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特許7308306商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/12 20200101AFI20230706BHJP
   G01R 29/02 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
G01R31/12 Z
G01R29/02 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021577392
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 CN2020098676
(87)【国際公開番号】W WO2021008336
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】201910645797.3
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518119238
【氏名又は名称】中国電力科学研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】China Electric Power Research Institute Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.15 Xiaoying East Road, Qinghe, Haidian Distict, Beijing 100192, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】▲竜▼ 兆芝
(72)【発明者】
【氏名】李 文▲てぃーん▼
(72)【発明者】
【氏名】周 峰
(72)【発明者】
【氏名】雷 民
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 少波
(72)【発明者】
【氏名】范 佳威
(72)【発明者】
【氏名】王 海燕
(72)【発明者】
【氏名】岳 ▲長▼喜
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108896883(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102608388(CN,A)
【文献】特開2011-128130(JP,A)
【文献】実開昭50-115079(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104297647(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12-31/14
G01R 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法であって、
広帯域分圧器により、高圧商用電圧及びインパルス電圧の重畳波形を低圧信号に変換し、前記低圧信号をそれぞれ高サンプリングレートの採取ユニット及び低サンプリングレートの採取ユニットに出力することと、
インパルス電圧算出モジュールにより、前記高サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を算出し、インパルス電圧のピーク電圧及び時間パラメータを取得することと、
商用電圧算出モジュールにより、前記低サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を算出し、商用電圧のピーク電圧及び周波数パラメータを取得することと、
トリガー位相算出モジュールにより、前記高サンプリングレートの採取ユニット及び前記低サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を時間軸で重畳し、前記高圧商用電圧の周波におけるトリガータイミングの位置によりトリガー位相を算出することと、
を含み、
商用電圧算出モジュールにより、前記低サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を算出し、商用電圧のピーク電圧及び周波数パラメータを取得することは、
前記高サンプリングの採取ユニットを内部トリガーモードに配置し、前記低サンプリングの採取ユニットを外部トリガーモードに配置することと、
前記高サンプリングの採取ユニットのトリガー信号によって、前記低サンプリングの採取ユニットに対してトリガーを行うことと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記広帯域分圧器は、コンデンサや抵抗の直列分圧器、又は、コンデンサや抵抗の並列分圧器である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、さらに、
保護スフィアギャップを前記広帯域分圧器の高圧側に接続すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、さらに、
商用電圧信号を測定する前記低サンプリングレートの採取ユニットのサンプリングレートが100kS/s以上であり、前記低サンプリングレートの採取ユニットが少なくとも3つの周波を測定することと、
インパルス電圧信号を測定する前記高サンプリングレートの採取ユニットが、サンプリングレートが100MS/s以上であり、測定時間が200us以上であることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
広帯域分圧器、インパルス電圧算出モジュール、商用電圧算出モジュール、トリガー位相算出モジュールを含む、商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定システムであって、
前記広帯域分圧器は、高圧商用電圧及びインパルス電圧の重畳波形を低圧信号に変換し、前記低圧信号をそれぞれ高サンプリングレートの採取ユニット及び低サンプリングレートの採取ユニットに出力するように配置されており、
前記インパルス電圧算出モジュールは、前記高サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を算出し、インパルス電圧のピーク電圧及び時間パラメータを取得するように配置されており、
前記商用電圧算出モジュールは、前記低サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を算出し、商用電圧のピーク電圧及び周波数パラメータを取得するように配置されており、
前記トリガー位相算出モジュールは、前記高サンプリングレートの採取ユニット及び前記低サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を時間軸で重畳し、前記高圧商用電圧の周波におけるトリガータイミングの位置によりトリガー位相を算出するように配置されており、
前記高サンプリングの採取ユニットは内部トリガーモードに配置され、前記低サンプリングの採取ユニットは外部トリガーモードに配置されており、
前記低サンプリングの採取ユニットは、前記高サンプリングの採取ユニットのトリガー信号によりトリガーを行うように配置されている、
システム。
【請求項6】
前記広帯域分圧器は、コンデンサや抵抗の直列分圧器、又は、コンデンサや抵抗の並列分圧器である、
請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、前記広帯域分圧器の高圧側に接続される保護スフィアギャップを含む、
請求項に記載のシステム。
【請求項8】
商用電圧信号を測定する前記低サンプリングレートの採取ユニットのサンプリングレートは、100kS/s以上であり、前記低サンプリングレートの採取ユニットは、少なくとも3つの周波を測定するように配置されており、
インパルス電圧信号を測定する前記高サンプリングレートの採取ユニットのサンプリングレートは、100MS/s以上であり、前記高サンプリングレートの採取ユニットは、測定時間が200us以上であるように配置されている、
請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2019年07月17日に中国専利局に提出された、出願番号が201910645797.3である中国特許出願について優先権を主張するものであり、上記の出願の全ての内容は、引用により本開示に組み込まれている。
【0002】
本発明は、過渡電圧の測定の技術分野に関し、例えば、商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
避雷器のような耐雷設備の絶縁能力を評価するために、商用耐圧試験とインパルス耐圧試験を単独で行う以外に、重畳電圧試験を行う必要がある場合がある。関連技術では、商用電圧にインパルス電圧を重畳する試験が最も多く用いられ、適切な方法で接続された2つの独立電源で生成された異なる試験電圧の重畳は、2つの電源で同時にサンプルの1つの端子に印加される。2つの電源の間では、保護素子を採用して1つの電源の電圧が別のセットの電源システムを損なうことを回避する必要がある。重畳電圧試験の技術的なパラメータは、電圧値U、レイテンシΔt、及び2つの電圧成分のパラメータが含まれている。電圧値とは、サンプルに作用して重畳を引き起こす2つの試験電圧の合成電圧U=U+Uである。レイテンシとは、2つの電圧成分がピーク値に達する時刻の間の時間間隔である。図1は、関連技術に係る典型的な重畳電圧試験回路であり、図から分かるように、インパルス電圧発生器とサンプルとの間にアイソレーションスフィアギャップ(Isolation Sphere Gap)が存在し、商用電圧がインパルス電圧発生器に印加されることを防止し、保護抵抗と商用電圧発生器とで分圧システムが構成され、商用電圧に印加されたインパルス電圧が高すぎて電源機器を損なうことを防止する。
【0004】
電力システムの受変電設備又は近くの物体が落雷を受けたとき、雷過電圧は、直接に、又は、誘導により電力システムに侵入し、過渡過電圧の波形は、商用電圧及び雷電インパルス電圧の重畳電圧である。
【0005】
重畳電圧の測定について、関連技術では、通常は採取機器で測定する。そのときに存在する主な問題は、重畳波形には50HzからMHzまで非常に広い周波数範囲が含まれていることである。商用電圧は、少なくとも3つの周波数を測定する必要があり、測定時間を60msより小さくすることができず、これにより、サンプリングレートが高くすることができず、しかし、サンプリングレートが低すぎると、インパルス電圧波形を完全に記録することができず、電圧ピーク値の算出が不正確になってしまう。サンプリングレートが高すぎると、総記録時間が短すぎることを引き起こす可能性があり、完全な商用電圧周波を記録することができず、又は、記録データが多すぎて、算出が遅いことを引き起こしてしまう。
【0006】
したがって、商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形に対する測定を実現するための技術が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本願の技術案は、商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形をどうやって測定するかという問題を解決するために、商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法及びシステムを提供する。
【0008】
本願は、商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法であって、 広帯域分圧器により、高圧商用電圧及び重畳インパルス電圧波形を低圧信号に変換し、前記低圧信号をそれぞれ高サンプリングレートの採取ユニット及び低サンプリングレートの採取ユニットに出力することと、
インパルス電圧算出モジュールにより、前記高サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を算出し、インパルス電圧のピーク電圧及び時間パラメータを取得することと、
商用電圧算出モジュールにより、前記低サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を算出し、商用電圧のピーク電圧及び周波数パラメータを取得することと、
トリガー位相算出モジュールにより、前記高サンプリングレートの採取ユニット及び前記低サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を時間軸で重畳し、前記高圧商用電圧の周波におけるトリガータイミングの位置によりトリガー位相を算出することと、
を含む、商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法を提供する。
【0009】
本願の他の側面に基づいて、広帯域分圧器、インパルス電圧算出モジュール、商用電圧算出モジュール、トリガー位相算出モジュールを含む商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定システムであって、
前記広帯域分圧器は、高圧商用電圧及び重畳インパルス電圧波形を低圧信号に変換し、前記低圧信号をそれぞれ高サンプリングレートの採取ユニット及び低サンプリングレートの採取ユニットに出力するように配置され、
前記インパルス電圧算出モジュールは、前記高サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を算出し、インパルス電圧のピーク電圧及び時間パラメータを取得するように配置され、
前記商用電圧算出モジュールは、前記低サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を算出し、商用電圧のピーク電圧及び周波数パラメータを取得するように配置され、
前記トリガー位相算出モジュールは、前記高サンプリングレートの採取ユニット及び前記低サンプリングレートの採取ユニットが受信した前記低圧信号を時間軸で重畳し、前記高圧商用電圧の周波におけるトリガータイミングの位置によりトリガー位相を算出するように配置される、
商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
下記の図面を参照して、本願の例示的な実施形態をより完全に理解することができる。
【0011】
図1】関連技術に係る重畳電圧試験の原理模式図である。
図2】本願の選択可能な実施形態に係る商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法のフローチャートである。
図3】本願の選択可能な実施形態に係る商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法のフローチャートである。
図4】本願の選択可能な実施形態に係る商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測量システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
これから、図面を参照して本願の例示的な実施形態を紹介していくが、本願は、たくさんの異なった形で実施されてよく、且つ、ここで説明する実施例に限定されず、それらの実施例を提供するのは、詳しく且つ完全に本願を開示し、且つ、当業者に本願の範囲を十分に伝えるためである。図面に示された例示的な実施形態における用語は、本願に対する限定とはならない。図面において、同様なユニット/素子には同様な符号が用いられる。
【0013】
別途に説明されていない限り、ここで用いられる用語(科学技術的な用語を含む)は、当業者に対して一般的な意味を持つ。また、通常に用いられる辞典で限定された用語は、それに関する分野の文脈と一致した意味を持つものと理解されるべきであって、理想化された意味、又は、あまりに正式すぎる意味として理解されるべきではない、ことを理解され得る。
【0014】
図2は、本願の選択可能な実施形態に係る商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法のフローチャートである。本願の実施形態は、商用/インパルスの重畳電圧波形の測定方法を提案し、広い周波数範囲が含まれる電圧信号の採取及び処理を実現することができ、電力システムにおける過渡過電圧の測定に対して技術的なサポートを提供する。図2に示すように、商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法であって、方法は、以下のステップを含む。
【0015】
オプションとして、ステップ201では、広帯域分圧器により、高圧商用電圧及び重畳インパルス電圧波形を低圧信号に変換し、低圧信号をそれぞれ高サンプリングレートの採取ユニット及び低サンプリングレートの採取ユニットに出力する。オプションとして、広帯域分圧器は、コンデンサや抵抗の直列分圧器、又は、コンデンサや抵抗の並列分圧器である。オプションとして、前記方法は、保護スフィアギャップを広帯域電圧分圧器(つまり、広帯域分圧器)の高圧側に接続することを含む。オプションとして、前記方法は、インパルス電圧及び高圧商用電圧に対するトリガーをそれぞれ行うことをさらに含む。
【0016】
前記コンデンサや抵抗の直列分圧器とは、直列されたコンデンサや抵抗からなるユニットが含まれる分圧器であり、例示的に、各ユニットは、1つの抵抗と1つのコンデンサとが直列されたものであり、前記コンデンサや抵抗の並列分圧器とは、並列されたコンデンサや抵抗からなるユニットが含まれる分圧器であり、例示的に、各ユニットは、1つの抵抗と1つのコンデンサとが並列されたものである、ことを理解することができる。
【0017】
本願の広帯域電圧分圧器は、高圧商用電圧にインパルス電圧を重畳した波形をデータ採取ユニットによる採取可能な低圧信号に変換する。高サンプリングレートの採取ユニットと低サンプリングレートの採取ユニットとの2台の採取ユニットにより、同一の広帯域分圧器の出力電圧信号を測定する。広帯域電圧分圧器は、コンデンサや抵抗の直列分圧器、又は、コンデンサや抵抗の並列分圧器である。本願の商用/インパルスの連携電圧波形の測定方法においては、広帯域電圧分圧器の高圧側が、保護スフィアギャップの後端に接続され、保護スフィアギャップの存在のため、実際のインパルス電圧波形は、インパルス電圧発生器の出力波形と不一致であり、上昇時間がより急である。本願の広帯域分圧器の同軸ケーブルの末端にT型のコネクタを追加し、測定信号を同時にサンプリングレートが異なる2台のデータ採取ユニットでアクセスする。サンプリングレートが異なる2台のデータ採取ユニットは、それぞれ高サンプリングレートの採取ユニット及び低サンプリングレートの採取ユニットである。
【0018】
オプションとして、ステップ202では、インパルス電圧算出モジュールにより、高サンプリングレートの採取ユニットが受信した低圧信号を算出し、インパルス電圧のピーク電圧及び時間パラメータを取得する。本願は、インパルス電圧算出モジュールにより、高サンプリングレートの採取ユニットが採取した離散的なデータを処理し、且つ、インパルス電圧のピーク電圧及び時間パラメータを取得する。
【0019】
オプションとして、ステップ203では、商用電圧算出モジュールにより、低サンプリングレートの採取ユニットが受信した低圧信号を算出し、商用電圧のピーク電圧及び周波数パラメータを取得する。オプションとして、高サンプリングの採取ユニットは、内部トリガーモードに配置され、低サンプリングの採取ユニットは、外部トリガーモードに配置され、高サンプリングの採取ユニットのトリガー信号により、低サンプリングの採取ユニットに対してトリガーを行う。オプションとして、商用電圧信号を測定する低サンプリングレートの採取ユニットは、サンプリングレートが100kS/s以上であり、少なくとも3つの周波を測定し、インパルス電圧信号を測定する高サンプリングレートの採取ユニットは、サンプリングレートが100MS/s以上であり、測定時間が200us以上である。
【0020】
本願は、商用電圧算出モジュールにより、低サンプリングレートの採取ユニットが採取した離散的なデータを処理して、商用電圧のピーク値、周波数などのパラメータを算出する。本願では、高サンプリングレートの採取ユニットは、内部トリガーモードに配置され、低サンプリングレートの採取ユニットは、外部トリガーモードに配置され、高サンプリングレートの採取ユニットのトリガー信号を用いて低サンプリングレートの採取ユニットをトリガーし、2台の採取ユニットのトリガー時間が一致することを保証することができる。本願における商用電圧信号を測定するデータ採取ユニットは、サンプリングレートが100kS/s以上であり、少なくとも3つの周波数を測定する。インパルス電圧信号を測定するデータ単級ユニットは、サンプリングレートが100MS/s以上であり、測定時間が200us以上である。本願の2台の採取ユニットは、同一信号を測定し、周りの電磁界障害を解消するために、1つの金属シールドボックス内に置くことができる。
【0021】
オプションとして、ステップ204では、トリガー位相算出モジュールにより、高サンプリングレートの採取ユニット及び低サンプリングレートの採取ユニットが受信した低圧信号を時間軸で重畳し、高圧商用電圧の周波におけるトリガータイミングの位置により、トリガー位相を算出する。図3に示すように、本願は、トリガー位相算出モジュールにより、2台の採取ユニットが取得したデータを時間軸で重畳し、商用電圧の周波におけるトリガータイミングの位置により、トリガー位相を算出する。そのとき、重畳波形の最大ピーク値を算出することができる。波形重畳表示モジュールは、重畳されたデータ及び波形パラメータの結果をPC機に表示するものである。
【0022】
本願の実施形態は、実験室で重畳電圧波形を測定することに適用され、変電所で実際の過渡過電圧波形を測定し、且つ、特徴的なパラメータを抽出することにも適用される。本願は、サンプリングレートが異なる2台の採取ユニットを用いることで、重畳波形におけるキーとなる波形パラメータを正確に取得することができ、測定時間とサンプリングレートとの間の矛盾を解決する。本願は、過渡電圧及び商用電圧に対してそれぞれトリガーを行い、算出を簡素化するとともに、算出のスピードを向上させる。本願の実施形態は、変電所現場の過渡過電圧の測定に同時に適用される。
【0023】
以下において、本願の実施形態について例を挙げて説明する。
【0024】
100kVの商用電圧及び200kVのインパルス電圧の重畳波形の測定方法は、以下のとおりである。800kVの弱減衰分圧器で高圧重畳電圧波形が低圧信号に変換され、分圧器の出力電圧波形は、T型のコネクタにより2台のデジタルオシロスコープMDO3052の信号入力端に出力する。高サンプリングレートのデジタルオシロスコープは、サンプリングレートが100MS/sに配置され、エッジトリガーとなる。低サンプリングレートのデジタルオシロスコープは、サンプリングレートが100kS/sに配置され、外部トリガーとなる。低サンプリングレートのオシロスコープのトリガー信号は、高サンプリングレートのデジタルオシロスコープにより提供される。2台のデジタルオシロスコープは、同一の金属シールドボックス中に置かれる。
【0025】
デジタルオシロスコープの採取データは、ネットワークケーブルを介して異なるPC機に伝送され、インパルス電圧算出モジュールは、インパルス電圧のピーク電圧及び上昇時間Tと半ピーク値時間Tを算出し、フィルタリングされたインパルスデータファイルを出力する。商用電圧算出モジュールは、電圧ピーク値、有効値、及び周波数などのパラメータを算出し、フィルタリングされた商用データファイルを出力する。トリガー位相算出モジュールは、2つのデータファイルに対してトリガーの時間点の後で同一時間軸の重畳を行い、そこで、重畳位相θ、レイテンシ、及び加え合わせ点の電圧ピーク値などの特徴的なパラメータを算出する。
【0026】
図4は、本願の選択可能な実施形態に係る商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定システムの構成図である。本願は、図4に示すように、商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測量システムを提供し、1は広帯域分圧器であり、2は同軸ケーブルであり、3はT型のコネクタであり、4は高サンプリングレートの採取ユニットであり、5は低サンプリングレートの採取ユニットであり、6は外部トリガーケーブルであり、7は金属シールボックスであり、8はネットワークケーブルであり、9はコンピュータ又は各種のスマート端末である。
【0027】
いくつかの実施例において、前記商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測量システムは、広帯域分圧器1、インパルス電圧算出モジュール、商用電圧算出モジュール、及びトリガー位相算出モジュールを含む。
【0028】
広帯域分圧器1により、高圧商用電圧及び重畳インパルス電圧波形を低圧信号に変換し、低圧信号をそれぞれ高サンプリングレートの採取ユニット4及び低サンプリングレートの採取ユニット5に出力することができ、オプションとして、広帯域分圧器1は、コンデンサや抵抗の直列分圧器、又は、コンデンサや抵抗の並列分圧器である。オプションとして、システムは、広帯域電圧分圧器の高圧側に接続される保護スフィアギャップをさらに含む。
【0029】
インパルス電圧算出モジュールにより、高サンプリングレートの採取ユニット4が受信した低圧信号を算出し、インパルス電圧のピーク電圧及び時間パラメータを取得することができる。
【0030】
商用電圧算出モジュールにより、低サンプリングレートの採取ユニット5が受信した低圧信号を算出し、商用電圧のピーク電圧及び周波数パラメータを取得することができる。
【0031】
オプションとして、システムにおいて、商用電圧信号を測定する低サンプリングレートの採取ユニットは、サンプリングレートが100kS/s以上であり、少なくとも3つの周波を測定することと、インパルス電圧信号を測定する高サンプリングレートの採取ユニットは、サンプリングレートが100MS/s以上であり、測定時間が200us以上であることと、をさらに含む。
【0032】
トリガー位相算出モジュールにより、高サンプリングレートの採取ユニット及び低サンプリングレートの採取ユニットが受信した低圧信号を時間軸で重畳し、高圧商用電圧の周波におけるトリガータイミングの位置によりトリガー位相を算出する。
【0033】
オプションとして、システムは、高サンプリングの採取ユニットが内部トリガーモードに配置され、低サンプリングの採取ユニットが外部トリガーモードに配置されることと、高サンプリングの採取ユニットのトリガー信号により、低サンプリングの採取ユニットに対してトリガーを行うことと、をさらに含む。
【0034】
オプションとして、システムは、インパルス電圧及び高圧商用電圧に対するトリガーをそれぞれ行うこと、をさらに含む。
【0035】
本願の選択可能な実施形態における商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測量システム400は、本願の他の選択可能な実施形態における商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法200に対応し、ここでは、説明を省略する。
【0036】
本願は、少量の実施形態を参照して説明された。しかし、当業者が知っているものは、添付の特許請求の範囲によって限定されるもののとおりである。本願において開示された実施例以外に、他の実施例は、本願の範囲内に等しく属する。
【0037】
通常、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、そのうち別途に明確に定義されていない限り、それらの技術分野での一般的な意味に基づいて解釈される。全ての参照である「1つ/前記/当該[装置、手段等]」は、別途に明確に説明されていない限り、開放的に前記装置、手段等のうちの少なくとも1つの実施例として解釈されている。ここで開示された任意の方法のステップは、明確に説明されていない限り、いずれも必ずしも開示された正確な順序において実行する必要はない。
【0038】
本願の技術案は、商用電圧及びインパルス電圧の重畳電圧波形の測定方法を提供し、本方法は、広帯域分圧器により、高圧商用電圧及び重畳インパルス電圧波形を低圧信号に変換し、低圧信号をそれぞれ高サンプリングレートの採取ユニット及び低サンプリングレートの採取ユニットに出力することと、インパルス電圧算出モジュールにより、高サンプリングレートの採取ユニットが受信した低圧信号を算出し、インパルス電圧のピーク電圧及び時間パラメータを取得することと、商用電圧算出モジュールにより、低サンプリングレートの採取ユニットが受信した低圧信号を算出し、商用電圧のピーク電圧及び周波数パラメータを取得することと、トリガー位相算出モジュールにより、高サンプリングレートの採取ユニット及び低サンプリングレートの採取ユニットが受信した低圧信号を時間軸で重畳し、高圧商用電圧の周波におけるトリガータイミングの位置によりトリガー位相を算出することと、を含む。本願の技術案において提案された商用/インパルスの重畳波形の正確な測定方法及びシステムは、サンプリングレートが異なる2台の採取ユニットを用いることで、重畳波形におけるキーとなる波形パラメータを正確に取得することができ、測定時間とサンプリングレートとの間の矛盾を解決し、高周波電圧波形の正確な採取も満足するし、算出スピードを向上させて作業効率を保証することもできる。
図1
図2
図3
図4