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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】無人機の制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/10 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
G05D1/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021184005
(22)【出願日】2021-11-11
(65)【公開番号】P2023071322
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2022-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】521495714
【氏名又は名称】株式会社TechFirst Leaders
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【弁理士】
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】毛利 真克
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特許第6829513(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1範囲の内部において指定された第1位置を取得可能な位置取得手段と、
前記第1範囲を拡大した第2範囲の内部を移動可能な無人機と、
前記位置取得手段及び前記無人機を制御可能な制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第1範囲の内部で前記第1位置を指定したことを示す位置情報を前記位置取得手段から受信可能な画像受信部と、
前記位置情報から前記第2範囲の内部における第2位置を特定可能な第2位置特定部と、
前記第2位置に移動するよう前記無人機に指令可能な移動指令部と、
を有し、
前記制御システムは、前記第1範囲を撮影可能な1以上の撮影装置を含み、前記位置取得手段は、前記撮影装置から受信した撮影画像であって、前記第1範囲の内部で前記第1位置を指定したことを示す撮影画像を用いて前記第1位置を取得可能であり、
前記撮影装置の数が2以上であり、前記第1範囲が立体的な範囲である、
無人機の制御システム。
【請求項2】
前記画像受信部は、前記第1範囲の内部で前記第1位置及び向きを指定したことを示す前記撮影画像を前記撮影装置から受信可能であり、
前記第2位置特定部は、前記撮影画像から前記第2範囲の内部における前記第2位置及び前記向きに対応する対応向きを特定可能であり、
前記移動指令部は、前記第2位置に移動し、前記対応向きを向くよう前記無人機に指令可能である、請求項1に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人機の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人航空機(「Unmanned aerial vehicle」「UAV」「ドローン」等とも称する。)、無人地上車両(「Unmanned ground vehicle」「UGV」等とも称する。)、無人水上艇(「Unmanned surface vehicle」「USV」等とも称する。)、無人潜水艇(「Unmanned underwater vehicle」「UUV」等とも称する。)、無人宇宙機等によって例示される無人機(「Unmanned vehicle」とも称する。)を操作する操作者が、専用コントローラ及び所定のアプリをインストールした携帯端末等によって例示される外部の操作手段を用いて無人機を操作することが行われている。
【0003】
外部の操作手段を用いて無人機を操作することに関し、無人機の操作に不慣れである操作者が視界内の一定範囲内で無人機を操作する場合、操作者は、無人機の移動を無人機が移動可能な各方向のそれぞれについて指定する複雑な操作を別々に行う必要があること、当該操作者の視点が無人機から離れていること、操作者から無人機を見る向きと無人機の向きとが異なる場合があること等により、無人機を操作することに困難を生じ得る。これにより、無人機が壁等の障害物に衝突するリスクが生じ得る。
【0004】
無人機の操作に関し、特許文献1は、カメラを備えた無人航空機の制御装置であって、前記カメラが撮影した画像の中からレーザーポインタによる輝点を検出する輝点検出部と、前記画像における前記輝点の位置に基づき当該無人航空機および前記カメラの少なくとも一方の姿勢制御を行う制御部とを備える無人航空機の制御装置を開示している。特許文献1の技術によれば、制御装置は、対象物の特定の部位に効率よくUAVを誘導し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-073182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、無人機の操作においては、壁等によって例示される対象物の特定の部位に対応する位置へ無人機を移動させる操作が行われる一方、空中及び水中等によって例示される対応する対象物がない位置へ移動させる操作も行われ得る。また、対象物の特定の部位に対応する位置へ無人機を移動させる操作であっても、対象物が河川、湖沼、及びガラス窓等の(半)透明物、並びに、ロープ、ケーブル、棒、及び粗いネット等の略平坦な広い面を有しない物等によって例示されるレーザーポインタによって輝点を描くことが容易でない対象物である場合もあり得る。
【0007】
特許文献1の技術は、無人航空機周囲の壁等の対象物に描かれたレーザーポインタの輝点に基づいて、当該輝点に対応する、対象物の特定の部位に無人航空機を誘導し得るにとどまる。したがって、特許文献1の技術は、無人航空機を移動させる位置にレーザーポインタによって輝点を描くことが容易である対象物がない場合における無人航空機の操作において、なおいっそう改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、無人機の操作に不慣れな者であっても、移動の目標として示すことが容易な対象物がない位置に無人機を移動させることを容易に行い得る無人機の制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、無人機の移動範囲と対応する小範囲において指定された位置の位置情報を取得し、取得した位置情報を用いて当該小範囲の内部で指定された位置に対応する移動範囲内の位置を特定し、特定された位置に移動するよう無人機に指令すること等によって上述の課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明は、第1範囲の内部において指定された第1位置を取得可能な位置取得手段と、前記第1範囲を拡大した第2範囲の内部を移動可能な無人機と、前記位置取得手段及び前記無人機を制御可能な制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1範囲の内部で前記第1位置を指定したことを示す位置情報を前記位置取得手段から受信可能な画像受信部と、前記位置情報から前記第2範囲の内部における第2位置を特定可能な第2位置特定部と、前記第2位置に移動するよう前記無人機に指令可能な移動指令部と、を有する、無人機の制御システムを提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明によれば、操作者は、第1範囲の内部で第1位置を指定することによって、第1範囲を拡大した第2範囲の内部における第2位置を指定できる。これにより、操作者は、無人機の移動を無人機が移動可能な各方向のそれぞれについて別々に指定する複雑な操作等を行うことなく、移動の目標とし得る対象物がない位置を指定し、無人機を当該位置へ容易に移動させ得る。
【0012】
第1の特徴に係る発明によれば、制御装置は、第1範囲の内部で第1位置を指定したことを示す位置情報から第2範囲の内部における第2位置を特定するため、専用コントローラ及び/又は所定のアプリをインストールした携帯端末等を用いることなく、位置取得手段を用いて無人機を制御できる。
【0013】
第1の特徴に係る発明によれば、第2範囲が第1範囲を拡大した範囲であるため、操作者は、操作者から無人機を見る向きと無人機の向きとが同じであるかにかかわらず、第1範囲の内部で第1位置を指定することを介して、第2範囲の内部における第2位置を容易に指定できる。これにより、操作者は、無人機の操作に不慣れであっても、第1範囲を介して指定した第2位置へ無人機を容易に移動させ得る。
【0014】
したがって、第1の特徴に係る発明によれば、無人機の操作に不慣れな者であっても、移動の目標として示すことが容易な対象物がない位置に無人機を移動させることを容易に行い得る無人機の制御システムを提供できる。
【0015】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記制御システムは、前記第1範囲を撮影可能な1以上の撮影装置を含み、前記位置取得手段は、前記撮影装置から受信した撮影画像であって、前記第1範囲の内部で前記第1位置を指定したことを示す撮影画像を用いて前記第1位置を取得可能である、制御システムを提供する。
【0016】
第2の特徴に係る発明によれば、制御装置は、第1範囲の内部で第1位置を指定したことを示す撮影画像を用いて前記第1位置を取得可能であるため、第1範囲周辺に第1位置を検知可能な近接センサ、レーダ装置、ソナー装置、及びタッチパネル等によって例示される複雑な部材、高価な部材、及び/又はかさばる部材を配することなく、撮影装置を用いて無人機を制御できる。
【0017】
また、第2の特徴に係る発明によれば、操作者は、撮影可能な第1範囲を目視確認できる。そのため、操作者は、無人機の操作に不慣れであっても、第1範囲の内部で第1位置を指定することを容易に行い得る。
【0018】
したがって、第2の特徴に係る発明によれば、無人機の操作に不慣れな者であっても、移動の目標として示すことが容易な対象物がない位置に無人機を移動させることを容易に行い得る無人機の制御システムを提供できる。
【0019】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、前記第1範囲が平面的な範囲であり、前記無人機は、平面視において前記第2範囲の内部を移動可能である、制御システムを提供する。
【0020】
位置取得手段を用いて立体的な位置を特定する処理は、複数の撮影装置等を用いた複雑な処理を要し得る。また、操作者が立体的な範囲における位置を指定することは、操作者が平面的な範囲における位置を指定することより難しい。
【0021】
第3の特徴に係る発明によれば、第1範囲が平面的な範囲であるため、1つの撮影装置を用いる位置取得手段であっても、立体的な位置を特定する処理より簡単な処理によって、撮影画像から第2範囲の内部における第2位置を特定し得る。
【0022】
第3の特徴に係る発明によれば、第1範囲が平面的な範囲であるため、立体的な範囲における位置を指定することが不慣れな者であっても、平面的な第1範囲における第1位置を指定できる。そして、操作者は、第1範囲を介して指定した第2位置へ無人機を容易に移動させ得る。
【0023】
したがって、第3の特徴に係る発明によれば、無人機の操作に不慣れな者であっても、移動の目標として示すことが容易な対象物がない位置に無人機を移動させることを容易に行い得る無人機の制御システムを提供できる。
【0024】
第4の特徴に係る発明は、第2の特徴に係る発明であって、前記撮影装置の数が2以上であり、前記第1範囲が立体的な範囲である、制御システムを提供する。
【0025】
無人機の操作に不慣れである操作者が視界内の一定範囲内で無人機を操作する場合、無人機の移動を縦、横、高さ方向のそれぞれについて別々に指定する操作が複雑であることなどにより、操作者が専用コントローラ等を用いて立体的な範囲における位置を指定することに困難が生じ得る。
【0026】
第4の特徴に係る発明によれば、撮影装置の数が2以上であることにより、第2位置特定部は、2以上の撮影装置それぞれが撮影した撮影画像を用いて、立体的な第1範囲を拡大した第2範囲における第2位置を特定できる。したがって、操作者は、移動の目標とし得る対象物がない位置を立体的に指定し、無人機を当該位置へ容易に移動させ得る。
【0027】
したがって、第4の特徴に係る発明によれば、無人機の操作に不慣れな者であっても、移動の目標として示すことが容易な対象物がない位置に無人機を移動させることを容易に行い得る無人機の制御システムを提供できる。
【0028】
第5の特徴に係る発明は、第4の特徴に係る発明であって、前記画像受信部は、前記第1範囲の内部で前記第1位置及び向きを指定したことを示す前記撮影画像を前記撮影装置から受信可能であり、前記第2位置特定部は、前記撮影画像から前記第2範囲の内部における前記第2位置及び前記向きに対応する対応向きを特定可能であり、前記移動指令部は、前記第2位置に移動し、前記対応向きを向くよう前記無人機に指令可能である、制御システムを提供する。
【0029】
無人機の操作に不慣れである操作者が視界内の一定範囲内で無人機を操作する場合、無人機の向きを変えると、操作者から無人機を見る向きと無人機の向きとの関係が変化し、操作者は、操作に困難を生じ得る。
【0030】
第5の特徴に係る発明によれば、操作者は、第1範囲の内部で第1位置及び向きを指定することを介して、第2範囲の内部における第2位置及び向きに対応する対応向きを指定できる。これにより、無人機の操作に不慣れな者であっても、無人機の向きを容易に変え、移動の目標とし得る対象物がない位置に無人機を容易に移動させることができる。
【0031】
したがって、第5の特徴に係る発明によれば、無人機の操作に不慣れな者であっても、移動の目標として示すことが容易な対象物がない位置に無人機を移動させることを容易に行い得る無人機の制御システムを提供できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、無人機の操作に不慣れな者であっても、移動の目標として示すことが容易な対象物がない位置に無人機を移動させることを容易に行い得る無人機の制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本実施形態の制御システムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、制御装置2で実行される制御処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。
図3図3は、平面的な第1範囲R1において指定された第1位置P1を用いて第2範囲R2内部の第2位置P2を平面的に特定することを示す概略図である。
図4図4は、立体的な第1範囲R1において指定された第1位置P1を用いて第2範囲R2内部の第2位置P2を立体的に特定することを示す概略図である。
図5図5は、立体的な第1範囲R1において指定された第1位置P1及び向きD1を用いて第2範囲R2内部の第2位置P2及び対応向きD2を立体的に特定することを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
<制御システムS>
図1は、本実施形態の制御システムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。制御システムSは、無人機Uと、無人機Uを操作可能な操作システムCとを含んで構成される。
【0036】
〔操作システムC〕
操作システムCは、1以上の位置取得手段1と、位置取得手段1及び無人機Uを制御可能な制御装置2とを有するよう構成される。
【0037】
[位置取得手段1]
位置取得手段1は、第1範囲R1の内部において指定された第1位置P1を取得可能であれば、特に限定されない。位置取得手段1は、例えば、1以上の撮影装置(例えば、図1の第1撮影装置1a及び第2撮影装置1b等)を含む手段であってもよい。また、位置取得手段1は、3次元的な座標を取得可能なセンサを含む手段であってもよい。位置取得手段1が3次元的な座標を取得可能なセンサを含む手段である場合、当該センサは、向きを取得可能なセンサであってもよい。
【0038】
撮影装置は、制御装置2から制御可能であり、撮影した撮影画像を制御装置2に提供可能であれば特に限定されず、例えば、静止画及び/又は動画を撮影可能なデジタルカメラ、静止画及び/又は動画を撮影可能なスマートフォン等でよい。
【0039】
[制御装置2]
制御装置2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を備える。
【0040】
制御装置2は、特に限定されず、例えば、パーソナルコンピュータ及びワークステーション等によって例示される据え置き型のコンピュータ、スマートフォン及びタブレット端末によって例示される携帯端末、ネットワークNを介して接続された複数のコンピュータによって実現されるクラウドサーバ等でよい。
【0041】
制御装置2がカメラ等を備える携帯端末である場合、制御装置2は、当該カメラ等を位置取得手段1が含む撮影装置の一部として制御してもよい。これにより、制御装置2は、携帯端末が備えるカメラ等を位置取得手段1が含む撮影装置の一部として活用し得る。
【0042】
(制御部21)
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備える。
【0043】
制御部21は、必要に応じて記憶部22及び/又は通信部23等と協働し、制御装置2のソフトウェア構成要素である位置情報受信部211、第2位置特定部212、移動指令部213等を実現可能である。
【0044】
(記憶部22)
記憶部22は、データ及び/又はファイルが記憶される装置であって、ハードディスク、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によるデータのストレージ部を有する。記憶部22は、ネットワークNを介してNAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)、クラウドストレージ、ファイルサーバ及び/又は分散ファイルシステム等の記憶装置又は記憶システムとの接続を可能にする仕組みを有してもよい。
【0045】
記憶部22には、マイクロコンピューターで実行される制御プログラム、第1範囲R1と第2範囲R2との対応付け、第1範囲R1に対する第2範囲R2の拡大率s、第1位置P1、第2位置P2、向きD1、対応向きD2等が記憶されている。
【0046】
(通信部23)
通信部23は、制御装置2をネットワークNに接続して位置取得手段1それぞれ及び/又は無人機U等と通信可能にするものであれば特に限定されず、例えば、携帯電話ネットワークに対応した無線装置、IEEE802.11に準拠したWi-Fi(Wireless Fidelity)対応デバイス、Bluetooth(登録商標)規格等に対応した近距離無線装置、及びイーサネット規格に対応したネットワークカード等が挙げられる。
【0047】
通信部23は、ネットワークNを介さずに無人機Uと直接通信可能な部材を含んでもよい。これにより、制御装置2は、電波、赤外線、レーザ、音波等の各種通信手段を用いて無人機Uと直接通信し、無人機Uを制御し得る。
【0048】
[第1範囲R1]
第1範囲R1は、内部において指定された第1位置P1を位置取得手段1が取得可能な範囲である。第1範囲R1は、操作者が第1位置P1等を指定する範囲として用いられる。第1範囲R1は、現実空間内における範囲でもよく、地図等の仮想空間及び/又は拡張現実空間における範囲でもよい。第1範囲R1は、なかでも、現実空間内における範囲であることが好ましい。これにより、操作システムCは、3次元的な座標を取得可能なセンサ等の比較的複雑な部材を用いることなく、第1範囲R1を撮影可能な撮影装置を用いて、第1範囲R1の内部で第1位置P1を指定したことを示す撮影画像を撮影し、当該撮影画像から第1位置P1を取得し得る。第1範囲R1が拡張現実空間における範囲である場合、第1範囲R1は、障害物等の周囲に第1位置P1を指定可能な仮想物体を配置可能であることが好ましい。これにより、当該仮想物体を用いて第1位置P1を指定し、障害物等への衝突を防ぎ得る。
【0049】
必須の態様ではないが、第1範囲R1は、1以上の目印によって示される範囲であることが好ましい。これにより、制御装置2は、第1範囲R1及び第1範囲R1内部の第1位置P1を、当該目印を用いてよりいっそう容易に特定できる。目印は、特に限定されず、例えば、内側に所定の模様が描かれた箱の一部を切り欠いたもの、第1範囲R1の外縁の少なくとも一部を示す枠、等でよい。
【0050】
必須の態様ではないが、第1範囲R1は、平面的な範囲であることが好ましい。撮影画像から立体的な位置を特定する処理は、複数の撮影装置を用いた複雑な処理を要し得る。また、操作者が立体的な範囲における位置を指定することは、操作者が平面的な範囲における位置を指定することより難しい。
【0051】
第1範囲R1が平面的な範囲であれば、位置取得手段1が含む撮影装置の数が1つであっても、制御装置2は、立体的な位置を特定する処理より簡単な処理によって、撮影画像から第2範囲R2の内部における第2位置P2を特定し得る。
【0052】
また、第1範囲R1が平面的な範囲であれば、立体的な範囲における位置を指定することが不慣れな者であっても、平面的な第1範囲R1における第1位置P1を指定できる。そして、操作者は、第1範囲R1を介して指定した第2位置P2へ無人機Uを容易に移動させ得る。
【0053】
第1範囲R1が平面的な範囲である場合の第1範囲R1の形状は、特に限定されない。第1範囲R1は、例えば、略長方形状、略楕円形状、略多角形状等によって例示される各種の閉図形状でよい。
【0054】
必須の態様ではないが、位置取得手段1が含む撮影装置の数が2以上である場合、第1範囲R1は、立体的な範囲であることが好ましい。無人機Uの操作に不慣れである操作者が視界内の一定範囲内で無人機Uを操作する場合、操作者が専用コントローラ等を用いて立体的な範囲における位置を指定することに困難が生じ得る。
【0055】
第1範囲R1が立体的な範囲であることにより、第2位置特定部212は、2以上の撮影装置それぞれが撮影した撮影画像を用いて、立体的な第1範囲R1を拡大した第2範囲R2における第2位置P2を特定できる。したがって、操作者は、移動の目標とし得る対象物がない位置を立体的に指定し、無人機Uを当該位置へ容易に移動させ得る。
【0056】
第1範囲R1が立体的な範囲である場合の第1範囲R1の形状は、特に限定されない。第1範囲R1は、例えば、略直方体状、略円柱状、略(半)球状等によって例示される各種の立体状でよい。
【0057】
第1範囲R1の広さは、特に限定されない。第1範囲R1の長手方向の長さの上限は、2m以下であることが好ましく、0.5m以下であることがより好ましく、0.3m以下であることがさらに好ましい。これにより、操作者は、離れた場所に手を伸ばすことなく、第1範囲R1内部の第1位置P1を容易に指定し得る。
【0058】
第1範囲R1の短手方向の長さの下限は、0.15m以上であることが好ましく、0.2m以上であることがより好ましく、0.25m以上であることがさらに好ましい。これにより、操作者は、狭い第1範囲R1から特定の位置を指定する困難を避け、第1範囲R1内部の第1位置P1を容易に指定し得る。
【0059】
第1範囲R1において用いられる座標系は、特に限定されず、例えば、直交座標系、極座標系等の各種座標系でよい。第1範囲R1において用いられる座標系が直交座標系であることにより、第1位置P1は、平面視したときの座標、及び/又は、平面視したときの座標と高さとを組み合わせた座標によって直観的に表現され得る。第1範囲R1において用いられる座標系が極座標系であることにより、制御装置2は、第1位置P1を用いた第2位置P2の特定を、半径のみを拡大する比較的簡易な処理によって実現し得る。
【0060】
(指示手段I)
必須の態様ではないが、操作システムCは、第1位置P1を指定可能な指示手段Iを有するよう構成されることが好ましい。指示手段Iは、特に限定されず、例えば、第1位置P1を示す目印が取り付けられた棒等でよい。
【0061】
撮影画像から手指等を判別する処理は、手指等の形状及び/又は色等に個人差があるため、複雑な処理となり得る。また、撮影画像から手指等によって指定された位置を判別する処理は、上述の個人差によって、指定された位置を特定する精度に改善の余地を有し得る。
【0062】
操作システムCが指示手段Iを有することにより、制御装置2は、撮影画像を用いて第1位置P1を特定する処理を、手指等を用いて第1位置P1を指定する場合より簡易な処理で実現し得る。また、操作システムCが指示手段Iを有することにより、制御装置2は、第1位置P1を特定する精度を高め得る。
【0063】
必須の態様ではないが、位置取得手段1が含む撮影装置の数が2以上である場合、指示手段Iは、指示手段Iの向きD1を判別可能とする指示手段方向指示部IMを有することが好ましい。これにより、第2位置特定部212は、2以上の撮影装置それぞれが撮影した撮影画像が含む指示手段方向指示部IMの向きを用いて、指示手段Iの向きD1を判別できる。
【0064】
指示手段Iが指示手段方向指示部IMを有することにより、操作者は、第1範囲R1の内部で第1位置P1及び向きD1を指定することを介して、第2範囲R2の内部における第2位置P2及び向きD1に対応する対応向きD2を指定できる。これにより、無人機Uの操作に不慣れな者であっても、指示手段Iのみを用いる比較的簡単な操作によって、無人機Uの向きを容易に変え、移動の目標とし得る対象物がない位置に無人機Uを容易に移動させることができる。
【0065】
[第2範囲R2]
第2範囲R2は、第1範囲R1を拡大した範囲であり、無人機Uが移動可能な移動範囲の少なくとも一部又は全部である。第2範囲R2は、操作者の視界内の範囲でもよく、視界外を含む範囲でもよい。第2範囲R2は、操作者の視界内の範囲であることが好ましい。これにより、操作者は、第1範囲R1と第2範囲R2との対応を見て確認しながら無人機Uを制御できる。
【0066】
第2範囲R2が第1範囲R1を拡大した範囲であることにより、制御装置2は、第2位置特定部212において、第1範囲R1を拡大して、第1範囲R1における第1位置P1に対応する第2範囲R2内部の第2位置P2を容易に特定できる。
【0067】
また、第2範囲R2が第1範囲R1を拡大した範囲であることにより、制御装置2は、第2位置特定部212において、向きD1に対応する対応向きD2を容易に特定できる。
【0068】
必須の態様ではないが、第2範囲R2は、1以上の目印によって示される範囲であることが好ましい。これにより、制御装置2は、第2範囲R2及び第2範囲R2内部の第2位置P2を、当該目印を用いてよりいっそう容易に特定できる。目印は、特に限定されない。
【0069】
第1範囲R1が平面的な範囲である場合、第2範囲R2は、無人機Uの移動範囲を平面視した平面的な範囲を含むことが好ましい。これにより、無人機Uは、第1範囲R1を拡大した第2範囲R2の内部を、平面視において移動できる。
【0070】
第1範囲R1が立体的な範囲である場合、第2範囲R2は、第1範囲R1を拡大した立体的な範囲であることが好ましい。これにより、無人機Uは、第1範囲R1を拡大した第2範囲R2の内部を、立体的に移動できる。
【0071】
第2範囲R2の広さは、特に限定されない。第1範囲R1に対する第2範囲R2の拡大率sは特に限定されない。拡大率sの下限は、5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましく、20倍以上であることがさらに好ましい。これにより、操作者は、操作者の手元に収まる第1範囲R1を用いて、よりいっそう広い第2範囲R2内部の第2位置P2を指定できる。
【0072】
第2範囲R2は、縦、横、高さ等の向きによって異なる拡大率sで第1範囲R1を拡大した範囲でもよい。これにより、向きによって求められる操作の精度及び/又は移動範囲が異なる場合であっても、無人機Uを移動させる第2位置P2を、第1範囲R1を介して容易に指定できる。
【0073】
第2範囲R2において用いられる座標系は、特に限定されない。第2範囲R2において用いられる座標系は、例えば、第1範囲R1で用いられる座標系と同様でよい。第2範囲R2において用いられる座標系は、WGS84、日本測地系2011等によって例示されるGPS機器によって利用される測地系に基づく座標系であることが好ましい。これにより、制御装置2は、GPS機器によって利用される測地系で指定された第2位置P2へ移動するよう、GPS機器を備えた無人機Uに指令できる。
【0074】
〔無人機U〕
無人機Uは、制御装置2からの制御によって少なくとも第2範囲R2内部を移動可能であれば、特に限定されず、例えば、無人航空機、無人地上車両、無人水上艇、無人潜水艇、無人宇宙機等でよい。無人機Uは、無人航空機であることが好ましい。無人機Uが無人航空機であることにより、縦、横、高さの各方向に移動可能であり、高度が高い場所で障害物等に衝突して破損するリスクが無人地上車両、無人水上艇、無人潜水艇等より高い無人航空機の制御を容易に行い得る。無人航空機は、特に限定されず、例えば、無人操縦可能なクアッドコプター等によって例示される無人操縦可能なマルチコプター(「ドローン」とも称する。)でよい。第1範囲R1が立体的な範囲である場合、無人機Uは、無人航空機、無人潜水艇、及び/又は無人宇宙機であることが好ましい。これにより、無人機Uは、立体的な範囲を無人地上車両及び無人水上艇より容易に移動できる。
【0075】
無人機Uは、ネットワークNを介して制御装置2と通信可能であることが好ましい。これにより、制御装置2は、ネットワークNに接続する通信部23以外の通信手段を用いることなく、ネットワークNを介して無人機Uを制御できる。
【0076】
無人機Uは、ネットワークNを介さず、無人機Uの制御に関する各種情報を含む、電波、赤外線、レーザ、音波等を用いて制御装置2と通信可能であってもよい。これにより、制御装置2は、ネットワークNを介することによる通信遅延等に煩わされることなく無人機Uと直接通信し、無人機Uを制御し得る。
【0077】
無人機Uは、無人機Uの位置を測定可能なGPS機器を備えることが好ましい。これにより、無人機Uは、制御装置2からの指令に応じて、GPS機器によって利用される測地系で指定された第2位置P2へ移動し得る。
【0078】
〔ネットワークN〕
ネットワークNの種類は、制御装置2と位置取得手段1及び/又は無人機U等とを通信可能にするネットワークであれば特に限定されず、例えば、パーソナルエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、イントラネット、エクストラネット、インターネット、Wi-Fiネットワーク、携帯電話ネットワーク、Bluetooth(登録商標)規格等に対応したネットワーク、あるいはこれらのネットワークを複数組み合わせたネットワーク等が挙げられる。
【0079】
〔制御処理のメインフローチャート〕
図2は、制御装置2で実行される制御処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。以下、図2を用いて本実施形態の制御装置2で実行される制御処理の好ましい流れの一例を説明する。以下の説明では、無人機Uが無人航空機であり、位置取得手段1が1以上の撮影装置を含む手段であり、撮影装置から撮影画像を受信して第1位置P1を取得するものとして説明する。なお、無人機Uが無人地上車両、無人水上艇、無人潜水艇、無人宇宙機等である場合も、無人機Uが無人航空機である場合と同様に無人機Uを制御できる。また、位置取得手段1が撮影装置を含まず、3次元的な座標を取得可能なセンサ等を含む手段である場合も、撮影画像に代えて位置情報を受信することで第1位置P1を取得し、位置取得手段1が1以上の撮影装置を含む手段である場合と同様に無人機Uを制御できる。
【0080】
まず、制御装置2を利用する利用者は、第1範囲R1及び第2範囲R2を指定する。第1範囲R1及び第2範囲R2を指定する処理は、特に限定されない。
【0081】
第1範囲R1を指定する処理は、例えば、位置取得手段1が含む撮影装置が撮影した撮影画像を用いて、第1範囲R1を指定する処理でよい。当該処理は、例えば、撮影画像上の範囲を指定して第1範囲R1を指定する手順を含む処理、撮影画像が含み、第1範囲R1を示す所定の目印を判別し、当該目印を用いて第1範囲R1を指定する手順を含む処理、等でよい。
【0082】
なかでも、第1範囲R1を指定する処理は、撮影画像が含み、第1範囲R1を示す所定の目印を判別し、当該目印を用いて第1範囲R1を指定する手順を含むことが好ましい。これにより、利用者は、撮影画像上の範囲を指定する煩雑な手順を行うことなく、目印を用意するだけで第1範囲R1を指定できる。
【0083】
第2範囲R2を指定する処理は、例えば、第2範囲R2を含む撮影画像を用いて第2範囲R2を指定する処理、第2範囲R2を含む地図を用いて第2範囲R2を指定する処理等でよい。
【0084】
続いて、制御装置2は、ステップS1からステップS3の位置情報受信処理を実行する。
【0085】
[ステップS1:撮影画像を受信したか判別]
制御部21は、通信部23と協働して位置情報受信部211を実行し、位置取得手段1が含む撮影装置のいずれかから撮影画像を受信したか判別する処理を実行する(ステップS1)。撮影画像を受信したと判別したならば、制御部21は、処理をステップS2に移す。撮影画像を受信したと判別していないならば、制御部21は、制御処理を終了し、処理をステップS1に移して、ステップS1からステップS8の処理を繰り返す。
【0086】
位置取得手段1が含む撮影装置の数が2以上の場合、撮影画像を受信したか判別する処理は、少なくとも2以上の撮影装置から撮影画像を受信した場合に撮影画像を受信したと判別する処理を含むことが好ましい。これにより、第1位置P1を立体的に判別する処理に必要な画像である、2以上の撮影画像を受信していない場合に、第1位置P1が示されているか判別する処理を行うことを防ぎ得る。
【0087】
[ステップS2:第1範囲が写っているか判別]
制御部21は、記憶部22と協働して位置情報受信部211を実行し、ステップS1において受信した撮影画像それぞれに第1範囲R1が写っているか判別する処理を実行する(ステップS2)。第1範囲R1が写っていると判別したならば、制御部21は、処理をステップS3に移す。第1範囲R1が写っていると判別していないならば、制御部21は、制御処理を終了し、処理をステップS1に移して、ステップS1からステップS8の処理を繰り返す。
【0088】
位置取得手段1が含む撮影装置の数が2以上の場合、第1範囲R1が写っているか判別する処理は、少なくとも2以上の撮影画像に第1範囲R1が写っている場合に第1範囲R1が写っていると判別する処理を含むことが好ましい。これにより、第1位置P1を立体的に判別する処理に必要な画像である、第1範囲R1が写っている2以上の撮影画像を受信していない場合に、第1位置P1が示されているか判別する処理を行うことを防ぎ得る。
【0089】
[ステップS3:第1位置が示されているか判別]
制御部21は、記憶部22と協働して位置情報受信部211を実行し、ステップS1において受信した撮影画像それぞれに第1位置P1が示されているか判別する処理を実行する(ステップS3)。第1位置P1が示されていると判別したならば、制御部21は、処理をステップS4に移す。第1位置P1が示されていると判別していないならば、制御部21は、制御処理を終了し、処理をステップS1に移して、ステップS1からステップS8の処理を繰り返す。
【0090】
第1位置P1が示されているか判別する処理は、ステップS1において受信した撮影画像において第1位置P1が指定されているか判別する処理であれば特に限定されず、例えば、従来技術の画像処理技術を用いて手指等及び/又は指示手段Iの特定部分の位置を判別し、判別可能であった場合に第1位置P1が指定されていると判別する処理等でよい。
【0091】
操作システムCが指示手段Iを含む場合、第1位置P1が示されているか判別する処理は、従来技術の画像処理技術を用いて撮影画像に含まれる指示手段Iの特定部分の位置を判別し、判別可能であった場合に第1位置P1が指定されていると判別する処理を含むことが好ましい。これにより、第2位置特定部212は、撮影画像が含む指示手段Iの位置を用いて、第1位置P1を容易に判別できる。
【0092】
位置取得手段1が含む撮影装置の数が2以上の場合、第1位置P1が示されているか判別する処理は、少なくとも2以上の撮影画像に第1位置P1が示されている場合に第1位置P1が示されていると判別する処理を含むことが好ましい。これにより、第1位置P1を立体的に判別する処理に必要な第1位置P1が示されている2以上の撮影画像を受信していない場合に、第2位置P2を特定する処理を行うことを防ぎ得る。
【0093】
[ステップS4:第2位置を特定]
制御部21は、記憶部22と協働して第2位置特定部212を実行し、ステップS1で受信し、ステップS2で第1範囲R1が撮影されていると判別され、ステップS3で第1位置P1が示されていると判別された撮影画像から第2範囲R2の内部における第2位置P2を特定する処理を実行する(ステップS4、第2位置特定処理)。制御部21は、処理をステップS5に移す。
【0094】
第2位置P2を特定する処理は、ステップS1で受信した撮影画像から第2範囲R2の内部における第2位置P2を特定する処理を特定するものであれば、特に限定されない。第2位置P2を特定する処理は、例えば、ステップS3で判別された第1位置P1の第1範囲R1の原点に対する相対位置に、第1範囲R1に対する第2範囲R2の拡大率sを乗じた位置を、第2範囲R2の内部における第2位置P2の相対位置とする手順を含む処理、ステップS3で判別された第1位置P1に、アフィン変換等によって例示される第1範囲R1を第2範囲R2に移し替える座標変換を適用して第2位置P2を得る手順を含む処理、第1範囲R1と第2範囲R2との対応付けを機械学習したニューラルネットワークに基づく座標変換を用いて第2位置P2を得る手順を含む処理、等でよい。
【0095】
第1範囲R1が平面的な範囲である場合、第2位置P2を特定する処理は、第2範囲R2を平面視した場合において、第2範囲R2の内部における第2位置P2を特定する手順を含むことが好ましい。これにより、位置取得手段1が含む撮影装置の数が1つであっても、立体的な位置を特定する処理より簡単な処理によって、撮影画像から第2範囲R2の内部における第2位置P2を特定し得る。
【0096】
位置取得手段1が含む撮影装置の数が2以上であり、第1範囲R1が立体的な範囲である場合、第2位置P2を特定する処理は、第2範囲R2の内部における第2位置P2を立体的に特定する手順を含むことが好ましい。これにより、第2位置特定部212は、2以上の撮影装置それぞれが撮影した撮影画像を用いて、立体的な第1範囲R1を拡大した第2範囲R2における第2位置P2を特定できる。したがって、操作者は、移動の目標とし得る対象物がない位置を立体的に指定し、無人機Uを第2位置P2へ容易に移動させ得る。
【0097】
第2位置P2を特定する処理は、第1範囲R1における第1位置P1の高さを、第2範囲R2における地表面からの高さに変換する処理を含むことが好ましい。これにより、操作者は、第1位置P1の第1範囲R1における高さを用いて無人機Uの地表面からの高さを指定する直観的な操作を行える。
【0098】
[ステップS5:移動を指令]
制御部21は、記憶部22及び通信部23と協働して移動指令部213を実行し、ステップS4で特定した第2位置P2への移動を無人機Uに指令する処理を実行する(ステップS5、移動指令処理)。制御部21は、処理をステップS6に移す。
【0099】
第2位置P2への移動を無人機Uに指令する処理は、特に限定されず、無人機Uを指定した位置へ移動させる従来技術の手順を含む処理でよい。必須の態様ではないが、第2位置P2への移動を無人機Uに指令する処理は、移動の開始を指令された場合に無人機Uを指定した位置へ移動させる処理を含んでもよい。これにより、操作者は、移動先を確認してから無人機Uを移動させることが可能となり、意図した位置と異なる第2位置P2へ無人機Uを移動させることを防ぎ得る。
【0100】
制御装置2においてステップS1からステップS5の処理が実行されることにより、操作者は、第1範囲R1の内部で第1位置P1を指定することによって、第1範囲R1を拡大した第2範囲R2の内部における第2位置P2を指定できる。これにより、操作者は、移動の目標とし得る対象物がない位置を指定し、無人機Uを当該位置へ容易に移動させ得る。
【0101】
第2範囲R2が第1範囲R1を拡大した範囲であるため、操作者は、操作者から無人機Uを見る向きと無人機Uの向きとが同じであるかにかかわらず、第1範囲R1の内部で第1位置P1を指定することを介して、第2範囲R2の内部における第2位置P2を容易に指定できる。これにより、操作者は、無人機Uの操作に不慣れであっても、第1範囲R1を介して指定した第2位置P2へ無人機Uを容易に移動させ得る。
【0102】
したがって、制御装置2においてステップS1からステップS5の処理が実行されることにより、無人機Uの操作に不慣れな者であっても、移動の目標として示し得る対象物がない位置に無人機Uを移動させることを容易に行い得る無人機Uの操作システムC及び制御システムSを提供できる。
【0103】
必須の態様ではないが、位置取得手段1が含む撮影装置の数が2以上の場合、あるいは、位置取得手段1が向きを取得可能なセンサ等を含む場合、制御装置2は、ステップS6からステップS8の向き制御処理を実行することが好ましい。
【0104】
[ステップS6:向きが示されているか判別]
制御部21は、記憶部22と協働して位置情報受信部211を実行し、ステップS1において受信した撮影画像それぞれに向きD1が示されているか判別する処理を実行する(ステップS6)。向きD1が示されていると判別したならば、制御部21は、処理をステップS7に移す。向きD1が示されていると判別していないならば、制御部21は、制御処理を終了し、処理をステップS1に移して、ステップS1からステップS8の処理を繰り返す。
【0105】
向きD1が示されているか判別する処理は、ステップS1において受信した撮影画像において向きD1が指定されているか判別する処理であれば特に限定されず、例えば、従来技術の画像処理技術を用いて撮影画像に含まれる手指等及び/又は指示手段Iの特定部分の向きを判別し、判別可能であった場合に向きD1が指定されていると判別する処理等でよい。
【0106】
操作システムCが指示手段方向指示部IMを有する指示手段Iを含む場合、向きD1が示されているか判別する処理は、従来技術の画像処理技術を用いて撮影画像に含まれる指示手段方向指示部IMの向きを判別し、判別可能であった場合に向きD1が指定されていると判別する処理を含むことが好ましい。これにより、第2位置特定部212は、撮影画像が含む指示手段方向指示部IMの向きを用いて、向きD1を容易に判別できる。
【0107】
位置取得手段1が含む撮影装置の数が2以上の場合、向きD1が示されているか判別する処理は、少なくとも2以上の撮影画像に向きD1が示されている場合に向きD1が示されていると判別する処理を含むことが好ましい。これにより、向きD1を立体的に判別する処理に必要な向きD1が示されている2以上の撮影画像を受信していない場合に、対応向きD2を特定する処理を行うことを防ぎ得る。
【0108】
位置取得手段1が含む撮影装置の数が2以上の場合、向きD1が示されているか判別する処理は、立体的な向きD1が示されているか判別する処理を含むことが好ましい。これにより、操作者は、縦、横、高さ各方向への移動に加えて、縦、横、高さの各軸の周囲を回転して向きを変更するローリング・ピッチング・ヨーイングを含む6次元の自由度(「6DoF」とも称する。)で移動及び/又は向き変更を行うよう無人機Uを操作できる。
【0109】
[ステップS7:対応向きを特定]
制御部21は、記憶部22と協働して第2位置特定部212を実行し、ステップS1で受信し、ステップS6で向きD1が示されていると判別された撮影画像から第2範囲R2の内部における対応向きD2を特定する処理を実行する(ステップS7)。制御部21は、処理をステップS8に移す。
【0110】
対応向きD2を特定する処理は、ステップS1で受信した撮影画像から対応向きD2を特定する処理を特定するものであれば、特に限定されない。対応向きD2を特定する処理は、例えば、第1範囲R1を第2範囲R2に移し替えるアフィン変換を、ステップS6で判別された向きD1に適用して対応向きD2を得る手順を含む処理等でよい。
【0111】
[ステップS8:対応向きを向くよう指令]
制御部21は、記憶部22及び通信部23と協働して移動指令部213を実行し、ステップS7で特定した対応向きD2を向くよう無人機Uに指令する処理を実行する(ステップS8)。制御部21は、制御処理を終了し、処理をステップS1に移して、ステップS1からステップS8の処理を繰り返す。
【0112】
対応向きD2を向くよう指令する処理は、特に限定されず、無人機Uの向きを制御する従来技術の手順を含む処理でよい。
【0113】
無人機Uの操作に不慣れである操作者が視界内の一定範囲内で無人機Uを操作する場合、無人機Uの向きを変えると、操作者から無人機Uを見る向きと無人機Uの向きとが変化し、操作者は、操作に困難を生じ得る。
【0114】
制御装置2がステップS6からステップS8の向き制御処理を実行することにより、操作者は、第1範囲R1の内部で第1位置P1及び向きD1を指定することを介して、第2範囲R2の内部における第2位置P2及び向きD1に対応する対応向きD2を指定できる。これにより、無人機Uの操作に不慣れな者であっても、無人機Uの向きを容易に変え、移動の目標とし得る対象物がない位置に無人機Uを容易に移動させることができる。
【0115】
上述の制御処理の流れでは、ステップS5で実行される移動指令処理の後に向き制御処理を実行したが、向き制御処理のうちステップS6からステップS7で実行される、対応向きD2を特定する一連の処理は、移動指令処理の前に実行されてもよい。これにより、制御装置2は、移動指令処理において、無人機Uを第2位置P2へ移動させるとともに、無人機Uが対応向きD2を向くよう無人機Uを制御し得る。
【0116】
<制御システムSの使用例>
続いて、実施形態に係る制御システムSの使用例を説明する。
【0117】
〔第1範囲R1の指定〕
まず、制御システムSの利用者は、位置取得手段1が含む撮影装置を、第1範囲R1を撮影可能に配置し、第1範囲R1を示す所定の目印、撮影画像等を用いて、第1範囲R1を指定する。
【0118】
〔第2範囲R2の指定〕
続いて、制御システムSの利用者は、第2範囲R2が含まれる撮影画像及び/又は地図等を用いて、第2範囲R2を指定する。
【0119】
〔無人機Uの準備〕
制御システムSの利用者は、無人機Uを地上に載置する等して、無人機Uを移動可能に準備する。
【0120】
〔平面的な第1範囲R1の場合〕
図3は、平面的な第1範囲R1において指定された第1位置P1を用いて第2範囲R2内部の第2位置P2を平面的に特定することを示す概略図である。以下、図3を用いて、平面的な第1範囲R1の場合における無人機Uの制御を説明する。
【0121】
[第1位置P1の平面的指定]
制御システムSの利用者は、指示手段I等を用いて原点(0,0)から対向する点(XMax,YMax)までの略長方形状の平面的な第1範囲R1内部における第1位置P1を指定する。第1撮影装置1aは、第1範囲R1及び第1位置P1(X,Y)を指定する指示手段Iを撮影し、撮影した撮影画像を制御装置2へ送信する。
【0122】
制御装置2は、撮影画像を受信し、受信した撮影画像を用いて第2位置P2(sX,sY)を特定する。原点(0,0)から対向する点(sXMax,sYMax)までの第2範囲R2が第1範囲R1をs倍に拡大した範囲であるため、ステップS3で判別した第1位置P1(X,Y)の第1範囲R1の原点に対する相対位置に、第1範囲R1に対する第2範囲R2の拡大率sを乗じた位置を、第2範囲R2の内部における第2位置P2の相対位置とする手順を含む処理、ステップS3で判別された第1位置P1に第1範囲R1を第2範囲R2に移し替えるアフィン変換を適用して第2位置P2を得る手順を含む処理、等の比較的簡易な処理によって第2位置P2(sX,sY)を特定できる。
【0123】
[無人機Uの平面的制御]
制御装置2は、所定の高度Hにて第2位置P2(sX,sY)へ移動するよう、無人機Uを制御する。無人機Uは、第2位置P2(sX,sY)へ所定の高度Hにて移動する。
【0124】
撮影画像から立体的な位置を特定する処理は、複数の撮影装置を用いた複雑な処理を要し得る。また、操作者が立体的な範囲における位置を指定することは、操作者が平面的な範囲における位置を指定することより難しい。
【0125】
本実施形態の制御システムSを用いた無人機Uの平面的制御では、第1範囲R1が平面的な範囲であるため、位置取得手段1が含む撮影装置の数が1つであっても、立体的な位置を特定する処理より簡単な処理によって、撮影画像から第2範囲R2の内部における第2位置P2を特定し得る。
【0126】
第1範囲R1が平面的な範囲であるため、立体的な範囲における位置を指定することが不慣れな者であっても、平面的な第1範囲R1における第1位置P1を指定できる。そして、操作者は、第1範囲R1を介して指定した第2位置P2へ無人機Uを容易に移動させ得る。
【0127】
〔立体的な第1範囲R1の場合〕
図4は、立体的な第1範囲R1において指定された第1位置P1を用いて第2範囲R2内部の第2位置P2を立体的に特定することを示す概略図である。以下、図4を用いて、立体的な第1範囲R1の場合における無人機Uの制御を説明する。
【0128】
[第1位置P1の立体的指定]
制御システムSの利用者は、指示手段I等を用いて原点(0,0,0)から対向する点(XMax,YMax,ZMax)までの略直方体状の立体的な第1範囲R1内部における第1位置P1を立体的に指定する。第1撮影装置1a及び第2撮影装置1bは、第1範囲R1及び第1位置P1(X,Y,Z)を指定する指示手段Iを撮影し、撮影した撮影画像をそれぞれ制御装置2へ送信する。操作システムCが複数の撮影装置を備えるため、操作システムCは、第1撮影装置1a及び第2撮影装置1bを用いて互いに相異なる方向から第1範囲R1を撮影し、立体的に指定された第1位置P1(X,Y,Z)を判別できる。
【0129】
制御装置2は、撮影画像それぞれを受信し、受信した複数の撮影画像を用いて第2位置P2(sX,sY,sZ)を特定する。
【0130】
原点(0,0,0)から対向する点(sXMax,sYMax,sZMax)までの第2範囲R2が第1範囲R1をs倍に拡大した範囲であるため、ステップS3で判別した第1位置P1(X,Y,Z)の第1範囲R1の原点に対する相対位置に、第1範囲R1に対する第2範囲R2の拡大率sを乗じた位置を、第2範囲R2の内部における第2位置P2の相対位置とする手順を含む処理、ステップS3で判別された第1位置P1に第1範囲R1を第2範囲R2に移し替えるアフィン変換を適用して第2位置P2を得る手順を含む処理、等の比較的簡易な処理によって第2位置P2(sX,sY,sZ)を特定できる。
【0131】
[無人機Uの立体的制御]
制御装置2は、第2位置P2(sX,sY,sZ)へ移動するよう、無人機Uを制御する。無人機Uは、第2位置P2(sX,sY,sZ)へ移動する。
【0132】
〔立体的な第1範囲R1において向きも指定する場合〕
図5は、立体的な第1範囲R1において指定された第1位置P1及び向きD1を用いて第2範囲R2内部の第2位置P2及び対応向きD2を立体的に特定することを示す概略図である。以下、図5を用いて、立体的な第1範囲R1において向きD1も指定する場合における無人機Uの制御を説明する。
【0133】
[第1位置P1の立体的指定及び向きD1の指定]
制御システムSの利用者は、指示手段方向指示部IMを有する指示手段I等を用いて立体的な第1範囲R1内部における第1位置P1を立体的に指定し、さらに、向きD1を指定する。第1撮影装置1a及び第2撮影装置1bは、第1範囲R1並びに第1位置P1(X,Y,Z)及び向きD1を指定する指示手段Iを撮影し、撮影した撮影画像をそれぞれ制御装置2へ送信する。
【0134】
制御装置2は、撮影画像それぞれを受信し、受信した複数の撮影画像を用いて第2位置P2(sX,sY,sZ)及び対応向きD2を特定する。
【0135】
無人機Uの操作に不慣れである操作者が視界内の一定範囲内で無人機Uを操作する場合、操作者が専用コントローラ等を用いて立体的な範囲における位置を指定することに困難が生じ得る。本実施形態の制御システムSを用いて無人機Uを立体的に制御することにより、操作者は、移動の目標とし得る対象物がない位置を立体的に指定し、無人機Uを当該位置へ容易に移動させ得る。
【0136】
第2範囲R2が第1範囲R1をs倍に拡大した範囲であるため、ステップS3で判別した第1位置P1(X,Y,Z)の第1範囲R1の原点に対する相対位置に、第1範囲R1に対する第2範囲R2の拡大率sを乗じた位置を、第2範囲R2の内部における第2位置P2の相対位置とする手順を含む処理、ステップS3で判別された第1位置P1に第1範囲R1を第2範囲R2に移し替えるアフィン変換を適用して第2位置P2を得る手順を含む処理、等の比較的簡易な処理によって第2位置P2(sX,sY,sZ)を特定できる。
【0137】
また、第2範囲R2が第1範囲R1をs倍に拡大した範囲であるため、第1範囲R1を第2範囲R2に移し替えるアフィン変換を向きD1に適用して対応向きD2を得る手順を含む処理等の比較的簡易な処理によって対応向きD2を特定できる。
【0138】
[無人機Uの立体的制御]
制御装置2は、第2位置P2(sX,sY,sZ)へ移動し、対応向きD2を向くよう、無人機Uを制御する。無人機Uは、第2位置P2(sX,sY,sZ)へ移動し、対応向きD2を向く。
【0139】
無人機Uの操作に不慣れである操作者が視界内の一定範囲内で無人機Uを操作する場合、無人機Uの向きを変えると、操作者から無人機Uを見る向きと無人機Uの向きとの関係が変化し、操作者は、操作に困難を生じ得る。
【0140】
本実施形態の制御システムSを用いた第1位置P1の立体的指定及び向きD1の指定により、操作者は、第1範囲R1の内部で第1位置P1及び向きD1を指定することを介して、第2範囲R2の内部における第2位置P2及び向きD1に対応する対応向きD2を指定できる。これにより、無人機Uの操作に不慣れな者であっても、無人機Uの向きを容易に変え、移動の目標とし得る対象物がない位置に無人機Uを容易に移動させることができる。
【0141】
実施形態及び使用例において示したように、本発明の制御システムS及び操作システムCによれば、操作者は、第1範囲R1の内部で第1位置P1を指定することによって、第1範囲R1を拡大した第2範囲R2の内部における第2位置P2を指定できる。これにより、操作者は、移動の目標とし得る対象物がない位置を指定し、無人機Uを当該位置へ容易に移動させ得る。
【0142】
また、本実施形態の制御システムS及び操作システムCは、第1範囲R1の内部で第1位置P1を指定したことを示す位置情報から第2範囲R2の内部における第2位置P2を制御装置2が特定するため、専用コントローラ及び/又は所定のアプリをインストールした携帯端末等を用いることなく、位置取得手段1を用いて無人機Uを制御できる。
【0143】
第2範囲R2が第1範囲R1を拡大した範囲であるため、操作者は、操作者から無人機Uを見る向きと無人機Uの向きとが同じであるかにかかわらず、第1範囲R1の内部で第1位置P1を指定することを介して、第2範囲R2の内部における第2位置P2を容易に指定できる。これにより、操作者は、無人機Uの操作に不慣れであっても、第1範囲R1を介して指定した第2位置P2へ無人機Uを容易に移動させ得る。
【0144】
したがって、本実施形態の制御システムS及び操作システムCによれば、無人機Uの操作に不慣れな者であっても、移動の目標として示すことが容易な対象物がない位置に無人機Uを移動させることを容易に行い得る。
【0145】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0146】
S 制御システム
C 操作システム
1 位置取得手段
1a 第1撮影装置
1b 第2撮影装置
2 制御装置
21 制御部
211 位置情報受信部
212 第2位置特定部
213 移動指令部
22 記憶部
23 通信部
I 指示手段
IM 指示手段方向指示部
R1 第1範囲
P1 第1位置
D1 向き
R2 第2範囲
P2 第2位置
D2 対応向き
U 無人機
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5