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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】高強度固化処理土の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 17/06 20060101AFI20230705BHJP
   E02D 3/00 20060101ALI20230705BHJP
   C09K 17/10 20060101ALI20230705BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20230705BHJP
   C09K 103/00 20060101ALN20230705BHJP
【FI】
C09K17/06 P
E02D3/00 101
C09K17/10 P
C02F11/00 101Z
C02F11/00 Z ZAB
C09K103:00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020032676
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021134301
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107272
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 敬二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109140
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 研一
(72)【発明者】
【氏名】江守 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】上野 一彦
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-188524(JP,A)
【文献】特開2001-311134(JP,A)
【文献】特開2020-015850(JP,A)
【文献】特開平04-049315(JP,A)
【文献】特開2002-326099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0245930(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 17/00
E02D 3/00
C02F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性土に固化材を混合し固化処理土を製造する方法であって、
粘性土を所定の含水比に調整し前記含水比が調整された粘性土を生石灰の添加により脱水した場合の脱水後の含水比を推定する工程と、
前記推定された脱水後の含水比および目標強度に基づいて固化材の添加量を決定する工程と、
前記固化処理土を製造する際に処理対象の粘性土を前記所定の含水比に調整する工程と、
前記含水比調整後の粘性土に前記決定された添加量で前記固化材を添加し混合する工程と、
前記混合された固化処理土に生石灰を添加し混合して化学的に脱水する工程と、を含み、
前記目標強度を高強度に設定し高強度の固化処理土を製造する高強度固化処理土の製造方法。
【請求項2】
前記所定の含水比を高含水比に設定し調整する請求項1に記載の高強度固化処理土の製造方法。
【請求項3】
前記脱水後の含水比を次式により求める請求項1または2に記載の高強度固化処理土の製造方法。
w=(w-0.77d)/(1+1.32d)
ただし、w:脱水後の含水比、w:脱水前の含水比、d:生石灰添加率
生石灰添加率d=生石灰添加量/粘性土の乾燥重量
【請求項4】
前記固化材添加量の決定工程において前記固化材の添加量を変数とした複数の配合により配合試験を実施し、前記試験結果に基づいて前記固化材の添加量を決定する請求項1乃至3のいずれかに記載の高強度固化処理土の製造方法。
【請求項5】
前記生石灰の添加量をも変数とした複数の配合により前記配合試験を実施し、前記試験結果に基づいて前記生石灰の添加量を決定する請求項4に記載の高強度固化処理土の製造方法。
【請求項6】
前記配合試験は一軸圧縮強度試験および/またはフロー試験を含む請求項4または5に記載の高強度固化処理土の製造方法。
【請求項7】
配合計画または前記式による前記固化材の水和反応に寄与しない水量に基づいて前記生石灰添加量の上限値を設定する請求項3に記載の高強度固化処理土の製造方法。
【請求項8】
前記生石灰の添加混合工程の実施時期を前記固化材の凝結開始時間に基づいて設定する請求項1乃至7のいずれかに記載の高強度固化処理土の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性土に固化材を混合する高強度固化処理土の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浚渫土や軟弱粘性土等の粘性土を有効利用する技術として、セメント等の固化材を混合した固化処理土が公知である。一般的な固化処理土の一軸圧縮強さは、0.1MPaから大きくても2~3MPa程度である。近年では浚渫土の更なる有効利用拡大を目指して、より高強度の固化処理土を得る技術が提案されている。例えば、特許文献1のようにケーキを造立して裏込め材や路盤材として再利用する方法、特許文献2のように脱水ケーキを弱材齢期に再締固めを行い、高強度化、大ブロック化する方法等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2764645号公報
【文献】特開2002-146763号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】新舎博・松本歩・長尾喬平・小森裕「浚渫粘土を原料とした高強度固化処理土ブロックの製造実験」土木学会論文集C(地圏工学)Vol.75、 No.1、 62-75、 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の技術の高強度化の方向性としては、固化材の添加量を増やすこと、混練水を減らすこと等、すなわち、W/C(水固化材比)を下げることにある。母材となる浚渫土は一般的には高含水比の状態にあり、W/Cを下げるためには脱水工程を必要とする。具体的には浚渫土に固化材を添加混合した後、高圧フィルタープレスにより強制的に圧密排水させる方法がある。しかし、浚渫土の難透水性はよく知られており、圧密排水過程では非常に大きな圧縮圧力と長期の圧密時間を要することから、高コストかつ施工能力の低さが課題となっている。
【0006】
その一方で、浚渫土の含水比を天日乾燥等で十分に低下させた上で、固化材を混合するという方法も提案されている(非特許文献1参照)。しかし、浚渫土の含水比が低いと流動性が失われ塑性状を示し、固化材との混練性(ワーカビリティ)が著しく低下し、強度発現を阻害することが懸念される。また、天日乾燥は自然現象に依存するので、浚渫土の含水比をコントロールすることは極めて難しい。
【0007】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、高強度固化処理土の製造において実用的な施工性と低コストを実現可能な高強度固化処理土の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための高強度固化処理土の製造方法は、粘性土に固化材を混合し固化処理土を製造する方法であって、
粘性土を所定の含水比に調整し前記含水比が調整された粘性土を生石灰の添加により脱水した場合の脱水後の含水比を推定する工程と、
前記推定された脱水後の含水比および目標強度に基づいて固化材の添加量を決定する工程と、
前記固化処理土を製造する際に処理対象の粘性土を前記所定の含水比に調整する工程と、
前記含水比調整後の粘性土に前記決定された添加量で前記固化材を添加し混合する工程と、
前記混合された固化処理土に生石灰を添加し混合して化学的に脱水する工程と、を含み、
前記目標強度を高強度に設定し高強度の固化処理土を製造するものである。
【0009】
この高強度固化処理土の製造方法によれば、まず高含水比状態の粘性土と固化材とを混合するため混練時のワーカビリティーが高く、均一に混合することができるので、固化処理土の品質が向上する。粘性土と固化材の混合後に脱水材として生石灰を添加することにより粘性土の含水比を大幅に低減させることができ、水和反応時の余剰水を脱水することで少ない固化材添加量で固化処理土の高強度化を実現することができる。生石灰の添加混合により化学的に脱水処理を行うので、脱水量のコントロールが可能となる他、高圧脱水機等の特殊な製造機械を必要としないので、製造コストを抑えることができ、低コストを実現できる。また、固化材の水和反応に加えて生石灰のポラゾン反応により長期的に高強度増加が期待できる。また、生石灰による固化膨張で固化材の固化収縮の相殺を期待でき、乾燥収縮ひび割れの低減を図ることができる。
【0010】
上記高強度固化処理土の製造方法において前記所定の含水比を高含水比に設定し調整することが好ましい。たとえば、前記粘性土の液性限界の1.1~1.5倍とし、粘性土の含水比を高めに調整することで必要十分な流動性を保った状態で粘性土と固化材とを均一に混合することができる。
【0011】
また、前記脱水後の含水比は次式により求めることができる。
w=(w-0.77d)/(1+1.32d)
ただし、w:脱水後の含水比、w:脱水前の含水比、d:生石灰添加率
生石灰添加率d=生石灰添加量/粘性土の乾燥重量
【0012】
また、前記固化材添加量の決定工程において前記固化材の添加量を変数とした複数の配合により配合試験を実施し、前記試験結果に基づいて前記固化材の添加量を決定することが好ましい。また、前記生石灰の添加量をも変数とした複数の配合により前記配合試験を実施し、前記試験結果に基づいて前記生石灰の添加量を決定することが好ましい。
【0013】
また、前記配合試験は一軸圧縮強度試験および/またはフロー試験を含む。また、配合計画または前記式による前記固化材の水和反応に寄与しない水量(余裕水)に基づいて前記生石灰添加量の上限値を設定することが好ましい。
【0014】
また、前記生石灰の添加混合工程の実施時期を前記固化材の凝結開始時間に基づいて設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の高強度固化処理土の製造方法によれば、高強度固化処理土の製造において実用的な施工性と低コストを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態による高強度固化処理土の製造方法の各工程を説明するためのフローチャートである。
図2】本実験例に使用した材料の基本情報を示す表(a)、図2(a)の浚渫土の初期含水比を示す表(b)、図2(a)の浚渫土を生石灰により脱水した場合の式(1)から算出した脱水後含水比を示す表(c)(d)である。
図3】本実験例の配合データおよび実験結果を示す表である。
図4図3の実験例における水セメント比(W/C)と一軸圧縮強度(材齢28日)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態による高強度固化処理土の製造方法の各工程を説明するためのフローチャートである。
【0018】
本実施形態による高強度固化処理土の製造方法は、必要十分な流動性を保った状態で粘性土と固化材としてのセメントとを混練した後、脱水材として生石灰を添加混合することで混練水を化学的に脱水することで、高強度固化処理土の製造において実用的な施工性と低コスト化を実現したものである。なお、本実施形態において高強度固化処理土とは、少なくとも9.8MPaの一軸圧縮強度を有する固化処理土をいう。なお、前記設定強度(9.8Mpa)は、準硬石として使用するのに必要な強度であり、海水暴露において求められる非劣化強度である。
【0019】
本実施形態による高強度固化処理土の製造方法の各工程S01~S10について図1を参照して説明する。まず、現場浚渫時の粘性土の含水比に合わせて粘性土を所定の含水比に調整する(S01)
【0020】
粘性土の所定の含水比は、次のように設定し調整する。
・現地で浚渫等により採取された粘性土の自然含水比および液性限界を事前に調べておく。
・現地で浚渫等により採取された粘性土の含水比を液性限界wLの1.1~1.5倍の含水比に設定し調整する。
【0021】
上述のように粘性土の含水比を高めに設定することで、粘性土と固化材との必要十分な混練時の流動性を確保し維持することができる。
【0022】
次に、含水比が調整された粘性土を生石灰の添加により脱水した場合の生石灰による含水比の低減効果、すなわち、脱水後の含水比を推定する(S02)。
【0023】
生石灰は、消化吸水反応により見かけの含水比の低減効果だけでなく、化学的な含水比の低減効果がある。上記含水比の粘性土に生石灰を添加し脱水するとした場合の脱水後の含水比は、下記の式(1)による計算で推定する。なお、式(1)は、「石灰による軟弱地盤の安定処理工法」(日本石灰協会)に記載の生石灰による含水比の低減効果式である。
w=(w-0.77d)/(1+1.32d) (1)
ただし、w:脱水後の含水比、w:脱水前の含水比、d:生石灰添加率
生石灰添加率d=生石灰添加量/粘性土の乾燥重量
【0024】
たとえば、粘性土(ρ=2.686g/cm、wL=75.9%、w=100%)に生石灰(d=5%)を添加すると、式(1)からw=90.2%となり、約10%の含水比低減効果が得られる。このように、生石灰を用いて化学的に脱水することで、脱水量をコントロールすることができる。
【0025】
次に、脱水後の含水比に対応する水分量がセメント添加による水和反応に供するものと考え、目標の一軸圧縮強度を満たすセメント添加量を暫定的に決定し、その決定された添加量を参考にしてセメント添加量を変数としさらに生石灰添加量を変数として数種類の配合で配合試験を実施する(S03)。かかる試験結果に基づいてセメント添加量および生石灰添加量を決定する(S04)。
【0026】
たとえば、固化処理土の一軸圧縮強度は水セメント比(W/C)と高い相関があるので、生石灰による脱水後の水分量(W)からセメント添加量(C)を決定し、セメント添加量および生石灰添加量を変数として各々3~5水準程度の配合を用意し、目標の一軸圧縮強度およびフロー値に応じた配合検討を行う。なお、生石灰添加量が決まっている場合には、セメント添加量を変数として配合を用意する。
【0027】
上記配合試験として、たとえば、NEXCO試験方法 試験法 313に基づくフロー試験およびJIS A1216:2009に基づく一軸圧縮試験がある。目標性能の例として、シリンダーフロー値100~120mm、一軸圧縮強度qu(材齢28日)10MPa以上が挙げられる。配合は、練り混ぜ直後のワーカビリティーや強度を確認しながら決定する。なお、配合試験は、一軸圧縮試験およびフロー試験のいずれか一方でよい場合もある。
【0028】
次に、固化処理土を実際に製造する際には処理対象の粘性土を上述のように設定された所定の含水比に調整する(S05)。この際に、粘性土の含水比を高めに設定し調整することで、脱水処理は不要でかつ実施の容易な加水調整で済む。
【0029】
次に、粘性土に上述のように決定された添加量のセメントを添加し混合する(S06)。
【0030】
次に、粘性土にセメントが混合された混合材料に上述のように決定された生石灰を添加し混合して脱水する(S07)。
【0031】
上記工程S06,S07では、粘性土とセメントとを十分に混合攪拌した後で脱水材として生石灰を投入し、再度混合攪拌を行う。これは、流動性が高い状態で粘性土とセメントを均質に混合したうえで、生石灰の脱水効果によりセメント水和反応に不要な余剰水を脱水する考え方に基づくものである。
【0032】
また、工程S06の終了から工程S07の開始までの期間、すなわち、脱水材の添加・再混合を実施する時期としては、セメントの凝結初期までに行うのが好ましい。この凝結開始時間については、コンクリートの凝結時間試験方法(JIS 1147)等を参考に決定してもよい。
【0033】
次に、上述のようにして得られた混合材料を、たとえば、要求される最終形状に対応した型枠に打設し(S08)、必要な期間養生し(S09)、高強度固化処理土を製造する(S10)。上述のようにして、たとえば、水底マウンドに使用する高強度固化処理土からなる石状材料を製造することができる。なお、高強度固化処理土の製造を、条件を変えずに行う場合には、工程S05~S10を繰り返す。
【0034】
本実施形態の高強度固化処理土の製造方法によれば、高含水比状態の粘性土と固化材としてのセメントとを混合するため混練時のワーカビリティーが高く、均一に混合することができるので、固化処理土の品質が向上する。粘性土とセメントの混合後に脱水材として生石灰を添加することにより粘性土の含水比を大幅に低減させることができ、水和反応時の余剰水を脱水することで少ないセメント添加量で固化処理土の高強度化を実現することができる。生石灰の添加混合により化学的に脱水処理を行うので、脱水量のコントロールが可能となる他、高圧脱水機等の特殊な製造機械を必要としないので、製造コストを抑えることができ、低コストを実現できる。また、セメントの水和反応に加えて生石灰のポラゾン反応により長期的に高強度増加が期待できる。また、生石灰による固化膨張でセメントの固化収縮の相殺を期待でき、乾燥収縮ひび割れの低減を図ることができる。
【0035】
次に、本発明の実験例について説明するが、本発明は本実験例に限定されるものではない。図2(a)に本実験例に使用した材料の基本情報を示し、図2(b)に図2(a)の浚渫土の初期含水比を示し、図2(c)(d)に図2(a)の浚渫土を生石灰により脱水した場合の式(1)から算出した脱水後含水比を2ケース示す。図3に本実験例の各配合のデータおよび実験結果を示す。図4図3の実験例における水セメント比(W/C)と一軸圧縮強度(材齢28日)との関係を示す。
【0036】
図3の実験例の配合ケースは、生石灰QLの添加率を3.0,5.0,10.0%とし、水セメント比(W/C)をそれぞれ2.32,1.99,1.74としたもので、合計9ケースの配合について図2(a)の浚渫土にセメントを混錬してから生石灰を混錬し、養生後に一軸圧縮試験を行い、材齢7日および材齢28日の一軸圧縮強度を測定した。なお、各ケースで3つの試験体(ただし、生石灰添加率5.0%、W/C=2.32の配合では1つの試験体)で試験を行い、これらの測定結果を図4に示し、それらの平均値を図3に示す。また、図4には生石灰を添加しない比較例についての実験結果も示す。
【0037】
図4からW/Cが小さいほど一軸圧縮強度(材齢28日)が大きいことが分かり、また、生石灰添加率が3.0,5.0%では一軸圧縮強度(材齢28日)にさほどの差異はないが、10.0%では一軸圧縮強度(材齢28日)が低いことが分かる。目標の一軸圧縮強度(材齢28日)を、たとえば、12MPaに設定すると、今回の実験例の場合、W/C=1.9~2.4、生石灰添加率を3~7%程度に設定することで目標強度を達成できる。
【0038】
次に、生石灰(脱水材)の添加率上限値について検討する。図4から分かるように、W/Cが低い(≒浚渫土の含水比が低い)場合、生石灰の添加量が多い(d=10%)と水和反応が十分に行われず、強度が低下する傾向がある。これに対し、(1)浚渫土の塑性限界にあたる水分量は水和反応に供しないこと、(2)セメントの水和反応にはセメント添加量の0.6倍の水分量を必要とすること、(3)生石灰添加量の0.45倍の水分量は蒸発することを配合検討の参考として考慮すると、図3における余裕水が0以下になる場合を、セメントの水和反応が十分でないとし、生石灰添加量の上限値とすることが好ましい。図3の実験例では、生石灰添加率が10.0%でW/C1.99、1.74のケースにおいては余裕水が0以下となっている。なお、余裕水は、セメントの水和反応に寄与しない水量であって、脱水後水分量-(水和反応水+塑性限界水+生石灰反応水)から求める。
【0039】
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、本発明の製造方法により製造された高強度固化処理土は、水底マウンドを構成する捨石のみならず、他の用途にも使用できることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、高強度固化処理土の製造において実用的な施工性と低コストを実現できるので、高強度固化処理土を効率的に低コストで供給することができ、浚渫土や建設残土等の有効利用を促進できる。
図1
図2
図3
図4