(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】OLED駆動システム
(51)【国際特許分類】
H05B 44/00 20220101AFI20230705BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20230705BHJP
【FI】
H05B44/00
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2018201446
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】豊福 敏之
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-135555(JP,A)
【文献】特開2016-100548(JP,A)
【文献】国際公開第2006/013667(WO,A1)
【文献】特開2003-302939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00、44/00-45/00
H10K 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置の累積実効使用時間を表す使用情報を記憶する使用情報記憶部と、
前記OLED照明装置が所定の目標輝度で駆動するように電流値を可変して電力を出力する電力出力部と、
前記OLED照明装置の実効使用時間を求める使用時間処理部と、
前記使用情報記憶部に記憶され、前記電力出力部から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、前記使用時間処理部で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、前記更新した累積実効使用時間を表す使用情報を前記使用情報記憶部に記憶させる使用情報書込み部と、
予定での、1個の予定電流値を取得する第2予定取得部と、
前記OLED照明装置の寿命として規定された寿命輝度値となるまでの実効時間を、使用可能実効時間として、前記使用可能実効時間および前記第2予定取得部で取得された1個の予定電流値に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する寿命使用情報を求め、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との対応関係を表す対応関係情報を用いて、前記寿命輝度値、前記使用情報記憶部に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの寿命使用情報に基づいて、前記使用可能実効時間を求める寿命予測部とを備える、
OLED駆動システム。
【請求項2】
前記
対応関係情報を用いて前記使用情報記憶部に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報に対応する前記OLED照明装置の輝度値を求める輝度演算部をさらに備える、
請求項1に記載のOLED駆動システム。
【請求項3】
予定での、前記複数の電流範囲ごとに前記OLED照明装置における予定累積実効使用時間を取得する予定取得部と、
前記予定取得部で取得された前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する予定使用情報を求め、前記
対応関係情報を用いて、前記使用情報記憶部に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの予定使用情報に対応する前記OLED照明装置の輝度値を予測する輝度予測部
とをさらに備える、
請求項1または請求項2に記載のOLED駆動システム。
【請求項4】
前記対応関係情報は、前記OLED照明装置に定格電流値以下で通電することによって前記OLED照明装置を駆動する場合での、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との第1対応関係を表す第1情報、および、前記OLED照明装置に前記定格電流値を超えて通電することによって前記OLED照明装置を駆動する場合での、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との第2対応関係を表す第2情報を含む、
請求項
1ないし請求項
3のいずれか1項に記載のOLED駆動システム。
【請求項5】
互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置の累積実効使用時間を表す使用情報を記憶する使用情報記憶部と、
前記OLED照明装置が所定の目標輝度で駆動するように電流値を可変して電力を出力する電力出力部と、
前記OLED照明装置の実効使用時間を求める使用時間処理部と、
前記使用情報記憶部に記憶され、前記電力出力部から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、前記使用時間処理部で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、前記更新した累積実効使用時間を表す使用情報を前記使用情報記憶部に記憶させる使用情報書込み部と、
前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との対応関係を表す対応関係情報を用いて前記使用情報記憶部に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報に対応する前記OLED照明装置の輝度値を求める輝度演算部とを備え、
前記対応関係情報は、前記OLED照明装置に定格電流値以下で通電することによって前記OLED照明装置を駆動する場合での、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との第1対応関係を表す第1情報、および、前記OLED照明装置に前記定格電流値を超えて通電することによって前記OLED照明装置を駆動する場合での、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との第2対応関係を表す第2情報を含む、
OLED駆動システム。
【請求項6】
予定での、前記複数の電流範囲ごとに前記OLED照明装置における予定累積実効使用時間を取得する予定取得部と、
前記予定取得部で取得された前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する予定使用情報を求め、前記対応関係情報を用いて、前記使用情報記憶部に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの予定使用情報に対応する前記OLED照明装置の輝度値を予測する輝度予測部とをさらに備える、
請求項5に記載のOLED駆動システム。
【請求項7】
互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置の累積実効使用時間を表す使用情報を記憶する使用情報記憶部と、
前記OLED照明装置が所定の目標輝度で駆動するように電流値を可変して電力を出力する電力出力部と、
前記OLED照明装置の実効使用時間を求める使用時間処理部と、
前記使用情報記憶部に記憶され、前記電力出力部から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、前記使用時間処理部で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、前記更新した累積実効使用時間を表す使用情報を前記使用情報記憶部に記憶させる使用情報書込み部とを備え、
前記複数の電流範囲には、前記OLED照明装置の定格電流値以下の範囲と、この定格電流値を超えた範囲とが少なくとも含まれる、
OLED駆動システム。
【請求項8】
前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との対応関係を表す対応関係情報を用いて前記使用情報記憶部に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報に対応する前記OLED照明装置の輝度値を求める輝度演算部をさらに備え、
前記対応関係情報は、前記OLED照明装置に定格電流値以下で通電することによって前記OLED照明装置を駆動する場合での、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との第1対応関係を表す第1情報、および、前記OLED照明装置に前記定格電流値を超えて通電することによって前記OLED照明装置を駆動する場合での、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との第2対応関係を表す第2情報を含む、
請求項7に記載のOLED駆動システム。
【請求項9】
予定での、前記複数の電流範囲ごとに前記OLED照明装置における予定累積実効使用時間を取得する予定取得部と、
前記予定取得部で取得された前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する予定使用情報を求め、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との対応関係を表す対応関係情報を用いて、前記使用情報記憶部に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの予定使用情報に対応する前記OLED照明装置の輝度値を予測する輝度予測部をさらに備える、
請求項7に記載のOLED駆動システム。
【請求項10】
予定での、1個の予定電流値を取得する第2予定取得部と、
前記OLED照明装置の寿命として規定された寿命輝度値となるまでの実効時間を、使用可能実効時間として、前記使用可能実効時間および前記第2予定取得部で取得された1個の予定電流値に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する寿命使用情報を求め、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との対応関係を表す対応関係情報を用いて、前記寿命輝度値、前記使用情報記憶部に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの寿命使用情報に基づいて、前記使用可能実効時間を求める寿命予測部をさらに備える、
請求項7に記載のOLED駆動システム。
【請求項11】
前記OLED照明装置の使用温度を取得する温度取得部をさらに備え、
前記使用情報記憶部は、互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置における累積実効使用時間および使用温度を表す使用情報を記憶し、
前記使用情報書込み部は、前記使用情報記憶部に記憶され、前記電力出力部から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、前記使用時間処理部で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、前記更新した累積実効使用時間および前記温度取得部で取得した前記OLED照明装置の使用温度を表す使用情報を前記使用情報記憶部に記憶させる、
請求項1、請求項5および請求項7のいずれか1項に記載のOLED駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLED照明装置を駆動するOLED駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(Organic Light Emitting Diode)は、有機EL(Organic ElectroLuminescence)とも呼ばれ、比較的、薄くて軽く、小消費電力でもあることから、近年、例えば、表示装置や照明装置等への応用が研究、開発されている。
【0003】
一方、複数の光電変換素子を1次元や2次元でアレイ状に配置したイメージセンサでワークを撮像して得られた画像を、例えば、検査や対象認識等の所定の目的に応じて処理するマシンビジョン(machine vision)の照明装置として、従来、LED(Light Emitting Diode)照明装置が利用されている。このマシンビジョンを利用したシステムでは、より良好な画像を撮像装置で生成するために、通常、照明装置を制御する制御装置が設けられ、この制御装置は、照明装置の放射輝度または照明対象の照度が所定値となるように、例えば撮像装置で生成された画像に基づいて照明装置を制御する。このようなシステムに不都合が生じた場合、その原因が撮像装置に存在するのか、照明装置に存在するのか、制御装置に存在するのか、判定する必要があり、手間(工数)がかかる。このため、1つのアプローチとして、まず、その原因が照明装置に存在するか否かが調査され、この調査に例えば特許文献1に開示された技術が利用できる。
【0004】
この特許文献1に開示された技術は、試験モードに切り換え、LEDやOLED等の固体光源を電源が所定の試験電流レベルで駆動し、前記電源から電圧フィードバック値を受け取り、この電圧フィードバック値から、寿命末期時間を含む時間と電圧値との関係を表すアンペア当たりのボルト性能特性評価を使用して固体光源の劣化を推定する。この特許文献1に開示された技術によって、照明装置が劣化していると推定された場合、前記原因が照明装置に存在していると判定でき、照明装置が劣化していないと推定された場合、前記原因が照明装置に存在せず、前記原因が撮像装置および制御装置の少なくとも一方に存在すると判定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、OLEDは、基本的に通電された電流量によって放射輝度に低下(劣化)を生じるので、前記特許文献1のようにボルト特性を使用した場合、精度良く劣化を推定できない虞がある。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、より精度良く劣化の推定を可能とするOLED駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかるOLED駆動システムは、互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置の累積実効使用時間を表す使用情報を記憶する使用情報記憶部と、前記OLED照明装置が所定の目標輝度で駆動するように電流値を可変して電力を出力する電力出力部と、前記OLED照明装置の実効使用時間を求める使用時間処理部と、前記使用情報記憶部に記憶され、前記電力出力部から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、前記使用時間処理部で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、前記更新した累積実効使用時間を表す使用情報を前記使用情報記憶部に記憶させる使用情報書込み部とを備える。好ましくは、上述のOLED駆動システムにおいて、OLED照明装置と、前記OLED照明装置を制御する制御装置とを備え、前記OLED照明装置は、前記使用情報記憶部を備え、前記制御装置は、前記電力出力部、前記使用時間処理部および前記使用情報書込み部を備える。好ましくは、前記制御装置は、前記電力出力部を備える第1装置(駆動装置)と、前記使用時間処理部および前記使用情報書込み部を備える第2装置(制御本体装置)とを備える。好ましくは、上述のOLED駆動システムにおいて、OLED照明装置を制御する制御装置を備え、前記使用情報記憶部は、前記OLED照明装置を特定し識別するための識別子と対応付けて前記使用情報を記憶し、前記制御装置は、前記使用情報記憶部、前記電力出力部、前記使用時間処理部、前記使用情報書込み部、および、前記識別子を取得する識別子取得部を備える。好ましくは、前記制御装置は、前記電力出力部を備える第1装置(駆動装置)と、前記使用時間処理部、前記使用情報書込み部および前記識別子取得部を備える第2装置(制御本体装置)とを備える。好ましくは、上述のOLED駆動システムにおいて、前記使用情報は、OLED照明装置に電流を連続的に通電することによって前記OLED照明装置を駆動する連続通電駆動(連続通電駆動モード)の場合、OLED照明装置の使用時間を累積した値である累積実効使用時間そのものである。好ましくは、上述のOLED駆動システムにおいて、前記使用情報は、OLED照明装置にパルス電流を通電することによって前記OLED照明装置を駆動するパルス通電駆動(パルス通電駆動モード)の場合、パルス幅(パルス時間幅)に累積パルス数を乗算した値である累積実効使用時間そのもの、または、パルス幅(パルス時間幅)および累積パルス数、または、OLED照明装置の使用時間にデューティ比を乗算した実効使用時間を累積した値である累積実効使用時間そのもの、または、OLED照明装置の使用時間を累積した累積使用時間およびデューティ比の各値である。
【0009】
発明者は、駆動のために通電された電流値が高いほど、OLEDが大きなダメージを受け、電流の通電時間が長いほど、OLEDが大きなダメージを受けるという知見を得た。上記OLED駆動システムは、互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置の累積実効使用時間を表す使用情報を使用情報記憶部に記憶するので、各電流範囲ごとにその各累積実効使用時間に基づいてOLEDに与えるダメージを推定できるから、より精度良く劣化の推定が可能となる。前記累積実効使用時間とは、前記OLED照明装置のOLEDに実際に電流が流れた時間(実効使用時間)を累積した値であり、例えば、前記連続通電駆動の場合では使用時間を累積した値であり、また例えば前記パルス通電駆動の場合ではパルス幅(パルス時間幅)に累積パルス数を乗算した値である。
【0010】
他の一態様では、上述のOLED駆動システムにおいて、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との対応関係を表す対応関係情報を用いて前記使用情報記憶部に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報に対応する前記OLED照明装置の輝度値を求める輝度演算部をさらに備える。
【0011】
このようなOLED駆動システムは、前記輝度演算部を備えるので、前記使用情報記憶部に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報に対応する前記OLED照明装置の輝度値を求めることができ、OLEDにおける劣化の程度を、輝度値で評価(認識)できる。この輝度値からOLED照明装置の寿命が評価できる。
【0012】
他の一態様では、これら上述のOLED駆動システムにおいて、予定での、前記複数の電流範囲ごとに前記OLED照明装置における予定累積実効使用時間を取得する予定取得部と、前記予定取得部で取得された前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する予定使用情報を求め、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との対応関係を表す対応関係情報を用いて、前記使用情報記憶部に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの予定使用情報に対応する前記OLED照明装置の輝度値を予測する輝度予測部をさらに備える。
【0013】
このようなOLED駆動システムは、前記予定取得部および前記輝度予測部を備えるので、前記予定累積実効使用時間後の輝度値を予測でき、そのときのOLEDにおける劣化の程度を、輝度値で評価(認識)できる。この輝度値からOLED照明装置の寿命が評価できる。
【0014】
他の一態様では、これら上述のOLED駆動システムにおいて、予定での1個の予定電流値を取得する第2予定取得部と、前記OLED照明装置の寿命として規定された寿命輝度値となるまでの実効時間を、使用可能実効時間として、前記使用可能実効時間および前記第2予定取得部で取得された1個の予定電流値に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する寿命使用情報を求め、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との対応関係を表す対応関係情報を用いて、前記寿命輝度値、前記使用情報記憶部に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの寿命使用情報に基づいて、前記使用可能実効時間を求める寿命予測部をさらに備える。
【0015】
このようなOLED駆動システムは、前記第2予定取得部および前記寿命予測部を備えるので、前記第2予定取得部で取得した1個の予定電流値で前記OLED照明装置を使用した場合における使用可能実効時間(寿命となるまでに残された使用可能な実効時間、連続通電駆動の場合では使用可能時間そのもの、パルス通電駆動の場合ではパルス幅にパルス数を乗算した時間)を評価できる。
【0016】
他の一態様では、これら上述のOLED駆動システムにおいて、前記対応関係情報は、前記OLED照明装置に定格電流値以下で通電することによって前記OLED照明装置を駆動する場合での、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との第1対応関係を表す第1情報、および、前記OLED照明装置に前記定格電流値を超えて通電することによって前記OLED照明装置を駆動する場合での、前記OLED照明装置における電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置の輝度値との第2対応関係を表す第2情報を含む。
【0017】
発明者は、前記定格電流値以下で通電する場合と前記定格電流値を超えて通電する場合とではOLEDが受けるダメージの程度が異なるという知見を得た。上記OLED駆動システムは、前記対応関係情報を、前記定格電流値以下で通電する場合での第1情報と前記定格電流値を超えて通電する場合での第2情報とで持つので、より精度良く劣化の推定が可能となる。
【0018】
他の一態様では、上述のOLED駆動システムにおいて、前記OLED照明装置の使用温度を取得する温度取得部をさらに備え、前記使用情報記憶部は、互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置における累積実効使用時間および使用温度を表す使用情報を記憶し、前記使用情報書込み部は、前記使用情報記憶部に記憶され、前記電力出力部から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、前記使用時間処理部で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、前記更新した累積実効使用時間および前記温度取得部で取得した前記OLED照明装置の使用温度を表す使用情報を前記使用情報記憶部に記憶させる。
【0019】
このようなOLED駆動システムは、前記温度取得部を備え、使用温度も使用情報として記憶するので、使用温度を考慮して劣化の推定が可能となり、したがって、より精度良く劣化の推定が可能となる。
【0020】
本発明の他の一態様にかかるOLED駆動方法は、互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置の累積実効使用時間を表す使用情報を使用情報記憶部に記憶する使用情報記憶工程と、前記OLED照明装置が所定の目標輝度で駆動するように電流値を可変して電力を出力する電力出力工程と、前記OLED照明装置の実効使用時間を求める使用時間処理工程と、前記使用情報記憶部に記憶され、前記電力出力工程から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、前記使用時間処理工程で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、前記更新した累積実効使用時間を表す使用情報を前記使用情報記憶部に記憶させる使用情報書込み工程とを備える。
【0021】
このようなOLED駆動方法は、互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置の累積実効使用時間を表す使用情報を使用情報記憶部に記憶するので、各電流範囲ごとにその各累積実効使用時間に基づいてOLEDに与えるダメージを推定できるから、より精度良く劣化の推定が可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかるOLED駆動システムおよびOLED駆動方法は、より精度良く劣化の推定を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態におけるOLED駆動システム、OLED照明装置および制御装置の各構成を示すブロック図である。
【
図2】前記OLED駆動システムの使用情報記憶部に記憶される使用情報テーブルの構成を示す図である。
【
図3】前記OLED照明装置の駆動モードを説明するための図である。
【
図4】前記OLED駆動システム、前記OLED照明装置および前記制御装置の第1変形形態を説明するための図である。
【
図5】前記OLED駆動システム、前記OLED照明装置および前記制御装置の第2変形形態を説明するための図である。
【
図6】前記第1および第2変形形態における使用情報記憶部に記憶される使用情報テーブルの変形形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0025】
図1は、実施形態におけるOLED駆動システム、OLED照明装置および制御装置の各構成を示すブロック図である。
図2は、前記OLED駆動システムの使用情報記憶部に記憶される使用情報テーブルの構成を示す図である。
図3は、前記OLED照明装置の駆動モードを説明するための図である。
図3Aは、連続通電駆動モードの電流波形を示し、
図3Bは、ノーマルパルス通電駆動モードの電流波形を示し、
図3Cは、オーバドライブパルス通電駆動モードの電流波形を示す。
図3Aないし
図3Cの各図における各横軸は、時間(経過時間)を表し、それら各縦軸は、電流(電流強度)を表す。
【0026】
実施形態におけるOLED駆動システムは、OLED照明装置を駆動するためのシステムであり、互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置の累積実効使用時間を表す使用情報を記憶する使用情報記憶部と、前記OLED照明装置が所定の目標輝度で駆動するように電流値を可変して電力を出力する電力出力部と、前記OLED照明装置の実効使用時間を求める使用時間処理部と、前記使用情報記憶部に記憶され、前記電力出力部から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、前記使用時間処理部で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、前記更新した累積実効使用時間を表す使用情報を前記使用情報記憶部に記憶させる使用情報書込み部とを備える。
【0027】
このようなOLED駆動システムSaは、例えば、
図1に示すように、OLED照明装置LPaと、OLED照明装置LPaとケーブルCBaで接続された制御装置CTaとを備える。制御装置CTaは、本実施形態ではOLED照明装置LPaに対し、給電するだけでなく、所定のデータをやり取りするので、ケーブルCBaは、給電のための電力線とデータ読み書きのための通信線とを備える。
【0028】
OLED照明装置LPaは、OLEDを利用して照明光を放射する装置であり、例えば、
図1に示すように、OLEDパネル11と、照明側メモリ入出力インターフェース部(Lメモリ入出力IF部)12と、使用情報記憶部13とを備え、これらOLEDパネル11、Lメモリ入出力IF部12および使用情報記憶部13は、OLEDパネル11における照明光の放射面を外部に臨むように不図示の所定の筐体(第1筐体、第1ハウジング)に収容される。
【0029】
OLEDパネル11は、ケーブルCBaの前記電力線に接続され、OLED(Organic Light Emitting Diode)を備え、ケーブルCBaの前記電力線で給電されると面(2次元)で光を前記照明光として放射する装置である。OLEDパネル11は、平面視にて、例えば多角形形状や円形形状等の任意の形状であって良いが、本実施形態では、
図1に示すように、平面視にて矩形形状である。OLEDパネル11は、用途に応じて単色であって良く、あるいは、白色であって良い。OLEDパネル11は、1対の第1および第2電極間に有機発光層を備え、前記第1および第2電極に電力が供給されると、前記有機発光層における電子と正孔との再結合により発光する。より具体的には、一例では、OLEDパネル11は、例えば樹脂製やガラス製の板状(層状)の光学基板と、前記光学基板上に層状(膜状)で形成された前記第1電極としての透明電極と、前記透明電極上に層状(膜状)で形成された有機発光層と、前記有機発光層上に層状(膜状)で形成された前記第2電極として金属電極と、外部から前記透明電極および前記金属電極それぞれと通電可能に、これら前記透明電極、前記有機発光層および前記金属電極を前記光学基板と協働して封止する封止層とを備える。なお、光量を増加させるために、前記有機発光層が多層化されても良い。
【0030】
Lメモリ入出力IF部12は、ケーブルCBaの前記通信線に接続され、使用情報記憶部13に対し所定のデータを読み書きし、制御装置CTaとの間で所定のデータを送受信する回路である。Lメモリ入出力IF部12は、例えば、メモリリードライター回路、USB(Universal Serial Bus)インターフェース回路およびその周辺回路を備えて構成される。
【0031】
使用情報記憶部13は、Lメモリ入出力IF部12に接続され、互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置LPaの累積実効使用時間を表す使用情報を記憶する回路である。使用情報記憶部13は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の、書き換え可能な不揮発性の記憶素子およびその周辺回路を備えて構成される。前記使用情報は、OLED照明装置LPaに電流を連続的に通電することによってOLED照明装置LPaを駆動する連続通電駆動の場合、OLED照明装置LPaの使用時間を累積した値である累積実効使用時間そのものであり、OLED照明装置LPaにパルス電流を通電することによってOLED照明装置LPaを駆動するパルス通電駆動の場合、パルス幅(パルス時間幅)に累積パルス数を乗算した値である累積実効使用時間そのもの、または、パルス幅(パルス時間幅)および累積パルス数、または、OLED照明装置LPaの使用時間にデューティ比を乗算した実効使用時間を累積した値である累積実効使用時間そのもの、または、OLED照明装置LPaの使用時間を累積した累積使用時間およびデューティ比の各値である。例えばOLED照明装置LPaをPWMで駆動する等のように、周期的なパルスでOLED照明装置LPaを駆動する場合、前記累積使用時間にデューティ比を乗算することで累積実効使用時間が求められる。前記連続通電駆動(連続通電駆動モード(CW通電駆動モード))は、
図3Aに示すように、定格電流値IR以下の電流値でOLED照明装置LPaに電流を連続的に通電することによって前記OLED照明装置LPaを駆動する駆動手法(駆動モード)である。前記定格電流値IRは、OLEDパネル11を製造したメーカーが保証する、OLEDパネル11を安定的に(規定の性能以上で)使用できる電流値である。前記パルス通電駆動(パルス通電駆動モード)は、
図3Bおよび
図3Cに示すように、OLED照明装置LPaにパルス電流を通電することによって前記OLED照明装置LPaを駆動する駆動手法(駆動モード)である。このパルス通電駆動(パルス通電駆動モード)は、
図3Bに示すように、例えば調光や閃光のように点灯するために、定格電流値IR以下の電流値でOLED照明装置LPaにパルス電流を通電するノーマルパルス通電駆動(ノーマルパルス通電駆動モード(NP通電駆動モード))と、
図3Cに示すように、例えば閃光のように点灯するために、前記定格電流値IRより高く、予め設定された所定のオーバードライブ最大許容電流値(OD最大許容電流値)IL以下の電流値でOLED照明装置LPaにパルス電流を通電するオーバドライブパルス通電駆動(オーバドライブパルス通電駆動モード(ODP通電駆動モード))とを含む。前記OD最大許容電流値ILは、パルス電流を通電した場合にOLEDパネル11を破損しない範囲で予め適宜に設定される。
【0032】
この使用情報は、本実施形態では、テーブル形式で使用情報記憶部13に記憶されている。この使用情報を登録する使用情報テーブルUTaは、例えば、
図2に示すように、電流範囲を登録する電流範囲フィールド2611と、前記電流範囲フィールド2611に登録された電流範囲での実効累積使用時間を前記使用情報として登録する累積実効使用時間フィールド2612とを備え、電流範囲ごとにレコードを持つ。この
図2に示す例では、上から4番目の第4電流範囲i4<I≦i5の上限電流値i5は、定格電流値IRに相当し、上から6番目の第6電流範囲i6<I≦i7の上限電流値i7は、OD最大許容電流値ILに相当しており、使用情報記憶部13には、これら定格電流値IRおよびOD最大許容電流値ILもさらに記憶される。なお、i1、i2、・・・、T11、T12、・・・等のその他の記号は、所定の各データ(数値)を表している。デフォルト(初期状態)では、これら各レコードの各電流範囲フィールド2611には、各電流範囲を表す各数値がそれぞれ登録され、各レコードの累積実効使用時間フィールド2612には、初期値0がそれぞれ登録される。
【0033】
制御装置CTaは、ケーブルCBaを介したOLED照明装置LPaへの給電を制御することによって前記照明光の点消灯や光量等を制御する装置であり、例えば、
図1に示すように、電力出力部21と、制御側メモリ入出力インターフェース部(Cメモリ入出力IF部)22と、制御処理部23aと、予定取得部24aと、出力部25と、記憶部26aとを備える。
【0034】
電力出力部21は、ケーブルCBaの前記電力線および制御処理部23aそれぞれに接続され、制御処理部23aの制御に従って、OLED照明装置LPaが所定の目標輝度で駆動するように電流値を可変して電力を出力するドライバ回路である。電力出力部21は、例えば、制御処理部23aから目標輝度が入力され、この目標輝度に対応する電流値でケーブルCBaを介してOLED照明装置LPaのOLEDパネル11に給電する。あるいは、例えば、電力出力部21は、制御処理部23aから目標輝度に対応する目標電流値が入力され、この目標電流値でケーブルCBaを介してOLED照明装置LPaのOLEDパネル11に給電する。
【0035】
Cメモリ入出力IF部22は、ケーブルCBaの前記通信線および制御処理部23aそれぞれに接続され、制御処理部23aの制御に従って、OLED照明装置LPaの使用情報記憶部13に対し所定のデータを読み書きするために、OLED照明装置LPaとの間で所定のデータを送受信する回路である。Cメモリ入出力IF部22は、例えば、USBインターフェース回路およびその周辺回路を備えて構成される。
【0036】
予定取得部(第1および第2予定取得部)24aは、制御処理部23aに接続され、制御処理部23aの制御に従って、後述のようにOLED照明装置LPaの輝度値を予測するために、予定での、前記複数の電流範囲ごとに前記OLED照明装置における予定累積実効使用時間を取得し、後述のようにOLED照明装置LPaの使用可能実効時間を予測するために、予定での1個の予定電流値を取得する装置である。このような予定取得部24aは、例えば、外部機器(例えばタブレット端末やスマートフォン等)から、ネットワークを介して前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間あるいは前記1個の予定電流値等のデータを取得する通信インターフェース回路であって良い。あるいは、例えば、予定取得部24aは、前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間あるいは前記1個の予定電流値等のデータを入力する、例えばキーボードやマウス等の入力装置であって良い。
【0037】
出力部25は、制御処理部23aに接続され、制御処理部23aの制御に従って、予定取得部24aで取得された前記データや、後述のように演算された現行での輝度値、前記予定累積実効使用時間での予測輝度値および前記予定電流値での寿命等を表示する装置である。出力部25は、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0038】
記憶部26aは、制御処理部23aに接続され、制御処理部23aの制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、当該制御装置CTaの各部21、22、24a、25、26aを当該各部の機能に応じて制御する制御プログラムや、OLED照明装置LPaの実効使用時間を求める使用時間処理プログラムや、使用情報記憶部13に記憶され、電力出力部21から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、前記使用時間処理プログラムで求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、前記更新した累積実効使用時間を表す使用情報を前記使用情報記憶部13に記憶させる使用情報処理プログラムや、後述の対応関係情報を用いてOLED照明装置LPaの使用情報記憶部13に複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報に対応する前記OLED照明装置の輝度値を求める輝度演算プログラムや、予定取得部24aで取得された前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する予定使用情報を求め、前記対応関係情報を用いてOLED照明装置LPaの使用情報記憶部13に複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの予定使用情報に対応する前記OLED照明装置LPaの輝度値を予測する輝度予測プログラムや、OLED照明装置LPaの寿命として予め規定された寿命輝度値となるまでの実効時間を、使用可能実効時間として、前記使用可能実効時間および予定取得部24aで取得された1個の予定電流値に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する寿命使用情報を求め、前記対応関係情報を用いて、前記寿命輝度値、使用情報記憶部13に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの寿命使用情報に基づいて、前記使用可能実効時間を求める寿命予測プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記各種の所定のデータには、予定取得部24aから取得された前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間あるいは前記1個の予定電流値や、前記寿命輝度値等の、前記所定のプログラムの実効に必要なデータや、演算結果の輝度値、予測輝度値および使用可能実効時間等のデータ等の各データが含まれる。このような記憶部26aは、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM等を備える。そして、記憶部26aは、前記所定のプログラムの実効中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部23aのワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部26aは、比較的大容量の記憶容量を持つハードディスク装置を備えても良い。
【0039】
そして、記憶部26aは、前記対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部261を機能的に備える。前記対応関係情報は、OLED照明装置LPaにおける電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置LPaの輝度値との対応関係を表す情報である。この対応関係情報は、例えば、複数のサンプルを用いた統計処理によって予め求められ、ルックアップテーブルや、関数式で対応関係情報記憶部261に記憶される。OLEDの輝度低減特性は、単位面積当たりの電流値I(A/cm2)、累積実効使用時間t(秒)、温度T(℃)、例えばその組成等によって決まるOLED固有の特性値kに依存する。本実施形態では、前記対応関係情報は、次式1によって表される。
式1;R/R0=s/(Σ(Ii
k×ti))+p/(Σ(IODj
k×tODj))
ここで、Rは、輝度であり、R0は、OLEDパネル11の初期輝度値である。Iiおよびtiは、定格電流値IR以下でのi番目の電流範囲での単位面積当たりの電流値および累積実効使用時間である。IODjおよびtODjは、定格電流値IR以下を超えたj番目の電流範囲での単位面積当たりの電流値および累積実効使用時間である。前記累積実効使用時間とは、OLED照明装置LPaのOLED11に実際に電流が流れた時間を累積した値であり、例えば連続通電駆動の場合ではOLED照明装置の使用時間を累積した値であり、また例えばパルス通電駆動の場合ではパルス幅(パルス時間幅)に累積パルス数を乗算した値である。kは、OLED11固有の特性値であり、sおよびpは、定数パラメータであり、これらk、sおよびpは、複数のサンプルを用いた統計処理によって求められる。
【0040】
式1の第1項は、OLED照明装置LPaに定格電流値IR以下で通電することによって前記OLED照明装置LPaを駆動する場合での、前記OLED照明装置LPaにおける電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置LPaの輝度値との第1対応関係を表す第1情報に相当し、式1の第2項は、OLED照明装置LPaに前記定格電流値IRを超えて通電することによって前記OLED照明装置LPaを駆動するパルス通電駆動の場合での、前記OLED照明装置LPaにおける電流値および累積実効使用時間と前記OLED照明装置LPaの輝度値との第2対応関係を表す第2情報に相当する。
【0041】
前記複数の電流範囲は、それぞれ、例えば演算を簡単化するために、通電される電流値を変えてもOLEDパネル11の劣化の度合いが略等しくなるように、設定され、式1で輝度Rを求める場合には、前記複数の電流範囲それぞれを代表する各代表値が用いられる。例えば、
図2に示すように、6個の第1ないし第6電流範囲i1≦I≦i2、i2<I≦i3、i3<I≦i4、i4<I≦i5、i5<I≦i6、i6<I≦i7が設けられ、式1で輝度Rを求める場合には、これら第1ないし第6電流範囲それぞれを代表する第1ないし第6代表値Im1、Im2、Im3、Im4、Im5、Im6が用いられる(i1≦Im1≦i2、i2<Im2≦i3、i3<Im3≦i4、i4<Im4≦i5、i5<Im5≦i6、i6<Im6≦i7)。
【0042】
制御処理部23aは、制御装置CTaの各部21、22、24a、25、26aを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、OLED照明装置LPaの点消灯や光量等を制御し、OLED照明装置LPaの輝度値、予測輝度値および使用可能時間等を求めるための回路である。制御処理部23aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部23aは、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部231、使用時間処理部232、使用情報処理部233a、輝度演算部234a、輝度予測部235aおよび寿命予測部236aを機能的に備える。
【0043】
制御部231は、制御装置CTaの各部21、22、24a、25、26aを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、制御装置CTaの全体制御を司るものである。
【0044】
使用時間処理部232は、OLED照明装置LPaの実効使用時間を求めるものである。より具体的には、例えば、連続通電駆動(連続通電駆動モード)の場合では、使用時間処理部232は、電力出力部21からOLED照明装置LPaへ給電を開始してから前記給電を終了するまで(OLED照明装置PLaの1回の使用開始から使用終了まで)、例えば秒単位で、計時することによってOLED照明装置LPaの使用時間を実効使用時間として求める。また例えば、パルス通電駆動(パルス通電駆動モード)の場合では、使用時間処理部232は、電力出力部21からOLED照明装置LPaへ給電を開始してから前記給電を終了するまで(OLED照明装置PLaの1回の使用開始から使用終了まで)、パルス数を計数し、パルス幅に前記パルス数を乗算することによってその乗算値を実効使用時間として求める。
【0045】
使用情報処理部233aは、使用情報記憶部13に記憶され、電力出力部21から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、使用時間処理部232で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、前記更新した累積実効使用時間を表す使用情報を前記使用情報記憶部13に記憶させる。より具体的には、本実施形態では、使用情報処理部233aは、使用情報記憶部13に記憶され、電力出力部21から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報をOLED照明装置LPaから受信して読み込み、この読み込んだ使用情報で表される累積実効使用時間に、使用時間処理部232で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、この更新した累積実効使用時間を表す使用情報をOLED照明装置LPaへ送信して書き込んで前記使用情報記憶部13に記憶させる。
【0046】
ここで、上述のように、使用時間処理部232は、OLED照明装置PLaの1回の使用開始から使用終了まで実効使用時間を求め、使用情報処理部233aは、使用時間処理部232で実効使用時間が求められると、使用情報記憶部13の累積実効使用時間を更新しても良いが、OLED照明装置PLaの1回の使用時間が比較的長い場合、例えばその使用時間中に生じた不都合な事態によって使用情報記憶部13の累積実効使用時間を更新できない場合が生じる虞がある。このため、本実施形態では、予め設定された所定の時間の経過ごとに、実効使用時間が求められ、使用情報記憶部13の累積実効使用時間が更新される。より詳しくは、電力出力部21からOLED照明装置LPaへ給電を開始してから前記給電を終了するまでの間(OLED照明装置PLaの1回の使用開始から使用終了までの間)、前記所定の時間の経過ごとに、使用時間処理部232は、前記所定の時間の開始からその終了まで前記実効使用時間を求め、使用時間処理部232で前記実効使用情報が求められると、使用情報処理部233aは、使用情報記憶部13に記憶され、電力出力部21から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報をOLED照明装置LPaから受信して読み込み、この読み込んだ使用情報で表される累積実効使用時間に、使用時間処理部232で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、この更新した累積実効使用時間を表す使用情報をOLED照明装置LPaへ送信して書き込んで前記使用情報記憶部13に記憶させる。前記所定の時間は、任意の値で良く、例えば、10分、20分、30分、1時間、2時間等でOLED駆動システムSaの用途等に応じて適宜に設定される。
【0047】
輝度演算部234aは、対応関係情報記憶部261に記憶されている前記対応関係情報を用いて使用情報記憶部13に複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報に対応するOLED照明装置LPaの輝度値を求めるものである。
【0048】
輝度予測部235aは、予定取得部24aで取得された前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間に基づいて複数の電流範囲ごとの使用情報に相当する予定使用情報を求め、前記対応関係情報を用いてOLED照明装置LPaの使用情報記憶部13に複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの予定使用情報に対応する前記OLED照明装置LPaの輝度値を予測するものである。
【0049】
寿命予測部236aは、OLED照明装置LPaの寿命として予め規定された寿命輝度値となるまでの実効時間を、使用可能実効時間として、前記使用可能実効時間および予定取得部24aで取得された1個の予定電流値に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する寿命使用情報を求め、前記対応関係情報を用いて、前記寿命輝度値、使用情報記憶部13に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの寿命使用情報に基づいて、前記使用可能実効時間を求めるものである。
【0050】
このような制御装置CTaは、電力出力部21、Cメモリ入出力IF部22、制御処理部23a、予定取得部24a、出力部25および記憶部26aは、不図示の所定の筐体(第2筐体、第2ハウジング)に収容され、一体に構成されて良い。あるいは、制御装置CTaは、
図1に一点鎖線で示すように、電力出力部21を備える第1装置(駆動装置)DVと、Cメモリ入出力IF部22、制御処理部23a、予定取得部24a、出力部25および記憶部26aを備える第2装置(制御本体装置)BDaとを備え、別体に構成されて良い。この場合では、前記制御本体装置は、タブレット型、ノート型およびデスクトップ型等のコンピュータで構成可能である。
【0051】
なお、上述の実施形態では、Cメモリ入出力IF部22および使用情報処理部233aが、前記使用情報記憶部に記憶され、前記電力出力部から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、前記使用時間処理部で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、前記更新した累積実効使用時間を表す使用情報を前記使用情報記憶部に記憶させる使用情報書込み部の一例に相当する。
【0052】
次に、本実施形態の動作について説明する。このようなOLED駆動システムSaでは、OLED照明装置LPaおよび制御装置CTaは、それらの電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御装置CTaでは、その制御処理プログラムの実行によって、制御処理部23aには、制御部231、使用時間処理部232、使用情報処理部233a、輝度演算部234a、輝度予測部235aおよび寿命予測部236aが機能的に構成される。
【0053】
第1に、OLED照明装置LPaの点消灯では、まず、制御装置CTaに駆動モードおよび目標輝度(目標電流値)が入力される。例えば、予定取得部24aから、駆動モードおよび目標輝度(目標電流値)が取得される。なお、駆動モードのみが入力され、目標輝度(目標電流値)は、駆動モードに応じて予め設定され、記憶部26aあるいは使用情報記憶部13に記憶されていても良い。
【0054】
この駆動モードがCW通電駆動モードである場合には、制御装置CTaは、制御部231によって、目標輝度の電流値(目標電流値)で電力出力部21から連続的に電力を、ケーブルCBaを介してOLED照明装置LPaに供給し、これによってOLEDパネル11を点灯し、常時、照明光を放射させる。そして、例えば点灯時間のタイムアップや点灯終了が入力されることによって点灯が終了すると、制御装置CTaは、電力出力部21の給電を停止し、これによってOLEDパネル11を消灯し、照明光の放射を終了する。このようにOLED照明装置LPaの使用が開始されてから終了されるまでの間、所定の時間の経過ごとに、使用時間処理部232および使用情報処理部233aは、次のように繰り返し動作している。なお、OLED照明装置LPaの使用終了のタイミングと前記所定の時間における終了のタイミングとが一致しない場合、OLED照明装置LPaの使用終了のタイミングを前記所定の時間における終了のタイミングとみなして、使用時間処理部232および使用情報処理部233aは、前記繰り返し動作における最後の動作として動作して良く、あるいは、OLED照明装置LPaの使用終了後に到来する前記所定の時間における終了のタイミングで、使用時間処理部232および使用情報処理部233aは、前記繰り返し動作における最後の動作として動作して良い。
【0055】
使用時間処理部232は、前記所定の時間における開始から終了まで、秒単位で、計時することによってOLED照明装置LPaの使用時間を実効使用時間として求める。使用時間処理部232で前記実効使用情報が求められると、使用情報処理部233aは、使用情報記憶部13に記憶され、電力出力部21から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報をOLED照明装置LPaから受信して読み込み、この読み込んだ使用情報で表される累積実効使用時間に、使用時間処理部232で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、この更新した累積実効使用時間を表す使用情報をOLED照明装置LPaへ送信して書き込んで前記使用情報記憶部13に記憶させる。より詳しくは、例えば、制御部231が電力出力部21から出力させている目標電流値の通知を受け、使用情報処理部233aは、この通知を受けた目標電流値を含む電流範囲における累積実効使用時間を取得するために、この通知を受けた目標電流値を含む電流範囲を登録するレコードにおける累積実効使用時間フィールド2612に登録されている累積実効使用時間を読み込む指令(読込み指令、読込み命令、読込みコマンド)を収容した通信信号(累積実効使用時間読出し指令通信信号)をCメモリ入出力IF部22を介してOLED照明装置LPaのLメモリ入出力IF部12へ送信する。累積実効使用時間読出し指令通信信号を受信すると、Lメモリ入出力IF部12は、累積実効使用時間読出し指令通信信号に収容された目標電流値を含む電流範囲を登録するレコードにおける累積実効使用時間フィールド2612に登録されている累積実効使用時間を使用情報記憶部13から読み出し、この読み出した累積実効使用時間を収容した通信信号(累積実効使用時間通知通信信号)を制御装置CTaへ送信(返信)する。累積実効使用時間通知通信信号を受信すると、使用情報処理部233aは、累積実効使用時間通知通信信号に収容された累積実効使用時間に、使用時間処理部232で求めた実効使用時間を加算する。そして、使用情報処理部233aは、前記通知を受けた目標電流値、加算後のOLED照明装置LPaの累積実効使用時間、および、これら各データを使用情報記憶部13に書き込ませる指令(書込み指令、書込み命令、書込みコマンド)を収容した通信信号(累積実効使用情報書込み指令通信信号)をCメモリ入出力IF部22を介してOLED照明装置LPaのLメモリ入出力IF部12へ送信する。累積実効使用情報書込み指令通信信号を受信すると、Lメモリ入出力IF部12は、この受信した通信信号に収容された目標電流値を電流範囲フィールド2611に登録するレコードにおける累積実効使用時間フィールド2612に、前記受信した累積実効使用情報書込み指令通信信号に収容された累積実効使用時間を登録(上書き)して使用情報記憶部13に記憶する。
【0056】
前記駆動モードがパルス通電モード(NP通電駆動モード、ODP通電モード)である場合には、制御装置CTaは、制御部231によって、目標輝度の電流値(目標電流値)で電力出力部21からパルスの電力を、ケーブルCBaを介してOLED照明装置LPaに供給し、これによってOLEDパネル11を点灯し、調光した照明光(例えばPWMにより調光された照明光)あるいは閃光状に照明光を放射させる。なお、パルスの電力をOLED照明装置LPaへ供給する開始タイミングは、例えばワークを撮像するカメラ等の外部装置からトリガーが入力され、このトリガーに応じて決定される。このようにOLED照明装置LPaの使用が開始されてから終了されるまでの間、所定の時間の経過ごとに、使用時間処理部232および使用情報処理部233aは、次のように繰り返し動作している。使用時間処理部232は、前記所定の時間における開始から終了まで、パルス数を計数し、パルス幅に前記パルス数を乗算することによってその乗算値を実効使用時間として求める。使用時間処理部232で前記実効使用情報が求められると、CW通電駆動モードと同様に、使用情報処理部233aは、使用情報記憶部13に記憶され、電力出力部21から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報をOLED照明装置LPaから受信して読み込み、この読み込んだ使用情報で表される累積実効使用時間に、使用時間処理部232で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、この更新した累積実効使用時間を表す使用情報をOLED照明装置LPaへ送信して書き込んで前記使用情報記憶部13に記憶させる。
【0057】
このようにOLED照明装置LPaの使用ごとに、その使用情報が、制御装置CTaによって、OLED照明装置LPaの使用情報記憶部13に電流範囲と対応付けて記憶される。
【0058】
第2に、OLED照明装置LPaの輝度値の演算では、例えば、OLED照明装置LPaの輝度値を制御する場合や、輝度値の演算指示が入力された場合等に、本実施形態では、使用情報記憶部13がOLED照明装置LPaに備えられているので、輝度演算部234aは、使用情報を読み込む書込み指令を収容した通信信号(使用情報読出し指令通信信号)をCメモリ入出力IF部22を介してOLED照明装置LPaのLメモリ入出力IF部12へ送信する。使用情報読出し指令通信信号を受信すると、Lメモリ入出力IF部12は、使用情報記憶部13に複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報を使用情報記憶部13から読み出し、この読み出した複数の電流範囲ごとの使用情報を収容した通信信号(使用情報通知通信信号)を制御装置CTaへ送信(返信)する。本実施形態では、使用情報記憶部13に記憶された定格電流値IR(
図2に示す例では電流値i5)およびOD最大許容電流値IL(
図2に示す例では電流値i7)も制御装置CTaへ送信(返信)される。例えば、使用情報通知通信信号には、電流範囲フィールド2611および累積実効使用時間フィールド2612それぞれに登録された電流範囲および累積実効使用時間がレコードごとに繰り返して収容され、そして、定格電流値IRおよびOD最大許容電流値ILが収容される。この使用情報通知通信信号を受信すると、輝度演算部234aは、この受信した使用情報通知通信信号に収容された複数の電流範囲ごとの累積実効使用情報に対応するOLED照明装置LPaの輝度値を、対応関係情報記憶部261に記憶されている前記対応関係情報(本実施形態では式1)を用いて求める。そして、例えば、制御装置CTaは、制御部231によって、この求めた輝度値に基づいて所定の目標輝度値になるようにOLED照明装置LPaの電流値を調整することによってOLED照明装置LPaを制御する。また例えば、制御装置CTaは、制御部231によって、この求めた輝度値を出力部25に出力する。
【0059】
例えば、
図2に示す例では、使用情報通知通信信号には、「i1≦I≦i2、T11;i2<I≦i3、T12;i3<I≦i4、T13;i4<I≦i5、T14;i5<I≦i6、T15;i6<I≦i7、T16;i5;i7」が収容される。輝度演算部234aは、この使用情報を式1に用いて、R/R
0=s/(Im1
k×T11+Im2
k×T12+Im3
k×T13+Im4
k×T14)+p/(Im5
k×T15+Im6
k×T16)を計算する。これによって輝度値Rが求められる。なお、上述の計算において、CW通電駆動モードとNP通電駆動モードとを分けてΣ演算が実行され、この際に、CW通電駆動モードおよびNP通電駆動モードそれぞれに対して定数パラメータsがそれぞれ設定されても良い。
【0060】
第3に、OLED照明装置LPaの輝度値の予測では、ユーザによって設定(指定)された前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間が予定取得部24aで取得されると、輝度予測部235aは、上述と同様に、使用情報読出し指令通信信号の送信および使用情報通知通信信号の受信を行って複数の電流範囲ごとの使用情報を取得する。輝度予測部235aは、予定取得部24aで取得された前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間に基づいて複数の電流範囲ごとの使用情報に相当する予定使用情報を求め、前記取得した複数の電流範囲ごとの使用情報および前記求めた複数の電流範囲ごとの予定使用情報に対応するOLED照明装置LPaの輝度値を、対応関係情報記憶部261に記憶されている前記対応関係情報(本実施形態では式1)を用いて求める。そして、制御装置CTaは、制御部231によって、この求めた予測の輝度値を出力部25に出力する。
【0061】
例えば、
図2に示す例であって、前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間として、電流値ix(i2<ix≦i3)の予定累積実効使用時間T1xと、電流値iy(i5<iy≦i6)の予定累積実効使用時間T2yが予定取得部24aで取得された場合、輝度予測部235aは、予定使用情報として、i2<I≦i3、T1x;i5<I≦i6、T2yを求め、式1に用いて、R/R
0=s/(Im1
k×T11+Im2
k×(T12+T1y)+Im3
k×T13+Im4
k×T14)+p/(Im5
k×(T15+T2y)+Im6
k×T16)を計算する。これによって予測の輝度値Rが求められる。
【0062】
第4に、OLED照明装置LPaの寿命の演算では、ユーザによって設定(指定)された1個の予定電流値が予定取得部24aで取得されると、寿命予測部236aは、上述と同様に、使用情報読出し指令通信信号の送信および使用情報通知通信信号の受信を行って複数の電流範囲ごとの使用情報を取得する。寿命予測部236aは、輝度予測部235aと同様に、前記使用可能実効時間および予定取得部24aで取得された1個の予定電流値に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する寿命使用情報を求め、前記対応関係情報(本実施形態では式1)を用いて、前記寿命輝度値、使用情報記憶部13に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの寿命使用情報に基づいて、前記使用可能実効時間を求める。そして、制御装置CTaは、制御部231によって、この求めた寿命としての使用可能時間を出力部25に出力する。
【0063】
例えば、
図2に示す例であって、1個の予定電流値として、電流値iz(i3<iz≦i4)が予定取得部24aで取得された際、使用可能実効時間をT1zとした場合に、寿命予測部236aは、寿命使用情報として、i3<I≦i4、T1zを求める。そして、寿命輝度値をRzとした場合に、寿命予測部236aは、Rz/R
0=s/(Im1
k×T11+Im2
k×T12+Im3
k×(T13+T1z)+Im4
k×T14)+p/(Im5
k×T15+Im6
k×T16)を満たすT1zを求める。
【0064】
また例えば、
図2に示す例であって、1個の予定電流値として、電流値iw(i6<iz≦i7)が予定取得部24aで取得された際、使用可能実効時間をT2wとした場合に、寿命予測部236aは、寿命使用情報として、i6<I≦i7、T1zを求める。そして、寿命輝度値をRzとした場合に、寿命予測部236aは、Rz/R
0=s/(Im1
k×T11+Im2
k×T12+Im3
k×T13+Im4
k×T14)+p/(Im5
k×T15+Im6
k×(T16+T2w))を満たすT2wを求める。
【0065】
以上説明したように、実施形態におけるOLED駆動システムSaおよびこれに実装されたOLED駆動方法は、互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置LPaの累積実効使用時間を表す使用情報を使用情報記憶部13に記憶するので、各電流範囲ごとにその各累積実効使用時間に基づいてOLEDに与えるダメージを推定できるから、駆動のために通電された電流値が高いほど、OLEDが大きなダメージを受け、電流の通電時間が長いほど、OLEDが大きなダメージを受けるという発明者の知見によれば、より精度良く劣化の推定が可能となる。
【0066】
上記OLED駆動システムSaおよびOLED駆動方法は、輝度演算部234aを備えるので、使用情報記憶部13に複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報に対応するOLED照明装置LPaの輝度値を求めることができ、OLEDにおける劣化の程度を、輝度値で評価(認識)できる。この輝度値からOLED照明装置LPaの寿命が評価できる。
【0067】
上記OLED駆動システムSaおよびOLED駆動方法は、予定取得部24aおよび輝度予測部235aを備えるので、前記予定累積実効使用時間後の輝度値を予測でき、そのときのOLEDにおける劣化の程度を、輝度値で評価(認識)できる。この輝度値からOLED照明装置LPaの寿命が評価できる。
【0068】
上記OLED駆動システムSaおよびOLED駆動方法は、予定取得部24aおよび寿命予測部236aを備えるので、予定取得部24aで取得した1個の予定電流値でOLED照明装置LPaを使用した場合における使用可能実効時間(寿命となるまでに残された使用可能な実効時間、連続通電駆動の場合では使用可能時間そのもの、パルス通電駆動の場合ではパルス幅にパルス数を乗算した時間)を評価できる。
【0069】
上記OLED駆動システムSaおよびOLED駆動方法は、前記対応関係情報を、前記定格電流値以下で通電する場合での第1情報と前記定格電流値を超えて通電する場合での第2情報とで持つので、前記定格電流値以下で通電する場合と前記定格電流値を超えて通電する場合とではOLEDが受けるダメージの程度が異なるという知見によれば、より精度良く劣化の推定が可能となる。
【0070】
なお、上述の実施形態では、OLED照明装置LPaが使用情報記憶部13を備え、制御装置CTaが電力出力部21、使用時間処理部232、ならびに、前記使用情報書込み部の一例としてCメモリ入出力IF部22および使用情報処理部233aを備えたが、制御装置が使用情報記憶部を備えても良い。
【0071】
図4は、前記OLED駆動システム、前記OLED照明装置および前記制御装置の第1変形形態を説明するための図である。
図5は、前記OLED駆動システム、前記OLED照明装置および前記制御装置の第2変形形態を説明するための図である。
図6は、前記第1および第2変形形態における使用情報記憶部に記憶される使用情報テーブルの変形形態を説明するための図である。
【0072】
例えば、第1変形形態におけるOLED駆動システムSbは、
図4に示すように、OLED照明装置LPbと、OLED照明装置LPbと上述と同様のケーブルCBaで接続された制御装置CTbとを備える。
【0073】
OLED照明装置LPbは、OLEDを利用して照明光を放射する装置であり、例えば、
図4に示すように、OLEDパネル11と、照明側メモリ出力インターフェース部(Lメモリ出力IF部)14と、ID情報記憶部15とを備え、これらは、OLEDパネル11における照明光の放射面を外部に臨むように不図示の所定の筐体(第1筐体、第1ハウジング)に収容される。この第1変形形態のOLED照明装置LPbにおけるOLEDパネル11は、上述のOLED照明装置LPaにおけるOLEDパネル11と同様であるので、その説明を省略する。
【0074】
ID情報記憶部15は、Lメモリ出力IF部14に接続され、当該OLED照明装置LPbを特定し識別するための識別子であるID情報を記憶する回路である。ID情報記憶部15は、例えば、ROMやEEPROM等の不揮発性の記憶素子およびその周辺回路を備えて構成される。あるいは、例えば、ID情報記憶部15は、複数のスイッチを備えるディップスイッチを備えて構成され、各スイッチのオン、オフをデジタル信号の0、1に対応させても良い。
【0075】
Lメモリ出力IF部14は、ケーブルCBaの前記通信線に接続され、ID情報記憶部15からID情報を読み出し、ID情報(ID情報を収容した通信信号)を制御装置CTbへ送信する回路である。Lメモリ出力IF部14は、例えば、メモリリーダー回路、USBインターフェース回路およびその周辺回路を備えて構成される。
【0076】
制御装置CTbは、ケーブルCBaを介したOLED照明装置LPbへの給電を制御することによって前記照明光の点消灯や光量等を制御する装置であり、例えば、
図4に示すように、電力出力部21と、制御側メモリ入力インターフェース部(Cメモリ入力IF部)27と、制御処理部23bと、予定取得部24aと、出力部25と、記憶部26bとを備える。これら第1変形形態の制御装置CTbにおける電力出力部21、予定取得部24aおよび出力部25は、それぞれ、上述の制御装置CTaにおける電力出力部21、予定取得部24aおよび出力部25と同様であるので、その説明を省略する。
【0077】
Cメモリ入力IF部27は、ケーブルCBaの前記通信線および制御処理部23bそれぞれに接続され、制御処理部23bの制御に従って、OLED照明装置LPbのLメモリ出力IF部14から、ID情報(ID情報を収容した通信信号)を受信する回路である。Cメモリ入力IF部27は、例えば、USBインターフェース回路およびその周辺回路を備えて構成される。
【0078】
記憶部26bは、前記使用情報記憶部としてさらに機能する点を除き、上述の制御装置CTaの記憶部26aと同様である。すなわち、記憶部26bは、対応関係情報記憶部261に加え、さらに使用情報記憶部262を機能的に備える。
【0079】
使用情報記憶部262は、上述の使用情報記憶部13と同様に、互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置LPbの使用時間を表す使用情報を記憶するものである。そして、この第1変形形態では、互いに異なる複数のOLED照明装置LPbを接続可能とするために、このような複数の電流範囲ごとの使用情報を、互いに異なる複数のOLED照明装置LPbそれぞれに対応付けて、使用情報記憶部262は、記憶する。より具体的には、例えば、
図6に示すように、
図2に示す使用情報テーブルUTaと同様な使用情報テーブルUTb(UTb-1、UTb-2、UTb-3、・・・)を複数、記憶し、これら複数の使用情報テーブルUTb-1、UTb-2、UTb-3、・・・を、互いに異なる複数のOLED照明装置LPそれぞれの持つ複数のID情報ID1、ID2、ID3、・・・それぞれと対応付けて記憶する。使用情報記憶部262には、各定格電流値IRおよび各OD最大許容電流値ILも各ID情報に対応付けてさらに記憶される。
【0080】
制御処理部23bは、制御装置CTbの各部21、22、24a、25、26bを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、OLED照明装置LPbの点消灯や光量等を制御し、OLED照明装置LPbの輝度値、予測輝度値および使用可能時間等を求めるための回路である。制御処理部23bは、例えば、CPUおよびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部23bは、その制御処理プログラムが実行されることによって、制御部231、使用時間処理部232、使用情報処理部233b、輝度演算部234b、輝度予測部235bおよび寿命予測部236bを機能的に備える。これら第1変形形態の制御処理部23bにおける制御部231および使用時間処理部232は、それぞれ、上述の制御処理部23aにおける制御部231および使用時間処理部232と同様であるので、その説明を省略する。
【0081】
そして、これら第1変形形態の制御処理部23bにおける使用情報処理部233b、輝度演算部234b、輝度予測部235bおよび寿命予測部236bは、それぞれ、OLED照明装置LPaの使用情報記憶部13に記憶された使用情報テーブルUTaに代え、OLED照明装置LPbからID情報を受信し、この受信したID情報に対応する、使用情報記憶部262に記憶された使用情報テーブルUTbを用いる点を除き、上述の制御処理部23aにおける使用情報処理部233a、輝度演算部234a、輝度予測部235aおよび寿命予測部236aと同様である。
【0082】
例えば、使用情報処理部233bは、OLED照明装置LPbから取得したID情報に対応付けられて使用情報記憶部262に記憶され、電力出力部21から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、使用時間処理部232で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、この更新した累積実効使用時間を表す使用情報を前記使用情報記憶部262に記憶させるものである。
【0083】
より具体的には、例えば、本実施形態では、使用情報処理部233bは、まず、Cメモリ入力IF部27を介してOLED照明装置LPbからID情報を受信する。そして、制御部231が電力出力部21から出力させている目標電流値の通知を受け、使用情報処理部233bは、前記受信したID情報に対応付けられた使用情報テーブルUTbにおいて、この通知を受けた目標電流値を含む電流範囲を登録するレコードにおける累積実効使用時間フィールド2612に登録されている累積実効使用時間を読み出し、この読み出した累積実効使用時間に、使用時間処理部232で求めた実効使用時間を加算する。そして、使用情報処理部233bは、前記受信したID情報に対応付けられた使用情報テーブルUTbにおいて、前記通知を受けた目標電流値を含む電流範囲を電流範囲フィールド2611に登録するレコードにおける累積実効使用時間フィールド2612に、加算後の累積実効使用時間を登録(上書き)して使用情報記憶部262に記憶する。
【0084】
輝度演算部234b、輝度予測部235bおよび寿命予測部236bも、使用情報処理部233bの説明と同様に説明できるので、その説明を省略する。
【0085】
このような第1変形形態の制御装置CTbは、電力出力部21、Cメモリ入力IF部27、制御処理部23b、予定取得部24a、出力部25および記憶部26bは、不図示の所定の筐体(第2筐体、第2ハウジング)に収容され、一体に構成されて良い。あるいは、制御装置CTbは、
図4に一点鎖線で示すように、電力出力部21を備える第1装置(駆動装置)DVと、Cメモリ入力IF部27、制御処理部23b、予定取得部24a、出力部25および記憶部26bを備える第2装置(制御本体装置)BDbとを備え、別体に構成されて良い。
【0086】
また例えば、第2変形形態におけるOLED駆動システムScは、
図5に示すように、OLED照明装置LPcとケーブルCBcで接続された制御装置CTcを備える。この第2変形形態では、制御装置CTcは、OLED照明装置LPcに対し、給電するだけなので、ケーブルCBbは、給電のための電力線を備える。
【0087】
OLED照明装置LPcは、OLEDを利用して照明光を放射する装置であり、例えば、
図5に示すように、OLEDパネル11を備え、これらは、OLEDパネル11における照明光の放射面を外部に臨むように不図示の所定の筐体(第1筐体、第1ハウジング)に収容される。この第2変形形態のOLED照明装置LPcにおけるOLEDパネル11は、上述のOLED照明装置LPaにおけるOLEDパネル11と同様であるので、その説明を省略する。
【0088】
すなわち、OLED照明装置LPcは、汎用品であり、第2変形形態におけるOLED駆動システムScは、制御装置CTcを備えて構成される。
【0089】
制御装置CTcは、ケーブルCBcを介したOLED照明装置LPcへの給電を制御することによって前記照明光の点消灯や光量等を制御する装置であり、例えば、
図5に示すように、電力出力部21と、制御処理部23cと、予定取得部24cと、出力部25と、記憶部26bとを備える。これら第2変形形態の制御装置CTcにおける電力出力部21、予定取得部24cおよび出力部25は、それぞれ、予定取得部24cがさらにID情報を取得する点を除き、上述の制御装置CTaにおける電力出力部21、予定取得部24aおよび出力部25と同様であるので、その説明を省略する。この第2変形形態の制御装置CTcにおける記憶部26bは、第1変形形態の制御装置CTbにおける記憶部26bと同様であるので、その説明を省略する。
【0090】
制御処理部23cは、制御装置CTcの各部21、22、24c、25、26bを当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、OLED照明装置LPcの点消灯や光量等を制御し、OLED照明装置LPcの輝度値、予測輝度値および使用可能時間等を求めるための回路である。制御処理部23cは、例えば、CPUおよびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部23cは、その制御処理プログラムが実行されることによって、制御部231、使用時間処理部232、使用情報処理部233c、輝度演算部234c、輝度予測部235cおよび寿命予測部236cを機能的に備える。これら第2変形形態の制御処理部23cにおける制御部231および使用時間処理部232は、それぞれ、上述の制御処理部23aにおける制御部231および使用時間処理部232と同様であるので、その説明を省略する。
【0091】
そして、これら第2変形形態の制御処理部23cにおける使用情報処理部233c、輝度演算部234c、輝度予測部235cおよび寿命予測部236cは、それぞれ、OLED照明装置LPaの使用情報記憶部13に記憶された使用情報テーブルUTaに代え、予定取得部24cからID情報を取得し、この取得したID情報に対応する、使用情報記憶部262に記憶された使用情報テーブルUTbを用いる点を除き、上述の制御処理部23aにおける使用情報処理部233a、輝度演算部234a、輝度予測部235aおよび寿命予測部236aと同様である。
【0092】
例えば、使用情報処理部233cは、予定取得部24cから取得したID情報に対応付けられて使用情報記憶部262に記憶され、電力出力部21から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、使用時間処理部232で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、この更新した累積実効使用時間を表す使用情報を前記使用情報記憶部262に記憶させるものである。
【0093】
より具体的には、例えば、本実施形態では、使用情報処理部233cは、まず、予定取得部24cでOLED照明装置LPcのID情報を取得する。例えば、ユーザは、OLED照明装置LPcに予めID情報を割り当て、この割り当てたID情報を予定取得部24cを介して制御装置CTcに入力する。なお、OLED照明装置LPcのシリアル番号がID情報として利用されても良い。そして、制御部231が電力出力部21から出力させている目標電流値の通知を受け、使用情報処理部233cは、前記取得したID情報に対応付けられた使用情報テーブルUTbにおいて、この通知を受けた目標電流値を含む電流範囲を登録するレコードにおける累積実効使用時間フィールド2612に登録されている累積実効使用時間を読み出し、この読み出した累積実効使用時間に、使用時間処理部232で求めた実効使用時間を加算する。そして、使用情報処理部233cは、前記取得したID情報に対応付けられた使用情報テーブルUTbにおいて、前記通知を受けた目標電流値を含む電流範囲を電流範囲フィールド2611に登録するレコードにおける累積実効使用時間フィールド2612に、加算後の累積実効使用時間を登録(上書き)して使用情報記憶部262に記憶する。
【0094】
輝度演算部234c、輝度予測部235cおよび寿命予測部236cも、使用情報処理部233cの説明と同様に説明できるので、その説明を省略する。
【0095】
このような第2変形形態の制御装置CTcは、電力出力部21、制御処理部23c、予定取得部24c、出力部25および記憶部26bは、不図示の所定の筐体(第2筐体、第2ハウジング)に収容され、一体に構成されて良い。あるいは、制御装置CTcは、
図5に一点鎖線で示すように、電力出力部21を備える第1装置(駆動装置)DVと、制御処理部23c、予定取得部24c、出力部25および記憶部26bを備える第2装置(制御本体装置)BDcとを備え、別体に構成されて良い。
【0096】
また、これら上述の実施形態において、OLED駆動システムSa~Scは、OLED照明装置LPa~LPcの使用温度を取得する温度取得部をさらに備え、使用情報記憶部13、261は、互いに異なる複数の電流範囲ごとに、OLED照明装置LPa~LPcにおける累積実効使用時間および使用温度を表す使用情報を記憶し、使用情報処理部233a~233cは、使用情報記憶部13、261に記憶され、電力出力部21から出力した電力の電流値に対応する電流範囲の使用情報で表される累積実効使用時間に、使用時間処理部232で求められた実効使用時間を加算することによって前記累積実効使用時間を更新し、前記更新した累積実効使用時間および前記温度取得部で取得したOLED照明装置LPa~LPcの使用温度を表す使用情報を使用情報記憶部13、261に記憶させても良い。これによれば、使用温度も使用情報として記憶するので、使用温度を考慮して劣化の推定が可能となり、したがって、より精度良く劣化の推定が可能となる。前記温度取得部は、例えば、制御装置CTa~CTcに配設された、環境温度を測定する例えばサーミスタ等の温度測定部と、前記温度測定部で測定された環境温度および電力出力部21からOLED照明装置LPa~LPcへ給電している電力に基づいて平衡状態におけるOLED照明装置LPa~LPcの使用温度を求める使用温度演算部とを備える。
【0097】
このようなOLED駆動システムSa~Scにおいて、輝度演算部234a~234cは、OLED照明装置LPa~LPcにおける電流値、累積実効使用時間および使用温度と前記OLED照明装置LPa~LPcの輝度値との対応関係を表す対応関係情報(第2対応関係情報)を用いて使用情報記憶部13、262に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報に対応する前記OLED照明装置LPa~LPcの輝度値を求める。予定取得部24a、24cは、OLED照明装置LPa~LPcにおける前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間および前記予定累積実効使用時間での使用温度を取得し、輝度予測部235a~235cは、予定取得部24a、24cで取得された前記複数の電流範囲ごとの予定累積実効使用時間および使用温度に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する予定使用情報を求め、前記第2対応関係情報を用いて、使用情報記憶部13、262に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの予定使用情報に対応する前記OLED照明装置LPa~LPcの輝度値を予測する。予定取得部24a、24cは、予定での1個の予定電流値および前記予定での使用温度を取得し、寿命予測部236a~236cは、前記使用可能実効時間ならびに予定取得部24a、24cで取得された1個の予定電流値および使用温度に基づいて前記複数の電流範囲ごとの前記使用情報に相当する寿命使用情報を求め、前記第2対応関係情報を用いて、前記寿命輝度値、使用情報記憶部13、262に前記複数の電流範囲ごとに記憶された使用情報および前記求めた前記複数の電流範囲ごとの寿命使用情報に基づいて、前記使用可能実効時間を求める。前記第2対応関係情報は、OLED照明装置LPa~LPcに定格電流値以下で通電することによって前記OLED照明装置LPa~LPcを駆動する場合での、OLED照明装置LPa~LPcにおける電流値、累積実効使用時間および使用温度と前記OLED照明装置LPa~LPcの輝度値との第1対応関係を表す第1情報、および、前記OLED照明装置LPa~LPcに前記定格電流値を超えて通電することによって前記OLED照明装置LPa~LPcを駆動する場合での、前記OLED照明装置LPa~LPcにおける電流値、累積実効使用時間および使用温度と前記OLED照明装置LPa~LPcの輝度値との第2対応関係を表す第2情報を含む。
【0098】
この第2対応関係情報は、例えば、複数のサンプルを用いた統計処理によって予め求められ、ルックアップテーブルで対応関係情報記憶部261に記憶される。前記第2対応関係情報は、例えば、次式2によって表される。
式2;R/R0=s/(Σ(Ii
k×ti×α(t)i)+p/(Σ(IODj
k×tODj×β(t)j)
ここで、α(t)iは、定格電流値IR以下でのi番目の電流範囲での温度tに対する温度パラメータであり、β(t)jは、定格電流値IR以下を超えたj番目の電流範囲でのでの温度tに対する温度パラメータである。温度パラメータα(t)i、β(t)jは、例えば、複数のサンプルを用いた統計処理によって予め求められ、例えば室温の場合を基準値1とした場合に温度上昇に従って大きくなる。
【0099】
また、上述の実施形態において、制御装置CTa~CTcは、輝度演算部234a~234cで求められた輝度値と、予め設定された判定閾値Thとを比較し、前記求められた閾値が前記判定閾値Th以下である場合に、その旨を、例えばランプの点灯やブザー音等によって外部に通知するように構成されても良い。例えば、前記判定閾値ThをOLED照明装置LPa~LPcの寿命とみなす輝度値に設定すれば、OLED照明装置LPa~LPcの寿命が外部に通知できる。
【0100】
なお、上述の実施形態では、使用情報テーブルUTa、UTbは、累積実効使用時間フィールド2612を備えて構成されたが、上述のように、通電電流値が定格電流値IR以下か否かに基づいて寿命が求められるので、使用情報テーブルUTa、UTbは、累積実効使用時間フィールド2612に代え、通電電流値が定格電流値IR以下である場合の累積実効使用時間を登録する第1サブ累積実効使用時間フィールドと、通電電流値が定格電流値IRを超えOD最大許容電流値IL以下である場合の累積実効使用時間を登録する第2サブ累積実効使用時間フィールドとを備えても良い(不図示)。あるいは、使用情報テーブルUTa、UTbは、使用情報としてパルス幅および累積パルス数を用いる場合では、電流範囲フィールドと、前記電流範囲フィールドに登録された電流範囲での累積パルス数を登録する累積パルス数フィールドとを備え、電流範囲ごとにレコードを持っても良い(不図示)。この場合では、パルス幅(パルス時間幅)は、使用情報記憶部13および記憶部26a、26bのうちの少なくとも一方に記憶される。あるいは、使用情報テーブルUTa、UTbは、使用情報として累積使用時間およびデューティー比を用いる場合では、電流範囲フィールドと、前記電流範囲フィールドに登録された電流範囲での累積使用時間を登録する累積使用時間フィールドとを備え、電流範囲ごとにレコードを持っても良い(不図示)。この場合では、デューティー比は、使用情報記憶部13および記憶部26a、26bのうちの少なくとも一方に記憶される。
【0101】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0102】
Sa~Sc OLED駆動システム、LPa~LPc OLED照明装置、CTa~CTc 制御装置、13、262 使用情報記憶部、21 電力出力部、22 制御側メモリ入出力インタフェース部(Cメモリ入出力IF部)、24a、24c 予定取得部(第2予定取得部)、27 制御側メモリ入力インタフェース部(Cメモリ入力IF部)、232 使用時間処理部、233a~233c 使用情報処理部、234a~234c 輝度演算部、235a~235c 輝度予測部、236a~236c 寿命予測部