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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】洗浄機システム
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20230705BHJP
   A47L 15/24 20060101ALN20230705BHJP
【FI】
A47L15/42 D
A47L15/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019159882
(22)【出願日】2019-09-02
(65)【公開番号】P2021037040
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】武田 博充
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-080969(JP,U)
【文献】特開2015-231568(JP,A)
【文献】特開2003-052606(JP,A)
【文献】特開2004-298867(JP,A)
【文献】特開2011-143130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00 - 15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を収容する第1洗浄室と、洗浄工程において前記第1洗浄室に供給する水を貯留する第1洗浄水タンクと、すすぎ工程において前記第1洗浄室に供給する水を貯留する第1すすぎタンクと、前記第1洗浄室を開閉する第1ドアと、を有する予備洗浄機と、
被洗浄物を収容する第2洗浄室と、洗浄工程において前記第2洗浄室に供給する水を貯留する第2洗浄水タンクと、すすぎ工程において前記第2洗浄室に供給する水を貯留する第2すすぎタンクと、前記第2洗浄室を開閉する第2ドアと、を有し、前記予備洗浄機において洗浄された被洗浄物を洗浄する本洗浄機と、を備える洗浄機システムであって、
前記予備洗浄機における洗浄工程及びすすぎ工程と、前記本洗浄機における前記洗浄工程及び前記すすぎ工程とは、それぞれ独立して実行可能に構成されており、
前記予備洗浄機には、前記第1洗浄室に供給される水と共に流れ込んでくる固形物を収容する収容容器が着脱可能に設けられており、
前記予備洗浄機及び前記本洗浄機では、前記第2洗浄水タンクの規定水位である第2規定水位が、前記第1洗浄水タンクの規定水位である第1規定水位よりも高くなるように設定されており、
前記第2洗浄水タンクには、前記第2規定水位を超えた水が排出される第2排出口が形成され、
前記第1洗浄水タンクには、前記第2排出口に接続される第1流入口が形成されており、
前記第1流入口及び前記第2排出口の高さ位置は、前記第1規定水位と前記第2規定水位との高低差によって前記第2排出口から前記第1流入口に向かって水が流れるように設けられている、洗浄機システム。
【請求項2】
前記第2排出口は、前記第2規定水位と同じ高さ位置に設けられ、
前記第1洗浄水タンクに設けられる第1排出口は、前記第1規定水位と同じ高さ位置に設けられており、
前記第1流入口は、前記第1規定水位と同じ高さ位置又は前記第1規定水位よりも高い位置に設けられている、請求項記載の洗浄機システム。
【請求項3】
前記第2排出口は、前記第2洗浄水タンクの底部に設けられ、
前記第1流入口は、前記第2排出口に接続されると共に前記第1洗浄水タンクに設けられた鉛直方向に沿って延在するオーバーフロー管の上端に形成された開口部によって形成され、
前記開口部は、前記第1規定水位よりも高い位置に設けられている、請求項記載の洗浄機システム。
【請求項4】
前記オーバーフロー管の前記開口部は、前記開口部への差し込み代を調整することが可能な管状部材が着脱可能に設けられている、請求項記載の洗浄機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄機を用いた食器洗浄が一般的に行われている。洗浄前の食器等の被洗浄物には残菜が付着していることが多く、被洗浄物を洗浄機に格納する前に、被洗浄物を水が貯留された浸漬槽に浸漬させる等して被洗浄物に付着した残菜等を予備的に取り除く予備洗浄が人の手を介して行われている。しかしながら、昨今の省人化の要請から、このような予備洗浄を行う必要がない洗浄機が求められている。
【0003】
このような要請に応える洗浄機システム(代替システム200)が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、洗浄機(食器洗浄機250)とは別に予備洗浄機(予備ゆすぎ機械50)を備え、予備洗浄機は、洗浄機から供給される洗浄水によって被洗浄物(食器)をゆすぐ、洗浄機システムが開示されている。この洗浄機システムでは、人の手を介さずに被洗浄物の予備洗浄が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-231568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の洗浄システムでは、洗浄機から予備洗浄機へ水を供給するために、洗浄機の洗浄水タンクと予備洗浄機の洗浄水タンクとを逆止弁を介して接続したり、ポンプを介して接続したりしているので、製造コストが高くなる。
【0006】
そこで、本発明は、人の手を介さずに被洗浄物の予備洗浄をすることを可能にすると共に、洗浄機から予備洗浄を行う予備洗浄機への水の供給構成を安価に構築できる洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る洗浄機システムは、被洗浄物を洗浄する水を貯留する第1洗浄水タンクを有する予備洗浄機と、被洗浄物を洗浄する水を貯留する第2洗浄水タンクを有し、予備洗浄機において洗浄された被洗浄物を洗浄する本洗浄機と、を備える洗浄機システムであって、予備洗浄機及び本洗浄機では、第2洗浄水タンクの規定水位である第2規定水位が、第1洗浄水タンクの規定水位である第1規定水位よりも高くなるように設定されており、第2洗浄水タンクには、第2規定水位を超えた水が排出される第2排出口が形成され、第1洗浄水タンクには、第2排出口に接続される第1流入口が形成されており、第1流入口及び第2排出口の高さ位置は、第1規定水位と第2規定水位との高低差によって第2排出口から第1流入口に向かって水が流れるように設けられている。
【0008】
この構成の洗浄機システムでは、予備洗浄機によって被洗浄物から残菜等を洗い流す予備洗浄を実施し、本洗浄機によって残菜等が取り除かれた被洗浄物の本洗浄を実施することができる。また、この構成の洗浄機システムでは、一方の洗浄機である本洗浄機から排出される水を、他方の洗浄機である予備洗浄機において用いる場合であっても、本洗浄機の第2洗浄水タンクと予備洗浄機の第1洗浄水タンクとを逆止弁を介して接続したり、ポンプを介して接続したりしなくても、本洗浄機から予備洗浄機へ水を供給することが可能となる。この結果、人の手を介さずに被洗浄物の予備洗浄をすることを可能にすると共に、洗浄機から予備洗浄機への水の供給構成を安価に構築できる。
【0009】
本発明に係る洗浄機システムでは、予備洗浄機は、被洗浄物を収容する洗浄室を開閉するドアを更に有し、本洗浄機は、被洗浄物を収容する洗浄室を開閉するドアを更に有していてもよい。
【0010】
本発明に係る洗浄機システムでは、第2排出口は、第2規定水位と同じ高さ位置に設けられ、第1洗浄水タンクに設けられる第1排出口は、第1規定水位と同じ高さ位置に設けられており、第1流入口は、第1規定水位と同じ高さ位置又は第1規定水位よりも高い位置に設けられていてもよい。この構成では、ポンプ等を設けることなく、第1洗浄水タンクにおいて第1規定水位を維持すると共に第2洗浄水タンクにおいて第2規定水位を維持し、更に第2洗浄水タンクから第1洗浄水タンクに水を流入させることができる。
【0011】
本発明に係る洗浄機システムでは、第2排出口は、第2洗浄水タンクの底部に設けられ、第1流入口は、第2排出口に接続されると共に第1洗浄水タンクに設けられた鉛直方向に沿って延在するオーバーフロー管の上端に形成された開口部によって形成され、開口部は、第1規定水位よりも高い位置に設けられていてもよい。なお、ここでいう鉛直方向に沿って延在するとは、必ずしも鉛直方向に平行に延在するだけでなく、鉛直下方向から鉛直上方向に延在する態様であれば鉛直方向に対して角度があってもよい。この構成では、ポンプ等を設けることなく、第1洗浄水タンクにおいて第1規定水位を維持すると共に第2洗浄水タンクにおいて第2規定水位を維持することができる、また、この構成では、ポンプ等を設けることなく、第2洗浄水タンクから第1洗浄水タンクに水を流入させることができる。また、二つの洗浄機を接続する場合であっても、本洗浄機の洗浄水タンクに新たな排出口を形成することなく、既存の排出口から排出された水を第1洗浄水タンクに流入させることが可能となる。
【0012】
本発明に係る洗浄機システムでは、オーバーフロー管の開口部は、開口部への差し込み代を調整することが可能な管状部材が着脱可能に設けられていてもよい。この構成では、第1洗浄水タンクにおける開口部の高さ位置が調整可能になるので、本洗浄機の第2洗浄水タンクにおける第2規定水位の高さ位置を容易に調整することができる。
【0013】
本発明に係る洗浄機システムは、予備洗浄機の洗浄室に被洗浄物を搬入すると共に、本洗浄機の洗浄室から被洗浄物を搬出する搬送部を更に備えてもよい。この構成では、予備洗浄機及び本洗浄機における被洗浄物の洗浄の自動化が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、人の手を介さずに被洗浄物の予備洗浄をすることを可能にすると共に、洗浄機から予備洗浄を行う予備洗浄機への水の供給構成を安価に構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施形態に係る洗浄機システムの斜視図である。
図2図2は、図1の洗浄機システムに含まれる予備洗浄機の斜視図である。
図3図3は、図2の予備洗浄機の概略構成を示す図である。
図4図4は、図3におけるノズルへの水の流路を一部省略し、ノズルから噴射された水の流路の概略構成を示す図である。
図5図5は、セパレータと分離部と水受部とを拡大して示した斜視図である。
図6図6は、図1の洗浄機システムに含まれる本洗浄機の斜視図である。
図7図7は、図6の本洗浄機の概略構成を示す断面図である。
図8図8は、図2の予備洗浄機及び図4の本洗浄機の洗浄水の流れを示した図である。
図9図9は、変形例に係る予備洗浄機及び本洗浄機の洗浄水の流れを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。以下の説明においては、図2及び図6で規定する方向(上下方向、前後方向、左右方向(幅方向))を説明に用いる。
【0017】
図1に示されるように、洗浄機システム200は、予備浸漬タンク203と、第1搬送部204と、予備洗浄機1と、本洗浄機101と、第2搬送部205と、を備えている。予備浸漬タンク203と、第1搬送部204と、予備洗浄機1と、本洗浄機101と、第2搬送部205とは、平面視したときにL字型に配置されている。
【0018】
予備浸漬タンク203は、水を貯留するタンクである。予備浸漬タンク203では、食器(被洗浄物)Dの予備洗浄(付着物の除去等)が行われてもよい。第1搬送部204は、予備浸漬タンク203の隣りに配置されている。第1搬送部204は、食器ラックLを予備洗浄機1の洗浄室3に搬入する。食器ラックLは、皿や茶碗等の食器Dが並べられる格子状の部材である。第1搬送部204は、第1搬送部204の基台204aに食器ラックLが載置されたことが検知されると、アーム部材204bが移動して食器ラックLを予備洗浄機1の洗浄室3へ押し出す。
【0019】
予備洗浄機1は、本洗浄機101における食器Dの洗浄に先だち、食器Dの表面に付着した残菜等を洗い流すために設けられる洗浄機である。すなわち、予備洗浄機1は、予備浸漬タンク203において人手を介して行われていた食器Dの予備洗浄を実施する洗浄機である。
【0020】
図2に示されるように、予備洗浄機1は、ステンレス製のパネルで覆われた洗浄機本体2を有している。洗浄機本体2は、洗浄室3が形成された上側部分2Aと、機械室4が形成された下側部分2Bとに仕切られている。洗浄機本体2の背面側におけるコーナ部には、上側部分2Aと下側部分2Bとに渡って上下方向に延びる支柱6が配置され、支柱6,6間には背面パネル5が配置されている。
【0021】
洗浄機本体2の上側部分2Aには、洗浄室3の開閉を行うための箱型のドア7が設けられている。このドア7は、ステンレス製の一対の支柱6,6により上下動自在に案内されると共に、前方において水平方向に延在するハンドル8Aによって上下動する。ドア7は、第1搬送部204の搬送に連動して自動で開閉が行われてもよい。また、ドア7は、食器Dの洗浄動作の終了に連動して自動で開閉が行われてもよい。
【0022】
ハンドル8Aの両端には左右一対の回動アーム8B,8Bの先端が固定され、回動アーム8B,8Bはドア7の側面7Aに沿って斜めに配置されている。回動アーム8B,8Bには、ドア7の側面7Aに沿って配置されたリンク部8Cの一端が回動自在に連結され、リンク部8Cの他端は、軸ピン8Dを介してドア7に連結されており、ハンドル8Aの回動運動に対してドア7が上下運動可能となっている。洗浄機本体2の底面の四隅には脚部9が取り付けられている。
【0023】
図3に示されるように、洗浄室3内には、ラックレール11が着脱自在に配置されており、このラックレール11上に、飲食後の皿や茶碗等の食器Dが並べられた格子状の食器ラックLが載置される。洗浄室3の上部には、放射状に延びる3本のアームからなる上側洗浄ノズル12Aと、2本のアームからなる上側すすぎノズル13Aとがそれぞれ回転自在に配置されている。同様に、洗浄室3の下部には、放射状に延びる3本のアームからなる下側洗浄ノズル12Bと、2本のアームからなる下側すすぎノズル13Bとがそれぞれ回転自在に配置されている。食器ラックLに並べられた食器は、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bによって上下から洗浄水が噴射され、上側すすぎノズル13A及び下側すすぎノズル13Bによって上下からすすぎ水が噴射される。
【0024】
図4に示されるように、洗浄室3の底部には、機械室4内に突出するように第1洗浄水タンク15が設けられている。洗浄室3と第1洗浄水タンク15との間には、セパレータ18が配置されている。セパレータ18は、洗浄室3と第1洗浄水タンク15とを区画する。セパレータ18は、第1洗浄水タンク15の上方の領域を覆うように配置されている。
【0025】
図4及び図5に示されるように、セパレータ18には、開口部18Hが設けられている。開口部18Hは、セパレータ18上の残菜を含む洗浄水及びすすぎ水等を流出させる。開口部18Hは、例えば、セパレータ18において、洗浄機本体2の前側で且つ左側に配置されている。開口部18Hは、例えば、矩形状(長方形状)を呈している。
【0026】
分離部40は、開口部18Hから斜め前下方に向かって延在する部材である。分離部40は、水と固形物(残菜等)とを分離する部材であり、その部材の例には、ウェッジワイヤースクリーン、パンチングメタル、及びメッシュフィルタが含まれる。
【0027】
洗浄機本体2には、収容部50が設けられている。収容部50は、洗浄機本体2の下側部分2Bにおいて、下側部分2Bの前面に配置されている。なお、収容部50は、下側部分2Bの前面だけでなく、他の面に設けることも可能である。また、収容部50の設置位置に応じて、分離部40の設置態様、開口部18Hの位置等も適宜変更が可能である。
【0028】
収容部50は、分離部40によって分離された固形物及び水を収容する。収容部50は、本体51と、カバー52と、収容容器53と、接続管54と、を有している。本体51は、洗浄機本体2に固定されている。本体51は、箱状を呈しており、収容容器53を収容する空間を形成している。カバー52は、洗浄機本体2において、揺動又は着脱可能に設けられている。カバー52は、本体51の上部の開口部を開閉する。
【0029】
収容容器53は、残菜等の固形物を貯留する。収容容器53は、本体51に対して着脱可能に設けられている。収容容器53の少なくとも一部は、メッシュ部材で形成されている。接続管54は、本体51と第1洗浄水タンク15とを接続している。接続管54は、本体51内の水を第1洗浄水タンク15に流入させる。接続管54の一端部は、本体51の底部に接続されており、接続管54の他端部は、第1洗浄水タンク15の底部に形成された孔部15Eに接続されている。
【0030】
水受部61は、分離部40の下方に配置されている板状の部材である。水受部61は、分離部40の下方先端近傍から第1洗浄水タンク15に向かって傾斜するように配置されている。水受部61は、分離部40から分離されて落下してくる水を第1洗浄水タンク15に誘導する。
【0031】
シャッタ63は、水受部61を介して流入する水を後段にて詳述する第1洗浄水タンク15の第1区画15X又は第2区画15Yに振り分ける。シャッタ63は、誘導板63Aと、回動軸63Bと、駆動部63Dと、を有している。誘導板63Aは、板状の部材であり、駆動部63Dによる駆動力によって回動軸63Bを軸として回動可能に設けられている。更に詳細には、シャッタ63は、水受部61から供給される水を第1区画15Xに誘導する第1状態と、水受部61から供給される水を第2区画15Yに誘導する第2状態とに切り替え可能に設けられている。シャッタ63は、後述するコントローラ35によって制御される。
【0032】
図3に示されるように、第1洗浄水タンク15(後述する第1区画15X)の前面には、洗浄水吸込口を介して洗浄ポンプ23が接続されている。洗浄ポンプ23の吐出口には洗浄水吐出管21が接続されている。洗浄水吐出管21は、第1洗浄水吐出管21Aと第2洗浄水吐出管21Bとに分岐して、第1洗浄水吐出管21Aは上側洗浄ノズル12Aに接続され、第2洗浄水吐出管21Bは下側洗浄ノズル12Bに接続されている。
【0033】
機械室4内には、外部から給水管25Aを介してすすぎ水が供給されるすすぎ水タンク25が配置されている。すすぎ水タンク25には、すすぎ水吸込管29を介してすすぎポンプ27が接続されている。すすぎポンプ27の吐出口にはすすぎ水吐出管31が接続されている。すすぎ水吐出管31は、第1すすぎ水吐出管31Aと第2すすぎ水吐出管31Bとに分岐して、第1すすぎ水吐出管31Aは上側すすぎノズル13Aに接続され、第2すすぎ水吐出管31Bは下側すすぎノズル13Bに接続されている。第1すすぎ水吐出管31Aは、第1洗浄水吐出管21A内に配置されている。すなわち、第1洗浄水吐出管21A及び第1すすぎ水吐出管31Aは、二重管構造を成している。
【0034】
図4に示されるように、第1洗浄水タンク15は、第1区画15Xと第2区画15Yとに区画されている。第2区画15Yは、洗浄動作初期(洗浄ポンプ23が駆動を開始してから、例えば5秒間)において、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから噴射される洗浄水によって食器Dを洗浄した洗浄水が、第2状態のシャッタ63によって誘導される区画である。第1区画15Xは、上側すすぎノズル13A及び下側すすぎノズル13Bから噴射されるすすぎ水によって食器Dをすすぎしたすすぎ水、及び、洗浄動作初期以外において上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから噴射される洗浄水によって食器Dを洗浄した洗浄水が、第1状態のシャッタ63によって誘導される区画である。
【0035】
第1洗浄水タンク15の第1区画15Xには、本洗浄機101の第2排出口115A(図7及び図8参照)に接続される第1流入口15Aと、第1規定水位H1を超えた水が排出される第1排出口15Bとが形成されている。また、第1洗浄水タンク15の底部には、接続管54を介して収容部50に接続される孔部15Eが形成されている。
【0036】
第1排出口15Bは、第1洗浄水タンク15に設けられ鉛直方向に延在するオーバーフロー管15Cの上端の開口部によって形成されている。すなわち、オーバーフロー管15Cの上端位置は、第1規定水位H1と一致している。オーバーフロー管15Cは、孔部15Dに着脱可能に設けられている。オーバーフロー管15Cは、第1洗浄水タンク15の孔部15Dから取り外されることによって、第1洗浄水タンク15に貯留された水が第1洗浄水タンク15の外部に排出される。第1洗浄水タンク15の下方には第1洗浄水タンク15に貯留された水を予備洗浄機1の外部に排出する排水管15Fが設けられている。排水管15Fは、孔部15Dに接続されている。
【0037】
第1洗浄水タンク15の第2区画15Yには、底部に形成された孔部15Gを介して排水管15Hが接続されている。排水管15Hは、排水管15Fに接続されている。排水管15Hは、第1洗浄水タンク15の第2区画15Yに流入した水を外部に排出する。
【0038】
図3に示されるように、機械室4内には、予備洗浄機1の動作全般を制御するコントローラ35が内蔵された電装ボックス(図示せず)等が収容されている。
【0039】
次に、本洗浄機101について説明する。本洗浄機101は、予備洗浄機1において予備洗浄された食器Dを洗浄する。本洗浄機101は、図6及び図7に示されるように、収容部50に固形物を誘導する分離部40の代わりに誘導機能を有さないメッシュ部材等の分離部18Aが設けられている点と、水受部61及びシャッタ63を有さない点と、第2洗浄水タンク115が第1区画と第2区画とに区画されていない点と、第2洗浄水タンク115の底面に接続された排水管115Cに開閉弁115Dが設けられている点とを除き、予備洗浄機1の構成と一致している。図7において、予備洗浄機1を構成する構成物品と同じ参照符号で示される本洗浄機101の構成部品は、予備洗浄機1を構成する構成物品と機能が同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0040】
本洗浄機101の第2洗浄水タンク115には、第2規定水位H2を超えた水が排出される第2排出口115Aと、第2洗浄水タンク115に貯留された水を排出する第3排出口115Bとが形成されている。第3排出口115Bには、排水管115Cが接続されている。排水管115Cには、開閉弁115Dが設けられている。開閉弁115Dを開くことによって、第2洗浄水タンク115に貯留された水が第2洗浄水タンク115の外部に排出される。なお、第2排出口115Aは、従来の洗浄機に備えられていた洗浄水タンクのオーバーフロー管に代えて配置されることが好ましいが、従来のオーバーフロー管を残した構成としてもよい。
【0041】
図8に示されるように、本洗浄機101の第2排出口115Aと予備洗浄機1の第1流入口15Aとは、接続管120を介して接続されている。本実施形態では、第2排出口115Aの高さ位置と、第1流入口15Aの高さ位置とは同じである。予備洗浄機1及び本洗浄機101では、本洗浄機101の第2洗浄水タンク115における第2規定水位H2が、予備洗浄機1の第1洗浄水タンク15における第1規定水位H1よりも高くなるように設定されている。すなわち、第2排出口115A(第2排出口115Aの最下点)の高さ位置は、第1排出口15Bの高さ位置よりも高くなるように設けられている。
【0042】
また、第1流入口15A、第1排出口15B及び第2排出口115Aの高さ位置は、第1規定水位H1と第2規定水位H2との高低差によって第2排出口115Aから第1流入口15Aに向かって水が流れるように設けられている。すなわち、第2排出口115A(第2排出口115Aの最下点)及び第1流入口15A(第2排出口115Aの最下点)の高さ位置は、第1排出口15Bの高さ位置よりも、高い位置に設けられている。
【0043】
図1に戻り、第2搬送部205は、本洗浄機101において洗浄された食器Dが収容された食器ラックLを本洗浄機101の洗浄室3から搬出する。第2搬送部205では、本洗浄機101において食器Dが洗浄され、ドア7が開放されたことが検知されると、アーム部材205aが食器ラックLを本洗浄機101の洗浄室3から外部へ押し出す。
【0044】
続いて、洗浄機システム200の動作について説明する。予備洗浄機1及び本洗浄機101の電源スイッチがONされると、本洗浄機101及び予備洗浄機1のそれぞれのすすぎ水タンク25内の温水をすすぎポンプ27によって上側すすぎノズル13A及び下側すすぎノズル13Bを介して洗浄室3へ噴射することにより、第1洗浄水タンク15内及び第2洗浄水タンク115内へ温水が供給される。すすぎ水タンク25内の温水の温度は、例えば、80℃前後に設定されている。これにより、本洗浄機101及び予備洗浄機1において初期給湯が行われる。そして、初期給湯量に合った量の洗剤が第1洗浄水タンク15内及び第2洗浄水タンク115内へ供給されて、第1洗浄水タンク15内及び第2洗浄水タンク115内の洗浄水の洗剤濃度が所定濃度となる。
【0045】
なお、上述した初期給湯は、本洗浄機101のすすぎポンプ27のみを作動させて、第2洗浄水タンク115の第2排出口115Aから溢れ出た洗浄水を接続管120を介して予備洗浄機1の第1洗浄水タンク15に供給することによって行われてもよい。また、初期給湯時における洗剤の供給も本洗浄機101のみで行って、本洗浄機101から洗剤濃度が所定濃度の洗浄水を予備洗浄機1の第1洗浄水タンク15に供給してもよい。また、上側すすぎノズル13A及び下側すすぎノズル13Bを介して洗浄室3に水を供給する構成に代えて、専用の給湯配管を設けて供給する構成としてもよい。
【0046】
初期給湯後、ユーザが食器ラックLを第1搬送部204の基台204aに載置すると、第1搬送部204は食器ラックLが基台204aに載置されたことを検知して、アーム部材204bによる食器ラックLの予備洗浄機1への押し出しを開始する。食器ラックLが予備洗浄機1の洗浄室3に搬入され、ドア7が閉められたことが検知されると、運転開始信号がコントローラ35へ入力される。運転開始信号がコントローラ35へ入力されると、予備洗浄機1での食器Dの洗浄動作(洗浄工程及びすすぎ工程)が開始される。食器Dの洗浄工程は、第1洗浄水タンク15内の洗浄水を洗浄室3内の食器Dに向けて噴射することにより行われる。第1洗浄水タンク15内の洗浄水の温度は、例えば、60℃~70℃となるように設定されている。
【0047】
第1洗浄水タンク15内に貯留された洗浄水は、洗浄ポンプ23が始動することにより、洗浄水吐出管24等を介して上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bに圧送されて、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから洗浄室3内の食器に向けて噴射される。上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから洗浄室3内に噴射された洗浄水は、食器から残菜及び汚れ(以下、「残菜等」とも示す。)を落とし、洗浄水と共に下方のセパレータ18に流れる。セパレータ18に落とされた残菜等を含む洗浄水は、セパレータ18に設けられた開口部18Hから分離部40に流れ込む。
【0048】
開口部18Hに流れ込んだ残菜等を含む洗浄水は、分離部40によって残菜等の固形物が取り除かれ、洗浄水の一部と共に分離部40の延在方向に沿って誘導され、収容部に収容される。一方、汚れを含んだ洗浄水は、分離部40を通過して水受部61に落下する。水受部61に落下した汚れを含んだ洗浄水は、水受部61の傾斜面に沿ってシャッタ63が配置された方向に誘導され、シャッタ63に供給される。
【0049】
ここで、シャッタ63は、洗浄動作初期(洗浄ポンプ23が駆動を開始してから、例えば5秒間)において、水受部61から供給される水を第2区画15Yに誘導する第2状態となるように制御されている。これにより、シャッタ63に供給された汚れを含んだ洗浄水は、第1洗浄水タンク15における第2区画15Yに供給される。第1洗浄水タンク15の第2区画15Yに供給された洗浄水は、排水管15Hを介して予備洗浄機1の外部に排出される。なお、洗浄動作初期として設定される時間は、第1洗浄水タンク15の貯留量、洗浄ポンプ23の送水能力等に基づいて適宜設定される。
【0050】
洗浄動作初期が経過すると、シャッタ63は、水受部61から供給される水を第1区画15Xに誘導する第1状態となるように制御される。これにより、シャッタ63に供給された洗浄水は、第1洗浄水タンク15における第1区画15Xに供給される。なお、シャッタ63の切り替え前に、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから噴射される洗浄水の供給を一旦停止し、シャッタ63の切り替え後に、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから噴射される洗浄水の供給を再開してもよい。第1洗浄水タンク15内に回収された洗浄水は、洗浄ポンプ23により再び洗浄室3内に循環供給される。シャッタ63の切り替え後、洗浄水による食器の洗浄が所定時間(例えば、35秒間)行われると、洗浄ポンプ23の作動を停止する。これにより、予備洗浄機1の動作が一時的に休止する。
【0051】
次に、食器Dのすすぎ工程が開始される。食器Dのすすぎ工程は、すすぎ水タンク25内のすすぎ水を洗浄室3内の食器Dに向けて噴射することにより行われる。すすぎ水タンク25内に貯留されたすすぎ水は、予備洗浄機1におけるすすぎポンプ27が始動することにより、すすぎ水吐出管31等を介して上側すすぎノズル13A及び下側すすぎノズル13Bに圧送されて、上側すすぎノズル13A及び下側すすぎノズル13Bから食器に向けて噴射される。すすぎ水タンク25から圧送されるすすぎ水の温度は、例えば、80℃前後に設定されている。
【0052】
すすぎ工程においては、シャッタ63は、水受部61から供給される水を第1区画15Xに誘導する第1状態となるように制御されている。食器Dに噴射されたすすぎ水は、上述したとおり、セパレータ18、分離部40、水受部61、シャッタ63等を介して第1洗浄水タンク15の第1区画15Xに回収される。第1洗浄水タンク15の第1区画15Xに回収されたすすぎ水は洗浄水と混ざり合い、次回の洗浄工程における洗浄水として使用される。洗浄室3内にすすぎ水が噴射されて第1洗浄水タンク15内に回収されると、第1規定水位H1を超える余剰な洗浄水は、オーバーフロー管15Cから外部に排出される。予め定められたすすぎ時間(例えば、6秒間)が経過すると、すすぎ工程が終了し、予備洗浄機1における一連の洗浄動作が終了する。
【0053】
なお、予備洗浄機1においては、第1洗浄水タンク15における洗浄水の汚損度を抑制するために、洗浄動作初期において洗浄水を外部に排出する構成となっている。この洗浄動作初期において外部に排出された水量は、後のすすぎ工程又は本洗浄機101から供給される洗浄水によって補われる。
【0054】
上述したとおり、洗浄動作初期において予備洗浄機1から洗浄水を排出した場合には、例えば、次の洗浄工程までの間に第1洗浄水タンク15に洗浄水を供給する必要が生じる。ここで、予備洗浄機1から多くの洗浄水を排出した場合には、第1洗浄水タンク15に新たに供給される洗浄水の量も多くなるので、第1洗浄水タンク15に貯留される洗浄水の汚損度を抑制でき、洗浄能力を高めることができる。一方、予備洗浄機1から排出した洗浄水の分量だけ第1洗浄水タンク15に洗浄水を供給する必要が生じるので、例えば、予備洗浄機1におけるすすぎ工程の時間を長く確保したり、本洗浄機101におけるすすぎ工程の時間を長く確保する必要が生じる。このため、稼働能力が低下し、ランニングコストも高くなる。
【0055】
また、予備洗浄機1から少しの洗浄水を排出した場合には、第1洗浄水タンク15に新たに供給される洗浄水の量も少量となるので、予備洗浄機1から多くの洗浄水を排出した場合と比べて、第1洗浄水タンク15に貯留される洗浄水の汚損度を抑制できる度合いが小さく、洗浄能力の向上度合いも小さい。一方、予備洗浄機1から排出した洗浄水の分量だけ第1洗浄水タンク15に洗浄水を供給すればよいので、例えば、予備洗浄機1におけるすすぎ工程の時間を短くできたり、本洗浄機101におけるすすぎ工程の時間を短くできたりする。これにより、稼働能力が向上し、ランニングコストも抑えることができる。上述の洗浄機システム200では、洗浄動作初期における予備洗浄機1からの洗浄水の排出量を調整することで、設置箇所に合わせた洗浄能力と稼働効率及びランニングコストを容易に最適化することができる。
【0056】
予備洗浄機1における洗浄動作が終了すると、予備洗浄機1におけるドア7が開き、第1搬送部204が次の食器ラックLを予備洗浄機1の洗浄室3に押し出す動作によって、玉突き的に洗浄が完了した食器ラックLを本洗浄機101に押し出す。この結果、予備洗浄機1において洗浄された食器ラックLが本洗浄機101の洗浄室3に搬入される。食器ラックLが本洗浄機101の洗浄室3に搬入されると、本洗浄機101のドア7が閉められる。本洗浄機101のドア7が閉められると、運転開始信号がコントローラ35へ入力される。運転開始信号がコントローラ35へ入力されると、本洗浄機101における食器Dの洗浄動作が開始される。食器Dの洗浄は、第2洗浄水タンク115内の洗浄水を洗浄室3内の食器に向けて噴射することにより行われる。第2洗浄水タンク115内の洗浄水の温度は、例えば、60℃~70℃となるように設定されている。
【0057】
洗浄ポンプ23が始動することにより、第2洗浄水タンク115内に貯留された洗浄水は、洗浄水吐出管24等を介して上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bに圧送されて、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから洗浄室3内の食器に向けて噴射される。
【0058】
洗浄室3内に噴射された洗浄水は、第2洗浄水タンク115内に回収される。本洗浄機101において洗浄される食器Dは、予備洗浄機1において残菜等がほぼ取り除かれた状態となっている。このため、第2洗浄水タンク115内に回収される洗浄水は、比較的にきれいな状態の水である。第2洗浄水タンク115内に回収された洗浄水は、洗浄ポンプ23により再び洗浄室3内に循環供給される。洗浄水による食器の洗浄が所定時間(例えば、40秒間)行われると、洗浄ポンプ23の作動を停止する。これにより、本洗浄機101の動作が一時的に休止する。
【0059】
次に、すすぎポンプ27が始動することにより、すすぎ水タンク25内に貯留されたすすぎ水は、すすぎ水吐出管31等を介して上側すすぎノズル13A及び下側すすぎノズル13Bに圧送されて、上側すすぎノズル13A及び下側すすぎノズル13Bから食器に向けて噴射される。すすぎ水タンク25から圧送されるすすぎ水の温度は、例えば、80℃前後に設定されている。
【0060】
この食器に噴射されたすすぎ水は、フィルタ19を介して第2洗浄水タンク115内に回収されて洗浄水と混ざり合い、次回の洗浄工程における洗浄水として使用される。洗浄室3内にすすぎ水が噴射されて第2洗浄水タンク115内に回収される。このとき、第2規定水位H2を超える余剰な洗浄水は、第2排出口115Aを介して排出され、予備洗浄機1の第1洗浄水タンク15に供給される。予め定められたすすぎ時間(例えば、6秒間)が経過すると、すすぎ工程が終了し、本洗浄機101における一連の洗浄動作が終了する。
【0061】
なお、上記で開示した洗浄動作初期における洗浄時間、洗浄動作初期後の洗浄時間、及びすすぎ時間として設定される時間は、第1洗浄水タンク15及びすすぎ水タンク25の貯留量、洗浄ポンプ23及びすすぎポンプ27の送水能力等に基づいて適宜設定される。
【0062】
続いて、本実施形態の洗浄機システム200の作用効果について説明する。本実施形態の洗浄機システム200では、予備洗浄機1によって食器Dから残菜等を洗い流す予備洗浄を実施し、本洗浄機101によって残菜等が取り除かれた食器Dを洗浄することができる。また、上記実施形態の洗浄機システム200では、一方の洗浄機である本洗浄機101から排出される水を、他方の洗浄機である予備洗浄機1において用いる場合であっても、本洗浄機101の第2洗浄水タンク115と予備洗浄機1の第1洗浄水タンク15とを逆止弁を介して接続したり、ポンプを介して接続したりしなくても、本洗浄機101から予備洗浄機1へ水を供給することが可能となる。この結果、人の手を介さずに食器Dの予備洗浄をすることを可能にすると共に、本洗浄機101から予備洗浄を行う予備洗浄機1への水の供給構成を安価に構築できる。
【0063】
また、本実施形態の洗浄機システム200では、予備洗浄機1が本洗浄機101から供給される水を利用して洗浄を実施するので、予備洗浄機1及び本洗浄機101のそれぞれで独立して水を供給する場合に比べて水の使用量を抑制することができる。
【0064】
上記実施形態の洗浄機システム200では、第2排出口115Aは、第2規定水位H2と同じ高さ位置に設けられ、第1排出口15Bは、第1規定水位H1と同じ高さ位置に設けられており、第1流入口15Aは、第1規定水位H1よりも高い位置に設けられている。この構成では、ポンプ等を設けることなく、第1洗浄水タンク15において第1規定水位H1を維持すると共に第2洗浄水タンク115において第2規定水位H2を維持し、更に第2洗浄水タンク115から第1洗浄水タンク15に水を流入させることができる。
【0065】
上記実施形態の洗浄機システム200では、予備洗浄機1の洗浄室3に食器Dを搬入すると共に、本洗浄機101の洗浄室3から食器Dを搬出する第1搬送部204及び第2搬送部205を備えている。この構成では、予備洗浄機1及び本洗浄機101における食器Dの洗浄の自動化が可能となる。
【0066】
上記実施形態の予備洗浄機1は、収容部50に向かって下方に傾斜して配置されている分離部40を備えるので、分離部40によって分離された固形物を水と共に収容部に排出できる。これにより、分離部に固形物が残留することを抑制でき、分離部40において水が通過しない不具合を回避できる。その結果、メンテナンス性の向上が図れる。
【0067】
上記実施形態の予備洗浄機1は、残菜に含まれる汚れが比較的多く溶解している洗浄動作初期の洗浄水が第1洗浄水タンク15に回収されずにそのまま外部に排出されるので、第1洗浄水タンク15に貯留される洗浄水の汚損を抑制することができる。これにより、洗浄能力を高めることが可能となり、また、第1洗浄水タンク15に貯留される洗浄水の入れ替えを行う頻度が減るので、継続的に予備洗浄機1を稼働させることができる。
【0068】
上記実施形態の洗浄機システム200では、予備洗浄機1と本洗浄機101によって継続的に食器Dを洗浄することができるので、洗浄水の入れ替えの頻度が減り、水の使用量又は昇温に必要なエネルギーの消費を抑制することができる。
【0069】
上記実施形態の洗浄機システム200では、上述したように、メンテナンス性及び洗浄能力に優れた予備洗浄機1を提供することができるが、上記実施形態では、この予備洗浄機1において洗浄された食器Dを本洗浄機101によって再度洗浄している。これにより、より洗浄効果の高い洗浄機システムを提供することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0071】
上記実施形態では、第2排出口115Aの位置が第2規定水位H2と同じ高さ位置に設定されると共に、接続管120を介して本洗浄機101から予備洗浄機1へ洗浄水が供給される例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、図9に示されるように、第2排出口115Aは、第2洗浄水タンク115の底部に設けられてもよい。そして、第1流入口15Aは、第2排出口115Aに接続されると共に第1洗浄水タンク15に設けられた鉛直方向に沿って延在するオーバーフロー管120Bの上端に形成された開口部によって形成されてもよい。なお、この場合の開口部は、第1規定水位H1よりも高い位置に設けられている。
【0072】
上記実施形態のオーバーフロー管120Bは鉛直方向に平行に延在している例を挙げて説明したが、鉛直下方向から鉛直上方向に延在する態様であれば傾斜がある状態で配置されてもよい。この場合、オーバーフロー管120Bの開口部の最下点が第1規定水位H1よりも上方となるにする必要がある。
【0073】
この構成では、ポンプ等を設けることなく、第1洗浄水タンク15において第1規定水位H1を維持すると共に第2洗浄水タンク115において第2規定水位H2を維持することができる、また、この構成では、ポンプ等を設けることなく、第2洗浄水タンク115から第1洗浄水タンク15に水を流入させることができる。また、二つの洗浄機(本洗浄機101及び予備洗浄機1)を接続する場合であっても、本洗浄機101の第2洗浄水タンク115に新たな排出口を形成することなく、既存の排出口から排出された水を第1洗浄水タンク15に流入させることが可能となる。
【0074】
また、この構成では、上記実施形態のように、第2洗浄水タンク115の側方に第2排出口115Aを設ける場合と比べて、配管設置の自由度を高めることが可能となる。また、第2排出口115Aは、第2規定水位H2と同じ高さ位置に設置する必要がなくなり、第2規定水位H2よりも低い位置であればどこに設けてもよくなるので設計の自由度が高くなる。すなわち、隣接して配置される予備洗浄機1の配置位置に対応させて第2排出口115Aが設けられた専用の洗浄機を製造する必要がなくなる。
【0075】
また、オーバーフロー管120Bに係る構成においては、オーバーフロー管120Bの開口部は、開口部への差し込み代を調整することが可能な管状部材を着脱可能に設けられてもよい。この構成では、第1洗浄水タンク15における開口部の高さ位置が調整可能になるので、本洗浄機101の第2洗浄水タンク115における第2規定水位H2の高さ位置を容易に調整することができる。なお、オーバーフロー管120Bから水が流出する位置は、オーバーフロー管120Bの上端を切断したり、オーバーフロー管120Bに孔を設けたりすることによっても調整が可能である。
【0076】
上記実施形態のオーバーフロー管15Cは鉛直方向に平行に延在している例を挙げて説明したが、鉛直下方向から鉛直上方向に延在する態様であれば傾斜がある状態で配置されてもよい。この場合、オーバーフロー管15Cの開口部の最下点が第1規定水位となる。
【0077】
上記実施形態の本洗浄機101は、第2洗浄水タンク115に貯留された水を排出する開閉弁115Dが設けられている例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、開閉弁115Dに代えて、第2洗浄水タンク115の底部に抜き差し可能に設けられるオーバーフロー管を設けてもよい。この場合のオーバーフロー管は、通常時はオーバーフロー管の開口部を塞ぐ運用又は塞ぐことができる構成とするか、オーバーフロー管の開口部の高さ位置を第2排出口115Aの高さ位置よりも高くすればよい。
【0078】
上記実施形態の予備洗浄機1の第1洗浄水タンク15には、オーバーフロー管15Cが設けられている例を挙げて説明したが、本洗浄機101のように第1洗浄水タンク15に接続される排水管と開閉弁とを加え、オーバーフローした水を排出する機能と、第1洗浄水タンク15に貯留された水を排出する機能とを分離してもよい。
【0079】
上記実施形態の洗浄機システム200では、第1搬送部204によって予備洗浄機1への食器ラックLの移動、及び予備洗浄機1から本洗浄機101への食器ラックLの移動が行われ、第2搬送部205によって本洗浄機101から食器ラックLの移動が行われる例を挙げて説明したが、上記のそれぞれの移動は、作業者によって行われてもよい。
【0080】
また、上記予備洗浄機1においては、第1洗浄水タンク15に貯留された洗浄水を用いた洗浄だけでなく、すすぎ水タンク25に貯留されたすすぎ水を用いたすすぎも行われるので、予備洗浄後の食器D等に洗浄水(洗剤が含まれる洗浄水)が付着していることがほぼなくなる。これにより、作業者が予備洗浄機1から本洗浄機101に食器ラックLを移動させる場合に、業務用洗剤に触れることがなくなり、作業者の手等を洗剤から保護できる。
【0081】
上記実施形態の予備洗浄機1及び本洗浄機101は、ドア7が上下方向に可動自在に設けられたタイプの洗浄機を例に挙げて説明したが、例えば、オーブンのように洗浄機本体2の前面側にドア7が設けられたタイプの食器洗浄機等にも適用することができる。
【0082】
本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態、上記変形例及びその他の変形例として記載の内容を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…予備洗浄機、3…洗浄室、15…第1洗浄水タンク、15A…第1流入口、15B…第1排出口、15X…第1区画、15Y…第2区画、18…セパレータ、18H…開口部、40…分離部、50…収容部、61…水受部、63…シャッタ、101…本洗浄機、115…第2洗浄水タンク、115A…第2排出口、115B…第3排出口、120…接続管、120B…オーバーフロー管、200…洗浄機システム、203…予備浸漬タンク、D…食器、H1…第1規定水位、H2…第2規定水位、L…食器ラック。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9