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特許7308281端子付きフレキシブルプリント基板、配線モジュール及び蓄電モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】端子付きフレキシブルプリント基板、配線モジュール及び蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/298 20210101AFI20230706BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20230706BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230706BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20230706BHJP
   H01G 11/08 20130101ALI20230706BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20230706BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20230706BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20230706BHJP
【FI】
H01M50/298
H01M50/249
H05K1/02 A
H05K3/34 501D
H01G11/08
H01G11/12
H01M50/284
H01M50/204 301
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021554136
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2020033710
(87)【国際公開番号】W WO2021084914
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2019198339
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 慎一
(72)【発明者】
【氏名】下田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】北島 勉
(72)【発明者】
【氏名】安達 芳朗
(72)【発明者】
【氏名】大橋 優樹
(72)【発明者】
【氏名】須藤 学
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0271642(US,A1)
【文献】国際公開第2018/020973(WO,A1)
【文献】特開昭61-284991(JP,A)
【文献】特開2004-304019(JP,A)
【文献】国際公開第2017/018213(WO,A1)
【文献】特開2018-055843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
H01M50/50-50/598
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電路を有するフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板に半田付けされる端子と、を備える端子付きフレキシブルプリント基板であって、
前記フレキシブルプリント基板は、前記導電路に電気的に接続され、金属表面を有して前記端子に半田付けされるランドと、非金属表面を有して前記端子に半田付けされない半田規制部と、を有し、
前記端子は、前記ランドに重ねられて前記ランドに半田付けされる重なり部と、前記重なり部に連なり、前記フレキシブルプリント基板に重ならない領域に延出される延出部と、を備え、前記重なり部は、所定の領域が部分的に除去された形状の除去部を有し、
前記フレキシブルプリント基板における前記除去部に対応する前記所定の領域内に前記半田規制部が配される、端子付きフレキシブルプリント基板。
【請求項2】
前記除去部は、貫通孔であり、
前記所定の領域は、前記貫通孔の内側の領域である請求項1に記載の端子付きフレキシブルプリント基板。
【請求項3】
前記貫通孔の孔径は、短径部と、短径部よりも大きい長径部とを有する長円形状であり、
前記半田規制部は、前記貫通孔の孔縁に沿うように設けられた長円形状の領域である請求項2に記載の端子付きフレキシブルプリント基板。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント基板は、帯状に延びる形状であって、前記貫通孔の前記長径部は、前記フレキシブルプリント基板の延びる方向に沿って設けられている請求項3に記載の端子付きフレキシブルプリント基板。
【請求項5】
前記除去部は、前記重なり部の縁部を切り欠いた形状の切欠部であり、
前記半田規制部は、前記切欠部の縁部に沿って設けられている請求項1に記載の端子付きフレキシブルプリント基板。
【請求項6】
車両に搭載されて用いられる車両用の端子付きフレキシブルプリント基板であって、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の端子付きフレキシブルプリント基板。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の端子付きフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板を保持する絶縁プロテクタと、を備える配線モジュール。
【請求項8】
車両に搭載されて用いられる車両用の配線モジュールであって、
請求項7に記載の配線モジュール。
【請求項9】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の端子付きフレキシブルプリント基板と、
正極及び負極の電極部を有する複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子の隣り合う前記電極部間を接続する接続部材と、を備え、
前記端子は、前記接続部材に接続されている、蓄電モジュール。
【請求項10】
車両に搭載されて用いられる車両用の蓄電モジュールであって、
請求項9に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、端子付きフレキシブルプリント基板、配線モジュール及び蓄電モジュールに関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池モジュールとして国際公開第2010/113455号(特許文献1)に記載のものが知られている。この電池モジュールは、隣り合う電池セルの端子に接続される連結バスバーに設けられた舌片状の結線部材を、フレキシブルプリント基板に形成されているコンタクトパッド上に配置し、結線部材とコンタクトパッドとがリフロー半田付けによって接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2010/113455号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、舌片状の結線部材をコンタクトパッド上にリフロー半田付けする構成では、リフロー半田付けの際にコンタクトパッド上の結線部材に浮きが生じ、結線部材の位置ずれによる不具合が懸念される。
【0005】
本明細書に記載された技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子の位置ずれによる不具合を抑制することが可能な端子付きフレキシブルプリント基板及び蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載された端子付きフレキシブルプリント基板は、導電路を有するフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板に半田付けされる端子と、を備える端子付きフレキシブルプリント基板であって、前記フレキシブルプリント基板は、前記導電路に電気的に接続され、金属表面を有して前記端子に半田付けされるランドと、非金属表面を有して前記端子に半田付けされない半田規制部と、を有し、前記端子は、前記ランドに重ねられて前記ランドに半田付けされる重なり部と、前記重なり部に連なり、前記フレキシブルプリント基板に重ならない領域に延出される延出部と、を備え、前記重なり部は、所定の領域が部分的に除去された形状の除去部を有し、前記フレキシブルプリント基板における前記重なり部が重ならない前記所定の領域内に前記半田規制部が配される。
【発明の効果】
【0007】
本明細書に記載された技術によれば、フレキシブルプリント基板に半田付けされる端子の位置ずれによる不具合を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1にかかる蓄電モジュールが搭載された車両を示す模式図である。
図2図2は、実施形態1の蓄電モジュールの一部を示す平面図である。
図3図3は、端子付きフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
図4図4は、図3のA-A断面図である。
図5図5は、図3のB-B断面図である。
図6図6は、フレキシブルプリント基板への端子の組付けを説明する斜視図である。
図7図7は、フレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
図8図8は、実施形態2のフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
図9図9は、実施形態3のフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
図10図10は、実施形態4の端子付きフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
図11図11は、図10のC-C断面図である。
図12図12は、他の実施形態の端子付きフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
図13図13は、他の実施形態の端子付きフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
図14図14は、図13のD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の端子付きフレキシブルプリント基板は、導電路を有するフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板に半田付けされる端子と、を備える端子付きフレキシブルプリント基板であって、前記フレキシブルプリント基板は、前記導電路に電気的に接続され、金属表面を有して前記端子に半田付けされるランドと、非金属表面を有して前記端子に半田付けされない半田規制部と、を有し、前記端子は、前記ランドに重ねられて前記ランドに半田付けされる重なり部と、前記重なり部に連なり、前記フレキシブルプリント基板に重ならない領域に延出される延出部と、を備え、前記重なり部は、所定の領域が部分的に除去された形状の除去部を有し、前記フレキシブルプリント基板における前記重なり部が重ならない前記所定の領域内に前記半田規制部が配される。
本構成によれば、例えばリフロー半田付けの際にランド上で溶けた半田は、非金属表面の半田規制部及び端子の除去部により移動が抑制されるため、半田の移動による端子の位置ずれを抑制することができる。よって、端子の位置ずれによる不具合を抑制することができる。
【0010】
(2)前記除去部は、貫通孔であり、前記所定の領域は、前記貫通孔の内側の領域である。
このようにすれば、貫通孔内への半田の移動を半田規制部により抑制することができる。
【0011】
(3)前記貫通孔の孔径は、短径部と、短径部よりも大きい長径部とを有する長円形状であり、前記半田規制部は、前記貫通孔の孔縁に沿うように設けられた長円形状の領域である。
このようにすれば、貫通孔及び半田規制部の形状により、端子が回転する方向への位置ずれを抑制することができる。
【0012】
(4)前記フレキシブルプリント基板は、帯状に延びる形状であって、前記前記貫通孔の前記長径部は、前記フレキシブルプリント基板の延びる方向に沿って設けられている。
このようにすれば、長円形状の貫通孔及び半田規制部の向きにより、フレキシブルプリント基板の延びる方向、フレキシブルプリント基板の延びる方向と交差する方向、端子の回転(傾き)方向への端子の位置ずれを抑制することができる。
【0013】
(5)前記除去部は、前記重なり部の縁部を切り欠いた形状の切欠部であり、前記半田規制部は、前記切欠部の縁部に沿って設けられている。
このようにすれば、切欠部及び半田規制部の形状により、端子の位置ずれを抑制することができる。
【0014】
(6)車両に搭載されて用いられる車両用の端子付きフレキシブルプリント基板であることが好ましい。
【0015】
(7)本開示の配線モジュールは、前記端子付きフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を保持する絶縁プロテクタと、を備える。
【0016】
(8)車両に搭載されて用いられる車両用の配線モジュールであることが好ましい。
【0017】
(9)前記端子付きフレキシブルプリント基板と、正極及び負極の電極部を有する複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子の隣り合う前記電極部間を接続する接続部材と、を備え、前記端子は、前記接続部材に接続されている、蓄電モジュールとする。
【0018】
(10)車両に搭載されて用いられる車両用の蓄電モジュールであることが好ましい。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
本開示を車両1に搭載される蓄電パック2に適用した実施形態1が図1から図7を参照しつつ説明される。蓄電パック2は、電気自動車、またはハイブリッド自動車等の車両1に搭載されて、車両1の駆動源として用いられる。以下の説明においては、複数の部材については一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0021】
[全体構成]
図1に示されるように、車両1の中央付近には蓄電パック2が配設されている。車両1の前部にはPCU3(Power Control Unit)が配設されている。蓄電パック2とPCU3とは、ワイヤーハーネス4によって接続されている。蓄電パック2とワイヤーハーネス4とは図示しないコネクタによって接続されている。蓄電パック2は複数の蓄電素子11を備えた蓄電モジュール10を有する。
【0022】
(蓄電モジュール10)
蓄電モジュール10は、図2図2は蓄電モジュール10の一部を図示し、他の部分は省略)に示すように、左右一列に並んだ複数の蓄電素子11と、隣り合う蓄電素子11の電極部12A,12B間を接続する接続部材14と、複数の蓄電素子11に取り付けられる配線モジュール20と、を備えている。以下では、X方向を前方、Y方向を左方、Z方向を上方として説明する。
【0023】
各蓄電素子11は、扁平な直方体状であって、上面から突出する電極部12A,12B(正極を12Aとして図示し,負極を12Bとして図示)を備え、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池やキャパシタとされる。電極部12A,12Bの上面は、平坦な長方形状であって、接続部材14が載置可能とされている。隣り合う蓄電素子11の向きは、隣り合う電極部12A,12Bの極性が反対になるように配置されており、直列接続の端部に位置する電極部12A(12B)は、図示しない電線を介して外部のインバータ等の機器に接続される。
【0024】
(接続部材14)
接続部材14は、長方形状であって、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属板材からなる。接続部材14は、隣り合う一対の電極部12A,12Bを覆う大きさで形成されている。接続部材14は、電極部12A,12Bにレーザー溶接により固定され、レーザー溶接後の接続部材14は円形状の溶接部15が形成されている。なお、図2は、一つの接続部材14が図示されているが、複数の接続部材14により複数の蓄電素子11を直列または並列に接続することができる。
【0025】
(配線モジュール20)
配線モジュール20は、フレキシブルプリント基板21(以下では「FPC21」とする)と、FPC21と接続部材14との間を電気的に接続する端子30と、FPC21を保持する絶縁プロテクタ35とを備えて構成されている。
【0026】
(FPC21)
FPC21は、絶縁樹脂フィルム22と、絶縁樹脂フィルム22に配線される銅箔等の金属からなる導電路24と、を備える。絶縁樹脂フィルム22は、柔軟性及び絶縁性を有するポリイミド等の絶縁性の合成樹脂からなり、導電路24が配線されるベースフィルムと、ベースフィルムに配線された導電路24側を覆うカバーフィルムとを備える。複数の導電路24は、前後方向に間隔を空けて並んで配され、左右方向には、接続部材14に応じた位置まで延びている。各導電路24における接続部材14側の端部は、端子30を半田付け可能なランド25に連なっている。ランド25は、図7に示すように、カバーフィルムが除去されて形成された開口部23から露出している。ランド25は、銅箔等の金属からなる長方形状の領域であって、ベースフィルムに対して接着剤等を介して重ねられている。
【0027】
ランド25の領域の内側 (ランド25の領域の中央部)には、非金属表面の半田規制部26が設けられている。半田規制部26は、ランド25が設けられない部分であり、絶縁樹脂フィルム22のカバーフィルムが配されている。なお、半田規制部26は、これに限られず、例えばベースフィルムに対して長方形状の銅箔(金属箔)等を貼り付けて(半田規制部のない)ランドを形成し、ランドの一部に絶縁性の合成樹脂材料からなる長円形状のシート(半田規制部)を貼り付けてもよく、この場合、例えば、半田付けの印刷工程等に用いるマスクを半田規制部としてもよい。また、ベースフィルムに対して銅箔等を貼り付けずに露出させた部分を半田規制部としたり、絶縁樹脂フィルム22に形成した貫通孔により、半田規制部を形成してもよい。
【0028】
各導電路24におけるランド25側とは反対側の端部側は、図示はしないが、外部の電子制御ユニット(Electronic Control Unit)に電気的に接続される。電子制御ユニットは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、蓄電素子11の電圧・電流・温度等の検知、各蓄電素子11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0029】
(端子30)
端子30は、接続部材14(及び電極部12A,12B)の電圧等を検知するためのものであり、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属板材からなる。金属板材には、ニッケル等を含むメッキを施してもよい。端子30は、図6に示すように、前後方向に長い長方形の板状であって、FPC21に重なる重なり部31と、FPC21の外方側(FPC21の延び方向に対する側縁の外方側)に延出される延出部33とを備える。延出部33は、前後方向に直線状に延びており、接続部材14に溶接される。
【0030】
重なり部31は、図3に示すように、ランド25の全体を覆うようにランド25に重ねられており、長円形状の除去部32が貫通形成されている。除去部32は、Y方向(FPC21の延びる方向)の孔径(直径)を有する長径部32Aと、長径部32Aよりも短いX方向(FPC21の延びる方向と直交する方向)の孔径(直径)を有する短径部32Bとを有する。除去部32の中心Oは、重なり部31の中心部に設けられている。重なり部31がランド25上の正規位置に重ねられた状態で、FPC21における除去部32の孔壁の内側の領域(所定の領域)には、図4図5に示すように、半田規制部26及びランド25の半田規制部26側の縁部25Aが配される。
【0031】
重なり部31とランド25とが半田Sにより半田付けされると、除去部32の孔壁に付着した半田SにはフィレットSB1が形成される。また、重なり部31とランド25との間に挟まれた半田Sの外縁部には、フィレットSB1とは反対方向に広がるフィレットSB2が形成される。半田Sは、例えば、スズ、銀、銅を含んだ鉛フリーはんだを用いることができる。端子30は、例えば、金属板材に対してプレス機により打ち抜き加工や、レーザー等での外形カットを施すことにより形成することができる。
【0032】
絶縁プロテクタ35は、絶縁性の合成樹脂からなり、図2に示すように、FPC21が配される配設部36と、隣り合う蓄電素子11間を絶縁する板状の隔壁37とを備える。配設部36は、左右方向に平板状に延びており、配設部36の上面にFPC21が接着等により固定されている。
【0033】
次に、蓄電モジュール10の組み付けについて説明する。
図6に示すように、FPC21の複数のランド25に対して、例えばクリーム半田を塗布し、各端子30の重なり部31をランド25(及びクリーム半田)に載置する。そして、リフロー炉に通して加熱することによりクリーム半田を溶かし、リフロー半田付けを行う。このとき、ランド25上で溶けた半田Sは、非金属表面の半田規制部26側には移動しないため、各端子30の位置ずれが抑制される。そして、リフロー半田付けにより溶けた半田Sが固化すると、FPC21に各端子30が半田付けされた状態の端子付きフレキシブルプリント基板40(図3)が形成される。
【0034】
次に、FPC21の裏面を絶縁プロテクタ35における配設部36の上面に接着剤等で接着して固定し、配線モジュール20を形成する(図2参照)。また、複数の蓄電素子11の電極部12A,12Bに接続部材14を載置するとともに、配線モジュール20を複数の蓄電素子11の上に載置する。
【0035】
次に、接続部材14を各電極部12A,12Bにレーザー溶接するとともに、端子30の延出部33を接続部材14にレーザー溶接する。これにより、接続部材14及び端子30に溶接部15,34が形成され、蓄電モジュール10(図2)が形成される。
【0036】
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
導電路24を有するFPC21(フレキシブルプリント基板)と、FPC21に半田付けされる端子30と、を備える端子付きフレキシブルプリント基板40であって、FPC21は、導電路24に電気的に接続され、金属表面を有して端子30に半田付けされるランド25と、非金属表面を有して端子30に半田付けされない半田規制部26と、を有し、端子30は、ランド25に重ねられてランド25に半田付けされる重なり部31と、重なり部31に連なり、FPC21に重ならない領域に延出される延出部33と、を備え、重なり部31は、所定の領域が部分的に除去された形状の除去部32を有し、FPC21における重なり部31が重ならない所定の領域内に半田規制部26が配される。
本実施形態によれば、例えばリフロー半田付けの際にランド25上で溶けた半田Sは、非金属表面の半田規制部26及び端子30の除去部32により移動が抑制されるため、半田Sの移動による端子30の位置ずれを抑制することができる。よって、端子30の位置ずれによる不具合を抑制することができる。
【0037】
また、除去部32は、貫通孔であり、所定の領域は、貫通孔の内側の領域である。
このようにすれば、除去部32内への半田Sの移動を半田規制部26により抑制することができる。
【0038】
また、除去部32の孔径は、短径部32Bと、短径部32Bよりも大きい長径部32Aとを有する長円形状であり、半田規制部26は、除去部32の孔縁に沿うように設けられた長円形状の領域である。
このようにすれば、除去部32及び半田規制部26の形状により、端子30が回転する方向への位置ずれを抑制することができる。
【0039】
また、FPC21は、帯状に延びる形状であって、除去部32の長径部32Aは、FPC21の延びる方向に沿って設けられている。
このようにすれば、長円形状の除去部32及び半田規制部26の向きにより、FPC21の延びる方向、FPC21の延びる方向と交差する方向、端子の回転(傾き)方向への端子30の位置ずれを抑制することができる。
【0040】
本実施形態にかかる端子付きフレキシブルプリント基板40、配線モジュール20及び蓄電モジュール10は、車両1に搭載されて用いられる。
【0041】
例えば、リフロー半田付け工程において、FPCと端子とが位置ずれすると、溶融後に固化した半田の中に、他の部分に比べて強度が小さな部分が生じるおそれがある。このような、強度が比較的小さい部分に、車両からの振動が加えられると、半田に不具合が生じるおそれがある。本実施形態においては、FPC21と端子30との位置ずれが抑制されるようになっているので、溶融後の固化した半田Sに、比較的に強度が小さい部分が生じないようになっている。このように本実施形態は、車両1に搭載されて用いられる端子付きフレキシブルプリント基板40、配線モジュール20及び蓄電モジュール10に特に有効である。
【0042】
<実施形態2>
次に、実施形態2について、図8を参照しつつ説明する。実施形態1のFPC21は半田規制部26を一つとしたが、実施形態2のFPC50はランド51の内側に2つの半田規制部52,52を設けたものである。以下では実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
FPC50には、2つの非金属表面の半田規制部52がFPC50の延びる方向と直交する方向(交差する方向)に並んでいる。半田規制部52は、ランド51が設けられない部分であり、絶縁樹脂フィルム22のカバーフィルムが配されている。端子30の重なり部31には、2つの長円形状の除去部53が貫通形成されている。除去部53は、Y方向(FPC21の延びる方向)に長い長円形状とされる。重なり部31がランド51上の正規位置に重ねられた状態で、除去部53の孔壁の内側の領域には、半田規制部52及びランド51における半田規制部52側の縁部51Aが配される。
【0044】
<実施形態3>
次に、実施形態3について、図9を参照しつつ説明する。実施形態3のFPC60は、ランド61の内側に円形状の半田規制部62を有するものである。以下では上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
FPC60には、長方形状のランド61の内側に、非金属表面の半田規制部62が真円形状に設けられている。端子30の重なり部31には、真円形状の除去部64が形成されている。除去部64の中心Oは、半田規制部62の中央部に配されている。重なり部31がランド61上の正規位置に重ねられた状態で、除去部64の孔壁の内側の領域には、半田規制部62及びランド61における半田規制部62側の縁部61Aが配される。
【0046】
<実施形態4>
次に、実施形態4について、図10図11を参照しつつ説明する。実施形態4の端子付きフレキシブルプリント基板79における端子76は、重なり部77に貫通孔が形成されず、代わりに、重なり部77の側縁を切り欠いた除去部78(「切欠部」の一例)が設けられるものである。以下では上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
FPC70のランド71は、図10図11に示すように、ベースフィルム上のH形状の領域に設けられており、左右の側縁部の凹んだ部分に半田規制部73が進入している。半田規制部73は、絶縁樹脂フィルム22(のカバーフィルム)の一部をランド71側に矩形状に突出させた形状とされている。なお、なお、半田規制部73は、これに限られず、例えばベースフィルムに対して長方形状の銅箔(金属箔)等を貼り付けることにより、(半田規制部73のない)ランドを形成し、半田付けの印刷工程等において、ランドの一部に絶縁性の合成樹脂材料からなる長円形状のマスクを重ね、このマスクを半田規制部として用いてもよい。
【0048】
端子76の重なり部77には、左右の側縁部に、一対の除去部75が設けられている。除去部75は、重なり部77の左右の側縁部を矩形状に切り欠いて形成された切欠部である。重なり部77は、ランド71に重なるとともに、ランド71の縁部71Aは、重なり部77の外側の領域に配されている。図11に示すように、重なり部77がランド71に半田付けされると、重なり部77の両側縁に付着した半田SにフィレットSB1が形成される。
【0049】
実施形態4によれば、除去部75は、重なり部31の縁部を切り欠いた形状の切欠部であり、半田規制部73は、除去部75の縁部に沿って設けられている。
このようにすれば、除去部75及び半田規制部73の形状により、端子30の位置ずれを抑制することができる。
【0050】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)除去部32及び半田規制部26の形状は、上記実施形態の形状に限られず、種々の形状に変更することができる。例えば、除去部32や半田規制部26について、長方形状や、L字形状等としてもよい。また、図12に示すように、長円形状の除去部32の長径部32Aは、FPC21の延びる方向と直交する方向(交差する方向)に長い形状としてもよい。
【0051】
(2)端子30の延出部33は、平板状に延びる形状としたが、これに限られず、異なる形状としてもよい。例えば、延出部を棒状としてもよい。また、延出部33は、接続部材14にレーザー溶接される構成としたが、これに限られず、レーザー溶接以外の溶接、半田付け、圧着、圧接等により接続部材14に接続される構成としてもよい。
【0052】
(3)半田規制部26,52,62,73は、フィルムやシートに限られず、非金属表面を有する種々の部材を用いることができる。例えば、接着剤を固化させて半田規制部を形成してもよい。
(4)図13に示すように、長円形状の除去部32の外側に、ランド25の縁部25A(除去部32側の縁部)が配される構成としてもよい。この場合、図14に示すように、除去部32の径A1と半田規制部の径B1との関係は、B1>A1となり、半田Sは、全体が重なり部31とランド25との間に挟まれ、半田Sの外縁部には、フィレットSB2が形成される。
【符号の説明】
【0053】
1: 車両
2: 蓄電パック
3: PCU
4: ワイヤーハーネス
10: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子
12A,12B: 電極部
14: 接続部材
15,34: 溶接部
20: 配線モジュール
21,50,60,70: フレキシブルプリント基板(FPC)
22: 絶縁樹脂フィルム
23: 開口部
24: 導電路
25,51,61,71: ランド
25A,51A,61A,71A: 縁部
26,52,62,73: 半田規制部
30,76,77,80: 端子
31,81: 重なり部
32,53,64,75,78: 除去部
32A: 長径部
32B: 短径部
33: 延出部
35: 絶縁プロテクタ
36: 配設部
37: 隔壁
40,79: 端子付きフレキシブルプリント基板
O: 中心
S: 半田
SB1,SB2: フィレット
A1:除去部の径
B1:半田規制部の径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14