(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】光散乱検出器及び光散乱検出器のサンプルセル
(51)【国際特許分類】
G01N 21/05 20060101AFI20230705BHJP
G01N 21/01 20060101ALI20230705BHJP
G01N 21/53 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
G01N21/05
G01N21/01 B
G01N21/53 Z
(21)【出願番号】P 2020522343
(86)(22)【出願日】2019-01-02
(86)【国際出願番号】 US2019012090
(87)【国際公開番号】W WO2020142094
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-11-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520132377
【氏名又は名称】エム アンド ジェイ サイエンティフィック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイニー マックス
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー マイケル ピー.
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】渡戸 正義
【審判官】伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/137750(WO,A1)
【文献】特開昭49-105585(JP,A)
【文献】特開昭49-90584(JP,A)
【文献】独国特許発明第3630292(DE,C)
【文献】SLOOT P M A , et al.,Elastic light scattering from nucleated blood cells: rapid numerical analysis,APPLIED OPTICS,1986年10月1日,Vol.25,No.19,pp.3559-3565
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00-G01N21/61
G01N30/74
B01L1/00-B01L99/00
B01D15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体であって、該本体を通して延在する流路を画定し、前記流路は第1の外側セクションと第2の外側セクションとの間に挿入される円柱内側セクションを備える、本体を備え、
前記本体は、前記内側セクションと流体連通状態にある入口を画定し、前記入口は、前記流路の軸に垂直な方向に前記本体を通して延在し、前記入口は、前記流路の前記円柱内側セクションの中央に向けて前記本体を通して延在し、
前記本体は、光の反射を減衰させるように構成された材料から作製されており、
前記第1の外側セクションは円錐台状であり、前記第1の外側セクションの第1の端部分は、前記内側セクションと直接流体連通状態にあり、前記第1の外側セクションの第2の端部分における断面積より相対的に小さい断面積を有し、
前記第2の外側セクションは円錐台状であり、前記第2の外側セクションの第1の端部分は、前記内側セクションと直接流体連通状態にあり、前記第2の外側セクションの第2の端部分における断面積より相対的に小さい断面積を有する、光散乱検出器のサンプルセル。
【請求項2】
前記本体は、該本体を通して延在する第1の出口及び第2の出口を更に画定し、前記第1の出口及び前記第2の出口は、前記第1の外側セクション及び前記第2の外側セクションの前記それぞれの第2の端部分を廃棄ラインに流体結合させるように構成される、請求項1に記載のサンプルセル。
【請求項3】
前記本体は、該本体を通して軸方向に延在する第1の凹所を画定し、該第1の凹所は、前記第1の外側セクションと流体連通状態にあり、前記光散乱検出器の第1のレンズを収容するように構成される、請求項1に記載のサンプルセル。
【請求項4】
前記本体は、該本体を通して軸方向に延在する第2の凹所を画定し、該第2の凹所は、前記第2の外側セクションと流体連通状態にあり、前記光散乱検出器の第2のレンズを収容するように構成される、請求項3に記載のサンプルセル。
【請求項5】
前記本体は、該本体を通して半径方向に延在するアパーチャを画定し、該アパーチャは、前記流路の前記内側セクションと直接流体連通状態にある、請求項1に記載のサンプルセル。
【請求項6】
前記アパーチャ内に配設された光学的に透明な材料を更に備える、請求項5に記載のサンプルセル。
【請求項7】
光ビームを放射するように構成されるレーザーと、
本体を通して軸方向に延在する流路を画定する該本体を備えるサンプルセルであって、前記流路は、前記光ビームに整列した中心ラインを有し、前記流路は、第1の外側セクションと第2の外側セクションとの間に挿入される円柱内側セクションを備え、
前記第1の外側セクションは円錐台状であり、前記第1の外側セクションの第1の端部分は、前記内側セクションと直接流体連通状態にあり、前記第1の外側セクションの第2の端部分における断面積より相対的に小さい断面積を有し、
前記第2の外側セクションは円錐台状であり、前記第2の外側セクションの第1の端部分は、前記内側セクションと直接流体連通状態にあり、前記第2の外側セクションの第2の端部分における断面積より相対的に小さい断面積を有し、
前記本体は更に、前記内側セクションと流体連通状態にある入口を画定し、前記入口は、前記流路の前記中心ラインに垂直な方向に前記本体を通して半径方向に延在し、前記入口は、前記流路の前記円柱内側セクションの中央に向けて前記本体を通して延在し、前記入口は、前記流路の前記内側セクションにサンプルを方向付けるように構成される、
サンプルセルと、
前記サンプルセルに動作可能に結合され、前記サンプルセルから放射された散乱光を受信するように構成される少なくとも1つの検出器と、
を備える、光散乱検出器。
【請求項8】
前記光散乱検出器は、第1のレンズ及び第2のレンズを更に備え、前記第1のレンズは前記流路の前記第1の外側セクションに隣接して配設され、前記第2のレンズは前記流路の前記第2の外側セクションに隣接して配設される、請求項7に記載の光散乱検出器。
【請求項9】
前記光散乱検出器は、第1のミラー及び第1の検出器を更に備え、前記第1のミラーは前記第1のレンズに近接して配設され、前記サンプルセルからの前方散乱光を前記第1の検出器に反射させるように構成される、請求項8に記載の光散乱検出器。
【請求項10】
前記光散乱検出器は、第2のミラー及び第2の検出器を更に備え、前記第2のミラーは前記第2のレンズに近接して配設され、前記サンプルセルからの後方散乱光を前記第2の検出器に反射させるように構成される、請求項9に記載の光散乱検出器。
【請求項11】
前記本体は、該本体を通して半径方向に延在するアパーチャを画定し、該アパーチャは、前記流路の前記内側セクションと直接流体連通状態にある、請求項7に記載の光散乱検出器。
【請求項12】
前記アパーチャ内に配設され、前記サンプルセルからの直角散乱光を受信するように構成される第3の検出器を更に備える、請求項11に記載の光散乱検出器。
【請求項13】
前記本体は、該本体を通して延在する第1の出口及び第2の出口を更に画定し、該第1の出口及び該第2の出口は、前記第1の外側セクション及び第2の外側セクションの前記それぞれの第2の端部分を廃棄ラインに流体結合させるように構成される、請求項7に記載の光散乱検出器。
【請求項14】
請求項7に記載の光散乱検出器を使用する方法であって、
前記レーザーからの前記光ビームを、前記サンプルセルの前記流路にかつ前記流路を通して放射することと、
前記サンプルセルの前記入口を介して前記流路の前記内側セクションにサンプルを流すことと、
前記サンプルの第1の部分を、前記内側セクションから前記第1の円錐台状外側セクションの前記第1の端部分から前記第2の端部分まで該第1の円錐台状外側セクションにかつ該第1の円錐台状外側セクションを通して流すことと、
前記サンプルの第1の部分を、第1の出口を介して前記第1の円錐台状外側セクションの前記第2の端部分から廃棄ラインまで流すことと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記サンプルの第2の部分を、前記内側セクションから、前記第2の外側セクションの前記第1の端部分から前記第2の端部分まで該第2の円錐台状外側セクションにかつ該第2の円錐台状外側セクションを通して流すことであり、前記第2の外側セクションは円錐台状であり、前記第2の外側セクションの第1の端部分は、前記内側セクションと直接流体連通状態にあり、前記第2の外側セクションの第2の端部分における断面積より相対的に小さい断面積を有している、流すことと、
前記サンプルの前記第2の部分を、第2の出口を介して前記第2の円錐台状外側セクションの前記第2の端部分から前記廃棄ラインまで流すことと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記流路から放射された前方散乱光を第1のミラーによって第1の検出器に方向付けることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記流路から放射された後方散乱光を第2のミラーによって第2の検出器に方向付けることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記流路から放射された直角散乱光を第3の検出器に方向付けることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記入口は、前記内側セクションの中心にサンプルを方向付けるように構成される、請求項1に記載のサンプルセル。
【請求項20】
前記第1の外側セクション及び前記第2の外側セクションは、長さ、テーパー角度、形状及びサイズに関して実質的に同じである、請求項1に記載のサンプルセル。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来の光散乱検出器は、しばしば、クロマトグラフィー技法と連携して利用されて、溶液中に懸濁された種々の分子又は溶質の1つ以上の物理的属性又は特徴を特定する。例えば、光散乱検出器は、しばしば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)とともに利用されて、種々のポリマーの分子重量及び回転半径を特定する。光散乱検出器において、分子(例えば、ポリマー)を含むサンプル又は流出物は、サンプルセルを通して入口からサンプルセルの対向端に配設された出口まで流される。流出物は、サンプルセルを通って流されるときに、コリメートされた光ビーム(例えば、レーザー)によって照射される。光ビームと流出物のポリマーとの相互作用は散乱光を生成する。散乱光は、その後、強度及び角度等の様々な属性について測定及び分析されて、ポリマーの物理的特徴を特定する。
【0002】
従来の光散乱検出器は、多種多様の分子の物理的属性を特定するのに有効であることが分かっているが、小さい分子を分析するその能力が制限される。例えば、従来の光散乱検出器は、しばしば、約10nm未満の回転半径を有する分子のRgを測定するための感度及び/又は分解能に欠ける。上記を考慮して、従来の光散乱検出器は、しばしば、比較的大きいパワー又はエネルギーを有するレーザーを組み込んで、検出器の感度を上げる。しかしながら、より大きいパワーを有するレーザーを組み込むことは、法外な費用がかかり、また、レーザーのフットプリントが比較的大きいため、より大きい機器をしばしば必要とする。代替的に、従来の光散乱検出器内のサンプルセルの体積は、散乱光の強度を増すために増加され得る。しかしながら、従来のサンプルセルの体積を増加させることは、過剰なピークの幅広化をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、改良型光散乱検出器、及び、改良型光散乱検出器のサンプルセル、及び、ピークの幅広化を増加させることなく、光散乱検出器の感度及び/又は分解能を増す方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本概要は、本開示の1つ以上の実装態様の幾つかの態様の簡略化した概要を導入することを単に意図される。本開示の利用可能性の更なる範囲は、以降で提供される詳細な説明から明らかになる。本概要は、広範な概略でもなく、本概要は、本教示の主要な又は極めて重要な要素を特定することも、本開示の範囲を詳しく説明することも意図されない。むしろ、その目的は、単に、以下の詳細な説明に対する前置きとして簡略化した形態で1つ以上の概念を提示することである。
【0005】
本開示において具現化される上記の態様及び有用性及び/又は他の態様及び有用性は、光散乱検出器のサンプルセルを提供することによって達成することができる。サンプルセルは、本体を通して軸方向に延在する流路を画定する当該本体を備えることができる。流路は、第1の外側セクションと第2の外側セクションとの間に挿入される円柱内側セクションを備えることができる。第1の外側セクションは円錐台状とすることができ、第1の外側セクションの第1の端部分は、内側セクションと直接流体連通状態にあることができ、第1の外側セクションの第2の端部分における断面積より相対的に小さい断面積を有することができる。本体は、内側セクションと直接流体連通状態にあり、サンプルを流路の内側セクションに方向付けるように構成される入口を更に画定することができる。
【0006】
少なくとも1つの実装態様において、第2の外側セクションは円錐台状であり、第2の外側セクションの第1の端部分は、内側セクションと直接流体連通状態にあり、第2の外側セクションの第2の端部分における断面積より相対的に小さい断面積を有する。
【0007】
少なくとも1つの実装態様において、本体は、当該本体を通して延在する第1の出口及び第2の出口を更に画定し、第1の出口及び第2の出口は、第1の外側セクション及び第2の外側セクションのそれぞれの第2の端部分を廃棄ラインに流体結合させるように構成される。
【0008】
少なくとも1つの実装態様において、本体は、当該本体を通して軸方向に延在する第1の凹所を画定し、第1の凹所は、第1の外側セクションと流体連通状態にあり、光散乱検出器の第1のレンズを収容するように構成される。
【0009】
少なくとも1つの実装態様において、本体は、当該本体を通して軸方向に延在する第2の凹所を画定し、第2の凹所は、第2の外側セクションと流体連通状態にあり、光散乱検出器の第2のレンズを収容するように構成される。
【0010】
少なくとも1つの実装態様において、本体は、当該本体を通して半径方向に延在するアパーチャを画定し、アパーチャは、流路の内側セクションと直接流体連通状態にある。
【0011】
少なくとも1つの実装態様において、サンプルセルは、アパーチャ内に配設された光学的に透明な材料を更に備える。
【0012】
本開示において具現化される上記の態様及び有用性及び/又は他の態様及び有用性は、光散乱検出器を提供することによって達成することができる。光散乱検出器は、光ビームを放射するように構成されるレーザーと;本体を通して軸方向に延在する流路を画定する当該本体を備えるサンプルセルとを備えることができ、流路は、光ビームに整列した中心ラインを有し、流路は、第1の外側セクションと第2の外側セクションとの間に挿入される円柱内側セクションを備える。第1の外側セクションは円錐台状であり、第1の外側セクションの第1の端部分は、内側セクションと直接流体連通状態にあり、第1の外側セクションの第2の端部分における断面積より相対的に小さい断面積を有する。本体は、内側セクションと直接流体連通状態にあり、流路の内側セクションにサンプルを方向付けるように構成される入口を更に画定する。光散乱検出器は、サンプルセルに動作可能に結合され、サンプルセルから放射された散乱光を受信するように構成される少なくとも1つの検出器も備えることができる。
【0013】
少なくとも1つの実装態様において、第2の外側セクションは円錐台状であり、第2の外側セクションの第1の端部分は、内側セクションと直接流体連通状態にあり、第2の外側セクションの第2の端部分における断面積より相対的に小さい断面積を有する。
【0014】
少なくとも1つの実装態様において、光散乱検出器は、第1のレンズ及び第2のレンズを備えることができ、第1のレンズは流路の第1の外側セクションに隣接して配設され、第2のレンズは流路の第2の外側セクションに隣接して配設される。
【0015】
少なくとも1つの実装態様において、光散乱検出器は、第1のミラー及び第1の検出器を更に備え、第1のミラーは第1のレンズに近接して配設され、サンプルセルからの前方散乱光を第1の検出器に反射させるように構成される。
【0016】
少なくとも1つの実装態様において、光散乱検出器は、第2のミラー及び第2の検出器を更に備えることができ、第2のミラーは第2のレンズに近接して配設され、サンプルセルからの後方散乱光を第2の検出器に反射させるように構成される。
【0017】
少なくとも1つの実装態様において、本体は、当該本体を通して半径方向に延在するアパーチャを画定し、アパーチャは、流路の内側セクションと直接流体連通状態にある。
【0018】
少なくとも1つの実装態様において、光散乱検出器は、アパーチャ内に配設され、サンプルセルからの直角散乱光を受信するように構成される第3の検出器を更に備えることができる。
【0019】
少なくとも1つの実装態様において、本体は、当該本体を通して延在する第1の出口及び第2の出口を更に画定し、第1の出口及び第2の出口は、第1の外側セクション及び第2の外側セクションのそれぞれの第2の端部分を廃棄ラインに流体結合させるように構成される。
【0020】
本開示において具現化される上記の態様及び有用性及び/又は他の態様及び有用性は、本明細書で開示される光散乱検出器のうちの任意の光散乱検出器を使用する方法を提供することによって達成することができる。方法は、レーザーからの光ビームを、サンプルセルの流路にかつ流路を通して放射することと、サンプルセルの入口を介して流路の内側セクションにサンプルを流すことと、サンプルの第1の部分を、内側セクションから、第1の円錐台状外側セクションの第1の端部分から第2の端部分まで第1の円錐台状外側セクションにかつ第1の円錐台状外側セクションを通して流すことと、サンプルの第1の部分を、第1の出口を介して第1の円錐台状外側セクションの第2の端部分から廃棄ラインまで流すこととを含むことができる
【0021】
少なくとも1つの実装態様において、方法は、サンプルの第2の部分を、内側セクションから、第2の円錐台状外側セクションの第1の端部分から第2の端部分まで第2の円錐台状外側セクションにかつ第2の円錐台状外側セクションを通して流すことと、サンプルの第2の部分を、第2の出口を介して第2の円錐台状外側セクションの第2の端部分から廃棄ラインまで流すこととを更に含むことができる。
【0022】
少なくとも1つの実装態様において、方法は、流路から放射された前方散乱光を第1のミラーによって第1の検出器に方向付けることも含むことができる。
【0023】
少なくとも1つの実装態様において、方法は、流路から放射された後方散乱光を第2のミラーによって第2の検出器に方向付けることを更に含むことができる。
【0024】
少なくとも1つの実装態様において、方法は、流路から放射された直角散乱光を第3の検出器に方向付けることを含むことができる。
【0025】
本開示の利用可能性の更なる範囲は、以降で提供される詳細な説明から明らかになる。詳細な説明及び特定の例が、本開示の幾つかの典型的な態様を示しながら、単に例証のために意図され、本開示の範囲を制限することを意図されないことが理解されるべきである。
【0026】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の様々な実装態様を示す。本開示の実装態様におけるこれらの態様及び利点及び/又は他の態様及び利点は、添付図面と併せた、種々の実装態様の以下の説明から明らかになるとともにより容易に認識される。図面の一部の詳細が、簡略化されており、厳密な構造的精度、詳細、及び縮尺を維持するためにではなく本開示の理解を容易にするために描かれていることが留意されるべきである。これらの図面/図は、制限的ではなく、例示的であることを意図される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】開示される1つ以上の実装態様による、例示的なサンプルセルを含む例示的な光散乱検出器の概略図である。
【
図1B】開示される1つ以上の実装態様による、
図1Aの例示的なサンプルセルの概略図である。
【
図1C】開示される1つ以上の実装態様による、分析物(analyte)散乱光がない
図1Aの例示的なサンプルセルの概略図である。
【
図1D】開示される1つ以上の実装態様による、
図1Cにおいて1Dとラベル付けされたボックスで示すサンプルセルの部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
種々の典型的な態様(複数の場合もある)の以下の説明は、単に本質的に例示であり、本開示、その適用、又は使用を制限することを決して意図しない。
【0029】
本開示全体を通して使用されるとき、範囲は、その範囲内にあるそれぞれの又は全ての値を述べるために省略表現として使用される。範囲フォーマットでの記述が、便宜のためまた簡潔にするためのものにすぎず、本明細書で開示する任意の実施形態又は実装態様の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきでないことが認識されるとともに理解されるべきである。したがって、開示される範囲は、その範囲内の考えられる全ての部分範囲及び個々の数値を具体的に開示しているものと考えられるべきである。したがって、その範囲内の任意の値は、その範囲の終端として選択することができる。例えば、1~5等の範囲の記述は、1.5~3、1~4.5、2~5、3.1~5等のような部分範囲、及び、その範囲内の個々の数値、例えば1、2、3、3.2、4、5等を具体的に開示しているものと考えられるべきである。これは、範囲の幅によらず当てはまる。
【0030】
さらに、全ての数値は、「約(about)」又は「ほぼ(approximately)」示す値であり、当業者であれば予想される実験的誤差及び変動を考慮したものである。本明細書で開示される全ての数値及び範囲は、「約」がその数値及び範囲とともに使用されるか否かによらず、近似の値及び範囲であることが認識されるべきである。数値とともに本明細書で使用される用語「約」は、その数値の±0.01%(両端の数値を含む)、±0.1%(両端の数値を含む)、±0.5%(両端の数値を含む)、±1%(両端の数値を含む)、その数値の±2%(両端の数値を含む)、その数値の±3%(両端の数値を含む)、その数値の±5%(両端の数値を含む)、その数値の±10%(両端の数値を含む)、又はその数値の±15%(両端の数値を含む)とすることができる値を指すことも認識されるべきである。或る数値範囲が本明細書で開示されるとき、その範囲に入る任意の数値もまた具体的に開示されることが更に認識されるべきである。
【0031】
本明細書で引用される全ての参考文献は、引用することによりその全体の内容が本明細書の一部をなす。本開示の定義及び引用される参考文献の定義において不一致がある場合、本開示が統括する。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語又は表現「感度(sensitivity)」は、信号対雑音比を指すことができる。レーザーパワーを増加させることが必ずしも感度を改善しないことが当業者によって認識されるべきである。
【0033】
図1Aは、1つ以上の実装態様による、例示的なサンプルセル102を備える例示的な光散乱検出器(LSD:light scattering detector)100の概略図を示す。LSD100は、サンプル源又はデバイス104に動作可能に結合し、サンプル源又はデバイス104からのサンプル又は流出物を受け取ることが可能である又は受け取るように構成することができる。例えば、
図1Aに示すように、LSD100は、ライン106を介してサンプル源又はデバイス104に流体結合し、サンプル源又はデバイス104からの流出物を受け取るように構成することができる。例証的なサンプル源又はデバイス104は、サンプル又は溶離液の1つ以上の分析物を互いから分離することが可能である又は分離するように構成されるクロマトグラフィー機器を含むことができるが、それに限定されない。例えば、サンプル源又はデバイス104は、溶離液の分析物を、それらの分析物のそれぞれの電荷(例えば、イオン交換クロマトグラフィー)、サイズ(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー又はゲル浸透クロマトグラフィー)等に基づいて、互いから分離することが可能である又は分離するように構成される液体クロマトグラフィー機器とすることができる。例示的な実装態様において、LSD100は、分析物を、それらの分析物のそれぞれのサイズに基づいて、互いから分離するように構成される液体クロマトグラフィー機器に動作可能に結合される。例えば、LSD100は、ゲル浸透クロマトグラフィーカラムを備える液体クロマトグラフィー機器に動作可能に結合される。
【0034】
LSD100は、例示的なサンプルセル102、レーザー108等のコリメートされた光ビーム源、及び、互いに動作可能に結合された1つ以上の検出器110、112、114(3つが示される)を含むことができる。検出器110、112、114は、分析物散乱光を受信することが可能である又は受信するように構成される任意の適した検出器とすることができる。例えば、検出器110、112、114のうちの任意の1つ以上の検出器は、シリコン光検出器等の光検出器とすることができる。LSD100は、LSD100を通して透過された光を屈折、集束、減衰させる、及び/又は収集することが可能である又はそうするように構成される1つ以上のレンズ116、118、120、122、124(5つが示される)、及び、LSD100を通して透過された光を反射させる又は再方向付けすることが可能である又はそうするように構成される1つ以上のミラー126、128(2つが示される)を備えることができる。
【0035】
少なくとも1つの実装態様において、第1のレンズ116及び第2のレンズ118は、サンプルセル102の対向する側面に配設し、レンズを通して透過された光を屈折、集束、減衰させる、及び/又は収集するように構成することができる。別の実装態様において、サンプルセル102の本体130が、第1のレンズ116及び第2のレンズ118を収容するように構成される凹所132、134を画定することができる。例えば、
図1Aに示し、
図1Bに詳細に更に示すように、サンプルセル102の本体130は、本体130を通して長手方向に又は軸方向に延在し、第1のレンズ116及び第2のレンズ118をそれぞれ収容するように構成される第1の凹所132及び第2の凹所134を画定することができる。
図1A及び
図1Bに示すように、第1のレンズ116及び第2のレンズ118のそれぞれは、レンズのそれぞれの第1の又は外側の端部分136、138に沿って凸表面を画定することができる。第1のレンズ116及び第2のレンズ118の第1の端部分136、138は、凸表面を画定するものとして示されるが、第1のレンズ116及び第2のレンズ118のそれぞれの第1の端部分136、138のうちの任意の第1の端部分が、代替的に平坦表面を画定することができることが認識されるべきである。
図1Aに更に示すように、第1のレンズ116及び第2のレンズ118のそれぞれは、レンズのそれぞれの第2の又は内側の端部分140、142に沿って平坦表面を画定することができる。本明細書で更に述べるように、第1のレンズ116及び第2のレンズ118のそれぞれの第2の端部分140、142は、サンプルセル102を通して延在するチャネル又は流路144をシールする及び/又は少なくとも部分的に画定することができる。
【0036】
レーザー108は、十分な波長及び/又はパワーを有する光ビーム146を提供することが可能である又は提供するように構成される任意の適したレーザーとすることができる。例えば、レーザー108は、ダイオードレーザー、固体レーザー等とすることができる。レーザー108は、サンプルセル102を通して光ビーム146を放射するように構成することができる。例えば、
図1Aに示すように、レーザー108は、レーザー108から放射された光ビーム146がサンプルセル102を通して透過されるようにLSD100の周りに配置又は配設することができる。
図1Aに更に示すように、第3のレンズ120を、サンプルセル102とレーザー108との間に挿入し、サンプルセル102にかつサンプルセル102を通して方向付けられる光ビーム146を集束させるように構成することができる。
【0037】
少なくとも1つの実装態様において、ミラー126、128のうちの少なくとも一方は、それぞれの検出器110、112に関連付け、それぞれの検出器110、112に向かって光(例えば、散乱光又は分析物散乱光)を反射させる又は再方向付けするように構成することができる。例えば、
図1Aに示すように、第1のミラー126は、第1のレンズ116に近接して配設し、第1のレンズ116からの光の少なくとも一部分を第1の検出器110に向かって反射させるように構成することができる。別の例において、第2のミラー128は、第2のレンズ118に近接して配設し、及び/又は、第2のレンズ118と第3のレンズ120との間に挿入し、第2のレンズ118からの光の少なくとも一部分を第2の検出器112に向かって反射させるように構成することができる。少なくとも1つの実装態様において、1つ以上のレンズ122、124は、第1のミラー126及び第2のミラー128と第1の検出器110及び第2の検出器112との間に挿入して、ミラー126、128からの光を集束、屈折させる、又は別の方法で検出器110、112に方向付けることができる。例えば、
図1Aに示すように、第4のレンズ122を、第1の検出器110と第1のミラー126との間に挿入することができ、第5のレンズ124を、第2の検出器112と第2のミラー128との間に挿入することができる。
【0038】
少なくとも1つの実装態様において、検出器110、112、114のうちの少なくとも1つの検出器は、ミラー126、128のうちの一方の助け又は反射なしでサンプルセル102からの光(例えば、散乱光又は分析物散乱光)を受信するように構成することができる。例えば、
図1A及び
図1Bに示すように、第3の検出器114を、サンプルセル102に隣接して配設するか又はサンプルセル102に結合し、光ビーム146に対して約90度の角度をなす、サンプルセル102からの光(例えば、散乱光)を受信するように構成することができる。本明細書で更に論じるように、光学的に透明な材料又は第6のレンズ186を、散乱光を第3の検出器114に向けて屈折させるか又は方向付けるように構成することができる。
【0039】
図1Aに示すように、サンプルセル102、第1のレンズ116、第2のレンズ118、及び第3のレンズ120、並びに、第1のミラー126及び第2のミラー128は、レーザー108によって放射される光ビーム146の方向に沿って平行に、同軸に、又は別の方法で互いに整列して配設することができる。
図1Aに更に示すように、第1の検出器110及び第2の検出器112のそれぞれは、レーザー108によって放射される光ビーム146の略垂直な方向において、それぞれのミラー126、128からの光(例えば、散乱光又は分析物散乱光)を受信するように配設又は位置決めすることができる。第1のミラー126及び第2のミラー128のそれぞれは、ミラーを通って延在するそれぞれのボア又は通路150、152を画定することができる。例えば、第1のミラー126は、光ビーム146に平行な、同軸な、又は別の方法で光ビーム146に整列する方向において、第1のミラー126を通して延在するボア150を画定することができる。同様に、第2のミラー128は、光ビーム146に平行な、同軸な、又は別の方法で光ビーム146に整列する方向において、第2のミラー128を通して延在するボア152を画定することができる。レーザー108から放射された光ビーム146が第1のミラー126及び第2のミラー128を透過し、それにより、光ビーム146が第1の検出器110及び第2の検出器112に向かって反射することを防止することを、それぞれのミラー126、128を通って延在するボア150、152が可能にすることができることが認識されるべきである。
【0040】
図1Dは、1つ以上の実装態様による、
図1Cの1Dとラベル付けされたボックスで示す例示的なLSD100の部分の拡大図を示す。上記で論じたように、サンプルセル102の本体130は、本体130を通して延在するチャネル又は流路144を少なくとも部分的に画定することができる。例えば、
図1Dに示すように、本体130の内側表面154は、本体130を通して延在する流路144を少なくとも部分的に画定することができる。流路144はサンプルセル102の体積を画定することができる。流路144は、流路144を通して延在する中心軸又は中心ライン156を含み、流路144の全体的な向きを規定するように構成することができる。
図1Bに示すように、流路144及びその中心軸156は、レーザー108から放射された光ビーム146に整列する又は同軸であるとすることができる。サンプルセル102の流路144は、第1のレンズ116と第2のレンズ118との間に挿入することができる。少なくとも1つの実装態様において、第1のレンズ116及び第2のレンズ118は、サンプルセル102の本体130に本体130の対向する側面上で密閉式に係合し、それにより、本体130とそれぞれの第1のレンズ116及び第2のレンズ118との間の界面を介する流路144からのサンプル又は流出物の流れを防止することができる。別の実装態様において、シール(例えば、ガスケット、Oリング等)(図示せず)を、本体130と第1のレンズ116及び第2のレンズ118との間に配設して、両者の間に液密シールを提供することができる。
【0041】
流路144は、流路144の中心ライン156に沿って配設された内側セクション158及び2つの外側セクション160、162を含むことができる。
図1Dに示すように、内側セクション158は、2つの外側セクション160と162との間に挿入することができる。内側セクション158は、サンプル源104に流体結合し、サンプル源104からのサンプル又は流出物を受け取るように構成することができる。例えば、
図1Aを引き続き参照しながらだと
図1Dに示されるように、サンプルセル102の本体130は、本体130を通して延在する入口164を画定し、ライン106を介してサンプル源104を内側セクション158に流体結合させるように構成することができる。好ましい実装態様において、入口164は、サンプル源104からのサンプルが、流路144又は流路144の内側セクション158の中央又は中心に方向付けられるように構成される。
【0042】
少なくとも1つの実装態様において、内側セクション158は、円柱とするか又は円柱体積を画定することができ、また、円形断面プロファイルを有することができる。しかしながら、断面プロファイルを任意の適した形状及び/又はサイズで示すことができることが認識されるべきである。例えば、断面プロファイルは、楕円形、角丸長方形等の長方形等とすることができる。内側セクション158は、任意の適した寸法を有することができる。少なくとも1つの実装態様において、内側セクション158は、約4mm~約12mm又はそれより大きい、2つの外側セクション160と162との間に延在する長さを有することができる。例えば、内側セクション158は、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、又は約7.5mmから、約8.5mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm又はそれより大きい長さまでの長さを有することができる。別の例において、内側セクション158は、約4mm~約12mm、約5mm~約11mm、約6mm~約10mm、約7mm~約9mm、又は約7.5mm~約8.5mmの長さを有することができる。好ましい実装態様において、内側セクション158は、約7mm~約9mm、好ましくは約7.5mm~約8.5mm、より好ましくは約8mmの長さを有することができる。少なくとも1つの実装態様において、内側セクション158は、約1.2mm~約2.0mm又はそれより大きい直径を有することができる。例えば、内側セクション158は、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、又は約1.55mmから、約1.65mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2.0mm又はそれより大きい直径までの直径を有することができる。別の例において、内側セクション158は、約1.2mm~約2.0mm、約1.3mm~約1.9mm、約1.4mm~約1.8mm、約1.5mm~約1.7mm、又は約1.55mm~約1.65mmの直径を有することができる。好ましい実装態様において、内側セクション158は、約1.5mm~約1.7mm、好ましくは約1.55mm~約1.65mm、より好ましくは約1.6mmの直径を有することができる。
【0043】
流路144の外側セクション160、162は、内側セクション158と流体結合し、内側セクション158からのサンプル又は流出物を受け取るように構成することができる。少なくとも1つの実装態様において、第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162のうちの少なくとも一方は、円柱とするか又は円柱体積を画定することができ、また、円形断面プロファイルを有することができる。例えば、第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162のうちの少なくとも一方は、
図1Dの内側セクション158と同様にサイズ決定し、形作ることができる。別の実装態様において、第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162のうちの少なくとも一方は、外側セクションのそれぞれの第1の端部分又は入口166、168の断面積を、外側セクションのそれぞれの第2の端部分又は出口170、172の断面積より相対的に小さくすることができるように円錐状又は円錐台状とすることができる。好ましい実装態様において、第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162はともに、円錐台状とするか又は円錐台を画定することができ、それぞれの第1の端部分又は入口166、168は内側セクション158からのサンプルを受け取るように構成され、それぞれの第2の端部分又は出口170、172は、サンプルを廃棄ライン174(
図1A参照)に送出するように構成される。
【0044】
本体130の内側表面154は、第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162のそれぞれのテーパー角度(θ
1,θ
2)を少なくとも部分的に規定することができる。例えば、
図1Dに示すように、流路144の第1の外側セクション160を規定又は形成する内側表面154の部分及び流路144の中心ライン156は第1の外側セクション160のそれぞれのテーパー角度(θ
1)を規定することができる。別の例において、流路144の第2の外側セクション162を規定又は形成する内側表面154の部分及び流路144の中心ライン156は第2の外側セクション162のそれぞれのテーパー角度(θ
2)を規定することができる。第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162は、LSD100及びその検出器110、112、114が、任意の所望の角度で散乱光を受信することを可能にすることが可能である又は受信するように構成される任意のテーパー角度(θ
1,θ
2)を有することができる。
図1Dは、互いに相対的に等しい第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162のテーパー角度(θ
1,θ
2)を示すが、テーパー角度(θ
1,θ
2)のうちの一方が他方より相対的に大きいとすることができることが認識されるべきである。第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162の任意の1つ以上の属性(例えば、長さ、テーパー角度、直径、形状、サイズ等)が異なるとすることができることが更に認識されるべきである。好ましい実装態様において、第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162の属性(例えば、長さ、テーパー角度、直径、形状、サイズ等)は同じ又は実質的に同じである。
【0045】
外側セクション160、162のそれぞれは廃棄ライン174に流体結合することができる。例えば、
図1A及び
図1Dに示すように、本体130は、第1の出口176及び第2の出口178を画定することができ、第1の出口176及び第2の出口178は、本体130を通して延在し、第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162をそれぞれ第1の出口ライン180及び第2の出口ライン182を介して廃棄ライン174に流体結合するように構成される。
図1Dに更に示すように、第1の出口176及び第2の出口178は、外側セクション160、162のそれぞれの第2の端部分170、172に流体結合することができる。入口164並びに第1の出口176及び第2の出口178の向き(例えば、円周の向き)又はロケーションが変動することができることが認識されるべきである。例えば、入口164は、第1の出口176及び第2の出口178のうちの少なくとも一方に円周方向に整列することができる。別の例において、入口164は、第1の出口176及び第2の出口178のうちの少なくとも一方から円周方向にオフセットすることができる。更に別の例において、第1の出口176及び第2の出口178は、互いに円周方向に整列するか、又は、互いに円周方向にオフセットすることができる。
【0046】
図1Dに示すように、サンプルセル102の本体130は、アパーチャ184を画定することができ、アパーチャ184は、本体130の少なくとも一部分を通して延在し、内側セクション158からの光(例えば、散乱光)が第3の検出器114に方向付けられるか又は透過することを可能にするように構成される。アパーチャ184は、石英結晶等の光学的に透明な材料186でシールされ、それにより、内側セクション158からの光が第3の検出器114に方向付けられることを可能にすることができる。
図1B及び
図1Dに示す例示的な実装態様において、光学的に透明な材料186は、第3の検出器114に向けて光の一部分を屈折させるように形作ることができる。例えば、光学的に透明な材料186は、アパーチャ184をシールし、第3の検出器114に向けて光を少なくとも部分的に屈折させるように構成される第6のレンズ(例えば、ボールレンズ)とすることができる。
【0047】
本体130は、任意の適した材料を含むことができるか又は任意の適した材料から作製することができる。本体130は、本体130の内側表面154が光の反射を減衰させるように構成することができる。例えば、本体130は非反射性材料から作製することができる。別の例において、本体130を、反射性材料から少なくとも部分的に作製し、非反射性材料で少なくとも部分的にコーティングすることができる。少なくとも1つの実装態様において、サンプルセル102は、黒石英等の石英から作製することができる。例示的な実装態様において、本体130は、ポリマーを含むことができるか又はポリマーから作製することができる。例証的なポリマーは、ポリオレフィンベースポリマー、アクリルベースポリマー、ポリウレタンベースポリマー、エーテルベースポリマー、ポリエステルベースポリマー、ポリアミドベースポリマー、ホルムアルデヒドベースポリマー、シリコンベースポリマー、その任意のコポリマー、又はその任意の組み合わせとするか又はそれを含むことができるが、それに限定されない。例えば、ポリマーは、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、TORLON(登録商標)、ポリアミドイミド、ポリエチレン(PE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(1-ブテン)、ポリ(4-メチルペンテン)、ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、エチレン-メタクリル酸コポリマー、スチレン-ブタジエンゴム、テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカルバゾール、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリジヒドロキシメチルシクロヘキシルテレフタレート、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、その任意のコポリマー、又はその任意の組み合わせを含むことができるが、それに限定されない。ポリマーは、エラストマー又はエラストマー材料、合成ゴム等とするか又はそれを含むことができるが、それに限定されない。例証的なエラストマー材料及び合成ゴムは、VITON(登録商標)、ニトリル、ポリブタジエン、アクリロニトリル、ポリイソプレン、ネオプレン、ブチルゴム、クロロプレン、ポリシロキサン、スチレン-ブタジエンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、その任意のコポリマー、又はその任意の組み合わせを含むことができるが、それに限定されない。
【0048】
LSD100の例示的な動作において、
図1A~
図1Dを継続して参照すると、サンプル源104(例えば、ゲル浸透クロマトグラフィーカラムを備える液体クロマトグラフ)は、サンプル又は流出物(例えば、希薄ポリマー溶液)をライン106及び入口164を介してサンプルセル102の流路144にかつ流路144を通して注入するか又は方向付けることができる。
図1Dに示すように、サンプル源104からのサンプルは、サンプルセル102の流路144又は内側セクション158の中心又は中央に向けて方向付けることができる。サンプルが内側セクション158の中心に流れるとき、サンプルの流れを、サンプルの第1の部分が第1の外側セクション160に向かって流れ、サンプルの第2の部分が第2の外側セクション162に向かって流れるように分割することができる。第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162内のサンプルの部分は、その後、それぞれ、第1の出口176及び第2の出口178並びに第1の出口ライン180及び第2の出口ライン182を介してサンプルセル102から出て廃棄ライン174に方向付けることができる。
【0049】
第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162を通るサンプルの流量は、第1の出口ライン180及び第2の出口ライン182のそれぞれの長さを調整することによって、修正又は調整する(すなわち、増加又は減少させる)ことができる。少なくとも1つの実装態様において、第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162を通るサンプルの第1の部分及び第2の部分の流量は、同じ又は実質的に同じとすることができる。例えば、第1の外側セクション160を通るサンプルの第1の部分の流量は第2の外側セクション162を通るサンプルの第2の部分の流量と同じ又は実質的に同じである。別の実装態様において、第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162を通るサンプルの第1の部分及び第2の部分の流量は異なるとすることができる。しかしながら、第1の外側セクション160及び第2の外側セクション162を通る流量が異なる場合、時間補正を適用することができることが認識されるべきである。
【0050】
サンプルがサンプルセル102の流路144を通って流れるとき、レーザー108は、第2のミラー128のボア152を介して流路144の中心ライン156に沿ってかつ中心ライン156を通して光ビーム146を放射することができる。
図1Aに示す少なくとも1つの実装態様において、光ビーム146は、第3のレンズ120を通して透過することができ、第3のレンズ120は、光ビーム146を、流路144の中心ライン156に沿って少なくとも部分的に集束させることができる。別の実装態様において、第3のレンズ120を省略することができる。少なくとも1つの実装態様において、任意選択的なスクリーン又はダイアフラム188を、レーザー108とサンプルセル102との間に配設し、光ビーム146からの迷光(例えば、光輪(halo of light))を、「クリーンアップする(cleanup)」、分離する、又は別の方法でフィルタリングするように構成することができる。例えば、ダイアフラム188は、光ビーム146からの迷光をフィルタリング除去することが可能であるか又はフィルタリング除去するように構成されるホール又はアパーチャ(例えば、調整可能なアパーチャ/アイリス)を画定することができる。
【0051】
光ビーム146の少なくとも一部分は、レーザー108から、サンプルセル102、第1のレンズ116、第2のミラー128のボア152、及び/又は任意選択的なダイアフラム196にかつそれを通して進行又は透過することができる。例えば、光ビーム146の少なくとも一部分は、妨害されず又はサンプル内の分析物のいずれの分析物とも相互作用することなく、レーザー108から、サンプルセル102、第1のレンズ116、第2のミラー128のボア152、及び/又は任意選択的なダイアフラム188にかつそれを通して透過し得る。流路144を通して透過された光ビーム146の残りの部分は、サンプル内で懸濁、分散、又は別の方法で配される及び/又はサンプルセル102を通して流れる分析物と相互作用するか又は別の方法で接触し得る。
【0052】
光ビーム146とサンプル内の分析物との間の接触は散乱光又は分析物散乱ビーム190、192、194を生成又は誘発することができる(
図1A及び
図1B参照)。例えば、光ビーム146とサンプル内に含まれるか又はサンプルセル102の流路144を通って流れる分析物との間の接触は、前方分析物散乱ビーム190及び後方分析物散乱ビーム192を生成することができる。別の例において、光ビーム146とサンプル内に含まれるか又はサンプルセル102の流路144を通って流れる分析物との間の接触は、光ビーム146に略垂直な方向において直角散乱ビーム194を生成することができる。
【0053】
入口164を介した流路144の中心へのサンプルの流れにより、サンプルが光ビーム146と即座に相互作用することを可能になり、それにより、ピーク幅広化が最小になることが認識されるべきである。例えば、流路144の中心にサンプルを直接流すことは、サンプルセル102及びサンプルセル102の流路144の長さ又は体積の(例えば、側部又は軸方向において)少なくとも半分を通して流れることなく、サンプルが光ビーム146と相互作用することを可能にする。流路144の中心にサンプルを直接流すことは、サンプルが、光ビーム146と相互作用し、分析物散乱ビーム190、192、194を生成するために必要な時間量も最小にする。LSD100の1つ以上のコンポーネントが、流路144の中心から散乱された光のみが検出器110、112、114によって収集されるように構成されることが更に認識されるべきである。例えば、第1のレンズ116、第1のミラー、及び第4のレンズ122のうちの少なくとも1つは、流路144の中心から生じる前方光散乱190を流路144の他の領域から生じる前方光散乱190から分離するように構成することができ、それにより、第1の検出器110は、流路144の中心から生じる前方光散乱190のみを受信する。同様に、第2のレンズ116、第2のミラー128、及び第5のレンズ124のうちの少なくとも1つは、流路144の中心から生じる後方光散乱192を流路144の他の領域から生じる後方光散乱192から分離するように構成することができ、それにより、第2の検出器112は、流路144の中心から生じる後方光散乱192のみを受信する。
【0054】
図1Aに示すように、前方分析物散乱ビーム又は前方散乱光190は、第1のレンズ116、第1のミラー126、及び第4のレンズ122を介して第1の検出器110に向けて方向付けることができる。前方散乱光190の少なくとも一部分は、第1のレンズ116の第1の端部分136に沿って画定される凸表面によって少なくとも部分的に屈折することができる。
図1Aに示すように、前方散乱光190は、凸表面によって第1のミラー126に向かって屈折することができ、第1のミラー126は、前方散乱光190を、第4のレンズ122を介して第1の検出器110に向けて屈折させることができる。第4のレンズ122は、前方散乱光190を収集し、前方散乱光190を第1の検出器110に向けて方向付ける及び/又は集束させることができる。
【0055】
前方散乱光190は、レーザー108から放射された光ビーム146に対して0度より大きい値から90度より小さい値の様々な角度で散乱することができる。例えば、前方散乱光190は、0度より大きい値、約5度、約10度、約15度、約20度、約25度、約30度、約35度、約40度、又は約45度から、約50度、約55度、約60度、約65度、約70度、約75度、約80度、約85度、又は約90度より小さい値までの任意の角度で散乱することができる。別の例において、前方散乱光190は、レーザー108から放射された光ビーム146に対して約5度、約6度、約7度、約8度、約9度、又は約9.5度から、約10.5度、約11度、約12度、約13度、約14度、又は約15度までの任意の角度で散乱することができる。更に別の例において、前方散乱光190は、約5度~約15度、約6度~約14度、約7度~約13度、約8度~約12度、約9度~約11度、又は約9.5度~約10.5度の角度で散乱することができる。LSD100及びその任意のコンポーネントが0度より大きくかつ90度より小さい任意の角度で散乱した前方散乱光190を受信するように構成することができることが認識されるべきである。例えば、第1の検出器110、第1のレンズ116、第1のミラー126、第4のレンズ122、及び/又は任意の更なる任意選択的なダイアフラムの1つ以上の任意の属性(例えば、形状、ロケーション、向き等)は、第1の検出器110が前方散乱光190の任意の前方散乱光を受信できるように、調整、修正、又は別の方法で構成することができる。好ましい実装態様において、LSD100及びその第1の検出器110は、光ビーム146に対して約9度~約11度の角度で、好ましくは約9.5度~約10.5度の角度で、より好ましくは約10度の角度で前方散乱光190を受信又は収集するように構成される。
【0056】
図1Aに示すように、後方分析物散乱ビーム又は後方散乱光192は、第2のレンズ118、第2のミラー128、及び第5のレンズ124を介して第2の検出器112に向けて方向付けることができる。後方散乱光192の少なくとも一部分は、第2のレンズ118の凸表面によって少なくとも部分的に屈折することができる。
図1Aに示すように、後方散乱光192は、凸表面によって第2のミラー128に向かって屈折することができ、第2のミラー128は、後方散乱光192を、第5のレンズ124を介して第2の検出器112に向かって屈折することができる。第5のレンズ124は、後方散乱光192を収集し、後方散乱光192を第2の検出器112に向けて方向付ける及び/又は集束させることができる。
【0057】
後方散乱光192は、レーザー108から放射された光ビーム146に対して90度より大きい値から180度より小さい値の様々な角度で散乱することができる。例えば、後方散乱光192は、90度より大きい値、約95度、約100度、約105度、約110度、約115度、約120度、約125度、約130度、又は約135度から、約140度、約145度、約150度、約155度、約160度、約165度、約170度、約175度、又は約180度より小さい値までの任意の角度で散乱することができる。別の例において、後方散乱光192は、レーザー108から放射された光ビーム146に対して約165度、約166度、約167度、約168度、約169度、又は約169.5度から、約170.5度、約171度、約172度、約173度、約174度、又は約175度までの任意の角度で散乱することができる。更に別の例において、後方散乱光192は、約165度~約175度、約166度~約174度、約167度~約173度、約168度~約172度、約169度~約171度、又は約169.5度~約170.5度の角度で散乱することができる。LSD100及びその任意のコンポーネントが90度より大きくかつ180度より小さい任意の角度で散乱した後方散乱光192を受信するように構成することができることが認識されるべきである。例えば、第2の検出器112、第2のレンズ118、第2のミラー128、第5のレンズ124、及び/又は任意の更なる任意選択的なダイアフラムの1つ以上の任意の属性(例えば、形状、ロケーション、向き等)は、第2の検出器112が後方散乱光192の任意の後方散乱光を受信できるように、調整、修正、又は別の方法で構成することができる。好ましい実装態様において、LSD100及びその第2の検出器112は、光ビーム146に対して約169度~約171度の角度で、好ましくは約169.5度~約170.5度の角度で、より好ましくは約170度の角度で後方散乱光192を受信又は収集するように構成される。
【0058】
図1Dに示すように、直角分析物散乱ビーム又は直角散乱光194は、第3の検出器114と流路144の内側セクション158との間に延在するアパーチャ184を介して第3の検出器114に向けて方向付けることができる。少なくとも1つの実装態様において、第3の検出器114は、内側セクション158に隣接してアパーチャ184内に配設することができる。
図1Dに示す別の実装態様において、光学的に透明な材料186は、アパーチャ184内に配設して、流路144の内側セクション158をシールすることができる。光学的に透明な材料186は、直角散乱光194が第3の検出器114に透過することを可能にする任意の適した材料とすることができる。光学的に透明な材料186は、直角散乱光194の少なくとも一部分を第3の検出器114に向けて屈折させるように形作ることができる。例えば、上記で論じたように、光学的に透明な材料186は、直角散乱光194を第3の検出器114に向けて屈折させるように形作られたボールレンズとすることができる。
【0059】
直角散乱光194は、光ビーム146に略垂直な方向に散乱することができる。例えば、直角散乱光194は、約87度、約88度、約89度、約89.5度、又は約90度から、約90.5度、約91度、約92度、又は約93度までの角度で散乱することができる。別の例において、直角散乱光194は、約87度~約93度、約88度~約92度、約89度~約91度、又は約89.5度~約90.5度の角度で散乱することができる。LSD100及びその任意のコンポーネントが光ビーム146に略垂直な方向に散乱する直角散乱光194を受信するように構成することができることが認識されるべきである。例えば、光学的に透明な材料186(例えば、第6のレンズ)及び/又は第3の検出器114の形状、ロケーション、向き、又は任意の他の属性は、第3の検出器114が直角散乱光194の任意の直角散乱光を受信できるように、調整、修正、又は別の方法で構成することができる。好ましい実装態様において、LSD100及びその第3の検出器114は、光ビーム146に対して約89度~約91度の角度で、好ましくは約89.5度~約90.5度の角度で、より好ましくは約90度の角度で直角散乱光194を受信又は収集するように構成される。