(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】検査システム及び光照射装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20230705BHJP
G01N 21/892 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
G01N21/84 E
G01N21/892 B
(21)【出願番号】P 2019132567
(22)【出願日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】八木 一乃大
【審査官】谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-145817(JP,A)
【文献】特開2013-055648(JP,A)
【文献】特開2010-203922(JP,A)
【文献】特開2010-204109(JP,A)
【文献】登録実用新案第3176803(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
B65H 7/00 - B65H 7/14
B65H 43/00 - B65H 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に沿って順に配置され、ワークを載置して搬送する一対の搬送機構と、
光を出射する光源と、
前記光源からの光が入射する光入射面を基端部に、前記入射した光を出射する光出射面を先端部にそれぞれ有し、前記先端部が前記一対の搬送機構の間に形成された隙間に挿入されている、互いに離間して配置された一対の導光板と、
前記光出射面からの光が照射された前記ワークの底面を前記一対の導光板の間から撮像する撮像装置とを備え、
前記各導光板は、前記基端部から前記先端部に向かって延びる
、その厚み方向に直交する互いに平行な2つの側面を有しており、
前記一対の導光板のそれぞれの前記光出射面は、
いずれも前記撮像装置の光軸を向くように、又は前記光軸に対して反対側を向くように、前記厚み方向に対して傾斜して形成されている検査システム。
【請求項2】
前記一対の導光板が、前記先端部側から前記基端部側に向かうほど互いの離間距離が大きくなるように配置されている請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記一対の導光板が、対向するそれぞれの前記側面が互いに平行となるように配置されている請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記一対の導光板の間に透光性を有する保護カバーを更に備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項5】
所定の方向に沿って順に配置された一対の搬送機構に載置されて搬送されるワーク
の底面に光を照射する
ものであり、光が照射された前記ワークの底面を撮像する撮像装置とともに用いられる光照射装置であって、
光を出射する光源と、
前記光源からの光が入射する光入射面を基端部に、前記入射した光を出射する光出射面を先端部にそれぞれ有し、前記先端部が前記一対の搬送機構の間に形成された隙間に挿入される、
前記撮像装置の光軸を挟んで互いに離間して配置され
る一対の導光板とを備え、
前記各導光板は、前記基端部から前記先端部に向かって延びる、
その厚み方向に直交する互いに平行な2つの側面を有しており、
前記一対の導光板のそれぞれの前記光出射面は、
いずれも前記撮像装置の光軸を向くように、又は前記光軸に対して反対側を向くように、前記厚み方向に対して傾斜して形成されている光照射装置。
【請求項6】
前記光出射面よりも先端側にその一部が設けられた、前記ワークの搬送方向に沿って回転可能な転動体を更に備える請求項5に記載の光照射装置。
【請求項7】
所定の方向に沿って順に配置され、ワークを載置して搬送する一対の搬送機構と、
光を出射する光源と、
前記光源からの光が入射する光入射面を基端部に、前記入射した光を出射する光出射面を先端部にそれぞれ有し、前記先端部が前記一対の搬送機構の間に形成された隙間に挿入されている導光板と、
前記光出射面からの光が照射された前記ワークの底面を、前記一対の搬送機構のいずれかと前記導光板との間から撮像する撮像装置とを備え、
前記導光板は、前記基端部から前記先端部に向かって延びる、
その厚み方向に直交する互いに平行な2つの側面を有しており、
前記光出射面が、前記撮像装置の光軸を向くように、又は前記光軸に対して反対側を向くように、前記厚み方向に対して傾斜して形成されている検査システム。
【請求項8】
前記一対の搬送機構の間における前記光出射面よりも先端側にその一部が設けられた、前記ワークの搬送方向に沿って回転可能な転動体を更に備える、請求項1~4及び7のいずれか1項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン上を搬送されるワークの表面検査をするための検査システム及びそれに用いられる光照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベア等によりライン上を搬送されてきた製品等(ワーク)の外観検査(傷検査等)を自動で行う場合、CCDカメラ等の撮像装置でワークを撮像して画像データを得るとともに、画像処理装置によって前記画像データを2値化(白黒化)するといった画像処理を加え、傷等を自動で判別するようにしている。そしてその際には、その画像処理目的に応じた光を前記ワークに照射するようにしている。
【0003】
その一例として、例えば筐体内にドーム状の発光面を有する光照射装置を用いて、ワークの略直上から表面に拡散光を照射して、傷等の欠陥を検出できるようにしたものが知られている(特許文献1)。これによれば、表面が鏡面状をなすものの場合、その表面に対し垂直方向から観測すると、欠陥のある部分でのみ光が散乱し、その部分のみが光って見えることとなるため、欠陥を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ライン上を搬送されてきたワークの表面のみならず、その裏面(底面ともいう)に対しても外観検査を行いたいという要望がある。例えば、上記した光照射装置を用いて、コンベアのローラ間等の隙間からワークの底面に対して光を上向きに照射し、これを撮像することで、ワークの底面に対して外観検査を行うことができる。しかしながらこの方法では、コンベアの存在によって光照射装置をワークに十分に近づけることができないため、ワークの底面に対して十分な照度を与えることができず、欠陥検出を高い精度で行うことが難しい。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、ライン上を搬送されているワークの底面に対する外観検査において、欠陥検出精度を向上することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る検査システムは、所定の方向に沿って順に配置され、ワークを載置して搬送する一対の搬送機構と、光を出射する光源と、前記光源からの光が入射する光入射面を基端部に、前記入射した光を出射する光出射面を先端部にそれぞれ有し、前記先端部が前記一対の搬送機構の間に形成された隙間に挿入されている、互いに離間して配置された一対の導光板と、前記光出射面からの光が照射された前記ワークの底面を前記一対の導光板の間から撮像する撮像装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成であれば、導光板の先端部が一対の搬送機構の間の隙間に挿入されているので、光出射面をワークの底面に近づけることができる。導光板内を通った光は光出射面から拡散光として出射されるところ、この光出射面をワークの底面に近づけることにより、ワークの底面の撮像領域に対して光を満遍なく照射でき、しかも十分な照度を与えることができる。これを撮像して画像処理をすることで高い精度で欠陥検出を行うことができる。
ここで、撮像装置が一対の導光板の間からワークの底面を撮像するようにしているので、1枚の導光板のみを用いて撮像する場合に比べて、ワークの底面の撮像領域に対してより均一に光を照射することができる。これにより欠陥検出精度をより向上することができる。
【0009】
前記一対の導光板が、前記先端部から前記基端部に向かうほど互いの離間距離が大きくなるように配置されていることが好ましい。
このようにすれば、一対の導光板間の空間は基端部に向かう程その幅が拡がるので、この拡がりに応じて撮像装置による撮像方向を変更することができる。これにより、ワークの底面の荒れ状態や傷の種類等に応じて、撮像装置をワークの底面に正対させて、ワークの底面で反射した光の正反射成分を除去して撮像したり、撮像装置を傾けて、前記正反射成分を利用して撮像したりすることができる。
【0010】
前記一対の導光板が、対向するそれぞれの側面が互いに平行となるように配置されていることが好ましい。
このようにすれば、一対の搬送機構間の隙間に対して、導光板の先端部をより深くまで挿入し、光出射面をワークの底面により近づけることができる。その結果、ワークの底面の照度をより高くでき、欠陥検出精度をより向上することができる。
【0011】
前記一対の導光板のそれぞれの前記光出射面が、前記基端部側から前記先端部側に向かうにつれて離間距離が小さくなるように傾斜していることが好ましい。
このようにすれば、一対の導光板が先細りするような形状であるので、一対の搬送機構間の隙間が狭い場合でも、その先端部を隙間に挿入することができる。
【0012】
前記一対の導光板のそれぞれの前記光出射面が、前記先端部側から前記基端部側に向かうにつれて互いの離間距離が小さくなるように傾斜していることが好ましい。
このようにすれば、一対の導光板のそれぞれの光出射面が、ワークの底面における撮像領域を向くようにできるので、ワークの底面の照度をより高くでき、欠陥検出精度をより向上することができる。
【0013】
前記一対の導光板の間に透光性を有する保護カバーを更に備えることが好ましい。
このようにすれば、ライン上を流れるゴミ等の不純物が一対の搬送機構間の隙間から落下した際に、撮像装置のレンズ等が破損することを防止できる。
【0014】
前記一対の導光板の基端部における互いの離間距離を調節する距離調節機構を更に備えることが好ましい。
このようものであれば、使用する撮像装置の大きさや一対の搬送機構間の隙間の大きさ等の検査環境に応じて導光板間の距離を適切に調節することができるので、欠陥検出精度をより向上することができる。
【0015】
前記一対の搬送機構の間における前記光出射面よりも先端側にその一部が設けられた、前記ワークの搬送方向に沿って回転可能な転動体を更に備えることが好ましい。
一対の搬送機構間の隙間が大きい場合、ワークが通過する際にその先端が一対の搬送機構間に沈み込んで導光板の先端部に接触してしまう恐れがある。しかしこのような構成であれば、一対の搬送機構間の隙間が大きい場合であっても、ワークの先端の沈み込みによる導光板への接触を転動体により防ぐことができる。これにより、導光板の光出射面をワークの底面に十分に近づけることができる。また、導光板と搬送機構との間のクリアランスを広げることができるので、一対の導光板の厚み、これらの間の距離及び配置等の自由度を高めることができる。
【0016】
本発明の検査システムはまた、所定の方向に沿って順に配置され、ワークを載置して搬送する一対の搬送機構と、光を出射する光源と、前記光源からの光が入射する光入射面を基端部に、前記入射した光を出射する光出射面を先端部にそれぞれ有し、前記先端部が前記一対の搬送機構の間に形成された隙間に挿入されている導光板と、前記光出射面からの光が照射された前記ワークの底面を、前記一対の搬送機構のいずれかと前記導光板との間から撮像する撮像装置と、を備えることを特徴とする。
このような検査システムであれば、上記した検査システムと同様の作用効果を奏し得る。
【0017】
本発明の光照射装置はまた、所定の方向に沿って順に配置された一対の搬送機構に載置されて搬送されるワークに光を照射する光照射装置であって、光を出射する光源と、前記光源からの光が入射する光入射面を基端部に、前記入射した光を出射する光出射面を先端部にそれぞれ有し、前記先端部が前記一対の搬送機構の間に形成された隙間に挿入される、互いに離間して配置された一対の導光板と、を備えることを特徴とする。
このような光照射装置であれば、上記した検査システムと同様の作用効果を奏し得る。
【0018】
この光照射装置は、前記光出射面よりも先端側にその一部が設けられた、前記ワークの搬送方向に沿って回転可能な転動体を更に備えることが好ましい。
一対の搬送機構間の隙間が広い場合には、ワークが通過する際にその先端が隙間に沈み込み、導光板の先端部に接触する恐れがあるため、この光照射装置を適用できない可能性がある。しかしこのような転動体を備えていれば、ワークの先端の沈み込みによる導光板への接触を転動体により防ぐことができるので、一対の搬送機構間の隙間が広いものにも適用でき、導光板の光出射面をワークの底面に十分に近づけることができる。また、導光板と搬送機構との間のクリアランスを広げることができるので、一対の導光板の厚み、これらの間の距離及び配置等の自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
このように構成した本発明によれば、ライン上を搬送されているワークの底面に対する外観検査において、欠陥検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態の検査システムの全体構成を模式的に示す斜視図。
【
図2】同実施形態の光照射装置の構成を模式的に示す斜視図。
【
図3】同実施形態の光照射装置の構成を模式的に示す断面図。
【
図4】同実施形態の検査システムの構成を模式的に示す断面図。
【
図5】他の実施形態の検査システムの構成を模式的に示す断面図。
【
図6】他の実施形態の検査システムの構成を模式的に示す断面図。
【
図7】他の実施形態の検査システムの構成を模式的に示す断面図。
【
図8】他の実施形態の検査システムの構成を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明に係る検査システムの一実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態の検査システム100は、製造ライン等を所定の方向に搬送される例えば金属板等の透光性を有しないワークWの底面(裏面)を検査するためのものである。具体的にこのものは、
図1に示すように、ワークWを載置して所定の搬送方向に搬送する搬送装置1と、搬送されるワークWの底面(裏面)側から検査光を照射する光照射装置2と、検査光が照射されているワークWの底面を撮像する撮像装置3と、撮像装置3から出力された画像データを処理する画像処理装置4とを備えている。以下、各部を説明する。
【0023】
搬送装置1は、
図1に示すように、搬送方向に沿って順に配置された少なくとも複数(ここでは2つ)の搬送機構1A、Bを備えている。この搬送機構1A、Bは具体的にはベルトコンベアであり、端部に設けられた例えばテールローラ等のローラ11A、Bが回転することでベルトが回転し、載置されたワークWが搬送方向に移動する。複数の搬送機構1A、Bは、互いのベルトが接触しないよう僅かな隙間を開けて隣接するよう配置されている。
【0024】
光照射装置2は、
図2及び
図3に示すように、LED基板21と、当該LED基板21の光射出側前方に設けられる導光板22と、LED基板21の裏面側に設けられたヒートシンク23とを備えている。なお、これらの部材は、ケーシングCによって保持されている。
【0025】
LED基板21は、帯状の配線基板211の表面に、複数のLED212(本発明の「光源」に相当)を、光軸を一定方向に揃えて略直線状に1列に等間隔に実装したものである。
【0026】
導光板22は、例えば透明な中実の薄い矩形板状をなす樹脂製のものであり、LED212から出射された光を導光して拡散光を出射するものである。この導光板22は、LED212から出射された光を入射させる光入射面S
1と、入射した光を拡散光として出射させる光出射面S
2とを有する。具体的にこの導光板22は、
図2及び
図3に示すように、LED212に対向し、その配列方向(長手方向ともいう)に沿って延びる基端部221に形成された基端面223と、基端部221の反対側である先端部222に形成された先端面224と、基端面223及び先端面224に隣接し、長手方向に沿って延びる互いに平行な2つの側面225及び226とを有する。本実施形態では、基端面223が光入射面S
1として機能し、先端面224が光出射面S
2として機能するように構成されている。
【0027】
この導光板22は、光出射面S2がワークWの底面に対向するように配置されている。LED212から出射された光は、光入射面S1から入射し、導光板22の側面225及び226で外部との屈折率差によって全反射されながら光出射面S2に向かって進み、光出射面S2からワークWの底面に向けて出射される。
【0028】
光出射面S2たる先端面224には、表面加工が施されている。当該表面加工として、例えばエンボス加工やシボ加工等により表面に凹凸を形成する、表面を摺りガラス面状にする、白色塗料を塗布する等を挙げることができる。これにより、光出射面S2から出射される光の指向性をより一層低減し、ワークWの底面をより均一に照射することができる。
【0029】
導光板22の側面225及び226は光を全反射する内向きの反射面としての役割を担っており、導光板22内を光が進行すると、前記側面225及び226で光が内方に向かって反射して混じり合い、混合される。
【0030】
ヒートシンク23は、平面視において概略矩形状をなす直方体状のものであり、配線基板211の裏面側にLED212の配列方向に沿って設けられている。
【0031】
撮像装置3は具体的にはラインカメラである。ラインカメラは、筐体31と、筐体31の内部に収容されたラインセンサ(図示しない)と、該ラインセンサの前段に配置されたライン光学系(図示しない)とを備え、筐体31の一面に開口する帯状をなす光入射面31aから被写体を撮像できるように構成したものである。このラインカメラは、前記光入射面31aがワークWの底面に対向(正対)し、かつ、その撮像ライン方向がワークWの搬送方向と直交するように配置されている。したがって、このラインカメラによる1回の撮像によって、ワークWの搬送方向と直交する細い線状領域が撮像される。
【0032】
画像処理装置4は、CPU、メモリなどを有するいわゆるコンピュータであり、メモリに格納された所定のプログラムにしたがってCPUやその周辺機器が協働することにより、撮像装置3から出力される画像データを処理してその欠陥や異常等の判定を行う機能を少なくとも発揮する。
【0033】
しかして、本実施形態の検査システム100では、光照射装置2が、互いに離間して配置された一対の導光板22A、Bを備えており、これらの導光板22A、Bの先端部222A、Bが一対の搬送機構1A、Bの間に形成された隙間に挿入されている。そして撮像装置3が、一対の導光板22A、Bの間からワークWの底面を撮像するように構成されている。
【0034】
具体的には本実施形態の光照射装置2は、
図3及び
図4に示すように、導光板22、LED基板21及びヒートシンク23を2つずつ備えており、これらが互いに対を成すように配置されている。この一対の導光板22A、B、LED基板21A、B及びヒートシンク23A、Bは、互いに面対称の関係となるように配置されている。
【0035】
一対の導光板22A、Bは、互いの側面225A、Bが対向するとともに、その長手方向が互いに平行になるように配置されている。そして各導光板22A、Bは、その長手方向がワークWの搬送方向と直交するとともに、光出射面S2A、BがワークWの底面に対向するように、その先端部222A、Bが一対の搬送機構1A、B間(具体的には、それぞれのローラ11A、Bの間)の隙間に、上向きに挿入されている。
【0036】
一対の導光板22A、Bは、その間に空間を形成するように、対向する互いの側面225A、Bが基端部221A、Bから先端部222A、Bにわたって離間して配置されている。本実施形態の一対の導光板22A、Bは、先端部222A、Bから基端部221A、Bに向かうほど互いの離間距離(側面225A、B間の距離)が大きくなるように、逆V字型に配置されている。
【0037】
各導光板22A、Bが有する光出射面S2A、Bと光入射面S1A、Bは互いに非平行となるように形成されている。具体的には、各導光板22A、Bの光出射面S2A、Bは、先端部222A、Bから基端部221A、Bに向かうにつれて互いの離間距離が小さくなるように(すなわち各光出射面S2A、Bが内側を向くように)傾斜して形成されている。
【0038】
また本実施形態の光照射装置2は、一方のLED基板21A(又は21B)から出射された光が他方の導光板22B(又は22A)に入射されるのを防止するための一対の遮光板24A、Bをさらに備える。各遮光板24A、Bは、LED212A、Bの配列方向に延びる薄い矩形板状をなすものであり、透光性が低い材料により構成されている。各遮光板24A、Bは、各配線基板211A、B上において複数のLED212A、Bよりも内側(空間側)に立てるように配置されている。
【0039】
撮像装置3は、撮像ライン方向から視て、その光軸Oが一対の導光板22A、B間に形成された空間を通るように配置される。具体的には、その光軸Oが一対の導光板22A、Bのそれぞれの光出射面S2A、Bから等距離になるように配置されている。なお、この光軸Oは撮像ライン方向から視ると線であるが、実際には奥行方向に延びる面であるため、光軸面Oともいえる。
【0040】
このように構成された本実施形態の検査システム100によれば、導光板22A、Bの先端部222A、Bが一対のローラ11A、B間の隙間に挿入されているので、光出射面S2A、BをワークWの底面に近づけることができる。その結果、ワークWの底面に対して十分な照度を与えることができ、これを撮像して画像処理をすることで高い精度で欠陥検出を行うことができる。ここで、撮像装置3が一対の導光板22A、Bの間からワークWの底面を撮像するようにしているので、1枚の導光板のみを用いて撮像する場合に比べて、ワークWの底面の撮像領域に対してより均一に光を照射することができる。これにより欠陥検出精度をより向上することができる。
【0041】
また、一対の導光板22A、Bのそれぞれの光出射面S2A、Bが、先端部222A、B側から基端部221A、B側に向かうにつれて互いの離間距離が小さくなるように傾斜させているので、一対の導光板22A、Bのそれぞれの光出射面S2A、BがワークWの底面における撮像領域を向き、ワークWの底面の照度をより高くして欠陥検出精度をより高めることができる。
【0042】
<その他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0043】
他の実施形態の検査システム100では、
図5に示すように、一対の導光板22A、Bは対向するそれぞれの側面225A、Bが互いに平行となるように配置されてもよい。すなわち、一対の導光板22A、Bが一定の距離を置いて互いに離間するように配置されてもよい。また、光出射面S
2A、B(先端面224A、B)と光入射面S
1A、B(基端面223A、B)とが平行になるように形成されていてもよい。
【0044】
前記実施形態の各導光板22A、Bは均一な厚みを有するものであったがこれに限らない。他の実施形態では、各導光板22A、Bは厚みが不均一であってもよい。例えば、基端部221A、Bから先端部222A、Bに向かって厚みが増加又は減少するものであってもよい。
【0045】
また他の実施形態の検査システム100では、
図5に示すように、光照射装置2が、撮像装置3の光入射面31aを保護するための保護カバー25を更に備えてもよい。保護カバー25は、LED212A、Bの配列方向に延びる矩形板状のものであり、例えばガラス等の透光性を有する材料からなってよい。保護カバー25は、一対の導光板22A、Bの間に形成された空間を覆って蓋をするように設けられてよい。
【0046】
また他の実施形態の検査システム100では、
図6に示すように、一対の導光板22A、Bのそれぞれの光出射面S
2A、Bが外側を向いており、基端部221A、Bから先端部222A、Bに向かうにつれて離間距離が小さくなるように(すなわち、先細りするように)傾斜していてもよい。
【0047】
また他の実施形態の検査システム100では、
図6に示すように、LED212A、Bから出射された光が、各導光板22A、Bの基端部221A、Bにおける外側の側面226A、Bから入射するようにLED基板21A、B及びヒートシンク23A、Bを配置してもよい。すなわち、外側の側面226A、Bが光入射面S
1A、Bとして機能するようにしてよい。この場合、各導光板22A、Bのそれぞれの基端面223A、Bが、先端部222A、Bに向かうにつれて、外側の側面226A、Bとの間の距離が大きくなるように傾斜して形成されてもよい。このようにすれば、光入射面S
1A、Bから入射した光を基端面223A、Bで反射させて、光出射面S
2A、Bに向かわせることができる。
【0048】
また他の実施形態の検査システム100では、
図7に示すように、光照射装置2は、導光板22を1枚のみ有してもよい。この場合、撮像装置3は、一対の搬送機構1A、Bの間の隙間に挿入された導光板22と、搬送機構1A、Bとの間から、ワークWの底面を撮像するように構成されてもよい。
【0049】
他の実施形態の検査システム100では、光照射装置2は、一対の導光板22A、Bの基端部221A、Bにおける互いの離間距離を調節する距離調節機構(図示しない)を備えてもよい。この距離調節機構は、一方又は両方の導光板22A、Bを搬送方向にスライド移動させるように構成されてよい。また、この距離調節機構は、一方又は両方の導光板22A、Bを、先端部222A、B側を回転中心にして基端部221A、B側を回転させるように構成されてもよい。
【0050】
前記実施形態において、一対の搬送機構1A、Bはそれぞれベルトコンベアであったがこれに限らない。他の実施形態では、一対の搬送機構1A、Bは、ローラーコンベアを構成するローラであってもよい。
【0051】
前記実施形態では、導光板22A、Bの先端面224A、Bに表面加工が施され、これにより光出射面S2A、Bから拡散光が出射されるようにしていたが、これに限らない。他の実施形態では、導光板22A、Bの先端面224A、B上に、光を散乱させる光拡散板が配置されていてもよい。そしてこの光拡散板の表面に上記した表面加工を施してよく、また光拡散板中に光散乱粒子を含有させてもよい。
【0052】
前記実施形態において、一対の導光板22A、Bは、互いに面対称となるように配置されていなくてもよく、その間に撮像装置3によってワークWの底面を撮像可能な程度の空間が形成されていれば、非対称となるように配置されていてもよい。
【0053】
また他の実施形態の検査システム100では、
図8に示すように、光照射装置2が、光出射面224A・Bよりも先端側にその一部が設けられた、ワークWの搬送方向に沿って回転可能な1つ又は複数の転動体26を更に備えていてもよい。具体的にこの転動体26は、搬送装置1が備えるローラ11A・Bと同じ方向に回転可能(すなわち互いの回転軸が平行)なローラ等である。この転動体26は、一対の導光板22A・Bの外側の側面226A、Bよりもさらに外側(すなわち一対の導光板22と一対のローラ11A・Bとの間)において、少なくともその先端部が、一対の導光板22の光出射面224A・Bよりも先端側に位置するように設けられている。この転動体26は、その回転半径がローラ11A・Bの回転半径よりも小さいことが好ましい。また転動体26は、モータ等により自ら回転するように構成されてもよく、ワークWの底面に接触することにより回転するように構成されてもよい。なお、転動体26は光照射装置2に設けられているが、これに限らず、搬送機構1に設けられていてもよい。
【0054】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
100 ・・・検査システム
1 ・・・搬送機構
212 ・・・LED(光源)
22 ・・・導光板
221 ・・・基端部
222 ・・・先端部
3 ・・・撮像装置
光入射面・・・S1
光出射面・・・S2