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特許7307817mTORC1/2デュアルキナーゼ活性阻害剤の塩形、結晶形及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】mTORC1/2デュアルキナーゼ活性阻害剤の塩形、結晶形及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20230705BHJP
   A61K 31/5386 20060101ALI20230705BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230705BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230705BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
C07D471/04 118Z
C07D471/04 CSP
C07D471/04 118N
A61K31/5386
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021566043
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 CN2020088748
(87)【国際公開番号】W WO2020224585
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】201910373071.9
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910380491.X
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516304780
【氏名又は名称】メッドシャイン ディスカバリー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】ケビン エックス チェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン チャオクオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン リー
(72)【発明者】
【氏名】ユイ イェンシン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ カイ
(72)【発明者】
【氏名】チアン フェン
(72)【発明者】
【氏名】シア シャンホア
(72)【発明者】
【氏名】ワン シアオフェイ
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-501535(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103030653(CN,A)
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2013年,Vol. 23,pp. 1212-1216
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:16.355±0.200°、19.847±0.200°、21.319±0.200°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物の結晶A。
【化1】
【請求項2】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.169±0.200°、10.986±0.200°、13.394±0.200°、16.355±0.200°、17.084±0.200°、19.847±0.200°、21.319±0.200°、22.154±0.200°において特徴的な回折ピークを有する、請求項1に記載の前記式(I)で表される化合物の結晶A。
【請求項3】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.169±0.200°、9.903±0.200°、10.986±0.200°、13.394±0.200°、13.931±0.200°、15.330±0.200°、16.355±0.200°、17.084±0.200°、19.847±0.200°、21.319±0.200°、22.154±0.200°、23.475±0.200°において特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の前記式(I)で表される化合物の結晶A。
【請求項4】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.169°、9.119°、9.551°、9.903°、10.986°、12.525°、13.394°、13.931°、15.330°、15.589°、15.923°、16.355°、16.743°、17.084°、17.815°、18.268°、19.149°、19.414°、19.847°、20.273°、21.319°、22.154°、23.475°、23.953°、24.710°、25.134°、25.805°、26.054°、26.232°、26.772°、28.048°、29.254°、29.469°、29.958°、31.617°、31.838°、33.074°、33.924°、34.281°、36.061°、36.520°、38.052において特徴的な回折ピークを有する、請求項3に記載の前記式(I)で表される化合物の結晶A。
【請求項5】
粉末X線回折スペクトルの分析データが、以下の表:
【表1】
に示される、請求項4に記載の前記式(I)で表される化合物の結晶A。
【請求項6】
示差走査熱量曲線は221.62±3.00℃において吸熱ピークを有し、及び/又は
熱重量分析曲線は122.98±3.0℃の際に重量が0.08225%減少し、及びさらに262.62±3.00℃の際に重量が0.4156%減少する、請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物の結晶A。
【請求項7】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.295±0.200°、7.851±0.200°、11.324±0.200°、16.351±0.200°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I):
【化2】
で表される化合物の結晶B。
【請求項8】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.295±0.200°、7.851±0.200°、8.621±0.200°、11.324±0.200°、14.184±0.200°、15.287±0.200°、16.351±0.200°、26.114±0.200°において特徴的な回折ピークを有する、請求項に記載の前記式(I)で表される化合物の結晶B。
【請求項9】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.295±0.200°、7.851±0.200°、8.621±0.200°、11.324±0.200°、14.184±0.200°、15.287±0.200°、16.351±0.200°、17.087±0.200°、18.563±0.200°、19.531±0.200°、20.791±0.200°、26.114±0.200°において特徴的な回折ピークを有する、請求項に記載の前記式(I)で表される化合物の結晶B。
【請求項10】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.295°、7.851°、8.166°、8.621°、9.109°、9.528°、9.897°、10.985°、11.324°、11.973°、12.586°、12.876°、13.391°、13.928°、14.184°、15.287°、15.879°、16.351°、16.590°、17.087°、17.276°、18.563°、18.933°、19.531°、19.827°、20.791°、21.285°、22.136°、22.585°、23.489°、23.650°、24.151°、24.970°、25.328°、25.900°、26.114°、26.731°、28.109°、28.659°、29.551°、29.908°、31.539°、36.554°、38.644において特徴的な回折ピークを有する、請求項に記載の前記式(I)で表される化合物の結晶B。
【請求項11】
粉末X線回折スペクトルの分析データが、以下の表:
【表2】
に示される、請求項10に記載の前記式(I)で表される化合物の結晶B。
【請求項12】
式(II)で表される化合物。
【化3】
【請求項13】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.802±0.200°、7.991±0.200°、11.618±0.200°、16.567±0.200°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II):
【化4】
で表される化合物の結晶C。
【請求項14】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.802±0.200°、7.991±0.200°、11.618±0.200°、13.138±0.200°、15.487±0.200°、15.959±0.200°、16.567±0.200°、18.268±0.200°において特徴的な回折ピークを有する、請求項1に記載の前記式(II)で表される化合物の結晶C。
【請求項15】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.802±0.200°、7.991±0.200°、11.618±0.200°、13.138±0.200°、15.487±0.200°、15.959±0.200°、16.567±0.200°、18.268±0.200°、18.802±0.200°、19.505±0.200°、22.309±0.200°、23.633±0.200°において特徴的な回折ピークを有する、請求項1に記載の前記式(II)で表される化合物の結晶C。
【請求項16】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.802°、7.991°、11.127°、11.618°、13.138°、14.219°、14.637°、15.487°、15.959°、16.567°、18.268°、18.802°、19.098°、19.505°、19.881°、20.343°、21.061°、21.340°、21.977°、22.309°、22.504°、23.298°、23.633°、24.403°、24.954°、25.286°、25.557°、26.176°、26.986°、28.618°、29.472°、29.805°、31.796°、32.052°、32.666°、33.433°、34.423°、34.836°、38.939°、39.312°において特徴的な回折ピークを有する、請求項1に記載の前記式(II)で表される化合物の結晶C。
【請求項17】
粉末X線回折スペクトルの分析データが、以下の表:
【表3】
に示される、請求項1に記載の前記式(II)で表される化合物の結晶C。
【請求項18】
示差走査熱量曲線は229.91±3.00℃において吸熱ピークを有し;及び/又は
熱重量分析曲線は143.66±3.00℃の際に重量が0.1862%減少する、請求項13~17のいずれか一項に記載の前記式(II)で表される化合物の結晶C。
【請求項19】
(a)式(I)で表される化合物を溶媒の中に添加する工程;
(b)30~50℃で45~55時間攪拌する工程;
(c)遠心分離した固体が式(I)で表される化合物の結晶である工程;
を含み、
ここで、前記溶媒は水、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチルである、請求項1~のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物の結晶Aの製造方法。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物及び請求項1~1及び1~1のいずれか一項に記載の結晶を含むmTORC1/2デュアルキナーゼの阻害剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は以下の優先権を主張する:
CN201910373071.9、出願日は2019年05月06日であり;
CN201910380491.X、出願日は2019年05月08日である。
本発明はmTORC1/2デュアルキナーゼ阻害剤の塩形、結晶型及びその製造方法に関し、更に、mTORC1/2デュアルキナーゼ阻害剤に関連する医薬の製造における前記塩形及び結晶型の使用を含む。
【背景技術】
【0002】
腫瘍、特に悪性腫瘍は、ヒトの健康を脅かす最も深刻な疾患の一つであり、科学技術の進歩と腫瘍治療に関する研究の増加に伴い、腫瘍の発生と発達機序で、腫瘍の治療には急速な進歩が見られるようになった。多くの新しい機序とバイオマーカーが発見された。本発明は腫瘍の増殖、侵襲性転移及び抗アポトーシスに重要な役割を果たすシグナル伝達経路、すなわちホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)-AKT-哺乳類ラパマイシンプロテアーゼmTORシグナル伝達経路に関する。
【0003】
PI3Kの活性化は、主にその原形質膜の内側に近い基質の関与から生じる。線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ヒト増殖因子(HGF)、血管新生プロテインI(Ang1)及びインスリンを含む多種の成長因子とシグナル伝達複合体は、PI3K活性化プロセスを開始することができる。これらの因子は受容体型チロシンキナーゼ(RTK)を活性化し、自己リン酸化を引き起こす。PI3K活性化の結果として細胞膜でセカンドメッセンジャーであるPIP3が生成され、PIP3が細胞内のPH構造ドメインを含むシグナル伝達タンパク質であるAKT及びPDK1(phosphoinositide dependent kinase-1)に結合し、PDK1がAKTタンパク質のSer308をリン酸化することでAKTが活性化される。他のPDK1基質には、さらにPKC(プロテインキナーゼC)、S6K(p70S6)及びSGK(serum/glucoccorticoid regulated kinases)が含まれる。プロテインキナーゼB(PKB)としても知られるAKTは、PI3Kの下流の主要なエフェクターである。活性化されたAKTは、多種の酵素、キナーゼ、転写因子などの下流因子をリン酸化し、それによって細胞機能を調節する。AKTは、さまざまな下流経路による標的タンパク質のリン酸化を介して、抗アポトーシス作用を発揮する。PTEN(phosphatase and tensin homology deleted on chromosome10)は腫瘍抑制遺伝子であり、広範囲のヒト腫瘍で遺伝子の突然変異又は欠失が発生される。PTENはPIP3-ホスファターゼであり、PI3Kの機能とは逆に、脱リン酸化によりPIP3をPIP2に変換することができる。PTENは、AKTの活性化を減らし、AKTによって調節されるすべての下流シグナル伝達イベントを阻害することができる。mTORは、AKTの下流基質として、進化において比較的保守であり、栄養、エネルギー、成長因子などの複数のシグナルを統合し、遺伝子転写、タンパク質の翻訳、リボソーム合成、細胞アポトーシスなどの生物学的プロセスに関与し、細胞の成長に極めて重要な役割を果たしている。それは相同性の高い2つの複合体を持ち、Tor及びKOG01の結合によりmTORC1を形成し、mTORはAVO1/AVO2/AVO3/及びLST8とともにラパマイシンに敏感しないmTORC2を形成する。mTORは、下流の標的タンパク質であるS40SリボソームS6プロテインキナーゼ、例えは、S6K1や4EBP1などをリン酸化することで、下流のタンパク質の翻訳を調節する。mTORはeIF3と結合して、S6K1をリン酸化し、eIF3からS6K1を放出して活性化し、さらにp70S6などの細胞基質をリン酸化してタンパク質の翻訳と発現を促進する。4EBP1は、真核生物の転写開始因子4Eに結合してその活性を阻害し、mTORが4E-BP1をリン酸化した後、eif-4eから分離するように活性化し、真核生物の転写を実現する。mTORC2はAKTをリン酸化し、それによってそのキナーゼ活性をアップレギュレートすることができる。
【0004】
上述のように、PI3K/AKT/mTORシグナル伝達経路の上流での突然変異又は過剰発現は、一連の下流カスケード反応を引き起こし、最終的には腫瘍の発生、発展及び転移を引き起こす。しかし、mTORはシグナル伝達経路のハブにあり、mTORC1とmTORC2を阻害することで、シグナル伝達をうまくブロックし、腫瘍の進行を制御することができる。
【0005】
研究によると、このシグナル伝達経路は、乳癌、前立腺癌、肺癌、結腸癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、結腸直腸癌、腎臓癌、甲状腺癌、髄膜炎癌、急性及び慢性リンパ性白血病、メルケル細胞腫など複数の固形腫瘍に見られ、また、治療耐性及び予後不良と密接に関連している。PI3K/AKT/MTORシグナル経路の阻害を達成するための小分子化合物の開発には、良好な開発の見通しがある。本発明は、薬剤を標的としたデュアルmTOR低分子化合物を発見することを目的とし、そのような化合物は良好な活性を有し、優れた効果と作用を示した。
【0006】
US20170281637には、mTORC1&mTORC2キナーゼ阻害剤に属する化合物AZD2014が開示されており、その構造式は次の通りである。
【化1】
【発明の概要】
【0007】
本発明は、さらに粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:16.355±0.200°、19.847±0.200°、21.319±0.200°において特徴的な回折ピークを有する式(I)で表される化合物の結晶形Aを提供する。
【化2】
【0008】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(I)で表される化合物の結晶形Aは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.169±0.200°、10.986±0.200°、13.394±0.200°、16.355±0.200°、17.084±0.200°、19.847±0.200°、21.319±0.200°、22.154±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0009】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(I)で表される化合物の結晶形Aは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.169±0.200°、9.903±0.200°、10.986±0.200°、13.394±0.200°、13.931±0.200°、15.330±0.200°、16.355±0.200°、17.084±0.200°、19.847±0.200°、21.319±0.200°、22.154±0.200°、23.475±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0010】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(I)で表される化合物の結晶形Aは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.169°、9.119°、9.551°、9.903°、10.986°、12.525°、13.394°、13.931°、15.330°、15.589°、15.923°、16.355°、16.743°、17.084°、17.815°、18.268°、19.149°、19.414°、19.847°、20.273°、21.319°、22.154°、23.475°、23.953°、24.710°、25.134°、25.805°、26.054°、26.232°、26.772°、28.048°、29.254°、29.469°、29.958°、31.617°、31.838°、33.074°、33.924°、34.281°、36.061°、36.520°、38.052において特徴的な回折ピークを有する。
【0011】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(I)で表される化合物の結晶形AのXRPDスペクトルは図1に示された通りである。
【0012】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(I)で表される化合物の結晶形AのXRPDスペクトル解析データは表1に示された通りである。
【0013】
【表1】
【0014】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Aの示差走査熱量曲線は219.38±3.00℃において吸熱ピークの開始値を有する。
【0015】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Aの示差走査熱量曲線は221.62±3.00℃において吸熱ピークを有する。
【0016】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形AのDSCスペクトルは図2に示された通りである。
【0017】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Aの熱重量分析曲線は122.98±3.00℃の際に重量が0.08225%減少し、262.62C±3.00℃の際にまた重量が0.4156%減少する。
【0018】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形AのTGAスペクトルは図3に示された通りである。
【0019】
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.295±0.200°、7.851±0.200°,11.324±0.200°、16.351±0.200°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)で表される化合物の結晶形Bを提供する。
【化3】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(I)で表される化合物の結晶形Bは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.295±0.200°、7.851±0.200°、8.621±0.100°、11.324±0.100°、14.184±0.100°、15.287±0.200°、16.351±0.200°、26.114±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0020】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(I)で表される化合物の結晶形Bは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.295±0.200°、7.851±0.200°、8.621±0.200°、11.324±0.200°、14.184±0.200°、15.287±0.200°、16.351±0.200°、26.114±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0021】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(I)で表される化合物の結晶形Bは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.295±0.200°、7.851±0.200°、8.621±0.200°、11.324±0.200°、14.184±0.200°、15.287±0.200°、16.351±0.200°、17.087±0.200°、18.563±0.200°、19.531±0.200°、20.791±0.200°、26.114±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0022】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(I)で表される化合物の結晶形Bは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.295±0.200°、7.851±0.200°、8.621±0.200°、11.324±0.200°、14.184±0.200°、15.287±0.200°、16.351±0.200°、17.087±0.200°、18.563±0.200°、19.531±0.200°、20.791±0.200°、26.114±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0023】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(I)で表される化合物の結晶形Bは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.295°、7.851°、8.166°、8.621°、9.109°、9.528°、9.897°、10.985°、11.324°、11.973°、12.586°、12.876°、13.391°、13.928°、14.184°、15.287°、15.879°、16.351°、16.590°、17.087°、17.276°、18.563°、18.933°、19.531°、19.827°、20.791°、21.285°、22.136°、22.585°、23.489°、23.650°、24.151°、24.970°、25.328°、25.900°、26.114°、26.731°、28.109°、28.659°、29.551°、29.908°、31.539°、36.554°、38.644において特徴的な回折ピークを有する。
【0024】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(I)で表される化合物の結晶形BのXRPDスペクトルは図4に示された通りである。
【0025】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(I)で表される化合物の結晶形BのXRPDスペクトル解析データは表2に示された通りである。
【0026】
【表2】
【0027】
本発明は、更に、式(II)で表される化合物を提供する。
【化4】
【0028】
本発明は、更に、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.802±0.200°、7.991±0.200°、11.618±0.200°、16.567±0.200°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)で表される化合物の結晶形Cを提供する。
【0029】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)で表される化合物の結晶形Cは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.802±0.200°、7.991±0.200°、11.618±0.200°、13.138±0.100°、15.487±0.100°、15.959±0.200°、16.567±0.200°、18.268±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0030】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)で表される化合物の結晶形Cは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.802±0.200°、7.991±0.200°、11.618±0.200°、13.138±0.200°、15.487±0.200°、15.959±0.200°、16.567±0.200°、18.268±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0031】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)で表される化合物の結晶形Cは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.802±0.200°、7.991±0.200°、11.618±0.200°、13.138±0.200°、15.487±0.200°、15.959±0.200°、16.567±0.200°、18.268±0.200°、18.802±0.200°、19.505±0.200°、22.309±0.200°、23.633±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0032】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)で表される化合物の結晶形Cは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.802±0.200°、7.991±0.200°、11.618±0.200°、13.138±0.200°、15.487±0.200°、15.959±0.200°、16.567±0.200°、18.268±0.200°、18.802±0.200°、19.505±0.200°、22.309±0.200°、23.633±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0033】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)で表される化合物の結晶形Cは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.802°、7.991°、11.127°、11.618°、13.138°、14.219°、14.637°、15.487°、15.959°、16.567°、18.268°、18.802°、19.098°、19.505°、19.881°、20.343°、21.061°、21.340°、21.977°、22.309°、22.504°、23.298°、23.633°、24.403°、24.954°、25.286°、25.557°、26.176°、26.986°、28.618°、29.472°、29.805°、31.796°、32.052°、32.666°、33.433°、34.423°、34.836°、38.939°、39.312°において特徴的な回折ピークを有する。
【0034】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)で表される化合物の結晶形CのXRPDスペクトルは図5に示された通りである。
【0035】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)で表される化合物の結晶形CのXRPDスペクトル解析データは表3に示された通りである。
【0036】
【表3】
【0037】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)で表される化合物の結晶形Cの示差走査熱量曲線は226.90±3.00℃において吸熱ピークの開始値を有する。
【0038】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)で表される化合物の結晶形Cの示差走査熱量曲線は229.91±3.00℃において吸熱ピークを有する。
【0039】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)で表される化合物の結晶形CのDSCスペクトルは図6に示された通りである。
【0040】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)で表される化合物の結晶形Cの熱重量分析曲線は143.66±3.00℃の際に重量が0.1862%減少する。
【0041】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)で表される化合物の結晶形CのTGAスペクトルが図7に示された通りである。
【0042】
本発明は、更に、式(I)で表される化合物のA結晶形の製造方法を提供し、それは以下の方法を含み:
(a)式(I)で表される化合物を溶媒の中に添加し;
(b)30~50℃で45~55時間攪拌し;
(c)遠心分離した固体は式(I)で表される化合物のA結晶形であり;
ここで、前記溶媒は水、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチルである。
【0043】
本発明は、更に、式(III)で表される化合物を提供する。
【0044】
【化5】
【0045】
本発明は、更に、粉末X線回折スペクトルが図8に示された通りであることを特徴とする式(III)で表される化合物の結晶形Dを提供する。
【0046】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(III)で表される化合物の結晶形DのXRPDスペクトル解析データは表4に示された通りである。
【0047】
【表4】
【0048】
本発明は、更に、式(IV)で表される化合物を提供する。
【0049】
【化6】
【0050】
本発明は、更に、粉末X線回折スペクトルが図9に示された通りであることを特徴とする式(IV)で表される化合物の結晶形Eを提供する。
【0051】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形EのXRPDスペクトル解析データは表5に示された通りである。
【0052】
【表5】
【0053】
本発明は、更に、式(V)で表される化合物を提供する。
【化7】
【0054】
本発明は、更に、粉末X線回折スペクトルが図10に示された通りであることを特徴とする式(V)で表される化合物の結晶形Fを提供する。
【0055】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(V)で表される化合物の結晶形FのXRPDスペクトル解析データは表6に示された通りである。
【0056】
【表6】
【0057】
本発明は、更に、式(VI)で表される化合物を提供する。
【化8】
【0058】
本発明は、更に、粉末X線回折スペクトルが図11に示された通りであることを特徴とする式(VI)で表される化合物の結晶形Gを提供する。
【0059】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(VI)で表される化合物の結晶形GのXRPDスペクトル解析データは表7に示された通りである。
【0060】
【表7】
【0061】
本発明は、更に、式(VII )で表される化合物を提供する。
【化9】
【0062】
本発明は、更に、粉末X線回折スペクトルが図12に示された通りであることを特徴とする式(VII )で表される化合物の結晶形Hを提供する。
【0063】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(VII )で表される化合物の結晶形HのXRPDスペクトル解析データは表8に示された通りである。
【0064】
【表8】
【0065】
本発明は、更に、式(VIII)で表される化合物を提供する。
【化10】
【0066】
本発明は、更に、粉末X線回折スペクトルが図13に示された通りであることを特徴とする式(VIII)で表される化合物の結晶形Iを提供する。
【0067】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(VIII)で表される化合物の結晶形IのXRPDスペクトル解析データは表9に示された通りである。
【0068】
【表9】
【0069】
本発明は、更に、式(IX)で表される化合物を提供する。
【化11】
本発明は、更に、粉末X線回折スペクトルが図14に示された通りであることを特徴とする式(IX)で表される化合物の結晶形Jを提供する。
【0070】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形JのXRPDスペクトル解析データは表10に示された通りである。
【0071】
【表10】
【0072】
本発明は、さらにmTORC1/2デュアルキナーゼ活性阻害剤関連医薬の製造における前記化合物又は結晶形、或いは前記製造方法により得られた結晶形の使用を提供する。
【発明の効果】
【0073】
本発明の式(I)の化合物は、mTORC1/2キナーゼ活性試験を行い、データから、本発明の式(I)で表される化合物が、有意な又は予想外のmTORキナーゼ阻害活性を有し、これは、現在の臨床化合物AZD2014より良好であることが示された。
【0074】
本発明の式(I)で表される化合物は、MCF-7、N87細胞の増殖に対して有意な阻害活性を有する。
【0075】
PKの結果から、本発明の式(I)で表される化合物の生物学的利用能は100%に近く、経口投与用に開発できる非常に優れた分子であることが示された。
【0076】
MCF-7移植腫瘍モデルにおいて、式(I)で表される化合物はAZD2014と相当であり、本特許発明の式(I)で表される化合物は、様々な腫瘍阻害剤になる可能性がある。
【0077】
本発明の結晶形は、高温、高湿度、強い光照射の条件下で良好な安定性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0078】
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を含む。一つの特定の連語又は用語は、特別に定義されない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。
【0079】
本発明の中間体化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、他の化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0080】
本発明の具体的な実施形態の化学反応は適切な溶媒で完成され、前記の溶媒は本発明の化学変化及びそれに必要な試薬と材料に適するべきである。本発明の化合物を得るため、当業者が既存の実施形態に基づいて合成工程又は反応スキームを変更又は選択することが必要であることもある。
【0081】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の何らの制限にもならない。
【0082】
本発明に使用されたすべての溶媒は市販品で、さらに精製せずにそのままで使用してもよい。
【0083】
本発明は下記略語を使用する:r.t.は室温を表し;THFはテトラヒドロフランを表し;NMPはN-メチルピロリドンを表し;MeSO3Hはメタンスルホン酸を表し;DMEはエチレングリコールジメチルエーテルを表し;DCMはジクロロメタンを表し;Xphosは2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニルを表し;EtOAcは酢酸エチルを表し;MeOHはメタノールを表し;2-Me-THFは2-メチルテトラヒドロフランを表し;IPAはイソプロパノールを表す。
【0084】
化合物は、本技術分野の従来の命名原則、又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアを使用して命名され、市販の化合物は、サプライヤーのカタログ名を使用して命名される。
【0085】
本発明の粉末X線回折(X-ray powder diffractometer、XRPD)方法
計器モデル:ブルカーD8 advance X-線回折計
測定方法:約10~20mgの試料をXRPDの検出に用いる。
【0086】
詳細なXRPDパラメータは以下通りである:
X線管:Cu、kα、(λ=1.54056Å)。
【0087】
管電圧:40kV、管電流:40mA
発散スリット:0.60mm
センサスリット:10.50mm
散乱防止スリット:7.10mm
走査範囲:4~40deg
ステップ角:0.02deg
ステップ幅:0.12秒
サンプルパン回転数:15rpm
本発明の示差熱分析(Differential Scanning Calorimeter、DSC)方法
計器モデル:TA Q2000示差走査熱量計
測定方法:試料(~1mg)をDSCアルミニウム製坩堝に取って測定を行い、50mL/分 N2条件で、10℃/分の昇温速度で、試料を30℃(室温)から300℃(又は350℃)まで加熱する。
【0088】
本発明の熱重量分析(Thermal Gravimetric Analyzer、TGA)方法
計器モデル:TA Q5000IR熱重量分析計
測定方法:試料(2~5mg)をTGA白金坩堝に取って測定を行い、25mL/分 N2条件で、10℃/分の昇温速度で、試料を室温から350℃まで、又は重量が20%減少するまで加熱する。
【0089】
本発明に係る動的蒸気吸着分析(Dynamic Vapor Sorption, DVS)方法
計器モデル:SMS DVS Advantage動的蒸気収着装置
測定条件:試料(10~15mg)をDVS試料パンに取って測定を行う。
【0090】
詳細なDVSパラメータは以下通りである:
温度:25℃
バランス:dm/dt=0.01%/分(最短:10分、最長:180分)
乾燥:0%RHで120分乾燥させる
RH(%)テストステップ:10%
RH(%)テストステップ範囲:0%~90%~0%
【0091】
吸湿性評価の分類は以下の通りである:
【表10-2】
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1】式(I)で表される化合物の結晶形AのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである;
図2】式(I)で表される化合物のA結晶形のDSCスペクトルである;
図3】式(I)で表される化合物のA結晶形のTGAスペクトルである;
図4】式(I)で表される化合物の結晶形BのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである;
図5】式(II)で表される化合物の結晶形CのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである;
図6】式(II)で表される化合物の結晶形CのDSCスペクトルである;
図7】式(II)で表される化合物の結晶形CのTGAスペクトルである;
図8】式(III )で表される化合物の結晶形DのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである;
図9】式(IV)で表される化合物の結晶形EのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである;
図10】式(V)で表される化合物の結晶形FのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである;
図11】式(VI)で表される化合物の結晶形GのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである;
図12】式(VII )で表される化合物の結晶形HのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである;
図13】式(VIII)で表される化合物の結晶形IのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである;
図14】式(IX)で表される化合物の結晶形JのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである;
図15】式(I)で表される化合物の結晶形AのDVSスペクトルである。
【実施例
【0093】
本発明の内容がよりよく分かるように、以下に具体的な実施の形態を参照しながらさらに説明するが、具体的な実施の態様は本発明の内容を制限するものではない。
【0094】
実施例1:式(I)で表される化合物の製造
【化12】
【0095】
工程1
化合物1a(20.0g、104mmol、1.00eq)及び濃アンモニア水(200mL、1.45mol、14.0eq)をオートクレーブに密封し、130℃で24時間撹拌し、圧力は約0.9MPaであった。反応液を濃縮して化合物1bを得た。
【0096】
MS-ESIの計算値は[M+H]+173及び175であり、実測値は173及び175であった。1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ:8.03(d、J=8.0Hz、1H)、7.56(br s、2H)、6.61(d、J=8.0Hz、1H)。
【0097】
工程2
化合物1b(17.0g、98.5mmol、1.00eq)、塩化アンモニウム(10.5g、197mmol、2.00eq)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(13.3g、98.5mmol、1.00eq)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(18.9g、98.5mmol、1.00eq)及びジイソプロピルエチルアミン(38.2g、296mmol、3.00eq)をN,N-ジメチルホルムアミド(200.0mL)に溶解させた。混合物を20℃で16時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒をスピン乾燥させ、水(200mL)を添加し、酢酸エチル(200mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、カラムクロマトグラフィー(1/1石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.4)で化合物を得、酢酸エチル(50mL)で10分間スラリー化させ、化合物1cを得た。
【0098】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ:7.96(d、J=8.0Hz、2H)、7.62(br s、2H)、7.40(br s、1H)、6.61(d、J=8.0Hz、1H)。
【0099】
工程3
化合物1c(8.00g、46.6mmol、1.00eq)及び塩化オキサリル(7.1g、56.0mmol、4.9mL、1.00eq)をトルエン(200mL)に順次に添加した。混合物を110℃で15時間撹拌した。室温に冷却させ、濾過し、乾燥させた。化合物1dを得た。
【0100】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ:8.24(d、J=8.0Hz、1H)、7.30(d、J=8.0Hz、1H)。
【0101】
工程4
化合物1d(6.00g、30.4mmol、1.00eq)及びジイソプロピルエチルアミン(11.8g、91.1mmol、15.9mL、3.00eq)をトルエン(100mL)に順次に添加した。混合物を70℃で30分間撹拌した。室温に冷却させ、オキシ塩化リン(14.0g、91.1mmol、8.5mL、3.00eq)を混合物に滴下した。混合物を100℃で2時間撹拌した。室温に冷却させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(3/1石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.4)で化合物1eを得た。
【0102】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ:8.45(d、J=8.0Hz、1H)、7.63(d、J=8.0Hz、1H)。
【0103】
工程5
化合物1e(1.90g、8.10mmol、1.00eq)、(S)-2-メチルモルホリン(819mg、8.10mmol、1.00eq)及びジイソプロピルエチルアミン(2.09g、16.2mmol、2.83mL、2.00eq)をジクロロメタン(50mL)に溶解させ、得られた溶液を25℃で2時間反応させた。反応終了後、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(3/1石油エーテル/酢酸エチル)で化合物1fを得た。
【0104】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ:8.47(d、J=8.8Hz、1H)、7.55(d、J=8.8Hz、1H)、4.71-4.72(m、1H)、4.12-4.09(m、1H)、3.92-3.91(m、1H)、3.84-3.74(m、1H)、3.73-3.64(m、2H)、3.54-3.53(m、1H)、1.46(d、J=6.8Hz、3H)。
【0105】
工程6
化合物1f(2g、6.0mmol、1eq)、35a(993mg、6.0mmol、1eq)、炭酸ナトリウム(1.9g、18.1mmol、3eq)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(211mg、301μmol、0.05eq)を無水ジオキサン(35mL)及び水(7.0mL)に溶解させ、前記溶液を窒素雰囲気中で、70℃で19時間反応させた。完全に反応した後、反応液を減圧濃縮し、その後、水(15mL)を添加し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで処理し、減圧回収し、カラムクロマトグラフィー(メタノール/酢酸エチル;Rf=0.28)で分離して、35bを得た。
【0106】
MS-ESIの計算値は[M+H]+384及び386であり、実測値は384及び386であった。
【0107】
工程7
化合物35b(100mg、261μmol、1.00eq)、1i(46.8mg、313μmol、1.20eq)及びDIPEA(101mg、782μmol、136μL、3.00eq)をDMSO(2.00mL)に溶解させ、混合溶液を80℃で、18時間反応させた。完全に反応した後、反応液を高速液体クロマトグラフィーで精製して式(I)で表される化合物を得た。
【0108】
MS-ESIの計算値[M+H]+461であり、実測値は461であった。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ:8.60(s、1H)、8.18(brd、J=8.0Hz、1H)、7.98(d、J=8.4Hz、1H)、7.92(br d、J=8.0Hz、1H)、7.51(t、J=8.0Hz、1H)、7.43(d、J=8.4Hz、1H)、6.46(br s、1H)、5.62(br s、1H)、4.30(br s、1H)、4.05-3.59(m、12H)、1.40(d、J=6.8Hz、3H)、0.80-0.73(m、2H)、0.61(br s、2H)。
【0109】
実施例2:式(I)で表される化合物の結晶形Aの製造
約50.74mgの式(I)で表される化合物を秤量して2.0mLのガラスバイアルに添加し、200μLの水を添加し、懸濁液にさせた。磁石を添加した後、前記のサンプルを磁気発振器(40℃、700rpm)に置き、53時間攪拌し(光を避ける)、その後、遠心分離して固体を分離し、真空乾燥オーブンで一晩乾燥させ、式(I)で表される化合物の結晶形Aを得た。
【0110】
実施例3:式(I)で表される化合物の結晶形Bの製造
約50.63mgの式(I)で表される化合物を秤量して2.0mLのガラスバイアルに添加し、200μLのメタノールを添加し、懸濁液又は溶液にさせた。磁石を添加した後、前記のサンプルを磁気発振器(4℃、700rpm)に置き、53時間攪拌し(光を避ける)、遠心分離して固体を分離し、真空乾燥オーブンで一晩乾燥させ、式(I)で表される化合物の結晶形Bを得た。
【0111】
実施例4:式(II)で表される化合物の結晶形Cの製造
【化13】
約92mg(0.2mmol)の化合物を秤量して40mLのガラスバイアルに添加し、10mLのTHFを添加し、サンプルを磁気発振器(50℃、700rpm)に置き、攪拌し、懸濁液を得た。化合物のモル比が1:1.05である酒石酸のテトラヒドロフラン溶液(553.41μL、0.057mg/mL)をサンプル溶液に添加し、酸サンプルを磁気発振器(50℃、700rpm)に置き、一晩攪拌し、酸を添加した後の混合物は透明になり、一晩攪拌した後黄色の懸濁液になった。次に、遠心分離して固体を分離し、真空乾燥オーブンで一晩乾燥させ、式(II)で表される化合物の結晶形Cを得た。
【0112】
実施例5
約92mg(0.2mmol)の化合物を秤量して40mLのガラスバイアルに添加し、並行して7部に秤量し、それぞれ塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸とラベルを付けた。サンプルにそれぞれ14mLのTHFを添加し、サンプルにスターラーを入れて磁気発振器(50℃、700rpm)に置き、攪拌し、溶解させた。サンプル溶液に化合物とのモル比が1:1.05の酸サンプルを添加し、酸サンプルは表11に示した通りであり、得られたサンプルを磁気発振器(50℃、700rpm)に置き、一晩攪拌し、現象は表11に示した通りであり、次に、遠心分離して固体を分離し、真空乾燥オーブンで一晩乾燥させ、対応する結晶形を得た。
【0113】
【表11】
【0114】
実施例6:式(I)で表される化合物の結晶形Aの吸湿性研究
実験材料:
DVS Advantage動的蒸気収着装置
実験方法:
式(I)で表される化合物の結晶形AをDVSサンプルパンに27.36mgを取り、測定を行った。
【0115】
実験結果:
式(I)で表される化合物の結晶形AのDVSスペクトルは図に15示された通りであり、△W=0.2%であった。
【0116】
実験結論:
式(I)で表される化合物の結晶形Aは25.6℃及び80%RHでの吸湿重量増加は0.2%未満であり、吸湿性はなかった。
【0117】
実施例7:式(I)で表される化合物の結晶形Aの固体安定性試験
『原薬と製剤の安定性試験の指導原則』(中国薬典2015版四部通則9001)に基づき、長期(25℃/60%RH)及び加速(30℃/65%RH;40℃/75%RH)の条件下で式(I)で表される化合物の結晶形Aの安定性を試験した。
【0118】
式(I)で表される化合物Aのサンプル51gを秤量し、34部に分け,それぞれ約1.5gにした。各部のサンプルをそれぞれ2層のLDPEバッグに入れ、各層のLDPEバッグのバックルシールをそれぞれ密封し、LDPEバッグをアルミホイルバッグに入れてヒートシールし、それぞれ25℃/60%RH(14バッグ)、30℃/65%RH(10パック)及び40℃/75%RH(10パック)の条件下でXRPDを試験し、検出結果を0日目の初期検出結果と比較し、試験結果は以下の表12に示された通りである。
【0119】
【表12】
【0120】
結論:式(I)で表される化合物の結晶形Aは、高温、高湿、強い光照射の条件下で良好な安定性を有した。
【0121】
実験例1:mTORキナーゼ阻害活性の体外評価
実験材料:
本実験はDiscoverXで実験され、すべての材料及び方法はDiscoverXからの提供された。
【0122】
実験操作:
キナーゼの活性の分析。
【0123】
1.マークしたmTORキナーゼをHEK-293細胞中で安定的に発現させた。
【0124】
2.室温の条件で、ストレプトアビジン磁性ビーズをビオチン化小分子リガンドで30分間処理し、キナーゼ分析用のアフィニティーレジンを産生し;
3.リガンドビーズを過剰なビオチンでブロックし、緩衝液(1%のウシ血清アルブミン、0.05%のトウェインを20mL、1mLのジチオスレイトール)で洗浄し、非結合リガンド及び非特異的に結合したリガンドを洗い流し;
4.キナーゼリガンドアフィニティービーズ、組み立て、3つの化合物の結合反応試験はすべて緩衝液(20%ブロッキング緩衝液、0.17xリン酸緩衝液、0.05%トウェイン20、6mLジチオスレイトール)で行われ;
5.試験化合物をジメチルスルホキシドに溶解させ;
6.試験に使用したすべての化合物をDMSOに溶解させ、その後、化合物を0.9%の濃度に希釈した。
【0125】
7.それぞれ0.02mL容量の溶液を384ウェルポリプロピレンプレートに入れ;
8.室温の条件下で1時間振とうし;
9.緩衝液(1xPBS、0.05%のトウェイン20)で洗浄し;
10.アフィニティービーズを緩衝液(1xPBS、0.05%のトウェイン20、0.5μMの非ビオチンアフィニティーリガンド)に再懸濁し、室温で30分間インキュベーションし;
11.qPCRで溶出液中のキナーゼ濃度を検出した。
【0126】
実験結果は表13に示された通りである。
【0127】
【表13】
【0128】
結論:式(I)で表される化合物は、有意又は予想外のmTORキナーゼ阻害活性を持っていた。
【0129】
実験例2細胞増殖阻害活性の評価
実験の目的:細胞増殖に対する試験化合物の阻害活性を検出すること。
【0130】
実験原理:Cell-Titer-Glo試薬中のルシフェラーゼはルシフェリン、酸素及びATPを反応基質として使用して、オキシルシフェリンを生成し、光の形でエネルギーを放出する。ルシフェラーゼ反応にはATPが必要なため、反応によって生成される光の総量は、細胞の生存率を反映するATPの総量に正比例する。
【0131】
実験材料:
細胞株:MCF-7細胞株(ATCC-CRL-22)、HT-29細胞株(ATCC-HTB-38)、OE21(ECACC-96062201)、NCI-N87細胞株(ATCC-CRL-5822)
細胞培養培地:(RPMI1640培地(Invitrogen#1868546;10%の血清Invitrogen#1804958;L-グルタミン1x、Invitrogen#1830863;二重抗体Hyclone#J170012))
CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率検出キット(Promega#G7573)
384ウェル細胞培養プレート(Greiner#E15103MA)
化合物プレート(LABCYTE#0006346665)。
【0132】
CO2インキュベーター(Thermo#371)
Vi-cellセルカウンター(Beckman Coulter)
ピペット(Eppendorf)
ピペット(Greiner)
ピペットガン(Eppendorf)
多機能マイクロプレートリーダー(Envision Reader)
ECHO Liquid-handling workstation(Labcyte-ECHO555)
実験の工程と方法:
2.1 1日目:
細胞播種プレートの概略図に従って、384又は96ウェルプレートに、ウェルあたり1000個の細胞を、25μL各ウェルの密度で播種し、辺縁のウェルには細胞を植えず、25μLのPBSを添加した。
【0133】
2.2 日目:
(1)化合物母液は10mMで、化合物をDMSOで希釈して初期濃度を4mMにした。化合物の母液プレートに、ウェルあたり9μLの化合物を添加した。
【0134】
(2)ECHO液体ワークステーションで化合物を希釈し、細胞プレートの各ウェルに125nLの化合物を添加し、2列目と23列目の細胞ウェルの各ウェルに125nLのDMSOを添加し、1列目と24列目の各ウェルに125nLのDMSOを添加した。
【0135】
(3)細胞プレートの各ウェルに25μLの培地を添加し、最終的な細胞プレートはウェルあたり50μLになり、化合物濃度は1μMで、3倍で10個濃度に希釈し、左右の複製ウェルであり、DMSOの最終濃度は0.25%であった。
【0136】
2.3化合物を添加した後、1000rpmで1分間遠心分離し、細胞プレートを37℃、5%のCO2インキュベーターに置いて3日インキュベーションした。
【0137】
2.4 3日目:
インキュベーターから細胞プレートを取り出し、室温で30分間平衡化させた。25μLのCell-Titer-Glo試薬を各ウェルに添加し、1分間振とうして完全に混合させ、1000rpmで1分間遠心分離した。10分後、PerkinElmer Envisionでプレートを読み取り、蛍光読み取り時間を0.2秒に設定した。
【0138】
試験結果:試験結果は表14に示された通りである。
【0139】
【表14】
【0140】
結論:本発明の式(I)で表され化合物は、MCF-7及びN87細胞の増殖に対して明らかな阻害活性を有した。
【0141】
実験例3:薬物動態学的評価
実験方法
試験化合物を5%のDMSO/95%10%ポリオキシエチレンヒマシ油(Cremophor EL)と混合し、ボルテクスし、超音波処理し、1mg/mLのほぼ透明な溶液を製造し、ミクロポーラス膜で濾過し、用意した。18~20gのBalb/c雌のマウスを選択し、1又は2mg/kgの用量で化合物溶液を静脈内注射した。試験化合物を1%のトウェイン80、9%のポリエチレングリコール400、90%の水溶液と混合し、ボルテクスし、超音波処理し、1mg/mLのほぼ透明な溶液を製造し、ミクロポーラス膜で濾過し、用意した。18~20gのBalb/c雌のマウスを選択し、候補化合物溶液を2又は10mg/kgの用量で経口投与した。所定時間の全血を採取し、血漿を製造し、LC-MS/MS法で薬物濃度を分析し、Phoenix WinNonlinソフトウェア(アメリカPharsight社)を使用して薬物動態パラメーターを計算した。
【0142】
試験結果:
試験結果は表15~表16に示された通りである。
【0143】
【表15】
【0144】
【表16】
【0145】
試験の結論:式(I)で表される化合物は、参照化合物と同じ又はさらに優れた薬物動態特性を示し;本発明の式(I)で表される化合物の生物学的利用能は100%に近く、開発可能で良好な経口投与の分子である。
【0146】
実験例4:ヒト乳癌MCF-7細胞皮下異種移植腫瘍BALB/cヌードマウスモデルの体内薬力学的研究
実験目的:ヒト乳癌MCF-7細胞を皮下異種移植した腫瘍BALB/cヌードマウスモデルに対する試験化合物の薬物効果を研究すること。
【0147】
実験動物:雌のBALB/cヌードマウス、6~8週齢、体重18~22g;サプライヤー:Shanghai Xipuer-Bikai Experimental Animal Co.、Ltd。
【0148】
実験方法と工程:
4.1細胞培養
ヒト乳がんMCF-7細胞(ECACC、カタログ番号:86012803)を体外単層培養し、培養条件は、EMEM(EBSS)+2mMのグルタミン酸+1%のNon Essential Amino Acids(NEAA)培地に10%ウシ胎児血清を添加し、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンで、37℃で5%CO2のインキュベーターで培養した。週2回、トリプシン-EDTAを使用して通常な消化処理をし、継代培養した。細胞の飽和度が80%~90%であり、細胞の数が要求に達した場合、細胞を収集してカウントし接種した。
【0149】
4.2腫瘍細胞の接種(腫瘍の接種)
細胞接種の3日前に、エストロゲン錠剤(0.18mg)を各マウスの左背部に接種した。各マウスの右背部に0.2mL(1×107個)のMCF-7細胞(マトリゲルを添加し、体積比は1:1である)を皮下接種し、平均腫瘍体積が142mm3に達した時点で群分け投与を開始した。
【0150】
4.3試験サンプルの製造
試験化合物を0.75mg/mL、1.5mg/mL及び3mg/mLの透明な溶液に製造し、溶媒は、5%のDMSO+30%のポリエチレングリコール300+65%の水であった。
【0151】
4.4腫瘍測定と実験指標
実験指標は、腫瘍の成長が阻害されるか、遅延、又は治癒されるかを調査することである。腫瘍の直径は、週に2回ノギスで測定した。腫瘍体積の計算式は:V=0.5a×b2であり、aとbはそれぞれ腫瘍の長径と短径を表す。
【0152】
化合物の抗腫瘍効果は、TGI(%)又は相対腫瘍増殖率T/C(%)により評価される。TGI(%)は、腫瘍増殖阻害率を反映している。TGI(%)の計算は:TGI(%)=[1-(特定の治療群の投与終了時の平均腫瘍体積-治療群の投与開始時の平均腫瘍体積)/(溶媒対照群の治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群の治療開始時の平均腫瘍体積)]×100%である。
【0153】
相対腫瘍増殖率T/C(%):計算式は以下の通りである:T/C%=TRTV/CRTV群の治療開始の平均腫瘍体積(TRTV:治療群のRTV;CRTV:陰性対照群のRTV))。腫瘍測定の結果に基づき相対腫瘍体積(relative tumor volume、RTV)を計算した。計算式はRTV=Vt/V0であり、ここで、V0は群分け投与時(すなわち、d0)に測定された平均腫瘍体積であり、Vtは特定の測定の平均腫瘍体積であり、TRTV及びCRTVは同じ日のデータを取得した。
【0154】
実験終了後、腫瘍重量を検出し、T/C重量百分率を計算し、T重量とC重量は、それぞれ投与群と溶媒対照群の腫瘍重量を表した。
【0155】
4.5統計分析
統計分析は、各群の各時点での腫瘍体積の平均値及び標準誤差(SEM)を含む。治療群は、試験終了時の投与後21日目に最良の治療効果を示したため、このデータに基づき統計分析を行い、群間の差異を評価した。2つの群間の比較はt検定によって分析され、3つ以上の群間の比較は一元配置分散分析で分析した。F値に有意差がある場合、Games-Howell法を使用して分析した。F値に有意差がない場合は、Dunnet(2-sided)法を使用して分析した。SPSS 17.0を使用しすべてのデータを分析した。p<0.05は有意差があると見なされた。
【0156】
4.6実験結果を表17に示された通りである。
【0157】
【表17】
【0158】
a.平均値±SEM。
【0159】
b.腫瘍増殖阻害はT/C及びTGI(TGI(%)=[1-(T21-T0)/(V21-V0)]×100)によって計算される。
【0160】
実験結論:MCF-7移植腫瘍モデルでは、式(I)で表される化合物の有効性はAZD2014の有効性と相当であった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15