(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】免疫グロブリン断片の特定位置を連結部位として用いたタンパク質結合体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/00 20060101AFI20230705BHJP
C07K 14/62 20060101ALI20230705BHJP
C07K 14/605 20060101ALI20230705BHJP
C07K 14/745 20060101ALI20230705BHJP
C07K 14/475 20060101ALI20230705BHJP
C07K 1/14 20060101ALI20230705BHJP
C07K 1/18 20060101ALI20230705BHJP
C07K 1/20 20060101ALI20230705BHJP
C07K 1/22 20060101ALI20230705BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230705BHJP
A61K 38/28 20060101ALI20230705BHJP
A61K 38/26 20060101ALI20230705BHJP
A61K 38/36 20060101ALI20230705BHJP
A61P 5/50 20060101ALI20230705BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230705BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230705BHJP
【FI】
C07K16/00 ZNA
C07K14/62
C07K14/605
C07K14/745
C07K14/475
C07K1/14
C07K1/18
C07K1/20
C07K1/22
A61K47/68
A61K38/28
A61K38/26
A61K38/36
A61P5/50
A61P3/04
C12N15/13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021147632
(22)【出願日】2021-09-10
(62)【分割の表示】P 2018515491の分割
【原出願日】2016-09-26
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】10-2015-0135874
(32)【優先日】2015-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515022445
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】キム デ ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー ジョン ス
(72)【発明者】
【氏名】パク ヨン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ホン スン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ベ ソン ミン
(72)【発明者】
【氏名】クォン セ チャン
【審査官】北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-513110(JP,A)
【文献】特表2007-536211(JP,A)
【文献】特表2010-515677(JP,A)
【文献】特表2015-510880(JP,A)
【文献】特表2018-528234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ペプチド性重合体を介して免疫グロブリンFc領域に連結された生理活性ポリペプチドを含むタンパク質結合体であって、前記非ペプチド性重合体が、免疫グロブリンFc領域の
末端のプロリンに位置特異的に結合したものであり、
前記生理活性ポリペプチドが
、インスリン、オキシントモジュリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、エキセンジン-4、CA-エキセンジン-4(イミダゾ-アセチルエキセンジン-4)、グルカゴン、血液凝固因子VII、及びそれらの誘導体からなる群から選択されるものであり
、
前記免疫グロブリンFc領域が配列番号1のアミノ酸配列
からなる、タンパク質結合体。
【請求項2】
前記非ペプチド性重合体の両末端が、反応基を介して生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンFc領域にそれぞれ共有結合により連結されるものである、請求項1に記載のタンパク質結合体。
【請求項3】
前記免疫グロブリンFc領域が、非糖鎖化されたものである、請求項1に記載のタンパク質結合体。
【請求項4】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものである、請求項1に記載のタンパク質結合体。
【請求項5】
前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコールである、請求項4に記載のタンパク質結合体。
【請求項6】
前記非ペプチド性重合体の反応基が、アルデヒド基、マレイミド基及びスクシンイミド誘導体からなる群から選択されるものである、請求項
2に記載のタンパク質結合体。
【請求項7】
前記アルデヒド基が、プロピオンアルデヒド基またはブチルアルデヒド基である、請求項6に記載のタンパク質結合体。
【請求項8】
前記スクシンイミド誘導体が、スクシンイミジルカルボキシメチル、スクシンイミジルバレレート、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミド、またはスクシンイミジルカーボネートである、請求項6に記載のタンパク質結合体。
【請求項9】
前記非ペプチド性重合体が、両末端に反応基としてアルデヒド基を有するものである、請求項1に記載のタンパク質結合体。
【請求項10】
前記非ペプチド性重合体が、両末端に反応基としてそれぞれアルデヒド基及びマレイミド基を有するものである、請求項1に記載のタンパク質結合体。
【請求項11】
前記非ペプチド性重合体が、両末端に反応基としてそれぞれアルデヒド基及びスクシンイミド基を有するものである、請求項1に記載のタンパク質結合体。
【請求項12】
前記非ペプチド性重合体の両末端が、それぞれ免疫グロブリンFc領域の
末端のプロリンと生理活性ポリペプチドのN末端、C末端、またはリジン残基、ヒスチジン残基またはシステイン残基の遊離反応基に連結されるものである、請求項1に記載のタンパク質結合体。
【請求項13】
(a)両末端に反応基を有する少なくても1つの非ペプチド性重合体;少なくても1つの生理活性ポリペプチド;及び少なくても1つの免疫グロブリンFc領域を共有結合により連結してタンパク質結合体を製造する段階;及び
(b)前記(a)段階で製造された共有結合により連結された生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域を必須的に含み、前記非ペプチド性重合体が免疫グロブリンFc断片の
末端のプロリンに連結されたタンパク質結合体を分離する段階を含み、
前記生理活性ポリペプチドが
、インスリン、オキシントモジュリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、エキセンジン-4、CA-エキセンジン-4(イミダゾ-アセチルエキセンジン-4)、グルカゴン、血液凝固因子VII、及びそれらの誘導体からなる群から選択されるものであり
、
前記免疫グロブリンFc領域が配列番号1のアミノ酸配列
からなる、請求項1に記載のタンパク質結合体の製造方法。
【請求項14】
前記(a)段階が、
(a1)非ペプチ
ド性重合体の一末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドに共有結合により連結させて連結体を製造する段階;及び
(a2)前記(a1)段階で製造した連結体を分離して、前記分離された連結体の非ペプチド性重合体のもう一つの末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの他の方に共有結合により連結する段階を含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記(a1)段階で生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体との間の反応モル比が1:1~1:30であり、免疫グロブリンFc断片と非ペプチド性重合体との間の反応モル比が1:1~1:20である、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記(a1)段階が、pH4.0~9.0の条件で行われる、請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
前記(a1)段階が、4.0℃~25℃の温度で行われる、請求項14に記載の製造方法。
【請求項18】
前記(a1)段階で免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの反応濃度が、0.1mg/ml~100mg/mlである、請求項14に記載の製造方法。
【請求項19】
前記(a2)の段階で前記連結体と免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドとの間の反応モル比が、1:0.1~1:20である、請求項14に記載の製造方法。
【請求項20】
前記(a2)段階が、pH4.0~9.0の条件で行われる、請求項14に記載の製造方法。
【請求項21】
前記(a2)段階が、4.0~25℃の温度で行われる、請求項14に記載の製造方法。
【請求項22】
前記(a2)段階で免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの反応濃度が、0.1mg/ml~100mg/mlである、請求項14に記載の製造方法。
【請求項23】
前記(a1)段階及び(a2)段階が、還元剤の存在下で行われる、請求項14に記載の製造方法。
【請求項24】
前記還元剤が、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH
3)、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンホウ酸塩及びピリジンホウ酸塩からなる群から選択されるものである、請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
前記(a2)の段階で分離が、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーからなる群から選択される精製方法を単独または組合わせて行うものである、請求項14に記載の製造方法。
【請求項26】
前記陰イオン交換クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、第四級アンモニウム(Q)、 第四級アミノエチル(QAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、ポリエチレンイミン(PEI)、ジメチルアミノメチル(DMAE)及びトリメチルアミノエチル(TMAE)からなる群から選択されるいずれか一つである、請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
前記陽イオン交換クロマトグラフィー樹脂の官能基が、メチルスルホネート(S)、スルホプロピル(SP)、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)及びポリアスパラギン酸からなる群から選択されるいずれか一つである、請求項25に記載の製造方法。
【請求項28】
前記疎水性クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、フェニル、オクチル、(イソ)プロピル、ブチル及びエチルからなる群から選択されるいずれか一つである、請求項25に記載の製造方法。
【請求項29】
前記親和性クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、プロテインA、ヘパリン、ブルー、ベンズアミジン、金属イオン(コバルト、ニッケル及び銅)、及び非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域及び生理活性ポリペプチドに連結されたタンパク質結合体の構成成分の一部または全体に対する抗体からなる群から選択されるいずれか一つである、請求項25に記載の製造方法。
【請求項30】
前記サイズ排除クロマトグラフィーの樹脂が、スーパーデックス、セファクリル、スーパーロース及びセファデックスからなる群から選択される、請求項25に記載の製造方法。
【請求項31】
タンパク質結合体の分離が、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーからなる群から選択される方法を単独または組合わせて行うものである、請求項13に記載の製造方法。
【請求項32】
前記陰イオン交換クロマトグラフィー樹脂の官能基が、第四級アンモニウム(Q)、第四級アミノエチル(QAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、ポリエチレンイミン(PEI)、ジメチルアミノメチル(DMAE)及びトリメチルアミノエチル(TMAE)からなる群から選択されるいずれか一つである、請求項31に記載の製造方法。
【請求項33】
前記陽イオン交換クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、メチルスルホネート(S)、スルホプロピル(SP)、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)及びポリアスパラギン酸からなる群から選択されるいずれか一つである、請求項31に記載の製造方法。
【請求項34】
前記疎水性クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、フェニル、オクチル、(イソ)プロピル、ブチル及びエチルからなる群から選択されるいずれか一つである、請求項31に記載の製造方法。
【請求項35】
前記親和性クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、プロテインA、ヘパリン、ブルー、ベンズアミジン、金属イオン(コバルト、ニッケル及び銅)、及び非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域及び生理活性ポリペプチドに連結されたタンパク質結合体の構成成分の一部または全体に対する抗体からなる群から選択されるいずれか一つである、請求項31に記載の製造方法。
【請求項36】
前記サイズ排除クロマトグラフィーの樹脂が、スーパーデックス、セファクリル、スーパーロース及びセファデックスからなる群から選択される、請求項31に記載の製造方法。
【請求項37】
前記(b)段階が、タンパク質結合体を構成する非ペプチド性重合体と免疫グロブリンFc領域が免疫グロブリンFc領域の
末端のプロリンを介して結合したタンパク質結合体を分離する、請求項13に記載の製造方法。
【請求項38】
(a’)非ペプチド性重合体の一末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドに共有結合により連結して連結体を製造する段階であり、pH4.0~9.0の条件で行われる段階;
(b’)前記(a’)段階で製造した連結体を分離して、分離された連結体の非ペプチド性重合体の他方の末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの他の一つと共有結合により連結する段階であり、pH4.0~9.0の条件で行われる段階;及び
(c’)前記(b’)段階で製造された共有結合により連結された生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域を必須的に含み、前記非ペプチド性重合体が免疫グロブリンFc断片の
末端のプロリンに連結されたタンパク質結合体を分離する段階を含み、
前記生理活性ポリペプチドが
、インスリン、オキシントモジュリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、エキセンジン-4、CA-エキセンジン-4(イミダゾ-アセチルエキセンジン-4)、グルカゴン、血液凝固因子VII、及びそれらの誘導体からなる群から選択されるものであり
、
前記免疫グロブリンFc領域が配列番号1のアミノ酸配列
からなる、請求項1に記載のタンパク質結合体の製造方法。
【請求項39】
(a’)非ペプチド性重合体の一末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドに共有結合により連結して連結体を製造する段階であり、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体との間の反応モル比が、1:1~1:30であり、免疫グロブリンFc領域と非ペプチド性重合体との間の反応モル比が、1:1~1:20であり、還元剤が、1mM~100mMの濃度で含まれ、反応が、pH4.0~9.0の条件、反応温度4.0~25℃で行われて、免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの濃度が、0.1mg/ml~100mg/mlである段階;
(b’)前記(a’)段階で製造した連結体を分離して、分離された連結体の非ペプチド性重合体の他方の末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの他の一つに共有結合により連結する段階であり、連結体と免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドとの間の反応モル比が、1:0.1~1:20であり、還元剤が、1~100mMの濃度で含まれ、反応が、pH4.0~9.0の条件、反応温度4.0~25℃で行われて、免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの濃度が、0.1mg/ml~100mg/mlである段階;及び
(c’)前記(b’)段階で製造された共有結合により連結された生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域を必須的に含み、前記非ペプチド性重合体が免疫グロブリンFc断片の
末端のプロリンに連結されたタンパク質結合体を分離する段階を含み、
前記生理活性ポリペプチドが
、インスリン、オキシントモジュリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、エキセンジン-4、CA-エキセンジン-4(イミダゾ-アセチルエキセンジン-4)、グルカゴン、血液凝固因子VII、及びそれらの誘導体からなる群から選択されるものであり
、
前記免疫グロブリンFc領域が配列番号1のアミノ酸配列
からなる、請求項1に記載のタンパク質結合体の製造方法。
【請求項40】
前記タンパク質結合体の製造方法が、N末端選択性を有するものである、請求項13~39のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項41】
請求項1に記載のタンパク質結合体を有効成分として含む組成物。
【請求項42】
前記組成物が、前記タンパク質結合体が90%以上で含まれるものである、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
請求項13~39のいずれか一項に記載の方法により製造されたタンパク質結合体を90%以上含む、タンパク質結合体の集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体を介して生理活性ポリペプチドに連結されたタンパク質結合体において、非ペプチド性重合体が免疫グロブリンFc領域のN末端に特異的に連結された結合体、その製造方法及びこれを含む生理活性ポリペプチドの生体内持続性及び安定性増加用薬学的組成物に関する。また、前記方法によって製造されたタンパク質結合体を含むタンパク質結合体の集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリペプチドは、一般的に安定性が低く、容易に変性されて血液中のタンパク質加水分解酵素によって分解され、腎臓や肝臓を介して簡単に除去されるため、薬理成分としてポリペプチドを含むタンパク質医薬品の血中濃度及び力価を維持するためには、タンパク質薬物を患者に頻繁に投与する必要がある。しかし、ほとんどの注射剤の形態として患者に投与されるタンパク質医薬品の場合、活性ポリペプチドの血中濃度を維持するための頻繁な注射は、患者に過度の苦痛を引き起こすことになる。このような問題点を解決するために、タンパク質薬物の血中安定性を増加させ、血中薬物濃度を長時間高く持続させて薬効を極大化しようとする努力が続けられてきた。このようなタンパク質薬物の持続性製剤は、タンパク質薬物の安定性を高めると同時に、薬物自体の力価が十分に高く維持されるべきであり、患者に免疫反応を誘発してはならない。
タンパク質を安定化させ、タンパク質加水分解酵素との接触及び腎臓の消失を抑制するための方法として、従来にはポリエチレングリコール(以下「PEG」と略す)のように溶解度が高い高分子をタンパク質薬物の表面に化学的に付加させる方法が用いられてきた。PEGは、目的タンパク質の特定部位または様々な部位に非特異的に連結して溶解度を高めることでタンパク質を安定化させ、タンパク質の加水分解を防止するのに効果があり、特別な副作用も起こさないことが知られている(非特許文献1)。しかし、PEGを連結させる場合に、タンパク質の安定性は増加しうるが、生理活性タンパク質の力価が著しく低くなり、PEGの分子量が増加するほどタンパク質との反応性が低くなり、収率が減少するという問題がある。PEGをタンパク質に連結するときに発生しうるもう一つの問題は、多くの可能性のある連結部位の競合によって引き起こされる結合体の連結異性化である。
これはPEGを用いる結合体薬物の製造において重要な部分であり、最大の効力と効果を引き出す条件で製造された均質な薬物が要求される。薬物の効力に影響を与える結合位置にPEGが結合した柔軟物質が過量に含まれる場合、効力の望ましくない低下が引き起こされる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際特許公開第97/34631号
【文献】国際特許公開第96/32478号
【文献】韓国出願番号第10‐2012‐0111537号
【非特許文献】
【0004】
【文献】Sada et al., J. Fermentation Bioengineering 71: 137-139, 1991
【文献】H.Neurath, R.L.Hill, The Proteins, Academic Press, New York,197 9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者は、生理活性ポリペプチド結合体を大量生産に適した工程で効力が最も高い部位で結合された結合体を製造しうる方法を研究した結果、担体として含まれる免疫グロブリンFc断片の結合位置を特定して、効力が最も高い結合体を高純度で製造する方法を発明し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの目的は、非ペプチド性重合体を介して免疫グロブリンFc領域に連結された生理活性ポリペプチドを含むタンパク質結合体であって、前記非ペプチド性重合体が、免疫グロブリンFc領域のN末端に位置特異的に結合したものである、タンパク質結合体を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記タンパク質結合体を製造する方法を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、前記タンパク質結合体を有効成分として含む生理活性ポリペプチドの生体内持続性及び安定性増加用薬剤学的組成物を提供することにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、タンパク質結合体の製造中に特定位置を用いて製造された生体内持続性が向上されたタンパク質結合体に関する。具体的に、本発明は生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域のN末端が相互共有結合によって連結されており、前記生理活性ポリペプチドの生体内持続性が向上されたタンパク質結合体に関する。本発明により製造されたタンパク質結合体は、様々な生理活性ポリペプチド薬物の持続型製剤の開発に有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1a】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたIFNα-PEG-Fc結合体をSDS-PAGEとウェスタンブロッティングを介して確認した結果を示した図である。
【
図1b】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたhGH-PEG-Fc結合体をSDS-PAGEとウェスタンブロッティングを介して確認した結果を示した図である。
【
図1c】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造された
17、65Ser-G‐CSF-PEG-Fc結合体をSDS-PAGEとウェスタンブロッティングを介して確認した結果を示した図である。
【
図1d】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたインスリン-PEG-Fc結合体をSDS-PAGEとウェスタンブロッティングを介して確認した結果を示した図である。
【
図1e】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたEPO-PEG-Fc結合体をSDS-PAGEとウェスタンブロッティングを介して確認した結果を示した図である。
【
図1f】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたCA-エキセンジン4-PEG-Fc結合体をSDS-PAGEとウェスタンブロッティングを介して確認した結果を示した図である。
【
図1g】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたFacVII-PEG-Fc結合体をSDS-PAGEとウェスタンブロッティングを介して確認した結果を示した図である。
【
図2a】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたIFNα-PEG-Fc結合体の純度をIE-HPLC及びSE-HPLC分析を介して確認した結果を示した図である。
【
図2b】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたhGH-PEG-Fc結合体の純度をIE-HPLC及びSE-HPLC分析を介して確認した結果を示した図である。
【
図2c】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造された
17、65Ser-G‐CSF-PEG-Fc結合体の純度をIE-HPLC及びSE-HPLC分析を介して確認した結果を示した図である。
【
図2d】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたインスリン-PEG-Fc結合体の純度をIE-HPLC及びSE-HPLC分析を介して確認した結果を示した図である。
【
図2e】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたEPO-PEG-Fc結合体の純度をIE-HPLC及びSE-HPLC分析を介して確認した結果を示した図である。
【
図2f】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたCA-エキセンジン4-PEG-Fc結合体の純度をIE-HPLC及びSE-HPLC分析を介して確認した結果を示した図である。
【
図3a】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたIFNα-PEG-Fc結合体のFc領域のN末端結合有無をペプチドマッピングにより確認した結果を示した図である。
【
図3b】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたhGH-PEG-Fc結合体のFc領域のN末端結合有無をペプチドマッピングにより確認した結果を示した図である。
【
図3c】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造された
17、65Ser-G‐CSF-PEG-Fc結合体のFc領域のN末端結合有無をペプチドマッピングにより確認した結果を示した図である。
【
図3d】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたインスリン-PEG-Fc結合体のFc領域のN末端結合有無をペプチドマッピングにより確認した結果を示した図である。
【
図3e】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたEPO-PEG-Fc結合体のFc領域のN末端結合有無をペプチドマッピングにより確認した結果を示した図である。
【
図3f】免疫グロブリンFc領域のN末端の反応で製造されたCA-エキセンジン4-PEG-Fc結合体のFc領域のN末端結合有無をペプチドマッピングにより確認した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前記目的を達成するための本発明の一様態は、非ペプチド性重合体を介して免疫グロブリンFc領域に連結された生理活性ポリペプチドを含むタンパク質結合体であって、前記非ペプチド性重合体が、免疫グロブリンFc領域のN末端に位置特異的に結合したもの、タンパク質結合体を提供する。
本発明の一つの具体例は、前記非ペプチド性重合体の両末端が、反応基を介して生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンFc領域にそれぞれ共有結合により連結されるものである、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記免疫グロブリンFc領域が、非糖鎖化タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記免疫グロブリンFc領域が、CH1、CH2、CH3及びCH4ドメインからなる群から選択される1つ~4つのドメインからなる、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記免疫グロブリンFc領域がヒンジ領域をさらに含む、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記免疫グロブリンFc断片が、IgG、IgA、IgD、IgEまたはIgM由来のFc領域である、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記免疫グロブリンFc断片のそれぞれのドメインがドメインのハイブリッドであり、各ドメインは、IgG、IgA、IgD、IgE及びIgMからなる群から選択される免疫グロブリンに由来する異なる起源を有する、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記免疫グロブリンFc断片が、同一起源のドメインを含む一本鎖免疫グロブリンからなるダイマーまたはマルチマーである、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記免疫グロブリンFc断片が、IgG4 Fc断片である、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記免疫グロブリンFc断片が、ヒト非糖鎖化IgG4 Fc断片である、タンパク質結合体を提供する。
【0010】
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものである、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコールである、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性重合体の反応基が、アルデヒドグループ、マレイミドグループ及びスクシンイミド誘導体からなる群から選択されるものである、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性重合体の反応基が、プロピオンアルデヒドグループ、またはブチルアルデヒドグループである、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記スクシンイミド誘導体がスクシンイミジルカルボキシメチル、スクシンイミジルバレレート、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミドまたはスクシンイミジルカーボネートである、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性重合体は両末端に反応基としてアルデヒドグループを有するものである、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性重合体は、両末端に反応基としてそれぞれアルデヒドグループ及びマレイミドグループを有するものである、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性重合体は両末端に反応基としてそれぞれアルデヒドグループ及びスクシンイミドグループを有するものである、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性重合体の両末端が、それぞれ免疫グロブリンFc領域のN末端;及び生理活性ポリペプチドのN末端、C末端、またはリジン残基、ヒスチジン残基またはシステイン残基の遊離反応基に連結されるものである、タンパク質結合体を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記生理活性ポリペプチドが、ホルモン、サイトカイン、酵素、抗体、成長因子、転写因子、血液凝固因子、ワクチン、構造タンパク質、リガンドタンパク質及び受容体からなる群から選択されるものである、タンパク質結合体を提供する。
【0011】
本発明のもう一つの具体例は、前記生理活性ポリペプチドは、ヒト成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、インターフェロン類、インターフェロン受容体類、コロニー刺激因子類、グルカゴン様ペプチド類(GLP-1など)、エキセンジン類(Exendin4など) 、オキシントモジュリン、Gタンパク質結合受容体、インターロイキン類、インターロイキン受容体類、酵素類、インターロイキン結合タンパク質類、サイトカイン結合タンパク質類、マクロファージ活性因子、マクロファージペプチド、B細胞因子、T細胞因子、タンパク質A、アレルギー抑制因子、細胞壊死糖タンパク質、免疫毒素、リンホトキシン、腫瘍壊死因子、腫瘍抑制因子、転移成長因子、α-1アンチトリプシン、アルブミン、α-ラクトアルブミン、アポリポタンパク質E、赤血球生成因子、糖鎖化赤血球生成因子、アンジオポエチン類、ヘモグロビン、トロンビン、トロンビン受容体活性ペプチド、トロンボモジュリン、血液凝固因子VII、VIIa、VIII、IX及びXIII、プラスミノーゲン活性因子、フィブリン結合ペプチド、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヒルジン、タンパク質C、C反応性タンパク質、レニン抑制剤、コラゲナーゼ抑制剤、スーパーオキシドジスムターゼ、レプチン、血小板由来成長因子、上皮細胞成長因子、表皮細胞成長因子、アンジオスタチン、アンジオテンシン、骨形成成長因子、骨形成促進タンパク質、カルシトニン、インスリン、アトリオペプチン、軟骨誘導因子、エルカトニン、結合組織活性因子、組織因子経路阻害剤、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、神経成長因子類、副甲状腺ホルモン、リラキシン、セクレチン、ソマトメジン、インスリン様成長因子、副腎皮質ホルモン、グルカゴン、コルレシストキニン、膵臓ポリペプチド、ガストリン放出ペプチド、コルチコトロピン放出因子、甲状腺刺激ホルモン、オートタキシン、ラクトフェリン、ミオスタチン、受容体類、受容体アンタゴニスト、細胞表面抗原、ウイルス由来ワクチン抗原、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片類及びそれぞれの誘導体からなる群から選択されるものである、タンパク質結合体を提供する。
【0012】
本発明のもう一つの具体例は、前記生理活性ポリペプチドは、ヒト成長ホルモン、インターフェロンα、顆粒球コロニー刺激因子、赤血球生成因子、血液凝固因子、インスリン、オキシントモジュリン、グルカゴン様ペプチド類、エキセンジン類及びそれらの誘導体である、タンパク質結合体を提供する。
本発明の別の様態は、タンパク質結合体を調製する方法であって、
(a)両末端に反応基を有する少なくても1つの非ペプチド性重合体、少なくても1つの生理活性ポリペプチド、及び少なくても1つの免疫グロブリンFc領域を共有結合により連結してタンパク質結合体を製造する段階;及び
(b)前記(a)段階で製造された共有結合により連結された生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域を必須的に含み、前記非ペプチド性重合体が免疫グロブリンFc断片のN末端に連結されたタンパク質結合体を分離する段階を含む、製造方法を提供する。
本発明の一つの具体例は、前記(a)段階は、
(a1)非ペプチジルポリマーの一末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドに共有結合により連結させて連結体を製造する段階;及び
(a2)前記(a1)段階で製造した連結体を分離して、免疫グロブリンFc領域及び生理活性ポリペプチドの他の方に共有結合により分離された連結体の非ペプチド性重合体のもう一つの末端を連結する段階を含む、製造方法を提供する。
【0013】
本発明のもう一つの具体例は、 前記(a1)段階で生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体との間の反応モル比が1:1~1:30であり、免疫グロブリンFc断片と非ペプチド性重合体との間の反応モル比が1:1~1:20である、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記(a1)段階は、pH4.0~9.0の条件で行われる、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記(a1)段階が、4.0℃~25℃で行われる、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記(a1)段階で免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの反応濃度が、0.1~100mg/mlである、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記(a2)の段階で連結体と免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドとの間の反応モル比が、1:0.1~1:20である、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記(a2)段階は、pH4.0~9.0の条件で行われる、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記(a2)段階は、4.0~25℃で行われる、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記(a2)段階で免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの反応濃度が、0.1~100mg/mlである、製造方法を提供する。
【0014】
本発明のもう一つの具体例は、前記(a1)段階及び(a2)段階が、還元剤の存在下で行われる、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記還元剤が、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3)、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンホウ酸塩及びピリジンホウ酸塩からなる群から選択されるものである、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記(a2)の段階で分離が、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーからなる群から選択される精製方法を単独または組み合わせて行うものである、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記陰イオン交換クロマトグラフィー樹脂の官能基が、第四級アンモニウム(Q)、第四級アミノエチル(QAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、ポリエチレンイミン(PEI)、ジメチルアミノメチル(DMAE)及びトリメチルアミノエチル(TMAE)からなる群から選択されるいずれか一つである、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記陽イオン交換クロマトグラフィー樹脂の官能基が、メチルスルホネート(S)、スルホプロピル(SP)、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)及びポリアスパラギン酸からなる群から選択されるいずれか一つである、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記疎水性クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、フェニル、オクチル、(イソ)プロピル、ブチル及びエチルからなる群から選択されるいずれか一つである、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記親和性クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、プロテインA、ヘパリン、ブルー、ベンズアミジン、金属イオン(コバルト、ニッケル及び銅)、及び非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域及び生理活性ポリペプチドに連結されたタンパク質結合体の構成成分の一部または全体に対する抗体からなる群から選択されるいずれか一つである、製造方法を提供する。
【0015】
本発明のもう一つの具体例は、前記サイズ排除クロマトグラフィーの樹脂が、スーパーデックス、セファクリル、スーパーロース及びセファデックスからなる群から選択されるいずれか一つである、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記(b)段階のタンパク質結合体の分離が、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーからなる群から選択される精製方法を単独または組み合わせて行うものである、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記陰イオン交換クロマトグラフィー樹脂の官能基が、第四級アンモニウム(Q)、第四級アミノエチル(QAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、ポリエチレンイミン(PEI)、ジメチルアミノメチル(DMAE)及びトリメチルアミノエチル(TMAE)からなる群から選択されるいずれか一つである、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記陽イオン交換クロマトグラフィー樹脂の官能基が、メチルスルホネート(S)、スルホプロピル(SP)、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)及びポリアスパラギン酸からなる群から選択されるいずれか一つである、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記疎水性クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、フェニル、オクチル、(イソ)プロピル、ブチル及びエチルからなる群から選択されるいずれか一つである、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記親和性クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、プロテインA、ヘパリン、ブルー、ベンズアミジン、金属イオン(コバルト、ニッケル及び銅)、及び非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域及び生理活性ポリペプチドに連結されたタンパク質結合体の構成成分の一部または全体に対する抗体からなる群から選択されるいずれか一つである、製造方法を提供する。
【0016】
本発明のもう一つの具体例は、前記サイズ排除クロマトグラフィーの樹脂が、スーパーデックス、セファクリル、スーパーロース及びセファデックスからなる群から選択されるいずれか一つである、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、前記(b)段階は、タンパク質結合体を構成する非ペプチド性重合体と免疫グロブリンFc領域が免疫グロブリンFc領域のN末端を介して結合したタンパク質結合体を分離する、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの様態は、(タンパク質結合体を製造する方法であって、
(a’)非ペプチド性重合体の一末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドに共有結合により連結して連結体を製造する段階であり、pH4.0~9.0の条件で行われる段階;
(b’)前記(a’)段階で製造した連結体を分離して、分離された連結体の非ペプチド性重合体の他方の末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの他の一つと共有結合により連結する段階であり、pH4.0~9.0の条件で行われる段階;及び(c’)前記(b’)段階で製造された共有結合により連結された生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域を必須的に含み、前記非ペプチド性重合体が免疫グロブリンFc断片のN末端に連結されたタンパク質結合体を分離する段階を含む、製造方法を提供する。
特に、非ペプチド性重合体と免疫グロブリンFc領域のN末端との間の結合において、反応率に重要な条件はpHであり、中性以下のpH、すなわちpH7.0以下で位置特異的結合がよく起こる。
非ペプチド性重合体と免疫グロブリンFc領域のN末端との連結は、中性以下のpHで行われてもよいが、タンパク質の3次構造または活性が変性されない適正な水準の弱酸性~酸性のpHを有することが適切であるが、これに制限されない。非制限的な例としては、本発明で用いている免疫グロブリンFc領域は、配列番号1のアミノ酸配列を有し、約pH 8.2程度の弱塩基性の条件でN末端特異性を有することを確認した(実施例5)。
つまり、一般的な免疫グロブリンFc領域を用いる場合、中性以下のpHで非ペプチド性重合体と免疫グロブリンFc領域のN末端との特異的結合の反応率が増加する。しかし、より低いpH敏感度に変異した免疫グロブリンFc領域を用いる場合には、当該条件に拘束されない場合もある。
【0017】
本発明のもう一つの様態は、タンパク質結合体を製造する方法であって、
(a’)非ペプチド性重合体の一末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドに共有結合により連結して連結体を製造する段階を含み、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体との間の反応モル比が、1:1~1:30であり、免疫グロブリンFc領域と非ペプチド性重合体との間の反応モル比が、1:1~1:20であり、還元剤が、1mM ~100mMの範囲で含まれ、反応が、pH4.0~9.0の条件、4.0℃~25℃の温度で行われて、免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの濃度が、0.1mg/ml~100mg/mlである段階;
(b’)前記(a’)段階で製造した連結体を分離して、分離された連結体の非ペプチド性重合体の他方の末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの他の一つに共有結合により連結する段階を含み、連結体と免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドとの間の反応モル比が、1:0.1~1:20であり、還元剤が、1mM~100mMの範囲で含まれ、反応が、pH4.0~9.0の条件、4.0℃~25℃の温度で行われて、免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの濃度が、0.1mg/ml~100mg/mlで行われる段階;及び
(c’)前記(b’)段階で製造された共有結合により連結された生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域を必須的に含み、前記非ペプチド性重合体が免疫グロブリンFc断片のN末端に連結されたタンパク質結合体を分離する段階を含む、製造方法を提供する。
本発明のもう一つの具体例は、90%以上のN末端選択性を有するタンパク質結合体の製造方法を提供する。
本発明のもう一つの様態は、前記タンパク質結合体を有効成分として含む生理活性ポリペプチドの生体内持続性及び安定性増加用薬学的組成物を提供する。
本発明の一つの具体例は、 前記タンパク質結合体を90%以上の量で含む組成物を提供する。
本発明のもう一つの様態は、前記タンパク質結合体の製造方法により製造されたタンパク質結合体を90%以上に含む、タンパク質結合体の集合体を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の一様態は、非ペプチド性重合体を介して免疫グロブリンFc領域に連結された生理活性ポリペプチドを含むタンパク質結合体であって、前記非ペプチド性重合体が、免疫グロブリンFc領域のN末端に位置特異的に結合したものである、タンパク質結合体に関する。
本発明で使用される用語、「タンパク質結合体」または「結合体」とは、少なくても一つの生理活性ポリペプチド、両末端に反応基を有する少なくても1つの非ペプチド性重合体及び少なくても1つの免疫グロブリンFc領域が共有結合により相互連結されていることを指す。また、前記「結合体」と区別するために、生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域で選択された2種類の物質の分子だけが共有結合により連結された構造物は、「連結体」と表示する。
本発明のタンパク質結合体は、非ペプチド性重合体の両末端が、反応基を介して生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンFc領域にそれぞれ共有結合により連結されるものであってもよい。
本発明で使用される用語、「生理活性ポリペプチド」、「生理活性タンパク質」、「活性タンパク質」または「タンパク質薬物」とは、生体内で生理的現象に拮抗作用を示すポリペプチドまたはタンパク質を意味する用語であって、相互交換的に用いてもよい。
本発明で使用される用語、「非ペプチド性重合体」は、繰り返し単位が2つ以上含まれた生体適合性重合体を意味し、前記繰り返し単位は、ペプチド結合ではなく、任意の共有結合を介して互いに連結されるものであってもよいが、これに限定されない。
本発明で使用される用語、「免疫グロブリンFc領域」は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域、重鎖不変領域1(CH1)と軽鎖不変領域1(CL1)を除いた残りの部分を意味する。免疫グロブリンFc領域は、重鎖不変領域にヒンジ領域をさらに含んでもよい。特に、本発明で免疫グロブリンFc領域全体及びその一部を含む断片であってもよく、本発明で免疫グロブリンFc領域は、免疫グロブリン断片と混用されてもよい。
天然型Fcは、重鎖不変領域1のAsn297部位に糖鎖を有するが、大腸菌由来の組み換えFcは非糖鎖化の形態として発現される。Fcから糖鎖が除去されると、重鎖不変領域1に結合するFcガンマ受容体1,2及び3と補体(C1q)の結合力が低下され、抗体依存性細胞毒性または補体依存性細胞毒性が減少または除去される。
【0019】
本発明で使用される用語、「免疫グロブリンの不変領域」は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域、重鎖不変領域1(CH1)と軽鎖不変領域(CL)を除いた、重鎖不変領域2(CH2)及び重鎖不変領域3(CH3)(または重鎖不変領域4(CH4)を含む)部分を含むFc断片を意味してもよく、重鎖不変領域にヒンジ部分をさらに含んでもよい。また、本発明の免疫グロブリンの不変領域は、天然型タンパク質と実質的に同等であるかまたは向上された効果を有する限り、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域を除いて、重鎖不変領域1(CH1)及び/または軽鎖不変領域(CL)の 一部または全体を含む拡張された免疫グロブリンの不変領域であってもよい。また、CH2及び/またはCH3に該当する非常に長い部分のアミノ酸配列が除去された領域であってもよい。すなわち、本発明の免疫グロブリンの不変領域は、(1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン、(2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、(3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、(4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、(5)不変領域の一つ以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(またはヒンジ領域の一部)との組み合わせ、及び(6)重鎖不変領域の各ドメインと軽鎖不変領域とのダイマーであってもよい。免疫グロブリンFc断片を含む免疫グロブリン不変領域は、生体内で代謝されうる生分解性のポリペプチドであるため、薬物の担体として用いるのに安全である。また、免疫グロブリンFc断片は、免疫グロブリン全体分子に比べて相対的に分子量が少ないため、結合体の製造、精製及び収率の面で有利である。また、アミノ酸配列が抗体ごとに異なるため、高い非均質性を示すFab部分が除去されるため、物質の同質性が大幅に増加して血液中の抗原性の誘発可能性も低くなる効果も期待できる。
一方、免疫グロブリンの不変領域は、ヒトまたは牛、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物起源であってもよく、好ましくは、ヒト起源であってもよい。また、免疫グロブリンの不変領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来またはこれらの組み合わせまたは混成に由来の不変領域からなる群から選択されてもよく、好ましくは、ヒト血液に最も豊富なIgGまたはIgM由来であり、最も好ましくは、リガンド結合タンパク質の半減期を向上させることが公知されたIgG由来であってもよい。本発明で、免疫グロブリンFc領域は、同一起源のドメインからなる一本鎖免疫グロブリンからなるダイマーまたはマルチマーであってもよい。
【0020】
本発明で使用される用語、「組み合わせ」とは、ダイマーまたはマルチマーを形成するとき、同一起源の一本鎖免疫グロブリンの不変領域(好ましくは、Fc領域)を暗号化するポリペプチドが異なる起源の一本鎖ポリペプチドと結合を形成することを意味する。つまり、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgE FcのFc断片からなる群から選択された2つ以上の断片からダイマーまたはマルチマーの製造が可能である。
本発明で使用される用語、「ハイブリッド」とは、異なる起源の2つ以上の免疫グロブリンの不変領域(好ましくは、Fc領域)をコードする配列が、免疫グロブリンの不変領域の 一本鎖に存在することを意味する。本発明の場合、様々な形態のハイブリッドが可能である。例えば、ハイブリッドドメインは、IgG Fc、IgM Fc、IgA Fc、IgE Fc及びIgD FcのCH1、CH2、CH3及びCH4からなる群から選択された1つ~4つのドメインから構成されてもよく、ヒンジ領域をさらに含んでもよい。
IgGもIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のサブクラスに分けることができ、本発明では、これらの組み合わせまたは混成化を含んでもよい。好ましくは、IgG2及びIgG4サブクラスであり、より好ましくは、補体依存性毒性(CDC)のようなエフェクター機能がほとんどないIgG4のFc領域であってもよい。
免疫グロブリンの不変領域は、天然型と同等またはそれよりも大きくまたはより小さい程度で糖鎖化の形態を有していてもよく、または脱糖鎖化型であってもよい。免疫グロブリンの不変領域の増加または減少された糖鎖化または脱糖鎖化は、化学的方法、酵素学的方法または微生物を用いた遺伝工学的方法のような通常の方法により達成されてもよい。ここで、脱糖鎖化された場合、免疫グロブリンの不変領域への補体結合(C1q)が著しく減少し、抗体依存性細胞毒性または補体依存性細胞毒性が減少または除去され、それにより生体内で不要な免疫反応を誘発しない。この点で、脱糖鎖化または非糖鎖化された免疫グロブリン不変領域は、薬物担体の目的とより一致する。したがって、前記免疫グロブリンFc領域はより具体的には、ヒトIgG4由来の非糖鎖化されたFc領域であり、すなわち、ヒト非糖鎖化IgG4 Fc領域である。ヒト由来のFc領域は、人体で抗原として作用して、これに対する新しい抗体を生成するなどの望ましくない免疫反応を引き起こす可能性がある非ヒト由来のFc領域に比べて好ましい。
【0021】
また、本発明の免疫グロブリンの不変領域は、天然型アミノ酸配列だけでなく、その配列誘導体(変異体)を含む。アミノ酸配列誘導体とは、天然アミノ酸配列のうちの一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的または保存的置換またはこれらの組み合わせによって異なる配列を有することを意味する。例えば、IgG Fcの場合、結合に重要であると知られている214~238、297~299、318~322または327~331番のアミノ酸残基が変形のために適当な部位として用いられてもよい。また、ジスルフィド結合を形成しうる部位が除去されるか、天然型FcからN末端のいくつかのアミノ酸が除去されるか、又は天然型FcのN末端にメチオニン残基が付加されるなどの様々な種類の誘導体が可能である。また、エフェクター機能をなくすために、補体結合部位、例えばC1q結合部位、またはADCC部位が除去されることもある。このような免疫グロブリンの不変領域の配列誘導体を製造する技術は、特許文献1及び2などに開示されている。
分子の活性を全体的に変更させないタンパク質及びペプチドのアミノ酸交換は、当該分野で知られている(非特許文献2)。最も通常に起こる交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thr/PHe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。場合によっては、リン酸化、硫酸化、アクリル化、グリコシル化、メチル化、ファルネシル化、アセチル化、アミド化などに修飾されうる。
【0022】
前述した免疫グロブリンの不変領域誘導体は、本発明の免疫グロブリンの不変領域と同様の生物学的活性を示すが、免疫グロブリンの不変領域の熱、pHなどに対する構造的安定性を増大させた誘導体であってもよい。また、このような免疫グロブリンの不変領域は、ヒト及び牛、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物の生体内で分離した天然型から得られてもよく、形質転換された動物細胞または微生物から得られた組み換え型またはその誘導体であってもよい。ここで、ヒトまたは動物の生物体から全体免疫グロブリンを単離し、それらをタンパク質分解酵素で処理することによって天然型の免疫グロブリンから得ることができる。パパインは、天然型の免疫グロブリンをFab及びFcに切断し、ペプシンは、pF’c及びF(ab)2に切断する。これらの断片は、例えば、FcまたはpF’cを単離するためのサイズ排除クロマトグラフィーに供され得る。
好ましくは、ヒト由来の免疫グロブリンの不変領域を微生物から収得した組み換え型免疫グロブリンの不変領域であってもよい。
本発明のタンパク質結合体は、[生理活性ポリペプチド/非ペプチド性重合体/免疫グロブリンFc領域]の単位構造を一つ以上含んでもよく、ここで、すべての構成要素は共有結合によって線形に連結されてもよい。非ペプチド性重合体は、両末端に反応基を有することができるため、これを介して生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンFc領域にそれぞれ共有結合により連結される。つまり、生理活性ポリペプチドと生理活性プリペプチドの少なくても一つの連結体は共有結合により一つの免疫グロブリンFc領域に連結され、免疫グロブリンFc領域を媒介体として生理活性ポリペプチドのモノマー、ダイマーもしくはマルチマーを形成することができる。これにより生体内活性及び安定性の増加をより効果的に達成しうる。
【0023】
前記非ペプチド性重合体の両末端の反応基は、反応アルデヒドグループ、プロピオンアルデヒドグループ、ブチルアルデヒドグループ、マレイミドグループ及びスクシンイミド誘導体で構成された群から選択されることが望ましい。前記スクシンイミド 誘導体には、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル、スクシンイミジルバレレート、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミド、またはスクシンイミジルカーボネートが用いられてもよい。特に、前記非ペプチド性重合体が両末端に反応アルデヒドグループの反応基を有する場合、生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンFc領域の両末端を非特異的反応を最小化して連結することは効果的である。アルデヒド結合による還元性アルキル化で生成された最終産物は、アミド結合で連結されたものよりもはるかに安定的である。
本発明の非ペプチド性重合体の両末端の反応基は、互いに同様であるか、または異なってもよい。前記非ペプチド性重合体は、両末端にアルデヒド反応基を有するものであってもよく、または一方の末端にはアルデヒドグループ及び他の末端にはマレイミド反応基を有するか、または、一方の末端にはアルデヒドグループ及び他の末端にはスクシンイミド反応基を有してもよいが、これに限定されない。
例えば、前記非ペプチド性重合体は、一方の末端にはマレイミドグループを、他方の末端にはアルデヒドグループ、プロピオンアルデヒドグループまたはブチルアルデヒドグループを有してもよい。また、前記非ペプチド性重合体は、一方の末端にはスクシンイミジルグループを、他方の末端にはプロピオンアルデヒドグループまたはブチルアルデヒドグループを有してもよい。両末端に反応性ヒドロキシ基を有するポリエチレングリコールが非ペプチド性重合体として用いる場合には、前記ヒドロキシ基は公知の化学反応によって、様々な反応基で活性化されてもよく、または変形された反応基を有する商業的に入手可能なポリエチレングリコールを用いて、本発明のタンパク質結合体を製造してもよい。
【0024】
生理活性ポリペプチドと免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体を媒介として連結される場合には、前記非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域のN末端と生理活性ポリペプチドのN末端(アミノ末端)、C末端(カルボキシル末端)、リジン残基、ヒスチジン残基またはシステイン残基の遊離反応基に結合されたものであってもよい。
本発明で使用される用語、「N末端」は、ペプチドのN末端を意味するもので、本発明の目的上、非ペプチド性重合体を含むリンカーと結合しうる位置である。N末端の例として、N末端のアミノ酸残基のみならず、N末端近傍のアミノ酸残基を挙げることができるが、これに限定されない。具体的には、末端から最初~20番目のアミノ酸残基を含んでもよい。
本発明の非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(ポリ乳酸)及びPLGA(ポリ乳酸‐グリコール酸)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸及びこれらの組み合わせで構成された群から選択されてもよく、具体的には、ポリエチレングリコールであってもよいが、これに限定されない。また、当該分野ではすでに知られているこれらの誘導体及び当該分野の技術水準で容易に製造しうる誘導体も、本発明の非ペプチド性重合体の範囲に含まれる。非ペプチド性重合体では、分子量が1kDa~100kDaの範囲、具体的には、1kDa~20kDaの範囲であってもよい。
本発明の生理活性ポリペプチドには、ホルモン、サイトカイン、インターロイキン、インターロイキン結合タンパク質、酵素、抗体、成長因子、転写因子、血液因子、ワクチン、構造タンパク質、リガンドタンパク質または受容体、細胞表面抗原、受容体アンタゴニスト及びこれらの誘導体またはアナログのような様々な生理活性ポリペプチドにより例示しうる。
【0025】
具体的には、前記生理活性ポリペプチドは、ヒト成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、インターフェロン類とインターフェロン受容体類(例:インターフェロン‐α、-β及び‐γ、水溶性タイプ‐I‐インターフェロン受容体など)、コロニー刺激因子、インターロイキン類(例:インターロイキン‐1、‐2、‐3、‐4、‐5、‐6、‐7、‐8、‐9、‐10、‐11、‐12、‐13、‐14、‐15、‐16、‐17、‐18、‐19、‐20、‐21、‐22、‐23、‐24、‐25、‐26、‐27、‐28、‐29、‐30など)とインターロイキン受容体類(例:IL‐1受容体、IL‐4受容体など)、酵素類(例:グルコセレブロシダーゼ、イズロン酸‐2‐スルファターゼ 、α‐ガラクトシダーゼA、アガルシダーゼα、β、α‐L‐イズロニダーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、キチナーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、イミグルセラーゼ、リパーゼ、ウリカーゼ、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ、中性エンドペプチダーゼ、ミエロペルオキシダーゼなど)、インターロイキン及びサイトカイン結合タンパク質類(例:IL‐18bp、TNF結合タンパク質など)、マクロファージ活性因子、マクロファージペプチド、B細胞因子、T細胞因子、タンパク質A、アレルギー抑制因子、細胞壊死糖タンパク質、免疫毒素、リンホトキシン、腫瘍壊死因子、腫瘍抑制因子、転移成長因子、α-1アンチトリプシン、アルブミン、α-ラクトアルブミン、アポリポタンパク質E、赤血球生成因子、糖鎖化された赤血球生成因子、アンジオポエチン類、ヘモグロビン、トロンビン、トロンビン受容体活性ペプチド、トロンボモジュリン、血液因子VII、VIIa、VIII、IX及びXIII、プラスミノーゲン活性因子、フィブリン結合ペプチド、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヒルジン、タンパク質C、C反応性タンパク質、レニン抑制剤、コラゲナーゼ抑制剤、スーパーオキシドジスムターゼ、レプチン、血小板由来成長因子、上皮細胞成長因子、表皮細胞成長因子、アンジオスタチン、アンジオテンシン、骨形成成長因子、骨形成促進タンパク質、カルシトニン、インスリン、オキシントモジュリン、グルカゴン、グルカゴン誘導体、グルカゴン様ペプチド、エキセンジン(エキセンジン4)、アトリオペプチン、軟骨誘導因子、エルカトニン、結合組織活性因子、組織因子経路阻害剤、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、神経成長因子類(例: 神経成長因子、毛様体神経栄養因子、アキソジェネシス因子1、脳性ナトリウム利尿ペプチド、グリア由来神経栄養因子、ネトリン、好中球阻害因子、神経栄養因子、ニュールツリンなど)、副甲状腺ホルモン、リラキシン、セクレチン、ソマトメジン、インスリン様成長因子、副腎皮質ホルモン、グルカゴン、コルレシストキニン、膵臓ポリペプチド、ガストリン放出ペプチド、コルチコトロピン放出因子、甲状腺刺激ホルモン、オートタキシン、ラクトフェリン、ミオスタチン、受容体類、(TNFR (P75)、TNFR (P55)、IL‐1受容体、VEGF受容体、B細胞活性化因子受容体など)受容体アンタゴニスト(IL1‐Raなど)、細胞表面抗原(例:CD2,3,4,5,6,11a、11b、18,19,20,23,25,33,38,40,45,69など)、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片類(例:scFv、Fab、Fab '、F(ab’)2及びFd)及びウイルス由来ワクチン抗原などの様々な種類を含む。
具体的に、本発明の生理活性ポリペプチドは、疾病の治療または予防の目的で人体に投与されるときに投与頻度が高いヒト成長ホルモン、インターフェロン類(インターフェロン‐α、‐β、‐γなど)、顆粒球コロニー刺激因子、赤血球生成因子、血液因子VII、血液因子VIIa、血液因子VIII、インスリン、オキシントモジュリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド類、エキセンジン類、抗体断片類及びそれぞれの誘導体などであってもよい。また、前記生理活性ポリペプチドの天然型と実質的に同等であるか、または増加された機能、構造、活性または安定性を有する限り、任意の変異体または誘導体も本発明の生理活性ポリペプチドの範囲に含まれる。
【0026】
本発明で抗体断片は、特定の抗原に結合しうる能力を有するFab、Fab '、F(ab’)2、FdまたはscFvであってもよく、好ましくはFab 'である。 Fab断片は、軽鎖の可変ドメイン(VL)及び不変ドメイン(CL)と重鎖の可変ドメイン(VH)及び第1不変ドメイン(CH1)を含む。 Fab '断片は、CH1ドメインのカルボキシル末端にヒンジ領域からの一つ以上のシステイン残基を含む数個のアミノ酸残基が付加されているという点でFab断片とは区別される。Fd断片は、VH及びCH1ドメインのみで構成された断片であり、F(ab’)2断片は2分子のFab’断片がジスルフィド結合もしくは化学的反応を介して結合したものである。scFv断片は、VLとVHドメインのみがペプチドリンカーにより互いに連結された単一ポリペプチド鎖である。
また、本発明のタンパク質結合体は、ウシ成長ホルモンまたはブタ成長ホルモンのような動物成長ホルモンの持続型タンパク質製剤及びインターフェロンのような動物の病気治療または予防用の持続型タンパク質製剤の開発にも用いられてもよい。
もう一つの様態として、本発明は、本発明のタンパク質結合体の製造方法を提供する。特に、本発明は、(a)両末端に反応基を有する少なくても一つの非ペプチド性重合体、少なくても一つの生理活性ポリペプチド及び少なくても一つの免疫グロブリンFc領域を共有結合により連結して、タンパク質結合体を製造する段階;及び(b)前記(a)段階で製造された共有結合により連結された生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域を必須的に含み、前記非ペプチド性重合体が免疫グロブリンFc断片のN末端に連結されたタンパク質結合体を分離する段階を含む、位置特異的タンパク質結合体の製造方法を提供する。
【0027】
本発明の免疫グロブリンFc領域は、ダイマーの形態であってもよいが、ホモダイマーまたはヘテロダイマーの形態であってもよい。これにより、本発明のタンパク質結合体を構成する免疫グロブリンFc領域は、一つまたは二つ以上のN末端を含んでもよい。したがって、免疫グロブリンFc領域はN末端を介して少なくても一つの非ペプチド性重合体に連結されてもよい。特に、本発明の免疫グロブリンFc領域は、ホモダイマーの形態であってもよく、これにより免疫グロブリンFc領域のホモダイマーに含まれている二つのN末端を介して、一つまたは二つの非ペプチド性重合体と連結される。この点で、前記非ペプチド性重合体は、それぞれ生理活性ポリペプチドに結合しうるため、タンパク質結合体を構成する。
したがって、本発明のタンパク質結合体は、一つまたは二つ以上の非ペプチド性重合体、一つまたは二つ以上の生理活性ポリペプチド及び一つまたは二つ以上の免疫グロブリンFc領域が共有結合により連結されて製造されうる。
(a)段階で、三つの構成要素の間の共有結合は、順次的にまたは同時に発生しうる。例えば、非ペプチド性重合体の両端にそれぞれ生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンFc領域を結合させる場合には、生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンFc領域のいずれかを先に非ペプチド性重合体の一方の末端に連結させ、その後、残りの成分を非ペプチド性重合体の他方の末端に連結させる。この方法は、所望のタンパク質結合体以外の副産物の生成が最小限に抑えられ、タンパク質結合体が高純度で調製される点で有利である。
したがって、前記(a)段階は、
(i)非ペプチド性重合体の一方の末端に免疫グロブリンFc領域の特定位置または生理活性ポリペプチドを共有結合により連結させる段階;
(ii)前記反応混合物から非ペプチド性重合体に免疫グロブリンFc領域の特定位置または生理活性ポリペプチドが連結して製造された連結体を均質に分離する段階;及び
(iii)分離された連結体の非ペプチド性重合体の他方の末端に生理活性ポリペプチドまたは免疫グロブリンFc領域の特定位置を連結させたタンパク質結合体を生成する段階を含んでもよい。
【0028】
一方、本発明で、前記(a)段階は、(a1)非ペプチド性重合体の一方の末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドのいずれかに共有結合により連結させて連結体を製造する段階;及び(a2)前記(a1)段階で製造された連結体を分離して、生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンFc領域の他の一つに共有結合により分離された連結体の非ペプチド性重合体の他方の末端を連結する段階を含むものであってもよい。
具体的に、前記(a)段階は、(a1’)非ペプチド性重合体の一方の末端を免疫グロブリンFc領域に共有結合により連結させて連結体を製造する段階;及び(a2’)前記(a1’)段階で製造された連結体を分離して、生理活性ポリペプチドに共有結合により分離された連結体の非ペプチド性重合体の他方の末端を連結する段階を含むものであってもよい。
または、前記(a)段階は、(a1’')非ペプチド性重合体の一方の末端を生理活性ポリペプチドに共有結合により連結させて連結体を製造する段階;及び(a2’')前記(a1’')段階で製造された連結体を分離して、生理活性ポリペプチドに共有結合により分離された連結体の免疫グロブリンFc領域の他方の末端を連結する段階を含むものであってもよい。
本発明の(a1)、(a1’)または(a1’')の段階で、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体との間の反応モル比が1:1~1:30であり、免疫グロブリンFc領域と非ペプチド性重合体との間の反応モル比が1:1~1:20であってもよい。具体的には、(a1’)段階で、免疫グロブリンFc領域と非ペプチド性重合体との間の反応モル比が1:1~1:20であり、特に1:1~1:15、1:1~1:10または1:1~1:4の範囲であってもよい。(a1’')段階で、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体との間の反応モル比が1:1~1:30であり、特に1:1~1:15、1:1~1:10の範囲であってもよい。前記反応モル比に基づいて、製造収率及びコストが最適化されうる。
【0029】
本発明の(a1)、(a1’)または(a1’’)段階は、pH 4.0~9.0の条件で行われてもよく;(a1)、(a1’)または(a1’’)段階は、4.0℃~25℃の温度で行われてもよく;(a1)、(a1’)または(a1’’)段階で、免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの反応濃度は、0.1mg/ml~100mg/mlであってもよい。
本発明の(a2)、(a2’)または(a2’’)段階で、連結体と疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドとの間の反応モル比が1:0.1~1:20であってもよく、特に1:0.2~1:10の範囲であってもよい。具体的に、(a2 ')段階で、連結体と生理活性ポリペプチドとの間の反応モル比が1:0.1~1:20であってもよく、及び(a2' ')段階で、連結体と免疫グロブリンFc領域との間の反応モル比が1:0.1~1:20であってもよい。前記反応モル比に基づいて、製造収率及びコストを最適化されうる。
本発明で、(a2)、(a2’)または(a2’’)段階は、pH4.0~9.0の条件で行われてもよく;(a2)、(a2’)または(a2’’)段階は、4.0℃~25℃の温度で行われてもよく;(a2)、(a2’)または(a2’’)段階で、免疫グロブリンFc領域または生理活性プリペプチドの反応濃度は、0.1mg/ml~100mg/mlの範囲であってもよい。
【0030】
一方、本発明の製造方法は、(a’)非ペプチド性重合体の一方の末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドのいずれかに共有結合により連結して連結体を製造する段階であって、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体との間の反応モル比が、1:1~1:30であり、免疫グロブリンFc領域と非ペプチド性重合体との間の反応モル比が、1:1~1:20であり、還元剤が1mM~100mMの範囲で含まれ、反応が、pH4.0~9.0の条件、4.0℃~25℃の温度で行われ、免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの反応濃度が、0.1mg/ml~100mg/mlで行われる段階;
(b’)前記(a’)段階で製造された連結体を分離して、分離された連結体の非ペプチド性重合体の他方の末端に生理活性ポリペプチドまたは免疫グロブリンFc領域の他の一つと共有結合により連結する段階であって、連結体と免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドとの間の反応モル比が、1:0.1~1:20であり、還元剤が1mM~100mMの範囲で含まれ、反応が、pH4.0~9.0の条件、4.0℃~25℃の温度で行われ、免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの反応濃度が、0.1mg/ml~100mg/mlで行われる段階;及び
(c’)前記(b’)段階で製造された共有結合により連結された生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域を必須的に含み、前記非ペプチド性重合体が免疫グロブリンFc領域のN末端に連結されたタンパク質結合体を分離する段階を含む、位置特異的タンパク質結合体の製造方法であってもよいが、これに限定されない。
本発明の(a1)、(a1’)、(a1’’)、(a2)、(a2’)及び(a2’’)段階の反応は、反応に参加する非ペプチド性重合体の両末端の反応基の種類を考慮して、必要に応じて還元剤の存在下で行われてもよい。本発明の還元剤は、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3)、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンホウ酸塩及びピリジンホウ酸塩であってもよい。この点で、本発明で還元剤(例:シアノ水素化ホウ素ナトリウム)の濃度、反応溶液の温度、pH及び反応に参加する生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンFc領域の全体濃度が製造収率と純度に重要である。高純度の均一な結合体の生成を最大にするために、多様な条件の組み合わせが必要である。製造しようとする生理活性ポリペプチドの特性に応じて、多様な条件が可能であり、制限されないが、還元剤(例:シアノ水素化ホウ素ナトリウム)は、1mM~100mMの範囲で含まれ、反応溶液は0℃~25℃の温度、pH4.0~9.0の条件であってもよく、反応タンパク質の濃度(反応時に含まれる免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの濃度)は5mg/ml~100mg/mlの範囲であってもよい。
【0031】
一方、(a2)、(a2 ')及び(a2' ')段階で連結体を分離することは、分離された連結体に要求される純度、疎水性、分子量及び電荷量のような特性を考慮して、タンパク質の分離に用いられる通常の方法の中で、必要に応じて適宜選択して行ってもよい。例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーを含む様々な公知の方法を適用して行ってもよく、必要に応じてはより高い純度に連結体を精製するために複数の異なる方法を組み合わせて用いてもよい。
製造しようとする生理活性ポリペプチドの特性に応じて、多様な条件が可能である。しかし、非ペプチド性重合体に連結された免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの連結体を分離するために、サイズ排除クロマトグラフィーが一般的に行われる。今後のスケールアップと望ましい特定位置ではない他の位置に非ペプチド性重合体が結合された異性体もしくは製造中に生成されることもある少量の変性体を分離するためには、親和性クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーが用いられてもよい。
【0032】
本発明で、前記(b)段階は、最終的に高純度の結合体を精製するために疎水性、分子量及び電荷量のような特性を考慮して、タンパク質の分離に用いられる通常の方法の中で、必要に応じて適宜選択して行ってもよい。例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーを含む様々な公知の方法を適用してもよく、必要に応じてより高い純度に結合体を精製するために、複数の異なる方法を組み合わせて用いてもよい。生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体及びFc不変領域からなる 所望の結合体の性質に応じて、様々な分離条件が可能である。しかし、生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体の両末端にそれぞれ共有結合により連結された結合体を分離するためには、サイズ排除クロマトグラフィーが一般的に行われる。しかし、今後のスケールアップと望ましい位置ではない他の位置に非ペプチド性重合体を含む生理活性ポリペプチドまたは免疫グロブリンFc領域が連結された異性体または副反応物質、製造中に生成されることもある少量の変性体、未反応生理活性ポリペプチド、非ペプチド重合体及び免疫グロブリンFc領域などを効果的に分離するためには、疎水性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーまたは親和性クロマトグラフィーを組み合わせたものであってもよい。特に、疎水性クロマトグラフィーとイオン交換クロマトグラフィーを組み合わせる方法であってもよく、多数の疎水性クロマトグラフィーの組み合わせ、または多数のイオン交換クロマトグラフィーの組み合わせも可能である。製造しようとする結合体によってはイオン交換クロマトラフィーまたは疎水性クロマトグラフィーを単独で使用する方法も可能である。
【0033】
本発明で、イオン交換クロマトグラフィーは、特定pHでタンパク質が電荷性を帯びることを用いて、電荷を帯びたイオン樹脂が固定されたクロマトグラフィーを通過させて、タンパク質の移動速度の差を用いてタンパク質を分離するものであって、陰イオン交換クロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーであってもよい。
前記陰イオン交換クロマトグラフィーは、陽イオン樹脂を用いるもので、該当陰イオン交換クロマトグラフィーを構成する樹脂の官能基が、 第四級アンモニウム(Q)、 第四級アミノエチル(QAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、ポリエチレンイミン(PEI)、ジメチルアミノメチル(DMAE)及びトリメチルアミノエチル(TMAE)からなる群から選択されるいずれか一つであってもよいが、これに限定されない。
また、前記陽イオン交換クロマトグラフィーは、陰イオン樹脂を用いるもので、該当陽イオン交換クロマトグラフィーを構成する樹脂の官能基が、メチルスルホネート(S)、スルホプロピル(SP)、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)及びポリアスパラギン酸からなる群から選択されるいずれか一つであってもよいが、これに限定されない。
本発明で、疎水性クロマトグラフィーを構成する樹脂の官能基が、フェニル、オクチル、(イソ)プロピル、ブチル及びエチルからなる群から選択されるいずれか一つであってもよいが、これに限定されない。
本発明で、サイズ排除クロマトグラフィーを構成する樹脂が、スーパーデックス、セファクリル、スーパーロース及びセファデックスからなる群から選択されるいずれか一つであってもよいが、これに制限されない。
さらに、本発明の親和性クロマトグラフィーは、リガンドが固定された 樹脂のタンパク質と相互作用しうるリガンドとタンパク質との相互作用に起因するタンパク質の移動速度の差を用い、タンパク質を分離する。前記親和性クロマトグラフィーを構成する樹脂の官能基は、プロテインA、ヘパリン、ブルー、ベンズアミジン、金属イオン(コバルト、ニッケル、銅)及び非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域及び生理活性ポリペプチドと連結されたタンパク質結合体の構成成分の一部あるいは全体に対する抗体からなる群から選択されるいずれか一つであってもよいが、これに限定されない。
【0034】
本発明で、(b)段階は、非ペプチド性重合体と免疫グロブリンFc領域が免疫グロブリンFc領域のN末端を介し互いに連結されたタンパク質結合体を分離する。
もう一つの様態として、本発明は、90%以上のN末端選択性を有するタンパク質結合体の製造方法を提供する。具体的に、本発明に係る製造方法によって製造されたタンパク質結合体は、非ペプチド性重合体の一方の末端が免疫グロブリンFc領域のN末端に90%以上の選択的で連結でき、より具体的には、95%以上、さらに具体的には、98%以上、よりさらに具体的には、99%以上で選択的に連結されてもよいが、これに限定されない。
本発明で使用される用語、「90%以上のN末端選択性で連結」ということは、本発明に係る一連の反応で得られたタンパク質結合体の画分を精製して製造したタンパク質結合体の90%以上がFc領域のN末端に位置特異的に非ペプチド性重合体が連結されてことを意味する。本発明で使用される用語、「90%以上」とは、v/v、w/w、ピーク/ピークを意味することができ、特定単位に制限されるものではない。Fc領域のN末端に位置特異的に連結された非ペプチド性重合体を含むタンパク質結合体の収率は、反応条件、非ペプチド性重合体の反応基によって変化しうる。
本発明の実施例では、様々な生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体、及びFc結合体の製造を通じて、本発明に係る製造方法で90%以上のN末端選択性を有するタンパク質結合体を製造しうることを確認した。
もう一つの様態として、本発明は、前記タンパク質結合体または前記タンパク質結合体の製造方法によって製造されたタンパク質結合体を有効成分として含む、生理活性ポリペプチドの生体内持続性及び安定性が増加した薬学的組成物を提供する。
具体的に、前記薬学的組成物には、本発明の生理活性ポリペプチド‐非ペプチド性重合体‐免疫グロブリンFc領域のN末端を含むタンパク質結合体が90%以上、より具体的には、95%以上、さらに具体的には98%以上、よりさらに具体的には、99%以上で含まれてもよいが、これに限定されない。前記「90%以上」とは、v/v、w/w、ピーク/ピークなどを意味することができ、特定単位に制限されるものではない。
前記薬学的組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含んでもよい。
【0035】
本発明の薬学的組成物は、経口、経皮、皮下、静脈または筋肉を含むいくつかの経路を介して投与されてもよく、好ましくは注射剤の形態として投与されてもよい。また、本発明の薬学的組成物は、哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、持続または遅延された放出が提供できるように、当業界でよく知られている方法を用いて剤形化されてもよい。剤形は、錠剤、丸剤、粉末、サシェ剤(sachet)、 エリキシル(elixir)、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル、軟質または硬質ゼラチンカプセル、滅菌注射溶液、滅菌粉末などの形態であってもよい。製剤化に適した担体、賦形剤及び希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、でん粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウムまたは鉱物油などが用いられてもよい。また、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、防腐剤などをさらに含んでもよい。
本発明のタンパク質結合体の実際の投与量は、治療疾患、投与経路、患者の年齢、性別及び体重、及び疾患の重症度などの様々な関連因子と一緒に、活性成分である生理活性ポリペプチドの種類に応じて決定される。本発明のタンパク質結合体は、血中持続性と生体内の力価が非常に優れるため、本発明のタンパク質結合体を含むペプチド製剤の投与量、投与回数及び頻度を著しく減少させうる。
【0036】
もう一つの様態として、本発明は、前記製造方法で製造されたタンパク質結合体を90%以上で含むタンパク質結合体の集合体を提供する。
本発明で使用される用語、「結合体の集合体」、「集合体」は、混用されて用いることができ、Fc領域のN末端に非ペプチド性重合体が連結されたタンパク質結合体及び/またはFc領域のN末端ではなく他の部位に非ペプチド性重合体が連結されたタンパク質結合体を含むタンパク質結合体群を意味する。
前記集合体は、Fc領域のN末端に非ペプチド性重合体が連結されたタンパク質結合体のみを含んでもよく、Fc領域のN末端ではなく他の部位に非ペプチド性重合体が連結されたタンパク質結合体を一緒に含んでもよい。具体的に、前記集合体に含まれるFc領域のN末端ではない領域に非ペプチド性重合体が連結されたタンパク質結合体の割合は、90%以上であってもよく、より具体的には、95%以上、さらに具体的には、98%以上、よりさらに具体的には、99%以上であってもよいが、これに限定されない。前記「90%以上」とは、v/v、w/w、ピーク/ピークなどを意味することができ、特定単位に制限されるものではない。
本発明の目的上、前記集合体は、本発明の製造方法を通じて製造したタンパク質結合体から不純物、未反応物質などを除去して、Fc領域のN末端に非ペプチド性重合体が結合したタンパク質結合体の比率を高めた集合体を意味しうる。また、90%以上のN末端選択性を有する結合体の製造方法により製造された集合体であってもよいが、これに制限されない。本発明の方法によって効率的に精製されうる。
【0037】
(実施例)
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、ひたすら本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されるものではない。
実施例1:インターフェロンアルファ(IFNα)‐PEG‐免疫グロブリンFcのN末端領域の結合体の製造
1-1.IFNα-PEG連結体の製造
両末端にアルデヒド反応基を有する分子量3.4kDaのポリエチレングリコール(PEG)であるALD‐PEG‐ALD(IDB、韓国)をヒトインターフェロンアルファ-2b(hIFNα-2b、分子量19kDa)が5mg/ml濃度で溶解された100mMリン酸緩衝溶液にhIFNα:PEGのモル比がそれぞれ1:5~1:10になるように添加した。ここで、還元剤であるシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を最終濃度20mMになるように添加し、4~8℃でゆっくり攪拌しながら約1時間反応させた。インターフェロンアルファのアミノ末端部位に選択的にPEGが連結され、PEGとインターフェロンアルファが1:1の比率で互いに連結された連結体を得るために、前記反応混合物はSP HP(GE healthcare、米国)陰イオン交換クロマトグラフィーを行い、高純度でIFNα-PEG連結体を精製した。
1-2.IFNα-PEG-Fc結合体の製造
実施例1-1で精製したIFNα-PEG連結体を免疫グロブリンFcのN末端のプロリン残基に連結させるために、前記免疫グロブリンFc断片をIFNα-PEG連結体:免疫グロブリンFcのモル比が1:1~1:4になるように添加して反応させた。反応液を100mMリン酸緩衝溶液(pH5.5~6.5)で作り、還元剤としてシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を最終濃度が20~50mMになるように添加した。前記反応は4~8℃で約12~16時間、ゆっくり攪拌しながら行った。
1-3.IFNα-PEG-Fc結合体の分離及び精製
実施例1-2の結合反応後、未反応物質及び副産物を除去し、生成されたIFNα-PEG-Fcタンパク質結合体を精製するために、反応混合物を10mM Tris(pH7.5)に緩衝液交換した後、Source Q(GE healthcare、米国)陰イオン交換クロマトグラフィーカラムに通過させて未反応Fcを除去し、IFNα-PEG-Fcタンパク質結合体の分画を得た。具体的には、反応液を10mM Tris(pH7.5)で平衡化させたSource Qカラムに適用し、50mM塩化ナトリウム(NaCl)を含む20mM Tris(pH7.5)緩衝溶液を使用して等溶媒洗浄により不純物を削除した。その後、150mM塩化ナトリウム(NaCl)を含む緩衝溶液の濃度勾配で、IFNα-PEG-Fcタンパク質結合体を溶出した。得られたIFNα-PEG-Fcタンパク質結合体の画分には、不純物として少量の未反応Fc及びインターフェロンアルファのダイマーが存在した。前記不純物を除去するためにSource iso(GE healthcare、米国)疎水性クロマトグラフィーをさらに行った。具体的には、Source iso(GE healthcare、米国)を約1.3Mの硫酸アンモニウムを含む20mMリン酸カリウム(pH6.0)緩衝溶液で平衡化させた後、精製されたIFNα-PEG-Fcタンパク質結合体の分画を適用した。最終的に、20mMリン酸カリウム(pH6.0)緩衝溶液を用いた直線濃度勾配の方法で高純度のIFNα-PEG-Fcタンパク質結合体を精製した。
製造されたIFNα-PEG-Fcタンパク質結合体のFc領域のN末端選択性は、ペプチドマッピング分析法で確認し、選択性は90%以上であった。
【0038】
実施例2:ヒト成長ホルモン(hGH)‐PEG‐Fc結合体の製造
2-1.hGH‐PEG連結体の製造
両末端にアルデヒド反応基を有する分子量3.4kDaのポリエチレングリコールであるALD‐PEG‐ALD(IDB、韓国)をヒト成長ホルモン(hGH、分子量22kDa)が5mg/ml濃度で溶解された100mMリン酸緩衝溶液にhGH:PEGのモル比がそれぞれ1:5~1:10になるように添加した。ここで、還元剤であるシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を最終濃度20mMになるように添加し、4~8℃でゆっくり攪拌しながら約1時間反応させた。ヒト成長ホルモンのアミノ末端部位に選択的にPEGが連結され、PEGとhGHが1:1の比率で互いに連結された連結体を得るために、前記反応混合物はSource Q(GE healthcare、米国)陰イオン交換クロマトグラフィーを行い、高純度のhGH-PEGを精製した。
2-2.hGH-PEG-Fc結合体の製造
実施例2-1で精製したhGH-PEG連結体を免疫グロブリンFcのN末端に連結させるために、前記免疫グロブリンFc断片をhGH-PEG連結体:免疫グロブリンFcのモル比が1:1~1:4になるように添加して反応させた。反応液を100mMリン酸緩衝溶液(pH5.5~6.5)で作り、還元剤としてシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を最終濃度20mMになるように添加した。前記反応は、4~8℃でゆっくり攪拌しながら行った。
2-3.hGH-PEG-Fc結合体の分離及び精製
実施例2-2の結合反応後、未反応物質及び副産物を除去し、生成されたhGH-PEG-Fcタンパク質結合体を精製するために、反応混合物を10mM Tris(pH7.5)に緩衝液交換した後、Source Q(GE healthcare、米国)陰イオン交換クロマトグラフィーカラムに通過させて未反応Fcを除去し、hGH-PEG-Fcタンパク質結合体の分画を得た。具体的には、反応液を10mM Tris(pH7.5)で平衡化させたSource Qカラムに適用し、70mM塩化ナトリウム(NaCl)を含む20mM Tris(pH7.5)緩衝溶液を用いて等溶媒洗浄により不純物を除去した。その後、150mM塩化ナトリウムを含む20mM Tris(pH7.5)緩衝溶液の濃度勾配で、高純度のhGH-PEG-Fcタンパク質結合体を溶出した。製造されたhGH-PEG-Fcタンパク質結合体のFc領域のN末端選択性は、ペプチドマッピング分析法で確認し、選択性は90%以上であった。
【0039】
実施例3:ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)‐PEG‐Fc結合体の製造
天然型G‐CSFの17番目及び65番目のアミノ酸がセリンに置換された誘導体(17、65S‐G‐CSF)を用いて、17、65S‐G‐CSF-PEG-Fcタンパク質結合体を製造及び精製した。
3-1.
17、65
S‐G‐CSF-PEG連結体の製造
両末端にアルデヒド反応基を有する分子量3.4kDaのポリエチレングリコールであるALD‐PEG‐ALD(IDB、韓国)を17、65S‐G‐CSF(分子量18kDa)が5mg/ml濃度で溶解された100mMリン酸緩衝溶液にG‐CSF:PEGのモル比がそれぞれ1:5~1:10になるように添加した。ここで、還元剤であるシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を最終濃度20mMになるように添加し、4~8℃でゆっくり攪拌しながら約1時間反応させた。ヒト顆粒球コロニー刺激因子のアミノ末端部位に選択的にPEGが連結され、PEGとG‐CSFが1:1の比率で互いに連結された連結体を得るために、前記反応混合物はSP HP(GE healthcare、米国)陽イオン交換クロマトグラフィーを行い、高純度で17、65S‐G‐CSF-PEG連結体を精製した。
3-2.
17、65
S‐G‐CSF-PEG-Fc結合体の製造
実施例3-1で精製した17、65S‐G‐CSF-PEG連結体を免疫グロブリンFcのN末端に連結させるために、前記免疫グロブリンFc断片を17、65S‐G‐CSF-PEG連結体:免疫グロブリンFcのモル比が1:1~1:4になるように添加して反応させた。反応液を100mMリン酸緩衝溶液(pH5.5~6.5)で作り、還元剤としてシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を最終濃度20mMになるように添加した。前記反応は、4~8℃でゆっくり攪拌しながら行った。
3-3.
17、65
S‐G‐CSF-PEG-Fc結合体の分離及び精製
実施例3-2の結合反応後、未反応物質及び副産物を除去し、生成された17、65S‐G‐CSF-PEG-Fcタンパク質結合体を精製するために、反応混合物を2M NaClが含まれた10mM Tris(pH8.0)で平衡化させたSource phenylカラムを通過させた。不純物を除去するために、20mM Tris(pH8.0)緩衝溶液の濃度勾配で17、65S‐G‐CSF-PEG-Fcタンパク質結合体を精製した。得られた17、65S‐G‐CSF-PEG-Fcタンパク質結合体の画分には、不純物として少量の未反応免疫グロブリンFc及び17、65S‐G‐CSFダイマーが存在した。前記不純物除去するためにQ HP(GE healthcare 、米国)陰イオンクロマトグラフィーをさらに行った。 Q HP(GE healthcare、米国)を20mM Tris(pH8.0)緩衝溶液で平衡化させた後、精製された17、65S‐G‐CSF-PEG-Fcタンパク質結合体の分画をそれに適用した。最終的に、1M塩化ナトリウムを含む20mM Tris(pH8.0)緩衝溶液を用いた直線濃度勾配の方法で高純度の17、65S‐G‐CSF-PEG-Fcタンパク質結合体を精製した。製造された17、65S‐G‐CSF-PEG-Fcタンパク質結合体のFc領域のN末端選択性は、ペプチドマッピング分析法で確認し、選択性は90%以上であった。
【0040】
実施例4:ヒト赤血球生成因子(EPO)‐PEG‐Fc結合体の製造
4-1.ヒト赤血球生成因子(EPO)‐PEG連結体の製造
両末端にアルデヒド反応基を有する分子量3.4kDaのポリエチレングリコールであるALD‐PEG‐ALD(IDB、韓国)をヒト赤血球生成因子(EPO、分子量30.6kDa)が5mg/ml濃度で溶解された100mMリン酸緩衝溶液にEPO:PEGのモル比が1:15になるように添加した。ここで、還元剤であるシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を最終濃度20mMになるように添加し、4~8℃でゆっくり攪拌しながら約2時間反応させた。ヒト赤血球生成因子のアミノ末端部位に選択的にPEGが連結され、PEGとヒト赤血球生成因子が1:1の比率で互いに連結された連結体を得るために、前記反応混合物はSP HP(GE healthcare、米国)陽イオン交換クロマトグラフィーを行い、EPO-PEGを含むメイン画分を精製した。
4-2.EPO‐PEG‐Fc結合体の製造
実施例4-1で精製したEPO-PEG連結体を免疫グロブリンFcのN末端に連結させるために、前記免疫グロブリンFc断片をEPO-PEG連結体:Fcのモル比が1:4になるように添加して反応させた。反応液を100mMリン酸緩衝溶液(pH5.5~6.5)で作り、還元剤としてシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を最終濃度が20mMになるように添加した。前記反応は、4~8℃でゆっくり攪拌しながら約12~16時間行った。
4-3.EPO‐PEG Fc結合体の分離及び精製
実施例4-2の結合反応後、未反応物質及び副産物を除去し、生成されたEPO-PEG-Fcタンパク質結合体を精製するために、反応混合物をSource Q(GE healthcare、米国)陰イオン交換クロマトグラフィーカラムに通過させて未反応Fcを除去し、EPO-PEG-Fcタンパク質結合体の分画を得た。 Source Q精製は、反応液を20mM Tris(pH7.5)緩衝液で平衡化させたSource Qカラムに適用し、1M塩化ナトリウム(NaCl)を含む緩衝溶液の濃度勾配でEPO-PEG-Fcタンパク質結合体を精製した。得られたEPO-PEG-Fcタンパク質結合体の画分には、不純物として少量の未反応Fc及びEPOダイマーが存在した。前記不純物を除去するためにSource iso(GE healthcare、米国)疎水性クロマトグラフィーをさらに行った。具体的には、Source iso(GE healthcare、米国)を1.6M硫酸アンモニウムを含む50mM Tris(pH7.5)緩衝溶液で平衡化させた後、精製されたEPO-PEG-Fcタンパク質結合体の分画を適用した。最終的に、50mM Tris(pH7.5)緩衝溶液を用いた直線濃度勾配の方法で高純度のEPO-PEG-Fcタンパク質結合体を精製した。製造されたEPO-PEG-Fcタンパク質結合体のFc領域のN末端選択性は、ペプチドマッピング分析法で確認し、選択性は90%以上であった。
【0041】
実施例5:ヒトインスリン‐PEG-Fc結合体の製造
5-1.インスリン‐PEG連結体の製造
インスリン粉末を10mM HCl溶液に溶解させた後、3.4K Protion-ALD2 PEG(プロピオンアルデヒド基を二つ有するPEG、IDB、韓国)をインスリンベータ鎖のN末端にPEG化(PEGylation)させるために、インスリン:PEGのモル比を1:2とし、インスリン濃度を5mg/mlとして4℃~室温で約2時間反応させた。この反応は50mMクエン酸ナトリウムpH6.0、45%イソプロパノールで行われ、2~20mMのシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を添加して反応させた。反応液は、クエン酸ナトリウム(pH3.0)及び45%EtOHを含む緩衝液とKCl濃度勾配を用いたSP HP(GE Healthcare)カラムを用いて精製した。
5-2.インスリン‐PEG‐Fc結合体の製造
インスリン‐PEG‐Fc結合体を製造するために、実施例5-1で製造されたモノPEG化されたインスリンとFcはモル比が約1:1になるようにして、全体のタンパク質濃度を、20mg/ml~50mg/mlにして、20℃~25℃で約15時間~17時間反応させた。この時、反応液は、100mM HEPES、22mMリン酸カリウム及び10%エタノール、pH7.5~8.5であり、還元剤である20mMシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を添加した。
5-3.インスリン‐PEG‐Fc結合体の分離及び精製
反応が終結した後、反応液をSource Q(GE Healthcare)カラムに通過させてTris-HCl(pH7.5)緩衝液とNaCl濃度勾配を用いて、未反応インスリン、未反応免疫グロブリンFc断片、インスリン‐PEG‐Fc結合体、及びモノPEG化されたインスリンが二つ以上結合した結合体を分離及び精製した。この時、インスリン‐PEG‐免疫グロブリンFc断片結合体の製造比率は、精製クロマトグラフィーの280nmでのUV吸光度を観察して決定した。
その後、Source iso(GE Healthcare)を2次カラムとして用いて、残留した免疫グロブリンFc及びマルチPEG化されたインスリン結合体を除去した。
この場合、溶出はTris-HCl(pH7.5)が含まれた硫酸アンモニウムの濃度勾配を用いて行い、高純度のインスリン‐PEG‐Fc結合体を精製した。製造されたインスリン‐PEG‐Fc結合体のFc領域のN末端選択性は、ペプチドマッピング分析法で確認し、選択性は90%以上であった。
【0042】
実施例6:エキセンジン4誘導体(CA‐エクセンジン4)‐PEG‐Fc結合体の製造
6-1.CA‐エキセンジン4連結体の製造
インスリン粉末を10mM HClに溶解させた後、3.4K Propion-ALD2 PEG(プロピオンアルデヒド基を二つ有するPEG、IDB、韓国)をCA‐エキセンジン4のリジン位置にPEG化させるために、CA‐エキセンジン4 :PEGのモル比を1:5~1:15とし、CA‐エキセンジン4濃度を6~12mg/mlとして4~8℃から常温で約4~12時間反応させた。この反応は0.1M HEPES pH7.5~8.5、45%イソプロパノールで行われ、2~20mMのシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を添加して反応させた。反応液は、クエン酸ナトリウム(pH2.0)及び45%EtOHを含む緩衝液とKCl濃度勾配を用いたSource S(GE Healthcare)カラムを用いて精製した。
6-2.CA-エキセンジン4‐PEG‐Fc結合体の製造
CA-エキセンジン4‐PEG‐Fc結合体を製造するために、実施例6-1で製造されたモノPEG化されたCA‐エキセンジン4にFcを添加して、全体のタンパク質濃度を10~50mg/mlにして、4℃~8℃で約12時間~17時間反応させた。この時、反応液は、0.1Mリン酸カリウム、pH5.5~8.5であり、還元剤である20mMシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を添加した。
6-3.CA-エキセンジン4‐PEG‐Fc結合体の分離及び精製
反応が終結した後、反応液をSource phenyl(GE Healthcare)カラムに通過させてTris‐HCl(pH7.5)緩衝液とNaCl濃度勾配を用いて、未反応免疫グロブリンFc断片を分離及び精製した。この時、CA‐エキセンジン4‐PEG‐免疫グロブリンFc断片結合体の製造比率は、精製クロマトグラフィーの280nmでのUV吸光度を観察して決定した。
その後、Source Q(GE Healthcare)を2次カラムとして用いて、残留した免疫グロブリンFc及びマルチPEG化されたCA‐エキセンジン4結合体を除去した。この場合、溶出はTris‐HCl(pH7.5)が含まれたNaClの濃度勾配を用いて行い、高純度のCA‐エキセンジン4‐PEG‐Fc結合体を精製した。製造されたCA‐エキセンジン4‐PEG‐Fc結合体のFc領域のN末端選択性は、ペプチドマッピング分析法で確認し、選択性は90%以上であった。
【0043】
実施例7:反応基の種類が異なるPEGを用いたタンパク質結合体の製造
7-1.
17、65
S‐G‐CSF‐PEG連結体の製造
両端にスクシンイミジルα-メチルブタノエート(SMB)反応基を有する分子量3.4kDaのポリエチレングリコール(PEG)であるSMB‐PEG‐SMB(Nektar、米国)を17、65S‐G‐CSF(分子量18kDa)が10mg/ml濃度で溶解された20mMリン酸緩衝溶液(pH8.0)にG‐CSF:PEGのモル比が1:3になるように添加し、常温でゆっくり攪拌しながら30分間反応させた。17、65S‐G‐CSFのアミノ末端に選択的にPEGが連結され、PEGと17、65S‐G‐CSFが1:1の比率で互いに連結された連結体を得るために、前記反応混合物をSP HP(GE Healthcare 、米国)陽イオン交換クロマトグラフィーに適用させた。
7-2.
17、65
S‐G‐CSF‐PEG‐Fc結合体の製造
実施例7-1で精製された17、65S‐G‐CSF‐PEG連結体に免疫グロブリンFcのN末端以外の領域を連結させるために、前記免疫グロブリンFc断片を17、65S‐G‐CSF‐PEG連結体:免疫グロブリンFcのモル比が1:4~1:8になるように添加して反応させた。前記反応は、ゆっくり攪拌しながら、常温で約2時間、20mMリン酸緩衝液(pH5.5~6.5)で行った。
7-3.
17、65
S‐G‐CSF‐PEG‐Fc結合体の分離及び精製
実施例7-2の結合反応後、未反応物質及び副産物を除去し、生成された17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fcタンパク質結合体を精製するために、反応混合物をQ HP(GE Healthcare、米国)陰イオン交換クロマトグラフィーカラムに通過させて未反応Fcを除去し、17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fcタンパク質結合体の分画を得た。Q HP精製は、反応液を20mM Tris(pH8.0)緩衝液で平衡化させたQ HPカラムに適用し、1M塩化ナトリウム(NaCl)を含む緩衝溶液の濃度勾配で17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fcタンパク質結合体を精製した。得られた17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fcタンパク質結合体画分には、不純物として少量の未反応Fc及び17、65S‐G‐CSFダイマーが存在した。前記不純物を除去するためにSource iso(GE Healthcare、米国)疎水性クロマトグラフィーをさらに行った。Source iso(GE Healthcare、米国)を1.2M硫酸アンモニウムを含む50mM Tris(pH7.5)緩衝溶液を用いた直線濃度勾配の方法で高純度の17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fcタンパク質結合体を精製した。製造された17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fcタンパク質結合体のFc領域のN末端選択性は、ペプチドマッピング分析法で確認し、選択性は90%以上であった。
【0044】
実施例8:反応基の種類が異なるPEGを用いたタンパク質結合体の製造
本発明者は、既出願した(特許文献3)FacVIIの誘導体であるFacVII‐ATKAVCを用いてFacVII‐ATKAVC‐PEG‐Fc結合体を製造した。
8-1.PEG‐Fc結合体の分離及び精製
まず、マレイミド‐10kDa‐PEG‐アルデヒド(NOF、日本)のアルデヒド反応基を免疫グロブリンFc断片のN末端に連結するために、100mMリン酸緩衝液(pH5.5~6.5)の条件下で、前記免疫グロブリンFc領域とマレイミド‐10kDa PEG‐アルデヒドを1:1のモル比で混合し、タンパク質濃度10mg/mlの条件下で還元剤である20mMシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を添加した。前記反応は、低温(4~8℃)で約2時間反応させた。モノPEG化された免疫グロブリンFc断片(マレイミド‐10kDa PEG‐Fc)を得るために、Source Q(GE Healthcare、米国)陰イオンクロマトグラフィーを用い、溶出は、20mMトリス緩衝液pH7.5で塩化ナトリウムの濃度勾配で行った。
8-2.FacVII‐ATKAVC‐PEG‐Fc結合体の製造
FacVII‐ATKAVCは10mMグリシルグリシン緩衝液、pH5.5の条件で還元剤である0.5~2mMトリフェニルホスフィン‐3,3’,3’’トリスルホン酸トリナトリウム塩水和物を加え、室温で約2時間反応させてC末端を還元させた。C末端が還元されたFacVII‐ATKAVCとモノPEG化された免疫グロブリンFc断片(マレイミド‐10kDa PEG‐Fc)を1:4~1:20のモル比で混合して、総タンパク質濃度1~2mg/mlで50mMトリス緩衝液、pH7.5の条件下で、約2時間、室温で反応させた。
8-3.FacVII‐ATKAVC‐PEG‐Fc結合体の分離及び精製
実施例8-2の反応液は、Source Q陰イオンクロマトグラフィーを行い、緩衝液20mMトリス緩衝液、pH7.5で塩化ナトリウムの濃度勾配でFacVII‐ATKAVC‐10k PEG‐Fc結合体を溶出した。FacVII‐ATKAVC‐PEG‐Fc結合体のFacVIIを活性化させるために、反応は、0.1M Tris‐HCl緩衝液、pH8.0でFacVIIの約4mg/mlの条件下で約18時間、低温(4~8℃)で行った。最終的に、10mMグリシルグリシン緩衝液、pH5.5でスーパーデックス200を用いてサイズ排除クロマトグラフィー(GE Healthcare、米国)により高純度のFacVIIa‐ATKAVC‐PEG‐Fcを精製した。製造されたFacVIIa‐ATKAVC‐PEG‐Fcタンパク質結合体のFc領域のN末端選択性は、ペプチドマッピング分析法で確認し、選択性は90%以上であった。
【0045】
実施例9:分子量が異なるPEGを用いたタンパク質結合体の製造
両末端にアルデヒド反応基を有する分子量が10kDaのポリエチレングリコールであるALD‐PEG‐ALD(Nektar、米国)を用いて、実施例5-2と同様の方法でインスリン‐10K PEG連結体を製造及び精製した。精製されたインスリン‐10K PEG連結体を約5mg/mlの濃度になるように濃縮した後、実施例5-3と同様の方法でインスリン‐10K PEG‐Fcタンパク質結合体を製造及び精製した。
【0046】
実施例10:Fab'‐S‐PEG‐N‐Fc結合体の製造(‐SH基)
10-1.Fab’の発現及び精製
抗腫瘍壊死因子‐アルファFab’を発現する大腸菌形質転換体であるBL21/poDLHF(寄託番号:KCCM 10511)をLB培地100mlに接種して一晩振とう培養した後、5Lの発酵器(Marubishi)に接種し、温度30℃、空気投入量20vvm、攪拌速度500rpmの条件下で培養した。発酵が進むにつれて、微生物の成長のために不足しているエネルギー源はブドウ糖と酵母抽出液を微生物の発酵状態に応じて投与し、吸光度600nmでOD値が80になる時期にIPTGを投与してタンパク質の発現を誘導した。これは約40~45時間培養して吸光度600nmでOD値が120~140になるように高濃度で培養した。得られた発酵液を遠心分離(20,000g、30分)して沈殿物は捨てて、上清液のみを取った。
得られた上清液から、次のような手順でカラムクロマトグラフィーを経て抗腫瘍壊死因子‐アルファFab’を純粋に精製した。20mMリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化させたHiTrapタンパク質G(Ge Healthcare、米国)カラムに前記上清液を滴下した後、100mMグリシン(pH3.0)緩衝液で溶出した。溶出されたFab’画分を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(PBS、pH7.3)で平衡化させたスーパーデックス200(GE Healthcare、米国)カラムに適下し、同様の緩衝液で溶出した。溶出されたFab’画分をpolyCAT 21×250(PolyLC Inc.、米国)カラムを用いて最終的精製したが、10mM酢酸緩衝液(pH4.5)を直線濃度勾配(塩化ナトリウム濃度0.15M ‐> 0.4M)の方法で流して、純粋な抗腫瘍壊死因子‐アルファFab’画分を得た。
10-2.Fc‐PEG連結体の製造及び精製
免疫グロブリンFcを100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5~6.5)に5mg/mlの濃度で溶解させ、ここにNHS‐PEG‐MALを除去した。緩衝液交換後反応物をpolyCAT(PolyLC Inc.、米国)カラムに適用し、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を直線濃度勾配(塩化ナトリウム濃度0.15M ‐> 0.5M )の方法で流し、免疫グロブリンFc‐PEG連結体まず溶出して、後に反応しない免疫グロブリンFcが 溶出されて分離除去した。
10-3.Fab'‐S‐PEG‐N‐Fc結合体(‐SH基)の製造及び精製
前記実施例10-1で精製されたFab’を100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)に2mg/mlで溶解させた後、同様の緩衝液に実施例10-2で用意された免疫グロブリンFc‐PEG連結体をFab’:連結体のモル比が1:5になるように入れた。最終タンパク質濃度が50mg/mlになるように濃縮し、4~8℃でゆっくり攪拌しながら約24時間反応させた。
カップリング反応終了後、反応液を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)で平衡化させたスーパーデックス200(GE Healthcare、米国)カラムに適下し、同様の緩衝液を1ml/分の流速で流して、溶出させた。カップリングされたFab'‐S‐PEG‐N‐Fc結合体は、分子量が大きくてまず溶出され、その後に反応しない免疫グロブリンFc‐PEG連結体及びFab’が 溶出されて分離除去した。
完全に削除されてない未反応免疫グロブリンFcを除去するために、溶出されたFab'‐S‐PEG‐N‐Fc結合体分画を再びpolyCAT 21×250(PolyLC Inc.、米国)カラムに適下、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を直線濃度勾配(塩化ナトリウム濃度0.15M ‐> 0.5M)の方法で流して、純粋なFab'‐S‐PEG‐N‐Fc結合体(Fc‐PEG連結体Fab’のC末端付近の‐SH期に連結される)を得た。
【0047】
実施例11:Fab'‐N‐PEG‐N‐Fc結合体の製造(N末端)
11-1.Fab'‐PEG連結体(N末端)の製造及び精製
実施例10-1で得られた精製されたFab’、40mgを100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5~6.5)に5mg/mlで溶解させた後、ButylALD‐PEG‐ButylALD(分子量3.4kDa、Nektar Inc.、米国)をFab’:PEGのモル比が1:5になるように添加した。還元剤としてシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を最終濃度が20mMになるように添加した。前記反応は4~8℃でゆっくり攪拌しながら約2時間行った。
反応終了後、反応緩衝液を20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に交換した。緩衝液交換後反応物をpolyCAT(PolyLC Inc.、米国)カラムに適用し、20mM酢酸緩衝液(pH4.5)を直線濃度勾配(塩化ナトリウム濃度0.15M ‐> 0.4M )の方法で流して、Fab'‐PEG連結体分画を先に溶出し、その後に反応しないFab’が溶出されて分離除去した。
11-2.Fab’‐N‐PEG‐N‐Fc結合体の製造及び精製
実施例11-1で精製されたFab'‐PEG連結体を100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に10mg/mlで溶解させた後、同様の緩衝液に溶解された免疫グロブリンFcをFab’‐PEG連結体:Fcのモル比が1:5になるように入れた。最終タンパク質濃度が50mg/mlになるように濃縮し、還元剤としてシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3、Sigma)を最終濃度が20mMになるように添加した。前記反応は4~8℃でゆっくり攪拌しながら約24時間行った。
カップリング反応終了後、反応液を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)で平衡化させたスーパーデックス200(GE Healthcare、米国)カラムに適下し、同様の緩衝液を1ml/分の流速で流して、溶出させた。カップリングされたFab’‐N‐PEG‐N‐Fc結合体は、分子量が大きくて先に溶出され、その後に反応しない免疫グロブリンFcとFab'‐PEG連結体が溶出されて分離除去した。完全に削除されない未反応免疫グロブリンFcを除去するために、溶出したFab’‐N‐PEG‐N‐Fc結合体の分画を再びpolyCAT 21×250(polyLC Inc.米国)カラムに適用し、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を直線濃度勾配(塩化ナトリウム濃度0.15M ‐> 0.5M )の方法で流して、純粋なFab’‐N‐PEG‐N‐Fc結合体(免疫グロブリンFc‐PEG連結体がFab’のN末端に連結される)を得た。
実施例で製造されたタンパク質結合体を下記実験例により分析した。
【0048】
実験例1:タンパク質結合体の純度の確認
1-1.タンパク質結合体の確認
前記実施例で製造されたタンパク質結合体は、4~20%の濃度勾配ゲル及び12%ゲルを用いて非還元性SDS‐PAGEの方法で分析した。各タンパク質結合体のSDS‐PAGEとウエスタンブロット分析は免疫グロブリンFcとそれぞれの生理活性ポリペプチドに対する抗体を用いて行った。
図1で示したように、カップリング反応は、IFNα‐PEG‐Fc(A)、hGH‐PEG‐Fc(b)、
17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fc(C)、インスリン‐PEG‐Fc(D)、EPO‐PEG‐Fc(E)、CA‐エキセンジン4‐PEG‐ Fc(F)及びFacVII‐PEG‐Fc(G)を成功的に生産した。
1-2.タンパク質結合体の純度の確認
前記実施例で製造されたタンパク質結合体であるIFNα‐PEG‐Fc(A)、hGH‐PEG‐Fc(b)、
17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fc(C)、インスリン‐PEG‐Fc(D)、EPO‐PEG‐Fc(E)及びCA‐エキセンジン4‐PEG‐ Fc(F)に対してそれぞれHPLCを用いたサイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、あるいはイオン交換クロマトグラフィーを適用した。
図2で示したように、各分析で95%以上の高純度に対応する単一のピークを示した。
1-3.タンパク質結合体の位置選択性の確認
前記実施例で製造されたタンパク質結合体であるIFNα‐PEG‐Fc(A)、hGH‐PEG‐Fc(b)、
17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fc(C)、インスリン‐PEG‐Fc(D)、EPO‐PEG‐Fc(E)に対してタンパク質分解酵素を用いたペプチドマッピング分析(逆相クロマトグラフィー)を適用した。
図3で示したように、分析で90%以上の高選択性で免疫グロブリンFc領域N末端を介して連結されたタンパク質結合体が製造されたことが確認された。
【0049】
実験例2:Fcの結合位置による結合体の効力比較
実施例で製造されたタンパク質結合体であるCA‐エキセンジン4‐PEG‐Fc、17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fc及びEPO‐PEG‐Fcに対して試験管内及び生体内の効力試験をそれぞれ適用した。以下の表の結果で示したように、FcのN末端(プロリン)に結合する場合、その他の位置(例、リジン)に結合する場合に比べてよい効果を示すことを確認した。
【0050】
表1
CAエキセンジン‐PEG‐Fc位置異性体の試験管内活性‐CHO/GLP‐1R bioassay
前記表1で示したように、CAエキセンジン‐PEG‐Fc位置異性体の試験管内の活性を比較した結果、本発明の免疫グロブリンFc断片のN末端に特異的結合して製造されたCAエキセンジン‐PEG‐Fc結合体が、免疫グロブリンFc領域の他の位置に結合して製造されたCAエキセンジン‐PEG‐Fc結合体に比べて6倍以上の優れた力価を有することを確認した。
【0051】
表2
17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fcの位置異性体の試験管内活性‐マウス骨髄細胞増殖実験
前記表2で示したように、
17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fcの位置異性体の試験管内の活性を比較した結果、本発明の免疫グロブリンFc断片のN末端に特異的結合して製造された
17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fc結合体が、免疫グロブリンFc領域の他の位置に結合して製造された
17、65S‐G‐CSF‐PEG‐Fc結合体に比べて約67%増加した力価を有することを確認した。
一方、本発明のタンパク質結合体は、特にEPO‐PEG‐Fcの位置異性体の生体内での活性を確認するために、正常細胞型マウスアッセイ(Normocythemic mice assay)を介して正常細胞型マウスにEPO‐PEG‐Fcを皮下に投与した後、妄想赤血球レベルを測定した。
【0052】
表3
EPO‐PEG‐Fcの位置異性体の生体内バイオ力価‐網状赤血球レベルの測定(正常細胞型マウスに皮下注射した後)
前記表3で示したように、EPO‐PEG‐Fcの位置異性体の生体内の活性を比較した結果、本発明の免疫グロブリンFc断片のN末端に特異的結合して製造されたEPO‐PEG‐Fc結合体が、免疫グロブリンFc領域の他の位置に結合して製造されたEPO ‐PEG‐Fc結合体に比べて約40%増加した力価を有することを確認した。
これらの結果は、生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域を含むタンパク質結合体の製造において、免疫グロブリンFc断片の特定位置を結合部位として利用して製造する場合、生理活性ポリペプチドの生体内活性が向上されたタンパク質結合体が製造されることを示唆する。
【0053】
前記実施例及び実験例を総合すると、本発明者らは、生理活性ポリペプチドの生体内持
続性を高めると同時に、生体内活性(力価)を高めたり維持するために、生理活性ポリペ
プチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域からなるタンパク質結合体を製
造した。具体的に、様々な生理活性ポリペプチドに対するタンパク質結合体を製造し、特
に免疫グロブリンFc領域の特定位置、特にN末端を結合部位とするタンパク質結合体を
製造した。
その結果、本発明のタンパク質結合体の製造方法により製造された様々なタンパク質結
合体の免疫グロブリンFc断片のN末端選択性は90%であることを確認しており、本発
明の免疫グロブリンFc領域のN末端特異的結合タンパク質結合体の力価がFc領域の他
の部位に結合したタンパク質結合体よりも約40%から最大400%以上の優秀さを確認
した。
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者は本発明がその技術的思想や必須の
特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施できることを理解できるだろう。これに関連し
、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと
理解するべきである。本発明の範囲は、前記の詳細な説明ではなく、後述する特許請求の
範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導出されるすべての変更または変形された
形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
次に、本発明のまた別の好ましい態様を示す。
1. 非ペプチド性重合体を介して免疫グロブリンFc領域に連結された生理活性ポリペプチドを含むタンパク質結合体であって、前記非ペプチド性重合体が、免疫グロブリンFc領域のN末端に位置特異的に結合したものである、タンパク質結合体。
2. 前記非ペプチド性重合体の両末端が、反応基を介して生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンFc領域にそれぞれ共有結合により連結されるものである、上記1に記載のタンパク質結合体。
3. 前記免疫グロブリンFc領域が、非糖鎖化されたものである、上記1に記載のタンパク質結合体。
4. 前記免疫グロブリンFc領域が、CH1、CH2、CH3及びCH4ドメインからなる群から選択される1つ ~4つのドメインからなる、上記1に記載のタンパク質結合体。
5. 前記免疫グロブリンFc領域が、ヒンジ領域をさらに含む、上記4に記載のタンパク質結合体。
6. 前記免疫グロブリンFc領域が、IgG、IgA、IgD、IgEまたはIgM由来の免疫グロブリンFc断片である、上記1に記載のタンパク質結合体。
7. 前記免疫グロブリンFc断片のそれぞれのドメインが、IgG、IgA、IgD、IgE及びIgMからなる群から選択される免疫グロブリンに由来する異なる起源を有するドメインのハイブリッドである、上記6に記載のタンパク質結合体。
8. 前記免疫グロブリンFc断片が、同一起源を有するドメインを含む一本鎖免疫グロブリンからなるダイマーまたはマルチマーである、上記6に記載のタンパク質結合体。
9. 前記免疫グロブリンFc断片が、IgG4 Fc断片である、上記6に記載のタンパク質結合体。
10. 前記免疫グロブリンFc断片が、ヒト非糖鎖化IgG4 Fc断片である、上記6に記載のタンパク質結合体。
11. 前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものである、上記1に記載のタンパク質結合体。
12. 前記非ペプチド性重合体が、ポリエチレングリコールである、上記11に記載のタンパク質結合体。
13. 前記非ペプチド性重合体の反応基が、アルデヒドグループ、マレイミドグループ及びスクシンイミド誘導体からなる群から選択されるものである、上記1に記載のタンパク質結合体。
14. 前記アルデヒドグループが、プロピオンアルデヒドグループまたはブチルアルデヒドグループである、上記13に記載のタンパク質結合体。
15. 前記スクシンイミド誘導体が、スクシンイミジルカルボキシメチル、スクシンイミジルバレレート、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミド、またはスクシンイミジルカーボネートである、上記13に記載のタンパク質結合体。
16. 前記非ペプチド性重合体が、両末端に反応基としてアルデヒドグループを有するものである、上記1に記載のタンパク質結合体。
17. 前記非ペプチド性重合体が、両末端に反応基としてそれぞれアルデヒドグループ及びマレイミドグループを有するものである、上記1に記載のタンパク質結合体。
18. 前記非ペプチド性重合体が、両末端に反応基としてそれぞれアルデヒドグループ及びスクシンイミドグループを有するものである、上記1に記載のタンパク質結合体。
19. 前記非ペプチド性重合体の両末端が、それぞれ免疫グロブリンFc領域のN末端と生理活性ポリペプチドのN末端、C末端、またはリジン残基、ヒスチジン残基またはシステイン残基の遊離反応基に連結されるものである、上記1に記載のタンパク質結合体。
20. 前記生理活性ポリペプチドが、ホルモン、サイトカイン、酵素、抗体、成長因子、転写因子、血液凝固因子、ワクチン、構造タンパク質、リガンドタンパク質及び受容体からなる群から選択されるものである、上記1に記載のタンパク質結合体。
21. 前記生理活性ポリペプチドが、ヒト成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、インターフェロン類、インターフェロン受容体類、コロニー刺激因子類、グルカゴン様ペプチド類(GLP-1など)、エキセンジン類(Exendin4など) 、オキシントモジュリン、Gタンパク質関連受容体(G-Protein-coupled receptor)、インターロイキン類、インターロイキン受容体類、酵素類、インターロイキン結合タンパク質類、サイトカイン結合タンパク質類、マクロファージ活性因子、マクロファージペプチド、B細胞因子、T細胞因子、タンパク質A、アレルギー抑制因子、細胞壊死糖タンパク質、免疫毒素、リンホトキシン、腫瘍壊死因子、腫瘍抑制因子、転移成長因子、α-1アンチトリプシン、アルブミン、α-ラクトアルブミン、アポリポタンパク質E、赤血球生成因子、糖鎖化赤血球生成因子、アンジオポエチン類、ヘモグロビン、トロンビン、トロンビン受容体活性ペプチド、トロンボモジュリン、血液因子VII、VIIa、VIII、IX及びXIII、プラスミノーゲン活性因子、フィブリン結合ペプチド、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヒルジン、タンパク質C、C反応性タンパク質、レニン抑制剤、コラゲナーゼ抑制剤、スーパーオキシドジスムターゼ、レプチン、血小板由来成長因子、上皮細胞成長因子、表皮細胞成長因子、アンジオスタチン、アンジオテンシン、骨形成成長因子、骨形成促進タンパク質、カルシトニン、インスリン、アトリオペプチン、軟骨誘導因子、エルカトニン、結合組織活性因子、組織因子経路阻害剤、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、神経成長因子類、副甲状腺ホルモン、リラキシン、セクレチン、ソマトメジン、インスリン様成長因子、副腎皮質ホルモン、グルカゴン、コルレシストキニン、膵臓ポリペプチド、ガストリン放出ペプチド、コルチコトロピン放出因子、甲状腺刺激ホルモン、オートタキシン、ラクトフェリン、ミオスタチン、受容体類、受容体アンタゴニスト、細胞表面抗原、ウイルス由来ワクチン抗原、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片類及びそれらの誘導体からなる群から選択されるものである、上記20に記載のタンパク質結合体。
22. 前記生理活性ポリペプチドが、ヒト成長ホルモン、インターフェロンα、顆粒球コロニー刺激因子、赤血球生成因子、血液凝固因子、インスリン、オキシントモジュリン、グルカゴン様ペプチド類、エキセンジン類及びそれらの誘導体である、上記21に記載のタンパク質結合体。
23. (a)両末端に反応基を有する少なくても1つの非ペプチド性重合体;少なくても1つの生理活性ポリペプチド;及び少なくても1つの免疫グロブリンFc領域を共有結合により連結してタンパク質結合体を製造する段階;及び
(b)前記(a)段階で製造された共有結合により連結された生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域を必須的に含み、前記非ペプチド性重合体が免疫グロブリンFc断片のN末端に連結されたタンパク質結合体を分離する段階を含む、上記1に記載のタンパク質結合体の製造方法。
24. 前記(a)段階が、
(a1)非ペプチジルポリマーの一末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドに共有結合により連結させて連結体を製造する段階;及び
(a2)前記(a1)段階で製造した連結体を分離して、前記分離された連結体の非ペプチド性重合体のもう一つの末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの他の方に共有結合により連結する段階を含む、上記23に記載の製造方法。
25. 前記(a1)段階で生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体との間の反応モル比が1:1~1:30であり、免疫グロブリンFc断片と非ペプチド性重合体との間の反応モル比が1:1~1:20である、上記24に記載の製造方法。
26. 前記(a1)段階が、pH4.0~9.0の条件で行われる、上記24に記載の製造方法。
27. 前記(a1)段階が、4.0℃~25℃の温度で行われる、上記24に記載の製造方法。
28. 前記(a1)段階で免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの反応濃度が、0.1mg/ml~100mg/mlである、上記24に記載の製造方法。
29. 前記(a2)の段階で前記連結体と免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドとの間の反応モル比が、1:0.1~1:20である、上記24に記載の製造方法。
30. 前記(a2)段階が、pH4.0~9.0の条件で行われる、上記24に記載の製造方法。
31. 前記(a2)段階が、4.0~25℃の温度で行われる、上記24に記載の製造方法。
32. 前記(a2)段階で免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの反応濃度が、0.1mg/ml~100mg/mlである、上記24に記載の製造方法。
33. 前記(a1)段階及び(a2)段階が、還元剤の存在下で行われる、上記24に記載の製造方法。
34. 前記還元剤が、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH
3
)、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンホウ酸塩及びピリジンホウ酸塩からなる群から選択されるものである、上記33に記載の製造方法。
35. 前記(a2)の段階で分離が、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーからなる群から選択される精製方法を単独または組合わせて行うものである、上記24に記載の製造方法。
36. 前記陰イオン交換クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、第四級アンモニウム(Q)、 第四級アミノエチル(QAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、ポリエチレンイミン(PEI)、ジメチルアミノメチル(DMAE)及びトリメチルアミノエチル(TMAE)からなる群から選択されるいずれか一つである、上記35に記載の製造方法。
37. 前記陽イオン交換クロマトグラフィー樹脂の官能基が、メチルスルホネート(S)、スルホプロピル(SP)、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)及びポリアスパラギン酸からなる群から選択されるいずれか一つである、上記35に記載の製造方法。
38. 前記疎水性クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、フェニル、オクチル、(イソ)プロピルPro、ブチル及びエチルからなる群から選択されるいずれか一つである、上記35に記載の製造方法。
39. 前記親和性クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、プロテインAPro、ヘパリン、ブルー、ベンズアミジン、金属イオン(コバルト、ニッケル及び銅)、及び非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域及び生理活性ポリペプチドに連結されたタンパク質結合体の構成成分の一部または全体に対する抗体からなる群から選択されるいずれか一つである、上記35に記載の製造方法。
40. 前記サイズ排除クロマトグラフィーの樹脂が、スーパーデックス、セファクリル、スーパーロース及びセファデックスからなる群から選択されるいずれか一つである、上記35に記載の製造方法。
41. タンパク質結合体の分離が、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーからなる群から選択される精製方法を単独または組合わせて行うものである、上記23に記載の製造方法。
42. 前記陰イオン交換クロマトグラフィー樹脂の官能基が、第四級アンモニウム(Q)、第四級アミノエチル(QAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、ポリエチレンイミン(PEI)、ジメチルアミノメチル(DMAE)及びトリメチルアミノエチル(TMAE)からなる群から選択されるいずれか一つである、上記41に記載の製造方法。
43. 前記陽イオン交換クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、メチルスルホネート(S)、スルホプロピル(SP)、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)及びポリアスパラギン酸からなる群から選択されるいずれか一つである、上記41に記載の製造方法。
44. 前記疎水性クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、フェニル、オクチル、(イソ)プロピル、ブチル及びエチルからなる群から選択されるいずれか一つである、上記41に記載の製造方法。
45.前記親和性クロマトグラフィーの樹脂の官能基が、プロテインAPro、ヘパリン、ブルー、ベンズアミジン、金属イオン(コバルト、ニッケル及び銅)、及び非ペプチド性重合体の両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域及び生理活性ポリペプチドに連結されたタンパク質結合体の構成成分の一部または全体に対する抗体からなる群から選択されるいずれか一つである、上記41に記載の製造方法。
46. 前記サイズ排除クロマトグラフィーの樹脂が、スーパーデックス、セファクリル、スーパーロース及びセファデックスからなる群から選択されるいずれか一つである、上記41に記載の製造方法。
47. 前記(b)段階が、タンパク質結合体を構成する非ペプチド性重合体と免疫グロブリンFc領域が免疫グロブリンFc領域のN末端を介して結合したタンパク質結合体を分離する、上記23に記載の製造方法。
48.(a’)非ペプチド性重合体の一末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドに共有結合により連結して連結体を製造する段階であり、pH4.0~9.0の条件で行われる段階;
(b’)前記(a’)段階で製造した連結体を分離して、分離された連結体の非ペプチド性重合体の他方の末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの他の一つと共有結合により連結する段階であり、pH4.0~9.0の条件で行われる段階;及び(c’)前記(b’)段階で製造された共有結合により連結された生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域を必須的に含み、前記非ペプチド性重合体が免疫グロブリンFc断片のN末端に連結されたタンパク質結合体を分離する段階を含む、上記1に記載のタンパク質結合体の製造方法。
49.(a’)非ペプチド性重合体の一末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドに共有結合により連結して連結体を製造する段階であり、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性重合体との間の反応モル比が、1:1~1:30であり、免疫グロブリンFc領域と非ペプチド性重合体との間の反応モル比が、1:1~1:20であり、還元剤が、1mM~100mMの濃度で含まれ、反応が、pH4.0~9.0の条件、反応温度4.0~25℃で行われて、免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの濃度が、0.1mg/ml~100mg/mlである段階;
(b’)前記(a’)段階で製造した連結体を分離して、分離された連結体の非ペプチド性重合体の他方の末端を免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの他の一つに共有結合により連結する段階であり、連結体と免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドとの間の反応モル比が、1:0.1~1:20であり、還元剤が、1~100mMの濃度で含まれ、反応が、pH4.0~9.0の条件、反応温度4.0~25℃で行われて、免疫グロブリンFc領域または生理活性ポリペプチドの濃度が、0.1mg/ml~100mg/mlである段階;及び
(c’)前記(b’)段階で製造された共有結合により連結された生理活性ポリペプチド、非ペプチド性重合体及び免疫グロブリンFc領域を必須的に含み、前記非ペプチド性重合体が免疫グロブリンFc断片のN末端に連結されたタンパク質結合体を分離する段階を含む、上記1に記載のタンパク質結合体の製造方法。
50. 前記タンパク質結合体の製造方法が、N末端選択性を有するものである、上記23~49のいずれか一項に記載の製造方法。
51. 上記1に記載のタンパク質結合体を有効成分として含む、生理活性ポリペプチドの生体内持続性及び安定性増加用薬学的組成物。
52. 前記薬学的組成物が、前記タンパク質結合体が90%以上で含まれるものである、上記51に記載の組成物。
53. 上記23~49のいずれか一項に記載の方法により製造されたタンパク質結合体を90%以上含む、タンパク質結合体の集合体。
【配列表】