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特許7308269表面添付されたマイクロ光学偽造防止セキュリティデバイス
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】表面添付されたマイクロ光学偽造防止セキュリティデバイス
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/29 20140101AFI20230706BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20230706BHJP
   G02B 5/10 20060101ALI20230706BHJP
   B41M 3/14 20060101ALN20230706BHJP
【FI】
B42D25/29
G02B3/00 A
G02B5/10 Z
G02B3/00 B
B41M3/14
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2021537941
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 US2018067765
(87)【国際公開番号】W WO2020139359
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】516166085
【氏名又は名称】クレイン アンド カンパニー、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲッテンズ、ナンシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ディッカーソン、パール エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】マカリスター、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ、デイヴィッド エル.
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/178000(WO,A1)
【文献】特開平11-065381(JP,A)
【文献】特開2000-127617(JP,A)
【文献】特表2008-545550(JP,A)
【文献】特開2003-240910(JP,A)
【文献】国際公開第2017/138536(WO,A1)
【文献】特開2018-156110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 25/29
G02B 3/00
G02B 5/10
B41M 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)画像要素のアレイ(103)、(ii)焦点合わせ要素のアレイ(106)、及び(iii)少なくとも1つの粘着防止物質(115)を含むセキュリティフィルム(130)を備え、
前記焦点合わせ要素のアレイと前記画像要素のアレイとが、前記画像要素のアレイの少なくとも一部が前記焦点合わせ要素のアレイの少なくとも一部を通して見られる際に、合成画像が前記セキュリティフィルムによって投影されるように、互いに対して配置されており、
前記粘着防止物質が前記焦点合わせ要素のアレイに結合されており、
前記粘着防止物質が非イオン性表面活性剤である、セキュリティデバイス。
【請求項2】
光学スペーサが前記画像要素のアレイと前記焦点合わせ要素のアレイとの間に配置されている、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項3】
前記光学スペーサがレリーフ構造を有する、請求項2に記載のセキュリティデバイス。
【請求項4】
前記画像要素のアレイ、前記光学スペーサ及び前記焦点合わせ要素のアレイが積層された方向に直交する方向において、前記光学スペーサと前記画像要素のアレイとの各々が幅を有し、前記光学スペーサの前記幅が、前記画像要素のアレイの前記幅未満である、請求項2に記載のセキュリティデバイス。
【請求項5】
前記焦点合わせ要素のアレイが第1の繰返し周期を有し、前記レリーフ構造が第2の繰返し周期を有し、前記第1の繰返し周期が前記第2の繰返し周期より大である、請求項3に記載のセキュリティデバイス。
【請求項6】
前記画像要素が、画像全体、画像の一部、またはフレームの繰返しのパターンで形成されている、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項7】
前記画像要素が微細構造である、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項8】
前記微細構造が、空隙と固体領域との少なくとも1つを含んでいる、請求項7に記載のセキュリティデバイス。
【請求項9】
前記画像要素のアレイに結合されたコントラスト材料をさらに含む、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項10】
前記コントラスト材料が、着色材料または反射性材料の少なくとも1つである、請求項9に記載のセキュリティデバイス。
【請求項11】
前記コントラスト材料が、微細構造の空隙内に配置され、前記画像要素を形成するインクである、請求項9に記載のセキュリティデバイス。
【請求項12】
前記コントラスト材料が、微細構造の空隙内に配置され、前記画像要素を形成するアルミニウムを含んでいる、請求項9に記載のセキュリティデバイス。
【請求項13】
前記焦点合わせ要素が50um未満のベース直径を有する、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項14】
前記焦点合わせ要素が、六角形のサブセットのアレイとして配置され、前記六角形の各サイドが少なくとも2つの焦点合わせ要素を含んでいる、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項15】
前記焦点合わせ要素が埋め込まれている、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項16】
前記焦点合わせ要素が屈折率分布形レンズを含んでいる、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項17】
前記焦点合わせ要素が、多角形のベースと非球面の本体との少なくとも1つを含んでいる、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項18】
前記焦点合わせ要素が4未満のF数を有する、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項19】
前記焦点合わせ要素のアレイが、約1.0から約2.5の範囲の屈折率を有する、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項20】
前記粘着防止物質が、前記光学スペーサと前記画像要素のアレイとの少なくとも1つにも結合されている、請求項2に記載のセキュリティデバイス。
【請求項21】
前記粘着防止物質が、複数のエステル基を有する表面活性剤である、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項22】
キャリアフィルム又は保護される製品基板と、
転写フィルムと、
の少なくとも1つをさらに含み、
前記焦点合わせ要素のアレイが前記画像要素のアレイ上に積層されており、
前記キャリアフィルムが存在する場合に、前記キャリアフィルムが、前記焦点合わせ要素のアレイの積層方向において前記画像要素のアレイに近いサイドで前記セキュリティフィルムに結合され、前記転写フィルムが存在する場合に、前記転写フィルムが、前記積層方向において前記画像要素のアレイとは反対側のサイドで前記セキュリティフィルムに結合され、
前記保護される製品基板が存在する場合に、前記保護される製品基板が、前記積層方向において前記画像要素のアレイに近いサイドで前記セキュリティフィルムに結合される、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項23】
前記キャリアフィルムが、bf1ベースフィルムを含み、サブコート層と、粘着防止要素との少なくとも1つを含む、請求項22に記載のセキュリティデバイス。
【請求項24】
前記キャリアフィルムが、bf1ベースフィルムを含み、第1のサイドに結合された第1のサブコート層及び第2のサイドに結合された第2のサブコート層を有し、前記第2のサブコート層に結合された粘着防止要素を有する、請求項22に記載のセキュリティデバイス。
【請求項25】
前記転写フィルムが、bf2ベースフィルムを含み、粘着防止要素の少なくとも1つと、少なくとも1つのサブコート層とを含む、請求項22に記載のセキュリティデバイス。
【請求項26】
前記粘着防止要素とは反対側の前記サブコート層の1つに結合された、プライマー層、転写形成物層、及びプライマー-転写形成二重層の少なくとも1つをさらに備えている、請求項25に記載のセキュリティデバイス。
【請求項27】
前記転写フィルムが、bf2ベースフィルムを含み、第1のサイドに結合された第1のサブコート層及び第2のサイドに結合された第2のサブコート層を有し、前記第2のサブコート層に結合された粘着防止剤を有し、
前記プライマー-転写形成二重層が、前記転写フィルムと前記セキュリティフィルムとの間に配置されている、請求項26に記載のセキュリティデバイス。
【請求項28】
前記セキュリティフィルムが、前記セキュリティフィルムと前記保護される製品基板との間に配置された接着要素により、前記保護される製品基板に結合されている、請求項22に記載のセキュリティデバイス。
【請求項29】
前記転写フィルムが、前記転写フィルムと前記セキュリティフィルムとの間に配置されたプライマー層をさらに備えている、請求項22に記載のセキュリティデバイス。
【請求項30】
セキュリティフィルム(130)を提供することであって、(i)焦点合わせ要素のアレイ(106)を画像要素のアレイ(103)上に積層し、それにより、前記画像要素のアレイが前記焦点合わせ要素のアレイを通して見られた際に、前記セキュリティフィルムによって合成画像が投影されるようにすることと、(ii)前記焦点合わせ要素に粘着防止物質(115)を結合することと、により、前記セキュリティフィルム(130)を提供することを含み、
前記粘着防止物質が非イオン性表面活性剤である、セキュリティデバイスの形成方法。
【請求項31】
前記セキュリティフィルムをキャリアフィルム又は保護される製品基板と統合することと、
前記セキュリティフィルムを転写フィルムと統合することと、
の少なくとも1つをさらに含み、
前記キャリアフィルムが前記セキュリティフィルムと統合される場合に、前記キャリアフィルムが、前記焦点合わせ要素のアレイの積層方向において前記画像要素のアレイに近いサイドで前記セキュリティフィルムに結合され、
前記転写フィルムが存在する場合に、前記転写フィルムが、前記積層方向において前記画像要素のアレイとは反対側のサイドで前記セキュリティフィルムに結合され、
前記保護される製品が統合される場合に、前記保護される製品基板が、前記積層方向において前記画像要素のアレイに近いサイドで前記セキュリティフィルムに結合される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法によって形成された請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項33】
請求項1に記載のセキュリティフィルム(130)を提供することと、
前記セキュリティフィルムを保護される製品基板(120)に結合することと、を含む、保護される製品の形成方法。
【請求項34】
保護される製品を保護するための請求項1に記載のセキュリティデバイスの使用。
【請求項35】
前記保護される製品が銀行券である、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記画像要素のアレイと前記焦点合わせ要素のアレイとの間に配置されたスペーサ層を含み、
前記焦点合わせ要素のアレイが焦点合わせ幅を有し、前記スペーサ層がスペーサ幅を有し、前記画像要素のアレイが画像の幅を有し、前記キャリアフィルムがキャリアの幅を有し、それにより、前記キャリアの幅が前記画像の幅より大であり、前記画像の幅が、次いで前記スペーサ幅より大であり、前記スペーサ幅が、次いで前記焦点合わせ幅より大であるようになっている、請求項22に記載のセキュリティフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る特定の実施形態は、(i)高い価値または高い安全性の製品を保護する(すなわち、本物であることを証明するか、美化する)ことにおける用途のために適切な製造物、本明細書で保護される製品と集合的に称されるそのような高い価値または高い安全性の製品、及び、本明細書でセキュリティデバイスと称される製造物に関する。本開示に係る特定の実施形態は、保護される製品を保護する(すなわち、本物であることを証明するか、美化する)方法に関する。さらに、本発明は、(iii)保護される製品、(iv)セキュリティデバイスを保護される製品に添付する方法によって形成された保護される製品、及び(v)セキュリティデバイスの製造方法、及び(vi)この方法によって形成されたセキュリティデバイスにも関する。さらなる態様では、本開示は、(vii)保護される製品を保護するためのセキュリティデバイスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
保護される製品は、高い安全性の製品及び高い価値の製品を含んでいる。高い安全性の製品自体には、限定ではなく、銀行券、小切手などのセキュリティドキュメント、及び、ライセンス、セキュリティパス、パスポート、公式の政府のレターヘッドなどの政府の身分証明書が含まれる。前述の高い価値の製品自体には、国内財、個人用製品、アパレル、及びハイテク製品などのブランド製品が含まれ得る。これら保護される製品は、偽造製品の拡散を軽減する助けになるように様々な認証ツールに依存している場合がある。保護される製品の製造業者/ユーザに利用可能な様々な認証ツールの中には、透かし、特別繊維、埋込みスレッド、及び窓開きスレッドがある。
【0003】
透かしは、偽造者になるであろう者に対する障害を提供することにより、認証ツールとして機能する。偽造者になるであろう者は、しばしば、本物の銀行券を複製/コピーする、最新の発展したプリント及び写真複写技術に依存する。たとえば、銀行券のユーザは、これら高い安全性の文書を本物であると証明するために、特定の透かしの証印、たとえば、人々、数字、文字、シンボル、及び/または風景の描写が存在することに依存する。そのような透かしの証印は、概して、銀行券を形成するために使用される紙の製造プロセスの間に銀行券に組み込まれる。特定のケースでは、透かしの証印は、一定の運動性/移動性の効果とともに染み込ませられ、それにより、保護される製品に対する、観察者の視点における微細であるか、より明確な変化が、証印の見た目または位置の観察可能な変化に繋がる。たとえば、反射光で透かしの証印を見ると、観察者は、証印が第1の見た目を有することを見ることになり、一方、透過光(すなわち、紙が観察者と光源との間で保持されている際に紙を通る光)で透かしの証印を見ると、第2の見た目が提供される。しかし、透かしは、特定の技術的及び機能的な限定を与え得る。たとえば、有効性に関するいくつかの基準を満たすために、透かしは、非常に多くの銀行券にわたって一貫して提供することがしばしば非常に困難であり得る、高い精細度の細部を組み込んでいる必要がある場合がある。したがって、そのような高い精細度の細部を伴わない場合、偽造者は、偽造銀行券を製造するために、商業利用可能な高精細かつ高解像度のプリンタで本物のように見える銀行券を製造するように、適切に準備がされている。
【0004】
特別繊維は、安全性または美観を通して、高い安全性の文書を保護するためにしばしば使用される別の認証ツールである。銀行券が本物のであることを証明するために、たとえば、繊維が、製造の間に製紙用パルプに添加され、それにより、結果として得られる紙に、特定の色または特定の機械で検出可能な信号で、繊維が分布しているようになっている。しかし、繊維を紙に組み込むことのほとんどは、紙のバルク全体、及び/または紙の表面エリアにわたってランダムに分布させることによるものである。したがって、そうでなければ比較的同一である、非常に多くのセットの銀行券毎に、繊維の安全性の特徴は変化する。この保護される製品のセットの可変性は、エンドユーザには容易に識別することができない、偽造されたバージョンを偽造者が製造することを可能にする。
【0005】
埋込みスレッドは、別の認証ツールである。この埋込みスレッドは、多くの形態を取ることができるが、安全にされた文書製品への埋込みスレッドの組込みは、概して、高い安全性の文書を形成するために使用される紙の製造プロセスの間に行われる。そのような認証ツールは、中央銀行及びBEMs(Banknote Equipment Manufacturers)のマシンが、容易に銀行券が本物であることを証明することを可能にするが、そのようなデバイスは、公共からはしばしば隠されており、公共には動的に関わらない。偽造者は、そのような文書のレベル1の認証者としての役目を果たす公共のエンドユーザをやり過ごすために、公共と埋込みスレッドとの間の、この受動的な相互作用に依存している。
【0006】
窓開きスレッドは、埋込みスレッドによって提供された問題の部分的解決策を導入しているが、偽造者によって利用され得る、さらなる課題を作り出し得る。たとえば、窓開きスレッドは、銀行券を製造するために使用される紙の製造プロセスの間に、銀行券に編み込まれ得る。最終的な形態では、スレッドは、ウインドウと称されるエリアに露出し、ブリッジと称されるエリアにおいて、紙の下に埋められている。これらウインドウのエリアにより、公共のエンドユーザが安全性の特徴と関わることを可能にするが、このことは、非常に本物のように見える偽造の可能性を増大させもする。この理由は、偽造者が単に、スレッドのエリアをブリッジの下方に単に移動し、これらを偽造銀行券のウインドウのエリアに組み込むことができ、それにより、本物の銀行券に見えるものを製造するためである。
【0007】
上述から明らかであるように、保護される製品を保護することは、無数の技術的変化を提供し続けることがわかる。これまで、安全性の特徴を高い安全性の文書の表面、特に銀行券に追加することの課題が残っている。この理由は、そのような認証ツールが、ストライプの形態か、またはパッチの形態かに関わらず、しばしば紙幣の厚さの変化を加え(ときには、キャリパー差(caliper differential)と称される)、このことが、BEMSマシンなどの下流のプロセスには対処できなくなり得、循環の間の銀行券のライフサイクルを短縮するためである。本明細書で論じるように、本開示に係る製造物、方法、使用、及びプロダクトバイプロセスは、上述の付随する欠点のすべてを伴わずに、セキュリティデバイスを、高い安全性の文書などの保護される製品の表面に組み込むことにおいて驚くべき効果があることが証明されている。
【0008】
本発明は、本明細書に提供される特許請求の範囲に説明されるようなものである。しかし、明確化の目的のために、当業者(すなわち、PHOSITA)が、適切ではない実験を伴わずに、請求された発明を実施及び使用することを可能にし得るように、以下の詳細な説明及び図面は、請求される発明の例示的実施形態として提供されている。本明細書に提供される個別の実施形態の各々の要素または構成要素が、本明細書に提供される別の個別の実施形態に適用される場合があり、それにより、さらなる実施形態を形成することを理解されたい。
【発明の概要】
【0009】
上に識別された欠点に鑑み、本開示に係る特定の実施形態は、(i)セキュリティデバイスと、(ii)セキュリティデバイスの形成方法と、(iii)この方法によって形成されたセキュリティデバイスと、(iv)保護される製品と、(v)保護される製品の形成方法と、(vi)この方法によって形成された保護される製品と、(vii)保護される文書を保護するためのセキュリティデバイスの使用と、を含み、これらはすべて、上に識別された欠点の少なくともいくつかがなくなっている。本発明者は、驚くべきことに、本発明がこの目的を満たしていることを見出した。
【0010】
本開示の様々な実施形態によれば、セキュリティデバイスは、(i)画像要素のアレイ、(ii)焦点合わせ要素のアレイ、及び(iii)少なくとも1つの粘着防止物質を有するセキュリティフィルムを備え、焦点合わせ要素のアレイと画像要素のアレイとが、画像要素のアレイの少なくとも一部が焦点合わせ要素のアレイの少なくとも一部を通して見られる際に、合成画像がセキュリティフィルムによって投影されるように、互いに対して配置されており、粘着防止物質が焦点合わせ要素のアレイに結合されている。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態によれば、セキュリティデバイスの形成方法は、セキュリティフィルムを提供することであって、(i)焦点合わせ要素のアレイを画像要素のアレイ上に積層し、それにより、画像要素のアレイが焦点合わせ要素のアレイを通して見られた際に、セキュリティフィルムによって合成画像が投影されるようにすることと、(ii)焦点合わせ要素に粘着防止物質を結合することと、により、セキュリティフィルムを提供することを含んでいる。
【0012】
さらなる態様では、本発明は、直前のパラグラフに記載された方法によって形成されたセキュリティデバイスである。本開示に係るいくつかの実施形態では、セキュリティデバイスは、(i)画像要素のアレイ、(ii)焦点合わせ要素のアレイ、及び(iii)少なくとも1つの粘着防止物質を有するセキュリティフィルムを備え、焦点合わせ要素のアレイと画像要素のアレイとが、画像要素のアレイの少なくとも一部が焦点合わせ要素のアレイの少なくとも一部を通して見られる際に、合成画像がセキュリティフィルムによって投影されるように、互いに対して配置されており、粘着防止物質が焦点合わせ要素のアレイに結合されており、セキュリティデバイスは、セキュリティフィルムを提供することであって、(i)焦点合わせ要素のアレイを画像要素のアレイ上に積層し、それにより、画像要素のアレイが焦点合わせ要素のアレイを通して見られた際に、セキュリティフィルムによって合成画像が投影されるようにすることと、(ii)焦点合わせ要素に粘着防止物質を結合することと、により、セキュリティフィルムを提供することを含む方法によって形成される。
【0013】
本開示に係る様々な実施形態では、保護される製品は、保護される製品基板と、粘着防止物質を有するとともに、保護される製品基板に結合されたセキュリティフィルムと、を備えている。
【0014】
本開示の特定の実施形態によれば、方法は、セキュリティフィルムを提供することと、セキュリティフィルムを保護される製品基板に結合することと、を含んでいる。
【0015】
さらなる態様では、特定の実施形態は、本開示の様々な実施形態の方法を使用して生成された保護される製品を含んでいる。少なくとも1つの実施形態では、保護される製品は、保護される製品基板と、粘着防止物質を有するとともに、保護される製品基板に結合されたセキュリティフィルムと、を備え、保護される製品は、セキュリティフィルムを提供することと、セキュリティフィルムを保護される製品基板に結合することと、を含む方法によって形成される。
【0016】
本開示に係る様々な実施形態は、保護される文書を保護するために、いくつかの実施形態に従って構築されたセキュリティデバイスの使用を含んでいる。特定の関連する一実施形態では、使用は、保護される製品を保護するために、本明細書を通して記載されるセキュリティデバイスを使用することを含んでいる。
【0017】
上に概略的にまとめられた態様及び実施形態は、後のパラグラフ及び図面においてさらに詳しく説明されることになる。
【0018】
定義
本明細書で使用される場合、「粘着防止」との用語は、セキュリティフィルムが、それ自体の粘着性に起因して、巻き取る際にセキュリティフィルム自体に粘着することを防止することを意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「or」との用語は、文脈によって別様に必要とされていない限り、「or」、「and」、または「and/or」を含むものと理解されるものとする。
【0020】
本明細書で使用される場合、「結合される」との用語は、直接的または間接的に互いに取り付けられた2つの構成要素を含むものとして理解されるものとする。
【0021】
本明細書で使用される場合、「F♯」または「F数」との用語は、焦点合わせ要素の有効直径に対する焦点合わせ要素の焦点距離の割合を意味するものとする。
【0022】
本明細書で使用される場合、「を越えて」の用語は、最終製品において、製品が、少なくとも1つの方向に物理的に向けられ得、ここで焦点合わせ要素のアレイが頂部にあり、画像要素のアレイが焦点合わせ要素のアレイの下方にあることを意味するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の特定の実施形態によって提供される中間セキュリティデバイスの断面図であり、セキュリティフィルムがキャリアフィルム上に積層されている。
図2】本開示の様々な実施形態に係る中間セキュリティデバイスの断面図であり、セキュリティフィルムがキャリアフィルムと転写フィルムとの間に配置されている。
図3】本開示のいくつかの実施形態に係る中間セキュリティデバイスの断面図であり、セキュリティフィルムが転写フィルムに結合されている。
図4】本開示の特定の実施形態に係る中間セキュリティデバイスの断面図であり、セキュリティデバイス(たとえば、図3のセキュリティデバイス)が接着要素及びプライマー層をさらに含んでいる。
図5】本開示の特定の実施形態に係る中間セキュリティデバイスの断面図であり、セキュリティフィルムが転写フィルムと、保護される基板との間に配置されている。
図6】本開示のいくつかの実施形態に係る中間セキュリティデバイスの断面図であり、セキュリティフィルムが、接着要素によって保護される基板に固定されている。
図7】本開示のいくつかの実施形態に係る画像要素のアレイの断面図であり、画像要素が、微細構造によって、またはプリントによって提供されて、画像要素のアレイ(たとえば、画像要素層)の上または中に空隙及び突起を提供する。
図8】本開示の実施形態に係る画像要素のアレイの断面図であり、画像要素が、スペーサの一方側の少なくとも一部の上に配置されたレリーフ構造を含む光学スペーサの下方に積層されている。
図9】粘着防止物質と画像要素とを組み込む、本開示に係る3つの実施例を示す断面図である。
図10】特定の実施形態に係るセキュリティデバイスの断面図であり、焦点合わせ要素の上方に別個の粘着防止物質層を含むとともに、セキュリティフィルムからの転写フィルムの分離を介して形成されている。
図11】本開示の様々な実施形態に係るセキュリティデバイスの断面図であり、セキュリティフィルムが保護される基板に添付されている。
図12】本開示の特定の実施形態に係るセキュリティフィルムの等角破断図であり、合成画像を生成するためにともに結合された画像要素のアレイ、レリーフ構造を有するスペーサ、及び焦点合わせ要素のアレイを示している。
図13】本開示の少なくとも1つの実施形態に係るセキュリティデバイスの断面図であり、焦点合わせ要素が反射性であるとともに、画像要素のアレイ及び転写フィルムの下方に配置されており、転写フィルムが画像要素の上方に配置され、セキュリティフィルムを保護される基板(図示せず)に転写するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
セキュリティフィルムを保護される製品に添付するために、キャリアフィルム及び/または転写フィルムを使用することにより、非常に薄いセキュリティフィルムを、保護される製品の、本物であること、または美観を確実にするために使用することができることがわかっている。
【0025】
さらなる利点は本開示に鑑みて考慮される場合にPHOSITAには明らかとなるであろう。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態にかかるセキュリティデバイスは、(i)画像要素のアレイ、(ii)焦点合わせ要素のアレイ、及び(iii)少なくとも1つの粘着防止物質を有するキュリティフィルムを備えている。このセキュリティフィルムは、本明細書において、特定の実施形態の下ではフィルムF9とも称される。
【0027】
本開示(すなわち、特許請求の範囲、図面、及び詳細な説明)に鑑み、PHOSITAは、本明細書に明示的に述べられている実施形態以外の様々な実施形態が可能であることを理解することとなり、本開示の範囲内にある様々な他の実施形態を容易に予想することが可能となる。
【0028】
たとえば、様々な実施形態において、追加の構成要素が、画像要素のアレイ、焦点合わせ要素のアレイ、及び粘着防止物質に追加されることが考えられる。特定の実施形態では、たとえば、セキュリティデバイスが、セキュリティフィルムの一部として、光学スペーサ、埋込み材料、プライマー層、コントラスト材料、マシン可読構成要素、またはバックコーティングの、追加の構成要素の1つまたは複数を含んでいる。同様に、セキュリティフィルムの構成要素(たとえば、画像要素のアレイ及び焦点合わせ要素のアレイ)は、構成要素の色、形状、サイズ、寸法、または化学的組成のいずれか1つまたはセットを変更することにより、その光学的応答/投影を変化させるように変更される場合がある。さらに、本開示に係るいくつかの実施形態では、セキュリティデバイスが、セキュリティフィルムに加えて、他の構成要素を含むことが考えられる。たとえば、特定の実施形態では、セキュリティデバイスは、キャリアフィルム、転写フィルム、または接着要素の少なくとも1つを含んでいる。
【0029】
本明細書で使用される場合、画像要素は、画像(たとえば、画像全体、画像の部分またはフレーム)を形成するように、アレイ内に配置されたレリーフ構造に言及する。レリーフ構造は、焦点合わせ要素のアレイを通して見た際に、焦点合わせ要素と画像要素とが協同して合成画像を投影するように、アレイにわたってあるパターンで分布されている。適切な画像要素及びこれらの提供方法は、国際特許出願公開第WO2005/052650号、国際特許出願公開第WO2006/125224号、国際特許出願公開第WO2008/008635号、国際特許出願公開第WO2011/019912号、国際特許出願公開第WO2011/163298号、国際特許出願公開第WO/2013/028534号、国際特許出願公開第WO2014/143980号、国際特許出願公開第WO2009/017824号、国際特許出願公開第WO2016/044372号、国際特許出願公開第WO2016/011249号、国際特許出願公開第WO2013/163287号、国際特許出願公開第WO2007/133613号、国際特許出願公開第WO2012/103441号、国際特許出願公開第WO2015/148878号、国際特許出願公開第WO2005/106601号、及び国際特許出願公開第WO2006/087138号に記載されている。これらはすべて、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0030】
いくつかの実施形態に係るレリーフ構造は、空隙(たとえば、貫通穴及び凹部)と、隣り合うか隣接した固体領域(たとえば、突起)とを備えており、合成画像は、空隙、突起、空隙の各部、突起の各部、またはこれらの任意の組合せから投影される。これらレリーフ構造は、アレイ層上またはアレイ層内に形成される場合がある。たとえば、突起は層上に(たとえばインクジェット印刷、レーザージェット印刷、レタープレス印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷によって、または凹版印刷よってさえ)プリントされ、それにより、隣接するプリント空隙を有するプリント突起を形成する場合があるか、層内にエンボス加工がされ、それにより、隣接するエンボスの空隙を有するエンボス突起を形成する場合がある。さらに、プリントされた突起は、埋め込まれる場合があり、それにより、埋め込まれたレリーフ構造のアレイを形成する。画像要素のアレイは、これらプリントされた画像要素、エンボス加工された画像要素、または埋め込まれた画像要素の任意の組合せを備えている場合がある。様々なサイズが画像要素に適切であり、画像要素のアレイがすべて同じ寸法を有する場合があること、またはサイズが様々なである場合があることも、本発明の範囲内において考えられる。しかし、いくつかの実施形態では、画像要素は微細構造であり、画像要素のいくつか、または実質的な量、またはすべてがミクロンサイズであることを意味する。たとえば、特定の実施形態では、合成画像を投影するために依存されるレリーフ構造(すなわち、空隙及び/または突起)は、約0.25μmから約8μmの範囲の深さを有するとともに、約10μmから約40μmの範囲の幅を有する。画像要素のアレイを形成するための様々な材料を選択することも適切であり、適切な実施例には、アクリル、アクリル化されたポリエステル、アクリル化されたウレタン、エポキシ、ポリカーボネート、ポリプロピレンなど、実質的に透過性であるか、有色であるか、無色であるポリマーが含まれる。層を提供する様々な手段が、本開示に鑑み、PHOSITAには明らかとなるであろう。しかし、例示的方法には、押出し、放射線硬化性鋳造、射出成型、反応射出成型、または反応成型を含んでいる。好ましくは、選ばれた材料は、1.2より大、より好ましくは1.5から1.9の範囲の屈折率を有する。
【0031】
画像要素と焦点合わせ要素との協同を通してセキュリティフィルムによって投影された合成画像は、見分けられるために、空隙と突起との間のコントラストに依存している。このコントラストは、空隙と突起との間の寸法及び幾何学的な差異によって提供され得るか、空隙及び/または突起に適用されたコントラスト処理によって提供される。コントラスト処理には、コントラスト材料をセキュリティフィルムに適用し、それにより、コントラスト材料が空隙と突起との間、またはそれらのそれぞれの部分間にコントラストを与えるようにすることが含まれる。このコントラスト処理は、空隙、固体領域、もしくはそれらのそれぞれの部分を形成するために異なる材料を使用することを含む多くの方法で、または、コントラスト材料を、空隙、突起、もしくはそれらのそれぞれの部分に結合することにより、提供され得る。コントラスト材料の結合には、空隙またはその一部を充填するかコーティングすること、突起またはその一部をコーティングすること、空隙の裏側またはその一部をコーティングすること、突起の裏側またはその一部をコーティングすること、またはこれらの任意の組合せが含まれている。本明細書で使用される場合、「コーティング」の動詞は、空隙、突起、またはこれらの一部の、後方と前方との両方のコーティングを包含している。充填またはコーティングのための様々なコントラスト材料が、本開示に鑑み、PHOSITAには明らかとなるであろう。しかし、充填またはコーティングのために、コントラスト材料が、異なる屈折率を有する蒸着金属材料、または、染色されたか着色された材料であることが好ましい。画像要素が埋め込まれている場合、埋め込まれた突起は、写真乳剤、インクレセプタコーティングに吸収された着色されたか染色されたインク、染料レセプタコーティングに転写された染料の昇華転写、及び画像フィルム内の光互変性または熱変色性の画像として、ゼラチン内の銀粒子によって形成することができる。代替的には、レリーフ構造が画像要素アレイ層上にプリントされる場合、プリントされた突起は、染色されたか、着色されたか、または反射性の材料であるか、または透明の高分子材料とすることができる。特定の実施形態では、突起またはこれらの一部は、染色されるか着色された材料であるが、プリントされた空隙が、いくつかの実施形態では、上述の空隙のようにコントラスト処理がされることも考えられる。空隙の充填が、空隙の深さ全体を占めることに言及する一方、コーティングが、空隙の全容量未満であるものに言及することを理解されたい。コートは、空隙または突起の形状か、空隙または突起の背部に追従する非常に薄い層とすることができる。
【0032】
少なくとも1つの実施形態では、コントラストは、画像要素のアレイと焦点合わせ要素のアレイとの間に配置されたか、焦点合わせ要素のアレイに結合されたコントラスト材料の層によって提供される。特定の実施形態では、コントラスト材料の層は、空隙を充填/コートするが、固体領域をコートせず、または固体領域から除去されることから、不連続である。いくつかの実施形態によれば、コントラスト材料は、このコントラスト材料が空隙の少なくとも一部を充填/コートし、固体領域の少なくとも一部をコートするように配置される場合がある。空隙が充填またはコートされ、固体領域がコートされる場合、コントラストは、空隙と固体領域との間の寸法的/幾何学的差異によって効果的に提供され得る。
【0033】
様々なコントラスト材料が、本開示の範囲内で考えられ、また、本明細書に提供される記載に鑑み、PHOSITAには明らかとなるであろう。たとえば、適切なコントラスト材料には、着色材料、光学的コントラストを有するように、現場で硬化させることができる材料、または反射性材料が含まれる。好ましい実施形態では、コントラスト材料は、空隙をコート/充填するために使用することができる着色材料であるか、突起のプリント及び空隙の形成のために使用される。代替的には、コントラスト材料は、アルミニウム、亜鉛、または銅などの反射性材料である。
【0034】
様々な実施形態では、セキュリティデバイスは、セキュリティフィルムの層内に形成された微細構造(たとえば、空隙または固体領域)を充填/コートするインク層の形態の、追加の構成要素を含んでいる。いくつかの実施形態では、セキュリティデバイスは、凹部の背面をコートする、アルミニウムのバックコーティングの形態の、追加の構成要素を含んでいる。特定の実施形態では、追加の構成要素は、固体領域の背面をコートする、アルミニウムのバックコーティングの形態のコントラスト材料である。代替的実施形態では、追加の構成要素は、セキュリティフィルムの層上にプリントされた、着色されたか反射性の材料の形態のコントラスト材料である。画像要素のバックコーティングの部分を含むとともに、他の部分を充填またはフロントコーティングする、これら実施形態の様々な組合せも考えられる。
【0035】
画像要素は、様々な実施形態では、アレイに組織化されている。画像全体であるか、画像の一部またはフレームであるかに関わらず、画像要素は、アレイの複数の寸法における繰返しパターンで拡大し、それにより、繰返し周期及びピッチが提供されるようになっている。本開示に鑑み、画像要素のアレイを形成する様々な手段が、PHOSITAには明らかとなるであろう。
【0036】
焦点合わせ要素のアレイは、画像要素またはその一部が焦点合わせ要素のアレイまたはその一部を通して見られる場合に、合成画像がセキュリティフィルムによって投影されるように、画像要素のアレイに結合されている。適切な焦点合わせ要素及びこれらの提供方法は、国際特許出願公開第WO2005/052650号、国際特許出願公開第WO2006/125224号、国際特許出願公開第WO2008/008635号、国際特許出願公開第WO2011/019912号、国際特許出願公開第WO2011/163298号、国際特許出願公開第WO/2013/028534号、国際特許出願公開第WO2014/143980号、国際特許出願公開第WO2009/017824号、国際特許出願公開第WO2016/044372号、国際特許出願公開第WO2016/011249号、国際特許出願公開第WO2013/163287号、国際特許出願公開第WO2007/133613号、国際特許出願公開第WO2012/103441号、国際特許出願公開第WO2015/148878号、国際特許出願公開第WO2017/105504号、国際特許出願公開第WO2005/106601号、及び国際特許出願公開第WO2006/087138号に記載されている。これらはすべて、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
様々な焦点合わせ要素が、本開示の範囲内にあるものとして考えられる。たとえば、屈折性である焦点合わせ要素、反射性である(たとえば、凹面反射または凸面反射)焦点合わせ要素、反射性/屈折性のハイブリッドである焦点合わせ要素、及び回折性の焦点合わせ要素が適切である。さらに、焦点合わせ要素は、筒状または非筒状のレンズ、焦点合わせ用反射器、複数のアパーチャを含む不透明層、または反射層から選択される場合がある。さらに、これら非筒状レンズは、概して、レンズ本体及びレンズベースを備えている。非筒状レンズのためのレンズ本体及びレンズベースは、球面、非球面(たとえば、円錐状、楕円状、パラボラ状など)、またはこれらの組合せから選択される場合がある。これらレンズのベースは、様々な寸法から選択される場合があるが、円形、楕円形、多角形が好ましい。これら焦点合わせ要素は、規則的であるか、パターンまたはランダムであるアレイか、一次元または二次元のアレイで配置されている。焦点合わせ要素は、各サブセットが六角形の形状のパターンなどの多角形形状で配置されるように、焦点合わせ要素のサブセットで配置される場合がある。様々な実施形態では、焦点合わせ要素が多角形形状で配置される場合、多角形の各サイドは、少なくとも2つの焦点合わせ要素を含んでいる。さらに、焦点合わせ要素が様々な色、形状、サイズ、寸法、または化学的組成を構成する場合があることが、本明細書では考えられる。焦点合わせ要素が、焦点合わせ要素のアレイにわたって一様な形状及びサイズを有することが好ましいが、特定の実施形態では、色、形状、サイズ、寸法、または化学的組成がアレイにわたって変化することになることも考えられる。
【0038】
本開示の特定の実施形態に係るセキュリティデバイスは、埋め込まれた焦点合わせ要素のアレイを含んでいる。焦点合わせ要素を埋め込むことにより、焦点合わせ要素に関連する全体的な汚れを緩和させることができることがわかっている。適切な埋込みの形成物及び焦点合わせ要素の埋込み方法が、米国特許第8,867,134号に提供されている。この文献は、その全体が本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、埋込み材料は、焦点合わせ要素の屈折率未満である屈折率を有している。
【0039】
上述のオプション及び、本開示に鑑みてPHOSITAには明らかとなるであろう様々な他のオプションが適切であるが、いくつかの実施形態では、焦点合わせ要素は、ポリマーフィルム層に形成された2次元アレイの非筒状のマイクロサイズのレンズである。これらのレンズは、非球面の本体と、多角形(たとえば、六角形)のベース幾何学形状を有している。焦点合わせ要素のサブセットは、パターンがアレイにわたって拡大される際に、六角形のパターンで配置される。少なくとも1つの方向における焦点合わせ要素の繰返し周期に対する画像要素の繰返し周期の割合は、実質的に1に等しく、画像要素のアレイの対称軸と、焦点合わせ要素のアレイの対応する対称軸とは、回転がずれて配置され、少なくとも1つの合成的に拡大された画像に関するオルト視差のモーション効果を与える。様々な実施形態では、そのようなセキュリティデバイスは、50μm未満、より好ましくは40μm未満の厚さを有している。
【0040】
レンズはF♯によって特徴付けられ、このF♯は、合成画像、及びその光学的効果を変更するように、所望のように調整される場合がある。適切なF数は、セキュリティフィルムまたはセキュリティデバイスの所望の厚さの観点から、好ましくは10未満、より好ましくは約4未満、いくつかの実施形態では、もっとも好ましくは2未満または1に調整される。合成画像は、画像要素のアレイに対する焦点合わせ要素のアレイの相対的配置及び整列によって調整もされ、各アレイがそれぞれの繰返し周期を有している。それぞれのアレイの繰返し周期は、その割合が1に等しいか、1よりわずかに上かわずかに下であるように調整される場合があるが、1よりも実質的に上か実質的に下の割合も考えられる。焦点合わせ要素のベース直径(筒状レンズに関するベース幅に等しい)は、所望のように調整される場合もあり、これらベース直径が、200μmから500μm、50μmから200μm、50μm未満(より好ましくは、約45μm未満または約10μmから約40μmにわたる)の範囲を有することができることが本開示の範囲内にある。焦点合わせ要素は、焦点距離が、焦点合わせ要素を通して画像要素のアレイの画像要素を見ること、及び合成画像を投影することを可能にするように、焦点距離を調整することによってさらに変更される場合がある。50μm未満の焦点距離が適切であり、より好ましくは45μm未満、様々な実施形態では、もっとも好ましくは、約10μmから約30μmにわたる。
【0041】
様々な屈折率の材料が、焦点合わせ要素のアレイを形成するために採用される場合があるが、約1.0から約2.5にわたる屈折率を有するそれら材料を使用することがもっとも適切であることがわかっている。Hoffmuller et al.に対する米国特許出願公開第US2010/0109317A1号に記載のようなものなどの、1.5より高い、1.6より高い、1.7より高い、またはそれより高い屈折率(589nm、20℃における)を有する、高屈折率、有色または無色の材料が、焦点合わせ要素形成物または画像要素形成物を提供するために、本発明の実施において使用される場合もある(すなわち、画像要素の層を形成するために使用される)。屈折率分布形レンズも本発明の範囲内にあるものと考えられる。
【0042】
様々な構成要素は、焦点合わせ要素のアレイに結合されている場合がある。本出願人は、粘着防止物質を焦点合わせ要素のアレイに結合することにより、製造可能性が実質的に向上されることを見出した。特定の実施形態では、粘着防止物質を焦点合わせ要素のアレイに結合することは、焦点合わせ要素のアレイの光学的機能を妨げることなく、行われなければならず、それにより、合成画像を投影するために必要な光学的完全性を維持していることに、留意されたい。したがって、適切な粘着防止物質は、焦点合わせ要素のアレイのF♯、焦点距離、色、または屈折率を実質的に妨げないものとする。さらに、いくつかの適切な粘着防止物質は、焦点合わせ要素形成物に、目標となる接着バランス(TAB)を与え、それにより、製造の間、セキュリティフィルムと転写フィルムとの間の粘着作用が、移送フェイズの間の剥離を避けるために十分に強いが、転写フェイズの間、転写フィルムから焦点合わせ要素のアレイを容易に分離することを可能にするように十分に弱くなっている。したがって、様々な実施形態では、粘着防止物質により、セキュリティフィルムと転写フィルムとの間のインターフェースの接着強度が調整される。
【0043】
本開示に係る様々な実施形態では、焦点合わせ要素のアレイから分離された別個の層として、セキュリティフィルム内に組み込むことにより、粘着防止物質が焦点合わせ要素のアレイに結合されることが考えられるが、分散またはエマルジョンのようにブレンドされる場合など、不連続の方式で焦点合わせ要素のアレイに粘着防止物質が配置されることも考えられる。特定の実施形態では、粘着防止物質は、ランダムであるか統計立てられた粒子の分布として、焦点合わせ要素のアレイに結合される場合があるか、焦点合わせ要素のアレイのある厚さの断面内の層として結合される場合がある。特定の実施形態では、粘着防止物質が、粒子の分布として焦点合わせ要素のアレイ内に配置される場合、粒子は、着色されていないか、焦点合わせ要素と同じように着色されており、それにより、これら粒子が焦点合わせ要素から区別することができないようになっている。焦点合わせ要素のアレイに粘着防止物質を結合することは、焦点合わせ要素形成物を選択することと、粘着防止形成物を焦点合わせ要素に混合/ブレンドするか別様に合わせ、溶剤、混合物、分散、エマルジョンなどを形成することと、をも含む場合がある。
【0044】
いくつかの実施形態では、粘着防止物質は、焦点合わせ要素のアレイに結合されており、このことも、粘着防止物質が転写形成物、転写形成物層、焦点合わせ要素形成物、焦点合わせ要素形成物層(焦点合わせ要素のアレイ)、またはこれらの任意の組合せに結合されている、本発明の範囲内にある。
【0045】
一実施形態では、粘着防止物質は、非イオン性表面活性剤などの表面活性剤、または非イオン性乳化剤である。適切な非イオン性表面活性剤が、PHOSITAには明らかとなるであろう。しかし、少なくとも1つのエステル官能基及び炭化水素を有する表面活性剤を使用することが有効であることがわかっている。少なくとも1つの実施形態によれば、表面活性剤は、複数の、または代替的なグループのエステル及び炭化水素を含んでいる。
【0046】
代替的な表面活性剤には、交互の酸化エチレン及びアルキレンオキシドのユニットを保持するものが含まれる。たとえば、EO-AO-EO-AOの繰返しパターンを有するような表面活性剤が適切である。各EOまたはAOのグループは、おおよそ1から10の間の酸化エチレンまたはアルキレンオキシドのグループをそれぞれ示している。これらの実施例は、以下の概略的式の表面活性剤である。
【0047】
ここで、Rは、線形であるか分岐した、飽和したか、モノアルキルであるか、多価不飽和脂肪酸のC6-24のアルキルまたアルケニルのグループを意味し、互いに独立した各グループRまたはRは、-CH、-CHCH、-CHCH-CH、-CH(CHから選択され、互いに独立した指数w、x、y、zは、1から6の自然数を意味している。これらは、対応するアルコールR-OH及びエチレンオキシドまたはアルキレンオキシドから既知の方法によって製造され得る。
【0048】
米国特許第6,677,293号は、適切な表面活性剤である非イオン性ブロックコポリマーをも開示しており、その全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0049】
セキュリティフィルムは、画像要素のアレイと焦点合わせ要素のアレイとの協同を通して構成される画像として理解されることになる合成画像を投影する。この協同は、いくつかの形態をとることができる。しかし、好ましい形態では、焦点合わせ要素を通して画像要素またはこの画像要素の一部を観測する視認者は、これら画像要素または画像要素の一部の拡大されたバージョンを見ることになり、視認者の目は、様々な拡大された画像要素または画像要素の一部を立体視的に組み合わせて、画像要素の拡大された部分で構成された画像(すなわち、合成画像)または複数の合成画像を提供する。これら合成画像は、Deep、SuperDeep、Float、またはSuperFloatを含む様々な光学的効果、及び、セキュリティフィルムまたはセキュリティデバイスに対する視認者の視点が変化した際の様々な視差モーションを表示する場合がある。様々な他の光学的効果が可能であることも考えられ、そのような効果は、本開示に鑑み、PHOSITAには明らかとなるであろう。合成画像に関するものであることから、本明細書で使用される合成画像は、画像要素のアレイ内の焦点合わせ要素の下に存在する像点の拡大及び組成を通して形成された画像に言及することを理解されたい。像点は、画像全体、画像の一部、またはフレームであり得る。本明細書で使用される場合、フレームは、x軸及びy軸に沿う変化する軸から見た画像の2軸の交錯において画像が構成される場合など、同じ画像の異なる角度の画像を構成する像点(ピクセル)に言及する。フレームと、2軸が交錯した画像要素とは、米国特許第9,019,613号に記載されている。この文献は、その全体が本明細書に組み込まれる。適切な合成画像が、(i)米国特許第9,482,792号、(ii)米国特許第8,739,711号、(iii)米国特許第7,333,268号、(iv)米国特許第8,310,760号、(v)米国特許第7,468,842号、(vi)米国特許第7,738,175号、(vii)米国特許第8,773,763号、及び(viii)米国特許第8,867,134号に記載されている。これら文献はすべて、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
論じたように、様々な他の構成要素がセキュリティフィルムまたはセキュリティデバイスに追加され得ることが、本発明の範囲内にあることが考えられる。たとえば、合成画像及びその画質は、焦点合わせ要素から画像要素までの距離が、焦点合わせ要素の焦点距離と同一の広がりを持つかどうかに部分的に依存することになる。この距離は、光学スペーサの存在の有無によって調整することができる。光学スペーサは、焦点合わせ要素と画像要素との間に配置される。たとえば、焦点合わせ要素と画像要素とは、光学スペーサのそれぞれ両側でアレイに配置される場合があり、または、スペーサは、焦点合わせ要素のアレイと画像要素のアレイとの間の別個の層として配置される場合がある。適切なスペーサは、国際特許出願公開第WO2005/052650号に記載されている。この文献は、その全体が本明細書に組み込まれる。光学スペーサは、好ましくは、1つまたは複数の基本的に無色であるか透過性の材料を使用して形成され、限定ではないが、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンなどのポリマーを含んでいる。光学スペーサを他の構成要素(たとえば、焦点合わせ要素のアレイ、画像要素のアレイ)に結合する手段は、エマルジョンまたは分散の形態で存在する構成要素を積層し、次いで現場でこれら層を硬化させることを含み、本開示の観点からPHOSITAには明らかとなるであろう。
【0051】
光学スペーサは、フラット、正弦波形状、または他の構造的レリーフを含む多くの形状を取る場合がある。好ましい実施形態では、光学スペーサ光学スペーサには、その両サイドのうち少なくとも1つにおける構造的レリーフが含まれる。より好ましくは、光学スペーサは、高分子材料にレンズまたは焦点合わせ要素を形成するために使用されるエンボスツールによって形成された、焦点合わせ要素の近位に配置されたレリーフ構造を有する。そのような例では、レリーフ構造は、好ましくはレンズ(スペーサ-レンズ)のアレイであり、少なくとも1つの繰返し周期を有するとともに複数の軸にわたって広がっている。焦点合わせ要素の繰返し周期に対するスペーサ-レンズの繰返し周期の割合は、好ましくは、1よりわずかに小であるか、1よりわずかに大である。しかし、代替的実施形態では、繰返し周期は、1と同じであるか、実質的に1より大であるか1より小である。光学スペーサが、画像要素のアレイの幅に等しいか、小である幅を有することも考えられる。
【0052】
特定の一実施形態では、焦点合わせ要素のアレイは第1の繰返し周期を有し、スペーサのレリーフ構造は第2の繰返し周期を有し、第1の繰返し周期は第2の繰返し周期より大である。したがって、スペーサ-レンズと焦点合わせ要素とが異なるサイズであることが、本発明の範囲内にある。スペーサ-レンズ及び焦点合わせ要素が、制限はされないが、同じサイズ、形状、材料、繰返し周期、または屈折率を有する実施形態を含むことも明らかであるものとする。しかし、好ましい実施形態では、スペーサの屈折率は、焦点合わせ要素のアレイの屈折率と同一か、実質的に同一である。
【0053】
特定の実施形態では、セキュリティデバイスは、セキュリティフィルムに加え、キャリアフィルム、転写フィルム、及び保護される製品基板の少なくとも1つをさらに備えている。キャリアフィルムが存在する場合に、キャリアフィルムが、画像要素のアレイに近いサイドでセキュリティフィルムに結合され、転写フィルムが存在する場合に、転写フィルムが、画像要素のアレイとは反対側のサイドでセキュリティフィルムに結合され、保護される製品基板が存在する場合に、保護される製品基板が、画像要素のアレイに近く、キャリアフィルムがないサイドでセキュリティフィルムに結合される。
【0054】
本発明の別の態様は、セキュリティデバイスを提供する方法、及び保護される製品を提供する方法である。この方法は、概して、第1の移送(TPP1)フェイズ、第1の転写フェイズ(TFP1)、第2の移送フェイズ(TPP2)、第2の転写フェイズ(TFP2)、及び第3の移送フェイズ(TPP3)を含んでいる。第1の移送フェイズは、セキュリティフィルムがキャリアフィルムに結合されたものとして、セキュリティフィルムを移送するために、中間フィルムF1(たとえば、キャリアフィルム)を使用することを含んでいる。次の第1の転写フェイズでは、キャリアフィルムに結合されたセキュリティフィルムは、第1の転写フェイズを開始する転写フィルムにさらに結合されている。ここで、セキュリティデバイスは、キャリアフィルムを備えており、セキュリティフィルムと転写フィルムとが、キャリアフィルムとセキュリティフィルムとの間のインターフェースにおいて、またはインターフェースに沿って分離されている。第2の移送フェイズでは、セキュリティデバイスは、セキュリティフィルムが転写フィルムに結合され、それによって移送されている場合に提供される。第2の転写フェイズでは、セキュリティフィルムが次いで保護される製品の基板に結合されて、転写フィルムと保護される製品基板との間に配置されたセキュリティフィルムを含む別の中間セキュリティデバイスを形成する。このセキュリティデバイスは、TFP2の間、セキュリティフィルムと転写フィルムとの間のインターフェースにおいて、またはインターフェースに沿って分離される。第3の移送フェイズでは、セキュリティフィルムは、保護される製品の基板に結合されている。
【0055】
セキュリティデバイスの形成において、キャリアフィルムは、セキュリティフィルムを形成及び/または移送するためのベース基板として使用される。このことは、図1に示される中間フィルム(100)によって最適に図示され得る。キャリアフィルム(120)は、ベースフィルムbf1(101)を含み、任意選択的には、サブコート層(102)と、粘着防止要素(図示せず)との少なくとも1つを含んでいる。bf1(101)に最適な材料は、本開示に鑑み、PHOSITAには明らかとなるであろう。しかし、好ましい実施形態では、bf1(101)は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンのフィルムまたシート、マイラーシート、セロファン(cellophate)、紙、ラグ/綿、またはこれらの任意の組合せから選択される。
【0056】
特定の一実施形態では、第1の移送フェイズは、セキュリティフィルム(130)を移送するためのキャリアフィルム(120)の使用を含んでいる。ここで、キャリアフィルム(120)のベースフィルムbf1(101)は、第1のサイド及び第2のサイドを有している。第1のサブコート層(102)は、第1のサイドに結合されている。反対側の第2のサイドには、第2のサブコート層及び(bf1とは反対側の、第2のサブコート層のサイドに結合された)粘着防止要素の少なくとも1つが任意選択的に存在する。セキュリティフィルム(130)の層は、こうして、第1のサブコート層(102)上に構築される。したがって、セキュリティフィルムは、層毎に構築することができるか、予め作り上げられた複数層の構造として添付することができる。一実施形態では、セキュリティフィルムは層毎に構築することができる。ここで、第1のセキュリティフィルム(130)の層が、画像要素のアレイ(103(103’及び103’’を含む))であり、任意選択的にコントラスト材料(104)の層が続き、任意選択的に光学スペーサ(105)が続き、粘着防止物質(115)で、(上述のように)前処理されるか、(噴霧または吸引での堆積により)現場で処理された焦点合わせ要素のアレイ(106)が続き、それにより、中間フィルムF6を提供する。
【0057】
図2に記載の第1の転写フェイズの特定の一実施形態では、フィルムF6(100)は、セキュリティフィルム(230)に結合されたキャリアフィルム(220)を有し、プレスを通して供給され、それにより、転写フィルム(F6’)(240)に結合される。ここで、転写フィルム(240)のベースフィルム(bf2)(209)は、第1のサイド及び第2のサイドを有している。第1のサブコート層(208)は、bf2(209)の第1のサイドに結合されている。反対側の第2のサイドには、第2のサブコート層(図示せず)及び(bf2とは反対側の、第2のサブコート層のサイドに結合された)粘着防止要素の少なくとも1つがある。適切な粘着防止材料は、PHOSITAには明らかとなり、セキュリティフィルム(130、230)がそれ自体の厚さに起因して巻き上げられた際に、セキュリティフィルム自体に接着することを防止する材料を含んでいる。転写形成物層(207)は、転写フィルム(240)とセキュリティフィルム(230)との間に配置されている。一方、転写形成物(207)は、セキュリティフィルム(230)、または転写フィルム(240)に追加される場合があり、これらフィルムがプレス上に移送される間、両方のフィルム(230、240)間に独立して供給される場合もあることを理解されたい。特定の実施形態では、画像要素203の層は、キャリアフィルム220上に配置されている。様々な実施形態によれば、画像要素203の層は、画像要素203’及び203’’を含んでいる。図2の非限定的な実施例に示すように、コントラスト材料204の層は、画像要素203の層に添付される場合がある。特定の実施形態では、光学スペーサ205は、画像要素203の層の上に提供される場合がある。第1の転写フェイズでは、フィルムF6(100)(すなわち、キャリアフィルムとセキュリティフィルム)が転写フィルム(F6’)(240)に結合され、次いでキャリアフィルム(101、201)がフィルムF8(200)から除去されて、図3及び図4に示すように、中間フィルムF9(300)を生成する。また、転写フィルム(340)に結合されたセキュリティフィルム(330)を焦点合わせ要素(306)に近く、画像要素(303)から離れたサイドに有している。様々な実施形態によれば、画像要素303の層は、画像要素303’及び303’’を含んでいる。本開示に係る様々な実施形態では、オプションのプライマー層(308)は、転写形成物層(307)とベースフィルム(309)との間に配置されている場合もある。いくつかの実施形態では、光学スペーサ305は、焦点合わせ要素306の下に配置されている。図3の非限定的な実施例に示すように、コントラスト材料304の層は、光学スペーサ305の下に設けられる。
【0058】
第2の移送フェイズでは、図4及び図5に示すように、フィルムF9(400)が接着要素(410、510、520)に結合され、それにより、保護される製品(図示せず)の基板(511)に結合され、ここで、第2の転写フェイズでは、セキュリティフィルム(530)が、図6に示すように、保護される製品の基板(511、611)に転写される。図4の非限定的な実施例では、セキュリティフィルム430及び転写フィルム440が図示されている。様々な実施形態によれば、画像要素403の層は、画像要素403’及び403’’を含んでいる。本開示に係る様々な実施形態では、オプションのプライマー層(408)は、転写形成物層(407)とベースフィルム(409)との間に配置されている場合もある。いくつかの実施形態では、光学スペーサ405は、焦点合わせ要素406の下に配置されている。図4の非限定的な実施例に示すように、コントラスト材料404は、光学スペーサ405の下に設けられる。様々な実施形態によれば、画像要素503の層は、画像要素503’及び503’’を含んでいる。本開示に係る様々な実施形態では、オプションのプライマー層(508)が、転写形成物層(507)とベースフィルム(509)との間に配置されている場合もある。いくつかの実施形態では、光学スペーサ505は、焦点合わせ要素506の下に配置されている。図5の非限定的な実施例に示すように、コントラスト材料504の層は、光学スペーサ505の下に設けられる。様々な実施形態によれば、画像要素603の層は、画像要素603’及び603’’を含んでいる。いくつかの実施形態では、光学スペーサ605は、焦点合わせ要素606の下に配置されている。図6の非限定的な実施例に示すように、コントラスト材料604の層は、光学スペーサ605の下に設けられる。様々な実施形態によれば、接着要素610が層603と層611との間に設けられている。
【0059】
様々な手段が、中間フィルム(たとえば、F1からF11)(100、200、300、400、500、600)を移送及び転写するために考えられる。しかし、好ましい実施形態では、プロセスは、連続した供給で作動されるプレスによるものである。第1の移送フェイズの間のさらなるステップでは、コントラスト形成物から形成されたコントラスト材料層(714’’’)が、画像要素のアレイ(711)に結合される。空隙(714)が充填/コーティングされるまで、コントラスト形成物(714’’’)で画像要素のアレイ(711)を流体コーティングし、次いで任意選択的に、固体領域(714’’)にコントラスト材料がないようにするか、空隙と固体領域との間のコントラストを歪めない範囲になるように、過剰な部分を除去することを含む、様々な手段が、コントラスト材料層(714’’’)を提供するために考えられる。たとえば、一実施形態では、コントラスト材料(714’’’)は、画像要素のアレイ(711)上に流体がコートされ、空隙(714’)を充填し、他のエリア(714’’)からすべての過剰な部分を除去し、空隙(714’)のみをコントラスト材料(714’’’)で積層された状態にする。コントラスト材料(714’’’)は、画像要素のアレイ(711)の反対側にも添付される場合があるか、任意選択的または代替的に、突起がコントラスト材料(715’)である場合にはプリント(715)として添付される場合がある。第1の移送フェイズの間のさらなるステップでは、図8に示すように、光学スペーサ層(726)は、キャリアフィルム(712、722)、画像要素のアレイ(711、721)、及び任意選択的にコントラスト材料(724)を含む中間フィルムF4(710)と結合されている。一実施形態では、光学スペーサ(726)は、スペーサ形成物をフィルムF4(710)上に配置することによって形成される。スペーサ(726)の寸法、とくにその高さは、焦点合わせ要素の焦点距離に対応するために、必要に応じて調整され得る。第1の移送フェイズの間のさらなるステップでは、焦点合わせ要素のアレイは、図9に示すように、焦点合わせ要素形成物(738)を光学スペーサ(736)上に配置することにより、フィルムF5(720)に結合されている。エンボス装置(図示せず)が、焦点合わせ要素形成物(738)がUV5でuv処理される前、間、または後に、焦点合わせ要素形成物内にレンズ(筒状または非筒状)(738)を提供し、それにより、中間フィルムF6(要素730a、730b、730c、及び特定の実施形態では、スペーサ層730を含む)を提供するために使用されることも、本発明の範囲内にあると考えられる。図9(730a)は、プリントされた画像要素(734a)のアレイを含む中間フィルムF6を提供している。図9(730b)は、埋め込まれた画像要素(734b)のアレイを含む中間フィルムF6を提供している。一方、図9(730c)は、微細構造(734c)の画像要素のアレイを含む中間フィルムF6を提供している。フィルムF6(730a、730b、730c)は、スペーサ層(736)が焦点合わせ要素のアレイ(738)と画像要素のアレイとの間に配置されるようにともにスタックされた、サブコートを有するベースフィルムと、画像形成物層(すなわち、画像要素のアレイ)(734a、734b、734c)と、インク層(すなわち、インクで充填された空隙)と、スペーサ形成物層(すなわち、スペーサ層)(736)と、焦点合わせ要素形成物層(すなわち、焦点合わせ要素のアレイ)(738)と、を備えたセキュリティデバイスである。換言すると、中間フィルムF6は、(たとえば、図1に最適に示すように)キャリアフィルム(120)と、セキュリティフィルムとを備えている。焦点合わせ要素形成物は、提供されるように、粘着防止物質(715a、715b、715c)で処理される。図9に示すように、粘着防止物質は、焦点合わせ要素内の別個の層(715a)として、焦点合わせ要素内の一様であるか実質的に一様な分布(715b)として、または焦点合わせ要素上に配置された別個の層(715c)としてのものを含む多くの方法で、焦点合わせ要素に添付される場合がある。これら実施形態に示されるこれら各要素が、それぞれ相互交換される場合があることを理解されたい。
【0060】
第1の転写フェイズの間のさらなるステップでは、フィルムF6(100)(すなわち、セキュリティフィルム(230)及びキャリアフィルム(220))は、ライン上の連続したプレスなどの連続したプレスを通して供給され、ここで、図2に示すように、転写フィルムF6’(240)と結合され、セキュリティデバイスまたは中間フィルムF7(200)を形成する。フィルムF6’(240)は、本明細書で記載されたようなものであり、一実施形態では、ベースフィルムbf2(209)上の粘着防止剤がセキュリティフィルム(230)から遠位にあり、bf2(209)の第1のサイドのサブコート(208)がセキュリティフィルム(230)の近位にあるように、プレス内に供給される。プライマー層など、さらなる層が任意選択的にF6’フィルムに結合される場合がある。さらに、転写形成物層は、セキュリティフィルム(230)と転写フィルム(240)の間に配置されている。転写形成物層(207)は、セキュリティフィルム(230)上か、転写フィルム(240)上、好ましくはセキュリティフィルム(230)上に直接配置された転写形成物から形成される。様々な実施形態によれば、転写形成物は、焦点合わせ要素の周りの隙間空間を充填し、第2の転写フェイズの間に転写フィルムが転写層に対して積層されたままにするが、第2の転写フェイズの間にセキュリティフィルムから剥離もする。この剥離は、図10に最適に示されており、ここでは、転写フィルム810の転写形成物層(817)が、焦点合わせ要素(816)に対する相補的な幾何学形状を形成し、焦点合わせ要素(816)は、焦点合わせ要素(816)の頂部において、別個の層(815)に配置された粘着防止物質(815)を含んでいる。
【0061】
第1の転写フェイズのさらなるステップでは、セキュリティフィルム(230)は、セキュリティフィルム(230)とキャリアフィルム(220)との間のインターフェースに沿って剥離させるようにフィルムF8に力が印加された際に、キャリアフィルム(220)から結合解除され、それにより、図3に示すように、セキュリティデバイス、中間フィルムF9(300)を提供する。フィルムF9(300)は、(i)転写フィルム(340)と、(ii)セキュリティフィルム(330)とを含んでいる。ベースフィルム300は、本開示の様々な実施形態で提供される場合がある。
【0062】
第2の移送フェイズのさらなるステップでは、中間フィルムF9(400)が、フィルムF9を保護される基板に結合するために適切である接着要素(410)に結合され、または代替的には、図11に示すように、接着要素(821)は、保護される基板(822)に添付される。図11の非限定的な実施例を参照すると、粘着防止剤825がセキュリティフィルム820の焦点合わせ要素に添付されている。様々な実施形態によれば、焦点合わせ層826と、画像要素823の層とが、セキュリティフィルム820の一部として設けられている。
【0063】
第2の転写フェイズでは、図5及び図10によって最適に示されているように、中間セキュリティデバイスF10(400)が、保護される基板(511)に結合されて、保護される製品または中間フィルムF10’(500)を形成している。F10’は、転写フィルム(540)と、保護される基板(511)とセキュリティフィルム(530)とを備えた保護される製品であり、セキュリティフィルム(530)は、セキュリティフィルム(530)と保護される基板(511)との間に配置された接着要素(510)によって保護される基板(511)に結合されている。転写フィルム(540)は、このため、フィルムF10’から除去し、保護される基板(611)に結合されたセキュリティフィルム(530、630)備えたフィルムF11を残している。
【0064】
ベースフィルムbf1及びbf2は、転写フェイズの間に曲がることを許容する適切な柔軟性を有する任意の材料で構成されている場合がある。特定の実施形態では、bf1及びbf2は、同じ材料であるか、異なる材料である場合がある。特定の一実施形態では、bf1は、59ゲージのPETフィルムであり、一方、bf2は、92ゲージのPETフィルムである。
【0065】
本明細書に述べるように、結果として得られるセキュリティフィルムは、画像要素のアレイと、合成画像を投影するようにともに結合された焦点合わせ要素のアレイとを備えている。図12及び図13は、結果として得られるセキュリティフィルム(830、840)の例示的実施形態を提供している。たとえば、図12では、画像要素(831)は、「$」として示されており、焦点合わせ要素(832)は、複数の軸にわたって広がるアレイに配置された屈折性のマイクロレンズ(832)のセットである。さらに、セキュリティデバイスは、レリーフ構造(833’)を有する光学スペーサ(833)をも含んでいる。代替的には、図13では、焦点合わせ要素(842)は、反射性であるとともに、画像要素のアレイ(841)と、画像要素の上方に配置され、セキュリティフィルムを保護される基板(図示せず)に転写するために使用される転写フィルム(845)との下方に配置されている。
【0066】
本発明の別の態様では、プロダクトバイプロセスが提供され、それにより、本明細書に記載のように、セキュリティデバイスが本明細書に記載のプロセスによって形成される。
【0067】
本発明の別の態様では、使用が提供される。一実施形態では、使用には、セキュリティデバイスを、高い価値の基板または高い安全性の製品に結合することにより、高い価値または高い安全性の製品を保護するためのセキュリティデバイスの使用が含まれる。
【0068】
様々な保護される製品が本発明の範囲内にあるものと考えられる。保護される製品は、基板層に結合されたセキュリティデバイスを備えている。様々な保護される製品がPHOSITAには明らかとなるが、特定の一実施形態では、保護される製品は、銀行券、小切手、為替、または他の金融調節手段などの高い安全性の製品である。保護される製品が銀行券である場合、セキュリティデバイスが、様々な形状、サイズ、及びカラーのパッチまたはストライプの形態であることが、本発明の範囲内にある。さらに、セキュリティデバイスが、銀行券の紙面の下に埋め込まれる代わりに、保護される製品基板の表面に結合されることが好ましいが、このことは排他的ではない。代替的実施形態では、セキュリティデバイスは、銀行券の紙の下または深く内側に少なくとも部分的に埋め込まれたその縁部の少なくとも1つで表面に結合されている。転写フィルムから基板にセキュリティフィルムを転写する適切な手段は、熱間スタンプの箔打ちによるものを含み、PHOSITAには明らかとなるであろう。
【0069】
第1の例示的な実施形態では、キャリアフィルムは、ベースフィルム(BF1)及びサブコートを含む中間フィルムF1を提供することによって生成される。セキュリティフィルムは、こうして、キャリアフィルム(F2)上に形成される。セキュリティフィルムを形成するために、画像形成物は、キャリアフィルムF2のサブコート上に堆積され、ここで、uv放射(UV2)によってuv処理され、画像形成物内に微細構造を形成し、それによって中間フィルムF3を形成するように、アイコンエンボス装置でエンボス加工される。フィルムF3は、UV2で硬化された画像形成物層と、アイコンエンボス装置によってアイコン形成物層内に形成された微細構造とを有している。F3の微細構造は、このため、インク-1で流体コートされ、次いで、固体領域から過剰な部分が除去される。インク-1は、次いで、uv放射(UV3)でuv処理され、それにより、中間フィルムF4を生成する。スペーサ層は、こうして中間フィルムF4上に形成される。スペーサ層を形成するために、スペーサ形成物が、F4の画像形成物層側に堆積される。焦点合わせ要素の層またはアレイは、次いで、最初に焦点合わせ要素形成物をスペーサ層上に堆積させることによってスペーサ層上に形成される。レンズツールは、焦点合わせ要素形成物内に微細構造のレンズを生成するために使用される。フィルムF6は、次いで、uv放射(UV6)を使用してふたたびuv処理される。フィルムF6は、スペーサ層が焦点合わせ要素のアレイと画像要素のアレイとの間に配置されるようにともにスタックされた、サブコートを有するベースフィルムと、画像形成物層(すなわち、画像要素のアレイ)と、インク層(すなわち、インクで充填された空隙)と、スペーサ形成物層(すなわち、スペーサ層)と、焦点合わせ要素形成物層(すなわち、焦点合わせ要素のアレイ)とを備えている。換言すると、中間フィルムF6は、キャリアフィルム及びセキュリティフィルムを備えている。
【0070】
フィルムF6は、プレスを通して供給され、ここで、フィルムF6が転写フィルムに添付され、それにより、フィルムF7を形成する。転写フィルム(フィルムF6’)が提供され、この転写フィルムは、ベースフィルムBF2、そのベースフィルムBF2の第1のサイド上の接着を促すサブコート、ならびに、その反対側のサブコート及び粘着防止層を備えている。プライマー層は、フィルムF6’’を形成するようにフィルムF6’の第1のサイドに結合されている。転写形成物は、フィルムF7を形成するように、焦点合わせ要素のアレイに結合されている。粘着防止物質は、特定の実施形態では、焦点合わせ要素のアレイに添付される。フィルムF6’’及びフィルムF7は、プライマー層が転写形成物層と接触しており、それにより、フィルムF8を形成するように結合されている。
【0071】
フィルムF8は、キャリアフィルムを除去し、フィルムF9を後に残すように変更される。フィルムF9は、(i)転写フィルムであって、(ii)プライマー層、(iii)転写形成物層、及び(iii)セキュリティフィルムを有する転写フィルムを備えている。
【0072】
接着剤は、アイコン側でフィルムF9に添付され、それにより、セキュリティデバイス(フィルムF10)を生成した。
【0073】
フィルムF10は、細片にカットされ、転写フィルムが除去されてセキュリティフィルム(フィルムF11)を提供する。転写フィルムの除去は、保護される製品基板とのセキュリティフィルムの結合と同時に生じる。
【0074】
フィルムF10は、F10を上下逆にし、それにより、接着要素が頂部にあり、BF2が底部にあるようにすることにより、パッチにカットすることもできる。パッチがカットされ、キャリア層が除去されて、パッチ形態のフィルムF11を生成する。
【0075】
第2の例示的な実施形態では、セキュリティフィルムは、(i)キャリアフィルムと、(ii)キャリアフィルム上に配置されたセキュリティフィルムと、を備えている。セキュリティフィルムは、92ゲージのベースフィルムbf1と、画像要素のアレイとbf1フィルムとの間に配置されたサブコートと、を含んでいる。セキュリティフィルムは、画像要素のアレイ上に配置された焦点合わせ要素のアレイを備えており、ここで、画像要素のアレイと焦点合わせ要素のアレイとは、光学スペーサの両側に配置されている。ここで、画像要素のアレイは、サブミクロンの色素を有するインクで充填された微細構造の空隙として形成される。セキュリティフィルムの層(画像、スペーサ、及び焦点合わせ)は、これらが、サブコートを有するセキュリティフィルムのサイド上の合間に見られる順番で積層される。キャリアフィルムのサブコートは、セキュリティフィルム内で画像要素のアレイと直接接触している。セキュリティフィルムの焦点合わせ要素のアレイは、粘着防止物質で処理されている。
【0076】
第3の例示的な実施形態では、セキュリティデバイスは、(i)キャリアフィルムと、(ii)セキュリティフィルムと、(iii)転写フィルムと、を備え、セキュリティフィルムが、キャリアフィルムと転写フィルムとの間に配置されている。セキュリティフィルムは、転写フィルムとセキュリティフィルムとの間に配置された転写層に直接結合されている。焦点合わせ要素のアレイは、粘着防止物質で処理されている。セキュリティフィルムは、インクを構成するプリントされた微細構造の形態で画像要素のアレイを備えている。
【0077】
第4の例示的な実施形態では、セキュリティデバイスは、(i)保護される製品基板と、(ii)セキュリティフィルムと、(iii)転写フィルムと、を備えて提供される。セキュリティフィルムは、焦点合わせ要素のアレイに直接結合された画像要素のアレイを備えており、ここで、焦点合わせ要素の焦点は、画像要素の深さのレンジ(0.5μmから5μmにわたる)内に合わせられている。焦点合わせ要素のアレイは、転写形成物層に直接結合されており、転写形成物層は、次いで、転写形成物層とbf2フィルム(92ゲージ)との間に配置されたプライマー層に結合される。ここで、全体にわたって記載した実施形態のいくつかのように、焦点合わせ要素は、転写形成物層に結合されており、それにより、焦点合わせ要素の負の形状が転写形成物に形成されるようになっている。焦点合わせ要素のアレイは、粘着防止物質で処理され、焦点合わせ要素内に組み込まれたパターンを形成している。ここで、保護される製品は銀行券であり、セキュリティデバイスは、パッチとして基板に転写されている。
【0078】
実施形態の第1のセットの特定の実施形態では、セキュリティデバイスは、(i)画像要素のアレイ(103)、(ii)焦点合わせ要素のアレイ(106)、及び(iii)少なくとも1つの粘着防止物質(115)を含むセキュリティフィルム(130)を備え、焦点合わせ要素のアレイと画像要素のアレイとが、画像要素のアレイの少なくとも一部が焦点合わせ要素のアレイの少なくとも一部を通して見られる際に、合成画像がセキュリティフィルムによって投影されるように、互いに対して配置されており、粘着防止物質が焦点合わせ要素のアレイに結合されている。
【0079】
様々な実施形態によれば、光学スペーサが画像要素のアレイと焦点合わせ要素のアレイとの間に配置されている。
【0080】
実施形態の第1のセットのいくつかの実施形態では、セキュリティデバイスは、レリーフ構造を有する光学スペーサを含んでいる。
【0081】
実施形態の第1のセットのいくつかの実施形態では、光学スペーサと画像要素のアレイとの各々がある幅を有し、光学スペーサの幅が、画像要素のアレイの幅未満である。
【0082】
実施形態の第1のセット内の少なくとも1つの実施形態では、焦点合わせ要素のアレイが第1の繰返し周期を有し、レリーフ構造が第2の繰返し周期を有し、第1の繰返し周期が第2の繰返し周期より大である。
【0083】
実施形態の第1のセットの様々な実施形態によれば、画像要素は、画像全体、画像の一部、またはフレームの繰返しのパターンで形成されている。
【0084】
実施形態の第1のセット内の様々な実施形態では、画像要素は微細構造である。
【0085】
実施形態の第1のセット内のいくつかの実施形態によれば、微細構造は、空隙と固体領域との少なくとも1つを含んでいる。
【0086】
実施形態の第1のセット内のいくつかの実施形態では、セキュリティデバイスは、画像要素のアレイに結合されたコントラスト材料をさらに含んでいる。
【0087】
実施形態の第1のセット内の特定の実施形態では、コントラスト材料は、着色材料または反射性材料の少なくとも1つである。さらに、いくつかの実施形態では、コントラスト材料は、微細構造の空隙内に配置され、画像要素を形成するインクである。
【0088】
実施形態の第1のセット内のいくつかの実施形態によれば、コントラスト材料は、微細構造の空隙内に配置され、画像要素を形成するアルミニウムを含んでいる。
【0089】
実施形態の第1のセット内の様々な実施形態では、セキュリティデバイスは、50um未満のベース直径を有する焦点合わせ要素を含んでいる。
【0090】
実施形態の第1のセット内の様々な実施形態によれば、焦点合わせ要素は、六角形のサブセットのアレイとして配置され、六角形の各サイドが少なくとも2つの焦点合わせ要素を含んでいる。
【0091】
実施形態の第1のセット内の少なくとも1つの実施形態では、焦点合わせ要素が埋め込まれている。
【0092】
実施形態の第1のセットに係る様々な実施形態では、焦点合わせ要素は、屈折率分布形レンズを備えている。
【0093】
実施形態の第1のセットに係る特定の実施形態では、焦点合わせ要素は、多角形のベースと非球面の本体との少なくとも1つを含んでいる。
【0094】
実施形態の第1のセット内のいくつかの実施形態によれば、焦点合わせ要素は4未満のF数を有する。
【0095】
実施形態の第1のセット内の様々な実施形態では、焦点合わせ要素のアレイは、約1.0から約2.5の範囲の屈折率を有する。
【0096】
実施形態の第1のセット内の少なくとも1つの実施形態によれば、粘着防止物質は非イオン性表面活性剤である。
【0097】
実施形態の第1のセット内の様々な実施形態によれば、粘着防止物質は、光学スペーサと画像要素のアレイとの少なくとも1つにも結合されている。
【0098】
実施形態の第1のセット内の特定の実施形態では、粘着防止物質は、複数のエステル基を有する表面活性剤である。
【0099】
実施形態の第1のセットに係るいくつかの実施形態では、セキュリティデバイスは、キャリアフィルム、転写フィルム、及び保護される製品基板の少なくとも1つをさらに備え、キャリアフィルムが存在する場合に、キャリアフィルムが、画像要素のアレイに近いサイドでセキュリティフィルムに結合され、転写フィルムが存在する場合に、転写フィルムが、画像要素のアレイとは反対側のサイドでセキュリティフィルムに結合され、保護される製品基板が存在する場合に、保護される製品基板が、画像要素のアレイに近く、キャリアフィルムがないサイドでセキュリティフィルムに結合される。
【0100】
実施形態の第1のセット内の様々な実施形態では、キャリアフィルムは、bf1ベースフィルムを含み、任意選択的には、サブコート層と、粘着防止要素との少なくとも1つを含んでいる。
【0101】
実施形態の第1のセットに係る特定の実施形態では、キャリアフィルムは、bf1ベースフィルムを含み、第1のサイドに結合された第1のサブコート層及び第2のサイドに結合された第2のサブコート層を有し、第2のサブコート層に結合された粘着防止要素を有する。
【0102】
実施形態の第1のセット内のいくつかの実施形態によれば、転写フィルムは、bf2ベースフィルムを含み、任意選択的には、粘着防止要素の少なくとも1つと、少なくとも1つのサブコート層とを含んでいる。
【0103】
実施形態の第1のセットの特定の実施形態によれば、セキュリティデバイスは、粘着防止要素の反対側のサブコート層の1つに結合された、プライマー層、転写形成物層、及びプライマー-転写形成二重層の少なくとも1つをさらに備えている。
【0104】
実施形態の第1のセットに係る様々な実施形態では、転写フィルムは、bf2ベースフィルムを含み、第1のサイドに結合された第1のサブコート層及び第2のサイドに結合された第2のサブコート層を有し、第2のサブコート層に結合された粘着防止剤を有し、プライマー-転写形成二重層が、転写フィルムとセキュリティフィルムとの間に配置されている。
【0105】
実施形態の第1のセットの少なくとも1つの実施形態では、セキュリティフィルムは、セキュリティフィルムと保護される製品基板との間に配置された接着要素により、保護される製品基板に結合されている。
【0106】
実施形態の第1のセット内の様々な実施形態では、転写フィルムは、転写フィルムとセキュリティフィルムとの間に配置されたプライマー層をさらに備えている。
【0107】
本開示に係る実施形態の第2のセットでは、セキュリティデバイスの形成方法が、セキュリティフィルム(130)を提供することであって、(i)焦点合わせ要素のアレイ(106)を画像要素のアレイ(103)上に積層し、それにより、画像要素のアレイが焦点合わせ要素のアレイを通して見られた際に、セキュリティフィルムによって合成画像が投影されるようにすることと、(ii)焦点合わせ要素に粘着防止物質(115)を結合することと、により、セキュリティフィルム(130)を提供することを含んでいる。
【0108】
実施形態の第2のセットに係る様々な実施形態では、方法は、セキュリティフィルムをキャリアフィルムと統合することと、セキュリティフィルムを転写フィルムと統合することと、保護される製品基板を統合することと、の少なくとも1つをさらに含み、キャリアフィルムがセキュリティフィルムと統合される場合に、キャリアフィルムが、画像要素のアレイに近いサイドでセキュリティフィルムに結合され、転写フィルムが存在する場合に、転写フィルムが、画像要素のアレイとは反対側のサイドでセキュリティフィルムに結合され、保護される製品が統合される場合に、保護される製品基板が、画像要素のアレイに近く、キャリアフィルムがないサイドでセキュリティフィルムに結合される。
【0109】
様々な実施形態では、実施形態の第1のセット内のセキュリティデバイスは、実施形態の第2のセットの方法によって生成される。
【0110】
実施形態の第3のセットでは、保護される製品は、保護される製品基板(822)と、粘着防止物質(825)を有するセキュリティフィルム(820)であって、セキュリティフィルムが保護される製品基板に結合される、セキュリティフィルム(820)と、を備えている。
【0111】
実施形態の第3のセットに係る保護される製品では、接着要素が保護される製品基板とセキュリティフィルムとの間に配置されている。
【0112】
実施形態の第4のセットによれば、保護される製品の形成方法は、セキュリティフィルム(130)を提供することと、セキュリティフィルムを保護される製品基板(120)に結合することと、を含んでいる。
【0113】
実施形態の第4のセット内の方法によって形成された、実施形態の第3のセットに係る保護される製品。
【0114】
保護される製品を保護するための、実施形態の第1のセットのセキュリティデバイスの使用。
【0115】
保護される製品基板が銀行券である、実施形態の第3のセット内の保護される製品。
【0116】
保護される製品が銀行券である、実施形態の第1のセットのセキュリティデバイスを組み込んでいる保護される製品の使用。
【0117】
実施形態の第1のセット内のセキュリティデバイスであって、焦点合わせ要素のアレイが焦点合わせ幅を有し、スペーサ層がスペーサ幅を有し、画像要素のアレイが画像の幅を有し、キャリアフィルムがキャリアの幅を有しており、それにより、キャリアの幅が画像の幅より大であり、この画像の幅は、次いでスペーサ幅より大であり、このスペーサ幅は、次いで焦点合わせ幅より大であるようになっている。
【0118】
本明細書に提供される実施例及び実施形態は、添付の特許請求の範囲に提供される本発明を代表するものである。
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