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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】鋼材の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/24 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
E04B1/24 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023005383
(22)【出願日】2023-01-17
【審査請求日】2023-01-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523018221
【氏名又は名称】新生工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】兼元 忍
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-082203(JP,U)
【文献】特開2006-291550(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2012-0002029(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/24
F16B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
H型鋼材又はI型鋼材であって、互いに直交する上下方向、第1方向及び第2方向に延びる第1鋼材、第2鋼材及び第3鋼材を備え、
前記第1鋼材の上端又は下端は、前記第2鋼材の下端面又は上端面に当接し、
前記第2鋼材及び前記第3鋼材における前記第2方向の端同士は、前記第1鋼材の上方向又は下方向で当接し、
前記第1鋼材のウエブに沿う第1部分と、前記第2鋼材のフランジに沿う第2部分とが一体で繋がる第1連結部材と、
前記第2鋼材のウエブに沿う第3部分と、前記第3鋼材のウエブに沿う第4部分とが一体で繋がる第2連結部材と、
前記第3鋼材のフランジに沿う第5部分と、前記第1鋼材のフランジに沿う第6部分とが繋がる第3連結部材と、
前記第1部分を前記第1鋼材のウエブに固定する第1固定部材と、
前記第2部分を前記第2鋼材のフランジに固定する第2固定部材と、
記第3部分を前記第2鋼材のウエブに固定する第3固定部材と、
前記第4部分を前記第3鋼材のウエブに固定する第4固定部材と、
前記第2方向において前記第4固定部材よりも前記第2鋼材から離れた位置で、前記第5部分を前記第3鋼材のフランジに固定する第5固定部材と、
記第6部分を前記第1鋼材のフランジに固定する第6固定部材と
を更に備え
前記第1固定部材は、前記上下方向において前記第6固定部材よりも前記第3鋼材から離れた位置で、前記第1部分を前記第1鋼材のウエブに固定し、
前記第2固定部材は、前記第1方向において前記第3固定部材よりも前記第1鋼材から離れた位置で、前記第2部分を前記第2鋼材のフランジに固定する、鋼材の連結構造。
【請求項2】
前記第1鋼材を挟んで前記第1連結部材と反対側に位置し、前記第1鋼材のウエブに沿う第7部分と、前記第2鋼材のフランジに沿う第8部分とが一体で繋がる第4連結部材と、
前記第3鋼材を挟んで前記第2連結部材と反対側に位置し、前記第2鋼材のウエブに沿う第9部分と、前記第3鋼材のウエブに沿う第10部分とが一体で繋がる第5連結部材と、
前記第8部分を前記第2鋼材のフランジに固定する第7固定部材と、
前記第9部分を前記第2鋼材のウエブに固定する第8固定部材と
を更に備え、
前記第1固定部材は、前記第1部分及び前記第7部分を前記第1鋼材のウエブに固定し、
前記第4固定部材は、前記第4部分及び前記第10部分を前記第3鋼材のウエブに固定する、請求項1に記載の鋼材の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼材の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼材は、建造物の骨組に使用される。骨組において、複数の鋼材は、接手等の連結部材を用いて互いに連結される(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-170248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
骨組みの組み立て時、複数の鋼材は簡単に連結することが求められる。
【0005】
本発明の目的は、複数の鋼材を簡単に連結可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る鋼材の連結構造は、H型鋼材又はI型鋼材であって、互いに直交する上下方向、第1方向及び第2方向に延びる第1鋼材、第2鋼材及び第3鋼材を備える。前記第1鋼材の上端又は下端は、前記第2鋼材の下端面又は上端面に当接する。前記第2鋼材及び前記第3鋼材における前記第2方向の端同士は、前記第1鋼材の上方向又は下方向で当接する。前記鋼材の連結構造は、前記第1鋼材のウエブに沿う第1部分と、前記第2鋼材のフランジに沿う第2部分とが一体で繋がる第1連結部材と、前記第2鋼材のウエブに沿う第3部分と、前記第3鋼材のウエブに沿う第4部分とが一体で繋がる第2連結部材と、前記第3鋼材のフランジに沿う第5部分と、前記第1鋼材のフランジに沿う第6部分とが繋がる第3連結部材と、前記第1部分を前記第1鋼材のウエブに固定する第1固定部材と、前記第2部分を前記第2鋼材のフランジに固定する第2固定部材と、前記第1方向において前記第2固定部材とは異なる位置で、前記第3部分を前記第2鋼材のウエブに固定する第3固定部材と、前記第4部分を前記第3鋼材のウエブに固定する第4固定部材と、前記第2方向において前記第4固定部材とは異なる位置で、前記第5部分を前記第3鋼材のフランジに固定する第5固定部材と、前記第1方向において前記第1固定部材とは異なる位置で、前記第6部分を前記第1鋼材のフランジに固定する第6固定部材とを更に備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の鋼材を簡単に連結可能な鋼材の連結構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る鋼材の連結構造を用いた構造物の骨組みを示す斜視図である。
図2図1に示す骨組みにおける、鋼材の連結構造を示す図である。
図3図2に示される第2鋼材同士の連結部分を示す図である。
図4図1に示す骨組における第1連結部材及び第4連結部材を示す図である。
図5図1に示す骨組における第2連結部材及び第4連結部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る鋼材の連結構造100について説明する。鋼材の連結構造100は、典型的には、建造物500の骨組みに適用される。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
本説明の理解を容易にするため、上下方向Z、第1方向X及び第2方向Yを定義する。上下方向Z、第1方向X及び第2方向Yはいずれも双方向を示す。特に、上下方向Zは、上方向(上向き)Z1及び下方向(下向き)Z2を含む。第1方向Xは、建造物500の桁行方向及び梁間方向の一方であり、第2方向Yは、同桁行方向及び同梁間方向の他方である。また、第1方向Xの一方及び他方を、「第1方向一方X1」及び「第1方向他方X2」とそれぞれ記載する場合がある。第2方向Yの一方及び他方を、「第2方向一方Y1」及び「第2方向他方Y2」とそれぞれ記載する場合がある。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る鋼材の連結構造100を用いた建造物500の斜視図である。図1に示されるように、建造物500は、地盤に建造された物であって、典型的にはコンテナハウスである。なお、建造物500は、家屋や倉庫であってもよい。
【0012】
建造物500は、下部構造である基礎51と、上部構造の一部である骨組52とを含む。上部構造は、建築物本体である。上部構造は、骨組52以外にも外壁や内壁を有する。しかし、これらは本発明の要部ではないため、それぞれの図示及び説明を控える。
【0013】
基礎51は、本説明ではべた基礎である。基礎51は、べた基礎に代えて、布基礎でもよい。詳細には、基礎51は、立ち上がり部511を有する。立ち上がり部511は、上端面である基礎梁天端512を有する。基礎梁天端512は、第1方向X及び第2方向Yに略平行な平坦面であり、地盤の計画高さから400mm以上である。
【0014】
本説明において「略平行」という用語は、完全に平行であること、又は、公差又は微差の範囲をもって概ね平行であることを意味する。
【0015】
図1の例では、基礎梁天端512の平面形状は、矩形の枠状である。また、上部構造が有する開口部の下方向Z2において、立ち上がり部511が連続していない部分513もある。
【0016】
建造物500において、骨組52は、基礎梁天端512上に組み立てられる。本説明では、骨組52は、例えば、略直方体状形状であり、12個の「鋼材の連結構造100A~100L」を有する。以下、これらを代表して、鋼材の連結構造100Aについて詳説する。
【0017】
図2は、鋼材の連結構造100Aを示す図である。図3は、図2における第2鋼材12A,12Bの連結部分を示す図である。図2図3に示されるように、連結構造100Aは、骨組52において上方向Z1側、第1方向Xの中央部且つ第2方向一方Y1側に位置する。鋼材の連結構造100Aは、複数の鋼材10と、複数の連結部材20と、複数の固定部材30とを備える。
【0018】
複数の鋼材10は、骨組52の柱や梁の部分に使用される。各鋼材10は、例えばH型鋼材又はI型鋼材であり、2つのフランジと、ウエブとを有する。フランジ及びウエブの各々は、薄く且つ細長い矩形の板状形状を有する。フランジ及びウエブのうち、フランジは、鋼材10の外側で平行に延びる板であり、ウエブは、2つのフランジに介在して2つのフランジを接続する板である。各鋼材10は、互いに略同一の断面形状を有する。
【0019】
本説明において「略同一」という用語は、完全に同じものであることと、公差又は微差の範囲をもって概ね同じものであることとを意味する。
【0020】
なお、各鋼材10は、建造物500の建築現場で作業し易いように、建築現場以外の工場や倉庫において適切な長さに切断される。
【0021】
複数の鋼材10は、第1鋼材11Aと、複数の第2鋼材12A,12Bと、第3鋼材13Aとを含む。第1鋼材11A、第2鋼材12A,12B及び第3鋼材13Aは、上下方向Z、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ延びる。
【0022】
より詳細には、第2鋼材12A,12Bの各々は、基礎梁天端512から上方向Z1に離れて位置する。第2鋼材12Aの第1方向一方X1側の端と、第2鋼材12Bの第1方向他方X2側の端とは互いに突き合わされる(図3参照)。第2鋼材12Aと第2鋼材12Bとは、溶接無しで互いに連結される。連結には、複数の当金123(図3参照)、複数のボルト124及び複数のナット125が使用される。以下、第2鋼材12A,12Bの第1方向Xにおける総延長を「総延長L11」(図示せず)と記載する。総延長L11は、2本の第2鋼材12A,12Bの第1方向Xにおける長さの合計である。
【0023】
第1鋼材11Aの上端は、第2鋼材12Aの下端面における特定位置P21に当接する(図2参照)。特定位置P21は、総延長L11の中央である。
【0024】
第3鋼材13Aは、第1鋼材11Aの上端のすぐ上方向Z1で第2方向Yに延びる。第3鋼材13Aにおいて、第2方向一方Y1の端は、第2鋼材12Aの第2方向他方Y2の端における特定位置P31に当接する。特定位置P31は、総延長L11の中央である。第3鋼材13Aにおいて、第2方向他方Y2の端は、第2鋼材12Dの第2方向一方Y1の端における特定位置P32(図1参照)に当接する。特定位置P32は、総延長L12の中央である。
【0025】
連結部材20は、Lアングルとも呼ばれ、L字形状の断面を有する鋼材である。連結部材20は、2つの鋼材10の連結に使用される。実施形態では、連結部材20は、第1連結部材21と、第2連結部材22と、第3連結部材23と、第4連結部材24(図4参照)と、第5連結部材25(図5参照)とを含む。
【0026】
第1連結部材21では、第1部分211と第2部分212とが一体に繋がる。第1部分211は、第1鋼材11Aのウエブに沿う部分である。第2部分212は、第2鋼材12Aのフランジに沿う部分である。
【0027】
詳細には、第1部分211は、薄い直方体状の平板であり、第1鋼材11Aのウエブにおいて第1方向一方X1側の主面111A上で、上下方向Z及び第2方向Yに拡がっている。第2部分212は、薄い直方体状の平板であり、第2鋼材12Aの下端面121A上で、第1方向X及び第2方向Yに拡がっている。第1部分211の上方向Z1における端と、第2部分212の第1方向他方X2の端とは、主面111Aと下端面121Aとの交差部分において一体で繋がっている。
【0028】
第2連結部材22では、第3部分221と第4部分222とが一体に繋がる。第3部分221は、第2鋼材12Aのウエブに沿う部分である。第4部分222は、第3鋼材13Aのウエブに沿う部分である。
【0029】
詳細には、第3部分221は、薄い直方体状の平板であり、第2鋼材12Aのウエブにおいて第2方向他方Y2側の主面122A上で、上下方向Z及び第1方向Xに拡がっている。第4部分222は、第3鋼材13Aのウエブにおいて第1方向一方X1側の主面131A上で、上下方向Z及び第2方向Yに拡がっている。第3部分221の第1方向他方X2の端と、第4部分222の第2方向一方Y1の端とは、主面122A,131Aの交差部分において一体で繋がっている。
【0030】
第3連結部材23では、第5部分231と第6部分232とが一体に繋がる。第5部分231及び第6部分232は、第3鋼材13A及び第1鋼材11Aのフランジにそれぞれ沿う部分である。
【0031】
詳細には、第5部分231は、第3鋼材13Aのフランジにおける下端面132A上で、第1方向X及び第2方向Yに拡がっている。第6部分232は、第1鋼材11Aのフランジにおける第2方向他方Y2側の端面112A上で、上下方向Z及び第1方向Xに拡がっている。第5部分231の第2方向一方Y1の端と、第6部分232の上端とは、下端面132A及び端面112Aの交差部分において一体で繋がっている。
【0032】
図4は、第1連結部材21及び第4連結部材24を示す図である。図4に示されるように、第4連結部材24は、第1連結部材21と略同一形状であることが好ましく、第1鋼材11Aのウエブを挟んで第1連結部材21と反対側に位置する。本実施形態では、第1連結部材21及び第4連結部材24は、第1方向Xにおいて互いに対称になるように配置される。第4連結部材24では、第7部分241と第8部分242とが一体に繋がる。第7部分241は、第1部分211と同様に、第1鋼材11Aのウエブに沿う部分である。第8部分242は、第2部分212と同様に、第2鋼材12Aのフランジに沿う部分である。
【0033】
詳細には、第7部分241は、薄い直方体状の平板であり、第1鋼材11Aのウエブにおいて第1方向他方X2側の主面113A上で、上下方向Z及び第2方向Yに拡がっている。第8部分242は、第2鋼材12Aのフランジにおける下端面121A上で、第1方向X及び第2方向Yに拡がっている。第7部分241の上端と、第8部分242の第1方向一方X1の端とは、主面113Aと下端面121Aとの交差部分において一体で繋がっている。
【0034】
図5は、第2連結部材22及び第5連結部材25を示す図である。図5に示されるように、第5連結部材25は、第2連結部材22と略同一形状であることが好ましく、第3鋼材13Aを挟んで第2連結部材22と反対側に位置する。本実施形態では、第2連結部材22及び第5連結部材25は、第1方向Xにおいて互いに対称になるように配置される。第5連結部材25では、第9部分251と、第10部分252とが一体で繋がる。第9部分251及び第10部分252は、第2鋼材12A及び第3鋼材13Aのウエブにそれぞれ沿う部分である。
【0035】
詳細には、第9部分251及び第10部分252の各々は、薄い直方体状の平板である。第9部分251は、主面122A上で、上下方向Z及び第1方向Xに拡がっている。第10部分252は、第3鋼材13Aのウエブにおいて第1方向他方X2側の主面133Aで、上下方向Z及び第2方向Yに拡がっている。第9部分251の第1方向一方X1の端と、第10部分252の第2方向一方Y1の端とは、主面122A,133Aとの交差部分において一体で繋がっている。
【0036】
図2に示されるように、複数の固定部材30の各々は、典型的にはボルト及びナットの組み合わせであり、連結部材20を鋼材10に固定するための部材である。実施形態では、複数の固定部材30は、第1固定部材31と、第2固定部材32と、第3固定部材33と、第4固定部材34と、第5固定部材35と、第6固定部材36と、第7固定部材37と、第8固定部材38(図5参照)とを含む。
【0037】
第1固定部材31は、第1部分211と、第7部分241(図4参照)と、第1鋼材11Aのウエブとを互いに固定する。詳細には、第1部分211と、第7部分241と、第1鋼材11Aのウエブとは、ボルトのねじ部が挿通する貫通孔を有する。ナットは、第1部分211及び第7部分241が第1鋼材11Aのウエブを挟んだ状態で、ボルトの頭とは反対側で突出するボルトのねじ部に螺合する。これにより、第1部分211と、第7部分241と、第1鋼材11Aのウエブとがボルト及びナットによって締結され、互いに固定される。
【0038】
第2固定部材32は、第2部分212と第2鋼材12Aのフランジとを、ボルト及びナットにより締結し、互いに固定する。
【0039】
第3固定部材33は、第3部分221と第2鋼材12Aのウエブとを、ボルト及びナットにより締結し、互いに固定する。
【0040】
第4固定部材34は、第4部分222と第3鋼材13Aのウエブと第10部分252(図5参照)とを、ボルト及びナットにより締結し互いに固定する。
【0041】
第5固定部材35は、第5部分231と、第3鋼材13Aのフランジとを、ボルト及びナットにより締結し、互いに固定する。
【0042】
第6固定部材36は、第6部分232と、第1鋼材11Aのフランジとを、ボルト及びナットにより締結し、互いに固定する。
【0043】
第7固定部材37は、第8部分242と第2鋼材12Aのフランジとを、ボルト及びナットにより締結し、互いに固定する。
【0044】
第8固定部材38(図5参照)は、第9部分251(図5参照)と第2鋼材12Aのウエブとを、ボルト及びナットにより締結し、互いに固定する。
【0045】
図2に示されるように、第3固定部材33は、第1方向Xにおいて第2固定部材32とは異なる位置で、第3部分221を第2鋼材12Aのウエブに固定する。詳細には、第3固定部材33は、第1方向Xに第2固定部材32から特定距離D11だけ離れて位置する。特定距離D11は、第3固定部材33としてのボルト及びナットをレンチ等で締緩する際に、レンチ等が第2固定部材32に干渉しない距離である。
【0046】
第2固定部材32は、第1方向Xにおいて第3固定部材33よりも第1鋼材11Aから離れた位置で、第3部分221を第2鋼材12Aのウエブに固定する。これにより、第2固定部材32は、垂直荷重を受け易くなる。
【0047】
第5固定部材35は、第2方向Yにおいて第4固定部材34とは異なる位置で、第5部分231を第3鋼材13Aのフランジに固定する。詳細には、第5固定部材35は、第2方向Yに第4固定部材34から特定距離D12だけ離れて位置する。特定距離D12は、第5固定部材35としてのボルト及びナットをレンチ等で締緩する際に、レンチ等が第4固定部材34に干渉しない距離である。
【0048】
第6固定部材36は、上下方向Zにおいて第1固定部材31とは異なる位置で、第6部分232を第1鋼材11Aのフランジに固定する。詳細には、第6固定部材36は、上下方向Zに第1固定部材31から特定距離D13だけ離れて位置する。特定距離D13は、第6固定部材36としてのボルト及びナットをレンチ等で締緩する際に、レンチ等が第1固定部材31に干渉しない距離である。
【0049】
上記の通り、複数の鋼材10が簡単に連結可能となる。詳細には、第3固定部材33、第5固定部材35及び第6固定部材36を上記の位置にすることで、作業者がレンチ等で締緩し易くなる。
【0050】
以上、図面を参照して本開示の実施形態について説明した。ただし、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0051】
また、図面は、本開示の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0052】
上記実施形態では、骨組52において上方向Z1側、第1方向Xの中央部且つ第2方向一方Y1側に位置する、鋼材の連結構造100Aについて説明した。しかし、これに限らず、鋼材の連結構造100B(図1参照)にも、鋼材の連結構造100Aと同様に構成されてもよい。鋼材の連結構造100Bは、骨組52において上方向Z1、第1方向Xの中央部且つ第2方向他方Y2側に位置する。連結構造100Bは、骨組52の第2方向Yにおける中心面を基準として、連結構造100Aと上下方向Zにおいて略対称な構造を有する。そのため、連結構造100Bの説明を控える。
【0053】
図1に示されるように、連結構造100Bは、複数の鋼材10として、第1鋼材11Bと、複数の第2鋼材12C,12Dと、第3鋼材13Bとを含む。第1鋼材11B、第2鋼材12C,12D及び第3鋼材13Bは、上下方向Z、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ延びる。同様に、第2鋼材12C及び第2鋼材12Dは、第2鋼材12A及び第2鋼材12Bと同様に連結される。
【0054】
第2鋼材12A,12Bの第1方向Xにおける連結位置を「連結位置P11」(図1図3参照)と記載する。第2鋼材12C,12Dの第1方向Xにおける連結位置を「連結位置P12」(図1参照)と記載する。連結位置P11,P12は互いに異なる。詳細には、連結位置P11は、第1鋼材11Aよりも第1方向一方X1に位置する。連結位置P12は、第1鋼材11Bよりも第1方向他方X2に位置する。より好ましくは、連結位置P11,P12は、第1鋼材11A,11Bから概ね同じ距離だけ離れている。これにより、上部構造における第1方向一方X1側の強度と、上部構造における第1方向他方X2側の強度とのバランスをとることができる。
【0055】
また、鋼材の連結構造100C,100D(図1参照)は、鋼材の連結構造100Aと同様の構造を有していてもよい。鋼材の連結構造100Bは、骨組52において下方向Z2、第1方向Xの中央部且つ第2方向一方Y1側に位置する。連結構造100Cは、骨組52の上下方向Zにおける中心面を基準として、連結構造100Aと上下方向Zにおいて略対称な構造を有する。鋼材の連結構造100Dは、骨組52において下方向Z2、第1方向Xの中央部且つ第2方向他方Y2側に位置する。連結構造100Dは、骨組52の上下方向Zにおける中心面を基準として、連結構造100Bと上下方向Zにおいて略対称な構造を有する。
【0056】
また、鋼材の連結構造100E(図1参照)は、鋼材の連結構造100Aと類似の構造を有していてもよい。連結構造100Eは、骨組52において上方向Z1、第1方向他方X2側の端且つ第2方向一方Y1側の端に位置する。連結構造100Eは、連結構造100Aと比較すると、第5連結部材25を有していない点で相違する。そのため、連結構造100Eの説明を控える。
【0057】
鋼材の連結構造100F~100Lに関しては、鋼材の連結構造100A~100Eの説明から明らかであるため、それぞれの説明を控える。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、鋼材の連結構造であり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0059】
500 :建造物
100,100A~100L :鋼材の連結構造
10 :鋼材
11A,11B :第1鋼材
12A~12D :第2鋼材
13A,13B :第3鋼材
20 :連結部材
21 :第1連結部材
211 :第1部分
212 :第2部分
22 :第2連結部材
221 :第3部分
222 :第4部分
23 :第3連結部材
231 :第5部分
232 :第6部分
24 :第4連結部材
241 :第7部分
242 :第8部分
25 :第5連結部材
251 :第9部分
252 :第10部分
30 :固定部材
31~38 :第1固定部材~第8固定部材
【要約】
【課題】複数の鋼材を簡単に連結可能な技術を提供すること。
【解決手段】鋼材の連結構造は、上下方向、第1方向及び第2方向に延びる第1鋼材、第2鋼材及び第3鋼材を備える。鋼材の連結構造は、第1鋼材のウエブと第2鋼材のフランジとに沿う第1連結部材と、第2鋼材のウエブと第3鋼材のウエブとに沿う第2連結部材と、第3鋼材のフランジと第1鋼材のフランジとに沿う第3連結部材とを更に備える。第1方向において、第2部分を第2鋼材のフランジに固定する位置と、第3部分を第2鋼材のウエブに固定する位置とは互いに異なる。第2方向において、第4部分を第3鋼材のウエブに固定する位置と、第5部分を第3鋼材のフランジに固定する位置とは互いに異なる。上下方向において、第1部分を第1鋼材のウエブに固定する位置と、第6部分を第1鋼材のフランジに固定する位置とは互いに異なる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5