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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】受取りボックス
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/02 20060101AFI20230706BHJP
   E05C 1/04 20060101ALI20230706BHJP
   A47G 29/124 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
E05B65/02 A
E05C1/04 B
A47G29/124
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019173944
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021050525
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000230607
【氏名又は名称】日本化学産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 功
(72)【発明者】
【氏名】折野 大河
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-100494(JP,A)
【文献】特開平06-278760(JP,A)
【文献】特開平06-058027(JP,A)
【文献】特開2002-309819(JP,A)
【文献】特開2018-202052(JP,A)
【文献】特開2003-016522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 65/00
E05B 65/02
A47G 29/124
A47G 29/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を受け取る受取りボックスであって、
物品を収容するボックス本体と、
前記ボックス本体に対して開閉可能に設けられた第1の扉と、
前記第1の扉と対向して前記ボックス本体に対して開閉可能に設けられた第2の扉と、
前記ボックス本体に対して前記第1の扉と前記第2の扉との間を移動可能に設けられた移動部材と、
前記移動部材を前記第1の扉側に付勢する付勢手段と、
前記第2の扉に設けられ、前記第2の扉を閉じた状態で前記付勢手段の付勢力に抗して前記移動部材を吸着する吸着手段と、
前記第1の扉に設けられたプッシュ錠と、
前記ボックス本体に設けられ、前記プッシュ錠のスライド軸が挿通される受座と、
を有し、
前記スライド軸は、
小径部と、
前記小径部よりも大きな大径部と、
を有し、
前記受座は、
前記スライド軸が挿通される受穴と、
前記受穴に連続して前記スライド軸の小径部が通過し得る開口であって前記大径部が通過し得ない開口と、
を有し、
前記第2の扉を閉じた状態で前記吸着手段が前記移動部材を吸着し、前記第1の扉を閉じた状態で前記プッシュ錠のスライド軸を押し込むと、前記大径部が前記受穴の位置に移動して前記第1の扉が施錠され、
前記第2の扉を開いて前記吸着手段による前記移動部材の吸着力が弱まると、前記付勢手段の付勢力により前記移動部材が前記第1の扉側に移動し、前記移動部材が前記プッシュ錠の解錠ボタンを押圧して前記スライド軸の小径部が前記受穴の位置に移動し、前記小径部が前記開口を通過できる状態となって前記第1の扉が解錠されることを特徴とする受取りボックス。
【請求項2】
前記吸着手段は、マグネットキャッチにより構成され、
前記移動部材は、前記マグネットキャッチに対向する少なくとも一部が磁性体により構成されることを特徴とする請求項1に記載の受取りボックス。
【請求項3】
前記第1の扉は、道路側に設けられ、
前記第2の扉は、建物側に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の受取りボックス。
【請求項4】
前記ボックス本体は、支柱に設けられたことを特徴とする請求項3に記載の受取りボックス。
【請求項5】
前記ボックス本体は、内部が複数の室に区画され、
前記各室に対応して前記第1の扉と、前記プッシュ錠と、前記受座と、前記移動部材と、前記付勢手段とがそれぞれ設けられ、
前記第2の扉を閉じた状態で前記吸着手段が前記各室に対応する前記移動部材をそれぞれ吸着し、前記各室に対応する前記第1の扉をそれぞれ閉じた状態で前記各室に対応する前記プッシュ錠のスライド軸をそれぞれ押し込むと、前記各室に対応する前記大径部が前記各室に対応する受穴の位置に移動して前記各室に対応する前記第1の扉がそれぞれ施錠され、
前記第2の扉を開いて前記吸着手段による前記各室に対応する前記移動部材の吸着力がそれぞれ弱まると、前記各室に対応する前記付勢手段の付勢力により前記各室に対応する前記移動部材が前記各室に対応する前記第1の扉側にそれぞれ移動し、前記各室に対応する前記移動部材が前記各室に対応する前記プッシュ錠の解錠ボタンを押圧して前記各室に対応する前記スライド軸の小径部が前記各室に対応する前記受穴の位置にそれぞれ移動し、前記各室に対応する前記小径部が前記各室に対応する前記開口を通過できる状態となって前記各室に対応する前記第1の扉がそれぞれ独立して解錠されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の受取りボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種配達物等の物品を受け取る受取りボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配達業者により配達された荷物を無人で受取り可能にした受取りボックスが知られている。特許文献1では、配達員が扉を開けてボックス内に荷物を収容し、扉を閉じてプッシュ錠により施錠する。扉を解錠する際には、荷受人がプッシュ錠の鍵穴に鍵を差し込んで解錠するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-202052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、ボックスの道路側にしか扉が設けられていないため荷受人は、道路側に一旦出てからでないと荷物を取り出すことができないという問題があった。また、扉を解錠する際には、荷受人がプッシュ錠の鍵穴に鍵を差し込んで解錠する必要があったため鍵を必要としていた。
【0005】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、第1の扉側から入れた物品を第2の扉側から取り出すことができ、第2の扉を開ける動作により第1の扉を解錠することができる受取りボックスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明に係る受取りボックスの代表的な構成は、物品を受け取る受取りボックスであって、物品を収容するボックス本体と、前記ボックス本体に対して開閉可能に設けられた第1の扉と、前記第1の扉と対向して前記ボックス本体に対して開閉可能に設けられた第2の扉と、前記ボックス本体に対して前記第1の扉と前記第2の扉との間を移動可能に設けられた移動部材と、前記移動部材を前記第1の扉側に付勢する付勢手段と、前記第2の扉に設けられ、前記第2の扉を閉じた状態で前記付勢手段の付勢力に抗して前記移動部材を吸着する吸着手段と、前記第1の扉に設けられたプッシュ錠と、前記ボックス本体に設けられ、前記プッシュ錠のスライド軸が挿通される受座と、を有し、前記スライド軸は、小径部と、前記小径部よりも大きな大径部と、を有し、前記受座は、前記スライド軸が挿通される受穴と、前記受穴に連続して前記スライド軸の小径部が通過し得る開口であって前記大径部が通過し得ない開口と、を有し、前記第2の扉を閉じた状態で前記吸着手段が前記移動部材を吸着し、前記第1の扉を閉じた状態で前記プッシュ錠のスライド軸を押し込むと、前記大径部が前記受穴の位置に移動して前記第1の扉が施錠され、前記第2の扉を開いて前記吸着手段による前記移動部材の吸着力が弱まると、前記付勢手段の付勢力により前記移動部材が前記第1の扉側に移動し、前記移動部材が前記プッシュ錠の解錠ボタンを押圧して前記スライド軸の小径部が前記受穴の位置に移動し、前記小径部が前記開口を通過できる状態となって前記第1の扉が解錠されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1の扉側から入れた物品を第2の扉側から取り出すことができ、第2の扉を開ける動作により第1の扉を解錠することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は、本発明に係る受取りボックスを建物側から見た斜視図である。(b)は、本発明に係る受取りボックスを道路側から見た斜視図である。(c)は、本発明に係る受取りボックスの一部を鉛直方向に切断して内部を見せた斜視図である。
図2】施錠状態の受取りボックスを水平方向に切断して見せた断面図である。
図3図2のマグネットキャッチの周辺の構成を示す部分拡大図である。
図4図2のプッシュ錠の周辺の構成を示す部分拡大図である。
図5】施錠状態の受取りボックスを鉛直方向に切断して見せた断面図である。
図6図5の受座の周辺の構成を示す部分拡大図である。
図7】解錠状態の受取りボックスを水平方向に切断して見せた断面図である。
図8図7のマグネットキャッチの周辺の構成を示す部分拡大図である。
図9図7のプッシュ錠の周辺の構成を示す部分拡大図である。
図10】解錠状態の受取りボックスを鉛直方向に切断して見せた断面図である。
図11図10の受座の周辺の構成を示す部分拡大図である。
図12】(a)は、ボックス本体が支柱に設けられた一例を示す斜視図である。(b)は、ボックス本体の内部が複数の室に区画されている場合の一例を示す断面図である。
図13】(a)~(c)は、ボックス本体が他の支持フレームに設けられた一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図により本発明に係る受取りボックスの一実施形態を具体的に説明する。
【0010】
図1乃至図11において、各種配達物等の物品を受け取る受取りボックス1は、方形筒状のボックス本体2が設けられている。ボックス本体2の内部には、各種配達物等の物品が収容される。図2に示すように、ボックス本体2に対してヒンジ4を介して内扉としての扉3が開閉可能に設けられている。扉3の外側には、ボックス本体2に対してヒンジ5を介して外扉としての扉6が開閉可能に設けられている。扉3,6は、二重扉として構成され、道路側に設けられる。
【0011】
扉3,6と対向してボックス本体2の反対側には、ボックス本体2に対してヒンジ8を介して扉7が開閉可能に設けられている。扉7は、建物側に設けられている。図1(a)に示すように、扉7の中央部には、縦方向に長い透明な覗き窓7bが設けられている。また、扉7には、扉7をボックス本体2に対して施錠可能なダイヤル錠25が設けられている。
【0012】
尚、受取りボックス1の他の設置構成としては、住宅等の建物の敷地の境界に設けられる図示しない門扉や壁等を貫通してボックス本体2を設けることでも良い。このときは、扉3,6は、各種配達物等の物品を配達する配達人がアクセスする図示しない門扉や壁等の外側である道路側に設けられる。
【0013】
一方、扉7は、受取りボックス1内に収容された各種配達物等の物品を受け取る受取人がアクセスする図示しない門扉や壁等の内側である建物側に設けられる。
【0014】
図2に示すように、ボックス本体2の内部には、ガイド部材9,10によりボックス本体2に対して扉3と扉7との間を移動可能に設けられた移動部材11が設けられている。各ガイド部材9,10には、移動部材11の外径よりも大きな貫通穴9a,10aが設けられており、この貫通穴9a,10a内を移動部材11が摺動して扉3と扉7との間を移動することができる。
【0015】
図3に示すように、移動部材11の扉7側の外周面には、付勢手段としてのコイルバネ12が嵌装されている。コイルバネ12の一端部は、移動部材11の溝部11aに嵌入されたEリング13により係止されている。コイルバネ12の他端部は、ボックス本体2のフレーム16に当接している。コイルバネ12は、移動部材11を常時、扉3側に付勢する。
【0016】
扉7には、移動部材11を吸着する吸着手段としてのマグネットキャッチ14が設けられている。移動部材11は、マグネットキャッチ14に対向する少なくとも一部が磁性体により構成される。本実施形態の移動部材11は、鉄やステンレス製の軸体により構成された一例である。尚、移動部材11としては、シャフトなどの中実の軸体やパイプなどの中空の軸体が適用できる。また、移動部材11としては、軸体以外に板状部材であっても良い。また、移動部材11の全体が鉄やステンレス等の磁性体で構成されても良いし、移動部材11のマグネットキャッチ14に対向する一部のみが磁性体で構成されていても良い。マグネットキャッチ14は、図3に示すように、扉7を閉じた状態で、コイルバネ12の伸張力(付勢力)に抗して移動部材11を吸着する。
【0017】
<プッシュ錠>
図4に示すように、扉3には、プッシュ錠15が設けられている。プッシュ錠15には、断面ハット型のハウジング23が設けられている。ハウジング23の天板23aには、解錠ボタン21a1が突出し得る方形状の貫通穴23a1が設けられている。天板23aの両側には、天板23aに直交する側板23b,23cが設けられている。各側板23b,23cに設けられた貫通穴23b1,23c1にスライド軸17が軸線方向に移動可能に挿通されている。
【0018】
ハウジング23の内部には、断面略コ字形状の係止部材21が設けられている。係止部材21には、外側に突出した解錠ボタン21a1が設けられる支持片21aと、支持片21aに対して所定の角度傾斜して設けられ、スライド軸17が挿通可能な貫通穴21b1を有する付勢片21bと、支持片21aに対して所定の角度傾斜して設けられ、スライド軸17が挿通可能な貫通穴21c1を有する係止片21cと、が設けられている。スライド軸17の外周で付勢片21bと係止片21cとの間には付勢部材としてのコイルバネ22が嵌装されている。コイルバネ22の一端部は、係止片21c側に設けられた段部17cに当接し、コイルバネ22の他端部は、付勢片21bに当接している。コイルバネ22の伸長力により付勢片21bの端部21b2が側板23cに当接している。係止部材21の支持片21aに突出して設けられた解錠ボタン21a1に対向して中継部材24の舌片24aが設けられている。中継部材24は、断面ハット型で構成され、その天片の両端部で一対の側片との接続部の一部に中継部材24の長手方向に沿って一対の切欠きを設けて片持ち梁状の舌片24aが形成されている。
【0019】
外扉である扉6を開けると、内扉である扉3の側面3aにプッシュ錠15のスライド軸17の先端部に設けられた大径部としてのプッシュボタン17aが露出する。プッシュボタン17aの外径D1は、スライド軸17の小径部としての本体部17bの外径D2よりも大きい。
【0020】
一方、ボックス本体2には、図4乃至図6及び図9乃至図11に示す受座20が設けられている。本実施形態の受座20は、ガイド部材9と一体的に設けた一例であるが、受座20とガイド部材9とを別部材で構成することもできる。図6及び図11に示すように、受座20には、プッシュ錠15のスライド軸17が挿通される受穴20aと、受穴20aに連続する開口20bが設けられている。開口20bの幅Wは、図11に示すスライド軸17の小径部としての本体部17bの外径D2よりも大きく、図6に示すスライド軸17の大径部としてのプッシュボタン17aの外径D1よりも小さい。このため開口20bは、スライド軸17の小径部としての本体部17bは通過し得るが、大径部としてのプッシュボタン17aは通過できないように構成されている。
【0021】
<プッシュ錠の施錠>
図4は、プッシュボタン17aを矢印a1方向に押圧してプッシュ錠15を施錠した状態を示す。図9に示すプッシュ錠15の解錠状態から扉3の側面3aに露出しているプッシュボタン17aをコイルバネ22の伸長力に抗して図4に示す矢印a1方向に押圧すると、係止部材21の付勢片21bがコイルバネ22に押されて、付勢片21bの端部21b2が側板23cに当接した位置を支点として、係止部材21には、矢印b方向に回転しようとする回転モーメントが作用する。これにより解錠ボタン21a1がハウジング23の天板23aに設けられた貫通穴23a1から図4の上方に突出する。また、係止片21cの貫通穴21c1の周縁部21c2がスライド軸17の外周面上を摺動した後、スライド軸17に設けられた溝部17d内に嵌入する。これによりスライド軸17の軸線方向の位置がハウジング23に対して固定される。
【0022】
図4及び図6に示すようにプッシュボタン17aを矢印a1方向に押圧して係止片21cの貫通穴21c1の周縁部21c2がスライド軸17に設けられた溝部17d内に嵌入してスライド軸17の軸線方向の位置がハウジング23に対して固定された状態では、プッシュボタン17aが受座20の受穴20aの位置に移動してプッシュボタン17aが開口20bを通過できないためプッシュ錠15は施錠した状態となる。このとき扉3に設けられたプッシュボタン17aがボックス本体2に設けられた受座20により係止されて扉3が施錠される。
【0023】
<プッシュ錠の解錠>
図9に示すように、移動部材11が矢印c方向に移動して移動部材11の端部11bが中継部材24の舌片24aを押圧すると、コイルバネ22の伸長力により係止部材21を付勢片21bの端部21b2を支点として矢印b方向に回転させようとする回転モーメントに抗して舌片24aにより解錠ボタン21a1が押圧される。すると、係止部材21の係止片21cの貫通穴21c1の周縁部21c2がスライド軸17の溝部17dから脱離してコイルバネ22の伸長力によりスライド軸17が矢印a2方向に移動し、スライド軸17の溝部17eに嵌合して係止されたEリング26が側板23bに当接してスライド軸17の軸線方向の位置がハウジング23に対して固定される。
【0024】
図9及び図11に示すようにスライド軸17が矢印a2方向に移動してEリング26が側板23bに当接してスライド軸17の軸線方向の位置がハウジング23に対して固定された状態では、スライド軸17の本体部17bが受座20の受穴20aの位置に移動して本体部17bが開口20bを通過できる。これによりプッシュ錠15は解錠した状態となる。このとき扉3を開くと、扉3に設けられたスライド軸17の本体部17bがボックス本体2に設けられた受座20の受穴20aの開口20bを通過して扉3が解錠される。
【0025】
<ダイヤル錠の施錠>
図2及び図3に示す建物側の扉7にはダイヤル錠25が設けられている。ダイヤル錠25を施錠する場合には、扉7を閉じた状態で、摘み25bを回動軸25dを中心に回転させて係止アーム25cを回動軸25dを中心に回動させる。そして、ボックス本体2に設けられた係止部材27を貫通して設けられた長穴27aと、扉7のフレーム7aに設けられた長穴7a1内の両方に係止アーム25cが入り込むことにより扉7が施錠され、ダイヤル25aをアトランダムに回転させて扉7の施錠が完了する。
【0026】
<ダイヤル錠の解錠>
ダイヤル錠25を解錠する場合には、ダイヤル25aを回転させて予め設定した暗証番号に合わせた後、摘み25bを回動軸25dを中心に回転させて係止アーム25cを回動軸25dを中心に回動させる。そして、ボックス本体2に設けられた係止部材27を貫通して設けられた長穴27aと、扉7のフレーム7aに設けられた長穴7a1内の両方に入り込んでいた係止アーム25cを各長穴27a,7a1から退避させることにより扉7が解錠される。
【0027】
<扉3の施錠>
図2に示すように、建物側の扉7を閉じた状態では、図3に示すように、扉7に設けられたマグネットキャッチ14がコイルバネ12の伸張力に抗して移動部材11を吸着している。このとき、図4に示す移動部材11のマグネットキャッチ14とは反対側の端部11bは、解錠ボタン21a1に対向して設けられた中継部材24の舌片24aから離れた位置にある。
【0028】
配達人がボックス本体2内に荷物を収容する場合には、図2に示す道路側の外扉である扉6を開き、予め受取人が建物側の扉7を開くことで、図9に示すように、解錠されている状態の内扉である扉3を開いてボックス本体2内に荷物を収容した後、扉3を閉じた状態で、図9に示す扉3の側面3aに露出しているプッシュボタン17aをコイルバネ22の伸長力に抗して図4に示す矢印a1方向に押圧する。
【0029】
尚、図9では、移動部材11の端部11bが中継部材24の舌片24aを介して解錠ボタン21a1を押圧している状態を示しているが、受取人が建物側の扉7を開くと、図9に示すように、プッシュ錠15は、扉3を解錠した状態が維持され、受取人がボックス本体2内の荷物を取り出した後、建物側の扉7を閉じると、移動部材11のみがマグネットキャッチ14に吸着されて図4に示すように移動部材11の端部11bが中継部材24の舌片24aから離れた位置に復帰した状態を維持している。
【0030】
前述したように、プッシュ錠15のプッシュボタン17aを押圧してスライド軸17を矢印a1方向に押し込むと、図4乃至図6に示すように、大径部としてのプッシュボタン17aが受座20の受穴20aの位置に移動して扉3が施錠される。
【0031】
<扉3の解錠>
受取人がボックス本体2内に収容されている荷物を取り出す際には、図2及び図3に示す建物側の扉7に設けられたダイヤル錠25のダイヤル25aを回転させて予め設定した暗証番号に合わせた後、摘み25bを回動軸25dを中心に回転させて係止アーム25cを回動軸25dを中心に回動させる。そして、ボックス本体2に設けられた係止部材27を貫通して設けられた長穴27aと、扉7のフレーム7aに設けられた長穴7a1内の両方に入り込んでいた係止アーム25cを退避させて扉7を解錠する。
【0032】
図7及び図8に示すように、受取人が建物側の扉7を開いて、扉7に設けられたマグネットキャッチ14による移動部材11の吸着力が弱まると、コイルバネ12の付勢力により移動部材11が矢印c方向で示す扉3側に移動する。そして、図9に示すように、移動部材11の端部11bが中継部材24の舌片24aを押圧し、舌片24aがプッシュ錠15の解錠ボタン21a1を押圧し、図9乃至図11に示すように、スライド軸17の小径部としての本体部17bが受穴20aの位置に移動し、本体部17bが開口20bを通過できる状態となって扉3が解錠される。
【0033】
<変形例1>
図12(a)は、ボックス本体2が支柱28に支持された一例を示す。
【0034】
<変形例2>
前記実施形態では、ボックス本体2の内部が一つの室29で構成された一例であるが、変形例2として、図12(b)に示すように、ボックス本体2は、内部が複数の室29a,29bに区画された場合にも適用可能である。各室29a,29bに対応して道路側の扉3,6と、各扉3に設けられたプッシュ錠15と、ボックス本体2の各室29a,29bに設けられた受座20と、各室29a,29bの扉3と扉7との間を移動可能に設けられた移動部材11と、各室29a,29bの移動部材11を各室29a,29bの扉3側に向かって常時付勢するコイルバネ12(付勢手段)とがそれぞれ設けられている。
【0035】
そして、建物側に設けられた一つの扉7を閉じた状態でマグネットキャッチ14(吸着手段)が各室29a,29bに対応する移動部材11をそれぞれ吸着し、各室29a,29bに対応する扉3をそれぞれ閉じた状態で各室29a,29bに対応するプッシュ錠15のスライド軸17をそれぞれ押し込むと、各室29a,29bに対応するプッシュボタン17a(大径部)が各室29a,29bに対応する受穴20aの位置に移動して各室29a,29bに対応する扉3がそれぞれ施錠される。また、建物側に設けられた一つの扉7を開いてマグネットキャッチ14による各室29a,29bに対応する移動部材11の吸着力がそれぞれ弱まると、各室29a,29bに対応するコイルバネ12(付勢手段)の付勢力により各室29a,29bに対応する移動部材11が各室29a,29bに対応する扉3側にそれぞれ移動し、各室29a,29bに対応する移動部材11が各室29a,29bに対応する中継部材24の舌片24aを介して各室29a,29bに対応するプッシュ錠15の解錠ボタン21a1を押圧して各室29a,29bに対応するスライド軸17の本体部17b(小径部)が各室29a,29bに対応する受穴20aの位置にそれぞれ移動し、各室29a,29bに対応する本体部17bが各室29a,29bに対応する開口20bを通過できる状態となって各室29a,29bに対応する扉3がそれぞれ独立して一斉に解錠される。受取人が建物側に設けられた一つの扉7を開くと、各室29a,29bに対応する扉3が一斉に解錠されるため各室29a,29bに対応する扉3の解錠操作が容易にできる。
【0036】
尚、ボックス本体2は、内部が他の複数の室29に区画された場合にも適用可能である。また、複数の室29に対応して扉7、ダイヤル錠25、マグネットキャッチ14等をそれぞれ設けた場合には、マンションやアパートなどの集合住宅で居住者毎に各室29が使用できるように構成することもできる。
【0037】
<変形例3>
図13(a)~(c)は、ボックス本体2が他の支持フレームに設けられた一例を示す斜視図である。図13(a)は、ボックス本体2の片側面2aが柱状の支持フレーム30aに設けられた一例を示す。図13(b)は、ボックス本体2の両側面2a,2bが柱状の支持フレーム30a,30bに設けられた一例を示す。図13(c)は、図13(b)に示す一対の支持フレーム30a,30bの上部を連結フレーム30cにより連結して門型の支持フレームで構成した一例を示す。
【0038】
<その他>
尚、前記実施形態では、図9に示すように、移動部材11の端部11bが中継部材24の舌片24aを押圧し、舌片24aがプッシュ錠15の解錠ボタン21a1を押圧する場合の一例について説明したが、中継部材24を省略して移動部材11の端部11bが直接、プッシュ錠15の解錠ボタン21a1を押圧する構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の活用例として、各種配達物等の物品を受け取る受取りボックスに適用できる。
【符号の説明】
【0040】
D1…プッシュボタン17aの外径
D2…本体部17bの外径
W…開口20bの幅
1…受取りボックス
2…ボックス本体
2a,2b…側面
3…扉(第1の扉)
3a…側面
4,5…ヒンジ
6…扉
7…扉(第2の扉)
7a…フレーム
7a1…長穴
7b…覗き窓
8…ヒンジ
9,10…ガイド部材
9a,10a…貫通穴
11…移動部材軸体
11a…溝部
11b…端部
12…コイルバネ(付勢手段)
13…Eリング
14…マグネットキャッチ(吸着手段)
15…プッシュ錠
16…フレーム
17…スライド軸
17a…プッシュボタン(大径部)
17b…本体部(小径部)
17c…段部
17d…溝部
17e…溝部
18,19…ガイド部材
20…受座
20a…受穴
20b…開口
21…係止ガイド部材
21a…支持片
21a1…解錠ボタン
21b…付勢片
21b1…貫通穴
21b2…端部
21c…係止片
21c1…貫通穴
21c2…周縁部
22…コイルバネ
23…ハウジング
23a…天板
23a1…貫通穴
23b,23c…側板
23b1,23c1…貫通穴
24…中継部材
24a…舌片
25…ダイヤル錠
25a…ダイヤル
25b…摘み
25c…係止アーム
25d…回動軸
26…Eリング
27…係止部材
27a…長穴
28…支柱
29,29a,29b…室
30a,30b…支持フレーム
30c…連結フレーム
図1
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