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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】定規用スライダ
(51)【国際特許分類】
   B25H 7/02 20060101AFI20230705BHJP
   G01B 3/04 20060101ALI20230705BHJP
   G01B 3/20 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
B25H7/02 Z
G01B3/04
G01B3/20 101Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019094525
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2020189349
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】591073050
【氏名又は名称】シンワ測定株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 恵介
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-039188(JP,U)
【文献】特開2014-106025(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102575924(CN,A)
【文献】実開昭56-098590(JP,U)
【文献】登録実用新案第3076218(JP,U)
【文献】特開2019-045371(JP,A)
【文献】実開昭57-093802(JP,U)
【文献】実開昭55-119902(JP,U)
【文献】実開昭51-099548(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25H7/00-7/04
G01B3/00-3/08;3/11-3/56
G01B5/00-5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定規杆に長さ方向スライド可能に設けるスライダ本体と、このスライダ本体を前記定規杆に位置決め固定する位置決め固定手段と、前記スライダ本体に設けられ前記定規杆の長さ方向に対して斜め方向に設けられた斜め位置決め当接部と、前記スライダ本体の長さ方向一側と他側に設けられ、前記定規杆と直交すると共に前記定規杆の長さ方向端縁部と平行な一側と他側の平行位置決め当接部とを備え
前記スライダ本体は外枠体を備え、この外枠体は、前記斜め位置決め当接部を構成する斜め壁部と、前記一側と他側の平行位置決め当接部の一部を構成する一側と他側の平行壁部とを備え、
前記外枠体内には仕切り板材が該外枠体に一体に設けられると共に、前記外枠体の厚さ方向の両面には、前記仕切り板材を底面とした凹所が形成されていることを特徴とする定規用スライダ。
【請求項2】
直交する一対の定規杆を有する曲尺に用いられ、一方の前記定規杆に長さ方向スライド可能に設けるスライダ本体と、このスライダ本体を前記定規杆に位置決め固定する位置決め固定手段と、前記スライダ本体に設けられ前記定規杆の長さ方向に対して斜め方向に設けられた斜め位置決め当接部と、前記スライダ本体の長さ方向一側と他側に設けられ、他方の前記定規杆と平行な一側と他側の平行位置決め当接部とを備え
前記スライダ本体は外枠体を備え、この外枠体は、前記斜め位置決め当接部を構成する斜め壁部と、前記一側と他側の平行位置決め当接部の一部を構成する一側と他側の平行壁部とを備え、
前記外枠体内には仕切り板材が該外枠体に一体に設けられると共に、前記外枠体の厚さ方向の両面には、前記仕切り板材を底面とした凹所が形成されていることを特徴とする定規用スライダ。
【請求項3】
前記位置決め固定手段は、前記スライダ本体に設けられ前記定規杆の縁部が摺動する弾性摺動体と、前記スライダ本体に螺合され前記弾性摺動体を前記定規杆に圧接して該スライダ本体を固定する固定用ネジとを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の定規用スライダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定規杆にスライド可能にスライダ本体を設け、このスライダ本体に位置決め当接部を設けた定規用スライダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、本体と蓋部を有するスライダ本体を、直尺にスライド可能に設け、前記スライダ本体を止めネジ(位置決め固定手段に相当)によって任意の目盛りに固定し、本体の一側面(平行位置決め当接部に相当)をケガキ用材に当接した状態で、直尺の先端(長さ方向端縁部に相当)にケガキ作業を行う直尺用ケガキ金具(例えば特許文献1)がある。
【0003】
また、底板と保持片を有するスライダ本体を、直尺にスライド可能に設け、前記スライダ本体に基準面(平行位置決め当接部に相当)を設け、前記基準面を工作物の端面に当接して工作物の面長さを測定する直尺用スライダー(例えば特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭60-14871号公報
【文献】実開平3-12102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のケガキ金具では直尺によりケガキを効率よく行うことができ、また、上記特許文献2の直尺用スライダーでは面材の面長の測定を効率よく行うことができるが、いずれも直尺を前記一側面と前記基準面により面材に対し直交して配置することしかできない。
【0006】
また、上記両者の従来技術とも、スライダ本体により直尺に新たな機能を付与することができるが、単一の機能しか付与することができない。
【0007】
ところで、特許文献2では、弾性ゴムを直尺に当接してスライダ本体を位置決めしているが、弾性ゴムを用いるため、耐久性に劣る面がある。また、直尺にスライダ本体を固定するために止めネジを用いているが、止めネジの先端が直尺の表面に圧接するため、表面に設けた目盛りなどを損傷する虞がある。
【0008】
さらに、上記両者の従来技術とも、スライダ本体が金属製であるから、直尺を安定して固定するためにスライダ本体を厚くすると、スライダ本体が重くなり、材料費が嵩むと共に、使いかってが悪くなるという問題もある。
【0009】
解決しようとする課題は、定規杆に新規な機能を付与することができる定規用スライダを提供することを目的とし、加えて、複数の機能を付与することをできる定規用スライダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、定規杆に長さ方向スライド可能に設けるスライダ本体と、このスライダ本体を前記定規杆に位置決め固定する位置決め固定手段と、前記スライダ本体に設けられ前記定規杆の長さ方向に対して斜め方向に設けられた斜め位置決め当接部と、前記スライダ本体の長さ方向一側と他側に設けられ、前記定規杆と直交すると共に前記定規杆の長さ方向端縁部と平行な一側と他側の平行位置決め当接部とを備え、前記スライダ本体は外枠体を備え、この外枠体は、前記斜め位置決め当接部を構成する斜め壁部と、前記一側と他側の平行位置決め当接部の一部を構成する一側と他側の平行壁部とを備え、前記外枠体内には仕切り板材が該外枠体に一体に設けられると共に、前記外枠体の厚さ方向の両面には、前記仕切り板材を底面とした凹所が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、直交する一対の定規杆を有する曲尺に用いられ、一方の前記定規杆に長さ方向スライド可能に設けるスライダ本体と、このスライダ本体を前記定規杆に位置決め固定する位置決め固定手段と、前記スライダ本体に設けられ前記定規杆の長さ方向に対して斜め方向に設けられた斜め位置決め当接部と、前記スライダ本体の長さ方向一側と他側に設けられ、他方の前記定規杆と平行な一側と他側の平行位置決め当接部とを備え、前記スライダ本体は外枠体を備え、この外枠体は、前記斜め位置決め当接部を構成する斜め壁部と、前記一方と他方の一側と他側の平行位置決め当接部の一部を構成する一側と他側の平行壁部とを備え、前記外枠体内には仕切り板材が該外枠体に一体に設けられると共に、前記外枠体の厚さ方向の両面には、前記仕切り板材を底面とした凹所が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項の発明は、前記位置決め固定手段は、前記スライダ本体に設けられ前記定規杆の縁部が摺動する弾性摺動体と、前記スライダ本体に螺合され前記弾性摺動体を前記定規杆に圧接して該スライダ本体を固定する固定用ネジとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の構成によれば、交差する面を有する被当接体の一方の面に位置決め当接部を当接することにより、定規杆を被当接部の他方の面に斜めに配置することができる。
【0014】
請求項2の構成によれば、交差する面を有する被当接体の一方の面に位置決め当接部を当接することにより、長尺片と短尺片を被当接部の他方の面に斜めに配置することができる。
【0015】
請求項の構成によれば、被当接体の一方の面に平行位置決め当接部を当接し、一方の面から所定位置の他方の面に一方の定規杆の長さ方向端縁部を用いて罫書きをすることができる。
【0016】
請求項1又は2の構成によれば、被当接体の一方の面に平行位置決め当接部を当接し、一方の面から所定位置の他方の面に一方の定規杆の長さ方向端縁部又は他方の定規杆を用いて罫書きをすることができる。
【0017】
請求項の構成によれば、他方の定規杆と、これに対向する平行位置決め当接部との間に被測定物を挟み、被測定物の一方の定規杆の長さ方向の寸法を測定することができる。
【0018】
請求項の構成によれば、弾性摺動体が定規杆の縁部に摺動することにより、スライダ本体が位置決めされ、固定用ネジを操作して弾性摺動体を定規杆に圧接することにより、スライダ本体を固定することができる。
【0019】
請求項1及び2の構成によれば、スライダ本体の厚さと強度を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1を示す平面図である。
図2】同上、正面図である。
図3】同上、正面図である。
図4】同上、曲尺を斜めにした使用状態の平面図である。
図5】同上、取付上部を取り外した状態の定規用スライダの平面図である。
図6】同上、定規用スライダの分解斜視図である。
図7】同上、取付上部を取り外した状態の定規用スライダ斜視図である。
図8】同上、定規用スライダの底面側の斜視図である。
図9】同上、短尺片に定規用スライダを取り付けた状態の平面図である。
図10】同上、定規用スライダの平面図である。
図11】同上、図10のA-A線断面図である。
図12】本発明の実施例2を示す要部の平面図である。
図13】本発明の実施例3を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0022】
本発明の実施例1を図1図11を参照して説明する。L字形の曲尺1は、一対の定規杆たる長尺片2と短尺片3が交差部4において一体化されてなり、これら長尺片2と短尺片3は直交すると共に、同一幅を有し、それら長尺片2と短尺片3には、それぞれの両面に目盛り5,5が付されている。また、曲尺1及び後述する直尺は鉄又はステンレスなどの金属板からなる。
【0023】
前記長尺片2は、直線状で平行をなす外側縁部2Aと内側縁部2Bを備え、前記短尺片3は、直線状で平行をなす外側縁部3Aと内側縁部3Bを備える。また、前記長尺片2の長さ方向端部に位置する直線状の長さ方向端縁部2Tは、該長尺片2の前記外側縁部2Aと内側縁部2Bに直交すると共に、前記短尺片3と平行に形成されている。また、前記短尺片3の長さ方向端部に位置する直線状の端縁部3Tは、該短尺片3の外側縁部3Aと内側縁部3Bに直交すると共に、前記長尺片2と平行に形成されている。尚、外側縁部2A,3Aと内側縁部2B,3Bの前記目盛り5,5は、それぞれ交差部4の外側角部,内角側部を基点(零位置)として付されている。
【0024】
定規用スライダ11は、前記対をなす長尺片2と短尺片3の一方に着脱可能に取り付けることができ、この定規用スライダ11は、合成樹脂製のスライダ本体12を備える。そして、この例では、主として、前記長尺片2に、その長さ方向に前記スライダ本体12をスライド可能に設ける場合について説明するが、図9に示すように、前記短尺片3に前記スライダ本体12を設けることができる。
【0025】
前記スライダ本体12は、前記曲尺1より厚い略平板状に形成され、外周縁部の面は上下方向に垂直面をなし、図1の取付状態で、前記長さ方向端縁部2T側に該長さ方向端縁部2Tと平行な平行当接部たる一側平行面13を有すると共に、前記交差部4側に前記短尺片3と平行な平行位置決め当接部たる他側平行面14を有する。これら一側平行面13と他側平行面14はスライダ本体12の長さ方向の両側の外周縁部に配置されている。また、他側平行面14の14N側(短尺片3の端縁部3T側)は、外端側に比べて、スライダ本体12の幅方向に長く形成されている。また、他側平行縁部たる他側平行面14は、一側平行縁部たる一側平行面13に比べてスライダ本体12の幅方向に長く形成されている。
【0026】
前記スライダ本体12の幅方向内側には、前記一側平行面13と他側平行面14の長さ方向に対して斜め方向である45度の角度をなす斜め外周縁部たる斜め面15が設けられ、この斜め面15により斜め位置決め当接部を構成している。このように斜め面15は長尺片2及び短尺片3と長さ方向に対して45度をなす斜め方向に設けられている。また、前記内端14Nには、一方の定規杆である前記長尺片2と並行な面取り面16が形成されている。
【0027】
前記スライダ本体12は、幅方向中央側に定規杆をスライド可能に設けるスライド溝21の溝底部22と、定規杆の幅方向一側に配置され前記斜め面15等を形成する略三角形形状の外枠体23と、定規杆の幅方向他側に配置され位置決め固定手段24を設ける取付部25とを一体に有する。
【0028】
そして、前記一側平行面13及び他側平行面14は、前記溝底部22と外枠体23と取付部25に一直線状に連続して設けられている。
【0029】
図10などに示すように、前記外枠体23は、前記斜め面15を形成する斜め壁部15Kと、前記他側平行面14の一部を形成する他側平行壁部14Kと、前記一側平行面13の一部を形成する一側平行壁部13Kと、前記面取り面16を構成する面取り壁部16Kと、前記スライド溝21の幅方向一側の壁面を形成する溝壁部26とを一体に有する。尚、前記一側平行壁部13Kと面取り面16は同一長さをなす。また、前記他側平行壁部14Kと前記溝壁部26は直交状態で連結されている。
【0030】
前記一側平行壁部13Kは、前記斜め壁部15Kと前記溝壁部26とを連結する。また、前記溝壁部26には、定規杆の浮き上がりを防止する抑え片27がスライド溝21の中央側に向かって突設されている。
【0031】
また、図11などに示すように、内部が開口した前記外枠体23内には、略高さ方向中央に仕切り板材28が該外枠体23に一体に設けられ、前記外枠体23の上,下面には、前記仕切り板材28を底面とした凹所29,29Aが形成されている。こうすることにより外枠体23の厚さと強度を確保しながら、凹所29,29Aを設けることによりスライダ本体12の軽量化を図ることができる。
【0032】
前記外枠体23と取付部25の厚さ(高さ)は等しく、その厚さは10~20mm程度で、前記仕切り板材28の厚さは2mm程度で、前記外枠体23と取付部25の厚さの1/5以下である。尚、外枠体23の各壁部の厚さも同じく2mm程度である。このように凹所29,29Aを設けることにより、外枠体23の軽量化を図ることができる。また、図7に示すように、平行面13,14が最小厚さとなる溝底部22の上面と下面との間の厚さTは、7mm以上であり、各当接部の厚さを確保することができる。尚、前記厚さTは、前記外枠体23と取付部25の厚さ(高さ)の1/2以上である。
【0033】
前記取付部25は、平面視で定規杆の長さ方向に長い略長方形形状をなし、図6などに示すように、取付上部31と、前記溝底部22に一体に形成した取付下部32とを備える。前記取付下部32の内面(スライド溝21側の面)の下部には、前記溝底部22の上面に、下方に凹んだ取付凹部33が設けられ、この取付凹部33に弾性摺動体たる金属製の板ばね34の下部を挿入し、この板ばね34は、スライド溝21の中央側に凸になるように湾曲している。
【0034】
また、前記取付下部32には、前記取付凹部33の両側に壁部33K,33Kが突設され、これら壁部33K,33Kに前記板ばね34が挟まれ、板ばね34のスライダ本体12の長さ方向の位置が位置決めされている。
【0035】
また、前記板ばね34の内面中央は、固定用ネジ35によりスライド溝21の中央側に押圧又は押圧解除され、前記固定用ネジ35は、ネジ棒35Aと操作摘み35Bとを一体に有する。前記取付上部31の上面には、前記ネジ棒35Aを挿入するネジ用溝部36(図6)が形成されると共に、このネジ用溝部36の中央には、雌ネジ体たる六角ナット37が回り止め状態で嵌入される回り止め溝部38が形成され、前記六角ナット37の雌ネジ部に前記ネジ棒35Aが螺合されている。尚、ネジ用溝部36は半円状に形成されている。また、前記六角ナット37は、前記スライダ本体12の合成樹脂に比べて硬質な材料である金属などからなる。
【0036】
図6に示すように、前記取付上部31にも、前記抑え片27が設けられている。また、前記取付上部31の下面の中央には、前記ネジ用溝部36に対応して、ネジ用溝部36Aが形成されていると共に、このネジ用溝部36Aを挟むように取付上部31の下面に一対の挿入ボス部41,41が突設されている。また、これら挿入ボス部41,41を嵌入する位置決め用の受け孔42,42が、前記取付下部32の上面に形成されている。
【0037】
また、取付下部32の下方から受け孔42にビス43(図8)を挿入し、このビス43を前記挿入ボス部41に螺合することにより、取付下部32に取付上部31を位置決め状態で固定することができ、この固定状態で取付上部31の下面が前記板ばね34の上部に位置し、これにより板ばね34が抜け止め状態で前記取付部25に取り付けられる。そして、前記板ばね34と前記固定用ネジ35により前記位置決め固定手段24を構成している。
【0038】
そして、スライド溝21に定規杆を挿通すると、前記板ばね34が定規杆の一方の縁部に接触し、定規杆に対してスライダ本体12が位置決めされ、少なくとも、定規杆を立てても、スライダ本体12が自重でずり落ちることがない。尚、前記接触状態で、板ばね34の内面とネジ棒35Aの先端との間には隙間があり、板ばね34の外面が段発的に定規杆の縁部に接触する。このように板ばね34が縁部に当接することにより、スライダ本体12を移動する際に、摩擦抵抗が得られる。
【0039】
さらに、固定用ネジ35をねじ込むとネジ棒35Aの先端により板ばね34が押され、該板ばね34の外面が定規杆の一方の縁部に圧接し、これにより定規杆にスライダ本体12が固定される。
【0040】
また、図8に示すように、前記溝底部22及び前記取付部25の下面には、凹所45が形成され、この凹所45には長さ方向と幅方向のリブ部46,47が間隔を置いて形成されている。このように凹所45にリブ部46,47を設けることにより、外枠体23より薄い溝底部22の強度を確保すると共に、スライダ本体12の軽量化を図ることができる。
【0041】
次に、前記定規用スライダ11の使用方法について説明する。被当接体たる木製板材などの面材101は、表面102と、該表面102に直交する厚さ方向の側面103を有し、前記側面103が一方の面であり、前記表面102が他方の面である。そして、短尺片3の外側縁部3Aと他側平行面14が所定位置の関係になるように、スライダ本体12を長尺片2に固定し、図1の平面図に示すように、他側平行面14を前記側面103に当接すると共に、短尺片3の裏面を表面102に添わせ、外側縁部3Aを用いて罫書きを行うことができる。尚、同様に内側縁部3Bを用いて罫書きを行うことができる。
【0042】
これらの場合、外側縁部3A及び内側縁部3Bは、前記長さ方向端縁部2Tより長いから、罫書き作業を効率よく行うことができる。尚、曲尺1に定規用スライダ11を取り付けた状態で、定規用スライダ11の上,下面が曲尺1の表,裏面である。
【0043】
また、従来と同様に、前記側面103から所定位置に罫書きをする場合、長さ方向端縁部2Tと一側平行面13が前記所定位置の関係になるように、スライダ本体12を長尺片2に固定し、一側平行面13を前記側面103に当接すると共に、長尺片2の裏面を表面102に添わせ、長さ方向端縁部2Tを用いて罫書きを行うことができる。
【0044】
次に、面材101の厚さや図示しない部材の段差を測定する場合、図2に示すように、面材101を平坦面104上に載置し、スライダ本体12を非固定状態とし、短尺片3の外側縁部3Aを前記平坦面104に当接すると共に、前記側面103に沿わせ長尺片2を表面102に直交して立て向きとし、白抜き矢印に示すように、スライダ本体12を押し下げ、スライダ本体12の他側平行面14を面材101の表面102に当接し、他側平行面14の位置の長尺片2の目盛り5を読むことにより、面材101の厚さを測定することができる。
【0045】
この場合、外側縁部3A及び内側縁部3Bは、前記長さ方向端縁部2Tより長いから、基準面たる平坦面104に対して、長尺片2を直交して垂直に配置し易くなる。また、同様にして部材などの段差の高さ寸法を測定することができる。
【0046】
また、従来と同様に、長さ方向端縁部2Tを前記平坦面に当接すると共に、長尺片2を平坦面104に直交して立て向きとし(図2で上下逆向き)、スライダ本体12の一側平行面13を面材101の表面102に当接し、一側平行面13の位置の長尺片2の目盛り5を読むことにより、面材101の厚さを測定することができる。尚、端縁部2T側の目盛り5の無い部分の長さは既知である。
【0047】
特に、本実施例では、従来と異なり、以下の使用方法が可能となる。まず、図3に示すように、ノギスのようにして、短尺片3の内側縁部3Bとスライダ本体12の他側平行面14との間に、パイプなどの被測定物105を挟み、被測定物105の長尺片2の長さ方向の寸法(パイプの外径)を測定することができる。この場合、他側平行面14の厚さは、一般的なノギスより厚い10mm以上であるから、他側平行面14を被測定物105の外面に当てることにより、被測定物105の長さ方向に直交して使用することができる。
【0048】
さらに、面材101の表面102に側面103と45度の角度をなす罫書きを行うことができる。この場合、スライダ本体12を固定状態とし、図4に示したように、その斜め面15を側面103に当接すると共に、曲尺1の裏面を表面102に沿わせ、外側縁部2A,3Aを用いて斜めに罫書きを行うことができる。尚、内側縁部2B,3Bを用いて斜め線の罫書きを行うこともできる。この場合、図4に示したように、他側平行面14が短尺片3の内側縁部3Bに当接するから、図4のようにして斜めの罫書きをする場合は、スライダ本体12を固定しなくても使用することができる。
【0049】
また、図9に示すように、短尺片3に定規用スライダ11を取り付けると共に、斜め面15を長尺片2の内側縁部2Bに対向させ、固定用ネジ35を操作して定規用スライダ11を固定する。そして、その斜め面15を側面103に当接すると共に、曲尺1の裏面を表面102に沿わせ、外側縁部2A,3Aを用いて斜めに罫書きを行うことができる。この場合、図4に比べて、面材101の表面102に長尺片2を長く添わせることができる。
【0050】
このように本実施例では、請求項1に対応して、定規杆たる長尺片2又は短尺片3に長さ方向スライド可能に設けるスライダ本体12と、このスライダ本体12を長尺片2又は短尺片3に位置決め固定する位置決め固定手段24と、スライダ本体12に設けられ長尺片2又は短尺片3の長さ方向に対して斜め方向に設けられた斜め位置決め当接部たる斜め面15とを備えるから、交差する面を有する被当接体たる面材101の一方の面である側面103に斜め面15を当接することにより、長尺片2又は短尺片3を面材101の他方の面である表面102に斜めに配置することができる。
【0051】
このように本実施例では、請求項2に対応して、直交する一対の定規杆たる長尺片2及び短尺片3を有する曲尺1に用いられ、一方の定規杆たる長尺片2又は短尺片3に長さ方向スライド可能に設けるスライダ本体12と、このスライダ本体12を長尺片2又は短尺片3に位置決め固定する位置決め固定手段24と、スライダ本体12に設けられ長尺片2又は短尺片3の長さ方向に対して斜め方向に設けられた斜め位置決め当接部たる斜め面15とを備えるから、交差する面を有する被当接体たる面材101の一方の面である側面103に斜め面15を当接することにより、長尺片2と短尺片3を面材101の他方の面である表面102に斜めに配置することができる。
【0052】
このように本実施例では、請求項に対応して、スライダ本体12の長さ方向一側と他側に設けられ、定規杆たる長尺片2又は短尺片3と直交すると共に長尺片2又は短尺片3の長さ方向端縁部2T,3Tと平行な一側の平行位置決め当接部たる一側平行面13を備えるから、被当接体たる面材101の一方の面たる側面103に一側平行面13を当接し、側面103から所定位置の他方の面たる表面102に定規杆の長さ方向端縁部2T,3Tを用いて罫書きをすることができる。
【0053】
このように本実施例では、請求項に対応して、スライダ本体12に設けられ、他方の定規杆たる短尺片3と平行な平行位置決め当接部たる一側平行面13を備えるから、被当接体たる面材101の一方の面たる側面103に一側平行面13を当接し、側面103から所定位置の他方の面たる表面102に一方の定規杆たる長尺片2の長さ方向端縁部2T又は他方の定規杆たる短尺片3を用いて罫書きをすることができる。
【0054】
このように本実施例では、請求項1及び2に対応して、スライダ本体12の長さ方向一側と他側一側と他側の平行位置決め当接部たる一側平行面13及び他側平行面14をそれぞれ設けたから、他方の定規杆たる短尺片3と、これに対向する平行位置決め当接部たる他側平行面14との間に被測定物105を挟み、被測定物105の一方の定規杆たる長尺片2の長さ方向の寸法を測定することができる。
【0055】
このように本実施例では、請求項に対応して、位置決め固定手段24は、スライダ本体12に設けられ定規杆たる長尺片2又は短尺片3の縁部が摺動する弾性摺動体たる板ばね34と、スライダ本体12に螺合され板ばね34を長尺片2又は短尺片3に圧接して該スライダ本体12を固定する固定用ネジ35とを備えるから、板ばね34が長尺片2又は短尺片3の縁部に摺動することにより、スライダ本体12が位置決めされ、固定用ネジ35を操作して板ばね34を長尺片2又は短尺片3に圧接することにより、スライダ本体12を固定することができる。
【0056】
このように本実施例では、請求項1及び2に対応して、スライダ本体12は外枠体23を備え、この外枠体23は、斜め位置決め当接部たる斜め面15を構成する斜め壁部15Kと、一側と他側の平行位置決め当接部たる一側平行面13及び他側平行面14の一部を構成する一側と他側の平行壁部13K,14Kとを備え、外枠体23内には仕切り板材28が該外枠体23と一体に設けられると共に、外枠体23の厚さ方向の両面には、仕切り板材28を底面とした凹所29,29Aが形成されているから、スライダ本体12の厚さと強度を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0057】
以下、実施例上の効果として、他側平行面14の前記内端14Nと斜め面15との間には、一方の定規杆である前記長尺片2と並行な面取り面16が形成されると共に、一側平行面13の内端13Nに、一側平行壁部13Kが設けられているから、先鋭な部分がなくなり、図9に示すように、一側平行壁部13Kが長尺片2の内側縁部2Bなどに線接触するため、点接触する場合に比べて、定規用スライダ11が安定し、スライダ本体12に部分的に力が集中することがない。また、前記外枠体23の上,下面に凹所29,29Aを形成したから、外枠体23の厚さ、特に、平行面13,14の厚さTを確保しながらスライダ本体12の軽量化を図ることができる。さらに、斜め位置決め当接部たる斜め面15と平行位置決め当接部たる他側平行面14との挟角が45度であるから、汎用性の高い45度の罫書きを行うことができると共に、他側平行面14を一側平行面13に比べてスライダ本体12の幅方向に長く形成することができるから、他側平行面14を側面103等に安定して当接することができる。
【0058】
また、前記溝底部22の上面に、下方に凹んだ取付凹部33を設けたから、この取付凹部33に弾性摺動体たる金属製の板ばね34の下部を挿入することにより、板ばね34をスライド溝21内に臨んで取付部25に取り付けることができる。さらに、固定用ネジ35が螺合する雌ネジ部たる六角ナット37を、取付部25に回り止め状態で固定したから、合成樹脂製の取付部25に雌ネジ部を形成する場合に比べて、長期に渡って固定用ネジ35のねじ込み操作が安定したものとなる。また、挿入ボス部41,41を嵌入する位置決め用の受け孔42,42を、前記取付下部32の上面に形成したから、取付上部31と取付下部32の組み立てが容易となる。さらに、図3に示したように、ノギスのように使用する場合、板ばね34が外側縁部2Aに接触するから、溝壁部26と内側縁部2Bとの間に隙間が発生することがなく、他側平行壁部14Kの他側平行面14と内側縁部2Bの目盛り5を用いて被測定物105の寸法を正確に読み取ることができる。
【実施例2】
【0059】
図12は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。同図は、前記定規用スライダ11にバーニヤ目盛り51を設けた例を示す。
【0060】
具体的には、前記溝壁部26の前記抑え片27を拡大した抑え片27Aを形成し、この抑え片27Aの端部は、前記他側平行面14に位置し、バーニヤ目盛り51の零位置510である。このバーニヤ目盛り51は、19mmを20分割した目盛りであり、前記長尺片2の内側縁部2Bの目盛り5に、重なるように対向して設けられている。尚、前記目盛り5は1mm刻みに設けられている。
【0061】
図12では、零位置510が前記目盛り5の20mmを示しているが、例えば、零位置510が前記目盛り5の20mmと21mmの間の場合は、長尺片2の1mm刻みの目盛り5に一致するバーニヤ目盛り51の値に0.1を掛けたものが、1mm未満の値となる。例えば、バーニヤ目盛り51の「6」の位置516が目盛り5と一致すれば、20.6mmとなる。尚、19mmを20等分する以外でも、39mmを40等分割したバーニヤ目盛りを用いてもよく、この場合は0.05mm単位で測定することができる。
【0062】
このように本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0063】
また、この例では、バーニヤ目盛り51を設けることにより、1mm以下の寸法を正確に読み取ることができる。
【実施例3】
【0064】
図13は本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。同図は、定規杆たる直尺61に前記定規用スライダ11を用いた例を示している。
【0065】
前記直尺61は、幅方向両側に長さ方向の一側縁部61Aと他側縁部61Bを有すると共に、長さ方向両端に幅方向の端縁部61T,61Tを有する。また、前記直尺61に前記定規用スライダ11をスライド可能に設ける。
【0066】
そして、板材などの面材101の表面102に、その側面103から所定位置に罫書きをする場合、長さ方向端縁部61T,61Tと一側平行面13又は他側平行面14が所定位置の関係になるように、スライダ本体12を直尺61に固定し、一側平行面13又は他側平行面14を前記側面103に当接すると共に、直尺61の裏面を表面102に添わせ、長さ方向端縁部61Tを用いて罫書きを行うことができる。
【0067】
次に、面材101の厚さや図示しない部材の段差を測定する場合、面材101を平坦面104上に載置し、スライダ本体12を非固定状態とし、長さ方向端縁部2Tを前記平坦面104に当接すると共に、前記側面103に沿わせ直尺61を表面102に直交して立て向きとし、スライダ本体12の一側平行面13又は他側平行面14を面材101の表面102に当接し、一側平行面13又は他側平行面14の位置の直尺61の目盛り5を読むことにより、面材101の厚さを測定することができる。
【0068】
次に、面材101の表面102に側面103と45度の角度をなす罫書きをする場合、スライダ本体12を固定状態とし、その斜め面15を側面103に当接すると共に、直尺61の裏面を表面102に沿わせ、一側縁部61Aを用いて斜めに罫書きを行うことができる。尚、他側縁部61Bを用いて斜め線の罫書きを行うこともできる。
【0069】
このように本実施例では、定規杆たる直尺61に長さ方向スライド可能に設けるスライダ本体12と、このスライダ本体12を直尺61に位置決め固定する位置決め固定手段24と、スライダ本体12に設けられ直尺61の長さ方向に対して斜め方向に設けられた斜め位置決め当接部たる斜め面15とを備えるから、請求項及びに対応して、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0070】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、斜め位置決め当接部として、定規杆の長さ方向に対して45度の角度をなすものを例示したが、実施例の他側平行面との挟角が45度(一側平行面との挟角が135度)以外でも、他側平行面との挟角が30度(一側平行面との挟角が150度)や他側平行面との挟角が60度(一側平行面との挟角が120度)などでもよい。また、実施例では、スライダ本体を合成樹脂製としたが、金属製でもよい。さらに、実施例2のバーニヤ目盛りを設けた定規用スライダを、実施例3の直尺に取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 曲尺
2 長尺片(定規杆)
2A 外側縁部(縁部)
2B 内側縁部(縁部)
2T 端縁部
3 短尺片(定規杆)
3A 外側縁部(縁部)
3B 内側縁部(縁部)
3T 端縁部
11 定規用スライダ
12 スライダ本体
13 一側平行面(一側の平行面,一側の平行位置決め当接部)
13K 一側平行壁部(一側の平行壁面,一側の平行壁部)
14 他側平行面(他側の平行面,他側の平行位置決め当接部)
14K 他側平行壁部(他側の平行壁面,他側の平行壁部)
15 斜め面(斜め位置決め当接部)
15K 斜め壁部
23 外枠体
24 位置決め固定手段
28 仕切り板材
29,29A 凹所(内面)
34 板ばね(弾性摺動体)
35 固定用ネジ
61 直尺(定規杆)
61T 端縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13