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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】浴槽の一口循環口カバー
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20230704BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
F24H9/00 Z
A47K3/00 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023030738
(22)【出願日】2023-03-01
【審査請求日】2023-03-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523074412
【氏名又は名称】齋藤 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【弁理士】
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】齋藤裕司
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-015275(JP,A)
【文献】特開2001-065995(JP,A)
【文献】実開昭56-078953(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F24H 9/12
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽(2)の側壁(2b)に設けられた正面視略円盤状の循環口(3)であって、側面(3b)に、浴槽(2)内にお湯を供給する給湯口(3c、3d)が設けられた一口循環口(3)に対して設けられるカバーであって、
正面視で、前記一口循環口(3)の周りにおいて、少なくとも前記給湯口(3c、3d)の正面側を覆う正面板(10)と、
この正面板(10)と浴槽(2)の側壁(2b)との間において前記正面板(10)の背面側に設けられた誘導路であって、前記給湯口(3c、3d)に当接ないし近接して対向配置され、該給湯口(3c、3d)から供給されるお湯を受け入れる受け入れ口(13c3、13d3)と、この受け入れ口(13c3、13d3)よりも正面視で斜め下方に配置されるお湯の流出口(13c4,13d4)と、これら受け入れ口(13c3、13d3)と流出口(13c4,13d4)とを連通し、お湯の流れ方向から見て少なくとも三方に隔壁(13w)を有するお湯誘導路(13c、13d)と、
前記正面板(10)を前記浴槽(2)の側壁(2b)および/または前記一口循環口(3)に取り付ける取付部(14)と、
を備え
前記正面板(10)は、前記一口循環口(3)の正面に対向配置される開口(15)を有し、この開口(15)には、浴槽(2)内から一口循環口(3)が有する吸入口(3c)に向かう異物を濾過するフィルター(16)が設けられていることを特徴とする浴槽の一口循環口カバー。
【請求項2】
請求項1において、
正面視で、前記お湯誘導路(13c、13d)は前記一口循環口(3)の左右にそれぞれ設けられていることを特徴とする浴槽の一口循環口カバー。
【請求項3】
請求項1において、
正面視で、前記お湯誘導路(13c、13d)は前記一口循環口(3)の左右にそれぞれ複数設けられていることを特徴とする浴槽の一口循環口カバー。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記お湯誘導路(13c、13d)は、お湯の流れ方向から見た面積が、前記受け入れ口(13c3、13d3)から流出口(13c4,13d4)に向かって徐々に大きくなっていることを特徴とする浴槽の一口循環口カバー。
【請求項5】
請求項において、
前記フィルター(16)は前記開口(15)に対し上下方向にスライドすることで着脱されることを特徴とする浴槽の一口循環口カバー。
【請求項6】
請求項2または3において、
前記お湯誘導路(13c、13d)の流出口にはメッシュ体(17)が設けられていることを特徴とする浴槽の一口循環口カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の一口循環口カバーに関するものである。より詳しくは、浴槽の側壁に設けられた正面視略円盤状の一口循環口に対して設けることで、入浴者に熱いお湯が触れにくくするカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1~3に見られるような技術が知られている。
【0003】
<特許文献1>実公昭61-7476号号公報
特許文献1には、
「取付脚10aが立設されると共に、該取付脚1Oaに近接してヒートパイプ11の加熱部11aが位置され他端の放熱部11bが斜め下方に向くように配設して前記ヒートパイプ11を取付けてなる取付板10を、該取付板10の前記取付脚1Oaを浴槽側壁1aの湯出口lbに挿着して、取付板10を着脱自在とするように構成され」(同文献〔考案か解決しようとする問題点〕の欄第2段落)、
「湯出口からの高温の湯は、湯出口に挿着した取付脚に近接するヒートバイブの加熱部で吸熱されて温度を低下されてから浴槽内に流入し、一方湯出口から離れた位置の浴槽水は前記ヒートバイブの放熱部の放熱により加熱されるから、浴槽の上下部の浴槽水を温度差を少なく効率良く沸かすことがてきて沸き上り時間の短縮化かてき、浴槽水を攪拌するなどのわずられしい作業が不要となると共に、ヒートバイブを取付けた取付板はこの取付板に立設した取付脚を湯出口に着脱自在に挿着しており、取付板は入浴時にもそれほど邪魔にならず、入浴時の追焚きにおいて、湯出口からの熱湯はぬるめられてから浴槽内に流入し、入浴者の不快惑や火傷等の心配も解消する効果がある。」(同文献〔考案の効果〕の欄)
浴槽が記載されている。
【0004】
しかし、この文献における取付板10は、旧来の湯出口1bに取り付けられるものであり、現在主流となっている一口循環口には取り付けることができない。
仮に、取り付けることができたとしても、取り付け板10にはヒートパイプ11が取り付けられているだけであるから、お湯を良好に誘導することはできない。
【0005】
<特許文献2>実開昭59-139846号公報
特許文献2には、
「循環式風呂釜の熱湯出口から噴出する熱湯を間接的に浴槽へ拡散させて、入浴中に前記出口から噴出する熱湯によって感じる刺激的な熱さを和らげ、又やけどを防ぐ装置」(同文献「3.考案の詳細な説明」の欄第1段落)
が記載されている。
【0006】
しかし、この装置本体1の正面には複数の小穴2が開けられているので、この小穴2から入浴者に対して熱いお湯が流出する恐れがある。
【0007】
<特許文献3>実開平1-139788号公報
特許文献3には、
「湯面下の吐出口から出る熱湯又は外部から蛇口を通して注入される熱湯を狭い箱内で在来の湯と混合し、温度を下げて浴槽に出すことを目的」とし(同文献[考案が解決しようとする問題点]の欄)、
「循環加熱式浴槽の熱湯吐出口の取付け面の湯面下に巾が広く、縦も長く、厚さは薄い防熱箱を吸盤で取り付け、吐出口と熱湯受入口を中穴吸盤で連結し、天井蓋には空気抜孔を備え、下方を開放した浴槽の熱湯防熱箱」(同文献「2.実用新案登録請求の範囲」
が記載されている。
【0008】
しかし、この浴槽の熱湯防熱箱は、旧来の熱湯吐出口2に取り付けられるものであり、現在主流となっている一口循環口には取り付けることができない。
仮に、取り付けることができたとしても、給湯口の正面に防熱箱1が取り付けられているだけであるから、お湯を良好に誘導することができず、熱湯は防熱箱1内に滞り、防熱箱1自体が高温になってしまう恐れがある。
【0009】
<特許文献4>特開2001-065995号公報
特許文献4には、
「簡単な構成で浴槽内に好ましい循環流を構成することができると共に、平均的な浴槽温度を検出し易くした接続金具を備えた風呂装置の提供する」ことを課題とし、
「浴槽10の側壁11に接続金具20を貫通する形で取り付けることで、給湯器等からの温水を接続金具20を介して導入するようにした風呂装置であって、接続金具20は、外部から受け入れた温水を浴槽10内に対して接続金具20が取り付けられた側壁11に垂直な方向に直進させるのではなく前記垂直な方向から角度を持った何れか1方向に吐出させるように、その吐出口21eを形成し、一方、浴槽10内の温度を検出する浴槽温度センサ24を、前記1方向に吐出された温水が浴槽10内を循環して戻ってくる循環流の末端付近の接続金具20の部分に設けた」
風呂装置が記載されている(同文献要約欄)。
【0010】
しかし、この風呂装置は、接続金具20すなわち浴槽の一口循環口そのものに関するものであり、一口循環口に対して設けるカバーに関するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】実公昭61-7476号公報
【文献】実開昭59-139846号公報
【文献】実開平1-139788号公報
【文献】特開2001-065995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、浴槽の側壁に設けられた正面視略円盤状の一口循環口に対して設けることで、入浴者に熱いお湯が触れにくくすることができる浴槽の一口循環口カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明の浴槽の一口循環口カバーは、
浴槽の側壁に設けられた正面視略円盤状の循環口であって、側面に、浴槽内にお湯を供給する給湯口が設けられた一口循環口に対して設けられるカバーであって、
正面視で、前記一口循環口の周りにおいて、少なくとも前記給湯口の正面側を覆う正面板と、
この正面板と浴槽の側壁との間において前記正面板の背面側に設けられた誘導路であって、前記給湯口に当接ないし近接して対向配置され、該給湯口から供給されるお湯を受け入れる受け入れ口と、この受け入れ口よりも正面視で斜め下方に配置されるお湯の流出口と、これら受け入れ口と流出口とを連通し、お湯の流れ方向から見て少なくとも三方に隔壁を有するお湯誘導路と、
前記正面板を前記浴槽の側壁および/または前記一口循環口に取り付ける取付部と、
を備えていることを特徴とする。
【0014】
上記の構成となっているので、この浴槽の一口循環口カバーは次のようにして使用することができ、使用時には、次のような作用効果が得られる。
浴槽の側壁に設けられた正面視略円盤状の一口循環口に対し、正面視で、少なくとも給湯口の正面側を覆うように正面板を取付部によって取り付ける。
正面板と浴槽の側壁との間において正面板の背面側には誘導路が設けられており、この誘導路の、給湯口から供給されるお湯を受け入れる受け入れ口は、給湯口に当接ないし近接して対向配置され、誘導路におけるお湯の流出口は前記受け入れ口よりも正面視で斜め下方に配置され、これら受け入れ口と流出口とを連通している当該誘導路はお湯の流れ方向から見て少なくとも三方に隔壁を有しているので、一口循環口側面の給湯口からお湯が浴槽内に供給される際には、そのお湯は前記誘導路を通って、正面視で一口循環口側面の給湯口から斜め下方に配置された流出口を経て浴槽内へと供給される。
したがって、例えば仮に入浴者が浴槽の一口循環口に背を向けて入浴していたとしても、一口循環口側面の給湯口から流出するお湯が入浴者に向かうことはなくなり(少なくとも向かいにくくなり)、結果として、入浴者に熱いお湯が触れにくくすることができる。
【0015】
なお、本発明によれば、
上記特許文献1(実公昭61-7476号公報)のものとは異なり、正面板の背面側には上記受け入れ口と流出口とを有するお湯の流れ方向から見て少なくとも三方に隔壁を有しているお湯誘導路が設けられているので、お湯は良好に誘導される。
また、上記特許文献2(実開昭59-139846号公報)のものと異なり、正面板には小穴が開けられていないので、小穴から入浴者に対して熱いお湯が流出する恐れもない。
また、特許文献3(実開平1-139788号公報)のものと異なり、一口循環口側面の給湯口からのお湯はお湯誘導路によって斜め下方に配置された流出口へと導かれるので、お湯が滞るということもない。
また、特許文献4(特開2001-065995号公報)のものとも異なり、一口循環口に対して設けることが可能である。
【0016】
この浴槽の一口循環口カバーにおいては、
正面視で、前記お湯誘導路は前記一口循環口の左右にそれぞれ設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、一口循環口の左右両方又は左右どちらに給湯口がある場合でも使用することができる。
【0017】
この浴槽の一口循環口カバーにおいては、
正面視で、前記お湯誘導路は前記一口循環口の左右にそれぞれ複数設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、一口循環口の左右両方又は左右どちらに給湯口がある場合でも使用することができる。
さらに、お湯誘導路が複数設けられていることにより、一口循環口側面の給湯口からのお湯が複数の誘導路に分散されて供給されるので、入浴者に熱いお湯がさらに触れにくくすることができる。
【0018】
この浴槽の一口循環口カバーにおいては、
前記お湯誘導路は、お湯の流れ方向から見た面積が、前記受け入れ口から流出口に向かって徐々に大きくなっている構成とすることができる。
このように構成すると、お湯誘導路の流出口から出るお湯の勢いが緩和されるので、入浴者に熱さを感じにくくできる。
【0019】
この浴槽の一口循環口カバーにおいては、
前記正面板は、前記一口循環口の正面に対向配置される開口を有し、この開口には、浴槽内から一口循環口が有する吸入口に向かう異物を濾過するフィルターが設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、一口循環口が有するフィルターを取り外した状態で、本発明の浴槽の一口循環口カバーを使用することが可能となる。
【0020】
この浴槽の一口循環口カバーにおいては、
前記フィルターは前記開口に対し上下方向にスライドすることで着脱される構成とすることができる。
このように構成すると、従来の一口循環口カバーのフィルターよりも容易に着脱が可能となる。
【0021】
この浴槽の一口循環口カバーにおいては、
前記お湯誘導路の流出口にはメッシュ体が設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、流出口から流出するお湯の流れを分散することができる。
また、給湯口が吸入口となることもある一口循環口の場合には、メッシュ体をフィルターとして作用させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る浴槽の一口循環口カバーの実施の形態の使用状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図。
図2】同実施の形態を示す図で、(a)は一口循環口に装着した状態の正面図、(b)は同じく右側面図、(c)は同実施の形態の背面図、(d)は図(a)におけるd-d拡大端面図、(d’)は図(a)におけるd-d拡大端面図に相当する図、(e)は変形例を示す図。
図3】同実施の形態を適用可能な一口循環口の一例を示す図で、(a)は一口循環口本体の正面図、(b)は右側面図、(c)は浴槽内に露出する部分の正面図、(d)は金属フィルターを装着した状態の正面図、(b)は同じく右側面図。
図4】(a)(b)はそれぞれ作用説明平面図。
図5】変形例を示す図で、(a)は一口循環口に装着した状態の正面図、(b)は同じく右側面図、(c)は同変形例の背面図、(d)は図(a)におけるd-d拡大端面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る浴槽の一口循環口カバーの実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0024】
図1図2に示すように、この実施の形態の浴槽の一口循環口カバー1は、
浴槽2の側壁2bに設けられた正面視略円盤状の循環口3(図3(c)又は(d)参照)であって、側面3bに、浴槽2内にお湯を供給する給湯口3c、3dが設けられた一口循環口3に対して設けられるカバーであって、
正面視(図1(b)、図2(a))で、一口循環口3の周りにおいて、少なくとも給湯口3c、3dの正面側を覆う正面板10と、
この正面板10と浴槽2の側壁2bとの間c1(図1(a)参照)において正面板10の背面10b側に設けられた誘導路(13c、13d)であって、給湯口3c、3dに当接ないし近接して対向配置され、該給湯口3c、3dから供給されるお湯を受け入れる受け入れ口13c3、13d3と、この受け入れ口13c3、13d3よりも正面視で斜め下方に配置されるお湯の流出口13c4、13d4と、これら受け入れ口13c3、13d3と流出口13c4、13d4とを連通し、図2(d)(d’)に示すようにお湯の流れ方向から見て少なくとも三方に隔壁13wを有するお湯誘導路13c、13dと、
正面板10を浴槽2の側壁2bに取り付ける取付部14と、
を備えている。
なお、取付部は、正面板10を浴槽2の側壁2bに取り付ける構成の取付部14に代え、またはその取付部14とともに、一口循環口3に取り付ける構成の取付部を採用することができる。
【0025】
上記の構成となっているので、この浴槽の一口循環口カバー1は次のようにして使用することができ、使用時には、次のような作用効果が得られる。
【0026】
図1に示すように、浴槽2の側壁2bに設けられた正面視略円盤状の一口循環口3に対し、正面視で、少なくとも給湯口3c、3dの正面側を覆うように、かつ、お湯誘導路13c、13dの受け入れ口13c3、13d3を一口循環口3の給湯口3c、3dに合わせるようにして、正面板10を取付部14によって取り付ける。
【0027】
正面板10と浴槽2の側壁2bとの間c1において正面板10の背面側には誘導路13(c、d)が設けられており、この誘導路13(c、d)の、給湯口3c、3dから供給されるお湯を受け入れる受け入れ口13c3,13d3は、給湯口3c、3dに当接ないし近接して対向配置され、誘導路13(c、d)におけるお湯の流出口13c4,13d4は受け入れ口13c3,13d3よりも正面視で斜め下方に配置され、これら受け入れ口13c3,13d3と流出口13c4,13d4とを連通している当該誘導路13(c、d)はお湯の流れ方向から見て少なくとも三方に隔壁13wを有しているので、一口循環口3側面3bの給湯口3c、3dからお湯が浴槽2内に供給される際には、そのお湯は誘導路13(c、d)を通って、図1(b)に矢印A1,A2で示すように、正面視で一口循環口3側面3bの給湯口3c、3dから斜め下方に配置された流出口13c4,13d4を経て浴槽2内へと供給される。
【0028】
したがって、例えば図4(a)に示すように仮に入浴者Uが浴槽2の一口循環口3に背U1を向けて入浴していたとしても、一口循環口3側面3bの給湯口3c、3dから流出するお湯(矢印A参照)が入浴者Uに向かうことはなくなり(少なくとも向かいにくくなり)、結果として、入浴者Uに熱いお湯が触れにくくすることができる。また、例えば図4(b)に示すように入浴者Uが浴槽2の一口循環口3に脚U2を向けて入浴していた場合にも、一口循環口3側面3bの給湯口3c、3dから流出するお湯(矢印A参照)は入浴者Uに向かうことはなくなり(少なくとも向かいにくくなり)、結果として、入浴者Uに熱いお湯が触れにくくすることができる。
【0029】
なお、この実施の形態によれば、
前述した特許文献1(実公昭61-7476号公報)のものとは異なり、正面板10の背面側には上記受け入れ口と流出口とを有するお湯の流れ方向から見て少なくとも三方に隔壁13wを有しているお湯誘導路13(c、d)が設けられているので、お湯は良好に誘導される。
また、特許文献2(実開昭59-139846号公報)のものと異なり、正面板10には小穴が開けられていないので、小穴から入浴者Uに対して熱いお湯が流出する恐れもない。
また、特許文献3(実開平1-139788号公報)のものと異なり、一口循環口3側面3bの給湯口3c、3dからのお湯はお湯誘導路13(c、d)によって斜め下方に配置された流出口へと導かれるので、お湯が滞るということもない。
また、特許文献4(特開2001-065995号公報)のものとも異なり、一口循環口3に対して設けることが可能である。
【0030】
この実施の形態の一口循環口カバー1においては、
正面視で、お湯誘導路13(c、d)は一口循環口3の左右にそれぞれ設けられている。
【0031】
このように構成すると、一口循環口3の左右両方又は左右どちらに給湯口3c、3dがある場合でも使用することができる。
【0032】
一口循環口3には種々のタイプのものが存在するから、本発明の一口循環口カバー1はそれに応じて構成することが可能である。すなわち、お湯誘導路13は左右どちらかにのみ設けても良いし、左右両方に設けても良い。
【0033】
この実施の形態の一口循環口カバー1においては、
正面視で、お湯誘導路13(c、d)は一口循環口3の左右にそれぞれ複数(13c1,13c2,13d1,13d2)設けられている。
【0034】
このように構成すると、一口循環口3の左右両方又は左右どちらに給湯口3c、3dがある場合でも使用することができる。
さらに、お湯誘導路13(c、d)が複数設けられていることにより、一口循環口3側面3bの給湯口3c、3dからのお湯が複数の誘導路(13c1,13c2,13d1,13d2)に分散されて供給されるので、入浴者Uに熱いお湯がさらに触れにくくすることができる。
【0035】
お湯誘導路13(c、d)の一口循環口3の中心からの距離L1は、浴槽の形状にもよるが、望ましくは10cm以上、より望ましくは12cm以上とする。なお、距離L1の上限値は浴槽幅の1/2である。
このように構成すると、お湯誘導路13(c、d)が浴槽のコーナー部c2近くまで延、お湯誘導路13(c、d)の流出口13c4、13d4から出るお湯が平面視で浴槽2のコーナー部c2に沿って流れやすくなるので、入浴者Uに熱いお湯がさらに触れにくくすることができる。
【0036】
図5に示すように、お湯誘導路13(c、d)は、お湯の流れ方向から見た面積が、前記受け入れ口受け入れ口13c3,13d3から流出口13c4,13d4に向かって徐々に大きくなっている構成とすることができる。
このように構成すると、お湯誘導路13(c、d)の流出口13c4,13d4から出るお湯の勢いが緩和されるので、入浴者Uに熱さを感じにくくさせることができる。
【0037】
図5に示すように、正面板10は、一口循環口3の正面に対向配置される開口15を有し、この開口15には、浴槽2内から一口循環口3が有する吸入口3cに向かう異物を濾過するフィルター16が設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、一口循環口3が有する金属フィルター3f(図3参照)を取り外した状態で、この実施の形態の一口循環口カバー1を使用することが可能となる。
【0038】
この実施の形態の一口循環口カバー1が適用可能な一口循環口の一例としての図3に示す一口循環口3は公知のものであり、給湯口3c、3dを有している。
この一口循環口3は、お湯張り時、給湯口3c、3dの両方からお湯が出、追い炊き時には、一方の給湯口3cが、浴槽内の水ないしお湯をボイラーに供給するための吸い込み口となり、ボイラーからのお湯が他方の給湯口3dを通じて浴槽内に供給される。
【0039】
したがって、このタイプの一口循環口3に対して、上記フィルター16を有するカバー1を設けた場合、追い炊き時に吸い込み口となる一方の給湯口3cに向かう浴槽内のお湯がフィルター16で濾過されることとなる。
【0040】
また、追い炊き時には、一方の給湯口3cが、浴槽内の水ないしお湯をボイラーに供給するための吸い込み口となるので、例えば図2(e)に示すように、お湯誘導路の流出口13c4,13d4にはフィルターとして機能し得るメッシュ体17を設けることが望ましい。
このように構成すると、上述したように給湯口3c、3dの一方が吸入口3cとなることもある一口循環口3の場合には、メッシュ体17をフィルターとして作用させることも可能となる。
また、メッシュ体17によって流出口13c4,13d4から流出するお湯の流れを分散することができる。
【0041】
図5に示すフィルター16は開口15に対し上下方向(矢印Y方向)にスライドすることで開口15に着脱される。
このように構成すると、従来の一口循環口3カバーのフィルターよりも容易に着脱が可能となる。
【0042】
一口循環口カバー1は、適宜の材料、例えば適度な硬さと柔軟性を有する合成樹脂やシリコンゴムで構成することができる。
【0043】
お湯誘導路13c、13dにおける受け入れ口13c3、13d3は、給湯口3c、3dからのお湯を良好に(あまり漏らさずに)受け入れることができる程度に給湯口3c、3dに当接ないし近接して対向配置されればよい。
【0044】
お湯誘導路13c、13d(以下13cを代表させて説明する)のお湯の流れ方向から見た断面形状は、カバー1(したがってお湯誘導路13c)の材質や形状によりお湯誘導路13cの背面13c5を図2(d)に示したように浴槽の側面2bに沿わせることが可能な場合には図2(d)に示したように三方に隔壁13wを有する形状とすれば良く。そうでない場合には、図2(d’)に示すように四方に隔壁13wを有するお湯誘導路とすることが望ましい。
【0045】
カバー1には、正面板10の縁部から後方に延びる側板10cを設けても良く、この側板10の背部には浴槽の側面2bと当接可能なパッキン18(図5(d)参照)を設けても良い。
【0046】
取付部14は、公知の適宜の構造のものを採用し得る。図示の実施の形態では吸盤を採用している。取付部は、一口循環口3に係合させて取り付ける構成の取付部を採用することもできる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
例えば、図2(c)、図5(c)に仮想線で示すように、正面板10の背部には、一口循環口3の外周部と嵌まり合う位置決め用の筒状部10rを設けても良い。
【符号の説明】
【0048】
1: 浴槽の一口循環口カバー
3: 一口循環口
10: 正面板10
13c、13d: お湯誘導路
13c3、13d3: 受け入れ口
13c4,13d4: 流出口
14: 取付部
【要約】
【課題】浴槽の側壁に設けられた正面視略円盤状の一口循環口に対して設けることで、入浴者に熱いお湯が触れにくくすることができる浴槽の一口循環口カバーを提供する。
【解決手段】。
浴槽2の側壁2bに設けられた正面視略円盤状の循環口3に対して設けられるカバーであって、一口循環口3の周りにおいて、給湯口3c、3dの正面側を覆う正面板10と、正面板10と浴槽2の側壁2bとの間において正面板10の背面側に設けられ、給湯口3c、3dに当接ないし近接して対向配置され、給湯口3c、3dから供給されるお湯を受け入れる受け入れ口と、受け入れ口よりも正面視で斜め下方に配置されるお湯の流出口と、これら受け入れ口と流出口とを連通し、お湯の流れ方向から見て少なくとも三方に隔壁を有するお湯誘導路とを備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5