(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】魚釣用リール
(51)【国際特許分類】
A01K 89/015 20060101AFI20230705BHJP
A01K 89/0155 20060101ALI20230705BHJP
A01K 89/033 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
A01K89/015 A
A01K89/0155
A01K89/033 501
(21)【出願番号】P 2020052043
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】安田 悠
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-075637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/015
A01K 89/0155
A01K 89/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプールと、電源と、制御部と、クラッチと、クラッチ状態検出部と
、飛距離測定部とを備え、
該制御部は、消費電力の多い第1の状態と、該第1の状態よりも消費電力の少ない第2の状態とを切替え、
該クラッチ検出部が該クラッチのオフ状態を検出した場合、該第2の状態から該第1の状態へ切替える
ものであり、
前記制御部は、該飛距離測定部の消費電力の状態を切替え、前記第1の状態は計測可能状態であり、前記第2の状態は計測停止状態であることを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
前記クラッチ検出部が前記クラッチのオン状態を検出した場合、前記第1の状態から前記第2の状態へ切替える、請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
スプールと、電源と、制御部と、該スプールの回転状態を検出するスプール状態検出部と
、飛距離測定部とを備え、
該制御部は、消費電力の多い第1の状態と、該第1の状態よりも消費電力の少ない第2の状態とを切替え、
該スプール状態検出部が該スプールの正回転を検出した場合、該第2の状態から該第1の状態へ切替える
ものであり、
前記制御部は、該飛距離測定部の消費電力の状態を切替え、前記第1の状態は計測可能状態であり、前記第2の状態は計測停止状態であることを特徴とする魚釣用リール。
【請求項4】
前記スプール状態検出部が、前記スプールの逆回転を検出した場合、前記第1の状態から前記第2の状態へ切替える、請求項3に記載の魚釣用リール。
【請求項5】
スプールと、電源と、制御部と、該スプールの回転状態を検出するスプール状態検出部と
、飛距離測定部とを備え、
該制御部は、消費電力の多い第1の状態と、該第1の状態よりも消費電力の少ない第2の状態とを切替え、
該スプール状態検出部が、500rpm以上の回転数での該スプールの回転を検出した場合、該第2の状態から該第1の状態へ切替える
ものであり、
前記制御部は、該飛距離測定部の消費電力の状態を切替え、前記第1の状態は計測可能状態であり、前記第2の状態は計測停止状態であることを特徴とする魚釣用リール。
【請求項6】
前記スプール状態検出部が、500rpm未満の回転数での該スプールの回転を検出した場合、前記第1の状態から前記第2の状態へ切替える、請求項5に記載の魚釣用リール。
【請求項7】
通信処理部を備え、前記制御部は、該通信処理部の消費電力の状態を切替え、前記第1の状態は通信可能状態であり、前記第2の状態は通信不能状態である、請求項1から
6までのいずれか1項に記載の魚釣用リール。
【請求項8】
前記スプールの制動部を備え、前記制御部は、該制動部の消費電力の状態を切替え、前記第1の状態は制動力変更可能状態であり、前記第2の状態は制動力変更不能状態である、請求項1から
7までのいずれか1項に記載の魚釣用リール。
【請求項9】
前記スプールのドラグ制動部を備え、前記制御部は、該ドラグ制動部の消費電力の状態を切替え、前記第1の状態はドラグ力が発生可能状態であり、前記第2の状態はドラグ力がない状態である、請求項1から
8までのいずれか1項に記載の魚釣用リール。
【請求項10】
スプールと、スプールを支持する本体部と、該本体部の一側部に設けられたハンドルと、前記クラッチの操作に応じて、該本体部の他方の側部方向に伸びる被検出部と、該被検出部の状態を検出する被検出部状態検出部と、を備え、前記電源は、該本体部の他方の側部に設けられ、該被検出部状態検出部に給電する、請求項1、2、7から
9までのいずれか1項に記載の魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチやブレーキ手段の状態に基づく制御が可能な制御部を有する魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、クラッチの切替えやスプールの制動を制御することが可能な様々な種類の魚釣用リールが知られている。
【0003】
このような魚釣用リールとして、例えば、特許文献1では、リール本体に回転可能に支持されたスプールと、当該スプールへの巻取り動力を伝達又は遮断するクラッチ機構と、動力伝達機構を介して当該クラッチ機構に連結され、クラッチ機構を釣糸巻取り状態と繰出し状態とに切り換えるクラッチ作動用モータと、クラッチのON/OFF状態を検出する検出手段と、当該検出手段からの検出結果に基づき、クラッチのON状態からOFF状態への切換え時にスプールの回転を制動する制動手段とを備えた魚釣用リールが開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、ルール本体に回転可能に支持されたスプールを巻取状態及びスプールフリー状態に切り替えるクラッチ機構と、スプールのスプールフリー状態を検出しスプールがスプールフリー状態にある時にスプールフリー状態信号を出力するスプール状態検知手段と、スプールに捲回された釣糸の繰出及び巻取で回転する回転体からの繰出回転信号及び巻取回転信号に基づいて糸長を演算する糸長演算手段と、糸長演算手段によって演算された糸長を表示する表示部と、クラッチ機構に連動連結しスプールフリー状態にあるクラッチ機構を、巻取状態に切替え復帰させるためのソレノイドと、スプール状態検知手段からのスプールフリー状態信号の入力時に、ソレノイドにソレノイド作動信号を出力するソレノイド作動手段と、ソレノイド作動信号を入力し、このソレノイド作動信号の入力後、所定時間経過後にスプールフリー状態信号が入力されている時に、ソレノイド不作動信号を出力するソレノイド不作動検知手段と、ソレノイド不作動信号を入力し報知器に報知信号を出力する報知手段とを備えた魚釣用電動リールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平05-168380号公報
【文献】実公平08-001666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る構成では、クラッチ機構の状態に基づきスプールの制動力を電気的に制御することができるものの、クラッチ機構の状態如何に関わらず、該スプールの制動のために給電を行う状態を維持しなければならず、電力消費を低減することが難しいという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に係る構成では、スプールの状態に応じてクラッチ機構の切替えを制御可能にすることができるものの、スプールの状態如何に関わらず、ソレノイド作動手段に給電を行う状態を維持しなければならず、同様に、電力消費を低減することが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スプールの回転状態やクラッチの状態に基づき、消費電力の少ない状態を維持可能な制御部を備える魚釣用リールを提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、スプールと、電源と、制御部と、クラッチと、クラッチ状態検出部とを備え、該制御部は、消費電力の多い第1の状態と、該第1の状態よりも消費電力の少ない第2の状態とを切替え、該クラッチ検出部が該クラッチのオフ状態を検出した場合、該第2の状態から該第1の状態へ切替えるよう構成される。
【0010】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、該クラッチ検出部が該クラッチのオン状態を検出した場合、該第1の状態から該第2の状態へ切替えるよう構成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、スプールと、電源と、制御部と、該スプールの回転状態を検出するスプール状態検出部とを備え、該制御部は、消費電力の多い第1の状態と、該第1の状態よりも消費電力の少ない第2の状態とを切替え、該スプール状態検出部が該スプールの正回転を検出した場合、該第2の状態から該第1の状態へ切替えるよう構成される。
【0012】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、該スプール状態検出部が、該スプールの逆回転を検出した場合、該第1の状態から該第2の状態へ切替えるよう構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、スプールと、電源と、制御部と、該スプールの回転状態を検出するスプール状態検出部とを備え、該制御部は、消費電力の多い第1の状態と、該第1の状態よりも消費電力の少ない第2の状態とを切替え、該スプール状態検出部が、500rpm以上の回転数での該スプールの回転を検出した場合、該第2の状態から該第1の状態へ切替えるよう構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、該スプール状態検出部が、500rpm未満の回転数での該スプールの回転を検出した場合、該第1の状態から該第2の状態へ切替えるよう構成される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールにおいて、飛距離測定部を備え、該制御部は、該飛距離測定部の消費電力の状態を切替え、該第1の状態は計測可能状態であり、該第2の状態は計測停止状態であるようにされる。
【0016】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、通信処理部を備え、該制御部は、該通信処理部の消費電力の状態を切替え、該第1の状態は通信可能状態であり、該第2の状態は通信不能状態であるようにされる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、スプールの制動部を備え、該制御部は、該制動部の消費電力の状態を切替え、該第1の状態は制動力変更可能状態であり、該第2の状態は制動力変更不能状態であるようにされる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、該スプールのドラグ制動部を備え、該制御部は、該ドラグ制動部の消費電力の状態を切替え、該第1の状態はドラグ力が発生可能状態であり、該第2の状態はドラグ力がない状態であるようにされる。
【0019】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、スプールと、スプールを支持する本体部と、該本体部の一側部に設けられたハンドルと、該クラッチの操作に応じて、該本体部の他方の側部方向に伸びる被検出部と、該被検出部の状態を検出する被検出部状態検出部と、を備え、該電源は、該本体部の他方の側部に設けられ、該被検出部状態検出部に給電するよう構成される。
【発明の効果】
【0020】
上記実施形態によれば、スプールの回転状態やクラッチの状態に基づき、消費電力の少ない状態を維持可能な制御部を備えることで、消費電力の大幅な低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1を説明する図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1の制御部の動作を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1の制御部の動作を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1の制御部の動作を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1の消費電力に係る状態を説明する図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1の消費電力に係る状態を説明する図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1の消費電力に係る状態を説明する図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1の消費電力に係る状態を説明する図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1を説明する図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1を含むリールを用いてルアー等の漁具を投擲・回収する手順を説明する図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る係止装置の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0023】
まず、本リールを含む一般的なリールを用いて、ルアー等の漁具を投擲し、回収する手順の一例について、
図10を参照しながら説明する。まず、
図10(a)に示すように、操作部材3により、ルアー20を竿先から所定の長さに調整したら、クラッチ5をオフ状態にし、スプールフリー状態にする。このとき、釣り糸がルアー20の自重等により出ていくことの無いよう、スプール2を親指で押さえておく。
【0024】
そして、
図10(b)~(d)に順次示すように、釣竿を振ることで、ルアー20に初速を与える。 次に、
図10(e)に示すように、ルアーの速度および放出方向が適正になったタイミングで、親指をスプール2から離すと、ルアーを投擲することができる。
【0025】
さらに、
図10(g)に示すように、投擲後、ルアーは釣り糸からの張力や、空気抵抗を受けることで減速を始める。一方で、スプール2は、釣り糸からの張力によって逆回転を始める。釣糸の放出速度とルアーの飛行速度が一致するとスプール2は最高回転数となり、釣り糸は張力を失う。ルアーはその後も空気抵抗等により失速を続ける。この際、スプール2が慣性により高速回転を続けると、釣り糸の放出速度がルアーの飛行速度を上回る。これにより、釣り糸は余分に放出され、リール内で糸がらみが生じる。これを避けるために、スプール2には制動部10により所定の制動力をかける。
【0026】
そして、ルアーの高度が十分下がると着水する。このとき、制動力が大きすぎると、ルアーを投擲できる距離が短くなってしまう。制動力が小さすぎると、糸がらみが発生し、巻き取りや放出が正常に行えなくなってしまう。制動力の適正値は、ルアーの大きさや竿の長さだけでなく、投擲方法や風などの自然環境等、様々な影響によって変化する。
【0027】
ルアーの着水後、所定の深さまでルアーを沈めたのち、クラッチ5を操作し、オン状態とすることで、ハンドル13でスプール2を操作可能にし、ルアーを動かす(リトリーブ)。これにより、魚をルアーに食いつかせる。このときの巻き取り速度によって、釣果が変化し得る。また、この状態で魚や障害物によって釣り糸に所定以上の張力が与えられたとき、ドラグ制動部11の作用によりスプール2を空転させることで、釣り糸の破断を避けることができる。
【0028】
まず、
図1、2を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、スプール2と、電源3と、制御部4と、クラッチ5と、クラッチ状態検出部6とを備え、該制御部4は、消費電力の多い第1の状態と、該第1の状態よりも消費電力の少ない第2の状態とを切替え、該クラッチ検出部6が該クラッチ5のオフ状態を検出した場合(S1)、該第2の状態から該第1の状態へ切替える(S2)よう構成される。ここで、便宜上、初期状態(S0)は、消費電力の少ない第2の状態とする。
【0029】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、該クラッチ検出部6が該クラッチ5のオン状態を検出した場合(S3)、該第1の状態から該第2の状態へ切替える(S4)よう構成される。上述のように、ユーザーがハンドル操作により釣り糸を巻き取っている際、クラッチはオン状態となっている。また、ユーザーがルアー等の漁具を投擲している際、クラッチはオフ状態となっている。このように、クラッチ状態を検出することで、ユーザーが行なっている操作を推測することができるため、その状態に応じた処理に切り替えることができる。
【0030】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1によれば、クラッチ5の状態に基づき、消費電力の少ない状態を維持可能な制御部4を備えることで、消費電力の大幅な低減を図ることが可能となる。
【0031】
(一般例:スプールの回転方向に応じてスリープに切り替える)
図1、3を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、スプール2と、電源3と、制御部4と、該スプール2の回転状態を検出するスプール状態検出部7とを備え、該制御部4は、消費電力の多い第1の状態と、該第1の状態よりも消費電力の少ない第2の状態とを切替え、該スプール状態検出部7が該スプール2の正回転を検出した場合(R1)、該第2の状態から該第1の状態へ切替える(R2)よう構成される。ここで、便宜上、初期状態(R0)は、消費電力の少ない第2の状態とする。
【0032】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、該スプール状態検出部7が、該スプール2の逆回転を検出した場合(R3)、該第1の状態から該第2の状態へ切替える(R4)よう構成される。
【0033】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1によれば、スプール2の回転状態に基づき、消費電力の少ない状態を維持可能な制御部4を備えることで、消費電力の大幅な低減を図ることが可能となる。
【0034】
図1、4を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、スプール2と、電源3と、制御部4と、該スプール2の回転状態を検出するスプール状態検出部7とを備え、該制御部4は、消費電力の多い第1の状態と、該第1の状態よりも消費電力の少ない第2の状態とを切替え、該スプール状態検出部7が、500rpm以上の回転数での該スプール2の回転を検出した場合(U1)、該第2の状態から該第1の状態へ切替える(U2)よう構成される。ここで、便宜上、初期状態(U0)は、消費電力の少ない第2の状態とする。
【0035】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、該スプール状態検出部7が、500rpm未満の回転数での該スプール2の回転を検出した場合(U3)、該第1の状態から該第2の状態へ切替える(U4)よう構成される。
【0036】
本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1によれば、スプール2の回転状態に基づき、消費電力の少ない状態を維持可能な制御部4を備えることで、消費電力の大幅な低減を図ることが可能となる。
【0037】
次に、
図1、5を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1において、飛距離測定部8を備え、該制御部4は、該飛距離測定部8の消費電力の状態を切替え、該第1の状態は計測可能状態であり、該第2の状態は計測停止状態であるようにされる。
【0038】
飛距離を測定可能なのは投擲時であるため、上述のようにクラッチがオフ状態のときに飛距離測定部を測定可能状態として、オン状態のときに計測停止状態とすることで、消費電力の大幅な低減を図ることが可能となる。また、投擲時はスプールは逆方向に回転する。したがって、スプールの回転方向に応じて測定可能状態と計測停止状態を切り替えることで、消費電力の大幅な低減を図ることが可能となる。また、投擲時はスプールは一般的にリトリーブ時に比べて高速回転する。したがって、所定以上の回転数で測定可能状態とすることで、消費電力の大幅な低減を図ることが可能となる。
【0039】
次に、
図1、6を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、通信処理部9を備え、該制御部4は、該通信処理部9の消費電力の状態を切替え、該第1の状態は通信可能状態であり、該第2の状態は通信不能状態であるようにされる。
【0040】
一般に、通信処理部9が通信処理は、飛距離測定や制動力の調整などの他の処理と同時に行うと、通信失敗等の不具合が出る可能性が高くなる。したがって、これらの他の処理と異なるタイミングで行うことが望ましい。投擲時に制動力の調整や飛距離測定などを行なう場合は、クラッチがオン状態の際に通信可能状態として、クラッチがオフ状態の際に通信不能状態とする。これにより、他の処理を行なっている際に通信処理をする恐れが少なくなる。また、投擲時に上記処理を行わず、リトリーブ時にリトリーブデータの測定やドラグ力の電子的な調整を行なう場合、クラッチがオン状態の際に通信不能状態として、クラッチがオフ状態の際に通信可能状態とする。これにより、他の処理を行なっている際に通信処理をする恐れが少なくなる。
【0041】
次に、
図1、7を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1について説明する。本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、スプール2の制動部10を備え、該制御部4は、該制動部10の消費電力の状態を切替え、該第1の状態は制動力変更可能状態であり、該第2の状態は制動力変更不能状態であるようにされる。上述のように、スプール2に制動力を働かせる必要があるのは投擲時であり、リトリーブ時には不要である。したがって、制動部10に電子的に制動力が調整可能なタイプを選んだ場合、制動力を調整するには電力が必要となるが、クラッチがオン状態の際に調整不能として、クラッチがオフ状態の際に調整可能とすることで、消費電力の大幅な低減を図ることが可能となる。
【0042】
次に、
図1、8を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1について説明する。本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、該スプール2のドラグ制動部11を備え、該制御部4は、該ドラグ制動部11の消費電力の状態を切替え、該第1の状態はドラグ力が発生可能状態であり、該第2の状態はドラグ力がない状態であるようにされる。上述のように、ドラグ力の調整が必要なのはリトリーブ時であり、投擲時にはドラグ力がない状態でも問題はない。したがって、クラッチがオン状態の際にドラグ力が発生可能状態として、クラッチがオフ状態の際にドラグ力がない状態とする。これにより、消費電力の大幅な低減を図ることが可能となる。
【0043】
次に、
図9及び
図11を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1について説明する。
図9に模式的に示すように、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1は、スプール2と、スプール2を支持する本体部12と、該本体部12の一側部16に設けられたハンドル13と、該ハンドルの運動を該スプールに伝える伝達部材18と、該クラッチ5を構成するクラッチ操作部材51およびクラッチカム52と、該クラッチ5の操作に応じて、該本体部12の他方の側部方向Xに伸びる被検出部14と、該被検出部14の状態を検出する被検出部状態検出部15と、を備え、該電源3は、該本体部12の他方の側部17に設けられ、該被検出部状態検出部15に給電するよう構成される。
【0044】
ユーザーがクラッチ操作部材51を操作すると、クラッチカム52はスプール2と概略同軸の回動運動をする。この回動運動により、カムが伝達部材の一部を移動させ、ハンドル13からスプール2への伝達可否を切り替えることができる。該被検出部は、追加図上15Aのようにクラッチ操作部材51の一部に設けても良い。また、一部のリールでは、釣り糸案内部を回動させるために、クラッチカム52の動きに連動させオシレート筒14を回動させている。この場合、
図9のように釣糸案内部19の一部に被検出部を設けても良い。
【0045】
ここで、被検出部14として、例えば、オシレート筒の端部に設けた遮光板を用いてもよいが、これに限られない。また、被検出部状態検出部15として、例えば、光透過型フォトセンサであってもよいが、これに限られない。その他、被検出部14として、反射型フォトセンサ反射板であってもよい。また、これらの代わりに、磁石と磁気センサの組み合わせを用いても構わない。また、これらの代わりに、突起部と接触スイッチの組み合わせを用いてもよい。
【0046】
従来、クラッチ復帰操作をハンドル操作と連動させるため、クラッチ機構はハンドル側にレイアウトさせるのが一般的であり、クラッチ検出手段もハンドル側に配置され、バックラッシュ防止用ブレーキは、スペースの多いハンドル側に配置されることが多い。そのため、ブレーキとクラッチ検出手段がスプールを挟んで反対側に配置されるため、それらを電気的、機械的に連結するのは容易ではない。
【0047】
これに対して、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1では、電源とクラッチ検出手段とをハンドル側とは反対側に配置することができるため、リール全体を小型化することが可能となる。
【0048】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0049】
1 魚釣用リール
2 スプール
3 電源
4 制御部
5 クラッチ
6 クラッチ状態検出部
7 スプール状態検出部
8 飛距離測定部
9 通信処理部
10 制動部
11 ドラグ制動部
12 本体部
13 ハンドル
14 被検出部
15 被検出部状態検出部
16 一側部
17 他方の側部
18 伝達部材
19 釣糸案内部
X 他方の側部方向