(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】液処理装置および液処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20230706BHJP
G03F 7/30 20060101ALI20230706BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230706BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20230706BHJP
B05B 1/04 20060101ALI20230706BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20230706BHJP
B05C 11/08 20060101ALI20230706BHJP
B05D 1/40 20060101ALI20230706BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20230706BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
H01L21/30 569C
G03F7/30 502
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
B05C5/00 101
B05B1/04
B05B1/14 Z
B05C11/08
B05D1/40 A
B05D1/26 Z
B05D3/00 B
(21)【出願番号】P 2019025659
(22)【出願日】2019-02-15
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】柏山 真人
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-292937(JP,A)
【文献】特開2002-124465(JP,A)
【文献】特開2012-019002(JP,A)
【文献】特開2015-103656(JP,A)
【文献】特許第4369325(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/30
B05C 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液を供給することにより所定の処理を行う液処理装置であって、
基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させる回転保持部と、
一方向に連続的に延びる一の吐出口または前記一方向に断続的に配置された複数の吐出口を有し、前記回転保持部により回転される基板上面に処理液を吐出するノズルと、
前記ノズルに処理液を供給する処理液供給系と、
前記回転保持部により回転される基板の回転中心を通る基板上面の第1の直線上に前記ノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ基板上面において前記処理液を受ける着液領域が前記第1の直線から傾斜した方向に延びる状態で前記ノズルを前記第1の直線の方向に移動させる移動部とを備え、
前記着液領域は、第1および第2の端部を有し、前記第2の端部は、前記第1の端部よりも前記基板の回転中心から離間しかつ基板の回転方向において前記第1の端部よりも下流に位置し、
前記第1の直線と、前記着液領域が延びる方向に平行な第2の直線との間の角度は、
3°以上7°以下である、液処理装置。
【請求項2】
前記移動部は、平面視で前記一の吐出口または前記複数の吐出口が前記第1の直線から離間した状態でかつ前記一の吐出口または前記複数の吐出口から基板の回転方向における下流に向かって処理液が吐出される状態で前記ノズルを移動させる、請求項1記載の液処理装置。
【請求項3】
前記ノズルは、前記一の吐出口を有し、
前記一の吐出口は、前記一方向に連続的に延びるように形成されたスリットである、請求項1または2記載の液処理装置。
【請求項4】
前記移動部は、前記着液領域が基板の回転中心から基板の外周端部まで移動するように前記ノズルを移動させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項5】
前記移動部は、前記着液領域が基板の外周端部まで移動した後、さらに前記着液領域が基板の外周端部から基板の回転中心まで戻るように前記ノズルを移動させる、請求項4記載の液処理装置。
【請求項6】
前記移動部は、前記ノズルの移動開始時に、前記着液領域の前記第1の端部が基板の回転中心に位置するように前記ノズルを位置決めする、請求項4または5記載の液処理装置。
【請求項7】
基板に処理液を供給することにより所定の処理を行う液処理装置であって、
基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させる回転保持部と、
一方向に連続的に延びる一の吐出口または前記一方向に断続的に配置された複数の吐出口を有し、前記回転保持部により回転される基板上面に処理液を吐出するノズルと、
前記ノズルに処理液を供給する処理液供給系と、
前記回転保持部により回転される基板の回転中心を通る基板上面の
第1の直線上に前記ノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ基板上面において前記処理液を受ける着液領域が前記
第1の直線から傾斜した方向に延びる状態で前記ノズルを前記
第1の直線の方向に移動させる移動部とを備え、
前記着液領域は、第1および第2の端部を有し、前記第2の端部は、前記第1の端部よりも前記基板の回転中心から離間しかつ基板の回転方向において前記第1の端部よりも下流に位置し、
前記処理液供給系は、前記着液領域の一部が基板の回転中心に位置するように前記ノズルが位置決めされた状態で、前記ノズルへの処理液の供給を開始し、
前記移動部は、前記着液領域が基板の回転中心から基板の外周端部まで移動するように前記ノズルを移動させ
、
前記第1の直線と、前記着液領域が延びる方向に平行な第2の直線との間の角度は、3°以上7°以下である、液処理装置。
【請求項8】
基板に処理液を供給することにより所定の処理を行う液処理方法であって、
基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させるステップと、
一方向に連続的に延びる一の吐出口または前記一方向に断続的に配置された複数の吐出口を有するノズルに処理液を供給し、前記ノズルから前記回転される基板上面に処理液を吐出するステップと、
前記回転される基板の回転中心を通る基板上面の第1の直線上に前記ノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ基板上面において前記処理液を受ける着液領域が前記第1の直線から傾斜した方向に延びる状態で前記ノズルを前記第1の直線の方向に移動させるステップとを含み、
前記着液領域は、第1および第2の端部を有し、前記第2の端部は、前記第1の端部よりも前記基板の回転中心から離間しかつ基板の回転方向において前記第1の端部よりも下流に位置し、
前記第1の直線と、前記着液領域が延びる方向に平行な第2の直線との間の角度は、
3°以上7°以下である、液処理方法。
【請求項9】
前記ノズルを前記第1の直線の方向に移動させるステップは、平面視で前記一の吐出口または前記複数の吐出口が前記第1の直線から離間した状態でかつ前記一の吐出口または前記複数の吐出口から基板の回転方向における下流に向かって処理液が吐出される状態で前記ノズルを移動させることを含む、請求項8記載の液処理方法。
【請求項10】
前記ノズルは、前記一の吐出口を有し、
前記一の吐出口は、前記一方向に連続的に延びるように形成されたスリットである、請求項8または9記載の液処理方法。
【請求項11】
前記ノズルを前記第1の直線の方向に移動させるステップは、前記着液領域が基板の回転中心から基板の外周端部まで移動するように前記ノズルを移動させることを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の液処理方法。
【請求項12】
前記ノズルを前記第1の直線の方向に移動させるステップは、前記着液領域が基板の外周端部まで移動した後、さらに前記着液領域が基板の外周端部から基板の回転中心まで戻るように前記ノズルを移動させることを含む、請求項11記載の液処理方法。
【請求項13】
前記ノズルを前記第1の直線の方向に移動させるステップは、前記ノズルの移動開始時に、前記着液領域の前記第1の端部が基板の回転中心に位置するように前記ノズルを位置決めすることを含む、請求項11または12記載の液処理方法。
【請求項14】
基板に処理液を供給することにより所定の処理を行う液処理方法であって、
基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させるステップと、
一方向に連続的に延びる一の吐出口または前記一方向に断続的に配置された複数の吐出口を有するノズルに処理液を供給し、前記ノズルから前記回転される基板上面に処理液を吐出するステップと、
前記回転される基板の回転中心を通る基板上面の
第1の直線上に前記ノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ基板上面において前記処理液を受ける着液領域が前記
第1の直線から傾斜した方向に延びる状態で前記ノズルを前記
第1の直線の方向に移動させるステップとを含み、
前記着液領域は、第1および第2の端部を有し、前記第2の端部は、前記第1の端部よりも前記基板の回転中心から離間しかつ基板の回転方向において前記第1の端部よりも下流に位置し、
前記ノズルから前記回転される基板上面に処理液を吐出するステップは、前記着液領域の一部が基板の回転中心に位置するように前記ノズルが位置決めされた状態で、前記ノズルへの処理液の供給を開始することを含み、
前記ノズルを前記
第1の直線の方向に移動させるステップは、前記着液領域が基板の回転中心から基板の外周端部まで移動するように前記ノズルを移動させることを含
み、
前記第1の直線と、前記着液領域が延びる方向に平行な第2の直線との間の角度は、3°以上7°以下である、液処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に液体を供給することにより所定の処理を行う液処理装置および液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に形成されたレジスト膜の現像処理を行うために現像装置が用いられる。例えば現像装置は、基板を水平に保持して鉛直軸の周りで回転させるスピンチャックと、基板に現像液を供給するノズルとを備える。現像処理時には、スピンチャックにより基板が回転する状態で、ノズルが現像液を吐出しつつ基板の外側から基板の中心部上方に移動する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この場合、基板上の全体に現像液が供給され、基板上のレジスト膜を覆うように現像液の液層が形成される。その状態で、基板上のレジスト膜の溶解反応が進行する。その後、基板上の現像液および溶解したレジストが除去され、現像処理が終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、基板上の全体に現像液等の処理液を供給する処理においては、基板の製造コストを低減するために処理液の使用量をより低減することが求められる。また、より短時間で効率の良い処理を行うことが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、処理液の使用量を低減しつつ基板処理の効率を向上させることが可能な液処理装置および液処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1の発明に係る液処理装置は、基板に処理液を供給することにより所定の処理を行う液処理装置であって、基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させる回転保持部と、一方向に連続的に延びる一の吐出口または一方向に断続的に配置された複数の吐出口を有し、回転保持部により回転される基板上面に処理液を吐出するノズルと、ノズルに処理液を供給する処理液供給系と、回転保持部により回転される基板の回転中心を通る基板上面の第1の直線上にノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ基板上面において処理液を受ける着液領域が第1の直線から傾斜した方向に延びる状態でノズルを第1の直線の方向に移動させる移動部とを備え、着液領域は、第1および第2の端部を有し、第2の端部は、第1の端部よりも基板の回転中心から離間しかつ基板の回転方向において第1の端部よりも下流に位置し、第1の直線と、着液領域が延びる方向に平行な第2の直線との間の角度は、3°以上7°以下である。
【0008】
その液処理装置においては、基板の回転中心を通る基板上面の第1の直線上にノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ着液領域が第1の直線から傾斜した方向に延びる状態でノズルが第1の直線の方向に移動される。着液領域の第2の端部は、第1の端部よりも下流に位置する。この場合、基板上面に供給された処理液は、着液領域から基板上面の広い範囲に渡って迅速に広がる。そのため、ノズルが第1の直線の方向に移動することにより、基板上面の全体に均一な処理液の膜が短時間で形成される。したがって、基板の処理に必要な処理液を低減することが可能になるとともに、基板の処理時間が短縮されることにより基板処理の効率が向上する。
【0009】
(2)移動部は、平面視で一の吐出口または複数の吐出口が第1の直線から離間した状態でかつ一の吐出口または複数の吐出口から基板の回転方向における下流に向かって処理液が吐出される状態でノズルを移動させてもよい。
【0010】
この場合、基板上面には斜め上方から処理液が供給されることになる。このとき、平面視で着液領域において処理液が供給される方向と基板の回転方向とがほぼ一致する。それにより、基板上面では、着液領域からその着液領域の下流側に円滑に処理液が広がる。また、着液領域において供給された処理液の一部が基板の上方に跳ね上げられる場合でも、跳ね上げられた液滴は基板の回転方向における下流に向く方向、すなわちノズルから離間した方向に飛散する。したがって、基板上面で跳ね上げられた処理液の液滴がノズルに付着することが防止され、ノズルの汚染に起因するパーティクルの発生が防止される。
【0011】
(3)ノズルは、一の吐出口を有し、一の吐出口は、一方向に連続的に延びるように形成されたスリットであってもよい。
【0012】
この場合、基板上面に形成される帯状の着液領域からその着液領域の下流側に処理液が円滑に広がる。
【0013】
(4)移動部は、着液領域が基板の回転中心から基板の外周端部まで移動するようにノズルを移動させてもよい。
【0014】
この場合、基板の回転中心から基板の外周端部に連続的に現像液が供給される。それにより、基板上面の全体に均一に処理液を供給することができる。
【0015】
(5)移動部は、着液領域が基板の外周端部まで移動した後、さらに着液領域が基板の外周端部から基板の回転中心まで戻るようにノズルを移動させてもよい。
【0016】
この場合、基板の回転中心から基板の外周端部に連続的に処理液が供給されることにより、基板上面の全体に処理液が供給され、基板上面が十分に湿潤した状態になる。それにより、基板の外周端部から基板の回転中心に連続的に処理液が供給されることにより、基板上面に処理液の液層を安定して形成することが可能になる。
【0017】
(6)移動部は、ノズルの移動開始時に、着液領域の第1の端部が基板の回転中心に位置するようにノズルを位置決めしてもよい。
【0018】
この場合、基板への処理液の供給が開始されるとともに、基板の中心から基板の外周端部に向けて円滑に処理液を供給することが可能になる。
(7)第2の発明に係る液処理装置は、基板に処理液を供給することにより所定の処理を行う液処理装置であって、基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させる回転保持部と、一方向に連続的に延びる一の吐出口または一方向に断続的に配置された複数の吐出口を有し、回転保持部により回転される基板上面に処理液を吐出するノズルと、ノズルに処理液を供給する処理液供給系と、回転保持部により回転される基板の回転中心を通る基板上面の第1の直線上にノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ基板上面において処理液を受ける着液領域が第1の直線から傾斜した方向に延びる状態でノズルを第1の直線の方向に移動させる移動部とを備え、着液領域は、第1および第2の端部を有し、第2の端部は、第1の端部よりも基板の回転中心から離間しかつ基板の回転方向において第1の端部よりも下流に位置し、処理液供給系は、着液領域の一部が基板の回転中心に位置するようにノズルが位置決めされた状態で、ノズルへの処理液の供給を開始し、移動部は、着液領域が基板の回転中心から基板の外周端部まで移動するようにノズルを移動させ、第1の直線と、着液領域が延びる方向に平行な第2の直線との間の角度は、3°以上7°以下である。
【0019】
(8)第3の発明に係る液処理方法は、基板に処理液を供給することにより所定の処理を行う液処理方法であって、基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させるステップと、一方向に連続的に延びる一の吐出口または一方向に断続的に配置された複数の吐出口を有するノズルに処理液を供給し、ノズルから回転される基板上面に処理液を吐出するステップと、回転される基板の回転中心を通る基板上面の第1の直線上にノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ基板上面において処理液を受ける着液領域が第1の直線から傾斜した方向に延びる状態でノズルを第1の直線の方向に移動させるステップとを含み、着液領域は、第1および第2の端部を有し、第2の端部は、第1の端部よりも基板の回転中心から離間しかつ基板の回転方向において第1の端部よりも下流に位置し、第1の直線と、着液領域が延びる方向に平行な第2の直線との間の角度は、3°以上7°以下である。
【0020】
その液処理方法においては、基板の回転中心を通る基板上面の第1の直線上にノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ着液領域が第1の直線から傾斜した方向に延びる状態でノズルが第1の直線の方向に移動される。着液領域の第2の端部は、第1の端部よりも下流に位置する。この場合、基板上面に供給された処理液は、着液領域から基板上面の広い範囲に渡って迅速に広がる。そのため、ノズルが第1の直線の方向に移動することにより、基板上面の全体に均一な処理液の膜が短時間で形成される。したがって、基板の処理に必要な処理液を低減することが可能になるとともに、基板の処理時間が短縮されることにより基板処理の効率が向上する。
【0021】
(9)ノズルを第1の直線の方向に移動させるステップは、平面視で一の吐出口または複数の吐出口が第1の直線から離間した状態でかつ一の吐出口または複数の吐出口から基板の回転方向における下流に向かって処理液が吐出される状態でノズルを移動させることを含んでもよい。
【0022】
この場合、基板上面には斜め上方から処理液が供給されることになる。このとき、平面視で着液領域において処理液が供給される方向と基板の回転方向とがほぼ一致する。それにより、基板上面では、着液領域からその着液領域の下流側に円滑に処理液が広がる。また、着液領域において供給された処理液の一部が基板の上方に跳ね上げられる場合でも、跳ね上げられた液滴は基板の回転方向における下流に向く方向、すなわちノズルから離間した方向に飛散する。したがって、基板上面で跳ね上げられた処理液の液滴がノズルに付着することが防止され、ノズルの汚染に起因するパーティクルの発生が防止される。
【0023】
(10)ノズルは、一の吐出口を有し、一の吐出口は、一方向に連続的に延びるように形成されたスリットであってもよい。
【0024】
この場合、基板上面に形成される帯状の着液領域からその着液領域の下流側に処理液が円滑に広がる。
【0025】
(11)ノズルを第1の直線の方向に移動させるステップは、着液領域が基板の回転中心から基板の外周端部まで移動するようにノズルを移動させることを含んでもよい。
【0026】
この場合、基板の回転中心から基板の外周端部に連続的に現像液が供給される。それにより、基板上面の全体に均一に処理液を供給することができる。
【0027】
(12)ノズルを第1の直線の方向に移動させるステップは、着液領域が基板の外周端部まで移動した後、さらに着液領域が基板の外周端部から基板の回転中心まで戻るようにノズルを移動させることを含んでもよい。
【0028】
この場合、基板の回転中心から基板の外周端部に連続的に処理液が供給されることにより、基板上面の全体に処理液が供給され、基板上面が十分に湿潤した状態になる。それにより、基板の外周端部から基板の回転中心に連続的に処理液が供給されることにより、基板上面に処理液の液層を形成することが可能になる。
【0029】
(13)ノズルを第1の直線の方向に移動させるステップは、ノズルの移動開始時に、着液領域の第1の端部が基板の回転中心に位置するようにノズルを位置決めすることを含んでもよい。
【0030】
この場合、基板への処理液の供給が開始されるとともに、基板の中心から基板の外周端部に向けて円滑に処理液を供給することが可能になる。
(14)第4の発明に係る液処理方法は、基板に処理液を供給することにより所定の処理を行う液処理方法であって、基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させるステップと、一方向に連続的に延びる一の吐出口または一方向に断続的に配置された複数の吐出口を有するノズルに処理液を供給し、ノズルから回転される基板上面に処理液を吐出するステップと、回転される基板の回転中心を通る基板上面の第1の直線上にノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ基板上面において処理液を受ける着液領域が第1の直線から傾斜した方向に延びる状態でノズルを第1の直線の方向に移動させるステップとを含み、着液領域は、第1および第2の端部を有し、第2の端部は、第1の端部よりも基板の回転中心から離間しかつ基板の回転方向において第1の端部よりも下流に位置し、ノズルから回転される基板上面に処理液を吐出するステップは、着液領域の一部が基板の回転中心に位置するようにノズルが位置決めされた状態で、ノズルへの処理液の供給を開始することを含み、ノズルを第1の直線の方向に移動させるステップは、着液領域が基板の回転中心から基板の外周端部まで移動するようにノズルを移動させることを含み、第1の直線と、着液領域が延びる方向に平行な第2の直線との間の角度は、3°以上7°以下である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、処理液の使用量を低減しつつ基板処理の効率を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る現像装置の構成を示す模式的平面図である。
【
図2】
図1のM-M線における現像装置の模式的断面図である。
【
図4】
図3の矢印Nの方向に見た現像液ノズルの吐出口の拡大図である。
【
図5】
図4の吐出口から現像液が吐出される状態を示す現像液ノズルの部分拡大図である。
【
図6】
図1の現像装置を用いた現像処理の具体例を説明するための図である。
【
図7】
図1の現像装置を用いた現像処理の具体例を説明するための図である。
【
図8】第1~第3の実施例および比較例に係るシミュレーション結果を示す図である。
【
図9】変形例に係る現像液ノズルの外観斜視図である。
【
図10】
図1の現像装置を備えた基板処理装置の全体構成を示す模式的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施の形態に係る液処理装置および液処理方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0034】
[1]液処理装置の基本構成
液処理装置の一例として、現像装置を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る現像装置の構成を示す模式的平面図であり、
図2は
図1のM-M線における現像装置1の模式的断面図である。
【0035】
図1および
図2に示す現像装置1においては、水平面内で互いに直交する2つの方向をX方向およびY方向と定義し、鉛直方向をZ方向と定義する。X方向とは
図1の矢印Xの方向またはその逆方向を意味し、Y方向とは
図1の矢印Yの方向またはその逆方向を意味し、Z方向とは
図1の矢印
Zの方向またはその逆方向を意味する。
【0036】
図1に示すように、現像装置1は、基板Wを水平姿勢で吸着保持するスピンチャック10を備える。スピンチャック10は、モータ11(
図2)の回転軸12の先端部に固定され、Z方向の軸(回転軸12の軸心)VAの周りで回転可能に構成されている。スピンチャック10の周囲には、基板Wを取り囲むように円形の内側カップ13がZ方向に移動可能に設けられている。さらに、内側カップ13を取り囲むように、矩形の外側カップ14が設けられている。
【0037】
Y方向における外側カップ14の一側方には、待機ポッド15が設けられている。X方向において外側カップ14および待機ポッド15に隣り合うように、Y方向に延びるガイドレール16が設けられている。
【0038】
ガイドレール16には、そのガイドレール16に沿ってY方向に移動可能に第1の駆動部17が設けられている。第1の駆動部17には、第1のアーム18が取り付けられている。第1のアーム18は、第1の駆動部17からX方向に延びる。また、第1のアーム18は第1の駆動部17により駆動され、ガイドレール16に沿ってY方向に移動可能であるとともに、Z方向に移動可能である。第1のアーム18の先端部には、現像液ノズル19が設けられている。
【0039】
本実施の形態においては、ガイドレール16、第1の駆動部17および第1のアーム18により、スピンチャック10により回転される基板Wに対する現像液ノズル19の姿勢が固定される。また、ガイドレール16、第1の駆動部17および第1のアーム18により、スピンチャック10により回転される基板Wに対する現像液ノズル19の位置決めおよび移動が行われる。
【0040】
スピンチャック10に関してX方向におけるガイドレール16と反対側の領域には、第2の駆動部31が設けられている。第2の駆動部31には、Z方向に延びる支持軸32が取り付けられている。支持軸32には第2のアーム33が取り付けられている。第2のアーム33は、支持軸32から水平方向に延びる。支持軸32は、第2の駆動部31により駆動され、その軸心の周りで回転可能であるとともに、Z方向に移動可能である。支持軸32が回転すると、第2のアーム33は支持軸32を中心として
図1の矢印R1の方向に回転する。支持軸32が上昇すると、第2のアーム33は支持軸32とともに上昇する。支持軸32が下降すると、第2のアーム33は支持軸32とともに下降する。第2のアーム33の先端部には、リンス液ノズル34が設けられている。
【0041】
図2に示すように、現像装置1は、現像液供給系81およびリンス液供給系82をさらに備える。なお、
図2では、リンス液供給系82を説明するために、
図1のリンス液ノズル34および第2のアーム33の一部が図示されている。
【0042】
現像液供給系81は、配管、継手、バルブ、ポンプ、タンク等の1または複数の流体関連機器を含み、図示しない現像液供給源に接続されている。現像液ノズル19には現像液供給系81から延びる配管が接続されている。現像液供給系81は、後述する制御部70の制御に基づいて現像液ノズル19に現像液を供給する。それにより、現像液ノズル19の吐出口19aから現像液が吐出される。
【0043】
リンス液供給系82は、現像液供給系81と同様に、1または複数の流体関連機器を含み、図示しないリンス液供給源に接続されている。リンス液ノズル34にはリンス液供給系82から延びる配管が接続されている。リンス液供給系82は、後述する制御部70の制御に基づいてリンス液ノズル34にリンス液を供給する。それにより、リンス液ノズル34の吐出口34aからリンス液が吐出される。
【0044】
図1および
図2に示すように、現像装置1は制御部70を備える。制御部70は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリまたはマイクロコンピュータを含み、
図1および
図2に二点鎖線の矢印で示すように、第1の駆動部17、第2の駆動部31、モータ11、現像液供給系81およびリンス液供給系82の動作を制御する。
【0045】
制御部70の制御によれば、スピンチャック10により吸着保持された基板Wが回転する状態で、回転する基板Wの上方の位置まで現像液ノズル19が移動される。続いて、現像液ノズル19から基板Wに現像液が吐出されつつ現像液ノズル19が基板Wの上方で移動される(現像処理)。次に、現像液の吐出が停止され、現像液ノズル19がY方向における基板Wの側方の位置(待機ポッド15)まで移動される。現像処理の具体例について後述する。
【0046】
その後、回転する基板Wの上方の位置までリンス液ノズル34が移動される。続いて、リンス液ノズル34から基板Wにリンス液が吐出される(洗浄処理)。これにより、基板W上に供給された現像液がリンス液により洗い流される。次に、リンス液の吐出が停止され、リンス液ノズル34がX方向における基板Wの側方の位置(基板Wの外方の位置)まで移動される。最後に、基板Wが高い速度で回転されることにより、基板Wに付着するリンス液が振り切られ、基板Wが乾燥される。
【0047】
[2]現像液ノズル19の構成
ここで、
図1の現像液ノズル19の構成を説明する。
図3は
図1の現像液ノズル19の外観斜視図である。
図3に示すように、本例の現像液ノズル19は、所定形状を有するベース部材190に吐出口19a、液導入部19bおよび流路19cが形成された構成を有する。ベース部材190は、例えば単一材料からなる一体成形品であってもよいし、複数の部品を組み合わせることにより作製されてもよい。
【0048】
吐出口19aは、一方向に連続的に延びるスリットである。吐出口19aの寸法については後述する。液導入部19bは、
図2の現像液供給系81から延びる配管を接続可能に形成されている。流路19cは、ベース部材190の内部で吐出口19aと液導入部19bとを繋ぐように形成され、第1の流路部191および第2の流路部192を含む。
【0049】
第1の流路部191は、略一定の断面形状を有し、液導入部19bからベース部材190の内部で所定距離延びるように形成されている。本実施の形態において、第1の流路部191の断面は、例えば円形状または正方形状を有する。
【0050】
第2の流路部192の断面形状は、一端(上流端)から他端(下流端)にかけて連続的に変化している。具体的には、第2の流路部192は、第1の流路部191の端部(下流端)から吐出口19aに近づくにつれて断面が一方向に連続的に大きくなるように形成されている。それにより、第2の流路部192の一端における断面が円形状または正方形状を有することに対して、第2の流路部192の他端における断面はスリット状を有する。
【0051】
図4は、
図3の矢印Nの方向に見た現像液ノズル19の吐出口19aの拡大図である。本実施の形態において、現像液ノズル19の吐出口19aの長手方向の長さLSは10mm以上15mm以下であり、例えば12mmである。また、吐出口19aの幅WSは0.2mm以上0.4mm以下であり、例えば0.2mmまたは0.3mmである。
【0052】
図5は、
図4の吐出口19aから現像液が吐出される状態を示す現像液ノズル19の部分拡大図である。
図5では、現像液ノズル19のうち吐出口19aおよびその周辺部分の外観が示されるとともに、現像液ノズル19の内部を通って吐出口19aから吐出される現像液の状態がドットパターンで示される。
図5に示すように、スリット状の吐出口19aから吐出される現像液は、吐出口19aの長手方向に連続的に延びる帯状の断面を有する。
【0053】
[3]現像処理の具体例
図6および
図7は、
図1の現像装置1を用いた現像処理の具体例を説明するための図である。
図6に現像処理中の基板Wおよび現像液ノズル19の状態が平面図で示される。
図7に
図6のQ-Q線断面図が示される。なお、
図6では、現像液ノズル19から基板Wに吐出される現像液の図示が省略されている。本例の現像処理中には、基板Wは平面視で時計回りに回転しているものとする。
図6では、基板Wの回転方向が太い実線の矢印CWで示される。
【0054】
ここで、基板Wが水平姿勢で吸着保持されつつ回転された状態で、基板Wの回転中心(本例では基板Wの中心)を通って基板Wの上面に延びる仮想直線を基準直線VBと定義する。本例では、基準直線VBはY方向に平行に延びる。また、本例では、現像処理の対象となる基板Wは、その中心が
図1の軸VA上に位置するようにスピンチャック10により吸着保持される。この場合、基準直線VBは基板Wの直径となる。
【0055】
以下の説明において、現像液ノズル19から基板Wに現像液が吐出されることにより、基板Wの上面において現像液を受ける領域を着液領域と呼ぶ。着液領域は、吐出口19aの形状に対応して一方向に連続的に延びる。それにより、本例の着液領域は帯形状を有する。
【0056】
本実施の形態に係る現像装置1においては、現像処理が行われる際には、基準直線VB上に現像液ノズル19から吐出される現像液が供給されるように基板Wに対する現像液ノズル19の姿勢が固定される。また、
図6に示すように、着液領域RAが基準直線VBから傾斜した方向に延びるように基板Wに対する現像液ノズル19の姿勢が固定される。ここで、着液領域RAは、着液領域RAの一端部に対して着液領域RAの他端部が一端部よりも基板Wの回転中心から離間した状態で、他端部が基板の回転方向において一端部よりも下流に位置するように形成される。このとき着液領域RAが延びる方向に平行な直線と基準直線VBとの間の角度(以下、ノズル角度と呼ぶ。)αは、0°よりも大きく45°よりも小さい。
【0057】
また、現像処理が行われる際には、吐出口19aから吐出される現像液の進行方向(以下、吐出方向と呼ぶ。)が基板Wの上面に対して傾斜するように、現像液ノズル19の姿勢が固定される(
図7参照)。このとき吐出方向に平行な直線と基板Wの上面との間の角度(以下、吐出角度と呼ぶ。)βは、30°以上60°以下に設定され、好ましくは45°に設定される。さらに、現像処理が行われる際には、吐出口19aの下端部から基板Wの上面までの距離d2が5mm以上7mm以下となり、好ましくは6mmとなるように、現像液ノズル19の姿勢が固定される。この場合、
図6に示すように、平面視で現像液ノズル19の吐出口19aと基準直線VBとが離間する。平面視で吐出口19aと基準直線VBとの間の距離d1は、例えば5mm以上6mm以下である。
【0058】
現像処理の開始時には、上記のように現像液ノズル19が基板Wに対して特定の姿勢に固定された状態で、着液領域RAの一端部が基板Wの回転中心に位置するように現像液ノズル19が位置決めされる。また、回転する基板W上に現像液が供給される。それにより、
図7に示すように、現像液ノズル19から吐出された現像液が、着液領域RAで受け止められ、基板Wの回転方向における下流に向かうとともに基板Wの外周端部に向かって広がるように基板W上を流れる。
【0059】
次に、
図6に白抜きの矢印a1で示すように、現像液ノズル19が、基板Wの外周端部に向かって基準直線VBの方向に所定速度(例えば、100mm/sec程度)で移動される。この移動時において、現像液ノズル19の姿勢は現像処理の開始時の状態で維持される。この場合、基板Wの回転中心から基板Wの外周端部に連続的に現像液が供給される。それにより、基板Wの上面の全体に均一に現像液が供給される。
【0060】
次に、着液領域RAの他端部が基板Wの外周端部に到達すると、
図6に白抜きの矢印a2で示すように、現像液ノズル19が、基板Wの中心に向かって基準直線VBに平行に所定速度(例えば、100mm/sec程度)で移動される。この移動時においても、現像液ノズル19の姿勢は現像処理の開始時の状態で維持される。
【0061】
この場合、予め基板Wの上面全体が十分に湿潤しているので、基板Wの外周端部から基板Wの回転中心に連続的に現像液が供給されることにより、基板Wの上面に現像液の液層を安定して形成することが可能になる。
【0062】
その後、着液領域RAの一端部が基板Wの回転中心に到達すると、現像液ノズル19から基板Wへの現像液の供給が停止され、洗浄処理が行われる。
【0063】
なお、本実施の形態に係る現像処理においては、処理対象となる基板Wの直径は300mmであり、現像液ノズル19から基板Wに供給される現像液の流量は、例えば400ml/min程度に設定される。また、スピンチャック10による基板Wの回転速度は、例えば1200rpm程度に設定される。
【0064】
[4]
図6および
図7の現像処理に関するシミュレーション
以下の説明では、現像処理において現像液の吐出開始から現像液が基板Wの上面全体を覆うまでの時間をカバー時間と呼ぶ。本発明者は、
図6のノズル角度αを複数の値に設定しつつ第1~第3の実施例および比較例に係るシミュレーションを行うことにより、ノズル角度αとカバー時間との関係を調査した。
【0065】
第1、第2および第3の実施例に係るシミュレーションにおいては、ノズル角度αを3°、7°および10°に設定した点を除いて共通の条件で現像処理を行ったときのカバー時間を求めた。比較例に係るシミュレーションにおいては、ノズル角度αを0°に設定した点を除いて、第1~第3の実施例に係るシミュレーションと同じ条件で現像処理を行ったときのカバー時間を求めた。
【0066】
第1~第3の実施例および比較例に係るシミュレーションにおいては、共通の条件として吐出角度βを45°に設定し、スピンチャック10による基板Wの回転速度を1200rpmに設定した。また、現像液ノズル19から基板Wに供給される現像液の流量を400ml/minに設定し、現像液ノズル19の移動速度を100mm/secに設定した。さらに、現像液ノズル19は、現像液の吐出開始から0.15sec経過後に移動を開始するものとした。
【0067】
第1、第2および第3の実施例に係るシミュレーションにより得られたカバー時間は、それぞれ0.582sec、0.582secおよび0.608secであった。一方、比較例に係るシミュレーションにより得られたカバー時間は、0.632secであった。
【0068】
上記のシミュレーション結果によれば、ノズル角度αが0°よりも大きく10°以下の範囲では、ノズル角度αが0°である場合に比べてカバー時間が短い。カバー時間が短いことは、現像液ノズル19から吐出されて基板W上に供給される現像液が、基板Wの上面でより均一に広がることを意味する。したがって、ノズル角度αを0°よりも大きく設定することにより、現像処理に要する現像液の量を低減することが可能であるとともに、現像処理をより短時間で行うことが可能であることがわかる。
【0069】
図8は、第1~第3の実施例および比較例に係るシミュレーション結果を示す図である。
図8では、ノズル角度αとカバー時間との関係がグラフにより示される。縦軸はカバー時間を表し、横軸はノズル角度αを表す。
【0070】
図8のグラフにおいては、第1~第3の実施例および比較例に係るシミュレーション結果により得られる4つの点が、ノズル角度0°、3°、7°および10°に対応するカバー時間として示される。また、
図8のグラフにおいては、ノズル角度0°、3°、7°および10°の間の角度に対応するカバー時間を補間する曲線が示されている。このシミュレーション結果および補間曲線によれば、ノズル角度αは、約3°~約7°の範囲内にある場合にカバー時間が著しく小さくなると考えられる。したがって、ノズル角度αは3°以上7°以下であることが好ましい。
【0071】
[5]効果
(a)上記の現像装置1においては、現像処理時に、基準直線VB上に現像液ノズル19から吐出される現像液が供給されかつ着液領域RAが基準直線VBから傾斜した方向に延びる状態で現像液ノズル19が基準直線VBの方向に移動される。また、着液領域RAは、着液領域RAの一端部に対して着液領域RAの他端部が一端部よりも基板Wの回転中心から離間した状態で、他端部が基板の回転方向において一端部よりも下流に位置するように形成される。この場合、現像処理時に基板Wの上面に供給される現像液は、着液領域RAから基板Wの上面の広い範囲に渡って迅速に広がる。そのため、現像液ノズル19が基準直線VBの方向に移動することにより、基板Wの上面の全体に均一な現像液の膜が短時間で形成される。したがって、基板Wの処理に必要な現像液を低減することが可能になるとともに、基板Wの現像処理に要する時間が短縮されることにより基板処理の効率が向上する。
【0072】
(b)上記の現像装置1においては、現像処理中に、現像液ノズル19から吐出される現像液の吐出方向が基板Wの上面に対して傾斜している。それにより、平面視で現像液ノズル19の吐出口19aと基準直線VBとが離間している。また、上記の現像装置1においては、平面視で現像液ノズル19の吐出口19aから基板Wの回転方向における下流に向かって現像液が吐出されている。
【0073】
この場合、基板Wの上面では、着液領域RAにおいて現像液が供給される方向と基板Wの回転方向とがほぼ一致することにより、着液領域RAからその着液領域RAの下流側に円滑に現像液が広がる。また、着液領域RAにおいて供給された現像液の一部が基板Wの上方に跳ね上げられる場合でも、跳ね上げられた液滴は基板Wの回転方向における下流に向く方向、すなわち現像液ノズル19から離間した方向に飛散する。それにより、基板Wの上面で跳ね上げられた現像液の液滴が現像液ノズル19に付着することが防止され、現像液ノズル19の汚染に起因するパーティクルの発生が防止される。
【0074】
[6]現像液ノズル19の変形例
本実施の形態において、現像液ノズル19は、一方向に断続的に配置された複数の吐出口を有するように構成されてもよい。
図9は、変形例に係る現像液ノズル19の外観斜視図である。
図9の現像液ノズル19について、
図3の現像液ノズル19とは異なる点を説明する。
【0075】
図9に示すように、変形例に係る現像液ノズル19においては、流路19cが、主流路193および複数(本例では5個)の副流路194a,194b,194c,194d,194eを含む分岐流路の構成を有する。主流路193の上流端は液導入部19bに接続され、主流路193の下流端は副流路194a~194eの上流端に接続されている。また、副流路194a,194b,194c,194d,194eの下流端には、複数(本例では5個)の吐出管pa,pb,pc,pd,peが設けられている。5個の吐出管pa,pb,pc,pd,peの下流端が5個の吐出口195a,195b,195c,195d,195eを構成する。
【0076】
この場合、現像液ノズル19から吐出される現像液は、5個の吐出口195a,195b,195c,195d,195eが並ぶ方向に断続的に延びる断面を有する。それにより、現像処理が行われる際には、上記の例とほぼ同じ形状を有する着液領域RAが形成される。したがって、本変形例に係る現像液ノズル19を用いて上記の現像処理を行う場合にも、上記の例と同様の効果を得ることができると考えられる。
【0077】
[7]
図1の現像装置1を備える基板処理装置
図10は、
図1の現像装置1を備えた基板処理装置の全体構成を示す模式的ブロック図である。
図10に示すように、基板処理装置100は、露光装置500に隣接して設けられ、制御装置110、搬送装置120、塗布処理部130、現像処理部140および熱処理部150を備える。
【0078】
制御装置110は、例えばCPUおよびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、搬送装置120、塗布処理部130、現像処理部140および熱処理部150の動作を制御する。搬送装置120は、基板Wを塗布処理部130、現像処理部140、熱処理部150および露光装置500の間で搬送する。
【0079】
塗布処理部130は、液処理装置の他の例として、複数の塗布装置2を含む。各塗布装置2においては、基板W上にレジスト膜を形成する塗布処理が行われる。本例の各塗布装置2は、上記の現像装置1と基本的に同じ構成を有する。
【0080】
具体的には、各塗布装置2は、スピンチャック210、処理液ノズル211、処理液供給系212および移動部213を含む。スピンチャック210は、例えば
図1のスピンチャック10と同じ構成を有し、基板Wを水平姿勢で吸着保持しつつ図示しないモータにより鉛直軸の周りで回転させる。処理液ノズル211は、例えば
図3または
図9の現像液ノズル19と同じ構成を有し、スピンチャック210により回転される基板W上にレジスト膜用の処理液(レジスト液)を吐出する。移動部213は、例えば
図1のガイドレール16、第1の駆動部17および第1のアーム18を含む。移動部213は、上記の
図6および
図7の例と同様に、基板Wの回転中心を通る基準直線VBの直線上にレジスト液が供給されかつ着液領域RAが基準直線VBから傾斜した方向に延びる状態で処理液ノズル211を基準直線VBの方向に移動させる。処理液供給系212は、処理液ノズル211にレジスト液を供給する。
【0081】
このような構成により、各塗布装置2においては、上記の現像処理と基本的に同じ方法で塗布処理が行われる。それにより、上記の現像装置1の例と同様に、塗布処理において必要なレジスト液の量が低減されるとともに塗布処理の時間が短縮される。塗布処理によりレジスト膜が形成された基板Wには、露光装置500において露光処理が行われる。
【0082】
現像処理部140は、複数の現像装置1を含む。各現像装置1は、露光装置500による露光処理後の基板Wに現像液を供給することにより、基板Wの現像処理を行う。熱処理部150は、塗布処理部130の塗布装置2による塗布処理、現像処理部140による現像処理、および露光装置500による露光処理の前後に基板Wの熱処理を行う。
【0083】
図10の基板処理装置100においては、現像装置1において現像液の使用量が低減されるとともに現像処理が短時間で行われる。また、塗布装置2においてレジスト液の使用量が低減されるとともに塗布処理が短時間で行われる。したがって、基板Wの製造コストが低減される。
【0084】
なお、
図10の塗布処理部130においては、基板Wに反射防止膜が形成されてもよい。この場合、熱処理部150は、基板Wと反射防止膜との密着性を向上させるための密着強化処理を行ってもよい。また、塗布処理部130においては、レジスト膜が形成された基板Wに、レジスト膜を保護するためのレジストカバー膜が形成されてもよい。これらの場合、塗布処理部130において、基板Wに反射防止膜を形成する塗布装置、基板Wにレジストカバー膜を形成する塗布装置は、それぞれ上記の現像装置1および塗布装置2と同様の構成を有してもよい。
【0085】
[8]他の実施の形態
(a)上記実施の形態に係る現像装置1においては、リンス液ノズル34が現像液ノズル19と同じ構成を有してもよい。この場合、現像処理後の洗浄処理に必要なリンス液を低減することが可能になるとともに、基板Wの洗浄処理に要する時間が短縮されることにより基板処理の効率が向上する。
【0086】
(b)上記実施の形態に係る現像装置1においては、リンス液ノズル34が現像液ノズル19とは別体で構成されるが、リンス液ノズル34と現像液ノズル19とは一体的に構成されてもよい。
【0087】
(c)上記実施の形態に係る現像装置1においては、現像処理が行われる際に、現像液の吐出方向が基板Wの上面に対して傾斜するように現像液ノズル19の姿勢が固定されるが、本発明はこれに限定されない。現像処理が行われる際には、現像液の吐出方向が基板Wの上面に対して直交するように、現像液ノズル19の姿勢が固定されてもよい。
【0088】
(d)上記実施の形態に係る現像装置1においては、現像処理中に着液領域RAが基板Wの外周端部から基板Wの回転中心へ移動した後、着液領域RAが基板Wの回転中心から基板Wの外周端部へ移動するが、本発明はこれに限定されない。
【0089】
現像処理においては、着液領域RAが基板Wの回転中心から基板Wの外周端部へのみ移動するように現像液ノズル19の動作が制御されてもよい。あるいは、着液領域RAが基板Wの外周端部から基板Wの回転中心へのみ移動するように現像液ノズル19の動作が制御されてもよい。
【0090】
(e)上記実施の形態は、本発明を現像装置1および塗布装置2に適用した例であるが、これに限らず、洗浄装置等の他の液処理装置に本発明を適用してもよい。
【0091】
[9]請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0092】
上記実施の形態では、現像装置1および塗布装置2が液処理装置の例であり、スピンチャック10,210が回転保持部の例であり、
図3の現像液ノズル19の吐出口19aが一の吐出口の例であり、
図9の現像液ノズル19の複数の吐出口195a,195b,195c,195d,195eが複数の吐出口の例であり、着液領域RAの一端部が着液領域の第1の端部の例であり、着液領域RAの他端部が着液領域の第2の端部の例である。
【0093】
また、
図3および
図9の現像液ノズル19および
図10の処理液ノズル211がノズルの例であり、
図2の現像液供給系81および
図10の処理液供給系212が処理液供給系の例であり、基準直線VBが基板上面の直線の例であり、
図1のガイドレール16、第1の駆動部17および第1のアーム18ならびに
図10の移動部213が移動部の例である。
【0094】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
[10]参考形態
(1)第1の参考形態に係る液処理装置は、基板に処理液を供給することにより所定の処理を行う液処理装置であって、基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させる回転保持部と、一方向に連続的に延びる一の吐出口または一方向に断続的に配置された複数の吐出口を有し、回転保持部により回転される基板上面に処理液を吐出するノズルと、ノズルに処理液を供給する処理液供給系と、回転保持部により回転される基板の回転中心を通る基板上面の直線上にノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ基板上面において処理液を受ける着液領域が直線から傾斜した方向に延びる状態でノズルを直線の方向に移動させる移動部とを備え、着液領域は、第1および第2の端部を有し、第2の端部は、第1の端部よりも基板の回転中心から離間しかつ基板の回転方向において第1の端部よりも下流に位置する。
その液処理装置においては、基板の回転中心を通る基板上面の直線上にノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ着液領域が直線から傾斜した方向に延びる状態でノズルが直線の方向に移動される。着液領域の第2の端部は、第1の端部よりも下流に位置する。この場合、基板上面に供給された処理液は、着液領域から基板上面の広い範囲に渡って迅速に広がる。そのため、ノズルが直線の方向に移動することにより、基板上面の全体に均一な処理液の膜が短時間で形成される。したがって、基板の処理に必要な処理液を低減することが可能になるとともに、基板の処理時間が短縮されることにより基板処理の効率が向上する。
(2)移動部は、平面視で一の吐出口または複数の吐出口が直線から離間した状態で移動しかつ一の吐出口または複数の吐出口から基板の回転方向における下流に向かって処理液が吐出される状態でノズルを移動させてもよい。
この場合、基板上面には斜め上方から処理液が供給されることになる。このとき、平面視で着液領域において処理液が供給される方向と基板の回転方向とがほぼ一致する。それにより、基板上面では、着液領域からその着液領域の下流側に円滑に処理液が広がる。また、着液領域において供給された処理液の一部が基板の上方に跳ね上げられる場合でも、跳ね上げられた液滴は基板の回転方向における下流に向く方向、すなわちノズルから離間した方向に飛散する。したがって、基板上面で跳ね上げられた処理液の液滴がノズルに付着することが防止され、ノズルの汚染に起因するパーティクルの発生が防止される。
(3)ノズルは、一の吐出口を有し、一の吐出口は、一方向に連続的に延びるように形成されたスリットであってもよい。
この場合、基板上面に形成される帯状の着液領域からその着液領域の下流側に処理液が円滑に広がる。
(4)移動部は、着液領域が基板の回転中心から基板の外周端部まで移動するようにノズルを移動させてもよい。
この場合、基板の回転中心から基板の外周端部に連続的に現像液が供給される。それにより、基板上面の全体に均一に処理液を供給することができる。
(5)移動部は、着液領域が基板の外周端部まで移動した後、さらに着液領域が基板の外周端部から基板の回転中心まで戻るようにノズルを移動させてもよい。
この場合、基板の回転中心から基板の外周端部に連続的に処理液が供給されることにより、基板上面の全体に処理液が供給され、基板上面が十分に湿潤した状態になる。それにより、基板の外周端部から基板の回転中心に連続的に処理液が供給されることにより、基板上面に処理液の液層を安定して形成することが可能になる。
(6)移動部は、ノズルの移動開始時に、着液領域の第1の端部が基板の回転中心に位置するようにノズルを位置決めしてもよい。
この場合、基板への処理液の供給が開始されるとともに、基板の中心から基板の外周端部に向けて円滑に処理液を供給することが可能になる。
(7)第2の参考形態に係る液処理方法は、基板に処理液を供給することにより所定の処理を行う液処理方法であって、基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させるステップと、一方向に連続的に延びる一の吐出口または一方向に断続的に配置された複数の吐出口を有するノズルに処理液を供給し、ノズルから回転される基板上面に処理液を吐出するステップと、回転される基板の回転中心を通る基板上面の直線上にノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ基板上面において処理液を受ける着液領域が直線から傾斜した方向に延びる状態でノズルを直線の方向に移動させるステップとを含み、着液領域は、第1および第2の端部を有し、第2の端部は、第1の端部よりも基板の回転中心から離間しかつ基板の回転方向において第1の端部よりも下流に位置する。
その液処理方法においては、基板の回転中心を通る基板上面の直線上にノズルから吐出される処理液の一部が供給されかつ着液領域が直線から傾斜した方向に延びる状態でノズルが直線の方向に移動される。着液領域の第2の端部は、第1の端部よりも下流に位置する。この場合、基板上面に供給された処理液は、着液領域から基板上面の広い範囲に渡って迅速に広がる。そのため、ノズルが直線の方向に移動することにより、基板上面の全体に均一な処理液の膜が短時間で形成される。したがって、基板の処理に必要な処理液を低減することが可能になるとともに、基板の処理時間が短縮されることにより基板処理の効率が向上する。
(8)ノズルを直線の方向に移動させるステップは、平面視で一の吐出口または複数の吐出口が直線から離間した状態で移動しかつ一の吐出口または複数の吐出口から基板の回転方向における下流に向かって処理液が吐出される状態でノズルを移動させることを含んでもよい。
この場合、基板上面には斜め上方から処理液が供給されることになる。このとき、平面視で着液領域において処理液が供給される方向と基板の回転方向とがほぼ一致する。それにより、基板上面では、着液領域からその着液領域の下流側に円滑に処理液が広がる。また、着液領域において供給された処理液の一部が基板の上方に跳ね上げられる場合でも、跳ね上げられた液滴は基板の回転方向における下流に向く方向、すなわちノズルから離間した方向に飛散する。したがって、基板上面で跳ね上げられた処理液の液滴がノズルに付着することが防止され、ノズルの汚染に起因するパーティクルの発生が防止される。
(9)ノズルは、一の吐出口を有し、一の吐出口は、一方向に連続的に延びるように形成されたスリットであってもよい。
この場合、基板上面に形成される帯状の着液領域からその着液領域の下流側に処理液が円滑に広がる。
(10)ノズルを直線の方向に移動させるステップは、着液領域が基板の回転中心から基板の外周端部まで移動するようにノズルを移動させることを含んでもよい。
この場合、基板の回転中心から基板の外周端部に連続的に現像液が供給される。それにより、基板上面の全体に均一に処理液を供給することができる。
(11)ノズルを直線の方向に移動させるステップは、着液領域が基板の外周端部まで移動した後、さらに着液領域が基板の外周端部から基板の回転中心まで戻るようにノズルを移動させることを含んでもよい。
この場合、基板の回転中心から基板の外周端部に連続的に処理液が供給されることにより、基板上面の全体に処理液が供給され、基板上面が十分に湿潤した状態になる。それにより、基板の外周端部から基板の回転中心に連続的に処理液が供給されることにより、基板上面に処理液の液層を形成することが可能になる。
(12)ノズルを直線の方向に移動させるステップは、ノズルの移動開始時に、着液領域の第1の端部が基板の回転中心に位置するようにノズルを位置決めすることを含んでもよい。
この場合、基板への処理液の供給が開始されるとともに、基板の中心から基板の外周端部に向けて円滑に処理液を供給することが可能になる。
【符号の説明】
【0095】
1…現像装置,2…塗布装置,10,210…スピンチャック,11…モータ,12…回転軸,13…内側カップ,14…外側カップ,15…待機ポッド,16…ガイドレール,17…第1の駆動部,18…第1のアーム,19…現像液ノズル,19a,34a,195a,195b,195c,195d,195e…吐出口,19b…液導入部,19c…流路,31…第2の駆動部,32…支持軸,33…第2のアーム,34…リンス液ノズル,70…制御部,81…現像液供給系,82…リンス液供給系,100…基板処理装置,110…制御装置,120…搬送装置,130…塗布処理部,140…現像処理部,150…熱処理部,190…ベース部材,191…第1の流路部,192…第2の流路部,193…主流路,194a,194b,194c,194d,194e…副流路,211…処理液ノズル,212…処理液供給系,213…移動部,500…露光装置,d1,d2…距離,pa,pb,pc,pd,pe…吐出管,RA…着液領域,VB…基準直線,W…基板