(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】ミリメートル波無線周波数位相器
(51)【国際特許分類】
H01P 1/185 20060101AFI20230706BHJP
H01Q 3/36 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
H01P1/185
H01Q3/36
(21)【出願番号】P 2021541217
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(86)【国際出願番号】 US2020013422
(87)【国際公開番号】W WO2020150178
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-08-24
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519006872
【氏名又は名称】エイブイエックス・アンテナ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】セルセラル,セブラ
(72)【発明者】
【氏名】パホナ,オリビエ
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特公昭47-002140(JP,B1)
【文献】特開2001-085902(JP,A)
【文献】特開2000-261204(JP,A)
【文献】特開平06-237102(JP,A)
【文献】特開2009-177808(JP,A)
【文献】Sanggu Park, Sanggeun Jeon,A 15-40 GHz CMOS True-Time Delay Circuit for UWB Multi-Antenna Systems,IEEE Microwave and Wireless Components Letters,IEEE,2013年,Vol.23,Issue 3,p.149-151,URL,https://ieeexplore.ieee.org/document/6461436,DOI: 10.1109/LMWC.2013.2244872
【文献】Feng Hu, Koen Mouthaan,A 1-21 GHz, 3-bit CMOS True Time Delay Chain with 274 ps Delay for Ultra-broadband Phased Array Antennas,2015 European Radar Conference (EuRAD),IEEE,2015年,p.325-328,URL,https://ieeexplore.ieee.org/document/7346303,DOI: 10.1109/EuRAD.2015.7346303
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/10- 1/195
H01Q 3/00- 3/46
H01Q 21/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリメートル波無線周波数(RF)位相器であって、
入力と、
出力と、
前記入力に結合され、複数のタップを含む伝送路と、
複数の第1のスイッチングデバイスであって、各第1のスイッチングデバイスが、前記複数のタップの対応するタップに結合される、複数の第1のスイッチングデバイスと、
複数の第2のスイッチングデバイスであって、各第2のスイッチングデバイスが、前記出力と、対応する第1のスイッチングデバイスとの間に結合される、複数の第2のスイッチングデバイスと、
前記複数の第1のスイッチングデバイスと前記複数の第2のスイッチングデバイスとに動作可能に結合された制御デバイスであって、前記複数の第1のスイッチングデバイスおよび前記複数の第2のスイッチングデバイスの動作を制御して、前記複数のタップのうちの1つを前記出力に選択的に結合して、前記伝送路の電気的長さを調整して、前記伝送路を伝搬するRF信号の位相シフトを制御するように構成された制御デバイスと
を備え、
前記制御デバイスは、
前記複数の第1のスイッチングデバイスのうち一度に1つの第1のスイッチングデバイスのみにバイアス信号を提供して、前記第1のスイッチングデバイスを、前記複数のタップのうちの1つのタップに結合し、
前記複数の第2のスイッチングデバイスのうちの対応する第2のスイッチングデバイスに制御信号を提供して、前記タップを、前記ミリメートル波RF位相器の前記出力に結合するよう構成される、ミリメートル波無線周波数(RF)位相器。
【請求項2】
前記複数のタップは、前記伝送路の長さに沿って互いに離間される、請求項1に記載のミリメートル波RF位相器。
【請求項3】
前記複数の第1のスイッチングデバイスの各々は、交流(AC)結合を介して、前記複数のタップのうちの対応するタップに結合される、請求項1に記載のミリメートル波RF位相器。
【請求項4】
前記複数の第1のスイッチングデバイスの各々は、直流(DC)結合を介して、前記複数のタップのうちの対応するタップに結合される、請求項1に記載のミリメートル波RF位相器。
【請求項5】
前記RF信号の波長は、約0.5ミリメートルから約12ミリメートルの範囲である、請求項1に記載のミリメートル波RF位相器。
【請求項6】
前記伝送路は、蛇行伝送路の第1の端部と、前記蛇行伝送路の第2の端部との間に、1つまたは複数の屈曲部を有する前記蛇行伝送路である、請求項1に記載のミリメートル波RF位相器。
【請求項7】
2つの隣接するタップに関連付けられた前記位相シフトの差が約5度になるように、前記複数のタップは、前記伝送路に沿って互いに離間される、請求項6に記載のミリメートル波RF位相器。
【請求項8】
フェーズドアレイアンテナシステムであって、
RF信号を提供するように構成されたRF源と、
複数のアンテナ素子と、
複数のミリメートル波RF位相器と
を備え、
各ミリメートル波RF位相器が、
前記RF源に結合可能な入力と、
前記複数のアンテナ素子のうちの対応するアンテナ素子に結合可能な出力と、
前記入力に結合された伝送路であって、前記伝送路に沿って互いに離間された複数のタップを有する伝送路と、
複数の第1のスイッチングデバイスであって、各第1のスイッチングデバイスが、前記複数のタップの対応するタップに結合される、複数の第1のスイッチングデバイスと、
複数の第2のスイッチングデバイスであって、各第2のスイッチングデバイスが、前記出力と、対応する第1のスイッチングデバイスとの間に結合される、複数の第2のスイッチングデバイスと、
前記複数の第1のスイッチングデバイスと前記複数の第2のスイッチングデバイスとに動作可能に結合された制御デバイスであって、前記複数の第1のスイッチングデバイスおよび前記複数の第2のスイッチングデバイスの動作を制御して、前記複数のタップのうちの1つを前記出力に選択的に結合して、前記伝送路の電気的長さを調整して、前記伝送路を伝搬するRF信号の位相シフトを制御するように構成された制御デバイスと
を備え、
前記制御デバイスは、
前記複数の第1のスイッチングデバイスのうち一度に1つの第1のスイッチングデバイスのみにバイアス信号を提供して、前記第1のスイッチングデバイスを、前記複数のタップのうちの1つのタップに結合し、
前記複数の第2のスイッチングデバイスのうちの対応する第2のスイッチングデバイスに制御信号を提供して、前記タップを、前記ミリメートル波RF位相器の前記出力に結合するよう構成される、フェーズドアレイアンテナシステム。
【請求項9】
前記複数のタップは、前記伝送路の長さに沿って互いに離間される、請求項8に記載のフェーズドアレイアンテナシステム。
【請求項10】
前記複数の第1のスイッチングデバイスの各々は、交流(AC)結合を介して、前記複数のタップのうちの対応するタップに結合される、請求項8に記載のフェーズドアレイアンテナシステム。
【請求項11】
前記複数の第1のスイッチングデバイスの各々は、直流(DC)結合を介して、前記複数のタップのうちの対応するタップに結合される、請求項8に記載のフェーズドアレイアンテナシステム。
【請求項12】
前記伝送路の形状は、環状である、請求項8に記載のフェーズドアレイアンテナシステム。
【請求項13】
前記伝送路は、蛇行伝送路の第1の端部と、前記蛇行伝送路の第2の端部との間に、1つまたは複数の屈曲部を有する前記蛇行伝送路である、請求項8に記載のフェーズドアレイアンテナシステム。
【請求項14】
2つの隣接するタップに関連付けられた前記位相シフトの差が約5度になるように、前記複数のタップは、前記伝送路に沿って互いに離間される、請求項13に記載のフェーズドアレイアンテナシステム。
【請求項15】
複数のタップを有する伝送路を備えるミリメートル波RF位相器の動作を制御する方法であって、
1つまたは複数の制御デバイスによって、前記ミリメートル波RF位相器の入力に提供されるRF信号の所望の位相シフトを示すデータを取得するステップと、
前記1つまたは複数の制御デバイスによって、複数のスイッチングデバイスの動作を制御して、前記RF信号の前記所望の位相シフトを示す前記データに少なくとも部分的に基づいて、前記伝送路の電気的長さを調整するステップと、
前記1つまたは複数の制御デバイスによって、前記伝送路の前記複数のタップのうちの1つを介して、前記RF信号を、前記ミリメートル波RF位相器の出力に提供するステップと
を含み、
前記1つまたは複数の制御デバイスによって複数のスイッチングデバイスの動作を調整することは、
複数の第1のスイッチングデバイスのうち一度に1つの第1のスイッチングデバイスのみにバイアス信号を提供して、前記第1のスイッチングデバイスを、前記複数のタップのうちの1つのタップに結合し、
複数の第2のスイッチングデバイスのうちの対応する第2のスイッチングデバイスに制御信号を提供して、前記タップを、前記ミリメートル波RF位相器の前記出力に結合することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
[0001]本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2019年1月17日出願の「Wireless Radio Control for Sensors」(センサのためのワイヤレス無線制御)と題された米国仮出願第62/793,603号に基づき、その優先権を主張する。
【0002】
[0002]本開示は、一般に、ミリメートル波無線周波数(RF)位相器(milimeter wave radio frequency phase shifter)に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ミリメートル波通信(たとえば、第5世代モバイル通信)用に構成されたアンテナシステムは、RF位相器を含むことができる。例示的なRF位相器は、伝送路(transmission line)に沿って伝搬するミリメートル波RF信号を変更して、伝送路の出力において測定されたRF信号の位相が、伝送路の入力において測定されたRF信号の位相と異なるようにすることができる。このようにして、RF位相器は、RF信号の位相シフトを制御することができる。RF位相器を有する例示的なアンテナシステムは、複数のアンテナ素子を含むフェーズドアレイアンテナシステムを含むことができる。そのようなアンテナシステムのRF位相器は、複数のアンテナ素子の各々によって放出されるRF波の位相シフトを制御することができる。代替的または追加的に、RF位相器を使用して、アンテナ素子を移動させることなく、複数の異なる方向から受信されたRF信号を再構成することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本開示の実施形態の態様および利点は、以下の説明に部分的に記載されるか、または説明から学習される場合があり、または実施形態の実施を通じて学習される場合がある。
【0005】
[0005]1つの態様では、ミリメートル波RF位相器が提供される。ミリメートル波RF位相器は、入力と出力とを含む。RF位相器は、入力に結合された伝送路をさらに含む。伝送路は、複数のタップを含むことができる。RF位相器は、複数のスイッチングデバイスをさらに含むことができる。各スイッチングデバイスは、出力と、複数のタップのうちの対応するタップとの間に結合することができる。RF位相器は、複数のスイッチングデバイスに動作可能に結合された制御デバイスを含むことができる。制御デバイスは、複数のスイッチングデバイスの動作を制御して、複数のタップのうちの1つを出力に選択的に結合して、伝送路を伝搬するRF信号の位相シフトを制御するように構成することができる。
【0006】
[0006]別の態様では、フェーズドアレイアンテナシステムが提供される。フェーズドアレイアンテナシステムは、RF信号を提供するように構成されたRF源を含む。フェーズドアレイアンテナシステムは、複数のアンテナ素子をさらに含む。加えて、フェーズドアレイアンテナシステムは、複数のミリメートル波RF位相器を含む。複数のミリメートル波RF位相器の各々は、RF源に結合可能な入力を含む。複数のミリメートル波RF位相器の各々は、複数のアンテナ素子のうちの対応するアンテナ素子に結合可能な出力をさらに含む。複数のミリメートル波RF位相器の各々は、入力に結合された伝送路を含む。伝送路は、伝送路に沿って互いに離間された複数のタップを含む。複数のミリメートル波RF位相器の各々は、複数のスイッチングデバイスを含む。複数のスイッチングデバイスの各々は、出力と、複数のタップのうちの対応するタップとの間に結合される。複数のミリメートル波RF位相器の各々は、複数のスイッチングデバイスに動作可能に結合された制御デバイスを含む。制御デバイスは、複数のスイッチングデバイスの動作を制御して、複数のタップのうちの1つを出力に選択的に結合して、伝送路の電気的長さ(electrical length)を調整して、伝送路を伝搬するRF信号の位相シフトを制御するように構成することができる。
【0007】
[0007]さらに別の態様では、複数のタップを含む伝送路を有するミリメートル波RF位相器の動作を制御する方法が提供される。この方法は、1つまたは複数の制御デバイスによって、ミリメートル波RF位相器の入力に提供されるRF信号の所望の位相シフトを示すデータを取得することを含む。この方法は、1つまたは複数の制御デバイスによって、複数のスイッチングデバイスの動作を制御して、RF信号の所望の位相シフトを示すデータに少なくとも部分的に基づいて、伝送路の電気的長さを調整することをさらに含む。この方法は、1つまたは複数の制御デバイスによって、伝送路の複数のタップのうちの1つを介して、RF信号を、RF位相器の出力に提供することをさらに含む。
【0008】
[0008]様々な実施形態のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することにより、より良く理解されるようになるであろう。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を例示し、説明とともに、関連する原理を説明するのに役立つ。
【0009】
[0009]当業者に向けられた実施形態の詳細な議論は、添付の図面を参照する本明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]本開示の例示的な実施形態による、フェーズドアレイアンテナシステムの構成要素のブロック図である。
【
図2】[0011]本開示の例示的な実施形態による、ミリメートル波RF位相器の構成要素のブロック図である。
【
図3】[0012]本開示の例示的な実施形態による、ミリメートル波RF位相器の伝送路を示す図である。
【
図4】[0013]本開示の例示的な実施形態による、ミリメートル波RF位相器の伝送路を示す図である。
【
図5】[0014]本開示の例示的な実施形態による、
図4に示される伝送路の一部の拡大図である。
【
図6】[0015]本開示の例示的な実施形態による、ミリメートル波RF位相器の伝送路を示す図である。
【
図7】[0016]本開示の例示的な実施形態による、
図6に示される伝送路の一部の拡大図である。
【
図8】[0017]本開示の例示的な実施形態による、ミリメートル波RF位相器の例示的な実装の回路図である。
【
図9】[0018]本開示の例示的な実施形態による、ミリメートル波RF位相器の例示的な実装の回路図である。
【
図10】[0019]本開示の例示的な実施形態による、ミリメートル波RF位相器の差動増幅器の回路図である。
【
図11】[0020]本開示の例示的な実施形態による、ミリメートル波RF位相器のバラン(balun)の回路図である。
【
図12】[0021]本開示の例示的な実施形態による、ミリメートル波RF位相器によって提供される位相シフトのグラフ表示である。
【
図13】[0022]本開示の例示的な実施形態による、ミリメートル波RF位相器の動作を制御するための方法のフロー図である。
【
図14】[0023]本開示の例示的な実施形態による、制御デバイスの構成要素のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0024]ここで、実施形態を詳細に参照し、その1つまたは複数の例が図面に例示される。各例は、本開示の限定ではなく、実施形態の説明として提供される。実際、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、実施形態に対して様々な修正および変形を行うことができることが当業者に明らかであろう。たとえば、1つの実施形態の一部として例示または説明された特徴を別の実施形態とともに使用して、さらに別の実施形態を生成することができる。したがって、本開示の態様は、そのような修正および変形をカバーすることが意図されている。
【0012】
[0025]本開示の例示的な態様は、ミリメートル波RF位相器に関する。ミリメートル波に基づくアンテナシステムは、非常に高い周波数(たとえば、15GHz以上)で動作する。そのようなシステムは、ミリメートルRF波の位相および振幅を制御するために、様々なビームフォーミング技法(たとえば、機械的および/または電気的)を適用する。このようにして、アンテナシステムの放射パターンは、アンテナシステムのうちの1つまたは複数のアンテナ素子を物理的に動かすことなく操ることができる。ミリメートル波に基づく従来のアンテナシステムは、伝送路を有するRF位相器を含む。特に、従来のアンテナシステムは、伝送路のうちの1つまたは複数のパラメータ(たとえば、静電容量および/またはインダクタンス)を修正して、伝送路を伝搬するミリメートルRF波の伝搬遅延(したがって、位相)を変化させる。
【0013】
[0026]本開示のミリメートル波RF位相器は、複数のタップを有する伝送路を含むことができる。複数のタップは、伝送路に沿って互いに離間することができる。RF位相器は、複数のスイッチングデバイスを含むことができる。複数のスイッチングデバイスの各スイッチングデバイスは、RF位相器の入力と、複数のタップのうちの対応するタップとの間に結合され得る。RF位相器は、複数のスイッチングデバイスに動作可能に結合された制御デバイスを含むことができる。いくつかの実施では、制御デバイスは、スイッチングデバイスの動作を制御して、複数のタップのうちの1つを、RF位相器の出力に選択的に結合することができる。このようにして、1つまたは複数の制御デバイスは、伝送路の電気的長さを調整して、伝送路に沿って伝搬するRF信号の位相シフトを制御することができる。
【0014】
[0027]例示的な実施形態では、複数のスイッチングデバイスは、複数の第1のスイッチングデバイスと、複数の第2のスイッチングデバイスとを含むことができる。複数の第1のスイッチングデバイスの各第1のスイッチングデバイスは、伝送路の対応するタップに選択的に結合することができる。たとえば、1つまたは複数の制御デバイスは、一度に1つの第1のスイッチングデバイスのみにバイアス信号を提供するように構成することができる。したがって、一度に1つの第1のスイッチングデバイスのみを、伝送路の対応するタップに結合できる。このようにして、1つまたは複数の制御デバイスは、伝送の対応するタップに結合されると、必要に応じて伝送路の電気的長さを設定して、伝送路を伝搬するRF信号の所望の位相シフトを提供する、第1のスイッチングデバイスにバイアス信号を提供することができる。さらに、第1のスイッチングデバイスが、対応するタップに結合されている間、1つまたは複数の制御デバイスは、複数の第2のスイッチングデバイスの対応する第2のスイッチングデバイスに制御信号を提供して、対応するタップを、RF位相器の出力に選択的に結合することができる。
【0015】
[0028]いくつかの実施では、伝送路の形状を修正して、伝送が集積回路またはプリント回路基板上で占める空間の量を最小化することができる。たとえば、いくつかの実施では、伝送路は、1つまたは複数の屈曲部(bend)を有する蛇行伝送路(meander transmission line)とすることができる。代替的な実施では、伝送路は、環状形状を有することができる。環状形状の例は、輪、円、および楕円を含むことができるが、これらに限定されない。そのような実施では、個々のタップからRF位相器の出力へ、同じアクセスを達成できる。
【0016】
[0029]本開示のRF位相器は、多くの技術的利点を提供する。たとえば、伝送路の複数のタップにより、伝送路の電気的長さを変化させて、伝送路に沿って伝搬するRF信号の所望の位相シフトに対応させることができる。より具体的には、伝送路の電気的長さは、従来のRF位相器で必要とされる追加の構成要素を必要とせずに変化させることができる。このようにして、本開示のRF位相器が、集積回路またはプリント回路基板上で占める空間の量は、従来のRF位相器が、同じ集積回路またはPCB上で占める空間の量と比較して、最小化される。
【0017】
[0030]本明細書で使用される場合、数値と併せた「約」という用語の使用は、記載された量の20%以内を指すことが意図される。加えて、「第1」、「第2」、および「第3」という用語は、ある構成要素を、別の構成要素と区別するために交換可能に使用され得、個々の構成要素の位置または重要性を示すことは意図されない。さらに、「ミリメートル波」という用語は、0.5ミリメートルから数十ミリメートルの範囲(たとえば、100ミリメートル未満)の波長を有するRF信号を指す。
【0018】
[0031]ここで図を参照すると、
図1は、本開示の例示的な実施形態によるフェーズドアレイアンテナシステム100を示す。図示されるように、フェーズドアレイアンテナシステム100は、RF源110および複数のアンテナ素子120を含むことができる。RF源110は、RF信号を、複数のアンテナ素子120に提供するように構成することができる。いくつかの実施では、RF信号の周波数は、約26.5GHzから約33GHzの間とすることができる。代替的または追加的に、RF信号は、約0.5ミリメートルと12ミリメートルとの間の波長を有することができる。
【0019】
[0032]図示されるように、フェーズドアレイアンテナシステム100は、複数のRF位相器200を含むことができる。いくつかの実施では、複数のRF位相器200の各RF位相器は、RF源110と、複数のアンテナ素子120の対応するアンテナ素子との間に結合することができる。以下でより詳細に論じられるように、複数のRF位相器200は、RF源110によって生成されたRF信号の位相シフトを制御するように構成することができる。このようにして、複数のアンテナ素子120を介して放出されるRF波の放射パターンは、アンテナ素子120を物理的に動かすことなく操ることができる。
【0020】
[0033]ここで
図2を参照して示されるように、RF位相器200のうちの1つの構成要素は、本開示の例示的な実施形態にしたがって提供される。図示されるように、RF位相器200は、入力210および出力220を含むことができる。いくつかの実施では、入力210は、
図1を参照して上記で論じられたフェーズドアレイアンテナシステム100のRF源110のようなRF源に結合可能とすることができる。代替的または追加的に、RF位相器200の出力220は、
図1を参照して上記で論じられたフェーズドアレイアンテナシステム100の複数のアンテナ素子120のうちの1つのようなアンテナ素子に結合可能とすることができる。
【0021】
[0034]
図2に示されるRF位相器200は、送信(TX)回路の一部として例示されているが、本開示のミリメートル波RF位相器は、RF信号が1つまたは複数のアンテナ素子120を介して受信され、RF位相器200を介してアンテナシステムのうちの1つまたは複数の構成要素(たとえば、フィルタ、プロセッサなど)に提供される受信(RX)回路において実施することができることを理解されたい。たとえば、そのような実施では、RF位相器200の入力210は、複数のアンテナ素子120のうちの1つに結合することができ、RF位相器200の出力220は、アレイアンテナシステム100に関連付けられた制御デバイスに結合することができる。このようにして、アンテナ素子120において受信されたRF信号は、RF位相器200を介して制御デバイスに提供することができる。
【0022】
[0035]図示されるように、複数のRF位相器200の各RF位相器は、伝送路230を含むことができる。いくつかの実施では、伝送路230は、RF位相器200の入力210に結合することができる。伝送路230は、複数のタップ232(1つだけが示されている)を含むことができる。いくつかの実施では、複数のタップ232は、伝送路230の長さに沿って互いに離間することができる。以下で論じられるように、複数のタップ232のうちの1つは、RF位相器200の出力220に選択的に結合されて、伝送路230の電気的長さを変化させることができる。このようにして、伝送路230に沿って伝搬するRF信号の位相シフトを制御することができる。
【0023】
[0036]いくつかの実施では、RF位相器200は、RF位相器200の伝送路230と出力220との間に結合された複数のスイッチングデバイス240(1つだけが示されている)を含むことができる。たとえば、複数のスイッチングデバイス240の各スイッチングデバイスは、出力220と、複数のタップ232の対応するタップとの間に結合することができる。このようにして、複数のスイッチングデバイス240の各スイッチングデバイスは、伝送路230の対応するタップ232を、RF位相器200の出力220に選択的に結合することができる。例示的な実施形態では、複数のスイッチングデバイス240は、第1の状態と第2の状態との間で遷移することができる。複数のスイッチングデバイス240のうちのスイッチングデバイスが、第1の状態にあるとき、伝送路の対応するタップ232は、スイッチングデバイスを介して、RF位相器200の出力220に結合することができる。逆に、スイッチングデバイスが、第2の状態にあるとき、対応するタップ232は、スイッチングデバイスを介して、RF位相器200の出力220に結合されていない。このようにして、複数のスイッチングデバイス240の動作を制御して、必要に応じて伝送路230の電気的長さを調整(たとえば、延長または短縮)して、伝送路230を伝搬するRF信号の所望の位相シフトを提供することができる。
【0024】
[0037]伝送路230を伝搬するRF信号は、任意の適切な場所で生成されることを理解されたい。たとえば、いくつかの実施では、RF信号は、アレイアンテナシステム100のRF源110(
図1)を介して生成することができる。代替的な実施では、RF信号は、別のアンテナシステムに関連付けられたRF源を介して生成することができ、フェーズドアレイアンテナシステム100の1つまたは複数のアンテナ素子120(
図1)を介して受信することができる。
【0025】
[0038]複数のスイッチングデバイス240は、伝送路230の対応するタップ232を、RF位相器200の出力220に選択的に結合するように構成された任意の適切なデバイスを含むことができることも理解されたい。たとえば、いくつかの実施では、スイッチングデバイス240は、1つまたは複数のコンタクタを含むことができる。あるいは、複数のスイッチングデバイス240は、1つまたは複数のトランジスタ、1つまたは複数のシリコン制御整流子(SCR)、1つまたは複数のTRIAC、または伝送路230の対応するタップ232を、RF位相器200の出力220に選択的に結合するように構成された他の任意の適切なデバイスを含むことができる。
【0026】
[0039]いくつかの実施では、RF位相器200は、複数のスイッチングデバイス240に動作可能に結合された1つまたは複数の制御デバイス260を含むことができる。1つまたは複数の制御デバイス260は、スイッチングデバイス240の動作を制御して、伝送路230の複数のタップ232のうちの1つを、RF位相器200の出力220に選択的に結合するように構成することができる。したがって、1つまたは複数の制御デバイス260は、スイッチングデバイス240の動作を制御して、伝送路230の電気的長さを調整(たとえば、延長または短縮)することができる。このようにして、1つまたは複数の制御デバイス260は、必要に応じて伝送路230の電気的長さを調整して、伝送路230を伝搬するRF信号の所望の位相シフトを提供することができる。
【0027】
[0040]
図3は、本開示にしたがって提供される伝送路230の例示的な実施形態を示す。図示されるように、伝送路230は、伝送路230と接地面320との間に配置された誘電体材料310の層に実装されたマイクロストリップ導体とすることができる。あるいは、伝送路230は、集積回路の金属板上に実装することができる。図示されるように、伝送路230は、伝送路230の長さLに沿って互いに離間された複数のタップ232を含むことができる。たとえば、伝送路230は、
図3に示されるように、3つの別個のタップ232を有することができる。しかしながら、伝送路230は、より多く、または、より少ないタップ232を含むことができることを理解されたい。たとえば、いくつかの実施では、伝送路230は、28個の別個のタップ232を含むことができる。
【0028】
[0041]
図4は、本開示による伝送路230の別の例示的な実施形態を示す。いくつかの実施では、伝送路230は、プリント回路基板の接地面410上に実装することができる。あるいは、伝送路230は、集積回路の金属板上に実装することができる。図示されるように、伝送路230は、第1の端部234と第2の端部236との間に延びることができる。
図4に例示される伝送路230は、第1の端部234と第2の端部236との間に1つまたは複数の屈曲部を有する蛇行伝送路である。蛇行伝送路のうちの1つまたは複数の屈曲部は、
図3を参照して上記で論じた伝送路230のような、1つまたは複数の屈曲部を含まない伝送路の長さと比較して、蛇行伝送路の全長を短縮することができる。このようにして、伝送路230はよりコンパクトであり、したがって、集積回路またはプリント回路基板上で、より少ない空間しか占めない。
【0029】
[0042]いくつかの実施では、伝送路230の第1の端部234は、RF位相器200の入力210に結合することができる(
図2)。このようにして、RF源(たとえば、
図1のRF源110)を介して生成された1つまたは複数のRF信号を、伝送路230に提供することができる。代替的または追加的に、RF位相器200(
図2)は、接地GNDと、伝送路230の第2の端部236との間に結合された負荷抵抗430を含むことができる。負荷抵抗430は、任意の適切な値の抵抗を有することができることを理解されたい。出力220に結合されたタップ232で見られる負荷の値は、負荷抵抗430と、出力220に現在結合されているタップ232との間に配置された1つまたは複数のタップ232の構成に応じて修正できることも理解されたい。
【0030】
[0043]図示されるように、伝送路230のタップ232は、伝送路230の長さLに沿って離間することができる。また、
図4に示される伝送路230は、28個の別個のタップ232を含むが、伝送路230は、より多くの、または、より少ないタップ232を含むことができることを理解されたい。ここで簡単に
図5を参照して示すように、RF位相器200(
図2)の複数のスイッチングデバイス240は、複数の第1のスイッチングデバイス242と、複数の第2のスイッチングデバイス244とを含むことができる。以下に論じるように、複数のタップ232の各タップは、RF位相器200(
図2)の結合回路構成440を介して、対応する第1のスイッチングデバイス242に結合することができる。
【0031】
[0044]いくつかの実施では、結合回路構成440は、交流(AC)結合を介して、伝送路230の対応するタップ232を、対応する第1のスイッチングデバイス242に結合するように構成された1つまたは複数の構成要素(たとえば、コンデンサ)を含むことができる。あるいは、回路構成440は、直流(DC)結合を介して、伝送路230の対応するタップ232を、対応する第1のスイッチングデバイス242に結合するように構成された1つまたは複数の構成要素を含むことができる。
【0032】
[0045]複数の第1のスイッチングデバイス242および複数の第2のスイッチングデバイス244は、任意の適切なタイプのトランジスタを含むことができることを理解されたい。たとえば、いくつかの実施では、複数の第1のスイッチングデバイス242は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)とすることができる。代替的な実施では、複数の第1のスイッチングデバイス242は、金属酸化物シリコン電界効果トランジスタ(MOSFET)とすることができる。
【0033】
[0046]ここで
図6を参照して示すように、伝送路230のさらに別の例示的な実施形態が、本開示にしたがって提供される。いくつかの実施では、伝送路230は、プリント回路基板の接地面510上に実装することができる。あるいは、伝送路230は、集積回路の金属板に実装することができる。
図6に例示される実施形態に図示されるように、伝送路230の形状は、八角形に対応することができる。しかしながら、伝送路230は、任意の適切な形状または多角形として構成することができることを理解されたい。たとえば、いくつかの実施では、伝送路230は、環状形状を有することができる。環状形状の例は、輪、円、または楕円を含むことができるが、これらに限定されない。
【0034】
[0047]
図6に示される伝送路230の長さは、約510マイクロメートルとできることを理解されたい。逆に、
図4に示される伝送路230の長さLは、約560マイクロメートルとすることができる。このように、
図6の伝送路230がPCBまたは集積回路で占有する空間の量を、
図4の伝送路230が同じPCBまたは集積回路で占有する空間の量と比較して、少なくすることができる。
【0035】
[0048]図示されるように、伝送路230の複数のタップ232は、伝送路230に沿って離間することができる。また、
図6に示される伝送路230は、32個の別個のタップ232を含むが、伝送路230は、より多くの、または、より少ないタップ232を含むことができることを理解されたい。ここで簡単に
図7を参照して示すように、伝送路230の複数のタップ232(1つのみが示されている)のうちの1つのみを、RF位相器200の出力220(
図2)に選択的に結合するように構成された複数のスイッチングデバイス240は、
図5を参照して上記で論じられた、複数の第1のスイッチングデバイス242と、複数の第2のスイッチングデバイス244とを含むことができる。
【0036】
[0049]図示されるように、複数のタップ232の各タップは、
図5を参照して上記で論じられた結合回路構成440を介して、対応する第1のスイッチングデバイス242に結合することができる。いくつかの実施では、結合回路構成440は、1つまたは複数の導体442(たとえば、ワイヤまたは金属トレース集積回路)を介して、複数のタップ232のうちの対応するタップに結合することができる。以下でより詳細に論じられるように、RF位相器200の制御デバイス260(
図2)は、第1のスイッチングデバイス242および第2のスイッチングデバイス244の動作を制御して、複数のタップ232のうちの1つを、RF位相器200の出力220(
図2)に選択的に結合することができる。このようにして、制御デバイス260は、第1のスイッチングデバイス242および第2のスイッチングデバイス244の動作を制御して、伝送路230の電気的長さを調整(たとえば、延長または短縮)して、伝送路230を伝搬するRF信号の所望の位相シフトを提供することができる。
【0037】
[0050]ここで
図8および
図9を参照して示すように、RF位相器200の例示的な実施を例示する回路図が、本開示の例示的な実施形態にしたがって提供される。いくつかの実施では、複数の第1のスイッチングデバイス242の各々は、RF位相器200(
図2)の結合回路構成440(
図5および
図7)を介して、複数のタップ232(
図2)のうちの対応するタップに結合することができる。たとえば、いくつかの実施では、結合回路構成440は、対応するタップ232と、対応する第1のスイッチングデバイス242との間に結合された1つまたは複数のコンデンサCを含むことができる。
【0038】
[0051]いくつかの実施では、RF位相器200(
図2)のうちの1つまたは複数の制御デバイス260(
図2)は、一度に、複数の第1のスイッチングデバイス242のうちの1つに、バイアス信号を提供することができる。そのような実施では、バイアス信号を受信する第1のスイッチングデバイス242のみが、結合回路構成440(
図5および
図7)を介して、伝送路230の対応するタップ232に結合することができる。このようにして、1つまたは複数の制御デバイス260は、第1の複数のスイッチングデバイス242の動作を制御して、伝送路230の電気的長さを調整(たとえば、延長または短縮)することができる。たとえば、伝送路230の電気的長さは、伝送路230の第1の端部234(
図4)から、結合回路構成440(
図5および
図7)を介して、対応する第1のスイッチングデバイス242に結合される、対応するタップ232まで測定された距離に対応することができる。
【0039】
[0052]いくつかの実施では、複数の第2のスイッチングデバイス244の各第2のスイッチングデバイスは、複数の第1のスイッチングデバイス242の対応する第1のスイッチングデバイスに結合することができる。そのような実施では、1つまたは複数の制御デバイス260は、第2のスイッチングデバイス244の動作を制御して、対応する第1のスイッチングデバイス242を介して、対応するタップ232を、RF位相器200の出力220(
図2)に選択的に結合することができる。
【0040】
[0053]いくつかの実施では、伝送路230のタップ232は、伝送路230の長さに沿って互いに離間することができ、これによって、伝送路230の電気的長さが増加すると、伝送路230を伝搬するRF信号の位相シフトは、線形的に増加するようになる。たとえば、伝送路230の第1のタップが、RF位相器200の出力220に結合されたときのRF信号の位相シフトは、約5度としてもよい。逆に、間に配置された介在するタップなしで、第1のタップに隣接して配置された第2のタップに結合されたときのRF信号の位相シフトは、約10度としてもよい。したがって、RF信号の位相シフトは、伝送路230の電気的長さが増加するにつれて、約5度の増分で増加してもよい。いくつかの実施では、位相シフトは、伝送路230の電気的長さが、約180度(180°)の最大位相シフトを提供するまで、約5度の増分で増加することができる。
【0041】
[0054]いくつかの実施では、RF位相器200は、伝送路230の電気的長さを調整することによって提供されるものを超えて、RF信号の追加の位相シフトを提供するための差動増幅器を含むことができる。
図10は、本開示の例示的な実施形態による差動増幅器800の回路図を示す。図示されるように、差動増幅器800は、第1のスイッチングデバイス810および第2のスイッチングデバイス820を含むことができる。第1のスイッチングデバイス810および第2のスイッチングデバイス820の例は、任意の適切なタイプのトランジスタを含むことができる。たとえば、いくつかの実施では、第1のスイッチングデバイス810および第2のスイッチングデバイス820は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)とすることができる。代替的な実施では、第1のスイッチングデバイス810および第2のスイッチングデバイス820は、金属酸化物電界効果トランジスタ(MOSFET)とすることができる。
【0042】
[0055]第1のスイッチングデバイス810は、第1の端子812、第2の端子814、および第3の端子816を含むことができる。第1の端子812は、1つまたは複数の導体(たとえば、集積回路内のワイヤまたはトレース)を介して、RF位相器200(
図2)の入力210(
図2)に結合することができる。いくつかの実施では、差動増幅器800は、RF位相器200の第1の端子812と入力210(
図2)との間に結合された第1のコンデンサC1を含むことができる。第2の端子814は、1つまたは複数の導体を介して電源830に結合することができる。いくつかの実施では、差動増幅器800は、第2の端子814と電源830との間に結合された第1の抵抗R1を含むことができる。第3の端子816は、1つまたは複数の導体を介して接地GNDに結合することができる。いくつかの実施では、差動増幅器800は、第3の端子816と接地GNDとの間に結合された電流源840を含むことができる。
【0043】
[0056]第2のスイッチングデバイス820は、第1の端子822、第2の端子824、および第3の端子826を含むことができる。第1の端子822は、1つまたは複数の導体を介して接地GNDに結合することができる。いくつかの実施では、差動増幅器800は、接地GNDと第1の端子822との間に結合された第2のコンデンサC2を含むことができる。第2の端子824は、1つまたは複数の導体を介して電源830に結合することができる。いくつかの実施では、差動増幅器800は、第2の端子824と電源830との間に結合された第2の抵抗R2を含むことができる。第3の端子826は、1つまたは複数の導体を介して接地GNDに結合することができる。いくつかの実施では、電流源840は、第3の端子826と接地GNDとの間に結合することができる。
【0044】
[0057]いくつかの実施では、差動増幅器800は、第1の出力850および第2の出力860を含むことができる。第1の出力50を介して放出されるRF信号の位相は、第2の出力860を介して放出されるRF信号の位相とは異なる可能性があることを理解されたい。たとえば、第2の出力860を介して放出されるRF信号は、第1の出力850を介して放出されるRF信号に対して約180度(たとえば、180°)位相がずれている(out-of-phase)可能性がある。
【0045】
[0058]いくつかの実施では、RF位相器200(
図2)は、バランを含むことができる。
図10は、本開示の例示的な実施形態による、アクティブバラン900の回路図を示す。図示されるように、アクティブバラン900は、増幅器910を含むことができる。増幅器910の例は、任意の適切なタイプのトランジスタを含むことができる。たとえば、いくつかの実施では、増幅器910は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)とすることができる。代替的な実施では、増幅器910は、金属酸化物電界効果トランジスタ(MOSFET)とすることができる。
【0046】
[0059]増幅器910は、第1の端子912、第2の端子914、および第3の端子916を含むことができる。第1の端子912は、1つまたは複数の導体(たとえば、ワイヤ)を介して、RF位相器200(
図1)の入力210(
図2)に結合することができる。いくつかの実施では、アクティブバラン900は、第1の端子912とRF位相器200の入力210(
図2)との間に結合されたコンデンサCを含むことができる。第2の端子814は、1つまたは複数の導体を介して電源930に結合することができる。いくつかの実施では、アクティブバラン900は、第2の端子914と電源930との間に結合された第1の抵抗R1を含むことができる。第3の端子916は、1つまたは複数の導体を介して接地GNDに結合することができる。いくつかの実施では、アクティブバラン900は、第3の端子916と接地GNDとの間に結合された第2の抵抗R2を含むことができる。
【0047】
[0060]図示されるように、アクティブバラン900は、第1の出力950および第2の出力960を含むことができる。第1の出力950を介して放出されるRF信号の位相は、第2の出力960を介して放出されるRF信号の位相とは異なる可能性があることを理解されたい。たとえば、第2の出力960を介して放出されるRF信号は、第1の出力950を介して放出されるRF信号に対して約180度(たとえば、180°)位相がずれている可能性がある。
【0048】
[0061]ここで
図12を参照して、本開示の例示的な実施形態による、RF位相器の伝送路の電気的長さを調整することに基づいて発生するRF信号の位相シフトのグラフ表示。図示されるように、
図12におけるグラフは、(垂直軸に沿って度で示される)RF信号の位相を、RF位相器が(ギガヘルツで水平軸に沿って示される)周波数の関数として出力することを例示する。より具体的には、
図12におけるグラフは、RF位相器の伝送路の電気的長さが調整される(たとえば、延長または短縮される)ときに発生するRFの(度で測定される)位相シフトを例示する。
図12のグラフに示される複数の曲線の各曲線は、スイッチングデバイス240(
図5)を介して選択されたときの対応するタップ(たとえば、32個のタップ)の振舞いを示す。
図12のグラフは、26.5GHzから33GHzに及ぶ周波数範囲にわたって発生するRF信号の位相シフトを示しており、本開示のRF位相器は、任意の適切な周波数の範囲にわたって、RF信号と同じまたは類似のものを提供できることを理解されたい。
【0049】
[0062]ここで
図13を参照して示すように、ミリメートル波RF位相器の動作を制御するための方法400のフロー図が、本開示の例示的な実施形態にしたがって提供される。一般に、方法400は、
図2を参照して上記のミリメートル波RF位相器を参照して本明細書で論じられる。しかしながら、
図13は、例示および議論の目的で特定の順序で実行されるステップを示すが、本明細書で議論される方法は、特定の順序または配置に限定されない。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される方法の様々なステップを様々な手法で省略、再配置、組合せ、および/または適合させることができることを理解する。
【0050】
[0063](402)において、方法400は、1つまたは複数の制御デバイスによって、RF位相器に提供されるRF信号の所望の位相シフトを示すデータを取得することを含む。例示的な実施形態では、RF信号は、約26.5GHzから約33GHzの間の周波数を有するミリメートルRF信号とすることができる。しかしながら、RF信号は、任意の適切な周波数を有することができることを理解されたい。
【0051】
[0064](404)において、方法400は、1つまたは複数の制御デバイスによって、RF位相器の複数のスイッチングデバイスを制御して、少なくとも部分的に所望の位相シフトを示すデータに基づいて、RF位相器に伝送路の電気的長さを調整することを含むことができる。例示的な実施形態では、複数のスイッチングデバイスの動作を制御することは、1つまたは複数の制御デバイスによって、複数のスイッチングデバイスのうちの第1のスイッチングデバイスにバイアス信号を提供して、第1のスイッチングデバイスを、伝送路の対応するタップに結合することを含むことができる。加えて、複数のスイッチング要素の動作を制御することは、1つまたは複数の制御デバイスによって、複数のスイッチングデバイスの第2のスイッチングデバイスに制御信号を提供して、伝送路の対応するタップを、第1のスイッチングデバイスを介して、RF位相器の出力へ結合することを含むことができる。
【0052】
[0065](406)において、方法400は、1つまたは複数の制御デバイスによって、(404)における出力に結合された複数のタップのうちの1つを介して、RF信号を、RF位相器の出力に提供することを含むことができる。例示的な実施形態では、RF位相器の出力は、フェーズドアレイアンテナシステムの一部として含まれる複数のアンテナ素子のうちの1つのアンテナ素子に結合することができる。
【0053】
[0066]
図14は、本開示の例示的な実施形態による、制御デバイス260の適切な構成要素のうちの1つの実施形態を例示する。図示されるように、制御デバイス260は、様々なコンピュータ実施機能を実行する(たとえば、本明細書に開示される方法、ステップ、計算などを実行する)ように構成された1つまたは複数のプロセッサ262を含むことができる。本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、当技術分野でコンピュータに含まれると称される集積回路を指すだけでなく、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および他のプログラマブル回路をも指す。
【0054】
[0067]図示されるように、制御デバイス260は、メモリデバイス264を含むことができる。メモリデバイス264の例は、RAM、ROM、ハードドライブ、フラッシュドライブ、または他の適切なメモリデバイスなどの非一時的なコンピュータ可読媒体を含むがこれらに限定されないコンピュータ可読媒体を含むことができる。メモリデバイス264は、プロセッサ262によって実行することができるコンピュータ可読命令266を含む、プロセッサ262によってアクセス可能な情報を格納することができる。コンピュータ可読命令266は、プロセッサ262によって実行されると、プロセッサ262に動作を実行させる任意の命令のセットとすることができる。コンピュータ可読命令266は、任意の適切なプログラミング言語で記述されたソフトウェアとすることができるか、またはハードウェアで実施することができる。
【0055】
[0068]いくつかの実施では、コンピュータ可読命令266は、制御デバイス260によって実行されて、複数のスイッチングデバイス240(
図2)の動作を制御するための1つまたは複数の制御アクションを生成するなどの動作を実行することができる。いくつかの実施では、制御動作は、伝送路230(
図2)の複数のタップ232(
図2)のうちの1つを、複数のスイッチングデバイス240のうちの1つを介して、RF位相器200の出力220(
図2)に結合することを含むことができる。このようにして、制御デバイス260は、伝送路230の電気的長さを調整して、伝送路230に沿って伝搬するRF信号の位相シフトを制御することができる。
【0056】
[0069]本主題は、その特定の例示的な実施形態に関して詳細に説明されてきたが、当業者は、前述の理解を達成すると、そのような実施形態に対する変更、変形、および均等物を容易に生成することができることを理解されたい。したがって、本開示の範囲は、限定ではなく例示によるものであり、主題の開示は、当業者に容易に明らかになるような本主題へのそのような修正、変形、および/または追加を含めることを排除するものではない。