(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】非燃焼性顆粒の製造方法
(51)【国際特許分類】
A24B 15/30 20060101AFI20230706BHJP
A24B 15/16 20200101ALI20230706BHJP
【FI】
A24B15/30
A24B15/16
(21)【出願番号】P 2021099441
(22)【出願日】2021-06-15
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】202110560893.5
(32)【優先日】2021-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521239820
【氏名又は名称】李 翰林
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 翰林
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0383375(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0044857(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110810897(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0253269(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/30
A24B 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非燃焼性顆粒の製造方法であって、
S1、ヘンプ
の残渣本来の味を除去する工程と、
S2、茶葉を粉末状にして、その後ヘンプ
の残渣と茶葉粉末を1:1.5の比率で混合し、撹拌機で均一に撹拌して混合物Aを形成する工程と、
S3、混合物A内にCBDオイル及びフレーバーエッセンスを数回に分けて投入し、CBDオイル及びフレーバーエッセンスの投入が完了し、均一に撹拌して混合物Bを形成するまで、毎回投入した後、均一に撹拌してから次のCBDオイル及びフレーバーエッセンスを投入する工程(ここで毎回のCBDオイルとフレーバーエッセンスの比率は1:1.1~1.5である)と、
S4、ポリアクリル酸ナトリウムを混合物B内に加えて均一になるまで攪拌して、混合物Cを得る工程と、
S5、混合物Cを造粒機に入れて造粒し、造粒しながらアルコールを噴霧する工程と、
S6、造粒後、顆粒を振動ふるいにかけて、顆粒をより均一にさせる工程と、を含み、
工程S1は、
a、アルコールで擦り洗い、擦り洗いの時間は、30分で、擦り洗いが完了した後、70℃で乾燥させる工程と、
b、乾燥して得られたものを再度常温水に入れて1時間擦り洗い、その後70℃で乾燥させる工程と、
c、工程bで得られた乾燥物を再度アルコールに入れて30分擦り洗い、擦り洗いが完了した後、低温真空乾燥器で乾燥させる工程と、
d、工程cで得られた乾燥物を水沸騰後20分間煮沸した後、自然乾燥させることで、ヘンプ
の残渣本来の味除去作業を完了する工程と、を含む
ことを特徴とする、非燃焼性顆粒の製造方法。
【請求項2】
前記工程S1~S6の周囲温度を5~40℃、相対湿度を85%RH以下に保ち、工程S2~S6を密閉空間で完了させることを特徴とする、請求項1に記載の非燃焼性顆粒の製造方法。
【請求項3】
前記アルコールの濃度は、75%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の非燃焼性顆粒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非燃焼性顆粒の調製技術分野に関し、特に、非燃焼性顆粒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新型タバコ製品としての非燃焼・加熱式タバコの主な特徴は、タバコ葉を燃やせず、通常加熱温度が350℃未満で、発熱体を煙発生材料に挿入して加熱することがすでに世間に知れ渡っている。非燃焼の方法で喫煙者に煙および香味料を提供することで、副流煙の流出を減らすため、世界の各大手タバコメーカーの注目を集めている。
【0003】
現在、従来の非燃焼性タバコ用カートリッジは、葉片状と顆粒状の2種類に分かれ、顆粒状の非燃焼タバコ用カートリッジの形状が斬新で、丸い球体に基づく弧面が、発熱体が簡単に挿入できるため、非常に人気がある。しかし従来のタバコ用カートリッジの顆粒状タバコ原料本来の味が重すぎて口当たりが悪くなり、かつ製造過程で往々にしてオイルと基材の融合が不均一になることで、口当たりの落差が比較大きいという問題が生じていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術に存在する欠点に着目し、本発明の目的は、非燃焼性顆粒及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。
非燃焼性顆粒であって、
ヘンプカス、茶葉、ポリアクリル酸ナトリウム、CBDオイル、フレーバーエッセンスなどの原料を含み、 前記ヘンプカスの重量比は、20%以上30%以下であり、
前記茶葉の重量比は、30%以上40%以下であり、
前記ポリアクリル酸ナトリウムの重量比は、1%であり、
前記CBDオイルの重量比は、2%以上5%以下であり、
前記フレーバーエッセンスの重量比は、25%以上47%以下である。
【0006】
好ましくは、具体的な製造工程は、
S1、ヘンプカス本来の味を除去する工程と、
S2、茶葉を粉末状にして、その後ヘンプカスと茶葉粉末を1:1.5の比率で混合し、撹拌機で均一に撹拌して混合物Aを形成する工程と、
S3、混合物A内にCBDオイル及びフレーバーエッセンスを数回に分けて投入し、CBDオイル及びフレーバーエッセンスの投入が完了し、均一に撹拌して混合物Bを形成するまで、毎回投入した後、均一に撹拌してから次のCBDオイル及びフレーバーエッセンスを投入する工程(ここで毎回のCBDオイルとフレーバーエッセンスの比率は1:1.1~1.5である。)と、
S4、ポリアクリル酸ナトリウムを混合物B内に加えて均一になるまで攪拌して、混合物Cを得る工程と、
S5、混合物Cを造粒機に入れて造粒し、造粒しながらアルコールを噴霧する工程と、
S6、造粒後、顆粒を振動ふるいにかけて、顆粒をより均一にさせる工程と、を含む。
【0007】
好ましくは、前記工程S1~S6の周囲温度を5~40℃、相対湿度を85%RH以下に保ち、前記工程S2~S6を密閉空間で完了させる。
【0008】
好ましくは、ヘンプ本来の味を除去する前記工程S1は、
a、アルコールで擦り洗い、擦り洗いの時間は、30分で、擦り洗いが完了した後、70℃で乾燥させる工程と、
b、乾燥して得られたものを再度常温水に入れて1時間擦り洗い、その後70℃で乾燥させる工程と、
c、工程bで得られた乾燥物を再度アルコールに入れて30分擦り洗い、擦り洗いが完了した後、低温真空乾燥器で乾燥させる工程と、
d、工程cで得られた乾燥物を水沸騰後20分間煮沸した後、自然乾燥させることで、ヘンプ本来の味除去作業を完了する工程と、を含む。
【0009】
好ましくは、前記アルコールの濃度は、75%以上である。
【発明の効果】
【0010】
上記技術的手段を講じたため、本発明は、繰り返し擦り洗いを通じて原料本来の味を減らし、その後香料添加によるCBDの味の引き立てを容易にすることで、口当たりの良さを向上し、同時に数回に分けた混合撹拌を通じて、原料の混合をより均一にさせ、その後香りを濃く、味を調整することを容易にし、CBDオイルと基材との間を完全に融合させ、煙発生材料の味を均一にさせ、口当たりの落差を小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の実施例のヘンプカス本来の味を除去するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明は特許請求の範囲によって特定及びカバーされる多種多様な形態で実施することができる。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本実施例に係る非燃焼性顆粒は、ヘンプカス、茶葉、ポリアクリル酸ナトリウム、CBDオイル、フレーバーエッセンスなどの原料を含み、
前記ヘンプカスの重量比は、20%以上30%以下であり、
前記茶葉の重量比は、30%以上40%以下であり、
前記ポリアクリル酸ナトリウムの重量比は、1%であり、
前記CBDオイルの重量比は、2%以上5%以下であり、
前記フレーバーエッセンスの重量比は、25%以上47%以下である。
【0014】
さらに、非燃焼性顆粒の製造工程は、次の通りである。すなわち、
工程S1:ヘンプの残渣本来の味を除去し、抽出または擦り洗いを用いて本来の味を減らし、その後香料添加によるCBDの味の引き立てを容易にすることで、口当たりの良さを向上させる。
工程S2:茶葉を粉末状にして、その後ヘンプの残渣と茶葉粉末を1:1.5の比率で混合し、撹拌機で均一に撹拌して混合物Aを形成し、
工程S3:混合物A内にCBDオイル及びフレーバーエッセンスを数回に分けて投入し、CBDオイル及びフレーバーエッセンスの投入が完了し、均一に撹拌して混合物Bを形成するまで、毎回投入した後、均一に撹拌してから次のCBDオイル及びフレーバーエッセンスを投入し、ここで毎回のCBDオイルとフレーバーエッセンスの比率は1:1.1~1.5であり、数回に分けた混合を用い、2つの原料を比率で混合して撹拌し、基材の混合をより均一にさせ、その後のポリアクリル酸を容易に混入し、生じる煙や匂いを均一にさせ、口当たりの落差を防き、
工程S4:ポリアクリル酸ナトリウムを混合物B内に加えて均一になるまで攪拌して、混合物Cを得、
工程S5:混合物Cを造粒機に入れて造粒し、造粒しながらアルコールを噴霧し、アルコールで原料の融着を促進でき、
工程S6:造粒後、顆粒を振動ふるいにかけて、顆粒をより均一にさせ、顆粒の丸みを促進する。
【0015】
さらに、前記工程S1~S6の周囲温度を5~40℃、相対湿度を85%RH以下に保ち、前記工程S2~S6を密閉空間で完了させる。
【0016】
さらに、ヘンプ本来の味を除去する前記工程S1は、次の工程a~dを含む。すなわち、
a、アルコールで擦り洗い、擦り洗いの時間は、30分で、擦り洗いが完了した後、70℃で乾燥させる工程、
b、乾燥して得られたものを再度常温水に入れて1時間擦り洗い、その後70℃で乾燥させる工程、
c、工程bで得られた乾燥物を再度アルコールに入れて30分擦り洗い、擦り洗いが完了した後、低温真空乾燥器で乾燥させる工程、
d、工程cで得られた乾燥物を水沸騰後20分間煮沸した後、自然乾燥させることで、ヘンプ本来の味除去作業を完了する工程。
【0017】
さらに、前記アルコールの濃度は、75%以上である。
【0018】
さらに、本実施例の茶葉は、緑茶または紅茶もしくは他の種類の茶葉、及びサツマイモの葉、銀杏の葉、コーヒー粉末、柑橘類の葉などの非タバコハーブで置き換えることができる。
【0019】
上記は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の実施範囲を如何とも限定することは意図しない。本発明の明細書及び添付の図面の内容を利用して行われる均等の構造または均等のフローの変更、あるいは直接的または間接的にその他の関連技術分野に運用するのは、均しく本発明の保護範囲内に含まれる。