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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】運行管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20230101AFI20230706BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230706BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
G06Q10/08
G08G1/00 D
G08G1/00 X
B65G61/00 542
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019069753
(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公開番号】P2020170224
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519116296
【氏名又は名称】NEXT Logistics Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 浩章
(72)【発明者】
【氏名】谷川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】後藤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】菅野 義久
(72)【発明者】
【氏名】田中 友之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弘祐
(72)【発明者】
【氏名】本山 季宏
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028527(JP,A)
【文献】特開2008-033699(JP,A)
【文献】特開2016-128997(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0025821(US,A1)
【文献】特開2018-045633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1地点から第2地点へ、少なくとも一部の区間において高速道路を通って荷物を輸送する輸送車両の運行を管理する運行管理システムであって、
前記荷物ごとに、前記荷物の送り先を含む荷物情報を取得する荷物情報取得部と、
前記荷物情報取得部で取得された前記荷物ごとの前記荷物情報の数、前記荷物情報に含まれる前記荷物の大きさ、及び前記荷物情報に含まれる前記荷物の重量の少なくともいずれかと、前記輸送車両の荷室の大きさ及び積載可能重量の少なくともいずれかと、に基づいて、前記第1地点から前記第2地点へ前記荷物を輸送するための前記輸送車両の必要台数を決定する台数決定部と、
前記台数決定部で決定された前記必要台数に関する情報を出力する出力部と、
前記輸送車両を誘導する誘導車両を決定する誘導車両決定部と、
前記高速道路を走行して人を輸送する定期運行車両の運行計画を取得する運行計画取得部と、
を備え
前記誘導車両決定部は、前記台数決定部で決定された前記必要台数と、前記誘導車両によって誘導可能な予め定められた誘導可能台数と、前記定期運行車両の前記運行計画とに基づいて、前記誘導車両として用いる前記定期運行車両を決定し、
前記出力部は、前記誘導車両として決定された前記定期運行車両の情報をさらに出力し、
前記輸送車両は、前記第1地点から前記第2地点までの間の前記高速道路上の少なくとも一部の区間において、前記誘導車両に誘導されて前記荷物を輸送し、
前記第1地点及び前記第2地点は、それぞれ、複数の前記荷物が集約されるとともに前記荷物の集配の中継地点となる第1クロスドック及び第2クロスドックである、運行管理システム。
【請求項2】
前記輸送車両は、予め設定された前記輸送車両の運行計画に定められた出発時刻ごとに前記第1地点を出発し、
前記台数決定部は、前記荷物情報に基づいて、前記出発時刻ごとの前記必要台数を決定する、請求項1に記載の運行管理システム。
【請求項3】
前記定期運行車両は、複数の乗員を輸送可能なバスである、請求項1又は2に記載の運行管理システム。
【請求項4】
前記輸送車両は、自動で走行が可能な自動運転車両であり、前記誘導車両に誘導されることとして、前記誘導車両に追従して自動で走行する、請求項1~3のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を輸送する輸送車両の運行を管理する運行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、集配地点に集められた荷物を各届け先に配送する車両の運行計画を生成する装置が記載されている。この装置は、荷物を効率よく配送するため、荷物の届け出先を順次経由する配達経路を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-261123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、荷物が集められるクロスドック間において荷物を輸送する輸送車両がある。このような2つの地点間で荷物を輸送する輸送車両においても、効率よく荷物の輸送を行うことが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、第1地点から第2地点への荷物の輸送を効率よく行うことが可能な運行管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1地点から第2地点へ荷物を輸送する輸送車両の運行を管理する運行管理システムであって、荷物ごとに、荷物の送り先を含む荷物情報を取得する荷物情報取得部と、荷物情報取得部で取得された荷物情報に基づいて、第1地点から第2地点へ荷物を輸送するための輸送車両の必要台数を決定する台数決定部と、台数決定部で決定された必要台数に関する情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
この運行管理システムは、荷物情報に基づいて、第1地点から第2地点へ荷物を輸送するための輸送車両の必要台数を決定することができる。このように、輸送に必要な輸送車両の必要台数が決定されるため、例えば、過剰な台数の輸送車両を待機させておく等の必要がない。従って、運行管理システムは、第1地点から第2地点への荷物の輸送を効率よく行うことができる。
【0008】
運行管理システムにおいて、輸送車両は、予め設定された輸送車両の運行計画に定められた出発時刻ごとに第1地点を出発し、台数決定部は、荷物情報に基づいて、出発時刻ごとの必要台数を決定してもよい。この場合、運行管理システムは、輸送車両が予め定められた運行計画に従って第1地点を出発する場合であっても、出発時刻ごとの必要台数を決定できる。
【0009】
運行管理システムにおいて、輸送車両は、第1地点から第2地点までの少なくとも一部の区間において、誘導車両に誘導されて又は牽引されて荷物を輸送してもよい。この場合、輸送車両は、誘導車両による誘導又は牽引によって荷物を輸送できる。
【0010】
運行管理システムは、誘導車両を決定する誘導車両決定部を更に備え、誘導車両決定部は、台数決定部で決定された必要台数と、誘導車両によって誘導可能な予め定められた誘導可能台数とに基づいて、1台又は複数台の輸送車両を誘導車両として決定し、出力部は、誘導車両として決定された輸送車両の情報を更に出力してもよい。この場合、運行管理システムは、誘導可能台数も考慮して、誘導車両として1台又は複数台の輸送車両を決定できる。
【0011】
運行管理システムは、誘導車両を決定する誘導車両決定部と、定期運行車両の運行計画を取得する運行計画取得部と、を更に備え、誘導車両決定部は、台数決定部で決定された必要台数と、誘導車両によって誘導可能な予め定められた誘導可能台数と、定期運行車両の運行計画とに基づいて、輸送車両及び定期運行車両のいずれか1台以上を誘導車両として決定し、出力部は、誘導車両として決定された輸送車両及び定期運行車両のいずれか1台以上の情報を出力してもよい。この場合、運行管理システムは、定期運行車両の運行計画を考慮して、定期運行車両を誘導車両として決定できる。すなわち、定期運行車両を誘導車両としても活用することが可能となる。これにより、誘導車両として誘導専用の車両を用意する必要が無く、荷物の輸送の効率化を図ることができる。
【0012】
運行管理システムにおいて、定期運行車両は、複数の乗員を輸送可能なバスであってもよい。また、運行管理システムにおいて、誘導車両は、複数の乗員を輸送可能なバスであってもよい。この場合、誘導車両としてのバスと、荷物を輸送する輸送車両とによって、乗員と荷物とを同時に輸送できる。これにより、物流全体の効率化を図ることができる。
【0013】
運行管理システムにおいて、輸送車両は、自動で走行が可能な自動運転車両であり、誘導車両に誘導されることとして、誘導車両に追従して自動で走行してもよい。この場合、輸送車両を運転する運転者が不要となり、荷物の輸送の効率化が更に図られ得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1地点から第2地点への荷物の輸送を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る運行管理システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】クロスドックにおける荷物の流れを説明するための模式図である。
図3】輸送車両の輸送経路とバスの走行経路との関係を示す模式図である。
図4】輸送車両の隊列を示す模式図である。
図5】輸送車両の隊列を示す模式図である。
図6】バスの走行中にバスの後ろに輸送車両が合流する様子を示す平面図である。
図7】運行管理システムが行う管理処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1に示される運行管理システム1は、荷物を輸送する輸送車両10(図2参照)の運行を管理する。ここで、図2に示されるように、輸送車両10は、荷物Wの輸送元のクロスドックAで荷物Wを受け取り、受け取った荷物Wを輸送先のクロスドックAへ輸送する。クロスドックAは、複数の荷物Wが集約される施設であり、荷物Wの輸送の中継地点となる。例えば、クロスドックAは、複数の地点にそれぞれ設けられてる。例えば、輸送車両10は、クロスドックA間において複数の荷物Wを一度に輸送することができる大型の車両であってもよい。
【0018】
例えば、クロスドックAには、複数の集配車両20によって複数の荷物Wが集められる。クロスドックAに集められた荷物Wは、荷物Wの送り先に基づいて中継地点となるクロスドックAごとに仕分けされる。仕分けされた荷物Wは、輸送車両10に積み込まれ、輸送先のクロスドックAへ輸送される。また、輸送車両10によってクロスドックAに輸送された荷物Wは、集配車両20に積み込まれ、各配送先へ配送される。
【0019】
クロスドックAは、幹線道路脇又は幹線道路付近に設けられている。また、クロスドックAは、高速道路の出入口付近又は高速道路脇に設けられていてもよい。これらにより、輸送車両10は、クロスドックA間において道幅の広い幹線道路及び/又は高速道路を主に走行することができ、荷物Wを容易に輸送できる。
【0020】
以下、図3に示されるように、輸送車両10が第1クロスドック(第1地点)A1から第2クロスドック(第2地点)A2へ荷物Wを輸送する場合において、運行管理システム1が行う輸送車両10の運行の管理について説明する。
【0021】
なお、第1クロスドックA1では、第2クロスドックA2へ荷物Wを輸送する輸送車両10の運行計画が予め定められている。この運行計画には、第1クロスドックA1から第2クロスドックA2へ向けて出発する輸送車両10の出発時刻が定められている。輸送車両10は、運行計画に従って、予め定められた出発時刻ごとに第1クロスドックA1から第2クロスドックA2へ向けて出発する。運行管理システム1は、輸送車両10の運行を管理することとして、複数台の輸送車両10のうち荷物Wの輸送に使用する輸送車両10の指示、及び積み込む荷物Wの指示等を行う。
【0022】
本実施形態において輸送車両10は、自動で走行が可能な自動運転車両である。輸送車両10は、自動運転のみを行うことに限定されず、運転者による運転操作によって走行する手動運転と自動運転とを切替可能であってもよい。
【0023】
輸送車両10は、同じ出発時刻に第2クロスドックA2へ向けて出発する輸送車両10が複数台存在する場合、互いに隊列を組んで第2クロスドックA2へ向う。なお、隊列を構成する最大の車両台数である隊列最大台数(例えば3台)は、予め定められている。隊列を組む輸送車両10は、先頭車両の後ろに順次連なるように1列に並んで走行する。隊列最大台数は、輸送車両10が自動運転によって順次連なって走行する場合に許容される最大の台数を考慮して定められていてもよい。
【0024】
輸送車両10は、予め定められた隊列最大台数以下の台数で隊列を組み、隊列ごとに第2クロスドックA2へ向う。なお、輸送車両10は、第1クロスドックA1から第2クロスドックA2までの全区間ではなく、少なくとも一部の区間においてのみ隊列を組んで走行してもよい。
【0025】
また、本実施形態において、輸送車両10が隊列を組んで走行する場合、隊列を構成するうちの1台の車両が隊列を誘導する誘導車両となる。この誘導車両として、輸送車両10が決定される。また、誘導車両として、後述するバス30が決定される場合がある。隊列を構成する誘導車両以外の輸送車両10は、誘導車両に誘導されながら、誘導車両の後ろに順次連なって誘導車両に追従して自動で走行する。すなわち、輸送車両10は、誘導車両に誘導されることとして、予め定められた車間距離を開けて、誘導車両に追従して自動で走行する。なお、輸送車両10が自動運転によって誘導車両に追従して走行する方法としては、前方の車両に追従するように車両を走行させる周知の種々の方法が用いられ得る。
【0026】
隊列を構成する誘導車両以外の輸送車両10は、第1クロスドックA1から第2クロスドックA2までの全区間ではなく、少なくとも一部の区間において誘導車両に誘導されてもよい。例えば、隊列を構成する誘導車両以外の輸送車両10は、高速道路を走行しているときに誘導車両に誘導されてもよい。例えば、隊列を構成する誘導車両以外の輸送車両10は、誘導車両によって誘導が開始される地点までは運転者の運転操作によって走行し、誘導が開始される地点に到達した後、誘導車両によって誘導されながら自動運転によって自動で走行してもよい。例えば、誘導車両としての輸送車両10は、運転者の運転操作によって走行してもよく、自動運転によって自動で走行してもよい。
【0027】
図1に示される運行管理システム1は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、通信装置等を有する電子制御ユニットである。運行管理システム1は、CPUが出力する信号に基づいてハードウェアを制御し、後述する各種の機能を実現する。運行管理システム1は、第1クロスドックA1に備えられていてもよく、第1クロスドックA1以外の場所に備えられていてもよく、一部が第1クロスドックA1以外の場所に備えられていてもよい。例えば、運行管理システム1は、サーバ等によって構成されていてもよい。
【0028】
機能的には、運行管理システム1は、図1に示されるように、荷物情報取得部11、台数決定部12、運行計画取得部13、誘導車両決定部14、及び出力部15を備える。
【0029】
荷物情報取得部11は、集配車両20によって第1クロスドックA1に集められる荷物Wごとに、荷物情報を取得する。この荷物情報には、荷物Wの送り先の情報が含まれている。また、荷物情報には、荷物Wの大きさ、及び重量等の情報が含まれていてもよい。荷物情報取得部11は、荷物情報を周知の種々の方法によって取得する。例えば、荷物情報取得部11は、オペレータの入力操作に基づいて荷物情報を取得してもよい。例えば、荷物情報取得部11は、荷物Wに付されたバーコード等を読み取ることによって荷物情報を取得してもよい。例えば、荷物情報取得部11は、オペレータ等が入力した荷物情報を通信回線を介して取得してもよい。
【0030】
台数決定部12は、荷物情報取得部11で取得された荷物情報に基づいて、第1クロスドックA1から第2クロスドックA2へ荷物を輸送するための輸送車両10の必要台数を決定する。ここでは、例えば、台数決定部12は、次の出発時刻において輸送すべき荷物Wの荷物情報に基づいて、次の出発時刻において荷物Wの輸送に使用する輸送車両10の必要台数を決定する。すなわち、台数決定部12は、運行計画に含まれる出発時刻ごとの必要台数を決定する。台数決定部12は、決定した必要台数に基づいて、今回の輸送に使用する輸送車両10を決定する。
【0031】
例えば、台数決定部12は、荷物情報に含まれる送り先の情報に基づいて、第2クロスドックA2へ配送すべき荷物Wであるか否かを判定する。例えば、台数決定部12は、第2クロスドックA2へ輸送すべき荷物Wの数に基づいて必要台数を決定してもよい。例えば、台数決定部12は、荷物情報に含まれる荷物Wの大きさ、及び重量等に基づいて、必要台数を決定してもよい。なお、台数決定部12は、輸送車両10の荷室の大きさ、及び積載可能重量等の情報を予め記憶している。台数決定部12は、これらの荷室等の情報に基づいて、必要台数を決定できる。
【0032】
運行計画取得部13は、定期運行車両の運行計画を取得する。定期運行車両とは、輸送車両10以外の車両であり、予め定められた運行計画に従って定期的に走行する車両である。運行計画取得部13は、例えば、定期運行車両を管理するサーバ等から定期運行車両の運行計画を取得してもよい。また、運行計画取得部13は、オペレータによって入力されることによって、定期運行車両の運行計画を取得してもよい。運行計画取得部13は、予め定められたタイミングで運行計画を取得し、取得した運行計画を記憶する。例えば、運行計画取得部13は、定期運行車両の運行計画が変更された場合に、新たな運行計画を取得してもよい。
【0033】
本実施形態において、定期運行車両は、図3に示されるように、複数の乗員を輸送可能なバス30とする。バス30の運行計画には、出発地B1の出発時刻及び/又はバス30が経由する各地点の通過時刻等が含まれている。バス30は、例えば、都市間において乗員を輸送する乗員輸送車両であってもよい。
【0034】
ここでは、運行計画取得部13は、バス30が出発地B1から目的地B2まで走行する場合に、第1クロスドックA1及び第2クロスドックA2を経由可能なバス30の運行計画を取得する。なお、運行計画取得部13は、第1クロスドックA1の付近及び出発地B1の付近を経由可能なバス30の運行計画を取得してもよい。また、運行計画取得部13は、第1クロスドックA1から第2クロスドックA2までの間の輸送車両10が走行する経路のうち、少なくとも一部の区間を経由可能なバス30の運行計画を取得してもよい。
【0035】
誘導車両決定部14は、輸送車両10の隊列、及び隊列を誘導する誘導車両を決定する。具体的には、誘導車両決定部14は、台数決定部12で決定された必要台数と、予め定められた誘導可能台数とに基づいて、1台又は複数台の輸送車両10を誘導車両として決定する。なお、誘導可能台数とは、誘導車両によって誘導可能な輸送車両10の最大台数である。すなわち、誘導可能台数とは、誘導車両の後ろを自動運転によって輸送車両10が追従可能な最大の台数である。本実施形態において、隊列最大台数は、誘導可能台数に1を加算した台数とする。
【0036】
ここでは、まず、誘導車両決定部14は、隊列最大台数を超えないように、荷物Wの輸送に使用される輸送車両10をグループ分けして隊列を決定する。そして、誘導車両決定部14は、隊列ごとに、隊列内の複数台の輸送車両10のうちの1台の輸送車両10を誘導車両として決定する。
【0037】
このように、誘導車両決定部14は、隊列ごとに、各隊列を構成する輸送車両10の中から1台の誘導車両を決定する。例えば、図4に示されるように、隊列最大台数が3台である場合(誘導可能台数が2台の場合)、誘導車両決定部14は、3台の輸送車両10のうちの1台の輸送車両10を誘導車両10Aとして決定する。なお、図4は、荷物情報に基づいて決定された必要台数が5台であり、隊列T1と隊列T2とが編成された場合が示されている。誘導車両10Aは、例えば、隊列の先頭を走行し、隊列内の他の輸送車両10を誘導する。誘導車両10Aは、第1クロスドックA1の出発時から他の輸送車両10を誘導してもよく、第1クロスドックA1から第2クロスドックA2までの少なくとも一部の区間において他の輸送車両10を誘導してもよい。
【0038】
また、誘導車両決定部14は、誘導車両として、バス30を決定することができる。具体的には、誘導車両決定部14は、台数決定部12で決定された必要台数と、予め定められた誘導可能台数と、運行計画取得部13で取得されたバス30の運行計画とに基づいて、輸送車両10及びバス30のいずれか1台以上を誘導車両として決定する。本実施形態では、誘導車両としてバス30を用いることが可能である場合、誘導車両決定部14は、誘導車両としてバス30を決定する。
【0039】
ここでは、まず、誘導車両決定部14は、バス30の運行計画に基づいて、バス30が誘導車両になり得るか否かを判定する。例えば、誘導車両決定部14は、予め定められた輸送車両10の出発時刻にバス30が第1クロスドックA1に到着できると予測される場合、当該バス30が誘導車両になり得ると判定する。すなわち、この場合とは、第1クロスドックA1の出発時から、バス30が他の輸送車両10を誘導可能な場合である。
【0040】
また、例えば、誘導車両決定部14は、予め定められた出発時刻に輸送車両10が出発したときに第2クロスドックA2へ向う経路の途中でバス30が輸送車両10に合流できると予測される場合、当該バス30が誘導車両になり得ると判定する。すなわち、この場合とは、第1クロスドックA1から第2クロスドックA2までの少なくとも一部の区間において、バス30が他の輸送車両10を誘導可能な場合である。
【0041】
そして、誘導車両決定部14は、バス30が誘導車両になり得ると判定した場合、荷物Wを輸送する隊列のグループ分けの対象に当該バス30を加える。誘導車両決定部14は、隊列最大台数を超えないように、バス30及び荷物Wの輸送に使用される輸送車両10をグループ分けして隊列を決定する。さらに、誘導車両決定部14は、隊列ごとに、隊列内の複数台の輸送車両10のうちの1台の輸送車両10を誘導車両として決定する。なお、誘導車両決定部14は、隊列内にバス30が含まれている場合、バス30を誘導車両として決定する。
【0042】
このように、図5に示されるように、隊列最大台数が3台である場合、誘導車両決定部14は、バス30を含む隊列T11については、当該バス30を誘導車両として決定する。また、誘導車両決定部14は、バス30を含まない隊列T12については、隊列を構成する輸送車両10の中から1台の輸送車両10を誘導車両10Aとして決定する。なお、図5は、荷物情報に基づいて決定された必要台数が5台であり、バス30を含む隊列T11と、バス30を含まない隊列T12とが編成された場合が示されている。隊列T11において、誘導車両としてのバス30は、例えば、隊列T11の先頭を走行して残りの2台の輸送車両10を誘導する。隊列T12において、誘導車両10Aは、例えば、隊列T12の先頭を走行して残りの2台の輸送車両10を誘導する。
【0043】
誘導車両としてのバス30は、第1クロスドックA1及び第2クロスドックA2を経由する場合、第1クロスドックA1の出発時から第2クロスドックA2に到着するまでの間、他の輸送車両10を誘導してもよい。また、誘導車両としてのバス30は、第1クロスドックA1から第2クロスドックA2までの少なくとも一部の区間において他の輸送車両10を誘導してもよい。この場合、例えば、図6に示されるように、バス30によって誘導される輸送車両10は、バス30の走行中にバス30の後ろに合流し、バス30に順次連なって誘導されてもよい。これにより、バス30は、輸送車両10を誘導するために停止する必要が無い。なお、この場合、バス30によって誘導される輸送車両10は、バス30に合流するまでは、第2クロスドックA2へ向けて各自走行してもよい。または、バス30によって誘導される輸送車両10は、バス30に合流するまでは、輸送車両10のうちの1台が誘導車両となって他の輸送車両10を誘導して走行してもよい。
【0044】
バス30による誘導が終了した後、輸送車両10が第2クロスドックA2に到達していない場合、輸送車両10は、第2クロスドックA2へ向けて各自走行してもよい。または、輸送車両10は、輸送車両10のうちの1台が誘導車両となって他の輸送車両10を誘導して第2クロスドックA2まで走行してもよい。また、バス30は、輸送車両10の誘導が終了した後、目的地B2まで乗員を輸送する。
【0045】
図1に示されるように、出力部15は、運行管理情報を出力する。運行管理情報とは、輸送車両10の運行を管理するための情報である。輸送車両10は、運行管理情報に基づいて荷物Wを受け取り、受け取った荷物Wを輸送する。出力部15は、運行管理情報を出力することとして、運行管理情報を無線通信等によって輸送車両10に送信してもよい。誘導車両としてバス30が決定されている場合、出力部15は、運行管理情報を出力することとして、運行管理情報を無線通信等によってバス30に送信してもよい。
【0046】
運行管理情報には、台数決定部12で決定された必要台数に関する情報が含まれている。この必要台数に関する情報とは、決定された必要台数を特定することができる情報である。例えば、必要台数に関する情報は、必要台数の数値(台数)そのものであってもよく、必要台数を特定可能な他の情報であってもよい。例えば、必要台数を特定可能な他の情報とは、今回の輸送に使用される輸送車両10を特定するための車両識別情報等であってもよい。車両識別情報によって特定される輸送車両10の台数が、必要台数となり得る。
【0047】
また、運行管理情報には、誘導車両として決定された輸送車両10及びバス30のいずれか1台以上の情報が含まれていてもよい。誘導車両として決定された輸送車両10の情報とは、誘導車両となる輸送車両10を特定するための車両識別情報を含んでいてもよい。同様に、誘導車両として決定されたバス30の情報とは、誘導車両となるバス30を特定するための車両識別情報を含んでいてもよい。また、運行管理情報には、どの輸送車両10によって隊列が構成されるかを示す隊列情報が含まれている。
【0048】
また、出力部15は、運行管理情報を出力することとして、第1クロスドックA1等に設けられた表示装置を制御する表示制御部に対して運行管理情報を送信してもよい。出力部15から情報を受信した表示制御部は、受信した情報を表示装置に表示させてもよい。この場合、第1クロスドックA1内の作業者等は、表示装置の表示内容を確認することによって、荷物Wの輸送作業等を行うことができる。また、出力部15は、運行管理情報を出力することとして、運行管理情報を、インターネット上において閲覧可能に公開してもよい。出力部15は、運行管理情報を出力することとして、運行管理情報を、紙に文字情報等を印刷する印刷装置等に運行管理情報を出力してもよい。出力部15から情報を受信した印刷装置は、受信した情報を紙に印刷する。この場合、第1クロスドックA1内の作業者等は、紙に印刷された情報を確認することによって、荷物Wの輸送作業等を行うことができる。
【0049】
次に、輸送車両10が第1クロスドックA1から第2クロスドックA2へ荷物Wを輸送する場合において、運行管理システム1が行う輸送車両10の運行の管理処理の流れの一例について説明する。図7に示される管理処理は、例えば、荷物Wを輸送するための運行計画に定められた出発時刻が近づいた時に実行されてもよく、他のタイミングで実行されてもよい。
【0050】
台数決定部12は、荷物情報取得部11で取得された荷物情報に基づいて、第1クロスドックA1から第2クロスドックA2へ荷物を輸送するための輸送車両10の必要台数を決定する(S101)。なお、荷物情報取得部11は、オペレータによって入力された荷物情報等を常時取得して記憶している。台数決定部12は、荷物情報取得部11が記憶する荷物情報を用いて必要台数を決定することができる。誘導車両決定部14は、決定された必要台数等に基づいて、隊列の編成、及び誘導車両を決定する(S102)。出力部15は、台数決定部12の決定結果等に基づいて得られる運行管理情報を出力する(S103)。
【0051】
これにより、出発時刻ごとに、荷物Wの輸送に必要な台数の輸送車両10が第1クロスドックA1に集められ、輸送車両10に荷物Wが積み込まれる。そして、輸送車両10は、運行管理情報に基づいて隊列を編成し、第2クロスドックA2に向けて荷物Wを輸送する。隊列を編成して荷物Wを輸送する際に、輸送車両10は、誘導車両によって誘導されながら誘導車両に追従して自動で走行する。第2クロスドックA2に到着すると、輸送車両10から第2クロスドックA2へ荷物Wが下ろされる。
【0052】
以上のように、この運行管理システム1は、荷物情報に基づいて、第1クロスドックA1から第2クロスドックA2へ荷物Wを輸送するための輸送車両10の必要台数を決定することができる。このように、輸送に必要な輸送車両10の必要台数が決定されるため、例えば、過剰な台数の輸送車両10を待機させておく等の必要がない。従って、運行管理システム1は、クロスドックA間において荷物Wの輸送を効率よく行うことができる。
【0053】
輸送車両10は、予め設定された輸送車両10の運行計画に定められた出発時刻ごとに第1クロスドックA1を出発し、第2クロスドックA2へ荷物Wを輸送する。このため、運行管理システム1は、荷物情報に基づいて、出発時刻ごとの必要台数を決定する。これにより、運行管理システム1は、輸送車両10が予め定められた運行計画に従って第1クロスドックA1を出発する場合であっても、荷物Wの輸送に必要な出発時刻ごとの必要台数を決定できる。
【0054】
輸送車両10は、第1クロスドックA1から第2クロスドックA2までの少なくとも一部の区間において、誘導車両に誘導されながら誘導車両に追従して自動で走行して荷物Wを輸送する。この場合、輸送車両10は、誘導車両による誘導によって荷物Wを輸送できる。そして、輸送車両10が自動で走行するため、輸送車両10を運転する運転者が不要となり、輸送における人員(運転者)を削減できる等、荷物Wの輸送の効率化が更に図られ得る。
【0055】
誘導車両決定部14は、台数決定部12で決定された必要台数と、予め定められた誘導可能台数とに基づいて、1台又は複数台の輸送車両10を誘導車両として決定する。この場合、運行管理システム1は、誘導可能台数も考慮して、誘導車両として1台又は複数台の輸送車両10を決定できる。
【0056】
誘導車両決定部14は、バス30の運行計画に基づいて、バス30を誘導車両として決定することができる。この場合、運行管理システム1は、バス30の運行計画を考慮して、バス30を誘導車両として決定できる。すなわち、バス30を誘導車両としても活用することが可能となる。これにより、誘導車両として誘導専用の車両を用意する必要が無く、荷物Wの輸送の効率化が更に図られ得る。
【0057】
バス30を誘導車両として活用することで、誘導車両としてのバス30と、荷物Wを輸送する輸送車両10とによって、乗員と荷物とを同時に輸送できる。これにより、物流全体の効率化が図られ得る。
【0058】
例えば、バス30が誘導車両となって輸送車両10を誘導する場合、バス30が第1クロスドックA1及び第2クロスドックA2等に立ち寄ることによって目的地B2に到着するまでに余分に時間が掛かる等、バス30による乗員の輸送の効率が低下する場合がある。このような場合、例えば、バス30の運賃を割り引く等、バス30の乗員に対して便宜を図ってもよい。これにより、バス30を誘導車両として用いることに対して乗員の理解が得られやすくなり、乗員と荷物との同時輸送の実現可能性を高めることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、輸送車両10は、誘導車両に誘導される際に予め定められた車間距離を開けて誘導車両に追従して走行したが、他の方法によって誘導されてもよい。例えば、輸送車両10は、誘導車両に連結され、輸送車両10に牽引されることによって走行してもよい。
【0060】
定期運行車両は、バス30としたが、定期的に運行する車両であれば、バス30以外の車両であってもよい。また、輸送車両10は、自動運転車両であることに限定されない。例えば、輸送車両10は、運転者による運転操作の一部の支援(例えば、車間距離等)が可能な車両であってもよい。この場合、輸送車両10は、誘導車両によって誘導される際に、運転者の運転操作の一部を支援することによって誘導車両に追従して走行してもよい。なお、輸送車両10は、運転者の運転操作によって走行する手動運転車両であってもよい。
【0061】
上記実施形態では、バス30の運行計画に基づいて、バス30が誘導車両となり得る場合にバス30を誘導車両として活用した。これに限定されず、運行管理システム1は、原則として、バス30を誘導車両として用いる構成であってもよい。すなわち、例えば、第1クロスドックA1から第2クロスドックA2へ荷物Wを輸送する輸送車両10の運行計画(出発時刻)は、バス30を誘導車両として用いることができるように予め定められていてもよい。
【0062】
輸送車両10は、予め定められた運行計画の出発時刻に従って第1クロスドックA1を出発する構成でなくてもよい。例えば、輸送車両10は、第2クロスドックA2へ輸送すべき荷物Wが予め定められた量以上第1クロスドックA1に集まった場合に、第1クロスドックA1を出発する構成であってもよい。この場合、運行管理システム1は、荷物Wの形状及び重量等に基づいて、輸送に使用する輸送車両10の必要台数を決定してもよい。
【0063】
輸送車両10は、クロスドックA間において荷物Wを輸送したが、クロスドックAに限定されずクロスドックA以外の他の施設間において荷物Wを輸送してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…運行管理システム、10…輸送車両、10A…誘導車両、11…荷物情報取得部、12…台数決定部、13…運行計画取得部、14…誘導車両決定部、15…出力部、30…バス(定期運行車両、誘導車両)、A1…第1クロスドック(第1地点)、A2…第2クロスドック(第2地点)、W…荷物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7