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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】移動装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 9/02 20060101AFI20230706BHJP
   B66B 9/10 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
B66B9/02 Z
B66B9/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022075976
(22)【出願日】2022-05-02
【審査請求日】2022-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-522801(JP,A)
【文献】特開2018-70283(JP,A)
【文献】特開2022-20285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 9/02
B66B 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごと、
第一移動路内に配置され、前記乗りかごに結合する第一結合体を備える第一移動部と、
前記第一移動路と隣接する第二移動路内に配置され、前記乗りかごと結合可能に構成される第二結合体を備える第二移動部と、を備え、
前記乗りかごは、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で、前記第一結合体から前記第二結合体に移行可能に構成され、
前記第二結合体は、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で駆動する係合部を備え、
前記第一結合体は、前記乗りかごの移行軌跡に交わることで前記乗りかごの移行を遮断する遮断姿勢と前記乗りかごの移行軌跡から外れることで前記乗りかごの移行の遮断を解除する解除姿勢とに変化する遮断部と、該遮断部に設けられ、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で前記係合部に係合することで前記係合部の駆動力が伝達される被係合部とを備え、
前記遮断部は、前記第一結合体における前記第二結合体側に配置され、前記係合部から前記被係合部に伝達された駆動力により前記遮断姿勢から前記解除姿勢に変化する、移動装置。
【請求項2】
前記第一結合体は、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で駆動する第二係合部を備え、
前記第二移動部は、前記乗りかごの移行軌跡に交わることで前記乗りかごの移行を遮断する遮断姿勢と前記乗りかごの移行軌跡から外れることで前記乗りかごの移行の遮断を解除する解除姿勢に変化する第二遮断部と、該第二遮断部に設けられ、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で前記第二係合部に係合することで前記第二係合部の駆動力が伝達される第二被係合部とを備え、
前記第二遮断部は、前記第二結合体における前記第一結合体側に配置され、前記第二係合部から前記第二被係合部に伝達された駆動力により前記遮断姿勢から前記解除姿勢に変化する、請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
前記第一結合体は、駆動力を生じさせる駆動源を備え、
前記第二係合部は、該第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で前記駆動源の駆動力によって駆動するように構成され、
前記係合部は、前記第二遮断部に設けられ、前記第二係合部から前記第二被係合部に伝達された駆動力により駆動する、請求項2に記載の移動装置。
【請求項4】
前記第一結合体は、前記解除姿勢から前記遮断姿勢に変化させる遮断復帰部を備え、
前記遮断復帰部は、前記係合部と前記被係合部との係合が解除された際に、前記遮断部を前記解除姿勢から前記遮断姿勢に変化させる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の移動装置。
【請求項5】
前記遮断部は、前記乗りかごの移行軌跡に交わる交差状態と前記乗りかごの移行軌跡から外れる外れ状態とに変化する一対の遮断本体を備え、
前記第二係合部は、一方の遮断本体に設けられ、
前記被係合部は、他方の遮断本体に設けられ、
前記係合部は、前記第二遮断部に設けられ、該第二遮断部が前記遮断姿勢から前記解除姿勢に変化することにより駆動し、
前記第一結合体は、駆動力を生じさせる駆動源を備え、
前記一方の遮断本体は、前記駆動源で生じた駆動力により前記交差状態と前記外れ状態とに変化可能に構成され、
前記他方の遮断本体は、前記係合部から前記被係合部に伝達された駆動力により前記交差状態から前記外れ状態に変化する、請求項2に記載の移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合体に対する乗りかごの脱落を防止する軌道脱落防止装置を備える移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、縦横自在に走行できる乗りかごを備える前記移動装置としてのエレベータがある(例えば特許文献1参照)。このエレベータは、隣り合う仕切りのない2つの昇降路それぞれでガイドレールに沿って昇降する前記移動体としての昇降駆動装置と、該昇降駆動装置に結合され、且つ前記昇降駆動装置の垂直面に設けた軌道部に沿って水平移動できるよう構成された乗りかごとを備える。このエレベータによれば、前記乗りかごは、前記軌道部を通じて隣接した2つの昇降路に設置された前記昇降駆動装置との間で移動することにより、隣り合う2つの昇降路間を移動できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-121021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1記載のエレベータにおいて、前記乗りかごが2つの前記昇降駆動装置の間を移動するためには、2つの前記昇降駆動装置は隣り合っている必要がある。
【0005】
しかし、昇降路それぞれでは、前記昇降駆動装置の昇降状況や配置が異なる。そのため、不具合などにより、2つの前記昇降駆動装置が隣り合っていない状況で、前記乗りかごが前記軌道部に沿って水平移動してしまう可能性がある。この場合、水平移動した前記乗りかごが前記昇降駆動装置と分離し、隣接する昇降路内に脱落するおそれがある。
【0006】
なお、このような問題は、昇降路が隣り合う場合に限られず、前記移動路として水平方向に延びる横走行路と前記昇降路とが隣接する場合、乗りかご同士の衝突を避けるための退避路と前記昇降路とが隣接する場合や前記横走行路同士が隣り合う場合、上記特許文献1に記載される、前記乗りかごが構造物の垂直面に設けた水平の軌道部や水平方向に移動する移動体を介して、エレベータ設置建物等構造物から別のエレベータ設置建物等構造物に移行する場合においても生じていた。
【0007】
そこで、本発明は、2つの結合体が隣り合っていない状態において、乗りかごが結合体から脱落することを防止できる移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、乗りかごと、第一移動路内に配置され、前記乗りかごに結合する第一結合体を備える第一移動部と、前記第一移動路と隣接する第二移動路内に配置され、前記乗りかごと結合可能に構成される第二結合体を備える第二移動部と、を備え、前記乗りかごは、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で、少なくとも前記第一結合体から前記第二結合体に移行可能に構成され、前記第二結合体は、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で駆動する係合部を備え、前記第一結合体は、前記乗りかごの移行軌跡に交わることで前記乗りかごの移行を遮断する遮断姿勢と前記乗りかごの移行軌跡から外れることで前記乗りかごの移行の遮断を解除する解除姿勢とに変化する遮断部と、該遮断部に設けられ、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で前記係合部に係合することで前記係合部の駆動力が伝達される被係合部とを備え、前記遮断部は、前記第一結合体における前記第二結合体側に配置され、前記係合部から前記被係合部に伝達された駆動力により前記遮断姿勢から前記解除姿勢に変化する、移動装置である。
【0009】
前記構成によれば、前記第一結合体における前記第二結合体側に配置される前記遮断部が前記遮断姿勢で前記乗りかごの移行軌跡に交わることによって前記乗りかごの移行を遮断するため、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合っていない状態で前記乗りかごが前記第二結合体側に移行して前記第一結合体から脱落することを防止でき、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で、前記被係合部が前記係合部に係合し、駆動する前記係合部の駆動力が前記被係合部に伝達されることにより、前記遮断部が前記乗りかごの移行軌跡から外れることで前記乗りかごの移行の遮断を解除する前記解除姿勢に変化するため、前記乗りかごが前記第一結合体から前記第二結合体に移行できる。
【0010】
また、本発明では、前記第一結合体は、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で駆動する第二係合部を備え、前記第二移動部は、前記乗りかごの移行軌跡に交わることで前記乗りかごの移行を遮断する遮断姿勢と前記乗りかごの移行軌跡から外れることで前記乗りかごの移行の遮断を解除する解除姿勢に変化する第二遮断部と、該第二遮断部に設けられ、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で前記第二係合部に係合することで前記第二係合部の駆動力が伝達される第二被係合部とを備え、前記第二遮断部は、前記第二結合体における前記第一結合体側に配置され、前記第二係合部から前記第二被係合部に伝達された駆動力により前記遮断姿勢から前記解除姿勢に変化してもよい。
【0011】
前記構成によれば、前記第二結合体における前記第一結合体側に配置される前記第二遮断部が前記遮断姿勢で前記乗りかごの移行軌跡に交わることによって前記乗りかごの移行を遮断するため、前記第二結合体と前記第一結合体とが隣り合っていない状態において、例えば、前記乗りかごが前記第一結合体側に移行して前記第二結合体から脱落することを防止でき、前記第一結合体と前記第二結合体とが隣り合っている状態では、前記第二被係合部が前記第二係合部に係合し、駆動する前記第二係合部の駆動力が前記第二被係合部に伝達されることにより、前記遮断部が前記乗りかごの移行軌跡から外れることで前記乗りかごの移行の遮断を解除する前記解除姿勢に変化するため、前記乗りかごが前記第二結合体から前記第一結合体に移行できる。
【0012】
また、本発明では、前記第一結合体は、駆動力を生じさせる駆動源を備え、前記第二係合部は、該第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で前記駆動源の駆動力によって駆動するように構成され、前記係合部は、前記第二遮断部に設けられ、前記第二係合部から前記第二被係合部に伝達された駆動力により駆動してもよい。
【0013】
前記構成によれば、該第一結合体と前記第二結合体とが隣り合う状態で、前記第二係合部が前記駆動源の駆動力によって駆動し、前記第二係合部に係合する前記第二被係合部に伝達された駆動力により、前記第二遮断部に設けられる前記係合部は駆動するため、前記第一結合体が備える駆動源の生じさせた駆動力を、前記第二結合体を介して、前記遮断部に伝えることができる。
【0014】
また、本発明では、前記第一結合体は、前記解除姿勢から前記遮断姿勢に変化させる遮断復帰部を備え、前記遮断復帰部は、前記係合部と前記被係合部との係合が解除された際に、前記遮断部を前記解除姿勢から前記遮断姿勢に変化させてもよい。
【0015】
前記構成によれば、前記遮断復帰部は、前記係合部と前記被係合部との係合が解除された際に、前記遮断部を前記解除姿勢から前記遮断姿勢に変化させるため、例えば、前記第一結合体と前記第二結合体とが離隔することで前記係合部と前記被係合部との係合が解除されると、前記遮断復帰部が前記解除姿勢の前記遮断部を前記遮断姿勢に変化させることで、前記遮断部は、再び、前記第一結合体から前記乗りかごが脱落することを防止できる。
【0016】
また、本発明では、前記遮断部は、前記乗りかごの移行軌跡に交わる交差状態と前記乗りかごの移行軌跡から外れる外れ状態とに変化する一対の遮断本体を備え、前記第二係合部は、一方の遮断本体に設けられ、前記被係合部は、他方の遮断本体に設けられ、前記係合部は、前記第二遮断部に設けられ、該第二遮断部が前記遮断姿勢から前記解除姿勢に変化することにより駆動し、前記第一結合体は、駆動力を生じさせる駆動源を備え、前記一方の遮断本体は、前記駆動源で生じた駆動力により前記交差状態と前記外れ状態とに変化可能に構成され、前記他方の遮断本体は、前記係合部から前記被係合部に伝達された駆動力により前記交差状態から前記外れ状態に変化してもよい。
【0017】
前記構成によれば、前記一方の遮断本体が前記駆動源で生じた駆動力により前記交差状態と前記外れ状態とに変化することにより、前記第二遮断部が前記遮断姿勢から前記解除姿勢に変化すると共に、前記係合部が駆動するため、前記他方の遮断本体は前記交差状態から前記外れ状態に変化し、前記乗りかごは、前記一対の遮断本体にぶつかることなく前記第一移動体から前記第二移動体に移行できる。
【発明の効果】
【0018】
以上、本発明によれば、前記第一移動体における前記乗りかごよりも前記第二移動体側に配置される前記遮断部が前記遮断姿勢で前記乗りかごの移行を遮断するため、前記第一移動体と前記第二移動体とが隣り合っていない状態で前記乗りかごが前記第一移動体から脱落することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、乗りかごと第一移動体との結合状態を示す移動装置の側面図である。
図2図2は、第一実施形態に係る移動装置において、第一移動体と第二移動体とが隣り合う状態を示す平面図である。
図3図3は、第一実施形態に係る移動装置において、隣り合う第一移動体と第二移動体における、遮断姿勢の遮断部を示す図である。
図4図4は、第一実施形態に係る移動装置において、隣り合う第一移動体と第二移動体における、解除姿勢の遮断部を示す図である。
図5図5は、第二実施形態に係る移動装置において、隣り合う第一移動体と第二移動体における、遮断姿勢の遮断部を示す図である。
図6図6は、第三実施形態の移動装置において、遮断部の正面図を示す図である。
図7図7は、第三実施形態の移動装置において、VII-VII方向の第二遮断部の断面図である。
図8図8は、第三実施形態の移動装置において、係合部が駆動した後の第二遮断部の断面図である。
図9図9は、第三実施形態の移動装置において、遮断姿勢の遮断部の断面図である。
図10図10は、第二実施形態の移動装置において、解除姿勢の遮断部の断面図である。
図11図11は、乗りかごの移動路間における移動態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の移動装置に係る実施形態について説明する。まず初めに、第一実施形態に係る移動装置1について、図1図4図11を用いて説明する。なお、以下の説明において、第一移動路Aと第二移動路B、第一結合体30と第二結合体50とは、相対的に決定されて名称が付与されるものである。以下では、便宜的に、図11の左方の昇降路Aを第一移動路Aと、図11の右方の昇降路Bを第二移動路Bと規定し、昇降路A,Bそれぞれに配置される昇降駆動装置を第一結合体30、第二結合体50とする。
【0021】
以下の説明において、第一結合体30や第二結合体50が移動する方向を「移動方向Y」と、乗りかご2が移行する方向のことを「移行方向X」と、乗りかご2と第一結合体30又は第二結合体50とが向かい合う方向を「対向方向Z」と規定する。なお、以下の説明において、移動方向Y、移行方向X及び対向方向Zは、それぞれ直交している。
【0022】
最初に、移動装置1を備えた建物の概略を説明する。
【0023】
図11に示す建物では、第一移動路A、第二移動路Bとして紙面の上下方向に延びる2つの昇降路A,Bが紙面の左右方向で隣接しながら配置されている。これらの昇降路A,Bは、紙面の上下方向で階床(フロア)分延びている。また、隣接する昇降路A,Bは、乗りかご2を移行可能とすべく紙面の左右方向で連通している。
【0024】
隣り合う2つの昇降路A,Bのうち、図11の左方の昇降路Aには、乗りかご2に結合した状態の第一結合体30としての昇降駆動装置30が2つ配置されている。また、図11の右方の昇降路Bには、乗りかご2に結合していない状態の第二結合体50としての昇降駆動装置50が2つ配置されている。これらの昇降駆動装置30,50は、昇降路A,B内を移動(昇降)する。そのため、図11における移動方向Yは、紙面の上下方向に対応している。
【0025】
図11では、左方の昇降路Aにある乗りかご2が右方の昇降路Bに移行しようとする状態を示している。そのため、図11における移行方向Xは、紙面の左右方向に対応している。よって、図11では、第一結合体30と第二結合体50とが、所定の階床(具体的には、4階)において、移行方向Xで隣り合うように配置されている。
【0026】
ところで、図11には、右方の昇降路Bの1階部分の右方に、左右方向に延びる横走行路Cが設けられている。横走行路Cには、複数の乗りかご2が配置されている。なお、横走行路Cには昇降駆動装置は設けられておらず、乗りかご2を紙面の左右方向に動かす機構(採番しない)が横走行路Cの全域に亘って設けられている。即ち、本実施形態では、昇降路A,Bでは乗りかご2を昇降させられるが、横走行路Cでは乗りかご2を昇降させることができず、乗りかご2を昇降路A,Bまで移行させた上で昇降させる必要がある。
【0027】
続いて、移動装置1の構成について説明する。
【0028】
移動装置1は、乗りかご2と該乗りかご2を移動可能とする第一結合体30又は第二結合体50とが分離・結合するものである。なお、移動装置1において、乗りかご2自体は昇降路内を昇降する機能を有していない。移動装置1は、乗りかご2と、第一移動部3と、第二移動部5とを備える。
【0029】
図1、2に示すように、乗りかご2は、利用者が搭乗するかご本体20、及び、かご本体20の背面に、移行方向Xに延びるように突出する軌道走行部21を備える。この軌道走行部21は、後述する軌道部300,500を走行するためのものである。また、かご本体20の背面には、当接部22が設けられている。この当接部22は、第一結合体30と第二結合体50とが隣り合っていない状態で、乗りかご2が第一結合体30又は第二結合体50から脱落することを防止するために利用されるものである。本実施形態の当接部22は、第一結合体30の上面よりも上側に延びるように配置されている。図1に示すように、本実施形態の当接部22は、かご本体20の背面のうち、軌道走行部21が形成される部分よりも上側に延びる柱状に構成されている。また、図2に示すように、本実施形態の当接部22は、移行方向Xで、軌道走行部21の両側に配置されている。
【0030】
第一移動部3は、第一案内部(図示及び採番しない)と、第一移動路Aに配置される第一結合体30とを備える。
【0031】
第一案内部は、第一移動路Aとしての昇降路A内において第一結合体30を移動方向Yで案内するためのものである。本実施形態の第一案内部は、昇降路Aの内部において移動方向Yとしての昇降方向Yの全域に延びるガイドレールとして構成されている。
【0032】
図11に示すように、第一結合体30には、対向方向Zとしての前後方向Zの前面側垂直面に移行方向Xに延びる溝状の軌道部300が設けられている。この軌道部300は、第一結合体30と乗りかご2とを結合するために用いられる。図1では、軌道部300に軌道走行部21が嵌め込まれている。よって、第一結合体30は、乗りかご2に結合している。また、軌道部300は、移行方向Xで少なくとも第二結合体50側の端まで延びている。そのため、軌道走行部21を移行方向Xで走行させることで、乗りかご2を軌道部300と同一に構成される軌道部500が設けられた第二結合体50側に移行できる。
【0033】
図1に示すように、第一結合体30の側面には、移動方向Yに延びるレール溝301が備わっている。そのため、第一結合体30は、レール溝301を第一案内部としてのガイドレールに沿わせた状態で、吊ロープFを巻上げ、巻き戻すことにより昇降可能に構成されている。よって、第一結合体30は、乗りかご2を第一移動路A内で移動可能に構成されている。
【0034】
なお、乗りかご2を移行させるべく、乗りかご2を第一結合体30に対して動かすための駆動手段(モータ、調速手段、駆動力出力手段)は、乗りかご2が有していてもよいし、第一結合体30が有していてもよい。例えば、軌道走行部21と軌道部300とに亘って、前記駆動手段としてのリニアモータが形成されたことにより、軌道走行部21と軌道部300とが移行方向Xで相対的に移動するように構成できる。このリニアモータ以外に、例えば、軌道走行部21に回転モータと、これにより駆動されるガイドローラを備えた構造により、軌道走行部21と軌道部300とが相対的に移行方向Xで動くものであってもよい。また、駆動手段に対する電源供給は、乗りかご2、第一結合体30の側に備えた蓄電装置から供給してもよいし、外部電源から供給してもよい。
【0035】
図1に示すように、第一結合体30の移動方向Yにおける一方側の面(具体的には、上面)には、第一遮断機構4が設けられている。図2に示すように、この第一遮断機構4は、第一結合体30における第二結合体50側に配置されている。第一遮断機構4は、第一駆動機構40と、第一遮断装置41とを備える。
【0036】
本実施形態の第一駆動機構40は、駆動力によって駆動するものである。図3に示すように、第一駆動機構40は、駆動案内部400と、駆動装置401とを備える。
【0037】
駆動案内部400は、後述する駆動本体405をガイドするためのものである。図3に示すように、本実施形態の駆動案内部400は、前後方向Zに延びる二つの案内本体4000,4000が移行方向Xで対向することにより溝状に構成されている。
【0038】
図3に示すように、駆動装置401は、駆動力を生じさせる駆動源402(例えば、油圧アクチュエータ)と、該駆動源402で生じた駆動力により駆動する駆動部403と、駆動制御部(採番しない)とを備える。駆動部403は、後述する第二遮断部613を動かし、第二遮断部613と連動させて遮断部413を動かすために設けられている。なお、駆動制御部は、他の制御部の一部として構成され、駆動装置401外で、第一結合体30に設けられていてもよい。
【0039】
駆動部403は、駆動源402に連結する駆動軸部404と、駆動本体405とを備える。図3、4に示すように、駆動軸部404は、駆動力によって回動するように構成されている。本実施形態の駆動軸部404は、溝状の駆動案内部400に配置されて前後方向Zに延びる円柱状に構成される。この駆動軸部404には、前後方向Zに延びる螺旋状の溝(図示しない)が形成されている。駆動本体405は、駆動軸部404に設けられている。この駆動本体405は、駆動軸部404が回動することに連動して前後方向Zに動く。本実施形態の駆動本体405は、二つの案内本体4000,4000にガイドされるとともに、駆動軸部404の螺旋状の溝に沿う駆動取付部406と、該駆動取付部406から第二結合体50側に突出し、前後方向Zで対向する二つの駆動板408,408により構成される駆動係合部407とを備える。そのため、駆動係合部407は、移動方向Yである上下方向Yに連通している。よって、後述する接続先端部616が移動方向Yにおいて、駆動係合部407を通り抜けることができる。さらに、駆動係合部407は、後述する接続先端部616と上下方向Yの同一位置にて係合する。この駆動係合部407は、乗りかご2を第一結合体30から第二結合体50へと移行させる際には、後述する第二被係合部(具体的には、接続先端部616)に係合する第二係合部として構成される。
【0040】
駆動制御部は、駆動源402に対して駆動力を発生するように指令を出す部分である。
なお、この指令は有線信号でも無線信号でもよい。駆動制御部は、第一結合体30に乗りかご2が結合していること及び駆動係合部407と後述する接続先端部616とが係合したことを条件として、駆動本体405を駆動源402側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源402に指令を出すように構成されている。また、駆動制御部は、駆動本体405を駆動源402側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源402に指令を出した後、第一結合体30と乗りかご2との結合が解消したこと、又は駆動係合部407と接続先端部616との係合が解消されたことを条件として、駆動本体405を前側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源402に指令を出すように構成されている。本実施形態の駆動制御部は、駆動源402に内蔵されている。なお、駆動制御部は、乗りかご2や第一結合体30、駆動係合部407や接続先端部616に設けたセンサーにより上記の条件を検知する。
【0041】
第一遮断装置41は、第一結合体30から乗りかご2が脱落することを防止するためのものである。図2に示すように、本実施形態の第一遮断装置41は、移行方向Xにおいて、第一駆動機構40よりも第一結合体30の中央寄りに配置されている。第一遮断装置41は、遮断取付部410と、遮断部413と、遮断復帰部420とを備える。
【0042】
遮断取付部410は、遮断部413を第一結合体30に設けるためのものである。また、本実施形態の遮断取付部410は、遮断部413を前後方向Zに案内する。図3に示すように、この遮断取付部410は、前後方向Zに延びる二つの遮断案内部411と、移行方向Xに延びて遮断案内部411,411同士を接続する遮断接続部412とを備える。また、二つの遮断案内部411,411が移行方向Xで対向することにより、本実施形態の遮断取付部410は、前後方向Zに延びる溝状に構成されている。
【0043】
遮断部413は、第一結合体30から乗りかご2が脱落することを防止するためのものである。遮断部413は、前後方向Zに延びる板状体である。遮断部413は、遮断取付部410に取り付けられている。図3に示すように、本実施形態の遮断部413は、移行方向Xで対向する二つの遮断案内部411,411の間に配置されている。また、この遮断部413は、二つの遮断案内部411,411に対して前後方向Zで摺動可能に取り付けられている。そのため、遮断部413は、二つの遮断案内部411,411にガイドされた状態で、溝状に構成された遮断取付部410から前後方向Zに摺動可能である。よって、図3,4に示すように、本実施形態の遮断部413は、遮断取付部410から突出する姿勢と、遮断取付部410に収納される姿勢との間で変化する。ここで、図3に示すように、本実施形態では、遮断取付部410から突出する姿勢の遮断部413は、前後方向Zで、当接部22と重なるように配置される。そのため、遮断取付部410から突出する姿勢の遮断部413が当接部22に当たることにより、第一結合体30から乗りかご2が脱落することを防止できる。一方で、遮断取付部410に収納される姿勢の遮断部413は、前後方向Zで当接部22とは重なっていない。したがって、遮断部413は、乗りかご2(具体的には、当接部22)の移行方向Xでの移行軌跡に交わる遮断姿勢と、移行軌跡から外れる解除姿勢とに変化可能である。
【0044】
遮断部413には、接続部材が設けられている。本実施形態の接続部材は、遮断部413から第二結合体50側に延びる。また、本実施形態の遮断部413には、対向方向Zにおいて、二つの接続部材(具体的には、一方接続部材414と他方接続部材417)が設けられている。一方接続部材414と他方接続部材417とは同様に構成され、遮断部413から突出する接続軸部415,418と、該接続軸部415,418の先端側に設けられる接続先端部416,419とを備える。本実施形態では、他方接続部材417の接続先端部419は、乗りかご2を第一結合体30から第二結合体50へと移行させる際には、後述する係合部(具体的には、第二接続先端部619)に係合することで係合部の駆動力が伝達される被係合部として構成される。その一方で、他方接続部材417の接続先端部419は、乗りかご2を第二結合体50から第一結合体30へと移行させる際には、第一結合体30と第二結合体50とが隣り合う状態で駆動する第二係合部として構成される。なお、図3,4に示すように、一方接続部材414及び他方接続部材417は、遮断案内部411や第一駆動機構40にぶつかることがないように、遮断案内部411や第一駆動機構40よりも紙面における手前側に配置されている。
【0045】
遮断復帰部420は、後述する条件の下で、遮断部413を解除姿勢から遮断姿勢に変化させるためのものである。遮断復帰部420は、遮断部413と遮断接続部412との間に配置されている。本実施形態の遮断復帰部420は、前後方向Zに伸縮する圧縮ばねとして構成され、一端が遮断部413の後面に固定され、他端が遮断接続部412の前面に固定されている。本実施形態の遮断復帰部420は、遮断部413を遮断取付部410から突出する姿勢へと付勢している。よって、本実施形態では、第一結合体30と第二結合体50とが隣り合っていない状態において、遮断復帰部420の付勢により、遮断部413は遮断姿勢になっている。
【0046】
図2,3に示すように、第二移動部5は、第二案内部(図示及び採番しない)と、第二移動路Bに配置される第二結合体50とを備える。ここで、第二移動部5を説明するにあたり、第二移動部5には第一移動部3と同様に構成されている点がある。そのため、第二移動部5のうち、第一移動部3と同様に構成されている点については第一移動部3の説明を兼用し、第一移動部3とは異なる点を重点的に説明する。
【0047】
第二案内部は、第二移動路Bとしての昇降路B内において第二結合体50を移動方向Yで案内するためのものである。そのため、本実施形態の第二案内部は第一案内部と同様、昇降路Bの内部において昇降方向Yの全域に延びるガイドレールとして構成される。
【0048】
図11に示すように、第二結合体50には、第一結合体30と同様、移行方向Xに延びる軌道部500が設けられている。この軌道部500は、移行方向Xで少なくとも第一結合体30側の端まで延びている。本実施形態の軌道部500は、第二結合体50の移行方向Xの全域に延びている。また、図11に示すように、本実施形態の軌道部500は、第二結合体50と第一結合体30とが隣り合う状態において、第一結合体30の軌道部300と連通するように配置されている。よって、乗りかご2が第一結合体30から第二結合体50に移行することにより、第一結合体30の軌道部300に嵌め込まれていた軌道走行部21が第二結合体50の軌道部500に嵌め込まれた状態となる。したがって、第二結合体50は、乗りかご2と結合可能である。
【0049】
第一結合体30と同様に、第二結合体50の側面には移動方向Yに延びるレール溝(図示及び採番しない)が備わっており、このレール溝に第二案内部としてのガイドレールに沿わせた状態で、吊ロープFを巻上げ、巻き戻すことにより、第二結合体50は昇降する。よって、第二結合体50は、第二移動路B内で移動可能である。したがって、第二結合体50は、乗りかご2と結合することで、乗りかご2を第二移動路B内で移動可能に構成されている。
【0050】
図2に示すように、第二結合体50の移動方向Yにおける一方側の面(具体的には、上面)には、第二遮断機構6が設けられている。この第二遮断機構6は、移行方向Xにおいて、第一結合体30側の端部に配置されている。第二遮断機構6は、第二駆動機構60と、第二遮断装置61とを備える。
【0051】
本実施形態の第二駆動機構60は、駆動力により駆動するものである。ここで、図3に示すように、第二駆動機構60は、第一駆動機構40と同様に構成され、駆動案内部600と駆動装置601とを備える。ここで、図3に示す駆動軸部604は、駆動源602の駆動力によって回動するように構成されている。この駆動軸部604には、前後方向Zに延びる螺旋状のスリット(図示しない)が形成され、駆動本体605は、駆動軸部604が回動することに連動して前後方向Zに動くように駆動軸部604に設けられている。また、第二駆動機構60の駆動装置601では、駆動取付部606から前後方向Zで対向する二つの駆動板608,608が第一結合体30側に突出することで、駆動係合部607が構成される。この駆動係合部607は移動方向Yに連通しているため、接続先端部416が移動方向Yにおいて、駆動係合部607を通り抜けることができる。また、駆動係合部607は、接続先端部416と係合する。そのため、第二遮断機構6に備わる駆動源602の駆動力によって、遮断部413を前後方向Zに摺動できる。
【0052】
図3に示すように、本実施形態において、第一結合体30と第二結合体50とが隣り合う状態では、駆動係合部607と接続先端部416とが係合する。そのため、駆動係合部607と接続先端部416とが係合するように、第二駆動機構60の配置が設定されている。なお、本実施形態では、干渉を避けるため、第二駆動機構60が第一駆動機構40よりも後側に配置されている。
【0053】
駆動装置601は、駆動制御部を備える。この駆動制御部は、第二結合体50に乗りかご2が結合していること及び駆動係合部607が接続先端部416に係合したことを条件として、駆動本体605を駆動源602側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源602に指令を出すように構成されている。また、駆動制御部は、駆動本体605を駆動源602側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源602に指令を出した後、第二結合体50と乗りかご2との結合が解消したこと、又は駆動係合部607と接続先端部416との係合が解消されたことを条件として、駆動本体605を前側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源602に指令を出すように構成されている。なお、本実施形態の駆動制御部は、駆動源602に内蔵されている。
【0054】
第二遮断装置61は、第二結合体50から乗りかご2が脱落することを防止するためのものである。図2に示すように、本実施形態の第二遮断装置61は、移行方向Xにおいて、第二駆動機構60よりも第一結合体30から離間して配置されている。図3に示すように、第二遮断装置61は、遮断取付部610と、第二遮断部613と、遮断復帰部620とを備える。第二遮断装置61の遮断取付部610は、第一遮断装置41の遮断取付部410と同様に構成されている。
【0055】
本実施形態の第二遮断部613は、接続部材に代えて第二接続部材が設けられている点を除き、遮断部413と同様に構成されている。そのため、本実施形態の第二遮断部613は、遮断部413と同様、遮断取付部610から突出する姿勢と、遮断取付部610に収納される姿勢との間で変化する。よって、第二遮断部613は、乗りかご2の移行軌跡に交わる遮断姿勢と、乗りかご2の移行軌跡から外れる解除姿勢とに変化するように構成されている。なお、該第二遮断部613と遮断取付部610との間に配置される遮断復帰部620の付勢により、第一結合体30と第二結合体50とが隣り合っていない状態において、第二遮断部613は遮断姿勢になっている。
【0056】
第二接続部材は、第二遮断部613から第一結合体30側に延びる。図3に示すように、本実施形態では、対向方向Zにおいて、第二遮断部613に二つの第二接続部材(具体的には、一方第二接続部材614と他方第二接続部材617)が設けられている。一方第二接続部材614は、第二遮断部613から突出する第二接続軸部615と、該第二接続軸部615の先端側に配置される接続先端部616とを備える。また、この一方第二接続部材614は、接続先端部616が駆動係合部407と係合する位置に配置されている。よって、第一結合体30と第二結合体50とが移行方向Xで隣り合うことにより、移動方向Yにおいて、接続先端部616が二つの駆動板408,408の間に配置され、接続先端部616が駆動係合部407と係合する。接続先端部616は、乗りかご2を第一結合体30から第二結合体50へと移行させる際には、第二係合部と係合することで第二係合部の駆動力が伝達される第二被係合部として構成される。
【0057】
図3に示すように、他方第二接続部材617は、第二遮断部613から突出する第二接続軸部618と、該第二接続軸部618の先端側に配置され、前後方向Zに離間する二つの接続板621,621で構成される第二接続先端部619とを備える。この他方第二接続部材617は、第二接続先端部619が遮断部413に設けられた他方接続部材417の接続先端部419と係合する位置に配置されている。よって、第一結合体30と第二結合体50とが移行方向Xで隣り合うことにより、移動方向Yにおいて、接続先端部419が二つの接続板621,621の間に配置されることで、第二接続先端部619と接続先端部419とが係合する。したがって、第二遮断部613が前後方向Zに摺動することに連動して、遮断部413を前後方向Zに摺動する。即ち、第一実施形態では、接続先端部616が駆動係合部407と係合し、第二接続先端部619と接続先端部419とが係合することにより、第一結合体30に対する乗りかご2の脱落を防止する軌道脱落防止装置が構成される。また、駆動係合部607と接続先端部416とが係合し、第二接続先端部619と接続先端部419とが係合することにより、第二結合体50に対する乗りかご2の脱落を防止する軌道脱落防止装置が構成される。なお、遮断部413が摺動する場合には、これに連動して、第二遮断部613も摺動するように構成されている。本実施形態において、第二接続先端部619は、第一結合体30から第二結合体50へ移行させる際には、第一結合体30と第二結合体50とが隣り合う状態で駆動する係合部として構成される。また、第二接続先端部619は、乗りかご2を第二結合体50から第一結合体30へ移行させる際には、第一結合体30と第二結合体50とが隣り合う状態で第二係合部に係合することで第二係合部の駆動力が伝達される第二被係合部として構成される。
【0058】
続いて、本実施形態の移動装置1において、乗りかご2を第一結合体30から第二結合体50へと移行させる場合について説明する。説明の前提として、図11の右方の昇降路Bの所定の階床(フロア)にて第二結合体50が停止する状態で、図11の左方の昇降路Aの所定の階床(図11では、4階)に第一結合体30が移動して停止することにより、第一結合体30と第二結合体50とが隣り合うものとする。
【0059】
なお、昇降路A内を移動中の第一結合体30においては、遮断部413が遮断姿勢にあるので、乗りかご2の移行軌跡に交わる。具体的には、遮断取付部410から突出する遮断部413が、移行方向Xで当接部22と重なる位置に配置されている。そのため、乗りかご2が昇降路A内を移動中の第一結合体30から脱落することが防止されている。
【0060】
第二結合体50が停止する状態で、左方の昇降路Aの所定の階床に第一結合体30が移動して停止することにより、一方接続部材414の接続先端部416が二つの駆動板608,608の間に配置されることで、接続先端部416と駆動係合部607とが係合する。また、接続先端部616が二つの駆動板408,408の間に配置されることにより、接続先端部616と駆動係合部407とが係合する。
【0061】
本実施形態では、他方接続部材417の接続先端部419が二つの接続板621,621の間に配置されることにより、接続先端部419と第二接続先端部619とが係合する。よって、遮断部413と第二遮断部613とが連結する。
【0062】
第二接続先端部619と接続先端部419とが係合すること及び駆動係合部407と接続先端部616とが係合したことにより、駆動本体405を駆動源402側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源402に指令を出す。そのため、駆動軸部404が、駆動本体405を駆動源402の方に動かすように回動する。よって、駆動軸部404に設けられる駆動本体405では、駆動板408が接続先端部616を後側に押しながら、駆動取付部406が二つの案内本体4000,4000にガイドされながら駆動源402に近付くように動く。したがって、第二遮断部613は、一方第二接続部材614が後側に動くことに伴い、遮断復帰部620を圧縮しながら遮断案内部611に対して後側に摺動し、遮断取付部610より突出する姿勢から遮断取付部610に収納する姿勢へと変化することで、遮断姿勢から収納姿勢へと変化する。
【0063】
また、第二遮断部613が後側に摺動することにより、他方第二接続部材617の接続板621が他方接続部材417の接続先端部419を後側に押しながら、係合部としての第二接続先端部619が後側に動く。そのため、被係合部として構成される他方接続部材417の接続先端部419に駆動力が伝達される。よって、被係合部が設けられる遮断部413は遮断案内部411にガイドされつつ、遮断復帰部420を圧縮しながら後側に摺動する。したがって、遮断部413は、遮断取付部410から突出する姿勢から遮断取付部410に収納する姿勢へと変化することで、遮断姿勢から収納姿勢へと変化する。即ち、本実施形態では、第一結合体30に設けられる第一遮断機構4において駆動源402が発生させた駆動力を、第二結合体50(具体的には、第二遮断部613)を経由して遮断部413に伝えることで、遮断部413を遮断姿勢から解除姿勢へと変化させる。なお、遮断部413が後側に摺動することにより、一方接続部材414の接続先端部416が駆動板608を後側に押すことで、駆動係合部607が後側に動く。
【0064】
遮断部413及び第二遮断部613が遮断姿勢から解除姿勢へと変化することにより、遮断部413と第二遮断部613は乗りかご2の移行方向Xでの移動軌跡、具体的には、前後方向Zで当接部22と重ならないようになる。したがって、図4の矢印で示すように、乗りかご2は第一結合体30から第二結合体50へと移行する。
【0065】
第一結合体30から第二結合体50への乗りかご2の移行が完了した後は、駆動制御部は、第一結合体30と乗りかご2との結合が解消したとして、駆動本体405を前側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源402に指令を出す。これにより、遮断部413及び第二遮断部613は解除姿勢から遮断姿勢へと変化する。このとき、遮断復帰部420の伸長する力も遮断部413にかかることになる。なお、遮断復帰部620についても同様である。
【0066】
なお、乗りかご2を第二結合体50から第一結合体30へと移動させる際には、第二遮断機構6に備わる駆動制御部が駆動源602に指令を出し、駆動本体605(具体的には、駆動係合部607)が後ろ側に動くことで、一方接続部材414の接続先端部416を介して、遮断部413が遮断姿勢から解除姿勢へと変化する。そして、遮断部413が解除姿勢へと変化することに伴い、他方接続部材417の接続先端部419が後側に動くことで、第二被係合部として構成される第二接続先端部619に駆動力が伝達されて、第二遮断部613は、遮断姿勢から解除姿勢へと変化する。
【0067】
以上、図3に示すように、本実施形態のエレベータによれば、第一結合体30において、遮断姿勢の遮断部413が乗りかご2の移行軌跡に交わることで、乗りかご2が第一結合体30から脱落することを防止できる。具体的に、本実施形態では、遮断取付部410から突出する姿勢の遮断部413が、前後方向Zで、乗りかご2本体の背面に設けた当接部22と重なるため、乗りかご2を第一結合体30から第二結合体50へと移行することを防止でき、結果的に、乗りかご2が第一結合体30から脱落することを防止できる。さらに、本実施形態では、遮断部413が遮断案内部411でガイドされているため、当接部22が遮断部413にぶつかったとしても、遮断部413が移行方向Xで動くことを防止でき、確実に、乗りかご2が第一結合体30から脱落することを防止できる。加えて、本実施形態では、遮断姿勢の遮断部413にかご本体20の外部に設けられた当接部22がぶつかるため、ぶつかった際の衝撃がかご本体20に伝わりにくくできる。なお、本実施形態では、乗りかご2が第二結合体50に結合した場合でも同様であり、乗りかご2が第二結合体50から脱落することを防止できる。
【0068】
また、本実施形態の遮断部413は、他方接続部材417の接続先端部419と第二接続先端部619とが係合するとともに、接続先端部616と駆動係合部407とが係合することにより、第二遮断部613を介して、第一遮断機構4によって生じた駆動力で遮断姿勢から解除姿勢に変化できるため、係合部から被係合部に伝達された駆動力により遮断姿勢から解除姿勢へと変化できる。具体的に、本実施形態では、遮断部413を前後方向Zに摺動させることにより、遮断姿勢から解除姿勢へと変化できる。なお、第二遮断部613においても同様である。
【0069】
また、本実施形態では、第一遮断機構4(具体的には、駆動源402)によって生じた駆動力が第二遮断部613を介して遮断部413に伝達されるため、遮断部413を遮断姿勢と解除姿勢とに変化させることに連動して、第二遮断部613を遮断姿勢と解除姿勢とに変化できる。
【0070】
また、本実施形態では、遮断復帰部420の付勢により解除姿勢の遮断部413が遮断姿勢へと変化するため、駆動源402が作動しなかったとしても、遮断部413を解除姿勢から遮断姿勢へと戻すことができる。特に、遮断部413が解除姿勢において、例えば、第一結合体30と第二結合体50とが移動方向Yでずれる等して、接続先端部416と駆動係合部607とが係合が解除され、且つ接続先端部419と第二接続先端部619との係合が解除されると、圧縮ばねとして構成された遮断復帰部420の付勢によって遮断部413が遮断取付部410から突出して遮断姿勢になる。なお、遮断復帰部620においても同様である。
【0071】
また、本実施形態では、駆動制御部が駆動源402に指令を出し、遮断部413が解除姿勢から遮断姿勢に変化するよりも前に、移動方向Yにおいて、第一結合体30と第二結合体50とが相対的に移動し、駆動係合部407と接続先端部616との係合が解消された場合、駆動本体405を前側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源402に指令を出す。そのため、その後、再び、遮断部413を遮断姿勢から解除姿勢に変化させることができる。なお、第二遮断機構6における駆動制御部においても同様である。
【0072】
続いて、第二実施形態に係る移動装置1について、図5を用いて説明する。なお、第二実施形態の移動装置1を説明するに際しては、第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、第一実施形態の移動装置1と同一の構成、作用については説明を省略し、異なる構成、作用について説明する。
【0073】
第二実施形態では、第一実施形態のように、第一遮断機構4における駆動源402が発生させた駆動力を用いて、この駆動力を第二遮断部613に介させたうえで、遮断部413を遮断姿勢から解除姿勢に変更するのではなく、第二遮断機構6における駆動源602が発生させた駆動力のみを用いて、遮断部413を遮断姿勢から解除姿勢に変化させる。なお、第二遮断部613を遮断姿勢から解除姿勢に変化させる際には、第一遮断機構4における駆動源402が発生させた駆動力のみを用いる。
【0074】
第二実施形態の第一駆動機構40は、第二遮断部613のみを駆動させるためのものである。また、第二実施形態の第二駆動機構60は、遮断部413のみを駆動させるためのものである。
【0075】
第二実施形態において、第一遮断機構4に備わる駆動制御部は、駆動係合部607が接続先端部416に係合したことを条件として、駆動本体605を駆動源602側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源602に指令を出すように構成されている点で、第一実施形態とは異なる。また、第二遮断機構6に備わる駆動制御部は、駆動係合部407が一方第二接続部材614の接続先端部616に係合したことを条件として、駆動本体405を駆動源402側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源402に指令を出すように構成されている点で、第一実施形態とは異なる。即ち、第二実施形態では、第一遮断機構4に備わる駆動制御部が、第二結合体50側の駆動源602の駆動力で遮断部413を遮断姿勢と解除姿勢とに変化させるように、第二遮断機構6に備わる駆動源602に無線通信で指令を出し、第二遮断機構6に備わる駆動制御部が、第一結合体30側の駆動源402の駆動力で第二遮断部613を遮断姿勢と解除姿勢とに変化させるように、第一遮断機構4に備わる駆動源402に無線通信で指令を出す。
【0076】
第二実施形態の遮断部413は、他方接続部材417を備えておらず、また、第二実施形態の第二遮断部613は、他方第二接続部材617を備えていない点で第一実施形態と異なる。すなわち、第二実施形態では、遮断部413と第二遮断部613とは連結しない。
【0077】
第二実施形態では、駆動係合部607が係合部として構成され、一方接続部材414の接続先端部416が被係合部として構成されている点で第一実施形態とは異なる。また、第二実施形態では、駆動係合部407が第二係合部として構成され、一方第二接続部材614の接続先端部616が第二被係合部として構成されている。
【0078】
続いて、第二実施形態の移動装置1の動作について説明する。なお、乗りかご2が第一結合体30から第二結合体50へ移行する場合を前提とする。
【0079】
図5に示すように、第二実施形態では、接続先端部416と駆動係合部607とが係合することにより、第一結合体30における駆動制御部が、駆動本体605を駆動源602側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源602に指令を出す。そのため、乗りかご2の移行元である第一結合体30側の指令により駆動源602に駆動力を生じさせるため、例えば、上記の係合が行われていない状況で、駆動源602が駆動力を発生させるといった無駄を避けることができる。なお、指令は、無線信号を用いることでなされる。そのため、駆動本体605が駆動源602の方に動くことで、駆動板608が接続先端部416を後側に押しながら一方接続部材414が後側に動く。よって、遮断部413は、遮断復帰部420を圧縮しながら遮断案内部411に対して後側に摺動し、遮断姿勢から解除姿勢へと変化する。即ち、第二実施形態では、接続先端部416と駆動係合部607とが係合することにより、第一結合体30に対する乗りかご2の脱落を防止する軌道脱落防止装置が構成される。
【0080】
さらに、接続先端部616と駆動係合部407とが係合することにより、第二結合体50における駆動制御部が、駆動本体405を駆動源402側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源402に指令を出す。そのため、駆動本体405が駆動源402の方に動くことで、駆動板408が接続先端部616を後側に押しながら駆動本体405が後側に摺動する。よって、第二遮断部613は、遮断復帰部620を圧縮しながら遮断案内部611に対して後側に摺動し、遮断姿勢から解除姿勢へと変化する。これにより、遮断部413と第二遮断部613とが連結されていなくても、遮断部413と第二遮断部613がともに解除姿勢となる。なお、接続先端部616と駆動係合部407とが係合することにより、第二結合体50に対する乗りかご2の脱落を防止する軌道脱落防止装置が構成される。
【0081】
以上、第二実施形態では、係合部としての駆動係合部607が被係合部としての接続先端部416に係合することにより、遮断部413が遮断姿勢から解除姿勢に変化するため、第一実施形態に比べて簡易な物理的構造で、遮断部413を遮断姿勢から解除姿勢に変化できる。なお、第二遮断部613を遮断姿勢から解除姿勢に変化することについても同様である。
【0082】
また、第二実施形態では、第一結合体30側の遮断部413は、第二結合体50に備わる駆動装置601の駆動力を用いて遮断姿勢から解除姿勢に変化でき、第二遮断部613は、第一結合体30に備わる駆動装置401の駆動力を用いて遮断姿勢から解除姿勢に変化できるため、遮断部413と第二遮断部613をそれぞれ独立して、遮断姿勢から解除姿勢へと変化できる。
【0083】
次に、第三実施形態に係る移動装置1について、図6~10,11を用いて説明する。なお、第三実施形態の移動装置1を説明するに際しては、第一及び第二実施形態の移動装置1と同一の構成については同一の符号を付し、第一及び第二実施形態と同一の構成、作用については説明を省略し、異なる構成、作用について説明する。
【0084】
第三実施形態では、遮断部413は、移動方向Yに乗りかご2の移行軌跡に交わる交差状態と乗りかご2の移行軌跡から外れる外れ状態とに変化する一対の遮断本体(具体的には、上側遮断本体413aと下側遮断本体413b)を備える。そのため、第三実施形態では、全ての遮断本体が交差状態から外れ状態に変化することにより、遮断部413が遮断姿勢から解除姿勢に変化する点で、第一及び第二実施形態とは異なる。ここで、理解を容易にするべく、第三実施形態における遮断部413を遮断姿勢から解除姿勢へと変化させるための動作の概略について説明すると、一の遮断本体が交差状態から外れ状態に変化することにより、第二遮断部613を介して、他の遮断本体が連動して交差状態から遮断状態へと変化する。そのため、以下の説明においては、遮断部413に備わる一対の遮断本体の説明を行った後、一対の遮断本体を連動させるための構成について説明する。
【0085】
図6に示すように、第三実施形態の第一遮断装置41において、遮断取付部410は、遮断案内部411を一つだけ備え、遮断接続部412が遮断案内部411,411同士を接続していない点で第一及び第二実施形態とは異なる。即ち、図6,9,10に示すように、遮断取付部410は、移行方向Xで、遮断部413よりも第二結合体50から遠い側に、前後方向Zに延びる遮断案内部411を備えるとともに、遮断案内部411から移行方向Xで第二結合体50側に延びる遮断接続部412を備える。なお、第二遮断装置61の遮断取付部610も同様に構成される。
【0086】
図6に示すように、本実施形態の遮断部413は、移動方向Yに一対の遮断本体(具体的には、上側遮断本体413aと下側遮断本体413b)を備える。第三実施形態の上側遮断本体413aと下側遮断本体413bそれぞれは、別個に遮断案内部411に対して前後方向Zで摺動可能に取り付けられている。そのため、上側遮断本体413aと下側遮断本体413bとは、遮断案内部411にガイドされた状態で遮断取付部410から前後方向Zで摺動可能に構成され、移動方向Yに乗りかご2の移行軌跡に交わる交差状態と乗りかご2の移行軌跡から外れる外れ状態とに変化可能である。
【0087】
第三実施形態の上側遮断本体413aと下側遮断本体413bとは連結可能に構成されている。この構成については、後ほど説明する。
【0088】
ここで、上記第一及び第二実施形態では、第一駆動機構40の駆動係合部407と接続先端部616とが係合することにより、駆動源402で発生した駆動力によって第二遮断部613を遮断姿勢と解除姿勢とに変化させていた。その一方で、第三実施形態では、第一駆動機構(図示しない)が、下側遮断本体413bを交差状態と外れ状態とに変化させるように構成されている点で異なる。この第一駆動機構は、下側遮断本体413bに対して直接、駆動力を伝達できる位置に配置されている。即ち、第三実施形態の下側遮断本体413bは、第二結合体50から伝わった駆動力を用いることなく、交差状態と外れ状態とに変化可能に構成されている。
【0089】
なお、図9,10に示すように、第三実施形態の遮断復帰部420は、遮断本体(具体的には、上側遮断本体413aと下側遮断本体413b)と遮断接続部412との間に配置され、遮断本体を交差状態に付勢している。そのため、第三実施形態において、第一結合体30と第二結合体50とが隣り合っていない状態では、遮断本体が交差状態になっている。よって、上側遮断本体413aと下側遮断本体413bとが当接部22と当たることで、乗りかご2が第一結合体30から脱落することを防止している。
【0090】
第三実施形態の遮断部413にも第二結合体50側に延びる接続部材が設けられている。ここで、第三実施形態では、下側遮断本体413bと上側遮断本体413aのそれぞれから、接続部材(一方接続部材414a、他方接続部材405a)が設けられている。一方接続部材414aは、下側遮断本体413bから第二結合体50側に向かって突出する接続軸部415aと、該接続軸部415aの先端側に配置される一方接続先端部416aとを備える。一方接続先端部416aは、第二係合部として構成される。他方接続部材405aは、上側遮断本体413aから第二結合体50側に向かって突出する接続軸部406aと、該接続軸部406aの先端側に配置され、前後方向Zで対向する二つの接続板408aにより構成される他方接続先端部407aとを備える。第三実施形態では、この他方接続先端部407aが被係合部として構成される。他方接続先端部407aは、移動方向Yに連通している。なお、第三実施形態では、干渉を避けるべく、一方接続部材414aと他方接続部材405aとが前後方向Zで離れて配置されている。
【0091】
続いて、一対の遮断本体を連動させるための構成について説明する。ここで、一対の遮断本体(上側遮断本体413a、下側遮断本体413b)を連動させるための構成は、第二遮断機構6に備わっている。そのため、第二遮断機構6について説明する。
【0092】
図6に示すように、第二遮断部613は、移動方向Yに一対の第二遮断本体(具体的には、上側第二遮断本体613aと下側第二遮断本体613b)を備える。上側第二遮断本体613aには、第一結合体30側に延びる第二他方接続部材614aが設けられている。この第二他方接続部材614aは、上側第二遮断本体613aから第一結合体30側に向かって突出する接続軸部615aと、該接続軸部615aの先端側に配置される第二他方接続先端部616aとを備える。なお、第三実施形態では、第二他方接続先端部616aが係合部として構成される。また、第三実施形態では、第一結合体30と第二結合体50とが隣り合う状態において、第二他方接続先端部616aが二つの接続板408a,408aの間に配置されることで他方接続先端部407aと係合するように、第二他方接続部材614aは移行方向Xの長さと前後方向Zの配置が設定されている。そのため、図6に示すように、第二他方接続先端部616aと他方接続先端部407aとが係合することにより、上側遮断本体413aと上側第二遮断本体613aとが連動するように構成される。
【0093】
図7に示すように、上側第二遮断本体613aには、後述する出没体D40が挿入可能な出没挿込部613c,613dが形成されている。この出没挿込部613c,613dに出没体D40が挿し込まれることにより、下側第二遮断本体613bと上側第二遮断本体613aとが連動可能となる。本実施形態では、2つの出没挿込部613c,613dが形成されていることにより、前後方向Zで下側第二遮断本体613bと上側第二遮断本体613aとがずれた場合でも、出没体D40を出没挿込部613c,613dに挿し込むことができるようにしている。この出没挿込部613c,613dは、上側第二遮断本体613aのうち、移動方向Yで下側第二遮断本体613bと対向する面に凹状に構成されている。また、第三実施形態の上側第二遮断本体613aには、前後方向Zで二つの出没挿込部613c,613dが形成されている。
【0094】
下側第二遮断本体613bには、下側遮断本体413bから伝達された駆動力を上側第二遮断本体613aに伝えるための駆動伝達機構Dが備わっている。この駆動伝達機構Dは、下側第二遮断本体613b内で移行方向Xに延びる支持軸D1で支持される回動可能な回動体D2と、駆動伝達部D3と、遮断連結部D4とを備える。
【0095】
図7に示すように、回動体D2は、前後方向Zに延びる板状体として構成される。この回動体D2は、支持軸D1によって支持されることにより、移行方向Xに延びる支持軸D1まわりを移行方向Xまわりに回動可能に構成されている。また、回動体D2の延びる方向の両端部には、後述する駆動伝達部D3と遮断連結部D4と連結するための回動連結部D10,D11が形成されている。本実施形態の回動連結部D10,D11は、移行方向Xで回動体を貫通する貫通孔として構成される。
【0096】
駆動伝達部D3は、下側遮断本体413bが駆動することにより生じた駆動力により、回動体D2を支持軸D1まわりに回動させるためのものである。この駆動伝達部D3は、前後方向Zに動く一方第二接続部材605aと、軸復帰部Eとを備える。一方第二接続部材605aは、第一結合体30側に向かって延びる接続軸部606aと、接続軸部606aの先端側に配置され、前後方向Zで対向する二つの接続板608aにより構成される第二一方接続先端部607aとを備える。第二一方接続先端部607aは、第二被係合部として構成される。ここで、本実施形態の接続軸部606aは、移行方向Xで下側第二遮断本体613bの第一結合体30側の壁面Hを貫通している。また、この接続軸部606aは、前後方向Zで摺動可能な状態で回動連結部D10に連結している。さらに、本実施形態では、接続軸部606aが前後方向Zで摺動可能となるように、下側第二遮断本体613bの第一結合体30側の壁面Hに貫通孔(図示しない)が形成されている。そのため、図7の接続軸部606aが図8に示すように、後側に摺動することにより、回動体D2が支持軸D1まわりに回動するように構成される。第二一方接続先端部607aは、前後方向Zで対向する二つの接続板608aによって移動方向Yに連通している。そのため、例えば、第二結合体50に対して第一結合体30が移動方向Yに動くことで、第二一方接続先端部607aに一方接続先端部416aを係合できる。
【0097】
軸復帰部Eは、後側に摺動した接続軸部606aを前側に摺動させるためのものである。この軸復帰部Eは、接続軸部606aと第一結合体30側の壁面Hから突出する突出部H1との間に配置されている。また、図7に示すように、本実施形態の軸復帰部Eは、回動体D2よりも第一結合体30側の壁面H側に配置されている。具体的に、本実施形態の軸復帰部Eは、前後方向Zに伸縮する圧縮ばねとして構成されている。
【0098】
遮断連結部D4は、下側第二遮断本体613bと上側第二遮断本体613aとを連結するためのものである。この遮断連結部D4は、移動方向Yに延びて出没孔部613eから出没可能な出没体D40と、出没体D40に連結する出没駆動部D41とを備える。本実施形態の出没体D40は、下側第二遮断本体613b内で第一結合体30側の壁面Hから突出する二つの出没案内部H2,H2により案内されることで移動方向Yに移動する。出没駆動部D41は、移動方向Yに延びると共に、回動連結部D11に連結されている。また、この出没駆動部D41は、回動体D2が回動することにより、移動方向Yに動くと共に、回動連結部D11に対して前後方向Zに動くように構成されている。また、本実施形態では、回動した回動体D2を図7に示す回動前の状態に戻すための回動復帰部Gが設けられている。この回動復帰部Gは、移動方向Yに伸縮する圧縮ばねとして構成されている。
【0099】
即ち、本実施形態では、下側遮断本体413bが後側に動くことにより、図8に示すように、接続軸部606aが、軸復帰部Eとしての圧縮ばねを圧縮しながら、壁面Hの貫通孔と回動連結部D10に対して摺動することにより、回動体D2が回動復帰部Gを圧縮しながら支持軸D1まわりに回動する。そして、回動体D2の回動に伴い、回動連結部D11に連結している出没駆動部D41が移動方向Y及び前後方向Zに動くことで、出没体D40は、出没案内部H2,H2に案内されながら移動方向Yに動いて、出没孔部613eから突出して出没挿込部613cに挿入される。よって、下側第二遮断本体613bと上側第二遮断本体613aとが連結し、下側第二遮断本体613bと上側第二遮断本体613aとは交差状態と外れ状態とに変化する。
【0100】
上述した通り、第三実施形態の上側遮断本体413aと下側遮断本体413bとは連結可能に構成されている。そのため、第三実施形態では、図9,10に示すように、下側第二遮断本体613bと同様で、上側遮断本体413aには、駆動伝達機構Dが備わり、下側遮断本体413bには前後方向Zで二つの出没挿込部413c,413dが形成されている。
【0101】
続いて、乗りかご2を第一結合体30から第二結合体50へと移行させるべく、遮断部413を遮断姿勢から解除姿勢へと変化させるための動作について説明する。
【0102】
説明の前提として、第一実施形態と同様、図11の右方の昇降路Bの所定の階床に第二結合体50が停止する状態で、左方の昇降路Aの所定の階床に第一結合体30が移動して停止することにより、図6に示すように、一方接続先端部416aが二つの接続板608aの間に配置されることで、一方接続先端部416aと第二一方接続先端部607aとが係合する。よって、下側遮断本体413bと下側第二遮断本体613bとが連結する。また、第二他方接続先端部616aが二つの接続板408a,408aの間に配置されることにより、第二他方接続先端部616aと他方接続先端部407aとが係合することで、上側遮断本体413aと上側第二遮断本体613aとが連結する。
【0103】
一方接続先端部416aと第二一方接続先端部607aとが係合したこと及び第二他方接続先端部616aと他方接続先端部407aとが係合したことにより、下側遮断本体413bを動かすための駆動力を生じさせるように第一駆動機構に指令を出す。そのため、下側遮断本体413bが遮断復帰部420を圧縮しながら後側に動く。
【0104】
下側遮断本体413bが後側に動くことにより、下側遮断本体413bから伝わる駆動力で接続軸部606aが、軸復帰部Eとしての圧縮ばねを圧縮しながら壁面Hの貫通孔と回動連結部D10に対して摺動し、回動体D2が回動復帰部Gを圧縮しながら支持軸D1まわりに回動する。また、回動体D2の回動に伴って、回動連結部D11に連結している出没駆動部D41が移動方向Y及び前後方向Zに動き、出没体D40が出没孔部613eから突出して出没挿込部613cに挿入する。そのため、下側第二遮断本体613bと上側第二遮断本体613aとが連結する。よって、図8に示すように、下側遮断本体413bが後側に動く駆動力により、下側第二遮断本体613bと上側第二遮断本体613aとが連結するため、図8に示すように、下側遮断本体413bは、下側第二遮断本体613bよりも後側に配置される。
【0105】
その後、引き続き、下側遮断本体413bが後側に動くことにより、下側遮断本体413bと連動して、下側第二遮断本体613b、上側第二遮断本体613a、上側遮断本体413aが後側に動く。よって、図10に示すように、下側遮断本体413bを交差状態から外れ状態に変化させることにより、下側第二遮断本体613bと上側第二遮断本体613aを介して、上側遮断本体413aが連動して交差状態から外れ状態へと変化する。したがって、下側遮断本体413b、下側第二遮断本体613b、上側第二遮断本体613a、上側遮断本体413aが全て交差状態から外れ状態に変化することにより、遮断部413と第二遮断部613とは遮断姿勢から解除姿勢に変化する。即ち、第三実施形態では、一方接続先端部416aと第二一方接続先端部607aとが係合したこと及び第二他方接続先端部616aと他方接続先端部407aとが係合することにより、乗りかご2の脱落を防止する軌道脱落防止装置が構成される。
【0106】
ここで、上述の通り、第三実施形態では、下側第二遮断本体613bと同様で、上側遮断本体413aには、駆動伝達機構Dが備わり、下側遮断本体413bには前後方向Zで二つの出没挿込部413c,413dが形成されている。そのため、上側第二遮断本体613aが後側に動くことによって、図9に示すように、接続軸部406aが壁面(採番しない)の貫通孔と回動連結部D10に対して摺動し、回動体D2が回動復帰部Gを圧縮しながら支持軸D1まわりに回動する。また、回動体D2の回動に伴って、回動連結部D11に連結している出没駆動部D41が移動方向Y及び前後方向Zに動き、出没体D40が出没孔部413eから突出して出没挿込部413dに挿入する。そのため、下側遮断本体413bと上側遮断本体413aとが連結する。
【0107】
以上、第三実施形態では、第一駆動機構が、下側遮断本体413bを交差状態と外れ状態とに変化させるように構成されているのに対して、上側遮断本体413aは下側第二遮断本体613bと上側第二遮断本体613aを介して、上側遮断本体413aが連動して交差状態から外れ状態へと変化する。そのため、第二結合体50と第一結合体30とが隣り合っていない状態では、上側遮断本体413aが交差状態にあることにより、第一結合体30から第二結合体50側に移行する乗りかご2を遮るため、乗りかご2が第一結合体30から脱落することを防止できる。
【0108】
また、第三実施形態では、まず初めに下側遮断本体413bを交差状態から外れ状態へと変化させるように、第一駆動機構が駆動力を伝達するため、動き出しにおける遮断部413の重量を減らすことができ、第一駆動機構にかかる負荷を減らすことができる。
【0109】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0110】
上記第一乃至第三実施形態では、当接部22は、かご本体20の背面のうち、軌道走行部21が形成される部分よりも上側に設けられ、且つ第一遮断機構4が第一結合体30の上面に設けられ、第二遮断機構6が第二結合体50の上面に設けられている場合について説明したが、これに限らず、上記構成に加えて又は上記構成に代えて、当接部22は、軌道走行部21が形成される部分よりも下側に設けられ、且つ第一遮断機構4が第一結合体30の下面に設けられ、第二遮断機構6が第二結合体50の下面に設けられていてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、遮断部や第二遮断部が当接部と当たることで、乗りかごが第一結合体や第二結合体から脱落することを防止していたが、これに限らず、例えば、遮断部や第二遮断部が軌道走行部やかご本体に当たることで、乗りかごの脱落を防止するように構成されていてもよい。
【0112】
上記第一乃至第三実施形態では、遮断部413や第二遮断部613を前後方向Zに摺動させることにより、遮断姿勢と解除姿勢とを変化させる場合について説明したが、これに限らず、例えば、遮断部413や第二遮断部613を移行方向Xまわりに回動させることにより遮断姿勢と解除姿勢とを変化させる場合や、遮断部413や第二遮断部613を移動方向Yまわりに回動させることにより遮断姿勢と解除姿勢とを変化させるようにしてもよい。この場合、遮断復帰部420,620は、遮断部413や第二遮断部613を移動方向Yや移行方向Xまわりに回動させることで遮断姿勢から解除姿勢へと変化させるように構成されていることが考えられる。
【0113】
また、上記第一乃至第三実施形態では、遮断部413が板状である場合について説明したが、これに限らず、例えば、遮断部413が棒状に構成されていてもよい。なお、第二遮断部613についても同様である。
【0114】
なお、上記第一実施形態では、第一駆動機構40の駆動制御部は、第一結合体30に乗りかご2が結合していること及び駆動係合部407と後述する接続先端部616とが係合したことを条件として、駆動本体405を駆動源402側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源402に指令を出すように構成されていた。しかし、これに限らず、駆動制御部は、駆動係合部607と後述する接続先端部416とが係合したことを条件として、駆動本体605を駆動源602側に動かすための駆動力を生じさせるように駆動源602に指令(例えば、無線信号による指令)を出すように構成されていてもよい。なお、第二駆動機構60の駆動制御部についても同様であってもよい。この場合、遮断部413は駆動源602によって発生した駆動力によっても駆動し、第二遮断部613は駆動源402によって発生した駆動力によっても駆動するように構成される。
【0115】
上記第三実施形態では、下側遮断本体413b、下側第二遮断本体613b、上側第二遮断本体613a、上側遮断本体413aを連動させるように構成されていたが、これに限らず、例えば、下側第二遮断本体613b、上側第二遮断本体613aは下側遮断本体413bと連動しなくてもよい。
【0116】
上記第一乃至第三実施形態では、第一結合体30及び第二結合体50が昇降路A,B内を移動する昇降駆動装置として構成される場合について説明したが、これに限らず、例えば、図11に示すように、第一結合体30及び第二結合体50が乗りかご2を紙面の左右方向に動かす機構として構成されていてもよい。また、第一結合体30及び第二結合体50の一方は、水平方向に移動するものであり、エレベータ設置建物等構造物から別のエレベータ設置建物等構造物に乗りかご2を移行させるようなものでもよい。
【符号の説明】
【0117】
1:移動装置、2:乗りかご、20:かご本体、21:軌道走行部、22:当接部、3:第一移動部、30:第一結合体、300:軌道部、301:レール溝、F:吊ロープ、4:第一遮断機構、40:第一駆動機構、400:駆動案内部、401:駆動装置、402:駆動源、403:駆動部、404:駆動軸部、405:駆動本体、406:駆動取付部、407:駆動係合部、41:第一遮断装置、410:遮断取付部、411:遮断案内部、412:遮断接続部、413:遮断部、414:一方接続部材、415:接続軸部、416:接続先端部、417:他方接続部材、418:接続軸部、419:接続先端部、420:遮断復帰部、5:第二移動部、50:第二結合体、500:軌道部、6:第二遮断機構、60:第二駆動機構、600:駆動案内部、601:駆動装置、61:第二遮断装置、610:遮断取付部、613:第二遮断部、614:一方第二接続部材、615:第二接続軸部、616:接続先端部、617:他方第二接続部材、618:第二接続軸部、619:第二接続先端部、620:遮断復帰部、A:第一移動路、B:第二移動路、C:横走行路、Y:移動方向、X:移行方向、Z:対向方向
【要約】
【課題】2つの結合体が隣り合っていない状態において、乗りかごが結合体から脱落することを防止できる移動装置を提供する。
【解決手段】乗りかごは、第一結合体と第二結合体とが隣り合う状態で、第一結合体から第二結合体に移行可能に構成され、第二結合体は、第一結合体と第二結合体とが隣り合う状態で駆動する係合部を備え、第一移動部は、乗りかごの移行軌跡に交わることで乗りかごの移行を遮断する遮断姿勢と乗りかごの移行軌跡から外れることで乗りかごの移行の遮断を解除する解除姿勢とに変化する遮断部と、該遮断部に設けられ、第一結合体と第二結合体とが隣り合う状態で係合部に係合することで係合部の駆動力が伝達される被係合部とを備え、遮断部は、第一結合体における第二結合体側に配置され、係合部から被係合部に伝達された駆動力により遮断姿勢から解除姿勢に変化する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11