(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】ペリスタルティックポンプのブリーザアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F04C 5/00 20060101AFI20230705BHJP
F04B 43/12 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
F04C5/00 341Z
F04B43/12 Z
(21)【出願番号】P 2020542115
(86)(22)【出願日】2019-02-04
(86)【国際出願番号】 EP2019052605
(87)【国際公開番号】W WO2019149924
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-18
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516179993
【氏名又は名称】ワトソン-マーロウ ブレーデル ビー.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】モレンヴェルド ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】オウデ ヴリエリンク ロナルド
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-180788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0294633(US,A1)
【文献】特表2014-530993(JP,A)
【文献】特開平10-252665(JP,A)
【文献】特開昭54-71405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/12
F04C 5/00
F04C 14/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリーザチューブと、
前記ブリーザチューブに取外し可能に接続され、シーリング部を備えるキャップと、を備え、
前記ブリーザチューブと前記キャップの一方が、ガイドトラックを備え、前記ブリーザチューブと前記キャップの他方が、前記ガイドトラックと係合する突起部を備え、
前記ガイドトラックは、第1のセクションと第1の構成によって、前記第1のセクションから分離され
た第2のセクションを直列に備え、
第2の構成によって、前記第2のセクションは、前記第2のセクションの遠位端で境界付けられ、
前記突起部は、所定の第1の力が、前記キャップに印加されたときのみ、前記第1の構成を通過することができ、前記突起部は、前記第1および第2の構成が、前記ガイドトラックに沿った前記突起部の自由な動きを防止するように、所定の第2の力が、前記キャップに印加されたときのみ、前記第2の構成を通過することができ、
前記突起部が、前記第1のセクション内に位置するとき、前記キャップの前記シーリング部が、前記ブリーザチューブをシールし、前記突起部が、前記第2のセクション内に位置するとき、前記キャップの前記シーリング部は、前記ブリーザチューブから離間され、流体が前記ブリーザチューブから通過することができる、ペリスタルティックポンプのためのブリーザアセンブリ。
【請求項2】
前記突起部は、前記第1のセクション内に位置するとき、前記キャップの前記シーリング部は、流体が前記ブリーザチューブから出ることができないように前記ブリーザチューブを完全に封止する、請求項1に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項3】
前記ガイドトラックは、軸方向に延伸する部分を備える、請求項1または2に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項4】
前記ガイドトラックは、角度をつけられた部分を備え、
前記角度をつけられた部分は、軸方向成分と円周方向成分の両方を有する方向に延伸する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項5】
前記軸方向に延伸する部分は、前記第1の構成を備え、前記角度の付けられた部分は、前記第2の構成を備えた、請求項3
を引用する場合の請求項4に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項6】
前記角度の付けられた部分は、前記第1の構成と前記第2の構成を備える、請求項4に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項7】
前記第1および/または第2の構成は、前記ガイドトラックの狭窄を形成する、1つまたは複数の突起部を備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項8】
前記第1および/または第2の構成は、前記所定の第1および/または第2の力が、前記キャップに印加されたとき、円周方向に移動するように構成される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項9】
前記第1および/または第2の構成は、前記所定の第1および/または第2の力が、前記キャップに印加されたとき、半径方向に移動するように構成される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項10】
前記第1および/または第2の構成は、前記ガイドトラックに跨る、1つまたは複数のブリッジにより形成される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項11】
前記ガイドトラックを備えた前記ブリーザチューブまたはキャップは、前記ガイドトラックに隣接する、1つまたは複数の調整スロットを備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項12】
前記ガイドトラックは、前記第1の構成から離間したヒンジ部を備える、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項13】
前記突起部は、前記第1の構成と前記第2の構成との間の、前記ガイドトラックの部分に沿って、自由に移動可能である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項14】
前記ブリーザチューブおよび/または前記キャップは、前記ブリーザチューブに対する、前記キャップの動きをガイドするための、1つまたは複数のリブを備える、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項15】
前記ガイドトラックは、前記第2の構成によって、前記第2のセクションから離間された、第3のセクションを備える、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項16】
前記第3のセクションは、
前記第3のセクションの遠位端に開放端を有し、前記突起部は、前記開放端を介して、前記ガイド
トラックから妨げられずに、通過することができる、請求項15に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項17】
前記キャップと前記ブリーザチューブは、前記突起部が、前記ガイドトラック内に位置するとき、前記キャップが、前記
ブリーザチューブに延伸するように、および前記突起部が、前記ガイドトラック内に位置しないとき、前記キャップが、前記
ブリーザチューブに延伸しないように、構成される、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項18】
前記所定の第1の力は、前記所定の第2の力未満である、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項19】
前記所定の第1の力と、前記所定の第2の力は、実質的に等しい、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項20】
前記ブリーザチューブ内の流体を検出するための、前記キャップに取り付けられたセンサをさらに備えた、請求項1乃至19のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項21】
前記キャップと前記ブリーザチューブは、前記突起部が、前記ガイドトラックの前記第1および第2のセクションに位置するとき、前記センサは、前記ブリーザチューブに延伸するように構成される、請求項20に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項22】
前記センサは、フロートセンサである、請求項20または21に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項23】
前記ブリーザチューブは、前記ガイドトラック、または前記突起部を備えた、第1の流体搬送部分と、前記第1の流体搬送部分を前記ペリスタルティックポンプに結合するための、第2の流体搬送部分を備え、前記第1および第2の流体搬送部分は、互いに取外し可能に接続される、請求項1乃至22のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリ。
【請求項24】
請求項1乃至23のいずれか一項に記載のブリーザアセンブリを備えたペリスタルティックポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ペリスタルティックポンプ(peristaltic pump)のブリーザアセンブリ(breather assembly)に関する。
【背景技術】
【0002】
ペリスタルティックポンプは、典型的にホースとロータが配置される空洞を定義するハウジングを備える。ロータは、ホースを蠕動させて、液体をポンプで送り出す。空洞をペリスタルティックポンプの外部に接続するブリーザアセンブリが典型的に設けられる。ブリーザアセンブリは、空洞を潤滑油で充填することができる通路を提供する。ブリーザアセンブリは、埃や他の粒子が空洞に侵入するのを防止するキャップを備えている。ホースが故障した場合、ホースからの液体は、ホースから空洞内に、ブリーザアセンブリを介して送り出される。ホースがいつ故障したかを検出するセンサをキャップ内にインストールすることができ、それによりペリスタルティックポンプのスイッチを切ることができる。しかしながら、フロートセンサは、信頼できない可能性がある。それゆえ、この問題を克服する、または軽減する方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
一態様によれば、ブリーザチューブと、前記ブリーザチューブに脱着可能に接続され、シール部分を含むキャップと、を備え、前記ブリーザチューブと前記キヤップの一方は、ガイドトラックを備え、前記ブリーザチューブと前記キャップの他方は、前記ガイドトラックと係合する突起部を備え、前記ガイドトラックは、第1のセクションと第2のセクションを直列に含み、第1の構成により前記第1のセクションから分離され、第2の構成によりその遠位端で境界付けられ、前記突起部は、前記第1および第2の構成が前記ガイドトラックに沿った前記突起部の自由移動を防止するように、所定の第1の力が前記キャップに印加されたときのみ、前記第1の構成を通過することができ、前記突起部は、所定の第2の力が前記キャップに印加されたときのみ、前記第2の構成を通過することができ、前記突起部が前記第1のセクション内に位置するとき、前記キャップの前記シール部は、前記ブリーザチューブに対して封止し、前記突起部が、前記第2のセクションに位置するとき、前記キャップの前記シール部は、前記ブリーザチューブから離間され、流体が、前記ブリーザチューブから排出可能になる、ペリスタルティックポンプポンプのためのブリーザアセンブリが提供される。
【0004】
前記突起部が前記第1のセクション内に位置するとき、前記キャップのシーリング部は、流体が前記ブリーザチューブから排出できないように、前記ブリーザチューブに対して完全にシールすることができる。ガイドトラックは、軸方向に延伸する部分を含むことができる。ガイドトラックは、傾斜した部分を含むことができる。
【0005】
軸方向に延伸する部分は、第1の構成を含むことができる。傾斜した部分は、第2の構成を含むことができる。傾斜した部分は、第1の構成と第2の構成を含むことができる。第1および/または第2の構成は、ガイドトラックの狭窄を形成する1つまたは複数の突起を含むことができる。
【0006】
第1および/又は第2の構成は、所定の第1および/または第2の力がキャップに印加されると、円周方向に移動するように構成することができる。第1および/または第2の構成は、所定の第1および/または第2の力がキャップに印加されると、円周方向に移動するように構成することができる。第1および/または第2の構成は、ガイドトラックにまたがる、1つまたは複数のブリッジにより形成することができる。
【0007】
ガイドトラックを構成するブリーザチューブまたはキャップは、ガイドトラックに隣接する1つまたは複数のチューニングスロットを含むことができる。ガイドトラックは、第1の構成から離間したヒンジ部を含むことができる。突起部は、第1の構成と第2の構成の間のガイドトラックの一部に沿って、自由に移動することができる。ブリーザチューブおよび/またはキャップは、ブリーザチューブに対するキャップの移動をガイドする、1つまたは複数のリブを含むことができる。ガイドトラックは、第2の構成により、第2のセクションから分離された第3のセクションを含むことができる。
【0008】
第3のセクションは、その遠位端に、開放端を有することができる。突起部は、開放端を介して、ガイドスロットから妨げられずに通過することができる。キャップとブリーザチューブは、突起部がガイドトラック内に位置するとき、キャップが導管上に延在するように、および突起部がガイドトラック内に位置しないとき、キャップが導管上に延在しないように、構成することができる。所定の第1の力は、所定の第2の力未満であり得る。所定の第1の力と所定の第2の力は、実質的に等価であり得る。
【0009】
ブリーザアセンブリは、さらに、キャップに取り付けられたセンサを備えることができる。センサは、ブリーザチューブ内の流体を検出するためのものであり得る。キャップとブリーザチューブは、突起部が第1および第2のセクションに位置するとき、センサがブリーザチューブに延伸するように、構成することができる。センサは、フロートセンサであり得る。ブリーザチューブは、ガイドトラックまたは突起部を備えた第1の流体搬送部分と、第1の流体搬送部分をペリスタルティックポンプに結合するための第2の流体搬送部分とを備えることができる。第1および第2の流体搬送部分は、互いに脱着可能に接続することができる。前述のいずれかの記載のブリーザアセンブリを備えた、ペリスタルティックポンプを提供することができる。次に一例として、添付図面を参照して構成について記載する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】フロートセンサがインストールされた第1の例示ブリーザアセンブリを備えた、ペリスタルティックポンプの斜視図である。
【
図2】分離した、ブリーザアセンブリの斜視図である。
【
図4】完全に閉じた位置にあるブリーザアセンブリの側面図である。
【
図5】完全に閉じた位置にあるブリーザアセンブリの端面図である。
【
図6】完全に閉じた位置にあるブリーザアセンブリの断面図である。
【
図7】部分的に開いた位置にあるブリーザアセンブリの断面図である。
【
図8】部分的に開いた位置にあるブリーザアセンブリの側面図である。
【
図9】完全に開いた位置にあるブリーザアセンブリの断面図である。
【
図10】完全に閉じた位置にある第2の例のブリーザアセンブリの側面図である。
【
図11】
図10に示す面A-Aから見た第2の例示ブリーザアセンブリのキャップの水平断面図である。
【
図12】
図10の面B-Bから見た第2の例示ブリーザアセンブリの垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、流体を圧送するための高圧ペリスタルティックポンプ2を示す。ペリスタルティックポンプ2は、空洞(図示せず)を定義するハウジング4を備える。ロータは、ホースを蠕動的に作動させて、流体を、ホースを介して出口6から圧送する。キャビティは、潤滑剤で満たされ、ロータとホースとの間の摩擦を最小限に抑え、ホース内で発生した熱をハウジング4に伝達し、そうでなければ、ペリスタルティックポンプ2のパーツを科学的にまたは機械的に損傷する、空洞に入る媒体を希釈する。ハウジングは、ペリスタルティックポンプ2の空洞と外部10との間に延伸する穴(図示せず)を定義する。ブリーザアセンブリ8は、ブリーザアセンブリ8が、機械的にペリスタルティックポンプ2に接続されるように、およびペリスタルティックポンプ2の空洞が、ブリーズアセンブリ8の内部と流体連通するように、穴に取り付けられる。
【0012】
図2は、分離して、部分的に開いた位置にある、ブリーザアセンブリ8を示す。ブリーザアセンブリ8は、一般的に、ベース12、ライザ(riser)14およびキャップ16を備える。ベース12は、第1の流体搬送部を形成し、ライザは、第2の流体搬送部を形成する。ベース12とライザ14は、一緒になって導管の形態のブリーザチューブを形成する。ベース12は、ペリスタルティックポンプ2をライザ14に固定する。ベース12とライザ14は、ブリーザアセンブリ8が直角を形成するように、互いに90度の角度で配置される。ライザ14は、ベース12から上方向に延伸する。キャップ16は、ライザ14を覆うか、またはその上に延在する。ベース12とキャップ16は、それぞれ第1のフック86と第2のフック88を備える。チェーン(図示せず)は、第1の端部で第1のフック86に固定され、第2の端部で第2のフック88に固定される。ワイヤ17(
図2に示されていない)は、キャップ16内に収納されたフロートセンサの形態のセンサを制御システム(
図2には示されていない)に接続する。
【0013】
図3は、ブリーザアセンブリ8の分解図を示す。ベース12は、第1の管状部分15および第2の管状部分18を備える。第1の管状部分15は、開放端および閉鎖端を備える。第2の管状部分18は、第1の開放端と第2の開放端を備える。第2の管状部分18の第2の開放端は、第1の管状部分15と第2の管状部分18との間に流体通路が形成されるように、第1の管状部分15と交差する。第1の管状部分15と第2の管状部分18は、直角エルボウを形成するように互いに90度の角度が付けられている。第1の管状部分15の開放端には、第1の管状部分15から放射状に外方向に延伸するフランジ19が設けられる。フランジ19は、第1の管状部分15の開放端の全周にわたって延在する。ノッチ20は、フランジ19の全周にわたって延在する。第1の管状部分15の開放端に隣接する第1の管状部分の内面には、第1のねじ部分22が設けられる。第2の管状部分18の外面には、第1の管状部分15に隣接する第2のネジ部分24が設けられるとともに、第2の管状部分18の自由端で第2の管状部分18の第1の開放端に隣接する第3のネジ部分26が設けられる。
【0014】
ライザ14は、第1の開放端28と第2の開放端30を有するチューブを備える。流体通路は、第1の開放端28と、第2の開放端30との間に形成される。第1の開放端28におけるライザ14の外面には、ベース12の第1のねじ部分22に対応する、第4のねじ部分32が設けられる。フランジ34は、第4のねじ部分32に隣接する、ライザ14の周囲に、外方向に延在している。複数の(この例では、4つ)リブ36が、ライザ14の周囲に(90度の)間隔で設けられている。リブ36は、放射状に外方向に延伸する。リブ36は、軸方向にも延伸する。特に、リブ36は、ギャップ37を形成するようにフランジ34から離間した、第1の軸方向端と、第2の開放端30から離間した、第2の軸方向端を備える。リブ36の第2の軸方向端は、半径方向内向きに先細になっている。
【0015】
図3に示すように、リブ36の1つは、中央部分の上で二股に分かれて、その中に形成された、実質的に円筒形の突起38の周りに延びる、2つの半環状リブ部分40を形成する。突起38は、リブ36の半径方向の範囲を超えて、ライザ14から半径方向外向きに延伸する。突起部38は、リブ36の長手方向のほぼ中間に位置する。対応する突起部38(図示せず)も、正反対のリブ36内のライザ14の反対側に設けられる。
【0016】
キャップ16は、一般的に管状であり、第1の内径を有する第1の部分42と、第1の内径よりも小さい第2の内径を有する第2の部分44を備える。キャップ16は、テーパがかけられた部分46に沿って、第1の部分42と第2の部分44との間で直径が減少する。キャップ16は、第1の部分42により定義された開放端48と、第2の部分44により定義された閉鎖端50を有する。フランジ52は、開放端48に隣接して、キャップ16の周囲の周りに、半径方向外向きに延伸する。
図3に示すように、キャップ16は、第1の部分42に形成されたガイドトラック54を備える。第2のガイドトラック54(
図3に図示せず)も、キャップ16の反対側に設けられる。ガイドトラック54の1つと、それに対応する突起部38の動作について説明するが、ガイドトラック54と突起部38の両方が同じように機能する。
【0017】
ブリーザアセンブリ8を接続し、シールするための多数の追加の特徴も
図3に示される。特に、ロックナット56,第1のOリング58、第2のOリング60および第3のOリング62が示される。ロックナット56は、ベース12の第2のねじ部24に対応するプロファイルを有する内部ねじ穴を有する。ロックナット56の端面には環状ノッチ(
図3に図示せず)が設けられている。第1のOリング58は、ロックナット56内のノッチに対応する直径を有する。第2のOリング60は、ベース12内のノッチに対応する直径を有する。第3のOリング62は、キャップ16の第2の部分44の内径に対応する外経を有する。
【0018】
図4は、完全に閉じた位置または密封した位置にあるブリーザアセンブリ8を示す。ガイドトラック54は、第1の管状スロット66と第2の管状スロット68との間に配置されたガイドスロットの形態である。
図4に示すように、キャップ16がライザ14の上部に位置するとき、突起部38は、ガイドトラック54内に延伸する。ガイドトラック54は、近位端72と遠位端70の間に延伸する。近位端72は、キャップ16の開放端48から離れて、キャップ16の閉鎖端50に向かって配置される。遠位端は、キャップ16の開放端48において、キャップ16の閉鎖端50から離れて配置される。ガイドトラックの近位端72は、閉鎖端を有し、ガイドトラック54の遠位端は、開放端を有する。
【0019】
ガイドトラック54の大部分は、突起部38の直径よりもわずかに大きい幅を有する。しかしながら、ガイドトラック54の幅は、ガイドトラック54の長手方向の3つの位置で、突起部38の直径未満の幅に狭まる。第1に、第1の突起部のペア76a、76bの形態の第1の構成は、ガイドトラック54の近位端72から第1の距離だけ離れて配置される位置でガイドトラック54に延伸する(または狭くなる)。第2に、第2の突起部78の形態の第2の構成は、ガイドトラック54の近位端72から第1の距離よりも大きい、第2の距離だけ離れて配置される位置で、ガイドトラック54に延伸する(または狭くなる)。第3に、ガイドトラック54の近位端72から、第1の距離未満の第3の距離だけ離れて配置された位置で、ガイドトラック54に延伸する(または狭くなる)。第3の突起部のペア74a、74bの各々間の距離は、第1の突起部のペア76a、76bの各々間の距離未満である。第3の突起部のペア74a、74bと、第1の突起部のペア76a、76bとの間のガイドトラック54に沿った距離は、突起部38の直径にほぼ等しい。
図4に示す位置において、突起部38は、第1の突起部のペア76a、76bと、第3の突起部のペア74a、74bとの間に保持される。
【0020】
ガイドトラック55は、第1のセクション65、第2のセクション67、第3のセクション69を備える。第1のセクション65は、第3の突起部のペア74a、74bと、第1の突起部のペア76a、76bとの間に延在する。第3の突起部のペア74a、74bは、第1のセクションの近位端を定義し、第1の突起部のペア76a、76bは、第1のセクション65の遠位端(ガイドトラック54の第1のセクション対して遠位である)を定義する。第2のセクション67は、第1の突起部のペア76a、76bと、第2の突起部78との間に延在する。第1の突起部のペア76a、76bは、第2のセクションの近位端を定義し、第2の突起部78は、第2のセクション67の遠位端70を定義する。第3のセクション69は、第2の突起部78と、ガイドトラック54の遠位端70との間に延在する。第2の突起部78は、第3のセクション69の近位端を定義し、ガイドトラック54の遠位端70は、第3のセクションの遠位端を定義する。
【0021】
ガイドトラック54は、非線形経路をたどる。特に、ガイドトラック54の近位端72に隣接するガイドトラック54の第1の部分は、軸方向のみに(すなわち、円周方向の構成要素が無い方向に)延在する。第1の部分に隣接するガイドトラック54の第2の部分は、角度が付けられ、対角線状に(すなわち、軸方向成分と円周方向成分の両方を有する方向に)延伸する。ガイドトラック54の第2の部分、および遠位端70に隣接するガイドトラック54の第3の部分は、第1の部分と同様に、軸方向のみに延伸する。第3の突起部のペア74a、74bと、第1の突起部のペア76a、76bは、ガイドトラック54の第1の部分に延伸する。第2の突起部78は、ガイドトラック54の第2の部分に延伸する。
【0022】
第1の調整スロット66は、ガイドトラック54の第1および第2の部分にほぼ対応し、そこからオフセットした経路を有する。第1の調整スロット66は、第3の突起部のペア74a、74bにほぼ対応する位置で始まり、ガイドトラック54の第2の部分と第3の部分と間の境界にほぼ対応する位置で終わる。第2の調整スロット68は、ガイドトラック54の第1の部分にほぼ対応し、そこからオフセットした経路を有する。第2の調整スロット68は、第3の突起部のペア74a、74bにほぼ対応する位置で始まり、ガイドトラック54の第1の部分と第2の部分との間の境界にほぼ対応する位置で終わる。
【0023】
図5は、ブリーザアセンブリ8の側面図を示す。突起部38と第2のガイドトラック54の両方が示される。ガイドトラック54の両方のプロファイルは、回転対称であるように互いに対応する。図示するように、突起部38の端部は、ガイドトラック54からわずかに延伸している。突起部38の半径方向の範囲は、ライザ14のフランジ34の半径方向の範囲未満である。
【0024】
図6は、
図5の面A-Aから見たブリーザアセンブリ8の断面図を示す。面A-Aは、2つの対向するリブ36を二等分する。図示するように、キャップ16の第1の部分42の内径は、対向するリブ36の半径方向外縁間の距離に実質的に対応する。ライザ14を形成するチューブの外径は、キャップ16の第1の部分42の内径未満である。従って、複数の(この例では、4つ)通路(図示せず)が隣接リブ36間に形成される。ライザ14を形成するチューブの外径は、キャップ16の第2の部分44の内径に実質的に対応する。ギャップ80は、キャップ16のテーパ部分46の内面とリブ36との間に形成される。
【0025】
キャップ16の閉鎖端50は、キャップ16の内部に延伸するボス(boss)82を備える。ボス82の中央部分は、ソケット83を定義する。フロートセンサ84は、フロートセンサ84が、ライザ14を形成するチューブに延伸するように、ソケット83に取り付けられる。フロートセンサ84は、流体がライザ14を通過する時を検出するか、またはライザ14内の流体(すなわち、潤滑剤、ホースからの流体またはそれらの混合物)のレベルが、所定レベルを超える時を検出するように構成される。ワイヤ17は、キャップ16の閉鎖端50内の穴を通過する。ボス82の径方向外面は段状である。ギャップ85は、ボス82の径方向外面と、キャップ16の第2の部分44の内面との間に形成される。
【0026】
図示していないが、ベース12の第3のねじ部分26は、ペリスタルティックポンプ2のハウジング4により定義された穴の、対応する内部ねじ部に取り付けられる。ロックナット56は、ベース12の第2のねじ部24にねじ込まれ、ベース12がペリスタルティックポンプ2に対して回転しないように、ハウジングに当接する。第1のOリング58は、ロックナット56の円形ノッチ内に収容され、ペリスタルティックポンプ2とベース12との間の接続をシールする。ライザ14は、第1のねじ部22と第4のねじ部32の、ねじ係合によりベース12に取り付けられる。第2のOリング60は、ベース12のノッチ20内に収容され、ベース12とライザ14との間の接続をシールする。第3のOリング62は、ギャップ85内のキャップ16の内部の上縁に収容される。第3のOリング62の内径は、実質的に、ボス82の外径に対応する。第3のOリング62の外径は、実質的にキャップ16の第2の部分44の内面の直径に対応する。キャップ16の第2の部分44の内径は、実質的に第2の開放端30に隣接するライザ14の外径に対応するので、第3のOリング62は、ライザ14とキャップ16との間にシールを形成することができる。従って、第3のOリング62は、シーリングエレメントとして機能する。
【0027】
通常の動作中、ブリーザアセンブリ8は、
図4に示すように構成される。突起部38は、ガイドトラック54の第1のセクション65に延伸する。シールは、キャップ16とライザ14の間に形成され、特に、キャップ16のOリング62と、ライザ14との間に形成される。シールは、ペリスタルティックポンプ2の空洞内に、部分的真空が形成されることを可能にし、ペリスタルティックポンプ2の外部10から、埃又は粒子が空洞内に進入するのを防止し、空洞内の潤滑剤が、ペリスタルティックポンプ2とブリーザアセンブリ8から出るのを防止するとともに、ペリスタルティックポンプ2が呼吸する(breath)のを防止する。空洞内の部分的真空はキャップ16を、下方向にライザ14上に引っ張る。ライザ14を形成するチューブの内径は、十分に大きく、高速で動くペリスタルティックポンプ2により生成される気流の速度は、抗力によりフロートセンサ84を移動させるほど十分に高くない。キャップ16が上方向に移動するのを防止するために、第1の突起部(projection)のペア76a、76b上の突起部(protrusion)38により、下方向の保持力(すなわち、バイアス力)が印加される。すなわち、第1の突起部76a、76bは、
図6に示される位置からキャップ16が、上方向に配置される位置へのキャップ16の移動を妨げるためにキャップ16にバイアス力を提供する。上方向の保持力(すなわち、バイアス力)は、キャップ16が下方向に移動するのを防止するように、第3の突起部のペア74a、74b上の突起部38により印加される。従って、キャップ16は、
図4に示す位置に維持される。従って、キャップ16は、ライザ14上で跳ねることが防止され、振動により、フロートセンサ84が移動するのを防止する。
【0028】
しばらくすると、ホースは、例えば、疲労、化学的損傷または機械的摩耗により故障する可能性がある。故障すると、通常の動作中に、ホースに沿って送り込まれる液体の少なくとも一部が、代わりに、空洞に送り込まれる。液体は、空洞から出て、ハウジングにより定義された穴を通って、ブリーザアセンブリ8に移動する。ブリーザアセンブリ8内の圧力は、増大し、キャップ16に上方向の力を加える。キャップ16にかかる上方向の力が増大すると、突起部38により第1の突起部76a、76bに横力が印加される。突起部38が第1の突起部76a、76bを通過して移動し、ガイドトラック54の第2のセクション67に沿って自由に移動するように、第1の突起部76a、76bが強制的に離間される。リブ36は、キャップ16が、ブリーザアセンブリ8の長手方向軸に沿って軸方向に移動するように、キャップ16をガイドする。得られる構成は、
図7の断面図に示され、キャップ16は、非密封位置にあり、垂直方向に距離dだけ移動したものとして示されている。
【0029】
図4を参照すると、第1の突起部76a、76bは、突起部38の直径より大きい距離だけ、ガイドトラック54の近位端72から離間される。ガイドトラック54の近位端72と第1の突起部76a、76bとの間のレバーアームの長さは、突起部38を収容するのに必要な最小距離よりも長く、第1の突起部は、上述した移動の間、より容易に、互いに離れるように旋回することができる。従って、ガイドトラック54の近位端72は、ヒンジとして機能する。第1の調整スロット66および第2の調整スロット68も、第1の突起部76a、76bがより容易に、互いに離間するように移動することができるように、ガイドトラック54の柔軟性を増大させる。ガイドトラック54、第1の調整スロット66、第2の調整スロット68、第1の突起部76a、76bおよび突起部38の形状は、ブリーザアセンブリ8内の圧力が0.1乃至0.2bar(10乃至20kPa)より大きくなるように、選択される。この圧力は、ペリスタルティックポンプ2、またはブリーザアセンブリ8内のシール、または機械パーツが故障する圧力よりもはるかに低い。
図7に示すように、突起部38が第1の突起部76a、76bを通過すると、キャップ16とライザ14の間に形成されたシールは破られる。従って、ブリーザアセンブリ8内の圧力は、隣接リブ36間に形成された通路を介して解放される。
【0030】
液体が、ブリーザアセンブリ8内に移動し続けるにつれ、ブリーザアセンブリ8内の液体のレベルは、増大する。キャップ16とライザ14との間に形成されたシールは破られるので、液体は、ライザ14を上昇することができ、ライザ14上部の空洞に入り、隣接リブ36間の形成された複数の通路を介して下降し、ブリーザアセンブリ8から出ることができる。ブリーザアセンブリ8内の圧力により、
図8に示すように、突起部38が、第2の突起部78に当接するまで、キャップ16が上方向に移動するように、上方向の力が、キャップ16に印加される。突起部38が、ガイドトラック54に沿ってこれ以上(すなわち、ガイドトラック54の第3のセクション69に)移動するのを防止し、従って、キャップ16が、これ以上、上方向に移動するのを防止するように、第2の突起部78上の突起部38により保持力(すなわちバイアス力)が、印加される。すなわち、第2の突起部78は、
図7に示す位置から、キャップ16が上方向に配置される位置までの、キャップ16の移動を妨げるようにキャップ16に、バイアス力を提供する。ガイドトラック54、第1の調整スロット66、第2の調整スロット68、第2の突起部78および突起部38の形状は、ブリーザアセンブリ8内の圧力が0.5bar(50kPa)に近づく(しかし、超えない)まで突起部38が、第2の突起部78を通過しないように選択される。
【0031】
キャップ16とライザ14との間に形成されたシールは破られ、ブリーザアセンブリ8内の圧力が、0.5barより大きくならないように、ブリーザアセンブリ8の圧力が解放されるので、キャップ16は、突起部38と第2の突起部78との間の相互作用により、適切な位置で保持される。距離dは十分に小さいので、
図7および8に示す位置において、フロートセンサ84は、依然としてライザ14を形成するチューブ内に延伸する。液体がブリーザアセンブリ8に移動し続け、フロートセンサ84を通過するので、フロートセンサ84が移動し、ワイヤ17に沿って、信号を制御システムに送信する。信号に応答して、制御システムは、信号をペリスタルティックポンプ2に送信し、ロータの回転を停止させ、ホースを蠕動的に作動させる。従って、流体は、もはやホースを介して送り出されず、液体は、もはやペリスタルティックポンプ2から排出されない。それゆえ、突起部38と第2の突起部78との間の相互作用、およびシールを破ることによる内部圧力の解放により、ホースの故障時に(例えば、ホースが突然破裂した場合)キャップ16が、ライザ14から吹き飛ばされないことを補償するとともに、フロートセンサ84が、移動しないことを補償する。これは、流体が、ペリスタルティックポンプ2内から過度に漏出するのを防止する。そのような漏出は、特に、例えば、危険な化学物質が、ペリスタルティックポンプ2により圧送されている場合には、無駄であり、あるいは、危険な場合もある。
【0032】
例えば、フロートセンサ84の誤動作が原因で、フロートセンサ84が移動しない場合、制御システムは、信号をペリスタルティックポンプ2に送信せず、従って、ロータは、回転し続け、ホースを蠕動的に作動させる。液体は、ペリスタルティックポンプ2から排出され、ブリーザアセンブリ8に流入し続ける。通常の状況下では、液体は、隣接リブ36間に形成された複数の通路を介してブリーザアセンブリ8から継続して流出することができる。そのような状況下では、ブリーザアセンブリ8内の圧力は、0.5barに近づかない。他の状況下では、ブリーザアセンブリ8内の圧力は、0.5barに近づくかもしれない。例えば、ペリスタルティックポンプ2から流出して、ブリーザアセンブリ8に流入する液体は、ブリーザアセンブリ8内の圧力が0.5barに近づく結果となる、ある特性(例えば、高粘度)を有する可能性がある。あるいは、またはさらに、液体がペリスタルティックポンプ2から流出してブリーザアセンブリ8に流入する速度は、ブリーザアセンブリ8内の圧力が0.5barに近づくのに十分高いことがあり得る。あるいは、またはさらに、排出ラインまたはブリーザアセンブリ8の任意の部分の(例えば隣接リブ36間に形成された1つまたは複数の流体通路における)閉塞によって、ブリーザアセンブリ8内の圧力が0.5barに近づく場合がある。
【0033】
ブリーザアセンブリ8内の圧力が0.5barに近づく場合、ブリーザアセンブリ8内の圧力によって、上方向の力が、キャップ16に印加される。キャップ16に印加される上方向の力が増大すると、突起部38により横方向の力が、第2の突起部78に印加される。第2の突起部78は、突起部38が、第2の突起部78を通過して、第3のセクション69に移動することができるように、円周方向の成分を有する方向に、ガイドトラック54の中心から離間するように強制される。ブリーザアセンブリ8内の圧力により、キャップ16は、上方向に移動し続ける。従って、突起部38がガイドトラック54の遠位端70で、第3のセクション69を出るまで、突起部38は、第3のセクション69に沿って移動し続ける。したがって、キャップ16は、ライザ14から取り外され、もはや、ライザ14を覆ったり、延伸したりしない。
【0034】
この結果として生じした配置を
図9に示す。キャップ14が、もはやライザ14の上部に配置されていないため、ペリスタルティックポンプ2から流出した液体は、ブリーザアセンブリ8から、ペリスタルティックポンプ2の外部10へと自由に通過することができる。上述した動作シーケンスは、一つには、ブリーザアセンブリ8内の圧力が0.5bar(50kPa)を超えることができないために、ブリーザアセンブリ8、またはペリスタルティックポンプ2の部品に損傷を与えない。
【0035】
キャップ16が、ライザ14から取り外されるとき、チェーンが、キャップ16が失われないように、ライザ14の比較的近くにキャップ16を維持する。キャップ16は、ライザ14から取り外されると、ライザ14に再び取り付けることができる。特に、各突起部38が、それぞれのガイドトラック54の第3のセクション69内に位置し、第2の突起部78に当接するように、ライズ14の上部に配置することができる。次にユーザは、第2の突起部78が、突起部38を通って移動し、突起部38が、それぞれのガイドトラック54の第2のセクションに入るように、キャップをひねる(すなわち、回転させる)ことができる。ユーザは、対応する線形力を印加するよりも、そのようなねじり運動を、より容易に印加することができる。第2の突起部78が、突起部38を通過して移動すると、キャップ16は、突起部38が、第1の突起部76a、76bに当接するように、下向きに押し続けられることができる。次に、ユーザは、第1の突起部76a、76bが、突起部38を通過して移動するように、および突起部38がそれぞれのガイドトラック54の第2のセクション65に入るように、さらに、ブリーザアセンブリ8が、
図4乃至6に示されるように構成されるように、キャップ16をさらに下方向に押すことができる。
【0036】
キャップ16をライザ14から取り外すために、ユーザは、逆のプロセスを手動で実行することができる。キャップ16が取り外されると、ユーザは、ライザ14を介してペリスタルティックポンプ2に、潤滑剤を充填することができる。これは、例えば、ペリスタルティックポンプ2に新しいホースをインストールする場合に必要になるかもしれない。ライザ14からキャップ16の除去と、ライザ14へのキャップ16の取り付けは、工具を使う必要の無い手動プロセスである。
【0037】
ブリーザアセンブリ8は、種々の異なるペリスタルティックポンプ2に組み込む(retrofit)ことができる。特に、ブリーザアセンブリ8のベース12は、ライザ14から分離されているので、ブリーザアセンブリ8のベース12は、取り付けられている特定の穴に合わせてカスタマイズすることができる。異なるサイズの第2の管状部分18を有するさまざまなベース12を提供することができ、その中から互換性のあるベース12を選択することができる。ベース12の各々の第1のねじ部22は、単一のライザ14とキャップ16が、異なるサイズの第2の管状部分18を有する様々な異なるベース12で使用することができるように、同じであり得る。
【0038】
ベース12とライザ14は、2つの異なるコンポーネントであるので、ベース12は、ライザ14をベース12に取り付ける前に、ペリスタルティックポンプ2のハウジング4内の穴に取り付けることができる。これは、穴により定義された軸の周りにライザ14を回転させる必要が無くなるため、ペリスタルティックポンプ12にブリーザアセンブリ8を取り付けるのに必要な、空間を最小にする。
【0039】
図10は、第2の例示ブリーザアセンブリ8’を示す。第2の例示ブリーザアセンブリ8’は、ベース12、ライザ14および第2の例示キャップ16’を備える。ベース12とライザ14は、
図1乃至9を参照して記載した第1のブリーザアセンブリ8のベース12とライザ14に対応する。一般に、第2の例示キャップ16’は、実質的に
図1乃至9を参照して記載したキャップ16と対応し、同様に機能する。しかしながら、以下に記載するように、第2の例示キャップ16’と、キャップ16との間には、いくつかの違いがある。第2の例示キャップ16’の対応する特徴は、必要に応じて、アポストロフィが付加され同様の参照番号を用いて示される。
【0040】
チェーン91は、
図1乃至9を参照して記載したチェーン(図示せず)と同様に、第1の端部において、ベース12の第1のフック86に固定され、第2の端部において、キャップ16’の第2のフック88’に固定される。非線形経路を辿るガイドトラック54とは対照的に、ガイドトラック54’は、線形経路を辿る。ガイドトラック54’は、ガイドトラック54の第1および第3の部分のように、軸方向のみに延伸する。キャップ16’は、キャップ16’の開放端48’に配置されたブリッジ90を備える。ブリッジ90は、ガイドトラック54’に跨るように、ガイドトラック54’の第1の側から、ガイドトラック54’の第2の側へ延伸する。ブリッジ90は、その内部が、ガイドトラック54’の遠位部分を形成するように半径方向外向きに延伸する。
【0041】
図11は、
図10に示す面A-Aからみたキャップ16’の水平断面図を示す。図示するように、ブリッジ90の各々は、実質的にU字形である。一対の対向する凹部94は、各ブリッジ90間のキャップ16’の第1の部分42’の内面に形成される。凹部94は、キャップ16’の柔軟性を増加させる。
【0042】
図12は、
図10に示す面B-Bからみたブリーザアセンブリ8’の垂直断面図を示す。ブリッジ90の内面の半径方向外側部分は、(
図10に仮想線で示される)近位面96、遠位面98、接続面100を備える。近位面96は、キャップ16’の解放端から離間した、キャップ16’の閉鎖端50’に向かって配置される。遠位面98は、キャップ16’の開放端48’で、キャップ16’の閉鎖端50’から離間して配置される。接続面100は、近位面96と遠位面98を接続する。
【0043】
近位面96と遠位面98は、実質的に軸方向に延伸する。近位面96により形成されたガイドトラック54’のセクションは、キャップ16’が、ライザ14にインストールされたとき、突起部38の半径範囲よりもわずかに大きい半径範囲を有する。ガイドトラック54’の第2のセクション67’の遠位部分は、近位面96により形成される。遠位面98により形成されるガイドトラック54’のセクションは、キャップ16’がライザ14にインストールされたとき、突起部38の半径範囲よりもわずかに小さい半径範囲を有する。それゆえ、ガイドトラック54’の半径範囲は、接続面100と遠位面98により形成されたブリッジ90のセクションにおける突起部38の半径範囲未満の半径範囲まで減少する。遠位面98と接続面100により定義されたブリッジ90のセクションは、第2の突起部78’の形態の第2の構成である。第2の突起部78’は、ガイドトラック54’に延伸し(または狭窄を形成し)、キャップ16の第2の突起部78と機能的に等価である。接続面100は、近位面96と遠位面98との間で部分的に軸方向に延伸する。すなわち、接続面100は、近位面96から遠位面98へ、半径範囲を徐々に減少することにより、近位面96から遠位面98へと遠位方向に傾斜する。
【0044】
キャップ16’は、キャップ16の第1の突起部ペア76a、76bおよび第3の突起部ペア74a、74bに対応する第1の突起部ペア76a’、76b’及び第3の突起部ペア74a’、74b’を有する。従って、動作中、完全密封位置から離れる動きの最初の部分では、キャップ16’は、キャップ16と同様に動作する。突起部38が第1の突起部ペア76a’76b’を通過すると、ブリーザアセンブリ8’内の圧力により、依然として上方向の力が、キャップ16に印加され、その結果キャップ16’は、上方向に移動し続ける。近位面96により形成されたガイドトラック54’のセクションは、突起部38の半径範囲よりわずかに大きい半径範囲を有するので、突起部38は、第2の突起部78’の接続面100に当接するまで、近位面96により形成されたガイドトラック54’の第2のセクションに沿って自由に移動することができる。
【0045】
保持力(すなわち、バイアス力)は、第2の突起部78’の接続面100上の突起部38により印加され、突起部38が、ガイドトラック54’に沿ってさらに移動するのを防ぎ、キャップ16’が、さらに上方向に移動するのを防止する。ガイドトラック54’、凹部94、第2の突起部78’、および突起部38の形状は、ブリーザアセンブリ8’内の圧力が、0.5bar(50kPa)に近づく(ただし、超えない)まで、突起部38が、第2の突起部78’を通過しないように、選択される。
【0046】
ブリーザアセンブリ8’は、ブリーザアセンブリ8’と同様に機能し続ける。キャップ16’とライザ14との間に形成されたシールは、破られ、ブリーザアセンブリ8’内の圧力が解放され、ブリーザアセンブリ8’内の圧力は、0.5barより大きくならず、キャップ16’は、突起部38と第2の突起部78’との間の相互作用により、適所に配置される。しかしながら、(例えば、ブリーザアセンブリ8に関して上述したと同様の理由により)ブリーザアセンブリ8’内の圧力が、0.5barに近づいた場合、ブリーザアセンブリ8’内の圧力によって、上方向の力が、キャップ16’に印加され、キャップ16’に印加される上向きの力が、増大するにつれ、外向きの半径方向の力が、突起部38により第2の突起部78’に印加される。突起部38が、第2の突起部78’を通って移動できるように、キャップ16’の中心から離間して、外向きの半径方向に強制される。特に、突起部38の端部は、傾斜した接続面100を遠位面98に乗り上げる。ブリーザアセンブリ8’内の圧力により、キャップ16’は、上方向に移動し続ける。従って、突起部38は、突起部38が、ガイドトラック54’の遠位端70’を出るまで、遠位面98により形成されたガイドトラック54’のセクションに沿って移動し続ける。従って、キャップ16’は、ライザ14から取り外され、もはやライザ14を覆ったり、延伸したりしない。(
図10または12に図示しない)ブリーザアセンブリの反対側は、
図12に示される機能に対応する機能を有し、同様に動作する。
【0047】
キャップ16’は、ライザ14から取り外されると、ライザ14に再び取り付けることができる。特に、
図11を参照すると、凹部94に対応する位置で、内向きの半径方向の力102を、キャップ16’の第1の部分42’に、手動で印加することができる。内向きの半径方向の力102の方向は、ガイドトラック54’と突起部38が位置する平面に垂直である。半径方向内向きの力が印加されると、第1の部分42’は、
図11に示すように、実質的に円形のプロファイルから、ガイドトラック54’(従って、第2の突起部78’)の近位面96、遠位面98および接続面100がキャップ16’の中心から離間するように強制される、実質的に楕円形のプロファイルに変形する。
キャップ16’は、遠位面98により形成されたガイドトラック54’のセクションが、突起部98の半径範囲よりわずかに大きい半径範囲を有する程度まで変形する。それゆえ、キャップ16’は、その結果、各突起部38が、近位面96により形成されたガイドトラック54’のセクション内に位置するように、それぞれが、下方向に動作される前に、遠位面98により形成されたガイドトラック54’のセクション内に位置するように、何らの抵抗無しにライザ14の上部に配置することができる。次に、内向きの半径方向の力102は、キャップ16’が
図11に示す元の形状に戻るように、解放することができる。キャップ16’は、キャップ16を参照して、上述したように下方向に強制され続けることができる。逆のプロセスは、ライザ14からのキャップ16’を取り外すために、ユーザが手動で行うことができる。
【0048】
上で示したように、突起部38が、ガイドトラック54/54’の第1のセクション65/65’に延伸すると、シールが、キャップ16/16’とライザ14の間に形成される。シールは、完全シール(すなわち、密封シール)または部分的なシールのいずれかであり得る。完全シールは、ペリスタルティックポンプ2が、真空支持体とともに使用されるとき、キャップ16/16’とライザ14との間にしばしば形成される。部分的シールは、ペリスタルティックポンプ2が、真空支持体なしで使用されるとき、キャップ16/16’とライザ14との間で形成される。どちらの場合も、液体がブリーザアセンブリ8/8’から押し出される速度は、突起部38が第1のセクションに延伸するときよりも、第2のセクション67/67’に延伸するときの方が大きい。液体がブリーザアセンブリ8/8’から押し出される速度は、完全シールが、キャップ16/16’とライザ14との間に形成されるときゼロであり、部分的なシールが、キャプ16/16’とライザ14との間に形成されるとき非ゼロになる。どちらの場合も、キャップ16/16’とライザ14との間に形成されたシールは、突起部38が、ガイドトラック54/54’の第1のセクション65/65’に延伸したとき、ブリーザアセンブリ8/8’からの液体の流れに抵抗を提供する。
【0049】
上で示したように、ベース12とライザ14は、2つの異なるコンポーネントである。しかしながら、代替構成において、それらは単一の一体型構成要素を形成することができる。さらに、上で示したように、ブリーザアセンブリ8/8’は、ペリスタルティックポンプ2から分離されている。しかしながら、代替構成において、ブリーザアセンブリ8/8’は、ペリスタルティックポンプ2の残りの部分と一体的に形成することができる。
【0050】
上で示したように、ベース12とライザ14は、互いに90度の角度に配置される。しかしながら、代わりの配置では、それらは、互いに任意の角度で配置することができる。第3のOリング62は、キャップ85内のキャップ16の内部の上縁に収納されると記載したが、代りに、ライザ14の第2の開放端30に取り付けることができる。あるいは、ペリスタルティックポンプ2は、第3のOリング62を備える必要がない。そのような構成は、例えば、ペリスタルティックポンプ2が真空支持体無しに使用されるとき、使用することができる。
【0051】
ホースが故障し、ホースからの液体が空洞に入る結果、ブリーザアセンブリ8/8’内に圧力が高まると記載したけれども、圧力は、代替的に、ペリスタルティックポンプ2内の開放経路内の閉塞の結果として、ブリーザアセンブリ8/8’内で高まることができる。ブリーザアセンブリ8のガイドトラック54は、非線形経路を辿ると記載したが、代わりに、ブリーザアセンブリ8’のガイドトラック54’のように、線形経路を辿ることができる。ガイドトラック54の線形経路は、
図4に示すガイドトラック54の第1および第3の部分のように、単に軸方向に延伸するか、あるいは、
図4に示すガイドトラック54の第2の部分のように、角度をつけて斜めに延伸することができる。反対に、ブリーザアセンブリ8’のガイドトラック54’は、線形経路を辿ると記載したが、代替的に、ブリーザアセンブリ8’のガイドトラック54のように、非線形経路をたどることができる。
【0052】
第1の調整スロット66と第2の調整スロット68の形状は、例示である。代替実施形態において、第1の調整スロットおよび/または第2の調整スロット68の幅は、増加させたり、減少させたり、あるいは異なる位置を有することができる。第1の調整スロット66および/または第2の調整スロット68の幅を増加させると、ガイドトラック54の壁の柔軟性を増加させ(すなわち、剛性を低減する)、突起部38が、第1の突起部76a、76bおよび第2の突起部78を通過することができるブリーザアセンブリ8内の圧力を低減する。第1の調整スロット66および/または第2の調整スロット68の幅を低減すると、ガイドトラック54の壁の柔軟性を低減し(すなわち、剛性を増大する)、突起部38が、第1の突起部76a、76bと第2の突起部78を通過することができる、ブリーザアセンブリ8内の圧力を増加させる。突起部の形状も、キャップが解放される圧力を制御するように変更することができる。ブリーザアセンブリ8’のキャップ16’は、調整スロット66、68を有するように図示されていないけれども、代りの構成では、キャップ16に提供される調整スロットのような調整スロットを有することができる。
【0053】
上で示したように、第1の突起部76a/76a’、76b/76b’は、突起部38が第1の突起部76a/76a’、76b/76b’を通過するように、円周方向に強制的に離間される。さらに、第2の突起部78がガイドトラック54の中心から円周方向に離間するように強制され、それにより、突起部38が第2の突起部78を通過することができ、第2の突起部78’が、キャップ16’の中心から半径方向に離間するように強制され、それにより突起部38が、第2の突起部78’を通過することができると記載した。しかしながら、突起部の代わりに、他の構成を使用することができることが理解されるであろう。例えば、代替構成では、第1の突起部76a/76a’76b/76b’と、第2の突起部78/78’は、キャップ16/16’の残りの部分と壊れやすく接続することができ、突起部38は、第1の突起部76a/76a’、76b/76b’を破壊する力をキャップ16/16’の残りの部分から印加することにより、第1の突起部76a/76a’、76b/76b’を通過することができる。突起部はまた、ボール戻り止め等により形成することができる。突起部38も、所定の位置に固定することができる突起部を通過することができるように、直径を変形するか、さもなければ減少させることができる。
【0054】
上で示したように、ブリーザアセンブリ8/8’の形状は、ブリーザアセンブリ8/8’内の圧力が0.1乃至0.2bar(10乃至20kPa)より大きくなる前に、第1の突起部76a/76a’、76b/76b’を通過するように選択される。しかしながら、この圧力は、任意の他の適切な圧力であり得る。ブリーザアセンブリ8/8’の形状は、ブリーザアセンブリ8内の圧力が、0.5bar(50kPa)になる前に、突起部38が、第2の突起部78/78’を通過するように選択される。しかしながら、このさらなる圧力も、任意の他の適切な圧力であり得る。
【0055】
4つのリブ36が、ライザ14の円周の周りに90度間隔で設けられると記載したが、ライザ14は、任意の数のリブ36で提供することができる。リブ36は、任意の適切な間隔で、配置することができる。同様に、任意の数の突起部38と、ガイドトラック54を設けることができる。上で示したように、ライザ14は、突起部38を備え、キャップ16/16’は、ガイドトラック54/54’を備えるが、こうである必要はない。代替構成において、突起部38は、キャップ16/16’から内向きに放射状に延伸することができ、ライザ14は、ガイドトラック54/54’を備えることができる。
【0056】
上で示したように、第1の突起部のペア76a/76a’、76b/76b’は、ガイドトラック54/54’に延伸する。しかしながら、代替的に、単一の第1の突起部が、ガイドトラック54/54’に延伸することができる。単一の第2の突起部78/78’が、ガイドトラック54/54’に延伸すると記載したが、代わりに、第2の突起部ペア78/78’が、ガイドトラック54/54’に延伸することができる。第3の突起部ペア74a、74bが、ガイドトラック54に延伸すると記載したが、代わりに、単一の第3の突起部が、ガイドトラック54に延伸してもよい。上で示したように、センサ84は、キャップ16/16’に取り付けられる。しかしながら、代わりに、ブリーザアセンブリ8/8’の任意の部分に取り付けることができる。センサは、フロートセンサであると記載したが、流体の存在を検出することができる、任意のタイプのセンサであり得る。フロートセンサは、オプションであり、従って、いくつかの構成では、センサは、設けなくてもよい。
【0057】
上で示したように、フロートセンサ84は、突起部38が、ガイドトラック54/54’の第2のセクション67/67’に延伸すると作動するが、フロートセンサ84は、突起部38が、ガイドトラック54/54’の第1のセクション65/65’に延伸するときも作動する。例えば、ホースが故障して(例えば、非常に小さな穴がホースに形成されることにより)、流体がそこから定流量で漏れる場合、ペリスタルティックポンプ2の内面、従って、ブリーザアセンブリ8/8’の内面は、この期間に、キャップ16/16’が非常に少量だけ何度も持ち上がり、それにより、圧力を解放して、液体がライザ14内で上昇するのを、可能にする。上述したブリーザアセンブリ8/8’は、ポンプ空洞を備えた任意のタイプのペリスタルティックポンプ2内で使用することができる。ブリーザアセンブリ8/8’は、例えば、シューズ(shoes)、ローラ、ワイパ、またはローブを有するペリスタルティックポンプで使用することができる。