(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】監視装置付き蓄圧器
(51)【国際特許分類】
F15B 1/10 20060101AFI20230705BHJP
【FI】
F15B1/10
(21)【出願番号】P 2020549765
(86)(22)【出願日】2019-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2019055953
(87)【国際公開番号】W WO2019179800
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】102018002315.0
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591204333
【氏名又は名称】ハイダック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HYDAC TECHNOLOGY GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ヘルベルト バルテス
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クロフト
(72)【発明者】
【氏名】ペトラ ヨッフム
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ラウ
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0258449(US,A1)
【文献】特開2011-215076(JP,A)
【文献】特開2015-206387(JP,A)
【文献】特開昭52-007792(JP,A)
【文献】特表2017-523352(JP,A)
【文献】特開昭52-124383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 1/00- 1/26
G01M 3/00- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動の分離要素(16)が、作動ガスで満たされた気体室(12)を流体室(14)から互いに流体密に分離している蓄圧器ハウジング(10)を備えた蓄圧器であって、前記分離要素(16)の密封効果を損ねる異常時に、視覚的に認識可能な表示を提供すると共に、指示薬を観察できる覗き窓(54)を有する、監視装置(46)が設けられており、前記指示薬は、気体室(12)と連通しており、前記指示薬の光学特性は、流体で濡れたときに、認識可能に変化する、前記
蓄圧器において、
光学特性を変化させる前記指示薬が、カプセル(48)内に収容されており、前記カプセルの壁部(50)は、流体の通過に対して透過可能とされており、かつ、前記覗き窓(54)と前記蓄圧器ハウジング(10)内の前記分離要素(16)との間に配置されて
おり、
前記カプセル(48)は、前記指示薬を、その内部に収容し、かつ、少なくとも1つの流体透過性保護層(72、74)の間に収容された、パッド(60)を有し、
前記カプセル(48)の上側カプセルシェル(68)の通路(82)から流出する、流体に溶解及び/又は分散した指示薬を収容する目的で、前記カプセル(48)は、前記覗き窓(54)へ向かって突出している、全周に沿ったタブ縁部(76)を有しており、かつ、下側カプセルシェル(66)に設けた通路(80)によって、前記パッド(60)を収容した前記カプセル(48)内に、流体が、流入することが可能となる、ことを特徴とする蓄圧器。
【請求項2】
前記カプセル(48)の前記タブ縁部(76)は、前記下側カプセルシェル(66)の側縁部によって形成されており、該側縁部は、収容タブ(62)を形成するために、前記上側カプセルシェル(68)を越えて、軸方向へ突出している、ことを特徴とする、
請求項1に記載の蓄圧器。
【請求項3】
前記収容タブ(62)の上方側に、透明に保たれると共に、前記覗き窓(54)から少なくとも該収容タブの内容物を見ることが許容されている蓋部材(64)が架け渡されている、ことを特徴とする、
請求項2に記載の蓄圧器。
【請求項4】
前記蓋部材(64)は、プリズム特性、コーティング又は拡大といった、光学特性を備えていることを特徴とする、
請求項3に記載の蓄圧器。
【請求項5】
前記覗き窓(54)は、前記蓄圧器ハウジング(10)の蓋側終端部(18)内に設けられると共に、外側から前記カプセル(48)を見ることを許容する、ゲージガラスから形成されている、ことを特徴とする、
請求項4に記載の蓄圧器。
【請求項6】
前記分離要素(16)の側から前記蓄圧器ハウジング(10)の前記蓋側終端部(18)内に挿入可能とされ
たスクリーン体(56)によって、前記蓋部材(64)、及び、前記指示薬のための前記パッド(60)を収容する前記カプセル(48)は、保持されている、ことを特徴とする、
請求項5に記載の蓄圧器。
【請求項7】
前記スクリーン体(56)は、ねじ挿入部(58)によって所定の位置に保持されている、請求項6に記載の蓄圧器。
【請求項8】
前記指示薬は、流体と接触すると、中性色から出発して、目に見える色の急変を引き起こして信号色を形成しており、前記指示薬は、(ジエチルアミノ)ベンゾ[a]フェノキサジンの物質群から選択されている、ことを特徴とする、請求項1から
請求項7の何れか1項に記載の蓄圧器。
【請求項9】
前記指示薬のための前記パッド(60)が、フリース
、又は、ガラス繊維布
であることを特徴とする、請求項1から
請求項8の何れか1項に記載の蓄圧器。
【請求項10】
前記指示薬のための前記パッド(60)は、ガラス繊維フリース、又は、ガラスシルク布であることを特徴とする、請求項9に記載の蓄圧器。
【請求項11】
望ましくない流体を検出すると共に、該流体の発生を異常として光学的に表示するための監視装置(46)であって、流体で濡らすことができると共に、流体で濡らすと光学特性が認識可能に変化する指示薬と、前記指示薬を観察できる覗き窓(54)と、を備えている前記監視装置において、
光学特性を変化させる前記指示薬は、カプセル(48)内に収容されており、前記カプセルの壁部(50)は、流体の通過に対して透過可能であり、かつ、前記覗き窓(54)を通して観察することを許容する位置に配置されて
おり、
前記カプセル(48)は、前記指示薬を、その内部に収容し、かつ、少なくとも1つの流体透過性保護層(72、74)の間に収容された、パッド(60)を有し、
前記カプセル(48)の上側カプセルシェル(68)の通路(82)から流出する、流体に溶解及び/又は分散した指示薬を収容する目的で、前記カプセル(48)は、前記覗き窓(54)へ向かって突出している、全周に沿ったタブ縁部(76)を有しており、かつ、下側カプセルシェル(66)に設けた通路(80)によって、前記パッド(60)を収容した前記カプセル(48)内に、流体が、流入することが可能となる、ことを特徴とする監視装置(46)。
【請求項12】
請求項11に記載の監視装置(46)用のカプセル
、請求項1から請求項10の何れか1項に記載の蓄圧器に使用するための前記カプセルにおいて、
前記カプセル(48)は、その内部に、前記指示薬を収容するパッド(60)を有すること、かつ、前記カプセルの壁部(50)は、検出すべき流体が通過に対して透過可能である、ことを特徴とするカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動分離要素が作動ガスで満たされた気体室を、流体室から互いに流体密に分離している蓄圧器ハウジングを備えた蓄圧器(Druckspeicher, pressure accumulator)であって、分離要素の密封効果を損ねる異常時に、視覚的に認識可能な表示を提供する監視装置が設けられており、監視装置は、指示薬を観察できる覗き窓を有しており、指示薬は、気体室と連通していて、その光学特性は、流体で濡れると認識可能に変化する、蓄圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような蓄圧器は、例えば、特許文献1から知られている。監視装置により、蓄圧器をシステムから取り外して外部機能テストを行うことなく、システムの作動中に蓄圧器の機能をチェックする機能を許容する。濡れていない状態では、白色で、異なる種類の流体で濡れると視覚的に認識可能に変色する、サンプル量の特殊なガラス繊維ウールが指示薬として設けられていることが有利である。ガラス繊維ウールは、覗き窓を有するねじ挿入部と孔の内側端部にあるスクリーン体との間で、ハウジングの壁を通って気体室に通じる孔内に配置されている。この公知の解決策は、異常が表示された後の指示薬の良好な認識可能性の点で、並びに単純化された取り扱いと省スペース構造に関して改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、監視装置の一部としての、指示薬の認識可能性及び取り扱いを単純化すると共に、省スペース構造を許容することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、特許請求項1の特徴を、その全体において有する蓄圧器によって解決される。本発明による蓄圧器は、光学特性を変化させる指示薬がカプセル内に収容されており、そのカプセルの壁部は、流体の通路が透過可能であり、覗き窓と分離要素との間において、蓄圧器ハウジング内に配置されていることを特徴とする。上記の課題は、さらに、請求項11の特徴を、その全体において有する監視装置によって解決される。
【0006】
指示薬をカプセル内に収容することによって、単純で省スペースに保管及び輸送できるコンパクトな構成部材が提供される。監視装置へのカプセルの取り付け、取り外し、及び可能な交換は、それぞれ数ステップで実施可能である。カプセルは、覗き窓と分離要素との間において、蓄圧器ハウジングに対して可動又は不動に配置されている。これにより、内部に指示薬が収容されたカプセルの全高が低いため、監視装置全体の省スペース構造が可能になる。カプセルは、有利なことには、検出すべき流体が通過するための可能な限り最大のカプセルの壁部を備えた平坦な基本形状を有する。カプセルは、有利なことには、蓄圧器ハウジングの貫通孔内に配置するために、円形の基本形状を有する。実用試験において、カプセル構造は、グラスウールを使用した公知の解決策と比較して良好な指示薬の認識可能性が改善されることが示された。
【0007】
本発明による蓄圧器の好ましい実施形態では、カプセルはその内部に、指示薬を収容すると共に、少なくとも1つの流体透過性保護層の間に収容されたパッド(クッション)を有する。少なくとも1つの保護層によって、カプセルの内壁と接触することによって起こり得るパッドの損傷が効果的に防止される。カプセルは、好ましくは、フリースから形成されたパッドを、有利なことには、ほとんど間隔なく包囲している。この点において、それぞれの保護層は、パッドが意図せずカプセルから排出されることも防ぐ。
【0008】
本発明による蓄圧器のもう1つの好ましい実施形態では、カプセルは、流体に溶解、及び/又は、分散した指示薬を収容する目的で覗き窓に向かって突出する全周に延びるタブ縁部を有しており、この指示薬は、カプセルの上側カプセルシェルの通路から流出し、さらに下側カプセルシェルに設けた通路により、流体が、パッドを収容したカプセル内に流入することを許容する。内部にカプセルが配置された、監視装置に流入した流体は、下側カプセルシェルを通過した後にパッドに到達し、上側カプセルシェルを通過した後に隣接する収容タブに到達して、機能的に確実な動作を許容する。
【0009】
指示薬との反応によって、異常が検出されるとすぐに、上側カプセルシェルから流出する流体は、液体で濡れると変化する指示薬の光学特性に対応する色を有する。ここで、有利なことは、高い明度を有すると共に、操作者が覗き窓を通して容易に認識できる信号色である。この場合に考慮する必要があるのは、蓄圧器ハウジングの内部が照らされていないことであり、このため、内部に指示薬が収容されたカプセルは、好ましくは、空間的に覗き窓に近く配置されている。これによって、異常が発生した場合に、信号を観察するために、外部からの入射光を利用することが可能になる。
【0010】
本発明による蓄圧器の好ましい実施形態では、カプセルのタブ縁部は、下側カプセルシェルの側縁部から形成されており、当該側縁部は、上側カプセルシェルを越えて、軸方向に突出して、収容タブを形成している。覗き窓へ向かって突出しているタブ縁部は、一方では、カプセルの上側カプセルシェルから流出する流体用のスペースである、タブを閉じ、他方では、流体の観察を許容する、透明なカバーを支持することを許容する。覗き窓を、カプセルのタブ縁部に直接隣接して配置することも考えられる。上側カプセルシェルを越えて軸方向に突出する下側カプセルシェルは、上側カプセルシェルを全外縁部に沿ってクリップの方式で包囲し、さらに好ましくは、両カプセルシェルを互いに確実に隣接させるために使用される。上記のカバーとタブとは、指示物質が、監視装置から意図せず揮発するのを防止する。
【0011】
もう1つの有利な点は、収容タブの上に、透明に保たれると共に、覗き窓から少なくともタブの内容物が見えるようにされている、蓋部材が、架け渡されていることである。指示薬から出て、カプセルからタブ内へ流入する流体は、蓋部材、及び、例えば、信号色を形成する色の急変を異常に対する信号として認識できる、光学特性の変化、を通して監視することができる。
【0012】
蓋部材は、特に好ましくは、プリズム特性、コーティング又は拡大などの光学特性を備えている。蓋部材の光学特性は、蓋部材を通してタブの内容物を観察することを容易にするための、要件に従って選択される。拡大に加えて、特に、コントラストの強化は、流体の光学特性の変化を認識するために有利であり、場合によっては、コーティングもこれに寄与する。
【0013】
本発明による蓄圧器の好ましい実施形態では、覗き窓は、蓄圧器ハウジングの蓋側終端部内に設けられていて、外から監視装置の中心構成部材であるカプセルを見ることを許容するゲージガラスから形成されている。覗き窓は、蓄圧器ハウジング又は端部内に設けた孔の外側端部に、特に、好ましくは、孔の雌ねじに、ねじ込まれる又は接着されて配置される。
【0014】
本発明による蓄圧器のさらに好ましい実施態様では、蓋部材と、指示薬パッドを収容するカプセルとは、分離要素の側から蓄圧器ハウジングの蓋状終端部内に挿入可能とされており、特に、ねじ挿入部によって、所定の位置に保持されている、スクリーン体によって保持されている。このようにして、監視装置の個々の構成要素は、終端部内に設けた孔の内部などの設置スペースに、簡単かつコンパクトに挿入できる。特に好ましくは、スクリーン体の位置を固定するために、ねじ挿入部が、孔の下側端部に配置されている。これらの構成要素は、好ましくは、孔の対称軸に対して回転対称に形成されると共に配置されている。孔の軸方向延長に沿って外側から内側に向かって順番に、覗き窓、蓋部材、指示薬を有するカプセル、及び、スクリーン体が、配置されている。スクリーン体は、指示薬パッドを収容するカプセルを、検出すべき媒体の流体が通過することを許容する。スクリーン体の代わりに、流体透過性膜部材を使用することもできる。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施形態では、指示薬は流体と接触すると、中性色から出発して目に見える色の急変に至って信号色を形成し、当該指示薬は(ジエチルアミノ)ベンゾ[a]フェノキサジンの物質群から選択されている。色が中性色から中性色とは明確な色のコントラストがある信号色に急変することによって、監視装置によって検出される、異常に対する警告信号が生成される。例えば、白から赤、緑又は青への色の急変が起こり得る。色が、信号効果のある目立つ色に急変するため、化学指示薬によって表示される異常を操作者が見逃すことはほとんどない。特に好ましくは、化学指示薬の分子式は、C20H18N2O2である。この「ナイルレッド」という化学名も有する反応薬は、検出すべき指定された媒体と反応すると、見過ごすことのない赤の信号色を生成する。
【0016】
さらに、指示薬用のパッドがフリース、好ましくはガラス繊維フリース又はガラス繊維布、特に、ガラスシルク布であることが、有利である。フリース(不織布)又は脱脂綿は通常中性色の白色であるため、「ナイルレッド」又はこれに類する化学指示薬を使用すると、赤の信号色を形成して良く見える色の変化が保証される。さらに、パッドは、フリース又はガラス繊維布から容易に、特に、廉価に製造することができる。
【0017】
本発明は、さらに、望ましくない流体を検出し、この流体の発生を異常として光学的に表示するための監視装置であって、流体で濡らすことができると共に、流体で濡らすと光学特性が認識可能に変化する指示薬と、指示薬を観察できる覗き窓と、を備えている監視装置に関する。本発明による監視装置は、光学特性を変化させる指示薬がカプセル内に収容されており、そのカプセルの壁部は、流体の通過に対して透過可能であり、表示窓を通して観察することを可能にする位置に配置されていることを特徴とする。この監視装置は、好ましくは、可動分離要素が、作動ガスで満たされた気体室を、流体室から互いに流体密に分離すると共に、分離要素の密封効果を監視するために使用される、蓄圧器ハウジングを備えた蓄圧器で使用される。本発明による監視装置の使用範囲は限定されておらず、構成部材内に収容された又はその中を案内される流体を検出するために、構成部材の極めて多様な取り付け場所に配置することができる。本発明は、また、特に、そのような監視装置のための、好ましい交換可能なカプセルに関する。
【0018】
本発明のさらなる利点及び特徴は、図及び以下の図面の説明から明らかになる。上述の特徴及び以下に述べる特徴は、本発明に従い、それぞれ単独で又は任意に組み合わせた、本発明による蓄圧器又は本発明による監視装置及びカプセルによって実現することができる。図示された特徴は、単に模式的であり、縮尺通りではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明による蓄圧器の実施例の断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の蓄圧器内に配置された監視装置の拡大図である。
【
図3】
図3は、指示薬パッドが収納されたカプセルの構造を可視化するために、本発明による例示的な監視装置の部分領域を拡大して示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、可動分離要素16を介して互いに流体密に分離されている、作動ガスで満たされた気体室12と、流体室14と、を備えた蓄圧器ハウジング10を有する蓄圧器の断面図を示す。回転軸心Rに対して回転対称に形成された、蓄圧器の蓄圧器ハウジング10は、蓋側終端部18と、底部21を備えた管状円筒形主部20と、を有する。終端部18と主部20とは、全周に延びる幅の狭い固定面22において、互いに溶接されている。気体室12は、蓄圧器ハウジング10の終端部18と関連する部分に配置されている。終端部18と主部20とを接続している領域に、水平な第1セクション26と、流体室14に向けられた垂直な第2セクション28と、を有する、環状挿入部24が設けられている。
【0021】
垂直方向は、蓄圧器の回転軸心Rによって指定されている。第1セクション26は、ベローズ(bellows)として形成された分離要素16の上側固定部を形成している。分離要素16の下端部は、プレート部材30に固定されており、プレート部材30は、蓄圧器の内部において可動に配置されており、蓄圧器ハウジング10の内部断面に対応する円形断面を有する。
図1に示された蓄圧器が、使用されていない状態では、分離要素16は、軸方向で最大に延長されており、プレート部材30は、蓄圧器ハウジング10の底部21の近傍に配置されている。プレート部材30は、プレート部材30の縁部32で中央主部よりも、わずかに厚くなっている。縁部32には、蓄圧器ハウジング10の内壁に向けられた複数のガイド部34が形成されており、蓄圧器内のプレート部材30の円滑な軸方向移動を容易にする。
【0022】
蓄圧器ハウジング10の底部21には、突起状の接続体36が隣接しており、その中に流体室14へ開口する流体接続部38が形成されている。流体接続部38を、
図1に示されていない、ねじ蓋で閉じるために、接続体36の下端部には、雄ねじ40が形成されており、雄ねじ40は、他にも、ベローズ型蓄圧器を接続できる流体管(図示せず)を接続するために用いられる。蓄圧器ハウジング10の蓋側終端部18には、気体室12を充填するために、接続金具42で気密に閉鎖された充填接続部44が、回転軸心Rからずらして形成されている。
【0023】
蓄圧器の中心的な構成要素は、監視装置46であり、監視装置46は、蓄圧器ハウジング10の内部に突出している蓋側終端部18の突出部の内部に対称軸Rに対して回転対称に導入されている。監視装置46は、分離要素16の密封効果を損なう異常が発生して、流体室14から気体室12に流体が流れた場合に、認識可能な光学的表示を提供する。この目的のために、監視装置46は、カプセル48内に収容された指示薬を有しており、指示薬は、気体室12が、望ましくない流体で濡れると、その光学特性を認識可能に変化させる。カプセル壁部50は、流体が通過するために透過可能に形成されている。
【0024】
指示薬とその光学特性の変化を観察するために、終端部18の貫通孔52内に配置された監視装置46の外側端部に覗き窓46が配置されている。覗き窓54は、好ましくは、飛散防止のゲージガラスから形成されており、カプセル48を外から見えるようにする。カプセル48の位置を固定するために、分離要素16と関連する監視装置46の内側端部にスクリーン体56が配置されており、スクリーン体56は、分離要素16の側から蓋状終端部18に挿入され、ねじ挿入部58によって保持されている。光学特性を変化させる指示薬を収容するカプセル48は、覗き窓54と蓄圧器ハウジング10内の分離要素16との間に配置されて、スクリーン体56によってその位置に保持されている。
【0025】
図2は、
図1の、覗き窓54、カプセル48、及び、ねじ挿入部58を有するスクリーン体56を有する監視装置46を、円形部分Kに対応して拡大して示す。
図2は、カプセル48が、その内部に平坦なパッド60(クッション)を収容し、パッド60は、また、指示薬を収容していることを示しており、パッド60は、フリース、好ましくは、ガラス繊維フリース、又は、ガラス布、特に、ガラスシルク布とされている。指示薬は、パッド60に収容された反応薬であり、流体と接触すると光学特性を変化させ、好ましくは中性色から始まり、信号色を形成する視認可能な色の急変をもたらす。指示薬は、好ましくは(ジエチルアミノ)ベンゾ[a]フェノキサジンの群から選択されており、それによって、色は、信号色を赤に急変する。パッド60と検出すべき流体との接触及び指示薬の検出すべき流体との反応を可能にするために、カプセル壁部50は、流体が通過するための通路80、82(
図3参照)を備えている。
【0026】
カプセル48の上方側には、パッド60の上側から流出する流体のための収容タブ62が形成されている。収容タブ62の上には、上向きに湾曲した蓋部材64が架け渡されてされており、蓋部材64は、透明に保たれており、覗き窓54から少なくともタブの内容物を見ることを許容する。蓋部材64は、プリズム特性、コーティング又は拡大といった、光学特性を備えている。これにより、カプセル58の上側で光学的に変化した、好ましくは変色した流体を、簡単かつ信頼性をもって観察することを許容するが、これは、分離要素16の欠陥に基づく異常を示している。色が信号色へ急変することは、日光の下でも覗き窓54を通してはっきりと観察することができる。監視装置46は、作動の進行中及び保守中に、蓄圧器ハウジング10内に配置された、分離要素16の非破壊的で工具不要の目視検査を許容する。特に、カプセル48の上部領域にタブを形成することによって、指示薬表面は大幅に拡大され、これによって、色の急変の認識可能性は公知の解決策と比較して改善される。
【0027】
図3は、カプセル48の構成を、特に、本発明による監視装置46の一部として詳細に示しており、監視装置46は、例えば、終端部18又は別の種類の構成部材の貫通孔52内で、スクリーン体56によって位置固定に保持されている。カプセル48は、下側カプセルシェル66と、上側カプセルシェル68と、を有しており、これらは、カプセル48の中央主部において、互いに平行に配置されており、パッド60を包囲すると共に、縁部領域70で互いに当接している。縁部領域70では、2つのカプセルシェル66、68は、それらの間に下側流体透過性保護層72と、上側流体透過性保護層74と、を固定している。両流体透過性保護層72、74の間に、パッド60が配置されている。下側カプセルシェル66は、上側カプセルシェル68よりも幅が広くなっており、その側縁部が上方側へ曲げられている。このようにして、下側カプセルシェル66は、上側カプセルシェル68を越えて突出し、収容タブ62を形成する。下側カプセルシェル68の側縁部は、タブ縁部76を形成し、これは収容タブ62の上方側に架け渡される蓋部材64に対する支持体として機能する。蓋部材64に隣接して覗き窓54があるが、蓋部材64と覗き窓54との間には狭い隙間78が残っている。隙間78をなくして、覗き窓54を蓋部材64に面状に当接するように配置することも考えられる。さらに、蓋部材64によって設けられる光学特性を、覗き窓54に組み込むこと、例えば、カプセル48と関連する下側にコーティングを設け、覗き窓54を、直接タブ縁部76上に配置することも考えられる。
【0028】
2つのカプセルシェル66、68内には、それぞれ多数の通路80、82が形成されており、これらは、それぞれ指示薬の有無にかかわらず流体が通過することを許容する。異常が発生した場合、流体は、例えば、気体室12(
図1参照)から来てスクリーン体56を通ってカプセル48に到達する。流体は、下側カプセルシェル66内の通路80と下側流体透過性保護層72とを通過して指示薬を収容したパッド60に到達する。流体は指示薬と反応することにより、その光学特性を変化させ、有利なことには、赤などの信号色を有する。流体は、パッド60からさらに広がって、上側流体透過性保護層74と上側カプセルシェル68内の別の通路82を通って、収容タブ62に到達する。タブの内容物である変色した流体は、観察者によって透明な覗き窓54及び透明に保たれた蓋部材64を通じて、異常に対する信号として明確に認識される。
【0029】
本発明による解決策は、ベローズ型蓄圧器の使用に限定されず、例えば、可動分離要素が気体作動室を流体室から分離するピストン型蓄圧器、ブラダ型蓄圧器、ダイアフラム型蓄圧器など、あらゆるタイプの蓄圧器に使用できる。