(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 11/22 20060101AFI20230705BHJP
G11C 7/06 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
G11C11/22 232
G11C7/06 120
G11C7/06 130
G11C11/22 234
(21)【出願番号】P 2019190225
(22)【出願日】2019-10-17
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】520233375
【氏名又は名称】富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 浩
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-40664(JP,A)
【文献】特開2002-260392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/22
G11C 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の論理値と第2の論理値のデータを保持する第1のメモリセルと、前記第1の論理値または前記第2の論理値のデータを保持する複数の第2のメモリセルと、前記第1のメモリセルに接続される2つの第1のビット線と、それぞれが前記複数の第2のメモリセルの何れかに接続される複数の第2のビット線と、を有するメモリセルアレイと、
それぞれが、リード時に前記2つの第1のビット線または前記複数の第2のビット線のうちの1つの電位に基づいて、電源電圧を抵抗分圧した出力電位を発生する複数のプリセンスアンプと、
それぞれが、リード時に前記2つの第1のビット線の電位に基づいて発生される前記出力電位である2つの参照電位と、前記複数の第2のビット線の何れかの電位に基づいて発生される前記出力電位であるデータ電位と、に基づいてデータ判定結果を出力する複数のツインセンスアンプと、
を有する半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数のプリセンスアンプのそれぞれは、
前記2つの第1のビット線または前記複数の第2のビット線の何れかに接続された第1のゲートと、前記電源電圧が印加される第1のソースと、前記出力電位となる第1のドレインとを有するpチャネル型の電界効果トランジスタと、
前記第1のドレインに接続された第2のドレイン及び第2のゲートと、接地電位となる第2のソースとを有するnチャネル型の電界効果トランジスタと、
を有する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記複数のプリセンスアンプのそれぞれは、
前記電源電圧が印加される第1のソースと、前記出力電位となる第1のドレイン及び第1のゲートとを有するpチャネル型の電界効果トランジスタと、
前記2つの第1のビット線または前記複数の第2のビット線の何れかに接続された第2のゲートと、前記第1のドレイン及び前記第1のゲートに接続された第2のドレインと、接地電位となる第2のソースとを有するnチャネル型の電界効果トランジスタと、
を有する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記複数のプリセンスアンプのそれぞれは、
前記2つの第1のビット線または前記複数の第2のビット線の何れかに接続された第1のゲートと、前記電源電圧が印加される第1のソースと、第1のドレインとを有するpチャネル型の第1の電界効果トランジスタと、
前記第1のドレインに接続された第2のドレイン及び第2のゲートと、接地電位となる第2のソースとを有するnチャネル型の第2の電界効果トランジスタと、
前記電源電圧が印加される第3のソースと、前記出力電位となる第3のゲート及び第3のドレインと、を有するpチャネル型の第3の電界効果トランジスタと、
前記第3のゲート及び前記第3のドレインに接続された第4のドレインと、前記第1のドレイン、前記第2のドレイン及び前記第2のゲートに接続された第4のゲートと、前記接地電位となる第4のソースとを有するnチャネル型の第4の電界効果トランジスタと、
を有する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記複数のプリセンスアンプのそれぞれは、
前記電源電圧が印加される第1のソースと、第1のゲートと、前記第1のゲートに接続された第1のドレインとを有するpチャネル型の第1の電界効果トランジスタと、
前記第1のゲート及び前記第1のドレインに接続された第2のドレインと、前記2つの第1のビット線または前記複数の第2のビット線の何れかに接続された第2のゲートと、接地電位となる第2のソースとを有するnチャネル型の第2の電界効果トランジスタと、
前記電源電圧が印加される第3のソースと、前記第1のゲート、前記第1のドレイン及び前記第2のドレインに接続された第3のゲートと、前記出力電位となる第3のドレインとを有するpチャネル型の第3の電界効果トランジスタと、
前記第3のドレインに接続された第4のドレイン及び第4のゲートと、前記接地電位となる第4のソースとを有するnチャネル型の第4の電界効果トランジスタと、
を有する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記出力電位は、前記複数のプリセンスアンプのそれぞれに1つずつ接続される第4のビット線の何れかを介して、前記複数のツインセンスアンプの何れかに供給される、請求項1乃至5の何れか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
それぞれが前記複数のプリセンスアンプを含み、前記第4のビット線を互いに共用する複数のプリセンスアンプ部を有し、
前記メモリセルアレイは、前記2つの第1のビット線及び前記複数の第2のビット線がそれぞれ独立に設けられている複数の領域を有し、
前記複数のプリセンスアンプ部のそれぞれに含まれる前記複数のプリセンスアンプは、前記複数の領域の何れかにおける、前記2つの第1のビット線及び前記複数の第2のビット線に接続される、
請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1のメモリセルと前記複数の第2のメモリセルのそれぞれは、強誘電体キャパシタを有する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1のメモリセルは2T2C型のメモリセルであり、前記複数の第2のメモリセルは、1T1C型のメモリセルである、請求項1乃至8の何れか一項に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタを備えたメモリセルを有する半導体記憶装置では、キャパシタに蓄積された電荷がビット線に読み出され、その電荷量に応じた電圧がセンスアンプによって増幅される。また、上記のような半導体記憶装置の1つに、キャパシタとして強誘電体キャパシタを用いたFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)がある。
【0003】
また、従来、ツインセンスアンプと呼ばれる読み出し回路を用いた半導体記憶装置が提案されている。ツインセンスアンプは、論理値“0”の参照電位とデータ電位との電位差を増幅するセンスアンプと、論理値“1”の参照電位とデータ電位との電位差を増幅するセンスアンプを備え、両センスアンプの出力端子を短絡したものである。データ電位は、たとえば、1つのトランジスタと1つのキャパシタによるメモリセル(1T1Cセル)からビット線を介してツインセンスアンプに供給される。論理値“0”と論理値“1”の参照電位は、たとえば、相補のデータを保持する2つのトランジスタと2つのキャパシタによるメモリセル(2T2Cセル)から2つのビット線を介してツインセンスアンプに供給される。両センスアンプの出力端子が短絡されていることで、2つの参照電位のうちデータ電位との電位差が大きい方とデータ電位との電位差を増幅するセンスアンプが先に強力に増幅を行い、他方のセンスアンプを従属させることで、データが確定される。このようなツインセンスアンプを用いることで、リードマージンを向上できる。
【0004】
なお、参照電位を保持する参照セルのアクセス数の増大による劣化により参照電位が不安定となることを抑制するために、参照電位を一旦増幅してから各センスアンプに入力する技術が提案されている(たとえば、特許文献1、非特許文献1参照)。また、強誘電体メモリにおいて、スイッチを介してビット線を階層化し、ビット線長を短くすることでビット線寄生容量を小さくする技術が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-118380号公報
【文献】特開2018-181394号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】John Barth et al., “A 500MHz Random Cycle 1.5ns-Latency,SOI Embedded DRAM Macro Featuring a 3T Micro Sense Amplifier”, ISSCC2007, Digest of Technical Papers, Feb, 2007, pp.485-487
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなツインセンスアンプを用いた半導体記憶装置では、あるデータセルに接続されるビット線を介してデータ電位が1つのツインセンスアンプに供給される。一方、参照セルに接続されるビット線を介して参照電位が全てのツインセンスアンプに供給される。このため、参照セルに接続されるビット線の負荷が、データセルに接続されるビット線の負荷よりも大きくなり、参照電位の精度が悪化し、データ判定エラーが生じる可能性があった。
【0008】
1つの側面では、本発明は、データ判定エラーの発生を抑制可能な半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの実施態様では、第1の論理値と第2の論理値のデータを保持する第1のメモリセルと、前記第1の論理値または前記第2の論理値のデータを保持する複数の第2のメモリセルと、前記第1のメモリセルに接続される2つの第1のビット線と、それぞれが前記複数の第2のメモリセルの何れかに接続される複数の第2のビット線と、を有するメモリセルアレイと、それぞれが、リード時に前記2つの第1のビット線または前記複数の第2のビット線のうちの1つの電位に基づいて、電源電圧を抵抗分圧した出力電位を発生する複数のプリセンスアンプと、それぞれが、リード時に前記2つの第1のビット線の電位に基づいて発生される前記出力電位である2つの参照電位と、前記複数の第2のビット線の何れかの電位に基づいて発生される前記出力電位であるデータ電位と、に基づいてデータ判定結果を出力する複数のツインセンスアンプと、を有する半導体記憶装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
1つの側面では、本発明は、データ判定エラーの発生が抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態の半導体記憶装置の一例を示す図である。
【
図2】プリセンスアンプにおける入力電位と出力電位との一例の関係を示す図である。
【
図3】プリセンスアンプの1つ目の変形例を示す図である。
【
図4】プリセンスアンプの1つ目の変形例における入力電位と出力電位との一例の関係を示す図である。
【
図5】プリセンスアンプの2つ目の変形例を示す図である。
【
図6】2つ目の変形例のプリセンスアンプにおける入力電位と出力電位との一例の関係を示す図である。
【
図7】プリセンスアンプの3つ目の変形例を示す図である。
【
図8】3つ目の変形例のプリセンスアンプにおける入力電位と出力電位との一例の関係を示す図である。
【
図9】第2の実施の形態の半導体記憶装置の一例を示す図である。
【
図10】各ビット線とプリセンスアンプ及びツインセンスアンプの接続例を示す図である。
【
図11】プリセンスアンプ及びスイッチの一例を示す図である。
【
図12】ツインセンスアンプの一例を示す図である。
【
図13】第2の実施の形態の半導体記憶装置20の動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の半導体記憶装置の一例を示す図である。
【0013】
半導体記憶装置10は、たとえば、FeRAMであり、メモリセルアレイ11、プリセンスアンプ12a1,12a2,12a3,12a4,…,12an、ツインセンスアンプ13a1,13a2,…,13a(n-2)を有する。なお、
図1では、プリセンスアンプが「PSA」、ツインセンスアンプが「TSA」と表記されている。半導体記憶装置10のその他の構成(コラムデコーダやロウデコーダなど)については図示が省略されている。
【0014】
メモリセルアレイ11は、論理値“0”と論理値“1”の相補のデータを保持するメモリセル11a1~11amを有する。このようなメモリセル11a1~11amは、ツインセンスアンプ13a1~13a(n-2)に参照電位を提供するための参照セルとして用いられる。また、メモリセルアレイ11は、論理値“0”または論理値“1”のデータを保持するメモリセル11b11,11b12,…,11b1(n-2),…,11bm1,11bm2,…,11bm(n-2)を有する。このようなメモリセル11b11~11bm(n-2)は、ツインセンスアンプ13a1~13a(n-2)にデータ電位を提供するためのデータセルとして用いられる。
【0015】
図1の例では、メモリセル11a1~11amは、2T2C型のメモリセルにより実現され、メモリセル11b11~11bm(n-2)は、1T1C型のメモリセルにより実現されている。データセルを1T1C型とすることで、回路面積の増大を抑制しつつメモリ容量を増やすことができる。
【0016】
メモリセルアレイ11には、さらに、各メモリセルに接続されるビット線なども含まれる。
図1には各メモリセルの一例が示されている。
【0017】
2T2C型のメモリセル11a1は、nチャネル型の電界効果トランジスタ(たとえばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor))であるトランジスタ11t1,11t2と強誘電体キャパシタ11f1,11f2を有する。トランジスタ11t1のソースまたはドレインの一方は、ビット線11b1に接続され、ソースまたはドレインの他方は、強誘電体キャパシタ11f1の一端に接続されている。トランジスタ11t2のソースまたはドレインの一方は、ビット線11b2に接続され、ソースまたはドレインの他方は、強誘電体キャパシタ11f2の一端に接続されている。トランジスタ11t1,11t2のゲートは、ワード線11w1に接続されている。強誘電体キャパシタ11f1,11f2の他端はプレート線11p1に接続されている。上記のような2T2C型のメモリセルが、他のワード線とプレート線によるペア(たとえば、ワード線11wmとプレート線11pmによるペア)についても接続されている。
【0018】
1T1C型のメモリセル11b11は、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ11t3と強誘電体キャパシタ11f3を有する。トランジスタ11t3のソースまたはドレインの一方は、ビット線11b3に接続され、ソースまたはドレインの他方は、強誘電体キャパシタ11f3の一端に接続されている。トランジスタ11t3のゲートは、ワード線11w1に接続されている。強誘電体キャパシタ11f3の他端はプレート線11p1に接続されている。他のビット線11b4~11bn、他のワード線とプレート線によるペア(たとえば、ワード線11wmとプレート線11pmによるペア)に接続されている1T1C型のメモリセルについても同様の構成である。
【0019】
なお、上記では各メモリセルのキャパシタは強誘電体キャパシタであるものとして説明したが、強誘電体キャパシタに限定されるものではない。たとえば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)の場合、強誘電体キャパシタではないキャパシタが用いられ、プレート線は接地電位となる。
【0020】
また、
図1のメモリセルアレイ11は、ワード線とプレート線によるペアが複数ある場合のものであるが、ワード線とプレート線によるペアが1つであってもよい。その場合、参照セルとして機能する2T2C型のメモリセルは、1つとなる。
【0021】
プリセンスアンプ12a1~12anのそれぞれは、リード時にビット線11b1~11bnのうちの1つの電位に基づいて、電源電圧VDDを抵抗分圧した出力電位を発生する。
【0022】
図1には、プリセンスアンプ12a1の一例が示されている。プリセンスアンプ12a1は、pチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ12t1、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ12t2、スイッチ12s1,12s2,12s3を有する。
【0023】
トランジスタ12t1のソースはスイッチ12s1の一端と接続され、トランジスタ12t1のドレインは、トランジスタ12t2のドレイン、ゲート及びビット線12b1に接続されている。トランジスタ12t1のゲートはビット線11b1に接続されている。トランジスタ12t2のソースは、スイッチ12s2の一端に接続されている。スイッチ12s1の他端は電源と接続され、スイッチ12s2の他端は接地されている。また、スイッチ12s3の一端はビット線11b1に接続され、スイッチ12s3の他端はビット線12b1に接続されている。リード時には、スイッチ12s1,12s2がオンし、スイッチ12s3がオフする。これにより、トランジスタ12t1のソースに電源電圧VDDが印加され、トランジスタ12t2のソースは接地電位となる。そして、ビット線11b1の電位(入力電位)に基づいて、電源電圧VDDをトランジスタ12t1,12t2により抵抗分圧した出力電位がトランジスタ12t1のドレインやビット線12b1に発生する。ライト時には、スイッチ12s1,12s2がオフし、スイッチ12s3がオンする。
【0024】
他のプリセンスアンプ12a2~12anも、プリセンスアンプ12a1と同様の回路構成により実現される。
図2は、プリセンスアンプにおける入力電位と出力電位との一例の関係を示す図である。
図2において、縦軸は出力電位Vout[V]を表し、横軸は入力電位Vin[V]を表す。
【0025】
入力電位Vinが0Vのとき、トランジスタ12t1,12t2が両方オンし、電流源として機能し、電源と接地間に電流が流れる。このとき、トランジスタ12t1,12t2のオン抵抗により電源電圧VDDが抵抗分圧されることで得られる出力電位Voutが、最大となる。入力電位Vinが上昇していくと、トランジスタ12t1のオン抵抗が増し、出力電位Voutが下降していく。ただ、出力電位Voutはトランジスタ12t2の閾値電圧Vthn未満には下がらない。
【0026】
このため、入力電位Vinの振幅の絶対値は、出力電位Voutの振幅の絶対値よりも大きい(ゲインが1より小さい)。
図1の説明に戻る。ツインセンスアンプ13a1~13a(n-2)のそれぞれは、ビット線12b1,12b2を介して、プリセンスアンプ12a1,12a2に接続される。さらに、ツインセンスアンプ13a1~13a(n-2)のそれぞれは、ビット線12b3,12b4,…,12bnの何れかを介して、プリセンスアンプ12a3~12anの何れかに接続される。
【0027】
ツインセンスアンプ13a1~13a(n-2)のそれぞれは、ビット線11b1,11b2の電位に基づいてプリセンスアンプ12a1,12a2によって発生される出力電位である2つの参照電位を受ける。また、ツインセンスアンプ13a1~13a(n-2)のそれぞれは、ビット線11b3~11bnの何れかの電位に基づいてプリセンスアンプ12a3~12anの何れかによって発生される出力電位であるデータ電位を受ける。そして、ツインセンスアンプ13a1~13a(n-2)のそれぞれは、2つの参照電位とデータ電位とに基づいて、データ判定結果D1,D2,…,D(n-2)を出力する。
【0028】
以下、半導体記憶装置10のリード動作の一例を説明する。
たとえば、メモリセル11b11に保持されているデータが読み出される場合、ワード線11w1とプレート線11p1が活性化される。さらに、図示しないコラムデコーダによって、ビット線12b1~12b3がツインセンスアンプ13a1に接続されている。
【0029】
このとき、メモリセル11b11に保持されているデータの論理値に応じた電位がビット線11b3に現れる。そして、プリセンスアンプ12a3では、ビット線11b3の電位に基づいて、電源電圧VDDを抵抗分圧した出力電位Voutがデータ電位として発生する。
【0030】
また、メモリセル11a1に保持されている論理値“0”と論理値“1”のデータに対応した電位がビット線11b1,11b2に現れる。そして、プリセンスアンプ12a1,12a2では、それらの電位に基づいて、電源電圧VDDを抵抗分圧した出力電位Voutが2つの参照電位として発生する。
【0031】
ツインセンスアンプ13a1では、2つの参照電位のうちデータ電位との電位差が大きい方とデータ電位との電位差を増幅するセンスアンプが先に強力に増幅を行い、他方のセンスアンプを従属させることで、データを確定させる。確定されたデータは、データ判定結果D1として出力される。
【0032】
上記のような半導体記憶装置10によれば、プリセンスアンプ12a1~12anの出力電位は、ビット線12b1~12bnの負荷によらず、ビット線11b1~11bnの電位に基づいたものになる。プリセンスアンプ12a1~12anの出力電位は、ビット線11b1~11bnの電位に応じた分圧比で電源電圧VDDを抵抗分圧することで得られるためである。
【0033】
つまり、ビット線12b1~12bnの負荷の違いが無効化され、参照セルとデータセルから読み出される同じ論理値のデータに対応した電位に差異が生じることが抑制される。これによりツインセンスアンプ13a1~13a(n-2)におけるデータ判定エラーの発生を抑制できる。
【0034】
また、プリセンスアンプ12a1~12anの入力電位は0Vから、論理値に応じた電位に上昇するため、
図1に示したように、入力電位をpチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ12t1のゲートで受ける回路構成とすることが望ましい。
【0035】
ただし、プリセンスアンプ12a1~12anの回路構成は、
図1の構成に限定されるわけではない。
なお、
図1の例では、参照セルはデータセルとしては機能していないが、データセルとして用いることもできる。その場合、ツインセンスアンプが追加される。参照セルとして用いる2つの1T1C型のメモリセルの一方をデータセルとしても用いる場合の例については後述する(
図10参照)。
【0036】
図3は、プリセンスアンプの1つ目の変形例を示す図である。
プリセンスアンプ12bも
図1に示したプリセンスアンプ12a1と同様に、pチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ12t1、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ12t2、スイッチ12s1,12s2,12s3を有する。ただし、プリセンスアンプ12bでは、トランジスタ12t1,12t2の接続先がプリセンスアンプ12a1と異なっている。
【0037】
トランジスタ12t1のソースが、スイッチ12s1の一端に接続されている点はプリセンスアンプ12a1と同じであるが、トランジスタ12t1のドレインは、自身のゲート、トランジスタ12t2のドレイン及びビット線12b1に接続されている。トランジスタ12t2のソースが、スイッチ12s2の一端に接続されている点はプリセンスアンプ12a1と同じであるが、トランジスタ12t2のゲートはビット線11b1に接続されている。
【0038】
図4は、プリセンスアンプの1つ目の変形例における入力電位と出力電位との一例の関係を示す図である。
図4において、縦軸は出力電位Vout[V]を表し、横軸は入力電位Vin[V]を表す。
【0039】
入力電位Vinが0Vのとき、トランジスタ12t1がオン、トランジスタ12t2がオフする。入力電位Vinがトランジスタ12t2の閾値電圧Vthn以上になると、トランジスタ12t1,12t2が両方オンし、電流源として機能し、電源と接地間に電流が流れる。入力電位Vinが上昇していくと、トランジスタ12t2のオン抵抗が小さくなり、出力電位Voutが下降していく。
【0040】
プリセンスアンプ12bの場合も、入力電位Vinが閾値電圧Vthn以上にならないと、出力電位Voutが変化しないため、入力電位Vinの振幅の絶対値は、出力電位Voutの振幅の絶対値よりも大きい(ゲインが1より小さい)。
【0041】
図5は、プリセンスアンプの2つ目の変形例を示す図である。
プリセンスアンプ12cは、プリセンスアンプ12a1,12bの各要素に加えて、さらにpチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ12t3、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ12t4を有する。そして、プリセンスアンプ12cは、以下のような回路構成となっている。
【0042】
トランジスタ12t1,12t3のソースはスイッチ12s1の一端に接続され、トランジスタ12t1のドレインは、トランジスタ12t2のドレイン、トランジスタ12t2,12t4のゲートに接続されている。トランジスタ12t1のゲートはビット線11b1に接続されている。トランジスタ12t3のドレインは、自身のゲート及び、トランジスタ12t4のドレインに接続されており、トランジスタ12t3のゲートは、ビット線12b1に接続されている。トランジスタ12t2,12t4のゲートは互いに接続されており、トランジスタ12t2,12t4のソースは、スイッチ12s2の一端に接続されている。
【0043】
このようなプリセンスアンプ12cは、リード時には、スイッチ12s1,12s2がオンし、スイッチ12s3がオフし、カレントミラーとして機能する。
図6は、2つ目の変形例のプリセンスアンプにおける入力電位と出力電位との一例の関係を示す図である。
図6において、縦軸は出力電位Vout[V]を表し、横軸は入力電位Vin[V]を表す。
【0044】
入力電位Vinが0Vのとき、トランジスタ12t1~12t4がオンし、電流源として機能し、電源と接地間に電流が流れる。このとき、トランジスタ12t3,12t4のオン抵抗により電源電圧VDDが抵抗分圧されることで出力電位Vout(トランジスタ12t3のゲート電位及びトランジスタ12t4のドレイン電位)が得られる。入力電位Vinが上昇していくと、トランジスタ12t1のオン抵抗が増し、トランジスタ12t2のドレイン電位及びゲート電位が下がっていく。このため、トランジスタ12t2,12t4のオン抵抗が上がり、出力電位Voutが上がっていく。ただし、トランジスタ12t2,12t4のゲート電位がトランジスタ12t2,12t4の閾値電圧Vthnまで下がると、出力電位Voutはそれ以上に上がらず一定になる。
【0045】
プリセンスアンプ12cでは、入力電位Vinが所定の電位以上になると、出力電位Voutが一定となるため、入力電位Vinの振幅の絶対値は、出力電位Voutの振幅の絶対値よりも大きい(ゲインが1より小さい)。
【0046】
図7は、プリセンスアンプの3つ目の変形例を示す図である。
プリセンスアンプ12dも
図5に示したプリセンスアンプ12cと同様に、pチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ12t1,12t3、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ12t2,12t4、スイッチ12s1,12s2,12s3を有する。ただし、プリセンスアンプ12dでは、トランジスタ12t1~12t4の接続先がプリセンスアンプ12cと異なっている。
【0047】
トランジスタ12t1,12t3のソースが、スイッチ12s1の一端と接続されている点は、プリセンスアンプ12cと同じである。しかし、トランジスタ12t1のドレインは、トランジスタ12t2のドレイン、トランジスタ12t1,12t3のゲートに接続されている。トランジスタ12t1,12t3のゲートは互いに接続されている。トランジスタ12t3のドレインは、トランジスタ12t4のドレイン、ゲート及びビット線12b1に接続されている。トランジスタ12t2のゲートは、ビット線11b1に接続されている。トランジスタ12t2,12t4のソースは、スイッチ12s2の一端に接続される。
【0048】
このようなプリセンスアンプ12dでもプリセンスアンプ12cと同様に、リード時には、スイッチ12s1,12s2がオンし、スイッチ12s3がオフし、カレントミラーとして機能する。
【0049】
図8は、3つ目の変形例のプリセンスアンプにおける入力電位と出力電位との一例の関係を示す図である。
図8において、縦軸は出力電位Vout[V]を表し、横軸は入力電位Vin[V]を表す。
【0050】
入力電位Vinが0Vのとき、トランジスタ12t1,12t3はオンし、トランジスタ12t2,12t4はオフする。入力電位Vinがトランジスタ12t2の閾値電圧Vthn以上になると、トランジスタ12t2がオンする。さらに、入力電位Vinが上昇していくと、トランジスタ12t2のオン抵抗が下がるため、トランジスタ12t1,12t3のゲート電位が下がる。これにより、トランジスタ12t1,12t3のオン抵抗が小さくなり、出力電位Voutが上昇していく。
【0051】
プリセンスアンプ12dでも、入力電位Vinが所定の電位以上になるまで、出力電位Voutが一定となるため、入力電位Vinの振幅の絶対値は、出力電位Voutの振幅の絶対値よりも大きい(ゲインが1より小さい)。
【0052】
なお、プリセンスアンプ12c,12dでは、トランジスタ12t1,12t2と、トランジスタ12t3,12t4のサイズ(ゲート長やゲート幅)の比率を変えることで(ゲート幅)、ゲインを1以上に調整できる可能性がある。しかしながら、プリセンスアンプ12c,12dは、プリセンスアンプ12a1,12bよりもトランジスタ数が増えるため、回路面積が増加する。
【0053】
(第2の実施の形態)
図9は、第2の実施の形態の半導体記憶装置の一例を示す図である。
第2の実施の形態の半導体記憶装置20は、たとえば、FeRAMである。半導体記憶装置20は、アドレスバッファ21、クロックバッファ22、ロウデコーダ23、メモリセルアレイ領域24a,24b,24c,24d、PSA部25a,25b、コラムデコーダ26、TSA部27、入出力バッファ28を有する。
【0054】
アドレスバッファ21は、半導体記憶装置20の外部から供給されるアドレス信号ADDを保持し、クロックバッファ22から供給されるタイミング信号に応じて、アドレス信号ADDをロウデコーダ23及びコラムデコーダ26に供給する。
【0055】
クロックバッファ22は、半導体記憶装置20の外部から供給されるチップセレクト信号/CS、ライトイネーブル信号/WE、及び出力イネーブル信号/OEを保持する。さらに、クロックバッファ22は、チップセレクト信号/CS、ライトイネーブル信号/WE、及び出力イネーブル信号/OEが示す動作モードをデコードする機能も有する。そして、クロックバッファ22は、デコード結果に基づいて、アドレスバッファ21、ロウデコーダ23、TSA部27、入出力バッファ28を動作させる各種のタイミング信号を生成し、各部に供給する。
【0056】
ロウデコーダ23は、アドレス信号ADDに含まれるロウアドレス(たとえば、アドレス信号ADDの上位側のビット)により指定されるワード線とプレート線を駆動する信号WL,PLを生成し、出力する。さらに、ロウデコーダ23は、ロウアドレスとタイミング信号に基づいて、後述するスイッチを制御する信号EOSEL,RSW,WSWを生成し、出力する。なお、ロウデコーダ23は、信号EOSEL,RSW,WSWのそれぞれに対して論理レベルが逆の信号/EOSEL,/RSW,/WSWについても出力してもよい。
【0057】
メモリセルアレイ領域24a~24dは、前述の
図1のメモリセルアレイ11と同様に、マトリクス状に配置された複数のメモリセルと、複数のビット線、複数のワード線及び複数のプレート線を有する。ただし、メモリセルアレイ領域24a~24dは、それぞれ独立に設けられている複数のビット線(以下ローカルビット線という)を有する。また、メモリセルアレイ領域24a~24dには、PSA部25a,25bにおいて共用される複数のビット線(以下グローバルビット線という)が設けられている。
図9には、複数のグローバルビット線のうち1本(グローバルビット線24gn)が図示されている。また、メモリセルアレイ領域24a~24dのそれぞれの複数のメモリセルに接続される複数のローカルビット線のうち1本(ローカルビット線24lan,24lbn,24lcn,24ldn)が図示されている。
【0058】
PSA部25a,25bは、複数のプリセンスアンプを有し、各プリセンスアンプは、複数のメモリセルに接続された複数のローカルビット線のうちの1つの電位に基づいて、リード時に電源電圧VDDを抵抗分圧した出力電位を発生する。たとえば、PSA部25aは、後述のスイッチによって、メモリセルアレイ領域24a,24bの何れかのローカルビット線(たとえば、ローカルビット線24lan,24lbn)に接続する。そして、PSA部25aは、接続したローカルビット線の電位に基づいて、電源電圧VDDを抵抗分圧した出力電位を発生し、グローバルビット線(たとえば、グローバルビット線24gn)に印加する。また、PSA部25bは、後述のスイッチによって、メモリセルアレイ領域24c,24dの何れかのローカルビット線(たとえば、ローカルビット線24lcn,24ldn)に接続する。そして、PSA部25bは、接続したローカルビット線の電位に基づいて、電源電圧VDDを抵抗分圧した出力電位を発生し、グローバルビット線(たとえば、グローバルビット線24gn)に印加する。
【0059】
コラムデコーダ26は、アドレス信号ADDに含まれるコラムアドレス(たとえば、アドレス信号ADDの下位側のビット)に基づいて、TSA部27に接続するグローバルビット線を選択する。
【0060】
TSA部27は、複数のツインセンスアンプを有し、タイミング信号に基づいたタイミングで、データのリードを行う。
入出力バッファ28は、半導体記憶装置20の外部から供給されるライトデータを保持し、タイミング信号に基づいたタイミングで、コラムデコーダ26により選択されたグローバルビット線にライトデータに対応した電圧を印加する。また、入出力バッファ28は、TSA部27により読み出されたデータを、タイミング信号に基づいたタイミングで半導体記憶装置20の外部に出力する。
【0061】
図10は、各ビット線とプリセンスアンプ及びツインセンスアンプの接続例を示す図である。
メモリセルアレイ領域24aは、複数のメモリセル(たとえば、メモリセル24a1,24a2,24a3)を有する。複数のメモリセルのそれぞれは、ワード線とプレート線の組(たとえば、ワード線24w1とプレート線24p1、ワード線24w2とプレート線24p2、ワード線24wmとプレート線24pmなどの組)に接続される。さらに、複数のメモリのそれぞれは、ローカルビット線24la1,24la2,24la3,…,24lanの何れかに接続される。
【0062】
なお、
図10の例では、ローカルビット線24la1,24la2に接続される1T1C型のメモリセル(メモリセル24a1,24a2など)は2つで1つの2T2C型のメモリセル(参照セル)として機能する。たとえば、メモリセル24a1,24a2により1つの2T2C型のメモリセルが実現されており、メモリセル24a1,24a2は互いに相補のデータを記憶する。また、
図10の例では、ローカルビット線24la2に接続されるメモリセルは、データセルとしても機能する。
【0063】
PSA部25aは、プリセンスアンプ25a1,25a2,25a3,…,25an、スイッチ25sa1,25sa2,25sa3,…,25san,25sb1,25sb2,25sb3,…,25sbnを有する。
【0064】
プリセンスアンプ25a1は、スイッチ25sa1がオンの場合、ローカルビット線24la1に接続し、スイッチ25sb1がオンの場合、ローカルビット線24lb1に接続する。プリセンスアンプ25a2は、スイッチ25sa2がオンの場合、ローカルビット線24la2に接続し、スイッチ25sb2がオンの場合、ローカルビット線24lb2に接続する。プリセンスアンプ25a3は、スイッチ25sa3がオンの場合、ローカルビット線24la3に接続し、スイッチ25sb3がオンの場合、ローカルビット線24lb3に接続する。プリセンスアンプ25anは、スイッチ25sanがオンの場合、ローカルビット線24lanに接続し、スイッチ25sbnがオンの場合、ローカルビット線24lbnに接続する。
【0065】
TSA部27は、ツインセンスアンプ27a1,27a2,…,27a(n-1)を有する。ツインセンスアンプ27a1には、グローバルビット線24g1の電位が2つの参照電位として供給され、グローバルビット線24g2の電位がデータ電位として供給される。ツインセンスアンプ27a2~27a(n-1)には、グローバルビット線24g1,24g2の電位が2つの参照電位として供給され、グローバルビット線24g3~24gnの何れかの電位がデータ電位として供給される。
【0066】
図11は、プリセンスアンプ及びスイッチの一例を示す図である。
図11では、
図10に示したプリセンスアンプ25a1とスイッチ25sa1,25sb1の例が示されている。
図10に示した他のプリセンスアンプ25a2~25an、スイッチ25sa2~25san,25sb2~25sbnについても同様の回路により実現できる。
【0067】
プリセンスアンプ25a1は、pチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ25t1,25t2,25t5、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ25t3,25t4,25t6を有する。
【0068】
トランジスタ25t1のソースには電源電圧VDDが印加され、ゲートにはロウデコーダ23が出力する信号/RSWが供給され、ドレインはトランジスタ25t2のソースに接続されている。トランジスタ25t2のゲートはスイッチ25sa1の一端に接続されているとともに、スイッチ25sb1の一端に接続されている。トランジスタ25t2のソースは、トランジスタ25t3のドレイン及びゲート、さらにはグローバルビット線24g1に接続されている。トランジスタ25t3のソースはトランジスタ25t4のドレインに接続され、トランジスタ25t4のソースは接地され、トランジスタ25t4のゲートにはロウデコーダ23が出力する信号RSWが供給される。トランジスタ25t5,25t6のソースまたはドレインの一方は、スイッチ25sa1,25sb1の一端に接続され、ソースまたはドレインの他方は、グローバルビット線24g1に接続されている。トランジスタ25t5のゲートにはロウデコーダ23が出力する信号/WSWが供給され、トランジスタ25t6のゲートにはロウデコーダ23が出力する信号WSWが供給される。
【0069】
上記のようなプリセンスアンプ25a1は、
図1に示したプリセンスアンプ12a1の一例である。
図11のプリセンスアンプ25a1では、トランジスタ25t1が
図1のスイッチ12s1として機能し、トランジスタ25t4が
図1のスイッチ12s2として機能し、トランジスタ25t5,25t6が
図1のスイッチ12s3として機能する。プリセンスアンプ25a1~25anとして、
図3、
図5、
図7に示したプリセンスアンプ12b,12c,12dを適用することもできる。
【0070】
スイッチ25sa1は、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ25st1とpチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ25st2を有する。トランジスタ25st1,25st2のソースまたはドレインの一方は、ローカルビット線24la1に接続され、ソースまたはドレインの他方は、トランジスタ25t2のゲート、トランジスタ25t5,25t6のソースまたはドレインの一方、及び、スイッチ25sb1の一端に接続されている。トランジスタ25st1のゲートには、ロウデコーダ23が出力する信号EOSEL0が供給され、トランジスタ25st2のゲートには、ロウデコーダ23が出力する信号/EOSEL0が供給される。信号EOSEL0,/EOSEL0は、
図9に示した信号EOSELの1つであり、メモリセルアレイ領域24aのローカルビット線をPSA部25aに接続する場合に、信号EOSEL0の論理レベルがハイレベルになる。
【0071】
スイッチ25sb1は、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ25st3とpチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ25st4を有する。トランジスタ25st3,25st4のソースまたはドレインの一方は、ローカルビット線24lb1に接続されている。トランジスタ25st3,25st4のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ25t2のゲート、トランジスタ25t5,25t6のソースまたはドレインの一方、及び、スイッチ25sa1の一端に接続されている。トランジスタ25st3のゲートには、ロウデコーダ23が出力する信号EOSEL1が供給され、トランジスタ25st4のゲートには、ロウデコーダ23が出力する信号/EOSEL1が供給される。信号EOSEL1,/EOSEL1は、
図9に示した信号EOSELの1つであり、メモリセルアレイ領域24aのローカルビット線をPSA部25aに接続する場合に、信号EOSEL1の論理レベルがハイレベルになる。
【0072】
図12は、ツインセンスアンプの一例を示す図である。
図12では、
図10に示したツインセンスアンプ27a2の例が示されている。
図12に示した他のツインセンスアンプについても同様の回路により実現できる。
【0073】
ツインセンスアンプ27a2は、インバータ27i、pチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ27t1,27t2,27t6、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ27t3,27t4,27t5を有する。さらに、ツインセンスアンプ27a2は、スイッチ27s1,27s2,27s3,27s4、ラッチ回路27l1,27l2を有する。
【0074】
インバータ27iは、クロックバッファ22が出力するタイミング信号の1つである信号TSAENの論理レベルを反転した信号を出力する。
トランジスタ27t1,27t2のソースには電源電圧VDDが印加され、ゲートにはインバータ27iの出力信号が供給される。トランジスタ27t1のソースはラッチ回路27l1に接続され、トランジスタ27t2のソースはラッチ回路27l2に接続されている。トランジスタ27t3,27t4のソースは接地され、ゲートには信号TSAENが供給される。また、トランジスタ27t3のドレインはラッチ回路27l1に接続され、トランジスタ27t4のドレインはラッチ回路27l2に接続されている。トランジスタ27t5,27t6のソースまたはドレインの一方は、ラッチ回路27l1とスイッチ27s2とを結ぶ配線上のノードに接続され、ソースまたはドレインの他方は、ラッチ回路27l2とスイッチ27s3とを結ぶ配線上のノードに接続されている。トランジスタ27t5のゲートには電源電圧VDDが印加され、トランジスタ27t6のゲートは接地される。
【0075】
スイッチ27s1は、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ27st1とpチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ27st2を有する。トランジスタ27st1,27st2のソースまたはドレインの一方はラッチ回路27l1に接続され、ソースまたはドレインの他方はグローバルビット線24g1に電気的に接続されている。トランジスタ27st1のゲートにはインバータ27iの出力信号が供給され、トランジスタ27st2のゲートには信号TSAENが供給される。
【0076】
スイッチ27s2は、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ27st3とpチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ27st4を有する。トランジスタ27st3,27st4のソースまたはドレインの一方はラッチ回路27l1に接続され、ソースまたはドレインの他方はグローバルビット線24g3に電気的に接続されている。トランジスタ27st3のゲートにはインバータ27iの出力信号が供給され、トランジスタ27st4のゲートには信号TSAENが供給される。
【0077】
スイッチ27s3は、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ27st5とpチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ27st6を有する。トランジスタ27st5,27st6のソースまたはドレインの一方はラッチ回路27l2に接続され、ソースまたはドレインの他方はグローバルビット線24g3に電気的に接続されている。トランジスタ27st5のゲートにはインバータ27iの出力信号が供給され、トランジスタ27st6のゲートには信号TSAENが供給される。
【0078】
スイッチ27s4は、nチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ27st7とpチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ27st8を有する。トランジスタ27st7,27st8のソースまたはドレインの一方はラッチ回路27l2に接続され、ソースまたはドレインの他方はグローバルビット線24g2に電気的に接続されている。トランジスタ27st7のゲートにはインバータ27iの出力信号が供給され、トランジスタ27st8のゲートには信号TSAENが供給される。
【0079】
ラッチ回路27l1は、pチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ27lt1,27lt2とnチャネル型の電界効果トランジスタであるトランジスタ27lt3,27lt4を有する。トランジスタ27lt1,27lt2のソースはラッチ回路27l1の電源端子として機能し、トランジスタ27t1のドレインに接続されている。トランジスタ27lt1のドレインは、参照電位の入力端子として機能し、トランジスタ27lt3のドレイン、トランジスタ27lt2,27lt4のゲート及び、スイッチ27s1に接続されている。トランジスタ27lt2のドレインは、データ電位の入力端子またはデータ判定結果を出力する出力端子として機能し、トランジスタ27lt4のドレイン、トランジスタ27lt1,27lt3のゲート及び、スイッチ27s2に接続されている。トランジスタ27lt3,27lt4のソースは、トランジスタ27t3のドレインに接続されている。
【0080】
ラッチ回路27l2についてもラッチ回路27l1と同様の回路構成となっている。
このようなツインセンスアンプ27a2では、2つの参照電位がグローバルビット線24g1,24g2を介して供給され、データ電位がグローバルビット線24g3を介して供給される。そして、トランジスタ27t5,27t6を介して短絡されているラッチ回路27l1,27l2の出力端子の電位により表されるデータ判定結果が出力される。
【0081】
以下、第2の実施の形態の半導体記憶装置20の動作例を説明する。
図13は、第2の実施の形態の半導体記憶装置20の動作例を示すタイミングチャートである。
図13には、あるメモリセルに接続されるワード線を駆動する信号WL、前述の信号EOSEL0,EOSEL1、上記メモリセルに接続されるプレート線を駆動する信号PL、そのメモリセルに接続されるローカルビット線の電位LBLの時間変化が示されている。さらに、
図13には、前述の信号RSW、上記ローカルビット線に接続されるプリセンスアンプに接続されるグローバルビット線の電位GBL、前述の信号TSAEN,WSWの時間変化が示されている。
【0082】
図13の例では、タイミングt1において、あるワード線を駆動する信号WLが活性化され(電位がロウレベルからハイレベルに立ち上がり)、さらに、信号EOSEL0が活性化されている。信号EOSEL1については、活性化されていない。これにより、たとえば、
図11に示したスイッチ25sa1がオン、スイッチ25sb1がオフの状態になる。つまり、ローカルビット線24la1とプリセンスアンプ25a1が電気的に接続される。
【0083】
その後、タイミングt2において、あるプレート線を駆動する信号PLが活性化されると、そのプレート線に接続されたメモリセルに接続されたローカルビット線の電位LBLが、そのメモリセルに保持されているデータに応じた電位となる。
図13の例では、メモリセルに論理値“1”のデータが保持されている場合、論理値“0”のデータが保持されている場合よりも、電位が高くなっている。
【0084】
その後、タイミングt3において、ロウデコーダ23が出力する信号RSWが活性化されるとリード動作が開始する。信号RSWが活性化されることによって、
図11に示したトランジスタ25t1,25t4がオン状態となる。一方、信号WSWはロウレベルであるため、トランジスタ25t5,25t6はオフ状態である。
【0085】
これにより、たとえば、
図11のグローバルビット線24g1の電位は、ローカルビット線24la1の電位に基づいて、電源電圧VDDを抵抗分圧した電位となる。なお、ローカルビット線24la1の電位が高いほど、トランジスタ25t2のオン抵抗が大きくなり、トランジスタ25t3のドレイン電位及びゲート電位が下がる。このため、ローカルビット線24la1とグローバルビット線24g1において、論理値“0”と論理値“1”に対応した電位の大きさの関係は逆になる。この関係が、
図13において、電位LBLと電位GBLにより示されている。
【0086】
タイミングt4において、信号RSWが非活性化され、信号TSAENが活性化されることにより、たとえば、
図12に示したようなツインセンスアンプ27a2により、リードデータのデータ判定が行われ、データ判定結果が出力される。
【0087】
タイミングt5において、信号WSWが活性化されると、たとえば、
図11において、トランジスタ25t5,25t6がオン状態となり、ライト処理(書き戻し)が行われる。ライト処理では、グローバルビット線24g1の電位が、ローカルビット線24la1に伝わり、そのローカルビット線24la1に接続されたメモリセルに、その電位に応じた論理値が書き込まれる。
【0088】
以上のような、第2の実施の形態の半導体記憶装置20では、プリセンスアンプ25a1~25anの出力電位は、グローバルビット線24g1~24gnの負荷によらず、たとえば、ローカルビット線24la1~24lanの電位に基づいたものになる。このため、グローバルビット線24g1~24gnに負荷の違いがあっても、同じ論理値についての電位が伝播される場合、同じ電位がツインセンスアンプ27a1~27a(n-1)に供給される。これにより、ツインセンスアンプ27a1~27a(n-1)において、データ判定エラーの発生を抑制できる。
【0089】
また、
図9のようにPSA部25a,25bを複数設けたことで、メモリセルアレイが大きくなってビット線長が長くなることによるリード電位の減衰などを抑制でき、半導体記憶装置20の大規模化に対応できる。なお、PSA部25a,25bは3つ以上設けられていてもよい。
【0090】
また、たとえば、
図11に示したようなプリセンスアンプ25a1では、ゲインが1より小さくなる。グローバルビット線24g1は長距離配線で配線容量も大きいが、プリセンスアンプ25a1によりローカルビット線24la1を伝播する電位の振幅よりも小さい振幅の電位への変換が行われるため、消費電流の削減も可能である。
【0091】
以上、実施の形態に基づき、本発明の半導体記憶装置の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0092】
10 半導体記憶装置
11 メモリセルアレイ
11a1~11am,11b11~11bm(n-2) メモリセル
11b1~11bn,12b1~12bn ビット線
11f1~11f3 強誘電体キャパシタ
11p1~11pm プレート線
11t1~11t3,12t1,12t2 トランジスタ
11w1~11wm ワード線
12a1~12an プリセンスアンプ
12s1~12s3 スイッチ
13a1~13a(n-2) ツインセンスアンプ
D1~D(n-2) データ判定結果
VDD 電源電圧