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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】押圧スイッチ付き回転式電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/06 20060101AFI20230705BHJP
【FI】
H01H25/06 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019193407
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021068609
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000215833
【氏名又は名称】帝国通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 仁
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-112975(JP,A)
【文献】特開2008-269871(JP,A)
【文献】特開平11-306918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/00 - 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に開口を有し回転自在、且つ上下動自在に設置される回転体と、
前記回転体の回転に連動して出力信号を変化させる回転検出部と、
前記回転体の上下動に連動して上下動する可動接点と、
前記可動接点と離間して設置される固定接点と、
を具備し、
少なくとも前記可動接点は中央に開口を有する円筒状の金属板によって構成され、
前記固定接点は中央に開口を有する円板状の金属板によって構成され、
前記固定接点の外周に複数の弾性体支持部を設け、
当該弾性体支持部に前記可動接点と固定接点間を離間させる方向に弾発する弾性体を取り付け、
前記可動接点を前記弾性体の弾発力に抗して下降させた際に当該可動接点の何れかの部分が前記固定接点の対向する部分に接触することでスイッチがオンすることを特徴とする押圧スイッチ付き回転式電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の押圧スイッチ付き回転式電子部品であって、
前記固定接点には、フレキシブル回路基板が直接または他の導電部材を介して接続され、当該フレキシブル回路基板には、外部に引き出されて他の回路基板や電子部品に接続される引出部が設けられると共に、可動接点接続部が設けられ、
前記円筒状の可動接点の上下方向に幅の広い幅広部の上辺を一部切り欠いた幅狭部を設け、当該幅狭部には、前記フレキシブル回路基板の可動接点接続部を当接させるパターン接続部を設けたことを特徴とする押圧スイッチ付き回転式電子部品。
【請求項3】
請求項2に記載の押圧スイッチ付き回転式電子部品であって、
前記可動接点のパターン接続部は、前記幅狭部の上辺から上方向に突出する突出部をその途中で半径方向外方に向けて折り曲げて構成され、
前記固定接点の弾性体支持部は、当該固定接点の外周から半径方向外方に向けて突起を突出してその根元部分を上向きに屈曲し、その上端辺からさらに前記弾性体を係止する小突起状の弾性体係止部を突出して構成されていることを特徴とする押圧スイッチ付き回転式電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧スイッチ付き回転式電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、中央に開口を有する回転式電子部品において、押圧スイッチを設置する場合は、前記開口内に押圧スイッチを別途設置することが行われていた(例えば特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-282703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の押圧スイッチ付き回転式電子部品は、上述のように、前記開口内に押圧スイッチを設置する構造なので、この開口内を別の用途のために使用することができなかった。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、中央に開口を設けた状態のまま、回転式電子部品の機能と押圧スイッチの機能を併せて持たせることができ、且つ両機能の操作を容易且つ確実に行うことができる押圧スイッチ付き回転式電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる押圧スイッチ付き回転式電子部品は、中央に開口を有し回転自在、且つ上下動自在に設置される回転体と、前記回転体の回転に連動して出力信号を変化させる回転検出部と、前記回転体の上下動に連動して上下動する可動接点と、前記可動接点と離間して設置される固定接点と、を具備し、少なくとも前記可動接点は中央に開口を有する円筒状の金属板によって構成され、前記固定接点は中央に開口を有する円板状の金属板によって構成され、前記固定接点の外周に複数の弾性体支持部を設け、当該弾性体支持部に前記可動接点と固定接点間を離間させる方向に弾発する弾性体を取り付け、前記可動接点を前記弾性体の弾発力に抗して下降させた際に当該可動接点の何れかの部分が前記固定接点の対向する部分に接触することでスイッチがオンすることを特徴としている。
回転体の上下動には、回転体の揺動も含まれる。
本発明によれば、可動接点を円筒状に形成し、これと離間して設置した固定接点に可動接点の何れかの部分を接触させることでスイッチをオンする構成としたので、中央に開口を設けた状態のまま、回転式電子部品の機能と押圧スイッチの機能を併せて持たせることができる。これによって、開口内を他の電子部品の設置や所望の装飾などの他の各種用途のために使用することができる。
また回転体を回転することによって回転検出部を操作するとともに、当該回転体を上下動させることによって押圧スイッチのオンオフ操作が行えるので、回転式電子部品としての操作と押圧スイッチとしての操作を同一の回転体によって容易に行うことができる。
さらに回転体を下降させる際に回転体が水平状態から傾いたとしても(即ち揺動したとしても)、環状の可動接点の何れかの部分が固定接点に接触すればオンするので、押圧スイッチのオンオフ操作を確実に行わせることができる。
【0007】
また本発明は、上記特徴に加え、前記固定接点には、フレキシブル回路基板が直接または他の導電部材を介して接続され、当該フレキシブル回路基板には、外部に引き出されて他の回路基板や電子部品に接続される引出部が設けられると共に、可動接点接続部が設けられ、前記円筒状の可動接点の上下方向に幅の広い幅広部の上辺を一部切り欠いた幅狭部を設け、当該幅狭部には、前記フレキシブル回路基板の可動接点接続部を当接させるパターン接続部を設けたことを特徴としている。
【0008】
また本発明は、上記特徴に加え、前記可動接点のパターン接続部は、前記幅狭部の上辺から上方向に突出する突出部をその途中で半径方向外方に向けて折り曲げて構成され、前記固定接点の弾性体支持部は、当該固定接点の外周から半径方向外方に向けて突起を突出してその根元部分を上向きに屈曲し、その上端辺からさらに前記弾性体を係止する小突起状の弾性体係止部を突出して構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、中央に開口を設けた状態のまま、回転式電子部品の機能と押圧スイッチの機能を併せて持たせることができ、且つ両機能の操作を容易且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】押圧スイッチ付き回転式電子部品1の斜視図である。
図2】押圧スイッチ付き回転式電子部品1の分解斜視図(その1)である。
図3】押圧スイッチ付き回転式電子部品1の分解斜視図(その2)である。
図4】押圧スイッチ付き回転式電子部品1の断面拡大図である。
図5】支持部材係止部79の部分の要部拡大斜視図である。
図6】ケース70の裏面図である。
図7】接点接続部205と固定接点板150と可動接点板100間の電気的接続状態説明図である。
図8】接点接続部205と固定接点板150と可動接点板100間の電気的接続状態から接点接続部205を分離した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の1実施形態にかかる押圧スイッチ付き回転式電子部品1の斜視図、図2は押圧スイッチ付き回転式電子部品1の上側の部品の分解斜視図、図3は押圧スイッチ付き回転式電子部品1の下側の部品の分解斜視図、図4は押圧スイッチ付き回転式電子部品1の断面拡大図(図1のA-A断面拡大図)である。これらの図に示すように、押圧スイッチ付き回転式電子部品1は、支持部材170の上に固定接点(以下「固定接点板」という)150を載置し、その上側に、取付体130と可動接点(以下「可動接点板」という)100とケース70と回転体(操作体)40とを設置し、また前記ケース70の外周側に回転検出部200を取り付けて構成されている。さらにケース70と固定接点板150の間には、複数個(4つ)の弾性体(以下「コイルバネ」という)240と1つの固定接点接続体250とを介在している。なお以下の説明において、「上」とは固定接点板150から可動接点板100を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
【0012】
回転体40は、図2図4に示すように、合成樹脂をリング状であって、その横断面が略逆L字形状になるように形成されている。回転体40は、略円筒状のリング本体部41と、リング本体部41の上辺から半径方向外方に水平に突出するリング状のつば部43とを有し、これによって中央に円形の開口45を設けて構成されている。リング本体部41の上部部分の外径寸法は、下部部分の外径寸法よりも大きく構成し、これによって両者の境に段部47を形成している。段部47よりも下側の部分(空間)をケース保持部49としている。またリング本体部41の下端辺からは、下方向に向かって所定間隔毎に複数本、小突起状の取付部57が突出している。
【0013】
図6はケース70の裏面図である。同図及び図2図4に示すように、ケース70は、合成樹脂をリング状に成形することで形成されている。ケース70は、略円筒状のケース本体部71と、ケース本体部71の下面外周側部分から下方向に突出する略円筒状のスカート部73とを有し、これによって中央に円形の開口75を設けて構成されている。ケース70の外周の一部には、検出部取付部77が形成され、またケース本体部71の複数個所(4箇所)には所定間隔毎に支持部材係止部79が形成されている。またケース本体部71の下面には、円形リング状の凹部からなる可動接点挿入部81が形成されている。
【0014】
スカート部73は、その内径寸法を前記ケース本体部71の内径寸法よりも大きくし、これによってその内側に収納部83を形成している。検出部取付部77は、ケース本体部71の側面からスカート部73の側面にわたって凹部85を設け、その下側部分をスカート部73を貫通する開口86として構成されている。
【0015】
図5は、1つの支持部材係止部79の部分の要部拡大斜視図である。同図及び図2に示すように、支持部材係止部79は、ケース本体部71の部分に上下に貫通する略矩形状の貫通孔87を設け、貫通孔87内の内側の側面中央付近に係止爪89を設けて構成されている。
【0016】
図6に示す可動接点挿入部81を構成する円形リング状の溝は、下記する可動接点板100を嵌合する寸法形状に形成されている。また図6に示すように、ケース本体部71の下面には、所定の間隔毎に、複数(4つ)の円形の小穴からなる弾性体挿入部91が形成されている。これらの弾性体挿入部91の内の1つの部分には、さらにこれを横切るように、直線状の凹部からなる導電部材挿入部93が形成されている。
【0017】
コイルバネ240は、前記ケース70に設けた弾性体挿入部91にその上部が挿入されて支持される寸法に形成されている。即ちコイルバネ240の長さ寸法は、弾性体挿入部91の深さ寸法よりも所定寸法長い寸法に形成されている。
【0018】
回転検出部200は、図2に示すように、検出部本体201と、検出部本体201の下部から突出して外方に向けて引き出される引出部203と、検出部本体201の側部から引き出される接点接続部205とを有して構成されている。検出部本体201は、前記回転体40の回転に応じて出力信号を変化させる機構を有しており、例えば前記回転体40の回転に連動して回転する回転体に摺動子を取り付けてこれを回路基板に設けたスイッチパターンなどの摺接パターンに摺接させることで、その出力を前記引出部203に引き出すなどの構成となっている。引出部203は帯状であって、前記検出部本体201からの出力と、前記接点接続部205からの出力を、外部に引き出す図示しない回路パターンがその表面に形成されている。接点接続部205は帯状であってその上側辺から並列に舌片状に突出してほぼ直角に折り曲げられる固定接点接続部207及び可動接点接続部209を設けて構成されている。固定接点接続部207の下面には、下記する固定接点接続体250のパターン接続部251に当接するパターンが形成されている。また可動接点接続部209の下面にも、下記する可動接点板100のパターン接続部107に当接するパターンが形成されている。この実施形態においては、前記接点接続部205と、前記検出部本体201内の摺接パターンを形成した回路基板と、引出部203は、1枚のフレキシブル回路基板によって形成されている。
【0019】
固定接点接続体250は、1枚の金属板製であり、平面状のパターン接続部251と、パターン接続部251から上方向に向かって立設するように折り曲げられる弾性体取付部253とを有して構成されている。弾性体取付部253は、略逆L字状であり、その上辺の中央付近から下方向に向けて小突起状の弾性体挿入部255が突出している。
【0020】
可動接点板100は、図3に示すように、金属板を略円筒状に形成して構成されており、幅広部101の中に幅広部101の上辺を切り欠いた幅狭部1-3を設けている。幅狭部103にはパターン接続部107が設けられている。パターン接続部107は、幅狭部103の上辺から上方向に突出する舌片状の突出部をその途中で半径方向外方に向けてほぼ直角に折り曲げて形成されている。可動接点板100の中央は開口109となっている。
【0021】
取付体130は、図3に示すように、合成樹脂板を円形のリング状に形成して構成されている。取付体130の面には、上下に貫通する複数の小孔からなる被取付部131が形成されている。各被取付部131は、前記回転体40に設けた各取付部57に対向する位置に設けられている。取付体130の中央は開口133となっている。
【0022】
固定接点板150は、図3に示すように、金属板を略円板状に形成し、その外周に、所定間隔をあけて複数(4つ)の弾性体支持部151を設けて構成されている。弾性体支持部151は、固定接点板150の外周から半径方向外方に向けて舌片状の突起を突出し、その根元部分を直角に上方向に屈曲して形成されており、その上端辺の中央付近からさらに小突起状の弾性体係止部153を突出している。固定接点板150の中央は、開口155となっている。
【0023】
支持部材170は、図3に示すように、合成樹脂を略平板状でリング状に形成して構成されている。支持部材170の上面からは、所定間隔をあけて複数(4つ)の弾性係止部171が上方向に向けて立設している。各弾性係止部171は、略逆U字状であって、その両端が支持部材170に一体に取り付けられている。そしてその上辺は係止部173、左右両辺はアーム部175となっており、アーム部175はこの弾性係止部171が半径方向に向けて所定の弾性を有して撓む強度に形成されている。支持部材170の中央は開口179となっている。
【0024】
次に、押圧スイッチ付き回転式電子部品1の組立方法を説明する。押圧スイッチ付き回転式電子部品1を組み立てるには、まず予め、回転検出部200の固定接点接続部207の下面のパターンに、固定接点接続体250のパターン接続部251の上面を異方性導電接着剤(導電性接着剤)で接着・固定しておく。そしてこの回転検出部200の検出部本体201を、ケース70の検出部取付部77に取り付ける。このとき、固定接点接続体250を取り付けた接点接続部205を、開口86の内側に配置し、引出部203を開口86の内側からスカート部73の下端辺を介して半径方向外方に引き出しておく。
【0025】
次に、回転体40の下側にケース70を配置し、その際、回転体40のリング本体部41の段部47より下側部分を、ケース70の開口75内に回転自在に挿入する。このとき、ケース70の上端辺は段部47の下面に当接する。
【0026】
次に、ケース70の下側に可動接点板100を配置し、可動接点板100の幅広部101の部分をケース70下面の可動接点挿入部81内に挿入して固定する。このとき、可動接点板100のパターン接続部107の上面に、異方性導電接着剤(導電性接着剤)を介して回転検出部200の可動接点接続部209の下面のパターンを接着・固定する。
【0027】
次に、ケース70の下側に取付体130を配置し、その際、ケース本体部71の下側に突出する回転体40の各取付部57を、取付体130の各被取付部131に挿入し、それらの先端を取付体130の下面において熱カシメして固定する。これによって、ケース70に対する回転体40の抜け止めが行われる。
【0028】
次に、前記ケース70下面の導電部材挿入部93に、前記固定接点接続体250の弾性体取付部253の上部の部分を挿入し、次に、ケース70下面の各弾性体挿入部91に各コイルバネ240の上部の部分を挿入する。このとき1つのコイルバネ240の上端側の開口には、前記固定接点接続体250の弾性体挿入部255が挿入されて支持される。
【0029】
次に、前記ケース70の下側に固定接点板150を配置し、その際、固定接点板150に設けた各弾性体係止部153を前記各コイルバネ240の下端側の開口に挿入し支持する。
【0030】
次に、前記固定接点板150の下側に支持部材170を配置し、その際、支持部材170の各弾性係止部171を前記ケース70の各貫通孔87に挿入し、各弾性係止部171の係止部173を、前記ケース70の各係止爪89にスナップイン方式で係止する。これによって、押圧スイッチ付き回転式電子部品1の組立が完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0031】
以上のように構成された押圧スイッチ付き回転式電子部品1は、図4に示すように、ケース70に対して回転自在に回転体40が取り付けられ、またケース70の下面側に可動接点板100が取り付けられている。一方ケース70は、コイルバネ240の弾発力によって、支持部材170の上方に所定寸法押し上げられた位置に保持されている。支持部材170とケース70の離間距離は、前記支持部材170の弾性係止部171とケース70の係止爪89との係止位置によって決まる。一方固定接点板150は、支持部材170上に設置され、前記可動接点板100の下端辺に対して所定寸法離間して対向する。
【0032】
図7図8は、回転検出部200の接点接続部205と固定接点板150と可動接点板100間の接続状態を示す要部拡大斜視図であり、図7は接続状態、図8は接点接続部205を分離した状態を示している。両図に示すように、固定接点板150の1つの弾性体支持部151の弾性体係止部153がコイルバネ240の下側の開口に挿入されて支持され、またコイルバネ240の上側の開口に固定接点接続体250の弾性体挿入部255が挿入されて支持されている。また固定接点接続体250のパターン接続部251と、可動接点板100のパターン接続部107は並列に設置され、それらの上面は同一平面上に位置している。そして、接点接続部205の固定接点接続部207の下面と可動接点接続部209の下面は、それぞれ固定接点接続体250のパターン接続部251の上面と、可動接点板100のパターン接続部107の上面に、異方性導電接着剤(導電性接着剤)によって接着されている。これによって固定接点板150は、コイルバネ240と固定接点接続体250を介して接点接続部205上の回路パターンに接続され、可動接点板100は直接接点接続部205上の回路パターンに接続され、これら回路パターンは引出部203上の回路パターンに接続されている。
【0033】
以上のように構成された押圧スイッチ付き回転式電子部品1において、回転体40を回転すると、当該回転に応じて検出部本体201の出力信号が変化し、変化した出力信号は、引出部203から出力される。
【0034】
一方、回転体40の上面の何れかの部分(リング上の何れの部分でも良い)を下方向に向けて押圧すると、コイルバネ240の弾発力に抗して、回転体40の押圧した部分が下降して揺動する。回転体40には、ケース70と可動接点板100と取付体130と回転検出部200とが一体に取り付けられているので、これら各部品も回転体40と一体に下降して揺動する。これによって可動接点板100の最も下降した部分の下端辺が、相対的に静止している固定接点板150の表面に当接し、両者間がオンする。固定接点板150側の出力は、上述のように、前記コイルバネ240と固定接点接続体250を介して接点接続部205に取り出され、可動接点板100側の出力は、上述のように、直接前記接点接続部205に取り出され、これによって引出部203にオン信号が出力される。前記回転体40への押圧を解除すると、前記コイルバネ240の弾発力によって回転体40及びこれと一体に移動(上下動)する可動接点板100が元の位置に自動復帰し、可動接点板100は固定接点板150から離れ、出力信号がオフとなる。
【0035】
ところで、本実施形態においては、弾発手段としてコイルバネ240を用いているので、当該コイルバネ240を制御することで、前記可動接点板100と固定接点板150等からなる押圧スイッチの動作力とストロークの調整を容易に行うことができる。即ち、もしこの弾発手段としてドーム型の可動接点板を用いたとすると、その動作力やストロークの変更は困難であるが、上記コイルバネ240を用いると、その長さや線材の太さ等を変更することで、容易にその動作力とストロークを調整することができる。
【0036】
以上説明したように、押圧スイッチ付き回転式電子部品1は、中央に開口45を有し回転自在、且つ上下動自在に設置される回転体40と、回転体40の回転に連動して出力信号を変化させる回転検出部200と、回転体40の上下動に連動して上下動する可動接点板(可動接点)100と、可動接点板100と離間して設置される固定接点板(固定接点)150と、を具備し、少なくとも可動接点板100は環状に形成され、当該可動接点板100を下降させた際にその何れかの部分が前記固定接点板150の対向する部分に接触することでスイッチがオンする構成になっている。
【0037】
このように、可動接点板100を環状に形成し、これと離間して設置した固定接点板150に可動接点板100の何れかの部分を接触させる構成としたので、中央に開口45を設けた状態のまま、回転式電子部品の機能と押圧スイッチの機能を併せて持たせることができる。これによって、開口45を他の電子部品の設置や所望の装飾などの他の各種用途のために使用することができる。
【0038】
また回転体40を回転することによって回転検出部200を操作するとともに、当該回転体40を上下動させることによって押圧スイッチのオンオフ操作が行えるので、回転式電子部品としての操作と押圧スイッチとしての操作を同一の回転体40によって容易に行うことができる。
【0039】
さらに回転体40を下降させた際に回転体40が水平状態から傾いたとしても、環状の可動接点板100の何れかの部分が固定接点板150に接触すればオンするので、押圧スイッチのオンオフ操作を確実に行わせることができる。
【0040】
また上記押圧スイッチ付き回転式電子部品1は、可動接点板100と固定接点板150を金属材によって構成し、当該固定接点板150には、フレキシブル回路基板である接点接続部205がコイルバネ240と固定接点接続体250(他の導電部材)を介して接続され、当該フレキシブル回路基板には、外部に引き出されて他の回路基板や電子部品に接続される引出部203が設けられている。
【0041】
このように、可動接点板100と固定接点板150を金属材によって構成したので、両者の切離(オンオフ)状態を確実に切り替えることができる。また、フレキシブル回路基板はその引出部203によって、固定接点板150からの出力を取り出すことができ、他の回路基板や電子部品に電気的に接続することができる。
【0042】
また上記押圧スイッチ付き回転式電子部品1においては、可動接点板100が、前記固定接点板150を接続したフレキシブル回路基板に接続されているので、1枚のフレキシブル回路基板によって、押圧スイッチに対する入出力を行うことができる。
【0043】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、回転検出部の構造は、必ずしも上記実施形態の構成に限定されず、例えば、回転体に直接取り付けた摺動子をケースにリング状に取り付けたフレキシブル回路基板製のスイッチ基板に摺接させるような構成としても良い。また弾性体としてはコイルバネの代わりに板バネやゴム状弾性体などを用いても良い。また可動接点や固定接点として、金属板以外の各種接点を用いても良い。また上記実施形態では固定接点板とフレキシブル回路基板である接点接続部205の間に他の導電部材(コイルバネと固定接点接続体)を介在したが、その代わりに両者を直接接続する構成としても良い。また回転体の上面に別途操作つまみのような操作体を取り付けても良い。
【0044】
また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0045】
1 押圧スイッチ付き回転式電子部品
40 回転体
45 開口
70 ケース
100 可動接点板(可動接点)
130 取付体
150 固定接点板(固定接点)
170 支持部材
200 回転検出部
203 引出部(フレキシブル回路基板)
205 接点接続部(フレキシブル回路基板)
240 コイルバネ(他の導電部材)
250 固定接点接続体(他の導電部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8