(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】反射防止膜
(51)【国際特許分類】
G02B 1/113 20150101AFI20230705BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
G02B1/113
B32B9/00 A
(21)【出願番号】P 2023011742
(22)【出願日】2023-01-30
【審査請求日】2023-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507110729
【氏名又は名称】多賀 康訓
(73)【特許権者】
【識別番号】390007216
【氏名又は名称】株式会社シンクロン
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多賀 康訓
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲浜▼ 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】菅原 卓哉
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0047504(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103882391(CN,A)
【文献】特表2022-543600(JP,A)
【文献】特開2007-156391(JP,A)
【文献】国際公開第2007/119566(WO,A1)
【文献】特開2006-145587(JP,A)
【文献】特開2003-294901(JP,A)
【文献】特開平11-129382(JP,A)
【文献】特開2004-126530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/113
B32B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に、最外層として、前記基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層を有し、
前記低屈折率層は、ケイ素、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有
し、酸化ケイ素を主成分とし、有機フッ素化合物を含む反射防止膜。
【請求項2】
前記基材と前記最外層としての低屈折率層との間に、前記基材の屈折率より高い屈折率の高屈折率層を有し、
前記高屈折率層は、
ニオブ、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有するか、又は
セリウム、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有する請求項1に記載の反射防止膜。
【請求項3】
前記基材と前記高屈折率層との間に、さらに前記低屈折率層を有する請求項2に記載の反射防止膜。
【請求項4】
基材の表面に、前記基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層と、前記基材の屈折率より高い屈折率の高屈折率層とが、前記低屈折率層が最外層となるように一又は複数積層され、
前記高屈折率層は、
ニオブ、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有
し、酸化ニオブを主成分とし、有機フッ素化合物を含むか、又は
セリウム、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有
し、酸化セリウムを主成分とし、有機フッ素化合物を含む反射防止膜。
【請求項5】
前記基材と、最も基材側の前記高屈折率層との間に、さらに前記低屈折率層を有する請求項4に記載の反射防止膜。
【請求項6】
前記低屈折率層は、ケイ素、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有する請求項4に記載の反射防止膜。
【請求項7】
基材の表面に、前記基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層と、前記基材の屈折率より高い屈折率の高屈折率層とが、前記低屈折率層が最外層となるように一又は複数積層され、
前記基材と、最も基材側の前記高屈折率層との間に、さらに前記低屈折率層を有し、
前記低屈折率層は、ケイ素、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有
し、酸化ケイ素を主成分とし、有機フッ素化合物を含む反射防止膜。
【請求項8】
基材の表面に、前記基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層と、前記基材の屈折率より高い屈折率の高屈折率層とが、前記低屈折率層が最外層となるように一又は複数積層され、
前記基材と、最も基材側の前記高屈折率層との間に、さらに前記低屈折率層を有し、
前記高屈折率層は、
ニオブ、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有
し、酸化ニオブを主成分とし、有機フッ素化合物を含むか、又は
セリウム、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有
し、酸化セリウムを主成分とし、有機フッ素化合物を含む反射防止膜。
【請求項9】
前記基材は、ガラス材又はプラスチック材からなる請求項1~8のいずれか一項に記載の反射防止膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイなどの表面に適用される反射防止膜として、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層し、空気界面での反射を低減するために反射防止膜の最外層を低屈折率層にしたものが知られている(特許文献1の[0046]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の反射防止膜のように液晶ディスプレイの表面などに適用される薄膜は、本来の反射防止性に加え、耐擦傷性を確保するために充分な硬度を有することが必要とされる。しかしながら、フレキシブルディスプレイのような可撓性のあるものに反射防止膜を適用する場合には、硬度に加え、引張応力が作用してもクラックが生じない粘り強さ(靭性)も必要とされ、硬さと粘り強さを両立させるのが困難であった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、反射防止性及び耐擦傷性を有することに加え、引張応力に対してクラックの発生を抑制できる反射防止膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、基材の表面に、最外層として、前記基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層を有し、
前記低屈折率層は、ケイ素、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有し、酸化ケイ素を主成分とし、有機フッ素化合物を含む反射防止膜によって上記課題を解決する。
【0007】
第2の発明は、基材の表面に、前記基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層と、前記基材の屈折率より高い屈折率の高屈折率層とが、前記低屈折率層が最外層となるように一又は複数積層され、
前記高屈折率層は、
ニオブ、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有し、酸化ニオブを主成分とし、有機フッ素化合物を含むか、又は
セリウム、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有し、酸化セリウムを主成分とし、有機フッ素化合物を含む反射防止膜によって上記課題を解決する。
【0008】
第3の発明は、基材の表面に、前記基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層と、前記基材の屈折率より高い屈折率の高屈折率層とが、前記低屈折率層が最外層となるように一又は複数積層され、
前記基材と、最も基材側の前記高屈折率層との間に、さらに前記低屈折率層を有し、
前記低屈折率層は、ケイ素、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有し、酸化ケイ素を主成分とし、有機フッ素化合物を含む反射防止膜によって上記課題を解決する。
【0009】
第4の発明は、基材の表面に、前記基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層と、前記基材の屈折率より高い屈折率の高屈折率層とが、前記低屈折率層が最外層となるように一又は複数積層され、
前記基材と、最も基材側の前記高屈折率層との間に、さらに前記低屈折率層を有し、
前記高屈折率層は、
ニオブ、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有し、酸化ニオブを主成分とし、有機フッ素化合物を含むか、又は
セリウム、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有し、酸化セリウムを主成分とし、有機フッ素化合物を含む反射防止膜によって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、低屈折率層又は高屈折率層に含まれる炭素とフッ素が互いに結合し、フルオロアルキル基などの有機フッ素結合となった状態で、低屈折率層又は高屈折率層に存在する。低屈折率層又は高屈折率層に引張方向の外力が加わると有機フッ素結合が伸縮し、層全体に加わる力を分散することでクラックの発生を抑制する。また、インジウム、錫又はビスマスを加えることで、層の屈折率や透過特性を調整することができる。ちなみに、低屈折率層と高屈折率層の組み合わせによる干渉を利用することで反射防止性が確保でき、ケイ素、ニオブ又はセリウムの酸化物により耐擦傷性が確保できる。その結果、本発明によれば、反射防止性及び耐擦傷性を有することに加え、引張応力に対してクラックの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る反射防止膜の第1実施形態を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る反射防止膜の第2実施形態を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る反射防止膜の第3実施形態を示す断面図である。
【
図4】本発明に係る反射防止膜を製造するスパッタ装置の一例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、基材の表面に形成される反射防止膜であり、第1の発明から第4の発明を含む。第1の発明は、基材の表面に、最外層として、前記基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層を有し、低屈折率層が特定の組成物、すなわちケイ素、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有する反射防止膜である。第1の発明は、典型的には
図1に示す膜構造に具現化することができるので、
図1に示す実施形態により第1の発明を説明する。
【0013】
第2の発明は、基材の表面に、前記基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層と、前記基材の屈折率より高い屈折率の高屈折率層とが、前記低屈折率層が最外層となるように一又は複数積層され、高屈折率層が特定の組成物、すなわちニオブ、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有するか、又はセリウム、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有する反射防止膜である。第2の発明は、典型的には
図2又は
図3のいずれかに示す膜構造に具現化することができるので、
図2に示す実施形態により第2の発明を説明する。
【0014】
第3の発明は、基材の表面に、前記基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層と、前記基材の屈折率より高い屈折率の高屈折率層とが、前記低屈折率層が最外層となるように一又は複数積層され、前記基材と、最も基材側の前記高屈折率層との間に、さらに前記低屈折率層を有し、低屈折率層が特定の組成物、すなわちケイ素、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有する反射防止膜である。第3の発明は、典型的には
図3に示す膜構造に具現化することができるので、
図3に示す実施形態により第3の発明を説明する。
【0015】
第4の発明は、基材の表面に、前記基材の屈折率より低い屈折率の低屈折率層と、前記基材の屈折率より高い屈折率の高屈折率層とが、前記低屈折率層が最外層となるように一又は複数積層され、前記基材と、最も基材側の前記高屈折率層との間に、さらに前記低屈折率層を有し、高屈折率層が特定の組成物、すなわちニオブ、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有するか、又はセリウム、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有する反射防止膜である。第4の発明は、典型的には
図3に示す膜構造に具現化することができるので、
図3に示す実施形態により第4の発明を説明する。
【0016】
上記第1の発明から第4の発明に係る基材は、無機ガラス基材その他の無機材料製基材、有機ガラス基材その他のプラスチック材料製基材、ステンレスその他の金属材料製基材など、特に限定することなく種々の材質の基材を用いることができる。なかでも無機材料製基材又はプラスチック材料製基材は、光学要素の一部として使用されることが多いので、これら無機材料製基材又はプラスチック材料製基材、特に可撓性を有するフレキシブル基材などに本発明の反射防止膜を適用した場合、その効果が著しい。
【0017】
《第1実施形態》
図1は、本発明に係る反射防止膜の第1実施形態を示す断面図である。本実施形態の反射防止膜2は、基材1の表面に形成された薄膜であって、基材1の屈折率n
0より低い屈折率n
1を呈する低屈折率層21である。本実施形態の低屈折率層21は、基材1の表面に直接形成され、かつ最外層として形成される。本実施形態の低屈折率層21の膜厚は、特に限定されない。なお、本明細書において、最外層とは、基材1から見て最も外側に形成された層であって、それ以上外側の面に薄膜が形成されない層を言うものとする。
【0018】
基材1の屈折率n0より低い屈折率n1を呈する低屈折率層21とは、たとえば無機ガラス製の基材1の屈折率n0が1.52である場合、本実施形態の低屈折率層21の屈折率n1は1.52未満であることをいう。
【0019】
特に本実施形態の低屈折率層21は、ケイ素(Si)、炭素(C)、フッ素(F)及び酸素(O)を必須成分として含有し、さらにインジウム(in)、錫(Sn)又はビスマス(Bi)の少なくともいずれかを含有する薄膜である。必須成分としてのケイ素、炭素、フッ素及び酸素の配合比率は特に限定されない。インジウム、錫、ビスマスは、少なくともいずれか1つを必須成分として含有すればよいので、2つ以上を含んでいてもよい。また、これらインジウム、錫、ビスマスの配合比率は特に限定されない。本実施形態の低屈折率層21の一例としては、酸化ケイ素を主成分とし、その一部が有機フッ素化合物で置換された膜であり、微量のインジウム、錫又はビスマスを含む膜を例示することができる。
【0020】
基材1の表面に形成される低屈折率層21は、ターゲットを、インジウムを含有する酸化ケイ素-ポリテトラフルオロエチレンとしたスパッタリング法により成膜することができる。このターゲット材は、酸化ケイ素(SiO2)、ポリテトラフルオロエチレン((C2F4)n)、インジウム(In)を含むので、スパッタリングされた薄膜には、ケイ素(Si)、炭素(C)、フッ素(F)及び酸素(O)、インジウム(in)が必須成分として含まれることになる。なお、ターゲットに含有するインジウムに代えて又はこれに加えて、錫(Sn)及び/又はビスマス(Bi)を含有させ、このターゲットを用いてスパッタリング処理すれば、得られる薄膜には、インジウムに代えて又はこれに加えて、錫及び/又はビスマスが含まれることになる。スパッタリングのターゲットを作製するときに、インジウム、錫又はビスマスを焼結助剤として使用することにより、ターゲットの強度を向上させることができる。
【0021】
《第2実施形態》
図2は、本発明に係る反射防止膜の第2実施形態を示す断面図である。本実施形態の反射防止膜2は、基材1の表面に形成された薄膜であって、基材1の屈折率n
0より低い屈折率n
1を呈する低屈折率層21と、基材2の屈折率n
0より高い屈折率n
2を呈する高屈折率層22とが、低屈折率層21が最外層となるように一又は複数積層されてなる。ここで、低屈折率層21と高屈折率層22の対は一対の積層でもよいし、複数対の積層にしてもよい。本実施形態の低屈折率層21及び高屈折率層22の膜厚及び膜厚比は、特に限定されない。
【0022】
基材1の屈折率n0より低い屈折率n1を呈する低屈折率層21とは、たとえば無機ガラス製の基材1の屈折率n0が1.52である場合、本実施形態の低屈折率層21の屈折率n1は1.52未満であることをいう。また、基材1の屈折率n0より高い屈折率n2を呈する高屈折率層22とは、たとえば無機ガラス製の基材1の屈折率n0が1.52である場合、本実施形態の高屈折率層22の屈折率n2は1.52超であることをいう。
【0023】
特に本実施形態の高屈折率層22は、ニオブ(Nb)、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有するか、又はセリウム(Ce)、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有する。必須成分としてのニオブ、炭素、フッ素及び酸素の配合比率、又はセリウム、炭素、フッ素及び酸素の配合比率は特に限定されない。インジウム、錫、ビスマスは、少なくともいずれか1つを必須成分として含有すればよいので、2つ以上を含んでいてもよい。また、これらインジウム、錫、ビスマスの配合比率は特に限定されない。本実施形態の高屈折率層22の一例としては、酸化ニオブを主成分とし、その一部が有機フッ素化合物で置換された膜であり、微量のインジウム、錫又はビスマスを含む膜を例示することができる。また、酸化セリウムを主成分とし、その一部が有機フッ素化合物で置換された膜であり、微量のインジウム、錫又はビスマスを含む膜を例示することができる。
【0024】
本実施形態の低屈折率層21は、ケイ素、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを含有する薄膜であってもよいが、これにのみ限定されず、他の組成であってもよい。
【0025】
本実施形態の反射防止膜2は、
図4に示すスパッタ装置3を用い、第1のターゲットを、インジウムを含有する酸化ケイ素-ポリテトラフルオロエチレンとし、第2のターゲットをニオブ若しくは酸化ニオブ(又はセリウム若しくは酸化セリウム)とし、酸素をラジカル源とし、ラジカルアシストスパッタリング法(RAS法)により成膜することができる。
【0026】
ここで、
図4に示すスパッタ装置の概要を説明する。本発明に係る反射防止膜2は、
図4に示すスパッタ装置3を用いたスパッタ法により成膜するのが好ましい。特にインジウム、錫又はビスマスは、膜の屈折率を調整する効果の他、スパッタターゲット材の焼結助剤として使用することで、ターゲット材の強度を向上させることができる。その結果、高い電力でスパッタが可能になり、成膜工程の生産性を向上させることができる。なお、他の成膜方法として、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、PLD(Pulsed Laser Deposition)法、真空蒸着法などを用いて成膜してもよい。
【0027】
図4は、本発明に係る反射防止膜2を成膜するスパッタ装置の一例を示す横断面図である。本例のスパッタ装置3は、ラジカルアシストスパッタリング(RAS)法が実現可能な装置であり、略直方体状の中空体である真空チャンバ31を備える。真空チャンバ31には、図示を省略する排気用配管と真空ポンプが接続され、真空チャンバ31の内部を所定の真空度に設定・維持することができる。また、真空チャンバ31の内部には円筒状の基板ホルダ32が回転可能に設けられ、その外周面に成膜対象としての基材1が保持される。
【0028】
真空チャンバ31の内部に設けられた基板ホルダ32の周りには、2つのスパッタ源33,34と、1つのプラズマ源35とが設けられている。それぞれのスパッタ源33,34は、たとえばマグネトロンスパッタ電極などの電極を備え、成膜する際には、各電極の表面に、ターゲットが装着される。各電極には、電力量を調整するトランスを介して交流電源331,341が接続され、例えば1k~100kHz程度の交流電圧が印加される。本例のプラズマ源35は、真空チャンバ31の壁面に形成された開口を塞ぐように固定されたケース体351と、このケース体351に固定されたアンテナを含む誘電体モジュール352とを有する。アンテナを含む誘電体モジュール352は高周波電源353に接続されている。そして、アンテナは、高周波電源353から電力の供給を受けて真空チャンバ31の内部に誘導電界を発生させ、プラズマを発生させる。
【0029】
スパッタ源33の前面には成膜プロセス領域332が形成され、スパッタ源34の前面には成膜プロセス領域342が形成されている。一方の成膜プロセス領域332は、真空チャンバ31の内壁面から基板ホルダ32に向けて突出する仕切壁333により上下左右の四方が取り囲まれ、真空チャンバ31の内部で独立した空間が確保できるように区画されている。他方の成膜プロセス領域342も同様に、真空チャンバ31の内壁面から基板ホルダ32に向けて突出する仕切壁343により上下左右の四方が取り囲まれ、真空チャンバ31の内部で独立した空間が確保できるように区画されている。
【0030】
同じく、プラズマ源35の前面には、反応プロセス領域354が形成されている。この反応プロセス領域354も成膜プロセス領域332,342と同様に、真空チャンバ31の内壁面から基板ホルダ32に向けて突出する仕切壁355により上下左右の四方が取り囲まれ、真空チャンバ31の内部で成膜プロセス領域332,342とは独立した空間が確保される。本例のスパッタ装置3においては、成膜プロセス領域332,342及び反応プロセス領域354での処理は、それぞれが独立して制御可能に構成されている。
【0031】
なお、それぞれのスパッタ源33,34には、スパッタ用ガス供給系が接続され、供給されるスパッタ用ガスの流量はマスフローコントローラで調整され、配管を介してそれぞれの成膜プロセス領域332,342に導入される。また、プラズマ源35には、反応処理用ガス供給系356が接続され、供給される反応処理用ガスの流量はマスフローコントローラで調整され、配管を通じて反応プロセス領域354に導入される。
図4において、符号36は、真空チャンバ31に隣接して設けられ、処理前の基材及び処理後の基材の搬入及び搬出を行うために雰囲気圧を切り換えるためのロードロックチャンバである。
【0032】
このような構成のスパッタ装置3を用い、
図2に示す基材1の表面に形成された低屈折率層21と高屈折率層22とを積層するには、まず一方のスパッタ源33の電極に、低屈折率層21のターゲットとしてのインジウムを含有する酸化ケイ素-ポリテトラフルオロエチレンを装着し、他方のスパッタ源34の電極に、高屈折率層22のターゲットとしてのニオブ若しくは酸化ニオブ(又はセリウム若しくは酸化セリウム)を装着する。そして、真空チャンバ31の内部を、たとえば10
-1~10
-5Pa程度の高真空にし、基材1が保持された基板ホルダ32を定速回転させながら、2つの成膜プロセス領域332,342にはスパッタ用ガスとしての不活性ガスを供給し、反応プロセス領域354には反応用ガスとしての酸素ガスを供給する。
【0033】
そして、基材1の表面に低屈折率層21を成膜する場合には、低屈折率層21のターゲット(インジウムを含有する酸化ケイ素-ポリテトラフルオロエチレン)を装着した一方のスパッタ源33に交流電源からの電力を供給する。これにより、1つの成膜プロセス領域332におけるスパッタリング処理により基材1の表面に低屈折率層21が形成される。この成膜処理を所定時間継続することで所定膜厚の低屈折率層21が成膜されるので、一方のスパッタ源33への交流電源からの電力の供給を停止する。
【0034】
次いで、高屈折率層22のターゲット(ニオブ若しくは酸化ニオブ(又はセリウム若しくは酸化セリウム)を装着した他方のスパッタ源34に交流電源からの電力を供給するとともに、プラズマ源35に高周波電源からの電力を供給する。これにより、連続した1つの成膜プロセス領域342におけるスパッタリング処理により基材1の表面に高屈折率層22の中間薄膜が形成され、その後の反応プロセス領域354におけるプラズマ曝露処理により、この中間薄膜が膜変換して超薄膜となる。そして、1つのスパッタリング処理とプラズマ曝露処理とを繰り返し行うことで、超薄膜の上に次の超薄膜が堆積し、最終的な高屈折率層22となるまでこのような処理が繰り返される。
【0035】
《第3実施形態》
図3は、本発明に係る反射防止膜の第3実施形態を示す断面図である。本実施形態の反射防止膜2は、基材1の表面に形成された薄膜であって、基材1の屈折率n
0より低い屈折率n
1を呈する低屈折率層21と、基材2の屈折率n
0より高い屈折率n
2を呈する高屈折率層22とが、低屈折率層21が最外層となるように一又は複数積層され、さらに基材1と、最も基材1側の高屈折率層22との間に、さらに低屈折率層21を有してなる。ここで、低屈折率層21と高屈折率層22の対は一対の積層でもよいし、複数対の積層にしてもよい。本実施形態の低屈折率層21及び高屈折率層22の膜厚及び膜厚比は、特に限定されない。
【0036】
基材1の屈折率n0より低い屈折率n1を呈する低屈折率層21とは、たとえば無機ガラス製の基材1の屈折率n0が1.52である場合、本実施形態の低屈折率層21の屈折率n1は1.52未満であることをいう。また、基材1の屈折率n0より高い屈折率n2を呈する高屈折率層22とは、たとえば無機ガラス製の基材1の屈折率n0が1.52である場合、本実施形態の高屈折率層22の屈折率n2は1.52超であることをいう。
【0037】
本実施形態の反射防止膜2を構成する低屈折率層21と高屈折率層22の組成は、少なくとも、低屈折率層21が、ケイ素、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを含有する薄膜であるか、又は、少なくとも、高屈折率層22が、ニオブ、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有するか、若しくはセリウム、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有する薄膜であればよい。
【0038】
すなわち、反射防止膜2を構成する一又は複数の低屈折率層21が、ケイ素、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを含有する薄膜である場合には、高屈折率層22の組成は特に限定されない。また、反射防止膜2を構成する一又は複数の高屈折率層22が、ニオブ、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有するか、又はセリウム、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有する薄膜である場合には、低屈折率層21の組成は特に限定されない。
【0039】
本実施形態の低屈折率層21の一例としては、酸化ケイ素を主成分とし、その一部が有機フッ素化合物で置換された膜であり、微量のインジウム、錫又はビスマスを含む膜を例示することができる。また、本実施形態の高屈折率層22の一例としては、酸化ニオブを主成分とし、その一部が有機フッ素化合物で置換された膜であり、微量のインジウム、錫又はビスマスを含む膜を例示することができる。また、酸化セリウムを主成分とし、その一部が有機フッ素化合物で置換された膜であり、微量のインジウム、錫又はビスマスを含む膜を例示することができる。
【0040】
本実施形態の反射防止膜2は、上述した第2実施形態と同様に、
図4に示すスパッタ装置3を用い、第1のターゲットを、インジウムを含有する酸化ケイ素-ポリテトラフルオロエチレンとし、第2のターゲットをニオブ若しくは酸化ニオブ(又はセリウム若しくは酸化セリウム)とし、酸素をラジカル源とし、ラジカルアシストスパッタリング法(RAS法)により成膜することができる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明をさらに具体化した実施例を挙げ、本発明を説明する。ただし、以下に示す数値や構成の具体例は本発明を限定するものではない。
【0042】
《実施例1》
ポリカーボネート製の基材1(エスカーボシート社製デクノロイC000,厚さが125μm,波長550nmにおける屈折率n
0=1.59)の一方の表面に、スパッタ装置(シンクロン社製RAS-1100C)を用い、ターゲットを、インジウムを含有する酸化ケイ素-ポリテトラフルオロエチレン(酸化ケイ素とポリテトラフルオロエチレンとの重量比が7:1,インジウムの含有量が1wt%)とし、ターゲットのパワー密度を1.7W/cm
2とし、雰囲気ガスをアルゴンガス100%とし、真空チャンバの成膜圧力を0.7Paとしたうえで、
図1に示す膜構成の反射防止膜2を成膜した。得られた反射防止膜2を構成する低屈折率層21の膜厚は291nm、低屈折率層21の波長550nmにおける屈折率n
1=1.453であった。
【0043】
得られた反射防止膜2の反射率、耐熱クラック性、硬さ(ナノインデンター)、引張強度を測定し、さらに元素分析を行った。反射率は、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ製U4100)を用いて測定し、耐熱クラック性は、低温乾燥器(ヤマト科学製DX300)にて所定の温度・時間で熱処理後、偏光顕微鏡(ニコン社製ECLIPSE LV100)を用いて表面を観察した。硬さは、ナノインデンター(ブルカー社製TIプレミア)を用いて測定した。引張強度は、引張試験機(TGシートン社製 ISC-2/100)を用い、80mm×10mmサイズの試験片の両端を引張試験機に固定し、所定の引張長さに到達したところで自動停止するよう、両端を5mm/minの速度で引張った。試験後、偏光顕微鏡(ニコン社製ECLIPSE LV100)を用いて表面を観察した。元素分析は、走査型電子顕微鏡(JEOL製JSM-6700F)付随のエネルギー分散X線分光スペクトルユニット(EDX)を用いて測定した。これら各物性の測定結果を表1に示す。
【0044】
《実施例2》
ポリエチレンテレフタレート製の基材1(東レ社製ルミラーT60,厚さが100μm,波長550nmにおける屈折率n
0=1.66の一方の表面に、スパッタ装置(シンクロン社製RAS-1100C)を用い、低屈折率層21を成膜する場合には、ターゲットを、インジウムを含有する酸化ケイ素-ポリテトラフルオロエチレン(酸化ケイ素とポリテトラフルオロエチレンとの重量比が7:1,インジウムの含有量が1wt%)とし、ターゲットのパワー密度を1.7W/cm
2とし、雰囲気ガスをアルゴンガス100%とし、真空チャンバの成膜圧力を0.7Paとし、高屈折率層22を成膜する場合には、ターゲットを、インジウムを含有する酸化セリウム-ポリテトラフルオロエチレン(酸化セリウムとポリテトラフルオロエチレンとの重量比が7:1,インジウムの含有量が1wt%)とし、ターゲットのパワー密度を4.4W/cm
2とし、雰囲気ガスをアルゴンガス100%とし、真空チャンバの成膜圧力を1.0Paとしたうえで、
図2に示す膜構成の反射防止膜2を、低屈折率層21と高屈折率層22との対は2対として成膜した。得られた反射防止膜2を構成する低屈折率層21と高屈折率層22の膜厚は、基材側から順に、13nm,32nm,113.9nm,81.3nm、低屈折率層21の波長550nmにおける屈折率n
1=1.453、高屈折率層22の波長550nmにおける屈折率n
2=2.136であった。
【0045】
実施例1と同様の方法にて、得られた反射防止膜2の反射率、耐熱クラック性、硬さ(ナノインテンダー)、引張強度を測定し、さらに元素分析を行った。これら各物性の測定結果を表1に示す。
【0046】
《実施例3》
ポリカーボネート製の基材1(エスカーボシート社製デクノロイC000,厚さが125μm,波長550nmにおける屈折率n
0=1.59)の一方の表面に、スパッタ装置(シンクロン社製RAS-1100C)を用い、低屈折率層21を成膜する場合には、ターゲットを、インジウムを含有する酸化ケイ素-ポリテトラフルオロエチレン(酸化ケイ素とポリテトラフルオロエチレンとの重量比が7:1,インジウムの含有量が1wt%)とし、ターゲットのパワー密度を1.7W/cm
2とし、雰囲気ガスをアルゴンガス100%とし、真空チャンバの成膜圧力を0.7Paとし、高屈折率層22を成膜する場合には、ターゲットを金属ニオブとし、ターゲットのパワー密度を5.2W/cm
2とし、雰囲気ガスを酸素ガス/アルゴンガスの比が30%のガスとし、真空チャンバの成膜圧力を0.3Paとしたうえで、
図3に示す膜構成の反射防止膜2を、低屈折率層21と高屈折率層22との対は2対として成膜した。得られた反射防止膜2を構成する低屈折率層21と高屈折率層22の膜厚は、基材側から順に、40.4nm,13.9nm,42.1nm,113.9nm,81.3nm、低屈折率層21の550nmにおける屈折率n
1=1.453、高屈折率層22の550nmにおける屈折率n
2=2.356であった。
【0047】
実施例1と同様の方法にて、得られた反射防止膜2の反射率、耐熱クラック性、ナノインテンダー、引張強度を測定し、さらに元素分析を行った。これら各物性の測定結果を表1に示す。
【0048】
《比較例1》
ポリカーボネート製の基材1(エスカーボシート社製デクノロイC000,厚さが125μm,波長550nmにおける屈折率n
0=1.59)の一方の表面に、スパッタ装置(シンクロン社製RAS-1100C)を用い、低屈折率層21を成膜する場合には、ターゲットを金属シリコンとし、ターゲットのパワー密度を3.4W/cm
2とし、雰囲気ガスを酸素ガス/アルゴンガスの比が11%のガスとし、真空チャンバの成膜圧力を0.4Paとし、高屈折率層22を成膜する場合には、ターゲットを金属ニオブとし、ターゲットのパワー密度を5.2W/cm
2とし、雰囲気ガスを酸素ガス/アルゴンガスの比が30%のガスとし、真空チャンバの成膜圧力を0.3Paとしたうえで、
図3に示す膜構成の反射防止膜2を、低屈折率層21と高屈折率層22との対は2対として成膜した。得られた反射防止膜2を構成する低屈折率層21と高屈折率層22の膜厚は、基材側から順に、40.4nm,13.9nm,42.1nm,113.9nm,81.3nm、低屈折率層21の波長550nmにおける屈折率n
1=1.469、高屈折率層22の波長550nmにおける屈折率n
2=2.356であった。
【0049】
実施例1と同様の方法にて、得られた反射防止膜2の反射率、耐熱クラック性、ナノインテンダー、引張強度を測定し、さらに元素分析を行った。これら各物性の測定結果を表1に示す。
【0050】
【0051】
《考 察》
耐熱クラック性について、実施例1及び実施例3の反射膜は、比較例1に対して耐熱クラック性に優れている。なお、実施例2の反射膜は、基材1(PET製)の耐熱温度が試験温度より低く、加熱時に基材1が変形したため、評価不能となった。ナノインデンターによる硬さ評価について、実施例1~3及び比較例1のいずれも、4GPa以上という結果となり、十分な硬さを有する。特に実施例2の反射角の硬さが一番高い結果となった。これはCeO2の膜硬度がSiO2やNb2O5より高いため、反射防止膜を形成したときにCeO2膜の性能が顕在化したものと推察される。引張クラック性について、実施例1~3の反射膜は、いずれもクラックが発生しなかったのに対し、比較例1の反射膜は2%引張後にクラックが発生した。
【0052】
上記の結果から、実施例1~3の反射膜は、反射防止性及び耐擦傷性を有することに加え、引張応力に対してクラックの発生を抑制できることが確認された。
【符号の説明】
【0053】
1…基材
2…反射防止膜
21…低屈折率層
22…高屈折率層
3…スパッタ装置
31…真空チャンバ
32…基板ホルダ
33,34…スパッタ源
331,341…交流電源
332,342…成膜プロセス領域
333,343…仕切壁
35…プラズマ源
351…ケース体
352…誘電体モジュール
353…高周波電源
354…反応プロセス領域
355…仕切壁
356…反応処理用ガス供給系
【要約】
【課題】反射防止性及び耐擦傷性を有することに加え、引張応力に対してクラックの発生を抑制できる反射防止膜を提供する。
【解決手段】基材1の表面に、最外層として、前記基材1の屈折率より低い屈折率の低屈折率層21を有する反射防止膜2であり、前記低屈折率層21は、ケイ素、炭素、フッ素及び酸素を必須成分として含有し、さらにインジウム、錫又はビスマスの少なくともいずれかを必須成分として含有する。
【選択図】
図1