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特許7308049和風スナック用穀粉組成物及び和風スナックの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】和風スナック用穀粉組成物及び和風スナックの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/34 20060101AFI20230706BHJP
   A21D 6/00 20060101ALI20230706BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20230706BHJP
【FI】
A23G3/34 102
A21D6/00
A23L7/10 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019031066
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020130105
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000227489
【氏名又は名称】日東富士製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(72)【発明者】
【氏名】井之上 明弘
(72)【発明者】
【氏名】玉井 千恵子
(72)【発明者】
【氏名】高柳 雅義
(72)【発明者】
【氏名】大島 秀男
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/032573(WO,A1)
【文献】特開2018-174808(JP,A)
【文献】特開2008-104393(JP,A)
【文献】特開2001-204411(JP,A)
【文献】特開2014-161261(JP,A)
【文献】特開2002-125578(JP,A)
【文献】特開2001-120162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G、A21D、A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粉原料として、下記(A)~(E)の全てを満たす小麦粉を穀粉原料中に1~50質量%含有することを特徴とする和風スナック用穀粉組成物。
(A)平均粒径:150~350μm
(B)粒径100μm未満が40質量%以下
(C)粒径400μm超が15質量%以下
(D)マルトース価:150~350mg/10g
(E)食物繊維含量:15.0~35.0質量%
【請求項2】
前記小麦粉は加熱処理を行ったものである、請求項1に記載の和風スナック用穀粉組成物。
【請求項3】
更に、前記小麦粉は下記(F)を満たす小麦粉である、請求項1又は2に記載の和風スナック用穀粉組成物。
(F)脂質含量:3.0~7.0質量%
【請求項4】
前記和風スナックは、焼型を用いて焼成されるものである、請求項1~のいずれか1項に記載の和風スナック用穀粉組成物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の和風スナック用穀粉組成物を用いて生地を調製する調製工程と、調製した生地を焼型を用いて焼成する焼成工程と、焼成した和風スナックを冷蔵又は冷凍する冷蔵/冷凍工程とを含むことを特徴とする和風スナックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯切れがよく、軽く口溶けのよい食感であり、電子レンジ等による加熱後も形を保っている保形性のよい和風スナックの製造に用いる和風スナック用穀粉組成物及び和風スナックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今川焼(大判焼き、回転焼きともいう)、たい焼き、人形焼き、もみじ饅頭等の和風スナックは、小麦粉に水、卵等を加えて調製した生地を焼型に流し込んで焼成することによって製造される。このような和風スナックは、歯切れがよく、軽く口溶けのよい食感が好まれる傾向にある。
【0003】
また、焼型を用いて製造されるこれらの和風スナックは、焼成後に冷蔵や冷凍された状態で流通販売され、消費者がこれを購入して電子レンジ等で加熱して喫食されるスタイルが普及しているため、加熱しても焼成直後のような形を保つことができるものが求められている。
【0004】
例えば、下記文献1には、軟質系小麦を原料とする小麦粉であって、1)粗蛋白質量12質量%以下;2)粒径60μm以上の粗粉画分の含有割合が3質量%以上~20質量%未満;3)損傷澱粉量が3.2質量%以下;4)粒径60μm以上の粗粉画分の損傷澱粉量が1.4~2.2%、且つ粒径60μm未満の微粉画分の損傷澱粉量が2.4~3.5%以下の、1)~4)の物性及び粒度を有することを特徴とする菓子用小麦粉が開示されている。これによれば、口溶けが極めて良好な食感の鯛焼き等の焼菓子類を製造できることが記載されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、小麦粉に対し、水を所定量加えて混合物を得、該混合物を70℃以上100℃未満の雰囲気温度で3秒間以上60秒間以下加熱した後、粉砕する工程を有する粉砕熱処理小麦粉の製造方法が開示されている。これによれば、製造後に一日冷蔵保管した後でも、しっとりもっちりした食感を有する焼菓子を製造できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-27051号公報
【文献】特開2017-35074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2には、いずれも食感のよい焼菓子が得らたことが記載されているが、焼成後に流通販売され、消費者が加熱することで喫食されるというスタイルが普及している和風スナックに注目した技術ではないため、加熱した際に焼成直後のような形を保つという課題やその解決手段については記載されていない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、歯切れがよく、軽く口溶けのよい食感であり、電子レンジ等による加熱後も形を保っている保形性のよい和風スナックの製造に用いる和風スナック用穀粉組成物及びそれを用いた和風スナックの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、特定の小麦粉原料を穀粉原料として用いることで、歯切れがよく、軽く口溶けのよい食感であり、電子レンジ等による加熱後の保形性がよい和風スナックを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、穀粉原料として、下記(A)~(E)の全てを満たす小麦粉を含有することを特徴とする和風スナック用穀粉組成物を提供するものである。
(A)平均粒径:150~350μm
(B)粒径100μm未満が40質量%以下
(C)粒径400μm超が15質量%以下
(D)マルトース価:150~350mg/10g
(E)食物繊維含量:15.0~35.0質量%
本発明の和風スナック用穀粉組成物によれば、歯切れがよく、軽く口溶けのよい食感であり、電子レンジ等による加熱後も形を保っている保形性のよい和風スナックを提供することができる。
【0011】
本発明の和風スナック用穀粉組成物において、前記(A)~(E)の全てを満たす小麦粉を穀粉原料中に1~50質量%含有することが好ましい。
【0012】
また、本発明の和風スナック用穀粉組成物において、前記小麦粉は加熱処理を行ったものであることが好ましい。
【0013】
更に、本発明の和風スナック用穀粉組成物において、前記小麦粉は下記(F)を満たす小麦粉であることが好ましい。
(F)脂質含量:3.0~7.0質量%
更に、本発明の和風スナック用穀粉組成物において、前記和風スナックは、焼型を用いて焼成されるものであることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、上記記載の和風スナック用穀粉組成物を用いて生地を調製する調製工程と、調製した生地を焼型を用いて焼成する焼成工程と、焼成した和風スナックを冷蔵又は冷凍する冷蔵/冷凍工程とを含むことを特徴とする和風スナックの製造方法を提供するものである。
【0015】
本発明の和風スナックの製造方法によれば、歯切れがよく、軽く口溶けのよい食感であり、電子レンジ等による加熱後も形を保っている保形性のよい和風スナックを提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、歯切れがよく、軽く口溶けのよい食感であり、電子レンジ等による加熱後も形を保っている保形性のよい和風スナックを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の和風スナック用穀粉組成物は、穀粉原料として、下記(A)~(E)の全てを満たす小麦粉を含有する。
(A)平均粒径:150~350μm
(B)粒径100μm未満が40質量%以下
(C)粒径400μm超が15質量%以下
(D)マルトース価:150~350mg/10g
(E)食物繊維含量:15.0~35.0質量%
以下、上記小麦粉のそれぞれの条件について説明する。
【0018】
上記小麦粉は、(A)平均粒径が150~350μmであり、好ましくは150~250μmである。平均粒径が上記範囲にあることによって、生地の歯切れがよく、口溶けのよい食感となり、また、電子レンジ等による加熱後も形を保っている保形性がよくなるという効果が得られる。平均粒径が150μm未満であると、歯切れと口溶けのよさ、保形性のよさといった特徴が得られにくくなる傾向にあり、平均粒径が350μmを超えると、焼成した生地の食感がざらついてしまう傾向にある。
【0019】
なお、本発明における小麦粉の平均粒径は、例えば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置を用いて乾式で測定された体積平均値(Mean V)として求めることができる。レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置としては、例えばマイクロトラック粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社)等を用いることができる。
【0020】
また、上記小麦粉は、(B)粒径100μm未満が40質量%以下であり、好ましくは35質量%以下である。粒径100μm未満が40質量%を超えると歯切れと口溶けのよさ、保形性のよさといった特徴が得られにくくなる傾向にある。
【0021】
更に、上記小麦粉は、(C)粒径400μm超が15質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。粒径400μm超が15質量%を超えると生地の食感がざらついてしまう傾向にある。
【0022】
更に、上記小麦粉は、(D)マルトース価が150~350mg/10gであり、好ましくは150~300mg/10gである。マルトース価が上記範囲にあることによって、生地の歯切れがよく、口溶けのよい食感となり、また、電子レンジ等による加熱後も形を保っている保形性がよくなるという効果が得られる。マルトース価が150mg/10g未満であると、生地粘度がゆるくなり、焼成後べたつきのある食感となる傾向にあり、マルトース価が350mg/10gを超えると、生地粘度が安定せず、焼成後べたつきのある食感となる傾向にある。
【0023】
なお、本発明においてマルトース価とは、小麦粉中のアミラーゼによって、小麦粉の澱粉がどれだけ分解されるかを表す指標であり、マルトース価が高いと小麦粉中の損傷澱粉の割合が高く、マルトース価が低いと損傷澱粉の割合が低い。本発明においてマルトース価は、AACC(American Association of Cereal Chemists )の公定法(22-15)により測定することができる。
【0024】
更に、上記小麦粉は、(E)食物繊維を15.0~35.0質量%、好ましくは15~30質量%含有する。食物繊維含量が上記範囲にあることによって、生地の歯切れがよく、また、電子レンジ等による加熱後も形を保っている保形性がよくなるという効果が得られる。食物繊維含量が15.0質量%未満であると、歯切れのよさ、保形性のよさといった特徴が得られにくくなる傾向にあり、食物繊維含量が35.0質量%を超えると、食味が悪くなり、食感がぼそつく傾向にある。
【0025】
なお、本発明において、食物繊維含量は、AOAC法985.29(プロスキー法)により測定することができる。
【0026】
更に、上記小麦粉は、(F)脂質含量が、好ましくは3.0~7.0質量%であり、より好ましくは3.0~6.0質量%である。脂質含量が上記範囲内である小麦粉を用いることで、穀物感の強い良好な風味が得られるという利点が得られる。
【0027】
なお、本発明において、脂質含量は、新・食品分析法(発行者:光琳、平成8年11月30日発行)に記載されている1-4-3酸分解法に則って測定することができる。
【0028】
本発明において、上記(A)~(E)の条件を満たす小麦粉や、更に加えて上記(F)の条件を満たす小麦粉は、小麦を粉砕、分級・篩い分けして小麦粉を製造する際に、篩い分けされた複数の画分の小麦粉を組合せ、それぞれの配合量を調整することによって得ることができる。すなわち、粒径は、所望の粒度範囲のものを選択したり、粗い粒度のものを更に粉砕したり、それらの画分を組み合わせたりして調整することができ、マルトース価は、粉砕の程度が激しい画分ほど高くなる傾向があるので、所望のマルトース価になるように粉砕された画分を選択したり、組み合わせたりして調整でき、食物繊維含量や脂質含量は、フスマ分や胚芽分が多い画分ほど高くなる傾向があるので、そのような画分を選択したり、組み合わせたりして調整できる。
【0029】
更に、本発明の和風スナック用穀粉組成物には、加熱処理を行った小麦粉を用いてもよい。加熱処理を行った小麦粉を用いることで、生地の歯切れがよく、軽い食感が得られるという利点が得られる。和風スナック用穀粉組成物中の加熱処理された小麦粉の割合は、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましい。
【0030】
加熱処理の方法としては、公知の方法を採用することができる。具体的には乾熱加熱、湿熱加熱が挙げられる。例えば、乾熱加熱では、原料に加水を行わずに加熱を行う。乾熱加熱に用いられる装置としては、回転釜、焙煎釜、パドルドライヤー、熱風乾燥機、棚式乾燥機等を用いることができる。また、湿熱加熱では、原料の水分含量が13~16質量%程度となるように適宜加水し水分を調整した後、熱した密閉容器内で加熱を行う。あるいは加熱蒸気が含まれる容器中で加熱を行う。湿熱加熱に用いられる装置としては、密閉式加熱装置、ボックス式蒸し器等を用いることができる。その加熱条件に特に制限はないが、例えば、回転釜等の加熱容器に入れて、撹拌しながら、最終品温が100~120℃になるように、加熱時間がトータルで好ましくは30~60分間になるように加熱する等によってなされる。また、回転釜等の加熱容器を用いる態様に限らず、例えば、回転ドラムに原料を入れて、熱風を吹込みながら加熱する方法等、各種の態様を採用することができる。加熱処理は、ウェットグルテンが採取できない状態まで加熱処理するのが好ましい。
【0031】
本発明の和風スナック用穀粉組成物は、上記(A)~(E)の全てを満たす小麦粉を穀粉原料中に1~50質量%含有することが好ましく、3.0~40質量%含有することが更に好ましく、5.0~30質量%含有することが最も好ましい。上記(A)~(E)の全てを満たす小麦粉含量が上記範囲内であることで、生地の歯切れがよく、口溶けのよい食感となり、また、電子レンジ等による加熱後も形を保っている保形性がよくなるという利点が得られる。上記小麦粉の含有量が1質量%未満では歯切れと口溶けのよさ、保形性のよさといった特徴が得られにくくなり、50質量%を超えると生地の食感がざらついてしまう。
【0032】
なお、和風スナック用穀粉組成物中の穀粉原料としては、上記(A)~(E)の全てを満たす小麦粉の他に、上記(A)~(E)の全てを満たさない通常の小麦粉、米粉、ライ麦粉、大麦粉、あわ粉、ひえ粉、はとむぎ粉、及びとうもろこし粉等を用いることができる。この場合、通常の小麦粉としては、強力粉、準強力粉、中力粉、及び薄力粉等が挙げられるが、特に薄力粉、中力粉が好ましく用いられる。
【0033】
本発明の和風スナック用穀粉組成物は、殻粉以外に、和風スナックの原料として通常用いられている各種の原料を含有することができる。このような原料としては、例えば、調味料(砂糖、食塩、こしょう、醤油、味噌、みりん、酒、グルタミン酸ナトリウム等)、膨張剤、増粘剤(例えばキサンタンガム、グアガム、タマリンドシードガム、ローストビーンガム、ジェランガム、カラギーナン、カードラン、プルラン等)、卵製品(例えば卵黄粉末、全卵粉末)、澱粉(生澱粉、α化澱粉、化工澱粉等)、大豆蛋白質、えんどう蛋白質、小麦グルテン、乳製品(牛乳、脱脂粉乳、ホエー蛋白、カゼイン等)、ゼラチン、食物繊維、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン酸脂肪酸エステル等)、ぶどう糖、トレハロース等の糖類、デキストリン、油脂、甘味料、香辛料、ビタミン類、ミネラル類等が挙げられる。
【0034】
このような本発明の和風スナック用穀粉組成物は、例えば今川焼(大判焼、回転焼とも呼ばれる)、たい焼き、人形焼、もみじ饅頭、タコ焼きなどの焼型を用いて焼成される和風スナックの製造に好適に用いられる。ただし、お好み焼き等のその他の和風スナックの製造にも用いることができる。
【0035】
上記和風スナックは、和風スナック用穀粉組成物と他の原料とを混合して生地とし、公知の製造方法により得ることができる。例えば、和風スナック用穀粉組成物と他の原料とを混合して生地を調製する調製工程と、調製した生地を焼型に流し込み、必要に応じて餡や具材を添加して、焼成する焼成工程等を含む工程により製造することができる。
【0036】
上記和風スナックの製造方法としては、焼成工程の後、更に和風スナックを冷蔵又は冷凍する冷蔵/冷凍工程を含んでもよい。本発明の和風スナック用穀粉組成物を用いて製造された和風スナックは、電子レンジ等による加熱後も形を保ち保形性がよいため、加熱が必要となる冷蔵/冷凍工程を経た冷凍/冷蔵和風スナックに特に好適である。
【実施例
【0037】
<試験例1>
1.今川焼の製造
表1に示した物性を有する各和風スナック用穀粉組成物(以下、「穀粉組成物」ともいう。)を用いて、表2に示す原料を混合して生地を調製し、今川焼用生地を得た。この生地を、今川焼の焼き型に流し込み、170℃、5分間焼成して餡を入れ、別途同様にして生地のみを焼成したもので挟んで、更に約5分間焼成して今川焼を製造した。
【0038】
なお、実施例1~3の穀粉組成物は、小麦原料の水分含量が16質量%となるように適宜加水し水分を調整した後、ウェットグルテンが採取できない状態になるまで、加熱蒸気が含まれる容器中で20分間加熱処理を行った。その後、小麦を粉砕、分級・篩い分けして小麦粉を製造する際に、篩い分けされた複数の画分の小麦粉を組合せ、それぞれの配合量を調整することによって得た。一方、実施例4の穀粉組成物は、加熱処理を行わない他は、他の実施例と同様にサンプルを作製した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
2.評価方法
それぞれの今川焼を、焼成直後にパネラーに試食させて、食感(歯切れ、口溶け)を評価した。評価は7名で行い、歯切れがよく、軽く口溶けが極めて良いものを5点とし、反対に、引きがあり、口溶けが極めて悪いものを1点とした5段階で行い、平均値を求めた。
【0042】
また、焼成後急速凍結し、急速凍結後一晩-20℃で冷凍し、電子レンジで加熱して保形性を評価した。レンジ加熱後の保形性が極めて良いものを5点とし、反対に、保形性が極めて悪いものを1点とした5段階で行い、平均値を求めた。
【0043】
3.結果
その結果を表3に示す。表3に示すように、(A)平均粒径:150~350μm、(B)粒径100μm未満が40質量%以下、(C)粒径400μm超が15質量%以下、(D)マルトース価:150~350mg/10g、(E)食物繊維含量:15.0~35.0質量%、の全てを満たす小麦粉を用いた実施例1~4の今川焼では、歯切れがよく口溶けのよい食感であり、電子レンジによる加熱後も形を保っていて保形性のよいものであった。なお、熱処理した小麦粉を用いた実施例1~3は、熱処理しない小麦粉を用いた実施例4よりも、食感が良好であった。
【0044】
【表3】
【0045】
<試験例2>
1.今川焼の製造
表1の実施例2に示した穀粉組成物を用い、その配合量を表4に示すように変えて、試験例1と同様にして生地を調製し、この生地を、今川焼の焼き型に流し込み、170℃、5分間焼成して餡を入れ、別途同様にして生地のみを焼成したもので挟んで、更に約5分間焼成して今川焼を製造した。
【0046】
【表4】
【0047】
2.評価方法
それぞれの今川焼を、焼成直後にパネラーに試食させて、食感(歯切れ、口溶け)を評価した。評価は7名で行い、歯切れがよく、軽く口溶けが極めて良いものを5点とし、反対に、引きがあり、口溶けが極めて悪いものを1点とした5段階で行い、平均値を求めた。
【0048】
また、焼成後急速凍結し、急速凍結後一晩-20℃で冷凍し、電子レンジで加熱して保形性を評価した。レンジ加熱後の保形性が極めて良いものを5点とし、反対に、保形性が極めて悪いものを1点とした5段階で行い、平均値を求めた。
【0049】
3.結果
その結果を表5に示す。表5に示すように、本発明の穀粉組成物を1.0~50.0の割合で配合した実施例5,6,2,7,8は、食感も保形性も良好であった。これに対して、本発明の穀粉組成物を配合しない比較例7は、食感、保形性の劣るものであった。
【0050】
【表5】