(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】掘削装置
(51)【国際特許分類】
E21B 7/20 20060101AFI20230706BHJP
E21B 21/00 20060101ALI20230706BHJP
E21B 4/16 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
E21B7/20
E21B21/00 A
E21B4/16
(21)【出願番号】P 2020181069
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】595101665
【氏名又は名称】株式会社オーク
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】樫本 孝彦
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-350529(JP,A)
【文献】特開2008-019688(JP,A)
【文献】特開2007-314959(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0119187(KR,A)
【文献】特開2004-169436(JP,A)
【文献】特開平08-338190(JP,A)
【文献】特許第6774132(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 7/20
E21B 21/00
E21B 4/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全周回転装置によって回転駆動されるケーシングと、
前記ケーシング内に挿入されるロッドと、
前記ケーシングの上部側に設けられ、前記ロッドを回転駆動するテーブルマシーンと、
前記ロッドの下部側に設けられ、地盤を掘削可能なハンマービットと、
前記ハンマービットによって前記地盤を掘削した際発生するスライムを、外部に排出する前に中空状の内部に一旦集約してから、外部に排出可能なスライム集約排出部と、を有し、
前記ロッドの外周面には、複数の凸条部が、該ロッドの軸方向に沿って、所定間隔置きに設けられると共に、
前記スライム集約排出部は、上面及び下面が閉止されていると共に、該上面には前記テーブルマシーンが配置固定され、さらに、前記スライム集約排出部は、前記上面及び下面を上下方向に貫通する挿入孔が設けられると共に、前記ケーシングの上部側に設けら
れ、
前記ケーシングの上部側に前記スライム集約排出部を設けるにあたって、
前記スライム集約排出部の下面に設けられている前記ロッドが挿入できるように内部が空洞に形成されている第1ジョイント部に、上部ケーシングスイベルの上部に設けられている前記ロッドが挿入できるように内部が空洞に形成されている第2ジョイント部が嵌合され、さらに、
前記上部ケーシングスイベルに連結されている下部ケーシングスイベルの下部に設けられている前記ロッドが挿入できるように内部が空洞に形成されている第3ジョイント部に、前記ケーシングの上部に設けられている前記ロッドが挿入できるように内部が空洞に形成されている第4ジョイント部が嵌合されることによって、前記ケーシングの上部側に、前記上部ケーシングスイベル及び前記下部ケーシングスイベルを介して、前記スライム集約排出部が設けられてなり、
前記ロッドは、前記テーブルマシーンの駆動用円環部材に前記複数の凸条部が係合されると共に、前記スライム集約排出部に設けられている前記挿入孔内に、前記ケーシングの内壁面との間に第1の隙間が形成されるように挿入され、さらに、
前記ロッドは、隣り合う前記凸条部との間に形成されている第2の隙間と前記中空状の内部とが連通するように、前記挿入孔内に挿入され、
前記ハンマービットによって前記地盤を掘削した際発生するスライムは、前記第1の隙間を通って、前記ロッドの上部に導かれ、その上部に導かれたスライムは、前記第2の隙間から、前記挿入孔を通って、前記中空状の内部に導かれることによって、該スライムを前記スライム集約排出部にて一旦集約してなる掘削装置。
【請求項2】
全周回転装置によって回転駆動されるケーシングと、
前記ケーシング内に挿入されるロッドと、
前記ケーシングの上部側に設けられ、前記ロッドを回転駆動するテーブルマシーンと、
前記ロッドの下部側に設けられ、地盤を掘削可能なハンマービットと、
前記ハンマービットによって前記地盤を掘削した際発生するスライムを、外部に排出する前に中空状の内部に一旦集約してから、外部に排出可能なスライム集約排出部と、を有し、
前記ロッドの外周面には、複数の凸条部が、該ロッドの軸方向に沿って、所定間隔置きに設けられると共に、
前記スライム集約排出部は、上面及び下面が閉止されていると共に、該下面には前記テーブルマシーンが配置固定され、さらに、前記スライム集約排出部は、前記上面及び下面を上下方向に貫通する挿入孔が設けら
れ、
前記ケーシングの上部側に前記テーブルマシーンを設けるにあたって、
前記テーブルマシーンの下面に設けられている前記ロッドが挿入できるように内部が空洞に形成されている第1ジョイント部に、上部ケーシングスイベルの上部に設けられている前記ロッドが挿入できるように内部が空洞に形成されている第2ジョイント部が嵌合され、さらに、
前記上部ケーシングスイベルに連結されている下部ケーシングスイベルの下部に設けられている前記ロッドが挿入できるように内部が空洞に形成されている第3ジョイント部に、前記ケーシングの上部に設けられている前記ロッドが挿入できるように内部が空洞に形成されている第4ジョイント部が嵌合されることによって、前記ケーシングの上部側に、前記上部ケーシングスイベル及び前記下部ケーシングスイベルを介して、前記テーブルマシーンが設けられてなり、
前記ロッドは、前記スライム集約排出部に設けられている前記挿入孔内に、前記ケーシングの内壁面との間に第1の隙間が形成されるように挿入され、さらに、
前記ロッドは、隣り合う前記凸条部との間に形成されている第2の隙間と前記中空状の内部とが連通するように、前記挿入孔内に挿入され、
前記ハンマービットによって前記地盤を掘削した際発生するスライムは、前記第1の隙間を通って、前記ロッドの上部に導かれ、その上部に導かれたスライムは、前記第2の隙間から、前記挿入孔を通って、前記中空状の内部に導かれることによって、該スライムを前記スライム集約排出部にて一旦集約してなる掘削装置。
【請求項3】
前記スライム集約排出部は、排出口が設けられると共に、一旦集約した前記スライムを前記排出口に案内する案内部が設けられてなる請求項1又は2に記載の掘削装置。
【請求項4】
前記案内部は、前記排出口に向かって下り傾斜させるように、前記スライム集約排出部内に設けられてなる請求項3に記載の掘削装置。
【請求項5】
前記排出口には、排出用パイプが取り付けられてなる請求項3又は4に記載の掘削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の掘削装置として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。この掘削装置は、掘削用のケーシングと、ケーシングを回転駆動する全周回転駆動装置と、クレーンによりケリーロッドを介し吊支されて、ケーシング内に挿入される回転駆動ユニット及び破砕ユニットと、破砕ユニットに高圧エアを供給するスイベル継手とを備え、回転駆動ユニットはケーシングの内周面に圧接固定可能で且つ回転駆動手段を有し、破砕ユニットは、大径のダウンザホールハンマからなるもので、各ダウンザホールハンマは、前記回転駆動手段によって回転駆動されると共に、前記高圧エアによって打撃駆動されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような掘削装置は、掘削孔を形成した際発生するスライムが外部に飛び散ってしまい、もって、作業環境が悪化してしまう可能性があるといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、作業環境を改善することができる掘削装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1の発明によれば、全周回転装置(2)によって回転駆動されるケーシング(3)と、
前記ケーシング(3)内に挿入されるロッド(4)と、
前記ケーシング(3)の上部側に設けられ、前記ロッド(4)を回転駆動するテーブルマシーン(5)と、
前記ロッド(4)の下部側に設けられ、地盤(G)を掘削可能なハンマービット(42)と、
前記ハンマービット(42)によって前記地盤(G)を掘削した際発生するスライム(Gs)を、外部に排出する前に中空状の内部(空間K2)に一旦集約してから、外部に排出可能なスライム集約排出部(7)と、を有し、
前記ロッド(4)の外周面には、複数の凸条部(4a)が、該ロッド(4)の軸方向に沿って、所定間隔置きに設けられると共に、
前記スライム集約排出部(7)は、上面(7a)及び下面(7b)が閉止されていると共に、該上面(7a)には前記テーブルマシーン(5)が配置固定され、さらに、前記スライム集約排出部(7)は、前記上面(7a)及び下面(7b)を上下方向に貫通する挿入孔(7c)が設けられると共に、前記ケーシング(3)の上部側に設けられ、
前記ケーシング(3)の上部側に前記スライム集約排出部(7)を設けるにあたって、
前記スライム集約排出部(7)の下面(7b)に設けられている前記ロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第1ジョイント部(メス型のジョイント部14)に、上部ケーシングスイベル(12a)の上部に設けられている前記ロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第2ジョイント部(オス型のジョイント部12a1)が嵌合され、さらに、
前記上部ケーシングスイベル(12a)に連結されている下部ケーシングスイベル(12b)の下部に設けられている前記ロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第3ジョイント部(メス型のジョイント部12b1)に、前記ケーシング(3)の上部に設けられている前記ロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第4ジョイント部(オス型のジョイント部3b)が嵌合されることによって、前記ケーシング(3)の上部側に、前記上部ケーシングスイベル(12a)及び前記下部ケーシングスイベル(12b)を介して、前記スライム集約排出部(7)が設けられてなり、
前記ロッド(4)は、前記テーブルマシーン(5)の駆動用円環部材(5a)に前記複数の凸条部(4a)が係合されると共に、前記スライム集約排出部(7)に設けられている前記挿入孔(7c)内に、前記ケーシング(3)の内壁面との間に第1の隙間(隙間K)が形成されるように挿入され、さらに、
前記ロッド(4)は、隣り合う前記凸条部(4a)との間に形成されている第2の隙間と前記中空状の内部(空間K2)とが連通するように、前記挿入孔(7c)内に挿入され、
前記ハンマービット(42)によって前記地盤(G)を掘削した際発生するスライム(Gs)は、前記第1の隙間(隙間K)を通って、前記ロッド(4)の上部に導かれ、その上部に導かれたスライム(Gs)は、前記第2の隙間から、前記挿入孔(7c)を通って、前記中空状の内部(空間K2)に導かれることによって、該スライム(Gs)を前記スライム集約排出部(7)にて一旦集約してなることを特徴としている。
【0008】
一方、請求項2の発明によれば、全周回転装置(2)によって回転駆動されるケーシング(3)と、
前記ケーシング(3)内に挿入されるロッド(4)と、
前記ケーシング(3)の上部側に設けられ、前記ロッド(4)を回転駆動するテーブルマシーン(5)と、
前記ロッド(4)の下部側に設けられ、地盤(G)を掘削可能なハンマービット(42)と、
前記ハンマービット(42)によって前記地盤(G)を掘削した際発生するスライム(Gs)を、外部に排出する前に中空状の内部(空間K2)に一旦集約してから、外部に排出可能なスライム集約排出部(7)と、を有し、
前記ロッド(4)の外周面には、複数の凸条部(4a)が、該ロッド(4)の軸方向に沿って、所定間隔置きに設けられると共に、
前記スライム集約排出部(7)は、上面(7a)及び下面(7b)が閉止されていると共に、該下面(7b)には前記テーブルマシーン(5)が配置固定され、さらに、前記スライム集約排出部(7)は、前記上面(7a)及び下面(7b)を上下方向に貫通する挿入孔(7c)が設けられ、
前記ケーシング(3)の上部側に前記テーブルマシーン(5)を設けるにあたって、
前記テーブルマシーン(5)の下面(5c)に設けられている前記ロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第1ジョイント部(メス型のジョイント部14)に、上部ケーシングスイベル(12a)の上部に設けられている前記ロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第2ジョイント部(オス型のジョイント部12a1)が嵌合され、さらに、
前記上部ケーシングスイベル(12a)に連結されている下部ケーシングスイベル(12b)の下部に設けられている前記ロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第3ジョイント部(メス型のジョイント部12b1)に、前記ケーシング(3)の上部に設けられている前記ロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第4ジョイント部(オス型のジョイント部3b)が嵌合されることによって、前記ケーシング(3)の上部側に、前記上部ケーシングスイベル(12a)及び前記下部ケーシングスイベル(12b)を介して、前記テーブルマシーン(5)が設けられてなり、
前記ロッド(4)は、前記スライム集約排出部(7)に設けられている前記挿入孔(7c)内に、前記ケーシング(3)の内壁面との間に第1の隙間(隙間K)が形成されるように挿入され、さらに、
前記ロッド(4)は、隣り合う前記凸条部(4a)との間に形成されている第2の隙間と前記中空状の内部(空間K2)とが連通するように、前記挿入孔(7c)内に挿入され、
前記ハンマービット(42)によって前記地盤(G)を掘削した際発生するスライム(Gs)は、前記第1の隙間(隙間K)を通って、前記ロッド(4)の上部に導かれ、その上部に導かれたスライム(Gs)は、前記第2の隙間から、前記挿入孔(7c)を通って、前記中空状の内部(空間K2)に導かれることによって、該スライム(Gs)を前記スライム集約排出部(7)にて一旦集約してなることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3の発明によれば、上記請求項1又は2に記載の掘削装置(1)において、前記スライム集約排出部(7)は、排出口(7e)が設けられると共に、一旦集約した前記スライム(Gs)を前記排出口(7e)に案内する案内部(7f)が設けられてなることを特徴としている。
【0010】
そして、請求項4の発明によれば、上記請求項3に記載の掘削装置(1)において、前記案内部(7f)は、前記排出口(7e)に向かって下り傾斜させるように、前記スライム集約排出部(7)内に設けられてなることを特徴としている。
【0011】
そしてさらに、請求項5の発明によれば、上記請求項3又は4に記載の掘削装置(1)において、前記排出口(7e)には、排出用パイプ(11)が取り付けられてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
請求項1,2に係る発明によれば、ハンマービット(42)によって地盤(G)を掘削した際発生するスライム(Gs)は、第1の隙間(隙間K)を通って、ロッド(4)の上部に導かれ、その上部に導かれたスライム(Gs)は、第2の隙間から、挿入孔(7c)を通って、中空状の内部(空間K2)に導かれることによって、該スライム(Gs)をスライム集約排出部(7)にて一旦集約してから、外部に排出しているから、従来のように、スライム(Gs)が外部に飛び散ってしまうことがなくなる。これにより、本発明によれば、作業環境を改善することができる。
また、請求項1に係る発明によれば、スライム集約排出部(7)の下面(7b)に設けられているロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第1ジョイント部(メス型のジョイント部14)に、上部ケーシングスイベル(12a)の上部に設けられているロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第2ジョイント部(オス型のジョイント部12a1)が嵌合され、さらに、上部ケーシングスイベル(12a)に連結されている下部ケーシングスイベル(12b)の下部に設けられているロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第3ジョイント部(メス型のジョイント部12b1)に、ケーシング(3)の上部に設けられているロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第4ジョイント部(オス型のジョイント部3b)が嵌合されている。これによって、ケーシング(3)の上部側に、上部ケーシングスイベル(12a)及び下部ケーシングスイベル(12b)を介して、スライム集約排出部(7)が設けられる。それゆえ、誤って、ケーシング(3)が回転してしまったとしても、スライム集約排出部(7)が供回りしてしまう事態を防止することができる。これにより、ケーシング(3)が回転してしまったとしても、スライム集約排出部(7)は回転しないため、スライム(Gs)の排土位置を固定することができる。
また一方、請求項2に係る発明によれば、テーブルマシーン(5)の下面(5c)に設けられているロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第1ジョイント部(メス型のジョイント部14)に、上部ケーシングスイベル(12a)の上部に設けられているロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第2ジョイント部(オス型のジョイント部12a1)が嵌合され、さらに、上部ケーシングスイベル(12a)に連結されている下部ケーシングスイベル(12b)の下部に設けられているロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第3ジョイント部(メス型のジョイント部12b1)に、ケーシング(3)の上部に設けられているロッド(4)が挿入できるように内部が空洞に形成されている第4ジョイント部(オス型のジョイント部3b)が嵌合されている。これによって、ケーシング(3)の上部側に、上部ケーシングスイベル(12a)及び下部ケーシングスイベル(12b)を介して、テーブルマシーン(5)が設けられる。それゆえ、誤って、ケーシング(3)が回転してしまったとしても、テーブルマシーン(5)及びスライム集約排出部(7)が供回りしてしまう事態を防止することができる。これにより、ケーシング(3)が回転してしまったとしても、スライム集約排出部(7)は回転しないため、スライム(Gs)の排土位置を固定することができる。
【0015】
また、請求項3に係る発明によれば、スライム集約排出部(7)は、排出口(7e)が設けられると共に、一旦集約したスライム(Gs)を排出口(7e)に案内する案内部(7f)が設けられているから、一旦集約したスライム(Gs)を確実に外部に排出することができる。
【0016】
そして、請求項4に係る発明によれば、案内部(7f)は、排出口(7e)に向かって下り傾斜させるように、スライム集約排出部(7)内に設けられているから、一旦集約したスライム(Gs)をさらに確実に外部に排出することができる。
【0017】
そしてさらに、請求項5に係る発明によれば、排出口(7e)には、排出用パイプ(11)が取り付けられているから、簡単容易に、スライム(Gs)を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る掘削装置にて地盤を掘削している状態を示す一部縦断面図である。
【
図2】同実施形態に係る掘削装置の一部分解正面図である。
【
図3】同実施形態に係る掘削装置のスライム集約排出部側部分を示す斜視図である。
【
図4】他の実施形態に係る掘削装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る掘削装置の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0021】
<掘削装置の概要>
図1に示すように、掘削装置1は、吊支ワイヤYによって吊支されており、
図1~
図2に示すように、全周回転装置2と、ケーシング3と、ロッド4と、テーブルマシーン5と、スイベル機構6と、スライム集約排出部7と、で主に構成されている。以下、各構成について詳しく説明することとする。
【0022】
<全周回転装置の説明>
全周回転装置2は、
図1に示すように、水W上に浮かべた例えば、300t積み程度の平台船S上に設置されている。より詳しく説明すると、このような全周回転装置2は、一般的なオールケーシング工法に使用される全周回転圧入装置からなるもので、ケーシング3の外周面を掴持して全周回転させながらケーシング3を、
図1に示す地盤G中に押し込んで掘削するタイプのもので、周知の構造からなる。なお、
図1に示す地盤Gは、水底地盤からなるものであって、上部から順次、土泥層Ga、砂や砂礫の堆積層Gb、粗大礫層や岩盤からなる硬質支持層Gcより構成されている。
【0023】
<ケーシングの説明>
ケーシング3は、
図1及び
図2に示すように、軸方向(上下長手方向)に長尺な略円筒状に形成されており、
図1に示すように、ケーシング3内には、隙間Kを空けてロッド4が挿入できるようになっている。しかして、このようなケーシング3の下部には、
図2に示すように、下向きに鋭利な切歯状のケーシングカッター3aが設けられている。このケーシングカッター3aは、地盤Gを円形に掘削するものである。
【0024】
かくして、このように形成されるケーシング3は、全周回転装置2によって、外周面を掴持されて全周回転(
図1に示す矢印P1方向)しながら、地盤G中に押し込まれることとなる。
【0025】
<ロッドの説明>
ロッド4は、
図1に示すように、軸方向(上下長手方向)に長尺状に形成されており、第1ロッド4Aと、第2ロッド4Bと、第3ロッド4Cとが連結されて形成されている。具体的には、
図1に示すように、第1ロッド4Aの下部側と、第2ロッド4Bの上部側とが第1連結具40によって連結され、第2ロッド4Bの下部側と、第3ロッド4Cの上部側とが第2連結具41によって連結されている。
【0026】
しかして、このように形成されるロッド4の外周面には、軸方向(上下長手方向)に沿って、所定間隔置きに、複数の凸条部4aが設けられている。一方、このように形成されるロッド4の下部側には、複数のハンマービット42が設けられている。なお、この複数のハンマービット42は、従来周知のように、ロッド4の内部に設けられているダウンザホールハンマ(図示せず)の下端部に設けられているものである。
【0027】
かくして、このように形成されるロッド4は、図示しないハンマーグラブで、地盤Gを所定深度(例えば、
図1に示す堆積層Gb)まで掘削した後、
図1に示すように、ケーシング3内に隙間Kを空けて設置されることとなる。なお、ケーシング3は、図示しないハンマーグラブで、地盤Gを所定深度(例えば、
図1に示す堆積層Gb)まで掘削する際、全周回転装置2によって、外周面を掴持されて全周回転(
図1に示す矢印P1方向)しながら、地盤G中に押し込まれることとなる。
【0028】
<テーブルマシーンの説明>
テーブルマシーン5は、
図3に示すように、複数のL字の止め金具10を介して、スライム集約排出部7上に固定配置される。より詳しく説明すると、このようなテーブルマシーン5は、油圧駆動式のロータリーテーブルであって、
図3に示すように、内部に駆動用円環部材5aを回転自在に支持している。そして、この駆動用円環部材5aの内周面には、ロッド4の凸条部4aに対応する凹条部5a1が所定間隔置きに、複数設けられている。なお、この駆動用円環部材5aは、
図1~
図3に示す油圧ホース5bを通じて供給される作動用圧油によって駆動する油圧モータ(図示せず)によって回転することとなる。
【0029】
かくして、上記のように構成されるテーブルマシーン5内には、ロッド4が、
図3に示すように、テーブルマシーン5の駆動用円環部材5a内に挿入され、もって、ロッド4の凸条部4aと、駆動用円環部材5aの凹条部5a1とが係合されることとなる。これにより、図示しない油圧モータにより駆動用円環部材5aが回転すると、ロッド4も回転する(
図1に示す矢印P2参照)こととなる。なお、このテーブルマシーン5は、ケーシング3内に隙間Kを空けてロッド4を設置する際、スライム集約排出部7上に設置されることとなる。そのため、テーブルマシーン5は、ケーシング3の全周回転(
図1に示す矢印P1方向)が終了した後、ロッド4を回転することとなる。それゆえ、ケーシング3と、ロッド4が共に回転することはない。
【0030】
<スイベル機構の説明>
スイベル機構6は、
図1~
図3に示すエアーホース6aが設けられており、このエアーホース6aには、図示しないエアコンプレッサーからの圧力エアが供給される。そして、このようなスイベル機構6は、
図3に示すように、ロッド4の上面4bに、図示しない連結ピン等を用いて連結され、吊支ワイヤYによって吊支される。
【0031】
ところで、エアーホース6aに供給された圧力エアは、ロッド4内に配置されているエアーパイプ(図示せず)に供給され、エアーパイプに圧力エアが供給されるとダウンザホールハンマ(図示せず)が、圧力エアによって上下動する。これにより、ダウンザホールハンマ(図示せず)の下動時に、複数のハンマービット42が、
図1に示す地盤Gを打撃することとなる。しかして、この打撃力と、テーブルマシーン5によって回転される回転力によって地盤Gを掘削するようになっている。
【0032】
ところで、上記のように地盤G(
図1参照)を掘削すると、スライムGs(
図1,
図3参照)が発生する。このようなスライムGsは、スイベル機構6より供給された圧力エアが、ロッド4の下部側より噴出されることにより、
図1に示す隙間Kを通って、
図3に示すように、スライム集約排出部7内に導かれることとなる。
【0033】
<スライム集約排出部の説明>
スライム集約排出部7は、
図3に示すように、円筒状に形成されており、内部にスライムGsを一旦集約するための空間K2が形成されている。そして、このように形成されるスライム集約排出部7には、
図3に示すように、テーブルマシーン5の中心軸線と同一となる位置に、上面7a及び下面7bに、上下方向に貫通するように、挿入孔7cが設けられている。これにより、
図3に示すように、この挿入孔7c内に、ロッド4が挿入されることとなる。なお、この際、スライムGsが空間K2に導かれるように、
図1に示す隙間Kを空けて、挿入孔7c内にロッド4が挿入されることとなる。
【0034】
また、
図3に示すように、スライム集約排出部7の右側面7d下面7b側には、空間K2内に一旦集約したスライムGsが外部に排出される排出口7eが貫通して設けられている。そして、この排出口7eに向かって下り傾斜させるように、スライム集約排出部7の内部には、案内部7fが設けられている。この案内部7fは、スライム集約排出部7の左側面7gのやや中間部から下面7b側に向かって、右斜め方向に下り傾斜しており、空間K2内に一旦集約したスライムGsを、排出口7e側に案内するものである。
【0035】
しかして、このように、スライム集約排出部7に排出口7eを設け、その排出口7eに空間K2内に一旦集約したスライムGsを案内する案内部7fを設けるようにすれば、空間K2内に一旦集約したスライムGsを確実に外部に排出できることとなる。また、本実施形態に示すように、案内部7fを排出口7eに向かって下り傾斜させるようにすれば、空間K2内に一旦集約したスライムGsをさらに確実に外部に排出できることとなる。
【0036】
ところで、
図3に示すように、排出口7eには、排出用パイプ11が連結されており、外部に排出されたスライムGsは、排出用パイプ11内を通って、
図1に示すダンプカーDに排出されることとなる。しかして、このようにすれば、簡単容易に、スライムGsを回収できることとなる。
【0037】
かくして、上記のように構成されるスライム集約排出部7は、
図2に示すように、ケーシング3の上部側に、ケーシングスイベル12を介して連結されることとなる。より詳しく説明すると、ケーシングスイベル12は、
図2に示すように、上部ケーシングスイベル12aと、下部ケーシングスイベル12bとで構成されており、上部ケーシングスイベル12aと、下部ケーシングスイベル12bとは、コラムロック13によって連結されている。そして、この上部ケーシングスイベル12aの上部には、
図2に示すように、ロッド4が挿入できるように内部が空洞に形成されているオス型のジョイント部12a1が設けられており、このオス型のジョイント部12a1に、
図2及び
図3に示すように、スライム集約排出部7の下面7bに一体的に設けられているロッド4が挿入できるように内部が空洞に形成されているメス型のジョイント部14が嵌合することとなる。これにより、上部ケーシングスイベル12aに、スライム集約排出部7が連結されることとなる。なお、この際、
図1~
図3に示すように、複数のコラムロック15を用いて、オス型のジョイント部12a1と、メス型のジョイント部14との嵌合状態が維持されることとなる。また、オス型のジョイント部12a1と、メス型のジョイント部14との嵌合状態が維持され、ロッド4が挿入される際、スライムGsが空間K2に導かれるように、
図1に示す隙間Kを空けて、ロッド4が挿入されることとなる。
【0038】
一方、下部ケーシングスイベル12bの下部には、
図2に示すように、ロッド4が挿入できるように内部が空洞に形成されているメス型のジョイント部12b1が設けられており、このメス型のジョイント部12b1に、ケーシング3の上部に設けられているオス型のジョイント部3bが嵌合することとなる。これにより、下部ケーシングスイベル12bに、ケーシング3が連結されることとなる。
【0039】
かくして、このようにすれば、スライム集約排出部7は、
図2に示すように、ケーシング3の上部側に、ケーシングスイベル12を介して連結されることとなる。なお、ケーシングスイベル12には、
図1及び
図2に示すように、テーブルマシーン5の中心軸線と同一となる位置に、ロッド4が挿入できるように、上下方向に亘って貫通孔12cが設けられている。この貫通孔12c内にロッド4が挿入される際、スライムGsが空間K2に導かれるように、
図1に示す隙間Kを空けて、ロッド4が挿入されることとなる。
【0040】
ところで、スライム集約排出部7を、ケーシングスイベル12を介して連結するにあたっては、ケーシング3内に隙間Kを空けてロッド4を設置する際、連結されることとなる。そして、このような連結を行った後、テーブルマシーン5によって、ロッド4のみが回転することとなるため、ケーシング3が回転することはない。それゆえ、ケーシング3の回転によって、スライム集約排出部7が供回りすることはない。しかしながら、誤って、ケーシング3が回転してしまったとしても、ケーシングスイベル12を介して連結しているから、スライム集約排出部7が供回りしてしまう事態を防止することができる。しかして、このようにすれば、誤ってケーシング3が回転してしまったとしても、スライム集約排出部7は回転しないため、スライムGsの排土位置を固定することができる。
【0041】
なお、
図3に示すように、スライム集約排出部7の上面7aには、作業者が作業できる作業台16が固定配置されている。
【0042】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、テーブルマシーン5内に挿入されたロッド4は、
図1に示す隙間Kを空けて、スライム集約排出部7及びケーシングスイベル12並びにケーシング3内に挿入される。それゆえ、地盤G(
図1参照)を掘削した際発生するスライムGs(
図1,
図3参照)は、
図1に示す隙間Kを通って、
図3に示すように、スライム集約排出部7内に導かれることとなる。そして、このスライム集約排出部7は、スライムGs(
図1,
図3参照)を一旦集約してから外部に排出することができるため、従来のように、スライムGsが外部に飛び散ってしまうことがなくなり、もって、作業環境を改善することができる。
【0043】
なお、本実施形態において示した掘削装置1の形状はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、複数のハンマービット42を設ける例を示したが、勿論、単数のハンマービットでも良い。
【0044】
また、本実施形態においては、スライム集約排出部7を、ケーシング3の上部側に、ケーシングスイベル12を介して連結する例を示したが、それに限らず、
図4に示すような位置にスライム集約排出部7を設けるようにしても良い。すなわち、
図4に示すように、テーブルマシーン5上に、図示しないビス等用いて、スライム集約排出部7を固定配置するようにしても良い。このようにしても、スライム集約排出部7は、地盤G(
図1参照)を掘削した際、発生するスライムGs(
図1,
図3参照)を一旦集約して、外部に排出することができるため、作業環境を改善することができる。
【0045】
ところで、テーブルマシーン5上に、スライム集約排出部7を固定配置するにあたっては、ケーシング3の上部側にケーシングスイベル12を介してテーブルマシーン5を連結するようにすれば良い。すなわち、
図4に示すように、スライム集約排出部7の下面7bに一体的に設けられているメス型のジョイント部14を、テーブルマシーン5の下面5cに一体的に設けるようにすれば良い。これにより、ケーシング3の上部側にケーシングスイベル12を介してテーブルマシーン5を連結することができる。しかして、このようにすれば、誤って、ケーシング3が回転してしまったとしても、ケーシングスイベル12を介して連結しているから、テーブルマシーン5及びスライム集約排出部7が供回りしてしまう事態を防止することができる。それゆえ、誤ってケーシング3が回転してしまったとしても、スライム集約排出部7は回転しないため、スライムGsの排土位置を固定することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 掘削装置
2 全周回転装置
3 ケーシング
4 ロッド
42 ハンマービット
5 テーブルマシーン
7 スライム集約排出部
7e 排出口
7f 案内部
11 排出用パイプ
12 ケーシングスイベル
G 地盤
Gs スライム