(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】設備棚
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20230705BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20230705BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
H05K7/20 G
H05K7/20 H
H05K7/18 K
G06F1/20 B
G06F1/20 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021112481
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2021-09-08
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521227078
【氏名又は名称】アステック インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハトル,アンジェリト
(72)【発明者】
【氏名】パスコ,ベニオ,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】スコット,イアン
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-74618(JP,A)
【文献】特開2000-261172(JP,A)
【文献】特開2009-135262(JP,A)
【文献】特開2017-153190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H05K 7/18
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器棚であって、
前記機器棚の上部領域に配置された少なくとも1つの電源ユニット(PSU)と、
前記機器棚の下部領域に配置された少なくとも1つのバッテリバックアップユニット(BBU)と、
前記上部領域と前記下部領域との間を、前記機器棚を通って延びる空気流路とを備え、
前記空気流路は、前記機器棚の前記上部領域を、前記機器棚の前記下部領域から分離し、空気が前記空気流路を通って流れるときに、前記上部領域内の前記少なくとも1つのPSUを、前記下部領域内の前記少なくとも1つのBBUから熱的に分離
し、
前記少なくとも1つのPSUは、当該少なくとも1つのPSUの内部にある第1の組の電子機器を冷却するための内部ファンを含み、
前記少なくとも1つのPSUの底面は、前記内部ファンに隣接して配置された通気口を含み、それにより、前記第1の組の電子機器を冷却するために使用される前記空気の一部が、前記空気流路を通って流れるように迂回される、
機器棚。
【請求項2】
前記上部領域内の少なくとも第1のプレートと前記下部領域内の第2のプレートとを含む筐体をさらに備える、請求項1に記載の機器棚。
【請求項3】
前記空気流路は、
第1のプレートおよび第2のプレートによって少なくとも部分的に画定される、請求項1に記載の機器棚。
【請求項4】
前記少なくとも1つのPSUは、前記第1のプレートに結合され、
前記少なくとも1つのBBUは、前記第2のプレートに結合される、請求項
3に記載の機器棚。
【請求項5】
第1のプレートは、前記迂回された空気を前記少なくとも1つのPSUから前記空気流路内に導くための少なくとも1つの開口部を含む、請求項
1に記載の機器棚。
【請求項6】
電源棚であって、
複数の上部レセプタクルおよび複数の下部レセプタクルを有する筐体と、
前記複数の上部レセプタクル内に配置された複数の電源ユニット(PSU)と、
前記複数の下部レセプタクル内に配置された複数のバッテリバックアップユニット(BBU)と、
前記複数のPSUと前記複数のBBUとの間の空気流領域とを備え
、
前記複数のPSUのそれぞれは、
前記PSUの内部にある第1の組の電子機器と、
前記第1の組の電子機器を空気で冷却する内部ファンと、
前記内部ファンに隣接して配置された通気口を含み、それにより、前記第1の組の電子機器を冷却するために使用される前記空気の一部が、前記空気流領域を通って流れるように迂回される、底面と、を備える、
電源棚。
【請求項7】
前記空気流領域は、前記複数の下部レセプタクルの上面、および前記複数の上部レセプタクルの底面によって少なくとも部分的に画定される、請求項
6に記載の電源棚。
【請求項8】
前記筐体は、等しい数の前記上部レセプタクルおよび前記下部レセプタクルを含む、請求項
6に記載の電源棚。
【請求項9】
前記空気流領域は、複数のチャネルを備え、各チャネルは、前記複数のPSUのうちの1つと前記複数のBBUのうちの1つとのペアに対応する、請求項
6に記載の電源棚。
【請求項10】
前記複数のチャネルは、実質的に平行であり、同じ方向に前記棚を通る空気流を可能にする、請求項
9に記載の電源棚。
【請求項11】
前記空気流領域に結合され、前記空気流領域を通る空気流を可能にするように構成された少なくとも1つのファンをさらに備える、請求項8に記載の電源棚。
【請求項12】
前記ファンは、前記電源棚の端部に配置され、前記電源棚の反対側の端部から前記空気流領域に空気を引き込む、請求項
6に記載の電源棚。
【請求項13】
ラックマウント型機器棚であって、
電子機器を収容するための少なくとも1つのレセプタクルを有する筐体と、
前記少なくとも1つのレセプタクル内に配置され
、少なくとも1つの電源ユニット(PSU)を備える、電子機器と、
前記筐体に結合されたチャネルと、
前記チャネルを通って空気を引き込むために前記チャネルに結合された少なくとも1つのファンであって、それにより、前記チャネルを通って引き込まれた前記空気が、前記電子機器および/または前記棚を所望の温度に維持する、少なくとも1つのファンとを備え、
前記少なくとも1つのPSUは、
第1の組の内部の電子機器と、
前記第1の組の内部の電子機器を空気で冷却する内部ファンと、
前記内部ファンに隣接して配置された通気口を含み、それにより、前記第1の組の内部の電子機器を冷却するために使用される前記空気の一部が、前記チャネルを通って流れるように迂回される、底面と、を備える、
ラックマウント型機器棚。
【請求項14】
前記電子機器は、少なくとも1つのバッテリバックアップユニット(BBU)を含む、請求項
13に記載のラックマウント型機器棚。
【請求項15】
前記チャネルは、前記筐体の上面に結合される、請求項
13に記載のラックマウント型機器棚。
【請求項16】
前記チャネルは、前記筐体の下面に結合される、請求項
13に記載のラックマウント型機器棚。
【請求項17】
前記少なくとも1つのレセプタクルは、複数の上部レセプタクルおよび複数の下部レセプタクルを含み、
前記チャネルは、前記複数の上部レセプタクルと前記複数の下部レセプタクルとの間に配置される、請求項
13に記載のラックマウント型機器棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月1日に出願された米国仮特許出願第63/032,864号の利益を主張する。上記出願の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、機器棚に関し、特に、格納される機器の熱性能を向上させることができる機器棚に関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションは、必ずしも従来技術ではない本開示に関連する背景情報を提供する。
【0004】
様々な電子機器は、一般に、電子機器の動作および使用中に電子機器をコンパクトに収容するために、たとえばデータセンタのラックに取り付けられる。電子機器は、ラックに搭載される棚に含まれ得る。いくつかの電子機器は、動作中に熱を発生することが知られており、いくつかの電子機器は、特定の温度条件下でより良好に機能するように感温性であることが知られている。
【発明の概要】
【0005】
このセクションは、本開示の一般的な概要を提供し、その全範囲またはその特徴のすべての包括的な開示ではない。
【0006】
本開示の1つの態様によれば、機器棚は、機器棚の上部領域に配置された少なくとも1つの電源ユニット(PSU)を含む。機器棚はまた、機器棚の下部領域に配置された少なくとも1つのバッテリバックアップユニット(BBU)を含む。空気流路は、上部領域と下部領域との間で機器棚を通って延びる。空気流路は、機器棚の上部領域を機器棚の下部領域から分離し、空気が空気流路を通って流れるときに、上部領域内の少なくとも1つのPSUを、下部領域内の少なくとも1つのBBUから熱的に分離する。
【0007】
本開示の別の態様によれば、電源棚は、複数の上部レセプタクルおよび複数の下部レセプタクルを有する筐体を含む。電源棚はまた、複数の上部レセプタクル内に配置された複数の電源ユニット(PSU)と、複数の下部レセプタクル内に配置された複数のバッテリバックアップユニット(BBU)とを含む。電源棚はまた、複数のPSUと複数のBBUとの間の空気流領域を含む。
【0008】
本開示の別の態様によれば、ラックマウント型機器棚は、電子機器を収容するための少なくとも1つのレセプタクルを有する筐体を含む。機器棚はまた、少なくとも1つのレセプタクル内に配置された電子機器を含む。チャネルが筐体に結合され、少なくとも1つのファンがチャネルに結合されてチャネルを通って空気を引き込み、それによってチャネルを通って引き込まれた空気は、電子機器および/または棚を所望の温度に維持する。
【0009】
さらなる態様および適用可能な領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。本開示の様々な態様は、個別に、または1つもしくは複数の他の態様と組み合わせて実現され得ることを理解されたい。本明細書の説明および特定の例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していないことも理解されたい。
【0010】
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態の例示のみを目的としており、すべての可能な実現ではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ラックマウント型機器棚の一例の側面図である。
【
図8】動作中に
図7A~
図6Bのラックマウント型機器棚を通る空気流を示す概略フロー図である。
【
図9】
図1のラックマウント型機器棚の機器のギャップサイズに対する温度を示すグラフである。
【
図10】複数の動作モード中、
図1の機器棚に含まれる特定の特徴のない機器棚内の機器の温度を示すグラフである。
【
図11】複数の動作モード中の
図1の機器棚内の機器の温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
対応する参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分または特徴を示す。ここで、添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより完全に説明する。
【0013】
例示的な実施形態は、本開示が網羅的であり、当業者に範囲を十分に伝えるように提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、デバイス、および方法の例など、多数の特定の詳細が記載される。特定の詳細を採用する必要がないこと、例示的な実施形態を多くの異なる形態で具体化することができること、およびいずれも本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、および周知の技術は詳細には説明されない。
【0014】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図され得る。「備える」、「備えている」、「含んでいる」、および「有している」という用語は包括的であり、したがって、記載された特徴、完全体、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書で説明される方法ステップ、プロセス、および動作は、実行の順序として具体的に特定されない限り、必ずしも説明または図示された特定の順序でそれらの実行を必要とすると解釈されるべきではない。追加のまたは代替のステップが使用されてもよいことも理解されたい。
【0015】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層および/または部分を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層および/または部分は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層または部分を別の領域、層または部分と区別するためにのみ使用され得る。「第1」、「第2」などの用語、および他の数値用語は、本明細書で使用される場合、文脈によって明確に示されない限り、シーケンスまたは順序を意味しない。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、層または部分は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層または部分と呼ぶことができる。
【0016】
「内側」、「外側」、「真下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、図に示すように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる向きを包含することが意図され得る。たとえば、図中のデバイスが反転された場合、他の要素または特徴を「下方」または「真下」と記載された要素は、他の要素または特徴の「上方」を向くであろう。したがって、例示的な用語「下方」は、上方および下方の両方の向きを包含することができる。デバイスは、他の方向に向けられ(90度または他の向きに回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0017】
本開示の1つの例示的な実施形態による機器棚が
図1に示され、全体として参照番号100で示される。機器棚100は、機器棚100内の電子機器を支持および/または収容するための筐体102を含む。電子機器は、発熱機器(たとえば、高い熱損失密度および高い動作温度を有する電子機器)および/または感熱機器(たとえば、性能が温度の影響を受ける電子機器(たとえば、精密制御デバイス、測定デバイス、バッテリデバイスなど))などの種々の電子機器を含む。筐体102は、電子機器の動作および使用中に電子機器を支持および/または収容するように構成される。
【0018】
図1に示すように、機器棚100は、発熱機器と感温機器との両方を含む。他の実施形態では、機器棚は、発熱機器のみ、または感温機器のみを含み得る。図示の実施形態では、機器棚100は電源棚として構成される。
図1に示すように、機器棚100内には、電源ユニット(PSU)104およびバッテリバックアップユニット(BBU)106が含まれる。
図1では、1つのPSU104および1つのBBU106のみが示されているが、機器棚100は、複数のPSU104および複数のBBU106を含み得る。いくつかの実施形態では、機器棚100は、等しい数のPSU104およびBBU(たとえば、6つのPSU104および6つのBBU106、3つのPSU104および3つのBBU106など)を含む。PSU104は、動作中に筐体102内で発熱し、高い熱損失密度および高い動作温度を有するので、PSU104は、発熱機器の一例である。BBU106は、動作中に温度(たとえば、高温)に敏感な機器である。たとえば、温度は、性能およびバッテリ寿命などのバッテリの機能性に影響を及ぼすBBUにとって重要なパラメータである。
【0019】
図1に示すように、PSU104は、機器棚100の上部領域108に含まれ、BBU106は、機器棚100の下部領域110に含まれる。代替の実施形態では、PSU104は下部領域110内に配置され、BBU106は上部領域108内に配置される。一般に、発熱機器は、いずれの感温機器とも異なる機器棚100の別の領域に含まれる。
【0020】
上部領域108に含まれる電子機器を支持するために、機器棚100の筐体102は、上部領域108に仕切板または支持プレート112を含む。支持プレート112は、一般に、機器棚100の中央平面に沿って機器棚100を分割する。機器棚100の上部領域108内の機器は、筐体102の支持プレート112上に配置され得る。図示の実施形態では、PSU104は、上部領域108内に配置され、支持プレート112に結合される。
【0021】
機器棚100は、移動する空気が機器棚100を通って流れることを可能にする空気流領域114(たとえば、チャネル、ギャップなど)を含む。空気流領域114は、機器棚100の上部領域108と下部領域110との間に位置する。このように、空気流領域114を移動する空気は、上部領域108に含まれる機器(たとえば、1つまたは複数のPSU104)と、下部領域110に含まれる機器(たとえば、1つまたは複数のBBU108)とを熱的に絶縁する。たとえば、空気流領域114は、発熱機器(たとえば、PSU104)を感温機器(たとえば、BBU106)から熱的に絶縁する。
【0022】
空気流領域114は、上部領域108の支持プレート112と、筐体102内にBBU106を保持するように構成された二次プレート116とによって画定され、それらの間を垂直に延びる。いくつかの実施形態では、空気流領域114が支持プレート112およびBBU106の上面によって画定されるように、二次プレート116は省略される。これらの実施形態では、BBU106を筐体102内に保持するための他の特徴が含まれ得る。
【0023】
空気流領域114の高さhは、一般に、空気が空気流領域114を通って流れることを可能にし、上部領域108の機器を下部領域110の機器から熱的に絶縁するようなサイズにされる。高さhは、機器棚100に含まれる機器、そのような機器の動作条件/パラメータ、機器棚全体の高さ要件、周囲温度などの環境要因などに基づいて調整され得る。空気流領域114のサイズの考慮事項については、以下でより詳細に説明する。
【0024】
図1に示すように、空気流領域114は、一般に、機器棚100の中央平面を通って、機器棚100内の少なくとも機器の長さ(たとえば、PSU104およびBBU106)に沿って水平に延びる。例示的な実施形態では、空気流領域114は、下部領域110内の機器のサイズのために、機器棚100の中心の上方に配置される。理解できるように、空気流領域114は、上部領域108および下部領域110の機器のサイズに応じて、より高くまたはより低く(たとえば、筐体102の底部(たとえば、
図4に示す底部プレート136)に対して)調整され得る。このようにして、空気流領域114は、上部領域108(たとえば、PSU104)における機器と、下部領域110(たとえば、BBU106)における機器との間を通過する機器棚100の中央平面をほぼ通って延び、それによって、移動する空気(たとえば、周囲空気)が、上部領域108と下部領域110との間を通過して、2つの領域を熱的に絶縁する。
【0025】
また、機器棚100は、少なくとも1つのファン118を備える。
図2に示すように、機器棚100は、2つのファン118を備える。いくつかの実施形態では、より多いまたはより少ない数のファン118が機器棚100に含まれ得る。図示の実施形態では、ファン118は、一般に、空気流領域114に結合され(たとえば、間接的に結合され)、機器棚100の第1の端部120(たとえば、後端部)で機器棚100に取り付けられる。ファン118は、機器棚100の第2の端部122(たとえば、前端部)から空気流領域114を通じて空気を引き出すように構成される。代替の実施形態では、1つまたは複数のファン118は、機器棚100の上または中の他の位置に(たとえば、筐体102の前端部122において)配置されてもよく、および/またはラック(図示せず)に設けられてもよい。ファン118によって空気流領域114に引き込まれる空気は、一般に周囲温度である。この周囲温度は、機器棚100内に含まれる発熱PSU104の温度と比較して比較的低温である。周囲温度が空気流領域114を通過すると、流れる空気は上部領域108,下部領域110を熱的に絶縁し、一般に、(たとえば、空気流領域114の境界または縁部において)空気流領域114を画定する任意の構造または機器の温度を低下させる。このようにして、一般的な方式で機器棚100を冷却するのではなく、この実施形態に含まれるファン118は、機器棚100内に含まれる機器の部分を熱的に結合解除する(たとえば、発熱機器が感熱機器から切り離される)ために、機器棚100の空気流領域114を通る指向性空気流を生成する。
【0026】
引き続き
図1を参照すると、矢印124は、一般に、機器棚100を通って(たとえば、空気流領域114および機器棚100の後部126を通って)流れる空気の経路を示す。
図1に示すように、空気流領域114を流れる空気は、矢印124に示すように、機器棚100を通る単一の経路を辿る。たとえば、空気は、機器棚100の前端部122から空気流領域114を通って機器棚100の後部126(たとえば、PSU104およびBBU106の後ろの機器棚100の領域)に流れ、そこで空気は、ファン118によって引き出されるときに機器棚100の後端部120から流出する。理解されるように、空気流領域114を通って移動する周囲空気は、下部領域110内のBBU106を上部領域108内のPSU104による加熱から断熱することを可能にし、したがってBBU106がより低い温度で動作することを可能にし、BBU106の性能を向上させる。
【0027】
図示の実施形態では、空気が機器棚100を通って複数の異なる方向に(たとえば、複数の異なる経路に沿って)流れることを可能にするのではなく、空気流領域114は、一般に、空気が機器棚100のより低い温度すなわち冷温側から、機器棚100のより高い温度すなわち高温側へ(たとえば、前端部122から後端部120へ)単一方向に機器棚100を通過することを可能にする。代替の実施形態では、空気流領域114は、(たとえば、後端部120が機器棚100の低温側であり、前端部122が高温側である場合)空気が機器棚100を後端部120から前端部122まで通過することを可能にし得る。(たとえば、矢印124で示すように)単一の空気流路の使用は、機器棚100の設計を単純化するとともに、機器棚100の空気流インピーダンスを最小化する。空気流インピーダンスを(たとえば、単一の空気流路を利用することによって)最小化することにより、所与のファンに対して最大空気流が達成される。さらに、(たとえば、矢印124に示すように)単一の空気流路は、最小化された空気流インピーダンスに起因して、所与の空気流に対してより静かで、より低速で、より安価なファンなどの使用を可能にする。たとえば、複数の経路によって引き起こされる空気流インピーダンスの増加のために、複数の空気流路が機器棚に含まれる場合、より強力で、より大きい、および/またはより高価なファン(または複数のファン)が必要とされる。
【0028】
図1および
図2に示すように、機器棚100は、(たとえば、空気流領域114を出る空気を、後部126を通って機器棚100の後端部120に向かって案内するために)機器棚100を通って移動する空気の経路をさらに画定するための1つまたは複数のバッフル128,130を含む。バッフル128,130は、空気流領域114を出る空気から上部領域108内の機器によって排出された空気の混合を制限および/または抑制する。上部領域108に発熱機器(たとえば、1つまたは複数のPSU104)が含まれる場合、そのような機器は、一般に機器から排出される熱を発生する。この排出された高温空気が、空気流領域108を通って引き込まれた空気(たとえば、周囲空気)と混合するのを防ぐために、バッフル128および130は、PSU104とファン118との間の任意の空気流を遮断するように配置される。
【0029】
一般に、バッフル128および130は、機器棚100の上部領域108と、空気流領域114との間に配置され、上部領域108を、空気流領域114(たとえば、空気流領域を出る空気)から分離する。バッフル128,120は、機器棚100の後部126(たとえば、機器棚100におけるPSU104およびBBU106の後ろ)内に配置される。例示的な実施形態では、バッフル128は、機器棚100の後端部120に向かって筐体102の支持プレート112に結合され、バッフル130は、ファン118の上方の機器棚100の後端部120で機器棚100に結合される。このようにして、バッフル123,130は、PSU104とファン118との間の空気流を遮断するように配置される。バッフル128,130はまた、機器棚100の後部126に含まれる他の電子機器(たとえば、バックプレーンPCB)に対してシールして、空気流の混合を抑制することができる。他の実施形態では、より多いまたはより少ない数のバッフルを使用して、同様または異なる構成で配置して、PSU排気が空気流領域114を通って引き込まれる周囲空気と混合するのを防ぐことができる。
【0030】
しかしながら、いくつかの実施形態では、バッフル128および130は、機器棚100に含まれない。
図3は、バッフル128,130を含んでいない機器棚100の温度マップを示している。温度マップは、40℃の周囲空気温度で、海面における定常状態条件で動作している間の機器棚100内の機器および空気の温度を示す。
図3に示すように、PSU104の温度は、一般に、BBU106の温度よりも高い。特に、BBU106の背面に向かう温度は46.2℃である。この実施形態ではバッフル128および130が含まれていないため、(たとえば、機器棚100の後端部120に向かって)機器棚100の後部126内に空気流の混合が存在し、上部領域108における機器の温度と、下部領域110における機器の温度との間の温度をもたらす。たとえば、ファン118の近くの後部126(たとえば、空気の少なくとも一部が機器棚100から出るところ)では、温度はBBU106の後部よりも12.8℃高い59.0℃である。さらに、PSU104の内部構成要素は、110℃での温度を含む異なる温度にある。PSU104の後部を出る空気の温度は、約60℃~65℃である。
【0031】
図4に示すように、機器棚100は、複数のPSU104および複数のBBU106を含む。特に、6つのPSU104は、機器棚100の上部領域108における筐体102に含まれ、6つのBBU106は、機器棚100の下部領域110における筐体102に含まれる。代替の実施形態では、より多いまたはより少ない数のPSU104およびBBU106が、機器棚100に含まれ得る。例示的な実施形態では、各PSU104は、機器棚100の上部領域108における筐体102のレセプタクル132内に配置される。上部レセプタクル132は、支持プレート112および筐体102の壁134によって部分的に画定される。壁134は、一般に、筐体102の底部プレート136から筐体102の上部まで延びる。各BBU106は、機器棚100の下部領域110における筐体102のレセプタクル138内に配置される。下部レセプタクル138は、底部プレート136、二次プレート116、および壁134によって画定される。このようにして、筐体102は、上部列のレセプタクル132および下部列のレセプタクル138という、2列のレセプタクルを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、筐体102は、電子機器を収容および/または受け入れるためのレセプタクル(たとえば、レセプタクル132)の列のみを含む。これらの実施形態では、空気流領域114(たとえば、チャネルとして構成される)は、筐体102の上面または筐体102の下部プレート136のいずれかに結合される。たとえば、空気流領域114が筐体102の下部プレート136に結合されると、(たとえば、支持プレート112と同様の)下部プレート136は、空気流領域114を画定する上面を画定し、(たとえば、二次プレート116と同様の)別のプレートは、空気流領域114をさらに画定するように空気流領域114の下方に配置される。これらの実施形態では、筐体102における機器は、発熱機器および/または感温機器であってもよく、空気流領域114は、一般に、空気流領域114を(たとえば、空気流領域114の境界または縁部において)画定する任意の構造または機器の温度を低下させるように構成され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、壁136は、空気流領域114を複数のチャネル(たとえば、6つのチャネル)に分割する。空気流領域114の各チャネルは、1つのPSU104および1つのBBU106のペア(たとえば、PSU104およびBBU106の対応するペア)に対応する。たとえば、空気流領域114の各チャネルは、一方のPSU104と一方のBBU106との間に配置される。空気流領域114の複数のチャネルは平行であり、(たとえば、周囲温度における)空気が、PSU104とBBU106との間で、複数のチャネルを通って、機器棚100の低温側から、機器棚100の高温側へ(たとえば、前端部122から後端部120まで、後端部120から前端部122までなど)同じ方向に流れることを可能にする。いくつかの実施形態では、塵埃、破片などが空気流領域114を通って機器棚100に入るのを防ぐために、フィルタ(図示せず)が機器棚100に結合される。いくつかの実施形態では、機器棚100は、一般に、1つまたは複数の機器棚100が、たとえばデータセンタにおいて、ラック(図示せず)に取り付けられ得るように、ラック取り付けされる。
【0034】
別の例示的な実施形態では、電源ユニットおよび筐体の両方を、空気流領域に空気を供給するように改造することができる。たとえば、この実施形態では、改造された電源ユニットから(たとえば、電源ユニットを循環する冷却空気から)空気流領域に空気が供給されてもよい。改造された電源ユニット(PSU)は、
図5A~
図5Bに示され、全体として参照番号204で示される。
図5A~
図5Bに示すように、PSU204は、PSU204の内部構成要素を囲むケース240を含む。PSU204は、PSU204を冷却するための内部ファン(図示せず)を含む。一般に、PSU204の内部ファンは、冷却空気がPSU204を通過することを可能にする。例示的な実施形態では、ケース240は、ケース240内に(たとえば、ケース240の底面に)通気口242を含む。通気口242は、PSU204を通って流れる冷却空気の一部が通気口242を通って空気流領域114に迂回されるように、内部ファンに隣接して配置される。通気口242は、迂回された冷却空気の一部がPSU204を出て空気流領域114に入ることを可能にするための開口部、格子、グリルなどを備え得る。
【0035】
改造された筐体が
図6に示され、全体として参照番号202で示される。
図6に示すように、改造された筐体202は、筐体102と同様であるが、改造された筐体202は、筐体202の支持プレート212に開口部244をさらに含む。筐体102と同様に、筐体202は、電子機器(たとえば、PSU204)を受け入れるための上部レセプタクル232を含む上部領域208を含む。筐体202はまた、電子機器(たとえば、BBU106)を受け入れるための下部レセプタクル238を含む下部領域210を含む。このようにして、筐体202は、開口部244を介して、PSU204から支持プレート212の下方に配置された空気流領域114(
図6には示されていない)に迂回された冷却空気を可能にするように構成される。
図6には示されていないが、筐体202は、筐体202を通って延びる空気流領域114をさらに画定するために、二次プレート116などのプレートを含み得る。
【0036】
図7A~
図7Bは、改造された筐体202と、改造された筐体202内に配置された少なくとも1つの改造されたPSU204および少なくとも1つのBBU106とを含む機器棚200の別の例示的な実施形態を示す。
図7Aに示すように、PSU204は、筐体202の上部レセプタクル232のうちの1つに含まれる。例示を目的として、中央下部レセプタクル238は、電子機器(たとえば、BBU106)によって占有されておらず、二次プレート116は示されていない。
図7Bは、上部レセプタクル232およびPSU204の支持プレート212に向かう非占有レセプタクル238を通る図を示す。
図7Bに示すように、筐体202の支持プレート212の開口部244は、一般にPSU204の通気口242よりも大きく、図示の実施形態では、一般に長方形の形状である。このようにして、PSU204のケース240は、占有されていないレセプタクル238を通して見たときに、開口部244を通して部分的に見える。あるいは、開口部244は、他の形状(たとえば、円形、正方形など)および/または他のサイズ(たとえば、PSU204の通気口242と同じサイズ、通気口242よりも小さいサイズなど)として構成され得る。PSU204の通気口242および筐体202の開口部244は、冷却空気の一部がPSU204から迂回されて空気流領域114を通って流れることを可能にする。
【0037】
図8は、機器棚200を通る空気流のフロー図を示す。図示のように、PSU204の内部ファン(図示せず)によって推進されるように、PSU204を通って流れる冷却空気の一部は、通気口242を通って空気流領域114に迂回される。冷却空気の一部が空気流領域114を通って移動すると、機器棚200に含まれるBBU106は、発熱PSU204から熱的に絶縁される。この冷却空気はまた、一般に、空気流領域114を(たとえば、空気流領域214の境界または縁部において)画定する任意の構造または機器の温度を低下させる。空気流領域114を通って流れる冷却空気がBBU106を冷却するので、BBU106はより低い温度で動作することができ、BBU性能が向上する。このように、機器棚200は、PSU204に含まれるファンを使用することによって空気流領域114を通る空気流を誘導する一方、機器棚100は、機器棚100に含まれる1つまたは複数のファン118を通る空気流領域114を通る空気流を誘導する。
【0038】
いくつかの実施形態では、機器棚200はまた、少なくとも1つのバッフル(バッフル128および130と同様)を含む。これらの実施形態では、少なくとも1つのバッフルは、空気流領域114から機器棚200の後端部に向かって空気を案内し、PSU204からの排気と空気流領域114からの空気との空気流混合を抑制するように構成される。
【0039】
以下の表および図に示すように。
図9~
図11に示すように、機器棚内の空気流領域またはチャネルのサイズ(たとえば、高さ)を変更すると、棚内の機器の温度に影響を与える。特に、機器棚内のBBUに関して、空気流領域の高さを変化させることにより、BBUがより低い温度で動作することが可能になり、BBUの性能および機能性を改善する。表1は、(BBUの内部構成要素を囲むケースにおいて測定された)バッテリバックアップユニット(たとえば、BBU106)の温度に対する機器棚(たとえば、機器棚100、機器棚200)内のチャネル(たとえば、空気流領域114、空気流領域214)の高さ(たとえば、
図1に示すh)を変化させることの効果を特徴付ける。表1に示すように、バッテリバックアップユニット(たとえば、BBU106)のケースの温度が、ケースの前部およびケースの後部おいて摂氏(℃)で得られた。機器棚の後部に位置する電源棚コントローラ(PSC)の温度も、摂氏(℃)で測定された。表1はまた、立方フィート毎分(CFM)の単位で、チャネル(たとえば、空気流領域114、空気流領域214)を通る空気流の速度を含む。表1に示す値は、18kWの出力電力、180Vacの入力、40℃の周囲空気温度、および約65℃のPSU(たとえば、PSU104)からの排気による、流路および後部ファン(たとえば、ファン118)を含む機器棚のシミュレーション動作中に得られた値を表す。シミュレートされた実施形態では、機器棚はバッフル(たとえば、バッフル128,130)を含まず、PSUは改造されない(たとえば、PSU204ではなくPSU104が含まれる)。表1に示すように、一般に、流路の高さ(すなわち、高さh)が高くなるにつれて、バッテリバックアップユニットの温度は低下した。
【0040】
表1と同様に、表2は、電池バックアップユニット(たとえば、BBU106)のケースの温度に対するチャネル(たとえば、空気流領域114、空気流領域214)の高さ(たとえば、
図1に示すh)を変化させることの効果を特徴付ける。表2に示す値は、18kWの出力電力、240Vacの入力、40℃の周囲空気温度、および約61℃のPSU(たとえば、PSU104)からの排気による、流路および後部ファン(たとえば、ファン118)を含む機器棚のシミュレーション動作中に得られた値を表す。表1の機器棚モデルと同様に、このシミュレーションの機器棚は、バッフル(たとえば、バッフル128,130)を含まず、PSU204ではなくPSU104と同様のPSUを含む。表2に示すように、バッテリバックアップユニット(たとえば、BBU106)のケースの温度が、ケースの前部およびケースの後部において摂氏(℃)で得られた。電源棚コントローラ(PSC)の温度も、摂氏(℃)で測定された。表2はまた、立方フィート毎分(CFM)の単位で、チャネル(たとえば、空気流領域114、空気流領域214)を通る空気流の速度を含む。表2に示すように、一般に、空気流領域のギャップサイズ(すなわち、高さh)が大きくなるにつれて、バッテリバックアップユニットの温度は低下した。
【0041】
図9は、表1および表2からの値を使用して、BBU106ケースの後部の温度までチャネル(たとえば、空気流領域114,214)の高さh(本明細書ではギャップサイズとも呼ばれる)を増加させる効果をグラフで示している。
図9に示すように、ギャップサイズが大きくなるにつれて、電源棚の動作条件に関わらず(たとえば、18kWの電源棚が180Vac入力(および約65℃のPSU排気)で動作しているか、または240Vac入力(および約61℃のPSU排気)で動作しているかに関わらず)、BBUケースの後部の温度は低下する。ギャップサイズが大きくなる(たとえば、空気流領域がより高くなる)につれて、温度のさらなる低下が達成され得る。そのような温度のさらなる低下と、機器棚の全体的なサイズの制約および/またはサイズの懸念とのバランスをとることが必要であり得ることが理解されよう。
【0042】
図10は、いくつかの機器棚10,20,30内のバッテリバックアップユニットの温度をグラフで示す。機器棚10,20および30は、機器棚100に含まれる特定の特徴を有していない。たとえば、
図10に示す値は、機器棚内に配置された複数の電源ユニットと複数のバッテリバックアップユニットとを含む機器棚から取得された。基準機器棚10,20,30に含まれるPSUは、PSU104と同様である(たとえば、PSU204と同様に改造されていない)。さらに、基準機器棚10,20,30に含まれるPSUは、(たとえば、PSUとBBUとの間に隙間がないように)BBUの真上に配置される。機器棚100とは対照的に、基準機器棚は、PSUがBBUから熱的に絶縁されないように空気流領域(たとえば、空気流領域114など)を含まない。同様に、基準機器棚は、バッフル(バッフル128,130など)または後部ファン(ファン118など)を含まなかった。
【0043】
基準機器棚の通常動作条件の間、PSUは、機器棚の内部で熱を発生させ、その熱の少なくとも一部をBBUに伝導する。PSUによって生成された熱により、BBUの温度が上昇し、BBUを過熱保護(OTP)制限に達する(および超える)リスクにさらす。温度が安全値を超えた場合、OTPは、機器の誤動作または損傷を防止するためにシャットダウンプロセスを開始する。
図10に示すように、3つの機器棚10,20,30のBBUの温度は、定常状態、3分間の放電期間の後、OTP回復期間の間および後、充電期間中、および機器棚が定常状態に戻った後を含む異なる動作モード中に測定された。
図10に示すように、機器棚のOTP排出限界は65℃であり、機器棚のOTP充電限界は50℃であり、OTP回復温度は47℃である。
【0044】
第1の基準機器棚10は、18kWの出力、27,000rpmのPSUファン速度、3.0Aの充電電流であり、40℃の周囲空気温度の環境で動作した。図示のように、試験の開始時に、この機器棚10のBBUは56℃の温度で動作した。放電期間中、機器棚10のBBUは、OTP放電限界を満たし、最終的にそれらの開始温度、すなわちOTP回復温度を上回る温度に戻った。試験された第1の機器棚10のBBUは、OTP回復温度に戻らなかったため、BBUは充電することができなかった。
【0045】
第2の基準機器棚20は、15kWの出力、36,000rpmのPSUファン速度、3.0Aの充電電流であり、40℃の周囲空気温度の環境で動作した。第1の基準機器棚10と比較して、基準機器棚20は、出力電力が低減され、より良好なファンを有する。図示のように、試験の開始時に、この機器棚20のBBUは48℃の温度で動作した。放電期間中、機器棚20のBBUは、OTP放電限界を満たさなかったが、OTP回復温度に達することも、OTP回復温度を下回ることもできなかった。試験された第2の機器棚20のBBUは、OTP回復温度に戻らなかったため、BBUは充電することができなかった。
【0046】
第3の基準機器棚30は、15kWの出力、36,000rpmのPSUファン速度、2.0Aの充電電流であり、35℃の周囲空気温度の環境で動作した。第1の基準機器棚10と比較して、基準機器棚30は、電力出力が低減され、より良好なファンを有する。基準機器棚30はまた、より低い周囲空気温度で動作し、より長い充電を受ける。図示のように、試験の開始時に、この機器棚30のBBUは、43℃の定常状態温度で動作した。放電期間中、機器棚30のBBUの温度は上昇したが、OTP放電限界を満たさなかった。BBUの温度は、OTP回復期間中に低下し続け、OTP回復温度を満たした。2.0AでのBBUの充電中、機器棚30のBBUの温度は再び上昇し、続いてBBUが完全に充電された後に定常状態に戻った。
【0047】
図10から理解されるように、BBUがOTP回復温度に達するのに十分に冷却することができなかったため、棚出力電力を緩和すること、BBU充電速度を低減すること、および/またはPSUファン性能を改善することは、周囲温度を低下させることなく、全放電後にBBUを安全に充電することを可能にするには不十分であり得る。充電を達成するために、周囲温度も低下させる必要があり得る。
【0048】
図11は、いくつかの異なる動作モード中の機器棚100内のバッテリバックアップユニット(たとえば、BBU106)の温度をグラフで示す。
図11で用いた機器棚100は、高さ7mmの空気流領域114と、ファン118と、PSU104とを含むが、バッフル128,130またはPSU204を備えていない。
図11で用いた機器棚100は、40℃の周囲空気温度、15kWの出力、3.0Aの充電電流、および36,000rpmのPSUファン速度の環境で動作した。図示のように、機器棚100は、OTP限界を超えることなく放電し、完全に充電することができる。このようにして、たとえば基準機器棚20と比較して、空気流領域114などの機器棚100の特徴を実現することは、周囲空気温度を少なくとも5℃低下させることと同等の性能改善をもたらす。
【0049】
本明細書で説明される例示的な実施形態は、機器棚に収容された機器の熱性能を向上および改善することができる。たとえば、機器棚は、空気流領域を介して同じ棚内に収容された機器間の移動空気を使用して、感熱機器(たとえば、バッテリバックアップユニット(BBU))を発熱機器(たとえば、電源ユニット(PSU))から断熱することを可能にし得る。空気流領域は、比較的低温の周囲空気がBBU上を流れることを可能にし、BBUの温度をより低く(たとえば、周囲温度またはその付近に)保つ。このより低い温度は、より高い出力、より長い寿命、より高い効率、信頼性の向上、より低いファン速度による音響の改善などを含む1つまたは複数の手法で、機器棚の性能を向上させるために利用または「費やされる」ことができる「熱ボーナス」を生成する。これらの実施形態は、BBUがPSUから熱的に絶縁されるため、通常動作条件中にPSUによって電源棚の内部で生成される熱に起因してBBUが過熱保護(OTP)に達するリスクをさらに最小限に抑える。このようにして、BBUをより低い温度に保つことによって、BBUの機能性および性能が改善され、その結果、より高い放電速度、より高い効率、より長いバッテリ寿命、PSUを有する棚内のBBUのより迅速な再充電などがもたらされる。
【0050】
実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提供されている。網羅的であること、または本開示を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されず、適用可能な場合には交換可能であり、具体的に図示または説明されていなくても、選択された実施形態で使用することができる。これはまた、多くの手法で変更されてもよい。そのような変形は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、すべてのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。