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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】洗米装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/24 20060101AFI20230705BHJP
   B02B 7/00 20060101ALI20230705BHJP
   B02B 1/06 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
A47J43/24
B02B7/00 101Z
B02B1/06 D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019234142
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021101859
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】宮川 沙千
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】後田 達哉
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-043414(JP,A)
【文献】特開平02-088019(JP,A)
【文献】特開平11-137458(JP,A)
【文献】特開平11-165081(JP,A)
【文献】実開昭55-111541(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/24
B02B 7/00
B02B 1/06
A47J 27/00、27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米を収容する貯米庫と、
前記貯米庫の下方に設けられ、米を洗浄する洗米タンクと、
前記貯米庫と前記洗米タンクとの間に設けられ、前記貯米庫から米を受け、計量して、前記洗米タンクに供給する計量器と、
前記計量器に設けられ、前記貯米庫からの米が通過する開口部と前記開口部を通過した米を収容する米収容室を有し、回転されることによって、前記貯米庫内の米を前記洗米タンクに供給する断面が略C字状のロータリーバルブと、
前記ロータリーバルブを覆い、その内部で、前記ロータリーバルブが回転可能で、上方開口部と下方開口部を備えたケースと、
前記ロータリーバルブを回転させるためのバルブ回転手段と、
前記ロータリーバルブの回転を検出する回転検出手段と、
前記バルブ回転手段を制御するコントローラとを備え、
前記ロータリーバルブが、前記貯米庫から米を受けるときは、前記ロータリーバルブの前記開口部と前記ケースの前記上方開口部が連通し、米を前記洗米タンクに供給するときは、前記ロータリーバルブの前記開口部と前記ケースの前記下方開口部が連通するように構成され、
前記コントローラは、前記バルブ回転手段を制御して前記ロータリーバルブを所定の角度範囲内で正転させ、逆転させる正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行可能に構成され、かつ、
前記バルブ回転手段を制御して前記ロータリーバルブの回転によって前記洗米タンクへ米を供給しているときに、前記回転検出手段の検出情報に基づいて前記ロータリーバルブが回転していないと判定した場合に、前記正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行するよう構成され、かつ、
前記正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行する際に、前記米収容室内に米が収容されていると判定した場合には、前記米収容室内に収容されている米が前記下方開口部から前記洗米タンクに供給されない角度範囲内で前記正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行し、前記米収容室内に米が収容されていないと判定した場合には、前記ケースの前記上方開口部から前記米収容室内に米が流入しない角度範囲内で前記正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行することを特徴とする洗米装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーバルブを備えた、炊飯装置用の洗米装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、米を貯蔵する貯米庫と、貯米庫の下方に設けられた洗米タンクを備え、貯米庫の下部に設けられた計量器によって、必要な量の米を計量し、計量した米を洗米タンクに投下し、洗米タンクにおいて炊飯前の米の洗浄を行う洗米装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、貯米庫内に設けられたホッパ状をなす貯米タンクの下端部に、ケースと、ケースの中に設けられ、開口部を有することにより断面形状が略C字状をなすロータリーバルブ(計量ドラム)と、ロータリーバルブを回転させるモータとを備えた計量器が取り付けられた洗米装置が開示されている。
【0004】
この計量器においては、貯米庫の前面に設けられたタッチパネルを操作して設定された炊飯量に応じた分だけ、モータによってロータリーバルブが回転され、略C字状をなすロータリーバルブの開口部が上方を向いた際に、貯米タンク内の米が、開口部からロータリーバルブの中に流れ込み、ロータリーバルブの回転によって開口部が下方を向いた際に、ロータリーバルブ内の米が洗米装置に投下されることを繰り返し、貯米タンクから必要な量の米が洗米タンクに投下されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-104475
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の洗米装置においては、計量器のケース内で、モータによってロータリーバルブが回転される際に、ロータリーバルブと、ロータリーバルブを囲うケースとの間に形成された僅かな間隙に、米の欠片などが侵入し、ロータリーバルブが回らなくなるという問題があった。
【0007】
したがって、本発明は、炊飯に必要な量の米を貯米庫から洗米タンクに繰り出す計量器において、ケースとロータリーバルブとの間の間隙に侵入した米の欠片などによって、ロータリーバルブが回らなくなる事態を未然に防止し、さらに、ケースとロータリーバルブとの間の間隙に侵入した米の欠片などによって、ロータリーバルブが回らなくなった場合には、ロータリーバルブを取り外すことなく、米の欠片などを除去し、ロータリーバルブによる米の供給を再開することができる洗米装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のかかる目的は、
米を収容する貯米庫と、
前記貯米庫の下方に設けられ、米を洗浄する洗米タンクと、
前記貯米庫と前記洗米タンクとの間に設けられ、前記貯米庫から、米を受け、計量して、前記洗米タンクに供給する計量器と、
前記計量器に設けられ、前記貯米庫からの米が通過する開口部と前記開口部を通過した米を収容する米収容室を有し、回転されることによって、前記貯米庫内の米を前記洗米タンクに供給する断面が略C字状のロータリーバルブと、
前記ロータリーバルブを覆い、その内部で、前記ロータリーバルブが回転可能で、上方開口部と下方開口部を備えたケースと、
前記ロータリーバルブを回転させるためのバルブ回転手段と、
前記バルブ回転手段を制御するコントローラとを備え、
前記ロータリーバルブが、前記貯米庫から、米を受けるときは、前記ロータリーバルブの前記開口部と前記ケースの前記上方開口部が連通し、米を前記洗米タンクに供給するときは、前記ロータリーバルブの前記開口部と前記ケースの前記下方開口部が連通するように構成され、
前記コントローラは、前記バルブ回転手段を制御して前記ロータリーバルブを所定の角度範囲内で正転させ、逆転させる正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行可能に構成されたことを特徴とする洗米装置によって達成される。
【0009】
本発明によれば、洗米装置のコントローラは、バルブ回転手段を制御して、計量器に設けられたロータリーバルブを所定の角度範囲内で複数サイクルにわたって、正転させ、逆転させる正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行可能であるから、反対方向の力を繰り返して加えることによって、ロータリーバルブとケースとの間の間隙に侵入した米の欠片などを取り除くことができ、侵入した米の欠片などによってロータリバルブが回らなくなる事態を未然に防止することができる。
【0010】
また、本発明によれば、洗米装置のコントローラは、ロータリーバルブとケースとの間の間隙に侵入した米の欠片などによって、実際にロータリーバルブが回転しなくなった場合には、バルブ回転手段を制御して、正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行し、反対方向の力を繰り返して加えることによって、ロータリーバルブとケースとの間の間隙に侵入した米の欠片などを取り除き、ロータリーバルブによる米の繰り出しを再開することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施態様においては、さらに、前記洗米タンクに水を供給するための給水手段を備え、前記コントローラは、前記給水手段を制御して前記洗米タンクの内部を洗浄可能に構成され、前記洗浄を実行するのに先立って、前記正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行する。
【0012】
本発明のこの好ましい実施態様によれば、コントローラは、バルブ回転手段を制御して正逆転サイクルを実行した後に、給水手段を制御して洗米タンクの内部を洗浄することができるから、正逆転サイクルの実行により、ロータリーバルブとケースとの間の間隙から取り除かれた米の欠片などを、計量器の下方に位置する洗米タンクの内部に残すことなく、洗米タンク内部の洗浄と同時に排出することができる。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記コントローラは、前記正逆転サイクルの最後のサイクルが終了するときに前記ロータリーバルブの前記開口部を水平方向に向けて前記ロータリーバルブを停止させる。
【0014】
本発明のこの好ましい実施態様によれば、コントローラは、複数の正逆転サイクルのうち、最後の正逆転サイクルを終了するときに、バルブ回転手段を制御して、ロータリーバルブが開口部を水平方向(横方向)に向けて停止させるから、給水手段を制御して洗米タンクの内部を洗浄する際に、水がケースの下方開口部を通じてロータリーバルブの開口部から米収容室内に浸入することを防止することができる。
【0015】
さらに、この好ましい実施態様によれば、正逆転サイクルを終了するときに、ロータリーバルブの開口部が水平方向(横方向)を向いており、貯米庫内の米がケースの上方開口部を通じてロータリーバルブの米収容室内に流入しないから、次回にロータリーバルブを回転させる際の負荷を軽減することができる。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、さらに、前記ロータリーバルブの回転を検出する回転検出手段を備え、前記コントローラは、前記バルブ回転手段を制御して前記ロータリーバルブの回転によって前記洗米タンクへ米を供給しているときに、前記回転検出手段の検出情報に基づいて前記ロータリーバルブが回転していないと判定した場合に、前記正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行する。
【0017】
本発明のこの好ましい実施態様によれば、ロータリーバルブによる洗米タンクへの米の供給中に、ロータリーバルブとケースとの間の間隙に侵入した米の欠片などによってロータリーバルブが回転しなくなった場合に、コントローラは、回転検出手段の検出情報に基づいて、ロータリーバルブが回転していないと判定し、正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行するから、ロータリーバルブとケースとの間の間隙に侵入した米の欠片などを取り除き、ロータリーバルブによる米の供給を自動的に再開することができる。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記コントローラは、前記正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行した後に、前記回転検出手段の検出情報に基づいて、前記ロータリーバルブが回転可能になったか否かを判定し、前記ロータリーバルブが回転可能になったと判定した場合には、前記ロータリーバルブの回転による前記洗米タンクへの米の供給を再開し、前記ロータリーバルブが回転可能になっていないと判定した場合には、前記ロータリーバルブの回転による前記洗米タンクへの米の供給を停止する。
【0019】
本発明のこの好ましい実施態様によれば、コントローラは、正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行した後に、回転検出手段の検出情報に基づいてロータリーバルブの回転状況を判定した上で、その回転状況に応じて適切な処置をとることができる。
【0020】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記コントローラは、前記正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行する際に、前記米収容室内に米が収容されていると判定した場合には、前記米収容室内に収容されている米が前記下方開口部から前記洗米タンクに供給されない角度範囲内で前記正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行し、前記米収容室内に米が収容されていないと判定した場合には、前記ケースの前記上方開口部から前記米収容室内に米が流入しない角度範囲内で前記正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行する。
【0021】
本発明のこの好ましい実施態様によれば、ロータリーバルブの回転による洗米タンクへの米の供給中に、ロータリーバルブとケースとの間の間隙に侵入した米の欠片などによってロータリーバルブが回転しなくなったときに、米収容室内に米が収容されている場合には、収容された米が洗米タンクに供給されない角度範囲内で正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行するから、ロータリーバルブの正逆転サイクルに伴い、余分な量の米が洗米タンク7に供給されることを防止することができる。
【0022】
また、米収容室内に米が収容されていない場合には、米収容室内に米が流入しない角度範囲で正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行するから、正逆転に伴うバルブ回転手段の負荷を軽減することができると同時に、余分な量の米が洗米タンク7に繰り出されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、炊飯に必要な量の米を貯米庫から洗米タンクに供給する計量器において、ロータリーバルブの正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行することにより、ケースとロータリーバルブとの間の間隙に侵入した米の欠片などを取り除き、ロータリーバルブが回らなくなる事態を未然に防止し、さらに、侵入した米の欠片などによって、実際にロータリーバルブが回らなくなった場合には、ロータリーバルブの正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行することにより、計量器からロータリーバルブを取り外すことなく、そのような事態を解消し、ロータリーバルブによる洗米タンクへの米の供給を再開することができる洗米装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる洗米装置の略正面図である。
図2図2は、図1に示された洗米装置の略側面図である。
図3図3は、図1に示された洗米装置における貯米庫および洗米タンクの縦断側面図である。
図4図4(a)は、図1に示された洗米装置の計量器の略斜視図であり、図4(b)は、図4(a)に示された計量器のA-A縦断面図である。
図5図5は、図1に示された洗米装置の制御系、検出系、駆動系および入力系のブロックダイアグラムである。
図6図6(a)は、図1に示された洗米装置におけるロータリーバルブの開口部が上方を向いた場合の計量器および繰り出される米の縦断側面模式図であり、図6(b)は、図1に示された洗米装置におけるロータリーバルブの開口部が下方を向いた場合の計量器および繰り出される米の縦断側面模式図である。
図7図7(a)は、ロータリーバルブの米収容室内に米がある状態で正逆転サイクルを実行する場合の開口部が向く角度範囲を示す計量器の縦断側面模式図であり、図7(b)は、ロータリーバルブの米収容室内に米がない状態で正逆転サイクルを実行する場合の開口部が向く角度範囲を示す計量器の縦断側面模式図である。
図8図8は、ロータリーバルブとケースの左方支持部または右方支持部との間の間隙に米の欠片などが詰まっている場合に、正逆転サイクルを実行して、米の供給を再開するまでのプロセスを示すフローチャートである。
図9図9(a)は、設定された回数の炊飯運転をすべて同じ炊飯条件で連続して行う連続モードが設定された場合に、電源スイッチがオンされた直後の操作画面の工程表示画面およびその近傍の略正面図であり、図9(b)は、設定された回数の炊飯運転をそれぞれ異なる炊飯条件で連続して行う炊き分けモードが設定された場合に、電源スイッチがオンされた直後の操作画面の工程表示画面およびその近傍の略正面図である。
図10図10は、運転モードとして炊き分けモードが設定されている場合に、工程表示画面から移行された直後の炊飯条件の設定画面の略正面図である。
図11図11は、運転モードとして炊き分けモードが設定されている場合に、操作画面に表示された炊飯条件の設定画面の略正面図である。
図12図12は、運転モードとして連続モードが設定されている場合に、操作画面に表示された炊飯条件の設定画面およびその近傍の略正面図である。
図13図13は、図1に示された洗米装置が清掃モードを実行する際の洗米タンクの洗浄にかかるタイムチャートの図である。
図14図14は、図1に示された洗米装置の貯米庫の下部の空間および洗米タンクの近傍の略斜視図である。
図15図15は、図1に示された洗米装置の洗米タンクの近傍の略斜視図であり、洗米タンク7の内部を洗浄する様子を示すものである。
図16図16は、本発明の別の好ましい実施態様にかかる洗米装置のロータリーバルブとケースとの間の間隙に米の欠片などが詰まっている場合に、正逆転サイクルを実行して、米の供給を再開するまでのプロセスを示すフローチャートである。
図17図17は、図16に示された別の好ましい実施態様にかかる洗米装置の操作画面の近傍の略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
【0026】
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる洗米装置1の略正面図であり、図2は、図1に示された洗米装置の略側面図である。
【0027】
図1および図2に示されるように、本実施態様にかかる洗米装置1は、炊飯すべき米を貯蔵する貯米庫2と、貯米庫2の下方に取り付けられ、炊飯すべき米を洗う洗米タンク7と、洗米タンク7の下方に設けられた炊飯装置9と、これらを支持するフレーム10を備え、貯米庫2および洗米タンク7は、図1に矢印Aで示されるように、左右方向にスライド可能に構成されている。
【0028】
図1および図2に示されるように、貯米庫2の正面には操作パネル12が配置されており、以下の説明において、洗米装置1の操作パネル12が設けられている側を「前」(F)といい、その反対側を「後」という。
【0029】
図1および図2に示されるように、フレーム10の下部には、2つの架台66が左右に並ぶように設けられており、各架台66は、その前面に取り付けられた把手67の操作によって前方に引き出し可能に構成され、各架台66の上面には、洗米タンク7で洗浄された米を炊飯するための炊飯装置9が載置されている。また、フレーム10の下面にはキャスター65が取り付けられており、洗米装置1を移動可能に構成されている。
【0030】
図1に示されるように、貯米庫2の正面に設けられた操作パネル12の右下方には、ロッカスイッチにより構成された電源スイッチS1が配置されており、電源スイッチS1の操作によって洗米装置1を起動または終了可能に構成されている。
【0031】
操作パネル12はその内部にコントローラ(図1および図2には図示せず)が設けられており、操作パネル12の前面中央部には、タッチパネル式のディスプレイで構成された操作画面68が設けられている。
【0032】
操作画面68の近傍には、連続炊飯回数を設定するための連続炊飯回数設定スイッチS2、炊飯運転を開始するためのスタートスイッチS3および「清掃モード」を実行するための清掃スイッチS4が設けられている。
【0033】
これらのスイッチと、操作画面68はコントローラに接続され、コントローラには記憶装置(図1および図2には図示せず)が接続されており、操作画面68上で設定された炊飯条件は記憶装置に格納され、設定された炊飯条件に従って、貯米庫2での米の計量処理から、洗米タンク7での洗米、浸漬、水加減および撹拌、炊飯装置9での炊飯および蒸らしまでの一連の炊飯運転を実行可能に構成されている。
【0034】
本実施態様においては、操作画面68に表示される工程表示画面に設けられたモード切換えスイッチを押圧操作することにより、洗米装置1の運転モードとして、設定された回数の炊飯運転をすべて同じ炊飯条件で連続して行う連続モードと、設定された回数の炊飯運転をそれぞれ異なる炊飯条件で連続して行う炊き分けモードとを選択可能に構成されている。
【0035】
炊飯条件としては、炊き方、炊飯量、水加減、洗い方、浸漬時間、点火方法、蒸らし時間の7項目があり、連続モードまたは炊き分けモードを選択した場合に、これらの炊飯条件は操作パネル12上で設定可能に構成されている。
【0036】
図3は、図1に示された洗米装置1における貯米庫2および洗米タンク7の縦断側面図である。
【0037】
図3に示されるように、貯米庫2は、その下部がホッパ状をなす貯米タンク30と、貯米タンク30内に供給された米を計量し、洗米タンク7に投下するために貯米タンク30の下端部に取り付けられた計量器17を備え、貯米タンク30の上面に設けられた蓋16を開き、米投入口15から貯米タンク30に米を投入可能に構成されている。貯米タンク30には、異物が混入することを防止するための網31が取り付けられている。貯米タンク30の下方には、種々のモータ、管、センサなどを収容するための空間Sが設けられている。
【0038】
図3に示されるように、貯米庫2の下端部には、各種の管やモータなどを載置するために設けられ、かつ、洗米タンク7との間の仕切りとしても機能する仕切り部材3が備えられており、仕切り部材3が部分的に開口されていることにより、計量器17によって洗米タンク7へ米を投下することが可能に構成されている。
【0039】
図4(a)は、図1に示された洗米装置1の計量器17の略斜視図であり、図4(b)は、図4(a)に示された計量器17のA-A縦断面図である。
【0040】
図4(a)に示されるように、計量器17は、ロータリーバルブ19と、ロータリーバルブ19を覆うケース18と、バルブ回転手段として機能し、コントローラによって駆動されるモータ20を備え、本実施態様におけるロータリーバルブ19は、図4(a)に矢印で示されるように、ケース18から右方向に引き出し可能に構成されている。
【0041】
図4(a)および図4(b)に示されるように、ケース18は、ロータリーバルブ19を収容するために設けられた左右方向に延びる円筒状のバルブ収容空間24と、ロータリーバルブ19を図4(a)の左方から支持する左方支持部76と、ロータリーバルブ19を図4(a)の右方から支持する右方支持部77と、バルブ収容空間24に連通し、貯米タンク30から流下した米をロータリーバルブ19に充填するための上方開口部22と、バルブ収容空間24に連通し、ロータリーバルブ19内に充填された米を洗米タンク7に投下するための下方開口部23を備えている。左方支持部76および右方支持部77は、ロータリーバルブ19の形状に合わせて丸みを帯びた形状をなしている。
【0042】
図4(a)および図4(b)に示されるように、左方支持部76の前後方向外側の表面には、ロータリーバルブ19の回転検出手段として機能する磁気センサ28が取り付けられている。磁気センサ28は、磁界の強度を検出し、検出結果をコントローラに出力するように構成されている。
【0043】
図4(a)に示されるように、ロータリーバルブ19は、本体29と、本体29により画定され、米を収容する米収容室26と、円形の左右の側壁27と、モータ20の動力を本体29に伝動するための中空のバルブ回転軸21を備えている。本体29は開口部25を有し、図4(b)に示されるように、側壁27に略平行な面で切断した断面が略C字状をなしている。バルブ回転軸21は、その左側の端部が左側の側壁27を貫通し、右側の端部が右側の側壁27の内面に固定されている。
【0044】
ロータリーバルブ19がケース18のバルブ収容空間24に左方向に挿し込まれると、バルブ回転軸21の左側の端部がモータ20の内部に挿入される。そして、コントローラからの駆動信号に基づいてモータ20が駆動されると、モータ20によってロータリーバルブ19のバルブ回転軸21が回転され、バルブ回転軸21の回転に伴い、本体29および左右の側壁27がバルブ回転軸21と一体的にケース18内で回転される。
【0045】
操作者が操作パネル12を操作して炊飯条件を設定し、炊飯運転を開始すると、洗米装置1のコントローラは、設定された炊飯量に応じた分だけモータ20を駆動して、上述のように構成されたロータリーバルブ19を回転させ、貯米タンク30から洗米タンク7への米の繰り出しを行う。
【0046】
図5は、図1に示された洗米装置1の制御系、検出系、駆動系および入力系のブロックダイアグラムである。
【0047】
図5に示されるように、洗米装置1の制御系は、洗米装置1全体の動作を制御するコントローラ72と、制御プログラムなどが格納されたROM74および種々のデータが格納されるRAM75を含む記憶装置73を備えている。
【0048】
図5に示されるように、洗米装置1の検出系は、計量器17のケース18に取り付けられた磁気センサ28と、フレーム10に設けられ、架台66が洗米タンクの下方の位置に戻されたことを検出するセンサ63と、給水管35に設けられ、洗米タンク7への給水量を計量する流量センサ57と、洗米タンク7内に供給された水の水位を検出する水位センサ58を備えている。
【0049】
図5に示されるように、洗米装置1の駆動系は、計量器17のロータリーバルブ19を回転駆動するモータ20と、上部給水管36を開閉する電磁弁38と、下部給水管37を開閉する電磁弁39と、送気管46から洗米タンク7にエアを供給する給気モータ47と、撹拌棒51を回転させる洗米モータ52と、排米弁48に接続された排米軸49を上下動させる駆動モータ50と、排水口54から排水するための排水弁53を開閉する排水弁ソレノイド55と、炊飯釜59の蓋61の自動開閉手段62を駆動させるモータ64と、ローラ32を転動させ、貯米庫2および洗米タンク7を左右に移動させる移動モータ33を備えている。
【0050】
図5に示されるように、洗米装置1の入力系は、操作画面68と、操作画面68の近傍に設けられた連続炊飯回数設定スイッチS2、スタートスイッチS3および清掃スイッチS4とを含む操作パネル12を備えている。
【0051】
本実施態様にかかる洗米装置1においては、計量器17によって、以下のようにして、貯米庫2内の米が計量され、洗米タンク7に繰り出される。
【0052】
図6は、図1に示された洗米装置1におけるロータリーバルブ19の開口部25の向きと、繰り出される米との関係を示す計量器17の縦断側面模式図であり、図6(a)は、図1に示された洗米装置1におけるロータリーバルブ19の開口部25が上方を向いた場合の計量器17および繰り出される米の縦断側面模式図であり、図6(b)は、図1に示された洗米装置1におけるロータリーバルブ19の開口部25が下方を向いた場合の計量器17および繰り出される米の縦断側面模式図である。
【0053】
図6(a)に示されるように、まず、モータ20が駆動され、ロータリーバルブ19の開口部25が上方を向き、ケース18の上方開口部22に対向するように位置すると、貯米タンク30から、ケース18の上方開口部22を介して、ロータリーバルブ19の米収容室26内に米が収容される。その後、さらに、モータ20が駆動され、ロータリーバルブ19が回転されて、図6(b)に示されるように、ロータリーバルブ19の開口部25が下方を向き、ケース18の下方開口部23に対向するように位置すると、米収容室26内に収容された米が、ケース18の下方開口部23を介して、洗米タンク7に投下される。このように、モータ20によってロータリーバルブ19を回転することによって、米収容室26への米の収容と、米収容室26から洗米タンク7への投下が繰り返され、所望の量の米を、貯米庫タンク24から洗米タンク7に供給することができる。
【0054】
ここに、コントローラ72は、以下のようにして、貯米庫2の貯米タンク30から米がロータリーバルブ19の米収容室26内に収容され、米収容室26から洗米タンク7への投下というサイクルが何サイクル実行されたかを検出することによって、所望の量の米が、貯米庫タンク24から洗米タンク7に供給されたか否かを判定することができる。
【0055】
図6(a)に示されるように、断面が略C字状をなすロータリーバルブ19の本体29の開口部25に対向する一方の端部は磁石71によって構成され、ケース18外側の磁気センサ28は、ロータリーバルブ19の開口部25が上方を向いている場合に、磁石71に対向する位置に取り付けられている。
【0056】
磁気センサ28によって検出される磁石71の磁界の強度は、例えば、図6(a)に示されるように、ロータリーバルブ19の開口部25が上方を向いている場合には、磁石71と磁気センサ28との距離が最も近接するため、最も強くなる。
【0057】
一方、図6(b)に示されるように、開口部25が下方を向いている場合には、磁石71と磁気センサ28との距離が最も遠くなるため、磁気センサ28によって検出される磁界の強度は最も弱くなる。
【0058】
本実施態様においては、開口部25が360°にわたって各方向を向いた際に磁気センサ28により検出される磁界の強度のデータが記憶装置73に格納されており、コントローラ72は、磁気センサ28から出力された磁界検出信号に対応する開口部25の角度位置に関するデータを記憶装置73から読み出すことにより、ロータリーバルブ19の開口部25の角度位置(向き)を判定することができる。
【0059】
コントローラ72は、モータ20を駆動して米を供給する際に、磁気センサ28から出力された磁界検出信号に基づいて、ロータリーバルブ19の開口部25が上方を向いた(米が米収容室26に収容された)後に下方を向いた(米が洗米タンク7へ供給された)回数をカウントすることによって、米が貯米タンク30から洗米タンク7へ何回繰り出されたかを判定し、操作者が操作パネル12を操作して設定された炊飯量に応じた回数だけ米の繰出しを行うから、炊飯に必要な量の米を洗米タンク7へ供給することができる。
【0060】
しかしながら、計量器17において、上述のように米の計量および洗米タンク7へ米の供給を行う際に、ロータリーバルブ19と、ケース18の左方支持部76または右方支持部77との間の間隙に米の欠片などが詰まっている場合には、モータ20を駆動しても、ロータリーバルブ19が回転せず、そのままでは、米の計量および洗米機7への米の供給をおこなうことができない。
【0061】
したがって、モータ20を駆動しても、ロータリーバルブ19が回転しないときは、コントローラ72は、ロータリーバルブ19とケース18の左方支持部76または右方支持部77との間の間隙に、米の欠片などが詰まっていると判定し、モータ20を駆動して、ロータリーバルブ19を通常の米の繰り出しの際の回転方向と同じ回転方向に正転させ、通常の米の供給の際の回転方向とは反対方向に逆転させるサイクルを複数回実行し、ロータリーバルブ19とケース18の左方支持部76または右方支持部77との間の間隙に詰まっている米の欠片などを除去するように構成されている。以下、ロータリーバルブ19を正転させ、逆転させることを「正逆転サイクル」という。
【0062】
すなわち、複数のサイクルの正逆転サイクルを実行し、ロータリーバルブ19とケース18の左方支持部76または右方支持部77との間の間隙に詰まっている米の欠片などに反対方向から複数回にわたって力を加えることによって、米の欠片などをロータリーバルブ19とケース18との間の間隙から除去し、ロータリーバルブ19による米の繰り出しを自動的に再開することができる。なお、本実施態様においては、ロータリーバルブ19の正逆転サイクルを5サイクルにわたって実行するように構成されている。
【0063】
しかしながら、米が米収容室26内に収容されている状態で、正逆転サイクルを実行すると、余分の米が米収容室26から洗米タンク7に投下されてしまい、計量器17による米の正確な量の繰り出しが出来なくなる。
【0064】
そこで、本実施態様においては、コントローラ72は正逆転サイクルを5サイクルにわたって実行するのに先立って、ロータリーバルブ19の米収容室26内に米が収容されているか否かを判定し、ロータリーバルブ19の米収容室26内に米が収容されている場合と、米が収容されていない場合とで、正逆転サイクルを5サイクルにわたって実行する際にロータリーバルブ19が正転および逆転される角度範囲を異ならせるように構成されている。
【0065】
図7は、図1に示された洗米装置1が正逆転サイクルを実行する場合のロータリーバルブ19の開口部25の移動範囲を示す計量器17の縦断側面模式図であり、図7(a)は、ロータリーバルブ19の米収容室26内に米がある状態で正逆転サイクルを実行する場合の開口部25が向く角度範囲を示す計量器17の縦断側面模式図であり、図7(b)は、ロータリーバルブ19の米収容室26内に米がない状態で正逆転サイクルを実行する場合の開口部25が向く角度範囲を示す計量器17の縦断側面模式図である。
【0066】
図7(a)に示されるように、ロータリーバルブ19の米収容室26内に米がある場合には、米収容室26内の米が投下されないよう、ロータリーバルブ19の正転時および逆転時において、ロータリーバルブ19の開口部25が、矢印で示されるように、ケース18の下方開口部23と重ならない範囲で(開口部25が右方支持部77または左方支持部76によって完全に覆われているか、またはケース18の上方開口部22と重なる範囲で)ロータリーバルブ19が回転されるように構成されている。
【0067】
一方、図7(b)に示されるように、ロータリーバルブ19の米収容室26内に米がない場合には、米収容室26内に米が入らないよう、ロータリーバルブ19の正転時および逆転時において、ロータリーバルブ19の開口部25が、矢印で示されるように、ケース18の上方開口部22と重ならない範囲で(開口部25が右方支持部77または左方支持部76によって完全に覆われているか、またはケース18の下方開口部23と重なる範囲で)ロータリーバルブ19が回転されるように構成されている。
【0068】
図8は、ロータリーバルブ19とケース18の左方支持部76または右方支持部77との間の間隙に米の欠片などが詰まっている場合に、正逆転サイクルを実行して、米の供給を再開するまでのプロセスを示すフローチャートである。
【0069】
まず、コントローラ72は、貯米タンク30から洗米タンク7へ米の供給が行われている間に、モータ20に駆動信号を出力しても、磁気センサ28から出力される検出信号(検出情報)が変化しない(ロータリーバルブ19の磁石71の位置が変化していない)場合には、ロータリーバルブ19が回転していないと判定し(ステップSS1)、記憶装置73にエラーの履歴を格納する。
【0070】
次いで、コントローラ72は、ロータリーバルブ19の米収容室26内に米が収容されているか否かを判定する(ステップSS2)。
【0071】
具体的には、コントローラ72は、上述のように、磁気センサ28から入力される検出信号に基づいて、ロータリーバルブ19の開口部25の向きを判定することができるから、判定されたロータリーバルブ19の開口部25の向きが、図6(a)に示されるように、ケース18の上方開口部22に対向する向きである場合には、貯米タンク30からロータリーバルブ19に米が供給され、米収容室26内に収容されていると判定する。
【0072】
また、開口部25と、ケース18の下方開口部23とが重なっていない場合においては、開口部25が上方を向いた際に米収容室26内に収容された米が、ケース18の下方開口部23から排出されていないと認められるから、コントローラ72は、米収容室26内に米が収容されていると判定する。
【0073】
一方、ロータリーバルブ19の開口部25が下方を向いている場合には、米収容室26内に収容された米がケース18の下方開口部23から排出されていると認められるから、コントローラ72は、米収容室26内に米が収容されていないと判定する。
【0074】
また、開口部25と、ケース18の上方開口部22とが重なっていない場合には、ケース18の下方開口部23から洗米タンク7に米が供給された後にケース18の上方開口部22から米収容室26内に米が侵入していないと認められるから、コントローラ72は、米収容室26内に米が収容されていないと判定する。
【0075】
このように、停止しているロータリーバルブ19の米収容室26内に米が収容されているか否かを判定した後に、コントローラ72は、判定結果に基づいて、モータ20を駆動させ、図7(a)または図7(b)に示された角度範囲内で正逆転サイクルを5サイクルにわたって実行する(ステップSS3)。正逆転サイクルが実行されている間は、操作画面68には、復帰中である旨の表示がなされる。
【0076】
次いで、コントローラ72は、正逆転サイクルが5サイクルにわたって実行されたか否かを判定する(ステップSS4)。
【0077】
その結果、正逆転サイクルが5サイクルにわたって実行されたと判定したときは、コントローラ72は、ロータリーバルブ19による米の供給を再開する(ステップSS5)。
【0078】
一方、正逆転サイクルが5サイクルにわたって実行されていないのであれば、ロータリーバルブ19の正転または逆転を繰り返す(ステップSS6)。そして、正逆転サイクルが5サイクルにわたって実行された後に、コントローラ72は、ロータリーバルブ19による米の繰り出しを再開する(ステップSS7)。
【0079】
図1ないし図3に示されるように、洗米タンク7の下部にはジャケット部34が取り付けられており、ジャケット部34の下面に設けられた開口部は、排米弁48によって開閉可能に構成されている。洗米タンク7に給水するための給水管35は貯米庫2の空間Sに設けられており、洗米タンク7の上方に配置された上部給水管36とジャケット部34の側面に接続された下部給水管37とに給水されるように構成されている。下部給水管37は可撓性を有するホースにより構成されている。給水管35には流量センサ57が設けられ、上部給水管36および下部給水管37にはそれぞれ、流量センサ57の計測値に応じてコントローラ72により開閉制御され、洗米タンクに水を供給するための給水手段として機能する電磁弁38、電磁弁39が設けられる。上部給水管36の下端にはシャワーノズル40が接続されており、上方から洗米タンク7に給水可能に構成されている。
【0080】
図3に示されるように、洗米タンク7の上部には、洗米タンク7内の水量を検出する水位センサ58が設けられている。また、洗米タンク7の後方には、洗米タンク7が満水状態で給水された場合に、水が空間S内に溢れないようにするための開口部69と、開口部69に接続されたオーバーフロー管70が設けられている。
【0081】
図2および図3に示されるように、ジャケット部34の側面には、下部給水管37に加えて送気管46が接続されており、水が供給された状態で、給気モータ47によってエアを洗米タンク7の下部から供給しながら、洗米モータ52によって、洗米タンク7の上部から下方に延びる複数の撹拌棒51を回転させることにより、洗米タンク7内の米が気泡状態で洗米される。このように、エアを供給しながら、洗米が行われるから、高い洗米効果を得られると同時に、気泡の存在により撹拌棒51が米と当接する際の衝撃が緩和され、米が割れることの防止が図られている。
【0082】
図3に示されるように、洗米の後に、米の研ぎ汁はジャケット部34の側方に接続された排水箱56内の排水弁53が排水弁ソレノイド55により開かれ、排水弁53を経て、排水口54から排水ホース8へ排水される。ここに、排水箱56の上部にはオーバーフロー管70が接続されており、洗米タンク7が満水の状態の際にオーバーフロー管70に流れ込んだ水も、排水弁53を経た水と同様に排水口54から排水されるように構成されている。
【0083】
洗米タンク7への水の供給から、撹拌棒の回転による洗米、研ぎ汁の排水までを1回の洗米操作として、操作パネル12上で設定された回数の洗米処理を行った後、ソレノイドにより排水弁53が開かれた状態でシャワーノズル40から間欠的に散水することにより、米の浸漬が行われる。浸漬時間は操作パネル12上で設定される。
【0084】
浸漬工程の後、洗米タンク7は、洗米タンク7の内壁に付着した米がそのまま残存することを防止するため、撹拌の工程へ移行する。具体的には、コントローラ72は、設定された浸漬時間が経過した後に、排水弁53を閉じ、電磁弁39を開いて下部給水管37から洗米タンク7内に給水する。
【0085】
その結果、水位センサ58が洗米タンク7内に供給された水を検出すると、コントローラ72は、電磁弁39を閉じて下部給水管からの給水を停止し、洗米モータ52によって撹拌棒51を所定の時間回転させた後に、排水弁53を開き、洗米タンク7内の水を排水する。
【0086】
撹拌の工程の後、洗米タンク7は、水加減の工程へ移行し、下部給水管37から適切な量の水が供給される。本実施態様にかかる洗米装置1においては、白飯を炊飯する場合に用いる「標準」と、おかゆを炊く場合に用いる「おかゆ」の2種類の炊き方を操作パネル12上で選択可能に構成されており、それぞれの炊き方と、操作パネル12上で設定された水加減とに応じた量の水が下部給水管37から供給されるように構成されている。
【0087】
水加減の工程の後、洗米タンク7は、炊飯装置9の炊飯釜59への米と水の投下の工程へ移行する。具体的には、図3に示されるように、排米弁48の上部に取り付けられた排米軸49が、洗米タンク7の上方に設けられた駆動モータ50によって下方にスライドされて排米弁48が降下し、ジャケット部34の下面の開口部から米と水が炊飯釜59へ投下される。
【0088】
ここに、連続して炊飯運転を行う回数が2回以上に設定されている場合には、洗米装置1は、最初の炊飯である1回目の炊飯のための洗米および水を炊飯装置9に投下した後に、直ちに2回目の炊飯運転のための米の計量、洗米処理を既に開始しており、水加減までの工程が終了次第、貯米庫2および洗米タンク7は、コントローラ72の制御によって、1回目の炊飯の洗米および水が投下された炊飯装置9の隣の炊飯装置9の上方に移動されるように構成されており、左右の炊飯装置9を交互に用いて炊飯工程が実行される。
【0089】
具体的には、コントローラ72は、移動モータ33によって、図1に示されるように、貯米庫2の後方下部に取り付けられたローラ32を、フレーム10がその上端部に備えたレール11上を転動させ、貯米庫2および洗米タンク7を左右一方の炊飯装置9の上方の位置から、他方の炊飯装置9の上方の位置へ移動させた後に、洗米および水が投下されるように構成されている。
【0090】
図1および図2に示されるように、炊飯装置9は釜加熱用バーナ60とその上に設けられた炊飯釜59を備え、炊飯釜59の蓋61は、モータ(図1ないし図3には図示せず)により駆動される自動開閉手段62によりその中央部が開閉可能に構成され、洗米タンク7から米と水が投下される際には蓋61の中央部が自動開閉手段62により開かれ、投下後に自動開閉手段62により蓋61の中央部が閉じられる。
【0091】
炊飯装置9において、炊飯条件の設定時に釜加熱用バーナ60を自動で点火するように点火方法が操作パネル12上で設定されている場合には、炊飯釜59に米と水が投入された後に、コントローラ72により釜加熱用バーナ60が自動点火されて、加熱炊飯処理が開始される。
【0092】
これに対し、釜加熱用バーナ60を手動で点火するように設定されている場合には、炊飯釜59への米と水の投下後、コントローラ72は、操作者が釜加熱用バーナ60に点火するまで待機するように構成されている。釜加熱用バーナ60の点火後、操作パネル12上で設定された炊き方で炊飯を行った後、炊飯装置9は蒸らしの工程に移る。操作パネル12上で設定された蒸らし時間の経過後、炊飯が完了する。
【0093】
ここに、連続して炊飯運転を行う回数が3回以上に設定されている場合には、洗米タンク7における3回目の炊飯のための米の洗浄、浸漬、撹拌および水加減が完了したと判定すると、コントローラ72は、1回目の炊飯に用いた炊飯装置の炊飯釜59の蓋61の中央部を自動開閉手段62により開いた状態にし、洗米タンク7から炊飯装置9への洗米と水の投下と炊飯を開始する。
【0094】
1回目の炊飯運転が完了し、炊き上がった米を別容器に移すため、炊飯装置9が載置された架台66が引き出され、その後に元の位置に戻されると、フレーム10に設けられたセンサ(図1ないし図3には図示せず)が、架台66が元の位置に戻されたことを検出し、検出結果がコントローラ72に出力されるように構成されている。そして、3回目の炊飯運転における洗米が早く完了し、炊飯装置9における1回目の炊飯運転における炊飯の工程が遅れている場合には、コントローラ72は、撹拌の工程までが終了した状態で、洗米タンク7を待機させる。その後に、1回目の炊飯運転で炊き上がった米を移すために、炊飯装置9が載置された状態で架台66が引き出され、元の位置に戻されたことをセンサが検出し、検出信号がコントローラ72に入力されると、コントローラ72は洗米タンク7に3回目の炊飯運転における米の水加減の工程を開始させる。
【0095】
以上のように構成された洗米装置1においては、以下のようにして、操作パネル12を用いて、炊飯条件が設定される。
【0096】
図9には、電源スイッチS1がオンされ、洗米装置1が起動した直後の操作パネル12に設けられた操作画面68の工程表示画面およびその近傍の略正面図が示されており、図9(a)は、設定された回数の炊飯運転をすべて同じ炊飯条件で連続して行う連続モードが設定された場合に、電源スイッチS1がオンされた直後の操作画面68の工程表示画面およびその近傍の略正面図であり、図9(b)は、設定された回数の炊飯運転をそれぞれ異なる炊飯条件で連続して行う炊き分けモードが設定された場合に、電源スイッチS1がオンされた直後の操作画面68の工程表示画面およびその近傍の略正面図である。
【0097】
ここに、操作画面68の工程表示画面とは、現在の炊飯運転の状況、設定された連続炊飯運転の回数、運転モード、炊飯条件、炊飯の段階に応じた必要な情報を表示し、これらの情報の設定に必要なスイッチを表示するための画面である。
【0098】
本実施態様においては、コントローラ72に接続された記憶装置73には、前回に炊飯運転を行った際の運転モード(連続モードで炊飯運転が行われたか炊き分けモードで炊飯運転が行われたか)が記憶され、さらに、前回にそれぞれの運転モードに設定された状態で炊飯運転を行った際の連続炊飯運転の回数や7項目の炊飯条件、すなわち、炊き方、炊飯量、水加減、洗い方、浸漬時間、点火方法、蒸らし時間に関するデータが格納されている。そして、洗米装置1が起動すると、コントローラ72は、前回に炊飯運転を行った際の運転モード、連続炊飯運転の回数および炊飯条件に関するデータを記憶装置73から読み出し、洗米装置1の運転モードを前回の炊飯運転の運転モードに設定し、さらに、連続炊飯運転の回数を前回の連続炊飯運転と同じ回数に、炊飯条件を前回の炊飯条件と同じ炊飯条件にそれぞれ設定するように構成されている。
【0099】
したがって、起動直後の操作画面68の工程表示画面には、前回に炊飯運転を行った際の連続炊飯運転の回数および炊飯条件が表示され、前回の炊飯運転における運転モードが連続モードであるときは、図9(a)に示されるように、工程表示画面に連続モードが設定されていることが示され、前回の炊飯運転における運転モードが炊き分けモードであるときは、図9(b)に示されるように、工程表示画面に炊き分けモードが設定されていることが示される。
【0100】
図9(a)および図9(b)に示されるように、工程表示画面の左上端部の運転状況表示部C1には、現在の炊飯運転の状況が示されている。洗米装置1の起動直後は炊飯運転が停止されているので、図9(a)および図9(b)においては、運転状況表示部C1には「停止中」の文字が表示されているが、炊飯運転が実行されているときは、「運転中」の文字が表示されるように構成されている。
【0101】
運転状況表示部C1の下方の連続炊飯運転回数表示部C2には、連続炊飯運転の回数が示されており、連続炊飯運転回数表示部C2に表示された連続炊飯運転の回数は、操作画面68の左方に設けられたスイッチS2aおよびスイッチS2bを含む連続炊飯回数設定スイッチS2を操作し、任意の連続炊飯回数に変更することができる。
【0102】
連続炊飯運転回数表示部C2の下方の運転モード表示部C3には、その時点で、選択されている運転モードが表示され、連続モードが設定されている場合には、図9(a)に示されるように、運転モード表示部C3には「連続」という文字が表示され、炊き分けモードが設定されている場合には、図9(b)に示されるように、運転モード表示部C3には「炊き分け」という文字が表示される。
【0103】
運転モードを連続モードから炊き分けモードへ切り換えたい場合には、操作画面68の運転モード表示部C3の下方に表示されたモード切換えスイッチS5を押すことにより、炊き分けモードに変更することができ、炊き分けモードから連続モードへ切り換えたい場合には、モード切換えスイッチS5を押すことにより、連続モードに変更することができる。運転モードが変更された場合、変更後の運転モードで前回に炊飯運転を行った際の連続炊飯運転の回数および炊飯条件(炊き分けモードに変更された場合には、連続炊飯運転の各回の炊飯条件)が自動的に設定され、それらの情報が工程表示画面に表示される。
【0104】
また、運転モードとして連続モードが設定されている場合には、図9(a)に示されるように、モード切換えスイッチS5には「炊き分け」の文字が表示され、運転モードとして炊き分けモードが設定されている場合には、図9(b)に示されるように、モード切換えスイッチS5には「連続」の文字が表示される。
【0105】
工程表示画面の中央部の工程表示部C4には、洗米装置1が模式的に示され、洗米装置1の貯米庫2、洗米タンク7および炊飯装置9のいずれで炊飯作業が実行されているかが表示されている。図9(a)および図9(b)においては、洗米装置1が備えている貯米庫2、洗米タンク7および炊飯装置9のいずれで炊飯作業が実行されているかは表示されていないが、洗米タンク7において米の洗米が行われている際には、工程表示部C4に「洗米」の文字が表示され、炊飯装置9において炊飯が行われている際には、工程表示部C4に「炊飯」の文字が表示されるように構成されている。
【0106】
工程表示画面の右上部の炊飯条件表示部C5には、その時点で設定されている炊飯量、炊き方、浸漬時間および蒸らし時間が表示されている。とくに、運転モードとして炊き分けモードが設定されている場合には、図9(b)に示されるように、何回目の炊飯条件が表示されているのかが炊飯条件表示部C5の中央上端部に表示され、さらに、その左右に表示されるスイッチS7aおよびスイッチS7bを操作することにより、各回の炊飯条件を順に確認可能に構成されている。
【0107】
炊飯条件表示部C5の下方の情報表示部C6には、操作者に対して伝えることが好ましい情報が表示される。図9(a)および図9(b)には、電源スイッチS1の操作により洗米装置1が起動した直後で、炊飯運転が停止中の状態が示されているため、情報表示部C6に、スタートスイッチS3の操作により炊飯運転を開始可能である旨の情報が表示されている。したがって、前回に実行した際の運転モードや炊飯条件で炊飯運転を実行したい場合には、スタートスイッチS3を押圧操作することにより、直ちに洗米装置1の炊飯運転が開始される。
【0108】
本実施態様にかかる洗米装置1においては、運転モードとして炊き分けモードが設定されている場合に、以下のようにして、5回の連続炊飯運転を行うための異なった炊飯条件が設定され、記憶装置73に格納され、記憶装置73に格納された5回の異なった炊飯条件での炊飯運転の中から指定した炊飯運転が連続して実行される。
【0109】
図9(b)に示されるように、運転モードが炊き分けモードに設定されている場合に、実行する炊飯運転を指定し、または炊飯運転の炊飯条件を設定する際には、まず、操作画面68のモード切換えスイッチS5の左方に表示された詳細スイッチS6を押圧操作することにより、操作画面68の表示を工程表示画面から炊飯条件の設定画面に移行させる。
【0110】
図10は、運転モードとして炊き分けモードが設定されている場合に、工程表示画面から移行された直後の炊飯条件の設定画面の略正面図である。
【0111】
図10に示されるように、炊飯条件の設定画面の左側には、「1回目」から「5回目」の文字が表示されたT1~T5の5つの領域が表示されている。本明細書においては、これら5つの領域T1~T5のそれぞれを「タブ」といい、これら5つの領域T1~T5が表示された部分を「タブ表示部」という。ここに、タブT1~T5は1回目から5回目の炊飯運転に対応している。
【0112】
図10に示されるように、タブ表示部C7の右側の炊飯条件の設定画面には、炊飯条件設定部C8が表示され、炊飯条件設定部C8には1回目から5回目の炊飯運転において設定された炊飯条件が表示されている。本実施態様においては、必要に応じて、炊飯条件設定部C8を操作して、炊飯条件を変更することができる。
【0113】
タブT1~T5のいずれかを選択的に押圧操作することによって、1回目から5回目のいずれかの炊飯運転における炊飯条件を炊飯条件設定部C8に表示することができる。具体的には、N番目のタブTN(N=1、2、3,4,5)を選択的に押圧操作することによって、N回目の炊飯運転の炊飯条件を炊飯条件設定部C8に表示することができる。
【0114】
図10においては、1番目のタブT1が選択された状態が示されており、炊飯条件設定部C8には、炊き方、炊飯量、水加減、洗い方、浸漬時間、点火方法、蒸らし時間の7つの炊飯条件の設定値が表示されている。
【0115】
炊飯条件設定部C8の各設定値の下方にはスイッチS8aおよびスイッチS8bが表示されており、必要に応じてスイッチS8aおよびスイッチS8bを押圧操作することにより、各設定値を変更可能に構成されている。さらに、スイッチS8aおよびスイッチS8bの下方の炊飯条件設定部C8には、表示された炊飯条件での炊飯運転を指定するためのONスイッチS9aおよび指定された炊飯条件を未指定の状態に戻すためのOFFスイッチS9bが表示されている。
【0116】
ここに、洗米装置1は、タブT1からタブT5の操作により炊飯条件設定部C8に表示される5つの炊飯条件のうち、ONスイッチS9aの操作によって指定した炊飯条件での炊飯運転を、1回目のタブT1にかかる炊飯運転から5回目のタブT5にかかる炊飯運転の順に実行するように構成されており、「1回目」から「5回目」の表示の中の「回目」の前に表示された1~5の数字が、連続炊飯運転における各炊飯運転の優先順位を示している。例えば、1回目および3回目がONスイッチS9aの操作によって指定された状態で連続炊飯運転が実行された場合には、洗米装置1は、1回目の炊飯条件での炊飯運転を行った後、2回目の炊飯条件での炊飯運転をスキップし、次いで3回目の炊飯条件での炊飯運転を行って、4回目および5回目の炊飯条件での炊飯運転は行わずに連続炊飯運転を終了する。
【0117】
図9(b)に示されたように、運転モードとして炊き分けモードが設定された状態で、工程表示画面から炊飯条件の設定画面に移行された直後は、1回目から5回目の炊飯条件のすべてで、ONスイッチS9aがオンされておらず、どの炊飯条件も指定されていない未指定の状態であるように構成されており、炊飯運転を行う予定のない炊飯条件のONスイッチS9aがオンされて、その炊飯条件が指定されることによる不要な炊飯運転が行われることの防止が図られている。したがって、炊飯運転を実行するには、操作者は、タブT1~T5のうち、所望のタブを押圧操作して、実行すべき炊飯運転を選択し、ONスイッチS9aをオンすることによって、指定した炊飯条件での炊飯運転を行う必要がある。
【0118】
また、図10に示されるように、タブ表示部C7および炊飯条件設定部C8は、未指定の状態では灰色の背景色で表示されており、OFFスイッチS9bのみが白色で表示されている。
【0119】
図11は、運転モードとして炊き分けモードが設定されている場合に、操作画面68に表示された炊飯条件の設定画面の略正面図である。
【0120】
図11には、ONスイッチS9aをオンすることにより、1回目から5回目の炊飯運転のうち、1回目と3回目の炊飯運転が指定された状態で、3回目の炊飯運転を示すタブT3が選択され、炊飯条件設定部C8に3回目の炊飯運転における炊飯条件が表示された状態が示されている。ONスイッチS9aによって指定された1回目と3回目の炊飯運転のタブ表示部C7および炊飯条件設定部C8は白色の背景色で表示されており、ONスイッチS9aによって指定されていない2回目、4回目および5回目の炊飯運転のタブ表示部C6は灰色の背景色で表示されている。
【0121】
ONスイッチS9aを押圧操作することにより1回目から5回目の炊飯運転の中から所望の炊飯運転を指定し、さらに、必要に応じてスイッチS8aおよびスイッチS8bを操作して炊飯条件の設定を変更した後に、炊飯運転を実行する場合には、まず、炊飯条件設定部C8の下方に表示された確定スイッチS10を押圧し、炊飯条件が設定された炊飯条件に確定され、実行すべき炊飯運転の指定が確定される。
【0122】
洗米装置1は、確定スイッチS10を押さなければ、図9(a)および図9(b)に示された操作パネル12のスタートスイッチS3を押圧操作しても反応せず、炊飯運転を開始することができないように構成されており、確定スイッチS10を押すと、操作画面68は、図9(a)または図9(b)に示された運転状態が停止中の工程表示画面へ移行し、スタートスイッチS3を押すことによってはじめて炊飯運転を開始可能な状態になるように構成されている。
【0123】
したがって、操作者はスタートスイッチS3を押す前に、工程表示画面の炊飯条件表示部C5上で、炊飯条件の設定画面で指定した炊飯条件や、炊飯運転の実行順を再確認することができ、したがって、運転開始前に確定スイッチS10を操作することが必要なため、誤った炊飯条件の指定および/または炊飯運転の実行順で、炊飯運転が実行されることを効果的に防止することができる。
【0124】
さらに、確定スイッチS10の操作によって炊飯条件の設定画面から移行した工程表示画面の連続炊飯運転回数表示部C2に表示される回数には、炊飯条件の設定画面においてONスイッチS9aの押圧操作により指定された炊飯運転の数が自動的に設定されるように構成されており、例えば、図11に示されるように、1回目の炊飯運転と3回目の炊飯運転が指定された状態で、確定スイッチS10の押圧操作によって工程表示画面へ移行した場合、連続炊飯運転回数表示部C2の数字は、「02」となる。
【0125】
したがって、連続炊飯運転回数表示部C2上で、炊飯条件の設定画面で指定した炊飯運転の数を確認することができ、炊飯条件の設定画面で炊飯回数が誤って指定された状態で、あるいは、炊飯回数を指定し忘れた状態で、炊飯運転が実行されることの防止が図られている。
【0126】
ここに、連続炊飯運転回数が、図9(a)および図9(b)に示されたスイッチS2aを押圧操作することによって、炊飯条件の設定画面でONスイッチS9aを押圧して指定した炊飯運転の数よりも多く設定された場合には、指定した炊飯運転での連続炊飯運転を、タブT1からT5の順に、連続炊飯運転回数に達するまで繰り返し実行するように構成されている。1回目の炊飯運転と3回目の炊飯運転が指定された上述の例の場合で、スイッチS2aを押圧操作することによって連続炊飯運転の回数を5回に増やした場合には、1回目の炊飯条件での炊飯運転→3回目の炊飯条件での炊飯運転→1回目の炊飯条件での炊飯運転→3回目の炊飯条件での炊飯運転→1回目の炊飯条件での炊飯運転を実行し、終了する。
【0127】
本実施態様においては、以下のようにして、連続モードにおける炊飯条件を設定し、炊飯運転を開始することができる。
【0128】
まず、図9(a)に示された工程表示画面において、運転モードとして連続モードが設定されていることを確認した後に、詳細スイッチS6を押圧操作し、操作画面68の表示を連続モードにおける炊飯条件の設定画面に移行させる。
【0129】
図12は、運転モードとして連続モードが設定されている場合に、操作画面68に表示された炊飯条件の設定画面およびその近傍の略正面図である。
【0130】
図12に示されるように、連続モードが設定された場合には、洗米装置1が連続して実行するすべての炊飯運転の炊飯条件が同一であるから、図10および図11に示された炊き分けモードの場合と異なり、タブ表示部C7は設けられておらず、操作画面68の中央部の炊飯条件設定部C8に表示される、炊き方、炊飯量、水加減、洗い方、浸漬時間、点火方法、蒸らし時間の7項目の炊飯条件それぞれの下方に設けられたスイッチS8aおよびスイッチS8bを押圧操作することにより、炊飯条件を変更可能に構成されている。設定された炊飯条件は記憶装置73に格納される。
【0131】
スイッチS8aおよびスイッチS8bの操作によって炊飯条件の各項目を所望の状態に設定した後、図12に示されるように、炊飯条件設定部C8の下方に表示された戻るスイッチS11を押圧操作することにより、工程表示画面に戻り、連続炊飯運転回数表示部C2を確認した後、連続炊飯運転の回数を変更する必要がある場合には、連続炊飯回数設定スイッチS2の操作により変更し、スタートスイッチS3を操作することにより炊飯運転を開始することができる。
【0132】
一方、上述の炊飯運転が実行されていないとき、すなわち、計量器17における米の計量および洗米タンク7への米の繰り出しの工程から、炊飯装置9における蒸らし工程までの運転が行われていないときに、図1に示された清掃スイッチS4を押圧操作すると、洗米装置1は、計量器17においてロータリーバルブ19とケース18との間の間隙に侵入した米の欠片などを洗米タンク7に落とした後に、洗米タンク7内部の洗浄を行い、さらに、洗米タンク7の内部の乾燥を行うように構成されている(以下、清掃スイッチS4を押圧操作することにより実行されるこれらの一連の動作を「清掃モード」という。)。
【0133】
清掃モードにおいて、ロータリーバルブ19とケース18との間の間隙に侵入した米の欠片などを除去して、計量器における米の計量および洗米タンク7への米の供給中に、ロータリーバルブ19が回らなくなる事態を未然に防ぎ、さらに、洗米タンク7内部を洗浄する際に、計量器17から落とされた米の欠片などを水とともに洗い流した後に、洗米タンク7を乾燥させることにより、洗米タンク7内を清潔に保つことができる。
【0134】
具体的には、清掃スイッチS4を押圧操作すると、まず、計量器17において、ロータリーバルブ19が正転と逆転とを交互に5回ずつ繰り返される(正逆転サイクルを5サイクルにわたって実行される)ことにより、ロータリーバルブ19とケース18との間の間隙に侵入した米の欠片などを洗米タンク7に落下させる。
【0135】
ここに、本実施態様においては、ロータリーバルブ19は、炊飯運転において洗米タンク7への米の供給を終えたとき、および清掃モードにおいて、正逆転サイクルの最後の5サイクル目が終了したときに、開口部25が水平方向(横方向)を向き、かつ、米収容室26内に米が入っていない状態で終了するように構成されており、洗米の工程や洗米タンク7の洗浄の際のロータリーバルブ19の米収容室26への水の浸入の防止と、次回にロータリーバルブ19が回転される際のモータ20の負荷の低減が図られている。
【0136】
したがって、清掃モードにおいてロータリーバルブ19が回転を開始する際には、米収容室26には米が入っていないため、ロータリーバルブ19の正転および逆転は、図7(b)に示されるように、米がロータリーバルブ19の米収容室26に入らない範囲で行われる。
【0137】
計量器17において、正逆転サイクルが5サイクルにわたって実行されると、洗米タンク7の内部の洗浄の工程に移行する。
【0138】
図13は、図1に示された洗米装置1が清掃モードを実行する際の洗米タンク7の洗浄にかかるタイムチャートの図である。
【0139】
図13に示されるように、洗米タンク7の内部の洗浄は、P1ないしP5の5つの工程で構成される。
【0140】
まず、工程P1において、図3に示された排米弁48および排水弁53が閉じられた状態で、電磁弁39が開かれ、図13に示されるように、下部給水管37から洗米タンク7への給水が開始されると同時に、給気モータ47によって洗米タンク7にエアが供給されている状態で、洗米モータ52によって複数の撹拌棒51が回転され、洗米タンク7内部の洗浄が行われる。
【0141】
工程P2においては、工程P1の状態が継続され、洗米タンク7が満水になったことを水位センサ58が検出してから、所定の時間が経過するまで、下部給水管37から給水され続けることにより、水中を浮遊する塵埃類が、図3に示された洗米タンク7上部の開口部69およびオーバーフロー管70を経て、排水口54から排出される。
【0142】
工程P3においては、上述の所定の時間が経過した後に、下部給水管37の電磁弁39が閉められて給水が停止され、排水弁ソレノイド55により排水弁53が開かれ、排水される。この際、給気モータ47によって洗米タンク7にエアの供給が継続されていることにより、排水弁53からの排水の勢いが増大される。
【0143】
工程P4においては、洗米モータ52およびエアを供給する給気モータ47の駆動を伴いながら、電磁弁38が開かれて上部給水管36から給水が開始され、洗米タンク7の内面のすすぎが行われる。所定の時間が経過した後に、上部給水管36からの給水を終了する。
【0144】
さらに、工程P5において、所定の時間が経過した後に、洗米モータ52および給気モータ47の駆動が停止され、洗米タンク7の洗浄が終了する。
【0145】
洗米タンク7の洗浄の後に、洗米装置1は、洗米タンク7の内部に空気を送ることにより、その乾燥の工程を実行する。
【0146】
図14は、図1に示された洗米装置1の貯米庫2の下部の空間Sおよび洗米タンク7の近傍の略斜視図であり、清掃モードの洗米タンク7の乾燥の工程において空気が流れる様子を示すものである。なお、図14においては、操作パネル12や貯米タンク30、計量器17、種々の管、モータなどは省略されている。
【0147】
図14に示されるように、貯米庫2の右側壁には、外気を吸引するための吸引ファン4が設けられており、空間Sと洗米タンク7との仕切り部材3の前部(操作パネル12側)には、仕切り部材3を上下方向に貫通する通気孔5と、通気孔5の上端部に取り付けられた金網6が設けられている。したがって、洗米タンク7の洗浄の後に、操作画面68を操作して設定された時間の間、吸引ファン4が回転されることにより、図14に一点鎖線および矢印で示されるように、外気が空間Sに取り込まれ、さらに通気孔5を介して外気が洗米タンク7の内部に送られた後に、図3に示された排水弁53および排水口54を通じて、排水ホース8へと外気が送られるため、空間S、洗米タンク7、ジャケット部34、排水箱56および排水ホース8のそれぞれの内部を乾燥させ、衛生的に保つことができる。なお、本実施態様においては、吸引ファン4が回転されることによる洗米タンク7の乾燥の工程は、操作画面68を操作することにより、乾燥を行わない「0時間」から「12時間」まで、30分単位で設定可能に構成されている。
【0148】
ここに、通気孔5の下端部には回転式の開閉シャッタ(図示せず)が設けられており、洗米タンク7の乾燥工程の際のみに、開閉シャッタが開かれるため、炊飯運転における洗米の工程や、清掃モードにおける洗米タンク7の洗浄の際に、洗米タンク7内の水が空間Sに浸入することの防止が図られている。
【0149】
さらに、本実施態様においては、洗浄タンク3の内部を、以下のようにして、操作者が下部給水管37を用いて手動で洗浄可能に構成されている。
【0150】
図15は、図1に示された洗米装置1の洗米タンク7の近傍の略斜視図であり、洗米タンク7の内部を洗浄する様子を示すものである。
【0151】
図14に示されるように、洗米タンク7の前面には、カバー42が蝶番43およびバックル45によって開閉可能に取り付けられており、図15には、カバー42が開けられた状態が示されている。
【0152】
図14および図15に示されるように、下部給水管37は、ジャケット部34に対し接続部材41を介して接続されており、下部給水管37を押圧しながら接続部材41にねじ込む、あるいは接続部材41から引き抜くことにより、接続部材41に対して下部給水管37を着脱可能に構成されている。
【0153】
本実施態様にかかる洗米装置1は、清掃スイッチS4を数秒間長押しすることにより、電磁弁39が開かれ、下部給水管37からの放水が可能に構成されている。したがって、図15に示されるように、バックル45を外してカバー42を開け、下部給水管37を接続部材41から引き抜き、洗米タンク7の開口部44に下部給水管37の先端部を差し込んだ後に、清掃スイッチS4を数秒間長押しして放水することにより、下部給水管37を用いて洗米タンク7の内部を洗浄可能に構成されている。このとき、排水弁53はコントローラ72の制御によって開かれているため、下部給水管37から放水された水は、排水弁53を介して排水ホース8へ排水される。
【0154】
本実施態様によれば、洗米装置1のコントローラ72は、モータ20を制御してロータリーバルブ19を正転させ、逆転させる正逆転サイクルを5サイクルにわたって実行し、反対方向の力を繰り返して加えることによって、ロータリーバルブ19とケース18との間の間隙に侵入した米の欠片などを取り除くことができ、米の欠片などによってロータリーバルブ19が回らなくなる事態を未然に防止することができる。
【0155】
また、本実施態様によれば、ロータリーバルブ19とケース18との間の間隙に侵入した米の欠片などによって、実際にロータリーバルブ19が回転しなくなった場合に、コントローラ72は、正逆転サイクルを5サイクルにわたって実行することにより、ロータリーバルブ19とケース18との間の間隙に侵入した米の欠片などを取り除き、ロータリーバルブ19による米の繰り出しを再開することができる。
【0156】
さらに、本実施態様によれば、コントローラ72は、清掃スイッチS4を押圧操作することによる清掃モードにおいて、正逆転サイクルを5サイクルにわたって実行した後に、
電磁弁38および電磁弁39を制御して上部給水管36および下部給水管37から給水し、洗米タンク7の内部を洗浄するから、ロータリーバルブ19の外周部、すなわち、ロータリーバルブ19とケース18との間の間隙に侵入した米の欠片などを、計量器17の下方に位置する洗米タンク7に落とした後に、洗米タンク7の内部の洗浄と同時に排出することができる。
【0157】
また、本実施態様によれば、洗米装置1は、清掃スイッチS4を押圧操作することによる清掃モードにおいて、正逆転サイクルの5サイクル目(最後のサイクル)が終了するときに、ロータリーバルブ19の開口部25が水平方向(横方向)を向き、かつ、米収容室26内に米が入っていない状態で終了するように構成されているから、洗米タンク7の内部を洗浄する際に、水がロータリーバルブ19の開口部25から米収容室に浸入することを防止でき、さらに、次回にロータリーバルブ19を回転させる際のモータ20の負荷を軽減することができる。
【0158】
さらに、本実施態様によれば、コントローラ72は、ロータリーバルブ19による米の繰り出し中に、ロータリーバルブ19とケース18との間の間隙に侵入した米の欠片などによってロータリーバルブ19が回転しなくなった場合に、磁気センサ28からの出力信号に基づいて、ロータリーバルブ19が回転されていないと判定し、正逆転サイクルを5サイクルにわたって実行するから、ロータリーバルブ19とケース18との間の間隙に侵入した米の欠片などを取り除き、ロータリーバルブ19による米の繰り出しを再開することができる。
【0159】
さらに、本実施態様によれば、ロータリーバルブ19の回転による洗米タンク7への米の供給中に、ロータリーバルブ19とケース18との間の間隙に侵入した米の欠片などによってロータリーバルブ19が回転しなくなったときに、米収容室26内に米が収容されている場合には、コントローラ72は、米収容室26内に収容された米が洗米タンク7に供給されない角度範囲内で正逆転サイクルを5サイクルにわたって実行するから、ロータリーバルブ19の正逆転に伴い、余分な量の米が洗米タンク7に供給されることを防止することができる。
【0160】
一方、米収容室26内に米が収容されていない場合には、コントローラ72は、米収容室26内に米が流入しない角度範囲内で正逆転サイクルを5サイクルにわたって実行するから、正逆転に伴うモータ20の負荷を軽減することができ、また、余分な量の米が洗米タンク7に繰り出されることを防止することができる。
【0161】
さらに、本実施態様によれば、洗米装置1は、操作パネル12の操作画面68に表示される炊飯条件の設定画面(図10および図11)で設定された複数回の炊飯運転の炊飯条件がそれぞれ記憶装置73に格納され、当該複数回の炊飯運転の中から、ONスイッチS9aを押圧操作することにより指定した2以上の炊飯運転を、優先順位として機能するタブ表示部C7の数字が小さい炊飯条件から昇順に実行するから、複数回の炊飯運転を異なった炊飯条件で連続して実行することが可能になる。
【0162】
また、本実施態様にかかる洗米装置1は、記憶装置73に格納された複数回の炊飯運転の中から、ONスイッチS9aを押圧操作することにより指定した炊飯運転のみを連続して実行するから、連続して行う炊飯運転の炊飯条件が異なる場合でも、連続炊飯運転を実行すべき個々の炊飯運転の炊飯条件の設定を逐一変更する必要がなく、炊飯運転の指定を変更することによって対応可能であり、したがって、複数回の異なる炊飯条件を容易に設定することができる。
【0163】
さらに、本実施態様によれば、図10および図11に示されたように、操作パネル12の操作画面68に表示される炊飯条件の設定画面左側のタブ表示部に、複数のタブT1~T5ごとに優先順位を示す1回目から5回目の番号が予め付されているから、操作者が、炊飯条件を設定するにあたり、それぞれの炊飯条件での炊飯運転につき、番号を入力することなどによって優先順位を設定する手間を省くことができる。
【0164】
また、本実施態様によれば、運転モードとして炊き分けモードが設定された場合において、操作画面68に表示された炊飯条件の設定画面(図10および図11)での炊飯条件の設定が終了し、確定スイッチS10を押圧操作すると、操作画面68の表示が炊飯運転の状況を示す工程表示画面に移行するから、円滑に工程表示画面に切り替えることができる。
【0165】
さらに、本実施態様にかかる洗米装置1は、炊飯条件の設定画面(図10および図11)でONスイッチS9aを押圧操作することにより指定した炊飯条件による炊飯運転の数が、炊飯条件の設定画面から移行した工程表示画面において連続炊飯運転回数表示部C2に表示されるから、連続して実行する炊飯運転の予定回数を視認することができる。
【0166】
また、本実施態様にかかる洗米装置1は、同じ炊飯条件で連続して炊飯する連続モードと、異なる炊飯条件で連続して炊飯する炊き分けモードとを工程表示画面において選択可能に構成されているから、操作者のその時々の状況に応じた炊飯運転を行うことができる。
【0167】
図16は、本発明の別の好ましい実施態様にかかる洗米装置1のロータリーバルブ19とケース18との間の間隙に米の欠片などが詰まっている場合に、正逆転サイクルを実行して、米の供給を再開するまでのプロセスを示すフローチャートである。
【0168】
図8に示された実施態様の場合と同様に、まず、コントローラ72は、貯米タンク30から洗米タンク7へ米の供給が行われている間に、モータ20に駆動信号を出力しても、磁気センサ28から出力される検出信号(検出情報)が変化しない(すなわち、ロータリーバルブ19の磁石71の位置が変化していない)場合には、ロータリーバルブ19が回転していないと判定し(ステップSSS1)、記憶装置73にエラーの履歴を格納する。
【0169】
次いで、コントローラ72は、図8に示された実施態様の場合と同様に、ロータリーバルブ19の米収容室26内に米が収容されているか否かを判定する(ステップSSS2)。
【0170】
停止しているロータリーバルブ19の米収容室26内に米が収容されているか否かを判定した後に、コントローラ72は、判定結果に基づいて、モータ20を駆動させ、図7(a)または図7(b)に示された角度範囲で正逆転サイクルを5サイクルにわたって実行する(ステップSSS3)。本実施態様においては、正逆転サイクルが実行されている間は、操作者に対し、(操作画面68に復帰中である旨を表示するなどの)通知は行われない。
【0171】
コントローラ72によって、正逆転サイクルが実行された後には、コントローラ72は、ロータリーバルブ19を回転(正転)させることにより、洗米タンク7への米の供給を再開できるか否かを判定する(ステップSSS4)。
【0172】
具体的には、コントローラ72は、モータ20を駆動させ、磁気センサ28により検出される磁界の強度の検出結果が変化するか否かによって、米の繰り出しが再開できるか否かを判定する。磁界の強度の検出結果が変化する場合には米の繰り出しが再開可能であると判定し、磁界の強度の検出結果が変化しない場合には米の繰り出しを再開できないと判定する。
【0173】
判定の結果、米の繰り出しを再開できる場合には、ロータリーバルブ19の回転による米の供給を再開する(ステップSSS5)。この場合には、コントローラ72は、操作者に対し、ロータリーバルブ19が回らない旨のエラーの通知は行わない。
【0174】
一方、判定の結果、米の供給を再開できない場合には、コントローラ72は、ロータリーバルブ19の回転による洗米タンク7への米の供給を停止し、操作画面68に、ロータリーバルブ19が回らない旨のエラーの表示を行い、操作者に通知するように構成されている(ステップSSS6)。
【0175】
図17は、図16に示された別の好ましい実施態様にかかる洗米装置1の操作画面68の近傍の略正面図である。
【0176】
本実施態様においては、初心者であっても容易に炊飯条件の設定の操作ができるように、運転モードとして連続モードと炊き分けモードに加え、初心者モードを選択可能に構成されている。ここに、初心者モードとは、洗米装置に精通していない操作者であっても、容易に炊飯条件の設定の操作ができるよう、予め設定された3つの炊飯条件の中から1つを選択可能で、選択された炊飯条件について、連続炊飯運転の回数および炊飯量のみを操作者によって変更可能に構成された運転モードで、誤操作の低減が図られた運転モードである。
【0177】
本実施態様においては、操作画面68は、図1ないし図9に示された実施態様に示された炊飯条件の設定画面、炊飯運転の状況を示す工程表示画面に加えて、初心者モードが設定された場合の炊飯条件の選択画面と、選択された炊飯条件の内容を確認するための炊飯条件の確認画面を切り換えて表示可能に構成されている。
【0178】
運転モードとして初心者モードを設定する場合には、図4に示されるように、操作画面68に工程表示画面が表示された状態で、モード切換えスイッチS5を押圧操作することにより、連続モード→炊き分けモード→初心者モードの順に切り換えて設定することが可能である。
【0179】
図17(a)は、初心者モードが設定された場合の操作画面68の近傍の略正面図であり、炊飯条件の選択画面である。運転モードとして初心者モードが設定された状態で、図4に示された詳細スイッチS6を押圧操作することにより、操作画面68が工程表示画面から図17(a)に示される画面に移行するように構成されている。
【0180】
図17(a)に示される炊飯条件の選択画面においては、条件1ないし条件3の3つの炊飯条件のうちから1つの炊飯条件を選択可能に構成されており、スイッチS12、スイッチS13またはスイッチS14を押圧操作することにより、炊飯条件が選択され、炊飯条件の選択画面から、選択された炊飯条件に対応する図17(b)に示される炊飯条件の確認画面に移行する。
【0181】
図17(b)には、炊飯条件の選択画面においてスイッチS12を押圧操作して条件1が選択された場合の炊飯条件の確認画面が示されており、条件1の内容を確認可能に構成されている。炊飯条件の確認画面には、炊き方、炊飯量、水加減、洗い方、浸漬時間、点火方法、蒸らし時間の各炊飯条件と連続炊飯運転の回数が表示され、連続炊飯運転の回数は前記実施態様の場合と同様に、連続炊飯回数設定スイッチS2を操作することにより設定されるように構成されている。
【0182】
炊飯条件については、炊飯量のみを設定可能に構成され、炊飯量の表示の下方のスイッチS15およびS16を操作することにより、炊飯量を設定可能に構成されている。連続炊飯運転の回数および炊飯量を設定した後、スタートスイッチS3を操作することにより、炊飯運転が実行される。
【0183】
本実施態様によれば、洗米装置1のコントローラ72は、正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行した後に、回転検出手段として機能する磁気センサ28の検出情報(出力信号)に基づいてロータリーバルブ19の回転状況を判定した上で、その回転状況に応じて適切な処置をとることができる。
【0184】
すなわち、モータ20を駆動させて磁気センサ28から出力される磁力の強度のデータが変化する場合には、コントローラ72は、ロータリーバルブ19が回転可能になったと判定し、モータ20を駆動させ、洗米タンク7への米の供給を再開することができる。
【0185】
一方、モータ20を駆動させて磁気センサ28から出力される磁力の強度のデータが変化しない場合には、ロータリーバルブ19が回転可能になっていないと判定し、ロータリーバルブ19による洗米タンク7への米の供給を停止する。
【0186】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0187】
例えば、図1ないし図15に示された実施態様においては、洗米装置1は炊飯装置9を左右に2つ備えているが、3つ以上の炊飯装置を備えるように構成されてもよく、あるいは単一の炊飯装置9を備えるように構成されていてもよい。
【0188】
また、図1ないし図15に示された実施態様においては、洗米装置1は、同じ炊飯条件で連続して炊飯する連続モードと、異なる炊飯条件で連続して炊飯する炊き分けモードとを工程表示画面において選択可能に構成されているが、運転モードとしては、連続モードと炊き分けモード以外に、1回の炊飯運転を実行して終了するモードや、洗米の工程までを行うモードなどを用いることもできる。
【0189】
さらに、図14に示された実施態様においては、吸引ファン4から取り込まれた外気が、排水箱56内の排水口54に接続された排水ホース8に送り込まれるように構成されているが、駆動モータ50によって排米弁48を下方にスライドさせた状態で、ジャケット部34の下面に設けられた開口部から外気を排出するように構成されても、洗米タンク7の内部を乾燥させることができる。
【0190】
また、図1ないし図15に示された実施態様にかかる洗米装置1は、炊き分けモードにおいて記憶装置73に格納可能な炊飯運転の数が5つに設定されているが、炊飯運転の回数は5未満でも、6以上でもよい。
【0191】
さらに、図1ないし図15に示された実施態様においては、洗米装置1のコントローラ72は、ロータリーバルブ19を正転させ、逆転させる「正逆転サイクル」を5サイクルにわたって実行するように構成されているが、正転と逆転のそれぞれの回数は5回未満でも6回以上でもよい。
【0192】
また、図1ないし図17に示された各実施態様においては、正逆転サイクルを複数サイクルにわたって実行する際に、ロータリーバルブ19を正転させた後に逆転させるように構成されているが、ロータリーバルブ19を逆転させた後に正転させるように構成されてもよい。
【0193】
さらに、図1ないし図15に示された実施態様においては、ロータリーバルブ19の回転を検出する回転検出手段として磁気センサ28および磁石71を用いているが、他の回転検出手段を用いてもよい。
【0194】
また、図1ないし図15に示された実施態様においては、ロータリーバルブ19は、炊飯運転において米の繰り出しを終えたとき、および清掃モードにおいて、最後の正逆転サイクルを終えたときに、開口部25が水平方向(横方向)を向いて停止するように構成されているが、水平方向であれば、左右いずれの方向を向いて停止するように構成してもよい。
【0195】
さらに、図16に示された実施態様においては、コントローラ72によって、正逆転サイクルが5サイクルにわたって実行された後に、ロータリーバルブ19による洗米タンク7への米の供給を再開できるか否かの判定の結果、ロータリーバルブ19を回転させることができないときは、ロータリーバルブ19が復帰するまで、ロータリバルブ19の正逆転の5サイクルをさらに複数回繰り返すように構成されてもよく、正逆転サイクルを(5サイクルに限られず)複数回繰り返すように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0196】
1 洗米装置
2 貯米庫
3 仕切り部材
4 吸引ファン
5 通気孔
6 金網
7 洗米タンク
8 排水ホース
9 炊飯装置
10 フレーム
11 レール
12 操作パネル
15 米投入口
16 貯米庫の蓋
17 計量器
18 ケース
19 ロータリーバルブ
20 モータ
21 バルブ回転軸
22 上方開口部
23 下方開口部
24 バルブ収容空間
25 開口部
26 米収容室
27 側壁
28 磁気センサ
29 本体
30 貯米タンク
31 網
32 ローラ
33 移動モータ
34 ジャケット部
35 給水管
36 上部給水管
37 下部給水管
38 電磁弁
39 電磁弁
40 シャワーノズル
41 接続部材
42 カバー
43 蝶番
44 開口部
45 バックル
46 送気管
47 給気モータ
48 排米弁
49 排米軸
50 駆動モータ
51 撹拌棒
52 洗米モータ
53 排水弁
54 排水口
55 排水弁ソレノイド
56 排水箱
57 流量センサ
58 水位センサ
59 炊飯釜
60 釜加熱用バーナ
61 炊飯釜の蓋
62 自動開閉手段
63 センサ
64 モータ
65 キャスター
66 架台
67 架台の把手
68 操作画面
69 開口部
70 オーバーフロー管
71 磁石
72 コントローラ
73 記憶装置
74 ROM
75 RAM
76 左方支持部
77 右方支持部
C1 運転状況表示部
C2 連続炊飯運転回数表示部
C3 運転モード表示部
C4 工程表示部
C5 炊飯条件表示部
C6 コメント表示部
C7 タブ表示部
C8 炊飯条件設定部
S1 電源スイッチ
S2 連続炊飯回数設定スイッチ
S2a スイッチ
S2b スイッチ
S3 スタートスイッチ
S4 清掃スイッチ
S5 モード切換えスイッチ
S6 詳細スイッチ
S7a スイッチ
S7b スイッチ
S8a スイッチ
S8b スイッチ
S9a ONスイッチ
S9b OFFスイッチ
S10 確定スイッチ
S11 戻るスイッチ
S12 スイッチ
S13 スイッチ
S14 スイッチ
S15 スイッチ
S16 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
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図17