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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】作業計画システムおよび作業計画方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20230706BHJP
【FI】
G06Q50/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019137634
(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公開番号】P2021022106
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鴨志田 亮太
(72)【発明者】
【氏名】近藤 昌晴
(72)【発明者】
【氏名】井上 孝志
(72)【発明者】
【氏名】小牟田 治
【審査官】石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-120342(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187482(WO,A1)
【文献】特開2006-155366(JP,A)
【文献】特開2006-323784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、前記プロセッサに接続される記憶媒体と、を有する作業計画システムであって、
前記プロセッサは、
作業計画が満たすべき制約条件が入力されると、前記制約条件を前記記憶媒体に格納し、
前記制約条件を緩和する場合の変動量を含む緩和条件が入力されると、前記緩和条件を前記記憶媒体に格納し、
前記制約条件は、作業終了時刻を含み、
前記緩和条件は、前記変動量として、作業終了時刻の変動の刻み幅を含み、
前記作業終了時刻の変動の刻み幅が、作業の成果物を出荷する輸送手段が作業場所を出発する間隔より小さい場合、前記輸送手段が作業場所を出発する間隔を前記作業終了時刻の変動の刻み幅として設定し、
前記制約条件に基づいて前記作業計画を生成し、
前記制約条件を満たす作業計画を生成できない場合、前記変動量だけ前記制約条件を緩和し、
前記制約条件が満たされるように、前記作業計画の生成及び前記制約条件の緩和を繰り返すことを特徴とする作業計画システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業計画システムであって、
前記変動量は、前記作業計画を生成する際に設定可能な変動量の最小値より大きいことを特徴とする作業計画システム。
【請求項3】
請求項1に記載の作業計画システムであって、
前記プロセッサは、前記制約条件を満たす作業計画を生成できない場合に、前記制約条件が満たされないことを示す通知を出力することを特徴とする作業計画システム。
【請求項4】
請求項1に記載の作業計画システムであって、
前記プロセッサは、
前記変動量の複数の候補を出力し、
前記複数の候補のいずれかが選択された場合に、選択された変動量を含む前記緩和条件を前記記憶媒体に格納することを特徴とする作業計画システム。
【請求項5】
プロセッサと、前記プロセッサに接続される記憶媒体と、を有する作業計画システムが実行する作業計画方法であって、
前記プロセッサが、作業計画が満たすべき制約条件が入力されると、前記制約条件を前記記憶媒体に格納する第1手順と、
前記プロセッサが、前記制約条件を緩和する場合の変動量を含む緩和条件が入力されると、前記緩和条件を前記記憶媒体に格納する第2手順と、を含み、
前記制約条件は、作業終了時刻を含み、
前記緩和条件は、前記変動量として、作業終了時刻の変動の刻み幅を含み、
前記作業終了時刻の変動の刻み幅が、作業の成果物を出荷する輸送手段が作業場所を出発する間隔より小さい場合、前記輸送手段が作業場所を出発する間隔が前記作業終了時刻の変動の刻み幅として設定され、
前記作業計画方法は、さらに、
前記プロセッサが、前記制約条件に基づいて前記作業計画を生成する第3手順と、
前記プロセッサが、前記制約条件を満たす作業計画を生成できない場合、前記変動量だけ前記制約条件を緩和する第4手順と、を含み、
前記プロセッサは、前記制約条件が満たされるように、前記第3手順及び前記第4手順を繰り返し実行することを特徴とする作業計画方法。
【請求項6】
請求項5に記載の作業計画方法であって、
前記変動量は、前記作業計画を生成する際に設定可能な変動量の最小値より大きいことを特徴とする作業計画方法。
【請求項7】
請求項5に記載の作業計画方法であって、
前記プロセッサが、前記制約条件を満たす作業計画を生成できない場合に、前記制約条件が満たされないことを示す通知を出力する手順を含むことを特徴とする作業計画方法。
【請求項8】
請求項5に記載の作業計画方法であって、
前記第2手順において、前記プロセッサは、
前記変動量の複数の候補を出力し、
前記複数の候補のいずれかが選択された場合に、選択された変動量を含む前記緩和条件を前記記憶媒体に格納することを特徴とする作業計画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業計画システムおよび作業計画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業計画システムとして、例えば、特許文献1(特開平9-91353号公報)には、「制約条件を最も緩和した最低のレベルから制約条件を最も厳しくした最高のレベルまでの複数のレベルを設けると共に、制約条件として適当な複数の候補を出力すると共に、外部からの指示に基づいて1つのレベルの制約条件を最適なレベルとして上記複数の制約条件の候補の中から選択する制約条件選択手段と、上記制約条件選択手段から出力された1つのレベルの制約条件を入力して記憶する制約条件一時記憶手段と、上記制約条件一時記憶手段に記憶された制約条件を満足するように割り当てを行なう要求ジョブ割当手段とを備えたことを特徴とする生産計画装置」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-91353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
倉庫または工場などでは、在庫品、生産品または荷主の変化などの外的要因の変動が起こり得る。このような変動が起こった際に、作業計画を行う際の制約をどのように緩和すべきかは変わり得るが、特許文献1ではこの点を考慮していない。
【0005】
そこで、本発明は、作業計画システムにおいて、外的要因の変動などの際に、都度適した制約緩和条件を設定し作業計画を生成するための作業計画システムおよびその方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
係る課題を解決するため、本発明は、プロセッサと、前記プロセッサに接続される記憶媒体と、を有する作業計画システムであって、前記プロセッサは、作業計画が満たすべき制約条件が入力されると、前記制約条件を前記記憶媒体に格納し、前記制約条件を緩和する場合の変動量を含む緩和条件が入力されると、前記緩和条件を前記記憶媒体に格納し、前記制約条件は、作業終了時刻を含み、前記緩和条件は、前記変動量として、作業終了時刻の変動の刻み幅を含み、前記作業終了時刻の変動の刻み幅が、作業の成果物を出荷する輸送手段が作業場所を出発する間隔より小さい場合、前記輸送手段が作業場所を出発する間隔を前記作業終了時刻の変動の刻み幅として設定し、前記制約条件に基づいて前記作業計画を生成し、前記制約条件を満たす作業計画を生成できない場合、前記変動量だけ前記制約条件を緩和し、前記制約条件が満たされるように、前記作業計画の生成及び前記制約条件の緩和を繰り返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、外的要因の変動などの際に、都度適した制約緩和条件を設定し作業計画を生成する作業計画システムおよびその方法の提供を実現できる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の作業計画システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施例1の作業計画システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】実施例1の作業計画システムの処理を示すフローチャートである。
図4】実施例1の作業情報の一例を示す説明図である。
図5】実施例1の緩和条件の一例を示す説明図である。
図6】実施例1の作業計画評価の一例を示す説明図である。
図7】実施例2の緩和条件設定手段による緩和条件設定の一例の説明図である。
図8】実施例2の作業計画生成手段による通知の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
以下に、本発明に係る作業計画システムの実施例1を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、実施例1の作業計画システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、実施例1の作業計画システム100は、作業情報設定手段101、緩和条件設定手段102、作業計画生成手段103、制約条件緩和手段104、作業計画評価手段105、入力手段106及び出力手段107を有する。
【0012】
図2は、実施例1の作業計画システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0013】
実施例1の作業計画システム100は、プロセッサ201、メモリ202、記憶媒体203、入力装置204、出力装置205及び通信装置206からなる。
【0014】
プロセッサ201は、メモリ202に格納されたプログラムに従って、作業計画システム100を制御する。
【0015】
メモリ202は、例えば半導体メモリであり、プロセッサ201によって実行されるプログラム、プロセッサ201によって参照されるデータ、及びプロセッサ201が実行する処理の結果として取得されたデータ等を格納する。記憶媒体203に格納されたプログラム及びデータの少なくとも一部が、必要に応じてメモリ202にコピーされてもよいし、取得されたデータが必要に応じてメモリ202から記憶媒体203にコピーされてもよい。
【0016】
図2の例では、メモリ202に作業条件設定プログラム207、緩和条件設定プログラム208、作業計画生成プログラム209、制約条件緩和プログラム210及び作業計画評価プログラム211が格納される。これらは、それぞれ、図1に示した作業情報設定手段101、緩和条件設定手段102、作業計画生成手段103、制約条件緩和手段104及び作業計画評価手段105を実現するためのプログラムである。以下の説明において上記の各手段が実行する処理は、実際にはそれぞれに対応するプログラムに記述された命令に従って、プロセッサ201が実行する。これらのプログラムに従って実行される処理については後述する(図3等参照)。
【0017】
記憶媒体203は、例えばフラッシュメモリ又はハードディスクのような不揮発性の記憶媒体である。記憶媒体203に格納される作業情報400及び緩和条件500については後述する(図4図5参照)。
【0018】
入力装置204は、図1の入力手段106を実現する装置の一例であり、作業計画システム100の操作者からの入力を受ける。具体的には、入力装置204は、例えばキーボード、ボタン又はポインティングデバイス等を含んでもよい。例えば記憶媒体203に格納される作業情報400及び緩和条件500の少なくとも一部が入力装置204を介して入力されてもよい。
【0019】
出力装置205は、図1の出力手段107を実現する装置の一例であり、作業計画システム100の操作者に情報を出力する。具体的には、出力装置205は、例えば画像表示装置等を含んでもよい。例えばメモリ202に格納されたプログラムに従う処理の結果として生成された情報の少なくとも一部が出力装置205を介して出力されてもよい。
【0020】
通信装置206は、有線又は無線のネットワークを介して作業計画システム100と外部とのデータのやり取りを可能とするための装置であり、例えばLAN(Local Area Network)アダプタ等を含んでもよい。例えば記憶媒体203に格納される作業情報400及び緩和条件500の少なくとも一部が通信装置206を介して入力されてもよいし、メモリ202に格納されたプログラムに従う処理の結果として生成された情報の少なくとも一部が通信装置206を介して出力されてもよい。すなわち、図1の入力手段106及び出力手段107の少なくとも一部が通信装置206によって実現されてもよい。
【0021】
図3は、実施例1の作業計画システムの処理を示すフローチャートである。
【0022】
まず作業情報設定手段101は、入力手段106を通じて作業情報400の入力を受け付ける(ステップS301)。
【0023】
図4は、実施例1の作業情報400の一例を示す説明図である。
【0024】
図4の作業情報400は、時間帯ごとの作業人員数および作業終了時刻を含む制約条件401と、作業種別を示すアクティビティリスト情報402と、各アクティビティについて、利用できる機器数、作業者一人当たりの生産性、当該アクティビティの作業開始時刻、及び当該アクティビティの前後のアクティビティの情報を含むアクティビティ情報403を含む。
【0025】
図4には、アクティビティ情報の例として、カートピックに関するアクティビティ情報403のみを示しているが、実際には、作業情報400は、アクティビティリスト情報402に含まれるすべてのアクティビティについて、使用できるリソース量、生産性、作業開始時刻及びその前後のアクティビティ等に関するアクティビティ情報を含む。
【0026】
再び図3を参照する。次に、緩和条件設定手段102は、入力手段106を通じて緩和条件500の入力を受け付ける(ステップS302)。
【0027】
図5は、実施例1の緩和条件500の一例を示す説明図である。
【0028】
緩和条件500は、制約条件を緩和する際に適用される条件であり、緩和する制約の種別501と、緩和の限度値を示す制約緩和条件502と、制約条件を緩和する際の値の刻み幅である緩和条件変動量503の情報を含む。図5の例では、終了時刻を19時まで、30分ずつ緩和できることを示している。更に、作業人員の制約を、15時台、16時台および17時台のそれぞれにおいて、25人まで、1人ずつ緩和できることを示している。
【0029】
図4及び図5の例では、制約条件として作業人員及び作業終了時刻という二つの項目があり、それぞれに対応する緩和条件として上限値及び変動量が設定されているが、これらは一例であり、実際には他の制約条件及び緩和条件が設定されてもよい。また、設定される条件の項目の数は限定されない。
【0030】
また、緩和条件500は、図5に示すように複数の条件を含んでいる場合に、どの緩和条件を優先的に適用するか(言い換えるとどの制約条件を優先的に緩和するか)を示す情報を含んでもよい。図5の例では、緩和条件500の記載順序が優先順序を示している。すなわち、全ての制約条件を満たす作業計画が生成できない場合に、まず終了時刻が30分ごとに最大で19時まで緩和される。それでも全ての制約条件を満たす作業計画が生成できない場合には、17時台の人員が一人ずつ最大25人まで緩和される。それでも全ての制約条件を満たす作業計画が生成できない場合には、16時台の人員が一人ずつ最大25人まで緩和される。同様に、最終的には、15時台の人員が25人になるまで緩和することができる。
【0031】
これによって、例えば許容されやすい緩和、実現が容易な緩和などを優先的に適用して、最終的に受け入れられやすい作業計画を生成することができる。
【0032】
再び図3を参照する。次に、作業計画生成手段103は、入力された作業情報400及び緩和条件500に基づき作業計画を生成する(ステップS303)。作業計画の生成には公知の手法を用いることができる。例えば、スケジューリングをジョブショップスケジューリング問題として定式化し、Giffler&Thompsonのアルゴリズムにより有効なスケジュールを生成し、タブーサーチのような最適化アルゴリズムにより制約条件を満たす解を生成する手法が知られている。あるいは、制約理論に基づき、ある時間において最も能力の低い作業に優先的に人員を割り当てていくことでスケジュールを生成する手法が知られている。
【0033】
次に、作業計画評価手段105は、作業計画生成手段103が生成した作業計画の評価を行う(ステップS304)。
【0034】
図6は、実施例1の作業計画評価の一例を示す説明図である。
【0035】
作業計画生成手段103が生成した作業計画601(図6(a))は例えばガントチャートの形で表される。この例では、横軸が時刻となっており、制約条件として図4に示された各時間帯(例えば1時間ごと)の人員が上の枠内に表示され、作業の終了時刻(緩和前の状態では17:00)が太い破線によって表示されている。そして、各時間帯に各作業に割り当てられる人員が下の網掛けされた枠内に表示されている。
【0036】
出力手段107は生成した作業計画601を操作者に提示することができる。作業計画601は梱包作業の終了時刻が17時を過ぎているため、作業計画評価手段105は、作業計画601が制約条件401を満たしていないと判定する(図3のステップS305:No)。
【0037】
作業計画が制約条件を満たしていないと判定された場合、制約条件緩和手段104は制約条件を緩和する(ステップS306)。このとき、制約条件緩和手段104は、緩和条件500に基づき、初めに終了時刻制約を17時から17時30分に30分緩和する。
【0038】
次に、作業計画生成手段103は、緩和された制約条件に基づき新たな作業計画602(図6(b))を生成し(ステップS303)、作業計画評価手段105は、新たな作業計画602の評価を行う(ステップS304)。
【0039】
作業計画602は、終了時刻が17時という制約条件401を満たしていないため(ステップS305:No)、制約条件緩和手段104は、緩和条件500に基づき、次に、終了時刻制約を17時半から18時に30分緩和する(ステップS306)。そして作業計画生成手段103は、再び、緩和された制約条件に基づき新たな作業計画603(図6(c))を生成する(ステップS303)。作業計画603は全ての制約条件を満たすため(ステップS305:Yes)、作業計画システム100は作業計画の生成を終了する。
【0040】
仮に、制約条件の緩和条件変動量が1分であった場合、制約条件を満たす作業計画を生成するまでに何度も作業計画を生成する必要があり、そのために時間がかかる。ここで、作業計画システム100が適用される作業場所(例えば倉庫又は工場等)の作業終了時刻の制約が、作業の成果物(例えば仕分け等がされた荷物又は製造された製品等)を出荷する輸送手段(例えば配送業者のトラック)の当該作業場所からの出発時刻に拠るものであり、さらに配送業者のトラックの出発時刻が30分刻みである場合、1分ごとに制約条件を緩和する必要は無い。
【0041】
すなわち、仮に、作業計画システム100が1分刻みの作業計画を生成できる(言い換えると作業計画を設定する際に設定可能な変動量が1分である)場合であっても、それより大きい、トラックの出発時刻の刻み幅に基づく30分を緩和条件変動量として設定し、30分ごとに制約条件を緩和することで、不要な作業計画の生成が回避され、作業計画生成回数を削減することができる。
【0042】
更に、配送業者のトラックの出発時刻の間隔は、時間の経過によって(例えば配送業者のスケジュールの変更又は配送業者の交代等によって)変更になる場合があるが、緩和条件変動量が固定の場合は、変更に対応できない可能性がある。しかし、上記のように緩和条件変動量を設定可能とすることによって、トラックの出発時刻の間隔の変更にも柔軟に対応することができる。
【0043】
以上のように、本実施の形態の作業計画システム100では、緩和条件設定手段102が、制約条件と、その緩和条件変動量の入力を受け付け、作業計画生成手段103が生成した作業計画を、作業計画評価手段105が、制約条件を満たしていないと判断した場合に、制約条件緩和手段104が、制約条件を緩和条件変動量だけ緩和し、作業計画生成手段103が、緩和した制約条件に基づき新たな作業計画を生成することを繰り返すことで、倉庫や工場の外部要因が変動するような場合においても、緩和条件変動量を変更することで対応することができる。更に、緩和条件変動量を、作業計画システム100が設定し得る最小値よりも大きい値に設定することで、計算回数を削減することが可能となる。
【0044】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【実施例2】
【0045】
図7および図8を用いて、本発明に係る作業計画システムの実施例2について説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例2の作業計画システムの各部は、実施例1の同一の符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0046】
図7は、実施例2の緩和条件設定手段102による緩和条件設定の一例の説明図である。
【0047】
緩和条件設定手段102は、出力手段107を通じて操作者に緩和条件設定画面700を提示する。
【0048】
緩和条件設定画面700では、操作者は、入力手段106を通じて、緩和条件変動量をドロップダウンリスト701に示される複数の候補から選択することができる。緩和条件変動量を複数の候補から選択する手段はドロップダウンリストに限定されるものではなく、種々好適な手段を選択し得る。例えば操作者はリストボックスから緩和条件変動量の候補を選択しても良い。この選択は、例えば図3のステップS302において行われる。
【0049】
例えば、複数の運送業者のそれぞれでトラックの到着時刻の間隔が異なる場合に、それらの間隔をあらかじめ候補として登録しておくことで、その日に利用する運送業者に適合する間隔を緩和条件変動量として選択することが可能になる。また、当該作業計画システム100が使用される倉庫または工場等の運用上現実的な数値を緩和条件変動量の候補として登録しておくこともできる。これによって、不適切な変動量の設定が防止されるとともに、操作者の利便性が向上する。
【0050】
図8は、実施例2の作業計画生成手段103による通知の一例の説明図である。
【0051】
作業計画システム100は、緩和条件が設定された後、作業計画を生成し、作業計画が制約条件を満たしていない場合に、制約条件を緩和条件変動量だけ緩和したのちに、新たな作業計画を生成することを繰り返す。ここで、作業計画システム100の作業計画生成手段103が、全ての制約条件を満たす作業計画を生成することができなかった場合、出力手段107を通じて、作業計画出力画面800上に、制約条件を満たす作業計画を生成することができなかったことを操作者に通知するメッセージ801を出力する。通知の手段はメッセージボックスに限定されるものではなく、種々好適な手段を選択し得る。例えば作業計画システム100は、出力手段107と通じて、メールによって操作者に通知を行ってもよい。この通知は、例えば図3のステップS306において行われてもよい。
【0052】
以上のように、本実施の形態の作業計画システム100では、緩和条件設定手段102が、緩和条件変動量を複数の候補から選択する手段を提供することで、倉庫または工場の外部要因が変動するような場合において、操作者が簡便に緩和条件変動量を変更することを可能とする。更に、作業計画システム100が、制約条件を満たす作業計画を生成することができなかったときに、操作者に通知を行うことで、操作者は適宜対応を検討することが可能となる。
【0053】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0054】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0055】
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100……作業計画システム、101……作業情報設定手段、102……緩和条件設定手段、103……作業計画生成手段、104……制約条件緩和手段、105……作業計画評価手段、106……入力手段、107……出力手段、301……制約条件、302……アクティビティリスト情報、303……アクティビティ情報、400……緩和条件、501……作業計画、600……制約条件設定画面、700……作業計画出力画面、701……メッセージ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8