(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】プレス機械及び加工品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 5/02 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
B21D5/02 Y
B21D5/02 B
B21D5/02 G
(21)【出願番号】P 2018150842
(22)【出願日】2018-08-09
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】500419218
【氏名又は名称】株式会社吉野機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡部 太一
(72)【発明者】
【氏名】吉野 靖将
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-080209(JP,U)
【文献】実開昭56-175117(JP,U)
【文献】特開昭60-234722(JP,A)
【文献】登録実用新案第3055466(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に接近/離間可能な上テーブル及び下テーブルを有するプレス機械であって、
前記下テーブルは、交換可能な下雄型及び下雌型を有し、
前記上テーブルは、交換可能な上雌型及び上雄型を有し、
前記下テーブルの前記下雌型と前記上テーブルの上雄型を用いてワークの正曲げを行い、
前記下テーブルの前記下雄型と前記上テーブルの上雌型を用いてワークの逆曲げを行うよう構成されたプレス機械を用いて少なくとも1つの端部を有するワークを加工する方法であって、
前記下雌型と前記上雌型の間で前記ワーク上の第1箇所に曲げ加工を行う第1工程と、
前記下雌型と前記上雌型の間で前記ワーク上の第2箇所に曲げ加工を行う第2工程であって、前記第2箇所は前記第1箇所より前記端部に近い、該第2工程と、
前記ワークの前記端部を前記上雄型の側面に当接させた状態で前記下雌型と前記上雌型の間で前記ワーク上の第3箇所に曲げ加工を行う第3工程であって、前記第3箇所は前記第1箇所と第2箇所の間に位置する、該第3工程を有することを特徴とする、加工方法。
【請求項2】
前記第3工程により、前記第1箇所と前記第3箇所の間に湾曲を生じさせることを特徴とする、請求項1に記載の加工品の加工方法。
【請求項3】
前記端部と前記第1箇所の中間箇所を押圧することで前記湾曲を平坦化する第4工程を更に有することを特徴とする、請求項
2に記載の加工品の加工方法。
【請求項4】
前記上テーブルは、前記上雄型の基部側前面に位置する補助上型を更に有し、
前記下テーブルは、前記上雄型を収容可能な間隙部を有することを特徴とすることを特徴とする、請求項3に記載の加工品の加工方法。
【請求項5】
少なくとも1つの端部を有するワークを加工するプレス機械であって
相互に接近/離間可能な上テーブル及び下テーブルを有し、
前記下テーブルは、交換可能な下雄型及び下雌型を有し、
前記上テーブルは、交換可能な上雌型及び上雄型を有し、
前記下テーブルの前記下雌型と前記上テーブルの上雄型を用いてワークの正曲げを行い、
前記下テーブルの前記下雄型と前記上テーブルの上雌型を用いてワークの逆曲げを行うよう構成され、
前記下雌型と前記上雌型の間で前記ワーク上の第1箇所に曲げ加工を行う第1工程と、
前記下雌型と前記上雌型の間で前記ワーク上の第2箇所に曲げ加工を行う第2工程であって、前記第2箇所は前記第1箇所より前記端部に近い、該第2工程と、
前記ワークの前記端部を前記上雄型の側面に当接させた状態で前記下雌型と前記上雌型の間で前記ワーク上の第3箇所に曲げ加工を行う第3工程であって、前記第3箇所は前記第1箇所と第2箇所の間に位置する、該第3工程を実施可能なプレス機械であって、
前記上テーブルは、前記上雄型の基部側前面に位置する補助上型を更に有し、
前記下テーブルは、前記上雄型を収容可能な間隙部を有することを特徴とする、プレス機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレスブレーキなどのプレス機械及び加工品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機械では、雄型(パンチ)及び雌型(ダイ)を用いてワークを折り曲げることで様々な形状の加工品(製品)が加工(製造)される。
【0003】
図5(a)は、そのような加工品の一例であるトラック等のあおり戸Pを示し、
図5(b)は、あおり戸Pの加工に使用されるプレス機械100を示す。
図5(b)のように、プレス機械100は、下テーブル110と、下テーブル110に対して上下移動可能な上テーブル120を有する。下テーブル110の上端には例えば2つの雌型111,112が取り付けられ、上テーブル120の下端には雄型121が取り付けられている。プレス機械100では、2つの雌型111,112により異なる角度の曲げが可能であるが、曲げ方向は正曲げ(V字状の曲げ/両端が持ち上がる方向の曲げ)のみである。本例では、雌型111,112の間に雄型121を挿入可能な間隙部113が形成され、雄型121の上部には、補助上型122が形成されている。
【0004】
図6は、上記プレス機械100を用いたあおり戸Pの加工工程を示す。図示の通り、ワークWに対する12回の折曲工程a~lにより
図5(a)の形状のあおり戸Pを加工することができる。しかし、プレス機械100による加工工程では、☆で示した3つの個所(工程a/bの間、工程b/cの間、工程g/hの間)でワークWを旋回させることが必要であり、更に、★で示した4つの個所(工程a/bの間、工程b/cの間、工程f/gの間、工程g/hの間)でワークWを回転させることが必要である。なお、本明細書では、
図7に示すように、「ワークWの旋回」はワーク面S(ワークWの1つの面又はワークWの主要な面)の面内の方向Hの周りでの回転を言い、「ワークWの回転」は、ワーク面Sに垂直な方向Nの周りでの回転を言う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-226352号公報
【文献】特開2004-114091号公報
【文献】特許第6104848号公報
【文献】特開平3-18427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおり、プレス機械100を用いた加工では、加工の途中でワークの回転や旋回が何度も必要であることから、作業が煩雑でタクトタイムが長くなる問題がある。特に、トラックのあおり戸のような、縦横寸法が数m以上/板厚が3mm以上/重量が数10kg以上といった大型/大重量のワークが使用される場合は、ワークの回転又は旋回の作業が極めて困難となり(旋回が特に困難である)、そのため、タクトタイムが著しく長くなり、及び/又は、労力が過大となり、及び/又は、作業の安全性が低下する等の問題を生じていた。にもかかわらず、殆どのプレス機械メーカーにおいて、正曲げだけによってワークの旋回/回転を何度も繰り返しながら加工を行う方式が依然として採用されてきたのが現状である。
【0007】
パネルベンダーを用いたシゴキ曲げやウイング曲げを併用する方式も考えられるが、作業能率が悪い、厚板には適さないなどの問題があり、ワークのサイズや曲げ部位によっては適用できない場合もある。
【0008】
特許文献4は、ワークを正曲げ(V字状の曲げ)及び逆曲げ(逆V字状の曲げ)できるプレスブレーキ1を開示する。しかし、特許文献4のプレスブレーキ1での正曲げと逆曲げの間の移行(
図3及び
図4参照)に際しては、ワークWをプレスブレーキ1から取り外してから正逆用ダイ21を上昇/下降させることが必要である。そのため、労力や作業の煩雑さはプレス機械100とさして変わりがなく、特許文献4のプレスブレーキ1及び加工方法では、プレス機械100に関して上記した各問題を解消することはできない。
【0009】
本発明は、ワークを折り曲げ加工する際、特に、大型のワークを用いた複雑な形状の加工品の製造におけるタクトタイムの短縮、労力軽減、及び/又は、安全性向上を図り得るプレス機械及び加工品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願には、下記発明が開示される。
<構成1>
相互に接近/離間可能な上テーブル及び下テーブルを有するプレス機械であって、
前記下テーブルは、交換可能な下雄型及び下雌型を有し、
前記上テーブルは、交換可能な上雌型及び上雄型を有し、
前記下テーブルの前記下雌型と前記上テーブルの上雄型を用いてワークの正曲げを行い、
前記下テーブルの前記下雄型と前記上テーブルの上雌型を用いてワークの逆曲げを行うよう構成したことを特徴とするプレス機械。
<構成2>
前記上下テーブルの間にワークを配置した状態で、前記下雄型と前記下雌型の交換、及び/又は、前記上雌型と前記上雄型の交換が可能である構成1に記載のプレス機械。
<構成3>
前記上下テーブルの間に配置したワークの下方での前記下雄型及び前記下雌型の移動により前記下雄型と前記下雌型の交換が可能であり、及び/又は、前記上下テーブルの間に配置したワークの上方での前記上雌型及び前記上雄型の移動により前記上雌型と前記上雄型の交換が可能である構成1又は2に記載のプレス機械。
<構成4>
前記下雄型と前記下雌型の相対高さ、及び/又は、前記上雌型と前記上雄型の相対高さを調整するための相対高さ調整機構を更に有する構成1~3のいずれかのプレス機械。
<構成5>
前記相対高さ調整機構は、
前記下テーブル上で移動可能な可動支台を更に有し、
前記下雄型は、
前記下テーブルに前記可動支台を介して支持された上昇位置と、前記下テーブルに前記可動支台を介することなく支持された下降位置の2つの高さ位置に固定可能である構成1のプレス機械。
<構成6>
相互に接近/離間可能な上テーブル及び下テーブルを有するプレス機械を用いる加工品の製造方法であって、
前記下テーブルは、交換可能な下雄型及び下雌型を有し、
前記上テーブルは、交換可能な上雌型及び上雄型を有し、
前記下テーブルの前記下雌型と前記上テーブルの上雄型を用いてワークの正曲げを行う工程と、
前記下テーブルの前記下雄型と前記上テーブルの上雌型を用いてワークの逆曲げを行う工程を有する加工品の製造方法。
<構成7>
ワークの製造工程中における旋回の回数が0回であることを特徴とする構成6の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態のプレス機械1の正面図を示す。
【
図2】プレス機械1の要部を
図1のA-A断面図で示す。(a)では、下雄型11a及び上雌型21aが加工位置にあり、下雌型11b及び上雄型21bが待機位置にある。(b)では、下雌型11b及び上雄型21bが加工位置にあり、下雄型11a及び上雌型21aが待機位置にある。
【
図3】下テーブル10を
図2のB-B断面図で示す。(a)では、可動支台13が支持位置にあり、下雄型11aが上昇位置にある。(b)では、下雄型11aが下降位置にある。
【
図4】プレス機械1を用いたあおり戸Pの加工工程を示す。
【
図5】(a)は、あおり戸Pの形状を示す。(b)は、従来のプレス機械100を示す。
【
図6】プレス機械100を用いたあおり戸Pの加工工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態のプレス機械1を示し、
図2は、プレス機械1の要部を
図1のA-A断面図で示す。
【0013】
プレス機械1は、左右のフレーム2と、フレーム2に固定された下テーブル10と、サーボモーター等の駆動源3により下テーブル10に対して上下移動可能な上テーブル(ラム)20を有する。上下テーブル10,20は、相互に接近/離間可能であればよいので、上テーブル20を固定して下テーブル10を上下移動可能とする形態や、上下テーブル10,20の双方を上下移動可能とする形態も可能である。
【0014】
図2に示すように、下テーブル10は、交換可能(交代で下テーブル10の加工位置に装着可能)な下雄型11a及び下雌型11bを有する。下雄型11a及び下雌型11bは、下テーブル10の加工位置又は待機位置に移動可能である。下テーブル10の加工位置は、ワークWを加工可能な位置であり、例えば、上テーブル20の直下の位置である。下テーブル10の待機位置は、例えば、加工の際に下型11a又は11bがワークWに緩衝しない位置である。一方の下型11a又は11bが加工位置に移動したとき、他方の下型11b又は11aは待機位置に移動する。
図2(a)では、下雄型11aが加工位置にあり、
図2(b)では、下雌型11bが加工位置にある。
【0015】
下雄型11aと下雌型11bの交換方法(移動方法)は任意である。本実施形態では、下雄型11a及び下雌型11bは、下テーブル10の上面に下型ホルダー12a,12bを介して前後方向(Y方向)に並べて設置されており、下雄型11aと下雌型11bを不図示の駆動手段により前後方向に駆動して下雄型11a又は下雌型11bを交代して加工位置に移動させることで下型11a,11bを交換することができる。特許文献1~3の方法で下型を交換(移動)してもよい。
【0016】
下型の交換のための下型11a,11bの移動は、下テーブル10と上テーブル20の間に配置されたワークWの下方で行われること、あるいは、下型の交換のための下型11a,11bの移動中に下型11a,11bがワークWよりも上方に移動しないことが好ましい。これにより、ワークWをプレス機械1にセットしたままで(ワークWをプレス機械1から取り外すことなく)、下型11a,11bを交換することができる。
【0017】
上テーブル20は、交換可能(交代で上テーブル20の加工位置に装着可能)な上雌型21a及び上雄型21bを有する。上雌型21a及び上雄型21bは、上テーブル20の加工位置又は待機位置に移動可能である。上テーブル20の加工位置は、ワークWを加工可能な位置であり、例えば、上テーブル20の中心線上の位置である。上テーブル20の待避位置は、例えば、加工の際に上型21a又は21bがワークWに緩衝しない位置である。一方の上型21a又は21bが加工位置に移動したとき、他方の上型21b又は21aは待機位置に移動する。
図2(a)では、上雌型21aが加工位置にあり、
図2(b)では、上雄型21bが加工位置にある。
【0018】
上雌型21aと上雄型21bの交換方法(移動方法)は任意である。例えば、特許文献1のように、一方の上型21a,21bの上に他方の上型21b,21aを被せる態様で交換(移動)してもよいし、特許文献2のように上型21a,21bの平行移動や回転によって交換(移動)してもよいし、特許文献3のように上型21a,21bの鉛直方向への移動と平行リンクを用いた旋回を組み合わせて交換(移動)してもよい。
【0019】
上型の交換のための上型21a,21bの移動は、下テーブル10と上テーブル20の間に配置されたワークWの上方で行われること、あるいは、上型の交換のための上型21a,21bの移動中に上型21a,21bがワークWよりも下方に移動しないことが好ましい。これにより、ワークWをプレス機械1にセットしたままで(ワークWをプレス機械1から取り外すことなく)、上型21a,21bを交換することができる。
【0020】
プレス機械1は、下雄型11aと下雌型11bの相対高さ、及び/又は、上雌型21aと上雄型21bの相対高さを調整するための相対高さ調整機構を有することが好ましい。これにより、加工の際に待機位置にある金型がワークWに干渉することを防ぎ得る。特に、下雌型11b又は上雌型21aを用いた加工の際に下雄型11a又は上雄型21bがワークWに干渉することを防ぎ得る。
【0021】
本実施形態の相対高さ調整機構は、ワークWを加工可能な上昇位置と、加工の際にワークWに緩衝しない下降位置の間で下雄型11aを移動させる態様で、下雄型11aと下雌型11bの相対高さを調整する。
【0022】
具体的には、本例の相対高さ調整機構は、下テーブル10の上端に配置された可動支台13と、可動支台13を前後方向に駆動する油圧シリンダー等の駆動手段14(
図2)、並びに、下雄型11aを装着した下型ホルダー12aを上下に駆動する油圧シリンダー等の駆動手段15(
図3)を有する。本例の相対高さ調整機構では、
図2(a),
図3(a)のように、後方位置(支持位置)に移動させた可動支台13を介して下型ホルダー12aを支持することで下雄型11aを上昇位置に固定することができ、
図2(b),
図3(b)のように、前方位置(待避位置)に可動支台13を移動させ、可動支台13を介することなく下テーブル10で下型ホルダー12aを支持することで下雄型11aを下降位置に固定することができる。駆動手段15は、例えば、下型ホルダー12aの両側に配置し得る。下型ホルダー12aは、下型ホルダー12aが下降した際に駆動手段14の駆動軸14aを通す凹部16を有するとよい。
【0023】
図2に示すように、本実施形態では、下テーブル10は、更に、補助下型11c及び上雄型21bを挿入可能な間隙部11dを有し、上テーブル20は、更に、上雄型21bと一体の補助上型21cを有する。
【0024】
図4は、プレス機械1を用いたあおり戸Pの加工工程を示す。図のように、プレス機械100の場合(
図6)と同様に、12回の折曲工程A~Lによってあおり戸Pを加工できる。これに加え、プレス機械1では、工程F/Gの間でワークWを一度180度回転させる必要があるのみで、ワークWの旋回は一度も行うことなく、あおり戸Pを加工することができる。
【0025】
上記のように、プレス機械1では、両方向の曲げ(正曲げと逆曲げ)が可能であるために、ワークの旋回回数を減少させることができる。両方向の曲げが可能である故に作業の自由度が高くなるため、ワークの回転回数も減少させることができる場合がある。更に、ワークWをプレス機械1に設置したままで(ワークWを上下テーブル10,20の間に配置したままの状態で)両方向の曲げを行うことができるため、作業負荷の軽減が顕著である。これらの結果、加工品の製造工程におけるタクトタイム短縮、労力軽減、及び/又は、安全性向上等の効果を達成することができる。特に、プレス機械1を用いた場合の加工工程(
図4)のタクトタイムは、プレス機械100の場合(
図6)の5分30秒に対し、半分以下の2分30秒に短縮された。
【0026】
なお、下雌型11bを用いる折曲工程B~G,I~Lでは、下雄型11aを下降位置に移動させることで下雄型11aとワークWの干渉が防止されている。また、
図4の加工工程では、工程D及びJにおいてワークWの端部を上雄型21bの腹に当接させた状態で折曲加工することによりワークWに内向きのプリベントPB(工程E,K参照)を発生させ、その後、工程E→F、工程K→Lで補助下型11c、間隙部11d、補助上型21c等を用いた押し曲げを行うことにより、上縁及び下縁(
図5(a)参照)の平坦な仕上がりを達成できる。
【0027】
本願のプレス機械及び製造方法は、上記実施形態において説明したあおり戸Pに限らず、多様な形状・サイズの加工品に適用可能である。本願のプレス機械及び製造方法は、ワークの旋回又は回転の回数減少、加工の自由度の向上、単一のプレス機械により製造可能な加工品の多様性の向上、タクトタイムの短縮、労力軽減、及び/又は、安全性向上等の効果を達成し得る。
【0028】
上記実施形態に記載したプレス機械又はその要素の寸法、形状、配置、個数、材料、加工品の製造方法の手順、態様等は例示である。本願発明の範囲は特許請求の範囲により画定されるのであり、実施形態におけるこれらの例示記載による限定は受けない。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
相互に接近/離間可能な上テーブル及び下テーブルを有するプレス機械であって、
前記下テーブルは、交換可能な下雄型及び下雌型を有し、
前記上テーブルは、交換可能な上雌型及び上雄型を有し、
前記下テーブルの前記下雌型と前記上テーブルの上雄型を用いてワークの正曲げを行い、
前記下テーブルの前記下雄型と前記上テーブルの上雌型を用いてワークの逆曲げを行うよう構成したことを特徴とするプレス機械。
<請求項2>
前記上下テーブルの間にワークを配置した状態で、前記下雄型と前記下雌型の交換、及び/又は、前記上雌型と前記上雄型の交換が可能である請求項1に記載のプレス機械。
<請求項3>
前記上下テーブルの間に配置したワークの下方での前記下雄型及び前記下雌型の移動により前記下雄型と前記下雌型の交換が可能であり、及び/又は、前記上下テーブルの間に配置したワークの上方での前記上雌型及び前記上雄型の移動により前記上雌型と前記上雄型の交換が可能である請求項1又は2に記載のプレス機械。
<請求項4>
前記下雄型と前記下雌型の相対高さ、及び/又は、前記上雌型と前記上雄型の相対高さを調整するための相対高さ調整機構を更に有する請求項1~3のいずれかのプレス機械。
<請求項5>
前記相対高さ調整機構は、
前記下テーブル上で移動可能な可動支台を更に有し、
前記下雄型は、
前記下テーブルに前記可動支台を介して支持された上昇位置と、前記下テーブルに前記可動支台を介することなく支持された下降位置の2つの高さ位置に固定可能である請求項4のプレス機械。
<請求項6>
相互に接近/離間可能な上テーブル及び下テーブルを有するプレス機械を用いる加工品の製造方法であって、
前記下テーブルは、交換可能な下雄型及び下雌型を有し、
前記上テーブルは、交換可能な上雌型及び上雄型を有し、
前記下テーブルの前記下雌型と前記上テーブルの上雄型を用いてワークの正曲げを行う工程と、
前記下テーブルの前記下雄型と前記上テーブルの上雌型を用いてワークの逆曲げを行う工程を有する加工品の製造方法。
<請求項7>
ワークの製造工程中における旋回の回数が0回であることを特徴とする請求項6の製造方法。
【符号の説明】
【0029】
1・・・プレス機械
2・・・フレーム
3・・・駆動源
10・・・下テーブル
11b・・・下雌型
11a・・・下雄型
11c・・・補助下型
11d・・・間隙部
12a,12b・・・下型ホルダー
13・・・可動支台
14・・・駆動手段
14a・・・駆動軸
15・・・駆動手段
16・・・凹部
20・・・上テーブル
21a・・・上雌型
21b・・・上雄型
21c・・・補助上型