(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】品質解析装置、品質解析方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230705BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2019153855
(22)【出願日】2019-08-26
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2019080275
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 政典
(72)【発明者】
【氏名】森田 彰
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-165832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操業条件と
製品の品質との関係を解析する品質解析装置であって、
前記操業条件と前記製品の品質とを含み、前記製品が製造された日時と関連付けられたデータである操業実績データを記憶する操業データベースと、
前記操業実績データの解析条件として、品質の変化傾向を解析するための期間である解析期間と、前記操業条件と前記製品の品質との複合データの分位点の設定値である複合分位点確率を設定する解析条件設定部と、
前記操業実績データから、前記解析期間を複数に区分して生成された各期間における、各期間の代表点を中心とした前記操業実績データのまとまりである期間代表点データを作成し、前記期間代表点データから、各操業条件の代表点を中心とした前記操業実績データのまとまりである期間操業条件代表点データを作成する代表点データ作成部と、
前記期間操業条件代表点データ毎に、前記複合分位点確率として設定された品質の分位点である複合分位点の値を計算する複合分位点計算部と、
前記複合分位点の値を色調で表し、前記操業条件と前記製品が製造された日時とを軸とした2次元画像で表した複合分位点画像を出力する出力部と、
を有する、品質解析装置。
【請求項2】
前記解析条件設定部は、前記製品の品質の分位点の設定値である品質分位点確率を設定し、
前記期間代表点データ毎に、前記品質分位点確率として設定された品質の分位点である品質分位点の値を計算する、品質分位点計算部を有し、
前記出力部は、前記品質分位点の値を前記製品が製造された日時を軸としたグラフとして出力する、請求項1に記載の品質解析装置。
【請求項3】
前記解析条件設定部は、前記操業条件の分位点の設定値である操業条件分位点確率を設定し、
前記期間代表点データ毎に、前記操業条件分位点確率として設定された操業条件の分位点である操業条件分位点の値を計算する、操業条件分位点計算部を有し、
前記出力部は、
前記操業条件分位点の値を前記製品が製造された日時を軸としたグラフとして、前記複合分位点画像に重畳して出力する、請求項1または2に記載の品質解析装置。
【請求項4】
操業条件と製品の品質との関係を解析する品質解析方法であって、
前記操業条件と前記製品の品質とを含み、前記製品が製造された日時と関連付けられたデータである操業実績データを記憶する記憶ステップと、
前記操業実績データの解析条件として、品質の変化傾向を解析するための期間である解析期間と、前記操業条件と前記製品の品質との複合テータの分位点の設定値である複合分位点確率を設定する解析条件設定ステップと、
前記操業実績データから、前記解析期間を複数に区分して生成された各期間における、各期間の代表点を中心とした前記操業実績データのまとまりである期間代表点データを作成し、前記期間代表点データから、各操業条件の代表点を中心とした前記操業実績データのまとまりである期間操業条件代表点データを作成する代表点データ作成ステップと、
前記期間操業条件代表点データ毎に、前記複合分位点確率として設定された品質の分位点である複合分位点の値を計算する複合分位点計算ステップと、
前記複合分位点の値を色調で表し、前記操業条件と前記製品が製造された日時とを軸とした2次元画像で表した複合分位点画像を出力する出力ステップと、
を含む、品質解析方法。
【請求項5】
コンピュータを、
操業条件と製品の品質との関係を解析する品質解析装置であって、
前記操業条件と前記製品の品質とを含み、前記製品が製造された日時と関連付けられたデータである操業実績データを記憶する操業データベースと、
前記操業実績データの解析条件として、品質の変化傾向を解析するための期間である解析期間と、前記操業条件と前記製品の品質との複合テータの分位点の設定値である複合分位点確率を設定する解析条件設定部と、
前記操業実績データから、前記解析期間を複数に区分して生成された各期間における、各期間の代表点を中心とした前記操業実績データのまとまりである期間代表点データを作成し、前記期間代表点データから、各操業条件の代表点を中心とした前記操業実績データのまとまりである期間操業条件代表点データを作成する代表点データ作成部と、
前記期間操業条件代表点データ毎に、前記複合分位点確率として設定された品質の分位点である複合分位点の値を計算する複合分位点計算部と、
前記複合分位点の値を色調で表し、前記操業条件と前記製品が製造された日時とを軸とした2次元画像で表した複合分位点画像を出力する出力部と、
を有する、品質解析装置として機能させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の製造プロセスに適用され、製品の品質を解析する品質解析装置、品質解析方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造業において製品の品質管理は重要である。製品には品質に関するスペックが決められており、そのスペックを満たしていない製品は販売することができない。ここで、製品の品質とは、製品の特性値を指し、例えば鉄鋼製品であれば、製品の寸法精度、強度、靱性、防錆性、表面光沢、表面疵あるいは内部欠陥の有無等が品質に相当する。製品はある定められた製造仕様に基づく製造プロセスで製造されるが、同じ製造仕様で製造されたとしてもその品質は時間と共に日々変化することが通常である。例えば、気温や湿度などの環境条件、製造に必要な原材料の性状、製造プロセスの設備の摩耗やガタ等、様々な要因により製品の品質は日々変化する。したがって、製造プロセスにおいては、日々、品質の傾向監視が行われ、品質にずれが生じ始めた場合には、それに応じて適切に対処する必要がある。
【0003】
品質の変化傾向を監視する技術としては、例えば特許文献1の方法がある。特許文献1では、時間を横軸、品質を縦軸とした品質トレンドグラフと製造条件の変更を示す変化点とを対応付けて表示する。製造条件の変更によって品質が変化したか否かを可視化することで、視覚的に解りやすい情報の提示を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の方法は、品質の平均値をトレンドグラフとして監視するため、品質の平均値が大きく変わるような変化を捉えることはできるが、品質の低い製品の個数が僅かに増加するような、実際の現場で問題になる品質の変化を捉えることは難しい。
【0006】
例えば、ある2つの期間(期間A、B)において、
図18に示すように品質の発生頻度が変化したとする。期間Aに比べ、期間Bの★部において品質の低い製品が増加しており、何らかの対策が必要であるが、品質の低い製品の発生頻度は、品質の良い製品に比べて少ないため、品質の平均値は期間Aと期間Bとで大きな差異はない。このため、上記特許文献1のように品質の平均値を監視する方法では、期間Bのような品質の低い製品の発生頻度の変化を捉えることが難しい。管理された通常の製造プロセスでは、品質の低い製品の発生頻度は、品質の高い製品より少なく、このような状況は大いに起こり得る。
【0007】
また、品質の変化を捉えることができたとしても、その原因を見つけることも容易ではない。上記特許文献1の方法は、設備の補修等のように製造プロセスに明確な変化があった場合の急峻な品質の変化を捉えるには有効である。しかし、設備の摩耗やガタのような緩やかな変化に対しては、変化点を捉えることができず、上記特許文献1の方法を利用することはできない。特に、鉄鋼製品のように多くの品種を製造する生産形態の製造プロセスにおいては、品質変化の原因を見つけることが難しい。
【0008】
例えば、鋼板は板厚が薄いほど鋼板の形状が悪化しやすいが、鋼板の板厚は注文毎に異なり、かつ、板厚の構成比率も日々変化することが通常である。板厚の薄い鋼板を製造することが多い日もあれば、少ない日もある。このため、鋼板の形状を品質指標としてトレンドグラフで監視し、形状の悪い鋼板の発生比率が増加したという傾向が表れたとしても、品質が変化したとは即座に結論づけられず、単に板厚の薄い注文が増加しただけかも知れないし、別の原因で鋼板の形状が悪化したのかも知れない。このように、品質の変化のみをトレンドグラフとして監視しても不十分であり、品質へ影響を与える因子も同時に監視しなければならない。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、品質の僅かな変化を捉え、その原因を容易に特定することが可能な解析情報を提供する、新規かつ改良された品質解析装置、品質解析方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、指定された品質の製品を製造するために設定された操業条件に基づき製品を製造する製造プロセスにおいて、操業実績データとして得られた操業条件と品質との関係を解析する品質解析装置であって、操業実績データから、操業条件及び解析期間の日時の組合せ毎の品質の分位点である複合分位点の値を計算する複合分位点計算部と、計算された複合分位点を出力する出力部と、を有する、品質解析装置が提供される。
【0011】
複合分位点計算部は、操業条件と解析期間のそれぞれについて、取り得る値の範囲から複数の代表点を抽出し、解析期間の代表点と操業条件の代表点との組合せ毎に、抽出された操業実績データの中から代表点の組合せに近い操業実績データを選択し、選択した操業実績データに基づき、複合分位点の値を計算してもよい。
【0012】
出力部は、計算された複合分位点の値を色調で表した2次元画像を生成し、出力するようにしてもよい。
【0013】
品質可視化装置は、解析期間の日時毎に品質の分位点である品質分位点の値を計算する品質分位点計算部をさらに有してもよい。このとき、出力部は、品質分位点の値を時系列で表した品質分位点時系列グラフをさらに生成し、出力する。
【0014】
品質分位点計算部は、解析期間の取り得る値の範囲から複数の代表点を抽出し、解析期間の代表点毎に、操業実績データの中から代表点に近い操業実績データを選択し、選択した操業実績データに基づき、品質分位点を計算してもよい。
【0015】
品質可視化装置は、解析期間の日時毎に操業条件の分位点である操業条件分位点の値を計算する操業条件分位点計算部をさらに有してもよい。このとき、出力部は、操業条件分位点の値を時系列で表した操業条件分位点時系列グラフをさらに生成し、出力する。
【0016】
操業条件分位点計算部は、解析期間の取り得る値の範囲から複数の代表点を抽出し、解析期間の代表点毎に、操業実績データの中から代表点に近い操業実績データを選択し、選択した操業実績データに基づき、操業条件分位点を計算してもよい。
【0017】
出力部は、複数の操業条件がある場合、操業条件毎に操業条件分位点時系列グラフを生成し、出力してもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、指定された品質の製品を製造するために設定された操業条件に基づき製品を製造する製造プロセスにおいて、操業実績データとして得られた操業条件と品質との関係を解析する品質解析方法であって、操業実績データから、操業条件及び解析期間の日時の組合せ毎の品質の分位点である複合分位点の値を計算する複合分位点計算ステップと、計算された複合分位点を出力する出力ステップと、を含む、品質解析方法が提供される。
【0019】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、指定された品質の製品を製造するために設定された操業条件に基づき製品を製造する製造プロセスにおいて、操業実績データとして得られた操業条件と品質との関係を解析する品質解析装置であって、操業実績データから、操業条件及び解析期間の日時の組合せ毎の品質の分位点である複合分位点の値を計算する複合分位点計算部と、計算された複合分位点を出力する出力部と、を有する、品質解析装置として機能させる、コンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、品質の僅かな変化を捉え、その原因を容易に特定することが可能な解析情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る品質解析装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】操業データベースに格納されている操業実績データの一例を示す説明図である。
【
図6】同実施形態に係る品質解析方法を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る品質解析装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】同実施形態に係る品質解析方法を示すフローチャートである。
【
図9】複合分位点画像及び品質時系列グラフの一例を示す説明図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係る品質解析装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図11】同実施形態に係る品質解析方法を示すフローチャートである。
【
図12】ケース1として、複合分位点画像、品質時系列グラフ及び操業条件時系列グラフの一例を示す説明図である。
【
図13】ケース2として、複合分位点画像、品質時系列グラフ及び操業条件時系列グラフの一例を示す説明図である。
【
図14】ケース3として、複合分位点画像、品質時系列グラフ及び操業条件時系列グラフの一例を示す説明図である。
【
図15】第3の実施形態に係る品質解析装置の変形例を示す機能ブロック図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る品質解析装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図17】折れ線で示した品質時系列グラフ及び操業条件時系列グラフの一例を示す説明図である。
【
図18】正常状態の品質のヒストグラム(期間A)と品質の低下した製品が増加した異常状態のヒストグラム(期間B)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
<1.第1の実施形態>
[1-1.装置構成]
まず、
図1に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る品質解析装置100の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る品質解析装置100の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0024】
本実施形態に係る品質解析装置100は、操業データベース10に格納されている操業実績データを分析して解析期間における操業条件と製品の品質との関係を取得し、取得した関係を解析情報とする装置である。
【0025】
操業データベース10には、各製品の製造時の操業実績データが記録されており、例えば鋼板の製造プロセスにおいては
図2に示すような操業実績データが製品毎に記録されている。操業実績データは、操業条件及び品質を含み、当該製品が製造された日時と関連付けて記録されている。操業条件及び品質は、それぞれ複数のデータからなる。例えば、鋼板の製造プロセスの操業データベース10には、操業条件として、例えば鋼板の成分、気温、板厚、板幅、荷重等が記録されており、品質として、例えば鉄鋼製品の引張強度(TS)、降伏応力(YS)等が記録されている。
【0026】
品質解析装置100により生成された解析情報は、例えば出力装置20に表示される。出力装置20は、解析情報を表示可能なディスプレイ等である。品質解析装置100により生成された解析情報は、プリンタ等により出力することも可能である。
【0027】
本実施形態に係る品質解析装置100は、
図1に示すように、解析条件設定部110と、代表点データ作成部120と、複合分位点計算部130と、出力部140と、を有する。
【0028】
(解析条件設定部)
解析条件設定部110は、操業実績データの解析条件を設定する。解析条件は、例えば、ユーザが入力装置30を用いて入力してもよい。入力装置30は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の機器である。解析条件設定部110は、入力装置30から入力された情報に基づき、解析条件を設定する。
【0029】
解析条件の一例を
図3に示す。解析期間は、品質の変化傾向を解析する期間であり、
図3では当該期間の開始日と終了日とを示している。期間代表点個数は、解析期間内において選択する代表点の個数である。操業条件代表点個数は、操業条件の上限値と下限値との区間を等間隔に分割する際に設定する代表点の個数である。品質分位点確率、操業条件分位点確率及び複合分位点確率は、それぞれ、品質、操業条件、品質と操業条件との複合データの分位点の設定値を示している。品質分位点確率及び操業条件分位点確率は、
図3に示すように、複数設定してもよく、1つのみ設定してもよい。
【0030】
ここで、
図4に基づき、期間代表点個数及び操業条件代表点個数の具体例を説明する。
図4は、期間代表点の一例を示す説明図である。
図4において、横軸は解析期間の日時を表し、縦軸は操業条件の一例として板厚を示している。解析期間は4月1日~6月29日の約3ヶ月間(90日間)である。期間代表点個数は、解析期間を区分する数であり、
図3の解析条件では15個と設定されている。したがって、解析期間は15等分され、このとき、区分された各期間を代表する操業実績データを代表点としている。例えば、
図4の例では、代表点は、4月4日、4月10日、4月16日、・・・、6月27日の6日間隔で15個設定される。操業条件代表点個数も期間代表点個数と同様であり、各操業条件に予め設定されている上限値と下限値との間の区間を区分する代表点の個数を表している。
図3の例では操業条件代表点個数は10個に設定されている。
【0031】
なお、上記では、解析期間と操業条件の上限値と下限値との間の区間を等間隔に分割する点を代表点としたが、本発明はかかる例に限定されず、代表点の間隔は不等間隔であってもよい。例えば、各区間内のデータ個数が均一になるように代表点を設定してもよい。このとき、期間代表点については、1日の生産量はほぼ変わらないため、代表点の間隔は等間隔とした方が解り易い。操業条件代表点については、その下限値から上限値まで、一様にデータが分布していていない場合もある。このような場合には、データ個数を均一にした方が、解析精度が向上する。データ個数を均一にする場合、分位点を代表点とすればよい。例えば、操業条件代表点が10個に設定されている場合、5%分位点、15%分位点、・・・、95%分位点を代表点とすればよい。
【0032】
(代表点データ作成部)
代表点データ作成部120は、操業データベース10から取得された解析対象となる解析期間内の操業実績データから、期間または操業条件に基づき区分される操業実績データのまとまりを作成する。この操業実績データのまとまりを代表点データと定義する。代表点データ作成部120は、代表点データとして、期間代表点データと、期間操業条件代表点データとを作成する。期間代表点データは、解析期間を複数に区分して生成された各期間における、各期間の代表点を中心とした操業実績データのまとまりである。期間操業条件代表点データは、期間代表点データに含まれる操業実績データを、さらに、各操業条件代表点を中心とした操業実績データのまとまりである。
【0033】
代表点データは、各区間で完全に分離されるようにしてもよく、隣接する代表点データに重複が生じていてもよい。例えば、解析期間が15個に分割される場合、
図4に示した解析期間のうち、4月4日の代表点データを4月1日~4月7日の操業実績データとし、4月10日の代表点データを4月8日~4月13日の操業実績データとする、というように、隣り合う代表点で代表点データが重ならないようにしてもよい。また、4月4日の代表点データを4月1日~4月8日の操業実績データとし、4月10日の代表点データを4月7日~4月13日の操業実績データとする、というように、重複させてもよい。例えば、操業実績データのデータ数が少ない場合に、隣接する代表点データを重複させることで各区間の代表点データの個数が増加し、解析精度が向上する効果がある。
【0034】
また、期間操業条件代表点データについては、例えば、板厚の代表点を3.0mm、4.0mm、5.0mm、6.0mm、7.0mmとする。このとき、4月4日の代表点データの中から板厚2.5mm~3.5mmの操業実績データを抽出して、[日時4月4日,板厚3.0mm]の代表点データとし、板厚3.5mm~4.5mmの操業実績データを抽出して、[日時4月4日,板厚4.0mm]の代表点データとするようにしてもよい。期間操業条件代表点データについても、解析期間と同様、含まれる操業実績データの重複がないように作成してもよく、隣接する代表点データで含まれる操業実績データを重複させてもよい。
【0035】
このように解析期間の期間代表点データ及び期間操業条件代表点データが設定される。隣接する代表点データで含まれる操業実績データの重複がないように代表点データを作成した場合、各代表点データは、
図4に示すように、期間代表点と操業条件代表点とでメッシュ状に分割された各領域に含まれる操業実績データのまとまりとして表される。例えば、[日時4月4日,板厚3.0mm]の代表点データは、
図4のハッチングで示される領域に含まれる操業実績データのまとまりとなる。
【0036】
(複合分位点計算部)
複合分位点計算部130は、代表点データ作成部120にて作成された期間操業条件代表点データの品質を解析して、解析条件設定部110にて複合分位点確率として設定された品質の分位点を期間操業条件代表点データ毎に計算する。すなわち、複合分位点計算部130は、複合分位点確率の品質の分位点を操業条件及び解析期間の日時の組合せ(すなわち期間操業条件代表点データ)毎に算出し、複合分位点とする。品質と操業条件とが複数存在する場合には、複合分位点計算部130は、品質と操業条件とのすべての組合せ毎に各期間操業条件代表点データの複合分位点を計算すればよい。なお、X%分位点とは、データを小さい順に並べ、最も小さいデータからN×(X/100)番目のデータの値である。なお、Nはデータの個数である。Xは、解析条件設定部110にて設定された値(品質分位点確率、操業条件分位点確率、もしくは、複合分位点確率)が設定される。
【0037】
(出力部)
出力部140は、複合分位点計算部130にて計算された複合分位点の値を解析情報として出力する。また、出力部140は、複合分位点計算部130にて計算された複合分位点の値を色調で表した2次元画像である複合分位点画像を生成し、出力する機能を有してもよい。複合分位点画像は、ユーザに提示される可視化された解析情報であり、操業条件と品質との関係を視覚的にわかりやすく示したものである。出力部140は、複合分位点計算部130にて計算された複合分位点の値、あるいは、生成した複合分位点画像等の解析情報を出力装置20等に出力する。解析情報の入力を受けた出力装置20は、複合分位点の値あるいは複合分位点画像を表示し、ユーザに提示する。
【0038】
図5に、複合分位点画像の一例を示す。
図5は、操業条件Aと操業条件Bとについての複合分位点画像であり、横軸に日時、縦軸に操業条件の値を示している。複合分位点は80%である。
図5の複合分位点画像は、白黒の濃淡画像であり、色が濃いほど品質が低下していることを示している。複合分位点画像の生成処理及び複合分位点画像の詳細な説明は後述する。
【0039】
[1-2.品質解析方法]
図6に基づき、本実施形態に係る品質解析装置100により行われる品質解析処理について説明する。
図6は、本実施形態に係る品質解析方法を示すフローチャートである。
【0040】
本実施形態に係る品質解析方法では、
図6に示すように、まず、代表点データ作成部120により、解析条件設定部110にて設定された解析条件の読み込みが行われる(S100)。代表点データ作成部120は、例えば
図3に示したような、解析期間、期間代表点個数、操業条件代表点個数、各種の分位点等の解析条件を読み込む。
【0041】
次いで、代表点データ作成部120は、操業データベース10から解析対象の操業実績データを取得する(S110)。解析対象の操業実績データは、ステップS100にて読み取られた解析期間の操業実績データである。操業実績データは、例えば
図2に示したように、製品毎に、当該製品が製造された日時と操業条件及び品質とが関連付けられたデータである。
【0042】
操業実績データの読み込みを終えると、代表点データ作成部120は、代表点データを作成する(S120)。代表点データは、解析期間に含まれる操業実績データから代表点を設定し、当該代表点近傍の操業実績データのまとまりを代表点データとする。例えば、代表点データは、
図4に示したような、期間代表点と操業条件代表点とでメッシュ状に分割された各領域に含まれる操業実績データのまとまりとして表される。
【0043】
そして、複合分位点計算部130は、代表点データ作成部120にて作成された期間操業条件代表点データの品質を解析して、解析条件設定部110にて設定された複合分位点確率の品質の分位点を期間操業条件代表点データ毎に計算する(S130)。例えば
図4に示すような代表点データが作成されているとき、メッシュ状の各領域に含まれる操業実績データについて、ステップS100にて読み込まれた複合分位点確率での品質の分位点(すなわち複合分位点)をそれぞれ計算する。
【0044】
その後、出力部140は、ステップS130での計算結果を出力する(S140)。出力部140は、計算された複合分位点の値を出力してもよい。あるいは、出力部140は、複合分位点計算部130にて計算された複合分位点での値に基づき、これらの値を色調で表した2次元画像を複合分位点画像として生成し、出力してもよい。複合分位点画像は、可視化された解析情報の一例であり、複合分位点計算部130にて計算された、期間操業条件代表点データ(すなわち、メッシュ状の各領域に含まれる操業実績データ)毎の設定した複合分位点確率での品質の分位点の、時系列変化傾向を表す画像である。
【0045】
複合分位点画像は、複合分位点での値の大きさを色調により表している。色調とは、明度と彩度とに基づく色の調子の違いをいい、明暗、濃淡、強弱等の調子によって色は変化する。色調により、例えば
図5に示したように白黒の濃淡にて複合分位点での値の変化を表現することもでき、カラーにて複合分位点での値の変化を表現することもできる。カラーの場合には、例えば、青を高品質、赤を低品質と定義して、品質の分位点を青から赤までの色調により複合分位点画像を表してもよい。
【0046】
また、
図5に示した複合分位点画像は、滑らかで自然な画像となるように、隣り合う複合分位点の間の値を補完している。このように、複合分位点画像は、滑らかな画像となるように隣り合う複合分位点の間の値を補完することが好ましいが、本発明はかかる例に限定されず、例えば、
図4に示した期間操業条件代表点を中心としたメッシュ状の領域内は同一色調で表すようにしてもよい。
【0047】
なお、複合分位点画像では、解析条件として指定する分位点の設定値(複合分位点確率)は1つのみである。品質の値が大きいほど品質が低いことを意味するならば、分位点は80~90%程度の大きい値を設定するのがよい。
【0048】
ステップS140では、例えば生成された複合分位点画像が出力部140から出力装置20等へ出力され、ユーザに提示される。ユーザは、提示された複合分位点画像から、製品の品質と製造条件との関係の変化を把握することができる。
【0049】
例えば、
図5に示す操業条件Aの複合分位点画像をみると、以前(画像の左側)は操業条件Aの値に寄らず濃淡は均一であり品質は一定であったが、直近(画像の右側)では濃淡が変化しており、操業条件Aの値が大きくなるほど品質が低下していることがわかる。すなわち、かかる複合分位点画像は、操業条件Aと品質との関係が時系列的に変化していることを意味しており、この場合には、複合分位点画像の変化の原因を調査し、何らかの対策が必要と判断できる。
【0050】
一方、操業条件Bについては、
図5に示す操業条件Bの複合分位点画像をみると、操業条件Bと濃淡との関係は時系列的に変化していない。したがって、操業条件Bは品質変化に対して影響を与えていないと判断できる。
【0051】
以上、本発明の第1の実施形態に係る品質解析装置100の構成とこれによる品質解析方法について説明した。本実施形態によれば、複合分位点計算部130により、操業実績データの品質を期間操業条件代表点データ毎に解析し、複合分位点の値を計算する。そして、出力部140により、計算された複合分位点の値が出力されたり、計算された複合分位点の値を色調で表した2次元画像が複合分位点画像として生成され、出力されたりする。複合分位点画像は、操業条件毎に生成され、操業条件と品質との関係の時系列変化を視覚的に把握しやすいように可視化された解析情報の一例である。複合分位点画像を監視することで、操業条件が品質に与える僅かな変化(例えば品質の低い製品の発生頻度が増加していること)を捉えることが可能となり、その原因(例えばどの操業条件が品質の低下に影響しているか)を容易に特定することができる。
【0052】
<2.第2の実施形態>
[2-1.装置構成]
次に、
図7に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る品質解析装置200の構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る品質解析装置200の機能構成を示す機能ブロック図である。本実施形態に係る品質解析装置200は、第1の実施形態に係る品質解析装置100と比較して、解析期間の期間代表点データ毎に品質の分位点を計算する品質分位点計算部250をさらに有する点で相違する。以下では、主として、第1の実施形態との相違点を説明する。
【0053】
本実施形態に係る品質解析装置200は、
図7に示すように、解析条件設定部210と、代表点データ作成部220と、複合分位点計算部230と、出力部240と、品質分位点計算部250とを有する。解析条件設定部210、代表点データ作成部220、複合分位点計算部230及び出力部240は、第1の実施形態に係る解析条件設定部110、代表点データ作成部120、複合分位点計算部130及び出力部140にそれぞれ対応する。したがって、これらの構成要素については詳細な説明を省略する。
【0054】
(品質分位点計算部)
品質分位点計算部250は、代表点データ作成部220にて作成された期間代表点データの品質を解析して、解析条件設定部210にて品質分位点確率として設定された品質の分位点の値を期間代表点データ毎に計算する。すなわち、品質分位点計算部250は、解析期間の期間代表点データ毎に品質分位点確率の品質の分位点の値を計算して品質分位点とする。品質分位点確率は、解析条件設定部210にて、1または複数設定し得る。品質分位点確率は、例えば10%、20%、30%、・・・、90%のように、10%間隔で9つ設定してもよく、
図3に示したように、20%、50%、80%の3つを設定してもよい。品質分位点計算部250により計算された品質分位点の値は、出力部240へ出力される。
【0055】
(出力部)
出力部240は、第1の実施形態と同様、複合分位点計算部230にて計算された複合分位点の値、あるいは、品質分位点計算部250にて計算された品質分位点の値を出力する。また、出力部240は、複合分位点計算部230にて計算された複合分位点の値を色調で表した2次元画像である複合分位点画像を生成するとともに、品質分位点計算部250にて計算された品質分位点の値から時系列グラフ(以下、「品質時系列グラフ」ともいう。)を生成し、出力する機能を有してもよい。複合分位点画像は、第1の実施形態と同様に生成される。品質時系列グラフは、品質分位点の値の時系列変化を表すグラフであり、解析条件として設定された品質分位点確率(例えば、
図3の例では20%、50%、80%)毎に生成される。品質時系列グラフは、例えば後述する
図9の品質分位点画像のように、期間代表点データ毎の品質分位点を通る滑らかな曲線により表すことができる。出力部240は、複合分位点の値や、生成した複合分位点画像及び品質時系列グラフを、例えば出力装置20に出力し、ユーザに提示させる。
【0056】
[2-2.品質解析方法]
次に、
図8及び
図9に基づいて、本実施形態に係る品質解析装置200により行われる品質解析処理について説明する。
図8は、本実施形態に係る品質解析方法を示すフローチャートである。
図9は、複合分位点画像及び品質時系列グラフの一例を示す説明図である。なお、以下では、第1の実施形態と同様の処理についての詳細な説明は省略する。
【0057】
本実施形態に係る品質解析方法では、
図8に示すように、まず、代表点データ作成部220により、解析条件設定部110にて設定された解析条件の読み込みが行われる(S200)。次いで、代表点データ作成部220は、操業データベース10から解析対象の操業実績データを取得する(S210)。操業実績データの読み込みを終えると、代表点データ作成部220は、代表点データを作成する(S220)。ステップS200~S220の処理は、第1の実施形態のステップS100~S120と同様である。
【0058】
そして、品質分位点計算部250は、代表点データ作成部220にて作成された期間代表点データの品質を解析して、解析条件設定部210に品質分位点確率として設定された品質の分位点の値(すなわち品質分位点)を期間代表点データ毎に計算する(S230)。例えば
図4に示すような代表点データが作成されているとき、品質分位点計算部250は、解析期間を区分して生成された各領域に含まれる操業実績データ(すなわち期間代表点データ)から、ステップS200にて読み込まれた品質分位点確率での品質の分位点の値をそれぞれ計算する。
【0059】
また、複合分位点計算部230は、代表点データ作成部220にて作成された期間操業条件代表点データの品質を解析して、解析条件設定部210にて複合分位点確率として設定された品質の分位点(すなわち複合分位点)を期間操業条件代表点データ毎に計算する(S240)。ステップS240の処理は、第1の実施形態のステップS130と同様に行えばよい。
【0060】
その後、出力部240は、ステップS230及びS240での計算結果を出力する(S250)。すなわち、出力部240は、計算された品質分位点の値や複合分位点の値を出力してもよい。あるいは、出力部240は、複合分位点計算部230にて計算された複合分位点の値に基づき複合分位点画像を生成するとともに、品質分位点計算部250にて計算された品質分位点の値に基づき品質時系列グラフを生成し、出力してもよい。複合分位点画像は、第1の実施形態のステップS140と同様の処理を行うことで生成される。品質時系列グラフは、品質分位点の値の時系列変化を表すグラフであり、解析条件として設定された品質分位点確率(例えば、
図3の例では20%、50%、80%)毎に生成される。
【0061】
図9に、複合分位点画像及び品質時系列グラフを示す品質分位点画像の一例を示す。
図9に示す複合分位点画像A、Bは、
図5と同一である。品質時系列グラフは、
図9上側に示すように、品質分位点確率を20%、50%、80%としたときの品質分位点の値をそれぞれ示している。
図9に示す品質時系列グラフは、期間代表点データ毎の品質分位点の値を通る滑らかな曲線により表されている。
【0062】
ステップS250では、品質分位点の値や複合分位点の値、生成された複合分位点画像及び品質時系列グラフ等の解析情報を、出力装置20等へ出力する。出力装置20は、入力された解析情報をユーザに提示する。例えば、ユーザは、提示された品質時系列グラフから、品質の時系列変化を把握することができる。また、例えば、ユーザは、提示された複合分位点画像から、製品の品質と製造条件との関係の変化を把握することができる。
【0063】
例えば、
図9上側に示す品質時系列グラフを示す品質分位点画像を見ると、直近(グラフの右側)の品質分位点確率が80%であるときの品質分位点の値が高くなっている。これは、製造された製品に品質の低い製品が増加したことを表す。そこで、操業条件A、Bの複合分位点画像をみると、操業条件Aの複合分位点画像において、品質分位点確率が80%であるときの品質分位点の値が高くなった時期に対応して操業条件Aの値が大きいときの複合分位点の値が大きくなっている(すなわち品質が低下している)ことがわかる。これより、以前と比べて直近では操業条件Aの値が大きくなると、製品の品質が低下する傾向に変化したことがわかる。
【0064】
以上、本発明の第2の実施形態に係る品質解析装置200の構成とこれによる品質解析方法について説明した。本実施形態によれば、複合分位点計算部230により、操業実績データの品質の分位点の値を期間操業条件代表点データ毎に解析し、複合分位点の値を計算する。また、品質分位点計算部250により、解析期間の期間代表点データ毎に品質分位点の値を計算する。そして、出力部240により、品質分位点の値や複合分位点の値が出力されたり、複合分位点画像及び品質時系列グラフが生成され、出力されたりする。
【0065】
ここで、複合分位点画像は、操業条件毎に生成され、操業条件と品質との関係の時系列変化を視覚的に把握しやすいように可視化された解析情報の一例である。品質時系列グラフは、品質の時系列変化を視覚的に把握しやすいように可視化された解析情報の一例である。まず、品質時系列グラフを監視することで品質の低下を検知することができる。そして、品質の低下の原因を特定するために複合分位点画像を監視することで、操業条件が品質に与える僅かな変化(例えば品質の低い製品の発生頻度が増加していること)を捉えることが可能となり、その原因(例えばどの操業条件が品質の低下に影響しているか)を容易に特定することができる。
【0066】
<3.第3の実施形態>
[3-1.装置構成]
次に、
図10に基づいて、本発明の第3の実施形態に係る品質解析装置300の構成について説明する。
図10は、本実施形態に係る品質解析装置300の機能構成を示す機能ブロック図である。本実施形態に係る品質解析装置300は、第2の実施形態に係る品質解析装置200と比較して、解析期間の期間代表点データ毎に操業条件分位点の値を計算する操業条件分位点計算部360をさらに有する点で相違する。以下では、主として、第2の実施形態との相違点を説明する。
【0067】
本実施形態に係る品質解析装置300は、
図10に示すように、解析条件設定部310と、代表点データ作成部320と、複合分位点計算部330と、出力部340と、品質分位点計算部350と、操業条件分位点計算部360とを有する。解析条件設定部310、代表点データ作成部320、複合分位点計算部330、出力部340及び品質分位点計算部350は、第2の実施形態に係る解析条件設定部210、代表点データ作成部220、複合分位点計算部230、出力部240及び品質分位点計算部250にそれぞれ対応する。したがって、これらの構成要素については詳細な説明を省略する。
【0068】
(操業条件分位点計算部)
操業条件分位点計算部360は、代表点データ作成部320にて作成された期間代表点データの操業条件を解析して、解析条件設定部310にて操業条件分位点確率として設定された操業条件の分位点の値を期間代表点データ毎に計算する。すなわち、操業条件分位点計算部360は、解析期間の期間代表点データ毎に操業条件分位点確率の操業条件の分位点の値を計算して操業条件分位点とする。操業条件分位点確率は、品質分位点確率と同様、解析条件設定部310にて、1または複数設定し得る。操業条件分位点確率は、例えば10%、20%、30%、・・・、90%のように、10%間隔で9つ設定してもよく、
図3に示したように、20%、50%、80%の3つを設定してもよい。操業条件が複数存在する場合には、それぞれの操業条件ごとに期間代表点データ毎の操業条件分位点の値が計算される。操業条件分位点計算部360により計算された操業条件分位点の値は、出力部340へ出力される。
【0069】
(出力部)
出力部340は、第2の実施形態と同様、複合分位点計算部330にて計算された複合分位点の値、品質分位点計算部350にて計算された品質分位点の値、あるいは、操業条件分位点計算部360にて計算された操業条件分位点の値を出力する。また、出力部340は、複合分位点計算部330にて計算された複合分位点の値を色調で表した2次元画像である複合分位点画像を生成するとともに、品質分位点計算部350にて計算された品質分位点の値を時系列に並べた品質時系列グラフと、操業条件分位点計算部360にて計算された操業条件分位点の値を時系列に並べた時系列グラフ(以下、「操業条件時系列グラフ」ともいう。)とを生成し、出力する機能を有してもよい。複合分位点画像及び品質時系列グラフは、第2の実施形態と同様に生成される。
【0070】
操業条件時系列グラフは、操業条件分位点の値の時系列変化を表すグラフであり、解析条件として設定された操業条件分位点確率(例えば、
図3の例では20%、50%、80%)毎に生成される。操業条件時系列グラフは、例えば後述する
図12~
図14の複合分位点画像に重畳して示されているように、期間代表点データ毎の操業条件分位点を通る滑らかな曲線により表すことができる。出力部340により生成された複合分位点画像、品質時系列グラフ及び操業条件時系列グラフは、例えば出力装置20に出力され、ユーザに提示される。
【0071】
[3-2.品質解析方法]
次に、
図11~
図14に基づいて、本実施形態に係る品質解析装置300により行われる品質解析処理について説明する。
図11は、本実施形態に係る品質解析方法を示すフローチャートである。
図12~
図14は、複合分位点画像、品質時系列グラフ及び操業条件時系列グラフの一例を示す説明図である。なお、以下では、第2の実施形態と同様の処理についての詳細な説明は省略する。
【0072】
本実施形態に係る品質解析方法では、
図11に示すように、まず、代表点データ作成部320により、解析条件設定部310にて設定された解析条件の読み込みが行われる(S300)。次いで、代表点データ作成部320は、操業データベース10から解析対象の操業実績データを取得する(S310)。操業実績データの読み込みを終えると、代表点データ作成部320は、代表点データを作成する(S320)。ステップS300~S320の処理は、第2の実施形態のステップS200~S220と同様である。
【0073】
そして、品質分位点計算部350は、代表点データ作成部320にて作成された期間代表点データの品質を解析して、解析条件設定部310にて品質分位点確率として設定された品質の分位点の値を期間代表点データ毎に計算する(S330)。ステップS330の処理は、第2の実施形態のステップS230と同様に行えばよい。
【0074】
また、操業条件分位点計算部360は、代表点データ作成部320にて作成された期間代表点データの操業条件を解析して、解析条件設定部310にて操業条件分位点確率として設定された操業条件の分位点の値を期間代表点データ毎に計算する(S340)。例えば
図4に示すような代表点データが作成されているとき、操業条件分位点計算部360は、解析期間を区分して生成された各領域に含まれる操業実績データ(すなわち期間代表点データ)から、ステップS300にて読み込まれた操業条件分位点確率での操業条件の分位点の値をそれぞれ計算する。
【0075】
さらに、複合分位点計算部330は、代表点データ作成部320にて作成された期間操業条件代表点データの品質を解析して、解析条件設定部310にて複合分位点確率として設定された品質の分位点の値(すなわち複合分位点)を期間操業条件代表点データ毎に計算する(S350)。ステップS350の処理は、第2の実施形態のステップS240と同様に行えばよい。
【0076】
その後、出力部340は、ステップS330~S350での計算結果を出力する(S360)。すなわち、出力部340は、計算された品質分位点の値や操業条件分位点、複合分位点の値を出力してもよい。あるいは、出力部340は、複合分位点計算部330にて計算された複合分位点の値に基づき複合分位点画像を生成し、出力する機能を有してもよい。さらに、出力部340は、品質分位点計算部350にて計算された品質分位点の値に基づき品質時系列グラフを生成するとともに、操業条件分位点計算部360にて計算された操業条件分位点での値に基づき操業条件時系列グラフを生成し、出力する機能を有してもよい(S360)。複合分位点画像は、第2の実施形態のステップS240と同様の処理を行うことで生成される。品質時系列グラフは、第2の実施形態のステップS230と同様の処理を行うことで生成される。操業条件時系列グラフは、操業条件分位点の値の時系列変化を表すグラフであり、解析条件として設定された操業条件分位点確率(例えば、
図3の例では20%、50%、80%)毎に生成される。
【0077】
ステップS360では、品質分位点の値や操業条件分位点の値、複合分位点の値、生成された複合分位点画像、品質時系列グラフ及び操業条件時系列グラフ等の解析情報を、出力装置20等へ出力する。出力装置20は、入力された解析情報をユーザに提示する。例えば、ユーザは、提示された品質時系列グラフから、品質の時系列変化を把握することができる。また、例えば、ユーザは、提示された複合分位点画像から、製品の品質と製造条件との関係の変化を把握することができる。さらに、例えば、ユーザは、提示された操業条件時系列グラフから、操業条件分位点の値の時間的変化を把握することができる。
【0078】
ここで、
図12~
図14に、操業条件時系列グラフを含む複合分位点画像及び品質時系列グラフを示す品質分位点画像の一例を示す。操業条件時系列グラフは、操業条件A、Bそれぞれについて生成されており、それぞれ対応する複合分位点画像A、Bに重畳して示されている。
図12~
図14に示す操業条件時系列グラフは、期間代表点データ毎の操業条件分位点の値を通る滑らかな曲線により表されている。
【0079】
図12に示すケース1は、上側に示す品質時系列グラフを示す品質分位点画像より、直近(グラフの右側)の品質分位点確率が80%であるときの品質分位点の値が高くなっていることがわかる。これは、製造された製品に品質の低い製品が増加したことを表す。そこで、操業条件A、Bの複合分位点画像をみると、いずれも、品質と操業条件との関係は時系列的に変化していない。しかし、操業条件Aの操業条件時系列グラフは、いずれの操業条件分位点確率においても、直近の操業条件Aの値が大きくなっている。複合分位点画像Aより、操業条件Aと品質との関係は、操業条件Aが大きくなると製品の品質は低下する傾向が従来からある。したがって、品質の低下は、直近で操業条件Aの値が大きい注文が増加したことに起因して生じたものであり、操業条件Aと品質との関係は変化していないため、正常状態と判断することができる。また、操業条件Bの操業条件時系列グラフ及び複合分位点画像を見ると、操業条件Bの分位点の値は時系列的に変化しておらず、複合分位点画像の濃淡も時系列的に変化していないため、操業条件Bは品質変化に対して影響を与えていないと判断できる。
【0080】
図13に示すケース2は、
図9と同様のケースであり、
図13に示す品質時系列グラフを示す品質分位点画像及び複合分位点画像A、Bは、
図9と同一である。ケース2は、品質時系列グラフからわかるように、品質分位点が直近に大きく悪化しているケースである。しかし、操業条件Aの操業条件時系列グラフを見ると、操業条件Aの値に変化はなく、操業条件Aの値が大きい注文が増加した訳ではないが、操業条件Aの複合分位点画像の濃淡が直近で変化している。これは、操業条件Aと品質との関係が時系列的に変化していることを意味している。この場合、かかる関係の変化の原因を調査し、何らかの対策が必要と判断できる。
【0081】
図14に示すケース3は、品質時系列グラフをみると、品質に時系列的な変化は生じていないと判断される。しかし、操業条件Aの複合分位点画像を見ると、操業条件Aと品質との関係が変化している。操業条件Aの操業条件時系列グラフを見ると、操業条件Aの値はいずれの操業条件分位点においても小さくなっているが、操業条件Aの複合分位点画像には、操業条件Aの値が大きくなると品質が低下する傾向が表れている。つまり、ケース3は、操業条件Aの値が大きい注文が少なかったために、品質時系列グラフでは品質分位点の値は変化していないように見えているだけであり、この場合も操業条件Aと品質との関係が変化した原因を調査し、何らかの対策が必要と判断できる。
【0082】
以上、本発明の第3の実施形態に係る品質解析装置300の構成とこれによる品質解析方法について説明した。本実施形態によれば、複合分位点計算部330により、品質分位点の値を期間操業条件代表点データ毎に解析し、複合分位点の値を計算する。また、品質分位点計算部350により、期間代表点データ毎に品質分位点の値が計算され、操業条件分位点計算部360により、期間代表点データ毎に操業条件分位点の値が計算される。そして、出力部340により、品質分位点の値や操業条件分位点の値、複合分位点の値が出力されたり、複合分位点画像、品質時系列グラフ及び操業条件時系列グラフが生成され、出力されたりする。
【0083】
ここで、複合分位点画像は、操業条件毎に生成され、操業条件と品質との関係の時系列変化を視覚的に把握しやすいように可視化された解析情報の一例である。品質時系列グラフは、品質の時系列変化を視覚的に把握しやすいように可視化された解析情報の一例である。そして、操業条件時系列グラフは、操業条件の分位点の値の時系列変化を視覚的に把握しやすいように可視化された解析情報の一例である。
【0084】
このような品質解析方法により、まず、品質時系列グラフを監視することで品質の低下を検知することができる。そして、品質の低下の原因を特定するために複合分位点画像を監視することで、操業条件が品質に与える僅かな変化(例えば品質の低い製品の発生頻度が増加していること)を捉えることが可能となり、その原因(例えばどの操業条件が品質の低下に影響しているか)を容易に特定することができる。さらに、操業条件時系列グラフを参照することで、操業条件の品質への影響度を総合的に判断した上で、対策を検討することができる。例えば、
図14に示したケース3の場合、以前と比べて操業条件と品質との関係が変化しているが、操業条件Aの値が大きい注文が今後とも少ないならば、品質は全体的に維持されることになるため、対策の必要はないと判断することも可能である。
【0085】
<4.変形例>
上記第1~第3の実施形態では、代表点データ作成部にて、解析期間と操業条件それぞれに基づき代表点を設定し、その代表点を中心とした操業実績データのまとまりを代表点データとして作成している。これにより、代表点データから分位点を容易に計算できるメリットがある。しかし、分位点の計算方法はかかる例に限定されず、例えば、
図15に示すような品質解析装置400を構成することで、代表点データ作成部を不要とすることができる。
図15に示す品質解析装置400は、
図10に示した第3の実施形態の品質解析装置300に対応し、代表点データ作成部がない点で相違する。
【0086】
例えば、
図15の品質分位点計算部450は、品質の分布を正規分布と仮定して、正規分布のパラメータである平均値μ
y
j(t)と分散v
y
j(t)を期間tに依存して変化する変数として、下記式(1)及び式(2)のような関数で表す。そして、品質分位点計算部450は、その関数のパラメータであるa
y
j1~a
yj3、b
y
j1~b
y
j3を操業実績データから最尤推定法等で推定し、得られた期間t毎の正規分布から品質の分位点を計算すればよい。ここで、jは品質の種類を表すインデックスである。
【0087】
μy
j(t)=ay
j1×t2+ay
j2×t+ay
j3 ・・・(1)
vy
j(t)=by
j1×t2+by
j2×t+by
j3 ・・・(2)
【0088】
操業条件分位点計算部460は、品質分位点計算部450と同様、操業条件の分布を正規分布と仮定して、正規分布のパラメータである平均値μx
i(t)と分散vx
i(t)を時間tに依存して変化する変数として、下記式(3)及び式(4)のような関数で表す。そして、操業条件分位点計算部460は、その関数のパラメータであるax
i1~ax
i3、bx
i1~bx
i3を操業実績データから最尤推定法等で推定し、得られた操業条件の値xi毎の正規分布から操業条件の分位点を計算すればよい。ここで、iは操業条件の種類を表すインデックスである。
【0089】
μx
i(t)=ax
i1×t2+ax
i2×t+ax
i3 ・・・(3)
vx
i(t)=bx
i1×t2+bx
i2×t+bx
i3 ・・・(4)
【0090】
複合分位点計算部430は、品質分位点計算部450と同様、品質の分布を正規分布と仮定して、正規分布のパラメータである平均値μxy
ij(t)と分散vxy
ij(t)を操業条件の値xiと期間tに依存して変化する変数として、下記式(5)及び式(6)のような関数で表す。そして、複合分位点計算部430は、その関数のパラメータであるax
ij1、ax
ij2、ay
ij1、ay
ij2、axy
ij3、bx
ij1、bx
ij2、by
ij1、by
ij2、bxy
ij3を操業実績データから最尤推定法等で推定し、得られた操業条件の値xi毎、時間t毎の正規分布から品質の分位点を計算すればよい。
【0091】
μxy
ij(xi,t)
=ax
ij1×xi
2+ax
ij2×xi+ay
ij1×t2+ay
ij2×t+axy
ij3
・・・(5)
vxy
ij(xi,t)
=bx
ij1×xi
2+bx
ij2×xi+by
ij1×t2+by
ij2×t+bxy
ij3
・・・(6)
【0092】
<5.ハードウェア構成例>
以下、
図16を参照しながら、上記実施形態に係る品質解析装置のハードウェア構成について、詳細に説明する。
図16は、本発明の実施形態に係る品質解析装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0093】
品質解析装置は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、品質可解析視化装置は、更に、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
【0094】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、またはリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、品質解析装置内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
【0095】
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
【0096】
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、品質解析装置の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。さらに、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。品質解析装置のユーザは、この入力装置909を操作することにより、品質解析装置に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0097】
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、品質解析装置が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、品質解析装置が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0098】
ストレージ装置913は、品質解析装置の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0099】
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、品質解析装置に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu-ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0100】
接続ポート917は、機器を品質解析装置に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS-232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、品質解析装置は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
【0101】
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。通信装置919は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
【0102】
以上、本発明の実施形態に係る品質解析装置の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0103】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0104】
例えば、上記実施形態では、品質時系列データ及び操業条件時系列データは、滑らかな曲線により表したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば品質は徐々に変化することが多いため、滑らかな曲線で表すと自然ではあるが、例えば
図17のように代表点データの分位点の値を単純に折れ線で結んでもよく、線は示さずに分位点を表す印(○、□、△等)のみを示してもよい。
【0105】
また、本発明は、製品を製造する製造プロセスに適用する手法であり、製品の品質が時間と共に変動する際、その変動の原因を調査する際に用いるのが好適である。上記実施形態では鉄鋼製品の製造プロセスに適用する場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されず、例えば、化学プラントや半導体製造プロセス等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
10 操業データベース
20 出力装置
30 入力装置
100、200、300、400 品質解析装置
110、210、310、410 解析条件設定部
120、220、320 代表点データ作成部
130、230、330、430 複合分位点計算部
140、240、340、440 出力部
250、350、450 品質分位点計算部
360、460 操業条件分位点計算部