IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東伸の特許一覧

<>
  • 特許-製品搬出・巻芯供給装置 図1
  • 特許-製品搬出・巻芯供給装置 図2
  • 特許-製品搬出・巻芯供給装置 図3
  • 特許-製品搬出・巻芯供給装置 図4
  • 特許-製品搬出・巻芯供給装置 図5
  • 特許-製品搬出・巻芯供給装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】製品搬出・巻芯供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/22 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
B65H19/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019177908
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021054568
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000151667
【氏名又は名称】株式会社東伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】岩田 哲
(72)【発明者】
【氏名】栗塚 隆臣
(72)【発明者】
【氏名】三嶋 崇
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-025033(JP,A)
【文献】特開昭61-037650(JP,A)
【文献】特開昭54-110559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取軸にセットした巻芯にウエブを巻き取って製品を得るウエブ処理機に用いられ、前記製品を前記巻取軸から搬出すると共に前記巻芯を該巻取軸に供給するための製品搬出・巻芯供給装置であって、
前記巻取軸の開放端に対して一端を向き合わせて該巻取軸の軸方向に直列に並んで前記製品を前記巻取軸から受け取り可能な受け取り姿勢と、該受け取り姿勢から回動した搬出姿勢との間で動作可能に構成されて、該製品を支持可能な第1支持部と、
前記受け取り姿勢にある前記第1支持部と並行する待機姿勢と、前記巻取軸の開放端に対して一端を向き合わせて該巻取軸の軸方向に直列に並んで前記巻芯を前記巻取軸に受け渡し可能な受け渡し姿勢との間で動作可能に構成されて、前記巻芯を支持可能な第2支持部と、
前記第1支持部が前記受け取り姿勢にあるときに前記第2支持部を前記待機姿勢にすると共に、前記第1支持部が前記搬出姿勢にあるときに前記第2支持部を前記受け渡し姿勢にするように、前記第1支持部の動作と連係して前記第2支持部を動作させる連係機構と、を備えている
ことを特徴とする製品搬出・巻芯供給装置。
【請求項2】
前記第1支持部は、アームの一端側に設けられて該アームと共に回転する第1軸部に設けられ、
前記第2支持部は、前記第1支持部と交差する方向に延びる前記アームの他端側に設けられて該アームに対して回転可能に支持された第2軸部に設けられ、
前記第2支持部は、前記待機姿勢で前記アームが延びる方向と交差する方向に延びると共に、前記受け渡し姿勢で前記アームと直列するように動作する請求項1記載の製品搬出・巻芯供給装置。
【請求項3】
前記連係機構は、
前記第1支持部に連係するように設けられ、自身の回転により該第1支持部を前記受け取り姿勢と前記搬出姿勢との間で回動させる第1回転部と、
前記第2支持部に連係するように設けられ、前記第1回転部の回転により該第1回転部と逆回転して該第2支持部を回動させる第2回転部と、を備えている請求項1または2記載の製品搬出・巻芯供給装置。
【請求項4】
前記第1回転部を駆動する駆動手段を備えている請求項3記載の製品搬出・巻芯供給装置。
【請求項5】
前記第1支持部は、前記巻芯の軸孔に通して前記製品を支持可能に構成され、
前記第2支持部は、前記巻芯を載置可能に構成されている請求項1~4の何れか一項に記載の製品搬出・巻芯供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スリッターなどのウエブ処理機で得られた製品を、ウエブ処理機の巻取軸から搬出すると共に新たな巻芯を巻取軸に供給するための製品搬出・巻芯供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙、フィルム、金属箔等の連続したシート状の長尺巻物を巻き戻しながら、任意の縦方向幅に連続して切断して得られる製品シートを巻き取るスリッターと呼ばれる装置がある。スリッターは、その軸周りに回転される巻取軸を巻き取り部に備えており、紙やプラスチックなどから円筒形に形成された巻芯を、巻取軸の外側に回転可能に嵌め込まれたカラーに装着して、巻芯で製品シートを巻き取った製品を得るようになっている。そして、巻き取りが完了した際には、巻取軸の軸方向へ巻芯を移動して、巻き取った製品シートごと巻芯を巻取軸から抜き取り、新たな巻芯を巻取軸に装着している。
【0003】
巻芯に製品シートを巻き取った製品は重いので、巻き取り部に隣接して搬出装置を設置して、搬出装置で製品を支持して搬出して、作業者の作業負荷を減らすことが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-240997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
巻芯は、製品よりも軽いとはいえ、製品シートの幅が大きくなったり、並列して巻き取る製品の数が多くなったりなどすると長尺になり、その重さが無視できない。製品によっては、巻芯の直径を大きくすることがあり、このような場合も巻芯が重くなる。従って、製品の搬出に併せて、新たな巻芯の供給についても作業者の負担を減らすことが求められている。また、巻取軸に巻芯を差し込む時間の短縮は、スリッターのアイドル時間の短縮のために重要である。差し込む巻芯の数が多くなると、この時間は無視できなくなる。そこで、多くの巻芯を一度に効率的に巻取軸に差し込み、アイドル時間を短縮できる方策が求められている。
【0006】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、スペースを取らず、製品のウエブ処理機からの搬出および巻芯のウエブ処理機への供給を効率よく行うことができる製品搬出・巻芯供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の製品搬出・巻芯供給装置は、
巻取軸にセットした巻芯にウエブを巻き取って製品を得るウエブ処理機に用いられ、前記製品を前記巻取軸から搬出すると共に前記巻芯を該巻取軸に供給するための製品搬出・巻芯供給装置であって、
前記巻取軸の開放端に対して一端を向き合わせて該巻取軸の軸方向に直列に並んで前記製品を前記巻取軸から受け取り可能な受け取り姿勢と、該受け取り姿勢から回動した搬出姿勢との間で動作可能に構成されて、該製品を支持可能な第1支持部と、
前記受け取り姿勢にある前記第1支持部と並行する待機姿勢と、前記巻取軸の開放端に対して一端を向き合わせて該巻取軸の軸方向に直列に並んで前記巻芯を前記巻取軸に受け渡し可能な受け渡し姿勢との間で動作可能に構成されて、前記巻芯を支持可能な第2支持部と、
前記第1支持部が前記受け取り姿勢にあるときに前記第2支持部を前記待機姿勢にすると共に、前記第1支持部が前記搬出姿勢にあるときに前記第2支持部を前記受け渡し姿勢にするように、前記第1支持部の動作と連係して前記第2支持部を動作させる連係機構と、を備えていることを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、製品を受け取り可能な第1支持部と、巻芯を受け渡し可能な第2支持部とを備えているので、第1支持部と第2支持部とを切り替えるだけで、製品の搬出から次の巻き取りに用いる巻芯の供給までの作業を、作業者の負荷を抑えて効率よく行うことができる。また、第1支持部の動作に連係して第2支持部を動作させる構成であるので、製品の搬出から巻芯の供給までの作業を、作業者の負荷を抑えて効率よく行うことができる。しかも、第1支持部が受け取り姿勢にあるとき、第2支持部が第1支持部と並行する待機姿勢にあるので、製品を受け取り可能な第1支持部および巻芯を受け渡し可能な第2支持部の両方を備えていても、装置に必要なスペースを最小限に抑えることができる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記第1支持部は、アームの一端側に設けられて該アームと共に回転する第1軸部に設けられ、
前記第2支持部は、前記第1支持部と交差する方向に延びる前記アームの他端側に設けられて該アームに対して回転可能に支持された第2軸部に設けられ、
前記第2支持部は、前記待機姿勢で前記アームが延びる方向と交差する方向に延びると共に、前記受け渡し姿勢で前記アームと直列するように動作することを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、待機姿勢において第2支持部がアームに対して折れ曲がるので、装置に必要なスペースを最小限に抑えることができる。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記連係機構は、
前記第1支持部に連係するように設けられ、自身の回転により該第1支持部を前記受け取り姿勢と前記搬出姿勢との間で回動させる第1回転部と、
前記第2支持部に連係するように設けられ、前記第1回転部の回転により該第1回転部と逆回転して該第2支持部を回動させる第2回転部と、を備えていることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、簡単な構成の連係機構によって、第1支持部および第2支持部を連係させることができる。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記第1回転部を駆動する駆動手段を備えていることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、駆動手段によって第1支持部および第2支持部が動作するので、第1支持部および第2支持部を動作させるときに作業者の負荷が発生しない。
【0011】
請求項5に係る発明では、前記第1支持部は、前記巻芯の軸孔に通して前記製品を支持可能に構成され、
前記第2支持部は、前記巻芯を載置可能に構成されていることを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、製品および巻芯に合わせて支持部を構成することで、製品および巻芯を適切に支持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る製品搬出・巻芯供給装置によれば、スペースを取らず、製品のウエブ処理機からの搬出および巻芯のウエブ処理機への供給を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係るスリッターを概略的に示す説明図である。
図2】スリッターの隣に配置した実施例の搬送装置を示す正面図であり、第1支持部が受け取り姿勢にある。
図3】実施例の搬送装置を一部破断して示す側面図であり、第1支持部が受け取り姿勢にある。
図4】実施例の搬送装置の動作を示す平面図である。
図5】実施例の搬送装置の動作を示す平面図である。
図6】実施例の搬送装置の動作を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係るウエブ処理機の製品搬出・巻芯供給装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【0015】
ウエブに所定の処理を施すウエブ処理機としては、ウエブを必要な幅にカットしてロール状に巻き取る加工を行うスリッターや、加工ラインにおいて一旦巻き取ったウエブを仕上げ加工や2次加工などの処理をした後に再び巻き取るリワインダーなどが挙げられる。以下の実施形態では、スリッターを例示して説明する。また、ウエブとしては、合成樹脂からなるフィルム、ペーパー、アルミニウムなどの金属箔等を挙げることができ、ウエブを巻芯に巻き掛けたロール状物をロールという。そして、特に区別する場合は、ウエブが巻き出される処理前のロールを「原反ロール」といい、所定処理後のウエブを巻き取って形成されるロールを「製品ロール(製品)」という。
【実施例
【0016】
(スリッターの概要)
図1に示すように、実施形態に係るスリッター(ウエブ処理機)10は、原反ロール14を支持する巻き出し部18と、ウエブ12を所定幅で切断する切断部20と、所定幅に切断されたウエブ12を巻き取って製品ロール16とする巻き取り部(巻き取り装置)22とを備えている。スリッター10には、巻き出し部18と巻き取り部22との間に設置された複数の本体ローラRによって、ウエブ12が巻き出し部18から巻き取り部22に向かって走行するパスラインが構成されている。また、スリッター10は、巻き取り部22において、巻取軸24に保持された巻芯26に巻き取るウエブ12を整える調整ローラ28,30を有する調整ローラユニット32を備えている。そして、スリッター10は、巻き出し部18に支持された原反ロール14から巻き出されたウエブ12を、パスラインの途中で切断部20において該ウエブ12の流れ方向に切断し、所定幅にしたウエブ12を巻き取り部22で複数箇所に分けて巻芯26にそれぞれ巻き取って、所定幅のウエブ12が巻かれた製品ロール16を得るように構成されている。
【0017】
以下の説明では、スリッター10において、巻き出し部18が設けられる側を後側とし、巻き取り部22が設けられる側を前側として、前後方向を指称する。従って、実施形態では、巻き出し部18に作業員がアクセスする正面側が、スリッター10の後面であり、巻き取り部22に作業員がアクセスする正面側が、スリッター10の前面である。また、スリッター10では、前後方向と交差する水平方向を左右方向といい、左右方向が巻芯26の軸方向になるように原反ロール14および製品ロール16が支持されて、ウエブ12の幅方向が左右方向になっている。そして、巻き出し部18からパスラインを経て巻き取り部22に向かうウエブ12の走行方向を、ウエブ12の流れ方向といい、図1に示すように、ウエブ12の流れ方向は本体ローラRに案内されて向きが変化する。
【0018】
(巻き取り部)
図2に示すように、巻き取り部22には、並行する2本の巻取軸24が上下2段に間隔をあけて設けられている。巻き取り部22では、切断部20で切断したウエブ12を、上下の巻取軸24,24のそれぞれに装着された巻芯26に振り分けて巻き取ることで、切断したウエブ12の端部同士の重なりを防止している。また、巻き取り部22では、巻芯26の左右方向に離して複数箇所でウエブ12が巻き取られ、1本の巻芯26(巻取軸24)において左右方向に離して複数の製品ロール16が形成されるようになっている。巻取軸24は、軸方向の一端から巻芯26の軸孔に挿入して巻芯26を取り付け可能であり、同じく一端から巻芯26を抜き出して取り外し可能となっている。なお、巻取軸24において巻芯26を着脱可能な一端を開放端という。
【0019】
(製品搬出・巻芯供給装置)
図2に示すように、実施形態に係る製品搬出・巻芯供給装置(以下、単に搬送装置という。)40は、スリッター10における巻き取り部22の横側に隣接して配置されている。ここで、搬送装置40は、巻取軸24の開放端となる側に配置されて、製品ロール16を巻取軸24の開放端を介して搬出可能であると共に、巻芯26を巻取軸24の開放端を介して供給可能になっている。
【0020】
図2に示すように、搬送装置40は、該搬送装置40の土台である台部42と、この台部42から上方へ立ち上がる支柱部44とを備えている。また、搬送装置40は、支柱部44に対して上下方向の軸周りに回転可能に設けられた第1軸部46と、第1軸部46と共に回動するアーム48と、このアーム48に対して上下方向の軸周りに回転可能に設けられた第2軸部50を備えている。更に、搬送装置40は、第1軸部46に設けられて製品ロール16を支持可能な第1支持部52と、第2軸部50に設けられて巻芯26を支持可能な第2支持部54と、第1支持部52および第2支持部54を連係して動作させる連係機構56とを備えている。実施形態の搬送装置40には、上下2段の巻取軸24,24に合わせて、第1支持部52および第2支持部54のそれぞれが、上下2つ設けられている(図2参照)。
【0021】
(第1軸部)
図2および図6に示すように、第1軸部46は、上下方向に延びており、支柱部44と並行するように配置されている。第1軸部46は、上部が支柱部44に回転可能に支持されると共に、下部が台部42から立ち上がる基軸42aに回転可能に支持されている(図3参照)。また、第1軸部46には、該第1軸部46の上下方向に離して、2本の第1支持部52,52が設けられている。
【0022】
(第1支持部)
図2および図6に示すように、第1支持部52は、根元が第1軸部46に接続されて、第1軸部46から水平方向に延びる片持ち構造である。第1支持部52は、巻芯26の軸孔に挿通可能な丸棒状に形成され、第1軸部46に支持された根元と反対側の先端から巻芯26の軸孔に通すことで製品ロール16を支持するようになっている。第1支持部52は、複数の製品ロール16を左右方向へ直列に並べた状態で支持可能である。第1支持部52は、巻取軸24の開放端に対して先端(一端)を向き合わせて巻取軸24の軸方向に直列に並べた受け取り姿勢(図4(a)、図6(a)参照)と、受け取り姿勢から回動した搬出姿勢(図5(a)および(b)、図6(c)参照)との間で動作可能に構成されている。実施形態の第1支持部52は、第1軸部46の回転に伴って、巻取軸24から製品ロール16を受け取り可能な受け取り姿勢と、受け取り姿勢から手前側へ水平に90°回動させた搬出姿勢との間で動作する。
【0023】
(アーム)
図3および図6に示すように、搬送装置40は、アーム48として、第1軸部46の上部から水平に延びる上部アーム48Aと、第1軸部46の下部から水平に延びる下部アーム48Bとを備え、上部アーム48Aおよび下部アーム48Bが上下に対向配置されている。上部アーム48Aおよび下部アーム48Bは、第1支持部52と交差する方向に延びており、実施形態では、第1支持部52とアーム48とが第1軸部46から90°の角度を変えて配置されている。上部アーム48Aおよび下部アーム48Bは、第1軸部46に接続されている。実施形態では、基軸42aを支点とした下部アーム48Bの回動に伴って第1軸部46が上下方向の軸周りに回転すると共に、第1軸部46の回転に伴って上部アーム48Aが回動するように構成されている。このように、第1軸部46、アーム48および第1支持部52は、同期して動作するようになっている。上部アーム48Aおよび下部アーム48Bの間には、第1軸部46と接続する一端と反対側の他端に、第2軸部50が上下方向の軸周りに回転可能に設けられている(図3および図6参照)。すなわち、第2軸部50に設けられた第2支持部54は、第1支持部52における受け取り姿勢と搬出姿勢との間の動作に連係するアーム48の回動に伴って、第1軸部46を中心に回動するようになっている。
【0024】
(第2軸部)
図3および図6に示すように、第2軸部50は、上下方向に延びており、第1軸部46から離れて該第1軸部46と並行するように配置されている。第2軸部50は、上部が上部アーム48Aの他端に回転可能に支持されると共に、下部が下部アーム48Bの他端に回転可能に支持されている(図3参照)。また、第2軸部50には、該第2軸部50の上下方向に離して、2本の第2支持部54,54が設けられている。
【0025】
(第2支持部)
図6に示すように、第2支持部54は、根元が第2軸部50に接続されて、第2軸部50から水平方向に延びる片持ち構造である。第2支持部54は、巻芯26の外周に合わせた上方へ開口する溝形状(軒樋形状)に形成され、載置された巻芯26を溝形状によって位置決めしたもとで支持するようになっている。第2支持部54は、複数の巻芯26を左右方向へ直列に並べた状態で支持可能である。第2支持部54は、前記溝形状が、第2軸部50に支持された根元と反対側の先端が開くように形成されており、該先端から巻芯26をスライド移動することで、巻芯26を巻取軸24に受け渡し可能である。第2支持部54は、受け取り姿勢にある第1支持部52と並行する待機姿勢(図4(a)および(b)、図6(a)参照)と、巻取軸24の開放端に対して先端(一端)を向き合わせて巻取軸24の軸方向に直列に並ぶ受け渡し姿勢(図5(a)および(b)、図6(c)参照)との間で動作可能に構成されている。実施形態の第2支持部54は、アーム48の回転および第2軸部50の回転に伴って、受け取り姿勢にある第1支持部52の奥側に該第1支持部52と平行に並ぶ待機姿勢と、待機姿勢から手前側へ平行移動した受け渡し姿勢との間で動作するようになっている。このように、第2支持部54は、待機姿勢および受け渡し姿勢の何れであっても、左右方向に延びるように配置される。
【0026】
(連係機構)
図4図6に示すように、連係機構56は、第1支持部52が受け取り姿勢にあるときに第2支持部54を待機姿勢にすると共に、第1支持部52が搬出姿勢にあるときに第2支持部54を受け渡し姿勢にするように、第1支持部52の動作と連係して第2支持部54を動作させる。図3に示すように、連係機構56は、第1支持部52に連係するように設けられ、自身の回転により第1支持部52を受け取り姿勢と搬出姿勢との間で回動させる第1歯車(第1回転部)58を備えている。実施形態の第1歯車58は、下部アーム48Bの下側に位置して下部アーム48Bに設置されて、基軸42aに固定された基軸歯車62に噛み合っている。第1歯車58は、自身が回転することで基軸歯車62の周りを移動し、これに伴って下部アーム48Bを回動するようになっている。第1歯車58は、下部アーム48Bの上側に設置されたモータ(駆動手段)64によって回転駆動される。連係機構56は、第2支持部54に連係するように設けられ、第1歯車58の回転により第1歯車58と逆回転して第2支持部54を回動させる第2歯車(第2回転部)60を備えている。実施形態の第2歯車60は、下部アーム48Bの下側に配置して第2軸部50と同軸的に設けられ、第2歯車60の回転に伴って第2軸部50が回転することで第2支持部54を動作させるようになっている。また、第2歯車60は、第1歯車58と噛み合っており、第1歯車58の回転に伴って第1歯車58と逆向きに回転する。
【0027】
搬送装置40は、モータ64によって第1歯車58が回転することで、第1歯車58と基軸歯車62との噛み合いによってアーム48および第1軸部46が回動して、その結果、第1支持部52が動作する。搬送装置40は、モータ64によって第1歯車58が回転することで、第1歯車58と第2歯車60との噛み合いによって第2軸部50が回動して、その結果、第2支持部54が、アーム48および第1支持部52の回動方向と逆向きへ回動するように動作する。搬送装置40は、第1支持部52およびアーム48が同じ方向へ動作する一方で、第2支持部54がアーム48の動作によって第1支持部52と同じ方向へ動きつつ第2軸部50を中心として第1支持部52と逆向きに動作する。ここで、実施形態では、第2支持部54が左右方向に沿って延びる状態を保つように、アーム48の一方向への回動に応じて第2支持部54を一方向と逆方向に回動しており、第2支持部54が左右方向に延びる状態を変えることなく水平移動するようになっている。
【0028】
(製品ロールの受け取り)
図2に示すように、搬送装置40は、第1支持部52を受け取り姿勢に配置すると、上段の第1支持部52の一端が上段の巻取軸24の開放端に向かい合って、上段の第1支持部52と上段の巻取軸24とが左右方向に直線的に並ぶ。このとき、下段の第1支持部52の一端が下段の巻取軸24の開放端に向かい合って、下段の第1支持部52と下段の巻取軸24とが左右方向に直線的に並ぶ。また、上下段の第2支持部54,54は、受け取り姿勢にある第1支持部52の奥側で該第1支持部52と並行する待機姿勢にあり(図4(a)および図6(a)参照)、各第2支持部54に巻芯26を載置して、製品ロール16の搬出後の巻取軸24に巻芯26を供給できるように準備される。製品ロール16を巻取軸24に沿って第1支持部52側にスライド移動して、製品ロール16における巻芯26の軸孔を第1支持部52に嵌め合わせて、製品ロール16を巻取軸24から第1支持部52に受け渡す(図4(b)参照)。
【0029】
(切り替え)
搬送装置40は、第1支持部52に製品ロール16を受け取った後、モータ64を駆動して第1歯車58を時計回り(実施形態)に回転すると、第1歯車58が基軸歯車62の周りを時計回りに移動するように案内される。これにより、アーム48が基軸42aを中心として時計回りに水平に回転することに伴って、第1軸部46が基軸42aを中心として時計回りに回転することで、製品ロール16を支持した第1支持部52が基軸42aを中心として受け取り姿勢から手前側へ水平に回動する(図4(c)および図6(b)参照)。このとき、第1歯車58と噛み合った第2歯車60が反時計回りに回転することに伴って、第2軸部50が反時計回りに回転する。これにより、巻芯26を支持した第2支持部54が、アーム48の回動に伴って全体として時計回りに動きつつ、第2軸部50を支点として待機姿勢から奥側(反時計回り)へ回動することで、第2支持部54が左右方向に延びる状態を保ったまま手前側に到来する(図4(c)および図6(b)参照)。
【0030】
(巻芯の受け渡し)
搬送装置40は、製品ロール16を支持した第1支持部52が搬出姿勢になると、受け取り姿勢にあった第1支持部52と入れ替われるように、巻芯26を支持した第2支持部54が受け渡し姿勢になる(図5(a)および図6(c)参照)。搬送装置40は、第2支持部54を受け渡し姿勢に配置すると、上段の第2支持部54の先端が上段の巻取軸24の開放端に向かい合って、上段の第2支持部54に支持された巻芯26と上段の巻取軸24とが左右方向に直線的に並ぶ。このとき、下段の第2支持部54の先端が下段の巻取軸24の開放端に向かい合って、下段の第2支持部54に支持された巻芯26と下段の巻取軸24とが左右方向に直線的に並ぶ。そして、巻芯26を第2支持部54に沿って巻取軸24側にスライド移動して、巻芯26の軸孔を巻取軸24に嵌め合わせて、巻芯26を第2支持部54から巻取軸24に受け渡す(図5(a)および(b)参照)。また、製品ロール16を搬出姿勢にある第1支持部52に沿って手前側にスライド移動して、製品ロール16を第1支持部52から取り外して搬出する(図5(a)参照)。
【0031】
(切り替え)
搬送装置40は、第2支持部54から巻芯26を受け渡した後、モータ64を駆動して第1歯車58を反時計回り(実施形態)に回転すると、第1歯車58が基軸歯車62の周りを反時計回りに移動するように案内される。これにより、アーム48が基軸42aを中心として反時計回りに水平に回転することに伴って、第1軸部46が基軸42aを中心として反時計回りに回転することで、空の第1支持部52が基軸42aを中心として搬出姿勢から奥側へ水平に回動して(図5(c)参照)、受け取り姿勢に戻る。このとき、第1歯車58と噛み合った第2歯車60が時計回りに回転することに伴って、第2軸部50が時計回りに回転する。これにより、空の第2支持部54が、アーム48の回動に伴って全体として時計回りに動きつつ、第2軸部50を支点として受け渡し姿勢から手前側(時計回り)へ回動することで、第2支持部54が左右方向に延びる状態を保ったまま奥側に退避して(図5(c)参照)、待機姿勢に戻る。
【0032】
搬送装置40は、製品ロール16を受け取り可能な第1支持部52と、巻芯26を受け渡し可能な第2支持部54とを備えているので、製品ロール16を第1支持部52でスリッター10から受け取る際に、次の巻き取りに用いる巻芯26を第2支持部54に予め用意することができる。そして、製品ロール16を受け取った第1支持部52と巻芯26を準備した第2支持部54を切り替えることで、巻芯26を巻取軸24に合わせた適切な位置に配置することができると共に、第1支持部52で支持した製品ロール16を手前側の比較的広いスペースに移動させることができる。しかも、製品ロール16を第1支持部52で支持して移動すると共に巻芯26を第2支持部54で支持して移動するので、作業者への負担を大幅に軽減することができる。そして、搬送装置40は、第1支持部52と第2支持部54とを切り替えるだけの簡単な構成で、製品ロール16の搬出から次の巻き取りに用いる巻芯26の供給までの作業のサイクルタイムを短くすることができる。従って、搬送装置40によれば、製品ロール16の搬出から巻芯26の供給までの作業を、作業者の負荷を抑えて効率よく行うことができる。
【0033】
第1支持部52は、複数の製品ロール16を直列に並べた状態で支持可能であるので、巻取軸24から第1支持部52に向けて製品ロール16を左右方向へ移動するだけの簡単な作業で、複数の製品ロール16を1本の第1支持部52に巻取軸24から効率的に受け取ることができる。従って、製品ロール16を巻取軸24から受け取る時間を短縮して、スリッター10のアイドル時間の短縮に大きく寄与できる。同様に、1本の巻取軸24に供給する複数の巻芯26を第2支持部54に直列に並べた状態で用意できるので、第2支持部54から巻取軸24に向けて複数の巻芯26を左右方向へ移動するだけの簡単な作業で、多くの巻芯26を一度に効率的に巻取軸24に差し込むことができる。従って、巻芯26を巻取軸24に差し込む時間を短縮して、スリッター10のアイドル時間の短縮に大きく寄与できる。
【0034】
搬送装置40は、連係機構56によって第1支持部52の動作に連係して第2支持部54を動作させる構成であるので、第1支持部52の動作と第2支持部54とを、作業者が別々に行う必要がない。また、搬送装置40は、第1支持部52を受け取り姿勢にすることで、巻取軸24に対して直列するように揃い、第2支持部54を受け渡し姿勢にすることで、巻取軸24に対して直列するように揃えることができ、第1支持部52および第2支持部54に支持した巻芯26の位置合わせの手間を軽減することができる。従って、搬送装置40によれば、製品ロール16の搬出から巻芯26の供給までの作業を、作業者の負荷を抑えて効率よく行うことができる。
【0035】
搬送装置40は、第1支持部52が巻取軸24に直列する受け取り姿勢にあるとき、第2支持部54が第1支持部52の奥側において第1支持部52と並行する待機姿勢になるので、奥側への第2支持部54の張り出しを最小限に抑えることができる。しかも、第2支持部54は、待機姿勢で奥側へ延びるアーム48と交差する方向に延びるように折れ曲がっているので、待機姿勢にある第2支持部54の配置に必要なスペースをコンパクトにすることができる。そして、第2支持部54は、受け渡し姿勢でアーム48と直列するので、巻取軸24の開放端に対して間隔をあけずに向かい合わせることができ、第2支持部54から巻取軸24への巻芯26の受け渡しをスムーズに行うことができる。このように、搬送装置40は、製品ロール16を受け取り可能な第1支持部52および巻芯26を受け渡し可能な第2支持部54の両方を備えていても、装置の配置や支持部52,54の動作に必要なスペースを最小限に抑えることができる。
【0036】
搬送装置40は、第1歯車58、第2歯車60および基軸歯車62を組み合わせた歯車構造の簡単な連係機構56によって、第1支持部52が受け取り姿勢にあるときに第2支持部54を待機姿勢にすると共に、第1支持部52が搬出姿勢にあるときに第2支持部54を受け渡し姿勢にするように、第1支持部52の動作と連係して第2支持部54を動作させている。従って、搬送装置40は、構成が簡単であるので装置コストを抑えることができる。しかも、第1歯車58をモータ64によって回転駆動して、第1支持部52および第2支持部54を動作させる構成であるので、第1支持部52および第2支持部54を動作させるときに作業者の負荷が発生しない。
【0037】
搬送装置40は、棒状の第1支持部52を巻芯26の軸孔に通して製品ロール16を支持する構成であるので、第1支持部52を動作しても製品ロール16を安定して保持することができる。また、溝形状の第2支持部54に嵌め合わせて巻芯26を支持する構成であるので、第2支持部54を動作しても巻芯26が転がらないように安定して保持することができる。このように、製品ロール16および巻芯26に合わせて支持部52,54を構成することで、製品ロール16および巻芯26を適切に支持することができる。
【0038】
(変更例)
前述した構成に限らず、例えば以下のようにしてもよい。
(1)ウエブ処理機としてスリッターを例示したが、これに限らず、リワインダーやその他のウエブを巻き取った製品を製造する装置に、本開示に係る製品搬出・巻芯供給装置を用いることが可能である。
(2)実施形態では、歯車を組み合わせた連係機構を例示したが、これに限らず、歯車以外のプーリなどの回転体から連係機構を構成してもよく、回転体やリンクなどの機械要素を単体または組み合わせて連係機構を構成してもよい。
(3)支持部を上下2段に限らず、ウエブ処理機の巻取軸の段数に合わせて、1段または3段以上であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 スリッター(ウエブ処理機),12 ウエブ,16 製品ロール(製品),
24 巻取軸,26 巻芯,40 搬送装置(製品搬出・巻芯供給装置),
46 第1軸部,48 アーム,50 第2軸部,52 第1支持部,54 第2支持部,
56 連係機構,58 第1歯車(第1回転部),60 第2歯車(第2回転部),
64 モータ(駆動手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6