(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】ウェルプレート混合装置
(51)【国際特許分類】
B01F 31/22 20220101AFI20230706BHJP
B01F 31/50 20220101ALI20230706BHJP
B01F 35/214 20220101ALI20230706BHJP
B01F 35/33 20220101ALI20230706BHJP
B01F 35/52 20220101ALI20230706BHJP
C12M 1/02 20060101ALI20230706BHJP
B01F 101/44 20220101ALN20230706BHJP
【FI】
B01F31/22
B01F31/50
B01F35/214
B01F35/33
B01F35/52
C12M1/02
B01F101:44
(21)【出願番号】P 2020532749
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(86)【国際出願番号】 US2018065088
(87)【国際公開番号】W WO2019133248
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-08
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509027021
【氏名又は名称】サーモ エレクトロン サイエンティフィック インストルメンツ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】サフロン ナサニエル エス
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー マシュー ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】コフィン ジョン マギー
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02631007(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0081499(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0044495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 31/00-87
B01F 35/00-95
C12M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェルプレートを混合するための装置であって、
固定支持体、
ウェルプレート、ベースプレート、および前記固定支持体に対して移動可能なウェルを含
み、前記ウェルが、前記ウェルプレート内に配置され、前記ベースプレートの少なくとも一部分が前記固定支持体から離間している、ウェルプレートアセンブリと、
前記ウェルの上に配置された第1の部分および前記ウェル内に配置された第2の部分を有する、固定センサマウントと、
前記固定センサマウントおよび前記固定支持体に対して前記ウェルプレートアセンブリを垂直方向に移動させるように動作可能な複数の電磁石
を有する電磁石アセンブリと、を備える、装置。
【請求項2】
各電磁石が、
磁石ハウジング内に固定された電磁コイルと、
前記磁石ハウジングに対して移動可能であり、かつ前記ウェルプレートアセンブリに固設された永久磁石と、
前記ウェルプレートアセンブリと前記固定支持体との間に配置されたばねアセンブリと、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電磁石アセンブリが、
複数の追加の電磁石と、
前記ウェルプレートアセンブリと前記固定支持体との間に配置された複数の追加のばねアセンブリと、を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の電磁石が、同位相で同時に動作する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の電磁石が、前記ウェルを垂直方向および水平方向の両方に移動させるように、位相がずれた状態で動作する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記ウェルが、水平方向に移動するよりも垂直方向に長い距離を移動する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ばねアセンブリが、
前記ウェルプレートアセンブリと前記固定支持体の
上面との間に捕捉された第1のばねと、
前記ウェルプレートアセンブリと前記固定支持体の
下面との間に捕捉された第2のばねと、を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記ベースプレートが、前記固定支持体の下に位置付けられた下部ベースプレート部分および前記固定支持体の上に位置付けられた上部ベースプレート部分を備え、
前記第1のばねが、前記上部ベースプレート部分と前記固定支持体との間に位置付けられた上部ベースプレートばねを備え、
前記第2のばねが、前記下部ベースプレート部分と前記固定支持体との間に位置付けられた下部ベースプレートばねを備える、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
複数の追加のセンサマウントをさらに備え、前記ウェルプレートアセンブリが、複数のウェルを含み、各追加のセンサマウントが、前記ウェルの1つの上に配置された第1の部分と、前記ウェルの1つ内に配置された第2の部分と、を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記電磁石アセンブリが、約30Hzで振動する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記電磁石アセンブリが、前記ウェルを約1mm垂直方向に変位させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記センサマウントが、前記ウェルの上に配置された第1の部分と、前記ウェル内に配置された第2の部分と、を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記センサマウントが、プラスチック、金属、セラミック、シリコン、ガラス、およびPCBのうちの1つで形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記センサマウントに固設されたセンサをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記センサが、前記センサマウントの側面および底部のうちの1つに固設される、請求項
14に記載の装置。
【請求項16】
前記センサが、カーボンナノチューブセンサである、請求項
14に記載の装置。
【請求項17】
前記センサマウントが、細長いプレートの形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
ウェルプレートを混合するための装置であって、
ウェルプレートアセンブリであって、
固定支持体と、
前記固定支持体から離間している上部ベースプレート部分と、前記固定支持体から離間している下部ベースプレート部分と、を有する、ベースプレートと、
複数のウェルを含み、前記固定支持体から離間した部分を有し、かつ前記固定支持体に対して移動可能であるウェルプレートと、を備える、ウェルプレートアセンブリと、
複数の固定センサマウントであって、各センサマウントが、前記複数のウェルのうちの選択された1つの上に配置された第1の部分と、選択されたウェル内に配置された第2の部分とを有する、複数の固定センサマウントと、
複数のセンサであって、各センサが、前記センサマウントの選択された1つに固設される、複数のセンサと、
前記固定支持体および前記固定センサマウントに対して垂直方向に前記ウェルプレートアセンブリを移動させるように動作可能な電磁石アセンブリであって、前記電磁石アセンブリが、
複数の電磁石であって、各電磁石が、
磁石ハウジングと、
前記磁石ハウジング内に固定された電磁石と、
前記磁石ハウジングに対して移動可能であり、かつ前記ベースプレートに固設された永久磁石と、を備える、複数の電磁石と、
前記ベースプレートと前記固定支持体との間に捕捉された複数のベースプレートばねを備える、ばねアセンブリと、を備える、電磁石アセンブリと、を備える、装置。
【請求項19】
前記複数の電磁石が、同位相で同時に動作する、請求項
18に記載の装置。
【請求項20】
前記複数の電磁石が、前記ウェルを垂直方向および水平方向の両方に移動させるように、位相がずれた状態で動作する、請求項
18に記載の装置。
【請求項21】
前記ウェルが、水平方向に移動するよりも垂直方向に長い距離を移動する、請求項
20に記載の装置。
【請求項22】
前記電磁石が、約30Hzで振動する、請求項
18に記載の装置。
【請求項23】
前記電磁石アセンブリが、前記ウェルを約1mm垂直方向に変位させるように構成される、請求項
18に記載の装置。
【請求項24】
各センサマウントが、プラスチック、金属、セラミック、シリコン、ガラス、およびPCBのうちの1つで形成される、請求項
18に記載の装置。
【請求項25】
各センサが、前記選択されたセンサマウントの側面および底面のうちの1つに固設される、請求項
18に記載の装置。
【請求項26】
各センサが、カーボンナノチューブセンサである、請求項
18に記載の装置。
【請求項27】
各センサマウントが、細長いプレートの形状を有する、請求項
18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月28日に提出された米国仮特許出願第62/611,005号の利益を主張する。この出願の内容は、その全体が参照により組み込まれている。
【0002】
本発明の態様は、概して、ウェルプレート用の混合装置に関し、より具体的には、電磁石アセンブリを使用して、固定されたセンサマウントに対してウェルプレートを移動させる混合装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ウェルプレートは、これまで多くの種類の化学的および生物学的試験およびスクリーニングの業界標準であり、かつ現在もそうである。従来技術のウェル混合装置は、振動プレートおよび軌道運動プレートを含む。ウェルプレートの構成の変更により、このような方法の効果が低下している。ウェルプレートの密度は、48から96、386、1536ウェルに移行し、各ウェルの表面積と体積の比率が大幅に減少した。マイクロプレートウェルの体積が減少すると、表面張力および背の高い、薄いウェルのアスペクト比などの変数により、従来の混合技術の効果が低下した。ウェルの直径が小さくなると、レイノルズ数が減少し、粘性力がウェル内の対流力よりも支配的になり、ウェルの内容物を混合する取り組みの効果が低下する。したがって、ウェルプレートの移動だけでは、ウェルの内容物を混合するのに十分な方法ではない。ウェルに溶液をピペットで複数回入れるおよび出すことは、ウェルの内容物の混合に効果的であるが、自動化されておらず、かつ再現可能ではない。超音波混合も使用されているが、熱がウェルに導入され、タンパク質、DNA、および細胞のような特定の分子種に損傷を与える可能性があり、これらは、ウェルプレートの研究の多くで重要な関心事である。
【0004】
従来の既知のプロセスに固有の問題の一部またはすべてを低減または克服するウェル混合装置を提供することが望ましいであろう。特定の実施形態の以下の開示および詳細な説明を考慮すると、特定の目的および利点は、当業者、すなわち、この技術分野における精通している、または経験している者には明らかであろう。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様によれば、混合装置は、固定支持体を含むウェルプレートアセンブリと、固定支持体に対して移動可能なウェルと、を含む。固定センサマウントは、ウェルの上に配置された第1の部分と、ウェル内に配置された第2の部分と、を有する。複数の電磁石は、固定センサマウントおよび固定支持体に対してウェルプレートアセンブリを垂直方向に移動させるように動作可能である。
【0006】
別の態様によれば、ウェルプレートを混合するための装置は、固定支持体を有するウェルプレートアセンブリと、固定支持体から離間した上部ベースプレート部分および固定支持体から離間した下部ベースプレート部分を有するベースプレートと、複数のウェルを含み、かつ固定支持体に対して移動可能なウェルプレートと、を含む。複数の固定センサマウントの各々は、複数のウェルのうちの選択された1つの上に配置された第1の部分と、選択されたウェル内に配置された第2の部分と、を有する。複数のセンサの各々は、センサマウントの選択された1つに固設される。電磁石アセンブリは、固定支持体および固定センサマウントに対してウェルプレートアセンブリを垂直方向に移動させるように動作可能である。電磁石アセンブリは、複数の電磁石を含み、電磁石の各々は、磁石ハウジングと、磁石ハウジング内に固定された電磁石と、磁石ハウジングに対して移動可能であり、かつベースプレートに固設された永久磁石と、を含む。ばねアセンブリは、ベースプレートと固定支持体との間に捕捉された複数のベースプレートばねを含む。
【0007】
ここに開示されるこれらおよび追加の特徴および利点は、特定の実施形態の以下の詳細な開示、その図面、および特許請求の範囲からさらに理解されよう。
【0008】
本実施形態の前述および他の特徴および利点は、添付の図面と併せて、例示的な実施形態の以下の詳細な記載からより完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1の混合装置の電磁石の部分的に切り取られた断面図である。
【
図3】
図1の混合装置のばねアセンブリの部分的に切り取られた断面図である。
【
図4】
図1の混合装置のウェル内のセンサマウントの概略正面図である。
【
図5】
図1の混合装置のウェル内のセンサマウントの概略側面図である。
【
図6】
図1の混合装置のウェル内のセンサマウントの平面図である。
【
図7】
図1の混合装置のウェル内のセンサマウントの代替実施形態の概略正面図である。
【
図8】
図1の混合装置のウェル内のセンサマウントの別の代替実施形態の概略正面図である。
【0010】
上記で参照した図は、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、特定の実施形態の表現を提供することが理解されるべきであり、本質的に単に概念的であり、関係する原理の例示にすぎない。図面に示した混合装置のいくつかの特徴は、説明および理解を容易にするために、他のものに対して拡大または歪められている。同じ参照番号は、様々な代替実施形態に示される類似または同一の構成要素および特徴について図面で使用される。本明細書に開示されるウェルプレートのための混合装置は、それらが使用される意図された用途および環境によって部分的に決定される構成および構成要素を有するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、ウェルプレートアセンブリ12の内容物を混合するために使用され得る代表的な混合装置10を示す。ウェルプレートアセンブリ12は、ウェルプレート16内に配置された1つ以上のウェル14を含む。特定の実施形態では、ウェルプレート16は、1536もの多くのウェル14、および少なくとも24のウェル14を有し得る。ウェルプレート16は、任意の数のウェル14を含み得ることが理解されるべきである。
【0012】
1つ以上の固定センサマウント18は、各センサマウント18がウェル14の上に配置された第1の部分20を有し、第2の部分22がウェル14内に配置されるように位置付けられる。以下でより詳細に記載されるように、センサマウント18は、ウェル14の内容物を混合する働きをする。特定の実施形態では、センサマウント18は、プラスチック、金属、セラミック、シリコン、ガラス、またはPCBから形成され得る。
【0013】
ベースプレート24は、ウェルプレート16の下で、かつ当接関係で位置付けられる。ウェルプレート16およびベースプレート24は、互いに結合されているので、ベースプレート24が動くと、ウェルプレート16もそれに応じて動く。それらは、ウェルプレート16、クランプ、ファスナーなどに作用する重力を含む任意の数の手段によって結合することができる。いくつかの実施形態では、混合装置10は、ウェルプレートアセンブリ12の迅速な取り外しおよび/または交換を容易にするように特に設計される。
【0014】
電磁石アセンブリ25は、以下により詳細に記載される複数の電磁石26を含み、ベースプレート24の下に位置付けられる。電磁石26は、ウェルプレートアセンブリ12を固定支持体30に対して移動させる働きをし、それにより、その中に配置された固定センサマウント18に対して各ウェル14を移動させる。特定の実施形態では、ウェルプレートアセンブリ12は、固定支持体30に対して、(矢印Aで示すように)主に垂直方向に、またはZ方向に移動する。以下でより詳細に記載された特定の実施形態では、電磁石26は、ウェルプレートアセンブリ12をXおよびY方向において、水平方向にも移動させる働きをすることを理解されるべきである。
【0015】
ウェルプレートアセンブリ12を囲む固定支持体30の部分28は、ベースプレート24に形成され、上部ベースプレート部分24aおよび下部ベースプレート部分24bを画定する凹部32に受け入れられる。固定支持体の部分28は、ウェルプレートアセンブリ12と接触しないように、凹部30内に位置付けられる。したがって、上部ベースプレート部分24aおよび下部ベースプレート部分24bはそれぞれ、固定支持体30から離間しており、固定支持体30に対してベースプレート24およびウェルプレートアセンブリ12の移動を可能にする。
【0016】
使用中、電磁石26が作動すると、ウェルプレートアセンブリ12は、固定支持体30およびセンサマウント18の両方に対して移動する。以下により詳細に記載されるように、ウェル14がセンサマウント18に対して移動するとき、ウェル14内の液体は、ウェル14の動きだけでなく、ウェル14内のセンサマウント18の動きによっても混合される。
【0017】
図2は、電磁石26をより詳細に示す。電磁石26は、磁石ハウジング42内に配置された電磁コイル40を含む。永久磁石44は、磁石ハウジング42内に部分的に位置付けられ、かつベースプレート24の底面に形成された磁石凹部45内に部分的に位置付けられる。永久磁石44はベースプレート24に固設されており、永久磁石44が移動すると、ウェルプレート16および当然のことながらウェル14も移動する。
【0018】
特定の実施形態では、電磁石アセンブリ25は、ベースプレート24の真下およびウェルプレートアセンブリ12の下に位置付けられた4つの電磁石26を含み、
図1では2つしか見えない。電磁石アセンブリ25は、任意の所望の数の電磁石26を含むことができることが理解されるべきである。
【0019】
電磁石アセンブリ25の別の部分が
図3に示されており、ばねアセンブリ46は、ウェルプレートアセンブリ12の下のベースプレート24内に、具体的には、上部ベースプレート部分24aと下部ベースプレート部分24bとの間に収容されていることを見ることができる。ばねアセンブリ46は、電磁石26と協働して、ベースプレート24、ウェルプレート16、およびウェル14を固定支持体30に対して移動させる。ウェルプレート16およびウェル14は、ばねアセンブリ46の付勢作用とともに、およびこれに抗して、固定支持体30に対して(矢印Cで示すように)主に垂直方向に、またはZ方向に移動する。上記のように、ウェルプレートアセンブリ12のウェルプレート16およびウェル14は、XおよびY方向に水平方向にも移動することができる。
【0020】
ばねアセンブリ46は、下部ベースプレート部分24bと固定支持体30との間に捕捉される第1のばね48を含む。第1のばね48の第1の下端部50は、下部ベースプレート部分24bの上面に形成されたベースプレート凹部52に着座する。第1のばね48の第2の上端部54は、固定支持体30の底面に形成された第1の固定支持凹部56に着座する。
【0021】
第2のばね58は、上部ベースプレート部分24aと固定支持体30との間に捕捉される。第2のばね58の第1の下端部60は、固定支持体30の上面に形成された第2の固定支持凹部62に着座する。第2のばね58の第2の上端部64は、上部ベースプレート部分24aの底面に形成されたウェルプレート凹部56に着座する。
【0022】
第1のばね48は、ウェルプレートアセンブリ12が静止状態にあるとき、ベースプレート24を固定支持体30から第1の距離Dだけ離間して保つように構成される。同様に、第2のばね58は、ウェルプレートアセンブリ12が静止状態にあるとき、ウェルプレート16を固定支持体30から第2の距離Eだけ離間して保つように構成される。距離DおよびEは、ウェルプレート16ならびに上部および下部ベースプレート部分24a、24bが、それぞれ垂直方向またはZ方向に上下に移動できる最大距離である。特定の実施形態では、距離DおよびEはそれぞれ約0.5mmであり、ウェルプレートアセンブリ12、したがってウェル14に約1mmの総垂直方向移動距離を提供する。
【0023】
本明細書で使用される「約」という用語は、混合装置の製造および使用の分野における、実用的で商業的なエンジニアリング目的、コスト、製造公差、および機能の制約内で、特定の値に近い、またはほぼ特定の値であることを意味する。同様に、本明細書で使用される「実質的に」という用語は、実用的で商業的なエンジニアリング目的、コスト、製造公差、および機能の制約内でほとんど、またはほぼ同じであることを意味する。
【0024】
電磁石26が作動すると、電磁コイル40は交互に付勢および消勢され、永久磁石44、したがってウェルプレートアセンブリ12を、
図1において見られる矢印Aおよび
図2において見られる矢印Bの方向に、第1のばね48および第2のばね58の付勢作用に抗して電磁コイル40および磁石ハウジング42に向かって、およびそれらから離して移動させる。
【0025】
電磁石26のこのサイクルまたは振動は、ウェルプレートアセンブリ12、および、したがってウェル14の垂直方向の移動を引き起こし、それは
図4~
図6においてより明確に見ることができる。ウェル14は、液体レベルライン66によって示されるように、検知されるべき内容物を有する液体を含む。ウェル14が矢印Aの方向に垂直方向に移動すると、センサマウント18は静止し、ウェル14と比較して相対的な動きを引き起こし、液体内に配置されるセンサマウント18の第2の部分22がウェル14の内容物を混合する。特定の実施形態では、電磁石26は、約30Hzの速度で振動し得る。
【0026】
特定の実施形態では、複数の電磁石26はすべて、同位相で同時に動作するため、ウェルプレートアセンブリ12およびウェル14は、Z方向に垂直方向にのみ移動する。他の実施形態では、電磁石26は、互いに位相がずれた状態で動作し得る。そのような実施形態では、ウェルプレートアセンブリ12およびウェル14は、垂直方向にのみ移動しない。むしろ、そのような実施形態では、ウェルプレートアセンブリ12およびウェル14は、揺動または軌道運動で移動し、XおよびY方向(
図6において見られる)に水平方向に、ならびにZ方向に垂直方向に移動する。しかしながら、そのような実施形態では、ウェルプレートアセンブリ12およびウェル14は、主にZ方向に垂直方向に移動することを理解されるべきである。換言すると、そのような実施形態では、ウェルプレートアセンブリ12およびウェル14は、それらがXおよびY方向に水平方向に移動するよりも、Z方向に垂直方向に大きな距離を移動する。
【0027】
静止したセンサマウント18に対するウェル14の相対的な動きは、ウェル14内の流体の2つのタイプの混合を作り出す。第1のタイプの混合は、センサマウント18の表面に沿って発生するせん断混合である。このせん断混合は、ウェル14内およびセンサマウント18の液体の界面で発生する滑りのない境界条件によって引き起こされる。センサマウント18の隣の液体は静止したセンサマウントと同じ速度で移動するが、ウェル14の残りの液体はウェル14と同じ速度で移動し、ウェル14の液体に大きな速度勾配が生じる。液体の大きな速度勾配は、混合にとって最良の条件である。大きな速度勾配、および、したがって最良の混合条件は、センサマウント18の表面の隣にあるため、この混合は、センサマウント18からウェル14の内容物への特定の分子種の追加、またはウェル14からセンサマウント18の表面までの分子種の移動に特に役立つ。好ましい実施形態では、センサマウント18は、センサマウント18の隣の分子種の濃度を感知するために使用することができる。この場合、混合の目的は、表面での種濃度の変化率が拡散速度ではなく反応速度によって制限されるようにすることである。
【0028】
第2の種類の混合は、センサマウント18の体積によって変位する液体によるもので、ウェル14内に大規模な変位電流および渦を引き起こし、混合速度を大幅に増加させる。これらの変位電流は、ウェル14全体を混合するのに役立つ。これらのタイプの混合の両方は、ウェル14全体にわたって分子種の濃度を平衡化する。
【0029】
センサマウント18をウェル14内に位置付けることと、センサマウント18に対するウェル14のほぼ垂直方向な動きとの組み合わせにより、良好、完全、かつ効率的な混合が提供される。センサマウント18、またはウェル14内の別の移動しない対象がない場合、ウェル14内では、せん断混合も変位混合も発生しない。電磁石16の動作を通じてウェル14の垂直方向の動きを単に作り出すことは、ウェル14の内容物を完全には混合しない。同時に、ウェル14の主に垂直方向の動きがなければ、センサマウント18の表面付近に速度勾配がないため、ウェル14の内容物が完全に混合もされない。このような場合、拡散だけが、センサマウント18の表面付近からウェル14の残りの部分までの分子種濃度を平衡化し得る。
【0030】
センサマウント18を電磁石アセンブリ25と組み合わせて使用してウェル14の内容物を混合すると、ウェル14の内容物を完全に混合するための使いやすく、再現性の高い方法が得られる。さらに、そのような混合装置は、ウェル14の内容物に低レベルのエネルギーを与え、それによってウェル14の内容物を損傷させる可能性を減少させる。
【0031】
電磁石アセンブリ25と組み合わせてセンサマウント18を使用してウェル14の内容物を混合することは、電磁石アセンブリ25を単独で使用する場合のウェル14の混合よりもはるかに効果的であることが発見された。ある実験では、電磁石アセンブリ25(ウェル14の動きのみを提供する)だけを使用してウェル14内で平衡に達するまで完全に混合するのに約1時間かかったが、センサマウント18および電磁石アセンブリ25の両方を使用(ウェル14の動き、せん断混合、および変位を提供する)して、約3秒以内に、ウェル14内で平衡に達したことがわかった。これは、電磁石アセンブリ25を単独で使用する場合と比較して、センサマウントおよび電磁石アセンブリ25の両方を使用して、1000倍を超える改善を提供する。
【0032】
図4~
図6に示す実施形態では、センサマウント18は、細長いプレートの形状を有する。したがって、そのような実施形態では、センサマウント18は、長さL、幅W、および深さDを有し、長さLは幅Wよりもかなり大きく、かつ幅Wは深さDよりもかなり大きい。これにより、比較的薄く、かつ長いプレートが生成され、センサマウント18の表面積と体積の比が大きくなり、ウェル14内のセンサマウント18の混合能力が向上する。
【0033】
特定の実施形態では、センサマウント18は、約2mm~約10mmの長さL、約1mm~約15mmの幅W、および約0.2mm~約3.2mmの深さを有する。ウェル14は、約1.7mm~約15.6mmの直径、および約4.8mm~約11.0mmの高さを有し得る。
【0034】
標準の96ウェルプレートの別の実施形態では、センサマウント18は、約6mm~約12mmの長さL、約4.8mm~約5.2mmの幅W、および約1.4mm~約1.8mmの深さを有する。ウェル14は、約6.0mm~約7.0mmの直径、および約10.0mm~約11.0mmの高さを有し得る。
【0035】
センサマウント18の別の実施形態は
図7において見ることができ、センサ68はセンサマウント18の側面に固設されている。別の実施形態では、
図8において見られるように、センサ68は、センサマウント18の底面に固設されることができる。
図8の実施形態では、センサマウント18は円筒形状を有することができ、センサ68は円形形状を有することができることを理解されるべきである。
【0036】
センサ68は、特定の実施形態では、グラフェンまたはカーボンナノチューブセンサ、例えば、機能化されたグラフェンまたはカーボンナノチューブ基板であり得る。そのようなグラフェンまたはカーボンナノチューブセンサは、標的分析物または複数の標的分析物が機能化されたグラフェンまたはカーボンナノチューブ基板に接触するときのコンダクタンスの変化を検出することができる。
【0037】
特定の実施形態では、そのようなカーボンナノチューブ基板は、半導体単層カーボンナノチューブ(s-SWCNT)を含む。このようなs-SWCNTは、高い表面積および拡張可能な感度を生み出すのに十分な半導体性の特性によって特徴付けられる。特定の実施形態では、カーボンナノチューブ基板は、平面状であり得る。カーボンナノチューブ基板は、半導体材料の表面にわたる電界電荷キャリアを監視するバイオセンサ装置に形成されたカーボンナノチューブ半導体表面であり得る。生体分子相互作用からの結合事象が発生し、カーボンナノチューブの表面と結合すると、ナノチューブ上のキャリア濃度が変化し、伝導性が変化し得る。標的分析物が機能化されたナノチューブ表面に結合すると、電流が変化し、かつ検出される。特定の実施形態では、結合相互作用は、相互作用を検出するためにデバイスクリーニング長の範囲内で発生する。感度を高めるために、断片化された抗体などの小さな受容体を使用することができる。
【0038】
カーボンナノチューブは、当業者に既知の単層カーボンナノチューブであり、かつ一般にカーボンナノチューブ基板の製造のために使用されることができる。当技術分野で既知であるように、カーボンナノチューブ(CNT)は、ほぼ円筒形のナノ構造を持つ炭素の同素体である。一般に、カーボンナノチューブは、グラフェンと呼ばれる1原子厚のカーボンシートで形成された壁を持つ、所定の長さの中空円筒構造によって特徴付けられる。一般に、グラフェンシートは、巻かれるか、もしくはそうでなければ特定の、かつ離散的な(「キラル」)角度で構成され、巻角および半径の組み合わせにより、ナノチューブの特性、例えば個々のナノチューブシェルが金属または半導体かが決まる。ナノチューブは、単層ナノチューブ(SWCNT)および多層ナノチューブ(MWCNT)として分類される。個々のナノチューブは、ファンデルワールス力、より具体的にはパイスタッキングによって一緒に保持された「ロープ」に自然に整列することができる。例示的な単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は、約1~2ナノメートルの直径を有するが、より広くてもよい。一態様によれば、SWCNTは、ゼロ~約2eVのバンドギャップを示すことができ、かつそれらの伝導率は、金属的または半導体性の挙動を示すことができる。単層カーボンナノチューブは、本明細書に記載の検出装置のための例示的な基板を提供する。例示的な単層カーボンナノチューブおよびそれらの製造方法のより詳細な説明は、2018年10月10日に提出された米国出願第16/155,955号、発明の名称「Carbon Nanotube-Based Device for Sensing Molecular Interaction」に記載されており、その全体の開示は、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。装置で使用するための例示的なカーボンナノチューブは、米国特許第7,416,699号、米国特許第6,528,020号、および米国特許第7,166,325号にも記載されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
当業者は、本開示から得られた知識を用いて、本発明の範囲から逸脱することなく、これらおよび他の利点を達成するために開示された装置および方法に様々な変更を加えることができることを認識するであろう。したがって、本明細書に記載の特徴は、修正、調整、変更、または置換の影響を受けやすいことが理解されるべきである。例えば、同じ結果を達成するために実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を実行するそれらの要素および/またはステップのすべての組み合わせが、本発明の範囲内であることは明白に意図される。記載された一実施形態から別の実施形態への要素の置換も、完全に意図され、企図されている。本明細書に示され、かつ記載された特定の実施形態は、例示のみを目的としており、添付の特許請求の範囲に記載される本発明を限定するものではない。他の実施形態は、当業者には明らかであろう。前述の説明は、明確にするためだけに提供され、単に例示的なものであることが理解されるべきである。本発明の趣旨および範囲は、上記の実施例に限定されず、以下の特許請求の範囲に包含される。上記で引用したすべての出版物および特許出願は、あたかも各個々の出版物または特許出願が参照によりそのように組み込まれることが具体的、かつ個別に示されるのと同程度に、あらゆる目的で参照により全体として組み込まれる。