(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】動物用トイレ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
(21)【出願番号】P 2019172602
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-075151(JP,U)
【文献】特開2004-180571(JP,A)
【文献】特開2016-067329(JP,A)
【文献】特開2020-198799(JP,A)
【文献】特開2016-154522(JP,A)
【文献】特開2014-195776(JP,A)
【文献】特開2016-171785(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0297096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00 - 3/00
A01K 11/00 - 37/00
A01K 41/00 - 59/06
A01K 67/00 - 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部及び側面部を有する箱状の本体部と、
尿を通過させる孔を有し、前記本体部内を上下に区画する仕切部材と、
前記仕切部材を振動させる振動部と、を備え
、
前記仕切部材は、独立した1枚の板からなる板状をしていることを特徴とする動物用トイレ。
【請求項2】
請求項
1に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材は、前記本体部の前記側面部に固定されていない動物用トイレ。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の動物用トイレにおいて、
前記本体部は、前記側面部から当該本体部の内側に突出するように設けられた突出部を有し、
前記仕切部材は、前記突出部上に載置されている動物用トイレ。
【請求項4】
請求項1乃至
3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材は、前記本体部の前記側面部から離間している動物用トイレ。
【請求項5】
請求項
4に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材は、当該仕切部材の周囲全体が前記側面部から離間した状態で前記本体部内に配設可能である動物用トイレ。
【請求項6】
請求項1乃至
5の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材の周囲には、緩衝材が取り付けられている動物用トイレ。
【請求項7】
請求項
6に記載の動物用トイレにおいて、
前記緩衝材は、ゴムである動物用トイレ。
【請求項8】
請求項1乃至
7の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
撥水性を有し、前記仕切部材上に配設される複数の粒状体を備える動物用トイレ。
【請求項9】
請求項
8に記載の動物用トイレにおいて、
前記複数の粒状体は、第1の直径を有する第1の粒状体と、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2の粒状体とを含む動物用トイレ。
【請求項10】
請求項
9に記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の直径は、前記第1の直径の3分の1以下である動物用トイレ。
【請求項11】
請求項
10に記載の動物用トイレにおいて、
前記第2の直径は、前記第1の直径の15%以下である動物用トイレ。
【請求項12】
請求項
9乃至
11の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の直径は、5mm以上であり、
前記第2の直径は、3mm未満である動物用トイレ。
【請求項13】
請求項
9乃至
12の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記第1の粒状体及び前記第2の粒状体の全体に占める当該第1の粒状体及び当該第2の粒状体の重量割合をそれぞれP1及びP2としたとき、P1≧P2である動物用トイレ。
【請求項14】
請求項1乃至
13の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部材の下方に配設され、前記孔を通過した前記尿を吸収する吸水性シートを備える動物用トイレ。
【請求項15】
請求項
14に記載の動物用トイレにおいて、
前記吸水性シートが収容される引出部を備え、
前記本体部の前記側面部には、開口が形成されており、
前記引出部は、前記開口を通じて前記本体部に対して抜き挿しすることが可能である動物用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用のトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動物用トイレとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載の動物用トイレは、箱状の本体部、及び本体部内に配された仕切部材(簀子)を備えている。仕切部材には、尿を通過させる貫通孔が形成されている。本体部の内部空間は、仕切部材により上下に区画されている。仕切部材上には、低吸水性を有する複数の粒状体が敷設されている。仕切部材の下方には、吸水性シートが配設されている。かかる動物用トイレにおいて、動物は、粒状体の上に直接乗った状態で排泄する。排泄された尿は、粒状体どうしの間、及び仕切部材の貫通孔を通過した後、吸水性シートに吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、仕切部材上に敷設される粒状体は、動物が排泄する際の足場となるものである。ところが、従来の動物用トイレにおいては、動物が乗ったときに粒状体が大きく沈み込み、それにより足場が不安定になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、動物が乗ったときの沈み込みを小さく抑えることができる動物用トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による動物用トイレは、底面部及び側面部を有する箱状の本体部と、尿を通過させる孔を有し、上記本体部内を上下に区画する仕切部材と、上記仕切部材を振動させる振動部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この動物用トイレにおいては、仕切部材を振動させる振動部が設けられている。複数の粒状体が敷設された状態で仕切部材を振動させることにより、粒状体にも振動を与えることができる。これにより、隣り合う粒状体間の隙間に他の粒状体が入り込みやすくなるため、複数の粒状体の密集度を高めることができる。このように複数の粒状体を高密度で敷き詰めることにより、動物が乗ったときの沈み込みを小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動物が乗ったときの沈み込みを小さく抑えることができる動物用トイレが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による動物用トイレの第1実施形態を示す端面図である。
【
図6】本体部10内に仕切部材12が配設された状態を示す平面図である。
【
図8】本発明による動物用トイレの第2実施形態を示す端面図である。
【
図9】仕切部材12の変形例を説明するための端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0011】
図1は、本発明による動物用トイレの第1実施形態を示す端面図である。動物用トイレ1は、本体部10、仕切部材12、振動部14、引出部16、複数の粒状体20、及び吸水性シート30を備えている。本体部10は、底面部10a及び側面部10bを有する箱状をしている。本実施形態において本体部10は、略直方体状をしている。本体部10の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂を用いることができる。
【0012】
仕切部材12は、板状をしており、底面部10aと平行に配置されている。仕切部材12は、全体的に厚みの等しい1枚の板からなる。仕切部材12は、本体部10(側面部10b)の上端及び後述する吸水性シート30の双方から離間した位置に設けられている。これにより、仕切部材12は、本体部10内を上下に区画している。すなわち、本体部10の内部空間は、仕切部材12によって、上部空間S1と下部空間S2とに区画されている。仕切部材12は、尿を通過させる孔13を有している。仕切部材12は、本体部10に対して着脱可能である。仕切部材12の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂を用いることができる。
【0013】
本体部10は、側面部10bから本体部10の内側に突出するように設けられた突出部10cを有している。突出部10cは、突起であってもよいし、突条であってもよい。突出部10cは、側面部10bと一体に成形されてもよいし、側面部10bと別々に成形された後に側面部10bに取り付けられてもよい。突出部10cの突出長さ(当該突出部10cが設けられた側面部10bの内面に垂直な方向の長さ)は、例えば10mm以上25mm以下である。仕切部材12は、突出部10c上に載置されている。すなわち、仕切部材12の周縁部が、突出部10cによって下から支持されている。
【0014】
振動部14は、仕切部材12を振動させる。振動部14は、電気を流すと振動する振動体を内蔵した筐体からなる。かかる振動体としては、例えば偏心モーターを用いることができる。振動部14は、仕切部材12に直接固定されている。本実施形態において振動部14は、仕切部材12の下面に固定されている。振動体を振動させるための電気は、振動部14に内蔵させた電池から供給してもよいし、配線を通じて外部電源から供給してもよい。振動のオン/オフの切替えや振動の強弱調整は、本体部10(例えば側面部10bの外面)に設けた操作パネルで操作できるようにしてもよいし、リモコンで操作できるようにしてもよい。
【0015】
引出部16は、側面部10bに形成された開口11を通じて、本体部10に対して抜き挿しすることが可能である。引出部16には、吸水性シート30が収容される。引出部16の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂を用いることができる。
【0016】
仕切部材12上には、複数の粒状体20が配設される。動物用トイレ1の使用時、粒状体20は、動物が排泄した尿を直接に受けることになる。粒状体20は、撥水性を有している。すなわち、粒状体20は、尿等の液体を全く吸収しないか、あるいは吸収するとしても殆ど吸収しない性質を有する。
【0017】
粒状体20が撥水性を有するというには、次の試験により測定される撥水率が80%以上であることが必要である。まず、茶こしに50g相当の複数の粒状体20(サンプル)を入れる。茶こしの下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、針のない注射器を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量(30ml)に対する割合をもって撥水率とする。すなわち、ビーカー内の水量が24ml以上であれば、撥水率が80%以上となるため、粒状体20が撥水性を有するといえる。参考として、市販されている一般的な吸水性の猫砂の撥水率は、5%程度である。
【0018】
粒状体20は、粒状に成形されている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、楕円体等が挙げられる。粒状体20の粒径は、例えば、5mm以上15mm以下である。ここで、粒径は、粒状体20を内包することが可能な最小の球の直径として定義される。粒状体20は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、主材料とは、粒状体20を構成する1又は2以上の材料のうち、当該粒状体20に占める重量割合が最大のものをいう。有機物としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。
【0019】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、パルプスラッジ等が挙げられる。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。これらの材料には、撥水処理が施されていてもよい。
【0020】
粒状体20を構成する材料は、1つのみであってもよいし、2つ以上であってもよい。前者の場合、粒状体20を構成する材料は、上述の主材料のみということになる。後者の場合、粒状体20は、主材料と他の材料との混合物によって構成されることになる。他の材料としては、例えば石膏が挙げられる。石膏を加えることにより、粒状体20の撥水性を高めることができる。石膏の量は、例えば、粒状体20の全体に対して5重量%以上15重量%以下である。
【0021】
粒状体20は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、造粒装置を用いて被造粒材料(粒状体20を構成する材料)を造粒することにより、粒状体20を構成する造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒物には、必要に応じて撥水処理を施してもよい。撥水処理は、例えば、造粒物の表面を撥水剤でコーティングすることにより行うことができる。撥水処理を行わない場合、造粒時に被造粒材料に加わる圧力を高めることにより、造粒物内に隙間が極力生じないようにすることが好ましい。かかる隙間は、粒状体20の内部に尿等の水分が浸入する経路となるからである。造粒に先立って、被造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。
【0022】
仕切部材12の下方には、吸水性シート30が配設される。本実施形態において吸水性シート30は、引出部16に収容された状態で本体部10内に配設されている。吸水性シート30は、仕切部材12の孔13を通過した尿を吸収する。
【0023】
続いて、動物用トイレ1の動作を説明する。動物用トイレ1の使用に先立って、仕切部材12上に複数の粒状体20を敷設する。その後、振動部14のスイッチをオンにすることにより、仕切部材12を振動させる。それにより、複数の粒状体20の密集度が次第に高まっていく。一定時間(例えば1分程度)が経過したら、振動部14のスイッチをオフにして、仕切部材12の振動を止める。動物用トイレ1の使用時、動物は、粒状体20上に乗って排泄を行う。粒状体20上に排泄された尿は、隣り合う粒状体20どうしの隙間を縫うように下方へと流れる。当該尿は、仕切部材12の孔13を通じて、上部空間S1から下部空間S2へと移動し、吸水性シート30に吸収される。このとき、動物が粒状体20上で動くことにより、粒状体20が荒らされる場合がある。そのため、動物用トイレ1の使用後にも、振動部14のスイッチをオンにして仕切部材12を振動させてもよい。それにより、複数の粒状体20の密集度を再び高められるとともに、複数の粒状体20からなる集合体の表面を均すことができる。
【0024】
以下、
図2~
図7を参照しつつ、動物用トイレ1の各部の構成を詳細に説明する。
図2、
図3及び
図4は、それぞれ、本体部10を示す端面図、正面図及び平面図である。
図2及び
図3に示すように、本体部10の側面部10bには、引出部16を抜き挿しするための開口11が形成されている。開口11は、底面部10aの近傍に位置し、横長の長方形状をしている。開口11の横方向(
図3の左右方向)の長さは、本体部10の内側の横幅に略等しく、例えば20~40cm程度である。開口11の縦方向(
図3の上下方向)の長さは、例えば2~5cm程度である。また、
図4に示すように、本実施形態において突出部10cは、平面視で側面部10bの内面の全周にわたって環状に設けられた突条からなる。
【0025】
図5は、仕切部材12を示す平面図である。仕切部材12には、複数の孔13が形成されている。孔13は、仕切部材12において、二次元的に配列されている。ただし、仕切部材12の中央部(平面視で振動部14と重なる部分)には、孔13が形成されていない。孔13は、尿を通過させる。ただし、孔13は、粒状体20は通過させない。すなわち、孔13は、尿を通過させる一方で、粒状体20を通過させない程度の大きさ及び形状をしている。孔13の径は、例えば2mm以上4mm以下である。
【0026】
図6は、本体部10内に仕切部材12が配設された状態を示す平面図である。仕切部材12は、本体部10の側面部10bから離間している。仕切部材12は、同図に示すように、その周囲全体が側面部10bから離間した状態で本体部10内に配設可能である。このとき、仕切部材12は、本体部10における突出部10cの上面にのみ接しており、本体部10の他の面には接していない。仕切部材12は、側面部10bに固定されていない。すなわち、仕切部材12は、突出部10c上に載置された状態のまま、側面部10bに対して(水平面内で)変位することが可能である。仕切部材12の周囲には、緩衝材が取り付けられていてもよい。緩衝材は、仕切部材12及び側面部10bの何れよりも柔らかい素材からなる。緩衝材としては、例えばゴムを用いることができる。
【0027】
図7は、引出部16を示す斜視図である。引出部16は、底板16a、前板16b、先板16c、及び一対の側板16dを有している。底板16aの大きさは、本体部10の底面部10aの大きさに略等しい。前板16bは、開口11と略同一の形状及び大きさをしている。前板16bには、把手17が取り付けられている。
【0028】
動物用トイレ1の効果を説明する。動物用トイレ1においては、仕切部材12を振動させる振動部14が設けられている。複数の粒状体20が敷設された状態で仕切部材12を振動させることにより、粒状体20にも振動を与えることができる。これにより、隣り合う粒状体20間の隙間に他の粒状体20が入り込みやすくなるため、複数の粒状体20の密集度を高めることができる。このように複数の粒状体20を高密度で敷き詰めることにより、動物が乗ったときの沈み込みを小さく抑えることができる。
【0029】
仕切部材12は、板状をしている。この場合、仕切部材12が箱状をしている場合に比して、仕切部材12を軽量化することができる。また、振動時に仕切部材12が側面部10bに接触したとしても、仕切部材12と側面部10bとの接触面積が小さくなるため、両者の間に生じる摩擦力も小さくなる。これらのことは、仕切部材12の振動に要する振動部14の消費電力の削減に資する。
【0030】
仕切部材12は、側面部10bに固定されていない。この場合、仕切部材12が側面部10bに固定されている場合に比して、振動時に仕切部材12が受ける抵抗が小さくなる。このことも、仕切部材12の振動に要する振動部14の消費電力の削減に資する。
【0031】
仕切部材12は、突出部10c上に載置されている。これにより、簡易な構造で、仕切部材12を側面部10bに固定することなく本体部10内の所定の位置(本体部10の上端及び吸水性シート30の双方から離間した位置)に留めることができる。
【0032】
仕切部材12は、側面部10bから離間している。この場合、仕切部材12が側面部10に接している場合に比して、振動時に仕切部材12が受ける抵抗を小さくすることができる。
【0033】
仕切部材12は、その周囲全体が側面部10bから離間した状態で本体部10内に配設可能である。この場合、仕切部材12の周囲の一部のみが側面部10bから離間している場合に比して、振動時に仕切部材12が受ける抵抗を小さくすることができる。
【0034】
仕切部材12の周囲に緩衝材が取り付けられている場合、振動時に仕切部材12が側面部10bに接触したとしても、それにより発生する騒音を小さく抑えることができる。
【0035】
仕切部材12の下方には、吸水性シート30が配設されている。これにより、本体部10内に溜まった尿を吸水性シート30内に閉じ込めることができる。このため、本体部10内に溜まった尿に起因する悪臭の発生を緩和することができる。
【0036】
動物用トイレ1には、本体部10に対して抜き挿しすることが可能な引出部16が設けられている。これにより、使用済みの吸水性シート30を新しいものと容易に交換することができる。
(第2実施形態)
【0037】
図8は、本発明による動物用トイレの第2実施形態を示す端面図である。動物用トイレ2は、本体部10、仕切部材12、振動部14、引出部16、複数の粒状体20、及び吸水性シート30を備えている。本体部10、仕切部材12、振動部14、引出部16及び吸水性シート30の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。
【0038】
本実施形態において複数の粒状体20は、粒状体22(第1の粒状体)及び粒状体24(第2の粒状体)を含んでいる。粒状体22,24は、相異なる直径を有している。すなわち、粒状体22は第1の直径を有し、粒状体24は第1の直径よりも小さい第2の直径を有している。第1及び第2の直径としては、例えば、第1の直径が5mm以上8mm未満、第2の直径が1mm以上3mm未満という組合わせが考えられる。第2の直径は、第1の直径の3分の1以下であることが好ましく、第1の直径の15%以下であることがより好ましい。
【0039】
このように、粒状体20は、相異なる直径を有する粒状体22,24が混合されてなる。ここで、粒状体22及び粒状体24の全体に占める粒状体22及び粒状体24の重量割合をそれぞれP1及びP2としたとき、P1≧P2であることが好ましい。つまり、粒状体22の重量割合が粒状体24の重量割合以上であることが好ましい。P1及びP2の値としては、例えば、P1が50%以上90%以下、P2が10%以上50%以下という組合わせが考えられる。動物用トイレ2のその他の構成は、動物用トイレ1と同様である。
【0040】
動物用トイレ2の効果を説明する。粒状体20は、相異なる直径を有する粒状体22及び粒状体24を含んでいる。この場合、粒状体22どうしの隙間に、比較的小さな直径を有する粒状体24を入り込ませることができる。このため、複数の粒状体20の密集度を一層高めることができる。また、粒状体22どうしの隙間に粒状体24が入り込むことにより、複数の粒状体20からなる集合体の表面(排泄時に動物が踏む面)には、主として粒状体22が露出する。このように比較的大きな直径を有する粒状体22が表面に露出することにより、粒状体20が動物の足裏に付着しにくくなるという利点がある。
【0041】
第2の直径(粒状体24の直径)が第1の直径(粒状体22の直径)の3分の1以下である場合、粒状体24が粒状体22どうしの隙間に入り込みやすくなる。第2の直径が第1の直径の15%以下である場合、粒状体24が粒状体22どうしの隙間に一層入り込みやすくなる。
【0042】
上述のとおり、粒状体22の直径を大きくした方が、粒状体22が動物の足裏に付着しにくくなる。かかる観点から、第1の直径は、5mm以上であることが好ましい。ただし、粒状体22の直径を大きくし過ぎると粒状体22の製造に支障が生じ得るため、第1の直径は8mm未満であることが好ましい。
【0043】
他方、粒状体24の直径を小さくすることにより、粒状体24が粒状体22どうしの隙間に入り込みやすくなる。かかる観点から、第2の直径は、3mm未満であることが好ましい。ただし、第2の直径を小さくし過ぎると粒状体24の製造に支障が生じ得るため、第2の直径は1mm以上であることが好ましい。
【0044】
複数の粒状体20からなる集合体の表面に露出する粒状体22の割合を大きくする観点から、粒状体22の重量割合(P1)及び粒状体24の重量割合(P2)が、P1≧P2の関係にあることが好ましい。ただし、粒状体24の重量割合が小さ過ぎると、粒状体22どうしの隙間を充分に埋められなくなってしまうため、P2の値は10%以上(P1の値が90%以下)であることが好ましい。動物用トイレ2のその他の効果は、動物用トイレ1と同様である。
【0045】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、仕切部材12が板状をしている場合を例示した。しかし、仕切部材12は、
図9に示すように、箱状をしていてもよい。同図において仕切部材12は、底面部12a及び側面部12bからなる箱状をしている。底面部12aの構成は、上記実施形態における板状の仕切部材12の構成と同様である。すなわち、上記実施形態における板状の仕切部材12は、
図9に示す仕切部材12から側面部12bを取り除いたものに相当する。
【0046】
粒状体20は、仕切部材12の底面部12a上に配設される。側面部12bの上端は、底面部12a上に配設された複数の粒状体20からなる集合体の表面よりも高い位置にあることが好ましい。孔13は、底面部12a及び側面部12bのうち底面部12aのみに設けられている。底面部12a及び側面部12bは、本体部10の側面部10bから離間している。仕切部材12は、その周囲全体(底面部12aの周囲全体及び側面部12bの外面全体)が側面部10bから離間した状態で本体部10内に配設可能である。このように仕切部材12を箱状にすることにより、振動時に粒状体20が仕切部材12から零れ落ちるのを防ぐことができる。
【0047】
上記実施形態においては、引出部16が設けられた場合を例示した。しかし、引出部16を設けることは必須でない。引出部16を設けない場合、吸水性シート30は、底面部10a上に直接配設される。その場合、当然ながら、側面部10bに開口11は設けられない。
【0048】
上記実施形態においては、本体部10内に吸水性シート30が配設される場合を例示した。しかし、本体部10内に吸水性シート30を配設することは必須でない。吸水性シート30を配設しない場合、引出部16も設けられない。
【符号の説明】
【0049】
1 動物用トイレ
2 動物用トイレ
10 本体部
10a 底面部
10b 側面部
10c 突出部
11 開口
12 仕切部材
12a 底面部
12b 側面部
13 孔
14 振動部
16 引出部
17 把手
20 粒状体
22 粒状体(第1の粒状体)
24 粒状体(第2の粒状体)
30 吸水性シート
S1 上部空間
S2 下部空間