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特許7307469液状化粧料容器及び液状化粧料容器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】液状化粧料容器及び液状化粧料容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20230705BHJP
【FI】
A45D34/04 530
A45D34/04 525Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019156585
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021029899
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 匠
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-284803(JP,A)
【文献】特開昭60-040014(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0294666(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00-34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に先端開口を有する容器本体と、
前記容器本体内に形成され前記先端開口に連通する挿入部と、
前記挿入部に挿入されその先端の塗布部が前記先端開口から突出すると共に毛細管現象を発現し液状化粧料を含浸する塗布体と、
前記容器本体の先端部に着脱可能に装着され前記塗布部を覆うキャップと、
前記容器本体内に形成され前記挿入部の後側に連通する領域と、
前記挿入部の内周面と前記塗布体の外周面との間に形成され、前記領域と前記先端開口とを連通する空気の流路と、を備え、
前記領域は、前記塗布体に前記液状化粧料を含浸させて満たす大きさに形成され、
前記領域には、前記液状化粧料がないことを特徴とする液状化粧料容器。
【請求項2】
前記領域は、前記液状化粧料を収容していた収容部であり、
前記塗布体は、前記収容部から前記液状化粧料の全量を含浸したことを特徴とする請求項1記載の液状化粧料容器
【請求項3】
前記容器本体には、後端に、前記領域に連通する後端開口が形成され、
先端が前記塗布体の後端面に当接し前記後端開口を塞ぐ尾栓を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の液状化粧料容器。
【請求項4】
前記容器本体には、後端に、前記領域に連通する後端開口が形成され、
前記後端開口を塞ぐ尾栓を備え、
前記挿入部の内周面には、前記挿入部の段差が形成され、
前記塗布体の外周面には、前記塗布体の外周面が後側で拡径するように塗布体の段差が形成され、
記後端開口を通された前記塗布体における前記塗布体の段差は、前記挿入部の段差に前方へ向かって当接することを特徴とする請求項1又は2に記載の液状化粧料容器。
【請求項5】
前記挿入部の内周面には、前記挿入部の内方へ突出する複数のリブが周方向に沿って配置され、
前記挿入部の段差は、前記リブの段差であることを特徴とする請求項4に記載の液状化粧料容器。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載の液状化粧料容器を製造する方法であって、
前記容器本体の前記後端開口から前記塗布体を前記挿入部に挿入し配置する塗布体配置工程と、
前記キャップを前記容器本体に装着するキャップ装着工程と、
前記塗布体が配置され前記キャップを装着した前記容器本体を前記キャップを下にして逆さに立て置く容器本体逆さ立置工程と、
逆さに立て置かれた前記容器本体の前記後端開口から前記液状化粧料を注入し前記領域に収容させる液状化粧料収容工程と、
前記領域に収容された前記液状化粧料の全量が前記塗布体に含浸され前記領域の前記液状化粧料がなくなる液状化粧料含浸工程と、
前記領域の前記液状化粧料がなくなったら前記尾栓を装着する尾栓装着工程と、を含むことを特徴とする液状化粧料容器の製造方法。
【請求項7】
前記容器本体の内周面から前記容器本体の内方へ突出するように前記挿入部と前記領域との間に形成され、前記先端開口を通された前記塗布体が後方へ向かって当接する、前記挿入部と前記領域との間の段差を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の液状化粧料容器。
【請求項8】
請求項1、請求項2、又は、請求項7記載の液状化粧料容器を製造する方法であって、
前記容器本体の後端部を下にして立て置く容器本体立置工程と、
立て置かれた前記容器本体の前記先端開口から前記液状化粧料を注入し前記領域に収容させる液状化粧料収容工程と、
前記液状化粧料を収容した前記容器本体の前記先端開口から前記塗布体を前記挿入部に挿入し配置する塗布体配置工程と、
前記塗布体が配置された前記容器本体に前記キャップを装着するキャップ装着工程と、
前記キャップを装着した前記容器本体を前記キャップを下にして逆さに立て置く容器本体逆さ立置工程と、
前記領域に収容された前記液状化粧料の全量が前記塗布体に含浸され前記領域の前記液状化粧料がなくなる液状化粧料含浸工程と、を含むことを特徴とする液状化粧料容器の製造方法。
【請求項9】
前記容器本体に対して前記キャップを着脱可能とする係止部が、前記容器本体の先端部と前記キャップの後端部に、第1の係止部、第2の係止部としてそれぞれ設けられ、
前記容器本体の後端部に、前記第2の係止部が設けられ、
前記容器本体の後端部の前記第2の係止部と、別の容器本体の先端部の前記第1の係止部により、前記容器本体と前記別の容器本体とが着脱可能に連結されることを特徴とする請求項1~5の何れか一項、又は、請求項7に記載の液状化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状化粧料容器及び液状化粧料容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器内に収容した液状化粧料を、容器先端から突出する塗布部により被塗布部に塗布する液状化粧料容器として、以下の特許文献1、2に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の塗布用容器は、所謂中綿式であり、この塗布用容器にあっては、化粧品溶液を含浸した不織布等の含浸体を、長尺な管体に収容すると共に、当該管体を長尺な軸筒内に収容し、フェルト材等からなる塗布棒の後端を、含浸体に差し込むと共に、塗布棒の先端側部分を軸筒先端で保持し、塗布棒の先端を塗布部としている。そして、この塗布用容器では、塗布棒の毛細管現象を利用して、含浸体に含浸され保持された化粧品溶液を塗布部に送り、皮膚等の被塗布部に塗布できるようになっている。
【0004】
また、特許文献2に記載の塗布具は、所謂直液式の塗布具であり、この塗布具にあっては、化粧液等の塗布液を軸筒内の後半部の液収容部に貯留し、容器先端から突出する塗布部と液収容部との間を中継芯で繋ぐと共に、中継芯を囲繞するようにコレクターを配設している。そして、この塗布具では、中継芯及び塗布部の毛細管現象を利用して、液収容部に貯留されている塗布液を中継芯を介して塗布部に送り、肌等の被塗布部に塗布できると共に、中継芯により誘導されている塗布液を、コレクターにより一時保留し、塗布部への塗布液の送り量を適量に調節できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平3-41609号公報
【文献】特開2018-192794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1にあっては、化粧品溶液を含浸し保持する含浸体及び当該含浸体を収容する管体が必要であり、部品点数が多く、コスト低減が望まれている。また、塗布棒の後端を含浸体に差し込むため、含浸体を径方向に大きくする必要があると共に、概ね決められた容器長さで、含浸体に化粧品溶液を多く含浸させるには、含浸体を径方向に相応に大きくする必要があり、しかも、含浸体を収容する管体の分の太さも加わるため、必然的に容器が太くなってしまい、美観や持ち運びの観点から容器のスリム化が求められている。
【0007】
また、特許文献2にあっては、直液式のため、含浸体は不要なものの、中継芯及びコレクターが必要であり、特許文献1と同様に、部品点数が多く、コスト低減が望まれている。また、中継芯がコレクターにより囲繞されると共に、概ね決められた容器長さで、塗布液を多く液収容部に貯留させるには、液収容部を径方向に相応に大きくする必要があるため、特許文献1と同様に、必然的に容器が太くなってしまい、美観や持ち運びの観点から容器のスリム化が求められている。
【0008】
そこで、本発明は、部品点数を少なくしコスト低減を図りつつ、スリムで美観に優れ且つ持ち運びに便利な液状化粧料容器及び液状化粧料容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による液状化粧料容器は、先端に先端開口を有する容器本体と、容器本体内に形成され先端開口に連通する挿入部と、挿入部に挿入されその先端の塗布部が先端開口から突出すると共に毛細管現象を発現し液状化粧料を含浸する塗布体と、容器本体の先端部に着脱可能に装着され塗布部を覆うキャップと、容器本体内に形成され挿入部の後側に連通する領域と、挿入部の内周面と塗布体の外周面との間に形成され、領域と先端開口とを連通する空気の流路と、を備え、領域は、塗布体に液状化粧料を含浸させて満たす大きさに形成され、領域には、液状化粧料がないことを特徴としている。
【0010】
このような液状化粧料容器によれば、領域に収容された液状化粧料の全量を、領域に連通する挿入部の塗布体に毛細管現象により含浸させることで、塗布体は液状化粧料で満たされると共に、領域には液状化粧料がない液状化粧料容器となる。このように、領域は、全量の液状化粧料を塗布体に予め含浸させるための領域であり、液状化粧料を保持していたり貯留しておくものではないため、領域は小さくて良く、且つ、塗布体以外の部品は別途必要ない。従って、部品点数を少なくしコスト低減を図りつつ、液状化粧料容器の径を小さくできスリムで美観に優れ且つ持ち運びに便利な液状化粧料容器とすることができる。
【0011】
ここで、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、領域は、液状化粧料を収容していた収容部であり、塗布体は、収容部から液状化粧料の全量を含浸した構成が挙げられる。
【0012】
また、領域に収容されている液状化粧料が塗布体に移行し含浸される際に、領域が負圧になることがなく、領域の液状化粧料の全量を塗布体に容易に含浸させることができる。
【0013】
また、容器本体には、後端に、領域に連通する後端開口が形成され、先端が塗布体の後端面に当接し後端開口を塞ぐ尾栓を備えていると、後端開口から塗布体を挿入部に挿入し、後端開口から領域に液状化粧料を注入し収容させることによって、液状化粧料を塗布体に毛細管現象を利用して容易に含浸させることができる。また、尾栓の先端を、液状化粧料の全量を含浸した塗布体に当接させれば、塗布体の後方への移動を確実に阻止できる。
【0014】
また、容器本体には、後端に、領域に連通する後端開口が形成され、後端開口を塞ぐ尾栓を備え、挿入部の内周面には、挿入部の段差が形成され、塗布体の外周面には、塗布体の外周面が後側で拡径するように塗布体の段差が形成され、後端開口を通された塗布体における塗布体の段差が、挿入部の段差に前方へ向かって当接してもよい。当該段差によって、塗布体の位置決めができると共に塗布体の前方への移動を確実に阻止できる。
また、挿入部の内周面には、挿入部の内方へ突出する複数のリブが周方向に沿って配置され、挿入部の段差は、リブの段差であってもよい。
【0015】
また、本発明による液状化粧料容器の製造方法は、容器本体の後端開口から塗布体を挿入部に挿入し配置する塗布体配置工程と、キャップを容器本体に装着するキャップ装着工程と、塗布体が配置されキャップを装着した容器本体をキャップを下にして逆さに立て置く容器本体逆さ立置工程と、逆さに立て置かれた容器本体の後端開口から液状化粧料を注入し領域に収容させる液状化粧料収容工程と、領域に収容された液状化粧料の全量が塗布体に含浸され領域の液状化粧料がなくなる液状化粧料含浸工程と、領域の液状化粧料がなくなったら尾栓を装着する尾栓装着工程と、を含むことを特徴としている。
【0016】
このような液状化粧料容器の製造方法によれば、簡易に、尾栓を有する液状化粧料容器を得ることができる。
【0017】
また、後端開口がなく尾栓がない液状化粧料容器にあっては、容器本体の内周面から容器本体の内方へ突出するように挿入部と領域との間に形成され、先端開口を通された塗布体が後方へ向かって当接する、挿入部と領域との間の段差を備えていてもよい。この場合、液状化粧料容器の細径化を図りつつ、段差によって、塗布体の位置決めができると共に塗布体の後方への移動を確実に阻止できる。
【0018】
また、後端開口がなく尾栓がない液状化粧料容器の製造方法としては、容器本体の後端部を下にして立て置く容器本体立置工程と、立て置かれた容器本体の先端開口から液状化粧料を注入し領域に収容させる液状化粧料収容工程と、液状化粧料を収容した容器本体の先端開口から塗布体を挿入部に挿入し配置する塗布体配置工程と、塗布体が配置された容器本体にキャップを装着するキャップ装着工程と、キャップを装着した容器本体をキャップを下にして逆さに立て置く容器本体逆さ立置工程と、領域に収容された液状化粧料の全量が塗布体に含浸され領域の液状化粧料がなくなる液状化粧料含浸工程と、を含む液状化粧料容器の製造方法が挙げられる。
【0019】
このような液状化粧料容器の製造方法によれば、簡易に、尾栓がない液状化粧料容器を得ることができる。
【0020】
また、尾栓の有無にかかわらず、容器本体に対してキャップを着脱可能とする係止部が、容器本体の先端部とキャップの後端部に、第1の係止部、第2の係止部としてそれぞれ設けられ、容器本体の後端部に、第2の係止部が設けられ、容器本体の後端部の第2の係止部と、別の容器本体の先端部の第1の係止部により、容器本体と別の容器本体とが着脱可能に連結されるのが好ましい。このような構成を採用した場合、例えば、液状化粧料の色が違いそれに合わせて容器本体の色も違う液状化粧料容器を、一列に順不同で連結できる。その結果、幅広い使用形態、携行形態を採用できる。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明によれば、部品点数を少なくしコスト低減を図りつつ、スリムで美観に優れ且つ持ち運びに便利な液状化粧料容器及び液状化粧料容器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る液状化粧料容器を示す外観図である。
図2図1に示す液状化粧料容器からキャップを取り外した分解外観図である。
図3図1に示す液状化粧料容器の縦断面図である。
図4図1図3中の容器本体を示す縦断面図である。
図5図4に示す容器本体の縦断斜視図である。
図6図3中の塗布体を示す外観図である。
図7図3に示す液状化粧料容器の製造方法を説明するための図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る液状化粧料容器を示す縦断面図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る液状化粧料容器を示す縦断面図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る液状化粧料容器を示す外観図である。
図11図10に示す液状化粧料容器の縦断面図である。
図12図10及び図11に示す液状化粧料容器の分解外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による液状化粧料容器の好適な実施形態について図1図12を参照しながら説明する。図1図7は、本発明の第1実施形態を、図8は、本発明の第2実施形態を、図9は、本発明の第3実施形態を、図10図12は、本発明の第4実施形態を各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
先ず、図1図7に示す第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る液状化粧料容器を示す外観図、図2は、液状化粧料容器からキャップを取り外した分解外観図、図3は、液状化粧料容器の縦断面図、図4は、容器本体の縦断面図、図5は、容器本体の縦断斜視図、図6は、塗布体の外観図である。本実施形態の液状化粧料容器は、例えばアイライナーやアイブロウ等の液状化粧料を被塗布部に塗布する際に用いられるものである。
【0025】
図1図3に示すように、液状化粧料容器100は、容器外形を構成する容器本体1及びキャップ2を備え、容器本体1内には、塗布を行うための塗布体3が収容されている。
【0026】
容器本体1は、例えばPP等から形成され、図2図5に示すように、細径で長尺な段付き円筒状に構成される。容器本体1の先端部には、段差4を介して、拡径し後方へ長尺に延びる長尺部が連設され、先端部の段差4寄りの位置には、キャップ2を着脱可能に装着するための凹部5(第1の係止部)が円環状に設けられている。
【0027】
容器本体1は、図3図5に示すように、先端に先端開口6を備えると共に、後端に、先端開口6に筒孔を介して連通する後端開口7を備え、後端開口7は、図3に示すように、短尺な有底円筒状の尾栓8を容器本体1に装着することにより閉じられている。先端開口6から尾栓8へ亘っては、筒孔を形成する挿入部9及び空間領域(以下単に領域と呼ぶ)10が、この順に設けられている。
【0028】
挿入部9は、先端開口6に連通し塗布体3が挿入されている領域であり、図4及び図5に示すように、挿入部9において、容器本体1の外周面の段差4より後側の内周面に段差11が形成され、段差11より後側の内周面が前側の内周面より拡径されている。また、先端開口6寄りの内周面から段差11を超えた後方位置に亘っては、内方へ突出するリブ12が、周方向に沿って等間隔に複数個離間配置されている。
【0029】
図3に示すように、領域10は、塗布体3が挿入された挿入部9の後側に連通し後端開口7を塞ぐ尾栓8まで続く領域であり、挿入部9のリブ12より後側の領域と同径の空間となっている。領域10は、塗布体3に液状化粧料を毛細管現象により含浸させて満たす大きさ(容積)に形成されている。この領域10には、図3に示す製品時点では液状化粧料はない(収容していない)が、製品前の時点では、液状化粧料を収容していた領域(収容部)である。
【0030】
塗布体3は、チップと呼ばれ毛細管現象を発現するものであり、例えばポリエステル等より形成されている。塗布体3は、図6に示すように、先細の段付き円柱状に構成され、先端部13は、先細とされペン先状に構成されている。図3に示すように、塗布体3の先端部13より後側の部分は、容器本体1の挿入部9に挿入され、先端部13は、容器本体1の先端開口6から前方へ突出し、被塗布部に液状化粧料を塗布するための塗布部とされている。
【0031】
塗布体3の先端部13より後側の部分にあっては、図6に示すように、先端側の外周面に対し段差14を介してそれより後側の外周面が拡径されている。塗布体3は、図3に示すように、その段差14が、容器本体1のリブ12の後部の段差15(図4及び図5も参照)に当接することにより、軸線方向に位置決めされると共に、その外周面に、容器本体1のリブ12が押し込まれ圧接することにより、容器本体1に保持されている。
【0032】
この状態で、容器本体1の挿入部9の内周面と塗布体3の外周面とリブ12,12同士の間、容器本体1の挿入部9においてリブ12より後側の内周面と塗布体3の外周面との間、容器本体1の挿入部9においてリブ12より前側の内周面と塗布体3の外周面との間には、領域10と先端開口6とを連通する空気の流路(隙間)16が形成されている。
【0033】
そして、塗布体3には、領域10から液状化粧料の全量が毛細管現象により含浸され液状化粧料が過不足なく満たされていると共に、領域10には、液状化粧料がない状態となっている。
【0034】
キャップ2は、例えばPP等より形成され、図1図3に示すように、有頂円筒状に構成される。キャップ2は、図3に示すように、その開放端(後端)寄りの内周面の位置に、容器本体1の円環状の凹部5に軸線方向に係止するための凸部17(第2の係止部)が、周方向に離間して複数個設けられている。キャップ2は、その開放端面が、容器本体1の段差4に当接し、その凸部17が、容器本体1の凹部5に軸線方向に係止されることにより、容器本体1に着脱可能に装着されている。そして、液状化粧料容器100は、キャップ2を容器本体1に装着した状態で、図1に示すように、外周面が円形で面一をなし細長のスリムな外観となっている。
【0035】
次に、このように構成された液状化粧料容器100の製造方法について説明する。図7は、液状化粧料容器100の製造方法を説明するための図である。
【0036】
先ず、容器本体1の後端開口7から塗布体3を挿入部9に挿入して配置し、塗布体3の段差14を容器本体1のリブ12の段差15に当接させることで、塗布体3を位置決めすると共に塗布体3の前方への移動を阻止し且つ塗布体3を容器本体1のリブ12に圧接保持させる(塗布体配置工程)。
【0037】
次いで、キャップ2を容器本体1に装着する(キャップ装着工程)。このキャップ装着工程と塗布体配置工程の順序は逆であっても並行して行っても良い。
【0038】
次いで、塗布体3が配置されキャップ2を装着した容器本体1をキャップ2を下にして逆さに立て置き(容器本体逆さ立置工程)、次いで、逆さに立て置かれた容器本体1の後端開口7から、矢印Aで示すように液状化粧料を注入し領域(収容部)10に収容させて満たす(液状化粧料収容工程)。
【0039】
次いで、領域10に収容された液状化粧料の全量が塗布体3に含浸され領域10の液状化粧料がなくなるのを待ち(液状化粧料含浸工程)、領域10の液状化粧料がなくなったら、矢印Bで示すように尾栓8を容器本体1に装着することにより(尾栓装着工程)、図3に示す液状化粧料容器100が得られる。
【0040】
このように、本実施形態の液状化粧料容器の製造方法によれば、簡易に、尾栓8を有する液状化粧料容器100を得ることができる。
【0041】
そして、このようにして得られた図3に示す液状化粧料容器100によれば、領域10に収容された液状化粧料の全量を、領域10に連通する挿入部9の塗布体3に毛細管現象により含浸させることで、塗布体3は液状化粧料で満たされると共に、領域10には液状化粧料がない液状化粧料容器100となる。このように、領域10は、全量の液状化粧料を塗布体3に予め含浸させるための領域であり、液状化粧料を保持していたり貯留しておくものではないため、領域は小さくて良く、且つ、塗布体3以外の部品は別途必要ない。従って、部品点数を少なくしコスト低減を図りつつ、液状化粧料容器100の径を小さくできスリムで美観に優れ且つ持ち運びに便利な液状化粧料容器100とすることができる。
【0042】
また、挿入部9の内周面と塗布体3の外周面との間に形成され、領域10と先端開口6とを連通する空気の流路16を備えているため、領域10に収容されている液状化粧料が塗布体3に移行し含浸される際に、領域10が負圧になることがなく、領域10の液状化粧料の全量を塗布体3に容易に含浸させることができる。
【0043】
また、容器本体1には、後端に、領域10に連通する後端開口7が形成され、後端開口7を塞ぐ尾栓8を備えているため、後端開口7から塗布体3を挿入部9に挿入し、後端開口7から領域10に液状化粧料を注入し収容させることによって、液状化粧料を塗布体3に毛細管現象を利用して容易に含浸させることができる。
【0044】
また、挿入部9は、後端開口7を通された塗布体3が当接する段差15を備えているため、当該段差15によって、塗布体3の位置決めができると共に塗布体3の前方への移動を確実に阻止できる。
【0045】
図8は、本発明の第2実施形態に係る液状化粧料容器を示す縦断面図である。
【0046】
この第2実施形態の液状化粧料容器200が第1実施形態の液状化粧料容器100と違う点は、短尺な尾栓8に代えて、先端が塗布体3の後端面に当接し後端開口7を塞ぐ長尺な尾栓18を用いた点であり、その他の構成及び製造方法は第1実施形態と同様である。
【0047】
このような第2実施形態の液状化粧料容器200によれば、塗布体3に当接する長尺な尾栓18により、塗布体3の後方への移動を確実に阻止できる。
【0048】
図9は、本発明の第3実施形態に係る液状化粧料容器を示す縦断面図である。
【0049】
この第3実施形態の液状化粧料容器300が第1実施形態の液状化粧料容器100と主に違う第1の点は、円筒状の容器本体1に代えて、有底円筒状の容器本体21を用いた点である。また、第3実施形態の液状化粧料容器300が第1実施形態の液状化粧料容器100と主に違う第2の点は、先細の先端部13を有すると共に軸線方向途中の外周面に段差14を有し拡径する段付き円柱状の塗布体3に代えて、先細の先端部13を有し段差がない円柱状の塗布体23を用いた点である。
【0050】
また、容器本体21にあっては、先端開口6寄りの内周面から容器本体21の後端部(有底部)28に亘って、内方へ突出するリブ24が、周方向に沿って等間隔に複数個離間配置されている。これらのリブ24にあっては、容器本体21の先端開口6より軸線方向長の2/3程度後方へ離れた位置から、内方へさらに突出し後端部28に達するリブ25が設けられており、リブ25の前端は、内方へ突出する段差26となっている。
【0051】
先端開口6から挿入された塗布体23は、その後端面が、容器本体21のリブ25の段差26に当接することにより、軸線方向に位置決めされると共に、その外周面に、容器本体21のリブ24が押し込まれ圧接することにより、容器本体21に保持されている。すなわち、容器本体21の筒孔の段差26より前側が、塗布体23が挿入されている挿入部19とされ、この挿入部19の後側に連通して領域(収容部)20が形成されており、塗布体23の塗布部となる先端部13が、容器本体21の先端開口6から前方へ突出した状態となっている。
【0052】
領域20は、第1実施形態と同様に、塗布体23に液状化粧料を毛細管現象により含浸させて満たす大きさ(容積)に形成されている。塗布体23には、領域20から液状化粧料の全量が毛細管現象により含浸され液状化粧料が過不足なく満たされていると共に、領域20には、液状化粧料がない状態となっている。
【0053】
また、容器本体21の挿入部19の内周面と塗布体23の外周面とリブ24,24同士の間、容器本体21の挿入部19においてリブ24より前側の内周面と塗布体23の外周面との間には、領域20と先端開口6とを連通する空気の流路(隙間)27が形成されている。
【0054】
そして、液状化粧料容器300は、キャップ2を容器本体21に装着した状態で、外周面が円形で面一をなし細長のスリムな外観となっている。
【0055】
次に、このように構成された液状化粧料容器300の製造方法について説明する。
【0056】
先ず、容器本体21の後端部を下にして立て置き(容器本体立置工程)、次いで、立て置かれた容器本体21の先端開口6から液状化粧料を段差26まで注入し領域(収容部)20に収容させて満たす(液状化粧料収容工程)。
【0057】
次いで、液状化粧料を収容した容器本体21の先端開口6から塗布体23を挿入部19に挿入して配置し、塗布体23の後端面を段差26に当接させることで、塗布体23を位置決めすると共に塗布体23の後方への移動を阻止し且つ塗布体23を容器本体21のリブ24に圧接保持させる(塗布体配置工程)。
【0058】
次いで、塗布体23が配置された容器本体21にキャップ2を装着し(キャップ装着工程)、次いで、キャップ2を装着した容器本体21をキャップ2を下にして逆さに立て置き(容器本体逆さ立置工程)、次いで、領域20に収容された液状化粧料の全量が塗布体23に含浸され領域20の液状化粧料がなくなるのを待つことにより(液状化粧料含浸工程)、図9に示す液状化粧料容器300が得られる。
【0059】
このように、本実施形態の液状化粧料容器の製造方法によれば、簡易に、液状化粧料容器300を得ることができる。
【0060】
そして、このようにして得られた液状化粧料容器300によれば、領域20に収容された液状化粧料の全量を、領域20に連通する挿入部19の塗布体23に毛細管現象により含浸させることで、塗布体23は液状化粧料で満たされると共に、領域20には液状化粧料がない液状化粧料容器300となる。このように、領域20は、全量の液状化粧料を塗布体23に予め含浸させるための領域であり、液状化粧料を保持していたり貯留しておくものではないため、領域は小さくて良く、且つ、塗布体23以外の部品は別途必要ない。従って、部品点数を少なくしコスト低減を図りつつ、液状化粧料容器300の径を小さくできスリムで美観に優れ且つ持ち運びに便利な液状化粧料容器300とすることができる。
【0061】
また、挿入部19の内周面と塗布体23の外周面との間に形成され、領域20と先端開口6とを連通する空気の流路27を備えているため、領域20に収容されている液状化粧料が塗布体23に移行し含浸される際に、領域20が負圧になることがなく、領域20の液状化粧料の全量を塗布体23に容易に含浸させることができる。
【0062】
また、挿入部19と領域20との間に、先端開口6を通された塗布体23が当接する段差26を備えているため、液状化粧料容器300の細径化を図りつつ、段差26によって、塗布体23の位置決めができると共に塗布体23の後方への移動を確実に阻止できる。
【0063】
図10は、本発明の第4実施形態に係る液状化粧料容器を示す外観図、図11は、液状化粧料容器の縦断面図、図12は、液状化粧料容器の分解外観図である。
【0064】
図10図12に示すように、液状化粧料容器400は、複数(ここでは3個)の液状化粧料容器500を一列に着脱可能に連結したものである。
【0065】
個々の液状化粧料容器500にあっては、図11に示すように、第3実施形態の液状化粧料容器300の容器本体21の先端部より有底部側を短尺化すると共に塗布体23の先端部13より後部側を短尺化し、容器本体21の有底部から円筒部41を後方へ長尺に延ばして、容器本体31及び塗布体33としている。
【0066】
また、容器本体31の後方へ延びている円筒部41の後端部の内周面には、第3実施形態と同様な凸部17(第2の係止部)が、周方向に離間して複数個設けられている。すなわち、容器本体31において、領域30を形成する後端部を含む円筒部41は、キャップ2と同様な構成とされている。この凸部17は、別の容器本体31の先端部の第3実施形態と同様な円環状の凹部5(第1の係止部)に着脱可能に係止される。
【0067】
塗布体33は挿入部29に挿入され、挿入部29の後側に連通して領域30が設けられている。挿入部29及び領域30の構成は、第3実施形態の挿入部19及び領域20と同じである。すなわち、領域30は、塗布体33に液状化粧料を含浸させて満たす大きさに形成され、領域30には、液状化粧料がない状態となっている。塗布体33には、領域30から液状化粧料の全量が毛細管現象により含浸され液状化粧料が過不足なく満たされている。その他の構成は第3実施形態と同様であり、個々の液状化粧料容器500の製造方法も、第3実施形態と同様である。
【0068】
そして、例えば液状化粧料の色が違いそれに合わせて容器本体31の色も違う液状化粧料容器500をそれぞれ用意し、前側の液状化粧料容器500の容器本体31の後端部の凸部17と、それより後側(別)の容器本体31の先端部の凹部5を係止することにより、前側の容器本体31と後側の容器本体31とが着脱可能に連結される。また、第3実施形態と同様に、一番前の容器本体31に対してキャップ2が着脱可能に装着され、図10及び図11に示す液状化粧料容器400が得られる。
【0069】
そして、使用に際しては、液状化粧料容器500同士を軸線方向に引っ張ることにより連結を解き、個々の液状化粧料容器500として塗布に供することができる(図12参照)。
【0070】
このような液状化粧料容器400によれば、液状化粧料の色が違いそれに合わせて容器本体31の色も違う液状化粧料容器500を一列に順不同で連結でき、その結果、幅広い使用形態、携行形態を採用できる。また、個々の液状化粧料容器500にあっては、第3実施形態と同様な作用・効果を奏するというのはいうまでもない。
【0071】
なお、列状に連結される液状化粧料容器500は、3個に限定されるものではなく、複数個であれば良い。また、第1の係止部としての凹部5、第2の係止部としての凸部17は逆でも良く、さらには、第1、第2の係止部は、螺子であっても良い。
【0072】
因みに、この第4実施形態においては、第3実施形態の有底円筒状の容器本体21を備えた液状化粧料容器300に対する適用を述べているが、第1、第2実施形態の尾栓8,18を有するタイプの液状化粧料容器100,200に対しても同様に適用できる。
【0073】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、容器本体1,21,31の領域10,20,30の内周面に、複数個が周方向に離間すると共に軸線方向に延びる溝を設け、当該溝により好適に毛細管現象を働かせ、領域10,20,30に注入された液状化粧料を積極的に塗布体3,23,33に向かわせるようにしても良い。
【0074】
また、上記実施形態においては、容器本体1,21,31及びキャップ2を円筒状としているが、例えば矩形筒状を始めとした多角形筒状とすることもできる。この場合、塗布体3,23,33や領域10,20,30も多角形状とすることができる。
【符号の説明】
【0075】
1,21,31…容器本体、2…キャップ、3,23,33……塗布体、5…凹部(第1の係止部)、6…先端開口、7…後端開口、8,18…尾栓、9,19,29…挿入部、10,20,30…領域(収容部)、13…先端部(塗布部)、15…挿入部の段差、16,27…空気の流路、17…凸部(第2の係止部)、26…挿入部と領域との間の段差、100,200,300,400,500…液状化粧料容器。
図1
図2
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図4
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図12