IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-家庭用薄葉紙収納容器 図1
  • 特許-家庭用薄葉紙収納容器 図2
  • 特許-家庭用薄葉紙収納容器 図3
  • 特許-家庭用薄葉紙収納容器 図4
  • 特許-家庭用薄葉紙収納容器 図5
  • 特許-家庭用薄葉紙収納容器 図6
  • 特許-家庭用薄葉紙収納容器 図7
  • 特許-家庭用薄葉紙収納容器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】家庭用薄葉紙収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20230705BHJP
【FI】
B65D83/08 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019031927
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020132256
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】三浦 昭晃
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-051117(JP,A)
【文献】特表2003-531780(JP,A)
【文献】特開平11-165776(JP,A)
【文献】特開2006-117320(JP,A)
【文献】特開2010-001046(JP,A)
【文献】特開2016-175684(JP,A)
【文献】特開平08-104377(JP,A)
【文献】国際公開第2019/171931(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に家庭用薄葉紙が収納され、その家庭用薄葉紙を取り出す取出孔が設けられた取出し部を有する容器本体と、
前記容器本体に回動自在に取り付けられ、前記取出孔を閉塞する開閉蓋と、
を備えた家庭用薄葉紙収納容器であって、
前記容器本体は、その少なくとも一部が弾性材料によって形成されており、
前記取出し部は、前記弾性材料によって形成された部分と一体的に形成され、その取出し部に設けられている前記取出孔は、当該家庭用薄葉紙収納容器を前面側から平面視してY字形状を呈するように形成されており、
前記取出孔は、前記取出し部において略球面状に膨らんだ態様の膨出部分に設けられており、
前記取出孔の縁には3つの突片が設けられており、そのうち1つの突片が前記容器本体に前記開閉蓋が取り付けられている側の後方へ向かって、その手前側の縁から突き出している態様に設けられており、
前記手前側の縁から突き出している態様の突片は、円弧状の先端部が前記取出し部の中心よりも、前記容器本体に前記開閉蓋が取り付けられている側の後方に位置するように設けられており、前記円弧状の先端部が前記取出孔から引き出される前記家庭用薄葉紙に対して摺接可能に構成されていることを特徴とする家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項2】
前記弾性材料によって形成された部分と一体的に形成され、前記開閉蓋を開放方向に付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用薄葉紙収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用薄葉紙であるウェットティッシュ等の収納容器としては、開閉蓋を板バネ等の付勢部材によって開放方向に付勢しつつ、その開閉蓋を所定の係止部材によって閉塞状態で係止しておき、使用者が係止部材に設けられたボタンを操作した際に、ワンタッチで開閉蓋が開くようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
収納容器の開閉蓋を開くと、容器本体上部に形成されている取出孔が露出するようになっており、その取出孔に一部分が保持されているウェットティッシュを摘まんで引き出して使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-13854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の収納容器の場合、取出孔の縁が開閉蓋のヒンジ部とは反対側の手前側に延在する形状を有しており、ウェットティッシュが手前側へ引き出され易くなっているため、引き出して使用するウェットティッシュに続く次のウェットティッシュが引き出され過ぎてしまうことがある。
次のウェットティッシュが引き出され過ぎてしまい、取出孔に保持されるウェットティッシュ部分が長過ぎると、収納容器の開閉蓋を閉じる際に挟まれることがあり、閉蓋の妨げになることがある。
そのため、引き出され過ぎたウェットティッシュを取出孔に押し込むなどしなければならないことがあり、煩雑であった。
【0005】
本発明の目的は、家庭用薄葉紙を好適に引き出すことができる家庭用薄葉紙収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
内部に家庭用薄葉紙が収納され、その家庭用薄葉紙を取り出す取出孔が設けられた取出し部を有する容器本体と、
前記容器本体に回動自在に取り付けられ、前記取出孔を閉塞する開閉蓋と、
を備えた家庭用薄葉紙収納容器であって、
前記容器本体は、その少なくとも一部が弾性材料によって形成されており、
前記取出し部は、前記弾性材料によって形成された部分と一体的に形成され、その取出し部に設けられている前記取出孔は、当該家庭用薄葉紙収納容器を前面側から平面視してY字形状を呈するように形成されており、
前記取出孔は、前記取出し部において略球面状に膨らんだ態様の膨出部分に設けられており、
前記取出孔の縁には3つの突片が設けられており、そのうち1つの突片が前記容器本体に前記開閉蓋が取り付けられている側の後方へ向かって、その手前側の縁から突き出している態様に設けられており、
前記手前側の縁から突き出している態様の突片は、円弧状の先端部が前記取出し部の中心よりも、前記容器本体に前記開閉蓋が取り付けられている側の後方に位置するように設けられており、前記円弧状の先端部が前記取出孔から引き出される前記家庭用薄葉紙に対して摺接可能に構成されていることを特徴とする。
かかる構成の家庭用薄葉紙収納容器であれば、取出し部における略球面状に膨らんだ態様の膨出部分に取出孔が設けられているので、周囲よりも高い位置にある取出孔にて保持されている家庭用薄葉紙の一端部を摘まみ易くなっており、その一端部を摘まんで家庭用薄葉紙を引き出し易くなっている。
特に、取出孔には、その手前側の縁から後方に向かって突き出している突片が設けられているので、その突片が取出孔から手前側に引き出される家庭用薄葉紙に摺接して適切な摩擦力を付与することで、引き出して使用する家庭用薄葉紙に続いて引き出される次の家庭用薄葉紙が取出孔から引き出され過ぎてしまわないようにすることができる。
こうして取出孔から引き出された次の家庭用薄葉紙は、その一端部が適正な長さ引き出された状態で取出孔に保持されるので、取出孔に保持されている家庭用薄葉紙が開閉蓋を閉じる際の妨げになることはない。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記弾性材料によって形成された部分と一体的に形成され、前記開閉蓋を開放方向に付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、家庭用薄葉紙を好適に引き出すことができる家庭用薄葉紙収納容器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器を示す斜視図である。
図2】本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器を示す斜視図である。
図3】本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器を示す断面図であり、図1のY方向中央部における断面図である。
図4】本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器を示す断面図であり、図2のY方向中央部における断面図である。
図5】容器本体上部と容器本体下部との篏合を外した状態における家庭用薄葉紙収納容器の断面図である。
図6】家庭用薄葉紙収納容器の取出し部を示す上面図(a)と、その変形例を示す上面図(b)である。
図7】取出し部(取出孔)の変形例を示す上面図(a)(b)(c)である。
図8】家庭用薄葉紙収納容器の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る家庭用薄葉紙収納容器の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、以下においては、図1,2に示すように、X軸、Y軸及びZ軸並びに前後方向、左右方向及び上下方向を定めて説明する。すなわち、家庭用薄葉紙収納容器100の開閉蓋2が備えられた側を「上」、その反対側を「下」、容器本体1と開閉蓋2とが接続されている側を「後」、その反対側を「前」、容器の前面を正面視した状態における右手側を「右」、容器の前面を正面視した状態における左手側を「左」とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向の沿った軸をZ軸とする。
【0013】
[実施形態の構成]
{全体構成}
家庭用薄葉紙収納容器100は、例えば、図1図5に示すように、内部の家庭用薄葉紙Pを取り出す取出孔112aを有する容器本体1と、取出孔112aを覆うように開閉自在に容器本体1に接続された開閉蓋2と、開閉蓋2を開放方向に付勢する付勢手段3と、を備え、容器本体1の内部に家庭用薄葉紙Pが収納される収納空間Sが形成されている。
容器本体1と、開閉蓋2とは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成することができる。
【0014】
{家庭用薄葉紙}
家庭用薄葉紙Pとしては、例えば、小型のウェットシート、ウェットティッシュ等が交互に折り重ねられた状態で積層され、1枚のウェットシート、ウェットティッシュ等を引き出した際に次のウェットシート、ウェットティッシュ等も引き出されるように形成された、所謂ポップアップ式のシートが用いられる。その他には、例えば、長さ方向に一定の間隔でミシン目が施された長大なウェットシート、ウェットティッシュ等がロール状に巻かれ、ミシン目に沿って切り離して使用するロールシートを用いることもできる。
【0015】
{容器本体}
容器本体1は、図1,2に示すように、全体として、X方向及びZ方向に比してY方向に長い略直方体状に形成され、これがZ方向略中央部付近において上下に二分され、容器本体1の上側を構成する容器本体上部11と、容器本体1の下側を構成する容器本体下部12と、が形成されている。容器本体上部11と、容器本体下部12とは容器本体1の後側において接続されている。
容器本体上部11と、容器本体下部12とは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成することができる。
【0016】
容器本体1は、全体が、X方向に好ましくは60mmから150mm、さらに好ましくは80mmから100mm、Y方向に好ましくは80mmから200mm、さらに好ましくは145mmから165mm、Z方向に好ましくは30mmから100mm、さらに好ましくは50mmから70mmの大きさとなるように形成されている。また、各面の厚みは、好ましくは0.5mmから3mm、さらに好ましくは1mmから2mmである。
この大きさ及び厚みであれば、成形効率が高く、かつ実使用に問題ない強度を達成することができる。
【0017】
容器本体1は、図5に示すように、容器本体上部11と容器本体下部12とが接続された後側を支点とし、容器本体上部11を上方へと回動させることによって、内部の収納空間Sを外部に開放することができる。
容器本体1後側の、容器本体上部11と容器本体下部12との接続部分が、図3図5に示すように、容器本体1の他の部分と比較して薄くなるように形成されていることによって、当該接続部分において容器本体の後面を容易に曲げることができ、容器本体上部11を、当該接続部分を支点として、容器本体下部12に対して回動させ易くなる。
【0018】
なお、生産性は低下するものの、容器本体上部11と、容器本体下部12とを別体として形成の上、これらをヒンジ等によって回動自在に接続することも可能である。
また、容器本体1が容器本体上部11と容器本体下部12とに二分される位置は、図においては、Z方向中央部付近とした場合につき図示したが、Z方向中央部よりも上部であれば、さらに好ましい。この場合、収納された家庭用薄葉紙Pが所定の包装体によって覆われた状態で、容器本体1内に収納される場合において、容器の閉塞時に包装体のエンドシール部等を挟み込んでしまうおそれを低減することができ、家庭用薄葉紙Pをさらに詰め替え易くなる。
【0019】
(容器本体上部)
容器本体上部11は、図1図5に示すように、下面が開口部となった略直方体状に形成され、上面に下方に凹状となる凹部111が形成されている。
その凹部111の中央側の取出し部112には、収納空間Sの家庭用薄葉紙Pを取り出す取出孔112aが設けられ、取出孔112aを囲むようにして、本体側密閉環部113が形成されている。換言すれば、凹部111内における本体側密閉環部113に囲まれた部分が取出し部112として形成されており、取出し部112の中央部に取出孔112aが設けられている。
また、上面の前側には、開閉蓋2を開閉するための係止手段114が形成されている。
また、下面の開口部の周囲には、後述の容器本体下部12の下部嵌合部121と嵌合する上部嵌合部116が形成されている。
【0020】
(取出孔)
取出孔112aは、容器本体上面の中央側に形成された、収納空間Sにつながる孔部である。
図2においては、三角形の重心点と各頂点とを結ぶように3本のスリットを形成してなる略逆Y字形状を呈する取出孔112aを図示している。
この取出孔112aは、後述するようにその周囲が弾性を有する材料によって形成されており、家庭用薄葉紙Pに対して適切な抵抗を掛けることで、収納空間Sに収納された家庭用薄葉紙Pが引き出された後に、次の家庭用薄葉紙Pを保持する機能を果たす。また、家庭用薄葉紙Pがロールシートである場合において、家庭用薄葉紙Pに設けられている切断用のミシン目で、これを切断することを可能とする。
【0021】
特に、取出し部112の略中央には、略球面状に盛り上がった膨出部分112bが形成されており、その膨出部分112bに取出孔112aが設けられている。つまり、取出孔112aは、取出し部112において略球面状に膨らんだ態様の膨出部分112bに設けられている。
また、取出孔112aの縁には、容器本体1に開閉蓋2が取り付けられている側の後方へ向かって、その手前側の縁から突き出している突片112cが設けられている。
【0022】
(突片)
突片112cは、取出孔112aから引き出される家庭用薄葉紙Pが摺接する箇所であり、取出孔112aから引き出される家庭用薄葉紙Pに対して適切な抵抗を掛けるために設けられている。
具体的には、使用者が家庭用薄葉紙収納容器100の開閉蓋2を開放して家庭用薄葉紙Pを取り出す場合、収納容器100の後ろ側に起立された姿勢の開閉蓋2が家庭用薄葉紙Pを取り出す動作の妨げにならないように、使用者は収納容器100の前面側から手を伸ばし、家庭用薄葉紙Pを取出孔112aから引き出すようにするので、取出孔112aから引き出される家庭用薄葉紙Pは手前側の縁の突片112cと摺接するようになる。
このとき、取出孔112aから手前側に引き出される家庭用薄葉紙Pに対し、手前側の縁から後方へ向かって突き出している突片112cが摺接することで、突片112cが家庭用薄葉紙Pに対して適切な抵抗を掛けて、家庭用薄葉紙Pが取出孔112aから引き出され過ぎてしまわないようにすることができる。
つまり、手前側の縁から後方へ向かって突き出している突片112cは、取出孔112aから手前側に引き出される家庭用薄葉紙Pに対して適切な摩擦力を付与し、引き出して使用する家庭用薄葉紙Pに続いて引き出される次の家庭用薄葉紙Pが取出孔112aから引き出され過ぎてしまわないようにする機能を有している。
そして、使用する家庭用薄葉紙Pに続いて引き出された次の家庭用薄葉紙Pは、その一端部が適正な長さ引き出された状態(図4参照)で、取出孔112aに保持されるようになる。
【0023】
また、このようにして取出孔112aに保持されている家庭用薄葉紙Pの一端部は、手前側の突片112cを含む3つの突片で支持されている。
家庭用薄葉紙Pの一端部を保持する取出孔112aは、取出し部112の膨出部分112bに設けられているので、各突片(112c)の先端側は膨出部分112b周囲の基面(取出し部112)よりも高い位置にある。
そして、家庭用薄葉紙Pの一端部は、このような突片(112c)によって周囲よりも高い位置で支持されて取出孔112aに保持されているので、その家庭用薄葉紙Pを摘まみ易くなっている。
【0024】
(本体側密閉環部)
本体側密閉環部113は、図2に示すように、取出孔112aを囲むように環状に上方へと突出する凸部であり、図3図5に示すように、その外周側の面が後述の開閉蓋2に形成された開閉蓋側密閉環部22の内周側の面と嵌合するように形成されている。
【0025】
(係止手段)
係止手段114は、図1図5に示すように、本体側爪部1141を備えるボタン状に形成され、本体側爪部1141が後述の開閉蓋2に形成される開閉蓋側爪部21と係合することによって、これを閉塞状態で係止するとともに、使用者が係止手段114を押圧した際には、本体側爪部1141と開閉蓋側爪部21との係合が外れ、開閉蓋2が開放状態となるように形成されている。
【0026】
(上部嵌合部)
上部嵌合部116は、図1図5に示すように、容器本体上部11の下側の開口部の周囲に、容器本体上部11と容器本体下部12とが接続された後側を除いて形成され、図3図5に示すように、下端部が外周側のみ突出し、上部突出部1161が形成されており、上部突出部1161の内周側の面が、後述の容器本体下部12に形成される下部嵌合部121の下部突出部1211の外周側の面と嵌合するように形成されている。
上部嵌合部116は、上部突出部1161が、上下方向に好ましくは0.5mmから5mm、さらに好ましくは1mmから3mmの長さを有するように形成される。
【0027】
(容器本体上部の材質)
容器本体上部11のうち、上面の取出し部112と本体側密閉環部113と付勢手段3とが、例えば、スチレン-ブタジエン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマー等の弾性を有する材料(以下、「弾性材料」という。)によって形成されている。弾性材料の性質としては、硬度が20から90であることが望ましい。なお、上記硬度は、JIS K 6253(タイプAデュロメータ)によって測定されたものである。
また、容器本体上部11のうち、上部嵌合部116も、同様の弾性材料によって形成されている。
容器本体上部11のその他の部分は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂材料によって形成されている。
これらは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成されている。
なお、弾性材料の硬度が上記よりも低くなると、柔らか過ぎて成形が難しく、成形効率が悪くなる。更に、付勢手段3が開閉蓋2を開放方向へと付勢する力が十分でなくなる。
また、硬度が上記よりも高くなると、取出孔112a周辺が硬くなり、抵抗が掛かり過ぎて、シートが一枚ずつ取り出しにくくなり、かつ、シートを引っ張り出す際に容器内部まで指を入れ難くなる。更に、付勢手段3が開閉蓋2を開放方向へと付勢する力が強くなり過ぎる。
したがって、弾性材料の硬度は、上記範囲とすることが望ましい。
【0028】
(容器本体下部)
容器本体下部12は、図1図5に示すように、上面が開口部となった略直方体状に形成され、上面の開口部の周囲には、容器本体上部11の上部嵌合部116と嵌合する下部嵌合部121が形成されている。また、下面には、下部滑り止め部122が形成されている。
【0029】
(下部嵌合部)
下部嵌合部121は、図1図5に示すように、容器本体下部12の上側の開口部の周囲に、容器本体下部12と容器本体上部11とが接続された後側を除いて形成され、図3図5に示すように、上端部が内周側のみ突出し、下部突出部1211が形成されており、下部突出部1211の外周側の面が、容器本体上部11に形成される上部嵌合部116の上部突出部1161の内周側の面と嵌合するように形成されている。
下部嵌合部121は、下部突出部1211が、上下方向に好ましくは0.5mmから5mm、さらに好ましくは1mmから3mmの長さを有するように形成される。
【0030】
なお、上部嵌合部116の上部突出部1161が、内周側のみ突出するように形成され、下部嵌合部121の下部突出部1211が、外周側のみ突出するように形成され、上部突出部1161の外周側の面と、下部突出部1211の内周側の面とが嵌合するようにしてもよい。
また、上部突出部が、内周側と外周側の間の中央部が突出するように形成され、下部突出部が、内周側と外周側の両側において突出し、間に凹部が生じるように形成され、上部突出部と、下部突出部の間の凹部とが嵌合するようにしてもよい。反対に、上部突出部が、内周側と外周側の両側において突出し、間に凹部が生じるように形成され、下部突出部が、内周側と外周側の間の中央部が突出するように形成され、下部突出部と、上部突出部の間の凹部とが嵌合するようにしてもよい。
【0031】
(下部滑り止め部)
下部滑り止め部122は、家庭用薄葉紙収納容器100を載置した際にこれを滑りにくくするための部分であり、容器本体下部12の下面に、弾性材料によって形成された部分を、他の部分と一体的に設けることにより形成されている。
【0032】
(容器本体下部の材質)
容器本体下部12は、下部嵌合部121及び下部滑り止め部122が、容器本体上部11において用いられるのと同様の弾性材料によって形成され、その他の部分は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂材料によって形成されている。
これらは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成されている。
【0033】
{開閉蓋}
開閉蓋2は、図1図5に示すように、容器本体上部11の凹部111後方に回動自在に接続された扁平な略矩形状の部材であり、前側に開閉蓋側爪部21を備え、下面側に開閉蓋側密閉環部22を備える。
開閉蓋2は、図1図5に示すように、閉塞時の平面視における形状が容器本体上部11の凹部111の平面視における形状と略同一となるように形成されており、閉塞時において、凹部111に嵌め込むことができるように形成されている。
なお、開閉蓋2と容器本体上部11との接続部分が、図4に示すように、他の部分と比較して薄くなるように形成されていることによって、当該接続部分を容易に曲げることができ、開閉蓋2を、当該接続部分を支点として回動させ易くなる。
【0034】
(開閉蓋側爪部)
開閉蓋側爪部21は、図1図5に示すように、開閉蓋2の前方に突出する爪部であり、容器本体上部11の係止手段114に形成される本体側爪部1141と係合することによって、開閉蓋を閉塞状態で係止するとともに、使用者が係止手段114を押圧した際には、本体側爪部1141と開閉蓋側爪部21との係合が外れ、後述の付勢手段3によって、開閉蓋2が開放状態となるように形成されている。
【0035】
(開閉蓋側密閉環部)
開閉蓋側密閉環部22は、図2に示すように、開閉蓋2の閉塞時における下面側中央部に形成された、下方へと環状に突出する凸部であり、図3図5に示すように、その内周側の面が、容器本体上部11に形成された本体側密閉環部113の外周側の面と嵌合するように形成されている。
【0036】
(開閉蓋の材質)
開閉蓋2は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂材料によって形成されている。
この開閉蓋2と、容器本体1とは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成されている。
【0037】
{付勢手段}
付勢手段3は、開閉蓋2を起立させる開放方向へと付勢しており、使用者が係止手段114を押圧し、本体側爪部1141と開閉蓋側爪部21との係合が外れた際に、開閉蓋2を後方の容器本体上部11との接続部分を回転軸として回転させるようにして開放させるための部材である。
【0038】
付勢手段3は、図2図5に示すように、容器本体上部11の本体側密閉環部113の後方と繋ぐようにして、容器本体上部11に弾性材料によって形成された部分を設けることによって形成されている。すなわち、付勢手段3は、容器本体上部11の弾性材料によって形成された本体側密閉環部113と一体的に形成されている。
【0039】
付勢手段3は、容器本体上部11の取出し部112や本体側密閉環部113に用いられているのと同様の弾性材料によって形成されている。
付勢手段3は、幅が好ましくは2mm~30mm、さらに好ましくは8mm~10mm、厚みが好ましくは0.5mm~3mm、さらに好ましくは1mm~2mmの帯状となるように形成されている。
付勢手段3がこのような大きさに形成されていることによって、開閉蓋2を無理なく押し上げることが可能であり、かつ、開閉蓋2の閉塞時において、凹部111内において付勢手段3を容易に折り曲げることができる。
【0040】
付勢手段3は、図3に示すように、開閉蓋2の閉塞時において、開閉蓋2の付け根近傍において折り曲げられることとなる。そして、使用者が係止手段114を押圧し、本体側爪部1141と開閉蓋側爪部21との係合が外れた際には、折り曲げられていた付勢手段3が復元しようとする反発力によって、開閉蓋2が開放され、図4に示す状態となる。
また、使用者が開閉蓋2を閉塞する際には、開閉蓋2を上方から押せば、付勢手段3が折り曲げられ、図3に示す状態となる。
【0041】
[実施形態の効果]
本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器100によれば、使用者が係止手段114を操作して開閉蓋2の係止が外れると、付勢手段3によって開閉蓋2が自動的に跳ね上げられることから、家庭用薄葉紙使用時の開閉蓋2の開放が容易となる。
そして、家庭用薄葉紙Pの一端部を保持する取出孔112aは、取出し部112の膨出部分112bに設けられているので、周囲よりも高い位置で取出孔112aに保持されている家庭用薄葉紙Pの一端部を摘まみ易くなっており、その一端部を摘まんで家庭用薄葉紙Pを引き出し易くなっている。
なお、取出孔112aが設けられている取出し部112は、弾性材料によって形成されているので、取出孔112aから引き出した家庭用薄葉紙Pに対して適切な抵抗を掛けることができ、収納空間Sに収納された家庭用薄葉紙Pが引き出された後に、次の家庭用薄葉紙Pを好適に保持することができる。また、家庭用薄葉紙Pがロールシートである場合、家庭用薄葉紙Pに設けられている切断用のミシン目で好適に切断することができる。
【0042】
特に、取出孔112aには、その手前側の縁から後方に向かって突き出している突片112cが設けられており、その突片112cが取出孔112aから手前側に引き出される家庭用薄葉紙Pに摺接して適切な摩擦力を付与することで、引き出して使用する家庭用薄葉紙Pに続いて引き出される次の家庭用薄葉紙Pが取出孔112aから引き出され過ぎてしまわないようにすることができる。
こうして取出孔112aから引き出された次の家庭用薄葉紙Pは、その一端部が適正な長さ引き出された状態で取出孔112aに保持されるので、取出孔112aに保持されている家庭用薄葉紙Pが開閉蓋2を閉じる際の妨げになることはない。
また、取出孔112aに保持されている家庭用薄葉紙Pを開閉蓋2で挟み込んでしまうことはないので、開閉蓋2に挟まれて容器の外側にはみ出した家庭用薄葉紙P(ウェットティッシュ)が乾燥してしまうようなトラブルが生じることがない。
【0043】
このような突片112cを有する取出孔112a(取出し部112)が設けられている家庭用薄葉紙収納容器100であれば、家庭用薄葉紙Pを好適に引き出して使用することができ、引き出して使用した家庭用薄葉紙Pに続いて引き出された次の家庭用薄葉紙Pの一端部を、開閉蓋2を閉蓋する妨げにならないように取出孔112aにて保持することができる。
そして、適正な長さ引き出された家庭用薄葉紙Pが取出孔112aに保持されるようになっていることで、家庭用薄葉紙収納容器100に収納されている家庭用薄葉紙Pを引き出して使用することを好適に繰り返し行うことができる。
【0044】
また、容器本体1が、容器本体上部11と容器本体下部12とによって構成され、これらが後面において接続されていることで、容器本体1をその中央部で開けて、内部の収納空間Sに収納された家庭用薄葉紙Pを詰め替えることができる。
したがって、家庭用薄葉紙Pの詰め替えの際に、家庭用薄葉紙収納容器100を持ち上げることを要せず、テーブル等に載置した状態のままで、詰め替え作業を行うことができる。
【0045】
また、容器本体上部11と容器本体下部12とは、後面で接続されており、当該接続部分を支点として、容器本体上部11を、容器本体下部12に対して回動させるようにして、収納空間Sを開閉することができる。したがって、詰め替え後等において、容器本体上部11と容器本体下部12との位置を逐一合わせることなく、容易にこれらを嵌合させて容器本体を閉じた状態とすることができ、内部の家庭用薄葉紙Pの詰め替えの手間を低減することができる。
【0046】
また、容器本体上部11に弾性材料によって上部嵌合部116が形成され、容器本体下部12に弾性材料によって下部嵌合部121が形成され、容器本体1の閉塞時に、これらが嵌合することで、容器本体1の気密性も向上することができる。この効果は、上部嵌合部116及び下部嵌合部121の双方が弾性材料によって形成されていることで、特に高めることができる。
【0047】
また、容器本体1の下面に弾性材料によって下部滑り止め部122が形成されていることで、容器本体1をテーブルの上等に載置した際の安定性を向上させることができる。
【0048】
[変形例]
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
図6(a)は、上記実施形態の取出し部112における取出孔112aや突片112cを示す上面図である。
上記実施形態では、正三角形の重心点と各頂点とを結ぶように3本のスリットを形成してなる略逆Y字形状を呈する取出孔112aが、容器本体上面の略中央(取出し部112の略中央)に形成されている場合を例に説明したが、例えば、図6(b)に示すように、二等辺三角形の重心点と各頂点とを結ぶように3本のスリットを形成してなる略逆Y字形状を呈する取出孔112aが、容器本体上面の後方寄りの位置(取出し部112における後方寄りの位置)に形成されていてもよい。
【0049】
特に、図6(b)に示した取出孔112aのように、その手前側の縁から後方に向かって突き出している突片112cを他の2つの突片よりも大きく形成し、その突片112cの先端部が取出し部112の中心よりも、容器本体1に開閉蓋2が取り付けられている側の後方に位置するように設けられているようにする。
つまり、取出孔112aの手前側の縁から後方に向かって突き出している突片112cは、その先端部が取出し部112の中心よりも、容器本体1に開閉蓋2が取り付けられている側の後方に位置するように設けられている。
【0050】
このように、取出孔112aが容器本体上面の取出し部112における後方寄りの位置に形成され、取出孔112aの手前側の縁の突片112cの先端部が取出し部112の中心よりも後方に位置していれば、取出孔112aから手前側に引き出される家庭用薄葉紙Pに対して突片112cが摺接する位置が容器本体上面(取出し部112)の後方寄りの位置になり、また、引き出して使用する家庭用薄葉紙Pに続いて引き出された次の家庭用薄葉紙Pは後方寄りの位置にある取出孔112aに保持されるようになる。
このようにして、取出し部112における後方寄りの位置にある取出孔112aに保持されている家庭用薄葉紙Pと、本体側密閉環部113の前面側の立片との間隔をより広くとるようにすることで、取出孔112aから手前側に引き出されて保持されている家庭用薄葉紙Pの一端部が前方に傾斜したり傾倒したりしていても、それが開閉蓋2を閉じる際の妨げにならないようにすることができる。
【0051】
また、取出孔112aの形状は、略逆Y字形状であることに限らない。
例えば、図7(a)に示すように、アーチ形状を呈する取出孔112aであってもよい。
このようなアーチ形状を呈する取出孔112aであっても、その手前側の縁から容器本体1に開閉蓋2が取り付けられている側の後方に向かって突き出している突片112cが設けられており、取出孔112aから手前側に引き出される家庭用薄葉紙Pに対して突片112cが摺接するようになっており、その家庭用薄葉紙Pに適切な摩擦力を付与することができる。
【0052】
また、図7(b)に示すように、扇形(中心角が180°以上の扇形)を呈する取出孔112aであってもよい。
このような扇形を呈する取出孔112aであっても、その手前側の縁から容器本体1に開閉蓋2が取り付けられている側の後方に向かって突き出している突片112cが設けられており、取出孔112aから手前側に引き出される家庭用薄葉紙Pに対して突片112cが摺接するようになっており、その家庭用薄葉紙Pに適切な摩擦力を付与することができる。
【0053】
また、図7(c)に示すように、多角形(ここでは略星形)を呈する取出孔112aであってもよい。
このような多角形を呈する取出孔112aであっても、その手前側の縁から容器本体1に開閉蓋2が取り付けられている側の後方に向かって突き出している突片112cが設けられており、取出孔112aから手前側に引き出される家庭用薄葉紙Pに対して突片112cが摺接するようになっており、その家庭用薄葉紙Pに適切な摩擦力を付与することができる。
【0054】
[他の実施形態]
なお、以上の実施の形態においては、取出し部112の略中央に設けられている膨出部分112bに取出孔112aが設けられているとしたが、例えば、図8に示すように、取出し部112における後方寄りの位置に膨出部分112bを設け、その後方寄りの膨出部分112bに取出孔112aが設けられていてもよい。
こうすることで、手前側の縁から後方に向かって突き出している突片112cの先端部が取出し部112の中心よりも、容器本体1に開閉蓋2が取り付けられている側の後方に位置するようにすることができる。
このようにしても、取出し部112における後方寄りの位置にある取出孔112aに保持されている家庭用薄葉紙Pと、本体側密閉環部113の前面側の立片との間隔をより広くとることができ、取出孔112aから手前側に引き出されて保持されている家庭用薄葉紙Pの一端部が前方に傾斜したり傾倒したりしていても、それが開閉蓋2を閉じる際の妨げにならないようにすることができる。
そして、取出孔112aに保持されている家庭用薄葉紙Pを好適に引き出して使用することができる。
【0055】
以上のように、本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器100であれば、取出孔112aに保持されている家庭用薄葉紙Pを好適に引き出すことができる。
【0056】
なお、以上の実施の形態においては、射出成形(2色成形)によって容器本体1と開閉蓋2を一体的に形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、生産性は低下するものの、容器本体1と開閉蓋2とを別体として形成の上、これらをヒンジ等によって回動自在に接続することも可能である。
【0057】
また、以上の実施の形態においては、付勢手段3は、容器本体1や開閉蓋2と一体的に形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、容器本体1や開閉蓋2とは別体に形成した付勢手段3を、容器本体1や開閉蓋2に取り付けるようにしてもよい。
【0058】
また、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 容器本体
111 凹部
112 取出し部
112a 取出孔
112b 膨出部分
112c 突片
113 本体側密閉環部
114 係止手段
2 開閉蓋
3 付勢手段
100 家庭用薄葉紙収納容器
P 家庭用薄葉紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8