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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】マンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/00 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
B66B29/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022053022
(22)【出願日】2022-03-29
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富永 保介
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-206355(JP,A)
【文献】特開2011-195220(JP,A)
【文献】特開2022-027065(JP,A)
【文献】特開2021-147151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するステップと、
機械室を有する構造体と、
前記機械室の内部の水位が第1高さに達することを検出する第1水位検出部と、
前記機械室の内部の水位が前記第1高さよりも高い第2高さに達することを検出する第2水位検出部と、
情報を出力する出力部と、
前記出力部を制御する処理装置と、を備え、
前記第2高さは、前記ステップが最も下方に位置する最下位置よりも、下方の位置であり、
前記処理装置は、前記第1水位検出部が水位を検出した場合に、前記出力部に、第1異常情報を出力させ、
前記処理装置は、前記出力部が前記第1異常情報を出力するときに、前記第2水位検出部が水位を検出する前に、前記第1水位検出部が水位を未検出となった場合に、前記出力部に、前記第1異常情報の出力を停止させる、マンコンベア。
【請求項2】
前記機械室の内部に配置されるリセット入力部を備え、
前記処理装置は、前記第2水位検出部が水位を検出した場合に、前記出力部に、第2異常情報を出力させ、
前記処理装置は、前記第2水位検出部が水位を未検出であり、且つ、前記リセット入力部にリセット情報が入力された場合に、前記出力部に、前記第2異常情報の出力を停止させる、請求項1に記載のマンコンベヤ。
【請求項3】
り部の人を検出する人検出部を備え、
前記処理装置は、前記人検出部が人を検出した場合に設定条件を満たすまで前記ステップの走行を継続させる標準走行を実行し、
前記処理装置は、前記第1水位検出部が水位を検出し、且つ、前記ステップが停止している場合に、前記人検出部が人を検出しても、前記ステップの停止を維持させ、
前記処理装置は、前記第2水位検出部が水位を検出し、且つ、前記ステップが停止している場合に、前記人検出部が人を検出しても、前記ステップの停止を維持させる、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ。
【請求項4】
り部の人を検出する人検出部を備え、
前記処理装置は、前記人検出部が人を検出した場合に設定条件を満たすまで前記ステップの走行を継続させる標準走行を実行し、
前記処理装置は、前記標準走行の実行中に前記第1水位検出部が水位を検出した場合に、前記標準走行を継続させ、
前記処理装置は、前記標準走行の実行中に前記第2水位検出部が水位を検出した場合に、前記標準走行を中止し、前記ステップを停止させる、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ。
【請求項5】
機械室を有する構造体と、
前記機械室の内部の水位が第1高さに達することを検出する第1水位検出部と、
前記機械室の内部の水位が前記第1高さよりも高い第2高さに達することを検出する第2水位検出部と、
情報を出力する出力部と、
前記出力部を制御する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、前記第1水位検出部が水位を検出した場合に、前記出力部に、第1異常情報を出力させ、
前記処理装置は、前記出力部が前記第1異常情報を出力するときに、前記第2水位検出部が水位を検出する前に、前記第1水位検出部が水位を未検出となった場合に、前記出力部に、前記第1異常情報の出力を停止させる、マンコンベアであって、
走行するステップと、
乗り部の人を検出する人検出部と、を備え、
前記処理装置は、前記人検出部が人を検出した場合に設定条件を満たすまで前記ステップの走行を継続させる標準走行を実行し、
前記第2高さは、前記ステップが最も下方に位置する最下位置よりも、下方の位置であり、
前記処理装置は、前記第2水位検出部が水位を検出し、且つ、前記ステップが停止している場合に、前記人検出部が人を検出しても、前記ステップの停止を維持させ、
前記処理装置は、前記第1水位検出部が水位を検出し、且つ、前記ステップが停止している場合に、前記人検出部が人を検出しても、前記ステップの停止を維持させ、
前記処理装置は、前記標準走行の実行中に前記第1水位検出部が水位を検出した場合に、前記標準走行を継続させ、
前記処理装置は、前記標準走行の実行中に前記第2水位検出部が水位を検出した場合に、前記標準走行を中止し、前記ステップを停止させる、マンコンベヤ。
【請求項6】
前記標準走行が完了した後に、前記ステップが減速を開始してから停止するまでの距離は、第1距離であり、
前記標準走行の実行中に前記第2水位検出部が水位を検出した後に、前記ステップが減速を開始してから停止するまでの距離は、前記第1距離よりも長い第2距離である、請求項4又は5に記載のマンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、マンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤは、機械室を有する構造体と、機械室の内部の水位が第1高さに達することを検出する第1水位検出部と、機械室の内部の水位が第1高さよりも高い第2高さに達することを検出する第2水位検出部とを備えている(例えば、特許文献1)。
【0003】
そして、特許文献1に係るマンコンベヤにおいては、第1水位検出部が水位を検出した場合に、警報が出力されるため、機械室の内部を確認することになる。ところで、第1水位検出部が水位を検出した後に、第1水位検出部が水位を未検出となっても、警報が出力され続ける場合には、不必要に、機械室の内部を確認することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-206355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、異常情報を適切に出力することができるマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
マンコンベヤは、機械室を有する構造体と、前記機械室の内部の水位が第1高さに達することを検出する第1水位検出部と、前記機械室の内部の水位が前記第1高さよりも高い第2高さに達することを検出する第2水位検出部と、情報を出力する出力部と、前記出力部を制御する処理装置と、を備え、前記処理装置は、前記第1水位検出部が水位を検出した場合に、前記出力部に、第1異常情報を出力させ、前記処理装置は、前記出力部が前記第1異常情報を出力するときに、前記第2水位検出部が水位を検出する前に、前記第1水位検出部が水位を未検出となった場合に、前記出力部に、前記第1異常情報の出力を停止させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るマンコンベヤの全体図
図2】同実施形態に係る機械室の内部図
図3】同実施形態に係るマンコンベヤの乗り部の図
図4】同実施形態に係るマンコンベヤの別の乗り部の図
図5】同実施形態に係るマンコンベヤの制御ブロック図
図6】同実施形態に係るマンコンベヤの異常出力の制御フロー図
図7】同実施形態に係るマンコンベヤのステップ走行の制御フロー図
【発明を実施するための形態】
【0008】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0009】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0010】
以下、マンコンベヤにおける一実施形態について、図1図7を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、マンコンベヤの構成等の理解を助けるために例示するものであり、マンコンベヤの構成を限定するものではない。
【0011】
図1に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体2と、人を搬送する搬送部3と、搬送部3を第1方向D1で挟むように配置される一対(図1においては、一つのみ図示している)の欄干部4と、搬送部3及び欄干部4を駆動させる駆動部5と、装置全体を制御する処理装置6とを備えていてもよい。
【0012】
各図において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である第1横方向(「幅方向」ともいう)D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、第1横方向D1と直交する第2横方向(「前後方向」ともいう)D2であり、第3方向D3は、第1横方向D1及び第2横方向D2と直交する鉛直方向であって、上下方向D3である。
【0013】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0014】
搬送部3は、例えば、本実施形態のように、駆動部5に駆動されることによって無端回転する環状の走行部3aと、走行部3aに接続されることによって走行部3aと共に走行し、人が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えていてもよい。特に限定されないが、走行部3aは、例えば、ローラチェーンとしてもよい。
【0015】
また、例えば、走行部3aは、第1横方向D1に離れて一対設けられ、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置されていてもよい。そして、ステップ3bは、それぞれの走行部3aに対して第1横方向D1を軸にして回転可能に接続されていてもよい。
【0016】
駆動部5は、例えば、本実施形態のように、ステップ3bが反転するように走行部3aが巻き掛けられて且つ第1横方向D1を軸にして回転する一対の回転部5a,5aと、回転部5aを回転させる駆動源5bとを備えていてもよい。特に限定されないが、回転部5aは、例えば、スプロケットとしてもよく、また、駆動源5bは、例えば、モータとしてもよい。
【0017】
欄干部4は、例えば、無端回転する環状の手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aを支持する欄干本体部4bと、欄干本体部4bの下部を覆うカバー部4cとを備えていてもよい。なお、例えば、手摺ベルト4aが駆動部5の駆動によって走行し、手摺ベルト4aの走行は、ステップ3bの走行と同期していてもよい。
【0018】
構造体2は、例えば、本実施形態のように、第2横方向D2のそれぞれの端部に配置される機械室2a,2bを備えていてもよい。なお、下方に配置される機械室2aは、第1機械室2aといい、上方に配置される機械室2bは、第2機械室2bという。また、構造体2は、例えば、複数の枠材で構成されるトラス構造又はケタ構造としてもよい。
【0019】
マンコンベヤ1は、例えば、本実施形態のように、機械室2a,2bを上方から覆うように、構造体2に取り付けられる床プレート1aを備えていてもよい。これにより、床プレート1aは、搬送部3に乗り降りするために、搬送部3の第2横方向D2の各端部に隣接される乗降部1b,1cを構成している。
【0020】
本実施形態においては、マンコンベヤ1は、人を斜め上方へ搬送する、という構成であるため、下方に配置される第1乗降部1bは、乗り部1bとなり、上方に配置される第2乗降部1cは、降り部1cとなる。なお、マンコンベヤ1は、人を斜め下方へ搬送する、という構成でもよい。
【0021】
図2に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、第1機械室2aの内部の水位が第1高さに達することを検出する第1水位検出部7と、第1機械室2aの内部の水位が第1高さよりも高い第2高さに達することを検出する第2水位検出部8と、第1機械室2aの内部に配置される室内入力部9とを備えていてもよい。
【0022】
第2高さは、例えば、本実施形態のように、ステップ3bが最も下方に位置する最下位置P1よりも、下方の位置としてもよい。これにより、第1高さも、最下位置P1よりも、下方の位置となる。なお、特に限定されないが、第2高さは、例えば、最下位置P1から1mm~120mmだけ下方の位置であることが好ましく、また、例えば、最下位置P1から1mm~60mmだけ下方の位置であることがより好ましい。
【0023】
なお、第1及び第2水位検出部7,8の構成は、特に限定されない。第1及び第2水位検出部7,8は、水位を検出できる構成であればよく、例えば、フロート式の水位検出センサでもよく、電極式の水位検出センサでもよい。
【0024】
図3及び図4に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、乗り部1bの人を検出する人検出部10と、情報を出力する出力部11とを備えていてもよい。特に限定されないが、マンコンベヤ1は、例えば、図3に示すように、第1横方向D1に離れて配置される一対(図3においては、一つのみ図示している)のポール12と、第2横方向D2においてポール12と欄干部4との間に配置される柵13とを備えていてもよく、また、例えば、図4に示すように、ポール12及び柵13を備えていなくてもよい。
【0025】
人検出部10は、例えば、図3に示すように、ポール12から投光する光電センサ10aとしてもよく、また、例えば、図4に示すように、欄干部4のカバー部4cの内部から投光する光電センサ10bとしてもよい。なお、人検出部10は、乗り部1bの人(搬送部3に乗り込む人)を検出できる構成であればよく、例えば、人感センサ、画像センサ又は重量センサ等であってもよい。
【0026】
出力部11は、例えば、図3及び図4に示すように、欄干部4のカバー部4cに配置される表示部11aを備えていてもよく、また、例えば、図3に示すように、ポール12に配置される表示部11bを備えていてもよく、また、例えば、図4に示すように、床プレート1aに配置される表示部11cを備えていてもよい。特に限定されないが、表示部11a~11cは、例えば、液晶パネル、表示灯としてもよい。
【0027】
また、出力部11は、例えば、図3及び図4に示すように、欄干部4のカバー部4cの内部に配置される音声部11dを備えていてもよく、また、例えば、図3に示すように、ポール12に配置される音声部11eを備えていてもよい。特に限定されないが、音声部11d,11eは、例えば、ブザー、スピーカーとしてもよい。
【0028】
なお、出力部11は、例えば、図5に示すように、外部へ信号を出力する外部出力部11fを備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、外部出力部11fは、マンコンベヤ1が設置されている建物の内部に配置される監視盤(図示していない)へ向けて信号を出力し、当該監視盤は、当該情報を出力(表示、発音)する、という構成でもよい。
【0029】
また、マンコンベヤ1は、例えば、機械室2a,2bの外部に配置される室外入力部14を備えていてもよい。そして、入力部9,14には、各種情報が入力されてもよい。特に限定されないが、入力部9,14は、例えば、スイッチ、タッチパネル、としてもよい。また、例えば、本実施形態のように、室内入力部9は、リセットの情報が入力されるリセット入力部9aを備えていてもよい。
【0030】
処理装置6は、例えば、本実施形態のように、各部7,8,9,10,14から各情報(データ)を取得する取得部6aと、各情報を記憶する記憶部6bと、各情報を演算する演算部6cと、各情報に基づいて、各部5b,11を制御する制御部6dとを備えていてもよい。
【0031】
例えば、本実施形態のように、演算部6cは、水位検出部7,8の検出に基づいて、第1機械室2aの内部の浸水状況を判定し、そして、第1機械室2aの内部が浸水で異常であると判定された場合に、制御部6dは、出力部11に、異常情報を出力させる、という構成でもよい。
【0032】
また、例えば、本実施形態のように、演算部6cは、水位検出部7,8の検出及び人検出部10の検出に基づいて、ステップ3bの走行内容を演算し、制御部6dは、演算部6cの演算に基づいて、駆動源5bを制御することによって、ステップ3bの走行を制御する、という構成でもよい。
【0033】
なお、処理装置6は、例えば、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、演算部6c、制御部6d)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部6a、記憶部6b)、各種インターフェイス(例えば、取得部6a)等を備えるコンピュータとしてもよい。これにより、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、処理装置6の各部6a~6dが実現される。
【0034】
また、処理装置6は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、処理装置6の各部6a~6dは、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
【0035】
次に、本実施形態に係るマンコンベヤ1の異常出力制御について、図6を参照しながら説明する。なお、異常出力制御は、以下の制御に限定されない。
【0036】
図4に示すように、第1水位検出部7が水位を検出した場合に(S1の「Y」)、出力部11は、第1異常情報を出力する(S2)。これにより、第1異常情報の出力に基づいて、第1機械室2aの内部が浸水したことを把握することができる。第1異常情報の出力内容として、例えば、表示部11a~11cは、進入禁止の表示をしてもよく、また、例えば、音声部11d,11eは、警報音を発してもよい。
【0037】
その後、第2水位検出部8が水位を検出する前に(S3の「N」)、第1水位検出部7が水位を未検出となった場合に(S4の「N」)、出力部11は、第1異常情報の出力を停止する(S5)。これにより、第1異常情報の出力の停止に基づいて、例えば、第1機械室2aの内部を確認する必要がないことを把握することができる。したがって、例えば、不要に、床プレート1aを取り外して第1機械室2aの内部を確認しなくても済む。
【0038】
一方で、第1水位検出部7が水位を検出し(S1の「Y」,S4の「Y」)、その後、第2水位検出部8が水位を検出した場合に(S3の「Y」)、出力部11は、第2異常情報を出力する(S6)。これにより、第2異常情報の出力に基づいて、例えば、第1機械室2aの内部が高い位置まで浸水したことを把握することができる。
【0039】
例えば、表示部11a~11cの第2異常情報の出力内容は、表示部11a~11cの第1異常情報の出力内容と、異なり、音声部11d,11eの第2異常情報の出力内容は、音声部11d,11eの第1異常情報の出力内容と、異なる、という構成でもよい。また、例えば、表示部11a~11cの第2異常情報の出力内容は、表示部11a~11cの第1異常情報の出力内容と、異なり、音声部11d,11eの第2異常情報の出力内容は、音声部11d,11eの第1異常情報の出力内容と、同じ、という構成でもよい。
【0040】
また、例えば、表示部11a~11cの第2異常情報の出力内容は、表示部11a~11cの第1異常情報の出力内容と、同じで、音声部11d,11eの第2異常情報の出力内容は、音声部11d,11eの第1異常情報の出力内容と、異なる、という構成でもよい。このように、出力部11の第2異常情報の出力内容は、出力部11の第1異常情報の出力内容と、異なる、という構成が好ましいが、例えば、同じである、という構成でもよい。
【0041】
そして、出力部11が第2異常情報を出力した場合には(S6)、第2水位検出部8が水位を未検出であり(S7の「N」)、且つ、リセット入力部9aにリセット情報が入力された場合に(S8の「Y」)、出力部11は、第2異常情報の出力を停止する(S9)。これにより、出力部11が第2異常情報を出力した場合には(S6)、第2水位検出部8が水位を未検出となっただけでは(S7の「N」、S8の「N」)、出力部11は、第2異常情報の出力を継続する。
【0042】
したがって、第2異常情報の出力を停止するために、第1機械室2aの内部のリセット入力部9aにリセット情報を入力する必要があるため、床プレート1aを取り外す必要がある。その結果、リセット入力部9aにリセット情報を入力するときに、例えば、第1機械室2aの内部を確認することになる。このように、第1異常情報及び第2異常情報を、適切に出力したり、適切に出力を停止したりすることができる。
【0043】
次に、本実施形態に係るマンコンベヤ1のステップ走行制御について、図7を参照しながら説明する。なお、ステップ走行制御は、以下の制御に限定されない。
【0044】
まず、第1機械室2aの内部の水位が、第2高さ(第2水位検出部8が検出する水位)よりも上昇した場合には、ステップ3bが第1機械室2aの内部で水中に位置し、ステップ3bに浮力が働く虞がある。そして、仮に、ステップ3bに浮力が働いた場合には、例えば、ステップ3bの走行が不安定になる虞がある。
【0045】
そこで、図7に示すように、出力部11が異常情報を出力していない場合に(S11の「N」、S12の「N」)、人検出部10が人を検出することによって(S13の「Y」)、ステップ3bの標準走行が実行される(S14)。これにより、出力部11が異常情報を出力している場合に(S11の「Y」、S12の「Y」)、人検出部10が人を検出しても、ステップ3bの停止が維持される。
【0046】
したがって、第2水位検出部8が水位を検出しており、且つ、ステップ3bが停止している場合に、人検出部10が人を検出しても、ステップ3bの停止が維持される。これにより、ステップ3bに浮力が働く虞がある場合に、乗り部1bに人がいたとしても、ステップ3bを走行させることを防止することができる。
【0047】
また、第1水位検出部7が水位を検出し、且つ、ステップ3bが停止している場合に、人検出部10が人を検出しても、ステップ3bの停止が維持される。これにより、第1機械室2aの内部の水位が上昇することによって、ステップ3bの標準走行の実行中に、第2水位検出部8が水位を検出する状況になること(即ち、第1機械室2aの内部の水位が第2水高さになること)を防止することができる。
【0048】
一方で、ステップ3bの標準走行が実行された場合に(S14)、ステップ3bが設定条件を満たすことによって(S15の「Y」)、ステップ3bの標準走行が完了し(S16)、ステップ3bは、通常停止する(S17)。このとき、ステップ3bの上に人がいないため、例えば、ステップ3bが減速を開始してから停止するまでの距離は、比較的に短い第1距離としてもよい。
【0049】
なお、設定条件は、例えば、人検出部10が最後に人を検出してから、ステップ3bが設定距離及び設定時間の少なくとも一つを走行すること、としてもよい。特に限定されないが、設定条件は、例えば、人検出部10が最後に人を検出してから、走行部3aの1/2周分の距離を走行する時間に30秒を加えた時間だけ、ステップ3bが走行すること、としてもよい。
【0050】
ところで、ステップ3bの標準走行の実行中に(S14、S15の「N」)、第2水位検出部8が水位を検出して、出力部11が第2異常情報を出力した場合には(S18の「Y」)、ステップ3bの標準走行が中止され(S19)、ステップ3bは、緩停止する(S20)。これにより、ステップ3bに浮力が働く虞がある場合に、ステップ3bを走行させることを防止することができる。
【0051】
このとき、ステップ3bの上に人がいる虞がある。そこで、ステップ3bが緩停止するときには(S20)、ステップ3bは、減速を開始してから、通常停止のとき(S17)の第1距離よりも長い第2距離をかけて緩やかに停止する。これにより、ステップ3bが緩停止するときに、ステップ3bの上の人に対して大きな慣性が働くことを抑制することができる。特に限定されないが、第2距離は、例えば、第1距離の1.5倍~2.0倍としてもよい。
【0052】
なお、ステップ3bの標準走行の実行中に(S14、S15の「N」)、第1水位検出部7が水位を検出して、出力部11が第1異常情報を出力した場合には(S18の「N」)、ステップ3bの標準走行は、継続される。これにより、ステップ3bに浮力が働く虞がない場合には、ステップ3bの標準走行を完了させることができる(S15の「Y」、S16)。
【0053】
以上より、本実施形態のように、マンコンベヤ1は、機械室2a,2bを有する構造体2と、前記機械室(本実施形態においては、第1機械室)2aの内部の水位が第1高さに達することを検出する第1水位検出部7と、前記機械室2aの内部の水位が前記第1高さよりも高い第2高さに達することを検出する第2水位検出部8と、情報を出力する出力部11と、前記出力部11を制御する処理装置6と、を備え、前記処理装置6は、前記第1水位検出部7が水位を検出した場合に、前記出力部11に、第1異常情報を出力させ、前記処理装置6は、前記出力部11が前記第1異常情報を出力するときに、前記第2水位検出部8が水位を検出する前に、前記第1水位検出部7が水位を未検出となった場合に、前記出力部11に、前記第1異常情報の出力を停止させる、という構成が好ましい。
【0054】
斯かる構成によれば、第1水位検出部7が水位を検出した場合に、出力部11は、第1異常情報を出力する。一方で、出力部11が第1異常情報を出力するときに、第2水位検出部8が水位を検出する前に、第1水位検出部7が水位を未検出となった場合に、出力部11は、第1異常情報の出力を停止する。これにより、異常情報を適切に出力することができる。
【0055】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ1は、前記機械室(本実施形態においては、第1機械室)2aの内部に配置されるリセット入力部9aを備え、前記処理装置6は、前記第2水位検出部8が水位を検出した場合に、前記出力部11に、第2異常情報を出力させ、前記処理装置6は、前記第2水位検出部8が水位を未検出であり、且つ、前記リセット入力部9aにリセット情報が入力された場合に、前記出力部11に、前記第2異常情報の出力を停止させる、という構成が好ましい。
【0056】
斯かる構成によれば、第2水位検出部8が水位を検出した場合に、出力部11は、第2異常情報を出力する。そして、第2水位検出部8が水位を未検出であり、且つ、機械室(本実施形態においては、第1機械室)2aの内部に配置されるリセット入力部9aに、リセット情報が入力された場合に、出力部11は、第2異常情報の出力を停止する。これにより、第2異常情報が出力された場合に、出力部11の第2異常情報の出力を停止するために、機械室2aの内部のリセット入力部9aにリセット情報を入力する必要がある。
【0057】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ1は、走行するステップ3bと、乗り部1bの人を検出する人検出部10と、を備え、前記処理装置6は、前記人検出部10が人を検出した場合に設定条件を満たすまで前記ステップ3bの走行を継続させる標準走行を実行し、前記第2高さは、前記ステップ3bが最も下方に位置する最下位置P1よりも、下方の位置であり、前記処理装置6は、前記第2水位検出部8が水位を検出し、且つ、前記ステップ3bが停止している場合に、前記人検出部10が人を検出しても、前記ステップ3bの停止を維持させる、という構成が好ましい。
【0058】
斯かる構成によれば、人検出部10が人を検出した場合に、標準走行が実行され、ステップ3bは、設定条件を満たすまで走行し、その後、停止する。ところで、機械室(本実施形態においては、第1機械室)2aの内部の水位が、第2高さよりも上昇した場合には、ステップ3bが機械室2aの内部で水中に位置し、ステップ3bに浮力が働く虞がある。
【0059】
それに対して、第2水位検出部8が水位を検出し、且つ、ステップ3bが停止している場合に、人検出部10が人を検出しても、ステップ3bの停止が維持される。これにより、ステップ3bに浮力が働く虞がある場合には、乗り部1bに人がいたとしても、ステップ3bが走行することを防止することができる。
【0060】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ1においては、前記処理装置6は、前記第1水位検出部7が水位を検出し、且つ、前記ステップ3bが停止している場合に、前記人検出部10が人を検出しても、前記ステップ3bの停止を維持させ、前記処理装置6は、前記標準走行の実行中に前記第1水位検出部7が水位を検出した場合に、前記標準走行を継続させ、前記処理装置6は、前記標準走行の実行中に前記第2水位検出部8が水位を検出した場合に、前記標準走行を中止し、前記ステップ3bを停止させる、という構成が好ましい。
【0061】
斯かる構成によれば、第1水位検出部7が水位を検出し、且つ、ステップ3bが停止している場合に、人検出部10が人を検出しても、ステップ3bの停止が維持される。これにより、機械室(本実施形態においては、第1機械室)2aの内部の水位が上昇し、標準走行の実行中に第2水位検出部8が水位を検出する状況になることを防止することができる。
【0062】
そして、標準走行の実行中に、第1水位検出部7が水位を検出し、且つ、第2水位検出部8が水位を未検出である場合に、ステップ3bは、標準走行を継続する。これにより、ステップ3bに浮力が働く虞がない場合に、標準走行を完了させることができる。
【0063】
また、標準走行の実行中に、第2水位検出部8が水位を検出した場合に、標準走行が中止され、ステップ3bは、停止する。これにより、ステップ3bに浮力が働く虞がある場合に、ステップ3bを走行させることを防止することができる。
【0064】
また、本実施形態のように、マンコンベヤ1においては、前記標準走行が完了した後に、前記ステップ3bが減速を開始してから停止するまでの距離は、第1距離であり、前記標準走行の実行中に前記第2水位検出部8が水位を検出した後に、前記ステップ3bが減速を開始してから停止するまでの距離は、前記第1距離よりも長い第2距離である、という構成が好ましい。
【0065】
斯かる構成によれば、標準走行の実行中に、第2水位検出部8が水位を検出した場合に、ステップ3bは、減速を開始してから、長い第2距離をかけて停止する。これにより、ステップ3bが停止するときに、ステップ3bの上の人に対して大きな慣性が働くことを抑制することができる。
【0066】
なお、マンコンベヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0067】
(1)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、リセット入力部9aは、第1機械室2aの内部に配置されている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。リセット入力部9aは、例えば、機械室2a,2bの外部(例えば、欄干部4のカバー部4c)に配置されている、という構成でもよく、また、例えば、第2機械室2bの内部に配置されている、という構成でもよい。
【0068】
(2)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理装置6は、第2水位検出部8が水位を未検出であり、且つ、リセット入力部9aにリセット情報が入力された場合に、出力部11に、第2異常情報の出力を停止させる、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理装置6は、第2水位検出部8が水位を未検出となった場合に、出力部11に、第2異常情報の出力を停止させる、という構成でもよい。
【0069】
(3)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、第2高さは、ステップ3bが最も下方に位置する最下位置P1よりも、下方の位置である、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第2高さは、最下位置P1よりも、(例えば、1mm~10mmだけ)上方の位置である、という構成でもよい。また、例えば、第1高さは、最下位置P1よりも、上方の位置である、という構成でもよい。
【0070】
(4)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理装置6は、第1及び第2水位検出部7,8の少なくとも一方が水位を検出し、且つ、ステップ3bが停止している場合に、人検出部10が人を検出しても、ステップ3bの停止を維持させる、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0071】
例えば、処理装置6は、第1水位検出部7が水位を検出し、且つ、ステップ3bが停止している場合に、人検出部10が人を検出することによって、ステップ3bを走行させる(例えば、標準走行を実行させる)、という構成でもよい。また、例えば、処理装置6は、第2水位検出部8が水位を検出し、且つ、ステップ3bが停止している場合に、人検出部10が人を検出することによって、ステップ3bを走行させる(例えば、標準走行を実行させる)、という構成でもよい。
【0072】
(5)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理装置6は、標準走行の実行中に第1水位検出部7が水位を検出した場合に、標準走行を継続させる、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理装置6は、標準走行の実行中に第1水位検出部7が水位を検出した場合に、標準走行を中止し、ステップ3bを停止させる、という構成でもよい。
【0073】
(6)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理装置6は、標準走行の実行中に第2水位検出部8が水位を検出した場合に、標準走行を中止し、ステップ3bを停止させる、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理装置6は、標準走行の実行中に第2水位検出部8が水位を検出した場合に、標準走行を継続させる、という構成でもよい。
【0074】
(7)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、標準走行が中止されて(S19)ステップ3bが停止するとき(S20)の第2距離は、標準走行が完了されて(S16)ステップ3bが停止するとき(S17)の第1距離よりも、長い、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、当該第2距離は、当該第1距離と、同じ、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…マンコンベヤ、1a…床プレート、1b…乗り部(第1乗降部)、1c…降り部(第2乗降部)、2…構造体、2a…第1機械室、2b…第2機械室、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、4…欄干部、4a…手摺ベルト、4b…欄干本体部、4c…カバー部、5…駆動部、5a…回転部、5b…駆動源、6…処理装置、6a…取得部、6b…記憶部、6c…演算部、6d…制御部、7…第1水位検出部、8…第2水位検出部、9…室内入力部、9a…リセット入力部、10…人検出部、10a…光電センサ、10b…光電センサ、11…出力部、11a…表示部、11b…表示部、11c…表示部、11d…音声部、11e…音声部、11f…外部出力部、12…ポール、13…柵、14…室外入力部、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向、P1…最下位置
【要約】
【課題】 異常情報を適切に出力することができるマンコンベヤを提供する。
【解決手段】 マンコンベアは、機械室を有する構造体と、機械室の内部の水位が第1高さに達することを検出する第1水位検出部と、機械室の内部の水位が第1高さよりも高い第2高さに達することを検出する第2水位検出部と、情報を出力する出力部と、出力部を制御する処理装置と、を備え、処理装置は、第1水位検出部が水位を検出した場合に、出力部に、第1異常情報を出力させ、処理装置は、出力部が第1異常情報を出力するときに、第2水位検出部が水位を検出する前に、第1水位検出部が水位を未検出となった場合に、出力部に、第1異常情報の出力を停止させる。
【選択図】 図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7