱水ステップで生成するこれらのフミン質がHMF及び/又はその誘導体と共に酸化供給流の中に存在する場合に、均一系触媒と不均一系触媒の両方の使用に関して運転パラメータが制約される可能性があることが判明している。均一系触媒による酸化では、これは、(i)望まれる変換率と収率プロファイルを維持するために触媒濃度を上げる必要があること、及び(ii)反応の喪失又は「ライトオフ」(例えば酸素消費量の決定に基づく)の前に、有利な性能が達成できる「機能窓」又は条件のセット(温度、圧力、流通時間)が狭くなることに現れる場合がある。HMF及び/又はその誘導体を酸化してFDCAを得るために時々提案されてきた不均一系触媒による酸化において、これらのフミン質は、フミン質が固体触媒粒子の上に堆積する結果として触媒を不活性化させる場合があるという問題も有している。
【0008】
中に少なくとも特定の種のフミン質が含まれる炭水化物脱水生成物の酸化に関連するこれら及び他の欠点に直面し、今回、特定の共供給流が、驚くべきことに、上述した運転上の制約に対抗する有益な安定化効果(例えば反応安定化効果)を与えることを発見した。これにより、これらのフミン質が存在すると制限されることになる有用な又は経済的に有利な機能窓を、部分的に又は完全に回復させることができる。この安定化効果は、有利な活性、選択性、及び/又は安定性(望まれる性能レベルが維持される流通時間)を達成するために必要とされる触媒濃度、温度、及び/又は酸素分圧の下限を含む、より広範囲の可能な運転条件によって証明することができる。重要なことには、そのような共供給流は、HMF及び/又はその誘導体のFDCAへの酸化と同様の方法で、酸化されて他の有用なモノマーを形成することができる。有利なことに、このような安定化共供給流とHMFの両方の酸化は、同じ条件下で行うことができ、したがって均一系と不均一系とにかかわらず、同じ反応器及び触媒系を利用することができる。対象の特定の共供給流はパラキシレンであり、原油精製の生成物として得られることが多く、これはテレフタル酸(TPA)へと酸化することができる。したがって、特定の実施形態は、FDCAとTPAの同時製造の場合など、酸化によるモノマーの同時製造に関する。
【0009】
Mid-Century型酸化触媒の使用を含む特定の共酸化の状況では、FDCAとTPAの同時製造プロセスは、均一系のMid-Century型酸化触媒と反応物である酸素とが入っている酸化反応器にFDCA形成フラン類とパラキシレンとを共供給することを含み、その結果、FDCA形成フラン類とパラキシレンとが同じ環境で効果的に反応する。その際、パラキシレンは、上述した安定化効果(例えば上流の酸触媒、特に鉱酸触媒による、六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物(例えばフルクトース)の脱水で形成される少なくとも特定の種のフミン質副生成物の存在下でFDCA形成フラン類を酸化する能力に関して反応系の性能を改善する)を付与するのに十分な量で使用される。代表的なプロセスによれば、上流の炭水化物の脱水は、(i)第1のモノマーを形成する脱水生成物(例えばHMF及び/又はその誘導体を含む)と(ii)第2のモノマーを形成する安定化剤(例えばパラキシレン)の両方の酸化と統合される。
【0010】
更に別の態様は、少なくとも少量のフミン質を含む炭水化物脱水生成物の酸化における共供給流の使用に関し、この中で、共供給流は、共供給流なしのプロセスであるが同じフミン質が脱水生成物から除去されているか存在しない比較(又はベースライン)のプロセスと比較して、性能(例えば触媒活性)を部分的に又は完全に回復させる。有利なことには、性能の回復は、望まれるモノマーへと酸化可能であるその部分(例えば「経路上」のFDCA形成フラン類)に基づいて、炭水化物脱水生成物に対して(例えばモル基準で)少量の共供給流のみを使用して実現することができる。
【0011】
FDCAが酸化によって製造される炭水化物脱水生成物中のフミン質の影響に関し、本発明の共酸化法によって提供される特定の有益な側面とは別に、ポリエステルの分野の当業者は、酸化によるモノマー及び/又はそれらの対応するポリマー(例えばPETなどのポリエステル)の製造に用いられる既存の商業プロセス又は関連する装置の利用において、そのようなプロセス又は装置と炭水化物脱水ステップ又は脱水反応器などの関連要素との統合によりそのような共酸化プロセスによって提供される他の利益を理解するであろう。有利なことには、そのような組み込み改造により、新規な独立型の(「グリーンフィールド」)バイオベースポリエステル製造施設を建設すると必要になる資本と時間のわずかな部分を投資するだけで、従来のモノマーとバイオベースのモノマーの両方の同時製造と同時処理を可能にすることができる。特定のタイプの組み込み改造には、例えばフルクトース脱水反応器及び関連装置を、十分に活用されていないか一時的に廃止されたTPA製造プラントに繋げることが含まれ得る。これにより、HMF及び/又はその誘導体(例えば、脱水されるフルクトースなどの炭水化物の溶液を形成するためにカルボン酸溶媒とアルコール溶媒のいずれが使用されるかに応じて、エステル誘導体又はエーテル誘導体)とパラキシレンの共供給を可能にすることができる。共供給流の酸化に続いて、FDCA及びTPAは、その後酸化生成物中で一緒に、すなわち混合モノマー組成物又は共生成物として提供することができる。
【0012】
したがって、これらの他の利点を念頭に置いた本発明の特定の実施形態は、第1及び第2のモノマー、例えばバイオベースのモノマーであってよい2,5-フランジカルボン酸(FDCA)と、石油ベースであってよく従来石油ベースのモノマーであるテレフタル酸(TPA)とを含む混合モノマー組成物を製造するプロセスに関し、より具体的な実施形態では、前者を製造することの商業的実現をより容易にするために、後者の製造に関連する既存の技術的、物理的、及び商業的資産及びインフラを利用する。このプロセスは、酸素の存在下(例えば空気などの酸素含有ガスの存在下)で酸化供給流を酸化触媒と接触させて、混合モノマー組成物を得ることを含む。酸化供給流は、(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物(例えばフルクトース)の脱水生成物と、(ii)パラキシレンとを含む。
【0013】
混合モノマー組成物を生成するために、1種以上のヘキソースの脱水生成物とパラキシレンの両方を含む酸化供給流を、共通の一連の酸化条件下で単一の反応器で酸化する能力は、資産活用の点のみならず、例えば同じ市場用途のための従来の非再生可能な資源ベースのモノマーと再生可能な資源ベースのモノマーの両方を、顧客が必要とする相対的な割合及び量で、大幅に遅れることなく、特に新規なモノマー及び新規なポリマーの開発をしばしば妨げる大きな設備投資なしに供給するための手段を提供するなどの他の点でも、当該技術分野において大きな価値を持つであろう。
【0014】
この点に関し、発明者は、TPA(及びひいてはTPAのエステル)を製造するために長年商業的に使用されてきたMid-Century型の酸化触媒に加えて、均一系触媒と不均一系触媒の両方を含む多くの酸化触媒を本発明による共酸化法で使用することで、FDCAとTPAの両方を含む混合モノマー組成物を製造できることを見出した。
【0015】
上述した利用の組み込み改造の文脈において、又は全般的に前述した安定化の利点を実現することに関連して、脱水及び酸化のステップは、任意選択的には、色安定化、誘導体化(例えばエステル化)、分離、及びポリマー形成を含む多数の追加のステップと組み合わされてもよい。ポリマー形成ステップは、(ポリエステル及びコポリエステルの形成に関して)それ自体、(i)エステル化又はエステル交換、及び(ii)重縮合による重合、のサブステップを含み得る。これらのステップ及びサブステップは、多数の異なるプロセス構成に従って実施することができ、その選択は、本開示の知識を有する当業者には、処理される具体的な供給流及び望まれる最終製品を考慮して、明らかであろう。
【0016】
1つの特定の実施形態は、例えば混合モノマー組成物を、第1のFDCAが濃縮されたフラクションと第2のTPAが濃縮されたフラクションなど、異なるモノマーが濃縮された(例えば理想的にはそれらが減らされたモノマーを実質的に含まない)フラクションへと精製することを含み得る。その度、これらのフラクションのいずれか又は両方が、下流のポリマー形成ステップで使用される前に、着色性のアルデヒド副生成物(例えば、FDCA濃縮フラクション中に存在し得る5-ホルミル-2-フランカルボン酸(FFCA)及び/又はTPA濃縮フラクション中に存在し得る4-カルボキシベンズアルデヒド(4-CBA))の水素化又は他の改善/精製ステップなどによる色安定化を経ることができる。別の特定の実施形態は、混合モノマー組成物をフラクションに分離せずに、例えば同じプロセス流内でFFCAと4-CBAの両方を水素化することなどによって、混合モノマー組成物全体の色の安定化を行うことによって、改善/精製ステップを使用することを含み得る。得られた安定化された組成物(又は混合モノマー組成物)は、その後、安定化された第1のフラクション(例えば安定化されたFDCA濃縮フラクション)と安定化された第2のフラクション(例えば安定化されたTPA濃縮フラクション)とに分離することができ、続いて、別々のポリマー形成ステップにおいてこれらのフラクションが使用される。この形式では、フランジカルボキシレート部位を有し、好ましくはベンゼンジカルボキシレート部位を実質的に含まない(又は少なくとも少量しか有さない)もの(例えばPEFの場合)、及びベンゼンジカルボキシレート(又はテレフタレート)部位を有し、好ましくはフランジカルボキシレート部位を実質的に含まない(又は少なくとも少量しか有さない)もの(例えばPETの場合)など、別個のコポリマーを製造することができる。或いは、安定化された組成物(例えばFDCAとTPAの酸化生成物の両方を含むもの)は、フランジカルボキシレート部位とベンゼンジカルボキシレート部位の両方を有するコポリマーなど、例えば1種以上のアルコール/ポリオール(例えばエチレングリコール)とのコポリエステルを製造する後続のポリマー形成ステップにおいて直接(例えば分離なしで)使用することができる。
【0017】
別の態様は、別々に又は一緒にポリエステルを製造するための、これらのモノマー又はその誘導体のうちの一方又は両方、例えばフラノエートエステルとテレフタル酸エステルのうちの一方又は両方の更に下流の重合に関する。前者の場合(別々に重合)、これらのモノマーは、酸化から形成されたままの状態で分離されてもよく、或いはこれらは、例えば、それらの非誘導体化形態と比較して、より低い沸点又はより大きい相対的揮発性差を有することのため、より容易に又はより経済的に分離されるモノマーの都合のよい誘導体(例えば簡便には重合が予定されているものと同じ(エステル)誘導体)を形成することによってこれらの分離が容易になるように処理されてもよい。例えば、フラノエートエステルとテレフタル酸エステルは、蒸留によって容易に分離できる必要がある。後者の場合(一緒に重合)、得られるコポリマーに例えばFDCA関連部位とTPA関連部位の両方を持たせて製造することができる。
【0018】
下流の重合が、1種以上のモノマー又はその誘導体からの1種以上のホモポリエステル又はコポリエステルの形成に関する場合、別個の、又は互いとの及び任意選択的なFDCA関連部位などの他のコモノマー若しくはオリゴマーとの1つ以上の組み合わせは、フランジカルボキシレート部位であってよく、そのようなTPA関連部位は、重縮合及びそれに続くFDCA及び/又はTPAの反応、或いはFDCA及び/又はTPAと少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー(例えばジオール)とのエステル誘導体から得られるテレフタレート部位(又はベンゼンジカルボキシレート部位)であってよい。
【0019】
更に別の実施形態では、下流のポリマー形成ステップは、コモノマーとして、FDCAとTPAのうちの一方又は両方のヒドロキシル(アルコール)誘導体(例えばFDCAとTPAのうちの一方又は両方のジオール誘導体)を、ポリ酸又はそのエステル誘導体と別々に又は組み合わせて反応させて、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリエステルを生成することを含み得る。
【0020】
下流の重合が、1種以上のモノマー又はその誘導体からの1種以上のポリアミド又はコポリアミドの形成に関する場合、別個の、又は互いと及び任意選択的な他のコモノマー若しくはオリゴマーとの1種以上の組み合わせ、特定の実施形態ではFDCAとTPAのうちの一方又は両方は、別個に、又は組み合わせで、少なくとも2つのアミノ基を有するコモノマー(例えばジアミン)と反応して、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリアミドを生成することができる。
【0021】
更なる実施形態では、下流のポリマー形成ステップは、コモノマーとして、FDCAとTPAのうちの一方又は両方のヒドロキシル(アルコール)誘導体(例えばFDCAとTPAのうちの一方又は両方のジオール誘導体)を、別個に、又は組み合わせで、ポリイソシアネートと反応させて、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリウレタンを生成することを含み得る。
【0022】
更なる実施形態では、下流のポリマー形成ステップは、コモノマーとして、FDCAとTPAのうちの一方又は両方のアミノ誘導体(例えばFDCAとTPAのうちの一方又は両方のジアミノ誘導体)を、別個に、又は組み合わせで、ポリ酸と反応させて、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリアミドを生成することを含み得る。
【0023】
更なる実施形態では、下流のポリマー形成ステップは、FDCAとTPAのうちの一方又は両方のアシル誘導体(例えばFDCAとTPAのうちの一方又は両方の塩化ジアシル誘導体)を、別個に、又は組み合わせで、少なくとも2つのアミノ基を有するコモノマー(例えばジアミン)と反応させて、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリアミドを生成することを含み得る。
【0024】
更なる実施形態では、下流のポリマー形成ステップは、FDCAとTPAのうちの一方又は両方のイソシアネート誘導体(例えばFDCAとTPAのうちの一方又は両方のジイソシアネート誘導体)を、別個に、又は組み合わせで、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー(例えばジオール)と反応させて、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリウレタンを生成することを含み得る。
【0025】
本開示の知識を有する当業者は、上記事項から、FDCAとTPAの前駆体を共酸化して、商業的に望ましいモノマーであるFDCA及びTPA(及びその拡張により、その様々な公知の誘導体)を製造することにより、FDCAとTPAのうちの一方又は両方に基づいて非常に多くの望ましい下流ポリマーシナリオを考慮することができ、上述した実施形態は単なる例示的な部分にすぎないことを理解するであろう。
【0026】
別の実施形態は、供給流としてのパラキシレン及び酸素(又は酸素含有ガス)を受け取るように適合させた酸化反応器と、溶媒をTPAから分離して酸化反応器にリサイクルするように構成された下流のテレフタル酸結晶化・回収セクションとを備えたTPA製造プラントを改変するための方法に関する。方法は、酸化反応器の既存の入口からの、又は酸化反応器の追加された入口からの接続部を用いて上流の炭水化物脱水反応器にテレフタル酸製造プラントを組み込んで改造することを含む。
【0027】
更に別の態様では、本発明は、パラキシレンが、例えば1種以上のヘキソースの脱水生成物とパラキシレンの両方を共酸化して混合モノマー組成物を生成する前の上流の炭水化物脱水反応器において、FDCAのフラン類前駆体のための共溶媒として好適に採用され得るという発見に関するものであり、例えば、すぐ上で示した組み込み改造シナリオでは、パラキシレンをTPAに変換するための既存の酸化反応器の入口から、そのような上流の炭水化物脱水反応器まで接続される。その結果、特定の実施形態では、混合モノマー組成物の対応する部分を提供するために酸化されるパラキシレンの少なくとも一部は、そこで生成される1種以上のFDCA形成フラン類と共に、上流の炭水化物脱水反応器からの生成物混合物を介して導入することができる。
【0028】
このように酸化されるパラキシレンの少なくとも一部を導入することで、複数の重要な利点を実現することができる。例えば、米国特許第10,538,499号に記載されているように、脱水が酢酸に加えて臭化水素酸を利用し、脱水生成物が後続の酸化ステップに直接供給される後続のMid-Century型の酸化ステップと統合される場合には、パラキシレンの少なくとも一部は、実際には、米国特許第10,538,499号において酸化ステップ後に最適に回収及びリサイクルされることが想定されているかなりの量の酢酸の一部を置換することができるため、このリサイクルに関連する資本及び運転費用を削減することができる。更に、米国特許第10,538,499号に沿って行われる統合プロセスでリサイクルする必要がある酢酸の量に対する共酸化ステップで生成される熱エネルギーの量が大幅に増加し、リサイクル酢酸流に関連するエネルギーコストを少なくとも部分的に相殺することができる。その結果、炭水化物脱水ステップを後続の酸化ステップと組み合わせてFDCAとテレフタル酸の両方を含む混合モノマー組成物を生成する本発明による方法の特定の実施形態では、酸化ステップに供給される材料にどのようなフミン質が存在するかを考慮して、前述した安定化効果又は利益を得るために示される量を十分に超える量とすることができる量のパラキシレンが、先行の脱水ステップから酸化ステップに供給される。例えば、特定の実施形態では、炭水化物脱水ステップから得られる、後続の酸化ステップ(特にMid-Century型酸化が利用されるが、任意選択的には以下で例示するような別の酸化触媒が使用されてもよい)において混合モノマー組成物を生成するための供給流のその部分の最大20重量パーセントがパラキシレンであってよい。
【0029】
これらの及び更に別の態様、実施形態、及び関連する利点の全ては、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0030】
図面の簡単な説明
本発明の例示的な実施形態及びその利点は、添付の図を考慮して以下の説明を参照することによってより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】混合モノマー組成物を形成し、これをポリマー形成ステップで使用することによってコポリマーを製造するための多段階プロセスを示す。
図2】ポリマー形成ステップにおいて一方又は両方のフラクションを使用する前に、混合モノマー組成物をフラクションに分離することによる多段階プロセスを示す。
図3】テレフタル酸製造プラントの改変のための炭水化物脱水反応器の使用を示す。
図4】以下の実施例と関連する実験結果の表を示す。
図5】以下の実施例と関連する実験結果の第2の表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1図3を通して、同じ参照番号及び他の参照文字が、同じ又は類似の特徴を表すために使用される。これらの図は、関与する具体的な原理を示すために、プロセス及びそれに関連する装置の簡略化された概略図を表すと理解すべきである。描かれている要素は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、また、例示されたプロセス及びそれに関連する装置は、分離、結合、及び/又は反応のステップなどの任意の上流、中間、又は下流のステップの追加を排除するものではない。例えば、中間のリサイクルステップは、分離と結合の両方を含むことができる。本開示の知識を有する当業者には容易に明らかになるように、他のプロセスは、特定の動作目的によって支配される代替の構成及び/又は構成要素を有することができるが、それらの代替形態は、それでもなお添付の請求項によって定義される本発明の範囲内に含まれる。
【0033】
実施形態の詳細な説明
本発明の特定の態様は、ヘキソース炭水化物(例えばフルクトース)の脱水生成物などの脱水生成物が「共供給流」の存在下で酸化を受けるプロセスに関し、この供給流は、本明細書に記載の酸化反応安定化の利益を提供するか提供するために利用できる程度に「安定化された共供給流」であるとみなすことができる。この共供給流自体が酸化されて、脱水生成物の酸化から得られるモノマーとは異なる第2のモノマーなどの有用な生成物を生成することができる。したがって、そのような「共供給流」又は「安定化された共供給流」は、そのような場合には「第2のモノマー形成共供給流」と特徴付けることもできる。これらの呼称のいずれにおいても、用語「共供給流」は、脱水生成物又はその任意の部分、例えばFDCAなどの目的のモノマーに酸化可能な「経路上の」FDCA形成フラン類部分に対するその添加又は存在の量に何らかの制限を課すと解釈すべきではない。したがって、本明細書に記載の特定の実施形態は、FDCA形成フラン類のモル数に対して化学量論量未満の量で、又は1未満のモル比で共供給流を添加することに関し、別の実施形態は、過剰な化学量論的量で、又は1より大きいモル比で添加することに関する。後者のケースは、例えば、例えばFDCAの初期の商業化で望まれるような、バイオ由来モノマーの供給源として脱水生成物を比較的少量添加することに対応するように、TPAを製造するためのp-キシレンの酸化に使用される既存の設備(プラント)を組み込み改造する場合などに生じ得る。
【0034】
本明細書で使用される「重量%」及び「重量ppm」という用語は、それぞれ重量百分率及び重量百万分率を示すために使用される。「mol%」という用語は、モル百分率を表すために使用される。別段の指示がない限り、「~を実質的に含まない」という語句は、様々な実施形態において、「~を5重量%未満有する」、「~を3重量%未満有する」、又は「~を1重量%未満有する」ことを意味し得る。フミン質副生成物及び着色副生成物などの「副生成物」に言及する場合、これらは代わりに「汚染物質」又は「不純物」と呼ばれることがある。
【0035】
本明細書では、テレフタル酸(TPA)などの他のモノマーと組み合わせて2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を製造するためのプロセスが記載される。特定のプロセスは、FDCA及びTPAのエステル誘導体を形成するために「エステル化」するステップを明示的に含み、それによって、これらのジカルボン酸のカルボン酸基の一方又は好ましくは両方が、代わりにアルキルエステル基(モノ又はジアルキルエステル誘導体の場合)又はアリールエステル基(モノ又はジアリールエステル誘導体の場合)などのエステル基であり、メチルエステル基、エチルエステル基、又はフェニルエステル基が具体例である。メチルエステル基の場合、FDCAの好ましいエステル誘導体は2,5-フランジカルボン酸ジメチルエステル(FDME)であり、対応するTPAの好ましいエステル誘導体はテレフタル酸ジメチル(DMT)であり、これはそれぞれFDCA及びTPAと十分な量のメタノールとの反応によって形成することができる。
【0036】
補足的に、本開示の知識を有する当業者は、本明細書に記載のプロセスが、ヒドロキシアルキル誘導体を含むヒドロキシル(アルコール)誘導体;アルコキシ誘導体を含むエーテル誘導体;アミノ誘導体;塩化アシル誘導体などのハロゲン化アシル誘導体を含むアシル誘導体;イソシアネート誘導体;アルデヒド誘導体;及びアセタール誘導体に加えて、FDME及びDMT以外のエステル誘導体などの(ただしこれに限定されない)FDCA及びTPAの広範囲の他の誘導体の製造にも適用され得ることを理解するであろう。そのような誘導体の場合、FDCAの2つのカルボキシ置換フラン環構成原子のうちの一方又は両方、又はTPAの2つのカルボキシ置換ベンゼン環構成原子のうちの一方又は両方は、代わりにカルボキシ以外のカルボン酸基で、及び/又はこれらの他の基で置換されて、例えば対応するジオール、ジアルカノール(例えばジメタノール)、ジアミノ、ジアシル(例えばジアシルクロリド)、ジエステル、ジイソシアネート、エーテル-酸、エーテル-エステル、エステル-酸、エステル-アルデヒド、エーテル-アルデヒド、エーテル-アセタール、エステル-アセタール、アセタール-酸、ヒドロキシル-酸、ヒドロキシアルキル-酸、ヒドロキシル-エステル、ヒドロキシアルキル-エステル、ヒドロキシル-アセタール、ヒドロキシアルキル-アセタール、ヒドロキシアルキル-ヒドロキシアルキル、ジアセタール及び/又はアルデヒド-アセタール誘導体を与えることができ、「酸」置換は、酢酸以外のカルボン酸によって形成される、カルボキシ又はカルボキシメチルなどのラジカルを指す。
【0037】
この点に関し、以降でより十分に説明されるように、例示的なモノマーであるFDCA及びTPAからのこれらの様々な誘導体の形成は、混合モノマー組成物を、一方ではFDCA濃縮フラクション、好ましくは実質的に完全にTPAが含まれないフラクションと、他方ではTPA濃縮フラクション、好ましくは実質的に完全にFDCAが含まれないフラクションとに分離することを容易にするために、及び一般的には酸化からのアルデヒド含有種がアルドール縮合を経て混合モノマー組成物中で又はこれらのアルデヒド含有種を有する濃縮モノマーフラクション中で経時的に色を生成する傾向に対処するために、混合モノマー組成物に関して望ましい場合がある。エステル誘導体は、TPA及びFDCAが最も一般的に商業的に使用されると見込まれるホモポリエステルポリマー及びコポリエステルポリマーを製造する状況でこれらの目的を達成するのに特に適しているが、重合技術の当業者は、後続のポリマー形成ステップで使用可能なFDCA及びTPAの他の誘導体、並びに望まれるポリマー製品又はポリマー製品の組み合わせを製造する状況におけるこれらの様々な可能な誘導体の相対的な長所及び短所について、確実に思い付くことができるであろう。
【0038】
エステル誘導体の場合、それらの親カルボン酸(例えばジカルボン酸)化合物と同様に、これらは、本明細書に記載のポリマー形成ステップにおいてモノマーとして使用することができる。したがって、前の段落と一致するそのようなエステル誘導体は、同等に「エステル誘導体モノマー」と呼ぶことができる。しかしながら、以降で主に「エステル」誘導体とFDCA及びTPAである二酸の「エステル化」について取り上げて説明するという事実は、すぐ上で述べたような他の誘導体を後続のポリマー形成ステップにおいてモノマーとして使用できない場合もあることを意味するものとして解釈すべきではなく、むしろ、同時製造されたFDCA及びTPAが最も一般的にポリエステル製品の製造への利用が予定されるという期待を反映するものとしてのみ解釈されるべきである。結果として、「エステル誘導体」又は「エステル化」への以降の言及は、当業者がエステル誘導体又はエステル化のみが合理的に想定され得ると文脈から理解しない限り、FDCA及び/又はTPAの誘導体又は誘導体化の任意の他の形態を含むものとして理解されるであろう。
【0039】
本明細書に開示の特定のプロセスは、FDCAとTPAとを含む混合モノマー組成物を、これらのモノマーの両方が形成される酸化ステップを使用して製造するためのものである。このプロセスは、酸素の存在下(例えば空気などの酸素含有供給流中)で酸化供給流を酸化触媒と接触させて、混合モノマー組成物を得ることを含み得る。酸化供給流は、(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物(例えばフルクトース)の脱水生成物と、(ii)パラキシレンとを含み得る。したがって、酸化供給流の成分(i)は、FDCA形成フラン類を含むことができ、代表的なプロセスは、成分(i)と(ii)の両方を、酸化触媒(例えば均一系又は不均一系触媒)と反応物である酸素とが入っている酸化反応器に供給することを含み得る。
【0040】
六炭糖単位を有する炭水化物とは、六炭糖、六炭糖のオリゴマー、又は六炭糖のポリマーを意味する。そのような炭水化物としては、デンプン、アミロース、ガラクトース、セルロース、ヘミセルロース、イヌリン、フルクタン、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、セロビオース、ラクトース、及び糖オリゴマーが挙げられる。これらの炭水化物は、ヘキソース炭水化物と呼ばれることもあり、これらは、湿式又は乾式穀物製粉プロセスの生成物、副生成物、又は中間生成物のうちの1つ又は組み合わせから得ることができ、そのような生成物としては、フルクトースシロップ、結晶フルクトース、高フルクトースコーンシロップ、粗製フルクトース、精製フルクトース、又は糖蜜のうちの1つ以上が挙げられる。好ましい炭水化物はフルクトースであり、これは純粋な形態又は精製された形態で(例えば90%又は95%を超える純度で)脱水ステップに供給することができる。
【0041】
FDCA形成フラン類とは、本明細書に記載の触媒酸化によりFDCAを形成するフラン環含有単量体及び二量体分子を指す。FDCA形成フラン類は、望ましくない副生成物(例えばフミン質)と共に、高温で酸触媒(本質的に均一系であっても不均一系であってもよい)の存在下で六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物を脱水することによる脱水生成物として得ることができる。FDCA形成フラン類には、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)が含まれ、低級カルボン酸(すなわち酢酸などのC~C脂肪族カルボン酸)の存在下での形成の場合には5-(アセトキシメチル)フルフラールなどのHMFのエステル誘導体が含まれる場合があり、或いは低級アルコール溶媒(すなわち、C~C脂肪族アルコール;例えばメタノール)の存在下での形成の場合には、5-(メトキシメチル)フルフラールなどのHMFのエーテル誘導体が含まれる場合がある。他のFDCA形成フラン類には、2,5-ジホルミルフラン及び5-ホルミル-2-フランカルボン酸などのHMFの誘導体が含まれ得る。FDCA形成フラン類には、更に、HMF二量体である5,5’-[オキシビス(メチレン)]ジ(2-フルアルデヒド)、及びHMFオリゴマーが含まれる。非FDCA形成フラン類の例としては、限定するものではないが、フルフラール、2-(ヒドロキシアセチル)フラン、及び2-(アセトキシアセチル)フランが挙げられる。好ましい実施形態では、脱水生成物は、FDCA形成フラン類がHMF及び/又はそのエステル若しくはエーテル誘導体のうちの1つ以上を含み得るように含むことができる。酢酸触媒と溶媒とを用いて脱水が行われる場合、FDCA形成フラン類は、HMF、5-(アセトキシメチル)フルフラール、及びHMF二量体を含み得る。以降でより完全に説明される一実施形態では、脱水は、酢酸に加えて臭化水素酸を利用し、後続のMid-Century型の酸化ステップと統合され、その結果、安定化共供給流も後続の酸化ステップに供給されることを除いて米国特許第10,538,499号と一致する後続の酸化ステップに脱水生成物が直接供給される。本明細書全体を通して使用されるHMFのエステル誘導体とは、例えば5-(アセトキシメチル)フルフラールを得るための酢酸とHMFのヒドロキシル基との縮合などの、縮合反応によるカルボン酸を用いたHMFのヒドロキシル基のエステル化により得られる化合物であると理解すべきである。本明細書全体を通して使用されるHMFのエーテル誘導体とは、例えば5-(メトキシメチル)フルフラールを得るためのメチル化条件下におけるHMFのヒドロキシル基のエーテル化などの、HMFのヒドロキシル基のエーテル化により得られる化合物であると理解すべきである。
【0042】
酸化供給流が脱水生成物、例えばFDCA形成フラン類を含む生成物を含むプロセスによれば、少なくとも2つの処理ステップ、すなわち(i)六炭糖単位を有する炭水化物を脱水して、FDCA形成フラン類を含む脱水生成物を得るステップ、及び(ii)更にパラキシレンを含む酸化供給流中で脱水生成物を酸化して、TPAと共にFDCAを得るステップが行われ得る。このようなステップは、上述した通りに統合されてもよく、両方のステップで同じ酢酸(又は酢酸と水)溶媒を使用することを含み得る利点が得られる。更に、脱水ステップの追加の酸触媒として使用するための臭化水素酸の適合性に加えて、共通の溶媒の使用は、Mid-Century酸化ステップのための酢酸と任意選択的な臭素源の少なくとも一部(典型的には臭化水素酸の形態)を、酸化ステップから脱水ステップに戻してリサイクル(及び好ましくは実質的に完全にリサイクル)できるという、追加の利点を提供する。これにより、六炭糖単位を有する炭水化物をFDCAに変換することに関連する資本及び運転コストが大幅に削減される。更に、統合されたプロセスは、そのような酸化、例えばTPAを製造するためのp-キシレンの酸化に使用される既存の装置を組み込み改造することによって製造するのに適している。
【0043】
酸化ステップは、上述した反応安定化効果を付与する、又は付与するために利用可能なパラキシレンなどの共供給流を添加することによって行うことができ、後者のシナリオは、脱水生成物が酸化ステップに直接供給されず、且つ任意の介在する追加の処理がない場合に想定されており、そのような介在する処理は、例えば脱水生成物からフミン質を全体として除去するための精製若しくは浄化の形式であるか、共供給流の反応安定化効果によって対処される、中のフミン質の少なくとも同じ種の悪影響を軽減するか少なくとも部分的に軽減するための脱水生成物中のフミン質のある種の前処理の形態である。
【0044】
有益なことに、この反応安定化効果は、比較的少量の共供給流で実現することができ(適切であり望まれる場合には、FDCAと第2のモノマー(TPAなど)の両方を含む混合モノマー組成物中の製造業者の望みの製品混合物を考慮)、これは幸運なことに第2モノマーの供給源としても機能する。いくつかの実施形態では、反応安定化効果は、酸化されるFDCA形成フラン類のモル数を基準として(例えば、HMF、5-(アセトキシメチル)フルフラール、及びHMF二量体の総モル数を基準として)50mol%未満に相当する量で共供給流を添加(例えば酸化反応器にバッチ式で又は連続的に)することで実現することができる。例えば、共供給流は、FDCA形成フラン類の45mol%未満(例えば5mol%~45mol%)に相当する化学量論量未満(モル濃度未満)の量で添加され得る。別の実施形態では、共供給流(例えばパラキシレン)は、FDCA形成フラン類の80mol%未満(例えば10mol%~80mol%、又は30mol%~60mol%)に相当する化学量論量未満の量で添加され得る。
【0045】
しかしながら、既に上述したように、更に別の実施形態では、例えば、第1のモノマーに対してより大きな割合で第2のモノマーを製造するためのみならず、第1のモノマーの製造のための反応安定化効果を得るために、化学量論当量(モル当量)の量、又は化学量論量過剰(モル濃度過剰)の量などのより多量の共供給流を望ましくは添加することができ、本発明のプロセスはこのシナリオにも対応する運転上の柔軟性を有する。
【0046】
例えば、共供給流は、FDCA形成フラン類の85mol%超(例えば85mol%~200mol%)、90mol%超(例えば90mol%~150mol%)、又は100mol%超(例えば100mol%~125mol%)に相当する量で添加され得る。化学量論量過剰の共供給流が添加される特定の実施形態によれば、これは、FDCA形成フラン類の125mol%超(例えば125mol%~1000mol%)、150mol%超(例えば150mol%~500mol%)、又は200mol%超(例えば200mol%~400mol%又は300mol%~400mol%)に相当する量で添加され得る。
【0047】
モル関係ではなく質量で表すと、(i)1種以上の炭水化物の脱水生成物(例えば6炭糖単位を有する)と(ii)第2のモノマー形成共供給流(例えばパラキシレン)とを含む酸化供給流の特定の実施形態では、後者は、(i)と(ii)の合計量の少なくとも1重量%を占めることができる。例えば、共供給流は、(i)と(ii)の合計量の1重量%~75重量%、2重量%~45重量%、又は5重量%~35重量%に相当する量であってよい。
【0048】
第1及び第2のモノマー(例えばFDCA及びTPA)を含む混合モノマー組成物を得るために、酸化触媒と反応物である酸素とが入っている酸化反応器に(i)FDCA形成フラン類及び(ii)パラキシレンを共供給する場合、これらの供給流(i)及び(ii)は、同じ酸化反応器への別個の流れ(例えば別々の位置での流入)として供給されてもよい。例えば別個の流れにより、酸化反応器内のより望ましい温度プロファイルを可能にすることができ、或いは発熱性の熱放出を配置又は操作することなどにより、この温度プロファイルの制御を改善することができる。或いは、FDCA形成フラン類を含む脱水反応器の流出液とパラキシレンの流れとを組み合わせる場合のように、供給流(i)及び(ii)が酸化反応器への組み合わされた供給流として供給されてもよい。更に別の実施形態では、プロセス効率及びプロセス制御に関する目的に応じて、供給流(i)及び(ii)の一部を酸化反応器の上流で組み合わせることができる及び/又は酸化反応器に別個の流れとして添加することができる。上述したように、共供給は、統合された形式で、又は統合されていない形式で、共供給の前に、1種以上の炭水化物を脱水してFDCA形成フラン類を得る追加のステップと更に組み合わせることができる。この脱水は、溶媒として低級カルボン酸(例えば酢酸)又は低級アルコール(例えばメタノール又はエタノール)を含む溶液中にある1種以上の炭水化物(例えばヘキソース糖から選択される)を用いて行うことができる。
【0049】
上述したように、本発明の特定の実施形態は、第2のモノマー形成共供給流の使用から生じる、処理オプション、及び全体的な処理の柔軟性に関する。特定の選択肢は、構成する2種のモノマー、又は混合モノマー組成物を製造するための脱水ステップ及び酸化ステップの下流の処理ステップに関する。脱水ステップ及び酸化ステップは、問題のあるフミン質種の除去又は変性、色の安定化、エステル化(又はより一般的には何等かの他の方法での誘導体化)、分離、及びポリマー形成の追加の任意選択的なステップと共に、以下に詳しく説明されており、これらのステップは、図に示されている具体的な順序及び構成を更に参照しながら、様々な順序で記載されている様々な構成に従って行うことができる。
【0050】
本開示の知識を有する当業者であれば、任意選択的に更にステップを伴うこれらの追加のステップを有する他のプロセスを容易に考えるであろう。しかしながらそれらの他のプロセスは依然として本発明の範囲内にある。
【0051】
FDCA形成フラン類製造のための炭水化物の脱水
代表的なプロセスは、酸化ステップの前に、上述したFDCA形成フラン類を製造するための脱水ステップを含み、その全部又は一部がこの酸化ステップにおいて(例えば酸化供給流の成分として、又は共供給のための流れとして)使用される。脱水ステップは、FDCA形成フラン類を回収し、間欠的に酸化ステップに移送するバッチ式で行われてもよいが、好ましくは、脱水ステップは、連続移送で連続的に行われる。したがって、いずれにせよ、プロセスの上流のステップは、上述したように、六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物を含む脱水供給流を脱水することを含み得る。この脱水供給流(例えばフルクトース水溶液)は、5重量%~50重量%、例えば10重量%~30重量%の乾燥固形分濃度を有することができ、及び/又は少なくとも90重量%の純度を有するフルクトース(例えば97重量%のフルクトース)などの六炭糖の精製された原料から調製することができる。脱水は、臭素源とFDCA形成フラン類の溶媒との存在下で行うことができ、高温で、HMF及び/又はその誘導体などのFDCA形成フラン類を含む酸化供給流を生成するのに十分な時間、行うことができる。溶媒に応じて、誘導体は、エステル誘導体、エーテル誘導体、及び/又はHMF二量体を含み得る。脱水ステップで形成された生成物(脱水生成物)の一部又は全部を成分として含む酸化供給流は、通常溶媒の少なくとも一部も含むことになる。すなわち、脱水ステップで使用される酢酸と水との混合物などの溶媒の全部又は一部は、このステップで生成する水の全部又は一部に加えて、酸化ステップに送ることができる。或いは、溶媒は、メタノール、エタノール、若しくは高級アルコールなどのアルコール、又は場合によっては環式又はヘテロ環式炭化水素化合物(例えばジオキサン)を含み得る。溶媒は、好ましくは、本明細書に記載の混合モノマー組成物又は共生成物に加えて、脱水ステップに戻る溶媒リサイクル流を供給するために、酸化ステップの後に分離される。溶媒リサイクル流は、脱水生成物中のFDCA形成フラン類の合計量が、脱水ステップを通過する際に新たに生成される部分(すなわち、「通過ごとの変換」に基づく)と下流の酸化ステップから戻ってリサイクルされた部分とを含むことができるように、FDCA形成性フラン類を含むことができる。
【0052】
特定の有利な実施形態では、脱水ステップで使用される溶媒は、パラキシレンなどの共供給流の全部又は一部であってもよく、或いはこれを含んでいてもよい。そのような実施形態によれば、下流の酸化ステップに添加される共供給流の全部又は一部が、FDCA形成フラン類と一緒に脱水生成物中に存在し得る。共供給流の一部が存在する場合、第2の部分は酸化ステップ(例えば酸化反応器)に直接添加することができる一方で、共供給流の新たに作られた部分は脱水ステップ(例えば脱水反応器)に直接添加することができ、或いは酸化ステップ(例えば酸化反応器)の流出流から分離されて脱水ステップ(例えば脱水反応器)へ戻される溶媒リサイクルに添加することができる。したがって、脱水生成物中に存在する共供給流の部分は、新たに作られた部分と溶媒リサイクル中に存在する量(例えば定常運転時)とを合わせた量を表すことができる。共供給流の少なくとも一部が溶媒として使用するために脱水ステップに添加される場合、第2のモノマーを形成するための酸化を受けない、又は全く酸化を受けない従来の溶媒又はその成分(例えば酢酸)の使用に関連する全体の材料の要件及び費用が、有利なことに削減されるか、更には完全になくされる。脱水ステップに添加される共供給流がFDCA形成フラン類の有効な溶媒として機能し、且つ酸化ステップの流出液で得られる混合モノマー組成物の第2のモノマーに酸化されるようになる程度に、多くの運転上の利点が生じることを本開示の知識を有する当業者は理解するであろう。例えば、溶媒のリサイクル作業とそれに伴う費用を削減することができ、更には完全になくすことができる。加えて、酸化ステップの生産性は、例えば酸化反応器の単位容積あたりの1種以上のモノマー(例えばFDCAとTPAの両方のうちの1つ)のモル生成速度に基づいて、大幅に増加させることができる。
【0053】
脱水ステップで使用される臭素源は、反応混合物中に臭化物イオン又はラジカルを供給する任意の化合物とすることができる。代表的な臭素源としては、臭化水素、臭化水素酸、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭素分子、臭化ベンジル、及びテトラブロモエタンが挙げられる。臭化水素が使用される場合、この化合物は、脱水供給流及び溶媒の存在下で、解離して臭化水素酸を形成すると、脱水ステップにおいて酸触媒として機能することができる。特定の別の実施形態では、1-アルキルピリジウムブロミド及び1,3-ジアルキルイミダゾリウムブロミドなどの臭素源が、酢酸と水とを含む溶媒の存在下で促進剤として有用な場合がある。
【0054】
したがって、脱水ステップは脱水生成物を供給し、その一部又は全部は、第2のモノマーを形成するために使用される、本明細書に記載の安定化された共供給流と共に後続の酸化ステップの成分として使用することができる。脱水のための具体的な方法は、例えば米国特許第10,538,499号に記載されており、この中では臭化水素酸と酢酸の両方が、特にフルクトースの脱水のために存在し、その後、これらは後続のMid-Century酸化ステップで使用するために供給される。
【0055】
脱水生成物からのフミン質の除去
上述したように、脱水ステップにより、FDCA形成フラン類を含む脱水生成物中に、副生成物としてフミン質が形成される場合がある。フミン質は、糖の脱水により生じる、高度に着色された、通常は茶色から黒色のアモルファス又は非結晶性のポリマーを指す。脱水生成物中のフミン質の濃度は、少なくとも一部には脱水ステップで使用される条件、特に反応の厳しさに依存するため、この濃度はパスごとの変換率と相関する可能性がある。
【0056】
フミン質が通常下流の酸化ステップに有害であり、またバイオベースポリマーの最終製品を着色させる能力に関して望ましくないとみなされている限り、代表的なプロセスは、酸化ステップの前に、脱水生成物からフミン質の少なくとも一部を分離するステップ(例えば脱水生成物に対してフミン質濃度が減らされた酸化供給流を得るため)を更に含むことができる。しかしながら、上述したように、脱水生成物と共にパラキシレン又は他の第2のモノマー形成共供給流を使用することの反応安定化効果は、酸化ステップの上流でのフミン質除去の必要性を低減するか、更にはなくすことができる。したがって、いくつかの実施形態によれば、脱水生成物は、酸化ステップの前にフミン質を除去するために処理されない。例えば、特定の実施形態では、脱水ステップで得られるFDCA形成フラン類のフミン質含有量は、脱水生成物をパラキシレンと共に酸化反応器に共供給する前に、脱水生成物からフミン質の少なくとも一部を分離する濾過又は他の適切な手段によって減らされない。しかしながら、別の実施形態によれば、精製されたHMF及び/又は他のFDCA形成フラン類を含み、且つフミン質が濃縮された脱水生成物の汚染された部分の除去(例えば限外濾過による)の後に得られる、本明細書に記載の脱水生成物の精製された部分は、それにもかかわらず、酸化条件下で生じる反応の不安定性を改善するという点で、更には十分に活用されていないパラキシレン酸化能力を利用する組み込み改造シナリオを可能にするという点で、共供給流(例えばパラキシレン)の添加から利益を得ることができる。
【0057】
特定の実施形態によれば、代表的なプロセスは、酸化ステップの前(上流)に、(例えば酸化供給流を供給するために)脱水生成物中のフミン質の少なくとも一部を除去することを含む。フミン質の除去が望まれる場合、フミン質の水への一般的な不溶性を利用して、限外濾過(UF)膜を使用するなどして脱水生成物を濾過することができる。バイオベースポリマーの合成全体における脱水生成物から、又は他の中間生成物からフミン質を除去するための他の方法には、蒸留及び昇華が含まれる。フミン質除去のための具体的な方法は、例えば米国特許第10,457,657号に記載されている。
【0058】
コモノマーを含む共生成物を製造するための酸化供給流の酸化
代表的な方法は、酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と接触させて、本明細書に記載の混合モノマー組成物又は共生成物を得ることを含み、これは、FDCAと、酸化供給流の第2の成分としてのパラキシレンなどの共供給流の使用から形成される第2のモノマーとを含み得る。酸化供給流の第1の成分として、脱水生成物(例えばFDCA形成フラン類を含む)の全部又は一部、例えば上述したフミン質の除去後に得られる部分を使用することができる。酸化供給流は、脱水供給流及び/又は少なくとも1種の臭素含有種を調製するために使用される溶媒の全部又は一部を更に含み得る。酸素は、原料として、空気、精製酸素、又は他の酸素含有供給流を使用して得ることができる。酸化ステップは、バッチ式で行うことができるものの、好ましくは連続的に行われ、少なくとも脱水生成物(又はその一部)、共供給流、及び酸素含有供給流、及び任意選択的な触媒が酸化反応器に連続的に供給され、混合モノマー組成物がこの反応器から連続的に抜き出される。
【0059】
特定の方法は、FDCA及び/又はその誘導体と、共供給の酸化により形成された第2のモノマー(例えばパラキシレンの酸化により形成されたTPA)と、溶媒と、残留触媒とを含む酸化生成物としての混合モノマー組成物を生成するのに十分な時間、高温で上述した酸化供給流を金属含有触媒及び酸素含有供給流と接触させることを含み得る。酸化供給流中の少なくとも1種の臭素含有種は、酸化ステップに必要な臭素の一部又は実質的に全部を供給することができる。代表的な臭素含有種としては、HBrなどの無機臭化物;臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化コバルト、及び臭化マンガンなどの金属臭化物;並びに5-(ブロモメチル)フルフラール及びその誘導体、並びに臭化フランオリゴマーなどの有機臭化物が挙げられる。脱水ステップで生じる酸化供給流中の臭素含有種によって供給される臭素成分を補うために、必要に応じて臭素源が酸化ステップに導入されてもよい(例えば酸化反応器に供給)。
【0060】
均一系(液相)酸化触媒の場合、特に金属含有触媒は、酸化供給流中のHMF及び/又は他のFDCA形成フラン類(例えばHMFエステル及び/又はHMFエーテル)を(脱水ステップで使用する溶媒に応じて)FDCA及び/又はその誘導体に変換するのに効果的な場合がある。代表的な金属含有触媒は、任意選択的にZr又はCeと組み合わされたCoとMnのいずれか又は両方などの、1種以上の遷移金属を含み得る。金属含有触媒は、上述した臭素含有種中に存在する臭素と反応して、系内で金属臭化物を形成することができる。特定の実施形態によれば、金属触媒は、1種以上の遷移金属の濃度が、独立して、10重量ppm~8,000重量ppm又は50重量ppm~5,000重量ppmなどの5重量ppm~10,000重量ppmの範囲になるように、酸化反応器に含まれる反応混合物中に存在することができる。例えば、Coは、10重量ppm~10,000重量ppm、10重量ppm~8,000重量ppm、59重量ppm~5,900重量ppm、又は2,000重量ppm~4,000重量ppmの濃度で反応混合物中に存在し得る。Mnは、5重量ppm~10,000重量ppm、5重量ppm~8,000重量ppm、55重量ppm~5,500重量ppm、又は200~1,000重量ppmの濃度で反応混合物中に存在し得る。臭素含有種及び/又は臭素源由来の臭素は、0.1重量ppm~20,000重量ppm、200重量ppm~20,000重量ppm、10重量ppm~10,000重量ppm、又は1,000重量ppm~2,000重量ppmで反応混合物中に存在し得る。
【0061】
酸化条件、又は酸化反応器内で維持される条件は、170℃~190℃などの120℃~250℃の温度、及び0.02bar~100bar、0.02bar~21bar、0.2bar~100bar、又は0.2bar~21barの酸素分圧を含み得る。酸化反応器内の全圧(絶対圧)は、5bar~100bar又は10bar~20barなどの1bar~200barとすることができる。酸化供給流中のFDCA形成フラン類を基準としたFDCAのモル収率、又は酸化供給流中のパラキシレンを基準としたTPAのモル収率などの、酸化ステップからのモノマーのモル収率は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%とすることができる。酸化ステップの後、FDCA及び/又はTPAなどの得られるモノマーは、さらなる精製のために、溶媒を含む酸化反応混合物から分離することができる。その後、これらのモノマーが分離された溶媒の少なくとも一部を、未変換のFDCA形成フラン類の少なくとも一部と一緒に、脱水反応器に戻してリサイクルすることができる。特定の実施形態によれば、FDCAとTPAの両方が穏やかな条件下で酢酸又は酢酸と水との混合物にほぼ不溶性であるため、そのような実施形態におけるFDCA及び/又はTPAの分離は、それらの析出後の酸化反応混合物からの濾過及び/又は遠心分離によって容易に達成することができる。酸化のための具体的な方法は、例えば米国特許第10,538,499号に記載されている。
【0062】
任意選択的な誘導体化(例えばエステル化)前又は後の混合モノマー組成物又は分離されたフラクションの色安定化
通常、2つのモノマーを含む混合モノマー組成物を形成するために使用される酸化ステップは、ある程度着色副生成物を生成する場合もあり、これは、分子量の増加をもたらす酸性条件下でのアルドール縮合反応などによる初期の色の存在(望まれる無色の外観を妨げる)及び/又は経時的な着色物質の形成に寄与する。具体的な着色副生成物は、これらのモノマーのアルデヒド誘導体である。例えばFDCAとTPAとを含む混合モノマー組成物又は共生成物の場合、この組成物は、独立した量で、通常0.1重量%~15重量%、典型的には0.3重量%~10重量%、多くの場合1重量%~3重量%の、(i)FDCAの不完全な酸化により生じる5-ホルミル-2-フランカルボン酸(FFCA)及び/又は(ii)TPAの不完全な酸化により生じる4-カルボキシベンズアルデヒド(4-CBA)を更に含み得る。それぞれFDCA及びTPAのアルデヒド誘導体であるこれらの副生成物は、中間生成物と最終生成物の両方における着色傾向の点で有害である。同様に、FDCA(FDCA濃縮フラクションの場合)又はTPA(TPA濃縮フラクションの場合)のいずれかなどの特定のモノマーが濃縮された分離されたフラクションの場合、そのようなフラクションは、FFCA及び/又は4-CBAなどのそれらが濃縮されたモノマーのアルデヒド誘導体を上で示した範囲内の独立した量で含み得る。
【0063】
更に、いくつかの実施形態によれば、酸化ステップからの混合モノマー組成物及び/又は第1のモノマー又は第2のモノマーのいずれかが濃縮された混合モノマー組成物の分離されたフラクションは、望ましくない色の発生をもたらすアルドール縮合反応へのこれらの関与を防止するために計算された追加の誘導体化ステップ、例えばエステル化ステップを経ることができる。それにもかかわらず、2,5-フランジカルボン酸と、FDCAの主要エステル誘導体としてのジメチルエステル(FDME)と、TPAの主要エステル誘導体としてのテレフタル酸ジメチル(DMT)とを含むエステル化された混合モノマー組成物(又はエステル化共生成物)の場合、この組成物は、独立した量で、通常0.1重量%~15重量%、典型的には0.3重量%~10重量%、多くの場合には1重量%~3重量%の、(i)FFCAのエステル化により得られる5-ホルミル-2-フランカルボン酸メチルエステル(FFME)及び(ii)4-CBAのエステル化により得られる4-カルボキシベンズアルデヒドメチルエステル(4-CME)を更に含み得る。これらの副生成物、すなわちそれぞれFDCAとTPAのアルデヒド-エステル誘導体も、残念なことに、エステル化されていない対応する化合物と同様に、中間生成物と最終生成物の両方における着色傾向の点で有害である。同様に、FDME(FDME濃縮フラクションの場合)又はDMT(DMT濃縮フラクションの場合)のいずれかなど、特定のエステル誘導体モノマーが濃縮された分離されたフラクションの場合、そのようなフラクションも、それにもかかわらず、FFME及び4-CMEなどの、それらが濃縮されるモノマーのアルデヒド-エステル誘導体を、上記範囲内の独立した量で含み得る。
【0064】
上の説明を考慮すると、代表的なプロセスは、脱水ステップからポリマー形成ステップまでのステップから得られる生成物を形成することを含み、これらの生成物には、混合モノマー組成物;エステル化された混合モノマー組成物;所定のモノマーが濃縮された分離フラクション;又はそのようなモノマーのエステル誘導体が濃縮されたエステル化された分離フラクション;のうちの1つ以上が含まれ得る。そのような生成物のいずれも、例えばエステル化された混合モノマー組成物中の存在、又はFFME及び4-CMEのエステル化された分離されたモノマー濃縮フラクション中の存在、又はFFCA及び4-CBAなどのアルデヒドの未誘導体化混合モノマー組成物若しくは分離されたモノマー濃縮フラクション中の存在、を考慮して、追加の色安定化ステップを受けることができ、これによれば、例えば1種以上の着色性のアルデヒドの含有量を減少させるために、及び/又はそのような生成物の色を減少させるか着色しにくくするために、生成物は色安定化媒体と接触する。
【0065】
一実施形態によれば、色安定化ステップは、(i)2種のモノマーを含む混合モノマー組成物、又は(ii)(酸化ステップからの混合モノマー組成物に対して)所定のモノマーが濃縮されていてもよいその分離フラクション、(iii)2種のモノマーの2種のエステル誘導体を含むエステル化された混合モノマー組成物、又は(iv)(エステル化された混合モノマー組成物に対して)モノマーの所定のエステル誘導体が濃縮されていてもよいその分離フラクションを、色安定化媒体としての水素と接触させて、上述した特定のアルデヒド副生成物のいずれかを含む着色性アルデヒド副生成物を選択的に水素化することを含む。着色性アルデヒド副生成物は、適切な水素化条件下で選択的に水素化され、それによってそれらのアルデヒド基がヒドロキシアルキル基に変換されることで、これらの副生成物の対応するヒドロキシアルキル誘導体を生成することができる。アルデヒド基がホルミル基であるFDCAのアルデヒド誘導体又はFDCAのエステル誘導体である副生成物の場合、そのような副生成物は、そのヒドロキシメチル誘導体へと選択的に水素化され得る。例えばFFCA(FDCAのアルデヒド誘導体)の場合、この副生成物は、そのヒドロキシメチル誘導体である5-ヒドロキシメチル-2-フランカルボン酸(HMFCA)へと選択的に水素化され得る。FFME(FDCAのエステル誘導体であるFDMEのアルデヒド誘導体)の場合、この副生成物は、そのヒドロキシメチル誘導体である5-ヒドロキシメチル-2-フランカルボン酸メチルエステル(HMFME)へと選択的に水素化され得る。4-CBA(TPAのアルデヒド誘導体)の場合、この副生成物は、そのヒドロキシメチル誘導体である4-ヒドロキシメチル安息香酸(4-HMBA)へと選択的に水素化され得る。4-CME(TPAのエステル誘導体であるDMTのアルデヒド誘導体)の場合、この副生成物は、そのヒドロキシメチル誘導体である(4-ヒドロキシメチル)安息香酸メチル(4-HMMB)へと選択的に水素化され得る。
【0066】
本明細書に記載の所定の混合モノマー組成物、分離フラクション、又はエステル化された混合モノマー組成物若しくは分離フラクションを水素と接触させることを含む色安定化ステップにおいて、接触は、典型的には固体形態であり少なくとも1種の貴金属を含む水素化触媒の存在下で行われ、対応する安定化された組成物(安定化された混合モノマー組成物)若しくは分離フラクション、又は安定化されエステル化された組成物(安定化されエステル化された混合モノマー組成物)若しくは分離フラクションを生成することができる。有利には対応するモノマー又はエステル誘導体モノマーのフラン環又はベンゼン環を実質的に水素化せずに本明細書に記載のアルデヒド副生成物を選択的に水素化することができる特定の水素化触媒は、促進剤金属であるSnと共に貴金属Pt及びRuを含む。アルデヒド副生成物の還元のための他の可能な方法は、国際出願PCT/US2018/041694号(国際公開第2019/014382号として公開)に記載されている。
【0067】
一実施形態によれば、色安定化ステップは、(i)2種のモノマーを含む混合モノマー組成物、又は(ii)(混合モノマー組成物に対して)所定のモノマーが濃縮されていてもよいその分離フラクション、(iii)2種のモノマーの2種のエステル誘導体を含むエステル化された混合モノマー組成物、又は(iv)(エステル化された混合モノマー組成物に対して)モノマーの所定のエステル誘導体が濃縮されていてもよいその分離フラクションを、色安定化媒体としての色安定化添加剤化合物と接触させすることを含む。色安定化添加剤化合物は、モノマーの合成と、本明細書に記載のバイオベースポリマーの製造におけるその使用との間の期間(例えば長期保存期間)中の着色の程度を有利に減少させることができる。したがって、色安定化添加剤化合物との「接触」により、1種以上の色安定化添加剤化合物を含む、本明細書に記載の混合モノマー組成物、分離フラクション、又はエステル化された混合モノマー組成物若しくは分離フラクションを得ることができる。代表的な組成物は、モノマー(例えばFDCAとTPAとの組み合わせ、又は一方若しくは他方が濃縮された分離フラクション)又はそれらのエステル誘導体(例えばFDMEとDMTとの組み合わせ、又は一方若しくは他方が濃縮された分離フラクション)と、1種以上の色安定化添加剤化合物とを含んでいてもよく、或いはこれらから構成されていてもよく、或いはこれらから本質的に構成されていてもよい。
【0068】
FDCA及びTPA、並びにFDME、DMT、並びに他のエステル誘導体は、室温で固体であるため、色安定化ステップは、例えば対象のモノマー又はエステル誘導体を溶融し、望まれる色安定化添加剤化合物を溶融物中に均一に分散し、任意選択的に得られた安定化組成物を(例えば積極的に冷却するか単に組成物を周囲条件に戻すことにより)固化することを含み得る。しかしながら、簡便には、望まれる色安定化添加剤化合物は、(a)混合モノマー組成物の合成のための酸化供給流、(b)ポリマー形成ステップで使用される、本明細書に記載の所定の混合モノマー組成物、分離フラクション、又はエステル化された混合モノマー組成物若しくは分離フラクションのうちのいずれかの流れに直接導入することができる、及び/又は(c)ポリマー形成ステップの反応混合物に、(i)エステル化又はエステル交換、及び(ii)重縮合による重合、などの任意のサブステップにおいて導入することができる。
【0069】
代表的な色安定化添加剤化合物としては置換フェノールが挙げられ、これは、少なくとも1つのフェノール部位を有するが、場合によっては2つ以上のフェノール部位を有する化合物を指し、そのような部位のベンゼン環は、ヒドロキシル置換基以外の少なくとも1つの置換基を有する。そのような置換基の具体的な例は、アルコキシ及びアルキル置換基であり、メトキシ及びtert-ブチル置換基が好ましい。したがって、置換フェノールの例としては、アルコキシ置換(例えばメトキシ置換)及びアルキル置換(例えばtert-ブチル置換)フェノールが挙げられ、これらは、すなわち、それぞれ1以上のアルコキシ(例えばメトキシ)及びアルキル(例えばtert-ブチル)置換基と共に、少なくとも1つのフェノール部位を有するが、場合によっては2つ以上のフェノール部位を有する化合物である。tert-ブチル置換フェノールの場合、これらの化合物は、これらの置換基の形状に起因する立体障害を考慮して、しばしば「ヒンダードフェノール」と呼ばれる。
【0070】
置換フェノールとしては、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA);2,6-ジメトキシフェノール(DMP);2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール(DTMP);ペンタエリスリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート(PETC);2-tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ);エチレンビス(オキシエチレン)ビス-(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)-プロピオネート);及びオクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネートが挙げられる。これらの化合物のうち、(i)BHA、DMP、及びDTMPはメトキシ置換フェノールであり、(ii)DTMP、PETC、TBHQ、エチレンビス(オキシエチレン)ビス-(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)-プロピオン酸);及びオクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネートはtert-ブチル置換フェノールである。他の色安定化添加剤化合物としては、フェニル置換アミン(例えば4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(XDPA))、ホスファイト(例えばトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)、及び抗酸化ビタミン(例えばアスコルビン酸)が挙げられる。化合物PETCは、Irganox(登録商標)1010(BASF)又はDovernox(登録商標)10(Dover Chemical Corp.)として市販されており;化合物エチレンビス(オキシエチレン)ビス-(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)-プロピオネート)は、Irganox(登録商標)245(BASF)として市販されており;化合物トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトは、Irgafos(登録商標)168(BASF)として市販されており;化合物オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネートは、Irganox(登録商標)1076(BASF)又はDovernox(登録商標)76(Dover Chemical Corp.)として市販されている。
【0071】
色安定化ステップは、色安定化媒体として、色安定化添加剤化合物の組み合わせの使用を含むことができ、これには、1種以上のtert-ブチル置換フェノールと1種以上のホスファイトとの組み合わせなどの、上述した化合物及び/又は化合物の分類の任意の組み合わせが含まれる。例えば、50重量%のPETCと50重量%のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトとの組み合わせは、Irganox(登録商標)B255(BASF)として市販されている。20重量%のオクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネートと80重量%のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトとの組み合わせは、Irganox(登録商標)B900(BASF)として市販されている。50重量%のPETCと50重量%のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトとの組み合わせは、Irganox(登録商標)B225(BASF)として市販されている。
【0072】
1種以上の色安定化添加剤化合物は、(i)2種のモノマーを含む混合モノマー組成物、又は(ii)(混合モノマー組成物に対して)所定のモノマーが濃縮されていてもよいその分離フラクション、(iii)2種のモノマーの2種のエステル誘導体を含むエステル化された混合モノマー組成物、(iv)(エステル化された混合モノマー組成物に対して)モノマーの所定のエステル誘導体が濃縮されていてもよいその分離フラクション、又は(v)本明細書に記載のバイオベースポリマーなどの製品中に存在し得る。そのようなバイオベースポリマーは、フランジカルボキシレート部位とテレフタレート部位の両方を有していてもよく、或いは、全て若しくは実質的に全てのフランジカルボキシレート部位、又は全て若しくは実質的に全てのテレフタレート部位を有していてもよい。そのような製品のいずれにおいても、量、又は組み合わせの場合の合計量は、通常10重量ppm~1重量%、典型的には50重量ppm~2000重量ppm、多くの場合50重量ppm~1500重量ppmであってよい。好ましい実施形態によれば、添加剤BHAは、100重量ppm~500重量ppmの量で任意のそのような製品(例えばこれらのモノマーを安定化するためにFDCAとTPAの両方を含むもの)の中に存在することができ、或いは添加剤Irganox(登録商標)245は、800重量ppm~1200重量ppmの量で任意のそのような製品(例えばこれらのモノマーを安定化するためにFDCAとTPAの両方を含むもの)の中に存在することができる。これら及び他の色安定化添加剤化合物、並びにバイオベースポリマーを形成するためのプロセス流の色安定化におけるそれらの使用に関する別の態様は、国際公開第2019/246034号に記載されている。
【0073】
本明細書に記載のプロセスにおいて、色安定化及びエステル化のステップは任意選択的であり、所定の処理目的に応じて、いずれの順序で行うこともできる。したがって、本開示の目的のためには、及び図面を参照すると、本明細書に記載の2種のエステル誘導体モノマー(例えばFDMEとDMTの両方)を含む任意の「安定化されエステル化された」組成物(安定化されエステル化された混合モノマー組成物)又は所定のエステル誘導体モノマー(例えばFDME又はDMT)が濃縮された任意の「安定化されエステル化された」フラクションは、(i)色安定化ステップが省略される場合には、2種のエステル誘導体モノマー(例えばFDMEとDMTの両方)を含む「エステル化」混合モノマー組成物、若しくは所定のエステル誘導体モノマー(例えばFDME又はDMT)が濃縮された「エステル化された」フラクション、又は(ii)エステル化ステップが省略される場合には、2種のモノマー(例えばFDCAとTPAの両方)を含む「安定化された」混合モノマー組成物、若しくは所定のモノマー(例えばFDCA又はTPA)が濃縮された「安定化された」フラクションと等価的であってよいことが理解されるべきである。本開示の目的のためには、及び図面を参照すると、2種のエステル誘導体モノマー(例えばFDMEとDMTの両方)を含む「安定化されエステル化された」組成物(安定化されエステル化された混合モノマー組成物)又は所定のエステル誘導体モノマー(例えばFDME又はDMT)が濃縮された「安定化されエステル化された」フラクションの形成は、最初に色を安定化してからエステル化するか、又は最初にエステル化してから色を安定化するか、又は両方のステップを同時に行うことで達成できる(例えばエステル化反応混合物を本明細書に記載の色安定化媒体と接触させることによる)ことも理解されるべきである。
【0074】
エステル誘導体を形成するためにFDCAやTPAなどのモノマーをエステル化するステップは、これらのモノマーを、アルコール、例えばジメチルエステルが望まれる場合はメタノール、又はジエチルエステルが望まれる場合はエタノール、或いは場合によってはジフェニルエステルが望まれる場合はフェノールなどのエステル化剤と反応させることを含む。FDCA及び/又はTPA又は他のモノマーと適切なアルコール又はフェノールとの反応は、適切なエステル化条件下、高沸点溶媒(例えばジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、スルホラン、FDME、γ-ブチロラクトン、イソソルビド若しくはそのジメチルエーテル、炭酸プロピレン、アジピン酸、イソホロン、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、aromatic 200液、ブチルフェニルエーテル、メチルヘプチルケトン、エチルフェニルケトン、2’-ヒドロキシアセトフェノン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレンなど)を含むエステル化反応混合物中で行うことができる。これらには、30℃(86°F)~350℃(662°F)の温度、及び大気圧から3.5メガパスカル(MPa)の圧力が含まれる場合があり、エステル化反応は、FDME、DMT、又は他のエステル誘導体の分離のための蒸留(反応蒸留プロセスによる)と一緒に行われてもよい。
【0075】
好ましい実施形態では、(i)2種のモノマーを含む混合モノマー組成物(又は安定化された混合モノマー組成物)、又は(ii)(混合モノマー組成物に対して)所定のモノマーが濃縮されていてもよいその分離フラクション(又は安定化され分離されたそのフラクション)のエステル化ステップは、そのような混合モノマー組成物又はその分離フラクションをエステル化剤としてのメタノールと反応させることを含む。例えば、酸化ステップから得られたFDCAとTPAの両方を含む混合モノマー組成物(又は安定化された混合モノマー組成物)の場合、そのような混合モノマー組成物(又は安定化された混合モノマー組成物)のエステル化は、それをメタノールと反応させてFDMEとDMTとを含むエステル化された混合モノマー組成物(又は安定化されエステル化された混合モノマー組成物)を得ることを含み得る。特定の実施形態によれば、混合モノマー組成物又は安定化された組成物のエステル化は、エステル誘導体モノマー、例えばFDME及びDMTが、それらの親ジカルボン酸化合物と比較して低い沸点を有し、その相対的な揮発性のため蒸留によって分離しやすくなることから望ましい。本明細書に概略的に記載されている、及び/又は図に示されている実施形態に関して記載されているエステル化の任意のステップの場合、例えば本明細書に記載のポリマー形成ステップの前に、更に下流のステップを使用して、エステル化ステップから得られたエステル誘導体(例えばFDME及び/又はDMT)を親化合物であるカルボン酸(例えばFDCA及び/又はTPA)に変換して戻すことができる。
【0076】
色安定化、エステル化、及び/又は分離のステップに関して本明細書に記載されているプロセスの選択肢を考慮すると、酸化後の代表的な混合モノマー組成物は、着色副生成物として、FDCAのアルデヒド誘導体(例えばFFCA)及びTPAのアルデヒド誘導体(例えば4-CBA)を含む可能性があり、プロセスは、FDCAのアルデヒド誘導体とTPAのアルデヒド誘導体のうちの一方又は両方を選択的に水素化すること(例えば所定のプロセス流中のそれらの濃度を低減して、そのプロセス流から最終的に生成されるコポリマーの色及び/又は色安定性を改善する)を含み得ることを理解することができる。FDCAのアルデヒド誘導体とTPAのアルデヒド誘導体のうちの一方又は両方を選択的に水素化するこのステップは、混合モノマー組成物をFDCA濃縮フラクションとTPA濃縮フラクションとに分離した後に行うことができる。混合モノマー組成物がFDCAのアルデヒド誘導体とTPAのアルデヒド誘導体とを含む別の実施形態によれば、プロセスは、FDCAとTPAのうちの一方又は両方をエステル化するステップにおいて、さらなる着色副生成物として、FDCAのエステル誘導体のアルデヒド誘導体(例えばFFME)とTPAのエステル誘導体のアルデヒド誘導体(例えば4-CME)のうちの一方又は両方を生成することを更に含み得る。この場合の代表的なプロセスは、FDCAのエステル誘導体のアルデヒド誘導体とTPAのエステル誘導体のアルデヒド誘導体のうちの一方又は両方を選択的に水素化すること(例えば、所定のプロセス流中のそれらの濃度を低減させて、そのプロセス流から最終的に生成するコポリマーの色及び/又は色安定性を改善すること)を更に含み得る。FDCAとTPAの両方をエステル化する場合、これは、適切なエステル化触媒の存在下又は不存在下でエステル化剤と反応させることによって、混合モノマー組成物中でこれらの物質を同時にエステル化し、FDCAのエステル誘導体のアルデヒド誘導体とTPAのエステル誘導体のアルデヒド誘導体の両方を含むエステル化された混合モノマー組成物を得ることを含み得る。FDCAとTPAの両方をエステル化すること(例えば、混合モノマー組成物を、エステル化触媒の存在下又は不存在下で、混合モノマー組成物中のFDCA及びTPAのエステル化を実施するための対応するプロセス条件の下で、エステル化剤(アルコール)と混合することによる)は、エステル化された混合モノマー組成物をFDCAのエステル誘導体が濃縮された第1のフラクションとTPAのエステル誘導体が濃縮された第2のフラクションとに分離する上流で行うことができる。或いは、FDCAとTPAのうちの一方又は両方をエステル化する場合、これは、混合モノマー組成物をFDCAが濃縮されたフラクションとTPAが濃縮されたフラクションとに分離する下流で、エステル化剤との反応により、FDCAが濃縮されたフラクションとTPAが濃縮されたフラクションのうちの一方又は両方をエステル化することを含み得る。
【0077】
混合モノマー組成物/酸化生成物、又は分離されたモノマー濃縮フラクションからのポリマー形成
混合モノマーの酸化生成物(例えばFDCAとTPAの両方を含有)又はその分離フラクション(例えばフラクションが由来する混合モノマー酸化生成物に対して、FDCA又はTPAが濃縮されたフラクション)、又はエステル化された混合モノマー組成物(例えばFDMEとDMTの両方を含有)のいずれか又はその分離フラクション(例えばフラクションが由来するエステル化された混合モノマー酸化生成物に対して、FDME又はDMTが濃縮されたフラクション)のいずれも、任意選択的な色安定化ステップを経た後、ポリマーを形成するために使用することができる。混合モノマー酸化生成物から直接ポリマーを形成すると、FDCA関連部位(例えばフランジカルボキシレート部位)とTPA関連部位(例えばテレフタレート部位)の両方を有するコポリマーを得ることができる一方で、その分離フラクションからポリマーを形成すると、FDCA関連部位を有しTPA関連部位を実質的有さない(又は少なくとも少ない)コポリマーを得る(例えばp-キシレンが従来の石油ベースである、実質的にバイオベースのコポリマーを提供する)ことができ、或いはTPA関連部位を有しFDCA関連部位を実質的有さない(又は少なくとも少ない)コポリマーを得ることができる(これは、PETリサイクルのための確立されたインフラを考慮すると、及びユーザーを新しいポリマーに変更させることの難しさを考慮すると、一部の当業者に望ましいであろう)。通常、代表的なポリマー形成ステップは、ポリエステルの製造のために、(A)(i)本明細書に記載の混合モノマー組成物又はその分離フラクションをエステル化すること、又は(A)(ii)本明細書に記載のエステル化された混合モノマー組成物又はその分離フラクションをエステル交換すること、及び(B)重縮合により重合すること、を含み得る。
【0078】
代表的なポリエステルポリマー形成ステップは、本明細書に記載のモノマー及びエステル誘導体モノマー、特にモノマーFDCA及び/又はTPA並びにエステル誘導体モノマーFDME及び/又はDMTを、ジオールなどの適切なコモノマーと重合させることを含む。例えば、PEF(FDCA又はFDMEから)又はPET(TPA又はDMTから)を生成するためのコモノマーとして、エチレングリコールを使用することができる。コモノマーである1,3-プロパンジオールは、ポリ(トリメチレンフランジカルボキシレート)(PTF)(FDCA又はFDMEから)又はポリプロピレンテレフタレート(TPA又はDMTから)を生成するために使用することができる。
【0079】
特定の方法は、FDCA及び/又はTPAとコモノマーとの反応生成物などのエステル化された中間体、又はFDME及び/又はDMTとコモノマーとの反応生成物などのエステル交換された中間体であるプレポリマーを含む前駆体組成物を生成することを含み得る。プレポリマーは、エステル化された中間体であるかエステル交換された中間体であるかにかかわらず、(例えばTPAの末端カルボキシレート基又はFDME若しくはDMTの末端メチル基ではなく)末端アルコール基で官能化されており、そのためその後重縮合することで、本明細書に記載のコポリマー、特にポリ(アルキレンフランジカルボキシレート)ポリマー、ポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマー、又はアルキレンフランジカルボキシレート残基とアルキレンテレフタレート(又はアルキレンテレフタレート)残基の両方を含むコポリマーを得ることができる。同様に、前駆体組成物を製造するために使用されるモノマー組成物(例えばFDCAモノマー組成物中のFFCA、TPAモノマー組成物中の4-CBA、FDMEモノマー組成物中のFFME、又はDMTモノマー組成物中の4-CME)中に存在する、本明細書に記載のアルデヒド誘導体は、前駆体組成物の生成に用いられる条件下で、エステル化又はエステル交換される。それにもかかわらず、アルデヒド基が前駆体組成物中のそのような副生成物に保持されている限り、この組成物に対して本明細書に記載の色安定化ステップを行うことによって、すなわちいずれかが色安定化媒体として機能し得る水素又は色安定化添加化合物と接触させることによって、本明細書に記載の色安定化の利益を得ることができる。
【0080】
したがって、ポリエステルポリマー(例えばコポリエステル)を生成するためのプロセスは、中間体(プレポリマー)を生成するための第1のエステル化又はエステル交換ステップと、それに続く第2の重縮合ステップの両方を含み得る。第1のステップは、150℃(302°F)~250℃(482°F)の温度でエステル化/エステル交換触媒によって触媒されることができ、出発モノマー又はエステル誘導体モノマーの濃度が3mol%未満に減少するまで行うことができる。触媒は、出発モノマー又はエステル誘導体に対して、ポリマー形成反応混合物中に0.01mol%~0.2mol%の濃度で存在する有機スズ(IV)化合物を含み得る。その結果、本明細書に記載のプレポリマーは、2つのジオールモノマーと、得られるポリマーの骨格に最終的に存在するフランジカルボキシレート部位又はテレフタレート(ベンゼンカルボキシレート)部位のいずれかを有する1つのモノマーとの反応生成物であってよい。
【0081】
中間体(プレポリマー)を形成するために着目される他のジオールとしては、イソヘキシドの場合のように生物由来であってもよいFDCAなどが挙げられる。これらの化合物は、C及びC環位置のヒドロキシル基の配向のみが異なる二環式の剛直なジオールであり、ヘキシトールの環状脱水反応によって得ることができる。例えばマンニトールからイソマンニド(endo-endo)を、ソルビトールからイソソルビド(exo-endo)を、イジトールからイソイジド(exo-exo)を得ることができる。具体的なジオールに関わらず、形成される中間体(プレポリマー)は、任意選択的に、第1の反応ステップの反応混合物から単離することができるが、通常これは必須ではない。重縮合の第2のステップは、減圧下(例えば100パスカル(Pa)以下)、得られるコポリマーの融点からこの温度より30℃(54°F)の範囲の温度、好ましくは少なくとも180℃(356°F)の温度で触媒して行うことができる。重縮合触媒は、酸化スズ(II)や有機スズ(II)化合物などのスズ(II)化合物を含み得る。或いは、例えばプロポキシドやtert-ブトキシドなどのアルコキシドを含み得る様々な配位子を有する、チタンやキレート化チタン化合物などのチタン系触媒を使用することができる。したがって、代表的な触媒は、チタン(IV)プロポキシド及びチタン(IV)tert-ブトキシドである。
【0082】
上述したように、FDCA及び/又はTPAは、一緒に存在するか、又は所定のモノマーが濃縮された別個のフラクションに存在するかに関わらず、ポリエステルポリマー以外のポリマーの形成に使用することができる。例えば、ポリアミドポリマーは、FDCAとTPAのうちの一方又は両方を、別個に又は組み合わせて、少なくとも2つのアミノ基を有するコモノマー(例えばジアミン)と反応させて、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリアミドを製造する場合に形成することができる。適切なコモノマーとしては、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンや、パラフェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンが挙げられる。上でも説明されているように、FDCAの誘導体及び/又はTPAの誘導体は、一緒に存在するか、所定のモノマーが濃縮された別個のフラクションに存在するかにかかわらず、ポリエステルポリマーの形成に使用することができる。例えば、ポリエステルポリマーは、FDCAとTPAのうちの一方又は両方のヒドロキシル(アルコール)誘導体(例えばFDCAとTPAのうちの一方又は両方のジオール誘導体)をコモノマーとして、別々に又は組み合わせて、ポリ酸(例えばFDCA又はTPA)又はそのエステル誘導体と反応させて、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリエステルを製造する場合に形成することができる。FDCAのヒドロキシル誘導体である適切なコモノマーとしては、フラン2,5-ジオール及びフラン2,5-ジメタノールが挙げられ、TPAのヒドロキシル誘導体である適切なコモノマーとしては、ヒドロキノン及びベンゼン1,4-ジメタノールが挙げられる。
【0083】
更に上述したように、FDCAの誘導体及び/又はTPAの誘導体は、一緒に存在するか、又は所定のモノマーが濃縮された別個のフラクションに存在するかにかかわらず、ポリエステルポリマー以外のポリマーの形成に使用することができる。例えば、ポリウレタンポリマーは、FDCAとTPAのうちの一方又は両方のヒドロキシル(アルコール)誘導体(例えばFDCAとTPAのうちの一方又は両方のジオール誘導体)をコモノマーとして、別々に又は組み合わせて、ポリイソシアネートと反応させて、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリウレタンを製造する場合に形成することができる。FDCAのヒドロキシル誘導体である適切なコモノマーとしては、ポリエステルポリマーの形成に関して上述したものが挙げられる。適切なポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート、特にトルエンジイソシアネートやメチレンジフェニルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、及び高分子メチレンジイソシアネートが挙げられる。別の実施形態では、ポリアミドポリマーは、FDCAとTPAのうちの一方又は両方のアミノ誘導体(例えばFDCAとTPAのうちの一方又は両方のジアミノ誘導体)をコモノマーとして、別々に又は組み合わせて、ポリ酸(例えばFDCA又はTPA)と反応させて、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリアミドを製造する場合に形成することができる。FDCAのアミノ誘導体である適切なコモノマーとしては、フラン2,5-ジアミンや、フラン2,5-ジメタンアミンなどのフラン2,5-ジアルキルアミン挙げられ、TPAのアミノ誘導体である適切なコモノマーとしては、ベンゼン1,4-ジアミンや、ベンゼン1,4-ジメタンアミンなどのベンゼン1,4ジアルキルアミンが挙げられる。別の実施形態では、ポリアミドポリマーは、FDCAとTPAのうちの一方又は両方のアシル誘導体(例えばFDCAとTPAのうちの一方又は両方のジアシルクロリド誘導体)を、別個に又は組み合わせて、少なくとも2つのアミノ基を有するコモノマー(例えばジアミン)と反応させて、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリアミドを製造する場合に形成することができる。FDCAの適切なアシル誘導体としては、フラン2,5-ジホルミルクロリドや、フラン2,5-ジアセチルクロリドなどのフラン2,5-ジアルキルクロリドが挙げられ、TPAの適切なアシル誘導体としては、ベンゼン1,4-ジホルミルクロリドや、ベンゼン1,4-ジアセチルクロリドなどのベンゼン1,4ジアルキルクロリドが挙げられる。適切なコモノマーとしては、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、及びパラフェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンが挙げられる。別の実施形態では、ポリウレタンポリマーは、FDCAとTPAのうちの一方又は両方のイソシアネート誘導体(例えばFDCAとTPAのうちの一方又は両方のジイソシアネート誘導体)を、別々に又は組み合わせて、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー(例えばジオール)と反応させて、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリウレタンを製造する場合に形成することができる。FDCAの適切なイソシアネート誘導体としては、フラン2,5-ジイソシアネートや、フラン2,5-ジメタンイソシアネートなどのフラン2,5-ジアルキルイソシアネートが挙げられ、TPAの適切なイソシアネート誘導体としては、ベンゼン1,4-ジイソシアネートや、ベンゼン1,4-ジメタンイソシアネートなどのベンゼン1,4ジアルキルイソシアネートが挙げられる。適切なコモノマーとしては、最終的にポリエステルポリマーを製造するために使用される中間体(プレポリマー)を形成するための上述したものなどのジオールが挙げられる。更に別の実施形態では、ポリカーボネートポリマーは、FDCAとTPAのうちの一方又は両方のヒドロキシル(アルコール)誘導体(例えばFDCAとTPAのうちの一方又は両方のジオール誘導体)を、別個に又は組み合わせて、ホスゲンと反応させて、FDCA関連部位とTPA関連部位のうちの一方又は両方を有するポリカーボネートを製造する場合に形成することができる。FDCAの適切なヒドロキシル誘導体としては、ポリエステルポリマーの形成におけるコモノマーに関して上述したものが挙げられる。
【0084】
FDCAとTPAとを含む混合モノマー組成物を製造するための例示的な実施形態
図1に示されているプロセスは、上述したFDCAとTPAとを含む混合モノマー組成物を製造するためのステップを含み、これらには、脱水100、酸化200、任意選択的な色安定化50、任意選択的なエステル化55、及びポリマー形成300のステップが含まれる。この図によれば、六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物を含む脱水供給流10は、脱水生成物12を得るための脱水100を受けて、その全て又は一部は酸化供給流の成分として使用され得る。いくつかの実施形態では、酸化供給流の成分として、又は場合によっては全体として使用され得る脱水生成物12の精製部分12’を得るために、フミン質中(例えば濾過戻り液中)に濃縮されている部分11などの脱水生成物12の汚染部分が除去されてもよい。図示のプロセスは、脱水生成物12又はその精製部分12’を、酸素含有供給流16(例えば空気)中に導入されるような酸素の存在下で酸化触媒と接触させることを含み得る。一実施形態によれば、脱水生成物12又はその精製部分12’に加えて、酸化供給流の第2の成分は、パラキシレン含有供給流14である。(i)脱水生成物12又はその精製部分12’の酸化からのFDCAと、(ii)パラキシレンの酸化からのTPAとを含む混合モノマー組成物18は、酸化ステップ200(例えば酸化反応器)から抜き出される。混合モノマー組成物(又は酸化生成物)18の全て又は一部は、任意選択的には安定化された組成物20を得るための色安定化50及び/又は例えば安定化されエステル化された組成物22を得るためのエステル化55(両方のステップが使用される場合)に続いて、ポリマー形成ステップ300で使用することができる。本明細書に記載されているように、これらの任意選択的なステップは、いずれの順序で行うこともできる。混合モノマー組成物18は、酸化ステップ200から、例えば酸化反応器の流出液で得ることができ、そこから溶媒リサイクル15が分離される(例えば、混合モノマー組成物18中のモノマーの、脱水生成物12中のFDCA形成フラン類のための溶媒又は溶媒系への相対的な不溶性に基づいて)。溶媒リサイクル15の全部又は一部は、脱水100ステップ(例えば脱水反応器)に返されるか戻されてもよく、また溶媒の新たな補給部分17が溶媒リサイクル15に、或いは脱水100ステップに直接添加されてもよい。
【0085】
別の実施形態によれば、下流の酸化200ステップに添加されるパラキシレンの全て又は一部は、脱水生成物12又はその精製部分12’に存在し得る。パラキシレンの一部が存在する場合、パラキシレン含有供給流14は、酸化200ステップ(例えば酸化反応器)に直接添加される第2の部分となり得る一方で、溶媒の新しい補給部分17は、溶媒リサイクル15に、或いは脱水100ステップ(例えば脱水反応器)に直接添加されるパラキシレンの新しい補給部分となり得る。したがって、脱水生成物12中に存在するパラキシレンは、新しい補給部分17と、溶媒リサイクル15中に存在する量(例えば定常運転時)との合計量に相当し得る。プロセスに必要なパラキシレンの少なくとも一部を溶媒として使用するために脱水ステップに添加する場合には、上述したように様々な運転効率の観点から、多くの利点を得ることができる。
【0086】
代表的なプロセスは、(A)混合モノマー組成物(又は酸化生成物)18を、色安定化媒体19を添加する(又は接触させる)ことによって色安定化50し、FDCAとTPAとを含む安定化された組成物20を得ること;及び(B)任意選択的に(A)に続いて、エステル化剤21との反応により安定化された組成物20をエステル化55し、FDCA及びTPAのエステル誘導体(例えばジエステルFDME及びDMT)を含む安定化されエステル化された組成物22を得ること;を含み得る。(A)に続いて、FDCA及びTPAからコポリエステルを製造する目的で、プロセスは、FDCAとTPAとを含む安定化された組成物20を、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー24(例えばジオール)と反応させて、(i)FDCAとコモノマーとの反応生成物である第1のエステル化された中間体と、(ii)TPAとコモノマーとの反応生成物である第2のエステル化された中間体と、を含む安定化され共エステル化された中間体(プレポリマー)組成物を生成すること、及び安定化され共エステル化された中間体組成物を、第1及び第2のエステル化された中間体の重縮合によって重合して、フランジカルボキシレート部位とテレフタレート部位とを有するコポリマーを含むコポリマー生成物26を得ることを更に含み得る。コモノマー24と反応させるステップ、及びそれに続く重縮合により重合させるステップは、ポリマー形成300のサブステップである。(B)に続いて、プロセスは、FDCAとTPAのエステル誘導体を含む安定化されエステル化された組成物22を、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー24(例えばジオール)と反応させて、(i)FDCAのエステル誘導体とコモノマー24との反応生成物である第1のエステル交換された中間体と、(ii)TPAのエステル誘導体とコモノマー24との反応生成物である第2のエステル交換された中間体と、を含む安定化され共エステル交換された中間体(プレポリマー)組成物を生成すること、及び安定化され共エステル交換された中間体組成物を、第1及び第2のエステル交換された中間体の重縮合によって重合して、フランジカルボキシレート部位とテレフタレート部位とを有するコポリマーを含むコポリマー生成物26を得ることを更に含み得る。コモノマー24と反応させるステップ、及びそれに続く重縮合により重合させるステップは、ポリマー形成300のサブステップである。
【0087】
エステル化と色安定化が逆の順序で行われる場合、プロセスは、(A)エステル化剤21との反応によって混合モノマー組成物18をエステル化し、FDCAとTPAの両方のエステル誘導体を含むエステル化された混合モノマー組成物を得ること、及び(B)任意選択的に(A)に続いて、エステル化された混合モノマー組成物(又は混合エステル組成物)を、色安定化媒体19を添加することによって色安定化し、FDCAとTPAの両方の安定化されたエステル誘導体を含む安定化された組成物22を得ること、を含み得る。(A)に続いて、コポリエステルを製造する目的で、プロセスは、FDCAとTPAの両方のエステル誘導体を含むエステル化された混合モノマー組成物を、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー24(例えばジオール)と反応させて、(i)FDCAのエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体と、(ii)TPAのエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体と、を含む共エステル交換された中間体(プレポリマー)組成物を生成すること、及び共エステル交換された中間体組成物を、第1及び第2のエステル化された中間体の重縮合によって重合して、フランジカルボキシレート部位とテレフタレート部位とを有するコポリマーを含むコポリマー生成物26を得ること、を更に含み得る。コモノマー24と反応させるステップ、及びそれに続く重縮合により重合させるステップは、ポリマー形成300のサブステップである。(B)に続いて、プロセスは、FDCAとTPAの両方のエステル誘導体を含む安定化されエステル化された組成物22を、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー24(例えばジオール)と反応させて、(i)FDCAのエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体(プレポリマー)と、(ii)TPAのエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体と、を含む安定化され共エステル交換された中間体(プレポリマー)組成物を生成すること、及び安定化され共エステル交換された中間体組成物を、第1及び第2のエステル交換された中間体の重縮合によって重合して、フランジカルボキシレート部位とテレフタレート部位とを有するコポリマーを含むコポリマー生成物26を得ること、を更に含み得る。コモノマー24と反応させるステップ、及びそれに続く重縮合により重合させるステップは、ポリマー形成300のサブステップである。
【0088】
図2に示されているプロセスは、FDCAとTPAとを含む混合モノマー組成物又は共生成物を製造するための図1に示されているステップを含み、これらには、脱水100、酸化200、任意選択的な色安定化50、及び任意選択的なエステル化55のステップが含まれる。この図によれば、混合モノマー組成物18、任意選択的な安定化組成物20、又は任意選択的な安定化されエステル化された組成物22の全て又は一部が、例えば一方のモノマーが他方のモノマーに対して濃縮されていてもよいフラクションを得るために、又は一方のモノマーのエステル誘導体が他方のモノマーのエステル誘導体に対して濃縮されていてもよいフラクションを得るために、分離60のステップで使用される。本明細書における「~が濃縮された」という特徴は、分離される前の生成物と比較して、所定のモノマー又はそのモノマーのエステル誘導体の濃度が高いことを意味する。所定のモノマー又はそのモノマーのエステル誘導体(例えばFDCA、TPA、FDCAのモノ及びジエステル誘導体、並びにTPAのモノ及びジエステル誘導体)が濃縮されたフラクションは、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、又は少なくとも90重量%の、そのモノマー又はそのモノマーのエステル誘導体を含み得る。したがって、所定のモノマー又は所定のモノマーのエステル誘導体が濃縮されたフラクションでは、分離を受ける前の生成物中にも存在する所定のモノマー又は所定のモノマーのエステル誘導体が「減らされて」(より低い濃度を有して)いる場合もある。例えば、FDCA濃縮フラクションでは、このフラクションがTPAを実質的に含まない(例えば5重量%未満、3重量%未満、又は1重量%未満のこの化合物を含み得る)ように、TPAが減らされ得る。TPA濃縮フラクションでは、このフラクションがFDCAを実質的に含まない(例えば5重量%未満、3重量%未満、又は1重量%未満のこの化合物を含み得る)ように、FDCAが減らされ得る。FDCAエステル誘導体濃縮フラクション(又はエステル化されたFDCAが濃縮されたフラクション)では、このフラクションがこれらのモノ及びジエステル誘導体を実質的に含まない(例えば5重量%未満、3重量%未満、又は1重量%未満のTPAエステル誘導体を含み得る)ように、TPAエステル誘導体が減らされ得る。TPAエステル誘導体濃縮フラクション(又はエステル化TPA濃縮フラクション)では、このフラクションがこれらのエステル誘導体を実質的に含まない(例えば5重量%未満、3重量%未満、又は1重量%未満のFDCAのモノ及びジエステル誘導体を含み得る)ように、FDCAエステル誘導体が減らされ得る。
【0089】
図2の実施形態による分離60のステップは、分別凝固(融点差に基づく);任意選択的な水性媒体又は有機媒体中での抽出に続く結晶化(溶解度差に基づく);模擬移動床(SMB)クロマトグラフィー(分子サイズ/構造の相違に基づく)を含む吸着剤又はクロマトグラフィー法;任意選択的なストリッピングガス又は抽出溶媒を用いた蒸留(相対な揮発性の差に基づく);などの多数の技術のいずれかに従って行うことができる。一実施形態によれば、エステル化55のステップは、得られるエステル誘導体モノマーを蒸留による分離により適したものにする。したがって、分離60には、エステル化された混合モノマー組成物(又はエステル化された酸化生成物)22を、(任意選択的には色安定化ステップ50の後に)FDCAのエステル誘導体(例えばFDME)が濃縮された第1のフラクション251と、TPAのエステル誘導体(例えばDMT)が濃縮された第2のフラクション252とに蒸留することを含み得る。特定の実施形態では、混合モノマー組成物18を、(任意選択的には色安定化ステップ50の後に)第1のFDCA濃縮フラクション251と、第2のTPA濃縮フラクション252とに分離するために分離60のステップを使用することができる。分離60のステップに続いて、色安定化501/502の任意選択的なステップ、エステル化551/552の任意選択的なステップ、及びポリマー形成301/302のステップが、上述した方法で分離したフラクションに対して行われてもよい。
【0090】
図2に示されている可能な実施形態によれば、したがって、プロセスは、(A)色安定化媒体19を添加することによって第1のFDCA濃縮フラクション251を色安定化して、安定化されたFDCA濃縮フラクション201を得ること、及び(B)任意選択的に(A)に続いて、エステル化剤21との反応によって安定化されたFDCA濃縮フラクション201をエステル化して、FDCAのエステル誘導体を含む安定化されエステル化されたFDCA濃縮フラクション221を得ること、を更に含み得る。(A)に続いて、プロセスは、安定化されたFDCA濃縮フラクション201を、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー24(例えばジオール)と反応させて、(i)FDCAとコモノマーとの反応生成物である第1のエステル化された中間体を含み(ii)TPAとコモノマーとの反応生成物である第2のエステル化された中間体を実質的に含まない安定化されエステル化された中間体(プレポリマー)組成物を生成すること、及び第1のエステル化された中間体を重縮合することによって安定化されエステル化された中間体組成物を重合して、フランジカルボキシレート部位を有しテレフタレート部位を実質的に有さないポリエステルを含むポリマー生成物261を得ること、を更に含み得る。コモノマー24と反応させるステップ、及びそれに続く重縮合により重合させるステップは、ポリマー形成301のサブステップである。(B)に続いて、プロセスは、FDCAのエステル誘導体(特にジエステル)を含む、安定化されエステル化されたFDCA濃縮フラクション221を少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー24(例えばジオール)と反応させて、(i)FDCAのモノ-及び/又はジエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体を含み(ii)TPAのエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体を実質的に含まない、安定化されエステル交換された中間体(プレポリマー)組成物を生成すること、及び第1のエステル交換された中間体を重縮合することによって安定化されエステル交換された中間体組成物を重合して、フランジカルボキシレート部位を有しテレフタレート部位を実質的に有さないポリエステルを含むポリマー生成物261を得ること、を更に含み得る。コモノマー24と反応させるステップ、及びそれに続く重縮合により重合させるステップは、ポリマー形成301のサブステップである。
【0091】
図2に示されている別の可能な実施形態によれば、プロセスは、(A)第1のFDCA濃縮フラクション251をエステル化剤21との反応によりエステル化して、FDCAのエステル誘導体を含むエステル化されたFDCA濃縮フラクションを得ること、及び(B)任意選択的に(A)に続いて、色安定化媒体19を添加することによって、エステル化されたFDCA濃縮フラクションの色安定化を行って、安定化されエステル化されたFDCA濃縮フラクション221を得ること、を更に含み得る。(A)に続いて、プロセスは、FDCAのエステル誘導体を含むエステル化されたFDCA濃縮フラクションを、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー24(例えばジオール)と反応させて、(i)FDCAのモノ-及び/又はジエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体を含み(ii)TPAのエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体を実質的に含まない、エステル交換された中間体(プレポリマー)組成物を生成すること、及び第1のエステル交換された中間体を重縮合することによってエステル交換された中間体組成物を重合して、フランジカルボキシレート部位を有しテレフタレート部位を実質的に有さないコポリマーを含むコポリマー生成物261を得ること、を更に含み得る。コモノマー24と反応させるステップ、及びそれに続く重縮合により重合させるステップは、ポリマー形成300のサブステップである。(B)に続いて、プロセスは、安定化されエステル化されたFDCA濃縮フラクション221を少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー24(例えばジオール)と反応させて、(i)FDCAのモノ-又はジエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体を含み(ii)TPAのエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体を実質的に含まない、安定化されエステル交換された中間体(プレポリマー)組成物を生成すること、及び第1のエステル交換された中間体を重縮合することによって安定化されエステル交換された中間体組成物を重合して、フランジカルボキシレート部位を有しテレフタレート部位を実質的に有さないコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、を更に含み得る。コモノマー24と反応させるステップ、及びそれに続く重縮合により重合させるステップは、ポリマー形成301のサブステップである。
【0092】
図2に示されている別の可能な実施形態によれば、プロセスは、(A)色安定化媒体19を添加することによって第2のTPA濃縮フラクション252を色安定化して、安定化されたTPA濃縮フラクション202を得ること、及び(B)任意選択的に(A)に続いて、安定化されたTPA濃縮フラクション202をエステル化剤21と反応させることによってエステル化して、TPAのエステル誘導体を含む安定化されエステル化されたTPA濃縮フラクション222を得ること、を更に含み得る。(A)に続いて、プロセスは、安定化されたTPA濃縮フラクション202を、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー24(例えばジオール)と反応させて、(i)TPAとコモノマーとの反応生成物である第1のエステル化された中間体を含み(ii)FDCAとコモノマーとの反応生成物である第2のエステル化された中間体を実質的に含まない安定化されエステル化された中間体(プレポリマー)組成物を生成すること、及び第1のエステル化された中間体を重縮合することによって安定化されエステル化された中間体組成物を重合して、テレフタレート部位を有しフランジカルボキシレート部位を実質的に有さないポリエステルを含むポリエステル生成物262を得ること、を更に含み得る。コモノマー24と反応させるステップ、及びそれに続く重縮合により重合させるステップは、ポリマー形成302のサブステップである。(B)に続いて、プロセスは、TPAのエステル誘導体(特にジエステル)を含む、安定化されエステル化されたTPA濃縮フラクション222を、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー24(例えばジオール)と反応させて、(i)TPAのモノ-及び/又はジエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体を含み(ii)FDCAのエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体を実質的に含まない、安定化されエステル交換された中間体(プレポリマー)組成物を生成すること、及び第1のエステル交換された中間体を重縮合することによって安定化されエステル交換された中間体組成物を重合して、テレフタレート部位を有しフランジカルボキシレート部位を実質的に有さないポリエステルを含むポリマー生成物262を得ること、を更に含み得る。コモノマー24と反応させるステップ、及びそれに続く重縮合により重合させるステップは、ポリマー形成302のサブステップである。
【0093】
図2に示されている別の可能な実施形態によれば、プロセスは、(A)第2のTPA濃縮フラクション252をエステル化剤21との反応によりエステル化して、TPAのエステル誘導体を含むエステル化されたTPA濃縮フラクションを得ること、及び(B)任意選択的に(A)に続いて、色安定化媒体19を添加することによって、エステル化されたTPA濃縮フラクションの色安定化を行って、安定化されエステル化されたTPA濃縮フラクション222を得ること、を更に含み得る。(A)に続いて、プロセスは、TPAのエステル誘導体を含むエステル化されたTPA濃縮フラクションを、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー24(例えばジオール)と反応させて、(i)TPAのモノ-及び/又はジエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体を含み(ii)FDCAのエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体を実質的に含まない、エステル交換された中間体(プレポリマー)組成物を生成すること、及び第1のエステル交換された中間体を重縮合することによってエステル交換された中間体組成物を重合して、テレフタレート部位を有しフランジカルボキシレート部位を実質的に有さないポリエステルを含むポリマー生成物262を得ること、を更に含み得る。コモノマー24と反応させるステップ、及びそれに続く重縮合により重合させるステップは、ポリマー形成302のサブステップである。(B)に続いて、プロセスは、安定化されエステル化されたTPA濃縮フラクション222を少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマー24(例えばジオール)と反応させて、(i)TPAのモノ-及び/又はジエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体を含み(ii)FDCAのエステル誘導体とコモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体を実質的に含まない、安定化されエステル交換された中間体(プレポリマー)組成物を生成すること、及び第1のエステル交換された中間体を重縮合することによって安定化されエステル交換された中間体組成物を重合して、テレフタレート部位を有しフランジカルボキシレート部位を実質的に有さないコポリエステルを含むポリエステル生成物262を得ること、を更に含み得る。コモノマー24と反応させるステップ、及びそれに続く重縮合により重合させるステップは、ポリマー形成302のサブステップである。
【0094】
図3は、モノマー製造施設又はプラントを改変(例えば組み込み改造)するためのプロセス、及びそれによって得られる装置/機器に関する本発明の実施形態を示す。例えば代表的なTPA製造プラントは、以前に建設されたものであってよく、また例えばその設計能力を下回って動作するものであってよく、或いは完全に廃止されたものであってよい。改変するステップは、パラキシレンに加えて、第2のモノマー形成共供給流、特に再生可能に供給されるものを同時処理する能力が付加された結果として、全体的な収益性を回復するために使用することができ、或いはプロセスの経済性を改善することができる。特定の実施形態によれば、改変されるTPA製造プラントは、供給流として、(i)パラキシレン含有供給流14などの中のパラキシレンと、(ii)酸素含有供給流16などの中の酸素とを受け取るように構成された酸化反応器205を含み得る。TPA製造プラントは、下流のTPA結晶化・回収セクション210を更に備えていてもよく、これは、このセクションから溶媒45を分離して酸化反応器205に戻してリサイクルするように構成される。改変は、例えば、図3の破線矢印によるパラキシレン含有供給流14の入口などの酸化反応器205の既存の入口を使用して、上流の炭水化物脱水反応器100への接続をTPA製造プラントに組み込み改造し、この入口に脱水生成物12又はその精製部分12’(例えばフミン質除去の後)を接続することを含み得る。或いは、接続は、図3の実線の矢印に従って脱水生成物12又はその精製部分12’を酸化反応器205に直接接続する追加の入口を備えていてもよい。酸化反応器205の出口は、例えばFDCA及びTPA及び/又は他のモノマーを含む酸化流出流18’を、TPA結晶化・回収セクション210へ供給(例えば流す)ように構成されていてもよく、これは、組み込み改造に続いて、流出流18’に対して減少した量の溶媒を含む、又は実質的に溶媒を含まない、前述したような混合モノマー組成物18を供給する(例えば流す)ように構成されていてもよい。改変は、溶媒45又はその少なくとも一部45’を脱水反応器100に戻して供給する(例えば流すかリサイクルする)ようにTPA製造プラントを構成することを更に含み得る。
【0095】
本明細書において、本発明のプロセスで採用される金属含有触媒において特定の遷移金属塩を使用することについて言及される場合、前記塩は、金属含有触媒を形成する際に、水和、半水和、又は非水和の形態で使用することができる。例えば酢酸コバルト(II)が使用される場合、本発明のプロセスで使用される金属含有触媒の製造に使用される酢酸コバルト(II)の形態は、Co(OAc)2(非水和)、Co(OAc)2,.xH2O(半水和物)、Co(OAc)2.4H2O(水和物)であってよい。このことは、例えば臭化コバルト(II)、シュウ酸コバルト(II)、及びそのような酸化プロセスでの使用が当業者に知られている他のコバルト(II)塩など、採用され得る他のコバルト(II)塩にも同様に適用される。例えば、本発明のプロセスで使用される金属含有触媒の製造に使用される酢酸マンガン(II)の形態は、Mn(OAc)2(非水和)、Mn(OAc)2,.xH2O(半水和物)、Mn(OAc)2.4H2O(水和物)であってよい。このことは、そのような酸化プロセスでの使用が当業者に知られている他のマンガン(II)塩にも同様に適用される。このことは、金属含有触媒に存在する追加の金属種(例えば酢酸セリウム(III)や酢酸ジルコニウム(IV)など)にも同様に適用される。
【0096】
以下の実施例は、本発明の代表として記載されている。これらの実施例は例示であり、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【実施例
【0097】
実施例
FDCA形成フラン類の酸化に対する少量の共供給流の影響
酢酸と水の溶媒系の存在下でのフルクトースの脱水から得られる生成物の代表であるFDCA形成フラン類、すなわちHMF、5-(アセトキシメチル)フルフラール(AcMF)、及びHMF二量体である「経路上の」フラン類の酸化のための共供給流としてのキシレンの影響を評価するために実験を行った。各実験で使用した脱水生成物は、この溶媒系の溶液中にこれらの化合物を8.5重量%含んでいた。実験に使用した酸化反応器に、それぞれの場合で、コバルト、マンガン、及び臭素をそれぞれ4740重量ppm、885重量ppm、及び1475重量ppmの濃度で含む均一系触媒組成物を入れた。酸化反応条件は、180℃の温度と15.2bar(220psi、1.52MPa)の全圧を含み、酸化反応器への脱水生成物及び空気の供給量は、0.9ミリリットル毎分(ml/分)及び550標準立方センチメートル毎分(sccm)に維持し、目標反応時間は60分であった。この目標反応時間は、つまり各実験で反応が行われる最大時間であり、反応時間が短いと、酸素消費量の低下で示される「ライトオフ」が失われる場合が生じる可能性がある。各反応の後、酸化反応器の内容物を分析して、存在するFDCAの量、並びに5-ヒドロキシメチル-2-フランカルボン酸及び5-ホルミル-2-フランカルボン酸などのFDCA形成中間体の量を決定した。これらはなお、更に酸化されてFDCAを形成する能力という点で価値のある反応生成物であった。
【0098】
採用した具体的な反応プロトコルは以下の通りであった:
Parrから供給された、ガス分散インペラを備えた300cmのTiバッチ式反応器に70gの酢酸、3.75gの水、0.233gのHBr溶液(48重量%HBr水溶液)、0.888gのCo(OAc)・4H2O、及び0.175gのMn(OAc)・4H2Oを充填し、次いで密封し、約100psi(0.69MPa)の窒素まで加圧してから、1200rpmで攪拌しながら180℃に加熱した。反応器内の圧力は、220psi(1.52MPa)に調整された背圧調整弁(BPR)で維持した。温度に達した後、550標準立方センチメートル毎分(SCCM)で空気を反応器の中に流し、BPRからの流出ガスを監視して、反応器の乾燥ガス酸素含有量が安定した時点を決定した。酸素が安定した時点で、反応を開始するためにフラン供給流を0.9mL/分で反応器にポンプで送り込んだ。実験を通して流出流酸素を監視し、酸素消費が突然停止した場合には供給流を止め、反応器を氷浴で急冷することにより反応をクエンチした。そうでない場合には、60分間反応を進行させた後、供給を停止して直ちにクエンチした。反応後、液体及び固体生成物中のフラン種をUPLCで分析した。
【0099】
上の手順で使用したフラン供給流は、フルクトース脱水反応からの粗製液体生成物をわずかに変更することによって調製した。具体的には、酢酸中の19重量%のフルクトース、0.6重量%のグルコース、7.7重量%の水、及び2mol%のHBr(全ての糖に対して)の混合物を、内部中点温度160℃、液体滞留時間1.695分で連続反応器に供給した。系の圧力は、背圧調整弁で200psig(1.38MPa、ゲージ圧)に維持した。脱水生成物は、酸化供給流として使用する前に回収及び保管した。
【0100】
追加の溶媒又は共供給流を添加する前の脱水生成物は、HMFが4.77重量%、5-(アセトキシメチル)フルフラール(AcMF)が3.89%重量%、HMF二量体が0.15重量%、水が13.63%、Br(HBrとして)が1542ppmであり、残部が酢酸及びその他のフルクトース脱水副生成物と分析された。酸化のためのフラン供給流を調製するために、フラン供給流の総重量を基準として、経路上のフラン類の最終合計含有量が8.5重量%、水濃度が14.75重量%、共供給流含有量(存在する場合-以下を参照)が1.77重量%になるように、芳香族共供給流(存在する場合)、酢酸、及び水を添加した。
【0101】
ベースライン実験は、上述した芳香族共供給流を含まない脱水生成物の供給流(「フラン供給流」)を使用して行い、この供給流を使用し、追加量の共供給流である(i)実験Aによるパラキシレン、(ii)実験Bによるオルトキシレン、及び(iii)実験Cによる混合キシレンを用いて、3つの別個の追加の実験を行った。それぞれの場合における添加量は、合計したFDCA形成フラン類の約40モル%に相当した。変換されたFDCA形成フラン類のFDCAへの選択率が約60mol%であったベースライン実験と比較して、実験A~Cではこの選択率が65~69mol%に増加した。また、ベースライン実験におけるFDCA及びFDCA形成中間体への総選択率は80mol%をわずかに上回っていた一方で、実験A~Cでは、この選択率は84~87mol%に増加した。したがって、3つの共供給流のそれぞれの添加により、FDCA形成フラン類のFDCAへの均一系触媒による酸化の性能が改善された。
【0102】
しかしながら、重要なことは、ベースライン実験が約52分間しか行われず、その時点で反応のライトオフが失われ、それ以上の変換が起こらなかったことである。対照的に、実験Bでは、目標反応時間の60分まで反応を維持することができ、実験A及びCでは、この目標反応時間の終了時でも、ライトオフ/酸素消費は依然として進行していた。したがって、3つの共供給流のそれぞれ、特にパラキシレン及び混合キシレンは、有利なことに、FDCA形成フラン類のFDCAへの酸化に対して安定化効果を示した。
【0103】
Co、Mn、Br触媒によるp-キシレン及びFDCA形成フラン類の共酸化
p-キシレンと「経路上」フラン類(OPF)の同時酸化を更に実証するために、一連の実験を行った。窒素で220psig(1.52MPa、ゲージ圧)に加圧された300mLのチタン製反応器の中で、33重量%のコーンシロップ(76.25重量%のフルクトース、0.96重量%のデキストロース、及び22.71重量%の水を含有)と、総含水率が7.53重量%となるのに十分な水と、フルクトース及びグルコースの合計に対して2.0mol%のHBrと、残部の酢酸との混合物218gを155℃まで加熱することによって、経路上フラン類の溶液を調製した。155℃に到達した直後に、反応を氷浴でクエンチして反応を停止した。この脱水生成物を酢酸、水、及びp-キシレンで希釈し、これを供給流組成が表1に記載の目標と一致するように酢酸コバルト四水和物、酢酸マンガン四水和物、及び臭化水素酸である酸化触媒成分を溶解するために使用した。
【0104】
酸化は、Parrから供給された、ガス分散インペラを備えた300mLのTi製バッチ式反応器を使用して半バッチ方式で行った。供給流組成が表1に記載の初期濃度目標と一致するように、反応器に最初に75gの酢酸、水、酢酸コバルト四水和物、酢酸マンガン四水和物、及び臭化水素酸を入れた。次いで、これを密閉し、約100psi(0.69MPa)の窒素まで加圧してから、1200rpmで攪拌しながら180℃に加熱した。反応器内の圧力は、220psi(1.52MPa)に調整された背圧調整弁(BPR)で維持した。温度に達した後、550標準立方センチメートル毎分(SCCM)で空気を反応器の中に流し、BPRからの流出ガスを監視して、反応器の乾燥ガス酸素含有量が安定した時点を決定した。酸素が安定した時点で、反応を開始するためにフラン供給流を指定されたmL/分で反応器にポンプで送り込んだ。表1の目標実施時間の間、反応を進行させた後、供給流を停止し、表1に示されている目標酸化後時間まで基質を追加せずに反応を進行させた。いずれの反応でも前のセクションで述べたライトオフは失われなかった。反応後、液体及び固体生成物中のフラン種をUPLCで分析した。供給流に20%のp-キシレンが含まれる反応では、以下に示す総供給流速度でフラン類とp-キシレンを2つの別々のポンプで供給した。
【0105】
【表1】
【0106】
酢酸、p-キシレン、水の溶媒中での経路上フラン類の生成
酢酸と、p-キシレンと、水との混合物中の経路上フラン類の生成も実証した。糖の脱水反応における酢酸溶媒の一部をp-キシレンで置き換えることにより、統合されたテレフタル酸及びFDCAプロセスが簡素化され、酢酸のコストが削減される。これらの実施例では、33重量%のコーンシロップ(76.25重量%のフルクトース、0.96重量%のデキストロース、及び22.71重量%の水を含有)と、総含水率が7.53重量%となるのに十分な水と、フルクトース及びグルコースの合計に対して2.36mol%のHBrと、表2に指定されている重量%のp-キシレンと、残部の酢酸との混合物207gを、窒素で220psig(1.52MPa、ゲージ圧)に加圧された300mLのチタン製反応器の中で155℃にした。155℃に到達してすぐに、反応を氷浴でクエンチして反応を停止した。反応生成物をUPLCで分析したところ、経路上フラン類の総収率は記載の通りであった。p-キシレンは、2重量%及び5重量%では脱水にほとんど影響を与えないようであり、これはおそらく20重量%前後で有益な影響を与える。
【0107】
【表2】
【0108】
様々な触媒系を用いたp-キシレンとHMFの共酸化
HMFとp-キシレンとを同時に酸化してそれぞれに応じてFDCAとテレフタル酸とに変換する能力について、様々な触媒系を評価した。全ての反応は、0.2Mのp-キシレンと0.2MのHMFとを用いて行った。様々な触媒及び添加剤並びにそれらのその量が表3及び4を提供する図4及び5に示されている。反応は、もともとFreeslateによって提供された、共有ヘッドスペースを備えた24ウェルプレートの反応器に配置されたガラスバイアルで行った。全ての固体/液体をバイアルに入れた後、反応器を密閉し、5%の酸素を含むN2中で1000psi(6.9MPa)に加圧し、次いで振とうしながら100℃に16時間加熱した。冷却し、加圧を解除した後、バイアルを過剰のDMSOに溶解し、HPLCによりTPA及びFDCAについて分析した。これらの条件下でTPA又はFDCAが1mol%を超える収率を示す反応を、p-キシレン又はHMFのそれぞれのカルボン酸への酸化について活性であると確認されたとみなした。図4は表を示している。図4の中の表では、OAcはアセテートを表し、acacはアセチルアセトネートを表し、NHPIはN-ヒドロキシフタルイミドを表し、mol%はHMFとp-キシレンの合計モル数に対するものである。図5も表を示している。図5の表では、不均一系触媒は通常Johnson Mattheyから購入した。STREMから提供され微粉末に粉砕されたAu/TiOを除き、これらはカタログ番号で言及されている。
【0109】
条項:
1.2,5-フランジカルボン酸(FDCA)とテレフタル酸(TPA)とを含む混合モノマー組成物の製造方法であって、
酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と接触させて、前記混合モノマー組成物を得ることを含み、
前記酸化供給流が(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物と、(ii)パラキシレンと、を含む方法。
2.パラキシレンが、(i)と(ii)の合計量の少なくとも1重量%を占める、条項1に記載の方法。
3.パラキシレンが、(i)と(ii)の合計量の1重量%~75重量%を占める、条項1又は2に記載の方法。
4.パラキシレンが、(i)と(ii)の合計量の2重量%~45重量%を占める、条項1~3のいずれか一項に記載の方法。
5.パラキシレンが、(i)と(ii)の合計量の5重量%~35重量%を占める、条項1~4のいずれか一項に記載の方法。
6.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物100mol%に対して、50mol%未満、好ましくは45mol%未満の量で存在する、条項1~5のいずれか一項に記載の方法。
7.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物100mol%に対して5mol%~45mol%の量で存在する、条項1~6のいずれか一項に記載の方法。
8.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物100mol%に対して10mol%~80mol%の量で存在する、条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
9.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物100mol%に対して30mol%~60mol%の量で存在する、条項1~8のいずれか一項に記載の方法。
10.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物100mol%に対して85mol%~200mol%の量で存在する、条項1~9のいずれか一項に記載の方法。
11.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物100mol%に対して90mol%~150mol%の量で存在する、条項1~10のいずれか一項に記載の方法。
12.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物100mol%に対して100mol%~125mol%の量で存在する、条項1~11のいずれか一項に記載の方法。
13.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物のモル量を超えるモル量で存在する、条項1~12のいずれか一項に記載の方法。
14.前記(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物が、前記(ii)パラキシレンのモル量を超えるモル量で存在する、条項1~13のいずれか一項に記載の方法。
15.前記六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物が、デンプン、アミロース、ガラクトース、セルロース、ヘミセルロース、イヌリン、フルクタン、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、セロビオース、ラクトース、糖オリゴマー、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項1~14のいずれか一項に記載の方法。
16.前記六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物がヘキソース糖から選択される、条項1~15のいずれか一項に記載の方法。
17.前記六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物がフルクトースである、条項1~16のいずれか一項に記載の方法。
18.前記脱水生成物が、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)及び/又はそのエステル若しくはエーテル誘導体を含む、条項1~17のいずれか一項に記載の方法。
18a.前記脱水生成物が、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)及び/又はそのエステル若しくはエーテル誘導体である、条項1~18のいずれか一項に記載の方法。
19.前記脱水生成物が5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を含む、条項1~18aのいずれか一項に記載の方法。
19a.前記脱水生成物が5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)である、条項1~19のいずれか一項に記載の方法。
20.前記脱水生成物が5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のエステル誘導体を含む、条項1~19aのいずれか一項に記載の方法。
20a.前記脱水生成物が5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のエステル誘導体である、条項1~20のいずれか一項に記載の方法。
21.前記5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のエステル誘導体が5-(アセトキシメチル)フルフラールである、条項18、18a、20、又は20aのいずれか一項に記載の方法。
22.前記脱水生成物が5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のエーテル誘導体を含む、条項1~21のいずれか一項に記載の方法。
22a.前記脱水生成物が5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のエーテル誘導体である、条項1~22のいずれか一項に記載の方法。
23.前記5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のエーテル誘導体が5-(メトキシメチル)フルフラールである、条項18、18a、22、又は22aのいずれか一項に記載の方法。
24.前記六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物が先行する方法のステップで製造され、前記先行する方法のステップが、前記六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物を含む脱水供給流を供給することと、前記六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物を脱水することを含む、条項1~23のいずれか一項に記載の方法。
25.前記脱水供給流が、5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~30重量%の乾燥固形分濃度を有する、条項24に記載の方法。
26.前記脱水供給流がフルクトース水溶液である、条項24又は25に記載の方法。
27.前記脱水供給流が、前記脱水供給流の総重量を基準として5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~30重量%のフルクトースを含むフルクトース水溶液である、条項24~26のいずれか一項に記載の方法。
28.前記フルクトースが、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも97重量%の純度を有する、条項26又は27に記載の方法。
29.前記脱水ステップが臭素源の存在下で行われる、条項24~28のいずれか一項に記載の方法。
30.前記臭素源が、臭化水素、臭化水素酸、臭化ナトリウム、臭化カリウム、分子状臭素、臭化ベンジル、テトラブロモエタン、1-アルキルピリジニウムブロミド、及び1,3-ジアルキルイミダゾリウムブロミドからなる群から選択される、条項29に記載の方法。
31.前記臭素源が臭化水素である、条項29又は30に記載の方法。
32.前記脱水ステップが酢酸を含む溶媒中で行われる、条項24~31のいずれか一項に記載の方法。
33.前記脱水ステップが水を含む溶媒中で行われる、条項24~32のいずれか一項に記載の方法。
34.前記脱水ステップが酢酸と水とを含む溶媒中で行われる、条項24~33のいずれか一項に記載の方法。
35.前記脱水ステップがアルコールを含む溶媒中で行われる、条項24~34のいずれか一項に記載の方法。
36.前記アルコールが、メタノール、エタノール、ジオキサン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項35に記載の方法。
37.前記脱水ステップが、(ii)パラキシレンを含む溶媒中で行われる、条項24~36のいずれか一項に記載の方法。
38.前記酸化供給流が1種以上のフミン質を更に含む、条項1~37のいずれか一項に記載の方法。
39.前記酸化供給流が接触する前記酸素源が空気である、条項1~38のいずれか一項に記載の方法。
40.前記酸化供給流が接触する前記酸素源が精製酸素である、条項1~39のいずれか一項に記載の方法。
41.前記酸化触媒が均一系酸化触媒である、条項1~40のいずれか一項に記載の方法。
42.前記酸化触媒が金属含有触媒である、条項1~41のいずれか一項に記載の方法。
43.前記酸化触媒が1種以上の遷移金属を含む、条項1~42のいずれか一項に記載の方法。
44.前記酸化触媒がCoを含む、条項1~43のいずれか一項に記載の方法。
45.前記酸化触媒がMnを含む、条項1~44のいずれか一項に記載の方法。
46.前記酸化触媒がCo及びMnを含む、条項1~45のいずれか一項に記載の方法。
47.前記酸化触媒がCo(II)の形態のCoを含む、条項1~46のいずれか一項に記載の方法。
48.前記酸化触媒が酢酸コバルト(II)の形態のCoを含む、条項1~47のいずれか一項に記載の方法。
49.前記酸化触媒が臭化コバルト(II)の形態のCoを含む、条項1~48のいずれか一項に記載の方法。
50.前記酸化触媒がシュウ酸コバルト(II)の形態のCoを含む、条項1~49のいずれか一項に記載の方法。
51.前記酸化触媒がMn(II)の形態のMnを含む、条項1~50のいずれか一項に記載の方法。
52.前記酸化触媒が酢酸マンガン(II)の形態のMnを含む、条項1~51のいずれか一項に記載の方法。
53.前記酸化触媒が臭化マンガン(II)の形態のMnを含む、条項1~52のいずれか一項に記載の方法。
54.前記酸化触媒がシュウ酸マンガン(II)の形態のMnを含む、条項1~53のいずれか一項に記載の方法。
55.前記酸化触媒がZrを更に含む、条項44~54のいずれか一項に記載の方法。
56.前記ZrがZr(IV)である、条項55に記載の方法。
57.前記Zr(IV)が酢酸Zr(IV)である、条項56に記載の方法。
58.前記酸化触媒がCeを更に含む、条項44~57のいずれか一項に記載の方法。
59.前記CeがCe(III)である、条項58に記載の方法。
60.前記Ce(III)が酢酸Ce(III)である、条項59に記載の方法。
61.前記酸化触媒がBrを更に含む、条項44~60のいずれか一項に記載の方法。
62.前記酸化供給流が少なくとも1種の臭素含有種を含む、条項1~61のいずれか一項に記載の方法。
63.前記少なくとも1種の臭素含有種が、HBrなどの無機臭化物;臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化コバルト、及び臭化マンガンなどの金属臭化物;5-(ブロモメチル)フルフラール及びその誘導体、並びに臭化フランオリゴマーなどの有機臭化物;並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項62に記載の方法。
64.前記酸化供給流中の前記少なくとも1種の臭素含有種が脱水ステップで生じたものである、条項62又は63に記載の方法。
65.前記酸化供給流中に存在する前記臭素含有種に加えて、追加の臭素源が前記酸化ステップに導入される、条項62~64のいずれか一項に記載の方法。
66.前記追加の臭素源が、HBrなどの無機臭化物;臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化コバルト、及び臭化マンガンなどの金属臭化物;5-(ブロモメチル)フルフラール及びその誘導体、並びに臭化フランオリゴマーなどの有機臭化物;並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項65に記載の方法。
67.前記酸化触媒中の前記1種以上の遷移金属の濃度が、独立して、前記酸化反応混合物の総重量を基準として5重量ppm~10,000重量ppmの範囲である、条項43~66のいずれか一項に記載の方法。
68.前記酸化触媒中の前記1種以上の遷移金属の濃度が、独立して、前記酸化反応混合物の総重量を基準として10重量ppm~8,000重量ppmの範囲である、条項43~67のいずれか一項に記載の方法。
69.前記酸化触媒中の前記1種以上の遷移金属の濃度が、独立して、前記酸化反応混合物の総重量を基準として50重量ppm~5,000重量ppmの範囲である、条項43~68のいずれか一項に記載の方法。
70.Coが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として10重量ppm~10,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項1~69のいずれか一項に記載の方法。
71.Coが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として10重量ppm~8,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項1~70のいずれか一項に記載の方法。
72.Coが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として59重量ppm~5,900重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項1~71のいずれか一項に記載の方法。
73.Coが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として2,000重量ppm~4,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項1~72のいずれか一項に記載の方法。
74.Mnが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として5重量ppm~10,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項1~73のいずれか一項に記載の方法。
75.Mnが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として5重量ppm~8,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項1~74のいずれか一項に記載の方法。
76.Mnが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として55重量ppm~5,500重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項1~75のいずれか一項に記載の方法。
77.Mnが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として200重量ppm~1,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項1~76のいずれか一項に記載の方法。
78.Brが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として0.1重量ppm~20,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項1~77のいずれか一項に記載の方法。
79.Brが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として200重量ppm~20,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項1~78のいずれか一項に記載の方法。
80.Brが、前記反応混合物の総重量を基準として10重量ppm~10,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項1~79のいずれか一項に記載の方法。
81.Brが、前記反応混合物の総重量を基準として1,000重量ppm~2,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項1~80のいずれか一項に記載の方法。
82.前記Brが、前記臭素含有種及び/又は前記臭素源に由来する、条項78~81のいずれか一項に記載の方法。
83.前記酸化反応混合物中の前記Coの量が、前記(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物100mol%に対して1~50mol%である、条項1~82のいずれか一項に記載の方法。
84.前記酸化反応混合物中の前記Coの量が、前記(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物100mol%に対して2~30mol%である、条項1~83のいずれか一項に記載の方法。
85.前記酸化反応混合物中の前記Coの量が、前記(i)六炭糖単位を有する1種以上の炭水化物の脱水生成物100mol%に対して10~20mol%である、条項1~84のいずれか一項に記載の方法。
86.前記酸化反応混合物中のCo:Mnのモル比が1:1~100:1である、条項1~85のいずれか一項に記載の方法。
87.前記酸化反応混合物中のCo:Mnのモル比が1:1~10:1である、条項1~86のいずれか一項に記載の方法。
88.前記酸化反応混合物中のCo:Mnのモル比が3:1~6:1である、条項1~87のいずれか一項に記載の方法。
89.前記酸化反応混合物中のBr:(全金属)のモル比が1:100~10:1である、条項1~88のいずれか一項に記載の方法。
90.前記酸化反応混合物中のBr:(全金属)のモル比が1:50~5:1である、条項1~89のいずれか一項に記載の方法。
91.前記酸化反応混合物中のBr:(全金属)のモル比が1:20~1.5:1である、条項1~90のいずれか一項に記載の方法。
92.前記酸化反応混合物中のBr:(全金属)のモル比が1:5~1:1である、条項1~91のいずれか一項に記載の方法。
93.前記酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と接触させて前記混合モノマー組成物を得ることが、120℃~250℃の温度で行われる、条項1~92のいずれか一項に記載の方法。
94.前記酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と接触させて前記混合モノマー組成物を得ることが、170℃~190℃の温度で行われる、条項1~93のいずれか一項に記載の方法。
95.前記酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と前記接触させて前記混合モノマー組成物を得ることにおける酸素分圧が0.02bar~100barである、条項1~94のいずれか一項に記載の方法。
96.前記酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と前記接触させて前記混合モノマー組成物を得ることにおける酸素分圧が0.02bar~21barである、条項1~95のいずれか一項に記載の方法。
97.前記酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と前記接触させて前記混合モノマー組成物を得ることにおける酸素分圧が0.2bar~100barである、条項1~96のいずれか一項に記載の方法。
98.前記酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と前記接触させて前記混合モノマー組成物を得ることにおける酸素分圧が0.2bar~21barである、条項1~97のいずれか一項に記載の方法。
99.前記酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と前記接触させて前記混合モノマー組成物を得ることにおける全圧(絶対圧)が1bar~200barである、条項1~98のいずれか一項に記載の方法。
100.前記酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と前記接触させて前記混合モノマー組成物を得ることにおける全圧(絶対圧)が5bar~100barである、条項1~99のいずれか一項に記載の方法。
101.前記酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と前記接触させて前記混合モノマー組成物を得ることにおける全圧(絶対圧)が10bar~20barである、条項1~100のいずれか一項に記載の方法。
102.前記酸素の存在下での前記酸化供給流と酸化触媒との前記接触が溶媒の存在下で行われる、条項1~101のいずれか一項に記載の方法。
103.前記溶媒が酢酸を含む、条項102に記載の方法。
104.前記溶媒が水を含む、条項102又は103に記載の方法。
105.前記溶媒が酢酸及び水を含む、条項102~104のいずれか一項に記載の方法。
106.前記酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と接触させて前記混合モノマー組成物を得ることが、FDCAとTPAとを含む混合モノマー組成物を生成するのに十分な時間行われる、条項1~105のいずれか一項に記載の方法。
107.前記酸素の存在下で酸化供給流を酸化触媒と接触させて前記混合モノマー組成物を得ることが、15分~24時間行われる、条項1~106のいずれか一項に記載の方法。
108.
(A)前記混合モノマー組成物に色安定化媒体を添加することによって前記混合モノマー組成物を色安定化し、FDCAとTPAとを含む安定化された組成物を得ること;及び
(B)任意選択的に(A)に続いて、前記安定化された組成物とエステル化剤との反応により前記安定化された組成物をエステル化し、FDCA及びTPAのエステル誘導体を含む安定化されエステル化された組成物を得ること;
を更に含む、条項1~107のいずれか一項に記載の方法。
109.前記エステル化剤がメタノールであり、FDCA及びTPAの前記エステル誘導体がそれぞれ2,5-フランジカルボン酸ジメチルエステル(FDME)及びテレフタル酸ジメチル(DMT)である、条項108に記載の方法。
110.(A)に続いて:
FDCAとTPAとを含む前記安定化された組成物を、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマーと反応させて、(i)FDCAと前記コモノマーとの反応生成物である第1のエステル化された中間体と、(ii)TPAと前記コモノマーとの反応生成物である第2のエステル化された中間体と、を含む安定化され共エステル化された中間体組成物を生成すること、及び
前記安定化され共エステル化された中間体組成物を、前記第1及び第2のエステル化された中間体の重縮合によって重合して、フランジカルボキシレート部位とテレフタレート部位とを有するコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、
又は(B)に続いて:
FDCAとTPAの前記エステル誘導体を含む前記安定化されエステル化された組成物を、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマーと反応させて、(i)前記FDCAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体と、(ii)前記TPAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体と、を含む安定化され共エステル交換された中間体組成物を生成すること、及び
前記安定化され共エステル交換された中間体組成物を、前記第1及び第2のエステル交換された中間体の重縮合によって重合して、フランジカルボキシレート部位とテレフタレート部位とを有するコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、
のいずれかを更に含む、条項108又は条項109に記載の方法。
111.
(A)前記混合モノマー組成物をエステル化剤と反応させることにより前記混合モノマー組成物をエステル化して、FDCAとTPAのエステル誘導体を含むエステル化された混合モノマー組成物を得ること、
(B)任意選択的に(A)に続いて、前記エステル化された混合モノマー組成物に色安定化媒体を添加することによって前記エステル化された混合モノマー組成物を色安定化し、FDCAとTPAのエステル誘導体を含む安定化されエステル化された組成物を得ること、
を更に含む、条項1~107のいずれか一項に記載の方法。
112.前記エステル化剤がメタノールであり、FDCA及びTPAの前記エステル誘導体がそれぞれ2,5-フランジカルボン酸ジメチルエステル(FDME)及びテレフタル酸ジメチル(DMT)である、条項111に記載の方法。
113.(A)に続いて:
蒸留により、前記エステル化された混合モノマー組成物を、前記FDCAのエステル誘導体が濃縮された第1のフラクションと、前記TPAのエステル誘導体が濃縮された第2のフラクションとに分離すること、
又は(B)に続いて:
蒸留により、前記安定化されエステル化された組成物を、前記FDCAのエステル誘導体が濃縮された第1のフラクションと、前記TPAのエステル誘導体が濃縮された第2のフラクションとに分離すること、
のいずれかを更に含む、条項111又は条項112に記載の方法。
114.(A)に続いて:
FDCAとTPAのエステル誘導体を含む前記エステル化された混合モノマー組成物を、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマーと反応させて、(i)前記FDCAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体と、(ii)前記TPAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体と、を含む共エステル交換された中間体組成物を生成すること、及び
前記共エステル交換された中間体組成物を、前記第1及び第2のエステル化された中間体の重縮合によって重合して、フランジカルボキシレート部位とテレフタレート部位とを有するコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、
又は(B)に続いて:
FDCAとTPAの前記エステル誘導体を含む前記安定化されエステル化された組成物を、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマーと反応させて、(i)前記FDCAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体と、(ii)前記TPAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体と、を含む安定化され共エステル交換された中間体組成物を生成すること、及び
前記安定化され共エステル交換された中間体組成物を、前記第1及び第2のエステル交換された中間体の重縮合によって重合して、フランジカルボキシレート部位とテレフタレート部位とを有するコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、
のいずれかを更に含む、条項111又は条項112に記載の方法。
115.前記混合モノマー組成物を第1のFDCA濃縮フラクションと第2のTPA濃縮フラクションとに分離することを更に含む、条項1~107のいずれか一項に記載の方法。
116.
(A)色安定化媒体を添加することにより前記第1のFDCA濃縮フラクションを色安定化して、安定化されたFDCA濃縮フラクションを得ること、及び
(B)任意選択的に(A)に続いて、エステル化剤との反応により前記安定化されたFDCA濃縮フラクションをエステル化して、FDCAのエステル誘導体を含む安定化されエステル化されたFDCA濃縮フラクションを得ること、
を更に含む、条項115に記載の方法。
117.前記エステル化剤がメタノールであり、前記FDCAのエステル誘導体が2,5-フランジカルボン酸ジメチルエステル(FDME)である、条項116に記載の方法。
118.(A)に続いて:
前記安定化されたFDCA濃縮フラクションを、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマーと反応させて、(i)FDCAと前記コモノマーとの反応生成物である第1のエステル化された中間体を含み(ii)TPAと前記コモノマーとの反応生成物である第2のエステル化された中間体を実質的に含まない安定化されエステル化された中間体組成物を生成すること、及び
前記第1のエステル化された中間体を重縮合することによって前記安定化されエステル化された中間体組成物を重合して、フランジカルボキシレート部位を有しテレフタレート部位を実質的に有さないコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、
又は(B)に続いて:
前記FDCAのエステル誘導体を含む、前記安定化されエステル化されたFDCA濃縮フラクションを少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマーと反応させて、(i)前記FDCAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体を含み(ii)TPAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体を実質的に含まない、安定化されエステル交換された中間体組成物を生成すること、及び
前記第1のエステル交換された中間体を重縮合することによって前記安定化されエステル交換された中間体組成物を重合して、フランジカルボキシレート部位を有しテレフタレート部位を実質的に有さないコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、
のいずれかを更に含む、条項116又は117に記載の方法。
119.
(A)前記第1のFDCA濃縮フラクションをエステル化剤との反応によりエステル化して、FDCAのエステル誘導体を含むエステル化されたFDCA濃縮フラクションを得ること、及び
(B)任意選択的に(A)に続いて、色安定化媒体を添加することにより前記エステル化されたFDCA濃縮フラクションを色安定化して、安定化されエステル化されたFDCA濃縮フラクションを得ること、
を更に含む、条項115に記載の方法。
120.前記エステル化剤がメタノールであり、前記FDCAのエステル誘導体が2,5-フランジカルボン酸ジメチルエステル(FDME)である、条項119に記載の方法。
121.(A)に続いて:
FDCAのエステル誘導体を含む前記エステル化されたFDCA濃縮フラクションを、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマーと反応させて、(i)前記FDCAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体を含み(ii)TPAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体を実質的に含まない、エステル交換された中間体組成物を生成すること、及び
前記第1のエステル交換された中間体を重縮合することによって前記エステル交換された中間体組成物を重合して、フランジカルボキシレート部位を有しテレフタレート部位を実質的に有さないコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、
又は(B)に続いて:
前記安定化されエステル化されたFDCA濃縮フラクションを少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマーと反応させて、(i)前記FDCAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体を含み(ii)前記TPAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体を実質的に含まない、安定化されエステル交換された中間体組成物を生成すること、及び
前記第1のエステル交換された中間体を重縮合することによって前記安定化されエステル交換された中間体組成物を重合して、フランジカルボキシレート部位を有しテレフタレート部位を実質的に有さないコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、
のいずれかを更に含む、条項119又は120に記載の方法。
122.
(A)色安定化媒体を添加することによって前記第2のTPA濃縮フラクションを色安定化して、安定化されたエステル化FDCA濃縮フラクションを得ること、及び
(B)任意選択的に(A)に続いて、前記安定化されたTPA濃縮フラクションをエステル化剤と反応させることによってエステル化して、TPAのエステル誘導体を含む安定化されエステル化されたTPA濃縮フラクションを得ること、
を更に含む、条項115に記載の方法。
123.前記エステル化剤がメタノールであり、前記TPAエステル誘導体がテレフタル酸ジメチル(DMT)である、条項122に記載の方法。
124.(A)に続いて:
前記安定化されたTPA濃縮フラクションを、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマーと反応させて、(i)TPAと前記コモノマーとの反応生成物である第1のエステル化された中間体を含み(ii)FDCAと前記コモノマーとの反応生成物である第2のエステル化された中間体を実質的に含まない、安定化されエステル化された中間体組成物を生成すること、及び
前記第1のエステル化された中間体を重縮合することによって前記安定化されエステル化された中間体組成物を重合して、テレフタレート部位を有しフランジカルボキシレート部位を実質的に有さないコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、
又は(B)に続いて:
前記TPAのエステル誘導体を含む、前記安定化されエステル化されたTPA濃縮フラクションを、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマーと反応させて、(i)前記TPAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体を含み(ii)FDCAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体を実質的に含まない、安定化されエステル交換された中間体組成物を生成すること、及び
前記第1のエステル交換された中間体を重縮合することによって前記安定化されエステル交換された中間体組成物を重合して、テレフタレート部位を有しフランジカルボキシレート部位を実質的に有さないコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、
を更に含む、条項122又は条項123に記載の方法。
125.
(A)前記第2のTPA濃縮フラクションをエステル化剤との反応によりエステル化して、TPAのエステル誘導体を含むエステル化されたTPA濃縮フラクションを得ること、及び
(B)任意選択的に(A)に続いて、色安定化媒体を添加することによって、前記エステル化されたTPA濃縮フラクションの色安定化を行って、安定化されエステル化されたTPA濃縮フラクションを得ること、
を更に含む、条項115に記載の方法。
126.前記エステル化剤がメタノールであり、前記TPAエステル誘導体がテレフタル酸ジメチル(DMT)である、条項125に記載の方法。
127.(A)に続いて:
TPAのエステル誘導体を含む前記エステル化されたTPA濃縮フラクションを、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマーと反応させて、(i)前記TPAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体を含み(ii)FDCAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体を実質的に含まない、エステル交換された中間体組成物を生成すること、及び
前記第1のエステル交換された中間体を重縮合することによって前記エステル交換された中間体組成物を重合して、テレフタレート部位を有しフランジカルボキシレート部位を実質的に有さないコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、
又は(B)に続いて:
前記安定化されエステル化されたTPA濃縮フラクションを少なくとも2つのヒドロキシル基を有するコモノマーと反応させて、(i)前記TPAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第1のエステル交換された中間体を含み(ii)前記FDCAのエステル誘導体と前記コモノマーとの反応生成物である第2のエステル交換された中間体を実質的に含まない、安定化されエステル交換された中間体組成物を生成すること、及び
前記第1のエステル交換された中間体を重縮合することによって前記安定化されエステル交換された中間体組成物を重合して、テレフタレート部位を有しフランジカルボキシレート部位を実質的に有さないコポリマーを含むコポリマー生成物を得ること、
を更に含む、条項125又は条項126に記載の方法。
128.前記色安定化媒体が1種以上の置換フェノールを含む、条項108~114、又は116~127のいずれか一項に記載の方法。
129.前記1種以上の置換フェノールが、メトキシ置換フェノール(例えばブチル化ヒドロキシアニソール(BHA);2,6-ジメトキシフェノール(DMP);2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール(DTMP))、tert-ブチル置換フェノール(例えばペンタエリスリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート(PETC);2-tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ);エチレンビス(オキシエチレン)ビス-(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)-プロピオネート);オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項128に記載の方法。
130.前記色安定化媒体が、1種以上のフェニル置換アミン(例えば4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(XDPA))、1種以上のホスファイト(例えばトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)、抗酸化ビタミン(例えばアスコルビン酸)、又はこれらの任意の組み合わせを含む、条項108~114、116~127、128、又は129のいずれか一項に記載の方法。
131.前記色安定化媒体が、1種以上のtert-ブチル置換フェノールと1種以上のホスファイトとの組み合わせを含む、条項108~114、116~127、又は128~130のいずれか一項に記載の方法。
132.前記色安定化媒体が、50重量%のPETCと50重量%のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトとを含む、条項108~114、116~127、又は128~131のいずれか一項に記載の方法。
133.前記色安定化媒体が20重量%のオクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネートと80重量%のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトとを含む、条項108~114、116~127、又は128~131のいずれか一項に記載の方法。
134.前記少なくとも2つのヒドロキシル基を有する前記コモノマーがジオールである、条項110、114、117、119、124、127、又は128~133のいずれか一項に記載の方法。
135.前記ジオールが、エチレングリコール、1,3-プロパノール、イソマンニド、イソソルビド、イソイジド、フラン-2,5-ジオール、フラン-2,5-ジメタノール、ヒドロキノン、ベンゼン-1,4-ジメタノール、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項134に記載の方法。
136.前記ジオールがイソイジドを含む、条項134又は135に記載の方法。
137.前記ジオールがイソイジドである、条項134~136のいずれか一項に記載の方法。
138.2,5-フランジカルボン酸(FDCA)とテレフタル酸(TPA)とを含む混合モノマー組成物の製造方法であって、
(i)FDCA形成フラン類及び(ii)パラキシレンを、酸化触媒と反応物である酸素とが入っている酸化反応器に共供給して、前記混合モノマー組成物を得ること、
を含む方法。
139.パラキシレンが、(i)と(ii)の合計量の1重量%~75重量%を占める、条項138に記載の方法。
140.パラキシレンが、(i)と(ii)の合計量の2重量%~45重量%を占める、条項138又は139に記載の方法。
141.パラキシレンが、(i)と(ii)の合計量の5重量%~35重量%を占める、条項138~140のいずれか一項に記載の方法。
142.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)FDCA形成フラン類100mol%に対して、50mol%未満、好ましくは45mol%未満の量で存在する、条項138~141のいずれか一項に記載の方法。
143.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)FDCA形成フラン類100mol%に対して5mol%~45mol%の量で存在する、条項138~142のいずれか一項に記載の方法。
144.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)FDCA形成フラン類100mol%に対して10mol%~80mol%の量で存在する、条項138~143のいずれか一項に記載の方法。
145.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)FDCA形成フラン類100mol%に対して30mol%~60mol%の量で存在する、条項138~144のいずれか一項に記載の方法。
146.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)FDCA形成フラン類100mol%に対して85mol%~200mol%の量で存在する、条項138~145のいずれか一項に記載の方法。
147.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)FDCA形成フラン類100mol%に対して90mol%~150mol%の量で存在する、条項138~146のいずれか一項に記載の方法。
148.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)FDCA形成フラン類100mol%に対して100mol%~125mol%の量で存在する、条項138~147のいずれか一項に記載の方法。
149.前記(ii)パラキシレンが、前記(i)FDCA形成フラン類のモル量を超えるモル量で存在する、条項138~148のいずれか一項に記載の方法。
150.前記(i)FDCA形成フラン類が、前記(ii)パラキシレンのモル量を超えるモル量で存在する、条項138~149のいずれか一項に記載の方法。
151.前記(i)FDCA形成フラン類が、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)及び/又はそのエステル若しくはエーテル誘導体を含む、条項138~150のいずれか一項に記載の方法。
152.前記(i)FDCA形成フラン類が5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を含む、条項138~151のいずれか一項に記載の方法。
153.前記(i)FDCA形成フラン類が、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のエステル誘導体を含む、条項138~152のいずれか一項に記載の方法。
154.5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の前記エステル誘導体が5-(アセトキシメチル)フルフラールである、条項153に記載の方法。
155.前記(i)FDCA形成フラン類が5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)のエーテル誘導体を含む、条項138~154のいずれか一項に記載の方法。
156.5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の前記エーテル誘導体が5-(メトキシメチル)フルフラールである、条項155に記載の方法。
157.1種以上のフミン質も前記酸化反応器中に存在する、条項138~156のいずれか一項に記載の方法。
158.前記反応物である酸素の供給源が空気である、条項138~157のいずれか一項に記載の方法。
159.前記反応物である酸素の供給源が精製酸素である、条項138~158のいずれか一項に記載の方法。
160.前記酸化触媒が均一系酸化触媒である、条項138~159のいずれか一項に記載の方法。
161.前記酸化触媒が金属含有触媒である、条項138~160のいずれか一項に記載の方法。
162.前記酸化触媒が1種以上の遷移金属を含む、条項138~161のいずれか一項に記載の方法。
163.前記酸化触媒がCoを含む、条項138~162のいずれか一項に記載の方法。
164.前記酸化触媒がMnを含む、条項138~163のいずれか一項に記載の方法。
165.前記酸化触媒がCo及びMnを含む、条項138~164のいずれか一項に記載の方法。
166.前記酸化触媒がCo(II)の形態のCoを含む、条項138~165のいずれか一項に記載の方法。
167.前記酸化触媒が酢酸コバルト(II)の形態のCoを含む、条項138~166のいずれか一項に記載の方法。
168.前記酸化触媒が臭化コバルト(II)の形態のCoを含む、条項138~167のいずれか一項に記載の方法。
169.前記酸化触媒がシュウ酸コバルト(II)の形態のCoを含む、条項138~168のいずれか一項に記載の方法。
170.前記酸化触媒がMn(II)の形態のMnを含む、条項138~169のいずれか一項に記載の方法。
171.前記酸化触媒が酢酸マンガン(II)の形態のMnを含む、条項138~170のいずれか一項に記載の方法。
172.前記酸化触媒が臭化マンガン(II)の形態のMnを含む、条項138~171のいずれか一項に記載の方法。
173.前記酸化触媒がシュウ酸マンガン(II)の形態のMnを含む、条項138~172のいずれか一項に記載の方法。
174.前記酸化触媒が更にZrを含む、条項163~173のいずれか一項に記載の方法。
175.前記ZrがZr(IV)である、条項174に記載の方法。
176.前記Zr(IV)が酢酸Zr(IV)である、条項175に記載の方法。
177.前記酸化触媒がCeを更に含む、条項163~176のいずれか一項に記載の方法。
178.前記CeがCe(III)である、条項177に記載の方法。
179.前記Ce(III)が酢酸Ce(III)である、条項178に記載の方法。
180.前記酸化触媒が更にBrを含む、条項138~179のいずれか一項に記載の方法。
181.臭素源が前記酸化反応器に供給される、条項138~180のいずれか一項に記載の方法。
182.前記臭素源が、HBrなどの無機臭化物;臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化コバルト、及び臭化マンガンなどの金属臭化物;5-(ブロモメチル)フルフラール及びその誘導体、並びに臭化フランオリゴマーなどの有機臭化物;並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項181に記載の方法。
183.前記酸化触媒中の前記1種以上の遷移金属の濃度が、独立して、前記酸化反応混合物の総重量を基準として5重量ppm~10,000重量ppmの範囲である、条項162~182のいずれか一項に記載の方法。
184.前記酸化触媒中の前記1種以上の遷移金属の濃度が、独立して、前記酸化反応混合物の総重量を基準として10重量ppm~8,000重量ppmの範囲である、条項162~183のいずれか一項に記載の方法。
185.前記酸化触媒中の前記1種以上の遷移金属の濃度が、独立して、前記酸化反応混合物の総重量を基準として50重量ppm~5,000重量ppmの範囲である、条項162~184のいずれか一項に記載の方法。
186.Coが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として10重量ppm~10,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項138~185のいずれか一項に記載の方法。
187.Coが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として10重量ppm~8,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項138~186のいずれか一項に記載の方法。
188.Coが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として59重量ppm~5,900重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項138~187のいずれか一項に記載の方法。
189.Coが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として2,000重量ppm~4,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項138~188のいずれか一項に記載の方法。
190.Mnが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として5重量ppm~10,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項138~189のいずれか一項に記載の方法。
191.Mnが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として5重量ppm~8,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項138~190のいずれか一項に記載の方法。
192.Mnが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として55重量ppm~5,500重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項138~191のいずれか一項に記載の方法。
193.Mnが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として200重量ppm~1,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項138~192のいずれか一項に記載の方法。
194.Brが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として0.1重量ppm~20,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項138~193のいずれか一項に記載の方法。
195.Brが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として200重量ppm~20,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項138~194のいずれか一項に記載の方法。
196.Brが、前記酸化反応混合物の総重量を基準として10重量ppm~10,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項138~195のいずれか一項に記載の方法。
197.Brが、前記反応混合物の総重量を基準として1,000重量ppm~2,000重量ppmの濃度で前記酸化反応混合物中に存在する、条項138~196のいずれか一項に記載の方法。
198.前記酸化反応混合物中の前記Coの量が、前記(i)FDCA形成フラン類100mol%に対して1~50mol%である、条項138~197のいずれか一項に記載の方法。
199.前記酸化反応混合物中の前記Coの量が、前記(i)FDCA形成フラン類100mol%に対して2~30mol%である、条項138~198のいずれか一項に記載の方法。
200.前記酸化反応混合物中の前記Coの量が、前記(i)FDCA形成フラン類100mol%に対して10~20mol%である、条項138~199のいずれか一項に記載の方法。
201.前記酸化反応混合物中の前記Coの量が、前記(i)FDCA形成フラン類100mol%に対して1~50mol%である、条項138~200のいずれか一項に記載の方法。
202.前記酸化反応混合物中のCo:Mnのモル比が1:1~100:1である、条項138~201のいずれか一項に記載の方法。
203.前記酸化反応混合物中のCo:Mnのモル比が1:1~10:1である、条項138~202のいずれか一項に記載の方法。
204.前記酸化反応混合物中のCo:Mnのモル比が3:1~6:1である、条項138~203のいずれか一項に記載の方法。
205.前記酸化反応混合物中のBr:(全金属)のモル比が1:100~10:1である、条項138~204のいずれか一項に記載の方法。
206.前記酸化反応混合物中のBr:(全金属)のモル比が1:50~5:1である、条項138~205のいずれか一項に記載の方法。
207.前記酸化反応混合物中のBr:(全金属)のモル比が1:20~1.5:1である、条項138~206のいずれか一項に記載の方法。
208.前記酸化反応混合物中のBr:(全金属)のモル比が1:5~1:1である、条項138~207のいずれか一項に記載の方法。
209.前記酸化反応器が、120℃~250℃の温度を含む酸化条件下で運転される、条項138~208のいずれか一項に記載の方法。
210.前記酸化反応器が、170℃~190℃の温度を含む酸化条件下で運転される、条項138~209のいずれか一項に記載の方法。
211.前記酸化反応器が、0.02bar~100barの酸素分圧を含む酸化条件下で運転される、条項138~210のいずれか一項に記載の方法。
212.前記酸化反応器が、0.02bar~21barの酸素分圧を含む酸化条件下で運転される、条項138~211のいずれか一項に記載の方法。
213.前記酸化反応器が、0.2bar~100barの酸素分圧を含む酸化条件下で運転される、条項138~212のいずれか一項に記載の方法。
214.前記酸化反応器が、0.2bar~21barの酸素分圧を含む酸化条件下で運転される、条項138~213のいずれか一項に記載の方法。
215.前記酸化反応器が、1bar~200barの全圧(絶対圧)を含む酸化条件下で運転される、条項138~214のいずれか一項に記載の方法。
216.前記酸化反応器が、5bar~100barの全圧(絶対圧)を含む酸化条件下で運転される、条項138~215のいずれか一項に記載の方法。
217.前記酸化反応器が、10bar~20barの全圧(絶対圧)を含む酸化条件下で運転される、条項138~216のいずれか一項に記載の方法。
218.前記酸化反応器が溶媒を更に含む、条項138~217のいずれか一項に記載の方法。
219.前記溶媒が酢酸を含む、条項218に記載の方法。
220.前記溶媒が水を含む、条項218又は条項219に記載の方法。
221.前記溶媒が酢酸及び水を含む、条項218~220のいずれか一項に記載の方法。
222.前記酸化反応器が、FDCAとTPAとを含む混合モノマー組成物を生成するのに十分な時間、酸化条件下で運転される、条項138~221のいずれか一項に記載の方法。
223.前記酸化反応器が酸化条件下で15分~24時間運転される、条項138~222のいずれか一項に記載の方法。
224.前記混合モノマー組成物が、着色副生成物として、FDCAのアルデヒド誘導体とTPAのアルデヒド誘導体とを含む、条項138~223のいずれか一項に記載の方法であって、
前記FDCAのアルデヒド誘導体と前記TPAのアルデヒド誘導体のうちの一方又は両方を選択的に水素化することを更に含む、方法。
225.前記FDCAのアルデヒド誘導体が5-ホルミル-2-フランカルボン酸(FFCA)であり、前記TPAのアルデヒド誘導体が4-カルボキシベンズアルデヒド(4-CBA)である、条項224に記載の方法。
226.前記FDCAのアルデヒド誘導体と前記TPAのアルデヒド誘導体のうちの一方又は両方を前記選択的に水素化することが、前記混合モノマー組成物をFDCA濃縮フラクションとTPA濃縮フラクションとに分離することに続いて行われる、条項224又は条項225に記載の方法。
227.前記混合モノマー組成物が、着色副生成物として、FDCAのアルデヒド誘導体とTPAのアルデヒド誘導体とを含む、条項138~223のいずれか一項に記載の方法であって、
前記FDCAと前記TPAのうちの一方又は両方をエステル化するステップにおいて、更なる着色副生成物として、FDCAのエステル誘導体のアルデヒド誘導体とTPAのエステル誘導体のアルデヒド誘導体のうちの一方又は両方を生成することを更に含み、
FDCAの前記エステル誘導体の前記アルデヒド誘導体とTPAの前記エステル誘導体の前記アルデヒド誘導体のうちの一方又は両方を選択的に水素化することを更に含む、方法。
228.FDCAの前記エステル誘導体の前記アルデヒド誘導体が5-ホルミル-2-フランカルボン酸メチルエステル(FFME)であり、TPAの前記エステル誘導体の前記アルデヒド誘導体が4-カルボキシベンズアルデヒドメチルエステル(4-CME)である、条項227に記載の方法。
229.前記混合モノマー組成物をエステル化剤と反応させることによって前記混合モノマー組成物をエステル化し、FDCAの前記エステル誘導体の前記アルデヒド誘導体とTPAの前記エステル誘導体の前記アルデヒド誘導体の両方を含むエステル化された混合モノマー組成物を得るステップにおいて、前記FDCAとTPAの両方をエステル化することを含む、条項227又は条項228に記載の方法。
230.前記FDCAとTPAの両方の前記エステル化が、前記エステル化された混合モノマー組成物をFDCAのエステル誘導体が濃縮された第1のフラクションとTPAのエステル誘導体が濃縮された第2のフラクションとに分離することの上流で行われる、条項229に記載の方法。
231.前記FDCAとTPAの一方又は両方の前記エステル化が、前記混合モノマー組成物を前記FDCA濃縮フラクションと前記TPA濃縮フラクションとに分離することの下流の、FDCA濃縮フラクションとTPA濃縮フラクションのうちの一方又は両方をエステル化剤と反応させることによってエステル化するステップにおいて行われる、条項228に記載の方法。
232.前記選択的水素化ステップが、前記混合モノマー組成物を水素化触媒の存在下で水素と接触させることを含む、条項224~231のいずれか一項に記載の方法。
233.前記水素化触媒がPt、Ru、及びSnを含む、条項232に記載の方法。
234.前記共供給が、前記FDCA形成フラン類と前記パラキシレンとを別個の供給流として前記酸化反応器に供給することを含む、条項138~233のいずれか一項に記載の方法。
235.前記共供給が、前記FDCA形成フラン類と前記パラキシレンとを合わせて混合供給流にすることと、前記混合供給流を前記酸化反応器に供給することを含む、条項138~233のいずれか一項に記載の方法。
236.前記共供給の前に、1種以上の炭水化物を脱水してFDCA形成フラン類を得ることを更に含む、条項138~233のいずれか一項に記載の方法。
237.前記脱水ステップが臭素源の存在下で行われる、条項236に記載の方法。
238.前記臭素源が、臭化水素、臭化水素酸、臭化ナトリウム、臭化カリウム、分子状臭素、臭化ベンジル、テトラブロモエタン、1-アルキルピリジニウムブロミド、及び1,3-ジアルキルイミダゾリウムブロミドからなる群から選択される、条項237に記載の方法。
239.前記臭素源が臭化水素である、条項237又は238に記載の方法。
240.前記臭素源が臭化水素酸である、条項237又は238に記載の方法。
241.前記脱水が、低級カルボン酸又は低級アルコールを含む溶液中で前記1種以上の炭水化物を用いて行われる、条項236~240のいずれか一項に記載の方法。
242.前記低級カルボン酸が酢酸である、条項241に記載の方法。
243.前記アルコールが、メタノール、エタノール、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項241又は条項242に記載の方法。
244.前記溶液がパラキシレンを更に含む、条項241~243のいずれか一項に記載の方法。
245.前記脱水ステップで使用される前記パラキシレンの少なくとも一部が、前記酸化ステップ後に前記混合モノマー組成物から回収されて前記脱水ステップに戻されリサイクルされる未変換のパラキシレンである、条項244に記載の方法。
246.パラキシレンを含む溶液中で、前記脱水を触媒する酸の存在下で、前記1種以上の炭水化物を用いて前記脱水が行われる、条項236~245のいずれか一項に記載の方法。
247.前記脱水を触媒するための前記酸が前記低級カルボン酸以外である、条項246に記載の方法。
248.前記脱水を触媒する前記酸が臭化水素酸である、条項246又は247に記載の方法。
249.前記脱水ステップで使用される前記パラキシレンの少なくとも一部が、前記酸化ステップ後に前記混合モノマー組成物から回収されて前記脱水ステップに戻されリサイクルされる未変換パラキシレンである、条項246に記載の方法。
250.前記酸化触媒がCo、Mn、及びBrを含み、更に、Brの少なくとも一部が回収されリサイクルされて前記脱水ステップに供給される、条項236~249のいずれか一項に記載の方法。
251.前記脱水ステップに供給される前記Brの少なくとも一部が臭化水素の形態である、条項250に記載の方法。
252.前記脱水の後、前記共供給の前に、前記FDCA形成フラン類のフミン質含有量が減少しない、条項251に記載の方法。
253.前記脱水の後、前記共供給の前に、前記FDCA形成フラン類のフミン質含有量が減少しない、条項236に記載の方法。
254.前記1種以上の炭水化物がヘキソース糖から選択される、条項236~253のいずれか一項に記載の方法。
255.前記1種以上の炭水化物がフルクトースである、条項236~254のいずれか一項に記載の方法。
256.前記1種以上の炭水化物がフルクトース水溶液である、条項236~255のいずれか一項に記載の方法。
257.前記1種以上の炭水化物が、前記溶液の総重量を基準として5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~30重量%のフルクトースを含むフルクトース水溶液である、条項236~256のいずれか一項に記載の方法。
258.前記フルクトースが、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも97重量%の純度を有する、条項255~257のいずれか一項に記載の方法。
259.テレフタル酸(TPA)製造プラントを改変する方法であって、前記製造プラントが、供給流としてのパラキシレン及び酸素を受け取るように適合させた酸化反応器を備え、溶媒をTPAから分離して前記酸化反応器にリサイクルするように構成された下流のTPA結晶化・回収セクションを更に備え、
前記酸化反応器の既存の入口からの、又は前記酸化反応器の追加された入口からの接続部を用いて上流の炭水化物脱水反応器に前記TPA製造プラントを組み込み改造することを含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5