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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/12 20060101AFI20230706BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20230706BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
G06K7/12
G06K7/14 017
G06K7/14 047
G06K19/06 140
G06K19/06 103
G06K19/06 037
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018246846
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020106455
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】599001389
【氏名又は名称】株式会社プリマジェスト
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】栗山 淳
(72)【発明者】
【氏名】松浦 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴秀
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-228455(JP,A)
【文献】特開2007-164715(JP,A)
【文献】特開平10-177619(JP,A)
【文献】特開2006-180269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/12
G06K 7/14
G06K 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光下で可視化されない 不可視画像を含む対象物を撮像した第1の画像及び第2の画像を受け付ける画像受付部であって、前記第1の画像は、前記不可視画像が可視化される第1の波長を含む第1の光下で撮像され、前記第2の画像は、前記第1の光とは異なる可視光下で撮像される、画像受付部と、
前記第2の画像における各画素の出力レベルに基づいて、前記第1の画像において対応する各画素の出力レベルを補正する補正部と
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記第2の画像の画素毎の補正係数Xを各画素の出力レベルに、前記第2の画像の分解能の逆数を乗算することにより算出して、前記第1の画像の各画素の出力レベルを、対応する前記第2の画像の画素の前記補正係数Xで除算する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記補正部は、前記第2の画像の画素毎の補正係数Xを、前記第2の画像の画素の出力レベルに関連付けられた所定の値とし、前記第1の画像の各画素の出力レベルを、対応する前記第2の画像の画素の前記補正係数Xで除算する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記対象物が移動する場合に、前記対象物の移動速度に基づいて、前記第1の画像又は前記第2の画像の位置補正を行う位置補正部をさらに備えた、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
1又は複数のカメラと、
前記不可視画像が可視化される第1の波長を含む第1の光を照射する第1の光源と、
前記第1の光とは異なる可視光を照射する第2の光源と、
前記カメラを動作させ、前記第1の光下で前記第1の画像を撮像し、前記可視光下で前記第2の画像を撮像する撮像制御部と
を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記カメラは、前記第1の光下で前記不可視画像において可視化された物質の発光波長を透過する光学フィルタ又はカラーフィルタの前記発光波長に受光帯域を持つチャネルを使用して前記第1の画像を撮像する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記カメラは、プリズムで分光された入射光を撮像する2つの撮像素子を有する第1のカメラである、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記カメラは、1つの撮像素子を有する1台のカメラであり、前記撮像制御部は、当該カメラを用いて2回撮像を行うことによって、前記第1の画像及び前記第2の画像を取得する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項9】
可視光下で可視化されない 不可視画像を含む対象物を撮像した第1の画像及び第2の画像を受け付ける画像受付部であって、前記第1の画像は、前記不可視画像が可視化される第1の波長を含む第1の光下で、前記不可視画像において可視化された物質の発光波長に受光帯域を持つカラーフィルタのチャネルを使用して撮像され、前記第2の画像は、前記第1の光下で、前記チャネル以外のチャネルを使用して撮像される、画像受付部と、
前記第2の画像における各画素の出力レベルに基づいて、前記第1の画像において対応する各画素の出力レベルを補正する補正部と
を備えた画像処理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
可視光下で可視化されない 不可視画像を含む対象物を撮像した第1の画像及び第2の画像を受け付ける工程であって、前記第1の画像は、前記不可視画像が可視化される第1の波長を含む第1の光下で撮像され、前記第2の画像は、前記第1の光とは異なる可視光下で撮像される、工程と、
前記第2の画像における各画素の出力レベルに基づいて、前記第1の画像において対応する各画素の出力レベルを補正する工程と
を含む方法。
【請求項11】
コンピュータに、
可視光下で可視化されない 不可視画像を含む対象物を撮像した第1の画像及び第2の画像を受け付ける処理であって、前記第1の画像は、前記不可視画像が可視化される第1の波長を含む第1の光下で撮像され、前記第2の画像は、前記第1の光とは異なる可視光下で撮像される、処理と、
前記第2の画像における各画素の出力レベルに基づいて、前記第1の画像において対応する各画素の出力レベルを補正する処理と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーコードや2次元コード等のコードは、郵便物の分類、帳票類の分類、飲料水の賞味期限管理やロット番号管理、商品の製造工程や物流工程における在庫管理等を目的として、幅広い分野で使用されている。
【0003】
これらのコードは、1次印刷がなされた対象物に対して2次的に印刷され、後続の処理で読み取られることとなる。例えば、特許文献1には、仕分け用文字をバーコード化して帳票に印刷しておき、バーコードを読み取ったときに帳票を分類する技術が開示されている。コードを印刷するためのインクとして、不可視インク(ステルスインクとも呼ぶ。)が用いられる例も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平08-272883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コードが1次印刷に重なって印刷される場合、1次印刷された柄や罫線、文字等の内容によってコードの認識率が低下し、読み取りの失敗や誤認識となる場合がある。例えば、黒色で1次印刷された罫線や文字上に不可視インクの1つである紫外線励起発光インクでコードが印刷された場合、罫線や文字に重なった紫外線励起発光インクからの発光量は罫線や文字による吸収で下がってしまうので、コードの認識率が低下してしまう。
【0006】
このような事態を防ぐために予めコード用のスペースを確保することも考えられるが、それにより1次印刷のデザインに制約を課すことになるので、好ましくない。また、この手法では、1次印刷のデザイン毎にコード用のスペースを予め定義する処理、さらに、コードの2次印刷時に、対象物に1次印刷されたデザインを特定した上で、予め定義されたコード用のスペースに正確に印刷する処理が追加で必要となる。これらの追加の処理は、1次印刷のデザイン数が多い場合に特に煩雑なものとなり、追加の処理の精度によってコードの認識精度も変動してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、対象物に1次印刷された内容に依存することなく、2次印刷されたコードを認識することを可能とした画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る画像処理装置は、不可視画像を含む対象物を撮像した第1の画像及び第2の画像を受け付ける画像受付部であって、第1の画像は、不可視画像が可視化される第1の波長を含む第1の光下で撮像され、第2の画像は、第1の光とは異なる第2の光下で撮像される、画像受付部と、第2の画像における各画素の出力レベルに基づいて、第1の画像において対応する各画素の出力レベルを補正する補正部とを備える。
【0009】
この態様によれば、対象物に1次印刷された内容に依存することなく、2次印刷されたコードを認識することができる。
【0010】
上記画像処理装置において、補正部は、第2の画像の画素毎の補正係数Xを各画素の出力レベルに、前記第2の画像の分解能の逆数を乗算することにより算出して、第1の画像の各画素の出力レベルを、対応する第2の画像の画素の補正係数Xで除算してもよい。この態様によれば、画像を撮像したカメラの分解能に応じて、第1の画像の各画素の出力レベルを補正することができる。
【0011】
上記画像処理装置において、補正部は、第2の画像の画素毎の補正係数Xを、第2の画像の画素の出力レベルに関連付けられた所定の値とし、第1の画像の各画素の出力レベルを、対応する第2の画像の画素の補正係数Xで除算してもよい。この態様によれば、第2の画像の画素の出力レベルに関連付けられた、予め定められた補正係数に応じて、第1の画像の各画素の出力レベルを補正することができる。
【0012】
上記画像処理装置において、対象物が移動する場合に、対象物の移動速度に基づいて、第1の画像又は第2の画像の位置補正を行う位置補正部をさらに備えてもよい。この態様によれば、対象物が移動する適用例においても、対象物に1次印刷された内容に依存することなく、2次印刷されたコードを認識することができる。
【0013】
上記画像処理装置において、1又は複数のカメラと、不可視画像が可視化される第1の波長を含む第1の光を照射する第1の光源と、第1の光とは異なる第2の光を照射する第2の光源と、カメラを動作させ、第1の光下で第1の画像を撮像し、第2の光下で第2の画像を撮像する撮像制御部とを備えてもよい。この態様によれば、対象物に1次印刷された内容に依存することなく、2次印刷されたコードを認識するために用いる、第1の画像と第2の画像とを得ることができる。
【0014】
上記画像処理装置において、カメラは、第1の光下で不可視画像において可視化された物質の発光波長を透過する光学フィルタ又はカラーフィルタの発光波長に受光帯域を持つチャネルを使用して第1の画像を撮像してもよい。この態様によれば、様々な構成で、本発明を実現することができる。
【0015】
上記画像処理装置において、カメラは、プリズムで分光された入射光を撮像する2つの撮像素子を有する1第のカメラであってもよい。この態様によれば、レンズに係るコストを抑えることができる。
【0016】
上記画像処理装置において、カメラは、1つの撮像素子を有する1台のカメラであり、撮像制御部は、当該カメラを用いて2回撮像を行うことによって、第1の画像及び第2の画像を取得してもよい。この態様によれば、カメラに係るコストを抑えることができる。
【0017】
本発明の他の態様に係る画像処理装置は、不可視画像を含む対象物を撮像した第1の画像及び第2の画像を受け付ける画像受付部であって、第1の画像は、不可視画像が可視化される第1の波長を含む第1の光下で、不可視画像において可視化された物質の発光波長に受光帯域を持つカラーフィルタのチャネルを使用して撮像され、第2の画像は、第1の光下で、チャネル以外のチャネルを使用して撮像される、画像受付部と、第2の画像における各画素の出力レベルに基づいて、第1の画像において対応する各画素の出力レベルを補正する補正部とを備える。
【0018】
この態様によれば、1つのレンズとカラーフィルタとを有する1台のカメラによる撮像でコードを認識することができるので、画像取得装置のコストを最小限に抑えることができる。
【0019】
本発明の他の態様に係る方法は、コンピュータが、不可視画像を含む対象物を撮像した第1の画像及び第2の画像を受け付ける工程であって、第1の画像は、不可視画像が可視化される第1の波長を含む第1の光下で撮像され、第2の画像は、第1の光とは異なる第2の光下で撮像される、工程と、第2の画像における各画素の出力レベルに基づいて、第1の画像において対応する各画素の出力レベルを補正する工程とを含む。
【0020】
本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、不可視画像を含む対象物を撮像した第1の画像及び第2の画像を受け付ける処理であって、第1の画像は、不可視画像が可視化される第1の波長を含む第1の光下で撮像され、第2の画像は、第1の光とは異なる第2の光下で撮像される、処理と、第2の画像における各画素の出力レベルに基づいて、第1の画像において対応する各画素の出力レベルを補正する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、対象物に1次印刷された内容に依存することなく、2次印刷されたコードを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】画像処理システムの全体構成を示す図である。
図2】画像取得装置の断面図(正面)を示す図である。
図3】画像取得装置の断面図(側面)を示す図である。
図4】画像取得装置のハードウェア構成を示す図である。
図5】認識装置のハードウェア構成を示す図である。
図6】画像処理装置のソフトウェア構成を示す図である。
図7】認識装置のソフトウェア構成を示す図である。
図8】画像取得装置によって実行される画像取得処理の流れを示すフローチャートである。
図9】認識装置によって実行されるコード認識処理の流れを示すフローチャートである。
図10】紫外線画像、可視光画像、認識用画像の例を示す図である。
図11】画像取得装置によって実行される処理のタイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、係る実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0024】
(システム構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す。画像処理システム1は、製造ラインや物流ライン等に設置され、対象物を分類するために、当該対象物に印刷されたコードを認識するシステムであり、対象物を撮像する画像取得装置10と、画像取得装置10で撮像された画像を用いてコードの認識処理を行う認識装置20とを備える。
【0025】
画像取得装置10がコンベア上を移動する対象物を撮像し、認識装置20は、画像取得装置10で撮像された画像を用いて対象物に印刷されたコードを認識する処理を実行する。対象物は、例えば、郵便物、帳票、飲料水等、任意の物体とすることができる。画像処理システム1の出力である認識結果は、例えば、郵便物に印刷された郵政バーコード、食品パッケージに印刷された賞味期限、製品に印刷された製造番号等を示し、認識結果を利用して対象物が分類される。
【0026】
コードは、モジュールの明暗パターンによって情報を記録するものであり、モジュールを横方向に配列するバーコートや、モジュールを縦横にマトリクス上に配列する2次元コード等が含まれる。本実施形態において、コードは不可視画像であり、例えば、対象物の表面に、印刷により不可視インクの層を形成することにより作成される。
【0027】
ここで、不可視画像とは、特定の処理を施すことによって可視化される画像であり、不可視インクによって形成されたコード画像を含むが、これに限られない。本実施形態では、不可視インクとして、紫外線照射時に赤色に励起発光する蛍光物質を含む赤色蛍光インクを用いるが、紫外線照射時に他の色に励起発光する蛍光物質を含む青色蛍光インク、緑色蛍光インク、又は赤外線照射時に視認可能なIR吸収インク等、他の不可視インクを用いてもよい。
【0028】
(ハードウェア構成)
(画像取得装置)
図2図4を参照して、画像取得装置10のハードウェア構成を説明する。画像取得装置10は、同じ撮像面Sを撮像する2台のカメラ11、12、及び同じエリアに照射することができる4つの照明基板13a~13d、カメラや照明を制御するCPU14、ワークメモリとして用いられるメインメモリ15、固定記憶部であるハードディスク16を備える。カメラ11は、撮像装置111、光学フィルタ112、レンズ113を有し、同様に、カメラ12も、撮像装置121、光学フィルタ122、レンズ123を有する。照明基板13a~13dはそれぞれ、可視光を照射する可視光光源131と、可視光とは異なるスペクトルを有する紫外線を照射する紫外光光源132とが配置されている。
【0029】
撮像装置111は、紫外線光下で紫外線画像を撮像する。照明基板13a~13dが紫外線を照射すると、紫外線照射下で発光する不可視インクが発する光が光学フィルタ112を透過し、レンズ113で集光され、撮像装置111によって撮像される。
【0030】
また、撮像装置121は、可視光下で可視光画像を撮像する。照明基板13a~13dが可視光を照射すると、対象物から反射された光が光学フィルタ122を透過し、レンズ123で集光され、撮像装置121によって可視光画像が撮像される。
【0031】
光学フィルタ112、122は、不可視インクの励起発光波長を透過するフィルタを用いる。本実施形態では、光学フィルタ112、122は、赤色蛍光インクの励起発光波長を透過するフィルタを用いる。
【0032】
(認識装置)
図5を参照して、認識装置20のハードウェア構成を説明する。認識装置20は、CPU21と、ワークメモリとして用いられるメインメモリ22と、固定記憶部であるハードディスク23と、画像取得装置インターフェイス24と、入力インターフェイス25と、表示コントローラ26と、通信インターフェイス27と、データリーダ/ライタ28とを含む。
【0033】
画像取得装置インターフェイス24は、CPU21と画像取得装置10との間のデータ伝送を仲介する部分であり、画像取得装置10からの画像データを一時的に蓄積するための画像バッファ241を有している。入力インターフェイス25は、CPU21と入力部との間のデータ伝送を仲介する。入力部には、マウス31、キーボード、タッチパネル等が含まれる。表示コントローラ26は、液晶モニタ等のディスプレイ32に接続され、当該ディスプレイでの表示を制御する。通信インターフェイス27は、CPU21とパーソナルコンピュータやサーバ装置等との間のデータ伝送を仲介する。データリーダ/ライタ28は、CPU21と記録媒体であるメモリカード33との間のデータ伝送を仲介する。各インターフェイスは、ハードウェア構成としては、例えばUSB等のインターフェイスを介してCPU21へと接続される。
【0034】
認識装置20は、汎用的なアーキテクチャを有するコンピュータで構成可能であり、CPU21が、ハードディスク23又はメモリカード33に格納されたプログラムを読み込み、実行することで、各種処理を実行する。このようなプログラムは、メモリカード33や光ディスク等のコンピュータ読取可能な記録媒体に格納された状態か、あるいはインターネット等を通じて提供される。なお、本実施形態に係るプログラムは単体のアプリケーションプログラムとして提供されてもよいし、他のプログラムの一部に組み込まれるモジュールとして提供されてもよい。また、その処理の一部又は全部がASIC等の専用回路で代替されてもよい。
【0035】
(ソフトウェア構成)
(画像取得装置)
図6に、画像取得装置10のソフトウェア構成を示す。画像取得装置10は、トリガー部101と、光源制御部102と、撮像制御部103と、通信部104とを備えている。画像取得装置10のCPU14が、ハードディスク16に格納されたプログラムを読み込み、実行することで、各部の処理が実現される。
【0036】
トリガー部101は、画像取得処理を開始するトリガーを受け付ける。本実施形態では、コンベア上に所定の間隔で配置された対象物の画像を取得するために、コンベアの速度と対象物間の間隔に応じて、一定間隔でトリガーが発行されるように事前に設定されているものとする。別の実施形態では、コンベア上に任意の間隔で配置された対象物を検知するセンサを設け、このセンサからの信号をトリガーとして受け付けてもよい。
【0037】
光源制御部102は、トリガー部101が受け付けたトリガーに応じて、可視光光源131及び紫外光光源132の点灯と消灯とを制御する。一実施形態では、光源制御部102は、トリガーの受付から12μs後に紫外光光源132を点灯し、点灯から55μs後に紫外光光源132を消灯する。さらに、光源制御部102は、紫外光光源132の消灯から12μs後に可視光光源131を点灯し、その点灯から55μs後に可視光光源131を消灯する。
【0038】
撮像制御部103は、トリガー部101が受け付けたトリガーに応じて、撮像装置111及び撮像装置121を動作させて撮像タイミングを制御する。一実施形態では、撮像制御部103は、トリガーの受付から12μs後に撮像装置111の撮像素子を露出し、露光時間が50μsとなるように制御する。さらに、撮像制御部103は、撮像装置111の撮像素子の露出を終えてから12μs後に撮像装置121の撮像素子を露出し、露光時間が50μsとなるように制御する。
【0039】
通信部104は、撮像装置111で撮像した紫外線画像、及び撮像装置121で撮像した可視光画像を出力する。
【0040】
(認識装置)
図7に、認識装置20のソフトウェア構成を示す。認識装置20は、画像受付部201、位置補正部202と、補正部203と、2値化部204と、デコード部205と、通信部206とを備えている。認識装置20のCPU21が、ハードディスク23又はメモリカード33に格納されたプログラムを読み込み、実行することで、各部の処理が実現される。
【0041】
画像受付部201は、紫外線画像及び可視光画像を受け付ける。本実施形態では、画像受付部201は、画像取得装置10で撮像された紫外線画像及び可視光画像を受け付ける。なお、紫外線画像及び可視光画像は、画像取得装置10で撮像される都度順次受け付けてもよいし、撮像タイミングと同期しない任意のタイミングで受け付けてもよい。
【0042】
位置補正部202は、紫外線画像及び可視光画像で撮像された対象物が移動物体である場合に、以下の式に従って、移動方向へ画像の位置補正を行う。本実施形態では、紫外線画像の撮像後に撮像された可視光画像に対して位置補正を行うが、別の実施形態では、紫外線画像に対して位置補正を行ってもよい。また、紫外線画像及び/又は可視光画像の大きさや出力レベルを正規化してもよい。
【0043】
位置補正画素数P=R×v×t
ここで、
R:分解能[Pixel/inch]
v:対象物の移動速度[ips]
t:紫外線画像を取得した露光タイミングと可視光画像を取得した露光タイミングの差[s]
【0044】
補正部203は、可視光画像における各画素の出力レベルに基づいて、紫外線画像において対応する各画素の出力レベルを補正する。例えば、1次印刷のない領域における不可視インクの励起発光波長の吸収率と比べて、文字等が1次印刷されている部分における不可視インクの励起発光波長の吸収率は高くなる。そのため、1次印刷された文字等の上に、不可視インクによるコードが重畳して印刷されていると、紫外線画像において、1次印刷された領域から不可視インクにより印刷されたコードを識別することが難しくなる。なお、1次印刷された内容には、例えば、柄、罫線、文字等が含まれる。
【0045】
本実施形態では、補正部203は、以下の式に従って、可視光画像の画素毎の補正係数Xを算出し、算出された補正係数Xに基づいて紫外線画像の各画素の出力レベルを補正する。例えば、紫外線画像のある画素の出力レベルを、対応する位置にある可視光画像の画素の補正係数Xで除算することによって、紫外線画像の出力レベルを補正した補正画像を生成してよい。また、紫外線画像のある画素の出力レベルから、対応する位置にある可視光画像の出力レベルを減算したものを、補正係数Xで除算することによって、補正画像を生成してもよい。このような処理を行うことにより、紫外線画像において1次印刷された内容等によって吸収された不可視インクの励起発光波長を補った出力レベルの補正画像を得ることができる。
【0046】
なお、補正係数Xは、可視光画像の対応する画素の出力レベルに基づく関数として表してもよい。例えば、補正係数Xを次の算出式で求めてもよい。
【0047】
補正係数X=可視光画像の各画素の出力レベル×可視光画像の分解能の逆数
別の実施形態では、補正部203は、可視光画像の画素毎の補正係数Xを、可視光画像の画素の出力レベルに関連付けて保存しているテーブルから取得し、取得した補正係数Xに基づいて紫外線画像の各画素の出力レベルを補正してもよい。
【0048】
2値化部204は、補正部203が処理した補正画像の輝度を反転させ、輝度を反転させた補正画像を2値画像に変換して、認識用画像を得る。例えば、図10の可視光画像で示される不可視インクの励起発光波長の吸収率の差に応じて補正部203が紫外線画像を処理し、2値化部204が変換処理を行うことで、図10の認識用画像を得ることができる。
【0049】
デコード部205は、認識用画像をデコードして出力値を得る。
【0050】
(画像取得処理)
次に、図8のフローチャートに沿って、画像取得装置10によって実行される画像取得処理について説明する。図11は、画像取得装置によって実行される処理のタイミングを示す。
【0051】
ステップS801において、画像取得装置10のトリガー部101は、画像取得処理を開始するトリガーを受け付ける。本実施形態では、コンベア上に所定の間隔で配置された対象物の画像を取得するために、コンベアの速度と対象物間の間隔に応じて、一定間隔でトリガーが発行されるように事前に設定されているものとする。
【0052】
ステップS802において、画像取得装置10の光源制御部102は、トリガー部101が受け付けたトリガーに応じて可視光光源131を点灯し、さらに、画像取得装置10の撮像制御部103が、トリガー部101が受け付けたトリガーに応じて撮像装置111の撮像素子を露出する。本実施形態では、光源制御部102はトリガーの受付から9.5μs後に可視光光源131を点灯し、撮像制御部103は、トリガーの受付から12μs後に撮像装置111の撮像素子を露出する。
【0053】
ステップS803において、撮像制御部103は、画像装置111の撮像素子の露出を終える。本実施形態では、撮像制御部103は、露光時間が50μsとなるように制御するものとする。
【0054】
ステップS804において、光源制御部102は、可視光光源131を消灯する。本実施形態では、光源制御部102は、点灯時間が55μsとなるように制御するものとする。
【0055】
ステップS805において、光源制御部102は、可視光光源131の消灯後に紫外光光源132を点灯し、さらに、撮像制御部103が、撮像装置111の撮像素子の露出終了後に撮像装置121の撮像素子を露出する。本実施形態では、光源制御部102は、可視光光源131の消灯から7μs後に紫外光光源132を点灯し、撮像制御部103は、撮像装置111の撮像素子の露出終了から12μs後に撮像装置121の撮像素子を露出するものとする。
【0056】
ステップS806において、撮像制御部103は、画像装置121の撮像素子の露出を終える。本実施形態では、撮像制御部103は、露光時間が50μsとなるように制御するものとする。
【0057】
ステップS807において、光源制御部102は、紫外光光源132を消灯する。本実施形態では、光源制御部102は、点灯時間が55μsとなるように制御するものとする。
【0058】
ステップS808において、画像取得装置10の通信部104は、撮像装置111で撮像した可視光画像、及び撮像装置121で撮像した紫外線画像を出力する。
【0059】
なお、本実施形態では、可視光画像の撮像に続いて紫外線画像を撮像する例について説明したが、2つの画像の撮像順序を限定するものではなく、紫外線画像の撮像に続いて可視光画像を取得してもよい。
【0060】
(コード認識処理)
(第1実施形態)
次に、図9のフローチャートに沿って、認識装置20によって実行されるコード認識処理について説明する。
【0061】
ステップS901において、認識装置20の画像受付部201は、紫外線画像及び可視光画像を受け付ける。本実施形態では、画像受付部201は、画像取得装置10で撮像された紫外線画像及び可視光画像を受け付ける。
【0062】
ステップS902において、認識装置20の位置補正部202は、紫外線画像及び可視光画像で撮像された対象物が移動物体である場合に、移動方向へ画像の位置補正を行う。本実施形態では、位置補正部202は、以下の式に従って、紫外線画像の撮像後に撮像された可視光画像に対して位置補正を行う。
【0063】
位置補正画素数P=R×v×t
ここで、
R:分解能[Pixel/inch]
v:対象物の移動速度[ips]
t:紫外線画像を取得した露光タイミングと可視光画像を取得した露光タイミングの差[s]
【0064】
ステップS903において、認識装置20の補正部203は、可視光画像における各画素の出力レベルに基づいて、紫外線画像において対応する各画素の出力レベルを補正する。本実施形態では、補正部203は、以下の式に従って、可視光画像の画素毎の補正係数Xを算出して、紫外線画像のある画素の出力レベルを、対応する位置にある可視光画像の画素の補正係数Xで除算することによって、紫外線画像の出力レベルを補正した補正画像を生成する。
【0065】
補正係数X=可視光画像の各画素の出力レベル×可視光画像の分解能の逆数
【0066】
ステップS904において、認識装置20の2値化部204は、補正部203が処理した補正画像の輝度を反転させ、ステップS905において、2値化部204は、輝度を反転させた補正画像を2値画像に変換して、認識用画像を得る。
【0067】
ステップS906において、認識装置20のデコード部205は、認識用画像をデコードして出力値を得る。
【0068】
以上、本実施形態によれば、対象物に1次印刷された内容に依存することなく、2次印刷されたコードを認識することができる。これにより、1次印刷のデザインに制約を課すことなく、コードを2次印刷することができる。そして、従来、コードの2次印刷時にかかっていた、対象物に1次印刷されたデザインを特定する処理コスト、及び予め定義されたコード用のスペースに正確に印刷する処理コストを減らすことができる。コードを不可視インクの層で形成するので、1次印刷のデザインを損なうことなく、対象物に付加情報を付与することができる。
【0069】
(第2実施形態)
第1実施形態では、画像処理の結果として得られた画像を用いて読取処理を行う態様について説明した。具体的には、ステップS903で補正部203が生成した補正画像から得た認識用画像を用いて、最終ステップS906で、認識装置20がデコードして出力値を得る例について説明した。そして、不可視画像の一例として、対象物の表面に、印刷により不可視インクの層を形成することにより作成されたコードを例に説明した。
【0070】
第2実施形態では、画像処理の結果として得られた画像を表示装置等でユーザに提示し、ユーザが画像の読取りを行う態様について説明する。具体的には、第1実施形態においてステップS903で補正部203が生成した補正画像、ステップS904で2値化部204が輝度を反転させた補正画像、又は、ステップS905で2値化部204が輝度を反転させた補正画像を2値画像に変換した認識用画像をディスプレイ32に表示させることで、ユーザに、不可視画像を視認させてもよい。不可視画像としては、前述のコードに加えて、対象物の表面に、印刷により不可視インクの層を形成することにより作成された、シンボルマークやロゴタイプを含む任意のマークを用いることができる。
【0071】
以上、第2実施形態によれば、ユーザは、対象物に1次印刷された内容に依存することなく、2次印刷されたマークを認識することができる。これにより、ユーザは、マークから付加情報を得ることができる。
【0072】
(変形例1)
上記実施形態では、2台のカメラを備えた画像取得装置10について説明してきたが、別の実施形態では、例えばプリズムで分光された入射光を撮像する2つの撮像素子を有する1台のカメラを備えた画像取得装置10Aを用いて、紫外線画像及び可視光画像を取得してもよい。本実施形態によれば、レンズに係るコストを抑えることができる。
【0073】
(変形例2)
別の実施形態では、1つの撮像素子を有する1台のカメラを備えた画像取得装置10Bを用いて2回撮像を行うことによって、紫外線画像及び可視光画像を取得してもよい。本実施形態によれば、画像取得装置に係るコストを抑えることができる。
【0074】
(変形例3)
上記実施形態では、不可視インクの励起発光波長を透過する光学フィルタを有するカメラを備えた画像取得装置10について説明してきたが、別の実施形態では、カメラのカラーフィルタを利用して、不可視インクの励起発光波長に受光帯域を持つチャネルのみを使用して、紫外線画像及び可視光画像を取得してもよい。本実施形態によれば、光学フィルタに係るコストを抑えることができる。
【0075】
(変形例4)
上記実施形態では、紫外線光下で撮像した紫外線画像及び可視光下で撮像した可視光画像を用いてコードを認識する例について説明してきたが、別の実施形態では、カメラのカラーフィルタを利用して、紫外線光下での不可視インクの励起発光波長に受光帯域を持つチャネルの不可視インク励起発光画像及びその他のチャネルの補正用画像を用いてコードを認識してもよい。例えば、不可視インクとして赤色蛍光インクを用いる場合、Rチャネルの画像を不可視インク励起発光画像とし、G及びBチャネルの画像を補正用画像とする。
【0076】
すなわち、上記実施形態では、可視光下で撮像した可視光画像を用いて、紫外線画像において1次印刷された内容等によって吸収された不可視インクの励起発光波長を補った出力レベルの補正画像を得たが、本実施形態では、不可視インクの励起発光波長とは異なる波長域の補正用画像を用いて、不可視インク励起発光画像において1次印刷された内容等によって吸収された不可視インクの励起発光波長を補った出力レベルの補正画像を得る。
【0077】
本実施形態によれば、1つのレンズとカラーフィルタとを有する1台のカメラによる撮像でコードを認識することができるので、画像取得装置のコストを最小限に抑えることができる。
【符号の説明】
【0078】
1…画像処理システム(画像処理装置)、10…画像取得装置、11、12…カメラ、111、132…撮像装置、112、122…光学フィルタ、113、123…レンズ、13a~13d…照明基板、131a~131d…可視光光源、132a~132d…紫外光光源、14…CPU、15…メインメモリ、16…ハードディスク、101…トリガー部、102…光源制御部、103…撮像制御部、104…通信部、20…認識装置、21…CPU、22…メインメモリ、23…ハードディスク、24…画像取得装置インターフェイス、241…画像バッファ、25…入力インターフェイス、26…表示コントローラ、27…通信インターフェイス、28…データリーダ/ライタ、201…画像受付部、202…位置補正部、203…補正部、204…2値化部、205…デコード部、206…通信部、S…撮像面
図1
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