(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】建物の気密構造及び気密部材組付方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/348 20060101AFI20230705BHJP
E04B 9/30 20060101ALI20230705BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20230705BHJP
E04B 9/22 20060101ALI20230705BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
E04B1/348 N
E04B9/30 E
E04B9/00 B
E04B9/22 E
E04B1/76 500D
E04B1/348 L
(21)【出願番号】P 2020098936
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 将太
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-093272(JP,A)
【文献】特開2012-012882(JP,A)
【文献】特開2015-117502(JP,A)
【文献】特開平10-169018(JP,A)
【文献】特開2005-350889(JP,A)
【文献】実開昭52-046505(JP,U)
【文献】特開2012-031640(JP,A)
【文献】特開2003-113645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
E04B 1/62-1/99
E04B 9/00,9/22,9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸屋根の下方に設けられ、半屋外空間部と屋内空間部とを区画する袖壁を備えた第1建物ユニットと、
前記第1建物ユニットに隣接して前記陸屋根の下方に設けられ、前記半屋外空間部との境界部分に正面壁を備えた第2建物ユニットと、
前記第1建物ユニットにおける前記境界部分に沿って配設された第1天井大梁の下方に重ね合わされた第1野縁と、
前記第2建物ユニットに前記第1天井大梁と対向して配設された第2天井大梁の下方に重ね合わされた第2野縁と、
前記第1野縁及び前記第2野縁の少なくとも一方から対向する野縁側へ延出された延出部と、
前記延出部上に重ね合わされて前記第1野縁と前記第2野縁との間の開口を上方から覆う気密部材と、
を有する建物の気密構造。
【請求項2】
前記気密部材は、建物の外周部から前記袖壁よりも前記屋内空間部側まで延在されている請求項1に記載の建物の気密構造。
【請求項3】
陸屋根の下方に設けられ、半屋外空間部と屋内空間部とを区画する袖壁を備えた第1建物ユニットと、前記第1建物ユニットに隣接して前記陸屋根の下方に設けられ、前記半屋外空間部との境界部分に正面壁を備えた第2建物ユニットと、を備えた建物に気密部材を配設する方法であって、
前記第1建物ユニットにおける前記境界部分に沿って配設された第1天井大梁の下方に重ね合わされた第1野縁から前記第2建物ユニット側へ延出する第1延出部を取付ける工程と、
前記第2建物ユニットに前記第1天井大梁と対向して配設された第2天井大梁の下方に重ね合わされた第2野縁から前記第1建物ユニット側へ延出する第2延出部を取付ける工程と、
前記第1延出部及び前記第2延出部の上に気密部材を重ね合わせて前記第1野縁と前記第2野縁との間の開口を上方から覆う工程と、
を有する気密部材組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の気密構造及び気密部材組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、インナバルコニーを備えたバルコニーユニットの天井下地材と
バルコニー下ユニットの床下地材との間に階間空間が形成され、この階間空間に階間断熱材が設置された構造が開示されている。また、下記特許文献1では、バルコニー下ユニットの天井部に補強梁が配設されており、この補強梁の上面とバルコニー床小梁との間で階間断熱材を挟み込むことで、階間空間における空気の流通を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の断熱構造では、インナバルコニーから屋根部への通気を抑制することについて考慮されておらず、建物全体の断熱性能を向上させる上で改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、インナバルコニーを備えた建物ユニットを含んで構成された建物において、断熱性能を向上させることができる建物の気密構造及び気密部材組付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る建物の気密構造は、陸屋根の下方に設けられ、半屋外空間部と屋内空間部とを区画する袖壁を備えた第1建物ユニットと、前記第1建物ユニットに隣接して前記陸屋根の下方に設けられ、前記半屋外空間部との境界部分に正面壁を備えた第2建物ユニットと、前記第1建物ユニットにおける前記境界部分に沿って配設された第1天井大梁の下方に重ね合わされた第1野縁と、前記第2建物ユニットに前記第1天井大梁と対向して配設された第2天井大梁の下方に重ね合わされた第2野縁と、前記第1野縁及び前記第2野縁の少なくとも一方から対向する野縁側へ延出された延出部と、前記延出部上に重ね合わされて前記第1野縁と前記第2野縁との間の開口を上方から覆う気密部材と、を有する。
【0007】
第1の態様に係る建物の気密構造では、陸屋根(フラットルーフ)の下方に第1建物ユニット及び第2建物ユニットが隣接して設けられており、第1建物ユニットは、半屋外空間部(インナバルコニー)と屋内空間部とを区画する袖壁を備えている。一方、第2建物ユニットには、半屋外空間部との境界部分に正面壁が設けられている。ここで、第1建物ユニットには、第2建物ユニットとの境界部分に沿って第1天井大梁が配設されており、第1天井大梁の下方には第1野縁が重ね合わされている。また、第2天井大梁は、第1天井大梁と対向して配設されており、この第2天井大梁の下方には第2野縁が配設されている。ここで、第1野縁及び第2野縁の少なくとも一方から対向する野縁側へ延出部が延出されており、この延出部上に気密部材が重ね合わされて第1野縁と第2野縁との間の開口を上方から覆っている。これにより、半屋外空間部から陸屋根へ上方に通気するのを抑制することができる。
【0008】
第2の態様に係る建物の気密構造は、第1の態様において、前記気密部材は、建物の外周部から前記袖壁よりも前記屋内空間部側まで延在されている。
【0009】
第2の態様に係る建物の気密構造では、気密部材が袖壁までしか配設されていない構造と比較して、確実に通気を抑制することができる。
【0012】
第3の態様に係る気密部材組付方法は、陸屋根の下方に設けられ、半屋外空間部と屋内空間部とを区画する袖壁を備えた第1建物ユニットと、前記第1建物ユニットに隣接して前記陸屋根の下方に設けられ、前記半屋外空間部との境界部分に正面壁を備えた第2建物ユニットと、を備えた建物に気密部材を配設する方法であって、前記第1建物ユニットにおける前記境界部分に沿って配設された第1天井大梁の下方に重ね合わされた第1野縁から前記第2建物ユニット側へ延出する第1延出部を取付ける工程と、前記第2建物ユニットに前記第1天井大梁と対向して配設された第2天井大梁の下方に重ね合わされた第2野縁から前記第1建物ユニット側へ延出する第2延出部を取付ける工程と、前記第1延出部及び前記第2延出部の上に気密部材を重ね合わせて前記第1野縁と前記第2野縁との間の開口を上方から覆う工程と、を有する。
【0013】
第3の態様に係る気密部材組付方法では、第1野縁に第1延出部を取付け、第2野縁に第2延出部を取付けることで、正面壁が邪魔にならずにそれぞれの野縁を延長させることができる。そして、第1延出部及び第2延出部の上に気密部材を重ね合わせることで、正面壁が配設された構造であっても第1野縁と第2野縁との間の開口を塞いで陸屋根への通気を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明に係る建物の気密構造及び気密部材組付方法によれば、インナバルコニーを備えた建物ユニットを含んで構成された建物において、断熱性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る建物の全体構造を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の2-2線で切断した状態を拡大して示す拡大断面図である。
【
図3】
図2の3-3線で切断した状態を示す断面図である。
【
図4】気密部材を組み付ける前の状態を示す、
図2に対応する断面図である。
【
図5】
図4の状態から気密部材を組み付けた後の状態を示す断面図である。
【
図6】比較例に係る建物における、
図1の2-2線で切断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、実施形態に係る建物10の気密構造について説明する。なお、以下の説明において、水平方向の互いに直交する二方向をX方向及びY方向とする。
【0017】
図1に示されるように、本実施形態の気密構造が適用された建物10は、複数の建物ユニットを縦横に配設して形成されており、Y方向に隣接して配設された第1建物ユニット12と第2建物ユニット14とを含んで建物10の二階部分が構成されている。また、第1建物ユニット12及び第2建物ユニット14の下方には、第3建物ユニット16及び第4建物ユニット18が配設されており、この第3建物ユニット16及び第4建物ユニット18によって建物10の一階部分が構成されている。さらに、本実施形態の建物10は、第1建物ユニット12及び第2建物ユニット14の上方に陸屋根(フラットルーフ)20を備えた構成となっている。以下、本発明の要部である第1建物ユニット12及び第2建物ユニット14について説明する。
【0018】
第1建物ユニット12は、陸屋根20の下方に設けられており、X方向を長手方向として略直方体状に形成されている。また、第1建物ユニット12は、X方向に隣接する半屋外空間部(インナバルコニー)S1と屋内空間部S2とを備えており、Y方向に延在された袖壁22によって半屋外空間部S1と屋内空間部S2とが区画されている。
【0019】
半屋外空間部S1は、略直方体状の空間であり、Y方向の一方側が開放されている。また、開放されたY方向の一方側は欄干26が設けられている。半屋外空間部S1におけるY方向の他方側には正面壁24が設けられている。正面壁24は、第1建物ユニット12と第2建物ユニット14との境界部分に配設されており、第2建物ユニット14として取り付けられている。
【0020】
ここで、建物10の天井部における外周端部には通気止め部材28が配設されている。具体的には、通気止め部材28は、建物ユニット12及び建物ユニット14の天井部における外周端部に沿って配設されている。通気止め部材28は、例えば、軟質ウレタンスポンジ及びポリウレタンフォーム等の樹脂スポンジ等を主成分とするスポンジテープで形成されている。
【0021】
図2に示されるように、第1建物ユニット12の天井部には第1天井大梁34が配設されている。第1天井大梁34は、第1建物ユニット12と第2建物ユニット14との境界であるドッキングラインDLに沿ってX方向に延在されており、第2建物ユニット14側とは反対側が開放された断面略コの字状の溝形鋼で形成されている。
【0022】
第1天井大梁34の断面内には第1取付ブラケット42が取り付けられている。そして、この第1取付ブラケット42に第1天井小梁43の一端部が固定されている。第1天井小梁43は、Y方向に延在されており、第1天井小梁43の他端部は、第1天井大梁34と略平行に配設された図示しない天井大梁に固定されている。
【0023】
第1天井大梁34の上面34Aには第1L字ブラケット38が締結されている。また、第1L字ブラケット38には陸屋根20を構成する第1屋根フレーム46が固定されている。
【0024】
第1天井大梁34の下面34Bには、第1野縁50が設けられている。第1野縁50は、第1天井大梁34の下方に重ね合わされており、第1野縁50の下面には第1天井下地材54が重ね合わされている。そして、第1野縁50及び第1天井下地材54が第1天井大梁34に固定されている。
【0025】
第2建物ユニット14には、第1天井大梁34と対向して第2天井大梁36が配設されている。第2天井大梁36は、第1建物ユニット12側とは反対側が開放された断面略コの字状の溝形鋼で形成されており、第2天井大梁36の断面内には第2取付ブラケット44が取り付けられている。そして、この第2取付ブラケット44に第2天井小梁45の一端部が固定されている。第2天井小梁45は、Y方向に延在されており、第2天井小梁45の他端部は、第2天井大梁36と略平行に配設された図示しない天井大梁に固定されている。
【0026】
第2天井大梁36の上面36Aには第2L字ブラケット40が締結されており、この第2L字ブラケット40には陸屋根20を構成する第2屋根フレーム48が固定されている。また、第2天井大梁36の下面36Bには第2野縁52が設けられている。第2野縁52は、第2天井大梁36の下方に重ね合わされており、第2野縁52の下面には第2天井下地材56が重ね合わされている。そして、第2野縁52及び第2天井下地材56が第2天井大梁36に固定されている。また、第2建物ユニット14における正面壁24よりも屋内側には居室側の壁面58が設けられている。
【0027】
ここで、第1野縁50には第1延出部51が設けられている。第1延出部51は、第1野縁50から対向する第2野縁52側へ延出されており、第1天井大梁34からドッキングラインDL側へ突出されている。また、第1延出部51は、第1野縁50と共に建物10の外周部までX方向に延在されている。
【0028】
一方、第2野縁52には第2延出部53が設けられている。第2延出部53は、第2野縁52から対向する第1野縁50側へ延出されており、第2天井大梁36からドッキングラインDL側へ突出されている。また、第2延出部53は、第2野縁52と共に建物10の外周部までX方向に延在されている。
【0029】
第1延出部51と第2延出部53は、同じ高さに形成されているため、第1延出部51の上面と第2延出部53の上面とが略同じ高さに位置している。さらに、第1延出部51と第2延出部53との間には連結部材57が配設されており、この連結部材57は、第1延出部51及び第2延出部53に密接されている。
【0030】
第1延出部51の上面及び第2延出部53の上面には気密部材60が重ね合わされている。気密部材60は、鉛直方向を板厚方向とする平板状の部材によって形成されており、X方向に延在されている。
【0031】
本実施形態の気密部材60は、
図3に示されるように、X方向の一端部が袖壁22よりも屋内空間部S2側まで延在されている。また、図示はしないが、気密部材60のX方向の他端部は、第1天井大梁34及び第2天井大梁36と共に建物10の外周部まで延在されている。このように気密部材60が配設されることで、屋内空間部S1の天井部における第1天井大梁34と第2天井大梁36との隙間が塞がれた状態となっている。すなわち、気密部材60によって第1野縁50と第2野縁52との間の開口H(
図4及び
図5参照)が上方から覆われた状態となっている。
【0032】
連結部材57の下面には、天井継ぎ材62が配設されている。天井継ぎ材62は、第1建物ユニット12の第1天井下地材54と第2建物ユニット14の第2天井下地材56との隙間を塞ぐように配設されている。そして、気密部材60と天井継ぎ材62との間に連結部材57が挟み込まれた状態となっている。
【0033】
図3に示されるように、天井継ぎ材62は、屋内空間部S2側から半屋外空間部S1側へ差し込むように配設されている。
【0034】
(気密部材60の組付方法)
次に、本実施形態に係る気密部材60の組付方法について説明する。
【0035】
初めに、
図4に示されるように、第1建物ユニット12における第1野縁50のドッキングラインDL側の面に第1延出部51を取付ける。また、第2建物ユニット14における第2野縁52のドッキングラインDL側の面に第2延出部53を取付ける。このとき、
図4では、半屋外空間部S1側の天井を構成する天井板69が図示されているが、この天井板69は気密部材60の組付け後に取り付けられる。このため、第1延出部51及び第2延出部53の取付作業は、第1天井下地材54と正面壁24との隙間から行うことができる。また、第1延出部51及び第2延出部53は、どちらを先に取り付けてもよい。
【0036】
次に、
図5に示されるように、第1延出部51及び第2延出部53の上に気密部材60を重ね合わせる。具体的には、第1天井大梁34及び第2天井大梁36の上方から、この第1天井大梁34及び第2天井大梁36の間に気密部材60を通して第1延出部51及び第2延出部53の上に載置する。その後、ビス等によって気密部材60を第1延出部51及び第2延出部53に固定する。このように気密部材60を第1延出部51及び第2延出部53の上に固定することで、第1野縁50と第2野縁52との間の開口Hが上方から覆われる。
【0037】
続いて、
図2及び
図3に示されるように、第1天井下地材54と第2天井下地材56との間に天井継ぎ材62を配設する。天井継ぎ材62は、屋内空間部S2側から半屋外空間部S1側へ差し込むように配設することにより、屋内空間部S2側で作業を行うことができる。また、天井継ぎ材62の端部に予め連結部材57を取付けておき、この状態で天井継ぎ材62を第1天井下地材54と第2天井下地材56との隙間に差し込むことで、連結部材57が気密部材60と天井継ぎ材62との間に挟み込まれた状態となる。なお、気密部材60の下面に予め連結部材57を取付けておいてもよい。
【0038】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0039】
本実施形態に係る気密構造が適用された建物10では、第1野縁50及び第2野縁52から対向する野縁側へ第1延出部51及び第2延出部53が延出されており、この第1延出部51と第2延出部53の上に気密部材60が重ね合わされている。そして、気密部材60によって第1野縁50と第2野縁52との間の開口Hが上方から覆われている。これにより、半屋外空間部S1から陸屋根20へ上方に通気するのを抑制することができる。
【0040】
上記の効果について、
図6に示される比較例を参照して説明する。なお、以下の説明において、実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0041】
図6に示されるように、比較例の建物100は、気密部材60が配設されていない。このため、
図6に矢印Wで示すように、比較例の建物100では、半屋外空間部S1側から正面壁24と居室の壁面58との間に入り込んだ外気が開口Hを通じて第1天井大梁34と第2天井大梁36との間に入り込む。そして、外気は、第1天井大梁34及び第2天井大梁36の上方の陸屋根20の内部空間まで通気されるため、特に第2建物ユニット14における天井部の断熱効果が得られなくなる。
【0042】
これに対して、本実施形態では、
図2に示されるように、気密部材60、連結部材57及び天井継ぎ材62によって半屋外空間部S1の天井部と陸屋根20との間の通気を抑制している。これにより、陸屋根20へ外気が流入するのを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形では、
図3に示されるように、気密部材60が袖壁22よりも屋内空間部S2側まで延在されているため、気密部材60が袖壁22までしか配設されていない構造と比較して、確実に通気を抑制することができる。
【0044】
さらに、
図2に示されるように、本実施形では、天井継ぎ材62によって第1天井下地材54と第1天井下地材56との隙間が塞がれており、連結部材57によって天井継ぎ材62と気密部材60との隙間が塞がれている。このため、半屋外空間部S1と屋内空間部S2との間の通気を防ぎつつ、半屋外空間部S1から陸屋根20への通気を抑制することができる。
【0045】
さらにまた、本実施形では、第1野縁50に第1延出部51を取付け、第2野縁52に第2延出部53を取付けることで、正面壁24が邪魔にならずにそれぞれの野縁を延長させることができる。また、第1野縁50及び第2野縁52として、汎用の部品を用いることができる。
【0046】
また、第1延出部51及び第2延出部53の上に気密部材60を重ね合わせることで、正面壁24が配設された構造であっても第1野縁50と第2野縁52との間の開口Hを塞いで陸屋根20への通気を抑制することができる。
【0047】
以上、実施形態に係る建物10の気密構造について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記第実施形態では、第1野縁50に第1延出部51が取り付けられており、第2野縁52に第2延出部53が取り付けられているが、これに限定されない。第1野縁50よりもY方向の長さが長い野縁を用意して、野縁の一部が第1天井大梁34から突出するように形成してもよい。この場合、突出した部分が本発明の「第1延出部」に相当する。第2野縁52についても同様に、第2野縁52よりもY方向の長さが長い野縁を用意して、野縁の一部が第2天井大梁36から突出するように形成してもよい。この場合、突出した部分が本発明の「第2延出部」に相当する。ただし、コストの増加を抑制する観点で、専用部品を製造せず汎用の第1野縁50及び第2野縁52を用いるのが好ましい。
【0048】
また、上記実施形態では、第1野縁50に第1延出部51を取付け、第2野縁52に第2延出部53を取付けたが、これに限定されず、第1野縁50及び第2野縁52の一方から対向する野縁側へ延出部を延出させた構成としてもよい。例えば、第1野縁50に第1延出部51を取付け、第2野縁52には第2延出部53を取付けない構成としてもよい。この場合、気密部材60における第2天井大梁36側の端部を下方に屈曲させることで、気密部材60を第2野縁52に直接固定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 建物
12 第1建物ユニット
14 第2建物ユニット
20 陸屋根
22 袖壁
24 正面壁
34 第1天井大梁
36 第2天井大梁
50 第1野縁
51 第1延出部
52 第2野縁
53 第2延出部
54 第1天井下地材
56 第2天井下地材
57 連結部材
60 気密部材
62 天井継ぎ材
H 開口
S1 半屋外空間部
S2 屋内空間部