(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】向き判定方法、向き判定装置、及び向き判定システム
(51)【国際特許分類】
G01S 19/54 20100101AFI20230705BHJP
G01C 21/16 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
G01S19/54
G01C21/16
(21)【出願番号】P 2019117381
(22)【出願日】2019-06-25
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 順一
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-202062(JP,A)
【文献】国際公開第2018/110011(WO,A1)
【文献】特開2015-105882(JP,A)
【文献】特開平11-344338(JP,A)
【文献】特開2002-372576(JP,A)
【文献】特開2018-163514(JP,A)
【文献】特開2004-085033(JP,A)
【文献】特開2008-151484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14
G01S 19/00-19/55
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定対象の左右又は前後に設けた一対の衛星測位装置から一対の測位データを収集し、
収集した前記測位データの一方から前記測位データの他方への方向を算出し、
算出した前記方向に基づいて、前記判定対象の向きを判定する、
処理をコンピュータが実行
し、
前記コンピュータは、前記判定対象が一対の第1衛星測位装置を左右に設けた人を含む場合、前記第1衛星測位装置から収集した一対の第1測位データのいずれか一方と、地図データに基づき特定可能な地表の高さを基準とする所定の第1閾値高さ及び第2閾値高さとの比較結果に応じて、前記人に関する第1姿勢を、立ち姿勢、伏せ姿勢、しゃがみ姿勢のいずれかとして判定する、
処理を実行することを特徴とする向き判定方法。
【請求項2】
前記判定対象が前記衛星測位装置を左右に設けた人を含む場合、算出した前記方向の角度補正に基づいて、前記人の向きを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の向き判定方法。
【請求項3】
収集した前記測位データの少なくとも一方の測位精度が低精度を表す特定の測位精度である場合、前記衛星測位装置に設けられた慣性センサのセンサ値に基づいて、前記特定の測位精度である測位データを補正する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の向き判定方法。
【請求項4】
電子基準点が観測した観測データに基づいて前記衛星測位装置で補正された前記測位データを収集する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の向き判定方法。
【請求項5】
前記判定対象が一対の第2衛星測位装置を前後に設けた小火器を含む場合、前記第1測位データの一方から前記第1測位データの他方への第1方向と、前記第2衛星測位装置から収集した一対の第2測位データの一方から前記第2測位データの他方への第2方向と、を算出し、
算出した前記第1方向に基づいて、前記人の向きを判定し、算出した前記第2方向に基づいて、前記小火器の向きを判定し、
前記第1測位データの一方と、前記第1測位データの一方に近接する前記第2測位データの一方の距離が第1閾値範囲内であり、かつ、判定した前記人の向きと判定した前記小火器の向きがなす角度が第2閾値範囲内であるか否かに応じて、前記小火器に関する第2姿勢を判定する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の向き判定方法。
【請求項6】
前記第1測位データ、判定した前記人の向き、及び判定した前記第1姿勢を含む人情報と、前記第2測位データ、判定した前記小火器の向き、及び判定した前記第2姿勢を含む小火器情報の組合せを時系列に集約した管理情報を生成し、
前記管理情報に基づく前記人及び前記小火器を表す画像を地図データに基づく地図画面上に時系列に表示する、
ことを特徴とする請求項
5に記載の向き判定方法。
【請求項7】
前記小火器が前記第2姿勢である場合、前記小火器の照準方向を示す図形画像を前記地図画面上に配置する、
ことを特徴とする請求項
6に記載の向き判定方法。
【請求項8】
判定対象の左右又は前後に設けた一対の衛星測位装置から一対の測位データを収集し、
収集した前記測位データの一方から前記測位データの他方への方向を算出し、
算出した前記方向に基づいて、前記判定対象の向きを判定する、
処理を実行する処理部を有
し、
前記処理部は、前記判定対象が一対の第1衛星測位装置を左右に設けた人を含む場合、前記第1衛星測位装置から収集した一対の第1測位データのいずれか一方と、地図データに基づき特定可能な地表の高さを基準とする所定の第1閾値高さ及び第2閾値高さとの比較結果に応じて、前記人に関する第1姿勢を、立ち姿勢、伏せ姿勢、しゃがみ姿勢のいずれかとして判定する、
処理を実行することを特徴とする向き判定装置。
【請求項9】
判定対象の左右又は前後に設けた一対の衛星測位装置と、
前記衛星測位装置から一対の測位データを収集し、収集した前記測位データの一方から前記測位データの他方への方向を算出し、算出した前記方向に基づいて、前記判定対象の向きを判定する処理装置と、
を有
し、
前記処理装置は、前記判定対象が一対の第1衛星測位装置を左右に設けた人を含む場合、前記第1衛星測位装置から収集した一対の第1測位データのいずれか一方と、地図データに基づき特定可能な地表の高さを基準とする所定の第1閾値高さ及び第2閾値高さとの比較結果に応じて、前記人に関する第1姿勢を、立ち姿勢、伏せ姿勢、しゃがみ姿勢のいずれかとして判定する、
ことを特徴とする向き判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、向き判定方法、向き判定装置、及び向き判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
Global Positioning System(GPS)衛星を用いて移動体である牛の位置を検出する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術により移動体の位置を検出できても、移動体の向きを判定することはできない。
【0005】
そこで、1つの側面では、衛星測位を利用して判定対象の向きを判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施態様では、向き判定方法は、判定対象の左右又は前後に設けた一対の衛星測位装置から一対の測位データを収集し、収集した前記測位データの一方から前記測位データの他方への方向を算出し、算出した前記方向に基づいて、前記判定対象の向きを判定する、処理をコンピュータが実行し、前記コンピュータは、前記判定対象が一対の第1衛星測位装置を左右に設けた人を含む場合、前記第1衛星測位装置から収集した一対の第1測位データのいずれか一方と、地図データに基づき特定可能な地表の高さを基準とする所定の第1閾値高さ及び第2閾値高さとの比較結果に応じて、前記人に関する第1姿勢を、立ち姿勢、伏せ姿勢、しゃがみ姿勢のいずれかとして判定する、処理を実行することを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0007】
衛星測位を利用して判定対象の向きを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は第1測位装置のハードウェア構成の一例である。
【
図3】
図3は処理サーバのハードウェア構成の一例である。
【
図4】
図4は第1測位装置のブロック図の一例である。
【
図5】
図5は処理サーバのブロック図の一例である。
【
図6】
図6は送信処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は収集処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9(a)は第1判定処理の一例を示すフローチャートである。
図9(b)は第1判定処理を説明するための図である。
【
図10】
図10(a)は第2判定処理の一例を示すフローチャートである。
図10(b)は第2判定処理を説明するための図である。
【
図11】
図11(a)は第3判定処理の一例を示すフローチャートである。
図11(b)は第3判定処理を説明するための図である。
【
図12】
図12(a)は第4判定処理の一例を示すフローチャートである。
図12(b)及び(c)は第4判定処理を説明するための図である。
【
図15】
図15は表示処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本件を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1はデータ処理システムSTの一例である。データ処理システムSTは向き判定システムの一例である。データ処理システムSTは一対の第1測位装置100,110と、一対の第2測位装置150,160と、処理サーバ200とを構成要素として含んでいる。処理サーバ200は向き判定装置及び処理装置の一例である。データ処理システムSTの構成要素に中継端末300を含めてもよいし、含めなくてもよい。中継端末300は例えばスマートフォンやタブレット端末といった携帯端末で実現することができる。
【0011】
第1測位装置100,110及び第2測位装置150,160はいずれもGPS衛星(不図示)が発信する電波に基づいて自身の位置座標を測位する。すなわち、第1測位装置100,110及び第2測位装置150,160はいずれも衛星測位装置である。
【0012】
第1測位装置100,110は隊員10が装着するヘルメット11の左側と右側に設けられる。隊員10は有事や災害などに対処したり、これらに備えて訓練したりする部隊の一員である。本実施形態では、第1測位装置100がヘルメット11の左側に取り付けられ、第1測位装置110がヘルメット11の右側に取り付けられる。第1測位装置100を隊員10の左肩に直接又は被服を介して間接的に取り付け、第1測位装置110を隊員10の右肩に直接又は被服を介して間接的に取り付けてもよい。第1測位装置100をヘルメット11の前側に取り付け、第1測位装置110をヘルメット11の後ろ側に取り付けてもよい。したがって、第1測位装置100,110はヘルメット11や隊員10の肩に取り付けることができる程度に軽量かつ小型であることが望ましい。本実施形態では、隊員10を判定対象(具体的には人)の一例として説明するが、判定対象は隊員10に限定されない。判定対象は戦車などの移動体を含む物体であってもよい。
【0013】
第2測位装置150,160は隊員10が所持する小銃20の後ろ側(具体的には照門側)と前側(具体的には銃口側)に設けられる。本実施形態では、第2測位装置150が小銃20の後ろ側に取り付けられ、第2測位装置160が小銃20の前側に取り付けられる。したがって、第2測位装置150,160は小銃20に取り付けることができる程度に軽量かつ小型であることが望ましい。本実施形態では、小銃20も判定対象(具体的には小火器)の一例として説明するが、判定対象は小銃20に限定されない。判定対象は拳銃や短機関銃などの物体であってもよい。
【0014】
第1測位装置100,110及び第2測位装置150,160はいずれも無線通信WL1により隊員10が携帯する中継端末300と通信することができる。無線通信WL1としては、例えばBluetooth(登録商標)といった近距離無線通信がある。第1測位装置100は自身が測位した位置座標を含む測位データを定期的に中継端末300に送信する。第1測位装置110及び第2測位装置150,160については、第1測位装置100と同様であるため、説明を省略する。
【0015】
中継端末300は無線通信WL2により携帯基地局BSと通信することができる。無線通信WL2としては、例えばLong Term Evolution(LTE)といった広域無線通信がある。中継端末300は第1測位装置100,110及び第2測位装置150,160から送信された測位データを受信して、携帯基地局BSに向けて送信する。すなわち、中継端末300は測位データを中継する。
【0016】
携帯基地局BSは処理サーバ200と通信ネットワークNWを介して接続されている。通信ネットワークNWとしては、例えばインターネットがある。中継端末300が携帯基地局BSの通信可能領域AR内に含まれていれば、携帯基地局BSは中継端末300から送信された測位データを受信して、処理サーバ200に向けて送信することができる。
【0017】
処理サーバ200は測位データを受信すると、受信した測位データに基づいて様々な処理を実行する。詳細は後述するが、処理サーバ200は、測位データに基づいて、隊員10の向き及び姿勢を判定したり、小銃20の向き及び姿勢を判定したりする。また、処理サーバ200には、入力装置710及び表示装置720が接続されている。入力装置710としては、例えばキーボードやマウスなどがある。表示装置720としては、例えば液晶ディスプレイなどがある。処理サーバ200が入力装置710から出力された特定指示を検出すると、処理サーバ200は隊員10の活動状況を確認する活動確認画面を表示装置720に表示する。これにより、活動確認画面の視聴者は隊員10の活動状況を把握することができる。視聴者は、例えば隊員10の管理者や監督者、活動状況の評価者などであればよく、特に限定されない。
【0018】
ところで、第1測位装置100,110と第2測位装置150,160は隊員10の活動状況を正確に把握する観点から位置座標をセンチメートル級の精度で測位できることが望ましい。この場合、第1測位装置100,110と第2測位装置150,160は通信ネットワークNWに接続された電子基準点(又は基準局)400の観測データを利用して位置座標をセンチメートル級の精度で測位することができる。
【0019】
より詳しくは、電子基準点400は電子基準点400の設置場所で観測したGPS衛星の観測データを処理サーバ200及び中継端末300を経由させて第1測位装置100,110と第2測位装置150,160に送信する。第1測位装置100,110と第2測位装置150,160は受信した観測データに基づいて位置座標を補正する。これにより、第1測位装置100,110と第2測位装置150,160は位置座標をセンチメートル級の精度で測位することができ、隊員10の活動状況を正確に把握することができる。例えば、低精度の際に発生することがあった画面上での隊員10の危険領域への進入などが回避される。このように、位置座標を観測データに基づいて補正し、位置座標をセンチメートル級の精度で測位する方式はReal Time Kinematic(RTK)-GPS測位と呼ばれることがある。尚、観測データを利用しても、様々な要因(例えばGPS衛星からの電波の遅れなど)によりセンチメートル級の精度で測位できないこともある。この場合、後述する慣性センサのセンサ値を利用して精度を高めることができる。
【0020】
次に、
図2を参照して、第1測位装置100のハードウェア構成について説明する。尚、第1測位装置110と第2測位装置150,160は第1測位装置100と同様のハードウェア構成であるため、説明を省略する。
【0021】
図2は第1測位装置100のハードウェア構成の一例である。
図2に示すように、第1測位装置100は、衛星測位モジュール100A、慣性センサ100B、Micro Controller Unit(MCU)100C、及び近距離通信回路100Dを含んでいる。衛星測位モジュール100Aには第1アンテナ100A´が接続されている。近距離通信回路100Dには第2アンテナ100D´が接続されている。慣性センサ100Bは加速度センサ、角速度センサ、及び地磁気センサを含んでいる。尚、慣性センサ100Bは加速度センサ、角速度センサ、及び地磁気センサの全てを含んでいなくてもよく、加速度センサ、角速度センサ、及び地磁気センサの少なくとも1つを含んでいればよい。
【0022】
MCU100Cは、衛星測位モジュール100A、慣性センサ100B、及び近距離通信回路100Dと接続されている。MCU100CはハードウェアプロセッサとしてのCentral Processing Unit(CPU)、Random Access Memory(RAM)、Read Only Memory(ROM)などを含んでおり、CPUとRAMとが協働することによってコンピュータの処理が実現される。例えば、ROMに記憶されたプログラムがRAMに一時的に格納され、格納されたプログラムをCPUが実行することにより、MCU100Cは後述する各種の機能を実現し、また、後述する各種の処理を実行する。尚、プログラムは後述するフローチャートに応じた処理を行うものとすればよい。
【0023】
図3を参照して、処理サーバ200のハードウェア構成について説明する。
【0024】
図3は処理サーバ200のハードウェア構成の一例である。
図3に示すように、処理サーバ200は、少なくともCPU200A、RAM200B、ROM200C、及びネットワークI/F(インタフェース)200Dを含んでいる。処理サーバ200は、必要に応じて、Hard Disk Drive(HDD)200E、入力I/F200F、出力I/F200G、入出力I/F200H、ドライブ装置200Iの少なくとも1つを含んでいてもよい。CPU200Aからドライブ装置200Iまでは、内部バス200Jによって互いに接続されている。すなわち、処理サーバ200はコンピュータによって実現することができる。尚、CPU200Aに代えてMicro Processing Unit(MPU)をハードウェアプロセッサとして利用してもよい。
【0025】
入力I/F200Fには、入力装置710が接続される。出力I/F200Gには、表示装置720が接続される。入出力I/F200Hには、半導体メモリ730が接続される。半導体メモリ730としては、例えばUniversal Serial Bus(USB)メモリやフラッシュメモリなどがある。入出力I/F200Hは、半導体メモリ730に記憶されたプログラムやデータを読み取る。入力I/F200F及び入出力I/F200Hは、例えばUSBポートを備えている。出力I/F200Gは、例えばディスプレイポートを備えている。
【0026】
ドライブ装置200Iには、可搬型記録媒体740が挿入される。可搬型記録媒体740としては、例えばCompact Disc(CD)-ROM、Digital Versatile Disc(DVD)といったリムーバブルディスクがある。ドライブ装置200Iは、可搬型記録媒体740に記録されたプログラムやデータを読み込む。ネットワークI/F200Dは、例えばLANポートや通信回路などを備えている。ネットワークI/F200Dは通信ネットワークNWと接続される。
【0027】
上述したRAM200Bには、ROM200CやHDD200E、半導体メモリ730に記憶されたプログラムがCPU200Aによって一時的に格納される。RAM200Bには、可搬型記録媒体740に記録されたプログラムがCPU200Aによって一時的に格納される。格納されたプログラムをCPU200Aが実行することにより、CPU200Aは後述する各種の機能を実現し、また、後述する各種の処理を実行する。尚、プログラムは後述するフローチャートに応じた処理を行うものとすればよい。
【0028】
図4を参照して、第1測位装置100の機能構成について説明する。尚、第1測位装置110と第2測位装置150,160は第1測位装置100と同様の機能構成であるため、説明を省略する。
【0029】
図4は第1測位装置100のブロック図の一例である。
図4では第1測位装置100の機能の要部が示されている。
図4に示すように、第1測位装置100は測位部101、検出部102、通信制御部103、及び無線通信部104を構成要素として含んでいる。測位部101は衛星測位モジュール100A及び第1アンテナ100A´によって実現することができる。検出部102は慣性センサ100Bによって実現することができる。通信制御部103はMCU100Cによって実現することができる。無線通信部104は近距離通信回路100Dによって実現することができる。したがって、通信制御部103は、測位部101、検出部102、及び無線通信部104とそれぞれ接続されている。尚、測位部101、検出部102、通信制御部103、及び無線通信部104の機能の詳細については、第1測位装置100の動作を説明する際に詳しく記載する。
【0030】
図5を参照して、処理サーバ200の機能構成について説明する。
【0031】
図5は処理サーバ200のブロック図の一例である。
図5では処理サーバ200の機能の要部が示されている。
図5に示すように、処理サーバ200は記憶部210、処理部220、通信部230、及び出力部240を構成要素として含んでいる。記憶部210はRAM200B及びHDD200Eによって実現することができる。処理部220はCPU200Aによって実現することができる。通信部230はネットワークI/F200Dによって実現することができる。出力部240は出力I/F200Gによって実現することができる。したがって、記憶部210、処理部220、通信部230、及び出力部240は互いに接続されている。
【0032】
ここで、記憶部210は地図データ記憶部211、第1テーブル記憶部212、及び第2テーブル記憶部213を構成要素として含んでいる。一方、処理部220はデータ収集部221、方向算出部222、向き判定部223、姿勢判定部224、及び画面生成部225を構成要素として含んでいる。処理部220の各構成要素は記憶部210の各構成要素の少なくとも1つにアクセスして、各種の処理を実行する。例えば、データ収集部221は通信部230が受信した複数の測位データを取得する。すなわち、データ収集部221は第1測位装置100,110及び第2測位装置150,160が送信した複数の測位データを収集する。データ収集部221は取得した測位データに基づいて後述する測位管理テーブルを生成し、測位管理テーブルを第1テーブル記憶部212に格納する。尚、その他の構成要素については、処理サーバ200の動作を説明する際に詳しく記載する。
【0033】
図6を参照して、第1測位装置100の動作について説明する。尚、第1測位装置110と第2測位装置150,160は第1測位装置100と同様の動作であるため、説明を省略する。
【0034】
図6は送信処理の一例を示すフローチャートである。通信制御部103は測位部101が測位する位置座標を取得する(ステップS11)。測位部101が測位する位置座標はWorld Geodetic System 1984(WGS84)の測地座標である。測地座標は、緯度、経度、及び楕円体高で表すことができる。ステップS11の処理が完了すると、通信制御部103は検出部102がセンサ値として検出する加速度、角速度、及び地磁気(以下、加速度等という)を取得する(ステップS12)。尚、ステップS11とステップS12の処理の順序は逆であってもよい。
【0035】
ステップS12の処理が完了すると、通信制御部103は測位データを生成する(ステップS13)。通信制御部103が生成する測位データは位置座標、加速度等のほか、中継端末300によって設定された装置ID、後述する測位時刻や測位状態などを含んでいる。位置座標の測位精度が低い場合には、通信制御部103は補正前の位置座標を電子基準点400の観測データに基づいて補正した補正後の位置座標を測位データに含めてもよい。通信制御部103は測位データを生成すると、生成した測位データを無線通信部104に出力する。
【0036】
無線通信部104は測位データを受け付けると、測位データを中継端末300に向けて送信する(ステップS14)。尚、無線通信部104が携帯基地局BSと直接的に通信できる場合には、無線通信部104は測位データを携帯基地局BSに向けて送信する。この場合、隊員10は中継端末300を携帯しないで済む。無線通信部104が測位データを送信することにより、処理サーバ200は第1測位装置100からの測位データを受信する。第1測位装置100がステップS11からS14までの処理を定期的に繰り返すことにより、処理サーバ200は第1測位装置100からの測位データを定期的に受信する。
【0037】
図7から
図16を参照して、処理サーバ200の動作について説明する。
【0038】
図7は収集処理の一例を示すフローチャートである。
図8は測位管理テーブルの一例である。処理サーバ200の通信部230は第1測位装置100からの測位データを受信する。同様に、通信部230は第1測位装置110からの測位データ、及び第2測位装置150,160からの各測位データを受信する。データ収集部221は通信部230から複数の測位データを取得する(ステップS101)。特に、データ収集部221は第1測位装置100からの測位データと第1測位装置110からの測位データを一対の第1測位データとして取得する。データ収集部221は第2測位装置150からの測位データと第2測位装置160からの測位データを一対の第2測位データとして取得する。すなわち、データ収集部221は一対の第1測位装置100,110から送信された一対の第1測位データと一対の第2測位装置150,160から送信された一対の第2測位データを定期的に収集する。
【0039】
ステップS101の処理が完了すると、次いで、データ収集部221は測位管理テーブルを生成する(ステップS102)。より詳しくは、
図8に示すように、データ収集部221は複数のデータフィールドを有する測位管理テーブルを生成する。具体的には、測位管理テーブルは、測位時刻、装置ID、位置座標、測位状態、及び加速度等といったデータフィールドを有する。
【0040】
測位時刻は第1測位装置100,110及び第2測位装置150,160のいずれかが測位データを生成した時刻である。4つの時刻のうち、最も早い時刻を測位時刻としてもよいし、最も遅い時刻を測位時刻としてもよい。4つの時刻の平均時刻を測位時刻としてもよい。測位時刻に代えて、測位日時を採用してもよい。装置IDは第1測位装置100,110及び第2測位装置150,160を識別する識別情報である。
【0041】
測位状態は位置座標の測位精度を表している。例えば、測位状態「Fix」(いわゆるFix解)は測位状態「Float」(いわゆるFloat解)より精度が高いことを表している。言い換えれば、測位状態「Float」は測位状態「Fix」より低精度である。GPS衛星が発信する電波の受信が中断したなどの場合には、測位状態「単独測位」(いわゆる単独測位解)が登録される。データ収集部221は測位管理テーブルを生成すると、測位管理テーブルを第1テーブル記憶部212に格納する。これにより、第1テーブル記憶部212は測位管理テーブルを記憶する。
【0042】
尚、本実施形態では、装置ID「D1」が第1測位装置100に相当し、装置ID「D2」が第1測位装置110に相当する。したがって、装置ID「D1」を含む測位データと装置ID「D2」を含む測位データが一対の第1測位データに相当する。また、装置ID「D3」が第2測位装置150に相当し、装置ID「D4」が第2測位装置160に相当する。したがって、装置ID「D3」を含む測位データと装置ID「D4」を含む測位データが一対の第2測位データに相当する。
【0043】
図9(a)は第1判定処理の一例を示すフローチャートである。
図9(b)は第1判定処理を説明するための図である。第1判定処理は隊員10の顔の向きを判定する処理である。尚、第1測位装置100,110が隊員10の左肩と右肩の両肩に取り付けられている場合、第1判定処理は隊員10の体の向きを判定する。
【0044】
まず、
図9(a)に示すように、方向算出部222は一対の第1測位データを取得する(ステップS201)。より詳しくは、方向算出部222は第1テーブル記憶部212にアクセスし、第1テーブル記憶部212が記憶する測位管理テーブルから一対の第1測位データを取得する。すなわち、方向算出部222は第1測位装置100,110が送信した各測位データを取得する。
【0045】
ステップS201の処理が完了すると、次いで、方向算出部222は第1方向を算出する(ステップS202)。第1方向は、
図9(b)に示すように、第1測位装置100を基準に第1測位装置110を指し示す方向である。具体的に説明すると、方向算出部222は一対の第1測位データの位置座標をいずれもWGS84の測地座標から地球中心直交座標系であるEarth Center Earth Fixed(ECEF)座標に変換する。ECEF座標は地球の中心を原点とする3軸直交座標(X0,Y0,Z0)で表すことができる。WGS84の測地座標は緯度、経度、楕円体高で表されるため、2地点間の距離、方位角、及び仰俯角を単純な計算式で算出することができない。このため、方向算出部222はWGS84の測地座標で表される位置座標をECEF座標に変換する。これにより、方向算出部222は第1測位装置100,110の各位置座標を表す2つのECEF座標を特定する。
【0046】
次に、方向算出部222はECEF座標を地平直交座標系であるENU座標に変換する。ENU座標はEast North Up座標と呼ばれることもある。具体的には、方向算出部222は特定した2つのECEF座標のうち、第1測位装置100の位置座標を表す一方のECEF座標をENU座標の原点(0,0,0)とし、第1測位装置110の位置座標を表す他方のECEF座標をENU座標(e,n,u)に変換する。方向算出部222はENU座標の原点(0,0,0)とENU座標(e,n,u)とに基づいて、2地点間の方位角θ及び仰俯角ωを第1方向として以下の計算式(1)及び(2)で算出する。尚、仰俯角ωを算出する際の分母が2地点間の距離を表している。
<計算式>
【0047】
ステップS202の処理が完了すると、次いで、向き判定部223は顔の向きを判定する(ステップS203)。より詳しくは、向き判定部223は、方向算出部222が算出した第1方向に基づいて、隊員10の顔の向きを判定する。ここで、
図9(b)に示すように、ヘルメット11に対し、第1測位装置100,110は左右に取り付けられているため、第1方向をそのまま隊員10の顔の向きと判定することができない。したがって、向き判定部223は、例えば第1方向を反時計回りに90度補正した角度(具体的には方位角)を、隊員10の顔の向きと判定する。判定後、向き判定部223は補正後の第1方向を顔の向きとして保持する。
【0048】
尚、向き判定部223は、第1方向を時計回りに270度補正した角度を、隊員10の顔の向きと判定してもよい。ヘルメット11に対し、第1測位装置100,110が前後に取り付けられている場合、第1方向をそのまま隊員10の顔の向きと判定としてもよい。方向算出部222が測位状態「Float」又は測位状態「単独測位」の第1測位データを取得した場合、位置座標を加速度等に基づいて補正した補正後の位置座標を利用して、第1方向を算出してもよい。
【0049】
図10(a)は第2判定処理の一例を示すフローチャートである。
図10(b)は第2判定処理を説明するための図である。第2判定処理は小銃20の銃口の向きを判定する処理である。処理サーバ200は第1判定処理と並行して第2判定処理を独立的に実行してもよいし、第1判定処理の後に第2判定処理を実行してもよい。
【0050】
まず、
図10(a)に示すように、方向算出部222は一対の第2測位データを取得する(ステップS301)。より詳しくは、方向算出部222は第1テーブル記憶部212にアクセスし、第1テーブル記憶部212が記憶する測位管理テーブルから一対の第2測位データを取得する。すなわち、方向算出部222は第2測位装置150,160が送信した各測位データを取得する。
【0051】
ステップS301の処理が完了すると、次いで、方向算出部222は第2方向を算出する(ステップS302)。第2方向は、
図10(b)に示すように、第2測位装置150を基準に第2測位装置160を指し示す方向である。方向算出部222は、上述した第1方向を算出する処理と同様の処理により、第2方向を算出する。すなわち、方向算出部222は一対の第2測位データの位置座標をECEF座標に変換し、ECEF座標をENU座標に変換する。方向算出部222は第2測位装置150の位置座標に対応するENU座標の原点(0,0,0)と第2測位装置160の位置座標に対応するENU座標(e,n,u)とに基づいて、2地点間の方位角θ及び仰俯角ωを第2方向として算出する。尚、方向算出部222が測位状態「Float」又は測位状態「単独測位」の第2測位データを取得した場合、位置座標を加速度等に基づいて補正した補正後の位置座標を利用して、第2方向を算出してもよい。
【0052】
ステップS302の処理が完了すると、次いで、向き判定部223は銃口の向きを判定する(ステップS303)。より詳しくは、向き判定部223は、方向算出部222が算出した第2方向に基づいて、小銃20の銃口の向きを判定する。ここで、
図10(b)に示すように、小銃20に対し、第2測位装置150,160は前後に取り付けられているため、第2方向をそのまま小銃20の銃口の向きと判定することができる。したがって、向き判定部223は、第2方向をそのまま銃口の向きと判定する。判定後、向き判定部223は第2方向を銃口の向きとして保持する。
【0053】
図11(a)は第3判定処理の一例を示すフローチャートである。
図11(b)は第3判定処理を説明するための図である。第3判定処理は隊員10の姿勢を判定する処理である。処理サーバ200は第1判定処理及び第2判定処理と並列して第3判定処理を独立的に実行してもよいし、第1判定処理及び第2判定処理の後に第3判定処理を実行してもよい。
【0054】
まず、
図11(a)に示すように、姿勢判定部224は一対の第1測位データの一方を取得する(ステップS401)。より詳しくは、姿勢判定部224は第1テーブル記憶部212にアクセスし、第1テーブル記憶部212が記憶する測位管理テーブルから一対の第1測位データの一方を取得する。一対の第1測位データの一方は、第1測位装置100が送信した測位データであってもよいし、第1測位装置110が送信した測位データであってもよい。
【0055】
ステップS401の処理が完了すると、次いで、姿勢判定部224はENU高を閾値Aと比較する(ステップS402)。より詳しくは、まず、姿勢判定部224は、取得した第1測位データの一方に含まれる楕円体高を抽出し、WGS84で表現された楕円体高をECEF座標に変換する。次に、姿勢判定部224は、地図データ記憶部211が記憶する地図データを取得し、地図データに含まれる地表を原点(0,0,0)として、ECEF座標をENU座標(e,n,u)に変換する。姿勢判定部224は、ENU座標(u)をENU高として特定する。姿勢判定部224は特定したENU高と閾値Aとを比較する。
図11(b)に示すように、閾値Aは隊員10が立ち姿勢であるか否かを判定するための閾値である。閾値Aは地表から所定高さの位置に設けられる。姿勢判定部224が測位状態「Float」又は測位状態「単独測位」の第1測位データを取得した場合、楕円体高を加速度等に基づいて補正した補正後の楕円体高をECEF座標に変換してからENU座標に変換してもよい。
【0056】
姿勢判定部224はENU高が閾値Aより高いと判定した場合(ステップS403:YES)、隊員10は立ち姿勢であると判定し(ステップS404)、判定結果を保持して第3判定処理を終了する。すなわち、
図11(b)に示すように、第1測位装置100が取り付けられたヘルメット11の高さが閾値Aより高ければ、隊員10が立ち姿勢をとっている可能性が高い。
【0057】
一方、姿勢判定部224はENU高が閾値A以下であると判定した場合(ステップS403:NO)、ENU高を閾値Bと比較する(ステップS405)。
図11(b)に示すように、閾値Bは隊員10が伏せ姿勢であるか否かを判定するための閾値である。閾値Bは閾値Aと地表の間の位置に設けられる。姿勢判定部224はENU高が閾値Bより低いと判定した場合(ステップS406:YES)、隊員10は伏せ姿勢であると判定し(ステップS407)、判定結果を保持して第3判定処理を終了する。すなわち、
図11(b)に示すように、第1測位装置100が取り付けられたヘルメット11の高さが閾値Bより低ければ、隊員10が伏せ姿勢をとっている可能性が高い。尚、姿勢判定部224はステップS407の処理の際に加速度等を利用して、隊員10がうつ伏せか仰向けかをさらに判定するようにしてもよい。
【0058】
一方、姿勢判定部224はENU高が閾値B以上であると判定した場合(ステップS406:NO)、隊員10はしゃがみ姿勢であると判定し(ステップS408)、判定結果を保持して第3判定処理を終了する。すなわち、
図11(b)に示すように、第1測位装置100が取り付けられたヘルメット11の高さが閾値A以下であり、閾値B以上であれば、隊員10がしゃがみ姿勢をとっている可能性が高い。このように、隊員10の複数の姿勢を判定することができる。
【0059】
図12(a)は第4判定処理の一例を示すフローチャートである。
図12(b)及び(c)は第4判定処理を説明するための図である。
図13は表示管理テーブルの一例である。
図14は組合せ管理テーブルの一例である。第4判定処理は小銃20の姿勢を判定する処理である。処理サーバ200は、第4判定処理を実行する際に上述した第1方向及び第2方向を利用するため、第1判定処理及び第2判定処理の後に第4判定処理を実行する。
【0060】
まず、
図12(a)に示すように、姿勢判定部224は一対の第1測位データの一方を取得する(ステップS501)。より詳しくは、姿勢判定部224は第1テーブル記憶部212にアクセスし、第1テーブル記憶部212が記憶する測位管理テーブルから一対の第1測位データの一方を取得する。本実施形態では、姿勢判定部224は一対の第1測位データの一方として第1測位装置100が送信した測位データを取得する。
【0061】
ステップS501の処理が完了すると、姿勢判定部224は一対の第2測位データの一方を取得する(ステップS502)。より詳しくは、姿勢判定部224は第1テーブル記憶部212にアクセスし、第1テーブル記憶部212が記憶する測位管理テーブルから一対の第2測位データの一方を取得する。本実施形態では、姿勢判定部224は一対の第2測位データの一方として第2測位装置150が送信した測位データを取得する。姿勢判定部224は一対の第1測位データの一方に近接する第2測位データを取得することが望ましい。
【0062】
ステップS502の処理が完了すると、姿勢判定部224は距離が閾値C未満であるか否かを判定する(ステップS503)。
図12(b)に示すように、距離は第1測位装置100の位置座標と第2測位装置150の位置座標の間隔である。閾値Cは第1測位装置100の位置座標と第2測位装置150の位置座標が近似する否かを判定するための閾値である。姿勢判定部224は距離が閾値C以上であると判定した場合(ステップS503:NO)、通常姿勢と判定する(ステップS504)。すなわち、隊員10が射撃目標(不図示)に対して照準を定める照準姿勢でないため、距離が閾値C以上である場合、姿勢判定部224は通常姿勢と判定する。通常姿勢には照準姿勢以外の全ての姿勢を含めることができる。
【0063】
姿勢判定部224は距離が閾値C未満であると判定した場合(ステップS503:YES)、顔と銃口の向きを取得する(ステップS505)。上述したように、向き判定部223は顔の向きと銃口の向きを保持しているため、姿勢判定部224は向き判定部223が保持する顔の向きと銃口の向きを取得する。ステップS505の処理が完了すると、姿勢判定部224は角度が閾値D未満であるか否かを判定する(ステップS506)。角度は、
図12(c)に示すように、顔の向きと銃口の向きによって挟まれた鋭角部分である。閾値Dは顔の向きと銃口の向きが近似するか否かを判定するための閾値である。
【0064】
姿勢判定部224は角度が閾値D以上であると判定した場合(ステップS506:NO)、ステップS504の処理を実行する。すなわち、顔の向きと銃口の向きが近似していない場合、照準姿勢でないため、姿勢判定部224は通常姿勢と判定する。一方、姿勢判定部224は角度が閾値D未満であると判定した場合(ステップS506:YES)、姿勢判定部224は照準姿勢と判定する(ステップS507)。すなわち、第1測位装置100と第2測位装置150の距離が近く、かつ、顔の向きと銃口の向きが近似している場合、姿勢判定部224は照準姿勢と判定する。
【0065】
ステップS504又はS507の処理が完了すると、姿勢判定部224は表示管理テーブルを生成する(ステップS508)。より詳しくは、
図13に示すように、姿勢判定部224は複数のデータフィールドを有する表示管理テーブルを生成する。具体的には、表示管理テーブルは、測位時刻、分類ID、隊員ID/小銃ID、位置座標、向き、及び姿勢といったデータフィールドを有する。
【0066】
測位時刻は測位管理テーブルの測位時刻を転用すればよい。分類IDは隊員10と小銃20の組合せを識別する情報である。
図14に示すように、第2テーブル記憶部213が組合せ管理テーブルを事前に記憶していれば、姿勢判定部224は組合せ管理テーブルに基づいて表示管理テーブルの分類ID、隊員ID/小銃IDを決定することができる。尚、隊員IDは隊員10を識別する識別情報である。小銃IDは小銃20を識別する識別情報である。位置座標は隊員10及び小銃20のそれぞれの位置座標である。位置座標はWGS84の測地座標で表現される。尚、隊員10の位置座標は第1測位装置100,110の中心の位置座標とすることができる。小銃20の位置座標は第2測位装置150の位置座標とすることができる。
【0067】
表示管理テーブルが有する向きは、第1判定処理で判定した顔の向き及び銃口の向きである。顔の向き及び銃口の向きはいずれも方位角及び仰俯角によって表すことができる。すなわち、顔の向きは、補正後の第1方向としての方位角及び仰俯角であり、銃口の向きは第2方向としての方位角及び仰俯角である。表示管理テーブルが有する姿勢は、第3判定処理で判定した隊員10の姿勢及び第4判定処理で判定した小銃20の姿勢である。表示管理テーブルは、測位時刻毎の複数の分類IDのそれぞれに対し、顔及び銃口の向き、並びに隊員10及び小銃20の姿勢を管理する。姿勢判定部224は表示管理テーブルを生成すると、表示管理テーブルを第2テーブル記憶部213に格納する。これにより、第2テーブル記憶部213は表示管理テーブルを記憶する。このように、小銃20の複数の姿勢を判定することができる。
【0068】
図15は表示処理の一例を示すフローチャートである。
図16は活動確認画面の一例である。処理サーバ200は、表示管理テーブルを生成した後に表示処理を実行する。
【0069】
まず、
図15に示すように、画面生成部225は特定指示を検出するまで待機する(ステップS601:NO)。特定指示は活動確認画面の表示を要求する指示であり、入力装置710から出力される。画面生成部225は特定指示を検出すると(ステップS601:YES)、画面情報を生成する(ステップS602)。画面情報は活動確認画面に応じた情報である。画面生成部225は地図データ記憶部211が記憶する地図データと、第2テーブル記憶部213が記憶する表示管理テーブルとに基づいて、画面情報を生成する。
【0070】
より詳しくは、画面生成部225は、まず、表示管理テーブルに含まれる位置座標に基づいて、地図データから位置座標及びその位置座標の周辺を含む部分地図データを特定する。次に、画面生成部225は、表示管理テーブルに含まれる向き及び姿勢に基づいて、隊員10を模式的に表す隊員画像の向き及び姿勢を決定する。決定後、画面生成部225は決定した向き及び姿勢の隊員画像を測位時刻毎の位置座標で部分地図データに基づく地図画面上に重畳して配置する。また、画面生成部225は、表示管理テーブルに含まれる向き及び姿勢に基づいて、小銃20を模式的に表す小銃画像の向き及び姿勢を決定する。決定後、画面生成部225は決定した向き及び姿勢の小銃画像を測位時刻毎の位置座標で地図画面上に配置する。さらに、画面生成部225は、小銃20の姿勢が照準姿勢であると判定した場合、小銃20の照準方向を示す図形画像を小銃画像の銃口付近に配置する。画面生成部225は、隊員画像、小銃画像、及び図形画像を配置した地図画面を画面情報として生成する。
【0071】
ステップS602の処理が完了すると、出力部240は活動確認画面を表示する(ステップS603)。より詳しくは、出力部240は画面生成部225が生成した画面情報を取得して、画面情報に応じた活動確認画面を表示装置720に表示する。これにより、
図16に示すように、表示装置720は活動確認画面を表示する。
【0072】
活動確認画面は、測位時刻毎の位置座標に配置された隊員画像50,51及び小銃画像60,61を含んでいる。活動確認画面では、隊員画像50,51及び小銃画像60,61のそれぞれの向き及び姿勢が表現される。また、隊員画像51が照準姿勢をとっていれば、図形画像70により照準方向が表現される。
図16では、しゃがみ姿勢をとる隊員画像51が所持する小銃20の銃口付近に図形画像70が示されている。尚、伏せ姿勢をとる隊員画像51が所持する小銃20の銃口付近に図形画像70を出現させてもよい。活動確認画面により、表示装置720の視聴者は隊員10の活動状況を精緻に把握することができる。
【0073】
以上、本実施形態によれば、処理サーバ200は処理部220を有し、処理部220はデータ収集部221、方向算出部222、及び向き判定部223を含んでいる。データ収集部221は隊員10が装着するヘルメット11の左右に設けた一対の第1測位装置100,110から一対の第1測位データを収集する。また、データ収集部221は小銃20の前後に設けた一対の第2測位装置150,160から一対の第2測位データを収集する。
【0074】
方向算出部222は収集した第1測位データの一方から第1測位データの他方への第1方向を算出する。また、方向算出部222は収集した第2測位データの一方から第2測位データの他方への第2方向を算出する。向き判定部223は算出した第1方向に基づいて、隊員10の顔の向きを判定する。また、向き判定部223は算出した第2方向に基づいて、小銃20の銃口の向きを判定する。このように、GPS衛星による測位技術(又は測位サービス)を利用して、隊員10の顔の向き及び小銃20の銃口の向きを判定することができる。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態では、照準方向を示す図形画像70を表示したが、図形画像70と異なる別の図形画像を表示してもよい。具体的には、小銃20の銃弾の初速や、戦車及び火砲(例えば追撃砲や榴弾砲など)の砲弾の初速、風速や風向きなどを利用して、銃弾や砲弾の着弾位置や散布界を示す画像を別の図形画像として表示してもよい。
【0076】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)判定対象の左右又は前後に設けた一対の衛星測位装置から一対の測位データを収集し、収集した前記測位データの一方から前記測位データの他方への方向を算出し、算出した前記方向に基づいて、前記判定対象の向きを判定する、処理をコンピュータが実行する向き判定方法。
(付記2)前記判定対象が前記衛星測位装置を左右に設けた人を含む場合、算出した前記方向の角度補正に基づいて、前記人の向きを判定する、ことを特徴とする付記1に記載の向き判定方法。
(付記3)収集した前記測位データの少なくとも一方の測位精度が低精度を表す特定の測位精度である場合、前記衛星測位装置に設けられた慣性センサのセンサ値に基づいて、前記特定の測位精度である測位データを補正する、ことを特徴とする付記1又は2に記載の向き判定方法。
(付記4)電子基準点が観測した観測データに基づいて前記衛星測位装置で補正された前記測位データを収集する、ことを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載の向き判定方法。
(付記5)前記判定対象が一対の第1衛星測位装置を左右に設けた人を含む場合、前記第1衛星測位装置から収集した一対の第1測位データのいずれか一方と、地図データに基づき特定可能な地表の高さを基準とする所定の閾値高さとの比較結果に応じて、前記人に関する第1姿勢を判定する、ことを特徴とする付記1から4のいずれか1項に記載の向き判定方法。
(付記6)前記判定対象が一対の第2衛星測位装置を前後に設けた小火器を含む場合、前記第1測位データの一方から前記第1測位データの他方への第1方向と、前記第2衛星測位装置から収集した一対の第2測位データの一方から前記第2測位データの他方への第2方向と、を算出し、算出した前記第1方向に基づいて、前記人の向きを判定し、算出した前記第2方向に基づいて、前記小火器の向きを判定し、前記第1測位データの一方と、前記第1測位データの一方に近接する前記第2測位データの一方の距離が第1閾値範囲内であり、かつ、判定した前記人の向きと判定した前記小火器の向きがなす角度が第2閾値範囲内であるか否かに応じて、前記小火器に関する第2姿勢を判定する、ことを特徴とする付記5に記載の向き判定方法。
(付記7)前記第1測位データ、判定した前記人の向き、及び判定した前記第1姿勢を含む人情報と、前記第2測位データ、判定した前記小火器の向き、及び判定した前記第2姿勢を含む小火器情報の組合せを時系列に集約した管理情報を生成し、前記管理情報に基づく前記人及び前記小火器を表す画像を地図データに基づく地図画面上に時系列に表示する、ことを特徴とする付記6に記載の向き判定方法。
(付記8)前記小火器が前記第2姿勢である場合、前記小火器の照準方向を示す図形画像を前記地図画面上に配置する、ことを特徴とする付記7に記載の向き判定方法。
(付記9)判定対象の左右又は前後に設けた一対の衛星測位装置から一対の測位データを収集し、収集した前記測位データの一方から前記測位データの他方への方向を算出し、算出した前記方向に基づいて、前記判定対象の向きを判定する、処理を実行する処理部を有する向き判定装置。
(付記10)判定対象の左右又は前後に設けた一対の衛星測位装置と、前記衛星測位装置から一対の測位データを収集し、収集した前記測位データの一方から前記測位データの他方への方向を算出し、算出した前記方向に基づいて、前記判定対象の向きを判定する処理装置と、を有する向き判定システム。
【符号の説明】
【0077】
ST データ処理システム
10 隊員
11 ヘルメット
20 小銃
100,110 第1測位装置
150,160 第2測位装置
200 処理サーバ
210 記憶部
220 処理部
221 データ収集部
222 方向算出部
223 向き判定部
300 中継端末
400 電子基準点