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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】カラオケシステム
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019213986
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021085959
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 政之
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-153073(JP,A)
【文献】特開2006-154268(JP,A)
【文献】特開2017-004432(JP,A)
【文献】特開2016-038663(JP,A)
【文献】特開2008-250160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と、カラオケ店舗の部屋に設置されたカラオケ装置とが通信可能に接続されたカラオケシステムであって、
前記サーバ装置は、
利用者を識別するための利用者識別情報、当該利用者の顔画像データ、及び当該利用者がカラオケ店舗で行った飲食に関する飲食履歴を示す飲食履歴データを紐付けて記憶するデータ記憶部と、
前記カラオケ装置からある利用者の利用者識別情報を受信した場合、当該ある利用者の顔画像データ及び飲食履歴データを前記データ記憶部から抽出し、当該カラオケ装置に送信する抽出部と、
を有し、
前記カラオケ装置は、
前記ある利用者による利用者識別情報の入力に応じて、前記カラオケシステムに対する当該ある利用者のログインを行い、入力された利用者識別情報を前記サーバ装置に送信するログイン処理部と、
前記サーバ装置から受信した前記ある利用者の飲食履歴データに基づいて、当該ある利用者に対して飲食物をレコメンドするレコメンド部と、
前記サーバ装置から受信した前記ある利用者の顔画像データ、及び前記カラオケ店舗の部屋において提供された飲食物を飲食する当該ある利用者を撮影して得られる映像に基づいて、当該ある利用者について新たな飲食の記録を生成する生成部と、
前記ある利用者が前記カラオケシステムからログアウトした場合、前記新たな飲食の記録に基づいて、前記データ記憶部が記憶する当該ある利用者の飲食履歴データを更新させる処理部と、
を有するカラオケシステム。
【請求項2】
前記生成部は、前記カラオケ店舗で提供された飲食物毎に前記ある利用者が飲食した割合を特定し、特定した割合に基づいて前記新たな飲食の記録を生成することを特徴とする請求項1記載のカラオケシステム。
【請求項3】
前記飲食履歴は、利用者が飲食した日付を示す日付情報を含み、
前記レコメンド部は、所定期間における飲食履歴に含まれる飲食物毎に飲食した割合の合計値を算出し、当該合計値が所定条件を満たす飲食物をレコメンドすることを特徴とする請求項2記載のカラオケシステム。
【請求項4】
前記レコメンド部は、前記所定期間における飲食履歴に含まれる飲食物の飲食一回あたりの割合に応じて、レコメンドする飲食物のサイズを決定することを特徴とする請求項3記載のカラオケシステム。
【請求項5】
前記レコメンド部は、2以上の異なる飲食物をレコメンドする場合、当該異なる飲食物で構成されるセット飲食物をレコメンドすることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ店舗は、カラオケ装置が設置されているカラオケルームに飲食物を提供するサービスを実施している。カラオケルームの利用者は、カラオケルームから所望の飲食物を注文し、カラオケ歌唱と併せて飲食を楽しむことができる。
【0003】
ここで、特許文献1には、飲食店などにおいて、注文者を識別して注文情報を管理し、注文端末へ提示する情報を用いて商品やサービスの販売を促進することができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開番号WO2003/069528
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一のカラオケルームを複数の利用者で使用する際、一の利用者(代表者)が全員分の飲食物をまとめて注文することが多い。
【0006】
このような場合、特許文献1の技術では注文を行った代表者に対し、全員分の飲食物が注文情報として管理される。すなわち、他の利用者が飲食する飲食物についても代表者が注文したものとして管理される。
【0007】
従って、代表者の注文情報を用いて当該代表者に飲食物をレコメンドする場合、他の利用者が飲食した飲食物についてもレコメンドされる。このように、特許文献1の技術をカラオケ分野に応用した場合には、利用者に対して適切な飲食物をレコメンドすることは困難であった。
【0008】
本発明の目的は、利用者に対して適切な飲食物をレコメンドすることが可能なカラオケシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための一の発明は、サーバ装置と、カラオケ店舗の部屋に設置されたカラオケ装置とが通信可能に接続されたカラオケシステムであって、前記サーバ装置は、利用者を識別するための利用者識別情報、当該利用者の顔画像データ、及び当該利用者がカラオケ店舗で行った飲食に関する飲食履歴を示す飲食履歴データを紐付けて記憶するデータ記憶部と、前記カラオケ装置からある利用者の利用者識別情報を受信した場合、当該ある利用者の顔画像データ及び飲食履歴データを前記データ記憶部から抽出し、当該カラオケ装置に送信する抽出部と、を有し、前記カラオケ装置は、前記ある利用者による利用者識別情報の入力に応じて、前記カラオケシステムに対する当該ある利用者のログインを行い、入力された利用者識別情報を前記サーバ装置に送信するログイン処理部と、前記サーバ装置から受信した前記ある利用者の飲食履歴データに基づいて、当該ある利用者に対して飲食物をレコメンドするレコメンド部と、前記サーバ装置から受信した前記ある利用者の顔画像データ、及び前記カラオケ店舗の部屋において提供された飲食物を飲食する当該ある利用者を撮影して得られる映像に基づいて、当該ある利用者について新たな飲食の記録を生成する生成部と、前記ある利用者が前記カラオケシステムからログアウトした場合、前記新たな飲食の記録に基づいて、前記データ記憶部が記憶する当該ある利用者の飲食履歴データを更新させる処理部と、を有するカラオケシステムである。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者に対して適切な飲食物をレコメンドすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るカラオケシステムを示す図である。
図2】実施形態に係るサーバ装置を示す図である。
図3】実施形態に係る飲食履歴を示す図である。
図4】実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。
図5】実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
図6】実施形態に係る飲食した割合の合計値を示す図である。
図7】実施形態に係る撮影手段により撮影されたカラオケルーム内の映像を示す図である。
図8】実施形態に係る新たな飲食の記録を示す図である。
図9】実施形態に係るカラオケシステムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図9を参照して、実施形態に係るカラオケシステムについて説明する。
【0013】
==カラオケシステム==
図1に示すように、本実施形態に係るカラオケシステム1は、サーバ装置S及びカラオケ装置Kを備える。サーバ装置S及びカラオケ装置Kは、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。ネットワークNは、たとえば公衆電話回線網やインターネット回線等の伝送路である。カラオケ装置Kは、カラオケ店舗の部屋Rに設置されている。なお、図1では一の部屋Rのみを示しているが、一のカラオケ店舗には複数の部屋(カラオケルーム)が設けられていることが一般的である。また、図1では一のカラオケ装置Kのみを示しているが、サーバ装置Sは、ネットワークNを介して複数のカラオケ装置と通信可能となっている。
【0014】
==サーバ装置==
サーバ装置Sは、各種情報の管理や処理を実行するコンピュータである。図2はサーバ装置Sの構成を示す図である。サーバ装置Sは、記憶手段10、通信手段20、及び制御手段30を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0015】
[記憶手段]
記憶手段10は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。本実施形態において、記憶手段10の記憶領域の一部は、データ記憶部10aとして機能する。
【0016】
(データ記憶部)
データ記憶部10aは、利用者を識別するための利用者識別情報、当該利用者の顔画像データ、及び飲食履歴データを紐付けて記憶する。
【0017】
利用者識別情報は、たとえば利用者IDのような、各利用者に固有の情報である。利用者識別情報は、たとえばカラオケシステム1を初めて利用する際に、利用者が任意に設定することができる。
【0018】
顔画像データは、利用者の顔を撮影して得られた画像に対応するデータである。顔の撮影は、たとえばカラオケシステム1を初めて利用する際に、カラオケ装置Kの撮影手段90(図4参照)により行う。
【0019】
飲食履歴データは、利用者がカラオケ店舗で行った飲食に関する飲食履歴を示すデータである。飲食履歴は、少なくとも一の飲食の記録から構成されている。飲食の記録は、利用者が、飲食した飲食物の名称、飲食物を飲食した割合等を含む。また、飲食履歴は、利用者が飲食した日付を示す日付情報を含んでいてもよい。
【0020】
図3は、利用者U1(利用者識別情報「ID***01」)の飲食履歴を示したものである。なお、図3に示したフードやドリンクの種類は一例である。
【0021】
たとえば、利用者U1は、2019年1月1日にカラオケ店舗を訪れ、フードF4とドリンクD1の飲食を行っている。また、フードF4及びドリンクD1とも飲食した割合は100%である。すなわち、利用者U1はフードF4及びドリンクD1を一人で飲食している。
【0022】
一方、利用者U1は、2019年2月2日にカラオケ店舗を訪れ、フードF1、フードF3、及びドリンクD3の飲食を行っている。また、フードF1を飲食した割合は30%であり、フードF3を飲食した割合は20%であり、ドリンクD3を飲食した割合は200%である。すなわち、利用者U1は、フードF1、及びフードF3について複数の利用者で分けて飲食し(或いは、フードF1、及びフードF3について全て飲食せずに一部を残し)、ドリンクD3については2名分を飲食している。
【0023】
なお、図3に示した飲食履歴において、飲食を行ったカラオケ店舗は特定されていない。一方、飲食履歴データとして、飲食を行ったカラオケ店舗を識別するための店舗識別情報を含んでいてもよい。
【0024】
[通信手段]
通信手段20は、カラオケ装置Kとの通信を行うためのインターフェースを提供する。
【0025】
[制御手段]
制御手段30は、サーバ装置Sにおける各種の制御を行う。制御手段30は、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段30は、抽出部30aとして機能する。
【0026】
(抽出部)
抽出部30aは、カラオケ装置からある利用者の利用者識別情報を受信した場合、当該ある利用者の顔画像データ及び飲食履歴データをデータ記憶部10aから抽出し、当該カラオケ装置に送信する。
【0027】
たとえば、カラオケ装置Kから利用者U1の利用者識別情報「ID***01」を受信したとする。抽出部30aは、データ記憶部10aに記憶されている利用者識別情報の中から、受信した利用者U1の利用者識別情報と一致する利用者識別情報を特定する。そして、抽出部30aは、特定した利用者識別情報に紐付けられている顔画像データ及び飲食履歴データ(すなわち、利用者U1の顔画像データ及び飲食履歴データ)を抽出し、カラオケ装置Kに送信する。以下、利用者U1の飲食履歴データが示す飲食履歴は、図3に示した飲食履歴であるとして説明する。
【0028】
==カラオケ装置==
カラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。図4に示すように、カラオケ装置Kは、カラオケ本体40、スピーカ50、表示装置60、マイク70、リモコン装置80、及び撮影手段90を備える。
【0029】
カラオケ本体40は、選曲された楽曲の演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク70を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ50はカラオケ本体40からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置60はカラオケ本体40からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク70はカラオケ歌唱の歌唱音声をアナログの歌唱音声信号に変換してカラオケ本体40に入力するための構成である。リモコン装置80は、カラオケ本体40に対する各種操作をおこなうための装置である。撮影手段90は、部屋R内や利用者を撮影するためのカメラである。なお、撮影手段90は、部屋R内に複数設けられていてもよい。
【0030】
図5に示すように、本実施形態に係るカラオケ本体40は、記憶手段40a、通信手段40b、入力手段40c、及び制御手段40dを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0031】
[記憶手段・通信手段・入力手段]
記憶手段40aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。記憶手段40aは、たとえばカラオケ装置Kによりカラオケ演奏を行うための複数の楽曲データを記憶する。通信手段40bは、サーバ装置Sやリモコン装置80との通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段40cは、利用者が各種の指示入力を行うための構成である。入力手段40cは、カラオケ本体40に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置80が入力手段40cとして機能してもよい。たとえば、カラオケ装置Kが設置されている部屋Rに複数の利用者がいる場合に、代表者がリモコン装置80を介して適当な飲食物の注文を行う。カラオケ店舗の店員は、注文に応じた飲食物を準備し、部屋Rの利用者に提供する。
【0032】
[制御手段]
制御手段40dは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段40dは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0033】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段40dは、ログイン処理部100、レコメンド部200、生成部300、及び処理部400として機能する。
【0034】
(ログイン処理部)
ログイン処理部100は、ある利用者による利用者識別情報の入力に応じて、カラオケシステム1に対する当該ある利用者のログインを行い、入力された利用者識別情報をサーバ装置Sに送信する。
【0035】
たとえば、利用者U1がカラオケシステム1を利用するとする。この場合、利用者U1は、入力手段40cを介して、自己の利用者識別情報「ID***01」を入力する。ログイン処理部100は、利用者U1の利用者識別情報「ID***01」を記憶手段40aに一時的に記憶させることでカラオケシステム1に対する利用者U1のログインを完了する。また、ログイン処理部100は、ログインした利用者U1の利用者識別情報「ID***01」をサーバ装置Sに送信する。撮影手段90は、利用者U1がカラオケシステム1にログインした後、撮影を開始する。
【0036】
ここで上述の通り、サーバ装置Sは、カラオケ装置Kから利用者U1の利用者識別情報「ID***01」を受信した場合、当該利用者識別情報に紐付けられている顔画像データ及び飲食履歴データを抽出し、カラオケ装置Kに送信する。ログイン処理部100は、受信した顔画像データ及び飲食履歴データを利用者ID「ID***01」と対応付けて、記憶手段40aに一時的に記憶させる。
【0037】
なお、複数の利用者がいる場合、利用者それぞれが利用者識別情報の入力を行う。ログイン処理部100は、各利用者の利用者識別情報を記憶手段40aに一時的に記憶させることでカラオケシステム1に対する利用者それぞれのログインを完了する。撮影手段90は、一人目の利用者のログインが完了した後、撮影を開始する。
【0038】
(レコメンド部)
レコメンド部200は、サーバ装置Sから受信したある利用者の飲食履歴データに基づいて、当該ある利用者に対して飲食物をレコメンドする。
【0039】
飲食物のレコメンドは、様々な方法により行うことができる。たとえば、レコメンド部200は、レコメンドする飲食物の名称を示すアイコンをリモコン装置80の表示画面に表示させる。利用者は、表示されたアイコンの中から所望の飲食物を示すアイコンを選択することにより、飲食物を注文することができる。
【0040】
複数の利用者が居る場合、レコメンド部200は、利用者毎に飲食物のレコメンドを行う。たとえば、レコメンド部200は、飲食物のアイコンと当該飲食物をレコメンドする利用者の利用者IDとを関連付けて、リモコン装置80の表示画面に表示させる。
【0041】
また、レコメンドする飲食物の特定は様々な方法により行うことができる。たとえば、レコメンド部200は、ある利用者の飲食履歴データに含まれる全ての飲食物をレコメンドする飲食物として特定することができる。
【0042】
或いは、飲食履歴データに含まれる全ての飲食物の中から一部の飲食物のみをレコメンドする飲食物として特定することもできる。
【0043】
たとえば、レコメンド部200は、所定期間における飲食履歴に含まれる飲食物毎に飲食した割合の合計値を算出し、当該合計値が所定条件を満たす飲食物をレコメンドすることができる。
【0044】
所定期間は、1か月、1年等、予め設定されている任意の期間である。図6は、2019年1月1日から2019年10月31日の10か月間に利用者U1が飲食した飲食物毎の割合の合計値を示している。
【0045】
所定条件は、レコメンドする飲食物を特定するための条件であり、予め任意の条件を設定することができる。所定条件は、たとえば「合計値が●●以上の飲食物」、「フード及びドリンクそれぞれについて、合計値が最も高いもの」といった条件である。なお、ある飲食物の合計値が高いということは、利用者がある飲食物を多く飲食したことを示す。すなわち、利用者が好みの飲食物である可能性が高い。
【0046】
たとえば、利用者U1の飲食履歴に基づいて図6に示すような合計値が得られたとする。また、所定条件が「フード及びドリンクそれぞれについて、合計値が最も高いもの」であったとする。
【0047】
この場合、レコメンド部200は、合計値が最も高いフードF3及びドリンクD1をレコメンドする飲食物として特定し、利用者U1に対してレコメンドする。
【0048】
その他、レコメンド部200は、飲食履歴データに基づいて、過去に良く飲食していたが最近は飲食していない飲食物をレコメンドすることもできる。また、レコメンド部200は、合計値が高い飲食物と食材等が類似する飲食物(たとえば季節の限定メニュー)をレコメンドしてもよい。
【0049】
(生成部)
生成部300は、サーバ装置Sから受信したある利用者の顔画像データ、及びカラオケ店舗の部屋において提供された飲食物を飲食する当該ある利用者を撮影して得られる映像に基づいて、当該ある利用者について新たな飲食の記録を生成する。
【0050】
ここで、図7を参照して、新たな飲食の記録を生成する具体例について説明する。図7は、撮影手段90により撮影された部屋R内の映像である。この映像によれば、部屋Rには、カラオケシステム1にログインしている利用者U1~利用者U3が在席しており、中央に置かれたテーブルTには、注文した飲食物であるフードF1~F3、ドリンクD1~D3、及びフードを取り分けるための取り皿P1~P3が置かれた状態となっている。なお、記憶手段40aには、カラオケ店舗で提供される飲食物の画像が記憶されている。また、生成部300は、飲食物と同様に空の取り皿やグラスの種類を認識できるものとする。
【0051】
生成部300は、撮影手段90により撮影された映像から、利用者の顔画像を抽出する。映像から利用者の顔画像を抽出する手法は、公知の画像認識処理の手法を利用することができる。
【0052】
生成部300は、ログイン処理部100がサーバ装置Sから受信した利用者U1~利用者U3の顔画像データが示す画像と抽出した顔画像とを比較することで、映像中における利用者を特定する。
【0053】
そして、生成部300は、映像に含まれる利用者の動きに基づいて、当該利用者の利用者識別情報に対応する新たな飲食の記録を生成する。
【0054】
たとえば、利用者U1がフードF1に手を伸ばして飲食する一方、利用者U2がフードF1を取り皿P2に取り分けた映像が撮影されたとする。以下、飲食だけでなく、取り皿への取り分けを含めて「飲食」とする。なお、一の利用者が他の利用者の取り皿へ取り分けた場合には、取り分け後に当該取り皿が置かれた位置に最も近い利用者が飲食したものとする。
【0055】
生成部300は、利用者U1の動きを解析し、利用者U1が手を伸ばした先にあるフードの画像と、予め記憶手段40aに記憶されている画像とを比較することにより、利用者U1が飲食したフードがフードF1であることを特定する。
【0056】
一方、生成部300は、カラオケ店舗で提供された飲食物毎にある利用者が飲食した割合を特定し、特定した割合に基づいて新たな飲食の記録を生成する。
【0057】
上記例において、生成部300は、利用者U1の動きを解析し、特定したフードF1について、利用者U1が飲食した割合を算出する。このような割合の算出は、公知の手法を用いて映像を解析することにより行うことができる。また、飲食物の種類に応じて、利用者が飲食した後に残っている割合から逆算してもよい。
【0058】
なお、飲食した割合は、たとえば、「焼きそば」や「ピラフ」のようなフードの場合には、飲食した体積を、予め記憶した当該フードの模範的な元の体積で除すことにより、割合を算出することができる。また、「ポテトフライ」や「枝豆」のように複数の飲食物が多数まとまって提供される場合には、利用者が飲食した数を、予め所定の総重量と1個あたりの平均的な重量に基づいて記憶した平均的な総数で除すことにより、割合を算出することができる。また、「唐揚げ」や均等に切り分けられて提供される「ピザ」のように一皿当たりの個数が比較的少ない飲食物の場合、利用者が飲食した数を求め、予め記憶した所定の元の数で除することにより、割合を算出することができる。
【0059】
上記例において、生成部300は、利用者U1がフードF1を飲食した割合を60%と算出し、利用者U2がフードF1を飲食した割合を40%と算出したとする。一方、利用者U3はフードF1を飲食しなかったとする。この場合、生成部300は、利用者U3がフードF1を飲食した割合を0%と算出する。
【0060】
生成部300は、フードF1に対し、利用者U1が飲食した割合60%を紐付け、利用者U1に関する新たな飲食の記録を生成する。また、生成部300は、フードF1に対し、利用者U2が飲食した割合40%を紐付け、利用者U2に関する新たな飲食の記録を生成する。更に、生成部300は、フードF1に対し、利用者U3が飲食した割合0%を紐付け、利用者U3に関する新たな飲食の記録を生成する。生成部300は、生成したこれらの新たな飲食の記録を処理部400に出力する。
【0061】
図8は、利用者U1に関する新たな飲食の記録である。図8の例によれば、2019年11月11日にカラオケシステム1を利用した利用者U1は、フードF1及びフードF2を60%飲食し、フードF3を30%飲食し、ドリンクD1を100%飲食している。
【0062】
なお、一の利用者が同じ飲食物を複数回に分けて飲食する場合もありうる。この場合、生成部300は、利用者が飲食する映像が得られる都度、当該利用者が飲食した割合を特定し、特定した割合を合計することにより新たな飲食の記録を生成する。
【0063】
また、カラオケ装置Kの利用時間が終了した時点で飲食物の食べ残しがない場合、生成部300は、利用者の飲食した割合の合計が100%になるように適宜調整する。一方、食べ残しがある場合、生成部300は、食べ残しを含めて100%になるように適宜調整する。
【0064】
或いは、飲食物毎に飲食した割合を求めることが煩雑な場合もありうる。このような場合、生成部300は、映像に基づいて、飲食した利用者の数で均等に割合を特定することにより、新たな飲食の記録を生成してもよい。たとえば、フードF1を飲食した利用者が、利用者U1及び利用者U3の2名いる場合、生成部300は、飲食した割合によらず、利用者U1及び利用者U3の割合をそれぞれ50%として新たな飲食の記録を生成する。
【0065】
(処理部)
処理部400は、ある利用者がカラオケシステム1からログアウトした場合、新たな飲食の記録に基づいて、前記データ記憶部が記憶する当該ある利用者の飲食履歴データを更新させる。
【0066】
具体的に、処理部400は、サーバ装置Sから受信した飲食履歴データが示す飲食履歴に新たな飲食の記録を含めることで、飲食履歴データの変更を行う。
【0067】
たとえば、カラオケシステム1にログインした利用者U1がカラオケ歌唱及び飲食を行った結果、図8に示す新たな飲食の記録が生成されたとする。
【0068】
その後、利用者U1は、リモコン装置80を介してログアウトの指示入力を行う。ログイン処理部100は、利用者U1の利用者識別情報を記憶手段40aから消去することでカラオケシステム1からのログアウトを完了させる。
【0069】
処理部400は、利用者U1のログアウトに伴い、サーバ装置Sから受信した利用者U1の飲食履歴データが示す飲食履歴(図3参照)に新たな飲食の記録(図8参照)を追加することで、飲食履歴データの変更を行う。
【0070】
処理部400は、変更した飲食履歴データを、利用者U1の利用者IDと併せてサーバ装置Sに送信する。サーバ装置Sは、データ記憶部10aに記憶されている利用者U1の飲食履歴データを、変更された飲食履歴データ(図8に示した新たな飲食の記録を含むデータ)で上書きすることにより、利用者U1の飲食履歴データの更新を行う。
【0071】
なお、処理部400は、新たな飲食の記録のみをサーバ装置Sに送信し、サーバ装置S側で新たな飲食の記録をある利用者の飲食履歴に追加することで飲食履歴データの更新を行ってもよい。
【0072】
==カラオケシステムにおける処理について==
次に、図9を参照して本実施形態に係るカラオケシステム1における処理について述べる。図9は、カラオケシステム1における処理を示すフローチャートである。この例では、サーバ装置Sのデータ記憶部10aが、利用者を識別するための利用者識別情報、当該利用者の顔画像データ、及び当該利用者がカラオケ店舗で行った飲食に関する飲食履歴を示す飲食履歴データを紐付けて記憶している。
【0073】
カラオケ装置Kのログイン処理部100は、ある利用者による利用者IDの入力に応じて、カラオケシステム1に対する当該ある利用者のログインを行う(利用者のログイン。ステップ10)。そして、ログイン処理部100は、入力された利用者IDをサーバ装置Sに送信する(利用者IDの送信。ステップ11)。
【0074】
サーバ装置Sの抽出部30aは、ステップ11で送信された利用者IDに基づいて、ある利用者の顔画像データ及び飲食履歴データをデータ記憶部10aから抽出し、カラオケ装置Kに送信する(顔画像データ及び飲食履歴データの送信。ステップ12)。
【0075】
カラオケ装置Kのレコメンド部200は、ステップ12で送信された飲食履歴データに基づいて、ある利用者に対して飲食物をレコメンドする(飲食物をレコメンド。ステップ13)。
【0076】
ある利用者は、リモコン装置80を介してレコメンドされた飲食物やその他の飲食物を注文することで、カラオケ歌唱と併せて飲食を楽しむことができる。
【0077】
生成部300は、ステップ12で送信されたある利用者の顔画像データ、及びカラオケ店舗の部屋において提供された飲食物を飲食する当該ある利用者を撮影して得られる映像に基づいて、当該ある利用者について新たな飲食の記録を生成する(新たな飲食の記録を生成。ステップ14)。
【0078】
ある利用者がカラオケシステム1からログアウトした場合(ステップ15でYの場合)、処理部400は、ステップ14で生成した新たな飲食の記録をある利用者の飲食履歴に含めることで飲食履歴データの変更を行う(飲食履歴データの変更。ステップ16)。
【0079】
処理部400は、ステップ16で変更した飲食履歴データをサーバ装置Sに送信する(変更した飲食履歴データの送信。ステップ17)。
【0080】
サーバ装置Sは、データ記憶部10aに記憶されている、ある利用者の飲食履歴データを、ステップ17で送信された飲食履歴データで上書きすることにより飲食履歴データの更新を行う(飲食履歴データの更新。ステップ18)。
【0081】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケシステム1は、サーバ装置Sと、カラオケ店舗の部屋に設置されたカラオケ装置Kとが通信可能に接続されている。サーバ装置Sは、利用者を識別するための利用者識別情報、当該利用者の顔画像データ、及び当該利用者がカラオケ店舗で行った飲食に関する飲食履歴を示す飲食履歴データを紐付けて記憶するデータ記憶部10aと、カラオケ装置Kからある利用者の利用者識別情報を受信した場合、当該ある利用者の顔画像データ及び飲食履歴データをデータ記憶部10aから抽出し、カラオケ装置Kに送信する抽出部30aと、を有する。カラオケ装置Kは、ある利用者による利用者識別情報の入力に応じて、カラオケシステム1に対する当該ある利用者のログインを行い、入力された利用者識別情報をサーバ装置Sに送信するログイン処理部100と、サーバ装置Sから受信したある利用者の飲食履歴データに基づいて、当該ある利用者に対して飲食物をレコメンドするレコメンド部200と、サーバ装置Sから受信したある利用者の顔画像データ、及びカラオケ店舗の部屋において提供された飲食物を飲食する当該ある利用者を撮影して得られる映像に基づいて、当該ある利用者について新たな飲食の記録を生成する生成部300と、ある利用者がカラオケシステム1からログアウトした場合、新たな飲食の記録に基づいて、データ記憶部10aが記憶する当該ある利用者の飲食履歴データを更新させる処理部400と、を有する。
【0082】
このようなカラオケシステム1によれば、利用者毎の飲食履歴データに基づいて、利用者毎に飲食物をレコメンドすることができる。ここで、ある利用者の飲食履歴データには、当該ある利用者が過去に実際に飲食した飲食物が含まれている。よって、飲食履歴データを用いることにより、利用者が好みの飲食物やよく飲食を行う飲食物をレコメンドできる可能性が高くなる。すなわち、本実施形態に係るカラオケシステム1によれば、利用者に対して適切な飲食物をレコメンドすることができる。また、このようなカラオケシステム1によれば、カラオケシステム1の利用時における飲食に伴って新たな飲食の記録を生成し、飲食履歴に反映することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る生成部300は、カラオケ店舗で提供された飲食物毎にある利用者が飲食した割合を特定し、特定した割合に基づいて新たな飲食の記録を生成することができる。このように飲食した割合を飲食の記録とすることで、利用者の飲食物の好みをより把握しやすくなる。
【0084】
また、飲食履歴は、利用者が飲食した日付を示す日付情報を含み、レコメンド部200は、所定期間における飲食履歴に含まれる飲食物毎に飲食した割合の合計値を算出し、当該合計値が所定条件を満たす飲食物をレコメンドすることができる。このような合計値を用いることにより、利用者に対して適切な飲食物をより確実にレコメンドすることができる。
【0085】
<変形例1>
カラオケ店舗が提供する様々な飲食物の中には、同じ飲食物であってもサイズの異なるものがある。この場合、レコメンド部200は、所定期間における飲食履歴に含まれる飲食物の飲食一回あたりの割合に応じて、レコメンドする飲食物のサイズを決定してもよい。なお、「サイズ」とは、飲食物の大きさ(たとえばピザのSサイズ、Mサイズ、Lサイズ)、量(たとえばパスタの大盛り、中盛り、小盛り。生ビールのピッチャー、ジョッキ、グラス)、個数(たとえば唐揚げの1人用、パーティー用)等である。
【0086】
たとえば、上記実施形態におけるフードF3について、標準サイズ、ミニサイズ、メガサイズの3種類があるとする。また、完食した場合の割合を、標準サイズ「100%」、ミニサイズ「70%」、メガサイズ「150%」とする。なお、一の飲食物の種類は3種類に限られない。
【0087】
ここで、利用者U1の所定期間における飲食履歴に含まれる飲食物のうち、フードF3の合計値「1100」が最も高く、その飲食回数が7回であったとする。
【0088】
この場合、レコメンド部200は、所定期間におけるフードF3の飲食1回あたりの割合「157」(=1100/7)を算出する。
【0089】
そして、レコメンド部200は、算出した割合「157」と、種類の異なるフードF3を完食した場合の割合との比較を行い、最も割合が近いメガサイズをレコメンドするフードF3のサイズとして決定する。
【0090】
<変形例2>
カラオケ店舗が提供する様々な飲食物の中には、2以上の異なる飲食物で構成されるもの(以下、「セット飲食物」)も存在する。セット飲食物は、たとえば、「唐揚げ」と「ポテトフライ」を含む「チキンバスケット」や複数のスナックを含む「スナックプレート」がある。
【0091】
ここで、たとえばレコメンド部200が、利用者U1に対して「唐揚げ」及び「ポテトフライ」をレコメンドするとする。この場合、「チキンバスケット」をレコメンドすることによっても、利用者U1にとって適切な飲食物のレコメンドがなされることとなる。
【0092】
そこで、レコメンド部200は、2以上の異なる飲食物をレコメンドする場合、当該異なる飲食物で構成されるセット飲食物をレコメンドしてもよい。上記例によれば、レコメンド部200は、利用者U1に対し、「チキンバスケット」をレコメンドする。
【0093】
なお、セット飲食物に含まれる各飲食物についてサイズを選択できる場合もありうる。この場合、レコメンド部200は、変形例1の例に基づいて各利用者に適した飲食物のサイズを決定し、それらのサイズを組み合わせたセット飲食物をレコメンドすることができる。
【0094】
たとえば、「チキンバスケット」に含まれる「唐揚げ」と「ポテトフライ」それぞれについて、「ミニ」、「標準」「メガ」の3つのサイズを選択できるとする。また、利用者U1に適した「唐揚げ」のサイズが「標準サイズ」であり、「ポテトフライ」のサイズが「メガサイズ」であると決定されたとする。この場合、レコメンド部200は、利用者U1に対し、「標準サイズの唐揚げ」と「メガサイズのポテトフライ」を組み合わせた「チキンバスケット」をレコメンドする。
【0095】
また、レコメンド部200が、利用者U1に対して「唐揚げ」をレコメンドし、利用者U2に対して「ポテトフライ」をレコメンドするとする。この場合、レコメンド部200は。利用者U1及び利用者U2に対し、「チキンバスケット」をレコメンドすることができる。
【0096】
<その他>
生成部300は、映像に含まれる利用者の動きではなく、映像に含まれる飲食物の状態に基づいて、新たな飲食の記録を生成してもよい。
【0097】
たとえば、映像において、フードF1の一部が減ったとする。この場合、生成部300は、一部が減っているフードの画像と、予め記憶手段10aに記憶されている画像とを比較することにより、飲食されたフードがフードF1であることを特定する。また、生成部300は、前後の映像からフードF1を飲食した利用者を特定する。
【0098】
生成部300は、提供された飲食物毎に利用者が飲食した割合を特定し、特定した割合を飲食の記録として生成する。
【0099】
上記例において、生成部300は、特定したフードF1について、飲食した後に残っている割合を算出する。生成部300は、算出した割合を特定した利用者の顔画像と紐付け飲食の記録として生成する。
【0100】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1 カラオケシステム
10a データ記憶部
30a 抽出部
100 ログイン処理部
200 レコメンド部
300 生成部
400 処理部
K カラオケ装置
S サーバ装置
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