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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】吸水処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
A01K1/015 B ZAB
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020008839
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021114913
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-004833(JP,A)
【文献】特開2019-004834(JP,A)
【文献】特開2016-067329(JP,A)
【文献】特開2017-153372(JP,A)
【文献】特開2019-187241(JP,A)
【文献】特表2005-516597(JP,A)
【文献】特開2015-097505(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0128869(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0040833(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状の第1の芯部と、第1の接着性材料を含有するとともに前記第1の芯部を覆う第1の被覆部とを有し、液体を吸収する第1の粒状体と、
粒状の第2の芯部と、第2の接着性材料を含有するとともに前記第2の芯部を覆う第2の被覆部とを有し、液体を吸収する第2の粒状体と、を備え、
前記第2の被覆部に占める前記第2の接着性材料の重量割合は、前記第1の被覆部に占める前記第1の接着性材料の重量割合よりも小さいことを特徴とする吸水処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸水処理材において、
前記第1の接着性材料の前記重量割合をA%とし、前記第2の接着性材料の前記重量割合をB%としたとき、
B≦0.8Aである吸水処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の吸水処理材において、
B≦0.5Aである吸水処理材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の吸水処理材において、
前記第1及び第2の粒状体は、複数ずつ設けられている吸水処理材。
【請求項5】
請求項4に記載の吸水処理材において、
前記第1の粒状体の個数は、前記第1及び第2の粒状体の個数の合計の30%以上70%以下である吸水処理材。
【請求項6】
請求項5に記載の吸水処理材において、
前記第1の粒状体の個数は、前記第1及び第2の粒状体の個数の合計の40%以上60%以下である吸水処理材。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の吸水処理材において、
前記第1の芯部と前記第2の芯部とは、略同一組成の材料からなる吸水処理材。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の吸水処理材において、
前記第1の芯部と前記第2の芯部とは、略同一の形状及び大きさを有する吸水処理材。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の吸水処理材において、
前記第1及び第2の芯部は、接着性材料を含有していない吸水処理材。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の吸水処理材において、
前記第2の被覆部の厚みは、前記第1の被覆部の厚みに略等しい吸水処理材。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載の吸水処理材において、
前記第1及び第2の接着性材料は、吸水性ポリマーである吸水処理材。
【請求項12】
液体を吸収する第1の粒状体を形成する第1の粒状体形成工程と、
液体を吸収する第2の粒状体を形成する第2の粒状体形成工程と、を含み、
前記第1の粒状体形成工程は、粒状の第1の芯部を形成する第1の芯部形成工程と、第1の接着性材料を含有するとともに前記第1の芯部を覆う第1の被覆部を形成する第1の被覆部形成工程とを含み、
前記第2の粒状体形成工程は、粒状の第2の芯部を形成する第2の芯部形成工程と、第2の接着性材料を含有するとともに前記第2の芯部を覆う第2の被覆部を形成する第2の被覆部形成工程とを含み、
前記第2の被覆部形成工程においては、前記第2の被覆部に占める前記第2の接着性材料の重量割合が前記第1の被覆部に占める前記第1の接着性材料の重量割合よりも小さくなるように、当該第2の被覆部を形成することを特徴とする吸水処理材の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第2の被覆部形成工程においては、前記第1の接着性材料の前記重量割合をA%とし、前記第2の接着性材料の前記重量割合をB%としたとき、B≦0.8Aとなるように、前記第2の被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第2の被覆部形成工程においては、B≦0.5Aとなるように、前記第2の被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項15】
請求項12乃至14の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第1の粒状体形成工程においては、複数の前記第1の粒状体を形成し、
前記第2の粒状体形成工程においては、複数の前記第2の粒状体を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記複数の第1の粒状体と前記複数の第2の粒状体とを混合する混合工程を含む吸水処理材の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記混合工程においては、前記第1の粒状体の個数が前記第1及び第2の粒状体の個数の合計の30%以上70%以下となるように、当該第1及び第2の粒状体を混合する吸水処理材の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記混合工程においては、前記第1の粒状体の個数が前記第1及び第2の粒状体の個数の合計の40%以上60%以下となるように、当該第1及び第2の粒状体を混合する吸水処理材の製造方法。
【請求項19】
請求項12乃至18の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第1の芯部形成工程と前記第2の芯部形成工程とは、同一の装置を用いて同時に実行される吸水処理材の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第1及び第2の芯部形成工程においては、造粒装置を用いて芯部材料を造粒することにより、前記第1及び第2の芯部となる複数の造粒物を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記複数の造粒物を、第1のグループと第2のグループとに分ける分割工程を含み、
前記第1の被覆部形成工程においては、前記第1のグループに分けられた前記造粒物を対象として前記第1の被覆部を形成し、
前記第2の被覆部形成工程においては、前記第2のグループに分けられた前記造粒物を対象として前記第2の被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項22】
請求項12乃至21の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第1及び第2の芯部形成工程においては、それぞれ、接着性材料を含有しない第1及び第2の芯部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項23】
請求項12乃至22の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第2の被覆部形成工程においては、前記第1の被覆部の厚みに略等しい厚みを有する前記第2の被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項24】
請求項12乃至23の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第1及び第2の接着性材料は、吸水性ポリマーである吸水処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吸収する吸水処理材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸水処理材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された吸水処理材は、動物用の排泄物処理材であって、吸水性を有する多数の粒状体からなる。各粒状体は、粒状に成形された芯部と、芯部を覆う被覆部とを有している。被覆部は、使用時に液体を吸収した粒状体どうしを接着させる機能を有する。それにより、使用済みの複数の粒状体からなる固まりが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-190026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被覆部は、使用済みの粒状体の固まり形成に寄与する接着性材料を含有している。使用済みの粒状体の固まり強度を高める上では、被覆部に含有される接着性材料の量が多い方が好ましい。しかしながら、接着性材料は、比較的高価な材料である。それゆえ、接着性材料の使用量が多くなると、吸水処理材の製造コストが上昇してしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、製造コストの上昇を抑えつつ、使用済みの粒状体の固まり強度を充分に確保することが可能な吸水処理材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による吸水処理材は、粒状の第1の芯部と、第1の接着性材料を含有するとともに上記第1の芯部を覆う第1の被覆部とを有し、液体を吸収する第1の粒状体と、粒状の第2の芯部と、第2の接着性材料を含有するとともに上記第2の芯部を覆う第2の被覆部とを有し、液体を吸収する第2の粒状体と、を備え、上記第2の被覆部に占める上記第2の接着性材料の重量割合は、上記第1の被覆部に占める上記第1の接着性材料の重量割合よりも小さいことを特徴とする。
【0007】
この吸水処理材においては、第1及び第2の粒状体が設けられている。第1の粒状体は、第1の接着性材料を含有する第1の被覆部を有する。また、第2の粒状体は、第2の接着性材料を含有する第2の被覆部を有する。第2の被覆部に占める第2の接着性材料の重量割合は、第1の被覆部に占める第1の接着性材料の重量割合よりも小さい。このように第2の接着性材料の重量割合を小さくすることにより、接着性材料(第2の接着性材料)の使用量を節約することができる。また、第1の粒状体に含有された第1の接着性材料の接着作用は、当該第1の粒状体の周囲の第2の粒状体にも及ぶ。このため、第2の接着性材料の重量割合を小さくしても、使用済みの粒状体(第1及び第2の粒状体)の固まり形成に関し、充分な固まり強度を確保することができる。
【0008】
また、本発明による吸水処理材の製造方法は、液体を吸収する第1の粒状体を形成する第1の粒状体形成工程と、液体を吸収する第2の粒状体を形成する第2の粒状体形成工程と、を含み、上記第1の粒状体形成工程は、粒状の第1の芯部を形成する第1の芯部形成工程と、第1の接着性材料を含有するとともに上記第1の芯部を覆う第1の被覆部を形成する第1の被覆部形成工程とを含み、上記第2の粒状体形成工程は、粒状の第2の芯部を形成する第2の芯部形成工程と、第2の接着性材料を含有するとともに上記第2の芯部を覆う第2の被覆部を形成する第2の被覆部形成工程とを含み、上記第2の被覆部形成工程においては、上記第2の被覆部に占める上記第2の接着性材料の重量割合が上記第1の被覆部に占める上記第1の接着性材料の重量割合よりも小さくなるように、当該第2の被覆部を形成することを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、第1及び第2の粒状体が形成される。第1の粒状体は、第1の接着性材料を含有する第1の被覆部を有する。また、第2の粒状体は、第2の接着性材料を含有する第2の被覆部を有する。第2の被覆部に占める第2の接着性材料の重量割合は、第1の被覆部に占める第1の接着性材料の重量割合よりも小さい。このように第2の接着性材料の重量割合を小さくすることにより、接着性材料(第2の接着性材料)の使用量を節約することができる。また、製造後の吸水処理材において、第1の粒状体に含有された第1の接着性材料の接着作用は、当該第1の粒状体の周囲の第2の粒状体にも及ぶ。このため、第2の接着性材料の重量割合を小さくしても、使用済みの粒状体(第1及び第2の粒状体)の固まり形成に関し、充分な固まり強度を確保することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製造コストの上昇を抑えつつ、使用済みの粒状体の固まり強度を充分に確保することが可能な吸水処理材、及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。
図2】粒状体10を示す模式図である。
図3】粒状体20を示す模式図である。
図4】一実施形態に係る製造方法の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材1は、複数の粒状体からなる吸水処理材であって、粒状体10(第1の粒状体)及び粒状体20(第2の粒状体)を備えている。吸水処理材1は、動物又は人の排泄物を吸収する排泄物処理材である。吸水処理材1は、例えば、箱型のトイレに粒状体10,20が敷設された状態で使用される。
【0014】
各粒状体10,20は、吸水性を有しており、処理対象となる液体を吸収する。各粒状体10,20の粒径は、例えば5mm以上15mm以下である。ここで、粒状体10の粒径は、粒状体10を内包しうる最小の球の直径として定義される。粒状体20の粒径についても同様である。粒状体10の粒径と粒状体20の粒径とは、互いに略等しい。粒状体10及び粒状体20は、複数ずつ設けられている。吸水処理材1においては、これらの粒状体10,20が混在している。粒状体10の個数は、粒状体10及び粒状体20の個数の合計の30%以上70%以下であることが好ましく、40%以上60%以下であることがより好ましい。
【0015】
図2は、粒状体10を示す模式図である。粒状体10は、芯部12(第1の芯部)及び被覆部14(第1の被覆部)を有している。芯部12は、粒状に成形されている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、楕円体等が挙げられる。芯部12は、液体を吸水及び保水する機能を有する。芯部12は、吸水性材料を含有している。芯部12は、吸水性材料を主材料としている。ここで、芯部12の主材料とは、芯部12を構成する材料のうち、当該芯部12に占める重量割合が最大のものをいう。芯部12は、吸水性材料のみからなってもよいし、吸水性材料と他の材料とからなってもよい。吸水性材料は、有機物であることが好ましい。有機物である吸水性材料としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。本実施形態において芯部12は、接着性材料を含有していない。
【0016】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、パルプスラッジ等が挙げられる。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。
【0017】
被覆部14は、芯部12を覆っている。被覆部14は、芯部12の表面の全体を覆っている。被覆部14は、使用時(吸水処理材1が処理対象となる液体を吸収したとき)に粒状体10,20どうしを接着させて固まりにする機能を有する。被覆部14は、吸水性材料、及び接着性材料32(第1の接着性材料)を含有している。被覆部14も、吸水性材料を主材料としている。被覆部14の主材料の定義は、上述した芯部12の主材料の定義と同様である。被覆部14に含有される吸水性材料も、有機物であることが好ましい。接着性材料32としては、例えば、吸水性ポリマー(高吸水性ポリマーを含む。以下同様。)、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)又はデキストリンを用いることができる。粒状体10に占める被覆部14の重量割合は、例えば10%以上20%以下である。
【0018】
図3は、粒状体20を示す模式図である。粒状体20は、芯部22(第2の芯部)及び被覆部24(第2の被覆部)を有している。芯部22は、粒状に成形されている。芯部22は、液体を吸水及び保水する機能を有する。芯部22は、吸水性材料を含有している。芯部22は、吸水性材料を主材料としている。芯部22の主材料の定義は、上述した芯部12の主材料の定義と同様である。芯部22は、吸水性材料のみからなってもよいし、吸水性材料と他の材料とからなってもよい。吸水性材料は、有機物であることが好ましい。本実施形態において芯部22は、接着性材料を含有していない。芯部22は、芯部12と略同一組成の材料からなる。また、芯部22は、芯部12と略同一の形状及び大きさを有している。
【0019】
被覆部24は、芯部22を覆っている。被覆部24は、芯部22の表面の全体を覆っている。被覆部24の厚みは、被覆部14の厚みに略等しい。被覆部24は、使用時に粒状体10,20どうしを接着させて固まりにする機能を有する。被覆部24は、吸水性材料、及び接着性材料34(第2の接着性材料)を含有している。被覆部24も、吸水性材料を主材料としている。被覆部24の主材料の定義は、上述した芯部12の主材料の定義と同様である。被覆部24に含有される吸水性材料も、有機物であることが好ましい。接着性材料34としては、例えば、吸水性ポリマー、澱粉、CMC、PVA又はデキストリンを用いることができる。粒状体20に占める被覆部24の重量割合は、例えば10%以上20%以下である。
【0020】
被覆部24に占める接着性材料34の重量割合は、被覆部14に占める接着性材料32の重量割合よりも小さい。被覆部14に占める接着性材料32の重量割合をA%とし、被覆部24に占める接着性材料34の重量割合をB%としたとき、B≦0.8Aであることが好ましく、B≦0.5Aであることがより好ましい。Aは、例えば10≦A≦30を満たす値とされる。Bは、例えば5≦B≦24を満たす値とされる。粒状体20全体に占める接着性材料34の重量割合も、粒状体10全体に占める接着性材料32の重量割合より小さい。
【0021】
続いて、本発明による吸水処理材の製造方法の一実施形態として、吸水処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、第1の粒状体形成工程、及び第2の粒状体形成工程を含んでいる。
【0022】
第1の粒状体形成工程は、粒状体10を形成する工程である。この工程は、第1の芯部形成工程、及び第1の被覆部形成工程を含んでいる。第1の芯部形成工程は、芯部12を形成する工程である。この工程においては、造粒装置を用いて芯部材料(芯部12を構成する一又は二以上の材料)を造粒することにより、芯部12を形成する。本実施形態においては、複数の芯部12が形成される。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒に先立って、芯部材料には、粉砕、混練、加水等の前処理が必要に応じて行われる。
【0023】
第1の被覆部形成工程は、被覆部14を形成する工程である。この工程においては、コーティング装置等を用いて、各芯部12の表面に粉状の被覆材料(被覆部14を構成する材料)を付着させることにより、被覆部14を形成する。この被覆材料は、接着性材料32を含有している。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。これにより、複数の粒状体10が得られる。
【0024】
第2の粒状体形成工程は、粒状体20を形成する工程である。この工程は、第2の芯部形成工程、及び第2の被覆部形成工程を含んでいる。第2の芯部形成工程は、芯部22を形成する工程である。この工程においては、造粒装置を用いて芯部材料(芯部22を構成する一又は二以上の材料)を造粒することにより、芯部22を形成する。本実施形態においては、複数の芯部22が形成される。
【0025】
第2の被覆部形成工程は、被覆部24を形成する工程である。この工程においては、コーティング装置等を用いて、各芯部22の表面に粉状の被覆材料(被覆部24を構成する材料)を付着させることにより、被覆部24を形成する。この被覆材料は、接着性材料34を含有している。このとき、被覆部24に占める接着性材料34の重量割合が被覆部14に占める接着性材料32の重量割合よりも小さくなるように、被覆部24を形成する。これにより、複数の粒状体20が得られる。
【0026】
図4は、本実施形態に係る製造方法の流れを説明するための図である。本実施形態において第2の芯部形成工程は、第1の芯部形成工程と、同一の装置を用いて同時に実行される(ステップS41)。すなわち、第1及び第2の芯部形成工程は、1つの工程として実行される。この工程においては、造粒装置を用いて共通の芯部材料を造粒することにより、芯部12及び芯部22となる複数の造粒物を形成する。その後、分割工程が実行される(ステップS42)。分割工程は、複数の造粒物を、所定の割合で第1のグループと第2のグループとに分ける工程である。第1のグループに分けられた造粒物が芯部12となり、第2のグループに分けられた造粒物が芯部22となる。
【0027】
第1の被覆部形成工程(ステップS43)においては、第1のグループに分けられた造粒物を対象として、被覆部14の形成が行われる。第2の被覆部形成工程(ステップS44)においては、第2のグループに分けられた造粒物を対象として、被覆部24の形成が行われる。なお、第1の被覆部形成工程と第2の被覆部形成工程とは、同時に実行してもよいし、順番に実行してもよい。後者の場合、第1の被覆部形成工程を第2の被覆部形成工程より先に実行してもよいし、第2の被覆部形成工程を第1の被覆部形成工程より先に実行してもよい。
【0028】
混合工程(ステップS45)は、第1の粒状体形成工程において形成された粒状体10と、第2の粒状体形成工程において形成された粒状体20とを混合する工程である。この工程においては、粒状体10の個数が粒状体10及び粒状体20の個数の合計の30%以上70%以下となるように、粒状体10及び粒状体20を混合することが好ましい。また、粒状体10の個数が粒状体10及び粒状体20の個数の合計の40%以上60%以下となるように、粒状体10及び粒状体20を混合することがより好ましい。この工程においては、混合された粒状体10及び粒状体20を撹拌することが好ましい。その後、篩分け、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。以上により、粒状体10と粒状体20とが混在した吸水処理材1が得られる。
【0029】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、粒状体10及び粒状体20が形成される。粒状体10は、接着性材料32を含有する被覆部14を有する。また、粒状体20は、接着性材料34を含有する被覆部24を有する。被覆部24に占める接着性材料34の重量割合は、被覆部14に占める接着性材料32の重量割合よりも小さい。このように接着性材料34の重量割合を小さくすることにより、接着性材料(接着性材料34)の使用量を節約することができる。また、製造後の吸水処理材1において、粒状体10に含有された接着性材料32の接着作用は、粒状体10の周囲の粒状体20にも及ぶ。このため、接着性材料34の重量割合を小さくしても、使用済みの粒状体10,20の固まり形成に関し、充分な固まり強度を確保することができる。したがって、製造コストの上昇を抑えつつ、使用済みの粒状体10,20の固まり強度を充分に確保することが可能な吸水処理材1、及びその製造方法が実現されている。
【0030】
接着性材料34の重量割合を小さくする程、接着性材料の使用量を節約することができる。かかる観点から、被覆部14に占める接着性材料32の重量割合をA%とし、被覆部24に占める接着性材料34の重量割合をB%としたとき、B≦0.8Aであることが好ましく、B≦0.5Aであることがより好ましい。他方、接着性材料34の重量割合が小さすぎると、接着性材料34の接着作用が不足し、使用済みの粒状体10,20の固まり形成に支障が生じかねない。かかる観点から、B≧0.1Aであることが好ましい。
【0031】
接着性材料の使用量を節約するには、吸水処理材1全体に占める粒状体10の割合が小さい方が有利である。かかる観点から、粒状体10の個数は、粒状体10及び粒状体20の個数の合計の70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。他方、粒状体10の割合が小さすぎると、接着性材料32の接着作用が不足し、使用済みの粒状体10,20の固まり形成に支障が生じかねない。かかる観点から、粒状体10の個数は、粒状体10及び粒状体20の個数の合計の30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。
【0032】
粒状体10及び粒状体20の双方に被覆部(被覆部14,24)が設けられている。これにより、使用済みの粒状体10,20間で被覆部どうしの結合が得られるため、粒状体10又は粒状体20の一方にしか被覆部が設けられていない場合に比して、粒状体10,20の固まりを安定的に形成することができる。
【0033】
芯部12と芯部22とは、略同一組成の材料からなる。これにより、芯部12の形成に用いる芯部材料と芯部22の形成に用いる芯部材料とを共通化することができる。しかも、芯部12と芯部22とは、略同一の形状及び大きさを有している。これにより、芯部12の形成に用いる造粒装置と芯部22の形成に用いる造粒装置とを共通化することができる。
【0034】
このように芯部12と芯部22とが略同一組成の材料からなるとともに、略同一の形状及び大きさを有する場合、これらの芯部12及び芯部22は、同一の装置を用いて同時に形成することが可能となる。実際、本実施形態においては、第1及び第2の芯部形成工程が、同一の装置を用いて同時に実行されている。これにより、粒状体10及び粒状体20が混在した吸水処理材1を効率良く製造することができる。このことも、吸水処理材1の製造コストの削減につながる。
【0035】
第1及び第2の芯部形成工程においては、造粒装置を用いて芯部材料を造粒することにより、芯部12,22となる複数の造粒物が形成される。そして、その後に分割工程が実行されて、これらの造粒物が、芯部12となる造粒物群(第1のグループ)と芯部22となる造粒物群(第2のグループ)とに分けられる。このように第1及び第2の芯部形成工程において形成される各造粒物は、分割工程が実行されて初めて、芯部12又は芯部22の何れになるのかが決定される。それゆえ、第1及び第2の芯部形成工程の段階では、芯部12となる造粒物と芯部22となる造粒物とを区別して扱う必要がない。このため、本実施形態においては、2種類の粒状体(粒状体10,20)が形成されるにもかかわらず、第1及び第2の芯部形成工程を1つの工程として、1種類の粒状体しか形成されない場合と同様に実行することができる。
【0036】
芯部12及び芯部22は、接着性材料を含有していない。これにより、接着性材料の使用量を節約し、吸水処理材1の製造コストを一層削減することができる。
【0037】
被覆部24の厚みは、被覆部14の厚みに略等しい。これにより、粒状体20の粒径を粒状体10の粒径に略等しくすることができる。このように粒状体10と粒状体20との粒径を揃えることは、吸水処理材1の美観を高めるのに有利である。
【0038】
吸水性ポリマーは液体を吸収すると膨潤する性質を有するため、吸収性ポリマーが含有された被覆部14は、液体吸収時に粒状体10の周囲に広がるように変形する。同様に、吸収性ポリマーが含有された被覆部24は、液体吸収時に粒状体20の周囲に広がるように変形する。これにより、被覆部14及び被覆部24が周囲の粒状体10,20を巻き込むようにして、粒状体10,20の固まりが形成される。したがって、吸水性ポリマーは、接着性材料32,34として特に好適に用いることができる。
【0039】
芯部12及び被覆部14が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体10を得ることができる。同様に、芯部22及び被覆部24が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体20を得ることができる。このように粒状体10,20が焼却処分に適していれば、使用済みの吸水処理材1を可燃ゴミとして捨てることもできるため、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0040】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、第1及び第2の芯部形成工程が同一の装置を用いて同時に実行される場合を例示した。しかし、第1及び第2の芯部形成工程は、異なる装置を用いて同時に実行されてもよい。また、第1及び第2の芯部形成工程は、同一又は異なる装置を用いて順番に実行されてもよい。その場合、第1の芯部形成工程を第2の芯部形成工程より先に実行してもよいし、第2の芯部形成工程を第1の芯部形成工程より先に実行してもよい。
【0041】
上記実施形態においては、芯部12と芯部22とが略同一組成の材料からなる場合を例示した。しかし、芯部12と芯部22とは、相異なる組成の材料からなっていてもよい。また、上記実施形態においては、芯部12と芯部22とが略同一の形状及び大きさを有する場合を例示した。しかし、芯部12と芯部22とは、形状又は大きさが相違していてもよい。
【0042】
上記実施形態においては、芯部12及び芯部22が何れも接着性材料を含有していない場合を例示した。しかし、芯部12及び芯部22の少なくとも一方が接着性材料を含有していてもよい。
【0043】
上記実施形態においては、被覆部14と被覆部24とが略等しい厚みを有する場合を例示した。しかし、被覆部14と被覆部24とは、相異なる厚みを有していてもよい。
【0044】
上記実施形態においては、吸水処理材が排泄物処理材である場合を例示した。しかし、吸水処理材は、嘔吐物を吸収する嘔吐物処理材、又は生ゴミ(生ゴミに含まれる水分)を吸収する生ゴミ処理材であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 吸水処理材
10 粒状体(第1の粒状体)
12 芯部(第1の芯部)
14 被覆部(第1の被覆部)
20 粒状体(第2の粒状体)
22 芯部(第2の芯部)
24 被覆部(第2の被覆部)
32 接着性材料(第1の接着性材料)
34 接着性材料(第2の接着性材料)
図1
図2
図3
図4