(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】セラミック物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 33/24 20060101AFI20230706BHJP
C04B 33/135 20060101ALI20230706BHJP
C04B 35/18 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
C04B33/24
C04B33/135
C04B35/18
(21)【出願番号】P 2021506049
(86)(22)【出願日】2019-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2019059865
(87)【国際公開番号】W WO2019201964
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-31
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520404573
【氏名又は名称】ベコー アイピー ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セヴェリン,エリック
【審査官】田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-086348(JP,A)
【文献】特開平10-025171(JP,A)
【文献】特表2014-512326(JP,A)
【文献】特開平09-040445(JP,A)
【文献】特開2000-063172(JP,A)
【文献】特開平09-077530(JP,A)
【文献】特開2001-181019(JP,A)
【文献】特開2000-007396(JP,A)
【文献】特表2014-512289(JP,A)
【文献】特開2000-63172(JP,A)
【文献】特開平10-25171(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103833331(CN,A)
【文献】特表2021-525217(JP,A)
【文献】HAIYING; ET AL,STUDY ON USE OF MSWI FLY ASH IN CERAMIC TILE,JOURNAL OF HAZARDOUS MATERIALS,NL,ELSEVIER,2007年02月19日,VOL:141, NR:1,PAGE(S):106 - 114,http://dx.doi.org/10.1016/j.jhazmat.2006.06.100
【文献】SOKOLAR, Radomir et al.,Ceramics International,2010年,Vol.36,PP.215-221,DOI:10.1016/j.ceramint.2009.07.009
【文献】CHANDRA, Navin et al,Waste Management,2008年,Vol.28,PP.1993-2002,DOI:10.1016/j.wasman.2007.09.001
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 33/24
C04B 33/135
C04B 35/18
C04B 35/622
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、セラミック物品の製造方法
(a)粒子状混合物を準備する;
(b)粒子状混合物を水と接触させて、
6wt%~8
wt%の水を含む加湿混合物を形成する;
(c)加湿混合物を加圧して、グリーン物品を形成する;
(d)任意で、グリーン物品を、初回乾燥工程にかける;
(e)任意で、グリーン物品をグレージングして、グレーズドグリーン物品を形成する;
(f)グリーン物品を、窯内で熱処理工程にかけて、溶融物品を形成する;及び
(g)溶融物品を冷却して、セラミック物品を形成する
ここで、前記粒子状混合物は、40wt%~70wt%の再生ケイ酸アルミニウム材を含んでおり、及び、前記粒子状混合物は、30
wt%~60wt%の、クレイ、頁岩(シェール)、長石、ガラス、及びそれらの任意の組み合わせから選択される物質を含んでおり、且つ、
前記粒子状混合物は、以下の粒度分布を有しており
(i)10μm~30μmの粒子径d
50;
(ii)40μm未満の粒子径d
70;及び
(iii)60μm未満の粒子径d
98
ここで、前記再生ケイ酸アルミニウム材が、
(a)0.5%~8.0%の可燃性炭素;及び
(b)0.5%~12.0%の酸化鉄を含んでおり、
ここで、ステップ(c)と(f)、及び任意でステップ(d)と(e)は連続したプロセス工程である。
【請求項2】
工程(b)及び(c)において脱気を行う方法を除く、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粒子状混合物が、以下の粒度分布
(i)10μm~25μmの範囲内の粒子径d
50;
(ii)30μm未満の粒子径d
70;及び
(iii)55μm未満の粒子径d
98
を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
再生ケイ酸アルミニウム材が、以下の粒度分布
(i)10μm~30μmの粒子径d
50;
(ii)40μm未満の粒子径d
70;及び
(iii)60μm未満の粒子径d
98
を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
再生ケイ酸アルミニウム材が、以下の粒度分布
(i)10μm~25μmの範囲内の粒子径d
50;
(ii)30μm未満の粒子径d
70;及び
(iii)55μm未満の粒子径d
98
を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
セラミック物品が、セラミック磁器質床タイルである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
セラミック磁器質床タイルが、1cm未満の厚み、少なくとも30cmの幅、及び少なくとも30cmの長さを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
複数のセラミック物品が、複数の経時的に異なる稼働にわたって経時的に製造され、この際、第一の稼働の粒子状混合物は、第一の粒度分布を有し、後続の稼働で使用される後続の粒子状混合物の実質的に全てが、第一の粒子状混合物の第一の粒度分布と、実質的に同じ粒度分布を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック物品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック物品は、加湿、加圧、加熱及び冷却工程を経て粒子状混合物から製造される。
【0003】
セラミック製造において使用できる粒子状混合物に、リサイクル材料(再生ケイ酸アルミニウム材など)を使用することについて関心が寄せられている。再生ケイ酸アルミニウム材は、典型的には、石炭燃焼生成物、例えばフライアッシュから得られる。これは環境に対する利点を有する。
【0004】
しかしながら、セラミック物品、特にセラミック磁器質床タイルの製造におけるそのようなリサイクル材料の使用は、特に、高濃度で使用された場合、問題を生じる可能性がある。これは、特に、大規模製造プロセスに関連する。
【0005】
再生ケイ酸アルミニウム材の使用は、従来のセラミック組成物と比べて、製造プロセスにより大きなばらつきを生じる。このより大きなばらつきは、高濃度の再生ケイ酸アルミニウム材が使用される場合、より大きな影響を与える。
【0006】
セラミック物品、特にセラミック磁器質床タイルは、一貫性のない及び/又は過度な様式で縮む可能性があり、これは次に内部応力の原因となり得る。これは、例えば、破損のような欠陥、または、例えば、取り扱いの際に破損しやすい弱い内部構造をもたらしうる。
【0007】
他の問題として、ブラックコアリング(black coring)、及び不適切な吸水性が挙げられる。これは、特にセラミック磁器質床タイルにとって重要である。
【0008】
本発明は、セラミック物品、特にセラミック磁器質床タイルを製造するプロセスであって、再生ケイ酸アルミニウム材のセラミック物品への取り込みを可能にし、ブラックコアリング(黒芯形成)がなく、収縮がわずかで、優れた(すなわち、低い)吸水性を示すセラミック物品を製造するプロセスを提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、粒度分布、特に粒子径d50をコントロールし、ブラックコアリングを回避し、最適な収縮及び吸水率を有する良好な特性を提供する。小さすぎる粒径の使用は、望まないブラックコアリングと過度の収縮をもたらす一方、粒径を大きくしすぎると、ガラス化の不足により不適切な(高い)吸水性をもたらす。これらは非常に質の悪いセラミック物品(磁器質床タイルなど)をもたらす。本発明で要求される粒度分布、特に粒子径d50の使用は、これらの問題を克服し、ブラックコアリングが無く、許容範囲の収縮と、非常に低い吸水性を有するセラミック物品を提供する。これは、セラミック磁器質床タイル及びそれらの製造にとって非常に望ましい。セラミック磁器質床タイルは、強度が高く、水に不浸透性である必要があり、加えて、それらは特にブラックコアリングの問題の影響を受けやすい。これらの理由から、本発明のプロセスは、特に、セラミック磁器質床タイル、及び特にセラミックグレス(gres)磁器質床タイルにおいて、使用するのに適している。
【0010】
本発明は、セラミック磁器質床タイルなどのセラミック物品への、再生ケイ酸アルミニウム材の組み込みを可能にする方法を提供し、優れた特性を有するセラミック物品を製造する。
【0011】
さらに、複数のセラミック物品が、複数の経時的に異なる稼働にわたって経時的に製造される場合、実質的に同じ粒子状混合物を、それぞれの後続プロセスの稼働のために使用することは、セラミック物品について一貫性の高い特性を保証する。これは、特に、処理量が多い大規模の工業用連続窯が使用される場合に有益である。
【発明の概要】
【0012】
以下の工程を含む、セラミック物品の製造方法
(a)粒子状混合物を準備する;
(b)粒子状混合物を水と接触させて、加湿混合物を形成する;
(c)加湿混合物を加圧して、グリーン物品を形成する;
(d)任意で、グリーン物品を、初回乾燥工程にかける;
(e)任意で、グリーン物品をグレージングする;
(f)グリーン物品を、窯(キルン)内で熱処理工程にかけて、溶融物品を形成する;及び
(g)溶融物品を冷却して、セラミック物品を形成する
ここで、前記粒子状混合物は、30wt%~80wt%の再生ケイ酸アルミニウム材を含んでおり、
前記粒子状混合物は、以下の粒度分布を有しており
(i)10μm~30μmの粒子径d50;
(ii)40μm未満の粒子径d70;及び
(iii)60μm未満の粒子径d98
ステップ(c)と(f)、及び任意でステップ(d)と(e)は、連続したプロセス工程である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
プロセス:
グレーズドセラミック物品の製造方法は、以下の工程を含む:
(a)粒子状混合物を準備する;
(b)粒子状混合物を水と接触させて、加湿混合物を形成する;
(c)加湿混合物を加圧して、グリーン物品を形成する;
(d)任意で、グリーン物品を、初回乾燥工程にかける;
(e)任意で、グリーン物品をグレージングする;
(f)グリーン物品を、窯(キルン)内で熱処理工程にかけて、溶融物品を形成する;及び
(g)溶融物品を冷却して、グレーズドセラミック物品を形成する
ここで、ステップ(c)と(f)、及び任意でステップ(d)と(e)は、連続したプロセス工程である。
【0014】
工程(a)と(b)は、工程(c)と(f)、及び任意で工程(d)と(e)とともに、連続したプロセス工程であってもよい。あるいは、工程(a)と(b)は、バッチ工程であってもよい。
【0015】
工程(g)は、工程(c)と(f)、及び任意で工程(d)と(e)とともに、連続したプロセス工程であってもよい。あるいは、工程(g)は、バッチ工程であってもよい。
【0016】
典型的には、任意工程(d)により、任意のグレージング工程(e)及び熱処理工程(f)の前に、グリーン物品が乾燥される。
【0017】
前記プロセスの間に、複数のセラミック物品が、複数の経時的に異なる稼働にわたって経時的に製造されることが好ましい。典型的には、第一の稼働(first run)の粒子状混合物は、第一の粒度分布を有する。好ましくは、後続の稼働で使用される後続の粒子状混合物の実質的に全て、好ましくは後続の稼働で使用される後続の粒子状混合物の全てが、第一の粒子状混合物の第一の粒度分布と、実質的に同じ粒度分布を有し、好ましくは同じ粒度分布を有する。
【0018】
典型的には、第一の稼働の粒子状混合物は、
(a)第一の量の可燃性炭素を含み、及び
(b)第一の量の酸化鉄を含む。
【0019】
好ましくは、後続の稼働で使用される後続の粒子状混合物の実質的に全て、好ましくは後続の稼働で使用される後続の粒子状混合物の全てが、
(a)第一の粒子状混合物に含まれる第一の量の可燃性炭素と実質的に同じ量の可燃性炭素、及び
(b)第一の粒子状混合物に含まれる第一の量の酸化鉄と実質的に同じ量の酸化鉄、
を含む。
【0020】
粒子状混合物の準備:
粒子状混合物は、混合物に十分なせん断力を与えて物質を分散させることができる任意のミキサーで、個々の成分をブレンドすることによって調製できる。適切なミキサーとして、ホソカワミクロン株式会社のFlexomixerシリーズ、又はLoedige CBミキサーなどの高せん断ミキサーが挙げられる。他の適切なミキサーとして、リボンブレンダー又はパドルミキサー又は連続スクリューミキサー等の低せん断ミキサーが挙げられる。適切なミキサーとして、Morton Mixer社のModel 50 X 10リボンブレンダー、及びDynamic Air社のBella Model XNパドルミキサーが挙げられる。ミキサーは連続式であってもバッチ式であってもよい。他の選択肢は、個々の物質を連続的に供給し、空気輸送システムによって運搬する空気圧混合を使用することである。空気輸送システム内で、通常、物質は高度に分散された状態となり、空気流内で十分に混合される。他の適切な種類の連続ミキサーは、搬送スクリューであり、特に混合を強化するための逆混合エレメントを備えたものである。粒子混合物を作る適切な搬送スクリューミキサーの一例は、Hydroscrew社のMESC200モデルである。高せん断ミキサーは、典型的には数秒間で、別々の物質から混合により粒子状混合物を作り出すことができる。低せん断ミキサーは、適切な均質混合物を作り出すのに、典型的には1~10分間の混合を必要とする。粒子状混合物を作る別の可能性のある方法は、個々の物質をグラインダーに供給することである。ミル内で典型的に付与される、高せん断及び強い空気流及び強い混合は、非常に急速に均質な混合物を作り出し、これはその後必要に応じて分級されてもよい。ほとんどのミルは、物質を混合し、及びそれらを粉砕する十分な能力を有し、これには先に記載した任意のミルが含まれる。
【0021】
再生ケイ酸アルミニウムは、クレイ及び/又は長石などの他の成分と、先に記載したミキサー及び方法を使用して混合されてもよい。様々な物質が、ミキサーに別々に添加されてもよく、又は主混合の前に処理装置内で事前混合されてもよい。
【0022】
再生ケイ酸アルミニウムを包含する粒子状混合物を製造する好ましい方法は、異なる物質を、粉砕プロセスに供給し、任意の粉砕工程を使用して、空気輸送及び混合と組み合わせて、均質な混合物が形成されるように、個々の物質を配合及び混合することである。
【0023】
他の物質を、粒子状混合物に添加する必要がある場合もある。例えば、ポリマー及び可塑剤が、特定の性質を持たせるため、又は焼成の前にセラミック物品のグリーン強度を増加させるために、必要に応じて添加される。粉末形態の任意の物質を上述のように添加することができる。しかしながら、水溶液又は水性懸濁液中の物質は、通常、高せん断ミキサー、例えばFlexomixer又は同様のもの、あるいはLoedige CB中で、添加する必要があるであろう。混合物に添加される液状物質は、通常、粒子混合物全体に液体を微細分散させるための高せん断混合工程を使用することによって、混合物中に微細に分散させる必要がある。
【0024】
完成したセラミック物品に特定の性質を付与するために添加できる他の物質が、混合プロセス中に、粒子状混合物に組み込まれてもよい。
【0025】
好ましくは、粒子状混合物は、噴霧乾燥によって調製されない。このような不適切な噴霧乾燥プロセス工程は、再生ケイ酸アルミニウム材及び他の固体物質(例えばクレイ及び/又は長石)の水性スラリーの形成を伴い、この水性スラリーを噴霧乾燥して粒子状混合物を形成する。このようなプロセスは、かなりの量のエネルギーを伴うため、望ましくない。
【0026】
粒子状混合物を水と接触させて、加湿混合物を形成する:
セラミック粒子状混合物は、加湿されることが必要である。添加された水は、混合物の可塑性を増加させ、混合物を圧縮して、タイルの圧縮体を形成するのに役立つ。セラミック粒子状混合物の加湿は、焼成前の加圧タイルの強度を増加させる。しかしながら、通常、添加する水の量及び混合物中の水の分散の両方を注意深くコントロールすることが非常に重要である。典型的には、水の量が多すぎると、加湿混合物の可塑性が高くなりすぎて、窯の中で焼成する前及び焼成する間のハンドリング中に、グリーン物品が変形し、いびつな形になりうる。粒子状混合物の流動特性も、特に輸送シュート(transport chute)において、水の量が多いことにより悪影響を受け得る。典型的には、加熱中に形成される蒸気が内部応力と亀裂を生じさせないコンディション下で、水の除去を行う必要がある。形成及び加圧工程を行いやすくするための多量の添加水は、乾燥工程をより難しくする可能性がある。水の量が十分に多くない場合、加湿混合物は、圧縮して所望の形状とするのに十分な可変性を有さないかもしれない。それゆえ、水の量は、通常、様々な要求の間のバランスであり、注意深くコントロールする必要がある。
【0027】
典型的には、粒子状混合物の可塑性を増加させるのに有効であるはずの場合、粒子状混合物に添加される水は、混合物全体に十分に分散される必要がある。水が粒子状混合物全体に十分に分散していない場合、粒子状混合物は、湿りすぎた凝集塊と、湿っていない物質の混合物を含みうる。通常、この種の混合物は、特に、粒子状混合物が乾燥しすぎていて強固な構造へとうまく圧縮されないグリーン物品の領域において、加圧の間の挙動が非常に悪く、複数の欠陥を伴う。
【0028】
高レベルの分散を確実にするため、水は通常、高せん断ミキサー中で粒子状混合物に添加される。このために適切なミキサーとして、ホソカワミクロン株式会社のSchugi Flexomixシリーズが挙げられる。この工程は、粒子状混合物のいくばくかの顆粒形成も引き起こし、これはしばしば流動性及び続くハンドリングに役立つ。
【0029】
加湿混合物を加圧してグリーン物品を形成する
上述のようにして形成された加湿混合物は、通常、加圧前に金型に供給される。各金型に入れられる加湿物質の量は、目標量であるように、且つ金型のエリアに均一に広がるように制御されることが必要となり得る。もしこれが生じなければ、タイルのパーツは、加圧の間に異なる力を受ける可能性があり、これは欠陥の可能性を高めるであろう。金型への均一な注入及び粉体層のフラットで均一な厚みを確実にするために、イタリア、イーモラのSACMI製DCP 160のような、専用の粒子状混合物フィーダーを使用することができる。加湿混合物は、その後典型的には20~200MPaの間の圧力にてプレス機中で圧縮され、粒子状混合物の組成及び特性に応じたグリーン物品を形成する。適切なプレス機には、SACMIによって供給されている液圧プレスのIMOLAシリーズが含まれる。当業者は、特定の要件に応じて、粉末フィーダー及びプレス機の適切な組み合わせを容易に選択することができるであろう。
【0030】
グリーン物品を初回乾燥工程にかける:
グリーン物品は、任意で、窯での焼成前にグリーン物品を少なくとも部分的に乾燥、又はグリーン物品を乾燥するための初回乾燥工程にかけられてもよい。初回乾燥工程は、典型的には、最初の加熱工程である。この工程は、窯での焼成とは別々であっても、又は一体化されてもよい。この初回乾燥工程の間の温度は、クラッキングを避けるため、通常110℃を超えない。
【0031】
グリーン物品をグレージング(光沢仕上げ)して、グレーズドグリーン物品を形成する
典型的な高温焼成工程の前に、物品をグレージングしてもよい。典型的には、グレージングは、焼成サイクルの間にガラス化して、セラミック物品の表面に接合された薄いガラス質層を形成する物質の層(単数又は複数)を塗布する。典型的には、このガラス質層は、タイルの表面に不浸透性のバリアを形成し、且つ、ガラス質層内に組み込まれる装飾的なパターン、色彩及びイメージを付与するための有色鉱物又は色素を含むことができる。グレージングは、焼成の前又は焼成工程の後、一段階又は多段階で付与することができる。多段階グレージングプロセスにおいて、例えば、複雑な「bicuttura」タイルを作るために、第一のグレーズ組成物が、物品の表面に塗布され、これはその後焼成されて、第一のガラス質層を形成する。典型的には、部分的にグレーズされた物品を、その後冷却し、その後さらなるグレーズを塗布して、物品を再焼成する。これを必要に応じて繰り返すことができる。そのようなプロセスは、非常に複雑で装飾的なグレーズパターンとイメージを作るために使用することができるが、物品の強度を弱める傾向がある。例えば、「bicuttura」タイルは、一般的に、床タイルとして使用するのに十分な強度を有していない。典型的には、未焼成物品にグレーズを塗布し、その後一段階でグレーズ物品を焼成するプロセスが、より強度の高い物品を通常製造する。典型的には、このようなプロセスは、例えば、床タイルとして使用されるのに十分頑強な「monocuttura」タイルを作るために使用される。それゆえ、床タイル等のグレーズドセラミック物品を製造するためには、一段階のグレージング及び焼成プロセスを使用することが好ましい。
【0032】
グレーズは、非常に微細に粉砕された鉱物及び色素(特に金属酸化物)の水性懸濁液として、又は微細粉末として、塗布することができる。好ましくは、グレーズ(単数又は複数)は、水性懸濁液として塗布され、これは、イメージ又は装飾パターンが、物品の表面上にペイントされる又はプリントされることを可能にする。非常に高い品質のイメージをセラミック物品の表面上にプリントし、焼成後にそのようなイメージをグレーズ層内で保つために、高速インクジェット式プリンターを使用することが可能である。典型的には、使用するグレーズの組成及び特性を正確にコントロールすることが必要である。例えば、溶融グレーズ物質の粘度は、焼成中に物品の表面からグレーズが流れ落ちないように、及び色が混ざってぼやけた低品質のイメージを作り出さないように、十分高い必要がある。典型的には、グレーズ(単数又は複数)の性質は、例えば、焼成サイクル中に収縮差に起因するグレーズのクラック形成を避けるために、セラミック物品と十分な適合性を有する必要がある。
【0033】
典型的には、水性懸濁液グレーズは、様々な鉱物、色素及び他の物質(フラックスなど)をスラリー中で併せ、及びこのスラリーを十分にすりつぶして、非常に微細な固形粒子を形成することによって作られる。このようなグレーズは、多くの粉砕時間をかけて調製することができる。もし粉砕が不十分であれば、例えば、インクジェット技術を使用してそれらを塗布することが難しくなるかもしれず、グレーズ層の一貫性及び均一性が損なわれる。セラミックスのグレージングとプリンティングの分野では、非常に広範な知識と経験があり、当業者は、必要に応じてグレーズを選択し調製することが可能である。EFI等の企業が、印刷に使用できる有色グレーズである適切な「セラミックインク」を提供している。EFI社は、セラミックタイルの印刷のための「Cretaprint」インクを提供している。EFI社によって製造されるCretaprintシリーズのCretaprint P4などの現代のセラミックタイルプリンターは、グリーンタイルがプリンターを通過する際、多数のスプレーバーを使用して多数のインクと仕上げ剤(フィニッシュ)を塗布し、最終イメージとグレーズ層を作り上げる。Cretaprintセラミックインク及び仕上げ剤、及びCretaprint P4は、上述した粒子状混合物を使用して製造された物品にグレーズ層を塗布するのに適している。
【0034】
窯の中でグリーン物品を熱処理工程にかけて、溶融物品を形成する:
典型的には、グリーン物品は窯の中で焼かれ、粒子状セラミック混合物の粒子焼結を生じさせ、高強度の構造をもたらす。
【0035】
この焼成工程は、バッチ式の窯あるいは連続式の窯の中で行うことができ、好ましくは連続工程が使用される。工業的には、「トンネルキルン」が最も重要である。典型的には、このような窯の中で、セラミック物品は、加熱された長いトンネルの長さに沿ってゆっくりと動かされる。典型的には、窯内の異なるゾーンの温度は一定に保たれ、物品はこれらのゾーンを通って動かされる。この方法では、セラミック物品が経験するコンディションを、非常に正確にコントロールすることができ、全加熱及び冷却サイクルは、大型バッチ式窯で必要とされる非常に長い時間と比較して、1時間もかからない。典型的には、このようなトンネルキルンの最も熱い部分は、中央ゾーンであり、セラミック物品が経験する温度は、徐々に増加し、その後減少する。これは、品質問題を最小限に抑える:例えば、加熱又は冷却プロセス中の応力形成に起因するクラックの発生。しばしば、冷却が急激すぎると、タイルのボディ内に内部応力がたまっていき、これは反りや破壊を生じさせる。段階的で、制御された加熱プロファイルは、「膨張」などの問題を引き起こすことなく、気体が孔を通って排出される制御された様式にて、不純物(炭素など)の焼失も可能にする。典型的には、トンネルキルンの加熱は、ガスバーナー又は電気ヒーター又はマイクロ波加熱及びそれらの組み合わせを使用することによって達成される。トンネルキルン内での加熱のためのガスバーナーの使用は、しばしば窯内部の雰囲気の酸素濃度が低いことを意味し、これはグレーズ及び物品内で生じる化学変化に影響を与える。
【0036】
窯の全長にわたる温度プロファイルは、典型的には、セラミック粒子状混合物の組成によって決まる。異なる物質は、異なる温度で融解し、焼結し始める。大きな粒子は、より小さな粒子と比較して、より遅い焼結キネティクスを有するので、焼結挙動は一般的に、粒子状混合物の粒径によっても決まる。典型的には、焼成の間に過剰量の混合物が溶けるような高温を避けることが重要である。これは強度の低下及び、「スランピング(slumping)」として知られる現象(セラミック物品がその形状を保つための内部強度を有さず、ゆえに変形する)を引き起こし得る。
【0037】
セラミック物品製造、例えば、セラミックタイル製造のための典型的な窯は、窯の中央ゾーンで1000℃~1250℃の間の最高温度を有する。最高温度は、混合物の正確な組成によって決まり得る。フラックスの量が多い混合物は、一般的に、より低い最高温度を必要とする。より大きな粒子を有する混合物は、典型的には、より遅い焼結キネティクスに起因して、最高温度でのより長い時間を必要とする。窯の長さに沿った温度プロファイルは、焼成物品内で特定の構造及び鉱物相を作り出すために変化し得る。加熱及び冷却の全サイクルは、典型的には1時間かからない。
【0038】
多くの窯に関連する問題は、窯の熱慣性が大きく、コンディションを素早く変えることができないことである。大型の工業窯炉は冷却に数日かかる可能性がある。それゆえ、窯のコンディションを素早く調節して、セラミック物品を作るのに使用される粒子状混合物の性質の変化を相殺することはできず、他の方法を使用することが必要である。
【0039】
15分間にわたって、周囲温度から約1250℃まで着実に上昇させる様式によって、グリーン物品を加熱し、その後10~30分の間その温度を維持し、続いて、30分間にわたる連続的な様式で、周辺温度に戻るように温度を下げていくことによって、上述の物品を焼成して、最終製品であるセラミックタイルを形成することができた。
【0040】
溶融物品を冷却してセラミック物品を形成する:
典型的には、セラミック磁器質床タイルなどのセラミック物品を徐冷却することが、内部応力に起因する欠陥を避けるために有益である場合が多く、製造業者によっては、窯から出した熱いタイルを積み重ねて、それらを数時間放置して、周辺条件までの非常に段階的な冷却工程を経るようにしてもよい。典型的には、問題を生じさせずに冷却速度を増加させることができる組成及びプロセスが、生産率を高めるために有益である。
【0041】
任意のグレーズドセラミック物品:
任意のグレーズドセラミック物品は、グレーズドセラミック磁器タイルであってもよい。グレーズドセラミックの床タイルは、1cm未満の厚み、少なくとも20cm、好ましくは少なくとも30cmの幅、及び少なくとも20cm、好ましくは少なくとも30cmの長さを有し得る。
【0042】
任意のグレーズドグリーン物品
典型的には、任意のグレーズドグリーン物品は、グレージングされたグリーン物品である。
【0043】
任意のグレーズ:
適切な任意のグレーズは、典型的には、細かく微粉化した鉱物、色素及び他の物質、例えばフラックス及びフィルム形成剤の水性懸濁液である。一般的には、それらはスラリーを十分にすりつぶして水性懸濁液を形成することによって調製される。グレーズの正確な組成は、一般的には、要求される特性によって決定され、当業者によって選択される。
【0044】
グリーン物品:
典型的には、粒子状混合物から製造されるグリーン物品は、破損なくそれを取り扱うことができ、且つ窯、及び/又は任意のグレージングユニットへ輸送できるように、十分な機械的強度を有する必要がある。これは、「グリーン強度」と称される。典型的には、必要とされるグリーン強度は、グリーン物品の形状と寸法、及びそれが経験する取扱作業によって決まる。典型的には、グリーン強度は、粒子状混合物と、グリーン強度を増加させてハンドリングを可能にするために粒子状混合物に添加されうる物質(水、ポリマー及び高塑性クレイ)の組成によって決まる。
【0045】
加湿混合物:
典型的には、加湿混合物は、正確に制御された量の水を含むことを必要とする。加湿混合物は、6wt%~8wt%の水を含む。典型的には、加湿混合物は、混合物全体にわたって均一に分散された水を含む必要がある。
【0046】
粒子状混合物:
典型的には、粒子状混合物は、セラミック物品の製造に使用するのに適しており、特にセラミック磁器質床タイル製造に使用するのに適している。典型的には、セラミック製造プロセスは、粒子状混合物を液圧プレス等のプレス機に運ぶこと、粒子状混合物をグリーン物品へと加圧することを含む。グリーン物品はその後、窯等の乾燥機に運ばれ、乾燥されてセラミック物品を形成する。当該分野で知られている標準的なセラミック製造プロセスが適切である。
【0047】
粒子状混合物は、30wt%~80wt%の再生ケイ酸アルミニウム材、好ましくは、50wt%より多く80wt%以下、又は60wt%~80wt%、あるいは70wt%~80wt%の再生ケイ酸アルミニウム材を含む。粒子状混合物は、30wt%~75wt%、又は30wt%~70wt%、又は35wt%~75wt%、又は35wt%~70wt%、又は40wt%~75wt%、又は40wt%~70wt%の再生ケイ酸アルミニウム材を含んでもよい。再生ケイ酸アルミニウムは、後により詳細に記載される。
【0048】
粒子状混合物は、20wt%~70wt%、又は20wt%~50wt%、又は20wt%~40wt%、又は20wt%~30wt%、又は30wt%~60wt%の、クレイ、頁岩(シェール)、長石、ガラス及びそれらの任意の組み合わせから選択される物質を含む。好ましい物質は、クレイと長石の組み合わせである。適切なクレイは、ウクライナクレイ(Ukrainian clay)等の標準的なクレイである。好ましいクレイは、標準的なクレイと高塑性クレイの組み合わせである。標準的なクレイと高塑性クレイの重量比は、2:1~5:1の範囲内であってもよい。適切なクレイは、ベントナイトクレイ等の高塑性クレイである。典型的には、高塑性クレイは、25.0より高いAttterburg塑性指数を有する。典型的には、標準的なクレイは、25.0以下のAttterburg塑性指数を有する。
【0049】
典型的には、粒子状混合物は、以下の粒度分布を有する:
(i)10μm~30μmの粒子径d50;
(ii)40μm未満の粒子径d70;及び
(iii)60μm未満の粒子径d98
【0050】
好ましくは、粒子状混合物は、以下の粒度分布を有する:
(i)10μm~25μmの粒子径d50;
(ii)30μm未満の粒子径d70;及び
(iii)55μm未満の粒子径d98
【0051】
粒子状混合物の粒子径d50は、典型的には、10μm~30μm、又は10μm~25μm、又は15μm~20μmの範囲である。粒子状混合物の粒子径d70は、典型的には、40μm未満、又は30μm未満であり、及び典型的には、15μm~35μm、又は20μmより大きく30μm以下の範囲である。粒子状混合物の粒子径d98は、典型的には、60μm未満、又は55μm未満であり、及び典型的には、40μm以上60μm未満、又は45μm以上55μm未満の範囲である。
【0052】
粒子状混合物は、粒子径d10が、3μm~12μm、又は4μm~11μmの範囲内である粒度分布も有してよい。粒子状混合物は、粒子径d90が、50μm未満、又は45μm未満、又は40μm未満、又は30μm~40μmの範囲内である粒度分布も有してよい。粒子状混合物は、粒子径d30が、6μm~20μm、又は10μm~15μmの範囲内である粒度分布も有してよい。
【0053】
粒子状混合物の粒度分布は、粉砕、分級、及び/又は配合の任意の組み合わせによってコントロールすることができる。粒子状混合物の粗画分(又はカット)及び微細画分(又はカット)への分離は、空気分級によって都合よく行うことができ、この際、機械篩で使用されるスクリーンを目詰まりさせうるより小さな粒子がある。粗画分と微細画分のサイズは、分級機の操作によって決定できる。典型例は、ホソカワミクロン株式会社のMicron Separator Air Classifierである。機械類は、ローターの遠心力と空気の求心力のバランスをとることによって、粒子を分類することができる。分離される物質は、ファンにより吸気ダクト内へ及びローターまで引き込まれ、そこで2つの相反する力がそれを分類する。より微細な粒子は、より求心力の影響を受けやすく、他方、粗い粒子は、遠心力の影響をより受けやすい。これらの力は、粗物質を機械の内壁の下方へ流し、その物質を粗粒子放出へと移行させて空にする一方、微細な粒子は、気流を通じてローターへと移動し、その後、上部排出ダクトを通じて放出される。内部ローターの回転速度を変更することによって、粗及び微細カットのサイズを、容易に調節することができる。ローターの速度を速めると、粗画分及び微細画分間のスプリット(split)サイズが大きくなる。
【0054】
粉砕システムは、分級機との組み合わせでミルを含むことが非常に多い。これらの分級機は、ミルと密接に一体化されていてもよく(例えば、ホソカワミクロン株式会社のAir Classifier Mill MS 1500 AC)、あるいは、装置の別々の部品であってもよい。適切なミルには、MBE Coal and Mineral社のPalla Vibrating Mill、又はホソカワミクロン株式会社のMikro Pulverizer(登録商標)Hammer & Screen Millが含まれる。粒子の分布は、単に大きさの上限及び下限ではなく、混合物の全体の分布が変更されるように、異なる大きさの画分を選択的に配合することによって調節することができる。
【0055】
粒子状混合物の粒度分布は、任意の適切な粒径制御技術によってコントロールできる。ある適切な技術は空気分級である。
【0056】
本発明において、粒子状混合物の粒度分布は、注意深くコントロールされる。当該分野で既知の、及びセラミック製造プロセスで日常的に使用される標準的なセラミック混合物は、より大きな粒度分布、例えば、63μm以上の粒子径d98を有する。粒子状混合物の粒度分布をコントロールすることによって、本発明は、セラミック製造での使用に適切であり、非常に滑らかな表面を有するセラミック物品をもたらす粒子状混合物を提供する。理論に拘束されることは望まないが、本発明者は、粒子状混合物に存在する可能性があり且つ最終的に得られたセラミック物品の表面に現れ得る不純物が、人の目で容易に認識されなくなることを、本発明で要求される粒子状混合物の粒度分布が確実にすると考える。さらに、本発明で要求される粒度分布は、粒子状混合物中に存在する可燃性不純物が、セラミック製造の加熱段階の間に確実に発火できるようにする。このことは、これらの不純物が、セラミック製造プロセスの焼結段階前に(典型的には物品の孔が閉じる前に)燃え尽きて、ブラックコアリングを確実に回避するのに役立つ。これは、燃焼ガスが物品から抜け出すことを可能にし、これにより物品は、セラミック製造プロセスの間の望まない膨張から保護される。
【0057】
粒子状混合物は、バインダーを、典型的には0.1wt%~3.0wt%のバインダー、又は0.5wt%~2.0wt%のバインダーを含んでもよい。適切なバインダーは、後により詳細に記載される。典型的には、粒子状混合物へのバインダーの組み込みは、粒子状混合物から形成される(例えば、セラミック製造プロセスの間に加圧によって得られる)グリーン物品に、十分な強度を付与する。
【0058】
粒子状混合物は、混合物に十分なせん断力を与えて物質を分散させることができる任意のミキサーで、個々の成分をブレンドすることによって作り出すことができる。適切なミキサーとして、ホソカワミクロン株式会社のFlexomixerシリーズ、又はLoedige CBミキサーなどの高せん断ミキサーが挙げられる。他の適切なミキサーとして、リボンブレンダー又はパドルミキサー又は連続スクリューミキサー等の低せん断ミキサーが挙げられる。適切なミキサーとして、Morton Mixer社のModel 50 X 10リボンブレンダー、及びDynamic Air社のBella Model XNパドルミキサーが挙げられる。ミキサーは連続式であってもバッチ式であってもよい。他の選択肢は、個々の物質を連続的に供給し、空気輸送システムによって運搬する空気圧混合を使用することである。空気輸送システム内で、通常、物質は高度に分散された状態となり、空気流内で十分に混合される。他の適切な種類の連続ミキサーは、搬送スクリューであり、特に混合を強化するための逆混合エレメントを備えたものである。粒子混合物を作る適切な搬送スクリューミキサーの一例は、Hydroscrew社のMESC200モデルである。高せん断ミキサーは、典型的には数秒間で、別々の物質から混合により粒子状混合物を作り出すことができる。低せん断ミキサーは、適切な均質混合物を作り出すのに、典型的には1~10分間の混合を必要とする。粒子状混合物を作る別の可能性のある方法は、個々の物質をグラインダーに供給することである。ミル内で典型的に付与される、高せん断及び強い空気流及び強い混合は、非常に急速に均質な混合物を作り出し、これはその後必要に応じて分級されてもよい。ほとんどのミルは、物質を混合し、及びそれらを粉砕する十分な能力を有し、これには先に記載した任意のミルが含まれる。
【0059】
再生ケイ酸アルミニウムは、クレイ及び/又は長石などの他の成分と、先に記載したミキサー及び方法を使用して混合されることができる。様々な物質が、ミキサーに別々に添加されてもよく、又は主混合の前に処理装置内で事前混合されてもよい。
【0060】
再生ケイ酸アルミニウムを包含する粒子状混合物を製造する好ましい方法は、異なる物質を、粉砕プロセスに供給し、任意の粉砕工程を使用して、空気輸送及び混合と組み合わせて、均質な混合物が形成されるように、個々の物質を配合及び混合することである。
【0061】
他の物質を、粒子状混合物に添加する必要がある場合もある。例えば、ポリマー及び可塑剤が、特定の性質を持たせるため、又は焼成の前にセラミック物品のグリーン強度を増加させるために必要に応じて添加される。粉末形態の任意の物質を上述のように添加することができる。しかしながら、水溶液又は水性懸濁液中の物質は、通常、高せん断ミキサー、例えばFlexomixer又は同様のもの、あるいはLoedige CB中で、添加する必要があるであろう。混合物に添加される液状物質は、通常、粒子混合物全体に液体を微細分散させるための高せん断混合工程を使用することによって、混合物中に微細に分散させる必要がある。
【0062】
完成したセラミック物品に特定の性質を付与するために添加できる他の物質が、混合プロセス中に、粒子状混合物に組み込まれてもよい。
【0063】
好ましくは、粒子状混合物は、噴霧乾燥によって調製されない。このような不適切な噴霧乾燥プロセス工程は、再生ケイ酸アルミニウム材及び他の固体物質(例えばクレイ及び/又は長石)の水性スラリーの形成を伴い、この水性スラリーを噴霧乾燥して粒子状混合物を形成する。このようなプロセスは、かなりの量のエネルギーを伴うため、望ましくない。
【0064】
粒子状混合物は、0.5wt%~8.0wt%、又は1.0wt%~8.0wt%、又は1.0wt%~7.0wt%、又は1.0wt%~6.0wt%、又は1.0wt%~5.0wt%、又は1.0wt%~4.0wt%、又は1.0wt%~3.0wt%の可燃性炭素を含んでもよい。再生ケイ酸アルミニウム材は、2.0wt%より多く8.0wt%以下、又は2.5wt%~7.0wt%の可燃性炭素を含んでもよい。
【0065】
粒子状混合物は、0.5wt%~12.0wt%、又は0.5wt%~11.0wt%、又は0.5wt%~10wt%、又は0.5wt%~9.0wt%、又は0.5wt%~8.0wt%、又は0.5wt%~7.0wt%、又は0.5wt%~6.0wt%、又は0.5wt%~5.0wt%、又は0.5wt%~4.0wt%、又は0.5wt%~3.0wt%、又は0.5wt%~2.0wt%の酸化鉄を含んでもよい。
【0066】
再生ケイ酸アルミニウム材:
典型的には、再生ケイ酸アルミニウム材は、石炭燃焼生成物に由来する。
【0067】
典型的には、再生ケイ酸アルミニウム材は、石炭燃焼生成物(アッシュ等)を、選鉱プロセスにかけることによって得られる。再生ケイ酸アルミニウムは、典型的には、選鉱されたフライアッシュである。
【0068】
典型的には、再生ケイ酸アルミニウム材は、石炭燃焼生成物(アッシュ等)を、初回粒径スクリーン(1mmスクリーン等)にかけて、大きな物体を取り除き、その後、1又は複数のより小さな粒径スクリーン(250μm及び/又は125μm等)にかけて、大きな粒子を取り除くことによって得られる。この選別された物質は、典型的には、その後、酸化鉄含量を減らすために磁気分離工程にかけられる。この磁気分離工程は、第一の磁気分離工程(例えば、8,000ガウス又は8,000付近のガウスにて)、続いて第二の磁気分離工程(例えば、30,000ガウス又は30,000付近のガウスにて)を含んでもよい。あるいは1つの磁気分離工程(例えば、8,000ガウス又は8,000付近のガウスにて)のみが使用されてもよい。この物質はその後、典型的には、炭素削減工程、例えばか焼又は浮遊選鉱、好ましくはか焼にかけられる。物質は、静電選別技術にかけられてもよい。
【0069】
再生ケイ酸アルミニウム材は、典型的には、主にケイ酸アルミニウムである。再生ケイ酸アルミニウム材は、典型的には、可燃性炭素及び酸化鉄を含み;及びさらに、微量の他の物質、例えば、ナトリウム塩及び/又はマグネシウム塩、及び酸化鉄以外の金属酸化物、例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、及び酸化チタン等を含んでもよい。再生ケイ酸アルミニウム材は、典型的には、少なくとも88wt%のケイ酸アルミニウム、好ましくは少なくとも90wt%のケイ酸アルミニウムを含む。可燃性炭素と酸化鉄の量によっては、再生ケイ酸アルミニウムは、少なくとも92wt%、又は少なくとも94wt%、又は少なくとも96wt%、又は少なくとも98wt%のケイ酸アルミニウムを含んでもよい。
【0070】
再生ケイ酸アルミニウム材は、
(a)任意で、0.5%~8.0%の可燃性炭素;及び
(b)任意で、0.5%~12.0%の酸化鉄
を含んでもよい。
【0071】
再生ケイ酸アルミニウム材は、0.5wt%~8.0wt%、又は1.0wt%~8.0wt%、又は1.0wt%~7.0wt%、又は1.0wt%~6.0wt%、又は1.0wt%~5.0wt%、又は1.0wt%~4.0wt%、又は1.0wt%~3.0wt%の可燃性炭素を含んでもよい。再生ケイ酸アルミニウム材は、2.0wt%より多く8.0wt%以下、又は2.5wt%~7.0wt%の可燃性炭素を含んでもよい。
【0072】
好ましい再生ケイ酸アルミニウム材の一例は、石炭燃焼生成物から可燃性炭素のすべてを除去し、次いでこの無-可燃性炭素材料に、可燃性炭素を添加することによって得られる。このようにして、再生ケイ酸アルミニウム材中に存在する可燃性炭素の量を、注意深く、且つ確実に制御することができる。
【0073】
再生ケイ酸アルミニウム材中に存在する可燃性炭素の量は、か焼、静電除去、及び浮遊選鉱技術(例えば、泡沫-空気(froth-air)浮遊選鉱技術)などの技術によって、コントロールすることができ、典型的には低減することができる。
可燃性炭素レベルをコントロールするこのようなプロセスは、当該分野で十分に知られている。
【0074】
物質をか焼して炭素レベルを低下させる適切な装置として、サウスカロライナ州、レキシントンのSEFA Groupによって供給されているStaged Turbulent Air Reactorsが挙げられる。これらのリアクタは、さらに残留炭素を燃やし尽くすために、受け入れたアッシュを加熱する。
【0075】
よく使用される別の技術は、摩擦静電(triboelectrostatic)選別であり、これにより、特に粉砕後、静電分離器を通過させることによって、炭素粒子を、バルクアッシュ材から除去することができる。炭素粒子を、非炭素粒子とは反対の電荷を有するように帯電させることができ、その後、アッシュ材を静電分離器に通すことによって、除去することができる。このために適切な装置として、マサチューセッツ州、ニーダムのST Equipment and Technologies社によって供給されているSTETセパレーターが挙げられる。
【0076】
適切な泡沫浮遊選鉱装置として、FLSmidthによって供給されているDorr-Oliver and Wemcoユニットが挙げられる。
【0077】
これらのプロセスは全て、過度に高い炭素レベルを低下させることができる。か焼プロセスにおいて、作動温度を上昇させると、炭素レベルはさらに低下するであろう。静電選別において、分離ユニットで使用される電圧を上昇させること、及び分離器に入る物質の粉砕の程度を増加させることは、炭素レベルをさらに減らすために利用可能である。
【0078】
泡沫浮遊選鉱プロセスにおいて、流入材料の粉砕の程度を増加させて、未燃焼炭素粒子をさらにリリースすること、使用する空気の量を増加させること、及び界面活性剤などの添加剤を使用することは、いずれも、炭素レベルの減少を制御するために利用可能である。
【0079】
炭素レベルは、微細に粉砕した可燃性炭素リッチ材料を、粒子状混合物に添加することによって増加させることができる。粒子状混合物の調製に関与する任意の粉砕工程に、可燃性炭素リッチ材料を添加することが特に好ましいと思われる。可燃性炭素リッチ材料が、可燃性炭素リッチのアッシュから前もって抽出された材料であることも、好ましい。これは効率を最大化する。粉砕した石炭等の他の原料も、当然使用できる。好ましくは、粒子状混合物中の可燃性炭素リッチ材料の粒径は、粒子状混合物中に存在する他の材料の粒径と同程度である。
【0080】
再生ケイ酸アルミニウム材は、0.5wt%~12.0wt%、又は0.5wt%~11.0wt%、又は0.5wt%~10wt%、又は0.5wt%~9.0wt%、又は0.5wt%~8.0wt%、又は0.5wt%~7.0wt%、又は0.5wt%~6.0wt%、又は0.5wt%~5.0wt%、又は0.5wt%~4.0wt%、又は0.5wt%~3.0wt%、又は0.5wt%~2.0wt%の酸化鉄を含んでもよい。
【0081】
好ましい再生ケイ酸アルミニウム材の一例は、石炭燃焼生成物から酸化鉄のすべてを除去し、次いでこの無-酸化鉄材料に、酸化鉄を添加することによって得られる。このようにして、再生ケイ酸アルミニウム材中に存在する酸化鉄の量を、注意深く、且つ確実に制御することができる。
【0082】
再生ケイ酸アルミニウム中の酸化鉄の量は、典型的には、粒子状混合物中の酸化鉄レベルを検出し、もしそれが規格外あれば、次に再生ケイ酸アルミニウムから除去する酸化鉄の量を増加させるか、又はケイ酸アルミニウムに酸化鉄リッチ材料を添加するプロセスによってコントロールされる。
【0083】
酸化鉄量は、再生ケイ酸アルミニウムを、1又は複数の磁気選別機に通すことによって低下させることができる。これらは、再生ケイ酸アルミニウムの通過流に磁場をかけ、これにより、酸化鉄等の磁気の影響を受けやすい物質をバルク流から除去する。マグネタイト等の磁性物質は、10,000ガウス(=1テスラ)以下の強度の低い磁場を使用して除去することができる。ヘマタイト(赤鉄鉱)等の磁気の影響を受けにくい鉱物も、磁気分離を使用して取り出せるが、通常、最大で2又は3テスラのはるかに高い磁場強度を必要とする。しばしば磁気分離プロセスは、低強度の分離工程、続いて高強度の分離工程を使用する。再生ケイ酸アルミニウムから酸化鉄を取り出すのに適切な装置として、中国、広東省、フォーシャン市のFoshan Wandaye Machinery Equipment社製の磁気選別機のWDY種が挙げられる。WD-7A-300モデルが使用できた。磁気分離は、ウェットスラリーでも行うことができるが、これは、二次乾燥工程を必要とするため、再生ケイ酸アルミニウムを処理する好ましいルートではない。
【0084】
再生ケイ酸アルミニウム中の酸化鉄量は、再生ケイ酸アルミニウムへ酸化鉄リッチ材料を制御しながら添加することによって増加できる。マグネタイト又はヘマタイト等の酸化鉄鉱物が最も好ましいが、他の供給源も使用できる。特に好ましい供給源は、過剰に高いレベルの酸化鉄を有する再生ケイ酸アルミニウムの前処理によって取り出された酸化鉄の再利用である。好ましくは、酸化鉄リッチ粒子は、均一性を確保するために、再生ケイ酸アルミニウムと同程度の大きさを有する。酸化鉄リッチ材料は、均一性を補助するため、任意の混合又は粉砕工程前に、再生ケイ酸アルミニウムに添加されてもよい。
【0085】
好ましくは、再生ケイ酸アルミニウム材は、
(a)1.0%~3.0%の可燃性炭素;及び
(b)0.5%~2.0%の酸化鉄
を含む。
【0086】
再生ケイ酸アルミニウム材は、(a)0.5%~1.0wt%の可燃性炭素;及び(b)2.5wt%~3.0wt%の酸化鉄を含んでもよい。これは、粒子状混合物が、耐熱性セラミック製造プロセスで使用される時に、好ましいであろう。
【0087】
再生ケイ酸アルミニウム材は、(a)0.5%~1.0wt%の可燃性炭素;及び(b)4.0wt%~4.5wt%の酸化鉄を含んでもよい。可燃性炭素及び/又は酸化鉄のレベルは、粒子状混合物によって製造できるセラミック物品の美的特性を制御するために、コントロールされてもよい。
【0088】
再生ケイ酸アルミニウム材は、典型的には、リサイクル材の少なくとも99wt%が75μm未満の粒径を有するような粒度分布を有する。再生ケイ酸アルミニウム材は、実質的に全てのリサイクル材が75μm未満の粒径を有するような粒度分布を有してもよい。
【0089】
再生ケイ酸アルミニウム材は、典型的には、以下の粒度分布を有する。
(i)10μm~30μmの粒子径d50;
(ii)40μm未満の粒子径d70;及び
(iii)60μm未満の粒子径d98
【0090】
再生ケイ酸アルミニウム材は、以下の粒度分布を有してもよい。
(i)10μm~25μmの粒子径d50;
(ii)30μm未満の粒子径d70;及び
(iii)55μm未満の粒子径d98
【0091】
再生ケイ酸アルミニウム材は、粒子径d10が、3μm~10μm、又は4μm~6μmの範囲内である粒度分布も有してよい。再生ケイ酸アルミニウム材は、粒子径d30が、6μm~20μm、又は10μm~15μmの範囲内である粒度分布も有してよい。再生ケイ酸アルミニウム材は、粒子径d90が、50μm未満、又は45μm未満、又は40μm未満、又は30μm~40μmの範囲内である粒度分布も有してよい。
【0092】
再生ケイ酸アルミニウム材の粒度分布は、粒子状混合物の粒度分布をコントロールするために上述したのと同様の手段によってコントロールできる。再生ケイ酸アルミニウム材の粒度分布は、粉砕、分級及び/又は配合の任意の組み合わせによってコントロールできる。
【0093】
可燃性炭素:
一般的に、可燃性炭素は、強熱減量(LOI:loss on ignition)法によって測定できる炭素である。この可燃性炭素は、粒子状混合物中で注意深く制御される必要がある。再生ケイ酸アルミニウム材は、不燃性炭化物等の不燃性炭素を、一般的には非常に低濃度(微量)で含んでもよい。
【0094】
酸化鉄:
典型的には、酸化鉄含量は、蛍光X線分光法(XRF)によって測定される。
【0095】
バインダー:
適切なバインダーは、有機バインダーである。適切な有機バインダーとして、ポリビニルアルコール、流動化剤(superplasticizer)、メチルセルロース、カルボメトキシセルロース、又はデキストリンが挙げられる。他のバインダーは、当業者に周知である。有機バインダーは液状であってもよい。
【0096】
可燃性炭素含量の測定方法:
可燃性炭素のレベルは、ASTM D7348による強熱減量(LOI)試験によって測定される。この試験では、サンプルを乾燥するために、まず1gのフライアッシュを150℃で乾燥する。このサンプルをその後冷却し、秤量する。次に、サンプルを2時間かけて段階的に500℃に達するまで加熱する。
【0097】
酸化鉄含量の測定方法:
酸化鉄のレベルは、蛍光X線によって測定される。再生ケイ酸アルミニウムの典型的な粒径は十分に小さく、この技術は精密測定に適している。この技術は、高エネルギーガンマ線又はX線を使用してサンプルを励起することで機能する。これは、存在する原子のイオン化を引き起こし、これは次いで原子の種類によって決まる固有周波数EM放射線を放射する。異なる周波数の強度分析は、元素分析を行うことを可能にする。適切な装置は、オリンパスによって供給されているXRF分析計のVartaシリーズである。この装置は、元素鉄を検出し、結果は最も一般的には、対応するFe2O3レベルに換算される。
【0098】
粒度分布の測定方法:
粒度分布は、レーザー回析によって測定される。レーザー回析による粒径分析の望ましい基準は、ISO 8130-13の「Coating powders - Part 13. Particle size analysis by laser diffraction」に示されている。この基準に適合している適切な分析機は、米国、カリフォルニア州、アーバインのHoriba Instruments社;英国、ウースターシャーのMalvern Instruments社;ドイツ、クラウスタール・ツェラーフェルトのSympatec社;米国、カリフォルニア州、フラートンのBeckman-Coulter社によって製造されている。適切な粒径分析機は、Malvern Instruments社のMastersizer 2000である。典型的には、試験物質が初めに液体に分散されるウェット法ではなく、物質が粉末流として試験される「ドライ」分析技術が使用される。測定は、通常、製造者の取扱説明書及び試験手順に従って行われる。
【0099】
結果は、一般的には、ISO 9276-1:1998の「Representation of results of particle size analysis - Part 1: Graphical Representation」、
図4A、「Cumulative distribution Q3 plotted on graph paper with a logarithmic abscissa」に従って表される。
【0100】
[実施例]
同量の再生ケイ酸アルミニウム材、クレイ及び長石を含むが、粒度分布の異なる3つのセラミック組成物を準備し、同じ寸法と重量を有するグリーンセラミック試験物品を形成した。
【0101】
これらのグリーン試験物品をその後全て、オーブンで同時に焼成することにより、同一の条件にかけた。得られたセラミック物品を、ブラックコアリングの兆候について、及び吸水率について試験した。試験は、本発明の粒度分布を有する組成物のみが、ブラックコアリング又は許容できないほど高い吸湿を示さない、許容範囲のセラミックスを作ることを明らかにした。
【0102】
3.0wt%のFe2O3及び7.6wt%の炭素を含む、再生ケイ酸アルミニウム材の3つのサンプルを、クレイ及び曹長石と混合し、以下の特性を有する混合物を得た。再生ケイ酸アルミニウム試験物質の粒度分布、酸化鉄量及び炭素量を、以下に示す。
【0103】
【0104】
次にそれぞれの再生ケイ酸アルミニウム材を、表示量のクレイ及び長石と混合し、以下の組成と特性を有する3つの試験バッチを得た。
【表2】
【0105】
3つの組成物を、その後、セラミック試験物品を作るために使用した。10gの各混合物を、0.8gの10wt%のデキストリン水溶液と混合し、各ウェット混合物を、40MPaの圧力で加圧して、直径26mm・厚み10mmのディスク状試験セラミックとした。サンプルディスクを110℃で一定の重量になるまで乾燥し(約4時間)、その後、まとめてオーブン中で、3℃/分の一定の勾配にて、1230℃の温度まで焼成し、15分間最高温度で保ち、その後7時間冷ました。
【0106】
この後、サンプルをブラックコアリングの痕跡について目視検査し、ISO 10545-3に従ってそれらの吸水率を測定し、及び試験セラミックディスクの初期直径に対する減少率として表される半径方向の収縮を測定した。これらの値は、セラミック物品のガラス化の程度の指標となる。
【0107】
【0108】
このデータは、高濃度のリサイクルされた材料を有し、且つ十分な量のクレイ及び他の物質を有する磁器タイルを製造して、工業的に頑強なセラミック物品を作るための、本発明の粒度分布の利点を示す。