(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】車載機器用ブラケット、及び車載機器の保持装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
(21)【出願番号】P 2020099166
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2019137022
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】稲吉 裕一郎
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-012406(JP,A)
【文献】特開2019-006148(JP,A)
【文献】特開2018-144712(JP,A)
【文献】特開2017-171167(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/055906(JP,A1)
【文献】再公表特許第2018/092473(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドウガラスの内側において車載機器を保持するブラケットであって、
前記ウインドウガラスの車内側の面に固定されるベース部と、
前記ベース部から下方に突き出す左右の側部と、
第一位置と第二位置との間に亘る移動操作可能に組み付けられるロック部材とを備えており、
前記ロック部材が前記第一位置にある状態で、左右の前記側部間に横方向から入れ込まれる前記車載機器に備えられた被支持部を受け入れる少なくとも一つの支持部が形成されていると共に、
前記ロック部材を、前記支持部に前記被支持部を受け入れさせた状態において前記第二位置に移動操作されたときに、前記被支持部に押し当たって、前記車載機器を前後及び上下方向の双方又はいずれか一方においてガタつきなく保持する構成としてなる、車載機器用ブラケット。
【請求項2】
前記ロック部材はその基部を前記側部に回動可能に組み合わされると共に、前記ロック部材を前記第一位置においてその自由端を前記側部の外方に位置させ、かつ、前記第二位置においてその自由端を前記支持部に受け入れられた前記被支持部の後方に位置させるようにしてなる、請求項1に記載の載機器用ブラケット。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記第二位置において、前記支持部に受け入れられた前記被支持部における前記側部の外面から突き出した箇所に下方から押し当たる第一部分と、前記被支持部に後方から押し当たる第二部分とを備えてなる、請求項2に記載の車載機器用ブラケット。
【請求項4】
前記側部に、前記第二位置において、前記ロック部材の係合部が係合されて、前記ロック部材が前記第二位置にある状態を維持する被係合部を備えさせてなる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車載機器用ブラケット。
【請求項5】
左右の前記側部の双方に、前記ロック部材を備えさせてなる、請求項1~請求項4のいずれか1項記載の車載機器用ブラケット。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の車載機器用ブラケットと、
前記車載機器用ブラケットに嵌合により組み合わされるカバーとからなる車載機器の保持装置であって、
前記カバーの内側に、
前記カバーと前記車載機器用ブラケットとを嵌合により組み合わさせた状態において、前記第二位置にある前記ロック部材の前記第一位置への移動を阻止する阻止部を備えさせてなる、車載機器の保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウインドウガラスの内側において車載カメラなどの車載機器を前記ウインドウガラスに保持させるために用いられるブラケット、及び、これを含んで構成される車載機器の保持装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のウインドウガラス越しに車外を撮像する車載カメラを前記ウインドウガラスに取り付けるための保持装置として、特許文献1に示されるものがある。
【0003】
この保持装置は、車載カメラに取り付けられる第一ブラケットと、ウインドウガラスに取り付けられる第二ブラケットとを備えている。そして、ウインドウガラスに第二ブラケットを取り付けた状態から、車載カメラに取り付けられた第一ブラケットをウインドウガラスの内面に沿う向きにスライド移動させることにより、両ブラケットを嵌合させてウインドウガラスの内側に車載カメラを保持するようになっている。これにより、特許文献1の保持装置は、ウインドウガラスに対する車載カメラの取り付け時にウインドウガラスに対して外側に押圧する向きの力を作用させないものとなっている。これは、ウインドウガラスを車両本体の外側からその開口部に設置し且つ接着により車両本体側に固定する場合において、接着剤の硬化前に前記取り付けを行うにあたり格別の注意を生じさせない点で有効である。
【0004】
一方、特許文献1の保持装置は、前記第一ブラケットと前記第二ブラケットを前記スライド移動による嵌合によって組み合わせている。両ブラケットをガタつきなく嵌合させるためには両ブラケットの寸法精度を高める必要があるが、これには実際上限界があり、特に両ブラケットをプラスチックの成形品とする場合、ブラケットのサイズが大きくなればなるほど寸法精度を高く確保することは難しくなる。また、前記のようなガタつきを抑止しようとすればするほど、前記第二ブラケットに前記第一ブラケットをはめ込むときの挿入力が大きくなり易く、これは車載カメラの取り付け作業の円滑化の観点からは好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種の車載機器用ブラケットを、ウインドウガラスに対し押し上げる向きの力を作用させずにウインドウガラスに先に取り付けられたブラケットに車載機器を仮設置できるようにしながら、その後の後述のロック部材の操作によってこのロック部材を車載機器の後述の被支持部に押し当てることで嵌合によらずに車載機器をガタつきなく適切に保持できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、第一の観点から、車載機器用ブラケットを、
ウインドウガラスの内側において車載機器を保持するブラケットであって、
前記ウインドウガラスの車内側の面に固定されるベース部と、
前記ベース部から下方に突き出す左右の側部と、
第一位置と第二位置との間に亘る移動操作可能に組み付けられるロック部材とを備えており、
前記ロック部材が前記第一位置にある状態で、左右の前記側部間に横方向から入れ込まれる前記車載機器に備えられた被支持部を受け入れる少なくとも一つの支持部が形成されていると共に、
前記ロック部材を、前記支持部に前記被支持部を受け入れさせた状態において前記第二位置に移動操作されたときに、前記被支持部に押し当たって、前記車載機器を前後及び上下方向の双方又はいずれか一方においてガタつきなく保持する構成のものとした。
【0008】
かかる構成によれば、第一に、ウインドウガラスに固定したブラケットにけるベース部と左右の側部とにより形成される空間内に、車載機器を、ウインドウガラスに対し押し上げる向きの力を作用させることなく、前記被支持部を前記支持部に横方向から入れ込むことで、仮設置させることができる。そして、第二に、この仮設置状態から、ロック部材を第二位置に移動操作することで、車載機器としての車載カメラを、ウインドウガラスに対し押し上げる向きの力を作用させることなく、本設置させることができる。
【0009】
前記ロック部材はその基部を前記側部に回動可能に組み合わされると共に、前記ロック部材を前記第一位置においてその自由端を前記側部の外方に位置させ、かつ、前記第二位置においてその自由端を前記支持部に受け入れられた前記被支持部の後方に位置させるようにしておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【0010】
また、前記ロック部材を、前記第二位置において、前記支持部に受け入れられた前記被支持部における前記側部の外面から突き出した箇所に下方から押し当たる第一部分と、前記被支持部に後方から押し当たる第二部分とを備えたものとしておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【0011】
また、前記側部に、前記第二位置において、前記ロック部材の係合部が係合されて、前記ロック部材が前記第二位置にある状態を維持する被係合部を備えさせておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【0012】
また、左右の前記側部の双方に、前記ロック部材を備えさせておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【0013】
また、前記課題を達成するために、この発明にあっては、第二の観点から、車載機器の保持装置を、前記車載機器用ブラケットと、
前記車載機器用ブラケットに嵌合により組み合わされるカバーとからなる車載機器の保持装置であって、
前記カバーの内側に、前記組み合わせ状態において、前記第二位置にある前記ロック部材の前記第一位置への移動を阻止する阻止部を備えさせてなる、ものとした。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、前記ウインドウガラスに対し押し上げる向きの力を作用させずにウインドウガラスに先に取り付けられたブラケットの支持部を利用して車載機器を仮設置できるようにしながら、その後の後述のロック部材の操作によってこのロック部材を車載機器の前記被支持部に押し当てることで嵌合によらずに車載機器をガタつきなく適切に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、この発明の一実施の形態にかかるブラケットを前方から見て示した斜視図である。
【
図2】
図2は、前記ブラケットを後方から見て示した斜視図であり、車載カメラを組み合わせる直前の様子を車載カメラのカメラ本体を想像線で表して示している。
【
図3】
図3は、前記ブラケットの要部拡大図であり、前記要部を後方から見て示している。
【
図4】
図4は、前記ブラケットを後方から見て示した斜視図であり、前記ブラケットに車載カメラを本設置した様子を車載カメラのカメラ本体を想像線で表して示している。
【
図5】
図5は、前記ブラケットの要部拡大図であり、前記要部を側方から見て示している。
【
図6】
図6は、
図2の状態を側方から見て示した側面図であり、車載カメラのカメラ本体を想像線で表している。
【
図7】
図7は、
図7は前記ブラケットに車載カメラのカメラ本体を仮設置した状態を側方から見て示した側面図であり、車載カメラのカメラ本体を想像線で表している。
【
図8】
図8は、
図4の状態を側方から見て示した側面図であり、車載カメラを想像線で表している。
【
図9】
図9は、ロック部材を取り外した状態の前記ブラケットの側面図である。
【
図10】
図10は、前記ブラケットの要部及び前記ロック部材の斜視図である。
【
図11】
図11は、この発明の一実施の形態にかかる保持装置を構成するカバーを上方から見て示した斜視図である。
【
図12】
図12は、前記保持装置を構成するブラケットを前方から見て示した斜視図であり、前記ブラケットに車載カメラを本設置した様子を車載カメラのカメラ本体を想像線で表して示している。
【
図13】
図13は、前記保持装置を構成するブラケットに前記保持装置を構成するカバーを組み合わせた状態を後方から見て示した斜視図であり、車載カメラの記載を省略している。
【
図14】
図14は、前記保持装置を構成するブラケットに前記保持装置を構成するカバーを組み合わせた状態を示した平面図であり、車載カメラの記載を省略している。
【
図16】
図16は、前記保持装置を構成するブラケットに前記保持装置を構成するカバーを組み合わせる直前の状態を、これらを
図14におけるA-A線位置での破断して示した端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1~
図16に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるブラケット3は、車両のウインドウガラス越しに車外を撮像する車載カメラ2などの車載機器を前記ウインドウガラスに取り付けるためのものである。典型的には、かかるブラケット3は、自動車のフロントウインドウ1越しに車外を撮像する車載カメラ2を前記フロントウインドウ1に取り付けるために用いられる。なお、本明細書における車載カメラ2の概念には、狭義のカメラのみならず光学情報を受光するセンサなどの公知の装置を含む。
【0017】
図6~8中符号1はフロントウインドウ、符号3はブラケット、符号2bは車載カメラ2のカメラ本体である。車両の前後方向を
図1及び
図6中符号xで、車両の前方側を
図6中符号xaで、車両の後方側を
図6中符号xbで、それぞれ示す。また、車両の左右方向を
図1中符号yで、上下方向を
図1及び
図6中符号zで示す。
【0018】
フロントウインドウ1は、車両の前方側xaを傾斜下とする傾斜を備えている。ブラケット3はフロントウインドウ1の車内側の面1aに固定される。
【0019】
この実施の形態にあっては、フロントウインドウ1にブラケット3を固定した状態から、このブラケット3に対し、車載カメラ2を車両の後方側xbから車両の前方側xaに向けて所定位置まで横方向に移動操作することで、車載カメラ2をブラケット3に仮置きできるようになっている。そして、この仮置き状態から、後述のロック部材6を移動操作することで、ブラケット3に対し車載カメラ2を前後方向及び上下方向においてガタつきなく保持するようになっている。
【0020】
図示の例では、車載カメラ2は、撮像のための入光部2aを車両の前方側xaに向けるようにしてブラケット3を介してフロントウインドウ1に取り付けられる。
【0021】
図示の例では、車載カメラ2のカメラ本体2bは、その前端部2cと後端部2dとの間に、車両の前方側xaに向いた段差2eを有し、この段差2eに前記入光部2aを備えている。カメラ本体2bは、その前端部2cと段差2eまでの間では上下方向zの寸法を小さくし、段差2eと後端部2dとの間では上下方向zの寸法を大きくしている。
【0022】
カメラ本体2bの左右の側部2fにはそれぞれ、ブラケット3の後述の支持部5aに支持される被支持部2gが備えられている。被支持部2gは、カメラ本体2bの左右の側部2fにそれぞれ、前後方向に間隔を開けて、二箇所設けられている。二箇所の被支持部2gはそれぞれ、カメラ本体2bの側部2fから突き出す突起状を呈している。前側の被支持部2g’は、突き出し方向に直交する向きの断面を実質的に円形とした円柱状を呈している。後側の被支持部2g”は、突き出し方向に直交する向きの断面を実質的に五角形とした五角柱状を呈している。
【0023】
また、図示の例では、カメラ本体2bの左右の側部2fにはそれぞれ、前側の被支持部2g’と後側の被支持部2g”との間に、後述のブラケット3の側部5のブラケット3の中間部分5sに形成された受入部5tに後方から納まる被受入部2hが形成されている。この被受入部2hは、前方に縦向きの前側被当接部2iを有すると共に、この前側被当接部2iの上端との間に直角の隅部2kを形成するようにしてこの上端から後方に続く横向きの上側被当接部2jを有している(
図6参照)。
【0024】
ブラケット3は、前記フロントウインドウ1の車内側の面1aに固定されるベース部4と、
前記ベース部4から下方に突き出す左右の側部5と、
前記側部5の少なくとも一方に、第一位置と第二位置との間に亘る移動操作可能に組み付けられるロック部材6とを備えている。
【0025】
また、前記側部5には、前記ロック部材6が前記第一位置にある状態で、左右の前記側部5間に横方向から入れ込まれる前記車載機器としての車載カメラ2のカメラ本体2bに備えられた被支持部2gを受け入れる少なくとも一つの支持部5aが形成されている。
【0026】
図示の例では、ベース部4は、前辺4aと、後辺4bと、左辺4c及び右辺4dの四辺を備えた四角形の輪郭を備えている。ベース部4は、その上面において、接着などによりフロントウインドウ1の車内側の面1aに固定されるようになっている。フロントウインドウ1は前下がりの傾斜を持つことから、前記固定状態においてはベース部4もこれに倣って傾斜し、前辺4aよりも後辺4bが上方に位置されるようになっている。
図1中符号4eで示すのはカメラ本体2bの入光部2aに対応したベース部4に形成された導光孔である。
【0027】
左側の側部5は前記ベース部4の左辺4cから下方に突き出すように形成され、右側の側部5は前記ベース部4の右辺4dから下方に突き出すように形成されている。
【0028】
左右の側部5間に、前記車載カメラ2のカメラ本体2bが納まるようになっている。具体的には、ブラケット3のベース部4の下面にカメラ本体2bの上面を接しさせ、ブラケット3の左側の側部5の内面にカメラ本体2bの左側の側部2fを接しさせ、かつ、ブラケット3の右側の側部5の内面にカメラ本体2bの右側の側部2fを接しさせた状態で、ブラケット3を介してフロントウインドウ1に車載カメラ2が取り付けられるようになっている。
【0029】
カメラ本体2bの左右寸法は、前記前側の被支持部2g’の形成位置で広く、前記後側の被支持部2g”の形成位置でこれより狭くなっている。これに対応して、ブラケット3の側部5は、ブラケット3の前側に位置される左右の側部5間の距離を広くする前側部分5qと、ブラケット3の後側に位置される左右の側部5間の距離をこれより狭くする後側部分5rとを備えている。
【0030】
なお、ベース部4の前側からブラケット3を見た状態における左側の側部5は、右側の側部5と対称(ブラケット3の仮想の前後中心線を基準とした線対称)の形状となっているので、以下では、右側の側部5の構造について説明し、左側の側部5の構造の説明は省略する。
【0031】
図示の例では、前記側部5を構成する前側部分5qと、後側部分5rとにそれぞれ、支持部5aが形成されている。
【0032】
前側部分5qの支持部5a(以下、前側支持部5a’と称する。)は、この前側部分5qを上下に分割する透かし溝状を呈している。前側支持部5a’は、ブラケット3のフロントウインドウ1への固定状態において、横向きとなる下側溝壁5b及び上側溝壁5cを有すると共に、溝前端5dを閉塞し、溝後端5eを開放させている(
図9参照)。下側溝壁5bと上側溝壁5cとの距離は カメラ本体2bの前側の支持部5aの太さよりもやや大きくなっている。下側溝壁5bは、その全長の略中程の位置と溝後端5eとの間を、溝後端に向かうに連れて下側溝壁5bと上側溝壁5cとの間の距離を漸増させるように傾斜させている。
【0033】
後側部分5rの支持部5a(以下、後側支持部5a”と称する。)は、前記ベース部4側から縦向きに垂下する柱状部5fと、この柱状部5fの下端部から後方に突き出す腕板部5gとを備えた形態となっている。柱状部5fの内面と腕板部5gの内面は同面上に位置されるが、柱状部5fの外面よりも腕板部5gの外面は内側に位置され、両者の外面間には後述のロック部材6の厚さ分の段差5o(
図9参照)が形成されている。ブラケット3のフロントウインドウ1への固定状態において腕板部5gの上辺5hは横向きとなる。この腕板部5gの上辺5hと後辺5iとが接する隅部には上方に突き出す仮保持突起5jが形成されている。
【0034】
図示の例では、前記ブラケット3の側部5における前側部分5qと後側部分5rとの間に、ブラケット3の中間部分5sが形成されている。ブラケット3の中間部分5sは、ブラケット3のフロントウインドウ1への固定状態において、横向きとなる上側当接部5uと、縦向きとなる前側当接部5vとを備え、後方及び下方において開放されたカメラ本体2bの側部5に形成された被受入部2hの受入部5tを備えている。
【0035】
これにより、この実施の形態にあっては、前記のようにブラケット3をフロントウインドウ1に固定させた状態から、前記ロック部材6が前記第一位置にある状態で、ブラケット3のベース部4の下方においてブラケット3の左右の前記側部5間に横方向から車載機器としての車載カメラ2のカメラ本体2bを、以下のようにして、入れ込み、仮置きすることができる(
図6から
図7)。
(1)カメラ本体2bの左右においてそれぞれ、カメラ本体2bの前側の被支持部2g’をブラケット3の側部5の前側支持部5a’に後方から導入し、前側支持部5a’の溝前端5d側に至らしめる。この導入は前記下側溝壁5bの傾斜により容易化される。
(2)カメラ本体2bの左右においてそれぞれ、カメラ本体2bの被受入部2hをブラケット3の受入部5tに、被受入部2hの前側被当接部2iが受入部5tの前側当接部5vに後方から突き当たり、且つ、被受入部2hの上側被当接部2jが受入部5tの上側当接部5uに下方から突き当たるようにして、後方から納める。
(3)カメラ本体2bの左右においてそれぞれ、カメラ本体2bの後側の被支持部2g”をブラケット3の側部5の後側支持部5aの腕板部5g上であって前記柱状部5fと仮保持突起5jとの間に位置されるように後方から導入する。
【0036】
そして、この実施の形態にあっては、前記ロック部材6を、前記支持部5aに前記被支持部2gを受け入れさせた状態において前記第二位置に移動操作されたときに、前記被支持部2gに押し当てさせて、前記車載機器を前後及び上下方向においてガタつきなく保持する構成としている。
【0037】
これにより、この実施の形態にあっては、第一に、ウインドウガラスに固定したブラケット3におけるベース部4と左右の側部5とにより形成される空間内に、車載機器としての車載カメラ2を、ウインドウガラスに対し押し上げる向きの力を作用させることなく、前記被支持部2gを前記支持部5aに横方向から入れ込むことで、仮設置させることができる。そして、第二に、この仮設置状態から、ロック部材6を第二位置に移動操作することで、車載機器としての車載カメラ2を、ウインドウガラスに対し押し上げる向きの力を作用させることなく、本設置させることができる。
【0038】
前記ロック部材6は、その基部6aをブラケット3の前記側部5に回動可能に組み合わされて前記側部5に組み合わされている。
【0039】
具体的には、前記ロック部材6は、前記第一位置においてその自由端6bを前記ブラケット3の前記側部5の外方に位置させ(
図1、
図2、
図3、
図6,
図7)、かつ、前記第二位置においてその自由端6bを前記支持部5aに受け入れられた前記被支持部2gの後方に位置させる構成となっている(
図4、
図5,
図8)。
【0040】
また、前記ロック部材6は、前記第二位置において、前記支持部5aに受け入れられた前記被支持部2gにおける前記ブラケット3の前記側部5の外面から突き出した箇所に下方から押し当たる第一部分6cと、前記被支持部2gに後方から押し当たる第二部分6dとを備えている。
【0041】
この実施の形態にあっては、前記ロック部材6は、ブラケット3の左右の側部5においてそれぞれ、後側部分5rにのみ備えられている。
【0042】
また、前記ロック部材6は、前記後側部分5rを構成する柱状部5fにその基部6aを回動可能に組み合わさせてている。
【0043】
図示の例では、ロック部材6は、第二位置において、後側部分5rの腕板部5gの外面5kに一面を突き当てる板状主部6eと、この板状主部6eの前部から前方に突き出す上腕部6f及び下腕部6gと、上腕部6fの前端から上方に突き出す上側軸部6h及び下側軸部6iとを備えており、この上腕部6f、下腕部6g、上側軸部6h及び下側軸部6iから前記基部6aが構成されている。また、板状主部6eの後端すなわち自由端6bには、この自由端6bから上方に突き出す前記第二部分6dとしての締め込み用突部6jが備えられている。ロック部材6が第二位置にある状態においてこの締め込み用突部6jの前部は前記仮保持突起5jの前部よりも前方に位置し、ロック部材6が第二位置に回動される過程で後側の被支持部2g”の後方に押し込み状に導入されて前記第二部分6dとして機能するようなっている(
図5)。また、ロック部材6の板状主部6eの上部6kは後側部分5rの支持部5aを構成する腕板部5gの上辺5hよりもやや高いレベルに位置し、ロック部材6が第二位置に回動される過程で後側の被支持部2g”の下側に押し込み状に導入されて前記第一部分6cとして機能するようなっている(
図5参照)。
【0044】
前記後側部分5rの柱状部5fの外面には、ロック部材6の上側軸部6hを回動可能に納める軸受け凹部5mが形成されている(
図9参照)。また、柱状部5fにおける軸受け凹部5mよりも下方に位置される部分が上腕部6fと下腕部6gとの間に納まってロック部材6の回動を略90度の範囲に規制する回動規制部5nとなっている。この回動規制部5nの上部に下側軸部6iが回動可能に納まるようになっている(
図5参照)。
【0045】
これにより、図示の例では、ロック部材6は、前記板状主部6eの板面を前記側部5の外面に対し実質的に直交させた第一位置と、前記板状主部6eの板面を前記側部5の外面に実質的に平行とさせた第二位置との間に亘る回動可能に、前記ブラケット3の側部5に備えられている。図示の例では、ロック部材6は、その回動中心軸を実質的に上下方向に沿わせた態様となっている。
【0046】
ロック部材6が第一位置にある状態においては、後側部分5rの支持部5aに後方からカメラ本体2bの被支持部2gを導入して載せ置くことができる。一方、前記仮設置状態からロック部材6を第二位置に回動させると、被支持部2gの後方に前記第二部分6dとしての締め込み用突部6jが位置されると共に、ロック部材6の一部である前記第一部分6cとしての板状主部6eの上部6k及び前記第二部分6dとしての締め込み用突部6jを被支持部2gに押し当てることができ、これにより、ロック部材6とブラケット3の側部5における車載カメラ2のカメラ本体2bに接する部分との間でカメラ本体2bを挟み付けるようにして、前記車載カメラ2を前後及び上下方向においてガタつきなく保持する前記本設置状態に移行可能となっている。
【0047】
具体的には、図示の例では、車載カメラ2の前後方向のガタつきは、ブラケット3のブラケット3の中間部分5sの受入部5tの前側当接部5vと第二位置にあるロック部材6の締め込み用突部6jとの間の距離d1(
図8参照)を、車載カメラ2の被受入部2hの前側被当接部2iと車載カメラ2の後側の被支持部2g”の後端との間の距離d2(
図6参照)と実質的に一致させることで抑制されるようにしてある。
【0048】
また、車載カメラ2の上下方向のガタつきは、ブラケット3のブラケット3の中間部分5sの受入部5tの上側当接部5uと第二位置にあるロック部材6の板状主部6eの上部6kとの間の距離d3(
図8参照)を、車載カメラ2の被受入部2hの上側被当接部2jと車載カメラ2の後側の被支持部2g”の下端との間の距離d4(
図6参照)と実質的に一致させると共に、ブラケット3の前側支持部5a’の下側溝壁5bと第二位置にあるロック部材6の板状主部6eの上部6kとの間の距離d5(
図8参照)を、車載カメラ2の前側の被支持部2g’の下端と車載カメラ2の後側の被支持部2g”の下端との間の距離d6(
図6参照)と実質的に一致させることで抑制されるようにしてある。
【0049】
また、この実施の形態にあっては、前記ブラケット3の側部5には、前記第二位置において、前記ロック部材6の係当部6mが押し当てられる被係当部5wが備えられている。
【0050】
図示の例では、ロック部材6の板状基部6aにおける上腕部6fと下腕部6gとの間に位置される箇所に、第一位置においてはブラケット3における後側支持部5aの柱状部5fに接しないが(
図3参照)、第二位置においてはこの柱状部5fに圧接される(
図5参照)突起状の係当部6mを備えさせている。
【0051】
また、この実施の形態にあっては、前記ブラケット3の側部5には、前記第二位置において、前記ロック部材6の係合部6nが係合して、前記ロック部材6が前記第二位置にある状態を維持する被係合部5xが備えられている。
【0052】
図示の例では、前記係合部6nはロック部材6の下腕部6gの上部により構成されている。ブラケット3の側部5の柱状部5fの下端には、ロック部材6が第二位置にある状態において前記係合部6nが入り込む被係合部5xが形成されている。この被係合部5xは下端開口の中空の柱状部5fの後辺5f’を割欠く溝状を呈している(
図10参照)。第一位置にあるロック部材6を第二位置に回動させきる過程で、係合部6nが柱状部5fの下端にあたって下腕部6gがやや下向きに弾性変形して柱状部5fの下端下に下腕部6gが入り込むと共に、ロック部材6が第二位置に回動しきった位置での下腕部6gの弾性復帰により前記係合部6nが前記被係合部5xに入り込んでロック部材6が第二位置に至った後はこの第二位置にある状態からロック部材6が予期せず第一位置側に向けて復動回動することがないようになっている。なお、図示の例では、柱状部5fの下端には、ロック部材6が第一位置にある状態において前記係合部6nが入り込む追加被係合部5yも形成されている。この追加被係合部5yは柱状部5fの側辺5f”を割欠く溝状を呈している(
図10参照)。第一位置にあるロック部材6を第二位置に向けて回動操作すると、下腕部6gがやや下向きに弾性変形して追加被係合部5yから係合部6nが抜けだし、第二位置に至るロック部材6の回動が許容されるようになっている。
【0053】
また、この実施の形態にあっては、前記ブラケット3における左右の前記側部5の双方に、前記ロック部材6を備えられている。
【0054】
これにより、この実施の形態にあっては、ブラケット3に前記のように仮設置された車載カメラ2のカメラ本体2bは、左側の側部5に備えられたロック部材6を第一位置から右側に回動させて第二位置に位置づけると共に、右側の側部5に備えられたロック部材6を第一位置から左側に回動させて第二位置に位置づけることで、ブラケット3に本設置されることとなり、左右のロック部材6を同時に操作することでこの本設置状態への移行時に左側又は右側のいずれか一方に偏った力をブラケット3を介してウインドウガラスに作用させることもないようになっている。
【0055】
以上に説明したブラケット3と、前記のようにブラケット3に車載カメラ2のカメラ本体2bを本設置した状態から、ブラケット3の外側に取り付けられるカバーとから、車載機器の保持装置が構成される。
【0056】
図11~
図16は、かかる保持装置の一例を示している。この保持装置を構成するカバー7は、前記車載機器用ブラケット3に嵌合により組み合わされるようになっている。
【0057】
カバー7は、前面部7aと、左右の側面部7bと、底面部7cとを備え、上方及び後方を開放させた形態となっている。
【0058】
カバー7の左右の側面部7bにはそれぞれ、その内面側に、前側嵌合部8と、後側嵌合部9とが備えられている。
【0059】
カバー7の左右の側面部7bにはそれぞれ、この側面部7bからカバー7の中央側に向けて突き出す前側支持部7dと、同様にカバー7の中央側に向けて突き出す後側支持部7fとが形成されている。
【0060】
前側嵌合部8は、その前端を前側支持部7dにおける車両の後方側xbに向けられた面部7eに一体化させてこの後方側xbに向けて延びる突片状をなしている。図示の例では、前側嵌合部8は、前記面部7eに略直交する向きに延びる基部部分8aと、この基部部分8aに続いて上方に向けて斜めに延びる斜上部分8bとを備えている。
【0061】
後側嵌合部9は、後側支持部7fにおける車両の後方側xbに向けられた面部7gからこの後方側に向けて延びる下側片9aと、この下側片9aの上側に位置されると共にこの下側片9aの後端との間に屈曲部9bを形成させて前記面部7g側に延びてこの面部7gに自由端9dを向き合わせた上側片9cとを備えてなる。この上側片9cは下側片9aとの間の距離をその自由端9dに近づくに連れて漸増させるように構成されている。
【0062】
一方、前記保持装置を構成するブラケット3は、左右の側部5にそれぞれ、前側被嵌合部10と、後側被嵌合部11とを備えている。
【0063】
前側被嵌合部10は、前記側部5の前辺から車両の後方側xbに向けて延びる割溝10aとなっている。割溝10aの前端は車両の前方側xaに開放され、割溝10aの後端は前記前側支持部5a’の前側下方に位置されている。
後側被嵌合部11は、前記側部5の後側部分5rの外面であって、前記後側支持部5a”より上方に位置される箇所に形成された中空の張り出し部11aの前壁に形成された穴によって構成されている。
【0064】
この保持装置にあっては、前記のようにブラケット3に車載カメラ2のカメラ本体2bを本設置した状態から、
図16に示されるように、カバー7の開放された後方側からカバー7内にブラケット3側が入り込むようにフロントウインドウ1の車内側の面1aにカバー7の上縁を摺らせるようにしてカバー7を車両の後方側に向けてスライド移動させると(
図16における矢印の向き)、カバー7の左右においてそれぞれ、前側嵌合部8がブラケット3の前側被嵌合部10に嵌まり込むと共に、後側嵌合部9がブラケット3の後側被嵌合部11に嵌まり込むようになっている。これにより、この例にあっては、前記カバー7とブラケット3とを、ウインドウガラスの内側において、車載カメラ2のカメラ本体2bが本設置されたブラケット3の上側と後側とを除いた四方向をカバー7で覆うようにして、ワンタッチで組み合わせることができるようにしている(
図13~
図15参照)。
【0065】
具体的には、
図15に示されるように、前側被嵌合部10としての割溝10aの幅は、前側嵌合部8の基部部分8aの下面8cと斜上部分8bの最上面8dとの距離よりもやや狭く、前側嵌合部8はその後端側を下方にやや撓めた状態で前記割溝10aに嵌め入れられるようになっている。
また、前記後側被嵌合部11としての前記穴の上下方向zの寸法は、後側嵌合部9の下側片9aの基部と上側片9cの自由端9dとの間の距離よりやや小さく、後側嵌合部9はその上側片9cを下方にやや撓めて前記張り出し部11aの前壁における穴の穴縁に張り出し部11aの内部において上側片9cの自由端9dを係合させた状態で前記穴に嵌め入れられるようになっている。
【0066】
なお、前記保持装置を構成するブラケット3のその余の構成は、
図1~
図10に示されるブラケット3と実質的に同一であるので、この実質的に同一の構成については前記保持装置を構成するブラケット3を表す
図11~
図16に
図1~
図10で用いた符号と同一の符号を付してその説明は省略する。
【0067】
また、この保持装置にあっては、前記カバー7の内側に、前記のようにカバー7とブラケット3とを組み合わせた状態において、前記第二位置にある前記ロック部材の前記第一位置への移動を阻止する阻止部12が備えられている。
【0068】
かかる阻止部12は、カバー7の左右の側面部7bのそれぞれにおいて、後側支持部7fとカバー7の底面部7cとの間となる箇所に備えられている。
【0069】
図示の例では、カバー7の後側には、前記前後方向xに沿った内辺12bと、カバー7の側面部7bの内面と一体化された外辺12cと、前辺12dと、後辺12eとを備え、下面12fをカバー7の底面部7cの内面に向き合わせた板状体12aが支持されている。左右の板状体12aの内辺12b間の距離D(
図11参照)は、ブラケット3の左右の側部5の外面間の距離と実質的に等しくなるようにしてある。これにより、この保持装置にあっては、前記のようにカバー7とブラケット3とを組み合わせると、前記第二位置にある前記ロック部材6の外側方に位置される前記板状体12aの内辺12bによって前記ロック部材6の前記第一位置への移動が阻止される。すなわち、この保持装置にあっては、前記板状体12aの内辺12bが前記阻止部12として機能するようになっている。
【0070】
以上に説明した実施の形態における弾性変形特性を備えるべき部分及び部品に対するこの特性の付与は、かかる部分、かかる部分を含んだ全体、かかる部品をプラスチック成形品とすることで容易に確保し得る。
【0071】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0072】
2g 被支持部
4 ベース部
5 側部
5a 支持部
6 ロック部材