(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】医療装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
A61B17/32 510
(21)【出願番号】P 2020517117
(86)(22)【出願日】2018-09-17
(86)【国際出願番号】 GB2018052646
(87)【国際公開番号】W WO2019053469
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-16
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520095924
【氏名又は名称】アクティブ・ニードル・テクノロジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ACTIVE NEEDLE TECHNOLOGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】カーク・イアン
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド・ロハーン・サディク
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-513564(JP,A)
【文献】特表2013-515463(JP,A)
【文献】米国特許第05538010(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療行為で使用する装置であって、前記装置は、
第1の端部、第2の端部、および前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる長軸を有する細長部材であって、
前記第1の端部は、尖った端部であり、前記第2の端部は、一体ハブを備える、細長部材と、
前記一体ハブを受けるように構成されたソケットを備える超音波振動子と、を備え、
前記超音波振動子は、前記細長部材を実質的に前記長軸に沿って
20kHzから70kHzの間の周波数で振動させるように構成され、
振動の最大振幅は、2μm以下に制限される、
装置。
【請求項2】
前記超音波振動子は、40kHzから50kHzの間で、前記細長部材を振動させるように構成されている、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記細長部材が前記超音波振動子によって振動すると、振動していないときと比べて、前記細長部材の前記第1の端部を体内組織を通すために必要な力が減少する、請求項1
または請求項
2に記載の装置。
【請求項4】
前記一体ハブは、外側ねじ山部を備え、および/または
前記ソケットは、内側ねじ山部を備え、および/または
前記一体ハブと前記ソケットは、バヨネット接続を形成し、または
前記一体ハブと前記ソケットは、スナップ式接続を形成する、
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記細長部材は、針である、請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記針は、中空針であり、
前記中空針は、流体が前記針を通過できるように構成された通路を備え、
前記超音波振動子は、流体が前記超音波振動子を通過できるように構成されたチャネルを備え、
前記チャネルは、滅菌管を受けるように構成され、
前記中空針は、前記滅菌管の第1の端部を受けるように構成されている、
請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記細長部材は、前記尖った端部に向かってサンプル切り欠きを備えるスタイレットである、請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記スタイレットを少なくとも部分的に囲み、前記スタイレットに対して長軸に沿って摺動可能なカニューレをさらに備え、
前記カニューレは、前記カニューレの中心長軸に対して対称である切断チップを備え、
第1の構成において、前記サンプル切り欠きは、前記カニューレ内に隠れ、第2の構成において、前記カニューレは、前記サンプル切り欠きが十分に露出するように前記スタイレットの前記長軸に沿って引かれ、
前記装置は、前記カニューレを前記スタイレットの前記長軸に沿って前記第2の構成から前記第1の構成へと前進させるように構成されたばね荷重機構をさらに備える、
請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
トリガをさらに備え、前記トリガは、前記カニューレを前記第2の構成で保持し、使用者によって前記トリガが作動されると前記カニューレを解放して前記カニューレを前記第1の構成へと急速に前進させるように構成された、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
ロックナットをさらに備える、請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記ロックナットは、ソケット部を備える、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前記ソケット部の内表面は、前記細長部材のハブの基部の外周に対応するように形成されている、請求項
11に記載の装置。
【請求項13】
前記細長部材のハブの基部と前記ロックナットの前記ソケット部は、解放自在に係合するように構成されている、請求項
11または請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
前記ロックナットは外表面を備え、前記外表面は把持可能部を備える、請求項
10から請求項
13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記超音波振動子によって生成された振動の振幅および/または周波数は、使用者によって制御可能である、請求項1から請求項
14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記医療行為は、超音波ガイドである、請求項1から請求項
15のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動プローブに関する。特に、本発明は、超音波ガイド医療行為に使用される振動針装置に関する。
【0002】
医療行為は、患者の組織へのプローブの挿入をしばしば伴う。医師がプローブを正確に挿入し配置するのを支援するために、患者の体へのプローブの配置は、超音波のガイド下でよく行われる。超音波を使用すると、音波を用いて内部組織の像を作り、臨床医がプローブを試料とされた組織内へと誘導するのを支援する。しかしながら、内部組織の像を有するにもかかわらず、プローブの寸法が典型的には薄いため、プローブの画像を再現するのはしばしば困難である。したがって、組織へのプローブチップの正確な配置は難しく、特に目標位置が急勾配かつ深いと難しい。加えて、組織内へプローブを挿入するのに比較的大きな力がしばしば必要とされる。したがって、挿入中にプローブが曲がる危険性がある。これは、患者の不快感の原因となる可能性がある。
【背景技術】
【0003】
英国特許公開第2367895号には、圧電ドライバユニットを備えたシステムが開示されている。当該圧電ドライバユニットは、針の基部に取り付けられ、それにより、使用中、圧電ドライバが長手方向振動を針に与え、従来型の医療超音波画像化システムによって見ることができる。当該システムは、生体検査などの医療行為用に設計されており、超音波画像化システム上で針をより鮮明に見ることができる。
【0004】
英国特許公開第2367895号のシステムは、振動の周波数が2kHz以下という制限があり、超音波領域では動作しない。圧電ドライバは、針の基部からはオフセットしており、電機子によって結合されている。電機子は、振るような方法で動き、針に長手方向の揺動だけでなく屈曲を生じさせる。当該装置は、超音波下で針チップの可視化だけに関係しており、針の力の軽減の問題には対処していない。
【0005】
米国特許公開第2016/0242811号には、超音波作動式医療用具が開示されている。医療用具は、第1の質量アセンブリおよび第2の質量アセンブリと、主軸に沿って延び、かつ少なくとも部分的に質量アセンブリによって定められたチャネルと、主軸に沿って第1の質量アセンブリと第2の質量アセンブリとの間で往復運動を引き起こすように作動可能な圧電要素と、チャネルに受け入れられ、かつ第1の質量アセンブリに固定的に結合されたプローブ部材と、を含む。プローブ部材は、典型的にコレットまたは類似の機構に把持される。
【0006】
本発明は、従来技術のこれらのおよび他の制限に対処している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】英国特許公開第2367895号
【文献】米国特許公開第2016/0242811号
【発明の概要】
【0008】
第1の実施形態によると、本発明は、医療行為で使用する装置を提供する。当該装置は、
第1の端部、第2の端部、および前記端部の間に延びる長軸を有する細長部材であって、
前記第1の端部は、尖った端部であり、前記第2の端部は、一体ハブを備える、細長部材と、
前記ハブを受けるように構成されたソケットを備える超音波振動子と、を備え、
前記振動子は、前記細長部材を実質的に前記長軸に沿って前記細長部材の共振周波数または当該共振周波数付近で振動させるように構成されている。
【0009】
第2の実施形態によると、本発明は、患者から組織サンプルを採取する方法を提供する。当該方法は、
第1の実施形態に記載の装置を提供するステップと、
前記細長部材を前記患者内へ挿入するステップと、
前記細長部材を超音波周波数で振動させるステップと、
超音波を用いてプローブを可視化するステップと、を含む。
【0010】
細長部材-振動子接続は、細長部材と振動子との間に確実な接続点を提供ことで、振動子から細長部材への効率的なエネルギ伝達を提供できる。さらに、細長部材を振動させると、医療行為の間にプローブを体内組織へと挿入するために必要な力の量が減少する。
【0011】
振動子は、細長部材を縦方向に振動させるように構成されてもよい。縦方向は、長手方向であってもよい。縦振動は、細長部材を体内組織へ挿入するために必要な力をさらに減少させることができる。同様に、挿入時の細長部材のたわみの量も減少する。
【0012】
接続構成は、雄型接続部材と雌型接続部材を備えることができる。雄型接続部材と雌型接続部材は、互いに接続されるように構成され得る。雄型接続部材は、細長部材上にあってもよい。雌型接続部材は、振動子上にあってもよい。雄型接続部材は、振動子上にあってもよい。雌型接続部材は、細長部材上にあってもよい。対応する雄型および雌型接続部材は、確実な接続手段を提供することができる。
【0013】
接続構成は、ねじ機構を備えることができる。ねじ機構は、細長部材と振動子との間に大きな接触点を提供できる。これは、細長部材と振動子との間の確実かつ安定した接続を確保するのに役立つ。大きな接触点は、また、振動子からプローブへのより信頼性のある振動伝達を提供する。したがって、エネルギ損失が少なく、エネルギ伝達においてより効率的な接続をする。
【0014】
細長部材は、外側ねじ山部を備えることができる。振動子は、内側ねじ山部を備えることができる。細長部材は、内側ねじ山部を備えてもよい。振動子は、外側ねじ山部を備えてもよい。細長部材のねじ山部は、振動子のねじ山部と接続されるように適切に構成されている。これにより、細長部材を、振動子と接続するために振動子内へと螺合することができる。したがって、プローブを、振動子内へと螺合することができ、または振動子を細長部材内へと螺合することができる。
【0015】
代替的に、接続構成は、バヨネット機構を備えてもよい。接続構成は、スナップ式機構を備えてもよい。バヨネット機構とスナップ式機構の両方とも、細長部材と振動子との間に大きく、確実な接続点を提供でき、プローブを振動子に固定するために圧縮の提供または把持機構に依存しない。
【0016】
細長部材は、接続部材を用いて振動子に接続されてもよい。接続部材は、プローブと振動子との間に接続され得る。接続部材は、細長部材と振動子との間の付加的な中間部品であってもよい。細長部材は、ねじ機構を用いて接続部材に接続されてもよい。細長部材は、バヨネット機構を用いて接続部材に接続されてもよい。細長部材は、スナップ式機構を用いて接続部材に接続されてもよい。細長部材は、クリップ機構を用いて接続部材に接続されてもよい。振動子は、前述の接続手段のいずれかを用いて接続部材に接続されてもよい。細長部材と振動子は、同一または異なる接続手段を用いて接続部材に接続されてもよい。
【0017】
接続部材は、クリップであってもよい。クリップは、第1の把持端部と第2の把持端部を備えることができる。第1の把持端部は、プローブに取り付けるように構成され得る。第2の把持端部は、振動子に取り付けるように構成され得る。第1の把持端部と第2の把持端部は、第1のアームと第2のアームであってもよい。第1のアームと第2のアームは、曲がっていてもよい。クリップは、金属またはプラスチック材料を含む、任意の適切な材料で作ることができる。
【0018】
中間接続部材を提供することで、細長部材と振動子は、接続を生じさせるために細長部材と振動子のいずれも再設計する必要なく、互いに接続できる。したがって、任意の細長部材が任意の振動子に接続され得る。したがって、振動子は、接続部材の使用を通じて、任意の細長部材を振動させるように構成され得、特別設計の細長部材を使用する必要がない。
【0019】
細長部材は、針状構造であってもよい。細長部材は、針であってもよい。針は、医療行為中によく使用される医療機器である。細長部材は、アブレーションプローブであってもよい。針は、生検針であってもよい。針は、薬品送達針であってもよい。針は、体外受精針であってもよい。針は、真空補助下生検針であってもよい。針は、羊水穿刺針であってもよい。針は、絨毛膜標本採取針であってもよい。針は、静脈または動脈アクセス用であってもよい。針は、ステント留置用であってもよい。
【0020】
針は、中空針であってもよい。中空針は、流体が針を通過できるように構成された通路を備えてもよい。これにより、体内組織へ流体を注入するために中空針を使用することができる。
【0021】
振動子は、流体が振動子を通過できるように構成されたチャネルを備えてもよい。これにより、流体が振動子を通じて中空針へと通ることができるように、中空針を振動子に接続できる。したがって、振動子は、注入行為の間、中空針を振動させるために使用され得る。
【0022】
管は、振動子のチャネルへと挿入されるように構成されてもよい。管は、滅菌管であってもよい。管は、第1の端部と第2の端部を備えてもよく、第1の端部と第2の端部は、密封されている。これにより、管環境が、汚染物質がない状態を維持し、管の内側が滅菌されている状態を確保する。
【0023】
細長部材は、滅菌管の第1の端部に取り付けられるように構成され得、注射器は、滅菌管の第2の端部に取り付けられるように構成され得る。したがって、中空針は、管の第1の端部に取り付けられるように構成され得る。これにより、注射器内にある流体を、振動子を通じて中空針へと送達するための滅菌環境を提供される。
【0024】
針は、中実針であってもよい。中実針は、中実のワイヤおよび当該中実ワイヤの周りを囲い、覆っている空管を備えることができる。中実針は、スタイレットおよびカニューレを備えてもよい。スタイレットは、また、サンプル切り欠きを備えることができる。中実針は、生検を実行するために使用され得、サンプル切り欠きは、組織サンプルを収集するために使用され得る。
【0025】
本発明のシステムは、細長部材を縦に振動させるように設計されている。サンプル切り欠きがあると、針は、また、共振で曲がり、これは利点を有する。振動振幅を増加させると、超音波可視化下で切り欠きの二つの端部を目立たせることができ、施術者がサンプル切り欠きを腫瘤に合わせることができる。
【0026】
カニューレは、チップを備えてもよい。カニューレチップは、カニューレの中心長軸に対して対称であってもよい。対称なカニューレは、針が振動子によって振動されているとき、屈曲運動を減らす。対称なカニューレチップは、サンプル切り欠きの方向が予測できない、スタイレットの振動子への接続がねじ機構を用いる実施形態で特に好適である。対称なカニューレチップは、スタイレット切り欠きの位置に関係なく組織を切断できる。
【0027】
カニューレは、切断チップを備えてもよい。例えば、カニューレの遠位端は、斜面、角度または突端を特徴としてもよい。
【0028】
スタイレットは、チップを備えてもよい。スタイレットチップは、スタイレットの中心長軸に対して対称であってもよい。対称なスタイレットは、針が振動子によって振動されているとき、屈曲運動を減らす。
【0029】
中実針のサンプル切り欠きは、サンプル切り欠きの中心長軸に対して対称であってもよい。対称なサンプル切り欠きは、針が振動子によって振動されているとき、屈曲運動を減らす。
【0030】
スタイレットは、接続構成を通じて振動子に接続されるように構成されてもよい。
【0031】
スタイレットは、一体ハブを含む。したがって、接続部材は、ハブを備えることができる。ハブは、スタイレットを振動子に接続するのに便利な手段を提供することができる。これにより、接続機構が実際にスタイレット上に存在する必要がなくなる。これにより、スタイレットが損傷する危険性を減らすことができる。
【0032】
スタイレットハブは、基部を備えてもよい。したがって、接続部材は、スタイレットハブの基部を備えることができる。スタイレットは、スタイレットハブの基部に接続されるように構成され得る。スタイレットは、ハブの基部の孔を介してスタイレットハブの基部に取り付けられ得る。したがって、スタイレットの長さは、ハブの基部の孔内に延びることができる。基部は、スタイレットを振動子に取り付けるために使用されてもよい。したがって、基部は、接続機構の結果としてスタイレットが損傷するのを防ぐのに役立ち得る、振動子に接続されるスタイレットの分割部を提供できる。
【0033】
スタイレットは、ろう付け接合によってスタイレットハブの基部に取り付けられてもよい。スタイレットは、溶接接合によってスタイレットハブの基部に取り付けられてもよい。スタイレットは、溶融によって基部に取り付けられてもよい。スタイレットは、接着を用いて基部に取り付けられてもよい。これらの接合は、スタイレットをハブに取り付ける固定方法を提供できる。
【0034】
好ましくは、スタイレットハブは、外側ねじ山部を備え、これは基部から延びている。スタイレットハブの外側ねじ山部は、振動子の内側ねじ山部と係合するように構成されてもよい。代替的に、スタイレットハブは、振動子の外側ねじ山部と係合するように構成され得る内側ねじ山部を備えてもよい。これは、スタイレットを振動子に取り付ける単純かつ便利な方法を提供する。
【0035】
装置は、ロックナットを備えることができる。ロックナットは、スタイレットが振動子に取り付けられている間、スタイレットを保つために使用され得る。したがって、ロックナットは、振動子がスタイレットに取り付けられている間、スタイレットを一定の場所に保持するために使用され得、これは取り付け工程を容易にするのに役立ち得る。ロックナットは、したがって、使用者がスタイレットを振動子に接続するのに役立つ。
【0036】
ロックナットは好ましくは、ソケット部を備える。ソケット部は、ロックナットをスタイレットに取り付けるために使用され得る。ソケット部は、振動子がスタイレットに取り付けられている間、スタイレットを所定の位置に保持するために使用されてもよい。
【0037】
ソケット部の内表面は、スタイレットハブの基部の外周に対応する形状を有することができる。これにより、ソケット部がスタイレットハブの基部上にしっかりと合うことを確保する。これにより、ソケット部がスタイレットハブ上に有する把持部を改善し、スタイレットを振動子に容易に接続できる。ソケット部は、金属挿入を備えてもよい。金属挿入は、スタイレットハブ上のソケット部の把持部を改善するために、スタイレットの基部の外周に対応するように形成されてもよい。
【0038】
スタイレットハブの基部は、実質的に六角形状の断面を有することが好ましい。ソケット部は、実質的に六角形状の断面を有することができる。代替的に、ソケット部は、実質的に八角形状の断面を有してもよい。ソケット部は、実質的に正多角形状の断面を有してもよい。多角形断面により、基部とソケット部との間に適切な把持を提供できる。これにより、振動子をスタイレットに螺合している間、スタイレットが確実に回転しないようにでき、スタイレットハブの螺合工程を容易にする。
【0039】
スタイレットハブの基部とロックナットのソケット部は、解放自在に係合されるように構成されることが好ましい。したがって、ロックナットは、必要に応じて取り付けられ得る。
【0040】
ロックナットは、外表面を備える。外表面は、把持可能部を備えることが好ましい。把持可能部は、外表面の一部にあってもよい。代替的に、把持可能部は、全外表面にわたって延びていてもよい。把持可能部は、使用者がロックナットを確実に把持する一助となる。
【0041】
把持可能部は、複数の溝を備えることが好ましい。溝は、ロックナットが作られるのと同時にロックナットに形成されてもよい。したがって、把持可能部を設けるために独立した製造ステップは必要ない。把持可能部は、ローレットを備えてもよい。把持可能部は、任意の他の適切な把持機構を備えてもよい。
【0042】
ロックナットは、ロックナットの長さに沿って縦スリットを備えることが好ましい。縦スリットは、ロックナットの全長に沿って延びていてもよい。スリットにより、ロックナットは、針のスタイレットの周りへとはめ込まれることができる。これにより、ロックナットは、針装置を分解する必要なくスタイレットに取り付けられることができ、同様の方法で取り外される。
【0043】
振動子に供給される電流の振幅および/または周波数は、使用者によって手動で制御され得る。使用者は、制御パネルを用いて電圧を制御してもよい。これにより、使用者は、異なる種類のプローブ用に最適化するために電圧を調整できる。したがって、使用者は、プローブの共振周波数またはその付近で振動させてプローブを確実に使用することができる。
【0044】
装置は、保護シースをさらに備えてもよい。保護シースは、振動子を囲むように構成されてもよい。シースは、滅菌シースであってもよい。これにより、振動子が医療行為中に確実に汚染されないようにでき、振動子を再利用することができる。
【0045】
本発明の別の態様によると、医療行為で使用するための装置を組み付ける方法が提供されている。装置は、細長部材と振動子を備える。方法は、接続構成を用いて細長部材を振動子に接続するステップと、振動子が細長部材を振動させるように電圧を振動子に供給するように構成された電源供給に振動子を接続するステップと、を含む。
【0046】
本発明の別の態様によると、超音波ガイド下生検で使用される実質的に上記されたような装置が提供されている。
【0047】
本発明の別の態様によると、患者から組織サンプルを採取する方法が提供されており、当該方法は、
本明細書に定められているような装置を提供するステップと、
細長部材を患者へと挿入するステップと、
超音波を用いて細長部材を可視化するステップと、
プローブを患者内の関心領域へと導くステップと、
組織のサンプルを採取するステップと、を含む。
【0048】
本発明の別の態様によると、医療行為を行う方法が提供されており、当該方法は、
本明細書に定められているような装置を提供するステップと、
細長部材を患者へと挿入するステップと、
超音波を用いてプローブを可視化するステップと、
細長部材を目標領域へと導くステップと、
医療行為を行うステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して、単なる例として、記載されている。
【0050】
【
図3】
図3は、スタイレットおよびカニューレの斜視図である。
【
図4】
図4は、スタイレットおよびカニューレの斜視図である。
【
図7a】
図7aは、カニューレチップの斜視図である。
【
図7b】
図7bは、カニューレチップの斜視図である。
【
図7c】
図7cは、カニューレチップの斜視図である。
【
図7d】
図7dは、カニューレチップの斜視図である。
【
図7e】
図7eは、カニューレチップの斜視図である。
【
図8a】
図8aは、スタイレットチップの斜視図である。
【
図8b】
図8bは、スタイレットチップの斜視図である。
【
図8c】
図8cは、スタイレットチップの斜視図である。
【
図8d】
図8dは、スタイレットチップの斜視図である。
【
図8e】
図8eは、スタイレットチップの斜視図である。
【
図9a】
図9aは、サンプル切り欠きの斜視図である。
【
図9b】
図9bは、サンプル切り欠きの斜視図である。
【
図9c】
図9cは、サンプル切り欠きの斜視図である。
【
図9d】
図9dは、サンプル切り欠きの斜視図である。
【
図9e】
図9eは、サンプル切り欠きの斜視図である。
【
図11】
図11は、針ハウジング、針、およびトリガ機構の分解図である。
【
図12】
図12は、針ハウジングおよびトリガ機構の断面図である。
【
図25a】
図25aは、振動子ハウジングの端部キャップの斜視図である。
【
図25b】
図25bは、振動子ハウジングの端部キャップの斜視図である。
【
図35a】
図35aは、針ハウジングおよび振動子ハウジングの側面図である。
【
図35b】
図35bは、針ハウジングおよび振動子ハウジングの側面図である。
【
図35c】
図35cは、針ハウジングおよび振動子ハウジングの側面図である。
【
図35d】
図35dは、針ハウジングおよび振動子ハウジングの側面図である。
【
図35e】
図35eは、針ハウジングおよび振動子ハウジングの側面図である。
【
図39】
図39は、代替的な振動子および滅菌管の断面図である。
【
図44】
図44は、針ハウジングの代替的な実施形態の斜視図である。
【
図45】
図45は、スペーサの代替的な実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、発明装置2の実施形態を示す。ここで、振動装置2は、振動針装置2である。装置2は、針ハウジング6内に包含された針4を備える。針4は、振動子ハウジング8内に包含された振動子112に接続されている。したがって、針ハウジング6および振動子ハウジング8は、互いに接続されている。針4は、振動子112を介して超音波生成ユニット10に接続されている。フットスイッチ12は、生成ユニット10に接続され、使用者が生成ユニット10を起動できる。超音波生成ユニット10は、超音波を使って針4をその共振周波数で振動させる。
【0052】
本明細書に記載されている針4は、さまざまな深い組織への適用に使用され得る。これは、腎臓、肝臓および肺を含むが、それらに限定するものではない。
【0053】
図2を参照すると、針は、スタイレット14およびカニューレ16を備える。スタイレット14は、片端に切断チップ18、およびスタイレット14の長さに沿って途中に配置されたサンプル切り欠きまたは切り欠き20を備える中実の内部針である。チップ18は、組織の層を突き刺すために使用され、サンプル切り欠き20は、組織サンプルを収集するために使用される。
図3および
図4を参照すると、カニューレ16は、片端に切断エッジ22を有する中空の管である。カニューレ16は、サンプル切り欠き20内に入れられる所望の組織サンプルを切る。カニューレ16はスタイレット14の周りを囲み、スタイレット14に対して移動可能に構成されている。例えば、
図3は、延長構成のカニューレ16を示し、カニューレ16は、スタイレット14の全長を実質的に取り囲んでいる。
図4は、引き出し構成のカニューレ16を示し、カニューレ16は、スタイレット14の一部(この場合はチップ18とサンプル切り欠き20)が露出されている。カニューレ16は、カニューレ16の長さに沿って目盛り印24を備えている。目盛り印24は、カニューレ16の長さに沿って均等な間隔をあけて配置された外周リングであるが、視覚的な印を設ける任意の他の適切な手段が使用されてもよい。目盛り印24は、挿入の深さを把握できる機構を使用者に提供し、組織内のカニューレ16の深さを使用者に示すように使用される。目盛り印24は、センチメートルの印だが、代わりに、任意の他の適切な大きさを使用できる。
【0054】
振動針4は、生体検査に使用され得る。カニューレ16とスタイレット14を含む針4の設計は、実施される生検方法の種類によって変わる。二つの主要な種類の方法は、エンドカット(Endcut)生検と、ツルーカット(Trucut)生検である。従来のツルーカット生検は、まず、カニューレ16からスタイレット14を延ばす必要がある。そして、スタイレット14は、組織標本へと挿入され、または押し込まれる。スタイレット14がまだ組織内にあるとき、カニューレ16は、スタイレット14上を摺動し、組織のサンプルを切り取る。組織サンプルは、スタイレット14のサンプル切り欠き20内に包含される。カニューレ16およびスタイレット14は、組織から引き出され、カニューレ16はまだスタイレット14を覆っている。
【0055】
従来のツルー生検が備える危険性として、関心の組織標本が良性(例えば組織が硬いまたは弾力性があると感じる)であった場合、使用者は、スタイレット14を組織に押し込むために通常よりも大きな力を加えることを要求されることがある。これは、針4のスタイレット14のチップの曲げ、または破壊さえ生じさせる可能性がある。患者の体内で針が曲がると患者に痛みをもたらす場合がある一方、破損した針チップは、チップの破損部分を回収するために外科手術を必要とする場合がある。
【0056】
針が曲がるまたは破損するという危険を避けるために、本明細書に記載されている針装置2は、層状の針生検手法に基づいて設計されている。ここで、スタイレット14が組織内へ押し込まれるとき、カニューレ16はまだ、スタイレット14を覆っている。すなわち、カニューレ16は、挿入前に露出させるためにスタイレット14上を引き戻されない。したがって、スタイレット14とカニューレ16は、ともに且つ同時に組織内へと挿入される。一旦組織内に挿入されると、カニューレ16は、スタイレット14上を摺動するようにカニューレ16を引き戻すことで引き出され、スタイレット14を露出させる。カニューレ16は、スタイレット14上を摺動されるように前進し、従来のツルー手法のように標本のサンプルを切り取る。そして、スタイレット14とカニューレ16の両方は、組織から引き抜かれる。
【0057】
カニューレ16の大きさは、ゲージと長さによって決定される。カニューレ16の長さは、カニューレ16の作業長さ、すなわちカニューレ16の露出長さを表す。カニューレ16のゲージは、16Gであるが、
図5に示すような他の任意の適切なゲージが使用され得ることが理解されるだろう。針4のゲージは、超音波振動の影響下での針4の挙動によって部分的に決定される。概して、より太い針4は、超音波振動の様々なモードとより適合する。カニューレ16の長さは、15cmであるが、
図6に示すような他の任意の適切な長さも使用され得ることが理解されるだろう。カニューレ16の長さは、さまざまな挿入深さで使用され得るように選択される。
【0058】
カニューレのチップ22は、切断エッジ26を有し、組織サンプルの切断を支援する。サンプル切り欠き20の方向に対するカニューレチップ22の方向は、したがって関係がある。
図7aに示すように、カニューレチップ22は、カニューレ16の中心長軸について対称であり、当該軸は、針4の中心長軸と一致する。対称でなければ、サンプル切り欠き20設計の非対称性により、使用者が、切断エッジ26に対するサンプル切り欠き20のアライメントを確保するのが難しくなるため、対称設計は都合がよい。したがって、カニューレチップ22の対称設計により、サンプル切り欠き20の向きから独立したチップ設計が確保される。
図7aから明らかなように、カニューレチップ22は、丸い、テーパ構造を有する。しかしながら、他の任意の適切なチップ設計が使用され得ることが理解されるだろう。例えば、チップは、
図7b~
図7eに示されているような、単一曲線、二重曲線、または四重曲線であってもよい。
【0059】
針4のスタイレットのチップ18は、
図8aから明らかなように、多面的な設計を有する。ここで、スタイレット14の尖ったチップ18は、スタイレット14および針4の中心にある。すなわち、尖ったチップ18は、スタイレット14および針4の中心長軸と一致する。ファセット28は、傾斜ファセットである。傾斜ファセット28は、中心針先端18またはスタイレットチップ18の周囲に対称なレイアウトで配置されている。すなわち、針のチップ18は、スタイレット14の中心長軸について対称であり、当該軸は、針4の中心長軸と一致する。複数のファセットにより、針4が挿入された際に組織切断を支援する複数の鋭いエッジが提供される。対称性により振動の横モードの作成を減らすのに役立つため、対称なチップ設計が好ましい。当該横モードは、非対称性を通じて促進される。他の実施形態において、異なるチップ設計が使用されてもよい。例えば、チップは、
図8b~
図8eに示すような、三つの傾斜、四つの傾斜、鉛筆の先端、モノファセット、または任意の他の適切なチップ設計であってもよい。
【0060】
サンプル切り欠き20は、組織が切断された後、組織サンプルが生検中に収集されるスタイレット14の一部である。サンプル切り欠き20は、典型的には、20mmの長さであるが、任意の他の適切なサンプル切り欠きの長さが使用されてもよい。針4のサンプル切り欠き20またはサンプル切り欠き20は、
図9dに示すような、対称なコア構造を有する。すなわち、サンプル切り欠き20は、スタイレット14の中心長軸について対称である。切り欠き20は、スタイレットのチップ18へ向かってスタイレット14に沿って途中に配置されているが、スタイレットのチップ18からは離間されている。したがって、スタイレットのチップ18とサンプル切り欠き20とは、互いに離れている。
【0061】
スタイレット14の中心長軸に対するあらゆる非対称性は、スタイレット14のチップでの曲げ運動につながる。したがって、スタイレットの設計はスタイレットの全長に沿って対称であることが重要である。しかしながら、切り欠き20前後のスタイレット14の厚みの変化に起因して、スタイレットは典型的には、高い機械的応力を有することに加えて振動の横モードを生じさせる機械的弱点領域を有する。機械的応力と曲げ運動の両方が、超音波振動中の針の破損の原因となり得る。
【0062】
したがって、針構造4に強度を加える設計切り欠き設計が好ましい。さらに、よりよい診断には組織の大きなサンプル体積が好ましいため、サンプル切り欠き20の容積が同様に考慮される。したがって、針4の強度を向上させるため、切り欠き20は、(例えば、0.1μmから0.4μmの間の値の粗さを有する)高品質表面仕上げで覆われ、機械的応力を避けるのに役立つ。しかしながら、他の実施形態において、針4は、高品質表面仕上げを作るために、研磨、または電解研磨され得る。他の実施形態において、針4は、高品質表面仕上げを備えるために切断され得る。針4の長さに対して直角な溝が針4の不具合を発生させ得る弱点の原因となる場合があるため、表面仕上げが高品質であることは、針4の寿命に重要である。
【0063】
コアサンプル切り欠き設計が選択されているが、多くの他の適切な切り欠き設計が使用されてもよいことは理解されるだろう。例えば、サンプル切り欠きは、
図9b~
図9eに示すような片側切り欠き、強化片側切り欠き、両側切り欠き、または平面切り欠きであってもよい。
【0064】
図10を参照すると、針ハウジング4は、主本体30および端部キャップ32を備える。ハウジングの主本体30は、カニューレ16およびスタイレット14だけでなく、組織内への針4の挿入を作動させて組織サンプルを取得できるようにするトリガ機構76を包んでいる。当該構造は、
図12に示されている。ハウジング6の端部キャップ32は、針ハウジング6を振動子112に接続する。
【0065】
ハウジングの主本体30は、実質的に円筒形の中空体である。針ハウジングの主本体は、
図11に示すように、二つの部品34、36から形成されている。二つの部品は、互いに同一である。各部品は、ハウジングの主本体30の半分のシェルを形成する。したがって、ハウジング本体30は、二つの凹んだシェル部34、36から作られている。二つのシェル部34、36は、自身のそれぞれのエッジに沿って互いに結合され、
図10に示すように、実質的に中空円筒ハウジング本体30を形成する。
【0066】
シェル34、36は、超音波溶接を用いて互いに結合されるが、任意の他の適切な結合処理が使用されてもよい。二つのシェル部が互いに結合する前のそれらの整列に役立つように、各部分は、
図13に示すような、ピンおよび孔構造を設けられている。第1のシェル34の第1の側38aは、外側エッジ38aに沿って複数のピン40aまたは突起40aを備える一方、第1のシェル34のその他の側42aは、その他の外側エッジ42aに沿って複数の孔44aを備える。対応する第2のシェル36は、第1のエッジ38bに沿って孔44bを、第2のエッジ42bに沿ってピン40bを備える。第2のシェル部36の孔44bとピン40bは、第1のシェル34のピン40aと孔44aに対応する。二つの部品34、36が結合されたとき、ピン40は、孔44に挿入され、正確なアライメントを確保する。二つの部品またはシェルは、射出成形され、プラスチックで作られる。しかしながら、任意の他の適切な材料および製造工程が使用されてもよい。
【0067】
図13を参照すると、ハウジングの主本体30は、第1の、または前方、端部46および第2の、または後方、端部48を備える。主本体の後方端部48は、把持可能部50を備える。把持可能部50は、溝形状を備える主本体30の外表面の一部であり、使用者がハウジングを把持するのに役に立つ。溝形状は、ハウジング30の外表面から径方向に延びる、連続した均等な間隔があいた円周隆起52を備える。隆起52は、主本体の後方端部48に配置され、ハウジングの主本体30の長さに沿った途中に延在している。したがって、隆起52は、主本体30の外表面全体には延在していない。
【0068】
ハウジングの本体は、スロット54を備え、トリガボタン80を受ける。スロット54は、二つの隆起52の間の本体の長さに沿った途中に配置されている。したがって、スロット54は、主本体30の溝形状50内に配置されている。スロット54は、トリガボタン80がハウジングの主本体30を通って径方向に延在できるように構成され、使用者はトリガ機構76を作動させることができる。
【0069】
主本体30の内表面には、トリガスロット54の実質的に隣に、トリガ係止部56がある。係止部56は、主本体の中空部分内に延びる突起である。係止部56は、片端に実質的に平坦な面58を備え、当該平坦面58は、主本体30の長軸に対して実質的に垂直である。また、係止部56は、
図13に示すように、主本体30の内壁に向かってテーパを有する傾斜面60を備える。係止部56は、より詳細に後述されるトリガレバー78と係合するように構成されている。
【0070】
主本体30の第1の端部46は、
図10に示すように、トリガレバーを受けるスロット62を備える。
図12および
図13から明らかなように、二つのスロット62a、62bが実質的に互いに径方向に反対側にある。スロット62は、主本体30の一部に沿って長手方向に延び、主本体30の把持可能部50で終わる。
【0071】
図14を参照すると、針ハウジング6の端部キャップ32は、実質的に円筒形であり、第1の、または前方、端部64および第2の、または後方、端部66を有する。前方端部64は、ハウジングの主本体30に接続され、後方端部66は、振動子ハウジング8に接続される。
【0072】
キャップ32は、射出成形された単一部品であるが、任意の他の適切な製造工程が使用されてもよい。キャップの前方端部64は、端部64を通る小さな中心通路68を有する実質的に閉鎖端である。キャップの前方端部64は、針ハウジングの主本体の後方端部48に超音波溶接される。アライメント溝70および突出部72が、キャップの前方端部64に存在している。アライメント突出部72は、円周の突出部72である。アライメント溝70は、円周の溝70であってもよい。アライメント突出部72は、主ハウジング本体30の後方端部48のアライメントスロット71に対応している。アライメント溝70および突出部72は、端部キャップ32を主ハウジング本体30に正確に配置するのに役立つ。
【0073】
端部キャップの後方端部66は、実質的に開放端である。したがって、端部キャップの後方端部66は、前方端部64の面から離れるように長手方向に延びる中空円筒部である。中空円筒部は、内側にねじ山74があり、振動子ハウジング8を取り付けることができる。
【0074】
トリガ機構76は、トリガレバー78およびトリガボタン80を備える。トリガ機構76は、片手で操作できるように構成されている。
【0075】
トリガレバー78は、基部82を備える。トリガレバー78は、
図15に示すように、基部82を通って延びる中空通路84を備える。中空通路84は、レバーの中央にある。中空通路84により、
図11および
図12から明らかなように、スタイレット14がトリガレバー78を貫通でき、トリガレバー78は、スタイレット14に対して移動できる。また、中空通路84は、カニューレ16の端部を受けるように構成される。カニューレ16は、中空通路84内でスタイレット14の周囲に配置される。カニューレ16は、カニューレ216がトリガレバー78に取り付けられるように中空通路84の内側に取り付けられる。カニューレ16は、適切なUV硬化型接着剤を用いてレバー78に取り付けられる。しかしながら、カニューレを確実に取り付ける任意の他の適切な方法が使用されてもよい。カニューレ16をトリガレバー78に取り付けると、トリガレバー78を移動させたときにカニューレ16が動くことが保証される。また、これにより、スタイレット14に対して、トリガレバー78とカニューレ16の両方を移動させることができる。
【0076】
トリガレバー78は、基部82から長手方向に延びるレバー係止部86を備える。レバー係止部86は、針ハウジング6の主本体30内のトリガ係止部56に対応するように構成されている。したがって、レバー係止部は、前方の傾斜、または角度のついた、面85と、後方の平坦部87とを備える。レバー係止部86とトリガ係止部56は、スナップ式の接続を用いて解放自在に結合される。
【0077】
トリガレバー78は、基部82のいずれかの側に配置された複数のボタン88、またはパネル88を備える。
図15から明らかなように、レバー78は、径方向に互いに実質的に反対側に配置された二つのパネル88を有する。パネル88により、
図17aおよび
図17bに示すように、レバー係止部86が針ハウジングの主本体30内のトリガ係止部56と係合するまで、使用者は第1のばね90に対してトリガレバー78を引き戻すことができる。トリガレバー78を引き戻すと、カニューレ16がスタイレット14上を引き戻され、スタイレット14を露出する。トリガ78が実質的に解放されると、カニューレ16は、スタイレット14上を前へ押し込まれるだろう。第1のばね90は、ばね支持部92を用いてトリガレバー78に接続される。ばね支持部92は、トリガレバー78の基部82から延びた、長手方向に延びた部分である。ばね支持部92は、ばね90の中心を通ってばね90を支持する。
【0078】
図16を参照すると、トリガボタン80は、丸い端部94および係合端部96を備え、二つの端部は、互いに実質的に反対側にある。二つの端部の間に、径方向に延びたフランジ98がある。トリガボタン80は、主ハウジング本体30のトリガボタンスロット54内に配置され、丸い端部94は、
図12に示すように、トリガボタンスロット54を通って主ハウジング本体30から突出するように構成されている。第2のばね100は、トリガスロット54内でトリガボタン80の周りに配置されている。トリガボタンフランジ98は、第2のばね100の上部に載っている。第2のばね100は、トリガボタン80が針ハウジング6から突出するように、付勢されている。フランジ98は、ストッパとして作用し、第2のばね100がトリガボタン80をトリガスロット54の外に押し出すのを防ぐ。使用者は、第2のばね100が付勢している力に対してトリガボタン80を押し込み、それにより、係合部96が主ハウジング本体30の内部へと延びる。
【0079】
トリガボタン80が押し下げられたとき、係合端部96は、トリガレバー78のレバー係止部86と相互作用するように構成されている。係合端部96は、レバー係止部86の傾斜面85と相互作用するように構成された傾斜面102を備える。使用者のトリガボタン80を押す動作を通じて係合端部96が主ハウジング本体30内に押し込まれると、トリガボタン102の傾斜面は、
図17cに示すように、レバー係止部の傾斜面85を押す。これにより、レバー係止部86は、主ハウジング本体30の内部に向かって径方向に曲げられ、レバー係止部86とトリガ係止部56とが外れる。一旦二つの係止部が外れると、トリガレバー78は解放される。第1のばね90の作用により、トリガレバー78が針ハウジングの前方端部46へと押され、カニューレ16を前方へと移動させる。
【0080】
第2のばね支持部104は、針ハウジングの後方端部48で第1のばね90の片端を保持するように構成されているが一方、ハウジングの前方端部46でトリガばね支持部92によって支持されるばね90のその他の端は、トリガ/解放操作の間、押し込まれ、解放される。
図18を参照すると、第2のばね支持部104は、実質的に平坦な基部106を備え、支持部分108はそこから延びている。ばね90の端部は、ばね支持部分108上に挿入されるように構成されている。中空通路110がばね支持部104の中心を貫通し、スタイレット14がばね支持部104を貫通することができる。
【0081】
ばね支持部104の平坦な基部106は、針ハウジングの端部キャップ32内に包含される。ばね支持部104は、端部キャップの前方面64にある、通路68または孔68を通って延びる。ばね支持部104は、レバーコッキング工程中に、第1のばね90が曲がるのを防止する。
【0082】
第1のばね90および第2のばね100は、圧縮ばねである。第1のばね90の線径および寸法は、特に、従来の生検針で使用されている圧縮ばねのスティフネス定数を再現するように、選択される。第2のばね100に関して、寸法は、ばねが容易に針ハウジングトリガスロット54に合い、使用者がトリガレバー78をトリガ係止部56から優しく押し出せるように選択される。ばねは、ステンレス鋼で作られているが、任意の他の適切な金属が使用されてもよい。
【0083】
図19を参照すると、振動子112は、標準のランジュバンサンドイッチ型圧電振動子である。振動子112は、縦モード、または方向、で2μm以下の振幅で40kHz~60kHzの範囲の周波数でスタイレット14と共振するように構成されている。当該周波数範囲は、振動子の大きさと大きな振動振幅との間にバランスを与える。針装置の共振、または駆動、周波数は、46kHzである。これは、縦振動モードが得られるスタイレット14の周波数によって定められる。純粋な縦モードが好ましい。これは、スタイレットに、特に切り欠き領域に、存在する任意の非対称性により、縦モードとたわみモードとを結合したモードが作られるからである。
【0084】
使用者は、超音波生成ユニット10を使用して振動の振幅を制御する。しかしながら、振動の最大振幅は、針構造に不必要に大きな振動を与えないように、かつ従来の超音波画像化システムの条件fD≦PRF/2を満たすように2μm以下に制限される。ここで、fDはドップラーシフト周波数であり、PRFはパルス繰り返し周波数である。当該条件が満たされると、ドップラー超音波のエイリアシング効果を避けることができる。
【0085】
ドップラーシフト周波数は、振動子112の共振周波数、針4のチップでの振動速度、および針挿入角度または超音波反射角度によって決まる。パルス繰り返し周波数は、超音波システムの特有のパラメータであり、典型的には10kHzである。ドップラーシフト周波数がパルス繰り返し周波数の半分の値より大きい場合、チップの視認性の精度に影響を与える場合がある、ドップラー超音波上のアーチファクトであるエイリアシングが発生する。
【0086】
振動子112は、フロントマス114およびリアマス116を備える。フロントマス114は、フロントマス114の一部を貫通する通路118を有する中空円筒体である。フロントマス114の通路118は、前方端部120で内側にねじ山があり、針4が振動子112に取り付けられる。フロントマス114は、フロントマス114から径方向に離れるように延びるフランジ122を備える。フランジ122は、
図19cに示すように、針が取り付けられる前方端部120とは反対側の、フロントマス114の後方端部124に配置されている。フランジ122は、
図19aに示すように、フランジ122の円周に二つの平坦部126を備える。平坦部126は、針取り付け工程の間の振動子112の回転を防ぐための回転防止部である。すなわち、針ハブが振動子のフロントマス内に回して取り付けられているとき、振動子は、平坦な回転防止部によってねじ締めしている間の回転を防止されるだろう。フロントマス114は、アルミニウムで作られているが、任意の他の適切な金属が使用されてもよい。平坦部が回転防止部として使用されているが、その他の回転防止手段が使用され得ることが理解されるだろう。例えば、振動子フランジは、
図19bおよび
図19dに示すように、複数の離間した突起と相互作用するように構成されている複数の離間した溝127を備えてもよい。溝および突起は、振動子の回転を防止するように相互作用することができる。
【0087】
後方マス116は、それに向かって伝搬する超音波エネルギを減衰させるように構成された中空円筒体であり、それによりフロントマスに大きな振動を生じさせる。後方マス116は、鋼で作られているが、任意の他の適切な金属が使用されてもよい。
【0088】
複数の圧電リング130がフロントマスと後方マスとの間に配置されている。
図19cから明らかなように、二つの圧電リング130が、フロントマス114と後方マス116の間に重ねられている。圧電リング130は、例えばNavy Type I(PZT 4)またはNavy Type III(PZT 8)など高Q圧電材料で作られ、これらは有鉛圧電セラミック材料である。有鉛圧電セラミックは、その低損失かつ高結合係数に起因する、低周波数、高出力用に使用される。しかしながら、圧電リングは、その代わりに任意の他の適切な材料で作られてもよい。例えば、無鉛圧電セラミックを用いて作られ得る。
【0089】
圧電リング130の各側部において、電線を接続するための電極がある。電極は黄銅製だが、任意の他の適切な金属が使用されてもよい。二つの電極は、互いに180°の位置にあり、フランジの回転防止機構とは直角に配置されている。これにより、ハウジング8内での振動子112の容易なアセンブリを可能にする。
【0090】
振動子112はさらに、
図19cに示すように、ボルト132を備える。ボルト132は、後方マス116、圧電リング130の重なりを貫通して、フロントマス114に至る。振動子はまた、患者の安全のためのアルミナ絶縁物を備える(図示されていない)。ボルト132は、プレストレスボルトであり、振動子アセンブリを損傷させず常に圧縮状態に保つように構成され、高駆動サイクル中に圧電材料に亀裂が生じるのを防止している。ボルト132は、ステンレス鋼で作られているが、任意の他の適切な材料が使用されてもよい。ボルトのヘッド134は、六角形状であるが、任意の他の適切な形状が使用されてもよい。
【0091】
図20、
図21および
図22を参照すると、振動子ハウジング8は、振動子を針ハウジング8および超音波発生器10に接続するように使用される。振動子ハウジング8は、前方部分136、主本体部分138、および端部キャップ140を備える。振動子ハウジングの前方部分136は、針ハウジングの端部キャップ32および振動子ハウジングの主本体部分138に接続される。振動子ハウジングの主本体138は、振動子112を包含し、前方部分136と端部キャップ140との間に接続される。端部キャップ140は、振動子112を超音波生成ユニット10に接続するように使用される。
【0092】
振動子ハウジングの前方部分136は、
図23に示されており、概略的な円柱形部品である。前方部分136は中空であり、前方部分136を貫通する通路142がある。前方部分の外表面は、ねじ山144があり、前方部分136を他の部品と結合できる。前方部分の片端のねじ山144aは、針ハウジングの端部キャップ32の内側ねじ山74に対応し、これらの二つの部品は、互いに解放可能なアタッチメントとして螺合することができる。前方部分136のねじ山144bは、振動子ハウジングの主本体138のねじに対応し、これらの二つの部品は、互いに解放可能なアタッチメントとして螺合することができる。
【0093】
いくつかの実施形態において、外側ねじ山の代わりに、前方部分136は、振動子ハウジングの主本体138および針ハウジングの端部キャップに取り付けられ得る。例えば、スナップ式の接続が、前方部分、振動子ハウジングの主本体、および針ハウジングの端部キャップにあってもよい。他の適切な接続手段、例えばバヨネット接続、が使用されてもよい。
【0094】
前方部分136は、前方部分136の外表面から径方向に延びているフランジ146を備える。フランジ146は、前方部分136の長さに沿ったおおよそ半分の位置に配置され、外側ねじ山部144を二つの分割部分144a、144bに分けている。フランジ146は、前方部分136が接続部品へ深くねじ締めされすぎるのを防ぐ。したがって、前方部分136を振動子ハウジングの主本体138または針ハウジング6の端部キャップ32へ深く螺合しすぎることはできない。
【0095】
前方部分136の外表面はさらに、
図23cおよび
図23dに示すように、第1および第2の平坦部148を備える。これらの部分は、スパナの使用を通じて前方部分136をしっかりと隣接する部品へ螺合できるスパナ平面である。二つの平坦部分148は、実質的に互いに径方向に反対側、かつ前方部分136の両端に配置されている。前方部分136が振動子ハウジング8の主本体に螺合しない実施形態では、必要ない場合、平坦部分がない場合がある。
【0096】
前方部分136は、射出成形による単一部品で形成されるが、他の任意の適切な製造工程が使用されてもよい。前方部分136はプラスチックだが、他の任意の適切な材料が使用されてもよい。
【0097】
振動子ハウジングの主本体138は、
図24aおよび
図24bから明らかなように、概略的な円柱形状である。主本体138は中空であり、主本体の二つの端部152、154間を主本体138を通じて延びる通路150がある。主本体の片端152での直径は、主本体の他端154での直径より少し大きい。これは、主本体138が片端から他端へとわずかに細くなっていることを意味し、若干の円錐形状が与えられている。わずかに大きな端部152の内表面は、内側ねじ山156があり、主本体136は、隣接する部品と接続できる。内側ねじ山156は、振動子ハウジング8の前方部分136の外側ねじ山部144に対応し、これら二つの部品は螺合できる。
【0098】
主本体の小さな端部の外表面は、複数の離間した溝158を備える。溝は、主本体138の小さな端部154から主本体138の長さのおおよそ半分ほどの位置へと長手方向に延びる。溝158は、
図24aおよび
図24bから明らかなように、小さな端部154の全外周の周りに配置されている。溝158により、使用者が振動子ハウジングの主本体138を把持するのに役に立つ、把持可能な面が提供される。例えば溝の代わりに複数の隆起部、または複数の離間した凹凸部など、他の任意の適切な形状が、グリップを提供するために使用されてもよい。
【0099】
主本体の小さな端部154は、受けねじ162のための孔160である。二つの孔160が設けられているが、他の任意の適切な数のねじ孔が使用されてもよい。ねじ孔160は、主本体138の小さな端部154の外周に均等に離間されている。
図21cおよび
図22cから明らかなように、二つの孔160は、互いに実質的に反対側に配置されている。ねじ孔160は、振動子ハウジング8の端部キャップ140を振動子ハウジング8の主本体138に接続するように使用される。
【0100】
ハウジングの主本体138の内側には、内向きの径方向に延びるフランジ164がある。内部フランジ164は、主本体138の大きな端部152へ向かった、主本体138の全長に沿った途中に配置されている。フランジ164は、振動子ハウジング98の内側に振動子122を支持するのに役立つ複数の支持スロット166を備える。フランジはさらに、振動子での回転防止溝127に対応するように構成された回転防止ピン167を備える。フランジの構造は、
図24cからより詳細に分かる。
【0101】
振動子ハウジング8の主本体138は、射出成形を用いて形成された単一部品であるが、他の任意の適切な製造工程が使用されてもよい。主本体138は、プラスチックで作られているが、他の任意の適切な材料が使用されてもよい。
【0102】
振動子ハウジングの端部キャップ140が
図25に示されている。端部キャップ140は、概略的な円柱形状であり、第1の端部168と第2の端部170を有している。二つの端部168、170の間で端部キャップ140を貫通して延びる、中空通路172が設けられている。
【0103】
端部キャップの第1の端部168は、受けねじ162のための孔174である。二つの孔174が設けられているが、他の任意の適切な数のねじ孔が使用されてもよい。端部キャップ140にあるねじ孔174の数は、ハウジングの主本体138の小さな端部154に設けられたねじ孔160の数と同じである。ねじ孔174は、端部キャップ140の外周に均等に離間されている。
図25aから明らかなように、二つの孔174は、互いに実質的に反対側に配置されている。端部キャップ140上のねじ孔174は、振動子ハウジングの主本体138上のねじ孔160と一致するように構成されており、これらの二つの部品は、ねじ162を使用して互いに接続することができる。
【0104】
キャップの第2の端部170は、フランジ176を備える。フランジ176は、端部キャップ140から径方向に離れるように延びている。フランジ176は、複数の溝178を備える外周を有する。端部キャップ140の外周での溝形状178は、振動子ハウジング8の主本体138の小さな端部154での溝形状158と対応するように構成されている。したがって、端部キャップ140が主本体138に接続されたとき、二つの部品での溝形状158、178は、並ぶだろう。
【0105】
上述しているように、超音波生成ユニット10また制御ボックス10は、針4を振動させる。
図26を参照すると、制御ボックス10または生成ユニット10は、実質的に箱形状である。制御ボックス10は、傾斜した制御パネル180を備える。すなわち、制御ボックス10は、後方に傾いている正面180を有し、正面180の上縁は、制御ボックス10の後面181に向かって傾斜している。しかしながら、理解されるように、他の実施形態において正面180は、傾斜していなくてもよい。正面180は、振幅制御ダイヤル182を備える。制御ダイヤル182は、埋め込みLED184を備え、これは超音波がオンであるか否かを示すために使用される。正面180は、また、生成ユニット10の状態を示すために使用される複数の他のLED186を含む。例えば、LED186は、電源がオンであるか否か、または故障しているか否かを示すために使用されてもよい。加えて、正面180は、振動子コネクタ188を備える。これは、振動子112を制御ボックス10に接続するために使用される。
【0106】
図27を参照すると、制御ボックス10の後面181は、複数のスイッチ、および電極供給コネクタおよびフットスイッチコネクタを含むコネクタを備える。ロッカースイッチを備えてもよい。フットスイッチコネクタは、フットスイッチ12を制御ボックス10に接続するために使用される。
【0107】
生成ユニット10は、針の周波数および振動振幅を確認することができる、専用の調整可能な電子制御ユニットである。生成ユニット10は、針4を共振周波数で振動させるために使用される。生成ユニット10、または制御ユニット10は、振動子駆動周波数および電気インピーダンスの変化を監視し、リアルタイムで変化する状況に順応する。これは、振動振幅が常に維持されるように、駆動周波数をそれに応じて調整することによって行われる。
【0108】
制御ダイヤル182または電力調整ダイヤル182により、使用者は、使用者の要求に応じて電力または振動振幅を制御できる。例えば、使用者は、力を減少または可視性を向上させることを希望することができる。フットスイッチ接続の提供により、使用者はペダル12を押すことで超音波を有効にすることができる。
【0109】
標準フットペダル起動スイッチ12は、制御ユニット10または超音波生成ユニット10に接続され、使用者は、必要に応じておよび必要なときに生成ユニット10を起動させることができる。フットスイッチ12は、
図28に示すように標準USB接続を用いて制御ユニット10に接続されるが、他の任意の適切な接続が使用されてもよい。制御ユニット10は、一旦スイッチがオンになると、フットペダルスイッチ12が押されるまでスタンバイモードであるだろう。針装置2は、5分間連続的に動作可能であり、その後、電力生成ユニット10はスタンバイモードへと自動的に切り替わるだろう。
【0110】
すでに上述しているように、生成ユニット10は、針装置2のスタイレット14を振動させるために超音波エネルギを使用する。超音波振動子は、20kHz以上の周波数で細長部材を振動させるように構成されている。典型的に、スタイレット14は、振幅2μm以下で30~60kHzまたは40~50kHzなどの、20~70kHz間の周波数で振動される。針4のスタイレット14は、長手方向、または縦の方向に振動する。これにより、針4を組織内へと挿入するために必要な貫通力が減少し、針4の目標内への移動がより滑らかになる。したがって、縦振動を使用することにより、組織の切断が改善される。したがって、針-振動子接続は、超音波振動子112から針4への効率的なエネルギ伝達を確保するという重要な役割を果たす。スタイレット14は、スタイレットハブ190または振動子アダプタ190を使用して振動子112に接続される。
【0111】
図29aおよび
図29bを参照すると、スタイレットハブ190は、六角形状の基部192および延在ねじ山部194を備える。スタイレット14は、基部192の片側でハブ190に取り付けられる。基部は、
図29dに示すように、基部を通って延在ねじ山部194内に部分的に延びる孔を有する。スタイレット14は、ハブ190の基部に取り付けられる前に孔へと挿入される。一旦スタイレットの片端が孔へ十分に挿入されると、スタイレット14は、ろう付け接合によってスタイレットハブ190の基部192に取り付けられる。しかしながら、例えばスタイレット14がハブの基部192にレーザ溶接されるなど、他の任意の適切な接合が使用されてもよい。接合処理の前にスタイレットを孔に挿入すると、スタイレットとハブとの間の接続がより確実になる。
【0112】
延在ねじ山部194は、
図29cに示すように、スタイレット接合の実質的に反対側にある。延在ねじ山部194は、スタイレットハブ190を振動子112に螺合することで振動子112の前側端部120に取り付けられるように構成される。
【0113】
使用者がスタイレット14を振動子112に接続するのに役立つように、ロックナット196が設けられてもよい。ロックナット196は、
図30に示すように実質的に円柱形状である。円柱の内側は、
図30bおよび
図30cに示すように、ロックナット196の長さを通じて延びる六角形ソケット198である。六角形ソケット198は、ソケット198がスタイレットハブの基部192の周りに合うようにスタイレットハブ190の基部192に対応するように構成されている。
【0114】
ロックナット196の外表面は、把持可能な外表面200で覆われている。把持可能な外表面200は、複数の均等に離間された縦溝202および突出部204を備える。把持可能な外表面200は、使用者が針4を振動子の前方部分120に螺合するのに役に立つ。
【0115】
図30b、
図30cおよび
図30fを参照すると、縦スロット206は、ロックナット196の全長に沿って伸び、ロックナット196の外表面および六角形ソケット198を貫通している。スロット206により、ロックナット196を針4の周囲に、取り付け工程の間、針4を囲むように配置することができ、一旦針4が振動子112に取り付けられたあと、取り外すことができる。六角形ハブ192およびソケット198が記載されているが、他の任意の適切な形状が使用され得ることを理解できるだろう。
【0116】
図31は、針4を針ハウジング6へ接続する方法を示す。まず、
図31aに示すように、カニューレ16がトリガレバー78に接続される。これは、エポキシ樹脂または他の任意の適切な材料を用いて行われ得る。そして、トリガレバー78、トリガボタン80、並びに第1のばね90および第2のばね100が、
図31bに示すように、ハウジングの主本体30の第1のシェル34内に配置される。そして、
図31cに示すように、主本体30の第2のシェル36が超音波溶接を用いて第1のシェル34に接合され得る。
【0117】
そして、第2のばね支持部104が、ハウジングキャップ32内に挿入される。そして、
図31dに示すように、第1のばね90の自由端を通じてばね支持部104を挿入し、超音波溶接を用いてキャップ32をハウジングの主本体30に接合することで、ハウジングキャップ32およびばね支持部104がハウジングの主本体30に接続される。
【0118】
そして、
図31eに示すように、スタイレットハブ190に取り付けられたスタイレット14が、ハウジングキャップ32およびばね支持部104を通って、第1のばね90を通って針ハウジング6内に、トリガレバー78およびカニューレ16を通って挿入され、針ハウジングの前方端部46を通って外へ延びる。
【0119】
そして、
図31fに示すように、針カバーがカニューレ16およびスタイレット14を含む針4上を摺動され、装置2が使用されないとき、針4を保護する。
【0120】
そして、
図31gに示すように、ロックナット196が取り付けられる。ロックナット196を取り付けるために、スタイレットハブ190は、針4がロックナット196内のスロット206を貫通し得るまで端部キャップ32を通って引き出される。
図31hから明らかなように、スタイレットハブ190の六角形基部192がロックナット196の六角形ソケット198内部に残る一方、スタイレットハブ190のねじ山部194がロックナット196から延びる。
【0121】
図32は、振動子112を振動子ハウジング8へ接続する方法を示す。まず、
図32bに示すように、後方スペーサ208がフランジ164へ当接するまで、後方スペーサ208が振動子ハウジングの主本体138の大きな端部152へ挿入される。フランジ164は、後方スペーサ208上の回転防止スロット212に対応する回転防止ピン210を備える。回転防止ピン210が、回転防止スロット212に挿入される。後方スペーサ208は、Oリング214用の溝を備える。そして、
図32cに示すように、Oリング214が、Oリング溝にぴったり合うまで振動子主本体ユニットの大きな端部152へと挿入される。Oリング214は、振動子112がハウジング8内でしっかりと密封されるのを確保する。
【0122】
そして、
図32dに示すように、振動子112に取り付けられた同軸ケーブル216が、振動子112がハウジング8内でOリング214上に載るように、振動子ハウジングのフランジ164および主本体138を通される。同軸ケーブル216は、振動子ハウジング8の小さな端部154から延びる。そして、
図32eに示すように、振動子ハウジングキャップ140が同軸ケーブル216上を挿入され、ハウジングの主本体138に当接する。
【0123】
そして、
図32fに示すように、第2のOリング218が、振動子112のフランジ122を二つのOリング214、218の間に挟むように、振動子ハウジング8の大きな端部152に挿入される。そして、
図32gに示すように、前方スペーサ220がハウジング8の大きな端部152に挿入され、第2のOリング218に当接する。
【0124】
スペーサ208、220は、振動子112が必要な軸位置に配置されるのを確保する。スペーサ内の一体化された回転防止機構は、振動子ハウジング8内での振動子112の回転を防止するのに役に立つ。ハウジング内でのスペーサの統合により、振動子の柔軟な設計ができ、ハウジングが、針のゲージと長さの違いで必要になる可能性がある修正された振動子を収容できる。
【0125】
そして、振動子ハウジング8の前方部分136が、振動子ハウジング本体138の大きな端部152内に螺合される。
図32hに示すように、前方部分152が十分に堅く螺合されるので、振動子112は、ハウジング8の内側に適切に固定される。
【0126】
一旦振動子112が所定位置に固定されると、
図32iに示すように、振動子ハウジング8の端部キャップ140が主振動子本体138にねじ162を用いて固定される。ねじ162は、端部キャップとハウジングの主本体のねじ孔に挿入される。ねじ162は、セルフタッピンねじである。
【0127】
針ハウジング部品と振動子ハウジング部品がアセンブリされると、針ハウジング6が振動子ハウジング8に接続される。これは、
図35に示されている。
【0128】
まず、
図35aに示すように、振動子ハウジングの前方端部136が、針ハウジング32の後端部に並べられる。そして、
図35bに示すように、針ハウジング6とロックナット196が互いに保持されながら、スタイレットハブ190が振動子112のフロントマス114内に螺合される。
【0129】
図35cに示すように、スタイレット14が振動子112に取り付けられると、ロックナット196が振動子ハウジング8と針ハウジング6との間から取り外される。そして、
図35dおよび
図35eに示すように、振動子ハウジングの前方部分136が、針ハウジングの端部キャップ32に螺合され、二つのハウジングを互いに取り付ける。
【0130】
そして、同軸ケーブル216が、超音波生成ユニット10に接続され、所望の出力レベルまたは振動振幅があらかじめ設定される。そして、フットスイッチ12を押すことで装置2が起動される。
【0131】
装置2の針4は一般的に、衛生的な理由で一回のみ使用されるが、振動子112は再利用できる。したがって、針装置2は、針ハウジング6を含む使い捨て部品と、振動子ハウジング8、生成ユニット10およびフットスイッチ12を含む再使用可能部品とを備える。したがって、再使用可能部品は、ねじ機構を介して使い捨て部品に接続する。ロックナット196またはカラー196は、使い捨て部品と再使用可能部品との接続を容易にする中間部品であってもよい。しかしながら、ロックナットまたはカラーを必要とすることなく、使い捨て部品が再使用可能部品に接続されてもよい。
【0132】
振動子ハウジング部品を再使用可能にするために、例えば滅菌保護シース222を使用して、使い捨て部品から保護するべきである。
図36は、保護シース222をどのように使用できるかを示す。まず、
図36aに示すように、振動子ハウジング8および同軸ケーブル216を含む振動子アセンブリが、アルコールシートで拭かれる。そして、
図36bに示すように、振動子ハウジング8が滅菌保護シース222またはスリーブ222の内側に配置される。そして、
図36cに示すように、針ハウジング6が、覆われている振動子ハウジング8に合わせられる。
図36dに示すように、針ハウジング6とロックナット196が互いに保持されながら、スタイレットハブ190が保護シース222を通って振動子112にしっかり螺合される。スタイレット14を振動子112に螺合する行為により、保護シース222を貫通する。
図36eに示すように、スタイレット14が取り付けられると、ロックナット196が取り外される。そして、
図36eに示すように、振動子ハウジング8が針ハウジング6に螺合され、保護シース222を二つのハウジング間に閉じ込める。保護シース222またはシース222の自由端は、使用者の邪魔にならないようにゴムバンドを用いて同軸ケーブル216に固定され得る。
【0133】
装置2が互いに接続されると、超音波ガイド針生検を実行するために使用され得る。針装置2の一部ではなく且つ分離している超音波プローブが、サンプルとなる組織の領域の超音波画像を作成するために使用される。超音波によって作動された針により、超音波画像など、特定の種類の医用画像で可視性が向上してきた。したがって、振動生検針は、超音波下で非常に目立ち、針(特に針チップ)の位置をより的確に知ることができる。
【0134】
加えて、超音波周波数で針を縦に振動させると、針4、すなわちスタイレット14、を組織サンプル内に入れるのに必要な貫通力が減少する。したがって、挿入中に針4またはスタイレット14を歪ませる総量もまた、減少する。
【0135】
針4のスタイレット14を振動させるために、信号生成器10は、振動子112内の圧電リング130に駆動電圧を印加する。駆動電圧の振幅および/または周波数は、生成器10の制御パネル180を用いて使用者によって手動で調整でき、スタイレット14の運動を調整できる。圧電リング130に印加された駆動電圧により、圧電リング130が作動される。
【0136】
振動子112での圧電リング130の作動により、振動子112のフロントマス114と後方マス116との間に往復運動が生じる。したがって、フロントマス114と後方マス116の相対位置が変化することにより、フロントマス114が後方マス116に対して長軸に沿って移動する。針4のスタイレット14は、スタイレットハブ190を介して振動子112のフロントマス114に接続され、フロントマス114の任意の動きをスタイレットに伝達する。したがって、圧電リング130は、スタイレット14を針4の長軸に沿って往復させる。すなわち、針4は、振動子112内の圧電リング130を作動させることで、その中心長軸に沿った往復運動で振動させられる。針4のスタイレット14のみが振動させられ、針4のカニューレ16は、スタイレット14と比べて静止している。これは、スタイレット14のみがスタイレットハブを介して振動子112に接続され、カニューレ16は振動子112に接続されていないからである。
【0137】
信号生成器は、針装置2が異なる種類の針スタイレット14用に最適化されるように、圧電リング130の共振周波数を調節することで調整され得る。
【0138】
針4が的確な周波数および振幅で振動していると、針4は組織内へと挿入される。そして、トリガ78が引き戻され、カニューレ16を引き、サンプル切り欠き20を露出する。そして、トリガ78が解放され、カニューレ16を解放し、生検を行う。そして、針3およびそれに包含された組織サンプルが、体から除去され得る。
【0139】
針装置2は、振動子112に螺合されたスタイレットハブ190を使用して説明されてきたが、他のスタイレットハブが使用されてもよい。いくつかの実施形態において、針を振動子に接続するために把持装置が使用される。一般に使用される把持装置の例は、コレットである。把持装置を用いて針を振動子に固定すると、把持装置を締めすぎたり、または締めが足りなかったりすることが容易に生じるという問題がある。把持装置を締めすぎた場合、針を押しつぶす可能性がある。針を押しつぶすリスクは、針が中空の針である場合、特に高い。把持装置が十分に締めない場合、針は振動子に緩く接続されるだろう。これは、振動子と針との間での非効率なエネルギ伝達が生じる可能性がある。加えて、コレットなどの把持装置を使用すると、針と振動子との間に小さな接触点のみが与えられる。これは、確実な、安定した接続を得るのが難しいことを意味する。
【0140】
他の実施形態において、コレット式の接合に関連する問題を回避する他のスタイレットハブが使用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、スタイレットハブ190は、バヨネット式接続を用いて振動子112に接続され得る。いくつかの実施形態において、スナップ式接続が使用され得る。針と振動子との間に大きな、しっかりした接触点を有するが、針4を振動子122へ固定するために圧縮の提供または把持機構に頼らないあらゆる機構は、本明細書に記載された針装置2を使用するのに適しているだろう。
【0141】
さらなる実施形態において、
図43に示すように、針は、接続部材350を用いて振動子に接続され得る。接続部材は、外部クリップ350である。クリップは、互いに離間した二つの曲がったアーム352、354を備える。
図43に示すように、アーム352、354は、外部リブ356によって互いに接続されている。アーム354の一つは、振動子の外表面の周りにクリップされるように構成されている一方、その他のアーム352は、針の外表面の周りにクリップされるように構成されている。したがって、クリップ350は、針と振動子の間の接続を維持するように構成されている。
【0142】
針4が使い捨てとして記載されてきたが、他の実施形態において、針4は、再利用できる。
【0143】
振動プローブが中実の針に関して記載されてきたが、他の実施形態においてプローブは中空針である。中空針は、本体組織に流体を送達するために使用される。
【0144】
図37は、中空針204を備える振動プローブ装置の例を示す。すでに述べているように、針204は、ハブ290を用いて振動子212の片端に接続されている。振動子212の他端には注射器304がある。注射器304は、中空管302を用いて針204に接続されている。したがって、管302は、振動子212の中心を貫通している。
【0145】
すでに述べているように、振動子212は、振動子が超音波周波数で針204を縦に振動させる信号生成器(図示されていない)に接続される。これにより、針2024を組織内へ挿入するための貫通力を減少させる。同様に、挿入中の針チップ218のたわみも減少する。注射器304は、流体で満たされた後、流体を組織内へと注入できるように、使用者によって起動される。
【0146】
振動子212の片端における注射器304から振動子212の他端における針204へと流体を通すために、振動子212はチャネル306を設けられている。
図38から明らかなように、チャネル306は、振動子212の全長に沿って延びる。振動子212の主本体を貫通するのと同様に、チャネル306は、プレストレスボルト232も通って延びる。
【0147】
流体が流れることができる滅菌環境を設けるために、中空管302は、装置を使用する前に振動子212のチャネル306に挿入される。中空管は、
図39に示すように、管302の両端に閉鎖端を有する滅菌の管である。これにより、装置が使われていないときに、管302の内側が潜在的な汚染物質に対する密封の維持を確保する。滅菌管302の閉鎖端は、シリンジ304と針204が振動子に接続されたとき、注射器304とハブ290によって貫かれる。そして、装置は、流体注入のため使用する準備ができる。
【0148】
上記しているように、圧電部品並びにフロントマスおよび後方マスの間の張力を維持するためにプレストレスボルトが必要である。したがって、流体を通すためのボルト232を通る孔を穿設すると、ボルトを機械的に弱くする。
【0149】
代替的な手法に、
図40に示すように、二つのプレストレスボルト332、334を振動子312の両側に一つ有する振動子312を設けることがある。各ボルトは、振動子312に外表面に沿って長手方向に延びる。ボルト332、334は、振動子312の外周の周りに互いに離間される。
図40および
図41から明らかなように、二つのボルトは、互いに実質的に180°離間されている。
【0150】
ボルトは、二つのブレイサ部336、338を用いて振動子に接続されている。ブレイサ部336、338は、振動子312の主本体に垂直である。振動子312は、振動子312の中央を貫通する流体チャネル340が設けられている。すでに述べているように、中空管302は、使用前にチャネル340へと挿入され、中空針と注射器が管302の両端に接続される。そして、装置は、組織内へ流体を注入するために使用する準備ができる。
【0151】
図44は、針ハウジングの代替的な実施形態を示す。主本体30は、トリガレバーを受けるスロット62の両端に設けられたレール400の対を有する。レール400は、何らかの横移動をすることなく、またはぶれることなく、針ハウジング上でトリガレバーを摺動させることができる。
【0152】
図45は、後方スペーサの代替的な実施形態を示す。回転防止ピンが回転防止平面402に置き換わっている。
【0153】
いくつかの実施形態において、受け部は、針ハウジングとトリガレバーの両方に受け部の平面上に返し角を有する。また、トリガレバーと受け部の係合面は、表面の間の摩擦が増加するように粗い表面を備えてもよい。
【0154】
いくつかの実施形態において、トリガボタンの周囲に配置された第2の針ばねは、削除されてもよい。この場合、トリガが引かれる前は、トリガボタンのフランジは、トリガボタンスロットの底面に載っているだろう。トリガレバーが引かれると、トリガを動作させるための準備ができ、トリガボタンとトリガレバーの係合面が互いに接触するだろう。トリガレバーは、トリガボタンをわずかに押し上げ、トリガボタンがわずかに上がり、トリガボタンスロットから突出し、レバーがラッチして使用する準備ができていることを使用者に知らせる。
【0155】
使用時、臨床医は、超音波ガイド下で針を皮膚および組織の層へ通す。適切には、Bモード(または2Dモード)超音波が、これに関して採用される。Bモード(輝度モード)超音波では、振動子のリニアアレイが同時に体を通る平面を走査し、画面上に2次元画像として表示することができる。超音波ビームは、扇形であり、針の上に配置され、画面上に表示される。臨床医は、針を目標へと進める。
【0156】
装置が目標に到達するとスタイレットが延ばされるか、当該位置に到着するとスタイレットがカニューレから延ばされるかのいずれかである。これは、上記した装置を引くことで適切に得られる。サンプル抽出は、臨床医が装置を発射し、ばねがスタイレット上で外側カニューレを急速に押したときに発生し、それによって組織が収集される。
【0157】
そして、針が患者から引き抜かれる。装置のコッキング動作を繰り返すと、サンプル切り欠き内の組織のサンプルを露出する。そして、サンプルは、解析、例えば病理、へと適切に送られる。
【0158】
発明の装置は、幅広い種類の医療診断法に用いられることが分かる。これらには、以下の物を含むがそれに限定するわけではない。
【0159】
羊水穿刺-これは、診断目的で妊婦の子宮から羊水のサンプルを取得するために利用される医療行為である。そのような液体は、鋭い切断チップを有する長い脊椎針を皮膚、筋膜および子宮筋を通って子宮腔内へ挿入し、そこから吸引によってそのような羊水を取得することで得られる。外傷、出血および感染症を含む合併症は、そのような医療行為でそのような従来技術の外科用縫合針を使用したことで生じてきた。超音波画像診断法(まだ生まれていな子供に安全であると知られている非侵襲的画像診断手法)下での正確なガイドをすることができる、本発明の装置および方法は、既知の装置および方法と比べて好適である。
【0160】
絨毛膜標本採取-絨毛膜絨毛は、いずれは胎盤を形成する絨毛膜内の組織の指状の突起である。絨毛膜絨毛は、妊娠7週から8週目付近によく成長する。本医療行為の目的は、絨毛のサンプルを真空によって取り出し、サンプルを検査して胎児の遺伝子的な健康を判定することである。医者は、細いカテーテル(オブチュレータを含むカニューレで構成される)を膣および子宮頸部を通じて子宮内へと挿入し、絨毛膜に至る。カテーテルチップが絨毛に配置されたとき、陰圧源は、解析用の絨毛組織のサンプルを抽出するためにカテーテルに結合される。超音波画像診断法(まだ生まれていな子供に安全であると知られている非侵襲的画像診断手法)下での正確なガイドをすることができる、本発明の装置および方法は、既知の装置および方法と比べて好適である。
【0161】
真空補助下生検-皮膚への小さな切開または切断を通じて、生検針が例えば胸部に挿入され、真空駆動機器を用いて、複数の組織サンプルを取得する。真空は、針の中心に組織を引き込み、回転切断装置がサンプルを確保する。サンプルは、手順にしたがって生検針の中心から採取され、病理医(生検診断の訓練を受けた専門医)が検査するために検査室に送られる。
【0162】
生検方法は、画像ガイダンス下(マンモグラム、磁気共鳴画像(MRI)または超音波)で実施される。すなわち、走査によって得られた絵または画像により、放射線科医は、確実に針を正確に配置して生検を実施できる。本発明のいくつかの実施形態の装置は、真空補助下生検手法に好適である。同様に、本発明の装置および方法は、腫瘍の真空補助下切除(超音波ガイド真空切除またはUGVAE)で有用である。
【0163】
体外受精(IVF)-このような医療行為では、超音波ガイド針が膣壁を貫通して卵巣に到達することを伴う経膣の卵母細胞の回収によって、通常、卵子が患者から回収される。当該針を通じて、卵胞を吸引でき、卵胞液は、卵子を確認して診断するためにIVF検査室に渡される。そして、受精された卵子、(胚)、または通常は複数の胚は、妊娠の成功を成立させる意図をもって、患者の子宮に移植される。本発明のいくつかの実施形態の装置および方法は、卵子移植と胚着床の両方で、IVF法において好適である。
【0164】
局所薬物送達-しばしば、体の特定の領域または器官への薬剤の溶液を注入することが望ましい。そのような薬剤は、麻酔薬(例えば、局所麻酔)、塞栓用の粒子(動脈塞栓術)、およびナノ粒子を含む。本発明の装置および方法は、超音波ガイド下で正確な位置へ薬剤を送達できるので、これに関して有益である。針の作用により、薬/液体またはコロイドの分配を改善できるので、特に、本発明の装置および方法を使うと好適である。
【0165】
細針吸引(FNA)-しこりまたは腫瘤を調査するために使用される診断法である。この手法では、細い、中空の針が細胞のサンプル抽出用に腫瘤内に挿入され、染色後、顕微鏡で検査されるだろう(生検)。まとめて扱われたサンプル抽出および生検は、細針吸引生検(FNAB)または細針吸引細胞診断(FNAC)と呼ばれる。本発明の装置または方法によって提供された超音波ガイダンス下で針チップを所望のサンプル抽出場所に誘導するための臨床医の能力は、細針吸引においてこれらを好適にする。針の作用により、目標から細胞を取り、サンプル抽出を改善するのに役立つと考えられる。
【0166】
高周波アブレーション(RFA)-中波交流電流(350~500kHzの範囲)から生成された熱を用いて、心臓、腫瘤または他の機能不全の組織の電気伝導系の一部を除去する医療行為である。RFAは一般的に、局所麻酔または意識下鎮静麻酔のいずれかを用いて、外来診療の場で行われる。カテーテルを介して送達されると、高周波カテーテル・アブレーションと呼ばれる。明らかに、アブレーションプローブが機能不全組織の近くに正確に配置されることは、当該行為において非常に望ましく、本発明の装置および方法は、当該手法においてこれらを好適にする。
【0167】
ステント留置-通路を開いた状態に保つために、解剖学的血管または管の内腔へ金属またはプラスチックの管(ステント)を挿入することである。拡張可能な冠状動脈、血管および胆管のステントを含む。本発明の装置および方法は、超音波可視下でのガイドができるので、ステントを正確に配置するために好適である。