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特許7307815色測定を含むアルミニウム合金製の平らな製品の表面処理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】色測定を含むアルミニウム合金製の平らな製品の表面処理
(51)【国際特許分類】
   C23G 1/22 20060101AFI20230705BHJP
   C23G 1/12 20060101ALI20230705BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
C23G1/22
C23G1/12
G01N21/892 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021563390
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2020061619
(87)【国際公開番号】W WO2020216959
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】19171086.2
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513100910
【氏名又は名称】スペイラ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Speira GmbH
【住所又は居所原語表記】Aluminiumstrasse 1, 41515 Grevenbroich, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ディルク ツェンツィス
(72)【発明者】
【氏名】ゲーアノート ニチェ
(72)【発明者】
【氏名】カトリーン エックハルト
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-304273(JP,A)
【文献】特開昭61-155714(JP,A)
【文献】特開昭57-035687(JP,A)
【文献】特表2003-528978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23G 1/00-5/06
G01N 21/892
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金製の平らな製品の表面処理のための方法であって、
- 前記平らな製品(6)をピックリングするステップと、
- 前記平らな製品(6)をピックリングした後に、少なくとも1つの色測定値を決定するために前記平らな製品(6)の表面において色測定を実行するステップと、
- 前記少なくとも1つの色測定値に基づいて出力情報を発生させるステップであって、前記出力情報は、前記色測定値のための少なくとも1つの規準値との合致を示すステップと、
- 前記出力情報を出力するかまたは前記出力情報の出力を起動するステップであって、前記出力情報は、誤り検索の必要特性を示すとともに、反応の中間生成物および/または最終生成物が少なくとも1種類の処理用溶液の前記ピックリングの作用を低減および/または減速させる化学反応である自己抑制的なプロセスの程度、及び前記ピックリングのための前記少なくとも1種類の処理用溶液の組成が直接の原因ではないプロセスフロー中の誤りを示すステップと、
- 前記誤り検索を実行するステップであって、前記誤り検索は、前記少なくとも1種類の処理溶液の組成が直接の原因ではない、前記少なくとも1種類の処理用溶液中の誤りおよび/またはプロセスフロー中の誤りの検索を含むステップと、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記出力情報は、前記平らな製品(6)の前記ピックリングのための前記少なくとも1種類の処理用溶液の少なくとも1つの規準値パラメータとの合致があるかどうかの特性をさらに示すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種類の処理用溶液の成分の少なくとも1つの濃度が監視され、前記少なくとも1つの規準値からの前記出力情報の逸脱がある場合、前記自己抑制的なプロセスの程度について結論を引き出すことができることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記色測定は、前記平らな製品(6)の前記ピックリングとインラインおよび/またはアトラインで実行されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記出力情報の視覚出力が発生されるかまたは起動されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ピックリングのための前記少なくとも1種類の処理用溶液の組成が直接の原因ではないプロセスフロー中の誤りは、装置の機械的な欠陥であることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記平らな製品(6)は、少なくとも1種類の処理用溶液でピックリングされ、前記少なくとも1種類の処理用溶液は、少なくとも2種類の酸または少なくとも2種類の塩基を含有することを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記出力情報の発生は、前記少なくとも1つの色測定値と少なくとも1つの基準値との比較を含むことを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの基準値は、少なくとも部分的に前記平らな製品(6)のアルミニウム合金、前記平らな製品(6)の寸法、前記平らな製品(6)の表面構造および/または前記平らな製品(6)の製造の関数として予め定められることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの色測定値と前記少なくとも1つの基準値との前記比較は、明度差の決定および/または色差の決定を含むことを特徴とする、請求項またはに記載の方法。
【請求項11】
- 少なくとも1つの事前色測定値を決定するために前記ピックリングの前および/またはピックリングステップの間に前記平らな製品(6)の表面において事前色測定を実行するステップ、
をさらに含み、
- 前記出力情報は、前記少なくとも1つの事前色測定値に基づいてさらに発生される、
請求項1~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
- タイプAA5xxxのアルミニウム合金製の平らな製品(6)が処理され、
- 少なくとも58のルミナンスLが調整される
ことを特徴とする、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
タイプAA5182のアルミニウム合金製の平らな製品(6)が処理されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも60のルミナンスLが調整されることを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
- タイプAA6xxxのアルミニウム合金製の平らな製品(6)が処理され、
- 少なくとも62のルミナンスLが調整される
ことを特徴とする、請求項1~14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
タイプAA6016のアルミニウム合金製の平らな製品(6)が処理されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも64のルミナンスLが調整されることを特徴とする、請求項15または16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金製の平らな製品の表面処理のための方法であって、平らな製品をピックリングすること、特に、平らな製品を脱脂することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムおよびアルミニウム合金製の平らな製品、例えばストリップおよびシート、特に平らな製品は、熱間圧延および/または冷間圧延を経る圧延プロセスによって製造される。同様に、平らな製品は、ストリップ鋳造と後続の冷間圧延とによって製造することができる。平らな製品を製造するとき、典型的には圧延ステップのために圧延油が用いられ、その残留物が最後の圧延パスの後でも塵および粒子と共に平らな製品の表面に残る。さらに、加工用ローラーと高温下の機械的変形の影響とに起因して、酸化物層が圧延プロセス時に平らな製品の表面に組み込まれる。この方法で製造されたこの変形した表面層は、特定の用途にとって望ましくない酸化物層の構造を平らな製品の表面に有する。平らな製品におけるアルミニウム合金の構造を特定の状態の中に移行させ、所望の機械的性質を実現するために、個々の圧延パスの間および/または圧延の後に例えば中間焼なまし、仕上げ焼なまし、溶体化焼なましまたは相焼なましなどの熱処理も実行することもできる。熱処理の場合、例えば亜鉛、ケイ素、マグネシウムおよび銅が表面に存在する程度が大きくなる、平らな製品の表面近傍領域における合金成分の濃縮という結果となることがある。
【0003】
アルミニウムおよびアルミニウム合金製の製品の表面は、例えば後続のプロセスステップによって加工および陽極処理され、被覆され、接着されおよび/またはラッカー塗布されるので特に、アルミニウム合金製の平らな製品は、典型的に、表面処理または仕上げに付される。平らな製品は、この理由で、平らな製品またはそれから製造される製品もしくは半製品に対して実行される対応する後続のプロセスステップに合わせて表面を調製するために、表面品質の特定の要件を満たさなければならない。
【0004】
アルミニウム合金製の平らな製品の表面処理は、特に平らな製品の脱脂がもたらされる、平らな製品のピックリングによって実行することができる。特に、ピックリングまたは脱脂によって圧延プロセスの残留物が除去される。圧延プロセスの残留物は、例えば、圧延油残留物および粒子、表面における塵埃のことがある。ピックリングは、特に、少なくとも部分的に酸化物層を除去することと、必要なら圧延により表面に入り込んだ酸化物ならびに表面において濃縮された合金元素、粒子または金属間相を除去することを含む。特定の用途について、ピックリングは、例えば、可能な限り完全な酸化物層の除去と、必要なら、圧延により表面に入り込んだ酸化物ならびに表面において濃縮された合金元素、粒子または金属間相を除去することとを含むことがある。
【0005】
ピックリングは、化学プロセスを用いる平らな製品の表面における物質除去を含む。本明細書において、最適なピックリングは、典型的には、一方で、例えば、可能な限り完全な酸化物層の除去を確実にするために、表面における事実上完全な清浄化および十分な物質除去を必要とする。他方で、表面処理は、経済的であり化学物質をできるだけ少なく用いながら高いプロセス速度を可能にしなければならない。
【0006】
ピックリングを調節するために、通常はまず、平らな製品の表面において用いられる化学物質のタイプ、濃度、温度および機械的な影響に応じてピックリング速度または物質除去について仮定が立てられ、予想される汚れおよび酸化物層厚さとの比較が行われる。これらの仮定を用いて、1つまたは複数の処理用溶液またはピックリング溶液を用いる平らな製品の表面の最小接触時間が決定される。
【0007】
例えば、後続のプロセスステップの適用可能性も、例えば、ラッカーまたは接着剤の濡れ性、リン酸化能力、接着性を測定し、処理される平らな製品における点溶接転移抵抗を測定することによってチェックされる。しかし、そのような分析方法は、典型的には試験室において採取された試料に基づいて行われ、従って、遅延時間のある方法でしか用いることができず、表面処理に即応して用いることができない。表面処理の効果を評価するためのさらなる可能性は、重量測定的な方法を用いて物質除去量を決定することである。しかし、実現される物質除去の重量は、総重量と比較すると非常に低くなることがあり、関連する不正確さが原因となって多くの場合に重量測定的な方法は非実用的になる。連続的な工業プロセスにおいて、ピックリングの前後に同じ試料の重さを測ることも可能でない。しかし、所望のピックリング除去量は、圧延されるアルミニウムストリップの厚さ公差より低いので、実現されるピックリング除去量は、重量測定的に取り扱い可能でない。
【0008】
進行中の処理時にピックリングを調節するために、従って、先行技術においては処理用溶液の特性が監視される。例えば、平らな製品中の酸化物層およびアルミニウム合金の除去に結び付けられる処理用溶液中のアルミニウム含有量が決定され得る。平らな製品が処理用溶液を有する浴中で処理される場合、浴中のアルミニウムイオンの含有量は、例えば、絶え間のない処理用溶液の部分的な交換によって事実上一定または定められた範囲内に保たれ得る。しかし、この方法では、表面に関係する物質除去量は、概略的に推定することしかできず、長時間にわたって平均された値を得ることしかできない。特に、種々の平らな製品のために浴が用いられる場合、処理パラメータは、アルミニウム含有量に基づいては不十分に調節することしかできない。例えば、種々の平らな製品は、種々のアルミニウム合金からなることがあり、種々の製造プロセスによって製造され得る。
【0009】
アルカリ性または酸性処理用溶液中のアルミニウムイオン含有量の決定は、処理用溶液中の大部分の他の化学物質の濃度決定と同様に、典型的には断続的に採取された浴試料についてオフラインでしか実行することができない。従って、断続的な分析方法で連続的な処理プロセスを調節すると、多くの場合、顕著に遅延する。
【0010】
さらに、例えば、処理用溶液のpH値および電気伝導率など、オンラインで決定することが容易であるパラメータも監視することができる。例えば、オンラインで決定することが容易である別のパラメータは、速度、従って平らな製品と少なくとも1種類の処理用溶液との接触時間とすることができる。電気伝導率は、水溶液中の個々のアルカリまたは酸の濃度と信頼性高く相関させることができる。対照的に、複数の成分が同時に溶液中に存在する場合、和パラメータ、例えば電気伝導率またはpH値は、方向性を示す濃度の値を提供するだけである。従って、例えば別の鉱酸中のHFの濃度は、すぐに追跡することができず、オンラインではなおさらである。従って、所定の接触時間について、化学物質の濃度およびあり得る影響は、経験値または採取された試料の離散的な実験室分析に基づいて推定することしかできない。
【0011】
同じく問題を含むことは、ピックリングの反応速度が複数の他のパラメータに依存することである。例えば、この処理では自己抑制的なプロセスも起こり、反応生成物が実際のピックリング反応を遅くすることがあり得る。従って、目標との合致があるときでも、例えば反応を抑制する同伴物質の濃縮によってピックリング反応において逸脱が進むことが起こり得る。この場合、処理用溶液または浴の「随伴(独:Einschlafen,英:dropping off)」が言及され、この効果も、大域的なパラメータの監視によってすぐには検出されない。大域的なパラメータとは、一般に、pH値、電気コンダクタンスおよび温度と考えられる。従って、目標は、例えば、化学物質の目標濃度、特定のpH値および電気コンダクタンスとすることができる。
【0012】
この問題は、種々の平らな製品を処理するために処理用溶液が用いられる場合、例えば、濃縮された合金構成要素、圧延油残留物および塵ならびに酸化物層の厚さの観点での表面品質が、特に用いられる合金および平らな製品の製造プロセスの関数として顕著に変化し得るので、さらに悪化する。
【0013】
同様に、ピックリング結果は、処理におけるさらなる逸脱によって負の影響を受けかねない。例えば、処理用溶液のパラメータ、例えばpH値および電気伝導率が特定の規準値に対応することがあり得るが、他の状況、例えば処理用溶液の過度に低いスプレー施用が不十分なピックリング反応の原因となる。
【0014】
全体として、従って、多くの場合に、処理用溶液を監視しても、処理の品質が所定の要件を満たすことを保証することができない。実際には、処理用溶液を監視するための公知の方法によって容易に検出することができないこのプロセスにおける逸脱が、処理された平らな製品の品質の顕著な低下をもたらし得る。
【0015】
特許文献1および特許文献2は、脱脂後に5を上回るルミナンス値の増加を有するアルミニウム合金ストリップを開示している。さらに、特許文献1からアルミニウム合金ストリップを脱脂するための方法が公知である。
【0016】
特許文献3は、色測定を用いてアルミニウムストリップのピックリング処理がチェックされる方法を開示している。しかし、アルミニウムストリップの不十分なピックリングの場合、処理用溶液のパラメータしか最適化されない。
【0017】
特許文献4は、ピックリング溶液のピックリング作用を最適化することができる、金属ストリップ、特に鋼ストリップのピックリングステップを評価するための装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】欧州特許出願公開第2 623 639(A1)号
【文献】独国実用新案第20 2012 012 549(U1)号
【文献】特開平8-304273号
【文献】韓国公開特許第2014-0023693(A)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
従って、本発明の根底にある目的は、アルミニウム合金製の平らな製品の表面処理のための方法であって、処理結果を確実にすることを容易にする方法を示すことである。
【0020】
この目的は、アルミニウム合金製の平らな製品の表面処理のための方法であって、
- 特に、平らな製品を脱脂するために、平らな製品をピックリングするステップと、
- 平らな製品をピックリングした後に、少なくとも1つの色測定値を決定するために平らな製品の表面において色測定を実行するステップと、
- 少なくとも1つの色測定値に基づいて出力情報を発生させるステップであって、出力情報は、色測定値のための少なくとも1つの規準値との合致を示すステップと、出力情報を出力するかまたは出力情報の出力を起動するステップと、
を含む方法を用いる本発明の第1の側面によって実現される。
【0021】
本方法は、アルミニウム合金製の平らな製品の表面処理のための装置であって、装置は、平らな製品をピックリングするための手段と、平らな製品をピックリングした後に少なくとも1つの色測定値を決定するために平らな製品の表面において色を測定するように構成されている測色計と、少なくとも1つの色測定値に基づいて出力情報を発生するように構成されている評価装置と、を含み、出力情報は、色測定値のための少なくとも1つの規準値との合致を示し、評価装置は、出力情報を出力するかまたは出力を起動するように構成されている装置を用いて実行することができる。
【0022】
さらに、本方法は、アルミニウム合金製の平らな製品の表面処理において、少なくとも1つの色測定値を決定するように構成されている測色計であって、少なくとも1つの色測定値に基づいて出力情報が発生され、出力情報は、色測定値のための少なくとも1つの規準値との合致を示す、測色計を用いることによっても提供することができる。
【0023】
平らな製品とは、特に、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のストリップ、ホイルまたはシートと理解される。平らな製品は、特に、圧延用インゴットを熱間圧延および/または冷間圧延すること、および任意選択として少なくとも1回の熱処理によって提供される。同様に、後続の冷間圧延および少なくとも1回の任意選択の熱処理とともにストリップ鋳造を実行することができる。表面処理は、ここで、平らな製品の提供とインライン(独:inline,英:inline)で、例えば連続的にかつ熱間圧延プロセスおよび/または冷間圧延プロセスの後に実行することができる。
【0024】
平らな製品のためのアルミニウム合金の例は、タイプAA3xxx、AA5xxx、AA6xxxおよびAA8xxxの合金であり、本発明による方法は、これらの合金タイプに限定されない。例えば、平らな製品は、タイプAA5182のアルミニウム合金またはタイプAA6016の合金からなってよい。
【0025】
平らな製品のピックリングは、少なくとも1種類の処理用溶液であって、平らな製品の表面が少なくとも部分的に少なくとも1種類の処理用溶液と接触させられる少なくとも1種類の処理用溶液によって実行される。
【0026】
ピックリングは、複数の処理用溶液の組み合わせに基づく複数の方法ステップでの本方法の構成において実行することができる。この場合、最初に、特に少なくとも1つのピックリングステップと、次に1つまたは複数のすすぎステップまたはエッチングが実行される。また、別々の方法ステップの場合、ピックリングは、インラインで実行することができ、例えば、1種類の処理用溶液から次の処理用溶液へ連続的に、および任意選択として1つまたは複数のすすぎステップを通ってストリップまたはシートが移動する。
【0027】
平らな製品は、ピックリングの前におよび/またはピックリングと同時に脱脂することができる。例えば清浄化すすぎによって脱脂ステップが実際のピックリングステップの前に行われる場合、そのような純脱脂ステップにおいてピックリング操作は特に実質的に行われない。
【0028】
平らな製品の表面において色測定を実行することによって少なくとも1つの色測定値が決定される。色測定値は、少なくとも部分的に平らな製品の外観を示す。例えば、定義された光源が色測定の根拠を形成する。特に、色測定の結果が容易に伝達可能であるように、色測定を実行するためにDIN 5033およびDIN 6172に示されているもののような標準光源、例えば標準光源A、D50、D55、D65、D75、E、F2またはF11のうちの1つが用いられる。
【0029】
少なくとも1つの決定された色測定値をプロセス分析および/またはプロセス制御のために用いることができるように平らな製品のピックリング後および/またはピックリング時に少なくとも1回の色測定が行われる。少なくとも1つの色測定値に基づいて出力情報が発生され、出力情報は、色測定値のための少なくとも1つの規準値との合致を示す。本方法は、色測定値が少なくとも1つの規準値と合致するかどうかのチェックを含んでよい。
【0030】
本発明によって、ピックリングされた平らな製品における色測定に基づくプロセス信頼性が高くかつ直接的な方法で処理の結果を決定することができることが認識された。すなわち、圧延残留物を有し、表面近くの構造物も有するコーティングは、完全に処理されたアルミニウム合金の表面と比較して少なくとも1つの色測定値の変化をもたらすことがあり得る。圧延残留物は、例えば、残留圧延油および粒子であってよい。表面近くの構造物は、例えば、平らな製品の製造時に発達する微結晶酸化物層、圧延によって取り込まれた粒子、表面近くの合金構成要素の濃縮物および沈殿物であってよい。
【0031】
少なくとも1種類の処理用溶液のパラメータ、例えばpH値および電気伝導率を監視することに基づくプロセス制御のための先行技術における公知の方法から逸脱して、本発明による方法の光学的指標に基づいて、例えば、実際に実現されるピックリング結果のプロセス制御が可能になる。少なくとも1つの色測定値に基づいて処理の成功および特に十分なピックリング操作を高い信頼性で評価することができる。この場合、ピックリング結果における低下が色測定値に反映されるので、大域的なパラメータを監視することによってすぐには認識することができない表面処理における隠れた逸脱も決定することができる。特に、少なくとも1種類の処理用溶液の個々の大域的な特性値を監視することができるだけでなく処理された平らな製品の品質を直接見分けることもできるので、最初に概略を示した処理用溶液の「随伴」を認識することに伴う問題も解決することができる。
【0032】
本方法は、特に、ピックリング溶液自体の分析に依拠するだけでなく、正しく調節されたピックリング溶液の実際の効果も検証するので、少なくとも1種類の処理用溶液の組成が直接の原因ではないプロセスフロー中の誤りも、色測定に基づいて認識することができる。少なくとも1種類の処理用溶液の組成が直接の原因ではないプロセスフロー中の誤りの例は、過度に低い圧力に起因するスプレー施用の欠如、欠陥のあるポンプまたは欠陥のあるスプレー装置であり得る。
【0033】
出力情報の例は、色測定値または色測定値の再現についての直接情報であり、色測定値は、平らな製品のピックリングの結果を示す。色測定値のための可能な規準値は、例えば予め定められた値および/または少なくとも1つの値の間隔に合致すること、超えること、達しないことおよび/または逸脱すること、ならびに予め定められた色測定値の増加または低下との合致である。例えば、出力情報は、そのような合致すること、超えること、達しないことおよび/または逸脱することを知らせるかまたはそれが視覚化されることを可能にすることができる。
【0034】
色測定値は、明度、色調および/または彩度を表すことができる。色測定値は、特に、色空間に基づいて決定することができる。色空間として、種々の色空間、例えばCIE標準系において表されるCIELAB色空間またはL色空間を用いることができる。CIELAB座標は、例えば、CIELAB色空間の座標として用いることができる。CIELAB色空間をさらに定義するために、DIN EN ISO 11664および、特にこの規格の第4部も参照される。色測定を用いて例えば、座標L、aおよびbのうち1つまたは複数が決定される。
【0035】
本発明の一構成において、出力情報の視覚出力を生じさせるかまたは視覚出力を起動する。この方法において、出力情報は、有利なほど容易にかつ理解できるように再現することができる。色測定値は、例えば、ディスプレイなどの出力装置上に表示されるCIELAB色空間の少なくとも1つの座標L、aおよびbおよび/または別の色空間の少なくとも1つの座標によって直接示すことができる。
【0036】
しかし、視覚出力は、他の形をとることもできる。例えば、少なくとも1つの規準値からの逸脱を示す警告システムを提供することができる。この場合、音および/または光の警告を出力することができ、あるいは、特に表面処理のための装置の場所で出力を生じさせることができる。例えば、音および/または光による警告によって装置の場所に居る少なくとも1名の人に少なくとも1つの規準値からの逸脱があると通知する。音および/または光の警告を外部的に出力することあるいは出力を生じさせることさえできる。
【0037】
一実施形態において、警告システムとして信号機システムが提供され、第1の出力で少なくとも1つの規準値との合致を知らせ、第1の出力と異なる第2の出力で少なくとも1つの規準値からの逸脱を知らせる。少なくとも1つの規準値との合致は、例えば青信号で知らせることができ、一方、少なくとも1つの規準値からの逸脱は、例えば、黄信号で知らせることができる。任意選択として、少なくとも1つの規準値からの重大な逸脱を知らせる第3の出力を提供することができる。第3の出力は、例えば、赤信号で知らせることができる。少なくとも1つの規準値からの重大な逸脱があった場合、表面処理が自動的に中断されることが提供されてもよい。
【0038】
本発明によれば、出力情報は、誤り検索の必要特性を示す。誤り検索とは、例えば、少なくとも1種類の処理用溶液中の誤り検索と、少なくとも1種類の処理用溶液の組成が直接の原因ではないプロセスフロー中の誤り検索とを含むことができる。大域的なパラメータをチェックすることによって認識することができない誤りも誤り検索によって有利に認識される。本明細書において、出力情報の内容は、処置装置の状態、特に内部状態に関連し、従ってプロセス信頼性の高い平らな製品の処理の性能を可能にする。色測定は、特に、処理の結果を示すので、動的に変化する処理装置または処理方法の状態が認識される。本方法の一構成において、誤り検索が必要かどうかに関する色測定または出力情報の発生の評価は、装置によって実行することができる。
【0039】
本発明のさらなる構成によれば、技術的な不良を防止するために出力情報を用いて処理方法との相互作用を実行することができる。この場合、本方法は、大域的なパラメータ、例えば少なくとも1種類の処理用溶液のpH値および電気伝導率などの処理パラメータの逸脱を超える不良箇所を認識することを可能にする。少なくとも1種類の処理用溶液の組成が直接の原因ではないプロセスフロー中の誤りも、色測定に基づいて認識することができる。例えば、処理装置における機械の誤りも色測定における少なくとも1つの規準値からの逸脱を生じることがあり、出力情報は、誤り検索の必要を表示する。出力情報は、色測定値のための少なくとも1つの規準値に合致しているとき、誤り検索が必要でないことを示すことができる。
【0040】
本発明によれば、本方法は、誤り検索を実行することも含む。誤り検索の実行は、出力情報が誤り検索の必要を示す場合、出力情報によって起動することができる。この場合、誤り検索は、例えば少なくとも1つの装置によって、例えば少なくとも1名の人員によって、手動で、部分的に自動でまたは自動で実行することができる。誤り検索の実行は、誤りを特定し、修復することができるので、プロセス安定性を有利なほど迅速に復帰させることができる。
【0041】
本発明のさらなる構成において、出力情報は、さらに、平らな製品をピックリングするための少なくとも1種類の処理用溶液の少なくとも1つの規準値パラメータとの合致があるかどうかの特性を示す。従って、誤り検索を特に容易にすることができる。出力情報が、少なくとも1種類の処理用溶液の少なくとも1つの規準値パラメータに合致しない特性を示す場合は、例えば誤り検索を少なくとも1種類の処理用溶液を調節することに限定するかまたは誤り検索において少なくとも1種類の処理用溶液を調節することを優先することができる。
【0042】
本発明によれば、出力情報は、少なくとも1種類の処理用溶液の組成が直接の原因ではないプロセスフロー中の誤りがあるという指標を提供することができる。この目的で、出力情報は、少なくとも1種類の処理用溶液の少なくとも1つの規準値パラメータに合致する特性を示し得る。この場合、有利なことに誤り検索をプロセスフローに集中し、より迅速に誤りを見いだすことができる。従って、出力情報は、特に機械的な欠陥を示すことができる。例えば、スプレー施用の欠如、欠陥のあるポンプおよび/または欠陥のあるスプレー装置が存在することがある。例えば、過度に低い圧力に起因してスプレー施用の欠如が存在することがある。
【0043】
本発明の一構成において、色測定は、平らな製品のピックリングとインラインで実行される。特に、例えば、移動中の平らな製品、特に移動中のストリップまたはシートにおいて連続的な色測定が実行される。この場合の色測定は、ピックリングの結果のあらゆる逸脱を決定し、処理を適当に適応させるために、例えば処理パラメータを適応させるかまたは処理の中断を起動するために迅速に用いることができるように、進行中の処理の結果に関する直接の結論を下すことを可能にする。
【0044】
特に、色測定および/または出力情報の発生は、規則的または不規則的な間隔で実行される。例えば、色測定および/または出力情報の発生は、実質的に連続的な処理結果の監視が実現されるように、長くとも1時間、特に、長くとも10分、さらにとりわけ、長くとも1分の時間間隔で実行される。
【0045】
色測定は、平らな製品のピックリングとアトライン(独:at-line,英:at-line)で実行することもできる。例えば、処理された個々の平らな製品、例えば個別のストリップ、シートおよび/またはそれらから採取された試料が色測定を受ける一方で表面処理が運転され続ける。処理の結果もここで検証することができ、少なくとも1つの規準値からの逸脱がある場合には進行中の処理において迅速に干渉を実行することができる。
【0046】
プロセス制御のために平らな製品の色測定をオフラインで実行することも可能であり、例えば、既に終了した処理の個々のストリップ、シートおよび/またはそれらから採取された試料が検討される。
【0047】
本発明の一構成において、複数回の色測定が実行される。例えば、本方法の同じ箇所において、例えばストリップの移動長さにわたりおよび/またはストリップまたはシートの幅に沿って、平らな製品の異なる位置を測定するために少なくとも2回の色測定を実行することができる。これによって表面処理の均一性、特に平らな製品の幅にわたる表面処理の均一性がチェックされ得る。
【0048】
同様に、例えばピックリングのうちの異なる方法ステップの間に少なくとも1回の色測定が実行される、複数回の色測定が提供されてよい。従って、平らな製品に対するピックリングの中間結果も色測定によってチェックされてよく、複数のステップを有するピックリングプロセスの場合にプロセス制御が改善され得る。
【0049】
本発明の一構成において、平らな製品は、少なくとも1種類の処理用溶液でピックリングされ、この少なくとも1種類の処理用溶液は、少なくとも2種類の酸または少なくとも2種類の塩基を含有する。従って、平らな製品の表面において間接的または直接的にピックリング作用を生じさせることができる複数の酸または塩基が存在する。例えば、少なくとも1種類の処理用溶液は、少なくとも2種類の異なる鉱酸、例えばHSOおよびHFを含有する。少なくとも2種類の酸または塩基を含む少なくとも1種類の処理用溶液の場合、大域的なパラメータ、例えばpH値および/または電気コンダクタンスの監視は、これによって個別の酸または塩基の濃度および効果についての記述が限られた範囲でしかなされないので、問題を含む。しかし、平らな製品の表面において色測定を実行することによって、個々の酸または塩基の効果について記述を実行することが可能である。例えば、出力情報は、酸または塩基の濃度を示し、および/または少なくとも2種類の酸または塩基の間の濃度の関係を示すことができる。酸の濃度は、例えば、HSOおよびHFを含む少なくとも1種類の処理用溶液中のHFの濃度であってよい。
【0050】
一構成によって平らな製品が化学反応において少なくとも部分的にピックリングされ、この化学反応において少なくとも1種類の自己抑制的なプロセスが起こる場合、ピックリングの効果は、本発明による方法を用いて有利に評価することができるが、大域的なパラメータ、例えばpH値、電気コンダクタンス、少なくとも1種類の処理用溶液のAl濃度および/または個々の成分の濃度を用いると、ピックリング処理の効果に関して確かな記述を提供することはおそらく可能でない。自己抑制的なプロセスとは、ここで、反応の中間生成物および/または最終生成物が、例えば中間生成物および/または最終生成物と少なくとも1種類の処理用溶液の酸または塩基との反応によって、および/または平らな製品の表面のコーティングによって、少なくとも1種類の処理用溶液のピックリング作用を低下および/または減速させる化学反応と理解される。
【0051】
同じように、本発明の一構成において、出力情報は、自己抑制的なプロセスの程度を示すことができる。ピックリングの品質は、自己抑制的なプロセスの程度を用いて簡単に監視することができることが見いだされた。例えば、この目的で、少なくとも1つの色測定値は、少なくとも1つの大域的なパラメータまたは少なくとも1種類の処理用溶液の少なくとも1つのパラメータと比較することができる。
【0052】
別の構成によれば、少なくとも1種類の処理用溶液の成分の少なくとも1つの濃度が監視され、少なくとも1つの規準値からの出力情報の逸脱がある場合、自己抑制的なプロセスの程度についての結論を引き出すことができる。この方法において、有利なことに、出力情報の原因が自己抑制的なプロセスまたは少なくとも1種類の処理用溶液の成分の欠如にあるかどうかに関する決定を誤り検索時に迅速に下すことができる。少なくとも1種類の処理用溶液の成分の濃度とは、例えば酸濃度またはアルカリ液濃度であってよい。
【0053】
本発明の一構成において、表面の色測定は、標準光源D65と10°の視野角とを用い、45°/0°の幾何配置の直接反射を除外してCIE L色空間で実行され、座標L、aおよびbの少なくとも1つが特に色測定値として決定される。
【0054】
本発明の別の構成において、出力情報の発生は、少なくとも1つの色測定値と少なくとも1つの基準値との比較を含む。例えば、少なくとも1つの基準値が記憶され、少なくとも1つの色測定値を少なくとも1つの基準値と比較するように評価装置が構成される。色測定値のための規準値は、例えば、少なくとも1つの基準値に合致すること、超えること、達しないことおよび/または少なくとも1つの基準値から逸脱することであってよい。同様に、少なくとも1つの基準値に基づいて、少なくとも1つの色測定値が基準値によって予め定められた間隔内または間隔外にあるものかどうかをチェックすることができる。
【0055】
別の構成において、少なくとも1つの基準値は、少なくとも部分的に平らな製品のアルミニウム合金、平らな製品の寸法、平らな製品の表面構造および/または平らな製品の製造の関数として予め定められる。従って、有利なことに、本方法または本装置は、種々の平らな製品のために容易に用いることができる。例えば、特にデータベースに、種々の基準値が種々の平らな製品のために記憶される。これによって、種々の平らな製品が表面において種々の要件も満たさなければならないことを考慮することができる。例えば、意図される使用に応じて内部用途、外部スキン用途、構造用途および/または装飾用途の間で区別することができる。
【0056】
特に、少なくとも1つの基準値は、明度、色調および/または彩度を示す。特に、明度、色調および/または彩度のために最小値および/または最大値が示される。例えば、CIELAB座標L、aおよびbの1つまたは複数のために最小値および/または最大値が予め定められる。
【0057】
少なくとも1つの色測定値と少なくとも1つの基準値との比較は、明度差を決定することおよび/または色差を決定することを含んでよい。明度差とは、例えば色測定値と基準値との間のルミナンス(独:Luminanz,英:luminance)Lの差によって決定される。色差は、例えば、ユークリッドの色差ΔEを用いて形成され、ここで、ΔE=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2である。例えば、色差ΔEおよび/または明度差ΔLの最小値または最大値も合致しなければならない。
【0058】
本方法は、例えば、処理の結果のための要件を満たす、処理された平らな製品における少なくとも1つの基準値を決定することも含んでよい。
【0059】
本発明の別構成において、本方法は、少なくとも1つの事前色測定値を決定するためにピックリングの前および/またはピックリングステップの間に平らな製品の表面において事前色測定を実行するステップであって、この少なくとも1つの事前色測定値に基づいて出力情報がさらに発生されるステップをさらに含む。第2の側面による装置は、ピックリングの前および/または処理ステップもしくはピックリングステップの間に平らな製品の表面において色を測定するように構成された事前測色計を有してよい。事前色測定は、ここで表面処理の前後または表面処理の個々のステップの前後の外観の比較を提供することができる。従って、表面処理の影響は、直接の比較によってチェックすることができる。
【0060】
色測定値のための少なくとも1つの規準値は、例えば、事前色測定値の影響を受けることがある。例えば、規準値は、色測定値と事前色測定値との間の特定の差に合致すること、超えることおよび/または達しないことであり得る。少なくとも1つの基準値が用いられる場合、少なくとも1つの基準値は、例えば、色測定値と事前色測定値との比較の基準を示すことができる。
【0061】
一構成において、タイプAA5xxxのアルミニウム合金、特にAA5182製の平らな製品が処理され、少なくとも58、特に、少なくとも60のルミナンスLが調整される。よって、色測定値のための少なくとも1つの規準値は、少なくとも58、特に、少なくとも60のルミナンスLに合致することであってよい。例えば、少なくとも1つのピックリングの処理パラメータは、ルミナンスLが少なくとも58、特に、少なくとも60になるまで変えられる。ピックリングの処理パラメータは、例えば、少なくとも1種類の処理用溶液中の化学物質の濃度であってよい。タイプAA5xxx、特にAA5182の合金の場合に、処理された表面の品質、特に、表面処理の完全さがルミナンスLに基づいてプロセス信頼性の高い方法で認識され得ると認識された。この場合、58、特に60のルミナンスLの最小値が最適な表面処理を示す。この場合、色測定は、標準光源D65と10°の視野角とを用い、45°/0°の幾何配置の直接反射を除外してCIE L色空間で実行される。
【0062】
代りの構成において、タイプAA6xxx、特にAA6016のアルミニウム合金製の平らな製品が処理され、少なくとも62、特に、少なくとも64のルミナンスLが調整される。よって、色測定値のための少なくとも1つの規準値は、少なくとも62、特に少なくとも64のルミナンスLに合致させることであってよい。タイプAA6xxx、特にAA6016のアルミニウム合金の場合、タイプAA5xxxの合金と比較して、最適表面処理によって62、特に64というより高いルミナンスLの最小値という結果となる。この場合、色測定は、標準光源D65と10°の視野角とを用い、45°/0°の幾何配置の直接反射を除外してCIE L色空間で実行される。
【0063】
別構成において、ピックリングは、少なくとも1種類のアルカリ処理用溶液によって、特に、NaOHおよび/または界面活性剤を含む少なくとも1種類のアルカリ処理用溶液によって実行される。例えば、少なくとも1種類の処理用水溶液が用いられる。少なくとも1種類の処理用水溶液中の水酸化ナトリウムの濃度が0.01~5重量%、好ましくは0.1~1.5重量%、特に好ましくは0.5~0.7重量%であるように、少なくとも1種類の処理用水溶液に水酸化ナトリウムを加えることができる。0.1~1.0重量%、好ましくは0.3~0.6重量%の濃度で界面活性剤を用いてよい。少なくとも1種類の処理用水溶液は、任意選択として、5~40重量%のトリポリリン酸ナトリウム、3~10重量%のグルコン酸ナトリウム、3~8重量%の非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤との組成物、および任意選択として0.5~70重量%の炭酸ナトリウム、好ましくは30~70重量%炭酸ナトリウム、の組成物も1.5~3重量%含有してよい。対応する処理用溶液が脱脂および表面濃縮物の除去において特に有効であることが証明された。炭酸ナトリウムの添加は、苛性ソーダアルカリ液の代わりに少なくとも1種類の処理用溶液のpH値を調整するために用いることができる。組成は、少なくとも1つの規準値からの色測定値の逸脱が出力情報によって決定される場合、例えば、少なくとも1つの色測定値の関数として上記範囲内で変化させてよい。処理浴の温度、接触時間および/またはスプレー圧も少なくとも1つの色測定値の関数として増加または減少させてよい。
【0064】
別構成において、ピックリングは、少なくとも1種類の酸性処理用溶液による、特に鉱酸および任意選択として少なくとも1種類の錯化剤を加えることおよび/または任意選択として少なくとも1種類の界面活性剤を加えることを含む、少なくとも1種類の酸性処理用溶液による処理を含む。
【0065】
一構成によれば、ピックリングは、すすぎを含む。例えば、ピックリングは、例えば上記のようにアルカリ性処理用溶液によって実行され、少なくとも1種類のアルカリ性処理用溶液で処理された平らな製品の酸すすぎまたはエッチングが続いて実行される。最後に、脱塩水および/または脱ミネラル水を用いる少なくとも1回のすすぎステップが行われてよい。
【0066】
鉱酸として、とりわけHSO、HNOおよびHClが用いられてよい。鉱酸の濃度は、特に1~10重量%、好ましくは2.5~3.5重量%である。例えばHFおよびHPOが錯形成用鉱酸として用いられる。HFの濃度は、例えば20ppm~3重量%の範囲であってよい。HPOの濃度は、例えば0.1%~20重量%の範囲であってよい。短鎖炭素酸、例えばギ酸を用いることも可能である。
【0067】
とりわけ、フッ化物、クエン酸塩、シュウ酸塩またはリン酸塩が錯化剤として用いられてよい。特に100~1500mg/l、好ましくは300~600mg/lの濃度でフッ化物などの錯化剤が用いられてよい。
【0068】
別構成において、少なくとも1つの色測定値に基づいて少なくとも1つのピックリングの処理パラメータも少なくとも部分的に調節される。例えば、少なくとも1つの色測定値が評価され、この評価に基づいて少なくとも1つの処理パラメータが維持または変更される。この場合、調節は、手動または部分的に自動で行われてよい。
【0069】
ピックリングが複数の方法ステップを含む場合、個々のピックリングステップも互いに独立に手動または部分的に自動で例えば処理ステップまたはピックリングステップの間の事前色測定によって調節されてよい。本方法の構成において、あるピックリングステップの処理パラメータも一定に保たれてよい一方で、他のピックリングステップの処理パラメータは、色測定に基づいて調節される。従って、例えば、一定のまたは手動で調節される処理パラメータを有するピックリングステップが実行され、後続の(酸)すすぎの少なくとも1つの処理パラメータが色測定に基づいて調節される。逆に、ピックリングステップの少なくとも1つの処理パラメータも色測定に基づいて調節されてよく、一定のまたは手動で調節される処理パラメータを有する(酸)すすぎが実行されてよい。
【0070】
本発明の別構成において、少なくとも1つのアルカリ液濃度、少なくとも1つの酸濃度、少なくとも1つのフッ化物濃度、少なくとも1つの界面活性剤濃度、少なくとも1種類の処理用溶液に対する平らな製品の速度、少なくとも1種類の処理用溶液の温度、少なくとも1種類の処理用溶液のスプレー圧および/または少なくとも1種類の処理用溶液の体積を示す少なくとも1つの処理パラメータが調節される。
【0071】
反応速度は、典型的には、少なくとも1つの酸濃度および/または少なくとも1つのアルカリ液濃度の影響を受けてよい。特に、色測定値と酸濃度および/またはアルカリ液濃度との相関関係がある場合がある。例えば、より高い酸濃度および/またはアルカリ液濃度はそれぞれが、一般的に言って、十分に処理された表面の特性であるより高い明度値またはルミナンスまたは特定の色調をもたらし得る。従って、少なくとも1つの酸濃度および/または少なくとも1つのアルカリ液濃度は、例えば手動または部分的に自動の調節が実行されることによって例えば少なくとも1つの色測定値に基づいて最適化されてよい。
【0072】
同様な方法で、少なくとも1つのフッ化物濃度および/または少なくとも1つの界面活性剤濃度が少なくとも1つの色測定値と相関関係を有してよい。例えば、一般的に言って、より高いフッ化物濃度および/または界面活性剤濃度もそれぞれ、十分に処理された表面の特性である、より高い明度値または特定の色調をもたらし得る。
【0073】
例えば十分な表面の清浄化および除去が、目に見える表面の特性が実質的に平らな製品のコアの特性によって決定されるように行われる場合、特定の酸濃度および/またはアルカリ液濃度からピックリングの効果の低下が起こり得る。この効果も、本発明による色測定によって、必要以上に高いあらゆる酸濃度および/またはアルカリ液濃度を避けることができ、従って化学物質を節約することができるように、決定することができる。
【0074】
特に、最適化された色測定値が得られ、任意選択としてそれぞれの濃度ができるだけ低く保たれるように、同時に化学物質の消費を減らすために、アルカリ液濃度、酸濃度、フッ化物濃度および/または界面活性剤濃度が調節される。最適化された色測定値は、例えば、可能な限り十分に処理された表面を表すことができる。同様に、一様に運転される製造を確実にするために、濃度の調節によって、例えば一定の処理速度を維持することができる。一定の処理速度、従って少なくとも1種類の処理用溶液との一定の接触時間は、例えば、浴を通るストリップの一定の通過速度であってよい。
【0075】
少なくとも1種類の処理用溶液に対する平らな製品の速度は、例えば、処理用溶液を有する浴またはスプレー装置に対する平らな製品の速度と理解される。少なくとも1種類の処理用溶液の体積は、特に、少なくとも1種類の処理用溶液のスプレー施用のスプレーされる体積を表す。スプレー圧は、ポンプの吐出体積で調節することができる。こうすると、この方法を実行するときエネルギーの節約の可能性が得られる。
【0076】
一構成において、少なくとも1つの処理パラメータは、明度差が大きいほどおよび/または色差が大きいほど大きくされ、ならびに/あるいは明度差が低いほどおよび/または色差が低いほど小さくされる。基準値が、例えば、決定された目標に対応する場合、少なくとも1つのアルカリ液濃度、少なくとも1つの酸濃度、少なくとも1つのフッ化物濃度および/または少なくとも1つの界面活性剤濃度は、特に、明度差および/または色差が最小になるように適応させてよい。決定された目標は、例えば、十分に処理された表面の色測定値であってよい。特に、典型的には、濃度が高いほど反応が速くなり、その結果、明度および/または色の逸脱が大きくなるほど濃度を大きくしてよい。明度差および/または色差が低いほど処理パラメータ、特に濃度が小さくなる場合、化学物質を節約することができる。
【0077】
本発明の別構成において、平らな製品をピックリングするための手段は、処理浴および/またはスプレー装置として設計される。例えば、平らな製品は、ストリップとして設計され、ストリップは、少なくとも1種類の処理用溶液を有する浴を通る。同様に、シートとして設計された平らな製品が浴に浸漬されてよい。平らな製品の少なくとも1つの側への少なくとも1種類の処理用溶液のスプレー施用のためにスプレー装置が構成されてよい。例えば、移動中の平らな製品、例えば移動中のストリップまたはシートの少なくとも1つの側へのスプレー施用が実行される。
【0078】
本明細書においてこれまで記載された本発明の構成例も、互いとのすべての組み合わせにおいて開示されていると理解されなければならない。特に、構成例は、種々の側面に関して開示されていると理解されなければならない。特に、方法の好ましい実施形態によるこれまでのまたはこれからの方法ステップの記載によって、装置の好ましい実施形態によって方法ステップを実行する、対応する手段が開示される。同様に、方法ステップを実行するための装置の手段を開示することによって、対応する方法ステップも開示される。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態例についての以下の詳細な記載において、特に、図面との連携において、本発明のさらなる構成および利点を推量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】本発明による装置の実施形態例の概略図を示す。
図2】処理パラメータの関数としての実現されるルミナンスの依存性に関する概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1は、本発明による装置2の実施形態例の概略図を示す。装置2は、アルミニウム合金ストリップとして設計された平らな製品6が引き出される第1のコイル4を有する。浸漬浴としておよび/またはスプレー装置として設計され、平らな製品6がピックリングのための少なくとも1種類の処理用溶液と接触する、平らな製品6をピックリングするための手段8が提供される。
【0082】
ピックリングは、NaOHおよび界面活性剤を含む少なくとも1種類のアルカリ処理用溶液によって実行され、濃度は、NaOHについて0.5~0.7重量%であり、界面活性剤について0.3~0.6重量%である。次に、HSOおよび/またはHNOを含み、錯化剤としてのフッ化物としてHFを任意選択で添加した、少なくとも1種類の処理用溶液によって酸すすぎが実行される。この場合、酸濃度は、2.5~3.5重量%であり、フッ化物濃度は、300~600mg/lである。処理が実行された後、平らな製品6は、第2のコイル12に巻かれる。
【0083】
本発明によれば、少なくとも1つの色測定値を決定するために平らな製品6の表面において色を測定するように構成されている測色計14が今や提供される。測色計14は、平らな製品6をピックリングした後に色測定が実行されるようにストリップの移動方向においてピックリングのための手段8の後に配置される。色測定は、平らな製品6のピックリングとインラインで実行される。
【0084】
少なくとも1つの色測定値に基づいて出力情報を発生するように構成されている評価装置10が提供される。この場合における出力情報の発生は、少なくとも1つの色測定値と少なくとも1つの基準値との比較を含む。例えば、表面の色測定は、CIE L色空間中で実行され、色測定値としてルミナンスLが決定される。
【0085】
この場合、出力情報は、色測定値のための少なくとも1つの規準値との合致を示し、基準値が予め定められる。本事例の場合、ルミナンスLは合致するべき最小値と合致するかどうかがチェックされ、最小値は、平らな製品のアルミニウム合金に基づいて予め定められる。
【0086】
任意選択の構成において、事前測色計18によって平らな製品6の表面において事前色測定が実行される。出力情報の発生も、少なくとも1つの事前色測定値に基づいて実行することができ、処理の前後のルミナンスLの間で明度差が形成される。追加の規準値は、例えば、明度差の最小値にも合致するべきであるとしてよい。
【0087】
出力情報は、ディスプレイ16への出力である。例えば、ディスプレイ16は、交通信号機として設計され、少なくとも1つの規準値との合致があるとき青を表示する。さらに、信号機の黄色信号は、少なくとも1つの規準値からの逸脱を示す。さらに、重大な逸脱を知らせる赤信号が提供されてよく、重大な逸脱が発生したときは処理も自動的に停止される。ここで、表面処理の有効性は、処理された平らな製品6における色測定に基づいて高い信頼性で決定することができる。
【0088】
従って、出力情報は、誤り検索の必要特性を示すことができる。誤り検索の原因が生じたことが出力情報によって示された場合、対応する誤り検索を実行することができる。例えば、出力情報は、誤り検索時に機械的欠陥がないか装置をチェックすることを優先することができるように、ピックリングのための少なくとも1種類の処理用溶液の規準値パラメータ、例えばpH値および/または電気伝導率などとの合致特性を示す。
【0089】
ピックリングの少なくとも1つの処理パラメータは、少なくとも1つの色測定値に基づいて少なくとも部分的に手動で調節することができる。この調節は、出力情報に基づいて少なくとも部分的に実行することができる。
【0090】
例えば、現行の処理において少なくとも1つの規準値からの逸脱があるとき、少なくとも1種類の処理用溶液の個々の処理パラメータが手動で適応されることによって介入を実行することができる。この目的で、例えば、黄色信号を用いることができる。重大な逸脱がある場合、処理のための装置をさらにチェックすることができ、誤り検索および誤り訂正後に処理を続けることができる。例えば、この目的で赤信号を用いることができる。
【0091】
さらなる説明のために、タイプAA5xxxおよびAA6xxxのアルミニウム合金について、縦座標としてプロットされるルミナンス実現値の、横座標としてプロットされる処理パラメータの関数としての依存性に関する概略図が図2に示される。一般的に言って、処理パラメータが大きいほど、酸化物層、金属間相、圧延によって組み込まれる粒子および表面近傍濃縮物の除去が多くなってピックリングの完成度が高くなる結果としてルミナンスLが大きくなる。この場合、先行技術からの方法で問題となることは、処理によって、例えば反応を抑制する同伴物質の濃縮によって自己抑制的なプロセスも起こるので、ピックリング反応の反応速度が、複数のパラメータに依存し得ることである。
【0092】
ここで、処理された平らな製品の表面における色測定によって最適な処理パラメータを調整することができ、複数の異なる平らな製品のためにこの調節を用いることもできる。異なる平らな製品は、例えば、異なる合金、製造方法および幾何学的形状を有することがある。
【0093】
例えば、少なくとも1つの色測定値と少なくとも1つの基準値との比較が実行される。少なくとも1つの基準値は、平らな製品6のアルミニウム合金の関数として決定され、タイプAA6xxxの合金のために値Lminが予め定められ、タイプAA5xxxの合金のために値L′minが予め定められる。この例において、タイプAA5xxxの合金のための値L′minは、タイプAA6xxxの合金のためのL′minより低い。例えば、アルカリ液濃度または酸濃度のような濃度は、少なくとも1種類の処理用溶液中で絶対値に基づいて調整することができるだけでなく、同時にできるだけ低い濃度でルミナンスの最小値LminまたはL′minが実現されるように選ばれる。
【0094】
さらに、種々の処理パラメータ下で種々のアルミニウム合金からの平らな製品においてルミナンスLが測定された。表面の色測定は、標準光源D65と10°の視野角とを用い、45°/0°の幾何配置の直接反射を除外してCIE L色空間で実行される。
【0095】
合金AA5182製の平らな製品のためのルミナンスLについての結果が表1に集められる。
【0096】
【表1】
【0097】
満足な処理を受け、従って圧延残留物、酸化物層ならびに粒子および濃縮物が完全に除去された実施例1~8の表面は、ここで結果「+」の印が付いている。対照的に、実施例9~11は、特に、アルカリ処理区域における過度に低い界面活性剤濃度とすすぎまたはエッチング時のいくらか低くなった酸濃度とが原因であると考えることができる、結果「-」を有する不十分な表面の処理を示す。
【0098】
しかし、処理された表面の品質は、ルミナンスLの値に基づいて決定することができ、タイプAA5182の合金の処理の正の結果は、58、特に60のルミナンスの値を実現する。例えば、対応する逸脱を本方法により示すことができる。前述のルミナンスの値が実現されるように、例えば、測定されたルミナンスLに基づいてエッチング時に手動でまたは部分的に自動で酸濃度を調節することができる。
【0099】
合金AA6016製の平らな製品のルミナンスLのさらなる結果が表2に集められる。
【0100】
【表2】
【0101】
ここで、実施例12~19では正の処理結果が示される一方で、実施例20~22での処理は、不十分でしかない。実施例20および実施例22の負の結果は、エッチング時の過度に低い酸濃度と関連があると仮定することができる。実施例20も過度に低いフッ化物濃度でエッチングされた。対照的に、実施例21は、エッチング時に比較的高い濃度で処理されているが、ピックリング/脱脂時に低い界面活性剤濃度が存在する。
【0102】
ルミナンスLに基づく処理の結果に関する結論もここで下すことができ、正の実施例12~19のルミナンスLの値は、少なくとも62、特に、少なくとも64である。
【0103】
従って、本方法は、種々のアルミニウム合金製の複数の平らな製品の処理を可能にし、平らな製品の特性に基づいて、例えば実現されるべき最小ルミナンスLなどの基準値が決定される。
【0104】
表3は、ルミナンスLの値の可能な変動に関連して、タイプAA5754およびAA6451の合金における色測定を示す。少なくとも68という比較的高いルミナンスLの値がタイプAA5754の合金における正の処理結果とともに実現される。少なくとも55という比較的低いルミナンスLの最小値がタイプAA6451の合金における正の処理結果とともに実現される。タイプAA6451の合金のルミナンス値は、ここでも、タイプAA6xxxの他の合金で通常得られるルミナンス値より低い。
【0105】
【表3】
【0106】
ルミナンスLに加えて、他の色測定値も処理の効果を評価するために用いることができる。この目的で、表4は、色測定値の概要を処理結果の評価と共に示す。
【0107】
この場合、色測定は、処理後に実行された。平らな製品は、タイプAA6016の合金からなる。
【0108】
少なくとも1つの規準値との合致を示す出力情報を得るために、色測定値として例えばbもここで用いることができる。例えば、表4の一連の測定において、低い方のbの値、特に10.0未満または8.0未満のbの値は、良好な処理結果を示す。
【0109】
同様に、評価のためにΔEを代替としてまたは追加として用いることができ、基準パターンへの最大距離および/または表面処理の前の色測定までの最小距離が良好な処理結果を表示する。基準パターンまでの最大距離は、ΔEのより低い値である。表面処理の前の色測定までの最小距離は、ΔEのより高い値に対応する。
【0110】
表5aにおいて、タイプAA5182の合金製の平らな製品の、ピックリングを含む処理の別の実施例が示される。ピックリングは、化学反応下で行われ、化学反応において自己抑制的なプロセスが起こる。この場合、オンラインで検出可能な処理パラメータは、処理時に自動で調節され、予め定められた間隔に保たれた。オンラインで検出可能な処理パラメータは、例えば、脱脂/ピックリングのための少なくとも1種類のアルカリ性処理用溶液の電気伝導率およびすすぎのための少なくとも1種類の酸性処理用溶液の電気伝導率である。オンラインで検出可能な処理パラメータは、表5aにおいて同日の種々の時刻について記録される。
【0111】
処理パラメータは、オフライン測定においても断続的に収集された。これらのパラメータは、表5bに再現される。ここで測定された濃度も、それぞれ予め定められた間隔内であった。
【0112】
自己抑制プロセスの発生に起因して、少なくとも1種類の処理用溶液のピックリング作用は、低下するかまたは減速され得る。そのことが、不十分な処理結果をもたらし得る。自己抑制プロセスは、例えば、少なくとも1種類の処理用溶液の「随伴」などの潜在的影響をもたらし得る。自己抑制プロセスの効果は、電気伝導率およびpH値などのオンラインで検出可能である大域パラメータと、少なくとも1種類の処理用溶液のAl濃度または個々の成分の濃度などの非連続的に決定可能な処理パラメータとに基づくピックリング結果に関する確定的な言明を妨げることがある。表5aから、少なくとも1種類の処理用溶液のための実質的に一定の処理パラメータにも関わらず平らな製品に対するピックリング作用は変化し、2、3時間内に目に見えて減少したことを識別することができる。
【0113】
しかし、明度(独:Helligkeit,英:brightness)Lに関しては処理結果との良好な相関があったため、それによって、色測定値に基づいて、誤り検索の必要特性を示す出力情報を利用可能にすることができる。例えば表5aおよび表5bからのように、出力情報は、平らな製品の処理のための少なくとも1種類の処理用溶液の規準値パラメータとの合致特性も示すことができる。
【0114】
タイプAA5754およびタイプAA5182の合金製の平らな製品のピックリングを含む処理の別の実施例が表6aに示される。表6aに注記されている時刻は、表5aに示される測定とは異なる日に関する。断続的におよびオフラインで検出可能である処理パラメータが表6bに再現される。
【0115】
19:42~20:33の間の明度値Lの差は、少なくとも部分的に合金の変化に起因し、両方の明度値が良好な処理結果を依然示す。しかし、21:03における第3の測定の明度値Lは、以前に製造された同じタイプの合金との比較と、少なくとも58、特に、60というLの基準値との比較との両方で明度値のための規準値に合致しない。
【0116】
従って、明度測定値Lは、低下した明度が過度に低いピックリング作用を示すので、20:33~21:03の間の時間に問題が起こったに違いないと結論づけることを可能にする。よって、誤り検索が必要であるという事実の特性を示す出力情報を発生することができるだろう。出力情報は、少なくとも1種類の維持された処理用溶液の測定された処理パラメータが規準値パラメータに合致するという事実の特性を示すこともできるだろう。
【0117】
この時点で起動された誤り検索において欠陥のあるスプレーリングを特定することができた。浴の化学分析だけに依拠していたらすぐにはこの不良に気が付かなかっただろう。
【0118】
【表4】
【0119】
【表5a】
【0120】
【表5b】
【0121】
【表6a】
【0122】
【表6b】
図1
図2