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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】圧力容器用セルフシール式バルブ接続
(51)【国際特許分類】
   F16J 12/00 20060101AFI20230706BHJP
   F17C 1/06 20060101ALI20230706BHJP
   F17C 1/16 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
F16J12/00 D
F17C1/06
F17C1/16
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020570432
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019066180
(87)【国際公開番号】W WO2019243413
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】18179194.8
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519191891
【氏名又は名称】エンプロックス バー.ワー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロンホルツ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ジンメルマン,エトヴィン
(72)【発明者】
【氏名】クラーツ,ヴィルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】ミュルハイムス,ヨーゼフ
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101509553(CN,A)
【文献】特開2015-140830(JP,A)
【文献】特開2018-096458(JP,A)
【文献】特開2017-129156(JP,A)
【文献】特開2015-172391(JP,A)
【文献】特開2004-211783(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0284562(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 12/00 - 13/24
F17C 1/00 - 13/12
F16J 15/00 - 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器(1)は、
内面及び外面(2i、2a)を有し、加圧下で少なくとも部分的に塑性変形可能な内側容器材料で作られ、前記圧力容器に貯蔵容積部(SV)をもたらす内側容器(2)と、
前記内側容器(2)の補強のために前記内側容器(2)に適用される外層(3)と、
バルブ(5)を受け、前記内側容器(2)から前記貯蔵容積部をシールするための、2つの部分からなる中空のシーリングコーン(41)及び外側部品(42)を有する、前記内側容器に配置されたバルブ接続部品(4)とを含み、
前記内側容器(2)は、
前記バルブ接続部品(4)を接続するために、前記貯蔵容積部(SV)に向かって内側に開口し、前記内側容器(2)の前記外面(2a)から円筒状に突出する突出部(23)と、
前記突出部(23)の内面(23i)上に位置決めされた前記シーリングコーン(41)と、
前記突出部(23)の外面(23a)上で前記シーリングコーン(41)と前記突出部(23)と前記外側部品(42)との間にシール圧力(AD)を生成するための前記外側部品(42)とを含み、
前記外側部品(42)は、
前記突出部(23)に向かって配向されたその面(42i)上に、前記貯蔵容積部(SV)に面する第1の縁部(421a)と、対向する方向に設けられた第2の縁部(421b)とを有する、前記シール圧力(AD)下でシールするシールリング(6)を受けるための適切に成形された溝(421)を含み、
前記溝(421)及び前記シールリング(6)の寸法決めと、前記内側容器材料の形成が、
前記シール圧力(AD)下で、及びその塑性変形性により、前記シールリング(6)と前記第1及び第2の縁部(421a、421b)との間の少なくとも2つの間隙(L1、L2)内に突出する第1及び第2のシールビード(24a、24b)が形成されるように行われ、
前記2つの部分からなるシーリングコーン(41)は、
最小内径(DI-411)と、前記突出部(23)に適合された外径(DA-411)と、前記突出部(23)に向かって少なくとも局所的に凹状である内面(411i)とを有する中空の外側のスリーブ(411)を含み、また、
前記突出部(23)の内径(D-23)より小さく、前記スリーブ(411)の最小内径(DI-411)より大きい最大外径(D-412)と、前記突出部(23)に向かって少なくとも局所的に突出する外面(412a)とを有する中空の内側のクランプコーン(412)を含み、
前記スリーブ(411)は、前記突出部(23)の前記内面(23i)上に外側から位置決めされ、前記クランプコーン(412)の前記突出する外面(412a)は、前記内側のクランプコーン(412)が前記スリーブ(411)と締り嵌めされるようにするとともに、前記スリーブ(411)の前記凹状の内面(411i)に係合するように、位置決め補助具(7)を用いて内側から位置決めされる、圧力容器。
【請求項2】
前記内側容器(2)は一体に製造されることを特徴とする、請求項1に記載の圧力容器(1)。
【請求項3】
前記スリーブ(411)は、
前記突出部(23)の上面(23)に面する停止部(4111)を備えるように、及び/又は少なくとも前記スリーブ(411)及び前記突出部(23)にわたって延在する前記外側部品(42)の内面(42i)上に少なくとも部分的に載置されるように成形されることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の圧力容器(1)。
【請求項4】
前記スリーブ(411)は、
前記内側容器材料がその塑性変形性により、前記スリーブ(411)の周りにその下面(411u)上で、前記貯蔵容積部(SV)に向けられた第3のビード(24c)を形成するように寸法決めされることを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載の圧力容器(1)。
【請求項5】
前記2つの部分からなるシーリングコーン(41)又は前記外側部品(42)は、
前記貯蔵容積部(SV)と前記突出部(23)の上面(23o)との間に、前記貯蔵容積部(SV)に向かって開口ガス接続部(GV)が存在するように形成されることを特徴とする、
請求項1~4のいずれかに記載の圧力容器(1)。
【請求項6】
前記スリーブ(411)は前記突出部(23)に面する外面(411a)を含み、
前記突出部上に載置される前記スリーブ(411)の前記外面(411a)及び/又は前記スリーブ(411)上に載置される前記クランプコーン(412)の前記外面(412a)の表面積は、それぞれの内面(411i、412i)より小さいことを特徴とする、
請求項5に記載の圧力容器(1)。
【請求項7】
前記溝(421)は、
無負荷状態の前記シールリング(6)の形状に適合された輪郭を有することを特徴とする、
請求項1~6のいずれかに記載の圧力容器(1)。
【請求項8】
少なくとも前記突出部の前記内側容器材料は、
PA材料、PE材料、又はこれらの材料で作られた多層材料であることを特徴とする、
請求項1~7のいずれかに記載の圧力容器(1)。
【請求項9】
前記バルブ接続部品(4)は、
前記2つの部分からなるシーリングコーン(41)と前記外側部品(42)とを相互接続する追加の固定要素(43)を備えることを特徴とする、
請求項1~8のいずれかに記載の圧力容器(1)。
【請求項10】
前記固定要素(43)は、
前記外側部品(42)に取り付けられ、少なくとも前記2つの部分からなるシーリングコーン(41)に面するその側にねじ山を備え、このねじ山は、前記スリーブ(411)内及び/又は前記クランプコーン(412)内で自己切削係合するように設けられることを特徴とする、
請求項9に記載の圧力容器(1)。
【請求項11】
請求項1に記載の圧力容器(1)を製造するための方法(100)であって、内面及び外面(2i、2a)を有し、加圧下で少なくとも部分的に塑性変形可能な内側容器材料から作られ、バルブ(5)を受けるように設計された内側容器(2)と、前記内側容器(2)上に位置決めされた外層3と、中空の外側のスリーブ(411)及び中空の内側のクランプコーン(412)で構成される2つの部分からなるシーリングコーン(41)並びに外側部品(42)を有するバルブ接続部品(4)とを含み、
貯蔵容積部(SV)と、前記内側容器(2)の前記外面(2a)から円筒状に突出する
内側に開口した突出部(23)とを備えた前記内側容器(2)を用意する(110)ステップと、前記突出部(23)の内径(D-23)より小さい最大外径(D-412)と、前記スリーブ(411)の前記最小内径(D-411)より大きい最大外径(D-412)とを有する前記クランプコーン(412)を、位置決め補助具(7)によって、前記突出部(23)に向かって、前記突出部(23)を通して、前記内側容器(2)の前記貯蔵容積部(SV)内に位置決めする(120)ステップと、
前記シーリングコーン(41)の前記中空のスリーブを外側から前記突出部(23)の前記内面(23i)上に締り嵌めで挿入する(130)ステップであって、前記スリーブ(411)は、最小内径(D-411)と、前記突出部(23)に適合された外径(411a)とを有し、一方、前記位置決め補助具(7)及び前記クランプコーン(412)はそれによって影響を受けないステップと、
前記外側部品(42)を前記突出部(23)の前記外面(23a)上に嵌合させる(140)ステップであって、前記外側部品(42)は、適切に成形された溝(421)を含み、前記溝(421)は、前記突出部(23)に向かって配向されたその面(42i)上に、将来の前記貯蔵容積部(SV)に面する第1の縁部(421a)と、対向する方向に設けられた第2の縁部(421b)と、前記溝(421)内に位置決めされ、シール圧力(AD)下でシールするシールリング(6)とを有するステップと、
前記位置決め補助具(7)によって前記クランプコーン(412)を内側から前記スリーブ(411)内に位置決めする(150)ステップであって、前記クランプコーン(412)の前記外面(412a)は、前記スリーブ(411)の前記内面(411i)に係合して前記スリーブ(411)との締り嵌めを形成し、それにより、前記2つの部分からなるシーリングコーン(41)と、前記突出部(23)と、前記外側部品(42)との間にシール圧力(AD)が生じるステップと、
少なくとも第1及び第2のシールビード(24a、24b)を形成する(160)ステップであって、前記シール圧力(AD)下で、また相応に寸法決めされた溝(421)及びシールリング(6)を用いて、前記内側容器材料の塑性変形性によって、前記シールリング(6)と前記第1及び第2の縁部(421a、421b)との間の2つの間隙(L1、L2)内に突出して、将来の前記内側容器(2)に対して前記貯蔵容積部(SV)をシールするステップと、
前記圧力容器(1)を補強するために、前記内側容器(2)に前記外層(3)を生成する(170)ステップと、
前記圧力容器(1)を閉鎖するために、前記バルブ接続部品(4)に前記バルブ(5)を嵌合させる(180)ステップとを含む、方法。
【請求項12】
前記内側容器材料の前記塑性変形性によって、前記スリーブ(411)の周りにその下面(411u)上で、前記貯蔵容積部(SV)に向けられた第3のビード(24c)を形成(190)するさらなるステップを含む、請求項11に記載の方法(100)。
【請求項13】
前記外層(3)は繊維複合材料からなり、製造工程(160)において前記内側容器(2)に巻き付けられる、請求項11又は12に記載の方法(100)。
【請求項14】
前記スリーブ(411)上の停止部(4111)まで前記突出部(23)の上面(23)上に前記スリーブ(411)が挿入され(130)、及び/又は前記外側部品(42)の内面(42i)は前記スリーブ(411)及び/又は前記クランプコーン(412)に接触するまで前記外側部品(42)は嵌合(140)する、請求項11~13のいずれかに記載の方法(100)。
【請求項15】
前記内側容器(2)は一体に製造される、請求項11~14のいずれかに記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフシール式バルブ接続部品を備えた圧力容器、及びそのような圧力容器を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維複合材料で強化された圧力容器の市場は継続的に成長している。天然ガスと水圧破砕ガスの生産量の増加により、特に対応するパイプラインネットワークがない国では、圧力容器での貯蔵が不可欠になっている。さらに、燃料を水素ガスの形態で圧力容器に高圧で貯蔵する燃料電池車両の開発が大いに促進されている自動車分野がある。圧力容器の輸送には、重量の大きい圧力容器の輸送は不必要に大量のエネルギーを消費し、過剰な輸送コストにつながるので、軽量の容器が望まれる。
【0003】
この目的のために、圧力容器は、標準及び/又は顧客の要件に従って、交互の負荷条件(圧力容器の排気、容器の再充填など)の下で、広い温度範囲及び長期間にわたって圧力容器内に高圧で貯蔵された充填ガスのために、確実にシールされなければならない。最新の技術による圧力容器では、気密性はOリングシールによって達成される。シールする場所には冗長性がないため、他の構成部品に対するOリングの嵌合条件が変わると、シールが破損しやすくなる。
【0004】
したがって、セルフシール式であり、内側容器に対するバルブ接続の永続的かつ信頼性の高いシールを保証する圧力容器用のバルブ接続を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、セルフシール式であり、内側容器に対するバルブ接続の永続的かつ信頼性の高いシールを保証するバルブ接続を備えた圧力容器を提供することである。
【0006】
この目的は、内面及び外面を有し、加圧下で少なくとも部分的に塑性変形可能な内側容器材料で作られ、圧力容器内に貯蔵容積部をもたらす内側容器と、
内側容器の補強のために内側容器に適用される外層と、
バルブを受け、内側容器から貯蔵容積部をシールするための、2つの部分からなる中空のシーリングコーン及び外側部品を有する、内側容器に配置されたバルブ接続部品とを含む圧力容器によって達成され、
内側容器は、バルブ接続部品を接続するために、貯蔵容積部に向かって内側に開口し、外面から円筒状に突出する突出部を含み、
2つの部分からなるシーリングコーンは、2つの部分からなるシーリングコーンと、突出部と、突出部の外面上の外側部品との間にシール圧力を生成するために、突出部及び外側部品の内面上に位置決めされ、
外側部品は、突出部に向かって配向されたその面上に、貯蔵容積部に面する第1の縁部と、対向する方向に設けられた第2の縁部とを有する、シール圧力下でシールするシールリングを受けるための適切に成形された溝を含み、
溝及びシールリングの寸法決めと、内側容器材料の形成が、シール圧力下で、及びその塑性変形性により、シールリングと第1及び第2の縁部との間の少なくとも2つの間隙内に突出する第1及び第2のシールビードが形成されるように行われ、
2つの部分からなるシーリングコーンは、最小内径と、突出部に適合された外径と、突出部に向かって少なくとも局所的に凹状である内面とを有する中空の外側のスリーブを含み、また、突出部の内径より小さく、スリーブの最小内径より大きい最大外径と、突出部に向かって少なくとも局所的に突出する外面とを有する中空の内側のクランプコーンを含み、
スリーブは、突出部の内面上に外側から位置決めされ、クランプコーンの突出外面は、内側のクランプコーンがスリーブと締り嵌めされるように、スリーブの凹状内面に係合するように、位置決め補助具を用いて内側から位置決めされる。
【0007】
内側容器は、1つの部品又は複数の部品から作ることができる。これは、2つのポールキャップのみを含むことができ、そのうちの1つ又は2つは、円筒形の縁部分を含み得る。内側容器が複数の部品からなる場合、ポールキャップの縁部が直接接触し、適切に相互接続される。あるいは、内側容器は、ポールキャップに加えて、好ましくはポールキャップと同じ材料でできている円筒形の中央部分を含むこともできる。内側容器又は圧力容器の円筒軸は、それぞれ、内側容器の何らかの円筒部分が存在する場合にはその対称軸に対応し、又は内側容器が2つのポールキャップのみで形成されている場合には、それぞれのポールキャップの中心点間の軸は、ポールキャップによって形成されるそれぞれのドームの最高点にも対応する。
【0008】
塑性変形可能な内側容器材料は、一方ではそれ自体が堅く安定しているが、ある程度の流動性も有し、その結果、少なくともその表面が高圧下で塑性変形することができ、したがって大きな変形を形成することなく押圧面の輪郭に適応することができる。内側容器はまた、圧力容器内に充填ガスを貯蔵するための気密貯蔵容積部を提供する機能を有するので、内側容器材料は気密でなければならず、例えば、金属又はプラスチックでなければならず、プラスチックの場合には、個々の層又は多層システムとして好ましくはPA又はPEであるべきである。充填ガスは、任意のガス、例えば水素であり得る。外層により、圧力容器には、機械的安定性、すなわち外層による圧縮強度の機能性及びガス不透過性の内側容器が提供される。外層は、例えば、内側容器に巻き付けられた、又は他の技術によって内側容器上に適用された繊維複合層であり得る。
【0009】
溝内に位置決めされたシールリングは、外側部品の溝を完全には充填しないが、外側部品の内側に向かう両側の溝に間隙、すなわちシール効果の冗長性をもたらすために使用される第1及び第2の間隙を残す。バルブ接続部品の構成部品及び内側容器の突出部の構成は、内側容器材料の適切な流動性及び結果として生じるシールビードの形成との組合せで、圧力容器が向上したシール効果をもたらすと同時に、圧力容器内におけるバルブ接続部品の構成部品の確実な位置決めをもたらすことを保証する。また、圧力が変化した場合、シールリングは、2つのシールビードにより、溝内で恒久的に安定したままである。このシール概念は、(i)外側部品に対して作用する突出部の第1のシールビードと、(ii)シールリング上の突出部を介して作用するシーリングコーンと、(iii)外側部品に対して作用する突出部の第2のシールビードとによって連続的に保証される三重シールによって貯蔵容積部をシールするための三重冗長性を提供し、したがってシールの信頼性及び永続性を大幅に改善する。バルブ接続部品によって加えられるシール圧力によって引き起こされるシールビードの形成により、バルブ接続部品はさらにセルフシール性を有する。シール概念は、2つの部分からなるシーリングコーンと接続部品の材料に依存しないが、2つの部分からなるシーリングコーンと接続部品を形成する材料は、少なくとも内側容器材料より低い流動性を有する。
【0010】
クランプコーンをスリーブの湾曲部に位置決めすることにより、スリーブに対するコーンの摺動が防止される。スリーブと及びクランプコーンの互いに対する、及びポールキャップのドームに対する特定の外径及び内径により、このシール概念を1つの部分からなる内側容器にも適用することが可能になるが、当然ながら、複数の部分からなる内側容器もこのシール概念で確実にシールできる。1つの部分からなる内側容器の場合、スリーブが嵌合される前に、最初にクランプコーンが、支柱端部を有するロッドなどの位置決め補助具よって、貯蔵容積部内のクランプコーンの下に、又はクランプコーン内側のねじ山によって保持され、次いでスリーブが外側から突出部内に挿入される。ここで、位置決め補助具によってクランプコーンが内側からスリーブ内に引き込まれ、スリーブと突出部がわずかに引き伸ばされて、スリーブの内面とクランプコーンの外面が締り嵌めを形成する。複数の部分からなる内側容器では、突出部が内側から自由にアクセスでき、したがってクランプコーンをそこからスリーブ内に簡単に摺動させることができるので、位置決め補助具を省略できる。「局所的に凸状」及び「局所的に凹状」はそれぞれ、スリーブの内面全体又はクランプコーンの外面にわたって延在し得るが、それぞれの面の一部の局所的な凸状又は凹状も示し得る、凸状又は凹状をそれぞれ示す用語である。外側部品、スリーブ、及びクランプコーンは、この目的に適した任意の材料、例えば金属又はプラスチックから構成され得る。
【0011】
本発明に係るシール概念により、指定された圧力容器は非常に柔軟な構造を有し、その結果、顧客固有のバルブ接続部品は、突出部及び2つの部分からなるシーリングコーンのそれぞれの成形によって容易に適合される。さらに、補助スリーブを一体化でき、それによりセンサシステム、センサ、又は圧力容器内に延在する他の構成部品の一体化がもたらされる。
【0012】
したがって、本発明に係る圧力容器は、セルフシール式であり、内側容器に対するバルブ接続の永続的かつ信頼性の高いシールを確実にするバルブ接続を備えた圧力容器である。
【0013】
一実施形態では、内側容器は一体に製造される。上記のシール概念は、最終的なシール手段である内側のクランプコーンが、密封されるべき開口部を通って嵌合するように寸法決めされ、したがって、突出部を通って、既にそこにある圧力容器の充填及び排気のために必要な開口部に加えて、後方又は内部からの内側容器へのアクセスを必要とすることなく、適切な位置決め補助具を用いて必要な位置にもたらされ得るので、1つの部品からなる内側容器に非常に良好に適用され得る。
【0014】
別の実施形態では、スリーブは、突出部の上面に面する停止部を含むように、及び/又は少なくともスリーブ及び突出部にわたって延在する外側部品の内面に少なくとも部分的に載置されるように形成される。このようにして、スリーブは、例えばクランプコーンが内側から位置決めされる場合に、貯蔵容積部内に摺動することができず、及び/又はその内面に沿って突出部の開口部から摺動して出ることができない。
【0015】
別の実施形態では、スリーブは、内側容器材料がその塑性変形性により、スリーブの周りにその下面上で、貯蔵容積部に向けられた第3のビードを形成するように寸法決めされる。これにより、貯蔵容積部の方向へのスリーブの移動が防止される。シールリングのシール圧力は、当初の設定どおりに維持される。また、本発明に係るスリーブ及びそれに固定されたクランプコーンは、圧力容器が震動した場合に、貯蔵容積部内に摺動又は落下し得ない。
【0016】
別の実施形態では、2つの部分からなるシーリングコーン又は外側部品は、貯蔵容積部と突出部の上面との間に、貯蔵容積部に向かって開口ガス接続部が存在するように形成される。このようにして、貯蔵容積部内の内圧は、内側容器の突出部の上部にも加えられる。ガス接続部は、例えば、スリーブ及び/又はクランプコーン内の適切なチャネル、凹部又は溝によってもたらすことができる。
【0017】
別の実施形態では、スリーブは突出部に面する外面を含み、突出部上に載置されるスリーブの外面及び/又はスリーブ上に載置されるクランプコーンの外面の表面積は、それぞれの内面の表面積より小さい。内面と外面との面積比が異なることに起因して、貯蔵容積部と突出部の上面との間のガス接続部により、シール圧力は、圧力容器の貯蔵容積部内の内圧によってさらに増大し、貯蔵容積部内の圧力が(例えば、貯蔵容積部にガスが充填されている間に、例えば500バールまで)上昇した場合、シーリングコーンは、外側部品の方向にさらに押圧され、シール効果及びその信頼性がさらに向上する。
【0018】
別の実施形態では、溝(又は凹部)は、無負荷状態のシールリングの形状に適合された輪郭を有する。このように、シールリングの後ろに画定されていない中空の空間が形成されることはなく、シールリングのシール効果がさらに向上する。
【0019】
別の実施形態では、シールリングはOリングである。Oリングは、一方では確実なシール特性を有し、他方ではまた、溝内に適切な輪郭を形成することが最も容易である。この目的のために、溝の湾曲部は、Oリングの表面の湾曲部に適合される。シールリング、すなわちここではOリングは、ガスシールに適したあらゆる材料から構成され得る。
【0020】
別の実施形態では、少なくとも突出部の内側容器材料は、PA材料、PE材料、又はこれらの材料で作られた多層材料である。これらの材料は、内側容器の製造に適した特性を持ち、さらに、シールビードを形成するための適切な流動性を提供し、圧力容器内の接続部品の構成部品の確実な位置決めとともに追加のシール効果を保証する。内側容器は、完全にこれらの材料で構成することもできる。上記の材料はまた、構成部品からポールキャップを製造するために互いに溶接されるのに適しており、所望であれば、貯蔵容積部を提供するための内側容器の中央部分に適している。
【0021】
別の実施形態では、バルブ接続部品は、2つの部分からなるシーリングコーンと外側部品とを相互接続する追加の固定要素を備える。これは、2つの部分からなるシーリングコーン、すなわちスリーブ及びクランプコーンが、外側部品に対して、特に外側部品の方向に移動することを防止するのに役立つ。
【0022】
別の実施形態では、固定要素は、外側部品に取り付けられ、少なくともシーリングコーンに面するその側にねじ山を備え、このねじ山は、シーリングコーンの内面に係合するように設けられる。固定要素は、例えば、内側容器の突出部の上面に圧力を加えるための貫通開口部を備えた中空ねじ又は相応の形状のリングであり得る。
【0023】
別の実施形態では、バルブ接続ピースの外側部品は、圧力安定的にバルブを受けるための接続手段を備える。例えば、バルブは、外側部品の接続手段として、対応するねじ山に圧力安定的にねじ込むことができる。
【0024】
本発明はさらに、内面及び外面を有し、加圧下で少なくとも部分的に塑性変形可能な内側容器材料から作られ、バルブを受けるように設計された内側容器と、内側容器上に位置決めされた外層と、中空の外側のスリーブ及び中空の内側のクランプコーンで構成される2つの部分からなるシーリングコーン並びに外側部品を有するバルブ接続部品とを含む、本発明に係る圧力容器を製造する方法に関するものであり、以下のステップを含む。
【0025】
内側容器に、貯蔵容積部と、内側に開口し、内側容器の外面から円筒状に突出する突出部とを設けるステップと、突出部の内径より小さい最大外径と、スリーブの最小内径より大きい最大外径とを有するクランプコーンを、位置決め補助具によって、突出部に向かって、突出部を通して、内側容器の貯蔵容積部内に位置決めするステップと、シーリングコーンの中空スリーブを外側から突出部の内面上に締り嵌めで挿入するステップであって、当該スリーブは、最小内径と、突出部に適合された外径とを有し、一方、位置決め補助具及びクランプコーンはそれによって影響を受けないステップと、外側部品を突出部の外面上に嵌合させるステップであって、当該外側部品は、突出部に向かって配向されたその面上に、将来の貯蔵容積部に面する第1の縁部と、対向する方向に設けられた第2の縁部と、溝内に位置決めされ、シール圧力下でシールするシールリングとを有する適切に成形された溝を含むステップと、位置決め補助具によってクランプコーンを内側からスリーブ内に位置決めするステップであって、当該クランプコーンの外面は、スリーブの内面に係合してスリーブとの締り嵌めを形成し、それにより、2つの部分からなるシーリングコーンと、突出部と、外側部品との間にシール圧力が生じるステップと、少なくとも第1及び第2のシールビードを形成するステップであって、シール圧力下で、また相応に寸法決めされた溝及びシールリングを用いて、内側容器材料の塑性変形性によって、シールリングと第1及び第2の縁部との間の2つの間隙内に突出して、将来の内側容器から貯蔵容積部をシールするステップと、圧力容器を補強するために、内側容器に外層を生成するステップと、圧力容器を閉鎖するために、バルブ接続部品にバルブを嵌合させるステップ。外層は、例えば、内側容器に巻き付けられた又は他の技術によって適用された繊維複合層であり得る。
【0026】
したがって、本発明に係る方法は、セルフシール式であり、内側容器に対するバルブ接続の永続的かつ信頼性の高いシールを確実にするバルブ接続を備えた圧力容器を提供する。
【0027】
本方法の一実施形態では、本方法は、内側容器材料の塑性変形性によって、シーリングコーンの周りにその下面上で、貯蔵容積部に向けられた第3のビードを形成する追加のステップを含む。
【0028】
本方法の別の実施形態では、外層は繊維複合材料からなり、製造工程において内側容器に巻き付けられる。内側容器自体が外層の巻取りマンドレルを形成するため、外層はそれぞれの内側容器に正確に嵌合するように形成される。
【0029】
本方法の別の実施形態では、バルブは、ねじ込まれることによって嵌合される。この目的のために、外側部品は、相応に設けられたねじ山を既に有することができ、バルブは、外側部品にそれ自体を切り込むねじ山を有する。
【0030】
本方法の別の実施形態では、スリーブは、スリーブの停止部まで突出部の上面に挿入され、及び/又は外側部品は、外側部品の内面に接触するまでスリーブ及び/又はクランプコーンに嵌合される。このようにして、スリーブ及び/又はクランプコーンは、突出部の内面に沿って外側に摺動できないように外側部品によって所定の位置に固定され、これにより、シール圧力、したがってシール効果が変化する可能性がある。
【0031】
本方法の別の実施形態では、内側容器は、例えば、ブロー成形部品として、又は射出成形によって一体に製造される。一体に製造することにより、該当する場合、ポールキャップの接合や中央部分の接合のような付加的な処理工程が回避される。また、一体に製造することにより、ガス漏れの原因となり得るポールキャップから中央部分への移行時の接合誤差も回避される。一体に製造されることで、内側容器はまた、複数の構成部品が接合された内側容器より機械的に堅牢である。
【0032】
上記の実施形態は、本発明の枠組み内のすべての可能な組合せで実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明のこれらの態様及び他の態様を、以下の図に詳細に示す。
図1】本発明に係る圧力容器の横断面における実施形態。
図2】内側容器のバルブ接続部品及び突出部の拡大断面図で示された、図1の圧力容器。
図3】外側部品、内側容器の突出部、2つの部分からなるシーリングコーン、及び形成されたシールビードを備えた、本発明に係るシール概念の概略図。
図4】本発明に係る圧力容器を製造するための本発明に係る方法の実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、内面2i及び外面2aを有し、加圧下で少なくとも部分的に塑性変形可能な内側容器材料で作られた1つの部品からなる内側容器2を備え、ここで、円筒軸ZAを伴う円筒形の中央部分21と、当該円筒形の中央部分21に隣接する2つのポールキャップ22とを有することで、圧力容器内に貯蔵容積部SVがもたらされる、本発明に係る圧力容器1の横断面における実施形態を示す。分かりやすくするために、圧力容器1の半分のみが図示されている。他方の側で中央部分21を閉鎖するための、ここでは図示されていない反対側のポールキャップ22は、突出部23を備えていなくてもよく、代わりに、連続的な閉鎖輪郭を備えていてもよく、又は、それ自体のシール可能な開口部若しくは対応するバルブ接続部品によって示されるようにポールキャップ22に対応する。もちろん、内側容器2は、ここに図示される円筒形の中央部分21を伴わずに2つのポールキャップ22のみからなっていてもよい。そのような内側容器については、図1~4に示される本発明のすべての実施形態が同様に適用される。内側容器材料は、塑性変形可能な任意の材料とすることができる。好ましくは、内側容器材料は、少なくとも突出部23については、PA、PE又は前者で作られた多層材料である。外層3は、補強のために内側容器2に適用される。2つの部分からなるシーリングコーン41及び外側部品42とともにシールリング6を備えたバルブ接続部品4が、ポールキャップ22上に配置され、バルブ5を受け、内側容器2に対して貯蔵容積部をシールし、その結果、圧力容器はガスで充填され得、当該ガスは後で貯蔵容積部SVから排出され得る。この目的のために、内側容器2は、突出部23の形態でポールキャップ22の外面2aから円筒状に突出し、貯蔵容積部SVに向かって内部で開口した接続部をもたらす。次いで、この接続部は、所望であれば、バルブ5によって閉じられ、再び開かれる。バルブ接続部品4の外側部品42は、圧力安定的にバルブ5を受けるための接続手段を備え得る。外側部品42、2つの部分からなるシーリングコーン41、突出部23、及び形成されたシールビード24a、24b、24cの詳細については、図2及び図3を参照されたい。
【0035】
図2は、図1で示された圧力容器1を、2つの部分からなるシーリングコーン41と、外側部品42と、内側容器2のポールキャップ22の突出部23とを有するバルブ接続部品4の拡大断面図において、円筒軸ZAに沿って示したものである。スリーブ411及びクランプコーン412を有する2つの部分からなるシーリングコーン41は、突出部23の内面23i上に位置決めされ、外側部品42は、突出部23の外面23a上に位置決めされ、シーリングコーン41と、突出部23と、外側部品42との間にシール圧力ADが生成される。外側部品42は、突出部23に向かって配向されたその面42i上に、貯蔵容積部SVに面する第1の縁部421aと、対向する方向に設けられた第2の縁部421bとを有する溝421を含み、それにより、シール圧力AD下でシールするシールリング6を受け、外側部品42が突出部23上に摺動されるときにこれを所定の位置に保持する。溝421、及びOリングなどのシールリング6は、第1及び第2の縁部421a、421bとシールリング6との間に間隙L1、L2(図3参照)が存在するように寸法決めされ、この間隙には、塑性変形可能な内側容器材料が入り込んで、本発明に従って、第1及び第2のシールビード24a、24b(さらに、所望であれば、スリーブ411の下面411uに沿ってシールビード24c)を形成することができ、これらのシールビードは、これらの間隙L1及びL2内に突出する。さらに、2つの部分からなるシーリングコーン41又は外側部品42は、貯蔵容積部SVと突出部23の上面23(圧力容器1の外面の方向に向けられた面)との間に、またスリーブ411(破線で示されたガス通路GV)及びクランプコーン412の上面を通して、貯蔵容積部SVに向かう開口ガス接続部GV
があるように形成される。スリーブ411は、突出部23に向かって配向された外面411aと、対向する内面411iとを備え、突出部23上に載置されるスリーブ411の外面411aの表面積は、その内面411iより小さいため、圧力容器1の貯蔵容積部SV内の内圧は、この面積比に起因して、スリーブ411を突出部23の方向に、したがって外側部品42の内面42iに対してさらに押圧する。同じことが、外面412a及び内面412iと同じ面積比を有するクランプコーン412にも当てはまる。溝421は、無負荷状態のシールリング6の形状に適合した輪郭を有することができる(図3を参照)。外層3は内側容器2の外面2aに適用され、その内面2iは貯蔵容積部SVを画定する。中空の外側のスリーブ411は、最小内径DI-411と、突出部の直径D-23に適合された外径DA-411と、突出部23の上面23の上方の領域において突出部23を越えて外側に延在する相応に適合された輪郭とを有し、その結果、スリーブ411は、貯蔵容積部SVの方向に遠くまで摺動することができない。スリーブ411の内面411iは、ここでは、突出部23の方向に少なくとも局所的に凹状である。ただし、この凹部は、クランプコーンによって加えられる圧力によっても生成され得る。中空の内側のクランプコーン412は、突出部23の内径D-23より小さく、スリーブ411の最小内径D-411より大きい最大外径D-412と、突出部23の方向に配置された外面412aとを有し、クランプコーン412の外面412aは、内側のクランプコーン412がスリーブ411と締り嵌めされ、したがって突出部23及び外側部品42に対して所望のシール圧力ADを加えるように、位置決め補助具7を用いて内側から係合される。図3は、外側部品42と、内側容器2のポールキャップ22の突出部23と、2つの部分からなるシーリングコーン41と、形成されたシールビード24a、24b、24cとを有する、本発明に係るシール概念の概略図である。図3aにおいて、クランプコーンは、位置決め補助具7を用いて、突出部23を通って内側容器2の貯蔵容積部SV内に摺動し、その外径D-412が突出部23の内径D-23より小さいので、そこに保持される。この後、スリーブ411は、突出部23の内面23i上に外側から摺動されて滑り嵌めを形成するが、位置決め補助具7及びクランプコーン412は、これによって影響されない(図3b参照)。続いて、外側部品42が突出部23の外面23a上に嵌合され、当該外側部品42は、突出部23に向かって配向されたその面42i上に、将来の貯蔵容積部SVに面する第1の縁部421aと、対向する方向に設けられた第2の縁部421bとを有する適切に成形された溝421と、溝421内に位置決めされ、シール圧力AD下でシールするシールリング6とを備える(図3c参照)。これは、位置決め補助具7及びクランプコーン412にも影響を及ぼさない。この時点では、シールビード24a、24b、24cもまだ形成されていない。これは、このために必要なシール圧力ADが、クランプコーン412がスリーブ411内に、したがって突出部23内にも位置決めされた後にはじめて生成されるからである。この後、クランプコーン412は、位置決め補助具7によって内側からスリーブ411内に引き込まれ、クランプコーン412の外面412aは、スリーブ411の内面411iに係合して、2つの構成部品間に固定された締り嵌めを形成し、2つの部分からなるシーリングコーン41と、突出部23と、外側部品42との間にシール圧力ADを生成し、この圧力は、シールビード24a、24b、24cの形成をもたらす(図3d参照)。クランプコーン412下のスリーブ411の内面411iの湾曲部によって、貯蔵容積部SVの方向へのクランプコーン412の移動が防止される。第1及び第2のシールビード24a、24bは、従来のシール(突出部に対するOリング)とともに、圧力容器1の外面に対する貯蔵容積部SVのシールの三重冗長性を形成する。さらに、スリーブ411及びクランプコーン412は、ここでは、内側容器材料がその塑性変形性により、スリーブ411の下面411u上で、貯蔵容積部SVに向けられた第3のビード24cをさらに形成するように寸法決めされる。この第3のビード24cは、スリーブ411、したがってシーリングコーン41全体を所定の位置に保持することによって、シールの三重冗長性を支持し、それらが内側容器内に摺動又は落下することさえも防止する。次に、位置決め補助具7は、例えば、クランプコーン412を保持し案内する位置決め補助具7の支柱付き下部を、それぞれの機構を用いて円筒軸ZAに平行な円筒軸ZAの方向に折り
畳むことによって、又は、ねじ棒の場合には、クランプコーン412の内面上のそれぞれのねじ山から緩めることによって、圧力容器1から取り外すことができる。このようにして狭められた、又はねじを緩めることができる位置決め補助具7は、クランプコーン412の残りの内側開口部を通して容易に引き出すことができる。
【0036】
図4は、内面2i及び外面2aを有し、加圧下で少なくとも部分的に塑性変形可能な内側容器材料から作られ、バルブ5を受けるように設計された内側容器2と、内側容器2上に位置決めされた外層3と、中空の外側のスリーブ411及び中空の内側のクランプコーン412で構成される2つの部分からなるシーリングコーン41並びに外側部品42を有するバルブ接続部品4とを含む、本発明に係る圧力容器1を製造するための本発明に係る方法100の実施形態を示し、以下のステップを含む。貯蔵容積部SVと、内側容器2の外面2aから円筒状に突出する内側の開口した突出部23とを備えた内側容器2を用意する110ステップと、突出部23の内径D-23より小さい最大外径D-412と、スリーブ411の最小内径D-411より大きい最大外径D-412とを有するクランプコーン412を、位置決め補助具7によって、突出部23に向かって、突出部23を通して、内側容器2の貯蔵容積部SV内に位置決めする120ステップと、シーリングコーン41の中空スリーブを外側から突出部23の内面23i上に締り嵌めで挿入する130ステップであって、当該スリーブ411は、最小内径D-411と、突出部23に適合された外径411aとを有し、一方、位置決め補助具7及びクランプコーン412はそれによって影響を受けないステップと、外側部品42を突出部23の外面23a上に嵌合させる140ステップであって、当該外側部品42は、突出部23に向かって配向されたその面42i上に、将来の貯蔵容積部SVに面する第1の縁部421aと、対向する方向に設けられた第2の縁部421bと、溝421内に位置決めされ、シール圧力AD下でシールするシールリング6とを有する適切に成形された溝421を含むステップと、位置決め補助具7によってクランプコーン412を内側からスリーブ411内に位置決めする150ステップであって、当該クランプコーンの外面は、スリーブの内面に係合してスリーブ411との締り嵌めを形成し、それにより、2つの部分からなるシーリングコーン41と、突出部23と、外側部品42との間にシール圧力ADが生じるステップと、少なくとも第1及び第2シールビード24a、24bを形成する160ステップであって、シール圧力AD下で、また相応に寸法決めされた溝421及びシールリング6を用いて、内側容器材料の塑性変形可能性によって、シールリング6と第1及び第2の縁部421a、421bとの間の2つの間隙L1、L2内に突出して、将来の内側容器2から貯蔵容積部をシールするステップと、所望であれば、内側容器材料の塑性変形性により、貯蔵容積部SVに向かって配向されたスリーブの下面41u上でスリーブ411の周りに第3のビード24cを形成する190ステップと、圧力容器1を補強するために、内側容器2に外層3を生成する170ステップと、圧力容器1を閉鎖するために、バルブ接続部品4にバルブ5を嵌合させる180ステップ。外層3は、繊維複合材料からなり得、製造工程において内側容器2に巻き付けられ得る。ここで、スリーブ411上の停止部4111まで突出部23の上面23上にスリーブ411を挿入する130ステップ、及び/又は外側部品42の内面42iと接触するまでスリーブ411及び/又はクランプコーン412に外側部品42を嵌合させる140ステップも同様に行うことができる。また、内側容器2は一体に製造することができる。
【0037】
ここに示す実施形態は、本発明の単なる例であり、したがって、限定することを意図するものではない。当業者によって考慮される代替の実施形態は、本発明の範囲に等しく含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 本発明に係る圧力容器
2 内側容器
2i 内側容器の内面
2a 内側容器の外面
21 内側容器の中央部分
22 内側容器のポールキャップ
23 内側容器の突出部
23i 突出部の内面
23a 突出部の外面
23o 突出部の上面
24a 第1のシールビード
24b 第2のシールビード
24c 第3のビード
3 外層
4 バルブ接続部品
41 2つの部分からなるシーリングコーン
411 シーリングコーンのスリーブ
411a スリーブの外面
411i スリーブの凹状内面
411u スリーブの下面
4111 突出部上のスリーブの停止部
412 シーリングコーンのクランプコーン
412a クランプコーンの突出した外面
412i クランプコーンの内面
42 外側部品
42i 突出部に向かって配向された面(外側部品の内面)
421 溝
421a 第1の縁部
421b 第2の縁部
43 固定要素
5 バルブ
6 シールリング
7 位置決め補助具
100 本発明に係る圧力容器の製造方法
110 内側容器を用意する
120 クランプコーンを内側容器の貯蔵容積部内に位置決めする
130 中空スリーブを突出部に挿入する
140 外側部品を外側から突出部上に嵌合させる
150 位置決め補助具によってクランプコーンをスリーブ内に位置決めする
160 少なくとも第1及び第2のシールビードをシール圧力下で形成する
170 内側容器に外層を生成する
180 バルブ接続部品にバルブを嵌合させる
190 第3のビードを形成する
AD シール圧力
D-23 突出部の内径
DA-411 シーリングコーンのスリーブの外径
DI-411 シーリングコーンのスリーブの最小内径
D-412 クランプコーンの最大外径
GV ガス接続部
L1、L2 溝の第1及び第2の縁部のそれぞれとシールリングとの間の間隙
SV 貯蔵容積部
ZA 円筒軸
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図4